説明

回路基板における信号伝送方法および回路基板

本発明は、回路基板(1)における信号伝送方法に関する。少なくとも1つの光チャネル(2)は回路基板(1)に形成され、該光チャネルに光信号は光送信器(4)によって入力され、光チャネル(2)に入力された光信号は少なくとも1つの光受信器(6)によって受信される。光チャネル(2)は、少なくとも2つの焦点(3.1,3.2)が形成されるように設計される。光送信器(4)は一方の焦点(3.1,3.2)に実質的に関連して配置され、光受信器(6)は他方の焦点(3.1,3.2)に実質的に関連して配置される。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの光チャネルが形成され、光信号が光送信器によって光学チャネルに入力され、光チャネルに入力された光信号が少なくとも1つの光受信器によって受信される、回路基板における信号伝送方法に関する。本発明は、また少なくとも1つの光チャネルと、光チャネルと光学的に接続される少なくとも1つの光送信器と、光チャネルと光学的に接続される少なくとも1つの光受信器とが形成される回路基板に関する。
【0002】
1以上の光導波路またはいくつかの他の対応する光チャネルが形成される回路基板が知られており、その目的は典型的に光送信器から光受信器に光信号を伝送することである。先行技術に従うこの種の回路基板において、光チャネルは、実質的には光送信器と光受信器との間で一様な幅を有する光路として典型的に形成される。たとえば、光チャネルは、回路基板に配置された光ファイバまたは1以上の光伝導性材料で充填された溝である。この種の光路に複数の結合器を配置することもまた知られており、その場合、信号はこれらの異なる経路に分岐され、複数の光受信器で受信することができる。一方、分岐は、1つの受信器が複数の送信器から送信された光信号を受信する状況において使用することができる。
【0003】
米国特許第6396968号明細書は、別個の導波路を有さない、光学層が均一な回路基板を開示している。光送信器および光受信器は、光学層に挿入され、これらは対で注意深く整列される。各対はそれ自体の波長で動作し、その場合、複数の送信器・受信器対の間で信号を同時に伝送することができる。この解決手段において、光送信器および光受信器は、回路基板内に形成された光学層に挿入される。所定の波長域が1つの送信器・受信器対の使用に予定されているので、同時信号伝送が要求された場合、各送信器・受信器対は異なる技術、または少なくとも異なる部品で実施されなければならない。少なくとも市販の部品に対して、使用できる波長域の数も限られており、このことに関する限り、使用できる送信器・受信器対の数を制限する。
【0004】
先行技術に従う解決手段によれば、とりわけ、信号の伝送損失をできる限り小さくするために、光チャネルへの光信号の入力が極めて正確な位置合わせを要求するという問題がある。同様に、光受信器は、できる限り多くの光出力が光チャネルから光受信器に移動するように、できる限り正確に光チャネルに結合されなければならない。複数の受信器に対する光信号の分割が要求される回路基板において、信号の伝送損失が妥当な制限内にあり、充分な光出力が各受信器に移動するように正確に分岐点を設けるという点で困難である。
【0005】
本発明の1つの目的は、先行技術を改良することであり、先行技術の問題を排除した、回路基板における信号伝送方法および回路基板を提供することである。本発明は、回路基板に形成された光チャネルが少なくとも2つの焦点が光チャネルに光学的に形成されるように設計されるという着想に基づく。各送信器および受信器は、このような焦点に配置され、その場合、信号は光チャネルと送信器/受信器との間でできる限り効率よく伝送される。正確に言えば、本発明に従う方法は、主として、光チャネルが、光チャネルに少なくとも2つの焦点が形成されるように設計され、各光送信器が一方の焦点に実質的に関連して配置され、光受信器が他方の焦点に実質的に関連して配置されることを特徴とする。本発明に従う回路基板は、主として、光チャネルが少なくとも2つの焦点を含むように設計され、光送信器が一方の焦点に実質的に関連して配置されるように設けられ、光受信器が他方の焦点に実質的に関連して配置されるように設けられることを特徴とする。
【0006】
本発明は、先行技術の解決手段よりも顕著な利点がある。本発明に従う方法で実施される回路基板において、光信号の伝送損失が先行技術の解決手段と比較して低減される。なぜなら、一方の焦点に関連して配置された光送信器から出た光信号は、チャネルにおいてできる限り正確に他方の焦点に合焦するからである。チャネル内で移動する光信号の大部分は、この他方の焦点に関連して配置される受信器に移動する。また、本発明に従う方法によれば、複数の光学的焦点対を含み、これらの焦点対が少なくとも1つの共有焦点を有するように、光チャネルを形成することによって、分岐を比較的容易に実施することができる。送信器および受信器は、この種の共有焦点に関連して配置される。したがって、共有焦点に関連して配置された送信器から出た光信号は、小さな損失で他方の焦点に移動し、その場合、信号をこれらの異なる焦点で受信することができる。同様に、この種の共有焦点に受信器を配置すると、信号を複数の異なる焦点に配置された送信器から、共有焦点に配置されたこの1つの光受信器に送信することができる。たとえば入口結合を増強し、光チャネルの縁での光信号の屈折を改善するために、本発明に従う光チャネルに反射面を取付けることも可能である。
【0007】
上述に従う本発明の作用は、光源の構造または発散、入口結合様式に依存せず、波長または材料にも依存しない。本発明は、光送信器としてLEDおよびレーザ光源の双方の使用を可能にする。光源を相対的に自由に焦点に配置することができる。なぜなら、焦点から出た光信号は、光信号が送信器から放射される方向とは実質的に無関係に、比較的効率よく他方の焦点に移動するからである。
【0008】
以下、本発明を添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の有利な実施形態に従う回路基板の上面図を示す。この回路基板1は、1つの光チャネル2を含み、該光チャネルは、2つの光学的焦点3を含むように設計されている。光送信器4は、これらのうちの第1の焦点3.1の位置に配置される(図2a)。この光送信器4によって形成される光信号は、送信器から側方に、すなわちこの場合回路基板の光チャネルの主水準の方向に放射される。光送信器4は第1の焦点3.1に配置されるので、同時に、光送信器から放射される光信号のすべてが光チャネルの所定の方向に導かれることを意味する。このことは、光送信器の信号が出ていく方向に実質的に影響を与えない。しかしながら、ビームの入射角がいわゆる全反射の臨界角よりも大きい場合、すべての可能性のある放射方向は、光チャネルの縁でのビームの反射を必ずしも生じない。しかしながら、光チャネルの縁(すなわち、主水準に垂直な光チャネルの表面)は、反射、たとえばミラー面として形成される場合、すべてのビームは縁で反射する。光信号のいくつかのルートが、図1に矢符5で示される。第2の焦点3.2は、第1および第2の焦点がある種の焦点対を形成するように配置される。本発明に関連して、このことは、いずれかの焦点から出た光信号が、光信号が光チャネル2の主水準において光チャネルに対して有する出射角とは実質的に無関係に、他方の焦点に移動することを意味する。この光チャネルの主水準は、ここで、回路基板の水準面に実質的に平行な水準であるとする。なぜなら、光学層が回路基板に形成されているからである。
【0009】
図2は、回路基板1を簡略された断面図で示し、これに関連して、本発明に従う光チャネル2が形成される。光チャネル2は、本実施例において、回路基板の1つの中間層1.2に配置されるが、光チャネルが、たとえば回路基板の表面層1.1または基層1.3に形成されてもよいことは自明である。明瞭化のために、導電パターンまたは導電層は添付の図面には示されていない。
【0010】
第2の焦点3.2に配置される光受信器6は、光チャネルに伝送される光信号を受信し、それらを電気信号に変更し、さらなる処理のために他の電子機器(図示せず)にさらに伝送可能である。
【0011】
図2bは、図1に従う回路基板の実施形態を断面図で示し、光送信器4および光受信器6は光チャネルには配置されていないが、回路基板1の表面層の焦点位置に配置されている。したがって、光送信器4によって送信された光信号を第1の焦点3.1に導くことができるとともに、第2の光学焦点3.2から光信号を光受信器6に導くことができるように、導入部が回路基板の表面層に有利に形成される。この有利な実施形態において、ビームインバータ7.1,7.2が光チャネルの焦点位置に形成され、これによって光送信器4から第2の焦点に到来した信号を光チャネルの主水準の方向に実質的に偏向させるとともに、光チャネルから第2の焦点に到来した信号を光受信器6に向かって偏向させる。ビームインバータ7.1,7.2は、たとえば円錐状または楔状に形成されるが、他の形状、たとえば回折表面構造が使用可能である。
【0012】
図1の光チャネル2は、実質的に楕円形状に形成される。したがって、焦点対3.1,3.2は楕円の長軸上に形成される。楕円の高さおよび幅、すなわち短軸および長軸の長さは、各用途に最も適したものとして選択される。このことは、とりわけ、光チャネル2を設計するための回路基板1に利用できる空間がどれくらいであるのか、また光送信器4および光受信器6がどれくらい離れて配置されるように意図されているのかに影響を与えない。場合によっては、光送信器4および光受信器6を相対的に自由に配置することができ、その場合、それらは光チャネルの設計に対して支配的地位を占めない。
【0013】
ここで、楕円は光チャネル2の可能性のある形状に過ぎず、他の幾何学的形状が本発明に関連して使用されてもよいことが言及されるべきである。一例として、放物線形状に言及することができ、その場合、図3に示されるように、少なくとも2つの放物線が存在するように、光チャネル2が設計される。したがって、各放物線の開口方向は、第1の放物線の焦点から出た光信号が第2の放物線の焦点に向かうように、相互に向かい合っている。周知のように、放物線の焦点から出たビームは、放物線の開口方向に実質的に平行に導かれる。したがって、受信器に関連する放物線形状は、好ましくは、開口方向が第1の放物線の開口方向とは実質的に対向するように向けられる。この構成は、第2の放物線の焦点への光信号の方向をできる限り効率よくすることを可能にする。
【0014】
図4は、本発明が適用される第3の有利な回路基板1を示す。この回路基板1において、2以上の焦点3が存在する。これらのうち、第1の焦点3.1は光送信器4に意図され、他の焦点3.2,3.3,3.4は光受信器6に意図される。光チャネル2は、各焦点の近傍で楕円形状に主として従う。本実施形態において、光チャネルを3つの楕円から構成して、3つの楕円が1つの焦点3.1を共有し、第2の焦点3.2,3.3,3.4が他の焦点から離隔するように考えることができる。したがって、共有焦点3.1に配置される光送信器4は光信号を送信し、該光信号は異なる焦点に導かれ、該焦点に配置される受信器は送信された光信号を受信することができる。しかしながら、2またはさらに3以上の楕円形状が存在してもよいことは明らかである。
【0015】
本発明に従う光回路基板に関連して、同様に典型的な回路を実施することができる。また、光チャネル2の上方または下方に存在してもよい回路基板層を使用して、電気的結合を実施することができる。場合によっては、光チャネル2の表面に直接回路パターンを形成することができる。
【0016】
光チャネル2は、用途に応じて、複数の異なる方法で形成可能である。たとえば、回路基板の中間層1.2は、中間層1.2に孔が形成されるように設計可能であり、中間層の形状が光チャネルに好ましい形状である。この中間層1.2は、たとえば下方の、すなわち底層1.3の上に取付け可能であり、その後中間層1.2の孔に、光伝導性(透明)物質から成る片を配置し、該片は一方向に実質的に平坦である。この片は、回路基板の中間層1.2の孔に嵌合するように設計される。1つの他の可能性は、液状または他の流動状の質量物が中間層1.2の孔に導入されることであり、このとき、凝固によって所望の設計の光チャネル2が形成される。
【0017】
本発明に従う回路基板に関連して、複数の異なる光送信器4および光受信器6を使用することができる。有利な実施例として、発光ダイオードが言及され、該発光ダイオードは光送信器4として充分適している。たとえ光送信器4が大きな発散を有していたとしても、大量の放射線が他方の焦点に合焦し、該焦点に関連して、光受信器6が配置される。本明細書において既に述べたように、たとえば本発明に従う光チャネル2に配置される光送信器4の放射方向はあまり重要ではない。なぜなら、光チャネルの縁で生じる信号の反射が、出射角が入射角と実質的に同じであるように生じるからである。光チャネル2の縁の設計は、少なくとも2つの焦点が、一方の焦点から出るビームが1以上の反射によって他方の焦点に導かれるように存在する曲線形状にできる限り厳密に従う。
【0018】
本発明は以上に示された実施形態にのみに限定されるのではなく、添付の特許請求の範囲内で変更可能であることは自明である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の有利な実施形態に従う回路基板の上面図を示す。
【図2a】図1に従う回路基板を、光チャネルに配置された光送信器および光受信器の位置における簡略化された断面図で示す。
【図2b】光送信器および光受信器が回路基板の表面に配置されている場合の、図1に従う回路基板の断面図を示す。
【図3】本発明の他の有利な実施形態に従う回路基板の上面図を示す。
【図4】本発明の第3の有利な実施形態に従う回路基板の上面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板における信号伝送方法であって、少なくとも1つの光チャネル(2)が形成され、該光チャネルに光信号が光送信器(4)によって入力され、光チャネル(2)に入力された光信号が少なくとも1つの光受信器(6)によって受光する方法において、光チャネル(2)は、少なくとも2つの焦点(3.1,3.2)が形成されるように設計され、光送信器(4)が一方の焦点(3.1,3.2)に実質的に関連して配置され、光受信器(6)が第2の焦点(3.1,3.2)に実質的に関連して配置されることを特徴とする方法。
【請求項2】
光チャネル(2)は、実質的に楕円形状に設計されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
光チャネル(2)は実質的に2つの対向する放物線形状に設計され、放物線形状の開口方向は相互に向かい合っていることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
光チャネル(2)は、少なくとも2つの楕円形状を含むように設計され、各楕円形状が1つの共有焦点(3.1)を有し、各楕円形状の第2の焦点(3.2,3.3,3.4)が他の焦点から離隔するように設計されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの中間層(1.2)が回路基板(1)に形成され、光チャネル(2)が回路基板(1)の中間層(1.2)に配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの光チャネル(2)と、光チャネル(2)と光学的に接続される少なくとも1つの光送信器(4)と、光チャネル(2)と光学的に接続される少なくとも1つの光受信器(6)とが形成される回路基板(1)において、光チャネル(2)は、少なくとも2つの焦点(3.1,3.2)を含むように設計され、光送信器(4)が一方の焦点(3.1)に実質的に関連して配置されるように設けられ、光受信器(6)が他方の焦点(3.2)に実質的に関連して配置されるように設けられることを特徴とする回路基板(1)。
【請求項7】
光チャネル(2)は、実質的に楕円形状に設計されることを特徴とする請求項6記載の回路基板(1)。
【請求項8】
光チャネル(2)は実質的に2つの対向する放物線形状に設計され、放物線形状の開口方向は相互に向かい合っていることを特徴とする請求項6記載の回路基板(1)。
【請求項9】
光チャネル(2)は、少なくとも2つの楕円形状を含むように設計され、各楕円形状が1つの共有焦点(3.1)を有し、各楕円形状の第2の焦点(3.2,3.3,3.4)が他の焦点から離隔するように設計されることを特徴とする請求項6記載の回路基板(1)。
【請求項10】
少なくとも1つの中間層(1.2)が回路基板(1)に形成され、光チャネル(2)が回路基板(1)の中間層(1.2)に配置されることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の回路基板(1)。
【請求項11】
光送信器(4)は、RC−LEDなどの、強く発散する発光ダイオードであることを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の回路基板(1)。
【請求項12】
光送信器(4)は第1の焦点位置における光チャネルに配置され、光受信器(6)は第2の焦点位置における光チャネル(2)に配置されることを特徴とする請求項6〜11のいずれか1項に記載の回路基板(1)。
【請求項13】
光送信器(4)が第1の焦点位置おける回路基板(1)の表面に配置され、光チャネル(2)に第1のビームインバータ(7.1)が第1の焦点に形成されて、光送信器(4)から第1の焦点に導かれる信号を光チャネルの主水準の方向に偏向させ、光受信器(6)が第2の焦点位置における回路基板(1)の表面に配置され、光チャネル(2)に第2のビームインバータ(7.2)が第2の焦点に形成されて、光チャネルから第2の焦点に到来する信号を光受信器(6)に向かって偏向させることを特徴とする請求項6〜11のいずれか1項に記載の回路基板(1)。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−514960(P2007−514960A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516252(P2006−516252)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【国際出願番号】PCT/FI2004/050106
【国際公開番号】WO2005/002301
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(505476456)アスポコンプ テクノロジー オイ (2)
【氏名又は名称原語表記】Aspocomp Technology Oy
【Fターム(参考)】