説明

回転角度検出装置

【課題】製造コストを低減することができる回転角度検出装置を提供する。
【解決手段】ステアリングシャフト12と一体的に回転する主動歯車14には同一の軸を中心として回転する歯数の異なる第1及び第2の主動歯車部61,62を設けるようにした。一方、第1及び第2の従動歯車15,16の歯数をそれぞれ同じとし、それら第1及び第2の従動歯車15,16を第1及び第2の主動歯車部61,62にそれぞれ噛合させるようにした。このため例えば歯数の異なる二種類の従動歯車をそれぞれ同一の主動歯車に噛合させることで減速比を異ならせるようにした場合と異なり、単一種類の主動歯車14と単一種類の第1及び第2の従動歯車15,16を用意すればよいので、回転角度検出装置11の製造コストを低減することができる。また、第1及び第2の従動歯車15,16の主動歯車14に対する組み付け間違いもない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体の回転角度を検出する回転角度検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では、車両の高機能化に伴い、車両には車両安定性制御システム及び電子制御サスペンションシステム等の走行安定性を向上させるための種々のシステムが搭載されつつある。これらシステムは、ステアリングの操舵角を車両の姿勢情報の一つとして取得し、その姿勢情報に基づいて車両の姿勢が安定的な状態になるように制御する。そのため、ステアリングの操舵角を検出するための回転角度検出装置が例えば車両のステアリングコラム内に組み込まれている。この種の回転角度検出装置としては、操舵角を絶対値で検出する絶対角検出方式及び操舵角を相対値で検出する相対角検出方式がある。いずれの検出方式にするかは製品仕様等に応じて決定される。
【0003】
そうした2方式のうち絶対角検出方式の回転角度検出装置としては、例えば特許文献1に示されるような構成が知られている。この回転角度検出装置は、ステアリングシャフトと一体的に回転する主動歯車と、当該歯車に歯合する2つの従動歯車とを備えている。2つの従動歯車の歯数は異なっており、これにより主動歯車の回転に伴う両従動歯車の回転角度を異ならせるようにしている。そして、回転角度検出装置は、両従動歯車にそれぞれ対応して設けられたセンサにより両従動歯車の回転角度を検出し、それら検出した回転角度に基づいてステアリングシャフトの回転角度を求める。
【特許文献1】特表平11−500828号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両に対するコストダウンへの要求は依然として高く、そうした車両に搭載される各種の装置及び部品等についてもさらなるコストダウンが求められている。そうした現状にあって、前記従来の回転角度検出装置においては、歯数の異なる2種類の従動歯車を設ける必要があった。このため、従動歯車の設計及び加工についてもそれぞれ毎に行うこととなり、それは回転角度検出装置の製造コストの低減を阻害する一因となっていた。
【0005】
また、車両においてはコストダウンに加えて軽量化に対する要求も厳しく、それを受けて2つの従動歯車は合成樹脂材料により形成されることもある。その場合、例えば金型を使用した射出成形により2つの従動歯車を製造することが考えられる。しかし、2種類の従動歯車を製造するにはそれぞれに対応する2種類の金型を用意する必要があった。そのことも従動歯車、ひいては回転角度検出装置の製造コストの低減を図る上での障害となっていた。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、製造コストを低減することができる回転角度検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、被検出物と一体的に回転する主動歯車に二つの従動歯車を噛合させて前記主動歯車の回転に伴う前記両従動歯車の回転角度をそれぞれ検出し、それら検出した回転角度に基づいて前記被検出物の回転角度を求めるようにした回転角度検出装置であって、前記主動歯車は同一の軸を中心として回転する歯数の異なる二つの主動歯車部を備える一方、前記両従動歯車の歯数をそれぞれ同じとし、それら両従動歯車を前記主動歯車の両主動歯車部にそれぞれ噛合させるようにしたことをその要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転角度検出装置において、前記従動歯車は前記主動歯車に噛合する従動歯車部と当該従動歯車部と一体回転可能に設けられた軸部とを備え、前記従動歯車部と前記軸部とを一体形成するようにしたことをその要旨とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の回転角度検出装置において、前記両従動歯車はそれらの従動歯車部及び軸部を含めて同一形状としたことをその要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の回転角度検出装置において、前記従動歯車は合成樹脂材料により射出形成するようにしたことをその要旨とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載の回転角度検出装置において、前記従動歯車の従動歯車部は同じく軸部の一端側に片寄るように配置し、前記同一形状の二つの従動歯車をそれらの従動歯車部が互いに反対側に位置するように配置することによって両従動歯車部が前記主動歯車の二つの主動歯車部にそれぞれ噛合可能となるように前記従動歯車部の軸部に対する位置を設定するようにしたことをその要旨とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載の回転角度検出装置において、前記二つの従動歯車をそれらの軸方向へずらして配置することにより両従動歯車部を前記主動歯車の二つの主動歯車部にそれぞれ噛合させるようにしたことをその要旨とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請請求項5又は請求項6に記載の回転角度検出装置において、前記主動歯車と両従動歯車とをそれぞれ収容するハウジングを備え、前記両従動歯車の回転角度をそれぞれ検出するための手段は、前記両従動歯車において同一方向へ延びる軸部の端部に固定された磁石と、前記ハウジング内の同一基準面に前記両磁石にそれぞれ対向するように固定されて両従動歯車の回転に伴う当該両磁石からの磁束の方向の変化を検出する二つの磁気検出手段と、前記両磁気検出手段からの検出信号に基づいて両従動歯車の回転角度を求める演算手段と、を備えたことをその要旨とする。
【0013】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、主動歯車に歯数の異なる二つの歯車部を設けるようにしたことにより、同じ歯数の二つの従動歯車との減速比(歯数比)はそれぞれ異なった値になる。その結果、主動歯車の回転に伴う両従動歯車の回転角度もそれぞれ異なり、それら回転角度に基づいて被検出物の回転角度(絶対角)が求められる。即ち、主動歯車と両従動歯車との歯数比がそれぞれ異なるので、両従動歯車の回転角度差は一定の規則をもって変動する。これは、検出範囲内において両従動歯車の回転角度の差と被検出物の回転角度とが一対一で対応することを意味する。
【0014】
また、本発明では、前述したように主動歯車に歯数の異なる二つの主動歯車部を設け、それら歯車部に歯数を同じとする二つの従動歯車をそれぞれ噛合させるようにしている。このため例えば歯数の異なる二種類の従動歯車をそれぞれ同一の主動歯車に噛合させることで減速比を異ならせるようにした場合と異なり、一種類の主動歯車と一種類の従動歯車を用意すればよいので、回転角度検出装置の製造コストを低減することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加えて、従動歯車部と軸部とが一体形成されることにより部品点数が低減する。また、従動歯車部と軸部とを別途組み付ける必要がないので組立て作業工数も低減し、従動歯車の製造コスト、ひいては回転角度検出装置の製造コストを低減することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の作用に加えて、二つの従動歯車はそれらの従動歯車部及び軸部を含めて同一形状であるので、製造コストをいっそう低減させることができる。
【0017】
請求項4のように、従動歯車を合成樹脂材料により射出形成するようにした場合には、請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、従動歯車を製造するための金型も一種類のものを用意すればよい。このため、従動歯車を製造するための設備コスト、ひいては製造コストをいっそう低減することができる。
【0018】
そして、請求項5に記載の発明によれば、請求項3又は請求項4に記載の発明の作用に加えて、同一形状の二つの従動歯車を反転して使用することにより、両従動歯車をそれらの軸方向へずらすことなく主動歯車の二つの主動歯車部にそれぞれ従動歯車の従動歯車部を噛合させることができる。軸方向における小型化も図られる。
【0019】
また、請求項6のように、同一形状の二つの従動歯車を、それらの軸線方向へずらして配置することにより両従動歯車部を前記主動歯車の二つの主動歯車部にそれぞれ噛合させることもできる。この場合、両従動歯車の配置だけの問題であるので、従動歯車等の設計も容易になる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、請求項5又は請求項6に記載の発明の作用に加えて、両従動歯車と一体回転する磁石からの磁束の変化を、当該磁石に対向配置された磁気検出手段により(非接触で)検出し、その検出結果に基づいて被検出物の回転角度が求められる。特に、請求項5に記載の発明に、本発明を適用した場合には、両従動歯車をそれらの軸線方向へずらして配置する必要がないので、磁石と磁気検出手段との距離を一定にすることができる。ちなみに、磁石と磁気検出手段との距離が異なる場合には、より離間している方の磁気検出手段でも磁束変化が検出できるような磁束を発する磁石を選定する必要がある。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
<第1実施形態>
以下、本発明を、例えば車両におけるステアリングの操舵角を検出する回転角度検出装置に具体化した第1実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。
【0023】
<全体構成>
図1に示すように、回転角度検出装置11は図示しない車両のステアリングコラム内に配設されていると共に図示しないステアリングに一体回転可能に連結されたステアリングシャフト12に装着されている。回転角度検出装置11は、ステアリングシャフト12の周囲の図示しない構造体に固定された箱体状のハウジング13を備えている。このハウジング13内にはステアリングシャフト12に一体回転可能に外嵌された主動歯車14、並びに当該主動歯車14に噛合する第1及び第2の従動歯車15,16がそれぞれ回転可能に支持されている。従って、ステアリングシャフト12が回転すると、主動歯車14も一体的に回転し、それに伴って第1及び第2の従動歯車15,16もそれぞれ回転する。
【0024】
<ハウジング>
図2に併せ示すように、ハウジング13は下面が開口した有蓋箱体状のアッパーハウジング21及び上面が開口した有底箱体状のロアハウジング22を備えている。そして、アッパーハウジング21とロアハウジング22とを組み合わせることにより、円筒状の挿通部23と、その挿通部23の側方へ延出された四角筒状の収容部24とがそれぞれ形成されている。挿通部23にはステアリングシャフト12が挿通され、収容部24には第1及び第2の従動歯車15,16が収容される。
【0025】
<アッパーハウジング>
アッパーハウジング21の挿通部23に対応する頂壁には、ステアリングシャフト12を挿通可能とした挿通孔31が形成されている。また、アッパーハウジング21の挿通部23に対応する内頂面において、挿通孔31の周縁部には主動歯車14用の円環状の軸受け部32が形成されている。さらに、アッパーハウジング21の収容部24に対応する内頂面には第1及び第2の従動歯車15,16用の二つの円筒状の軸受け部33,33が形成されており、両軸受け部33,33は挿通孔31の周方向に所定間隔をおいて配置されている。
【0026】
<ロアハウジング>
ロアハウジング22の挿通部23に対応する底壁にはステアリングシャフト12を挿通可能とした挿通孔41が形成されている。また、ロアハウジング22の挿通部23に対応する内底面において、挿通孔41の周縁部には主動歯車14用の円環状の軸受け部42が形成されている。
【0027】
ロアハウジング22の収容部24に対応する内底面には基板51が固定されており、当該基板51上には第1及び第2の磁気検出素子52,53が実装されている。本実施形態において、第1及び第2の磁気検出素子52,53はそれぞれ四つの異方性磁気抵抗素子(いわゆるAMR素子)をブリッジ状に接続した回路である。この異方性磁気抵抗素子は、異方性磁気抵抗効果を有するNi−Co等の強磁性体からなり、その抵抗値は与えられる磁界(正確には、磁束の向き)に応じて変化する。そして、第1及び第2の磁気検出素子52,53はそれらに与えられる磁界の変化に応じて前記ブリッジ状の回路の中点電位を磁束の検出信号として出力する。
【0028】
基板51上には軸受け部材54が第1及び第2の磁気検出素子52,53を覆うように載置されており、当該軸受け部材54と基板51とはロアハウジング22の底壁に図示しないボルト等により共締め固定されている。軸受け部材54は合成樹脂材料により一体形成されており、矩形平板状の底壁54a及び当該底壁54aの上面に突設された円筒状の二つの支持部54b,54bを備えている。両支持部54b,54bは底壁54aの長手方向において所定間隔をおいて配置されている。底壁54aにおいて両支持部54b,54bに対応する部位にはそれぞれ第1及び第2の磁気検出素子52,53を挿通可能とした貫通孔55,55が形成されている。第1及び第2の磁気検出素子52,53(正確には、その感磁面)はそれぞれ貫通孔55,55を介して両支持部54b,54b内に露出している。
【0029】
<主動歯車>
主動歯車14は例えば熱可塑性を有する合成樹脂材料により一体成形されており、同一の軸を中心として回転する歯数の異なる第1及び第2の主動歯車部61,62を備えている。それら第1及び第2の主動歯車部61,62は主動歯車14の軸方向において上下にずれるように配置されており、第1の主動歯車部61が上位置、第2の主動歯車部62が下位置とされている。第1の主動歯車部61の歯数は第2の主動歯車部62の歯数よりも大きく設定されており、本実施形態では、第1の主動歯車部61の歯数は「93」、第2の主動歯車部62の歯数は「80」とされている。このように構成された主動歯車14はロアハウジング22の挿通孔41に上方から挿入されており、当該主動歯車14は軸受け部42に摺動回転可能に支持されている。
【0030】
<従動歯車>
図2及び図3に示すように、第1及び第2の従動歯車15,16はそれぞれ例えば熱可塑性を有する合成樹脂材料により一体に射出形成されており、前記主動歯車14(正確には、第1及び第2の主動歯車部61,62)に噛合する従動歯車部71及び当該従動歯車部71と一体回転可能に設けられた軸部72を備えている。第1及び第2の従動歯車15,16の従動歯車部71の歯数はそれぞれ同じとされており、本実施形態では、従動歯車部71の歯数は「29」に設定されている。即ち、第1及び第2の従動歯車はそれらの従動歯車部71及び軸部72を含めて同一形状とされている。従って、主動歯車14が1回転すると第1の従動歯車15は約3.2回転する一方、第2の従動歯車16は約2.8回転する。このように構成された第1及び第2の従動歯車15,16(正確には、それらの軸部72)は軸受け部材54の両支持部54b,54bにそれぞれ上方から挿入されており、第1及び第2の従動歯車15,16は両支持部54b,54bに摺動回転可能に支持されている。
【0031】
図4に併せ示すように、第1及び第2の従動歯車15,16において、それらの従動歯車部71は同じく軸部72の一端側に片寄るように配置されている。詳述すると、第1及び第2の従動歯車15,16を所定の基準面(支持部54bの内底面)にそれらの従動歯車部71が互いに反対側に位置するように配置した場合に両従動歯車部71が主動歯車14の第1及び第2の主動歯車部61,62にそれぞれ噛合可能となるように従動歯車部71の軸部72に対する配置が設定されている。換言すれば、第1及び第2の従動歯車15,16を前記所定の基準面にそれらの従動歯車部71が互い違いになるように配置したとき、両従動歯車部71の配置間隔dが主動歯車14の第1及び第2の主動歯車部61,62の配置間隔D(図2参照)とほぼ同じになるように、従動歯車部71の軸部72における位置が設定されている。また、主動歯車14並びに第1及び第2の従動歯車15,16との配置関係がそのようになるように軸受け部材54と主動歯車14との位置関係が設定されている。
【0032】
第1及び第2の従動歯車15,16の軸部72の両端部にはそれぞれ磁石収容部73が形成されており、第1及び第2の磁気検出素子52,53に対向する側の磁石収容部73には直方体状の磁石74が収容されている。磁石74は例えばネオジウム及びサマリウムからなる永久磁石である。磁石74は第1及び第2の従動歯車15,16の軸部72の端面から若干奥方に位置しており、第1及び第2の従動歯車15,16を軸受け部材54の両支持部54b,54bにそれぞれ収容したとき、当該磁石74と支持部54b内に露出した第1及び第2の磁気検出素子52,53の感磁面との間に若干の隙間が形成されるようになっている。また、第1及び第2の従動歯車15,16を軸受け部材54の両支持部54b,54bにそれぞれ収容したとき、両磁石74,74からの磁界(磁束)内に第1及び第2の磁気検出素子52,53が位置する程度の強さが両磁石74には持たせられている。
【0033】
<主動歯車及び従動歯車の取付け状態>
図5に併せ示すように、主動歯車14がロアハウジング22の軸受け部42に、また第1及び第2の従動歯車15,16がそれぞれ軸受け部材54の両支持部54b,54bに摺動回転可能に支持された状態で、アッパーハウジング21はロアハウジング22の上方から取り付けられている。ロアハウジング22にアッパーハウジング21を取り付けることにより、主動歯車14の上部はアッパーハウジング21側の軸受け部32に回転可能に支持され、また第1及び第2の従動歯車15,16の上部はそれぞれアッパーハウジング21側の軸受け部33,33に回転可能に支持されている。即ち、主動歯車14は両軸受け部32,42を介してハウジング13内に回転可能に支持され、また第1及び第2の従動歯車15,16は軸受け部材54の両支持部54b,54b及び両軸受け部33,33を介してハウジング13内に回転可能に支持されている。
【0034】
<電気的構成>
次に、回転角度検出装置11の電気的構成を説明する。図6に示すように、回転角度検出装置11は、前述した第1及び第2の磁気検出素子52,53に加えて、電源回路81及びマイクロコンピュータ82を備えている。電源回路81は図示しない車両のバッテリから入力される電圧を、第1及び第2の磁気検出素子52,53並びにマイクロコンピュータ82等の回転角度検出装置11の各部にそれぞれ応じた所定レベルの電圧に変換し、それら電圧を回転角度検出装置11の各部に供給する。第1及び第2の磁気検出素子52,53並びにマイクロコンピュータ82等はそれぞれ電源回路81から安定して供給される所定レベルの電圧を動作電源として動作する。
【0035】
<第1及び第2の磁気検出素子>
第1の磁気検出素子52は、第1の従動歯車15の回転に伴う磁石74からの磁束の方向の変化を検出し、第1の従動歯車15の回転角度φ1に応じて連続的に変化するアナログ信号、即ち正弦関数に準ずる正弦信号及び余弦関数に準ずる余弦信号をそれぞれ出力する。この第1の磁気検出素子52からのアナログ信号はマイクロコンピュータ82に送られる。第2の磁気検出素子53は、第2の従動歯車16の回転に伴う磁石74からの磁束の方向の変化を検出し、第2の従動歯車16の回転角度φ2に応じて連続的に変化するアナログ信号、即ち正弦関数に準ずる正弦信号及び余弦関数に準ずる余弦信号をそれぞれ出力する。この第2の磁気検出素子53からのアナログ信号はマイクロコンピュータ82に送られる。
【0036】
<マイクロコンピュータ>
マイクロコンピュータ82は、は図示しないCPU(中央演算装置)、同じくA/D変換器、同じくROM(読み出し専用メモリ)及び同じくRAM(書き込み読み出し専用メモリ)等から構成されている。ROMには、回転角度検出装置11の全体を統括的に制御するための各種の制御プログラム及びデータが予め格納されている。制御プログラムとしては例えば回転角度算出プログラムがある。このプログラムは前記A/D変換器によりデジタル変換された第1及び第2の磁気検出素子52,53からの正弦信号及び余弦信号に基づいてステアリングシャフト12の回転角度θ(正確には、主動歯車14の回転角度)を算出するためのプログラムである。RAMはROMの制御プログラムを展開してCPUが各種処理を実行するためのデータ記憶領域、即ち作業領域である。そして、マイクロコンピュータ82は前記ROMに格納された回転角度算出プログラムに従って、ステアリングシャフト12の回転角度θを求める。
【0037】
<実施形態の作用>
次に、前述のように構成した回転角度検出装置によりステアリングシャフトの回転角度を求める場合の作用を説明する。
【0038】
運転者によるステアリング操作に伴ってステアリングシャフト12が回転すると、当該ステアリングシャフト12に固定された主動歯車14も一体回転する。主動歯車14が回転すると、第1の主動歯車部61に噛合している第1の従動歯車15も回転する。そしてこの第1の従動歯車15の回転に伴って磁石74も回転し、その磁石74の磁束の方向の変化が当該磁石74に対向する第1の磁気検出素子52により検出される。そして、第1の磁気検出素子52は第1の従動歯車15の回転角度φ1に応じて連続的に変化するアナログ信号(正弦信号及び余弦信号)をマイクロコンピュータ82に出力する。
【0039】
また、主動歯車14の回転に伴って第2の主動歯車部62に噛合している第2の従動歯車16も一体回転する。そしてこの第2の従動歯車16の回転に伴って磁石74も回転し、その磁石74の磁束の方向の変化が当該磁石74に対向する第2の磁気検出素子53により検出される。そして、第2の磁気検出素子53は第2の従動歯車16の回転角度φ2に応じて連続的に変化するアナログ信号(正弦信号及び余弦信号)をマイクロコンピュータ82に出力する。
【0040】
ここで、第1及び第2の磁気検出素子52,53からそれぞれ出力されるアナログ信号のうち正弦信号は次式(ア) 、同じく余弦信号は次式(イ)で示される。両式(ア),(イ)においてY1は正弦値、Y2は余弦値、A1は正弦信号の振幅、A2は余弦信号の振幅である。また、両式(ア),(イ)においてφ1は第1の従動歯車15の回転角度であり、φ2は第2の従動歯車16の回転角度である。
【0041】
Y1=A1sin(φ1又はφ2)…(ア)
Y2=A2cos(φ1又はφ2)…(イ)
そして、まずマイクロコンピュータ82は第1及び第2の磁気検出素子52,53からそれぞれ出力されてきたアナログ信号(正弦信号及び余弦信号)をそれぞれ前記A/D変換器によりデジタル変換する。
【0042】
次にマイクロコンピュータ82は、デジタル変換された第1の磁気検出素子52からの正弦信号及び余弦信号に基づいて正接関数に準じた正接値を次式(ウ)に基づいて算出し、その算出した正接値の逆正接値を次式(エ)に基づいて求める。そしてマイクロコンピュータ82は得られた逆正接値を第1の磁気検出素子52からのアナログ信号の電気角(以下、「第1の電気角」という。)として前記RAMに一時的に格納する。ここで、第1の電気角は第1の従動歯車15(正確には、その磁石74)の回転角度φ1と等しい値となる(第1の電気角=φ1)。
【0043】
同様に、マイクロコンピュータ82は、デジタル変換された第2の磁気検出素子53からの正弦信号及び余弦信号に基づいて正接関数に準じた正接値を次式(ウ)に基づいて算出し、その算出した正接値の逆正接値を次式(エ)に基づいて求める。そしてマイクロコンピュータ82は得られた逆正接値を第2の磁気検出素子53からのアナログ信号の電気角(以下、「第2の電気角」という。)として前記RAMに一時的に格納する。ここで、第2の電気角は第2の従動歯車16(正確には、その磁石74)の回転角度φ2と等しい値となる(第2の電気角=φ2)。
【0044】
正接値=Y1/Y2=tan(φ1又はφ2)…(ウ)
逆正接値=arctan(Y1/Y2)=arctan(tanφ1又はφ2)=φ1又はφ2…(エ)
そして、マイクロコンピュータ82は前述のようにして求めた前記第1及び第2の電気角(即ち、第1及び第2の従動歯車15,16の回転角度φ1,φ2)に基づいてステアリングシャフト12の回転角度θを求める。
【0045】
ここで、ステアリングシャフトの回転角度θと第1及び第2の磁気検出素子52,53の電気角との関係について説明する。即ち、図7に示すように、主動歯車14の回転角度、即ちステアリングシャフト12の回転角度を横軸に、また、第1及び第2の電気角(=φ1,φ2)を縦軸にプロットする。第1の主動歯車部61と第1の従動歯車15との減速比(歯数比)は「93:29」に、また第2の主動歯車部62と第2の従動歯車16との減速比(歯数比)は「80:29」に設定されていることから、第1の電気角が6周期すると第2の電気角は約7周期する。そして、その間の主動歯車14の回転角度は±780°(1560°)となる。これはステアリング(正確にはステアリングシャフト12)の4回転強(左に2回転、右に2回転)に相当する。
【0046】
これを前提として、マイクロコンピュータ82は第1の電気角(=φ1)と第2の電気角(=φ2)との差(=│φ1−φ2│)を求める。そしてその差は同図に示されるように、主動歯車14の回転角度が「−780°」〜「780°」までの範囲内においては前記両電気角の差と主動歯車14の回転角度θとは比例関係にあることから、当該範囲内において前記両電気角の差(=│φ1−φ2│)は主動歯車14の回転角度θに対して固有の値となる。このため、第1の磁気検出素子52の電気角(=φ1)及び第2の磁気検出素子53の電気角(=φ2)が分かれば4回転強の範囲で主動歯車14、即ちステアリングシャフト12の回転角度θ(絶対角)の即時検出が可能となる。マイクロコンピュータ82は両電気角の差(=│φ1−φ2│)に基づいて主動歯車14、即ちステアリングシャフト12の回転角度θを求めて、その求めた回転角度θを車両安定性制御システム及び電子制御サスペンションシステム等の走行安定性を向上させるための種々のシステム(正確には、それらの制御装置)に送る。
【0047】
<実施形態の効果>
従って、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)ステアリングシャフト12と一体的に回転する主動歯車14には同一の軸を中心として回転する歯数の異なる第1及び第2の主動歯車部61,62を設けるようにした。一方、第1及び第2の従動歯車15,16の歯数をそれぞれ同じとし、それら第1及び第2の従動歯車15,16を主動歯車14の第1及び第2の主動歯車部61,62にそれぞれ噛合させるようにした。このため例えば歯数の異なる二種類の従動歯車をそれぞれ同一の主動歯車に噛合させることで減速比を異ならせるようにした場合と異なり、単一種類の主動歯車14と単一種類の第1及び第2の従動歯車15,16を用意すればよいので、回転角度検出装置11の製造コストを低減することができる。また、第1及び第2の従動歯車15,16の主動歯車14に対する組み付け間違いもない。
【0048】
ちなみに、主動歯車14に歯数の異なる第1及び第2の主動歯車部61,62を設けるようにしたことにより、同じ歯数の第1及び第2の従動歯車15,16との減速比(歯数比)はそれぞれ異なった値になる。その結果、主動歯車14の回転に伴う第1及び第2の従動歯車15,16の回転角度もそれぞれ異なり、それら回転角度に基づいてステアリングシャフト12の回転角度(絶対角)が求められる。即ち、主動歯車14と第1及び第2の従動歯車15,16との歯数比がそれぞれ異なるので、第1及び第2の従動歯車15,16の回転角度差は一定の規則をもって変動する。これは、所定の検出範囲(本実施形態では、「−780°」〜「780°」)内において第1及び第2の従動歯車15,16の回転角度の差と主動歯車14(ひいてはステアリングシャフト12)の回転角度とが一対一で対応することを意味する。従って、第1及び第2の従動歯車15,16の回転角度が分かれば4回転強の範囲で主動歯車14、即ちステアリングシャフト12の回転角度θを絶対値で即時に検出することができる。
【0049】
(2)第1及び第2の従動歯車15,16は主動歯車14に噛合する従動歯車部71と当該従動歯車部71と一体回転可能に設けられた軸部72とを備えた。そして、従動歯車部71と軸部72とを一体形成するようにした。このため、回転角度検出装置11の部品点数が低減する。また、第1及び第2の従動歯車15,16において、従動歯車部71と軸部72とを別途組み付ける必要がないので回転角度検出装置11の組立て作業工数も低減する。さらに、第1及び第2の従動歯車15,16の製造コスト、ひいては回転角度検出装置11の製造コストを低減することができる。
【0050】
(3)第1及び第2の従動歯車はそれらの従動歯車部71及び軸部72を含めて同一形状とした。このため、第1及び第2の従動歯車15,16の製造コストをいっそう低減させることができる。
【0051】
(4)第1及び第2の従動歯車15,16は合成樹脂材料により射出形成するようにした。このため、第1及び第2の従動歯車15,16を製造するための金型も単一種類のものを用意すればよい。このため、第1及び第2の従動歯車15,16を製造するための設備コスト、ひいては製造コストをいっそう低減することができる。
【0052】
(5)第1及び第2の従動歯車15,16の従動歯車部71は同じく軸部72の一端側に片寄るように配置するようにした。そして、前記同一形状の第1及び第2の従動歯車15,16をそれらの従動歯車部71が互いに反対側に位置するように配置することによって両従動歯車部71が主動歯車14の第1及び第2の主動歯車部61,62にそれぞれ噛合可能となるように従動歯車部71の軸部72に対する位置を設定するようにした。このため、同一形状の第1及び第2の従動歯車15,16を反転して使用することにより、第1及び第2の従動歯車15,16をそれらの軸方向へずらすことなく主動歯車14の第1及び第2の主動歯車部61,62にそれぞれ噛合させることができる。従って、回転角度検出装置11の主動歯車14の軸方向における小型化も図られる。
【0053】
(6)主動歯車14並びに第1及び第2の従動歯車15,16をそれぞれ収容するハウジングを備えた。そして、第1及び第2の従動歯車15,16において同一方向へ延びる軸部72の端部にはそれぞれ磁石74を固定するようにした。また、ハウジング13内の同一基準面(即ち、ロアハウジング22の内底面)には、第1及び第2の従動歯車15,16の回転に伴う両磁石74からの磁束の方向の変化を非接触で検出する第1及び第2の磁気検出素子52,53を両磁石74にそれぞれ対向するように固定した。そして、両磁石74からの磁束の方向の変化に基づく第1及び第2の磁気検出素子52,53からの検出信号に基づいて第1及び第2の従動歯車15,16の回転角度を求め、それら第1及び第2の従動歯車15,16の回転角度に基づいて主動歯車14(ステアリングシャフト12)の回転角度を求めるようにした。
【0054】
前述したように、第1及び第2の従動歯車15,16をそれらの軸方向へずらすことなく、それらを主動歯車14の第1及び第2の主動歯車部61,62に噛合可能であることから、両磁石74と第1及び第2の磁気検出素子52,53との距離をそれぞれ一定にすることができる。ちなみに、両磁石74と第1及び第2の磁気検出素子52,53との距離が異なる場合には、より離間している方の磁気検出素子でも磁束変化が検出できるような磁束を発する磁石を少なくとも一つだけ選定する必要がある。即ち、離間している方の磁気検出素子に合わせて同じ強さの磁石を第1及び第2の従動歯車15,16にそれぞれ取り付けるか、前記磁気検出素子との離間距離に応じて強さの異なる磁石を第1及び第2の従動歯車15,16にそれぞれ取り付けるかする。後者の場合には、異なる強さの磁石を取り付けるため、取付け間違いのおそれがある。本実施形態によれば、同じ強さの磁石が使用できるので、両磁石74は第1及び第2の従動歯車15,16のいずれに取り付けてもよく、取付け間違いもない。
【0055】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は第1及び第2の従動歯車の構成及び主動歯車に対する組み付け方法の点で前記第1実施形態と主に異なる。従って、前記第1実施形態と同一の部材構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0056】
図8に示すように、第1及び第2の従動歯車91,92は、それぞれ軸部93と当該軸部93の端部に一体形成された従動歯車部94とを備えている。第1及び第2の従動歯車91,92の従動歯車部94の歯数はそれぞれ同じとされており、本実施形態では従動歯車部94の歯数は「29」に設定されている。また、第1及び第2の従動歯車91,92において、一端部に従動歯車部94が設けられた軸部93の他端部には磁石収容部73が形成されており、当該磁石収容部73には磁石74が収容固定されている。このように、第1及び第2の従動歯車91,92はそれらの軸部93及び従動歯車部94を含めて同一形状とされている。
【0057】
そして、同一形状の第1及び第2の従動歯車91,92をそれらの軸方向へ上下にずらして配置することにより、第1及び第2の従動歯車91,92の従動歯車部94,94は主動歯車14の第1及び第2の主動歯車部61,62にそれぞれ噛合している。この場合、両磁石74,74については、それらに対向配置された第1及び第2の磁気検出素子52,53に対して十分な磁束密度(即ち、第1及び第2の磁気検出素子52,53で必要とされる飽和磁束密度)が得られる程度の強さのものが採用されている。このため、第1及び第2の従動歯車15,16をそれらの軸方向に上下にずらしたことにより両磁石74,74と第1及び第2の磁気検出素子52,53との離間距離はそれぞれ異なるものの、両磁石74,74の磁束変化の検出にはなんら問題はない。尚、図8では、説明の便宜上、第1及び第2の従動歯車91,92の軸受け構造についてはその図示を省略する。
【0058】
従って、本実施形態のようにしても、同一形状の第1及び第2の従動歯車15,16をそれらの軸線方向へずらして配置することにより、それら第1及び第2の従動歯車91,92の従動歯車部94,94を主動歯車14の第1及び第2の主動歯車部61,62にそれぞれ噛合させることができる。
【0059】
<別の実施形態>
なお、本実施形態は、次のように変更して実施してもよい。
・第1実施形態における第1及び第2の従動歯車15,16並びに第2実施形態における第1及び第2の従動歯車91,92をそれぞれ合成樹脂により射出成形するようにしたが、例えば金属材料により形成するようにしてもよい。
【0060】
・第1及び第2実施形態においては、第1及び第2の磁気検出素子52,53として異方性磁気抵抗素子を使用したが、巨大磁気抵抗効果現象(Giant Magneto Resistance Effect)を有するGMR素子等を使用するようにしてもよい。
【0061】
・第1実施形態における主動歯車14の第1及び第2の主動歯車部61,62と第1及び第2の従動歯車15,16との減速比、並びに第2実施形態における主動歯車14の第1及び第2の主動歯車部61,62と第1及び第2の従動歯車91,92との減速比は、適宜変更するようにしてもよい。例えば、前記減速比は、主動歯車14の外径寸法及び必要とする主動歯車14の検出角度範囲等により適宜変更する。
【0062】
・第1実施形態における第1及び第2の従動歯車15,16において、それらの従動歯車部71と軸部72とを別部材とし、一体回転可能に組み付けるようにしてもよい。また、第2実施形態における第1及び第2の従動歯車91,92において、それらの従動歯車部94と軸部93とを別部材とし、一体回転可能に組み付けるようにしてもよい。このようにしても、第1実施形態における第1及び第2の従動歯車15,16の従動歯車部71,71、並びに第2実施形態における第1及び第2の従動歯車91,92の従動歯車部94,94はそれぞれ同一形状とすることができる。それら両従動歯車部71,71及び従動歯車部94,94の形成用の金型も同一のものが使用可能となる。
【0063】
・第1及び第2実施形態において、第1及び第2の従動歯車15,16の少なくとも一方、並びに第1及び第2の従動歯車91,92の少なくとも一方にそれらを識別するための識別表示を設けるようにしてもよい。この識別表示としては、第1及び第2の従動歯車15,16、並びに第1及び第2の従動歯車91,92を例えば色彩の異なる二種類の合成樹脂材料を使用した二色成形等により形成することが考えられる。このようにすれば、第1及び第2の従動歯車15,16並びに第1及び第2の従動歯車91,92を視覚的に識別することができる。また、第1及び第2の従動歯車15,16並びに第1及び第2の従動歯車91,92を射出成形により形成する際の金型は単一種類のものを用意すれば足りる。さらに、前記識別表示としては、第1及び第2の従動歯車15,16の少なくとも一方、並びに第1及び第2の従動歯車91,92の少なくとも一方に、数字、文字及び記号等を印刷又は刻印することも考えられる。このようにしても、第1及び第2の従動歯車15,16並びに第1及び第2の従動歯車91,92をそれぞれ視覚的に識別可能となる。
【0064】
・第1及び第2実施形態においては、回転角度検出装置11によりステアリングシャフト12の回転角度を求めるようにしたが、例えばシフトバイワイヤにおけるシフトレバーの位置検出(回転角度)、及びスロットバイワイヤにおけるスロットル開度(スロットル軸の回転角度)の検出にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】第1実施形態における回転角度検出装置の平断面図。
【図2】図1におけるA−A線断面図。
【図3】図1におけるB−B線断面図。
【図4】第1実施形態における主動歯車側から見たときの第1及び第2の従動歯車の配置を示す正面図。
【図5】第1実施形態における回転角度検出装置の分解斜視図。
【図6】同じく回転角度検出装置の電気的構成を示すブロック図。
【図7】同じく第1及び第2の磁気検出素子の電気角と主動歯車の回転角度との関係を示す波形図。
【図8】第2実施形態における主動歯車と二つの従動歯車との噛み合い状態を示す回転角度検出装置の要部正面図。
【符号の説明】
【0066】
11…回転角度検出装置、12…ステアリングシャフト(被検出物)、
13…ハウジング、14…主動歯車、15,15,91,92…従動歯車、
52…磁気検出手段を構成する第1の磁気検出素子、
53…磁気検出手段を構成する第2の磁気検出素子、61…第1の主動歯車部、
62…第2の主動歯車部、71,94…従動歯車部、72,93…従動歯車の軸部、
74…磁石、82…演算手段を構成するマイクロコンピュータ、
θ…ステアリングシャフト(主動歯車)の回転角度、φ1…第1の従動歯車の回転角度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出物と一体的に回転する主動歯車に二つの従動歯車を噛合させて前記主動歯車の回転に伴う前記両従動歯車の回転角度をそれぞれ検出し、それら検出した回転角度に基づいて前記被検出物の回転角度を求めるようにした回転角度検出装置であって、
前記主動歯車は同一の軸を中心として回転する歯数の異なる二つの主動歯車部を備える一方、前記両従動歯車の歯数をそれぞれ同じとし、それら両従動歯車を前記主動歯車の両主動歯車部にそれぞれ噛合させるようにした回転角度検出装置。
【請求項2】
前記従動歯車は前記主動歯車に噛合する従動歯車部と当該従動歯車部と一体回転可能に設けられた軸部とを備え、
前記従動歯車部と前記軸部とを一体形成するようにした請求項1に記載の回転角度検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の回転角度検出装置において、
前記両従動歯車はそれらの従動歯車部及び軸部を含めて同一形状とした回転角度検出装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の回転角度検出装置において、
前記従動歯車は合成樹脂材料により射出形成するようにした回転角度検出装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の回転角度検出装置において、
前記従動歯車の従動歯車部は同じく軸部の一端側に片寄るように配置し、
前記同一形状の二つの従動歯車をそれらの従動歯車部が互いに反対側に位置するように配置することによって両従動歯車部が前記主動歯車の二つの主動歯車部にそれぞれ噛合可能となるように前記従動歯車部の軸部に対する位置を設定するようにした回転角度検出装置。
【請求項6】
請求項3又は請求項4に記載の回転角度検出装置において、
前記二つの従動歯車をそれらの軸方向へずらして配置することにより両従動歯車部を前記主動歯車の二つの主動歯車部にそれぞれ噛合させるようにした回転角度検出装置。
【請求項7】
前記主動歯車と両従動歯車とをそれぞれ収容するハウジングを備え、
前記両従動歯車の回転角度をそれぞれ検出するための手段は、
前記両従動歯車において同一方向へ延びる軸部の端部に固定された磁石と、
前記ハウジング内の同一基準面に前記両磁石にそれぞれ対向するように固定されて両従動歯車の回転に伴う当該両磁石からの磁束の方向の変化を検出する二つの磁気検出手段と、
前記両磁気検出手段からの検出信号に基づいて両従動歯車の回転角度を求める演算手段と、を備えた請請求項5又は請求項6に記載の回転角度検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−234573(P2006−234573A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−49540(P2005−49540)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】