説明

回路実装基板の製造方法およびプリント基板

【課題】電気部品を基板に実装する際に、電気部品に加えられる熱を低減するとともに、製造コストの増大を防ぐことが可能な回路実装基板の製造方法およびプリント基板を提供する。
【解決手段】回路実装基板201の製造方法は、対象部品11を半田付けするための第1のランド21,22と、対象部品11と比べて耐熱性の高い非対象部品12,71を半田付けするための第2のランド23,24,72,73とを備え、第1のランド21,22の面積が、各第2のランド23,24,72,73のうち、配線パターン74,75に覆われない第2のランド23,24の面積と比べて大きいプリント基板101を準備するステップと、第1のランド21,22を用いて対象部品11をプリント基板101に半田付けするステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路実装基板の製造方法およびプリント基板に関し、特に、製造時に電気部品に加えられる熱の対策を行なう回路実装基板の製造方法およびプリント基板に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器の放熱対策は、重要な課題である。電気機器の放熱対策の一例として、たとえば、特開2001−168476号公報(特許文献1)には、以下のような技術が開示されている。すなわち、発熱部品を回路基板上に実装し、放熱部品に伝達させて放熱を行なう構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−168476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、雷サージから電気機器を保護するための電子部品として、バリスタがある。一般に、バリスタは耐熱性が低く、高温下で壊れるとショート状態となる場合がある。
【0005】
このため、バリスタを用いる回路には、たとえば温度ヒューズを設け、バリスタが熱によって壊れた場合に回路がショートしないようにする必要がある。
【0006】
そして、この温度ヒューズをプリント基板に半田付けして実装する際には、温度ヒューズが熱によって切れないように、たとえば、温度ヒューズのリードにヒートクリップを装着し、温度ヒューズ本体に熱が伝わらないようにする必要がある。
【0007】
しかしながら、このような方法では、電気機器の完成品には搭載しないヒートクリップを、温度ヒューズのリードごとに使用する必要が生じてしまう。すなわち、ヒートクリップの装着、および半田付け工程後におけるヒートクリップの取り外しの作業が発生するため、製造コストが増大してしまう。
【0008】
また、特許文献1に記載の技術のように発熱部品の放熱を行なっても、熱に弱く、ほとんど発熱しない部品を半田付け工程で保護することができない。
【0009】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、電気部品を基板に実装する際に、電気部品に加えられる熱を低減するとともに、製造コストの増大を防ぐことが可能な回路実装基板の製造方法およびプリント基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる回路実装基板の製造方法は、対象部品を半田付けするための第1のランドと、上記対象部品と比べて耐熱性の高い非対象部品を半田付けするための1または複数の第2のランドとを備え、上記第1のランドの面積が、各上記第2のランドのうち、配線パターンに覆われない上記第2のランドの面積と比べて大きいプリント基板を準備するステップと、上記第1のランドを用いて上記対象部品を上記プリント基板に半田付けするステップとを含む。
【0011】
これにより、第1のランドが空気と接触する面積を増やすことができるため、対象部品の半田付け時において、対象部品にヒートクリップを着脱することなく、対象部品の温度上昇を容易に抑制することができる。したがって、電気部品を基板に実装する際に、電気部品に加えられる熱を低減するとともに、製造コストの増大を防ぐことができる。
【0012】
好ましくは、上記プリント基板を準備するステップにおいては、上記第1のランドが、さらに、上記第1のランド上に放熱用部材の一部または全部を置くための部分を含むように形成されたプリント基板を準備し、上記対象部品を半田付けするステップにおいては、上記第1のランド上に上記放熱用部材を置いた後、上記対象部品を半田付けする。
【0013】
このように、第1のランド上に局所的に放熱用部材を置く構成により、第1のランドの面積の最大化を図ってもなお放熱量が不足する場合、あるいは設計上の制約から第1のランドの面積を十分に大きくすることができず放熱量が不足する場合に、その不足分を補うことができる。ここで、第1のランドの面積は、非対象部品用の第2のランドと比べて大きくしていることから、放熱用部材を置きやすい。また、熱伝導用部材を用いて第1のランドと他の部分とを熱結合する方法と比べて、さらに高い放熱性を実現することができる。また、ヒートクリップは対象部品のリード1本ごとに用意する必要があるのに対して、放熱用部材は、対象部品のリード1本ごとに用意する必要はない。すなわち、通常、1つの電気部品は2本以上のリードを有し、また、1つのプリント基板上に温度ヒューズ等の非耐熱部品が隣接して複数配置される場合もある。たとえば、リード3本分のランドをまたぐように1つの放熱用部材を各ランド上に置くことも可能である。これにより、ヒートクリップを対象部品に着脱する方法と比べて、使用部品の数を減らし、作業時間を大幅に削減することができる。
【0014】
好ましくは、上記プリント基板を準備するステップにおいては、上記第1のランドが、さらに、上記プリント基板においてレジストよりも熱容量の大きい部分への方向に広がるように形成されたプリント基板を準備し、上記対象部品を半田付けするステップにおいては、上記第1のランドと上記熱容量の大きい部分とを熱伝導用部材を用いて熱結合した後、上記対象部品を半田付けする。
【0015】
これにより、第1のランドの面積の最大化を図ってもなお放熱量が不足する場合、あるいは設計上の制約から第1のランドの面積を十分に大きくすることができず放熱量が不足する場合に、その不足分を補うことができる。また、たとえば放熱用部材を置くスペースが無い場合でも、第1のランド単体の放熱量の不足分を補うことができる。また、放熱用部材を用いる回路実装基板の製造方法と同様に、熱伝導用部材は、対象部品のリード1本ごとに用意する必要はないため、ヒートクリップを対象部品に着脱する方法と比べて、使用部品の数を減らし、作業時間を大幅に削減することができる。
【0016】
好ましくは、上記プリント基板を準備するステップにおいては、上記第1のランドが、さらに、上記各第2のランドを含む他の導電部分との最小距離以上、上記他の導電部分と間隔を隔てて設けられたプリント基板を準備する。
【0017】
このように、たとえば他の導電部分との電気的絶縁に必要な最低限の沿面距離が得られるように、第1のランドと他の隣接するランドおよびパターン等との隙間を設定する構成により、第1のランドの面積の最大化を図ることができる。
【0018】
好ましくは、上記対象部品は温度ヒューズである。
【0019】
このように、特に耐熱性の低い温度ヒューズについて半田付け時における放熱対策を施すことにより、より顕著な効果が得られる。
【0020】
またこの発明の別の局面に係わる回路実装基板の製造方法は、部品を実装するための第1主表面と、第2主表面とを有し、上記第1主表面において対象部品を半田付けするための第1のランドと、上記第2主表面において上記対象部品を半田付けするための第2のランドとを備え、上記第1のランドの面積が上記第2のランドの面積よりも大きいプリント基板を準備するステップと、上記第1のランドおよび上記第2のランドを用いて上記対象部品を上記プリント基板に半田付けするステップとを含む。
【0021】
このように、第2主表面における対象部品のランドと比べて第1主表面における対象部品のランドの面積を大きくすることにより、第1主表面におけるランドが空気と接触する面積を増やすことができるため、対象部品の半田付け時において、対象部品にヒートクリップを着脱することなく、対象部品の温度上昇を容易に抑制することができる。したがって、電気部品を基板に実装する際に、電気部品に加えられる熱を低減するとともに、製造コストの増大を防ぐことができる。
【0022】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わるプリント基板は、対象部品を半田付けするための第1のランドと、上記対象部品と比べて耐熱性の高い非対象部品を半田付けするための1または複数の第2のランドとを備え、上記第1のランドの面積は、各上記第2のランドのうち、配線パターンに覆われない上記第2のランドの面積と比べて大きい。
【0023】
これにより、第1のランドが空気と接触する面積を増やすことができるため、対象部品の半田付け時において、対象部品にヒートクリップを着脱することなく、対象部品の温度上昇を容易に抑制することができる。したがって、電気部品を基板に実装する際に、電気部品に加えられる熱を低減するとともに、製造コストの増大を防ぐことができる。
【0024】
またこの発明のある局面に係わるプリント基板は、部品を実装するための第1主表面と、第2主表面とを有し、上記第1主表面において対象部品を半田付けするための第1のランドと、上記第2主表面において上記対象部品を半田付けするための第2のランドとを備え、上記第1のランドの面積が上記第2のランドの面積よりも大きい。
【0025】
このように、第2主表面における対象部品のランドと比べて第1主表面における対象部品のランドの面積を大きくすることにより、第1主表面におけるランドが空気と接触する面積を増やすことができるため、対象部品の半田付け時において、対象部品にヒートクリップを着脱することなく、対象部品の温度上昇を容易に抑制することができる。したがって、電気部品を基板に実装する際に、電気部品に加えられる熱を低減するとともに、製造コストの増大を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、電気部品を基板に実装する際に、電気部品に加えられる熱を低減するとともに、製造コストの増大を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る回路実装基板の構成を示す図である。
【図2】回路実装基板201の図1におけるII−II線に沿った断面の概略を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る回路実装基板を製造するための手順を定めたフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る回路実装基板の構成を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る回路実装基板を製造するための手順を定めたフローチャートである。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る回路実装基板の構成を示す図である。
【図7】回路実装基板203の図6におけるVII−VII線に沿った断面の概略を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る回路実装基板を製造するための手順を定めたフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る回路実装基板の変形例の構成を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る回路実装基板の変形例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0029】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る回路実装基板の構成を示す図である。
【0030】
図1を参照して、回路実装基板201は、プリント基板101と、対象部品11と、非対象部品12,71とを備える。プリント基板101は、ランド(第1のランド)21,22と、ランド(第2のランド)23,24と、配線パターン25,26,72〜75とを含む。各ランドおよび各配線パターンの材質は、たとえば銅である。
【0031】
プリント基板101は、主表面S1および主表面S2を有する。主表面S1は、いわゆる部品面であり、各種電気部品が実装される。主表面S2は、いわゆる半田面であり、たとえば量産時、半田バス内の融解された半田に浸されることにより、主表面S2全体の半田付けが一斉に行われる。
【0032】
対象部品11は、たとえばDIP(Dual Inline Package)部品であり、温度ヒューズ等の非耐熱部品である。温度ヒューズ11は、たとえば140℃で切れる。これに対して、半田バスの温度はたとえば260℃であり、半田ごての温度はたとえば350℃である。このため、温度ヒューズ11に放熱対策を施さずに半田付けすると、温度ヒューズ11が切れてしまう場合が多い。
【0033】
また、温度ヒューズ11は、プリント基板101からの熱の影響を受けないように、その本体部分がプリント基板101から距離を隔てた状態で実装される。
【0034】
非対象部品12,71は、たとえばDIP部品であり、抵抗およびコンデンサ等、半田バスの温度である260℃より高い耐熱性を有する電気部品である。
【0035】
ランド21〜24および配線パターン25,26,72〜75は、主表面S1に設けられている。ランド21,22は、温度ヒューズ11を半田付けするために設けられる。ランド23,24は、非対象部品12を半田付けするために設けられる。
【0036】
ランド21,22は、それぞれ配線パターン25,26を介して温度ヒューズ11以外の電気部品と接続されている。
【0037】
ランド23,24は、それぞれ配線パターン74,75を介して非対象部品12以外の電気部品と接続されている。
【0038】
対象部品71は、配線パターン72,73を介して他の電気部品と接続されている。配線パターン72,73は、電気容量を大きくするために幅が大きく形成されており、対象部品71を半田付けするための2つのランドは、配線パターン72,73にそれぞれ覆われている。
【0039】
ここで、ランド21,22の面積は、配線パターンに覆われないランド、すなわちランド23,24の面積と比べて大きい。
【0040】
また、ランド21,22は、これらの幅が少なくともランド23,24の幅よりも大きく、かつ他の導電部分との沿面距離が所定値以上となるように形成されている。
【0041】
すなわち、ランド21,22は、ランド23,24を含む他の導電部分とのたとえば電気的絶縁を確保するために必要な最小距離K以上、他の導電部分と間隔を隔てて設けられている。
【0042】
具体的には、ランド21は、隣接するランド23と最小距離Kだけ間隔を隔てて設けられている。また、ランド22は、隣接するランド24と最小距離Kだけ間隔を隔てて設けられている。また、隣接するランド21およびランド22は、最小距離Kだけ互いに間隔を隔てて設けられている。
【0043】
最小距離Kは、数十ボルト〜数百ボルトの電圧が印加される回路では、電気的絶縁を確保するために、たとえば数mm必要である。また、数ボルトの電圧が印加される回路では、製造・品質面から、最小距離Kをたとえば0.4mm〜0.5mmにすることができる。
【0044】
図2は、回路実装基板201の図1におけるII−II線に沿った断面の概略を示す図である。
【0045】
図2を参照して、プリント基板101は、さらに、ランド(第2のランド)27,29と、スルーホール28,30とを含む。
【0046】
ランド27,29は、主表面S2において温度ヒューズ11を半田付けするために設けられる。
【0047】
温度ヒューズ11のリード81は、プリント基板101の部品面すなわち主表面S1側からスルーホール28を介して半田面すなわち主表面S2側へ貫通した状態で半田付けされる。すなわち、部品面におけるランド21、半田面におけるランド27、およびスルーホール28に半田Hを流し込むことにより、リード81がプリント基板101に固着される。
【0048】
また、温度ヒューズ11のリード82は、プリント基板101の部品面すなわち主表面S1側からスルーホール30を介して半田面すなわち主表面S2側へ貫通した状態で半田付けされる。すなわち、部品面におけるランド22、半田面におけるランド29、およびスルーホール30に半田Hを流し込むことにより、リード82がプリント基板101に固着される。
【0049】
ここで、ランド21の面積は、ランド27の面積よりも大きい。また、ランド22の面積は、ランド29の面積よりも大きい。
【0050】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る回路実装基板を製造するための手順を定めたフローチャートである。
【0051】
図3を参照して、まず、プリント基板101を準備する(ステップS1)。このプリント基板101は、主表面S1において温度ヒューズ11を半田付けするためのランド21,22と、主表面S1において非対象部品12を半田付けするためのランド23,24と、配線パターン25,26,72〜75とを備える。ランド21,22の面積は、配線パターンに覆われないランドであるランド23,24の面積と比べて大きい。
【0052】
また、プリント基板101は、主表面S2において温度ヒューズ11を半田付けするためのランド27,29を備え、ランド21,22の面積がランド27,29の面積よりも大きい。
【0053】
また、プリント基板101において、ランド21,22は、ランド23,24を含む他の導電部分との最小距離K以上、他の導電部分と間隔を隔てて設けられている。
【0054】
次に、各部品すなわち温度ヒューズ11および非対象部品12,71を半田付けする。より詳細には、ランド21,22およびランド27,29を用いて、温度ヒューズ11をプリント基板101に半田付けする。また、ランド23,24を用いて、非対象部品12をプリント基板101に半田付けする。また、配線パターン72,73を用いて、非対象部品71をプリント基板101に半田付けする(ステップS2)。
【0055】
ところで、温度ヒューズをプリント基板に半田付けして実装する際には、温度ヒューズが熱によって切れないように、たとえば、温度ヒューズのリードにヒートクリップを装着し、温度ヒューズ本体に熱が伝わらないようにする必要がある。しかしながら、このような方法では、電気機器の完成品には搭載しないヒートクリップを、温度ヒューズのリードごとに使用する必要が生じてしまう。すなわち、ヒートクリップの装着、および半田付け工程後におけるヒートクリップの取り外しの作業が発生するため、製造コストが増大してしまう。
【0056】
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る回路実装基板の製造方法では、温度ヒューズ11を半田付けするためのランド21,22と、温度ヒューズ11と比べて耐熱性の高い非対象部品12を半田付けするためのランド23,24とを備え、ランド21,22の面積が、配線パターンに覆われないランドであるランド23,24の面積と比べて大きいプリント基板101を準備する。そして、ランド21,22を用いて温度ヒューズ11をプリント基板101に半田付けする。
【0057】
このように、本発明の第1の実施の形態に係る回路実装基板の製造方法では、プリント基板を放熱部品として使用する。
【0058】
すなわち、通常、回路形成のために用いられる銅箔を、放熱対策にも用いる。また、製品として完成した電気機器における放熱対策ではなく、製品として未完成の電気機器の電気部品取り付け時における放熱対策を行なう。
【0059】
ここで、ランドおよび配線パターンは、これらを流れる電流の量に従って、たとえば1mm/1A(アンペア)の割合に従って、これらの幅が決められる。また、ランドおよび配線パターンは、通常、最低0.4mmの幅が確保される。また、プリント基板のランド幅は、最大の電流容量に従って統一される場合が多い。
【0060】
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係るプリント基板では、プリント基板101の部品面において、対象部品11のリードを半田付けするための銅箔であるランド21,22の面積を、電流容量を確保するために必要な最小面積よりも大きくする。
【0061】
これにより、ランド21,22がレジストを介して空気と接触する面積を増やすことができるため、温度ヒューズ11の半田付け時において、温度ヒューズ11にヒートクリップを着脱することなく、温度ヒューズ11の温度上昇を容易に抑制することができる。
【0062】
したがって、本発明の第1の実施の形態に係る回路実装基板の製造方法では、電気部品を基板に実装する際に、電気部品に加えられる熱を低減するとともに、製造コストの増大を防ぐことができる。
【0063】
また、本発明の第1の実施の形態に係る回路実装基板の製造方法では、プリント基板101を準備する工程において、ランド21,22が、ランド23,24を含む他の導電部分との最小距離K以上、他の導電部分と間隔を隔てて設けられたプリント基板101を準備する。
【0064】
このように、たとえば他の導電部分との電気的絶縁に必要な最低限の沿面距離が得られるように、ランド21,22と他の隣接するランドおよびパターン等との隙間を設定する構成により、ランド21,22の面積の最大化を図ることができる。
【0065】
また、本発明の第1の実施の形態に係る回路実装基板の製造方法では、対象部品は温度ヒューズである。
【0066】
このように、特に耐熱性の低い温度ヒューズについて半田付け時における放熱対策を施すことにより、より顕著な効果が得られる。
【0067】
また、本発明の第1の実施の形態に係る回路実装基板の製造方法では、部品を実装するための主表面S1と、主表面S2とを有し、主表面S1において温度ヒューズ11を半田付けするためのランド21,22と、主表面S2において温度ヒューズ11を半田付けするためのランド27,29とを備え、ランド21,22の面積がランド27,29の面積よりも大きいプリント基板101を準備する。そして、ランド21,22およびランド27,29を用いて温度ヒューズ11をプリント基板101に半田付けする。
【0068】
このように、半田面における対象部品のランドと比べて部品面における対象部品のランドの面積を大きくすることにより、部品面におけるランドがレジストを介して空気と接触する面積を増やすことができるため、温度ヒューズ11の半田付け時において、温度ヒューズ11にヒートクリップを着脱することなく、温度ヒューズ11の温度上昇を容易に抑制することができる。
【0069】
したがって、電気部品を基板に実装する際に、電気部品に加えられる熱を低減するとともに、製造コストの増大を防ぐことができる。
【0070】
なお、本発明の第1の実施の形態に係る回路実装基板の製造方法では、対象部品は温度ヒューズであるとしたが、これに限定するものではない。対象部品は、半田よりも耐熱性が低い部品であればどんなものでもよい。
【0071】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0072】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る回路実装基板の製造方法と比べてさらなる放熱対策を採用する回路実装基板の製造方法に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る回路実装基板の製造方法と同様である。
【0073】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る回路実装基板の構成を示す図である。
【0074】
図4を参照して、回路実装基板202は、プリント基板102と、対象部品11と、非対象部品12,71とを備える。プリント基板102は、ランド(第1のランド)51,52と、ランド(第2のランド)23,24と、配線パターン25,26,72〜75とを含む。各ランドおよび各配線パターンの材質は、たとえば銅である。
【0075】
ランド51,52は、ランド23,24より面積が大きくなるように形成されていることに加えて、ランド51,52上に放熱用部材たとえばヒートシンク54,55の一部または全部を置くための部分を含むように形成されている。
【0076】
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る回路実装基板を製造するための手順を定めたフローチャートである。
【0077】
図5を参照して、まず、プリント基板102を準備する。プリント基板102は、ランド51,52が、ランド51,52上に放熱用部材たとえばヒートシンク54,55の一部または全部を置くための部分を含むように形成されている(ステップS11)。
【0078】
次に、ランド51,52上にヒートシンク54,55の一部または全部をそれぞれ置く(ステップS12)。なお、ヒートシンク54,55は、製品に搭載するものである必要はない。
【0079】
次に、各部品すなわち温度ヒューズ11および非対象部品12,71を半田付けする。より詳細には、ランド51,52およびランド27,29を用いて、温度ヒューズ11をプリント基板102に半田付けする。また、ランド23,24を用いて、非対象部品12をプリント基板102に半田付けする。また、配線パターン72,73を用いて、非対象部品71をプリント基板102に半田付けする(ステップS13)。
【0080】
本発明の第2の実施の形態に係る回路実装基板の製造方法では、ランド51,52が、ランド51,52上に放熱用部材たとえばヒートシンク54,55の一部または全部を置くための部分を含むように形成されたプリント基板102を準備する。そして、ランド21,22上に放熱用部材の一部または全部を置いた後、温度ヒューズ11を半田付けする。
【0081】
このように、ランド51,52上に局所的にヒートシンク54,55を置く構成により、ランド51,52の面積の最大化を図ってもなお放熱量が不足する場合、あるいは設計上の制約からランド51,52の面積を十分に大きくすることができず放熱量が不足する場合に、その不足分を補うことができる。
【0082】
ここで、ランド51,52の面積は、非対象部品用のランド23,24と比べて大きくしていることから、ヒートシンク54,55を置きやすい。また、後述するように銅板または銅テープを用いてランド51,52と他の部分とを熱結合する方法と比べて、さらに高い放熱性を実現することができる。
【0083】
また、ヒートクリップは温度ヒューズ11のリード1本ごとに用意する必要があるのに対して、ヒートシンクは、温度ヒューズ11のリード1本ごとに用意する必要はない。すなわち、通常、1つの電気部品は2本以上のリードを有し、また、1つのプリント基板上に温度ヒューズ等の非耐熱部品が隣接して複数配置される場合もある。たとえば、リード3本分のランドをまたぐように1つのヒートシンクを各ランド上に置くことも可能である。これにより、ヒートクリップを温度ヒューズ11に着脱する方法と比べて、使用部品の数を減らし、作業時間を大幅に削減することができる。
【0084】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る回路実装基板の製造方法と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0085】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0086】
<第3の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る回路実装基板の製造方法と比べてさらなる放熱対策を採用する回路実装基板の製造方法に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る回路実装基板の製造方法と同様である。
【0087】
図6は、本発明の第3の実施の形態に係る回路実装基板の構成を示す図である。
【0088】
図6を参照して、回路実装基板203は、プリント基板103と、対象部品11と、非対象部品12,71とを備える。プリント基板103は、ランド(第1のランド)61,62と、ランド(第2のランド)23,24と、配線パターン25,26,72〜75と、銅箔パターン63とを含む。各ランドおよび各配線パターンの材質は、たとえば銅である。
【0089】
銅箔パターン63は、たとえばグランド用のベタパターンであり、各ランドと比べて面積が大幅に大きく、熱容量が大きい。
【0090】
ランド61,62は、ランド23,24より面積が大きくなるように形成されていることに加えて、プリント基板103においてレジストよりも熱容量の大きい部分たとえば銅箔パターン63への方向に広がるように形成されている。
【0091】
図7は、回路実装基板203の図6におけるVII−VII線に沿った断面の概略を示す図である。
【0092】
図7を参照して、ランド62および銅箔パターン63間は、レジスト66経由では熱が伝わりにくい。そこで、回路実装基板203の製造方法では、熱伝導用部材たとえば銅テープまたは銅板65経由で熱を伝達させる。これにより、ランド62から銅箔パターン63への熱伝導性を高めることができる。
【0093】
図8は、本発明の第3の実施の形態に係る回路実装基板を製造するための手順を定めたフローチャートである。
【0094】
図8を参照して、まず、プリント基板103を準備する(ステップS21)。プリント基板103は、ランド61,62が、プリント基板103においてレジスト66よりも熱容量の大きい部分たとえば銅箔パターン63への方向に広がるように形成されている。
【0095】
次に、ランド61,62と熱容量の大きい部分とを熱伝導用部材を用いて熱結合する(ステップS22)。
【0096】
具体的には、ランド61と、ランド21の近辺にある熱容量の大きい銅箔パターン63とを、銅テープまたは銅板64を用いて熱結合する。また、ランド62と、ランド62の近辺にある熱容量の大きい銅箔パターン63とを、銅テープまたは銅板65とを用いて熱結合する。
【0097】
次に、各部品すなわち温度ヒューズ11および非対象部品12,71を半田付けする。より詳細には、ランド61,62およびランド27,29を用いて、温度ヒューズ11をプリント基板103に半田付けする。また、ランド23,24を用いて、非対象部品12をプリント基板103に半田付けする。また、配線パターン72,73を用いて、非対象部品71をプリント基板103に半田付けする(ステップS23)。
【0098】
なお、プリント基板103におけるレジスト66によってランド61,62と銅箔パターン63との電気的絶縁が確保できる場合には、温度ヒューズ11の半田付け後に銅テープまたは銅板64,65を外さなくてもよい。
【0099】
本発明の第3の実施の形態に係る回路実装基板の製造方法では、ランド61,62が、プリント基板103においてレジスト66よりも熱容量の大きい部分たとえば銅箔パターン63への方向に広がるように形成されたプリント基板103を準備する。そして、ランド61,62と熱容量の大きい部分とを熱伝導用部材たとえば銅テープまたは銅板64,65を用いてそれぞれ熱結合した後、温度ヒューズ11を半田付けする。
【0100】
このように、温度ヒューズと、温度ヒューズの近辺にある熱容量の大きい部分、たとえばグランド用のベタパターンとを、銅板または銅テープを用いて熱結合する。
【0101】
これにより、ランド61,62の面積の最大化を図ってもなお放熱量が不足する場合、あるいは設計上の制約からランド61,62の面積を十分に大きくすることができず放熱量が不足する場合に、その不足分を補うことができる。また、たとえばヒートシンクを置くスペースが無い場合でも、ランド61,62単体の放熱量の不足分を補うことができる。
【0102】
また、ヒートシンクを用いる本発明の第2の実施の形態に係る回路実装基板の製造方法と同様に、銅板または銅テープは、温度ヒューズ11のリード1本ごとに用意する必要はないため、ヒートクリップを温度ヒューズ11に着脱する方法と比べて、使用部品の数を減らし、作業時間を大幅に削減することができる。
【0103】
図9は、本発明の第3の実施の形態に係る回路実装基板の変形例の構成を示す図である。
【0104】
図9を参照して、回路実装基板204は、プリント基板104と、対象部品11と、非対象部品12,71とを備える。プリント基板103は、ランド(第1のランド)31,32と、ランド(第2のランド)23,24と、配線パターン25,26,72〜75と、ネジ穴ランド33〜36とを含む。各ランドおよび各配線パターンの材質は、たとえば銅である。
【0105】
ランド31,32は、ランド23,24より面積が大きくなるように形成されていることに加えて、それぞれプリント基板103においてレジストよりも熱容量の大きい部分たとえばネジ穴ランド35,36への方向に広がるように形成されている。
【0106】
回路実装基板204の製造方法では、対象部品11をプリント基板104に半田付けする前に、ランド31と、ランド31の近辺にある熱容量の大きいネジ穴ランド35とを、銅テープまたは銅板37を用いて熱結合する。また、ランド32と、ランド32の近辺にある熱容量の大きいネジ穴ランド36とを、銅テープまたは銅板38を用いて熱結合する。
【0107】
図10は、本発明の第3の実施の形態に係る回路実装基板の変形例の構成を示す図である。
【0108】
図10を参照して、回路実装基板205は、プリント基板105と、対象部品11と、非対象部品12,71とを備える。プリント基板105は、ランド(第1のランド)41,42と、ランド(第2のランド)23,24と、配線パターン25,26,72〜75と、捨て板43,44とを含む。各ランドおよび各配線パターンの材質は、たとえば銅である。
【0109】
ランド41,42は、ランド23,24より面積が大きくなるように形成されていることに加えて、プリント基板103においてレジストよりも熱容量の大きい部分たとえば捨て板44への方向に広がるように形成されている。
【0110】
回路実装基板205の製造方法では、対象部品11をプリント基板105に半田付けする前に、ランド41と、ランド41の近辺にある熱容量の大きい捨て板44とを、銅テープまたは銅板45を用いて熱結合する。また、ランド42と、ランド42の近辺にある熱容量の大きい捨て板44とを、銅テープまたは銅板46を用いて熱結合する。
【0111】
なお、本発明の第2の実施の形態および第3の実施の形態に係る回路実装基板の製造方法を組み合わせることも可能である。すなわち、対象部品を半田付けするためのランドの面積を大きく形成することに加えて、放熱用部材を当該ランド上に置き、かつ熱伝導用部材によって当該ランドと熱容量の大きい部分とを熱結合してから対象部品の半田付けを行なってもよい。これにより、放熱量をさらに増大させることができる。
【0112】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る回路実装基板の製造方法と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0113】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0114】
11 温度ヒューズ(対象部品)
12,71 非対象部品
21,22,31,32,41,42,51,52,61,62 ランド(第1のランド)
23,24 ランド(第2のランド)
25,26,72〜75 配線パターン
27,29 ランド(第2のランド)
28,30 スルーホール
33〜36 ネジ穴ランド
37,38,45,46,64,65 銅テープまたは銅板
43,44 捨て板
54,55 ヒートシンク
63 銅箔パターン
66 レジスト
72,73,74,75 配線パターン
81,82 リード
101〜105 プリント基板
201〜205 回路実装基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象部品を半田付けするための第1のランドと、前記対象部品と比べて耐熱性の高い非対象部品を半田付けするための1または複数の第2のランドとを備え、前記第1のランドの面積が、各前記第2のランドのうち、配線パターンに覆われない前記第2のランドの面積と比べて大きいプリント基板を準備するステップと、
前記第1のランドを用いて前記対象部品を前記プリント基板に半田付けするステップとを含む、回路実装基板の製造方法。
【請求項2】
前記プリント基板を準備するステップにおいては、前記第1のランドが、さらに、前記第1のランド上に放熱用部材の一部または全部を置くための部分を含むように形成されたプリント基板を準備し、
前記対象部品を半田付けするステップにおいては、前記第1のランド上に前記放熱用部材を置いた後、前記対象部品を半田付けする、請求項1に記載の回路実装基板の製造方法。
【請求項3】
前記プリント基板を準備するステップにおいては、前記第1のランドが、さらに、前記プリント基板においてレジストよりも熱容量の大きい部分への方向に広がるように形成されたプリント基板を準備し、
前記対象部品を半田付けするステップにおいては、前記第1のランドと前記熱容量の大きい部分とを熱伝導用部材を用いて熱結合した後、前記対象部品を半田付けする、請求項1または請求項2に記載の回路実装基板の製造方法。
【請求項4】
前記プリント基板を準備するステップにおいては、前記第1のランドが、さらに、前記各第2のランドを含む他の導電部分との最小距離以上、前記他の導電部分と間隔を隔てて設けられたプリント基板を準備する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回路実装基板の製造方法。
【請求項5】
前記対象部品は温度ヒューズである、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回路実装基板の製造方法。
【請求項6】
部品を実装するための第1主表面と、第2主表面とを有し、前記第1主表面において対象部品を半田付けするための第1のランドと、前記第2主表面において前記対象部品を半田付けするための第2のランドとを備え、前記第1のランドの面積が前記第2のランドの面積よりも大きいプリント基板を準備するステップと、
前記第1のランドおよび前記第2のランドを用いて前記対象部品を前記プリント基板に半田付けするステップとを含む、回路実装基板の製造方法。
【請求項7】
対象部品を半田付けするための第1のランドと、
前記対象部品と比べて耐熱性の高い非対象部品を半田付けするための1または複数の第2のランドとを備え、
前記第1のランドの面積は、各前記第2のランドのうち、配線パターンに覆われない前記第2のランドの面積と比べて大きい、プリント基板。
【請求項8】
部品を実装するための第1主表面と、第2主表面とを有し、前記第1主表面において対象部品を半田付けするための第1のランドと、
前記第2主表面において前記対象部品を半田付けするための第2のランドとを備え、
前記第1のランドの面積が前記第2のランドの面積よりも大きい、プリント基板。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−156350(P2012−156350A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14915(P2011−14915)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(502312498)住友電工ネットワークス株式会社 (212)
【Fターム(参考)】