固形燃料の製造方法及び製造プラント
【課題】有機廃棄物の乾燥及び炭化を、脱臭しながら比較的短時間かつ少ない工程で行うことができ、しかも、化石燃料の使用量を削減できる炭化方法と、有機廃棄物を用いて固形燃料を製造する製造方法及び製造プラントを提供すること。
【解決手段】
固形燃料の製造プラント1は、混合廃棄物を処理する混合廃棄物処理ライン2と、有機廃棄物を処理する有機廃棄物処理ライン3と、木質廃棄物処理ライン4と、固形燃料を製造する固形燃料製造ライン5と、有機廃棄物処理ライン3に蒸気を供給する蒸気ボイラ6を備える。混合廃棄物処理ライン2で一般廃棄物から可燃物を抽出し、有機廃棄物処理ライン3で有機廃棄物を乾燥及び炭化して有機炭化物を形成し、固形燃料製造ライン5で可燃物と有機炭化物を混合及び成形して固形燃料を製造する。
【解決手段】
固形燃料の製造プラント1は、混合廃棄物を処理する混合廃棄物処理ライン2と、有機廃棄物を処理する有機廃棄物処理ライン3と、木質廃棄物処理ライン4と、固形燃料を製造する固形燃料製造ライン5と、有機廃棄物処理ライン3に蒸気を供給する蒸気ボイラ6を備える。混合廃棄物処理ライン2で一般廃棄物から可燃物を抽出し、有機廃棄物処理ライン3で有機廃棄物を乾燥及び炭化して有機炭化物を形成し、固形燃料製造ライン5で可燃物と有機炭化物を混合及び成形して固形燃料を製造する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば余剰汚泥等の有機廃棄物を用いた固形燃料の製造方法及び製造プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
下水汚泥は、含有する水分量が99wt%(質量百分率)を越えると共に臭気が強く、その多くは、活性汚泥法による曝気工程と沈殿工程を経て余剰汚泥とされた後、産業廃棄物として、埋立てや焼却等の最終処分が行われている。
【0003】
最近、地球環境への配慮が高まりつつあることに伴い、余剰汚泥の埋め立てによる土壌汚染や、余剰汚泥の焼却による大気中への二酸化炭素の排出が問題となっている。これらの問題に関連し、余剰汚泥を材料に用いて固形燃料を製造することにより、余剰汚泥の埋め立て量の削減や、化石燃料との置き換えによる二酸化炭素の排出量の削減が期待されている。
【0004】
従来、下水汚泥を用いて固形燃料を製造する方法として、下水汚泥に乾燥処理を行って0〜50wt%の含水量とした後、250〜500℃の温度で炭化処理を行って汚泥炭化物を形成し、この汚泥炭化物に廃油等を混合して造粒する技術が提案されている(特許文献1参照)。上記乾燥処理では、下水汚泥をフィルタープレスなどの脱水機で処理して脱水汚泥とした後に、天日又は乾燥機等で乾燥させて、含水量を0〜50wt%に調整している。また、上記炭化処理では、スクリュー炭化炉やロータリーキルン炭化炉などが使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−152097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の固形燃料を製造する方法は、乾燥処理において、下水汚泥をフィルタープレスで脱水した後、天日又は乾燥機で乾燥させるので、脱水により分離した水に含まれる臭気や、天日で乾燥させる際に拡散する臭気により、周辺環境に悪影響を及ぼすおそれがある。また、乾燥処理に、脱水機のほか、天日乾燥装置や乾燥機を用いるので手間と時間がかかり、特に、天日乾燥を行う場合に時間がかかる問題がある。また、乾燥処理に乾燥機を用いる場合、一般的に、乾燥用の熱を生成するために化石燃料を用いるので、燃料費が嵩み、また、二酸化炭素の排出量が多い問題がある。さらに、炭化処理においても、炭化炉の燃料に化石燃料を用いると、燃料費が嵩み、また、二酸化炭素の排出量が多い問題がある。この場合、廃棄物の利用による二酸化炭素排出量の削減効果が、減殺される問題がある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、有機廃棄物の乾燥及び炭化を、脱臭しながら比較的短時間かつ少ない工程で行うことができ、しかも、化石燃料の使用量を削減できて、効果的に燃料費の削減と二酸化炭素排出量の削減ができる固形燃料の製造方法と製造プラントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の固形燃料の製造方法は、有機廃棄物を、微生物を添加して減圧環境で加熱して乾燥有機物を形成する減圧乾燥工程と、
上記減圧乾燥工程で有機廃棄物から蒸発した水分を凝縮する凝縮工程と、
上記凝縮工程で水分を冷却すると共に微生物が添加された冷却水に、上記凝縮工程で生じた凝縮水と、上記減圧乾燥工程で生じた臭気を含む気体とを混合し、この冷却水を冷却する混合冷却工程と、
上記乾燥有機物を低酸素環境下で加熱して、有機炭化物を形成すると共に可燃性ガスを生成する炭化工程と、
上記炭化工程で乾燥有機物から生成された可燃性ガスを、上記減圧乾燥工程又は炭化工程における加熱用の燃料として燃焼させる燃焼工程と、
上記有機炭化物を、バインダと混合し、成形する混合成形工程と
を備えることを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、減圧乾燥工程で、有機廃棄物を、微生物を添加して減圧環境で加熱して乾燥有機物を形成する。有機廃棄物に微生物を添加して減圧環境で加熱するので、有機廃棄物が、例えば余剰汚泥等のように水分量が90wt%を越えるものであっても、微生物の分解作用で臭気を抑えると共に、沸点を降下させて比較的低い加熱温度で乾燥させることができる。このように、減圧による沸点の降下により、乾燥のための加熱温度を比較的低くできるので、加熱のために使用する燃料を比較的少なくできると共に、有機廃棄物に添加される微生物の死滅を防止でき、臭気の削減効果を安定して奏することができる。ここで、有機廃棄物とは、各種産業の生産工程や排水処理、或いは、都市基盤から排出されて有機物を含む廃棄物を広くいい、例えば活性汚泥法による汚泥処理に伴って生じた余剰汚泥や、湖沼や海の底に堆積したヘドロや、農水産業で排出される廃棄物や、食品工場から排出される食品残渣や、一般家庭から排出される生ごみ等が該当する。
【0010】
ここで、上記減圧乾燥工程で、有機廃棄物の加熱温度を比較的低くすることにより、上記有機廃棄物からの可燃性ガスの生成量を抑えることができる。この減圧乾燥工程での可燃性ガスの生成量を抑えることにより、減圧乾燥工程の後の炭化工程で、可燃性ガスを多く採取することができる。したがって、有機廃棄物から効率的に可燃性ガスを生成して採取することができ、この可燃性ガスを減圧乾燥工程又は炭化工程の加熱用の燃料として燃焼させる燃焼工程において、有機廃棄物から生成された可燃性ガスを多く用いることができる。すなわち、上記減圧乾燥工程及び炭化工程の加熱に必要な燃料に対して、炭化工程で生成された可燃性ガスを用いる割合を高めることができる。その結果、上記加熱のために新たに使用する化石燃料を削減することができる。その結果、燃料費を削減でき、また、化石燃料の使用に伴う温室効果ガスや大気汚染物質の排出量を削減することができる。また、有機廃棄物から生成された可燃性ガスを燃焼させるので、有機廃棄物の臭気を効果的に低減することができる。
【0011】
また、凝縮工程により、上記減圧乾燥工程で有機廃棄物から蒸発した水分を凝縮する。この凝縮工程で用いられる冷却水であって微生物が添加された冷却水に、混合冷却工程により、上記凝縮工程で生じた凝縮水と、上記減圧乾燥工程で生じた臭気を含む気体とを混合し、この冷却水を冷却する。これにより、冷却水を冷却すると共に、凝縮水や気体に含まれる臭気を、冷却水の微生物で分解して脱臭することができる。したがって、減圧乾燥工程における有機廃棄物の乾燥を促進すると共に、有機廃棄物の乾燥に伴って生じる臭気の拡散を効果的に防止できる。
【0012】
このように、本発明の固形燃料の製造方法によれば、例えば余剰汚泥のように水分量が多くかつ臭気の強い有機廃棄物を、効率よく迅速に、しかも、比較的低廉な燃料消費により、温室効果ガスや大気汚染物質の排出量を削減しながら、さらに、臭気の拡散を防止しながら乾燥及び炭化させて、臭気の少ない固形燃料を製造することができる。
【0013】
上記炭化工程において、低酸素環境とは、乾燥有機物が置かれる雰囲気中の酸素濃度が、容積割合で5%以上12%以下であることをいう。また、上記炭化工程において、乾燥有機物の加熱温度は、350℃以上500℃以下であるのが好ましく、乾燥有機物の加熱時間は、5分以上10分以下であるのが好ましい。これらの酸素濃度と加熱温度と加熱時間の条件により、乾燥有機物を炭化させると共に、乾燥有機物から、例えば水素、一酸化炭素及びメタン等を含む可燃性ガスを生成することができる。
【0014】
一実施形態の固形燃料の製造方法は、上記炭化工程における加熱の余剰の熱を、上記減圧乾燥工程における加熱に利用する。
【0015】
上記実施形態によれば、炭化工程で乾燥有機物から生成された可燃性ガスを、炭化工程の加熱用の燃料として燃焼工程で燃焼させ、この炭化工程における加熱の余剰の熱を、減圧乾燥工程の加熱に利用することにより、炭化工程よりも多くの熱量が必要である減圧乾燥工程に、安定して熱を供給することができる。また、固形燃料の製造方法の全体として、熱の無駄な消費を削減できる。
【0016】
一実施形態の固形燃料の製造方法は、上記減圧乾燥工程で生じた気体を、この減圧乾燥工程における有機廃棄物の加熱用の燃焼空気として供給する燃焼空気供給工程を備える。
【0017】
上記実施形態によれば、減圧乾燥工程で生じた気体を、この減圧乾燥工程において有機廃棄物を加熱するための燃焼空気として、例えばバーナ等の熱源装置に供給することにより、気体の臭気成分を燃料と共に燃焼させて、減圧乾燥工程で生じる臭気を除去することができる。
【0018】
一実施形態の固形燃料の製造方法は、上記炭化工程の前に、上記減圧乾燥工程で形成された乾燥有機物を粒状化する粒状化工程を備え、
上記炭化工程で、粒状化された上記乾燥有機物を加熱する。
【0019】
上記実施形態によれば、粒状化工程により、減圧乾燥工程で形成された乾燥有機物を粒状化するので、乾燥有機物が固形化されて、粉末状の乾燥有機物が少なくなる。したがって、粒状化された乾燥有機物を加熱する炭化工程において、粉末状の乾燥有機物や有機炭化物が排気と共に排出される量が少なくなる。その結果、乾燥有機物から有機炭化物を形成する間に生じる損失を削減でき、有機炭化物の収率を高めることができる。また、炭化工程において排気と共に排出される粉末を少なくできるので、排気から粉末を収集する集塵装置を小型にでき、また、集塵装置の保守等の手間を少なくできる。その結果、炭化工程における集塵に関する費用や手間を少なくできる。
【0020】
なお、乾燥有機物の粒状化とは、減圧乾燥工程で形成された乾燥有機物を、2mm以上8mm以下の固形の粒に形成することをいう。粒状化は、いわゆるペレットミル等の造粒機によって行うことができる。
【0021】
本発明の固形燃料の製造プラントは、微生物が添加された有機廃棄物を、減圧環境で加熱して乾燥有機物を形成する減圧乾燥装置と、
上記乾燥有機物を低酸素環境下で加熱して、有機炭化物を形成すると共に可燃性ガスを生成する炭化装置と、
上記有機炭化物を、バインダと混合して成形し、固形燃料を形成する成形装置とを備え、
上記減圧乾燥装置は、有機廃棄物が投入されて内部を減圧するケーシングと、ケーシング内に回転可能に配置されて有機廃棄物を攪拌する攪拌部と、ケーシングの少なくとも一部に設けられて有機廃棄物を加熱する加熱部と、上記有機廃棄物からの蒸気を凝縮する凝縮部と、この凝縮部に供給されて微生物が添加された冷却水と、上記凝縮部で生じた凝縮水と、上記有機廃棄物の乾燥によって生じた臭気を含む気体とをケーシングから吸引する吸引ポンプと、上記冷却水に上記吸引ポンプで吸引された凝縮水と気体とを混合すると共にこの冷却水を冷却する混合冷却器とを有し、
上記減圧乾燥装置及び炭化装置のうちの少なくとも一方の加熱用に、上記炭化装置で乾燥有機物から生成された可燃性ガスを燃料として用いることを特徴としている。
【0022】
上記構成によれば、減圧乾燥装置により、微生物が添加された有機廃棄物が、減圧環境で加熱されて乾燥有機物が形成される。すなわち、内部が減圧されたケーシング内に有機廃棄物が投入され、この有機廃棄物が加熱部で加熱されると共に、攪拌部で攪拌される。有機廃棄物に微生物が添加されて減圧環境で加熱されるので、有機廃棄物が、例えば余剰汚泥等のように水分量が98wt%を越えるものであっても、微生物の分解作用で臭気が抑えられると共に、沸点が降下して比較的低い加熱温度で乾燥する。このように、減圧による沸点の降下により、加熱部による加熱温度を比較的低くできるので、加熱部の熱源装置に使用する燃料を比較的少なくできると共に、有機廃棄物に添加される微生物の死滅を防止でき、臭気の削減効果を安定して奏することができる。ここで、有機廃棄物とは、各種産業の生産工程や排水処理、或いは、都市基盤から排出されて有機物を含む廃棄物を広くいい、例えば活性汚泥法による汚泥処理に伴って生じた余剰汚泥や、湖沼や海の底に堆積したヘドロや、農水産業で排出される廃棄物や、食品工場から排出される食品残渣や、一般家庭から排出される生ごみ等が該当する。
【0023】
上記減圧乾燥装置は、加熱部による有機廃棄物の加熱温度を比較的低く設定することにより、上記有機廃棄物からの可燃性ガスの生成量を抑えることができる。この減圧乾燥装置による処理を行う際の可燃性ガスの生成量を抑えることにより、炭化装置で乾燥有機物を処理する際に、可燃性ガスを多く採取することができる。したがって、有機廃棄物から効率的に可燃性ガスを生成して採取することができ、この可燃性ガスを減圧乾燥装置の加熱用の燃料として、又は、炭化装置の加熱用の燃料として燃焼させる際に、有機廃棄物から生成された可燃性ガスを多く用いることができる。すなわち、上記減圧乾燥装置及び炭化装置の加熱に必要な燃料に対して、炭化装置で生成された可燃性ガスを用いる割合を高めることができる。その結果、上記減圧乾燥装置及び炭化装置の加熱のために新たに使用する化石燃料を削減することができる。その結果、燃料費を削減でき、また、化石燃料の使用に伴う二酸化炭素の排出量を削減することができる。また、有機廃棄物から生成された可燃性ガスを燃焼させるので、有機廃棄物の臭気を効果的に低減することができる。
【0024】
また、上記減圧乾燥装置では、有機廃棄物から蒸発した水分が凝縮部で凝縮される。この凝縮部に供給されて微生物が添加された冷却水に、混合冷却器によって、吸引ポンプで吸引された上記凝縮水とケーシング内の気体とが混合され、冷却される。これにより、冷却水を冷却すると共に、凝縮水や気体の臭気を冷却水の微生物で分解して脱臭することができる。したがって、有機廃棄物の乾燥を促進すると共に、有機廃棄物の乾燥に伴って生じる臭気の拡散を効果的に防止できる。
【0025】
このように、本発明の固形燃料の製造プラントによれば、例えば余剰汚泥のように水分量が多くかつ臭気の強い有機廃棄物を、効率よく迅速に乾燥させ、比較的少ない燃料の消費量のもと、二酸化炭素等の温室効果ガスの発生と窒素酸化物等の大気汚染物質の発生を抑制しながら炭化でき、しかも、減圧乾燥装置と炭化装置による処理中の臭気の拡散を防止しながら、臭気の少ない固形燃料を製造することができる。
【0026】
上記炭化装置による炭化工程において、低酸素環境とは、乾燥有機物が置かれる雰囲気中の酸素濃度が、容積割合で5%以上12%以下であることをいう。また、上記炭化装置による炭化工程において、乾燥有機物の加熱温度は、350℃以上500℃以下であるのが好ましく、乾燥有機物の加熱時間は、5分以上10分以下であるのが好ましい。これらの酸素濃度と加熱温度と加熱時間の条件により、乾燥有機物を炭化させると共に、乾燥有機物から、例えば水素、一酸化炭素及びメタン等を含む可燃性ガスを生成することができる。
【0027】
一実施形態の固形燃料の製造プラントは、上記炭化装置で乾燥有機物を加熱する際の余剰の熱を、上記減圧乾燥装置の加熱部に供給して利用する。
【0028】
上記実施形態によれば、炭化装置で乾燥有機物から生成された可燃性ガスを、炭化装置で乾燥有機物を加熱する燃料として燃焼させ、この炭化装置で加熱する際に生じた余剰の熱を、減圧乾燥装置の加熱部に供給して利用することにより、乾燥有機物を炭化するときよりも多くの熱量が必要である有機廃棄物の乾燥のために、減圧乾燥装置に安定して熱を供給することができる。また、固形燃料の製造プラントの全体として、熱の無駄な消費を削減できる。
【0029】
一実施形態の固形燃料の製造プラントは、上記減圧乾燥装置のケーシング内の気体を吸引し、この減圧乾燥装置の加熱用の熱源装置に、上記吸引した気体を燃焼空気として供給する第2の吸引ポンプを備える。
【0030】
上記実施形態によれば、減圧乾燥装置で生じた気体を、第2の吸引ポンプによって、この減圧乾燥装置の加熱用の熱源装置に燃焼空気として供給することにより、気体の臭気成分を燃料と共に燃焼させて、減圧乾燥装置で生じる臭気を除去することができる。
【0031】
一実施形態の固形燃料の製造プラントは、上記減圧乾燥装置で形成され、上記炭化装置に投入される前の乾燥有機物を粒状化する粒状化装置を備える。
【0032】
上記実施形態によれば、粒状化装置により、減圧乾燥装置で形成された乾燥有機物を粒状化するので、乾燥有機物が固形化されて、粉末状の乾燥有機物が少なくなる。したがって、粒状化された乾燥有機物を炭化装置で加熱する際に、粉末状の乾燥有機物や有機炭化物が排気と共に排出される量が少なくなる。その結果、乾燥有機物から有機炭化物を形成する間に生じる損失を削減でき、有機炭化物の収率を高めることができる。また、炭化装置から排気と共に排出される粉末が少ないので、排気から粉末を収集して除去する集塵装置を小型にでき、また、集塵装置の保守等の手間を少なくできる。その結果、炭化装置からの排気の集塵に関する費用や手間を少なくできる。
【0033】
なお、乾燥有機物の粒状化とは、減圧乾燥装置で形成された乾燥有機物を、2mm以上8mm以下の固形の粒に形成することをいう。粒状化装置として、例えばペレットミル等の造粒機を用いることができる。
【0034】
一実施形態の固形燃料の製造プラントは、上記バインダは、木質材料、紙材料及びプラスチック材料のうちの少なくとも1つを含む。
【0035】
上記実施形態によれば、木質材料、紙材料及びプラスチック材料のうちの少なくとも1つを含むバインダを、有機炭化物と混合して成形することにより、形状を安定して保持できる固形燃料を製造できる。
【0036】
一実施形態の固形燃料の製造プラントは、上記減圧乾燥装置で処理される有機廃棄物に、木質材料の粉末が添加されている。
【0037】
上記実施形態によれば、木質材料の粉末を有機廃棄物に添加することにより、減圧乾燥装置の処理対象の水分量を低減でき、迅速に乾燥有機物を生成できる。木質材料の粉末としては、廃木材や間伐材等を粉砕してなるオガ粉を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施形態の固形燃料の製造プラントの構成を示すブロック図である。
【図2】混合廃棄物処理ラインの構成を示す模式図である。
【図3】揺動型分別機の主要部を示す模式図である。
【図4】風力選別機の主要部を示す模式図である。
【図5】洗浄脱水機を示す模式図である。
【図6】光学式選別装置を示す模式図である。
【図7】有機廃棄物処理ラインの構成を示す模式図である。
【図8】減圧発酵乾燥装置の構成を示す模式図である。
【図9】減圧発酵乾燥装置のケーシング内を示す縦断面図である。
【図10】混合冷却器を示す模式図である。
【図11】炭化装置を示す模式断面図である。
【図12】木質廃棄物処理ラインの構成を示す模式図である。
【図13】固形燃料製造ラインの構成を示す模式図である。
【図14】スクリュー式成形装置の一部を示す断面図である。
【図15】リングダイ式成形装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の固形燃料の製造プラントの実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0040】
本実施形態の固形燃料の製造プラントは、有機廃棄物を処理して有機炭化物を生成すると共に、可燃物と不燃物が混合して存在する混合廃棄物を処理して可燃物を抽出し、有機炭化物に可燃物をバインダとして混合して固形燃料を製造するプラントであり、図1は、固形燃料の製造プラントの全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、固形燃料の製造プラント1は、混合廃棄物を処理する混合廃棄物処理ライン2と、有機廃棄物を処理する有機廃棄物処理ライン3と、木質廃棄物処理ライン4と、固形燃料を製造する固形燃料製造ライン5と、有機廃棄物処理ライン3に蒸気を供給する蒸気ボイラ6を備える。
【0041】
混合廃棄物処理ライン2は、家庭や事務所等から排出された主に一般廃棄物を処理するものであり、可燃物と不燃物とが混在した状態で投入される。ここで、可燃物とは、例えば古紙や天然繊維や廃木材等の植物由来の廃棄物と、例えば化繊布や食品トレイやビニル袋や玩具や文具等の廃プラスチックとを含む。また、不燃物とは、例えば金属製品や陶器やガラス瓶等である。なお、可燃物と不燃物は、互いに分別収集された状態で投入されてもよく、或いは、混合されて収集された状態で投入されてもよい。廃棄物が分別されている場合、可燃物のうちの植物由来廃棄物と廃プラスチックとが、さらに分別されていてもよく、又は、混在していてもよい。この混合廃棄物処理ライン2は、投入された可燃物と不燃物を分別し、可燃物を洗浄及び乾燥して抽出する。混合廃棄物処理ライン2で抽出された可燃物が、固形燃料製造ライン5で製造する固形燃料のバインダとして用いられる。
【0042】
有機廃棄物処理ライン3は、有機廃棄物を処理するものであり、特に、水分量が概ね80wt%を越える高水分の有機廃棄物を処理する。有機廃棄物としては、例えば余剰汚泥や、食品工場から排出された食品残渣や、湖沼や海の底に堆積したヘドロ等が該当する。この有機廃棄物処理ライン3は、有機廃棄物を減圧環境で発酵及び乾燥させて、水分量が概ね50wt%以下の乾燥有機物を生成する。さらに、有機廃棄物処理ライン3では、乾燥有機物を炭化処理して有機炭化物を形成する。本実施形態では、この有機廃棄物処理ライン3で、本発明の有機廃棄物の炭化方法を行う。有機廃棄物処理ライン3は、有機廃棄物として余剰汚泥を処理するが、余剰汚泥に加えて生ごみ等が投入されてもよい。この有機廃棄物処理ライン3で形成された有機炭化物は、固形燃料製造ライン5で製造する固形燃料の材料に用いられる。
【0043】
また、有機廃棄物処理ライン3は、有機廃棄物に乾燥処理と炭化処理を行うことにより、可燃性ガスを生成する。この可燃性ガスは、有機廃棄物の材料に応じて、水素、一酸化炭素及びメタン等を含む。この可燃性ガスは、有機廃棄物処理ライン3内の炭化装置の加熱用の燃料として使用されるほか、蒸気ボイラ6に燃料として供給される。
【0044】
木質廃棄物処理ライン4は、木質廃棄物を処理するものであり、建築物の解体によって生じた廃木材や、間伐材や、材木端材等の木質廃棄物が投入される。この木質廃棄物処理ライン4は、木質廃棄物を破砕して、木質チップ及びオガ粉を形成する。木質廃棄物処理ライン4で形成されたオガ粉は、有機廃棄物処理ライン3で処理される有機廃棄物に混合される。木質廃棄物処理ライン4で形成された木質チップは、固形燃料製造ライン5で木質材料として用いられると共に、蒸気ボイラ6の燃料として用いられる。ここで、有機廃棄物に混合されるオガ粉は直径が概ね4mm以下であり、好ましくは2.5mm以下である。固形燃料の木質材料及び蒸気ボイラ6の燃料として用いられる木質チップは、直径が概ね2〜20mmである。
【0045】
固形燃料製造ライン5は、有機廃棄物処理ライン3で生成された有機炭化物に、混合廃棄物処理ライン2で抽出された廃プラスチック及び植物由来の廃棄物を含む可燃物をバインダとして混合し、成形して固形燃料を製造するものであり、固形燃料としてのRPF(廃紙廃プラスチック燃料)を製造する。固形燃料製造ライン5で製造されたRPFは、一部が蒸気ボイラ6の燃料として用いられる。
【0046】
ここで、固形燃料製造ライン5は、有機廃棄物処理ライン3で生成された有機炭化物と、混合廃棄物処理ライン2で抽出された廃プラスチック及び植物由来廃棄物を、次のような割合で配合してRPFを製造する。なお、植物由来廃棄物には、木質廃棄物処理ライン4で生成された木質チップを含んでもよい。RPFを製造するための材料の配合割合の一例は、有機炭化物が概ね40wt%であり、廃プラスチックが概ね40wt%であり、かつ、植物由来廃棄物が概ね20wt%である。この配合割合のRPFは、約6500kcal/kgの熱量を生成することができ、各種のボイラやバーナの燃料として十分な実用性を有する。なお、石炭と同等の熱量で足りる場合は、有機炭化物が概ね60wt%であり、廃プラスチックが概ね30wt%であり、かつ、木屑及び/又は紙屑が概ね10wt%の割合でよく、この配合割合で製造したRPFは、約5500kcal/kgの熱量を有する。
【0047】
蒸気ボイラ6は、有機廃棄物処理ライン3で有機廃棄物を乾燥させるための加熱媒体としての蒸気を生成するものであり、固形燃料製造ライン5で製造されたRPFと、木質廃棄物処理ライン4で形成された木質チップと、有機廃棄物処理ライン3で生成された可燃性ガスの少なくとも一つを用いる。また、蒸気ボイラ6には、有機廃棄物処理ライン3で乾燥有機物を炭化させる際の余剰の熱が、熱媒体としての高温ガスが供給されることにより供給される。
【0048】
以下、各ラインの構成と、各ラインで行われる処理の詳細を、ライン毎に説明する。
【0049】
図2は、混合廃棄物処理ライン2の構成を示す模式図である。混合廃棄物処理ライン2には、家庭や事務所等から排出された廃棄物が、まず、粗破砕機21に受け入れられる。粗破砕機21は、廃棄物の粗破砕を行うものであり、廃棄物が袋や容器等に包まれている場合、袋や容器を破壊して廃棄物を個片化する破袋作用を奏する。粗破砕機21は、下方に狭くなった処理空間を形成する傾斜側板付きホッパを有したケーシング内に、回転駆動されるロータを収容している。ロータは、長手方向に複数組配列されたなぎなた状の破袋刃を有し、破袋刃の間に横断方向に配置された上仕切り板の中央部の上部に軸受で軸承されている。上仕切り板の下には、円弧面上に固定刃の縦通材が複数固定されて粗いスクリーンを形成した下仕切り板が設けられている。なお、粗破砕機21として、公知のハンマークラッシャーやロータリスクリュークラッシャーを用いてもよい。スクリュークラッシャーは、二軸型と一軸型のいずれでもよい。
【0050】
粗破砕機21によって粗破砕された廃棄物は、コンベヤで搬送される途中で、磁選機22によって鉄等の磁性物が除去される。磁性物が除去された廃棄物は、1軸型の破砕機23に供給され、約150mm程度の大きさに破砕される。破砕機23で破砕された廃棄物は、揺動型分別機24に供給される。
【0051】
揺動型分別機24では、軽量物と、重量物と、小径物に分別される。軽量物は、かさ比重が比較的小さいものであり、可燃物のうち、シート状又は板状の紙や布、及び、繊維屑等が含まれる。また、廃プラスチックのうち、シート状又は薄板状の樹脂が含まれる。重量物は、かさ比重が比較的大きいものであり、可燃物のうち、木片が含まれる。また、廃プラスチックのうち、樹脂製の容器やボトルが含まれる。また、不燃物のうち、寸法の比較的大きい金属や陶器やガラス等が含まれる。小径物は、真比重が比較的大きくて小径のものであり、金属の粒や、陶器の粒や、土砂等が含まれる。
【0052】
揺動型分別機24は、図3に主要部を示すように、長手方向に傾斜して設置され、下から上に向かって廃棄物に送りを掛けるように揺動する複数の短冊状篩板241と、モータ242の回転力がチェーン243を介して入力されて、短冊状篩板241を揺動駆動するクランク機構244を備える。短冊状篩板241上には、被処理物(廃棄物)に送りを掛ける突起245が複数設けられている。揺動型分別機24の主要部が収容されたケーシング内に、矢印W1で示すように上方から投入された廃棄物は、短冊状篩板241の揺動によって、軽量物が矢印W2で示すように上方に送られる一方、重量物は自重によって矢印W3で示すように短冊状篩板241の下方端に移動し、小径物は短冊状篩板241の篩目から矢印W4で示すように下方に落下する。こうして、廃棄物が、軽量物と、重量物と、小径物に分別される。小径物は、トレイに貯留された後、廃棄される。
【0053】
揺動型分別機24で分別された重量物は、1軸型破砕機25で破砕された後、スクリューコンベヤ26で搬送される。スクリューコンベヤ26の終端には、風力選別機27が設けられており、破砕物が、樹脂製容器やボトル等の破砕であるプラスチック片や木屑等の軽量物と、陶器片やガラス片や金属片等の重量物とに分別される。風力選別機27は、図4に主要部を示すように、竪形のジグザグ管路271の下部の供給口271aから矢印W5で示すように破砕物が連続的に供給され、ブロワ272によって下から上に流れる空気により、プラスチック片等の軽量の可燃物と、陶器片等の重量の不燃物とに選別する。空気流は、ジグザグ管路271の下端部の給気口271bに供給されてジグザグ管路271中を流れ、上端部からサイクロンセパレータ273まで軽量可燃物を搬送する。軽量可燃物を搬送した空気は、サイクロンセパレータ273で軽量可燃物が分離された後に、ブロワ272に吸引される。軽量可燃物は、矢印W6で示すように、ロータリーシール弁を介して、サイクロンセパレータ273の下端から排出され、貯蔵サイロと一体に形成された定量供給機50に貯蔵される。重量不燃物は、矢印W7で示すようにベルトコンベヤ28上に排出される。
【0054】
重量不燃物は、ベルトコンベヤ28で搬送される途中で、磁選機29によって鉄等の磁性物が除去される。磁性物は、図示しないホッパに貯留されて再生資源として利用される一方、磁性物が除去された重量不燃物は、トレイに貯留された後、廃棄される。
【0055】
一方、揺動型分別機24で分別された軽量物は、洗浄脱水機30に送られる。洗浄脱水機30は、図5に模式図を示すように、ケーシング301の一端に形成された投入口301aに、矢印W8で示すように、軽量物が、水及び空気と共に投入される。水には、オゾンや脱臭酵素等の脱臭剤が添加される。ケーシング301内には、回転軸302に取り付けられて、軽量物に送りをかけるように回転駆動される複数のパドル303が配置されている。また、ケーシング301内には、パドル303を取り囲むように多孔筒304が配置されている。軽量物は、パドル303によって多孔筒304内を他端側に送られるに伴い、汚れが水分と共に除去されて洗浄され、乾燥する。軽量物から水と共に除去された汚れは、汚水となって多孔筒304の外側に排出され、ケーシング301の下部に集められる。この汚水は、ケーシング301の下部に配置された排出コンベヤ305により、矢印W9で示すようにケーシング301外に排出される。ケーシング301外に排出された汚水は、有機廃棄物処理ライン3に投入される。
【0056】
洗浄されて乾燥した軽量物は、ケーシング301の他端に形成された排出口301bから、この排出口301bに接続された取り出しコンベヤ306によって排出される。取り出しコンベヤ306の終端には、上下に延びる縦管307が取り付けられており、縦管307の取り出しコンベヤ306の接続位置よりも下方から上に向かって、ブロワ308による空気流が形成される。縦管307内を下から上に流れる空気により、取り出しコンベヤ306から排出された軽量物が、紙やプラスチックや布や繊維屑等の可燃物と、軽量物に混入していた金属粒等の不燃物とに選別される。空気流は、矢印W10で示すように、可燃物を縦管307からサイクロンセパレータ31まで搬送し、サイクロンセパレータ31で可燃物が分離された後にブロワ308によって吸引される。一方、不燃物は、矢印W11で示すように、縦管307の下端から自重によって排出される。
【0057】
このように、洗浄脱水機30は、軽量物に旋回力を作用させて洗浄及び脱水を行うので、被処理物である軽量物を加熱する必要が無い。したがって、洗浄脱水機30にはボイラやバーナ等の熱源装置が不要であるから、従来よりも設備コストを低減できると共に、化石燃料の使用による二酸化炭素の排出を防止できる。
【0058】
サイクロンセパレータ31で分離された紙やプラスチック等の可燃物は、定量供給機32に送られて一時貯留される。可燃物は、定量供給機32から振動スクリーン33に供給される。振動スクリーン33は、傾斜して配置されたスクリーンと、スクリーンを振動させる振動機構を有し、後続する塩素含有樹脂除去装置としての光学式選別装置35の移送装置の上方にスクリーンの下端が位置するように配置されている。振動スクリーン33は、定量供給機32からスクリーンの上端部に投入された軽量物を、スクリーンの振動作用によって下端から幅方向に満遍なく排出する。これにより、光学式選別装置35の移送装置の上面に、軽量物を均一に配置するようになっている。
【0059】
図6は、光学式選別装置35を示す模式図である。光学式選別装置35は、被処理物を移送する移送装置としてのベルトコンベヤ351と、ベルトコンベヤ351の終端部の近傍に配置され、被処理物に電磁波としての近赤外線を照射し、その反射波を受ける光学ユニット352と、被処理物に圧縮空気を噴射する噴射部としてのエアガン353と、光学ユニット352及びエアガン353に接続された制御部354を備える。エアガン353は、圧縮空気を供給するコンプレッサユニット355に接続されている。光学ユニット352は、ベルトコンベヤ351上の軽量物に近赤外線を照射する電磁波照射部としての照射部356と、軽量物で反射された近赤外線の反射波を受ける反射波検出部としての受光部357を有する。照射部356は、ベルトコンベヤ351のベルトの進行方向の前後から近赤外線を照射する一対のランプが、ベルトコンベヤ351のベルトの幅方向に複数個配列されて形成されている。照射部356の各対のランプの間に、直下からの近赤外線を受光するように、受光部としての近赤外線カメラ357のレンズが配置されている。
【0060】
ベルトコンベヤ351は、振動スクリーン33から、被処理物としての軽量物がベルトの上面に供給され、この軽量物を終端側に移送する。軽量物が光学ユニット352の下方に達すると、光学ユニット352の照射部356が近赤外線を軽量物に照射し、照射された近赤外線が軽量物で反射してなる反射波を、近赤外線カメラ357のレンズが受ける。近赤外線カメラ357は、近赤外線の反射波を受け、近赤外線の反射波の波長及び強度を表す情報を制御部354に出力する。制御部354は、近赤外線カメラ357から入力された情報に基づき、個々の軽量物からの反射波(近赤外線)の波長及び強度を解析し、スペクトル分布のパターンに基づいて軽量物の材料を判別する。判別された材料が、塩素含有樹脂としての塩化ビニルであると、制御部354は、この塩化ビニル製の軽量物である廃プラスチックを、ベルトコンベヤ351から除去する。すなわち、塩化ビニル製の廃プラスチックがベルトコンベヤ351の終端に達するタイミングで、エアガン353を作動させて圧縮空気を塩化ビニル製の廃プラスチックに向けて噴射する。塩化ビニル製の廃プラスチックは、圧縮空気を受けて吹き飛ばされて、ベルトコンベヤ351の終端から遠い側に設けられた回収室358に回収される。塩化ビニル製の廃プラスチック以外の軽量物は、ベルトコンベヤ351の終端から下方に落下して、ベルトコンベヤ351の終端に近い側に設けられた回収室359に回収される。
【0061】
このようにして、軽量物を洗浄脱水機30で洗浄及び脱水を行った後、塩素を含有する樹脂を光学式選別装置35で判別して除去するので、従来のように、廃プラスチックを窒素雰囲気下で加熱を行なって塩素分を離脱させると共に紙類を水洗いして脱塩を行うよりも、簡易な装置で少ない工程により、低コストで塩素含有物を除去することができる。
【0062】
また、軽量物は、洗浄脱水機30で洗浄されて付着物が除去され、乾燥された状態で、光学式選別装置35に送られる。したがって、光学式選別装置35において、軽量物に照射された電磁波が付着物で干渉されることなく反射されるので、軽量物の材料を精度良く判別することができる。その結果、塩化ビニル等の塩素含有樹脂を軽量物から精度良く除去することができるので、燃焼する際にダイオキシンを発生しない固形燃料を、材料となる廃棄物に対して高い再生率で製造することができる。
【0063】
なお、光学式選別装置35は、近赤外線の反射波のスペクトル分布に基づいて、塩化ビニル以外の種々の材料を判別できる。例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンを判別でき、また、紙と木を判別することができる。したがって、光学式選別装置35により、塩化ビニル以外の材料を軽量物から判別して回収してもよい。
【0064】
ここまで、揺動型分別機24で分別された軽量物に施す処理を説明したが、揺動型分別機24で分別された重量物もまた、同様の処理を施すことができる。すなわち、重量物に対して、風力選別機27で分別された軽量可燃物に対して、洗浄脱水機30と同様の構成を有する洗浄脱水機で洗浄と脱水と分別を行った後、サイクロンセパレータと、定量供給機と、振動スクリーンとを経て、光学式選別装置35と同様の構成を有する光学式選別装置によって塩素含有樹脂を除去する。これにより、揺動型分別機24で重量物として分別された寸法の比較的大きいポリエチレンテレフタレート容器等の廃プラスチックや、寸法の比較的大きい木片等の可燃物を、塩化ビニルを排除した状態で抽出することができる。
【0065】
上記光学式選別装置35で塩化ビニルが除去されて回収室359に回収された軽量物は、回収室359の下端に接続されたスクリューコンベヤ36で搬送され、風力選別機37に送られて、異物が回収される。異物が回収された可燃物は、プッシャ付破砕機38に送られる。
【0066】
プッシャ付き破砕機38は、ケーシング内に、回転刃が周面に固定された1軸の回転軸を有し、油圧シリンダで駆動されるプッシャにより、可燃物が回転軸に向かって押圧される。プッシャで押圧された可燃物は、回転軸の回転刃と、回転軸の下部に回転刃と相対して配置された固定刃とのせん断作用で破砕され、25〜100mmの寸法の破砕片となって排出される。なお、プッシャ付き破砕機38は、2軸型の破砕機であってもよい。プッシャ付き破砕機38で破砕された破砕片は、スクリューコンベヤ39で搬送され、スクリューコンベヤ39の終端に設置された風力選別機40で異物が除去される。風力選別機40は、竪形のジグザグ管路401内をブロワ402によって下から上に流れる空気により、可燃物と異物に選別し、空気流によって可燃物をサイクロンセパレータ403まで搬送する。サイクロンセパレータ403で分離された可燃物は、ロータリーシール弁を介して、貯蔵サイロと一体に形成された定量供給機50に貯蔵される。
【0067】
このようにして、本実施形態の固形燃料の製造プラント1は、可燃物と不燃物とが混在する廃棄物から、粗破砕機21と、揺動型分別機24と、洗浄脱水機30と、光学式選別装置35とを経ることにより、ダイオキシンの原因である塩素含有樹脂を効率よく除去したうえ、古紙や廃プラスチック等を含む可燃性の軽量物を効率よく回収できる。
【0068】
図7は、有機廃棄物処理ライン3の構成を示す模式図である。有機廃棄物処理ライン3は、有機廃棄物に対して乾燥処理を行う減圧乾燥装置としての減圧発酵乾燥装置44と、炭化処理を行う炭化装置47によって主に構成されている。本実施形態では、有機廃棄物として、活性汚泥法で生じた余剰汚泥を処理する場合を説明する。
【0069】
まず、水分量が98wt%を超える余剰汚泥が受入ホッパ41に受け入れられ、受入ホッパ41の下部の切り出し装置から搬送コンベヤ42で搬送される。また、揺動型分別機24で軽量物を洗浄して生成された汚水が、受入ホッパ41へ投入され、汚泥に混合されて搬送コンベヤ42で搬送される。搬送コンベヤ42で搬送される余剰汚泥には、搬送コンベヤ42の途中に設置された木屑供給装置43によってオガ粉が添加される。木屑供給装置43には、後述する木質廃棄物処理ライン4で生成されたオガ粉が供給される。なお、余剰汚泥へのオガ粉の添加は、行わなくてもよい。オガ粉が添加された余剰汚泥は、減圧発酵乾燥装置44に送られる。
【0070】
図8は、減圧発酵乾燥装置44を示す図である。減圧発酵乾燥装置44は、乾燥装置本体410と、混合冷却器としてのクーリングタワー430とで大略構成されている。
【0071】
乾燥装置本体410は、内部に処理室411を有する大略円筒形状のケーシング412と、処理室411の下部の壁面に形成されたジャケット式ヒータ413と、処理室411内に配置された加熱攪拌部414と、処理室411内の上部に設けられた凝縮部415を有する。
【0072】
ケーシング412の一端の上部には、被処理物が投入される投入口412aが形成され、ケーシング412の他端の下部には、被処理物が排出される排出口412bが形成されている。ケーシング412の投入口412aに、搬送コンベヤ42の終端に連なるエアロック機構が接続されている。ケーシング412の排出口412bに、スクリューコンベヤで形成された排出コンベヤ451が接続されている。排出コンベヤ451の終端は、エアロック機構を有する排出装置45に接続されている。
【0073】
図9は、乾燥装置本体410の内部の詳細を示した断面図である。図9に示すように、加熱攪拌部414は、ケーシング412の両端面に設けられた軸受装置121,122に両端が支持された回転軸141と、回転軸141に固定されたコイル状管体142と、コイル状管体142の外周側に配置されて一辺が5〜10cmの矩形の複数のブレード143を有する。回転軸141とコイル状管体142は内部が互いに連通しており、熱媒体としての蒸気が、軸受装置121,122を介して回転軸141とコイル状管体142内に供給される。加熱攪拌部414は、モータMで回転駆動され、回転軸141とコイル状管体142で被処理物を加熱すると共に、ケーシング412内の被処理物を投入口412aから排出口412bに向かって送りをかけながら攪拌するように形成されている。ブレード143は、表面が、加熱攪拌部414の径方向の先端縁が回転方向に傾斜すると共に、軸方向の排出口412b側の側縁が反回転方向に傾斜している。これにより、加熱攪拌部414が回転するに伴い、ブレード143が、ケーシング412の内側面近傍の被処理物をすき取るようになっている。加熱攪拌部414の回転速度は、処理室411に投入される有機廃棄物の水分量に応じて、1rpm〜60rpmの間に設定することができる。
【0074】
ケーシング412の軸受装置121,122は、加熱攪拌部414の回転軸141を支持すると共に、熱媒体としての蒸気の供給と排出を行っている。供給側軸受装置121は、蒸気供給管123に接続された回転継手124と、回転継手124を介して接続された蒸気管141aを内包する回転軸141の端部を支持するスリーブ軸受125を有する。排出側軸受装置122は、蒸気排出管126に接続された回転継手127と、回転継手127を介して接続された蒸気管141bを内包する回転軸141の端部を支持するスリーブ軸受128を有する。蒸気ボイラ6から蒸気供給管123を通して供給側軸受装置121の側に供給された蒸気が、回転継手124を介して回転軸141に供給される。回転軸141に供給された蒸気は、一部がコイル状管体142に供給される。回転軸141とコイル状管体142に供給された蒸気は、回転軸141とコイル状管体142が接触する被処理物と熱交換を行った後、蒸気管141bと回転継手127を通して排出側軸受装置122の側に戻る。排出側軸受装置122の側に戻った蒸気は、蒸気排出管126を通して蒸気ボイラ6に戻される。一方、加熱攪拌部414へ供給される蒸気よりも圧力及び温度の低い蒸気が、供給口143aを通してジャケット式ヒータ413に供給され、排出口143bを通して蒸気ボイラ6に戻される。すなわち、ジャケット式ヒータ413よりも接触面積の大きい加熱攪拌部414に、ジャケット式ヒータ413に供給する蒸気と比較して圧力及び温度の高い蒸気を供給することにより、水分量の多い汚泥等の被処理物を、効率的に乾燥させるようにしている。このように、ジャケット式ヒータ413と加熱攪拌部414は、減圧発酵乾燥装置44の加熱部として機能する。
【0075】
加熱攪拌部414のコイル状管体142は、上流側コイル144と下流側コイル145で形成されている。回転軸141の内部は、上流側コイル144の上流端144a及び下流端144bと、下流側コイル145の上流端145a及び下流端145bとに、順次連通している。これにより、供給側軸受装置121の側に供給された蒸気が、矢印G1で示すように上流側コイル144に流入し、この後、矢印G2で示すように回転軸141の内部に戻り、さらに、矢印G3で示すように下流側コイル145に流入し、この後、矢印G4で示すように回転軸141の内部に戻る。回転軸141内の蒸気は、矢印G5で示すように、蒸気管141bを通って回転軸141から排出されるようになっている。
【0076】
上記加熱攪拌部414は、コイル状管体142の外周側に設けられたブレード143により、ケーシング412の内側面の近傍の被処理物をすき取ることができる。したがって、ケーシング412のジャケット式ヒータ413が形成された位置の内側面に、被処理物が固着する不都合を効果的に防止できる。
【0077】
ケーシング412内の上部に設けられた凝縮部415は、ケーシング412の他端面に形成された冷却水供給室151と、ケーシング412の一端面に形成された冷却水排出室152を有する。冷却水供給室151には、クーリングタワー430から冷却水が供給される冷却水供給管153が接続されている。冷却水排出室152には、冷却水を排出してクーリングタワー40に戻す冷却水排出管154が接続されている。冷却水供給室151と、冷却水排出室152との間には、ケーシング412の軸方向に延在して供給室151と排出室152とに両端が連通する複数の冷却水管155,155,・・・が設けられている。複数の冷却水管155,155,・・・は、ケーシング412内の上部の幅方向の両側に振り分けて配置されている。複数の冷却水管155,155,・・・の側方と下方には、凝縮水を収集する集水樋156が設けられている。集水樋156の内側に、凝縮水と共に処理室411内の空気を吸引する吸引管157が連通している。
【0078】
乾燥装置本体410のケーシング412内に投下される有機廃棄物には、微生物が添加される。微生物としては、海、山及び陸等の自然界に生息する土着菌や発酵菌等が採取され、培養されたものが用いられる。特に、余剰汚泥等の有機汚泥を発酵させて脱臭を行うには、各種の動植物や土壌に生息する菌が有効であることが見出されている。菌が生息する動植物や土壌としては、よもぎ、野草、薬草、海辺の草、笹、竹やぶの土、山林の土、魚、海草、果実、パイナップル、リンゴ、ミカン、ビワ及びブドウ等がある。これらに生息する菌を、米ぬか又はオガ屑で培養して用いるのが好ましい。本実施形態では、減圧値0.03〜0.07MPaの減圧環境のもと、70〜90℃の温度で、30分から2〜3時間にわたり、被処理物を攪拌しながら発酵菌を混合して脱臭を行うので、かかる条件下で発酵生育する微生物が好ましい。処理室411内に添加する微生物は、次の酵素のうちの少なくとも1つを生産するものが好ましい。なお、各酵素に続く括弧内に、各酵素が作用する物質を記している。アルコールデハイドロゲナーゼ(アルコール)、ラクテートデハイドロゲナーゼ(乳糖)、グルコース6リン酸デハイドロゲナーゼ(糖質)、アルデヒドデハイドロゲナーゼ(アルデヒド)、L・アスパルテイト・ベーターセミアルデヒド・NADPオキシドレクターゼ(アルデヒド)、グルタミン酸デハイドロゲナーゼ(アミノ酸)、アスパラギン酸セミアルデヒド・デハイドロゲナーゼ(アミノ酸)、NADPH2チクトクロームC・リアクターゼ(NADP)、グルタチオン・デハイドロゲナーゼ(グルタチオン)、トレハローズリン酸シンテクターゼ(糖質)、ポリフォスヘエードキナーゼ(ATP)、エタノールアミンフォスヘエードサイチジル・トランスフェラーゼ(CTP)、トレハローズフォスファターゼ(糖質)、メタルチオ・フォスフォ・グリセレート・フォスファターゼ(グリセリン)、イヌラーゼ(イヌリン)、β−マンノシターゼ(糖質)、ウリジン・ヌクレオシターゼ(アミノ酸)、シトシン・ジアミナーゼ(シトシン)、メチルシステインシンテターゼ(アミノ酸)、アスパラギン酸シンテターゼ(ATP)、コハク酸デハイドロゲナーゼ(コハク酸)、アコニチン酸ハイドロゲナーゼ(クエン酸)、フマレイトハイドロゲナーゼ(マロン酸)、マレイトデハイドロゲナーゼ(マロン酸)、クエン酸シンテターゼ(アセチルCouA)、イソクエン酸デハイドロゲナーゼ(クエン酸)、LSNADPオキシダクターゼ(クエン酸)、モノアミンオキシダクターゼ(アミン)、ヒスタミナーゼ(アミン)、ピルビン酸デカルボキシラーゼ(オキソ酸)、ATPアーゼ(ATP)、ヌクレオチドピロフォスファターゼ(核酸)、エンドポリフォスファターゼ(ATP)、ATPフォスフォハイドロラーゼ(ATP)、オロチジン5リン酸デカルボキシラーゼ(オロチジン)。これらのうちの少なくとも1つの酵素を生産する微生物を、被処理物に含ませることにより、多種類の有機物成分からなる有機廃棄物に対して効果的に分解処理を行うことができる。
【0079】
クーリングタワー430は、乾燥装置本体410の凝縮部415に供給される冷却水を冷却すると共に、乾燥装置本体410の凝縮部415で生成された凝縮水と、乾燥装置本体410内の気体とを上記冷却水に混合して脱臭を行うものである。冷却水は、乾燥装置本体410内の冷却水排出室152から、図8の矢印W1で示すようにクーリングタワー430に導かれ、冷却された後に、冷却水ポンプPにより、図8の矢印W2で示すように、乾燥装置本体410の冷却水供給室151に戻される。また、乾燥装置本体410の凝縮部415で生成された凝縮水と、有機廃棄物の乾燥に伴って処理室411内で生じた臭気を有する気体が、真空ポンプVPで吸引され、図8の矢印Vで示すようにクーリングタワー430に導かれる。
【0080】
上記クーリングタワー430は、図10に示すように、大気の流通口を上部と下部に有するケーシング431と、ケーシング431の下端に設置された水槽432と、水槽432の水をケーシング431内の上部に導く散水管433と、散水管433に介設された散水ポンプSPと、散水管433の分岐した先端部に設けられた複数の散水ノズル433a,433a,・・・と、散水ノズル433aから散布された水が流下して接触する接触体435と、ケーシング431内の上端部に設けられたファン436を備える。ケーシング431には、乾燥装置本体410から排出された凝縮水及び空気を、図8の矢印Vで示すように導く導管434が配管されている。導管434の分岐した先端部には、導管434で導かれた凝縮水及び気体を、上記散水ノズル433aから吐出された水の流れに向かって吐出するように、複数の吐出ノズル434a,434a,・・・が設けられている。上記接触体435は、樹脂で形成された多孔性の充填材が配置され、微生物の担体となっている。水槽432には、水槽432内の冷却水を乾燥装置本体410に戻すための冷却水配管437が接続され、この冷却水配管437に、冷却水をクーリングタワー430と凝縮部415との間に循環させる冷却水ポンプPが介設されている。
【0081】
上記クーリングタワー430と凝縮部415との間を循環する冷却水には、微生物が添加されている。この微生物は、処理室411内に投入された微生物と同様に、海、山及び陸等の自然界に生息する土着菌や発酵菌等が採取され、培養されたものである。冷却水に添加される微生物は、上述の処理室411に添加される微生物が生産する複数の酵素のうち、少なくとも1つの酵素を生産する微生物であればよい。冷却水中に微生物を添加することにより、凝縮水中に含まれる臭気成分や、処理室411内から吸引された気体に含まれる臭気成分を分解して除去することができる。微生物による臭気成分の分解は、クーリングタワー430及び凝縮部415の間に形成される循環路を冷却水が循環する間に行われる。また、冷却水が接触体435に接触し、流下する際に、接触体435に担持された微生物によって臭気が分解される。
【0082】
この減圧発酵乾燥装置44は、凝縮水及び気体を冷却水に混ぜることにより、臭気成分の濃度を全体として低減させるので、凝縮水や気体の臭気成分が増大しても微生物の処理能力を越える虞が少なくて、臭気の安定した分解処理を行うことができる。また、処理室411内が減圧されていることから、凝縮部415で冷却水が室内空気と熱交換する際の冷却水の温度上昇が比較的小さくて、冷却水の温度が概ね40〜45℃になる。これにより、冷却水中の微生物が高温によって死滅する不都合が防止され、微生物が安定して活性化され、凝縮水及び気体を安定して微生物で脱臭することができる。
【0083】
また、クーリングタワー430では、冷却水の蒸発が促進されるのでオーバーフローが殆ど生じない。しかも、凝縮水や気体の臭気成分は、冷却水で薄められるので、高度に分解除去される。したがって、減圧発酵乾燥装置44の外部に臭気が拡散する不都合を効果的に防止できる。
【0084】
この減圧発酵乾燥装置44で有機廃棄物を乾燥する場合、処理室411の内部の空気を真空ポンプVPで吸引して、大気圧よりも低い圧力に減圧する。ここで、処理室411の減圧値を0.03〜0.07MPaとすることにより、水の沸点を約90〜68℃に低下させることができる。なお、減圧値とは、大気圧から低減させる圧力の差分をいう。
【0085】
乾燥装置本体410の加熱部に供給する熱媒体としては、ジャケット式ヒータ413には0.2〜0.3MPaかつ130℃の蒸気を用いる一方、加熱攪拌部414には0.7〜0.8MPaかつ170℃の蒸気を用いる。このように、回転駆動された状態で加熱を行う加熱攪拌部414に、静止した状態で加熱を行うジャケット式ヒータ413よりも高い温度の熱媒体を供給することにより、加熱攪拌部414とジャケット式ヒータ413との夫々が、被処理物が付着して焦げ付かない限度の高い温度で、被処理物を効率的に加熱することができる。また、処理室411内が減圧されているので、常圧で乾燥させるよりも熱媒体の温度を低く設定できる。したがって、熱媒体としての蒸気の生成エネルギーを削減できる。また、被処理物の加熱温度が低いので、処理室411内に添加されて脱臭を行う微生物の死滅を防止でき、効果的に脱臭を行うことができる。例えば、乾燥装置本体410で乾燥脱臭処理がなされた乾燥有機物は、60℃前後の温度で排出口412bから排出される。このように、被処理物の有機廃棄物が、比較的低温の温度に加熱されることにより、微生物を効果的に活性化させて脱臭を行うことができ、また、減圧環境の下で十分に乾燥させることができる。
【0086】
この減圧発酵乾燥装置44によれば、水分量が80〜99.5wt%の高水分の有機廃棄物を乾燥処理して、2〜6時間の処理時間で、水分量を10wt%以上25wt%以下に低減することができる。
【0087】
このように、減圧発酵乾燥装置44は、減圧環境で有機廃棄物の発酵及び乾燥を行うので、減圧に伴う沸点の降下により、少ない熱量で汚泥を乾燥させることができる。また、減圧発酵乾燥装置44で有機廃棄物を微生物で分解し、また、凝縮水と気体を冷却水の微生物で分解するので、有機廃棄物の臭気を効果的に低減できて、周辺環境への臭気の拡散を防止できる。また、処理室411内に公知の塩素分解酵素を添加することにより、有機廃棄物に含まれる塩素含有物を除去して、ダイオキシンの発生を防止することができる。
【0088】
上記減圧発酵乾燥装置44で有機廃棄物が乾燥処理されて水分量が10wt%以上25wt%以下となった乾燥有機物は、ケーシング412の下部の他端側の排出口412bから排出される。排出口412bから排出された乾燥有機物は、排出コンベヤ451で搬送され、エアロック機構を有する排出装置45を介して、貯蔵サイロと一体に形成された定量供給機46に送られる。
【0089】
定量供給機46に一旦貯蔵された乾燥有機物は、炭化装置47に送られる。
【0090】
図11は、炭化装置47を示す模式断面図である。炭化装置47は、外熱式ロータリーキルンにより構成されている。この炭化装置47は、熱媒ガスが内部に供給されるケーシング471と、ケーシング471内に収容された回転炉472と、回転炉472の一端に接続されて被処理物の乾燥有機物を回転炉472内に供給する供給コンベヤ476と、回転炉472の他端に連通して処理後の被処理物と可燃性ガスを排出する排出室477を有する。ケーシング471と回転炉472との間には、熱媒体が導入されて回転炉472を外側から加熱する加熱室473が形成されている。回転炉472の内側には、供給コンベヤ476で一端に導入された乾燥有機物を他端に送りながら、加熱室473に供給された熱媒体の熱で乾燥有機物の乾留及び炭化を行う炭化室474が形成されている。炭化室474の内周面には、被処理物を他端に送るための図示しない螺旋ガイドが設けられている。排出室477は、内部が炭化室474に連通しており、炭化室474で炭化された被処理物である有機炭化物を下端に接続された排出コンベヤ452で排出する一方、炭化室474内で乾燥有機物から生成された可燃性ガスを上端に設けられた排気口479から排出するようになっている。排気口479には、可燃性ガスを導出する可燃性ガス管480が接続されており、可燃性ガス管480の下流端は、炭化装置47の加熱室473側に連なる炭化装置配管481と、蒸気ボイラ6のバーナに連なるボイラ配管482とに分岐している。炭化装置配管481は、炭化装置47の加熱室473に炎口が望むように設置されたガスバーナ487に接続されている。炭化装置配管481とボイラ配管482には、電磁駆動の開閉弁483,484が夫々介設されており、これら開閉弁483,484は、後に詳述する制御部485によって開閉が制御される。また、排気口479に接続された排出管には図示しないブロワが接続されており、このブロワで炭化室474内の空気を吸引して、可燃性ガスを含む上記空気を炭化装置配管481とボイラ配管482に送るようになっている。このブロワで炭化室474内の空気を吸引することにより、炭化室474内を、酸素濃度が容積割合で5%以上12%以下の低酸素環境にしている。これにより、炭化室474内で加熱される乾燥有機物を効果的に乾留し、一酸化炭素等の可燃性ガスを効率的に生成するようになっている。炭化室474内での乾燥有機物の加熱温度は350℃以上500℃以下であり、乾燥有機物の加熱時間は5分以上10分以下であるのが好ましい。
【0091】
炭化装置47の加熱室473には、炭化装置47の起動時に、オイルバーナ475から熱媒ガスが供給される。オイルバーナ475は、液体燃料としてのA重油を燃料とし、A重油を供給する重油燃料タンク488に接続されている。オイルバーナ475は、制御部485により制御され、排出室477から供給される可燃性ガスを燃焼して、500〜700℃の燃焼ガスを熱媒ガスとして加熱室473に供給する。オイルバーナ475から加熱室473に供給された熱媒ガスとしての燃焼ガスにより、炭化室474内の温度が十分に上昇すると、炭化室474内の乾燥有機物が加熱され、水素、一酸化炭素及びメタン等を含む可燃性ガスが生成される。炭化室474内で可燃性ガスの生成が開始されると、制御部485により、オイルバーナ475の燃焼が停止されると共に、炭化装置配管481の開閉弁483が制御され、閉じ状態から開き状態に駆動される。これにより、加熱室473内に、オイルバーナ475からの熱媒ガスの供給が停止される一方、炭化装置配管481から可燃性ガスが供給されてガスバーナ487が起動し、ガスバーナ487で可燃性ガスが燃焼して熱媒ガスとしての燃焼ガスが加熱室473に供給される。こうして、炭化室474内の加熱を継続する。加熱室473内で可燃性ガスが燃焼してなる燃焼ガスは、加熱室473から排出され、熱媒ガスとして減圧発酵乾燥装置44の蒸気ボイラ6の熱交換器へ導かれる。加熱室53から排出される燃焼ガスは、250〜500℃の温度であるため、蒸気ボイラ6で減圧発酵乾燥装置44に供給する蒸気を生成するために再利用が可能である。このように、炭化装置47の燃焼ガスを熱媒ガスとして蒸気ボイラ6に供給し、炭化装置47で乾燥有機物を加熱する際の余剰の熱を、蒸気ボイラ6で再利用するように構成されている。蒸気ボイラ6の熱交換器で蒸気の生成に用いられた燃焼ガスは、集塵機486で粉塵が除去され、排気される。
【0092】
このように、炭化装置47によって乾燥有機物を炭化することにより、余剰汚泥に由来する乾燥有機物の臭気を効果的に削減することができる。さらに、炭化装置47で乾燥有機物を加熱して生成された可燃性気体を、ガスバーナ487や蒸気ボイラ6に導いて燃焼させるので、乾燥有機物の炭化に伴って生成される臭気を除去することができる。
【0093】
また、乾燥有機物を炭化装置47で炭化することにより、乾燥有機物の燃焼時の熱量を増大することができる。例えば、有機廃棄物が木屑等の木質廃棄物である場合、この有機廃棄物を炭化せず、成形してなる燃料は、概ね3800kcal/kgの熱量を有する。一方、木質廃棄物を炭化装置47で炭化し、この炭化物を成形してなる燃料は、7000〜8000kcal/kgの熱量を有する。また、有機廃棄物としての余剰汚泥を炭化して有機炭化物を形成し、この有機炭化物を成形してなる燃料は、5000〜6000kcal/kgの熱量を有する。
【0094】
また、炭化装置47の燃焼ガスを熱媒ガスとして蒸気ボイラ6の熱交換器に供給して、炭化装置47で乾燥有機物を加熱する際の余剰の熱を、蒸気ボイラ6で利用するので、炭化装置47において乾燥有機物の炭化に伴って生じる可燃性ガスを、この炭化装置47の加熱に利用すると共に、有機廃棄物を乾燥させる減圧発酵乾燥装置44の加熱に利用することができる。したがって、有機廃棄物の乾燥処理と炭化処理に用いる化石燃料を効果的に削減でき、その結果、二酸化炭素等の温室効果ガスの排出と、窒素酸化物等の大気汚染物質の排出を効果的に削減できる。
【0095】
また、上記蒸気ボイラ6は、炭化装置47で乾燥有機物から生成された可燃性ガスの一部が、燃料として供給されるように構成されている。詳しくは、炭化室474内の乾燥有機物から可燃性ガスが生成されると、制御部485によって開閉弁484が開かれて、可燃性ガスがボイラ配管482を通して蒸気ボイラ6のバーナに供給される。
【0096】
このように、有機廃棄物処理ライン3において、有機廃棄物を乾燥させるために、炭化装置47の余剰の熱に加えて、炭化装置47で生じる可燃性ガスを利用することにより、化石燃料の使用量を削減しながら有機廃棄物を効率的に乾燥させることができる。
【0097】
上記炭化装置47で処理された有機炭化物は、排出コンベヤ452で搬送され、エアロック機構を有する排出装置48を介して、貯蔵サイロと一体に形成された定量供給機49に送られる。定量供給機49に一旦貯蔵された有機炭化物は、固形燃料製造ライン5に送られる。
【0098】
図12は、木質廃棄物処理ライン4の構成を示す模式図である。木質廃棄物処理ライン4には、廃木材や、間伐材や、材木端材等の木質廃棄物が投入され、木質屑としての木質チップ及びオガ粉を形成する。
【0099】
木質廃棄物処理ライン4に投入された木質廃棄物は、破砕機61で破砕される。ここで、廃木材等の乾燥が進んだ木質廃棄物は、ハンマ式の破砕機で破砕する一方、間伐材や材木端材等の乾燥が進んでいない木質廃棄物は、チッパ式の破砕機で破砕する。
【0100】
破砕機61で破砕された木質廃棄物は、コンベヤ62で搬送され、ドラム型磁選機63で釘や金具等の重量物が除去された後、旋回篩機64に送られる。旋回篩機64は、有底の篩枠の内部に2段の篩網を掛け渡してなる篩本体を、傾斜した状態で傾斜面内において旋回駆動するように構成されている。この旋回篩機64は、篩本体に投入された木質廃棄物を、各篩網に応じて小径、中径及び大径の3種類に分級するようになっている。詳しくは、篩本体の2段の篩網は、上段に設けられた網目寸法の大きい大網と、下段に設けられた網目寸法の小さい小網とで構成される。この篩本体に、上段の大網の上方から投入された木質廃棄物の破砕片を大網と小網で順次篩分けて、直径が20mmを越える大径の破砕片と、直径が2〜20mmの中径の破砕片と、直径が2mmを下回る小径の破砕片とに分級する。
【0101】
旋回篩機64で分級された木質廃棄物の破砕片のうち、直径が2〜20mmの中径の破砕片は、スクリューコンベヤ65で搬送され、このスクリューコンベヤ65の終端に連なる風力選別機66で重量物が除去される。風力選別機66は、ジグザグ状に繰り返し屈曲した分離管路661と、サイクロンセパレータ662と、ブロワ663を有し、ブロワ663で生成される風によって被処理物が分離管路661を上方に搬送される間に重量物を分離する。この風力選別機66により、中径の破砕片から砂等の重量物が除去され、サイクロンセパレータ662で搬送風から分離された上記中径の破砕片が、木質チップとして定量供給機51に貯留される。
【0102】
また、旋回篩機64で分級された木質廃棄物の破砕片のうち、直径が2mmを下回る小径の破砕片は、スクリューコンベヤ67で搬送され、このスクリューコンベヤ67の終端に連なる風力選別機68で重量物が除去される。風力選別機68は、分離管路681と、サイクロンセパレータ682と、ブロワ683を有し、ブロワ683で生成される風によって被処理物が分離管路681を上方に搬送される間に重量物を分離する。この風力選別機68により、小径の破砕片から砂等の重量物が除去され、サイクロンセパレータ682で搬送風から分離された上記小径の破砕片が、オガ粉として定量供給機69に貯留される。
【0103】
また、旋回篩機64で分級された木質廃棄物の破砕片のうち、直径が20mmを越える大径の破砕片は、図示しないリターンコンベヤで破砕機61に戻されて再度破砕される。
【0104】
定量供給機51に貯留された木質チップは、燃料として主に蒸気ボイラ6に供給される。蒸気ボイラ6の燃料として木質チップを用いることにより、蒸気ボイラ6の化石燃料の使用量を削減でき、二酸化炭素等の温室効果ガスの排出量を低減できる。また、定量供給機51に貯留された木質チップは、必要に応じて、RPFの材料のうちの植物由来廃棄物として、固形燃料製造ライン5に供給される。一方、定量供給機69に貯留されたオガ粉は、有機廃棄物処理ライン3に送られ、オガ粉供給装置43によって汚泥に添加されて減圧発酵乾燥装置44に投入される。減圧発酵乾燥装置44で乾燥処理を施す汚泥にオガ粉を添加することにより、汚泥の水分割合の低減と、窒素成分の割合の低減を行うことができる。なお、定量供給機69に貯留されたオガ粉は、木質チップと共に固形燃料製造ライン5に投入されてもよい。
【0105】
図13は、固形燃料製造ライン5の構成を示す模式図である。固形燃料製造ライン5は、混合廃棄物処理ライン2で抽出された廃プラスチックを含む可燃物と、有機廃棄物処理ライン3で生成された有機炭化物とを用いて、固形燃料としてのRPFを製造する。
【0106】
固形燃料製造ライン5では、混合廃棄物処理ライン2で抽出されて定量供給機50に貯蔵された廃プラスチックを含む可燃物が定量供給機50から巻き出され、スクリューコンベヤ70で搬送される。スクリューコンベヤ70で搬送される廃プラスチックを含む可燃物に、有機廃棄物処理ライン3の定量供給機49から有機炭化物が供給されて合流する。また、このスクリューコンベヤ70に、木質廃棄物処理ライン4の定量供給機51から木質チップが添加される。なお、スクリューコンベヤ70へ木質チップを添加しないで、木質チップを固形燃料の材料に用いなくてもよい。
【0107】
この固形燃料製造ライン5は、有機廃棄物処理ライン3で生成された有機炭化物と、混合廃棄物処理ライン2で抽出された廃プラスチックと、混合廃棄物処理ライン2で抽出された紙屑及び木質廃棄物処理ライン4で生成された木質チップ又はオガ粉を含む植物由来廃棄物とを、次のような割合で配合してRPFを製造する。すなわち、有機炭化物が概ね40wt%であり、廃プラスチックが概ね40wt%であり、かつ、植物由来廃棄物が概ね20wt%の割合で固形化したRPFを製造する。このRPFは、約6500kcal/kgの熱量を生成することができ、各種のボイラやバーナの燃料として十分な実用性を有する。
【0108】
図13に示すように、固形燃料製造ライン5では、スクリューコンベヤ70により、有機炭化物と、廃プラスチックと、植物由来廃棄物との混合材料が成形装置71に供給される。成形装置71は、材料の混合、混練、加熱及び押し出し工程を行い、廃プラスチックの溶融成分により、有機炭化物、紙、繊維及び木質成分を固形化してRPFを製造する。成形装置71には、スクリュー式成形装置やリングダイ式成形装置を用いることができる。
【0109】
図14は、本実施形態の固形燃料の製造プラント1に用いられる成形装置71の一部を模式的に示す断面図である。この成形装置71は、回転軸が略平行に配列された1対のスクリュー羽根712を備えるスクリュー式の成形装置である。このスクリュー式の成形装置71は、1対のスクリュー羽根712により、材料の逆流を阻止しつつ材料の混練、圧縮及び成形を行うものであり、材料の圧縮及び混練に伴って発生する摩擦熱を利用して、高効率に加熱と圧縮と成形を行うように構成されている。
【0110】
この成形装置71は、被処理物の投入口711aを上部に有するケーシング711内に、材料を混練及び圧縮する1対のスクリュー羽根712,712を収容している。図14は、1対のスクリュー羽根712,712のうちの一方のスクリュー羽根712を、回転軸の直角方向から観察した様子を示している。
【0111】
上記1対のスクリュー羽根712,712の先端側であって、上記ケーシング711の端面には、端面板713が取り付けられている。端面板713には、圧縮された材料を円形断面の棒状に成形して排出する複数の成形ノズル714,714,・・・が取り付けられている。
【0112】
ケーシング711内に収容されるスクリュー羽根712,712は、これらスクリュー羽根712,712の基端側でケーシング711の外側から内側に挿入して設置された一対の回転軸715,715の先端に取り付けられている。これら回転軸715,715の先端に、断面六角形の取付部715a,715aが形成されており、これら取付部715a,715aの外周側に、スクリュー羽根712,712が嵌合している。
【0113】
スクリュー羽根712は、上記回転軸715の取付部715aに取り付けられる軸部と、この軸部の周面に形成された螺旋羽根部とを有する。一対の回転軸715,715に取り付けられた一対のスクリュー羽根712,712は、螺旋羽根部が互いに逆回りに形成されており、回転軸の延在方向から見て螺旋羽根部が重なり合うように配置されている。一対の回転軸715,715は、互いに逆向きに回転駆動され、これにより、ケーシング711内に投入口711aから投入された材料を一対のスクリュー羽根712,712が挟み込み、混練及び圧縮しながら端面板713側に移送するように形成されている。
【0114】
ケーシング711の端面には、端面板713の成形ノズル714から排出された棒状の材料を切断する図示しない切断機が取り付けられている。この切断機は、成形ノズル714の出口に回転可能に配置された回転刃と、この回転刃を駆動するモータを備える。
【0115】
上記一対のスクリュー羽根712,712は、ケーシング711内の投入口711a側から端面板713側に向かって、順に、第1螺旋軸712aと、第2螺旋軸712bと、第3螺旋軸712cとで形成されている。各螺旋軸712a,712b,712cは、回転軸715に連結された軸部と、軸部の外周面に固定された螺旋羽根部とで形成されている。上記第1螺旋軸712aと、第2螺旋軸712bと、第3螺旋軸712cは、この順に、軸部の径が大きく形成されていると共に、螺旋羽根部のピッチが、この順に小さく形成されている。更に、螺旋羽根部の厚みが、この順に大きく形成されている。これにより、各螺旋軸の表面と、ケーシング711の内側面との間に形成される処理室の容積を、上記第1螺旋軸712aと、第2螺旋軸712bと、第3螺旋軸712cとの順に小さくしている。その結果、第1螺旋軸712a、第2螺旋軸712b及び第3螺旋軸712cは、材料を、噛み込み等の不都合を生じることなく確実に後段に移送すると共に、順次大きい圧縮力を材料に与えることができる。このスクリュー羽根712により、投入時にカサ比重が0.025の材料を、端面板の成形ノズル714からの排出時に、カサ比重が概ね0.45から0.5の間となる程度に圧縮することができる。また、投入時にカサ比重が0.025の材料を、成形ノズル714からの排出時に、真比重が概ね0.8から1の間となる程度に圧縮することができる。
【0116】
第3螺旋軸712cは、螺旋羽根部の先端に平面部を有し、平面部が端面板713の内側面に近接配置されて第3螺旋軸712cが回転駆動されることにより、高密度に圧縮された材料を端面板713の成形ノズル714から確実に押し出すようにしている。この第3螺旋軸712cは、材料に各螺旋軸712a,712b,712cが与える圧縮力のうち最大の圧縮力を与えるので、クロム鋼で形成した基部と、この基部の表面に例えばタングステンカーバイド系材料等のような耐磨耗材料を用いて形成された肉盛部とで構成している。
【0117】
ケーシング711内には、第2及び第3螺旋軸712b,712cを取り囲む複数のライニングブロック717,717,・・・が配置されている。この複数のライニングブロック717と、第2及び第3螺旋軸712b,712cの外側面との間に、材料の処理室を形成している。
【0118】
端面板713は、第3螺旋軸712cの先端の平面部が近接して通過する領域に、複数の貫通孔が設けられており、この貫通孔に成形ノズル714が挿入されている。端面板713には、抵抗加熱式のヒータが内蔵されており、成形ノズル714を通して排出する材料を加熱して、材料の柔軟性を保持するようになっている。
【0119】
この成形装置71は、次のようにして固形燃料を成形する。
【0120】
まず、端面板713のヒータに電力を供給し、端面板713の予備加熱を行った後、図示しないモータを起動して一対の回転軸715,715を互いに逆向きに回転させ、一対のスクリュー羽根712,712を互いに逆向きに回転させる。スクリュー羽根712の回転速度は、例えば30rpm以上60rpm以下の比較的低速度で回転するのが好ましい。続いて、ケーシング711の投入口711aに、スクリューコンベヤ70により、有機炭化物と、廃プラスチックと、植物由来廃棄物との混合材料が運搬されて投入される。
【0121】
ケーシング711内では、投入された材料を、一対の第1螺旋軸712aで挟み込み、混練し、強力な挟み込み力によって第2螺旋軸712b側に確実に移送する。第2螺旋軸712bは、この第2螺旋軸712bとライニングブロック717との間に形成された処理室内に材料を導いて、材料の混練及び圧縮を行う。上記処理室内に導かれた材料を、上記第2螺旋軸712bの回転動作によって端面板713側に送りながら混練及び圧縮し、材料の逆流を効果的に防止する。続いて、第3螺旋軸712cが、この第3螺旋軸712cとライニングブロック717との間に形成された処理室内に材料を導いて、更なる混練と圧縮を行う。第1、第2及び第3螺旋軸712a,712b,712cは、この順に、軸部の径が大きく形成され、螺旋羽根部のピッチが大きく形成され、かつ、螺旋羽根部の厚みが大きく形成されているので、材料の噛み込みや密度の低下等の不都合なく、材料を効果的に混練及び圧縮することができる。
【0122】
また、第1、第2及び第3螺旋軸712a,712b,712cは、順次大きい圧縮力を材料に与えて混練を行うことにより、材料に圧縮熱と摩擦熱を効果的に生じさせて、主に可燃性材料に含まれる廃プラスチック等の溶融物を効果的に溶融させることができる。このように、材料の圧縮熱や摩擦熱によって十分に溶融物を融解できるので、端面板713のヒータによって補助的に加熱するのみにより、材料中の溶融物を十分に溶解することができる。
【0123】
第3螺旋軸712cに導かれて高圧力で圧縮された材料は、溶融物が溶融した状態で、端面板713の成形ノズル714から棒状に押し出される。押し出された棒状の材料は、切断機によって所定長さに切断され、温度が降下するに伴って溶融物が固化して固形燃料が得られる。
【0124】
図15は、成形装置の他の例としてのリングダイ式成形装置102の主要部を示す図である。このリングダイ式成形装置74は、所謂ペレットミルと呼ばれる成形装置であり、回転駆動される回転筒状体740の内側から、胴部に設けられたダイ孔740aを通して被処理物を押し出すことにより、ペレット状のRPFを製造するものである。
【0125】
このリングダイ式成形装置74は、ダイ孔740aが設けられた回転筒状体740と、この回転筒状体の内側面に外側面が近接して配置された2つの転動筒体741,741とを備える。2つの転動筒体741は、回転筒状体740の直径上の対向位置に配置され、転動筒体741の表面には、被処理物のスリップを低減して取り込みを容易にする多数の軸方向溝が形成されている。回転筒状体740と、転動筒体741,741とを夫々矢印R1,R2で示す方向に回転駆動した状態で、回転筒状体740内に、有機炭化物と、廃プラスチックと、植物由来廃棄物との混合材料を投入する。投入された材料は、回転筒状体740の内側面と転動筒体741の外側面との間に挟み込まれて圧縮され、回転筒状体740の胴部のダイ孔740aから外側に押し出される。押し出された材料は、回転筒状体740の胴部に対向して配置された固定刃742,742によって所定長さに切り取られて、ペレット状のRPFが得られる。リングダイ式成形装置74は、直径が10mm程度までの比較的小径の固形燃料を製造するのに好適であり、また、成形前の被処理物の水分量が少なくて被処理物の加熱が不要である場合に好適である。
【0126】
なお、成形装置としては、上述のようなスクリュー式成形装置71やリングダイ式成形装置74を用いることができるが、例えばフラットダイ式成形装置等、他の形式の成形装置を用いることもできる。ここで、フラットダイ式成形装置としては、複数のダイ孔が環状の領域にわたって形成された平面状のフラットダイと、このフラットダイのダイ孔が形成された環状領域の中心に設けられた公転軸周りに公転駆動され、周面が上記フラットダイの表面に摺動又は転動する状態で、この周面とフラットダイの表面との間に供給された材料をダイ孔に押し込むローラとを備えるものを用いることができる。
【0127】
このようにスクリュー式成形装置71やリングダイ式成形装置74等で製造されたRPFは、冷却機72で冷却されて貯蔵サイロ73に貯蔵される。貯蔵サイロ73に貯蔵されるRPFは、ボイラ用や暖房用等の種々の用途の燃料として販売される。また、貯蔵サイロ73のRPFの一部は、燃料として蒸気ボイラ6に供給される。
【0128】
本実施形態の蒸気ボイラ6は、有機廃棄物処理ライン3の減圧発酵乾燥装置44に加熱媒体としての蒸気を供給する。蒸気ボイラ6は、バーナと蒸気ボイラ本体を有し、バーナの燃料として、固形燃料製造ライン5の貯蔵サイロ73から供給されたRPFと、木質廃棄物処理ライン4の定量供給機51から供給された木質チップと、炭化装置47から供給された可燃性ガスとを用いる。なお、蒸気ボイラ6の燃料は、これらRPF、木質チップ及び可燃性ガスのうちの少なくとも1つでよい。これらの燃料をバーナで燃焼し、この燃焼熱により蒸気ボイラで生成した蒸気を、有機廃棄物処理ライン3の減圧発酵乾燥装置44に供給する。
【0129】
この蒸気ボイラ6は、減圧発酵乾燥装置44の処理室411から、室内の空気が燃焼空気として供給されるように形成されている。処理室411内の空気は、図示しない送風機によって蒸気ボイラ6のバーナへ供給される。なお、減圧発酵乾燥装置44の真空ポンプVPで吸引された凝縮水及び室内空気から、室内空気のみを分離して蒸気ボイラ6のバーナへ供給してもよい。これにより、処理室411内の臭気を有する空気をバーナで燃焼させて、臭気を除去することができる。したがって、周辺環境へ臭気が拡散することなく、減圧発酵乾燥装置44の処理室411の減圧を行うことができる。
【0130】
このように、本実施形態の固形燃料の製造プラント1によれば、有機廃棄物処理ライン3の減圧発酵乾燥装置44により、有機廃棄物に微生物を添加して減圧環境で加熱するので、余剰汚泥等の高水分の有機廃棄物を、微生物で臭気を削減しながら、少ない燃料使用量により、効果的に乾燥させることができる。また、減圧発酵乾燥装置44により、100℃以下の比較的低い温度で有機廃棄物を乾燥できるので、有機廃棄物からの可燃性ガスの生成量を抑えることができる。したがって、炭化装置47により、乾燥有機物から可燃性ガスを多く採取することができて、有機廃棄物処理ライン3における有機廃棄物を由来とする燃料の使用量を増大できる。その結果、有機廃棄物処理ライン3で使用する燃料に対する化石燃料の割合を削減できて、燃料費を効果的に削減でき、また、二酸化炭素排出量を効果的に削減できる。また、有機廃棄物から生成された可燃性ガスを、炭化装置47のオイルバーナ475と蒸気ボイラ6のバーナで燃焼させるので、有機廃棄物から生じる臭気の拡散を効果的に防止することができる。
【0131】
また、減圧発酵乾燥装置44により、有機廃棄物から蒸発した水分を凝縮部415で凝縮し、この凝縮部415で凝縮した凝縮水と、処理室411内の空気とを、微生物が添加されて上記凝縮部415に供給される冷却水に混合するので、有機廃棄物の乾燥工程で生じる臭気の拡散を防止することができる。また、クーリングタワー430に消臭機能を持たせるので、少ない装置構成により、水分量の多い有機廃棄物を効果的に乾燥させることができると共に、有機廃棄物の臭気の拡散を防止することができる。
【0132】
また、減圧発酵乾燥装置44により、減圧環境で加熱して水分を蒸発させると共に、有機廃棄物から蒸発した水分を凝縮部415で凝縮して回収するので、水分量が98wt%を越える余剰汚泥等の有機廃棄物を、脱水機による脱水を行わなくても、比較的少ない燃料消費量により、迅速に乾燥させることができる。したがって、余剰汚泥を脱水機で脱水する工程を削除できるので、固形燃料の製造プラント1の装置構成を簡易にでき、また、固形燃料の製造工程の手間を少なくできる。
【0133】
このように、炭化処理によって臭気が低減された有機炭化物を用いた臭気の少ない固形燃料を、その製造過程においても臭気の拡散を防止しながら製造することができる。
【0134】
また、上記混合廃棄物処理ライン2の洗浄脱水機30は、軽量物に旋回力を作用させて洗浄及び脱水を行うので、従来のように紙類を乾燥させるために生石灰を添加する必要が無い。したがって、本発明の固形燃料の製造プラント1で製造された固形燃料は、燃焼する際に生成される灰を従来よりも少なくできる。
【0135】
また、上記洗浄脱水機30は、被処理物の加熱を行なわないので、加熱により被処理物に含まれる塩化ビニル等の塩素含有樹脂が溶融して他の古紙や廃プラスチック等の軽量物に付着することが無い。したがって、塩素含有樹脂の付着により、他の軽量物が固形燃料の材料に使用できなくなって、廃棄物の固形燃料への再生率が低下する不都合を防止できる。
【0136】
また、この固形燃料の製造プラント1は、混合廃棄物を処理して可燃物と廃プラスチックを抽出する混合廃棄物処理ライン2を備えるので、この製造プラント1に投入される廃棄物は、可燃物と不燃物と廃プラスチックとに分別されていなくてもよい。したがって、廃棄物の排出者及び回収者のいずれにおいても、廃棄物の分別にかかる手間と費用を削減することができる。
【0137】
また、固形燃料製造ライン5で製造されたRPFの一部や、木質廃棄物処理ライン4で生成された木質チップを、有機廃棄物処理ライン3の熱源装置である蒸気ボイラ6の燃料に用いるので、有機廃棄物を乾燥する際に必要な燃料を削減することができる。また、有機廃棄物処理ライン3において、炭化装置47で有機廃棄物から生成された可燃性ガスをオイルバーナ475の燃料に用いると共に、加熱室473から排出された熱媒ガスの余剰の熱を蒸気ボイラ6に再利用するので、オイルバーナ475や蒸気ボイラ6の燃料を削減することができる。このように、固形燃料の製造プラント1に投入された廃棄物から、固形燃料の製造プラント1で消費する燃料を製造し、また、固形燃料の製造プラント1内で余剰の熱を再利用するので、全体として、化石燃料の使用量を削減できて、二酸化炭素排出量の増大を効果的に削減することができる。
【0138】
また、本実施形態の固形燃料の製造プラント1は、家庭や事務所等からの廃棄物を混合廃棄物処理ライン2で処理すると共に、下水処理施設や建築現場や食品工場等で生成された汚泥を有機廃棄物処理ライン3で処理するので、この固形燃料の製造プラント1が設置された地域で排出される廃棄物を、一括して処理することができる。
【0139】
上記実施形態において、減圧発酵乾燥装置44で有機廃棄物を乾燥処理してなる乾燥有機物を、炭化装置47に投入して炭化を行ったが、炭化装置47に投入する乾燥有機物は、粒状に形成するのが好ましい。粒状の乾燥有機物は、図15のリングダイ式成形装置74と同様の造粒機を用いて形成することができる。粒状の乾燥有機物は、2mm以上8mmに形成するのが好ましく、4mm以上6mm以下であるのが更に好ましい。なお、リングダイ式成形装置以外に、例えばフラットダイ式成形装置等、他の形式の造粒機を用いることもできる。造粒機で粒状化された乾燥有機物は、貯蔵サイロと一体に形成された定量供給機に一旦貯蔵し、所定量を炭化装置47に巻き出すように構成する。
【0140】
このように、造粒機で粒状化した乾燥有機物を炭化装置47で炭化することにより、炭化装置47の炭化室474で、固形化されて微粒子の少ない乾燥有機物を加熱する。これにより、排気口479から排出される可燃性ガスに混入する乾燥有機物や炭化物の微粒子を少なくできる。したがって、可燃性ガスを加熱室473や蒸気ボイラ6に供給する可燃性ガス管480、炭化装置配管481及びボイラ配管482内や、加熱室473から蒸気ボイラ6の熱交換器を通って集塵機486に至る燃焼ガスの経路内に蓄積する粉塵を少なくできる。すなわち、炭化装置47で炭化する乾燥有機物を粒状に固形化することにより、炭化装置47で回収する可燃性ガスの粉塵を少なくでき、その結果、可燃性ガスの加熱室473での燃焼や、加熱室473で燃焼した余剰の熱を蒸気ボイラ6で再利用することや、可燃性ガスの蒸気ボイラ6での燃焼といった複数の用途に、上記可燃性ガスを用いることができる。また、炭化装置47で炭化する乾燥有機物を粒状に固形化することにより、乾燥有機物や有機炭化物の粉塵の生成による損失を削減でき、有機炭化物の収率を高めることができる。
【0141】
また、上記実施形態において、一般廃棄物を混合廃棄物処理ライン2に投入して可燃物を抽出してバインダを形成する一方、有機廃棄物を有機廃棄物処理ライン3に投入して有機炭化物を形成したが、混合廃棄物処理ライン2で混合廃棄物から抽出された生ごみ等の有機物を、有機廃棄物処理ライン3の減圧発酵乾燥装置44に投入し、乾燥処理を行った後、炭化装置47で炭化して炭化有機物を形成してもよい。
【0142】
上記実施形態において、有機廃棄物処理ライン3の炭化装置47で生成した可燃性ガスの一部を蒸気ボイラ6の燃料として用いたが、炭化装置47で生成した可燃性ガスを蒸気ボイラ6の燃料に用いなくてもよい。
【0143】
また、上記実施形態において、有機廃棄物として余剰汚泥を用いたが、有機廃棄物として、湖沼や海の底に堆積したヘドロや、農水産業で排出される廃棄物や、食品工場から排出される食品残渣や、一般家庭から排出される生ごみ等、各種産業の生産工程や排水処理に伴って生じる高水分の有機物を用いてもよい。
【0144】
また、本実施形態において、有機炭化物に混合するバインダとして、廃プラスチックと、廃紙や木屑等の植物由来の廃棄物とを用いたが、バインダは少なくとも熱可塑性のプラスチック成分を含んでいればよい。
【0145】
上記実施形態では、有機廃棄物処理ライン3で本発明の有機廃棄物の炭化方法により有機炭化物を形成し、この有機炭化物を用いて固形燃料を製造する場合を例示したが、本発明の有機廃棄物の炭化方法により形成した有機炭化物は、燃料のほか、肥料、凝集剤、吸着剤、ろ過材、土壌改良剤、融雪剤、又は、還元剤に用いてもよい。
【符号の説明】
【0146】
1 固形燃料の製造プラント
2 混合廃棄物処理ライン
3 有機廃棄物処理ライン
4 木質廃棄物処理ライン
5 固形燃料製造ライン
44 減圧発酵乾燥装置
47 炭化装置
71 成形装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば余剰汚泥等の有機廃棄物を用いた固形燃料の製造方法及び製造プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
下水汚泥は、含有する水分量が99wt%(質量百分率)を越えると共に臭気が強く、その多くは、活性汚泥法による曝気工程と沈殿工程を経て余剰汚泥とされた後、産業廃棄物として、埋立てや焼却等の最終処分が行われている。
【0003】
最近、地球環境への配慮が高まりつつあることに伴い、余剰汚泥の埋め立てによる土壌汚染や、余剰汚泥の焼却による大気中への二酸化炭素の排出が問題となっている。これらの問題に関連し、余剰汚泥を材料に用いて固形燃料を製造することにより、余剰汚泥の埋め立て量の削減や、化石燃料との置き換えによる二酸化炭素の排出量の削減が期待されている。
【0004】
従来、下水汚泥を用いて固形燃料を製造する方法として、下水汚泥に乾燥処理を行って0〜50wt%の含水量とした後、250〜500℃の温度で炭化処理を行って汚泥炭化物を形成し、この汚泥炭化物に廃油等を混合して造粒する技術が提案されている(特許文献1参照)。上記乾燥処理では、下水汚泥をフィルタープレスなどの脱水機で処理して脱水汚泥とした後に、天日又は乾燥機等で乾燥させて、含水量を0〜50wt%に調整している。また、上記炭化処理では、スクリュー炭化炉やロータリーキルン炭化炉などが使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−152097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の固形燃料を製造する方法は、乾燥処理において、下水汚泥をフィルタープレスで脱水した後、天日又は乾燥機で乾燥させるので、脱水により分離した水に含まれる臭気や、天日で乾燥させる際に拡散する臭気により、周辺環境に悪影響を及ぼすおそれがある。また、乾燥処理に、脱水機のほか、天日乾燥装置や乾燥機を用いるので手間と時間がかかり、特に、天日乾燥を行う場合に時間がかかる問題がある。また、乾燥処理に乾燥機を用いる場合、一般的に、乾燥用の熱を生成するために化石燃料を用いるので、燃料費が嵩み、また、二酸化炭素の排出量が多い問題がある。さらに、炭化処理においても、炭化炉の燃料に化石燃料を用いると、燃料費が嵩み、また、二酸化炭素の排出量が多い問題がある。この場合、廃棄物の利用による二酸化炭素排出量の削減効果が、減殺される問題がある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、有機廃棄物の乾燥及び炭化を、脱臭しながら比較的短時間かつ少ない工程で行うことができ、しかも、化石燃料の使用量を削減できて、効果的に燃料費の削減と二酸化炭素排出量の削減ができる固形燃料の製造方法と製造プラントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の固形燃料の製造方法は、有機廃棄物を、微生物を添加して減圧環境で加熱して乾燥有機物を形成する減圧乾燥工程と、
上記減圧乾燥工程で有機廃棄物から蒸発した水分を凝縮する凝縮工程と、
上記凝縮工程で水分を冷却すると共に微生物が添加された冷却水に、上記凝縮工程で生じた凝縮水と、上記減圧乾燥工程で生じた臭気を含む気体とを混合し、この冷却水を冷却する混合冷却工程と、
上記乾燥有機物を低酸素環境下で加熱して、有機炭化物を形成すると共に可燃性ガスを生成する炭化工程と、
上記炭化工程で乾燥有機物から生成された可燃性ガスを、上記減圧乾燥工程又は炭化工程における加熱用の燃料として燃焼させる燃焼工程と、
上記有機炭化物を、バインダと混合し、成形する混合成形工程と
を備えることを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、減圧乾燥工程で、有機廃棄物を、微生物を添加して減圧環境で加熱して乾燥有機物を形成する。有機廃棄物に微生物を添加して減圧環境で加熱するので、有機廃棄物が、例えば余剰汚泥等のように水分量が90wt%を越えるものであっても、微生物の分解作用で臭気を抑えると共に、沸点を降下させて比較的低い加熱温度で乾燥させることができる。このように、減圧による沸点の降下により、乾燥のための加熱温度を比較的低くできるので、加熱のために使用する燃料を比較的少なくできると共に、有機廃棄物に添加される微生物の死滅を防止でき、臭気の削減効果を安定して奏することができる。ここで、有機廃棄物とは、各種産業の生産工程や排水処理、或いは、都市基盤から排出されて有機物を含む廃棄物を広くいい、例えば活性汚泥法による汚泥処理に伴って生じた余剰汚泥や、湖沼や海の底に堆積したヘドロや、農水産業で排出される廃棄物や、食品工場から排出される食品残渣や、一般家庭から排出される生ごみ等が該当する。
【0010】
ここで、上記減圧乾燥工程で、有機廃棄物の加熱温度を比較的低くすることにより、上記有機廃棄物からの可燃性ガスの生成量を抑えることができる。この減圧乾燥工程での可燃性ガスの生成量を抑えることにより、減圧乾燥工程の後の炭化工程で、可燃性ガスを多く採取することができる。したがって、有機廃棄物から効率的に可燃性ガスを生成して採取することができ、この可燃性ガスを減圧乾燥工程又は炭化工程の加熱用の燃料として燃焼させる燃焼工程において、有機廃棄物から生成された可燃性ガスを多く用いることができる。すなわち、上記減圧乾燥工程及び炭化工程の加熱に必要な燃料に対して、炭化工程で生成された可燃性ガスを用いる割合を高めることができる。その結果、上記加熱のために新たに使用する化石燃料を削減することができる。その結果、燃料費を削減でき、また、化石燃料の使用に伴う温室効果ガスや大気汚染物質の排出量を削減することができる。また、有機廃棄物から生成された可燃性ガスを燃焼させるので、有機廃棄物の臭気を効果的に低減することができる。
【0011】
また、凝縮工程により、上記減圧乾燥工程で有機廃棄物から蒸発した水分を凝縮する。この凝縮工程で用いられる冷却水であって微生物が添加された冷却水に、混合冷却工程により、上記凝縮工程で生じた凝縮水と、上記減圧乾燥工程で生じた臭気を含む気体とを混合し、この冷却水を冷却する。これにより、冷却水を冷却すると共に、凝縮水や気体に含まれる臭気を、冷却水の微生物で分解して脱臭することができる。したがって、減圧乾燥工程における有機廃棄物の乾燥を促進すると共に、有機廃棄物の乾燥に伴って生じる臭気の拡散を効果的に防止できる。
【0012】
このように、本発明の固形燃料の製造方法によれば、例えば余剰汚泥のように水分量が多くかつ臭気の強い有機廃棄物を、効率よく迅速に、しかも、比較的低廉な燃料消費により、温室効果ガスや大気汚染物質の排出量を削減しながら、さらに、臭気の拡散を防止しながら乾燥及び炭化させて、臭気の少ない固形燃料を製造することができる。
【0013】
上記炭化工程において、低酸素環境とは、乾燥有機物が置かれる雰囲気中の酸素濃度が、容積割合で5%以上12%以下であることをいう。また、上記炭化工程において、乾燥有機物の加熱温度は、350℃以上500℃以下であるのが好ましく、乾燥有機物の加熱時間は、5分以上10分以下であるのが好ましい。これらの酸素濃度と加熱温度と加熱時間の条件により、乾燥有機物を炭化させると共に、乾燥有機物から、例えば水素、一酸化炭素及びメタン等を含む可燃性ガスを生成することができる。
【0014】
一実施形態の固形燃料の製造方法は、上記炭化工程における加熱の余剰の熱を、上記減圧乾燥工程における加熱に利用する。
【0015】
上記実施形態によれば、炭化工程で乾燥有機物から生成された可燃性ガスを、炭化工程の加熱用の燃料として燃焼工程で燃焼させ、この炭化工程における加熱の余剰の熱を、減圧乾燥工程の加熱に利用することにより、炭化工程よりも多くの熱量が必要である減圧乾燥工程に、安定して熱を供給することができる。また、固形燃料の製造方法の全体として、熱の無駄な消費を削減できる。
【0016】
一実施形態の固形燃料の製造方法は、上記減圧乾燥工程で生じた気体を、この減圧乾燥工程における有機廃棄物の加熱用の燃焼空気として供給する燃焼空気供給工程を備える。
【0017】
上記実施形態によれば、減圧乾燥工程で生じた気体を、この減圧乾燥工程において有機廃棄物を加熱するための燃焼空気として、例えばバーナ等の熱源装置に供給することにより、気体の臭気成分を燃料と共に燃焼させて、減圧乾燥工程で生じる臭気を除去することができる。
【0018】
一実施形態の固形燃料の製造方法は、上記炭化工程の前に、上記減圧乾燥工程で形成された乾燥有機物を粒状化する粒状化工程を備え、
上記炭化工程で、粒状化された上記乾燥有機物を加熱する。
【0019】
上記実施形態によれば、粒状化工程により、減圧乾燥工程で形成された乾燥有機物を粒状化するので、乾燥有機物が固形化されて、粉末状の乾燥有機物が少なくなる。したがって、粒状化された乾燥有機物を加熱する炭化工程において、粉末状の乾燥有機物や有機炭化物が排気と共に排出される量が少なくなる。その結果、乾燥有機物から有機炭化物を形成する間に生じる損失を削減でき、有機炭化物の収率を高めることができる。また、炭化工程において排気と共に排出される粉末を少なくできるので、排気から粉末を収集する集塵装置を小型にでき、また、集塵装置の保守等の手間を少なくできる。その結果、炭化工程における集塵に関する費用や手間を少なくできる。
【0020】
なお、乾燥有機物の粒状化とは、減圧乾燥工程で形成された乾燥有機物を、2mm以上8mm以下の固形の粒に形成することをいう。粒状化は、いわゆるペレットミル等の造粒機によって行うことができる。
【0021】
本発明の固形燃料の製造プラントは、微生物が添加された有機廃棄物を、減圧環境で加熱して乾燥有機物を形成する減圧乾燥装置と、
上記乾燥有機物を低酸素環境下で加熱して、有機炭化物を形成すると共に可燃性ガスを生成する炭化装置と、
上記有機炭化物を、バインダと混合して成形し、固形燃料を形成する成形装置とを備え、
上記減圧乾燥装置は、有機廃棄物が投入されて内部を減圧するケーシングと、ケーシング内に回転可能に配置されて有機廃棄物を攪拌する攪拌部と、ケーシングの少なくとも一部に設けられて有機廃棄物を加熱する加熱部と、上記有機廃棄物からの蒸気を凝縮する凝縮部と、この凝縮部に供給されて微生物が添加された冷却水と、上記凝縮部で生じた凝縮水と、上記有機廃棄物の乾燥によって生じた臭気を含む気体とをケーシングから吸引する吸引ポンプと、上記冷却水に上記吸引ポンプで吸引された凝縮水と気体とを混合すると共にこの冷却水を冷却する混合冷却器とを有し、
上記減圧乾燥装置及び炭化装置のうちの少なくとも一方の加熱用に、上記炭化装置で乾燥有機物から生成された可燃性ガスを燃料として用いることを特徴としている。
【0022】
上記構成によれば、減圧乾燥装置により、微生物が添加された有機廃棄物が、減圧環境で加熱されて乾燥有機物が形成される。すなわち、内部が減圧されたケーシング内に有機廃棄物が投入され、この有機廃棄物が加熱部で加熱されると共に、攪拌部で攪拌される。有機廃棄物に微生物が添加されて減圧環境で加熱されるので、有機廃棄物が、例えば余剰汚泥等のように水分量が98wt%を越えるものであっても、微生物の分解作用で臭気が抑えられると共に、沸点が降下して比較的低い加熱温度で乾燥する。このように、減圧による沸点の降下により、加熱部による加熱温度を比較的低くできるので、加熱部の熱源装置に使用する燃料を比較的少なくできると共に、有機廃棄物に添加される微生物の死滅を防止でき、臭気の削減効果を安定して奏することができる。ここで、有機廃棄物とは、各種産業の生産工程や排水処理、或いは、都市基盤から排出されて有機物を含む廃棄物を広くいい、例えば活性汚泥法による汚泥処理に伴って生じた余剰汚泥や、湖沼や海の底に堆積したヘドロや、農水産業で排出される廃棄物や、食品工場から排出される食品残渣や、一般家庭から排出される生ごみ等が該当する。
【0023】
上記減圧乾燥装置は、加熱部による有機廃棄物の加熱温度を比較的低く設定することにより、上記有機廃棄物からの可燃性ガスの生成量を抑えることができる。この減圧乾燥装置による処理を行う際の可燃性ガスの生成量を抑えることにより、炭化装置で乾燥有機物を処理する際に、可燃性ガスを多く採取することができる。したがって、有機廃棄物から効率的に可燃性ガスを生成して採取することができ、この可燃性ガスを減圧乾燥装置の加熱用の燃料として、又は、炭化装置の加熱用の燃料として燃焼させる際に、有機廃棄物から生成された可燃性ガスを多く用いることができる。すなわち、上記減圧乾燥装置及び炭化装置の加熱に必要な燃料に対して、炭化装置で生成された可燃性ガスを用いる割合を高めることができる。その結果、上記減圧乾燥装置及び炭化装置の加熱のために新たに使用する化石燃料を削減することができる。その結果、燃料費を削減でき、また、化石燃料の使用に伴う二酸化炭素の排出量を削減することができる。また、有機廃棄物から生成された可燃性ガスを燃焼させるので、有機廃棄物の臭気を効果的に低減することができる。
【0024】
また、上記減圧乾燥装置では、有機廃棄物から蒸発した水分が凝縮部で凝縮される。この凝縮部に供給されて微生物が添加された冷却水に、混合冷却器によって、吸引ポンプで吸引された上記凝縮水とケーシング内の気体とが混合され、冷却される。これにより、冷却水を冷却すると共に、凝縮水や気体の臭気を冷却水の微生物で分解して脱臭することができる。したがって、有機廃棄物の乾燥を促進すると共に、有機廃棄物の乾燥に伴って生じる臭気の拡散を効果的に防止できる。
【0025】
このように、本発明の固形燃料の製造プラントによれば、例えば余剰汚泥のように水分量が多くかつ臭気の強い有機廃棄物を、効率よく迅速に乾燥させ、比較的少ない燃料の消費量のもと、二酸化炭素等の温室効果ガスの発生と窒素酸化物等の大気汚染物質の発生を抑制しながら炭化でき、しかも、減圧乾燥装置と炭化装置による処理中の臭気の拡散を防止しながら、臭気の少ない固形燃料を製造することができる。
【0026】
上記炭化装置による炭化工程において、低酸素環境とは、乾燥有機物が置かれる雰囲気中の酸素濃度が、容積割合で5%以上12%以下であることをいう。また、上記炭化装置による炭化工程において、乾燥有機物の加熱温度は、350℃以上500℃以下であるのが好ましく、乾燥有機物の加熱時間は、5分以上10分以下であるのが好ましい。これらの酸素濃度と加熱温度と加熱時間の条件により、乾燥有機物を炭化させると共に、乾燥有機物から、例えば水素、一酸化炭素及びメタン等を含む可燃性ガスを生成することができる。
【0027】
一実施形態の固形燃料の製造プラントは、上記炭化装置で乾燥有機物を加熱する際の余剰の熱を、上記減圧乾燥装置の加熱部に供給して利用する。
【0028】
上記実施形態によれば、炭化装置で乾燥有機物から生成された可燃性ガスを、炭化装置で乾燥有機物を加熱する燃料として燃焼させ、この炭化装置で加熱する際に生じた余剰の熱を、減圧乾燥装置の加熱部に供給して利用することにより、乾燥有機物を炭化するときよりも多くの熱量が必要である有機廃棄物の乾燥のために、減圧乾燥装置に安定して熱を供給することができる。また、固形燃料の製造プラントの全体として、熱の無駄な消費を削減できる。
【0029】
一実施形態の固形燃料の製造プラントは、上記減圧乾燥装置のケーシング内の気体を吸引し、この減圧乾燥装置の加熱用の熱源装置に、上記吸引した気体を燃焼空気として供給する第2の吸引ポンプを備える。
【0030】
上記実施形態によれば、減圧乾燥装置で生じた気体を、第2の吸引ポンプによって、この減圧乾燥装置の加熱用の熱源装置に燃焼空気として供給することにより、気体の臭気成分を燃料と共に燃焼させて、減圧乾燥装置で生じる臭気を除去することができる。
【0031】
一実施形態の固形燃料の製造プラントは、上記減圧乾燥装置で形成され、上記炭化装置に投入される前の乾燥有機物を粒状化する粒状化装置を備える。
【0032】
上記実施形態によれば、粒状化装置により、減圧乾燥装置で形成された乾燥有機物を粒状化するので、乾燥有機物が固形化されて、粉末状の乾燥有機物が少なくなる。したがって、粒状化された乾燥有機物を炭化装置で加熱する際に、粉末状の乾燥有機物や有機炭化物が排気と共に排出される量が少なくなる。その結果、乾燥有機物から有機炭化物を形成する間に生じる損失を削減でき、有機炭化物の収率を高めることができる。また、炭化装置から排気と共に排出される粉末が少ないので、排気から粉末を収集して除去する集塵装置を小型にでき、また、集塵装置の保守等の手間を少なくできる。その結果、炭化装置からの排気の集塵に関する費用や手間を少なくできる。
【0033】
なお、乾燥有機物の粒状化とは、減圧乾燥装置で形成された乾燥有機物を、2mm以上8mm以下の固形の粒に形成することをいう。粒状化装置として、例えばペレットミル等の造粒機を用いることができる。
【0034】
一実施形態の固形燃料の製造プラントは、上記バインダは、木質材料、紙材料及びプラスチック材料のうちの少なくとも1つを含む。
【0035】
上記実施形態によれば、木質材料、紙材料及びプラスチック材料のうちの少なくとも1つを含むバインダを、有機炭化物と混合して成形することにより、形状を安定して保持できる固形燃料を製造できる。
【0036】
一実施形態の固形燃料の製造プラントは、上記減圧乾燥装置で処理される有機廃棄物に、木質材料の粉末が添加されている。
【0037】
上記実施形態によれば、木質材料の粉末を有機廃棄物に添加することにより、減圧乾燥装置の処理対象の水分量を低減でき、迅速に乾燥有機物を生成できる。木質材料の粉末としては、廃木材や間伐材等を粉砕してなるオガ粉を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施形態の固形燃料の製造プラントの構成を示すブロック図である。
【図2】混合廃棄物処理ラインの構成を示す模式図である。
【図3】揺動型分別機の主要部を示す模式図である。
【図4】風力選別機の主要部を示す模式図である。
【図5】洗浄脱水機を示す模式図である。
【図6】光学式選別装置を示す模式図である。
【図7】有機廃棄物処理ラインの構成を示す模式図である。
【図8】減圧発酵乾燥装置の構成を示す模式図である。
【図9】減圧発酵乾燥装置のケーシング内を示す縦断面図である。
【図10】混合冷却器を示す模式図である。
【図11】炭化装置を示す模式断面図である。
【図12】木質廃棄物処理ラインの構成を示す模式図である。
【図13】固形燃料製造ラインの構成を示す模式図である。
【図14】スクリュー式成形装置の一部を示す断面図である。
【図15】リングダイ式成形装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の固形燃料の製造プラントの実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0040】
本実施形態の固形燃料の製造プラントは、有機廃棄物を処理して有機炭化物を生成すると共に、可燃物と不燃物が混合して存在する混合廃棄物を処理して可燃物を抽出し、有機炭化物に可燃物をバインダとして混合して固形燃料を製造するプラントであり、図1は、固形燃料の製造プラントの全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、固形燃料の製造プラント1は、混合廃棄物を処理する混合廃棄物処理ライン2と、有機廃棄物を処理する有機廃棄物処理ライン3と、木質廃棄物処理ライン4と、固形燃料を製造する固形燃料製造ライン5と、有機廃棄物処理ライン3に蒸気を供給する蒸気ボイラ6を備える。
【0041】
混合廃棄物処理ライン2は、家庭や事務所等から排出された主に一般廃棄物を処理するものであり、可燃物と不燃物とが混在した状態で投入される。ここで、可燃物とは、例えば古紙や天然繊維や廃木材等の植物由来の廃棄物と、例えば化繊布や食品トレイやビニル袋や玩具や文具等の廃プラスチックとを含む。また、不燃物とは、例えば金属製品や陶器やガラス瓶等である。なお、可燃物と不燃物は、互いに分別収集された状態で投入されてもよく、或いは、混合されて収集された状態で投入されてもよい。廃棄物が分別されている場合、可燃物のうちの植物由来廃棄物と廃プラスチックとが、さらに分別されていてもよく、又は、混在していてもよい。この混合廃棄物処理ライン2は、投入された可燃物と不燃物を分別し、可燃物を洗浄及び乾燥して抽出する。混合廃棄物処理ライン2で抽出された可燃物が、固形燃料製造ライン5で製造する固形燃料のバインダとして用いられる。
【0042】
有機廃棄物処理ライン3は、有機廃棄物を処理するものであり、特に、水分量が概ね80wt%を越える高水分の有機廃棄物を処理する。有機廃棄物としては、例えば余剰汚泥や、食品工場から排出された食品残渣や、湖沼や海の底に堆積したヘドロ等が該当する。この有機廃棄物処理ライン3は、有機廃棄物を減圧環境で発酵及び乾燥させて、水分量が概ね50wt%以下の乾燥有機物を生成する。さらに、有機廃棄物処理ライン3では、乾燥有機物を炭化処理して有機炭化物を形成する。本実施形態では、この有機廃棄物処理ライン3で、本発明の有機廃棄物の炭化方法を行う。有機廃棄物処理ライン3は、有機廃棄物として余剰汚泥を処理するが、余剰汚泥に加えて生ごみ等が投入されてもよい。この有機廃棄物処理ライン3で形成された有機炭化物は、固形燃料製造ライン5で製造する固形燃料の材料に用いられる。
【0043】
また、有機廃棄物処理ライン3は、有機廃棄物に乾燥処理と炭化処理を行うことにより、可燃性ガスを生成する。この可燃性ガスは、有機廃棄物の材料に応じて、水素、一酸化炭素及びメタン等を含む。この可燃性ガスは、有機廃棄物処理ライン3内の炭化装置の加熱用の燃料として使用されるほか、蒸気ボイラ6に燃料として供給される。
【0044】
木質廃棄物処理ライン4は、木質廃棄物を処理するものであり、建築物の解体によって生じた廃木材や、間伐材や、材木端材等の木質廃棄物が投入される。この木質廃棄物処理ライン4は、木質廃棄物を破砕して、木質チップ及びオガ粉を形成する。木質廃棄物処理ライン4で形成されたオガ粉は、有機廃棄物処理ライン3で処理される有機廃棄物に混合される。木質廃棄物処理ライン4で形成された木質チップは、固形燃料製造ライン5で木質材料として用いられると共に、蒸気ボイラ6の燃料として用いられる。ここで、有機廃棄物に混合されるオガ粉は直径が概ね4mm以下であり、好ましくは2.5mm以下である。固形燃料の木質材料及び蒸気ボイラ6の燃料として用いられる木質チップは、直径が概ね2〜20mmである。
【0045】
固形燃料製造ライン5は、有機廃棄物処理ライン3で生成された有機炭化物に、混合廃棄物処理ライン2で抽出された廃プラスチック及び植物由来の廃棄物を含む可燃物をバインダとして混合し、成形して固形燃料を製造するものであり、固形燃料としてのRPF(廃紙廃プラスチック燃料)を製造する。固形燃料製造ライン5で製造されたRPFは、一部が蒸気ボイラ6の燃料として用いられる。
【0046】
ここで、固形燃料製造ライン5は、有機廃棄物処理ライン3で生成された有機炭化物と、混合廃棄物処理ライン2で抽出された廃プラスチック及び植物由来廃棄物を、次のような割合で配合してRPFを製造する。なお、植物由来廃棄物には、木質廃棄物処理ライン4で生成された木質チップを含んでもよい。RPFを製造するための材料の配合割合の一例は、有機炭化物が概ね40wt%であり、廃プラスチックが概ね40wt%であり、かつ、植物由来廃棄物が概ね20wt%である。この配合割合のRPFは、約6500kcal/kgの熱量を生成することができ、各種のボイラやバーナの燃料として十分な実用性を有する。なお、石炭と同等の熱量で足りる場合は、有機炭化物が概ね60wt%であり、廃プラスチックが概ね30wt%であり、かつ、木屑及び/又は紙屑が概ね10wt%の割合でよく、この配合割合で製造したRPFは、約5500kcal/kgの熱量を有する。
【0047】
蒸気ボイラ6は、有機廃棄物処理ライン3で有機廃棄物を乾燥させるための加熱媒体としての蒸気を生成するものであり、固形燃料製造ライン5で製造されたRPFと、木質廃棄物処理ライン4で形成された木質チップと、有機廃棄物処理ライン3で生成された可燃性ガスの少なくとも一つを用いる。また、蒸気ボイラ6には、有機廃棄物処理ライン3で乾燥有機物を炭化させる際の余剰の熱が、熱媒体としての高温ガスが供給されることにより供給される。
【0048】
以下、各ラインの構成と、各ラインで行われる処理の詳細を、ライン毎に説明する。
【0049】
図2は、混合廃棄物処理ライン2の構成を示す模式図である。混合廃棄物処理ライン2には、家庭や事務所等から排出された廃棄物が、まず、粗破砕機21に受け入れられる。粗破砕機21は、廃棄物の粗破砕を行うものであり、廃棄物が袋や容器等に包まれている場合、袋や容器を破壊して廃棄物を個片化する破袋作用を奏する。粗破砕機21は、下方に狭くなった処理空間を形成する傾斜側板付きホッパを有したケーシング内に、回転駆動されるロータを収容している。ロータは、長手方向に複数組配列されたなぎなた状の破袋刃を有し、破袋刃の間に横断方向に配置された上仕切り板の中央部の上部に軸受で軸承されている。上仕切り板の下には、円弧面上に固定刃の縦通材が複数固定されて粗いスクリーンを形成した下仕切り板が設けられている。なお、粗破砕機21として、公知のハンマークラッシャーやロータリスクリュークラッシャーを用いてもよい。スクリュークラッシャーは、二軸型と一軸型のいずれでもよい。
【0050】
粗破砕機21によって粗破砕された廃棄物は、コンベヤで搬送される途中で、磁選機22によって鉄等の磁性物が除去される。磁性物が除去された廃棄物は、1軸型の破砕機23に供給され、約150mm程度の大きさに破砕される。破砕機23で破砕された廃棄物は、揺動型分別機24に供給される。
【0051】
揺動型分別機24では、軽量物と、重量物と、小径物に分別される。軽量物は、かさ比重が比較的小さいものであり、可燃物のうち、シート状又は板状の紙や布、及び、繊維屑等が含まれる。また、廃プラスチックのうち、シート状又は薄板状の樹脂が含まれる。重量物は、かさ比重が比較的大きいものであり、可燃物のうち、木片が含まれる。また、廃プラスチックのうち、樹脂製の容器やボトルが含まれる。また、不燃物のうち、寸法の比較的大きい金属や陶器やガラス等が含まれる。小径物は、真比重が比較的大きくて小径のものであり、金属の粒や、陶器の粒や、土砂等が含まれる。
【0052】
揺動型分別機24は、図3に主要部を示すように、長手方向に傾斜して設置され、下から上に向かって廃棄物に送りを掛けるように揺動する複数の短冊状篩板241と、モータ242の回転力がチェーン243を介して入力されて、短冊状篩板241を揺動駆動するクランク機構244を備える。短冊状篩板241上には、被処理物(廃棄物)に送りを掛ける突起245が複数設けられている。揺動型分別機24の主要部が収容されたケーシング内に、矢印W1で示すように上方から投入された廃棄物は、短冊状篩板241の揺動によって、軽量物が矢印W2で示すように上方に送られる一方、重量物は自重によって矢印W3で示すように短冊状篩板241の下方端に移動し、小径物は短冊状篩板241の篩目から矢印W4で示すように下方に落下する。こうして、廃棄物が、軽量物と、重量物と、小径物に分別される。小径物は、トレイに貯留された後、廃棄される。
【0053】
揺動型分別機24で分別された重量物は、1軸型破砕機25で破砕された後、スクリューコンベヤ26で搬送される。スクリューコンベヤ26の終端には、風力選別機27が設けられており、破砕物が、樹脂製容器やボトル等の破砕であるプラスチック片や木屑等の軽量物と、陶器片やガラス片や金属片等の重量物とに分別される。風力選別機27は、図4に主要部を示すように、竪形のジグザグ管路271の下部の供給口271aから矢印W5で示すように破砕物が連続的に供給され、ブロワ272によって下から上に流れる空気により、プラスチック片等の軽量の可燃物と、陶器片等の重量の不燃物とに選別する。空気流は、ジグザグ管路271の下端部の給気口271bに供給されてジグザグ管路271中を流れ、上端部からサイクロンセパレータ273まで軽量可燃物を搬送する。軽量可燃物を搬送した空気は、サイクロンセパレータ273で軽量可燃物が分離された後に、ブロワ272に吸引される。軽量可燃物は、矢印W6で示すように、ロータリーシール弁を介して、サイクロンセパレータ273の下端から排出され、貯蔵サイロと一体に形成された定量供給機50に貯蔵される。重量不燃物は、矢印W7で示すようにベルトコンベヤ28上に排出される。
【0054】
重量不燃物は、ベルトコンベヤ28で搬送される途中で、磁選機29によって鉄等の磁性物が除去される。磁性物は、図示しないホッパに貯留されて再生資源として利用される一方、磁性物が除去された重量不燃物は、トレイに貯留された後、廃棄される。
【0055】
一方、揺動型分別機24で分別された軽量物は、洗浄脱水機30に送られる。洗浄脱水機30は、図5に模式図を示すように、ケーシング301の一端に形成された投入口301aに、矢印W8で示すように、軽量物が、水及び空気と共に投入される。水には、オゾンや脱臭酵素等の脱臭剤が添加される。ケーシング301内には、回転軸302に取り付けられて、軽量物に送りをかけるように回転駆動される複数のパドル303が配置されている。また、ケーシング301内には、パドル303を取り囲むように多孔筒304が配置されている。軽量物は、パドル303によって多孔筒304内を他端側に送られるに伴い、汚れが水分と共に除去されて洗浄され、乾燥する。軽量物から水と共に除去された汚れは、汚水となって多孔筒304の外側に排出され、ケーシング301の下部に集められる。この汚水は、ケーシング301の下部に配置された排出コンベヤ305により、矢印W9で示すようにケーシング301外に排出される。ケーシング301外に排出された汚水は、有機廃棄物処理ライン3に投入される。
【0056】
洗浄されて乾燥した軽量物は、ケーシング301の他端に形成された排出口301bから、この排出口301bに接続された取り出しコンベヤ306によって排出される。取り出しコンベヤ306の終端には、上下に延びる縦管307が取り付けられており、縦管307の取り出しコンベヤ306の接続位置よりも下方から上に向かって、ブロワ308による空気流が形成される。縦管307内を下から上に流れる空気により、取り出しコンベヤ306から排出された軽量物が、紙やプラスチックや布や繊維屑等の可燃物と、軽量物に混入していた金属粒等の不燃物とに選別される。空気流は、矢印W10で示すように、可燃物を縦管307からサイクロンセパレータ31まで搬送し、サイクロンセパレータ31で可燃物が分離された後にブロワ308によって吸引される。一方、不燃物は、矢印W11で示すように、縦管307の下端から自重によって排出される。
【0057】
このように、洗浄脱水機30は、軽量物に旋回力を作用させて洗浄及び脱水を行うので、被処理物である軽量物を加熱する必要が無い。したがって、洗浄脱水機30にはボイラやバーナ等の熱源装置が不要であるから、従来よりも設備コストを低減できると共に、化石燃料の使用による二酸化炭素の排出を防止できる。
【0058】
サイクロンセパレータ31で分離された紙やプラスチック等の可燃物は、定量供給機32に送られて一時貯留される。可燃物は、定量供給機32から振動スクリーン33に供給される。振動スクリーン33は、傾斜して配置されたスクリーンと、スクリーンを振動させる振動機構を有し、後続する塩素含有樹脂除去装置としての光学式選別装置35の移送装置の上方にスクリーンの下端が位置するように配置されている。振動スクリーン33は、定量供給機32からスクリーンの上端部に投入された軽量物を、スクリーンの振動作用によって下端から幅方向に満遍なく排出する。これにより、光学式選別装置35の移送装置の上面に、軽量物を均一に配置するようになっている。
【0059】
図6は、光学式選別装置35を示す模式図である。光学式選別装置35は、被処理物を移送する移送装置としてのベルトコンベヤ351と、ベルトコンベヤ351の終端部の近傍に配置され、被処理物に電磁波としての近赤外線を照射し、その反射波を受ける光学ユニット352と、被処理物に圧縮空気を噴射する噴射部としてのエアガン353と、光学ユニット352及びエアガン353に接続された制御部354を備える。エアガン353は、圧縮空気を供給するコンプレッサユニット355に接続されている。光学ユニット352は、ベルトコンベヤ351上の軽量物に近赤外線を照射する電磁波照射部としての照射部356と、軽量物で反射された近赤外線の反射波を受ける反射波検出部としての受光部357を有する。照射部356は、ベルトコンベヤ351のベルトの進行方向の前後から近赤外線を照射する一対のランプが、ベルトコンベヤ351のベルトの幅方向に複数個配列されて形成されている。照射部356の各対のランプの間に、直下からの近赤外線を受光するように、受光部としての近赤外線カメラ357のレンズが配置されている。
【0060】
ベルトコンベヤ351は、振動スクリーン33から、被処理物としての軽量物がベルトの上面に供給され、この軽量物を終端側に移送する。軽量物が光学ユニット352の下方に達すると、光学ユニット352の照射部356が近赤外線を軽量物に照射し、照射された近赤外線が軽量物で反射してなる反射波を、近赤外線カメラ357のレンズが受ける。近赤外線カメラ357は、近赤外線の反射波を受け、近赤外線の反射波の波長及び強度を表す情報を制御部354に出力する。制御部354は、近赤外線カメラ357から入力された情報に基づき、個々の軽量物からの反射波(近赤外線)の波長及び強度を解析し、スペクトル分布のパターンに基づいて軽量物の材料を判別する。判別された材料が、塩素含有樹脂としての塩化ビニルであると、制御部354は、この塩化ビニル製の軽量物である廃プラスチックを、ベルトコンベヤ351から除去する。すなわち、塩化ビニル製の廃プラスチックがベルトコンベヤ351の終端に達するタイミングで、エアガン353を作動させて圧縮空気を塩化ビニル製の廃プラスチックに向けて噴射する。塩化ビニル製の廃プラスチックは、圧縮空気を受けて吹き飛ばされて、ベルトコンベヤ351の終端から遠い側に設けられた回収室358に回収される。塩化ビニル製の廃プラスチック以外の軽量物は、ベルトコンベヤ351の終端から下方に落下して、ベルトコンベヤ351の終端に近い側に設けられた回収室359に回収される。
【0061】
このようにして、軽量物を洗浄脱水機30で洗浄及び脱水を行った後、塩素を含有する樹脂を光学式選別装置35で判別して除去するので、従来のように、廃プラスチックを窒素雰囲気下で加熱を行なって塩素分を離脱させると共に紙類を水洗いして脱塩を行うよりも、簡易な装置で少ない工程により、低コストで塩素含有物を除去することができる。
【0062】
また、軽量物は、洗浄脱水機30で洗浄されて付着物が除去され、乾燥された状態で、光学式選別装置35に送られる。したがって、光学式選別装置35において、軽量物に照射された電磁波が付着物で干渉されることなく反射されるので、軽量物の材料を精度良く判別することができる。その結果、塩化ビニル等の塩素含有樹脂を軽量物から精度良く除去することができるので、燃焼する際にダイオキシンを発生しない固形燃料を、材料となる廃棄物に対して高い再生率で製造することができる。
【0063】
なお、光学式選別装置35は、近赤外線の反射波のスペクトル分布に基づいて、塩化ビニル以外の種々の材料を判別できる。例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンを判別でき、また、紙と木を判別することができる。したがって、光学式選別装置35により、塩化ビニル以外の材料を軽量物から判別して回収してもよい。
【0064】
ここまで、揺動型分別機24で分別された軽量物に施す処理を説明したが、揺動型分別機24で分別された重量物もまた、同様の処理を施すことができる。すなわち、重量物に対して、風力選別機27で分別された軽量可燃物に対して、洗浄脱水機30と同様の構成を有する洗浄脱水機で洗浄と脱水と分別を行った後、サイクロンセパレータと、定量供給機と、振動スクリーンとを経て、光学式選別装置35と同様の構成を有する光学式選別装置によって塩素含有樹脂を除去する。これにより、揺動型分別機24で重量物として分別された寸法の比較的大きいポリエチレンテレフタレート容器等の廃プラスチックや、寸法の比較的大きい木片等の可燃物を、塩化ビニルを排除した状態で抽出することができる。
【0065】
上記光学式選別装置35で塩化ビニルが除去されて回収室359に回収された軽量物は、回収室359の下端に接続されたスクリューコンベヤ36で搬送され、風力選別機37に送られて、異物が回収される。異物が回収された可燃物は、プッシャ付破砕機38に送られる。
【0066】
プッシャ付き破砕機38は、ケーシング内に、回転刃が周面に固定された1軸の回転軸を有し、油圧シリンダで駆動されるプッシャにより、可燃物が回転軸に向かって押圧される。プッシャで押圧された可燃物は、回転軸の回転刃と、回転軸の下部に回転刃と相対して配置された固定刃とのせん断作用で破砕され、25〜100mmの寸法の破砕片となって排出される。なお、プッシャ付き破砕機38は、2軸型の破砕機であってもよい。プッシャ付き破砕機38で破砕された破砕片は、スクリューコンベヤ39で搬送され、スクリューコンベヤ39の終端に設置された風力選別機40で異物が除去される。風力選別機40は、竪形のジグザグ管路401内をブロワ402によって下から上に流れる空気により、可燃物と異物に選別し、空気流によって可燃物をサイクロンセパレータ403まで搬送する。サイクロンセパレータ403で分離された可燃物は、ロータリーシール弁を介して、貯蔵サイロと一体に形成された定量供給機50に貯蔵される。
【0067】
このようにして、本実施形態の固形燃料の製造プラント1は、可燃物と不燃物とが混在する廃棄物から、粗破砕機21と、揺動型分別機24と、洗浄脱水機30と、光学式選別装置35とを経ることにより、ダイオキシンの原因である塩素含有樹脂を効率よく除去したうえ、古紙や廃プラスチック等を含む可燃性の軽量物を効率よく回収できる。
【0068】
図7は、有機廃棄物処理ライン3の構成を示す模式図である。有機廃棄物処理ライン3は、有機廃棄物に対して乾燥処理を行う減圧乾燥装置としての減圧発酵乾燥装置44と、炭化処理を行う炭化装置47によって主に構成されている。本実施形態では、有機廃棄物として、活性汚泥法で生じた余剰汚泥を処理する場合を説明する。
【0069】
まず、水分量が98wt%を超える余剰汚泥が受入ホッパ41に受け入れられ、受入ホッパ41の下部の切り出し装置から搬送コンベヤ42で搬送される。また、揺動型分別機24で軽量物を洗浄して生成された汚水が、受入ホッパ41へ投入され、汚泥に混合されて搬送コンベヤ42で搬送される。搬送コンベヤ42で搬送される余剰汚泥には、搬送コンベヤ42の途中に設置された木屑供給装置43によってオガ粉が添加される。木屑供給装置43には、後述する木質廃棄物処理ライン4で生成されたオガ粉が供給される。なお、余剰汚泥へのオガ粉の添加は、行わなくてもよい。オガ粉が添加された余剰汚泥は、減圧発酵乾燥装置44に送られる。
【0070】
図8は、減圧発酵乾燥装置44を示す図である。減圧発酵乾燥装置44は、乾燥装置本体410と、混合冷却器としてのクーリングタワー430とで大略構成されている。
【0071】
乾燥装置本体410は、内部に処理室411を有する大略円筒形状のケーシング412と、処理室411の下部の壁面に形成されたジャケット式ヒータ413と、処理室411内に配置された加熱攪拌部414と、処理室411内の上部に設けられた凝縮部415を有する。
【0072】
ケーシング412の一端の上部には、被処理物が投入される投入口412aが形成され、ケーシング412の他端の下部には、被処理物が排出される排出口412bが形成されている。ケーシング412の投入口412aに、搬送コンベヤ42の終端に連なるエアロック機構が接続されている。ケーシング412の排出口412bに、スクリューコンベヤで形成された排出コンベヤ451が接続されている。排出コンベヤ451の終端は、エアロック機構を有する排出装置45に接続されている。
【0073】
図9は、乾燥装置本体410の内部の詳細を示した断面図である。図9に示すように、加熱攪拌部414は、ケーシング412の両端面に設けられた軸受装置121,122に両端が支持された回転軸141と、回転軸141に固定されたコイル状管体142と、コイル状管体142の外周側に配置されて一辺が5〜10cmの矩形の複数のブレード143を有する。回転軸141とコイル状管体142は内部が互いに連通しており、熱媒体としての蒸気が、軸受装置121,122を介して回転軸141とコイル状管体142内に供給される。加熱攪拌部414は、モータMで回転駆動され、回転軸141とコイル状管体142で被処理物を加熱すると共に、ケーシング412内の被処理物を投入口412aから排出口412bに向かって送りをかけながら攪拌するように形成されている。ブレード143は、表面が、加熱攪拌部414の径方向の先端縁が回転方向に傾斜すると共に、軸方向の排出口412b側の側縁が反回転方向に傾斜している。これにより、加熱攪拌部414が回転するに伴い、ブレード143が、ケーシング412の内側面近傍の被処理物をすき取るようになっている。加熱攪拌部414の回転速度は、処理室411に投入される有機廃棄物の水分量に応じて、1rpm〜60rpmの間に設定することができる。
【0074】
ケーシング412の軸受装置121,122は、加熱攪拌部414の回転軸141を支持すると共に、熱媒体としての蒸気の供給と排出を行っている。供給側軸受装置121は、蒸気供給管123に接続された回転継手124と、回転継手124を介して接続された蒸気管141aを内包する回転軸141の端部を支持するスリーブ軸受125を有する。排出側軸受装置122は、蒸気排出管126に接続された回転継手127と、回転継手127を介して接続された蒸気管141bを内包する回転軸141の端部を支持するスリーブ軸受128を有する。蒸気ボイラ6から蒸気供給管123を通して供給側軸受装置121の側に供給された蒸気が、回転継手124を介して回転軸141に供給される。回転軸141に供給された蒸気は、一部がコイル状管体142に供給される。回転軸141とコイル状管体142に供給された蒸気は、回転軸141とコイル状管体142が接触する被処理物と熱交換を行った後、蒸気管141bと回転継手127を通して排出側軸受装置122の側に戻る。排出側軸受装置122の側に戻った蒸気は、蒸気排出管126を通して蒸気ボイラ6に戻される。一方、加熱攪拌部414へ供給される蒸気よりも圧力及び温度の低い蒸気が、供給口143aを通してジャケット式ヒータ413に供給され、排出口143bを通して蒸気ボイラ6に戻される。すなわち、ジャケット式ヒータ413よりも接触面積の大きい加熱攪拌部414に、ジャケット式ヒータ413に供給する蒸気と比較して圧力及び温度の高い蒸気を供給することにより、水分量の多い汚泥等の被処理物を、効率的に乾燥させるようにしている。このように、ジャケット式ヒータ413と加熱攪拌部414は、減圧発酵乾燥装置44の加熱部として機能する。
【0075】
加熱攪拌部414のコイル状管体142は、上流側コイル144と下流側コイル145で形成されている。回転軸141の内部は、上流側コイル144の上流端144a及び下流端144bと、下流側コイル145の上流端145a及び下流端145bとに、順次連通している。これにより、供給側軸受装置121の側に供給された蒸気が、矢印G1で示すように上流側コイル144に流入し、この後、矢印G2で示すように回転軸141の内部に戻り、さらに、矢印G3で示すように下流側コイル145に流入し、この後、矢印G4で示すように回転軸141の内部に戻る。回転軸141内の蒸気は、矢印G5で示すように、蒸気管141bを通って回転軸141から排出されるようになっている。
【0076】
上記加熱攪拌部414は、コイル状管体142の外周側に設けられたブレード143により、ケーシング412の内側面の近傍の被処理物をすき取ることができる。したがって、ケーシング412のジャケット式ヒータ413が形成された位置の内側面に、被処理物が固着する不都合を効果的に防止できる。
【0077】
ケーシング412内の上部に設けられた凝縮部415は、ケーシング412の他端面に形成された冷却水供給室151と、ケーシング412の一端面に形成された冷却水排出室152を有する。冷却水供給室151には、クーリングタワー430から冷却水が供給される冷却水供給管153が接続されている。冷却水排出室152には、冷却水を排出してクーリングタワー40に戻す冷却水排出管154が接続されている。冷却水供給室151と、冷却水排出室152との間には、ケーシング412の軸方向に延在して供給室151と排出室152とに両端が連通する複数の冷却水管155,155,・・・が設けられている。複数の冷却水管155,155,・・・は、ケーシング412内の上部の幅方向の両側に振り分けて配置されている。複数の冷却水管155,155,・・・の側方と下方には、凝縮水を収集する集水樋156が設けられている。集水樋156の内側に、凝縮水と共に処理室411内の空気を吸引する吸引管157が連通している。
【0078】
乾燥装置本体410のケーシング412内に投下される有機廃棄物には、微生物が添加される。微生物としては、海、山及び陸等の自然界に生息する土着菌や発酵菌等が採取され、培養されたものが用いられる。特に、余剰汚泥等の有機汚泥を発酵させて脱臭を行うには、各種の動植物や土壌に生息する菌が有効であることが見出されている。菌が生息する動植物や土壌としては、よもぎ、野草、薬草、海辺の草、笹、竹やぶの土、山林の土、魚、海草、果実、パイナップル、リンゴ、ミカン、ビワ及びブドウ等がある。これらに生息する菌を、米ぬか又はオガ屑で培養して用いるのが好ましい。本実施形態では、減圧値0.03〜0.07MPaの減圧環境のもと、70〜90℃の温度で、30分から2〜3時間にわたり、被処理物を攪拌しながら発酵菌を混合して脱臭を行うので、かかる条件下で発酵生育する微生物が好ましい。処理室411内に添加する微生物は、次の酵素のうちの少なくとも1つを生産するものが好ましい。なお、各酵素に続く括弧内に、各酵素が作用する物質を記している。アルコールデハイドロゲナーゼ(アルコール)、ラクテートデハイドロゲナーゼ(乳糖)、グルコース6リン酸デハイドロゲナーゼ(糖質)、アルデヒドデハイドロゲナーゼ(アルデヒド)、L・アスパルテイト・ベーターセミアルデヒド・NADPオキシドレクターゼ(アルデヒド)、グルタミン酸デハイドロゲナーゼ(アミノ酸)、アスパラギン酸セミアルデヒド・デハイドロゲナーゼ(アミノ酸)、NADPH2チクトクロームC・リアクターゼ(NADP)、グルタチオン・デハイドロゲナーゼ(グルタチオン)、トレハローズリン酸シンテクターゼ(糖質)、ポリフォスヘエードキナーゼ(ATP)、エタノールアミンフォスヘエードサイチジル・トランスフェラーゼ(CTP)、トレハローズフォスファターゼ(糖質)、メタルチオ・フォスフォ・グリセレート・フォスファターゼ(グリセリン)、イヌラーゼ(イヌリン)、β−マンノシターゼ(糖質)、ウリジン・ヌクレオシターゼ(アミノ酸)、シトシン・ジアミナーゼ(シトシン)、メチルシステインシンテターゼ(アミノ酸)、アスパラギン酸シンテターゼ(ATP)、コハク酸デハイドロゲナーゼ(コハク酸)、アコニチン酸ハイドロゲナーゼ(クエン酸)、フマレイトハイドロゲナーゼ(マロン酸)、マレイトデハイドロゲナーゼ(マロン酸)、クエン酸シンテターゼ(アセチルCouA)、イソクエン酸デハイドロゲナーゼ(クエン酸)、LSNADPオキシダクターゼ(クエン酸)、モノアミンオキシダクターゼ(アミン)、ヒスタミナーゼ(アミン)、ピルビン酸デカルボキシラーゼ(オキソ酸)、ATPアーゼ(ATP)、ヌクレオチドピロフォスファターゼ(核酸)、エンドポリフォスファターゼ(ATP)、ATPフォスフォハイドロラーゼ(ATP)、オロチジン5リン酸デカルボキシラーゼ(オロチジン)。これらのうちの少なくとも1つの酵素を生産する微生物を、被処理物に含ませることにより、多種類の有機物成分からなる有機廃棄物に対して効果的に分解処理を行うことができる。
【0079】
クーリングタワー430は、乾燥装置本体410の凝縮部415に供給される冷却水を冷却すると共に、乾燥装置本体410の凝縮部415で生成された凝縮水と、乾燥装置本体410内の気体とを上記冷却水に混合して脱臭を行うものである。冷却水は、乾燥装置本体410内の冷却水排出室152から、図8の矢印W1で示すようにクーリングタワー430に導かれ、冷却された後に、冷却水ポンプPにより、図8の矢印W2で示すように、乾燥装置本体410の冷却水供給室151に戻される。また、乾燥装置本体410の凝縮部415で生成された凝縮水と、有機廃棄物の乾燥に伴って処理室411内で生じた臭気を有する気体が、真空ポンプVPで吸引され、図8の矢印Vで示すようにクーリングタワー430に導かれる。
【0080】
上記クーリングタワー430は、図10に示すように、大気の流通口を上部と下部に有するケーシング431と、ケーシング431の下端に設置された水槽432と、水槽432の水をケーシング431内の上部に導く散水管433と、散水管433に介設された散水ポンプSPと、散水管433の分岐した先端部に設けられた複数の散水ノズル433a,433a,・・・と、散水ノズル433aから散布された水が流下して接触する接触体435と、ケーシング431内の上端部に設けられたファン436を備える。ケーシング431には、乾燥装置本体410から排出された凝縮水及び空気を、図8の矢印Vで示すように導く導管434が配管されている。導管434の分岐した先端部には、導管434で導かれた凝縮水及び気体を、上記散水ノズル433aから吐出された水の流れに向かって吐出するように、複数の吐出ノズル434a,434a,・・・が設けられている。上記接触体435は、樹脂で形成された多孔性の充填材が配置され、微生物の担体となっている。水槽432には、水槽432内の冷却水を乾燥装置本体410に戻すための冷却水配管437が接続され、この冷却水配管437に、冷却水をクーリングタワー430と凝縮部415との間に循環させる冷却水ポンプPが介設されている。
【0081】
上記クーリングタワー430と凝縮部415との間を循環する冷却水には、微生物が添加されている。この微生物は、処理室411内に投入された微生物と同様に、海、山及び陸等の自然界に生息する土着菌や発酵菌等が採取され、培養されたものである。冷却水に添加される微生物は、上述の処理室411に添加される微生物が生産する複数の酵素のうち、少なくとも1つの酵素を生産する微生物であればよい。冷却水中に微生物を添加することにより、凝縮水中に含まれる臭気成分や、処理室411内から吸引された気体に含まれる臭気成分を分解して除去することができる。微生物による臭気成分の分解は、クーリングタワー430及び凝縮部415の間に形成される循環路を冷却水が循環する間に行われる。また、冷却水が接触体435に接触し、流下する際に、接触体435に担持された微生物によって臭気が分解される。
【0082】
この減圧発酵乾燥装置44は、凝縮水及び気体を冷却水に混ぜることにより、臭気成分の濃度を全体として低減させるので、凝縮水や気体の臭気成分が増大しても微生物の処理能力を越える虞が少なくて、臭気の安定した分解処理を行うことができる。また、処理室411内が減圧されていることから、凝縮部415で冷却水が室内空気と熱交換する際の冷却水の温度上昇が比較的小さくて、冷却水の温度が概ね40〜45℃になる。これにより、冷却水中の微生物が高温によって死滅する不都合が防止され、微生物が安定して活性化され、凝縮水及び気体を安定して微生物で脱臭することができる。
【0083】
また、クーリングタワー430では、冷却水の蒸発が促進されるのでオーバーフローが殆ど生じない。しかも、凝縮水や気体の臭気成分は、冷却水で薄められるので、高度に分解除去される。したがって、減圧発酵乾燥装置44の外部に臭気が拡散する不都合を効果的に防止できる。
【0084】
この減圧発酵乾燥装置44で有機廃棄物を乾燥する場合、処理室411の内部の空気を真空ポンプVPで吸引して、大気圧よりも低い圧力に減圧する。ここで、処理室411の減圧値を0.03〜0.07MPaとすることにより、水の沸点を約90〜68℃に低下させることができる。なお、減圧値とは、大気圧から低減させる圧力の差分をいう。
【0085】
乾燥装置本体410の加熱部に供給する熱媒体としては、ジャケット式ヒータ413には0.2〜0.3MPaかつ130℃の蒸気を用いる一方、加熱攪拌部414には0.7〜0.8MPaかつ170℃の蒸気を用いる。このように、回転駆動された状態で加熱を行う加熱攪拌部414に、静止した状態で加熱を行うジャケット式ヒータ413よりも高い温度の熱媒体を供給することにより、加熱攪拌部414とジャケット式ヒータ413との夫々が、被処理物が付着して焦げ付かない限度の高い温度で、被処理物を効率的に加熱することができる。また、処理室411内が減圧されているので、常圧で乾燥させるよりも熱媒体の温度を低く設定できる。したがって、熱媒体としての蒸気の生成エネルギーを削減できる。また、被処理物の加熱温度が低いので、処理室411内に添加されて脱臭を行う微生物の死滅を防止でき、効果的に脱臭を行うことができる。例えば、乾燥装置本体410で乾燥脱臭処理がなされた乾燥有機物は、60℃前後の温度で排出口412bから排出される。このように、被処理物の有機廃棄物が、比較的低温の温度に加熱されることにより、微生物を効果的に活性化させて脱臭を行うことができ、また、減圧環境の下で十分に乾燥させることができる。
【0086】
この減圧発酵乾燥装置44によれば、水分量が80〜99.5wt%の高水分の有機廃棄物を乾燥処理して、2〜6時間の処理時間で、水分量を10wt%以上25wt%以下に低減することができる。
【0087】
このように、減圧発酵乾燥装置44は、減圧環境で有機廃棄物の発酵及び乾燥を行うので、減圧に伴う沸点の降下により、少ない熱量で汚泥を乾燥させることができる。また、減圧発酵乾燥装置44で有機廃棄物を微生物で分解し、また、凝縮水と気体を冷却水の微生物で分解するので、有機廃棄物の臭気を効果的に低減できて、周辺環境への臭気の拡散を防止できる。また、処理室411内に公知の塩素分解酵素を添加することにより、有機廃棄物に含まれる塩素含有物を除去して、ダイオキシンの発生を防止することができる。
【0088】
上記減圧発酵乾燥装置44で有機廃棄物が乾燥処理されて水分量が10wt%以上25wt%以下となった乾燥有機物は、ケーシング412の下部の他端側の排出口412bから排出される。排出口412bから排出された乾燥有機物は、排出コンベヤ451で搬送され、エアロック機構を有する排出装置45を介して、貯蔵サイロと一体に形成された定量供給機46に送られる。
【0089】
定量供給機46に一旦貯蔵された乾燥有機物は、炭化装置47に送られる。
【0090】
図11は、炭化装置47を示す模式断面図である。炭化装置47は、外熱式ロータリーキルンにより構成されている。この炭化装置47は、熱媒ガスが内部に供給されるケーシング471と、ケーシング471内に収容された回転炉472と、回転炉472の一端に接続されて被処理物の乾燥有機物を回転炉472内に供給する供給コンベヤ476と、回転炉472の他端に連通して処理後の被処理物と可燃性ガスを排出する排出室477を有する。ケーシング471と回転炉472との間には、熱媒体が導入されて回転炉472を外側から加熱する加熱室473が形成されている。回転炉472の内側には、供給コンベヤ476で一端に導入された乾燥有機物を他端に送りながら、加熱室473に供給された熱媒体の熱で乾燥有機物の乾留及び炭化を行う炭化室474が形成されている。炭化室474の内周面には、被処理物を他端に送るための図示しない螺旋ガイドが設けられている。排出室477は、内部が炭化室474に連通しており、炭化室474で炭化された被処理物である有機炭化物を下端に接続された排出コンベヤ452で排出する一方、炭化室474内で乾燥有機物から生成された可燃性ガスを上端に設けられた排気口479から排出するようになっている。排気口479には、可燃性ガスを導出する可燃性ガス管480が接続されており、可燃性ガス管480の下流端は、炭化装置47の加熱室473側に連なる炭化装置配管481と、蒸気ボイラ6のバーナに連なるボイラ配管482とに分岐している。炭化装置配管481は、炭化装置47の加熱室473に炎口が望むように設置されたガスバーナ487に接続されている。炭化装置配管481とボイラ配管482には、電磁駆動の開閉弁483,484が夫々介設されており、これら開閉弁483,484は、後に詳述する制御部485によって開閉が制御される。また、排気口479に接続された排出管には図示しないブロワが接続されており、このブロワで炭化室474内の空気を吸引して、可燃性ガスを含む上記空気を炭化装置配管481とボイラ配管482に送るようになっている。このブロワで炭化室474内の空気を吸引することにより、炭化室474内を、酸素濃度が容積割合で5%以上12%以下の低酸素環境にしている。これにより、炭化室474内で加熱される乾燥有機物を効果的に乾留し、一酸化炭素等の可燃性ガスを効率的に生成するようになっている。炭化室474内での乾燥有機物の加熱温度は350℃以上500℃以下であり、乾燥有機物の加熱時間は5分以上10分以下であるのが好ましい。
【0091】
炭化装置47の加熱室473には、炭化装置47の起動時に、オイルバーナ475から熱媒ガスが供給される。オイルバーナ475は、液体燃料としてのA重油を燃料とし、A重油を供給する重油燃料タンク488に接続されている。オイルバーナ475は、制御部485により制御され、排出室477から供給される可燃性ガスを燃焼して、500〜700℃の燃焼ガスを熱媒ガスとして加熱室473に供給する。オイルバーナ475から加熱室473に供給された熱媒ガスとしての燃焼ガスにより、炭化室474内の温度が十分に上昇すると、炭化室474内の乾燥有機物が加熱され、水素、一酸化炭素及びメタン等を含む可燃性ガスが生成される。炭化室474内で可燃性ガスの生成が開始されると、制御部485により、オイルバーナ475の燃焼が停止されると共に、炭化装置配管481の開閉弁483が制御され、閉じ状態から開き状態に駆動される。これにより、加熱室473内に、オイルバーナ475からの熱媒ガスの供給が停止される一方、炭化装置配管481から可燃性ガスが供給されてガスバーナ487が起動し、ガスバーナ487で可燃性ガスが燃焼して熱媒ガスとしての燃焼ガスが加熱室473に供給される。こうして、炭化室474内の加熱を継続する。加熱室473内で可燃性ガスが燃焼してなる燃焼ガスは、加熱室473から排出され、熱媒ガスとして減圧発酵乾燥装置44の蒸気ボイラ6の熱交換器へ導かれる。加熱室53から排出される燃焼ガスは、250〜500℃の温度であるため、蒸気ボイラ6で減圧発酵乾燥装置44に供給する蒸気を生成するために再利用が可能である。このように、炭化装置47の燃焼ガスを熱媒ガスとして蒸気ボイラ6に供給し、炭化装置47で乾燥有機物を加熱する際の余剰の熱を、蒸気ボイラ6で再利用するように構成されている。蒸気ボイラ6の熱交換器で蒸気の生成に用いられた燃焼ガスは、集塵機486で粉塵が除去され、排気される。
【0092】
このように、炭化装置47によって乾燥有機物を炭化することにより、余剰汚泥に由来する乾燥有機物の臭気を効果的に削減することができる。さらに、炭化装置47で乾燥有機物を加熱して生成された可燃性気体を、ガスバーナ487や蒸気ボイラ6に導いて燃焼させるので、乾燥有機物の炭化に伴って生成される臭気を除去することができる。
【0093】
また、乾燥有機物を炭化装置47で炭化することにより、乾燥有機物の燃焼時の熱量を増大することができる。例えば、有機廃棄物が木屑等の木質廃棄物である場合、この有機廃棄物を炭化せず、成形してなる燃料は、概ね3800kcal/kgの熱量を有する。一方、木質廃棄物を炭化装置47で炭化し、この炭化物を成形してなる燃料は、7000〜8000kcal/kgの熱量を有する。また、有機廃棄物としての余剰汚泥を炭化して有機炭化物を形成し、この有機炭化物を成形してなる燃料は、5000〜6000kcal/kgの熱量を有する。
【0094】
また、炭化装置47の燃焼ガスを熱媒ガスとして蒸気ボイラ6の熱交換器に供給して、炭化装置47で乾燥有機物を加熱する際の余剰の熱を、蒸気ボイラ6で利用するので、炭化装置47において乾燥有機物の炭化に伴って生じる可燃性ガスを、この炭化装置47の加熱に利用すると共に、有機廃棄物を乾燥させる減圧発酵乾燥装置44の加熱に利用することができる。したがって、有機廃棄物の乾燥処理と炭化処理に用いる化石燃料を効果的に削減でき、その結果、二酸化炭素等の温室効果ガスの排出と、窒素酸化物等の大気汚染物質の排出を効果的に削減できる。
【0095】
また、上記蒸気ボイラ6は、炭化装置47で乾燥有機物から生成された可燃性ガスの一部が、燃料として供給されるように構成されている。詳しくは、炭化室474内の乾燥有機物から可燃性ガスが生成されると、制御部485によって開閉弁484が開かれて、可燃性ガスがボイラ配管482を通して蒸気ボイラ6のバーナに供給される。
【0096】
このように、有機廃棄物処理ライン3において、有機廃棄物を乾燥させるために、炭化装置47の余剰の熱に加えて、炭化装置47で生じる可燃性ガスを利用することにより、化石燃料の使用量を削減しながら有機廃棄物を効率的に乾燥させることができる。
【0097】
上記炭化装置47で処理された有機炭化物は、排出コンベヤ452で搬送され、エアロック機構を有する排出装置48を介して、貯蔵サイロと一体に形成された定量供給機49に送られる。定量供給機49に一旦貯蔵された有機炭化物は、固形燃料製造ライン5に送られる。
【0098】
図12は、木質廃棄物処理ライン4の構成を示す模式図である。木質廃棄物処理ライン4には、廃木材や、間伐材や、材木端材等の木質廃棄物が投入され、木質屑としての木質チップ及びオガ粉を形成する。
【0099】
木質廃棄物処理ライン4に投入された木質廃棄物は、破砕機61で破砕される。ここで、廃木材等の乾燥が進んだ木質廃棄物は、ハンマ式の破砕機で破砕する一方、間伐材や材木端材等の乾燥が進んでいない木質廃棄物は、チッパ式の破砕機で破砕する。
【0100】
破砕機61で破砕された木質廃棄物は、コンベヤ62で搬送され、ドラム型磁選機63で釘や金具等の重量物が除去された後、旋回篩機64に送られる。旋回篩機64は、有底の篩枠の内部に2段の篩網を掛け渡してなる篩本体を、傾斜した状態で傾斜面内において旋回駆動するように構成されている。この旋回篩機64は、篩本体に投入された木質廃棄物を、各篩網に応じて小径、中径及び大径の3種類に分級するようになっている。詳しくは、篩本体の2段の篩網は、上段に設けられた網目寸法の大きい大網と、下段に設けられた網目寸法の小さい小網とで構成される。この篩本体に、上段の大網の上方から投入された木質廃棄物の破砕片を大網と小網で順次篩分けて、直径が20mmを越える大径の破砕片と、直径が2〜20mmの中径の破砕片と、直径が2mmを下回る小径の破砕片とに分級する。
【0101】
旋回篩機64で分級された木質廃棄物の破砕片のうち、直径が2〜20mmの中径の破砕片は、スクリューコンベヤ65で搬送され、このスクリューコンベヤ65の終端に連なる風力選別機66で重量物が除去される。風力選別機66は、ジグザグ状に繰り返し屈曲した分離管路661と、サイクロンセパレータ662と、ブロワ663を有し、ブロワ663で生成される風によって被処理物が分離管路661を上方に搬送される間に重量物を分離する。この風力選別機66により、中径の破砕片から砂等の重量物が除去され、サイクロンセパレータ662で搬送風から分離された上記中径の破砕片が、木質チップとして定量供給機51に貯留される。
【0102】
また、旋回篩機64で分級された木質廃棄物の破砕片のうち、直径が2mmを下回る小径の破砕片は、スクリューコンベヤ67で搬送され、このスクリューコンベヤ67の終端に連なる風力選別機68で重量物が除去される。風力選別機68は、分離管路681と、サイクロンセパレータ682と、ブロワ683を有し、ブロワ683で生成される風によって被処理物が分離管路681を上方に搬送される間に重量物を分離する。この風力選別機68により、小径の破砕片から砂等の重量物が除去され、サイクロンセパレータ682で搬送風から分離された上記小径の破砕片が、オガ粉として定量供給機69に貯留される。
【0103】
また、旋回篩機64で分級された木質廃棄物の破砕片のうち、直径が20mmを越える大径の破砕片は、図示しないリターンコンベヤで破砕機61に戻されて再度破砕される。
【0104】
定量供給機51に貯留された木質チップは、燃料として主に蒸気ボイラ6に供給される。蒸気ボイラ6の燃料として木質チップを用いることにより、蒸気ボイラ6の化石燃料の使用量を削減でき、二酸化炭素等の温室効果ガスの排出量を低減できる。また、定量供給機51に貯留された木質チップは、必要に応じて、RPFの材料のうちの植物由来廃棄物として、固形燃料製造ライン5に供給される。一方、定量供給機69に貯留されたオガ粉は、有機廃棄物処理ライン3に送られ、オガ粉供給装置43によって汚泥に添加されて減圧発酵乾燥装置44に投入される。減圧発酵乾燥装置44で乾燥処理を施す汚泥にオガ粉を添加することにより、汚泥の水分割合の低減と、窒素成分の割合の低減を行うことができる。なお、定量供給機69に貯留されたオガ粉は、木質チップと共に固形燃料製造ライン5に投入されてもよい。
【0105】
図13は、固形燃料製造ライン5の構成を示す模式図である。固形燃料製造ライン5は、混合廃棄物処理ライン2で抽出された廃プラスチックを含む可燃物と、有機廃棄物処理ライン3で生成された有機炭化物とを用いて、固形燃料としてのRPFを製造する。
【0106】
固形燃料製造ライン5では、混合廃棄物処理ライン2で抽出されて定量供給機50に貯蔵された廃プラスチックを含む可燃物が定量供給機50から巻き出され、スクリューコンベヤ70で搬送される。スクリューコンベヤ70で搬送される廃プラスチックを含む可燃物に、有機廃棄物処理ライン3の定量供給機49から有機炭化物が供給されて合流する。また、このスクリューコンベヤ70に、木質廃棄物処理ライン4の定量供給機51から木質チップが添加される。なお、スクリューコンベヤ70へ木質チップを添加しないで、木質チップを固形燃料の材料に用いなくてもよい。
【0107】
この固形燃料製造ライン5は、有機廃棄物処理ライン3で生成された有機炭化物と、混合廃棄物処理ライン2で抽出された廃プラスチックと、混合廃棄物処理ライン2で抽出された紙屑及び木質廃棄物処理ライン4で生成された木質チップ又はオガ粉を含む植物由来廃棄物とを、次のような割合で配合してRPFを製造する。すなわち、有機炭化物が概ね40wt%であり、廃プラスチックが概ね40wt%であり、かつ、植物由来廃棄物が概ね20wt%の割合で固形化したRPFを製造する。このRPFは、約6500kcal/kgの熱量を生成することができ、各種のボイラやバーナの燃料として十分な実用性を有する。
【0108】
図13に示すように、固形燃料製造ライン5では、スクリューコンベヤ70により、有機炭化物と、廃プラスチックと、植物由来廃棄物との混合材料が成形装置71に供給される。成形装置71は、材料の混合、混練、加熱及び押し出し工程を行い、廃プラスチックの溶融成分により、有機炭化物、紙、繊維及び木質成分を固形化してRPFを製造する。成形装置71には、スクリュー式成形装置やリングダイ式成形装置を用いることができる。
【0109】
図14は、本実施形態の固形燃料の製造プラント1に用いられる成形装置71の一部を模式的に示す断面図である。この成形装置71は、回転軸が略平行に配列された1対のスクリュー羽根712を備えるスクリュー式の成形装置である。このスクリュー式の成形装置71は、1対のスクリュー羽根712により、材料の逆流を阻止しつつ材料の混練、圧縮及び成形を行うものであり、材料の圧縮及び混練に伴って発生する摩擦熱を利用して、高効率に加熱と圧縮と成形を行うように構成されている。
【0110】
この成形装置71は、被処理物の投入口711aを上部に有するケーシング711内に、材料を混練及び圧縮する1対のスクリュー羽根712,712を収容している。図14は、1対のスクリュー羽根712,712のうちの一方のスクリュー羽根712を、回転軸の直角方向から観察した様子を示している。
【0111】
上記1対のスクリュー羽根712,712の先端側であって、上記ケーシング711の端面には、端面板713が取り付けられている。端面板713には、圧縮された材料を円形断面の棒状に成形して排出する複数の成形ノズル714,714,・・・が取り付けられている。
【0112】
ケーシング711内に収容されるスクリュー羽根712,712は、これらスクリュー羽根712,712の基端側でケーシング711の外側から内側に挿入して設置された一対の回転軸715,715の先端に取り付けられている。これら回転軸715,715の先端に、断面六角形の取付部715a,715aが形成されており、これら取付部715a,715aの外周側に、スクリュー羽根712,712が嵌合している。
【0113】
スクリュー羽根712は、上記回転軸715の取付部715aに取り付けられる軸部と、この軸部の周面に形成された螺旋羽根部とを有する。一対の回転軸715,715に取り付けられた一対のスクリュー羽根712,712は、螺旋羽根部が互いに逆回りに形成されており、回転軸の延在方向から見て螺旋羽根部が重なり合うように配置されている。一対の回転軸715,715は、互いに逆向きに回転駆動され、これにより、ケーシング711内に投入口711aから投入された材料を一対のスクリュー羽根712,712が挟み込み、混練及び圧縮しながら端面板713側に移送するように形成されている。
【0114】
ケーシング711の端面には、端面板713の成形ノズル714から排出された棒状の材料を切断する図示しない切断機が取り付けられている。この切断機は、成形ノズル714の出口に回転可能に配置された回転刃と、この回転刃を駆動するモータを備える。
【0115】
上記一対のスクリュー羽根712,712は、ケーシング711内の投入口711a側から端面板713側に向かって、順に、第1螺旋軸712aと、第2螺旋軸712bと、第3螺旋軸712cとで形成されている。各螺旋軸712a,712b,712cは、回転軸715に連結された軸部と、軸部の外周面に固定された螺旋羽根部とで形成されている。上記第1螺旋軸712aと、第2螺旋軸712bと、第3螺旋軸712cは、この順に、軸部の径が大きく形成されていると共に、螺旋羽根部のピッチが、この順に小さく形成されている。更に、螺旋羽根部の厚みが、この順に大きく形成されている。これにより、各螺旋軸の表面と、ケーシング711の内側面との間に形成される処理室の容積を、上記第1螺旋軸712aと、第2螺旋軸712bと、第3螺旋軸712cとの順に小さくしている。その結果、第1螺旋軸712a、第2螺旋軸712b及び第3螺旋軸712cは、材料を、噛み込み等の不都合を生じることなく確実に後段に移送すると共に、順次大きい圧縮力を材料に与えることができる。このスクリュー羽根712により、投入時にカサ比重が0.025の材料を、端面板の成形ノズル714からの排出時に、カサ比重が概ね0.45から0.5の間となる程度に圧縮することができる。また、投入時にカサ比重が0.025の材料を、成形ノズル714からの排出時に、真比重が概ね0.8から1の間となる程度に圧縮することができる。
【0116】
第3螺旋軸712cは、螺旋羽根部の先端に平面部を有し、平面部が端面板713の内側面に近接配置されて第3螺旋軸712cが回転駆動されることにより、高密度に圧縮された材料を端面板713の成形ノズル714から確実に押し出すようにしている。この第3螺旋軸712cは、材料に各螺旋軸712a,712b,712cが与える圧縮力のうち最大の圧縮力を与えるので、クロム鋼で形成した基部と、この基部の表面に例えばタングステンカーバイド系材料等のような耐磨耗材料を用いて形成された肉盛部とで構成している。
【0117】
ケーシング711内には、第2及び第3螺旋軸712b,712cを取り囲む複数のライニングブロック717,717,・・・が配置されている。この複数のライニングブロック717と、第2及び第3螺旋軸712b,712cの外側面との間に、材料の処理室を形成している。
【0118】
端面板713は、第3螺旋軸712cの先端の平面部が近接して通過する領域に、複数の貫通孔が設けられており、この貫通孔に成形ノズル714が挿入されている。端面板713には、抵抗加熱式のヒータが内蔵されており、成形ノズル714を通して排出する材料を加熱して、材料の柔軟性を保持するようになっている。
【0119】
この成形装置71は、次のようにして固形燃料を成形する。
【0120】
まず、端面板713のヒータに電力を供給し、端面板713の予備加熱を行った後、図示しないモータを起動して一対の回転軸715,715を互いに逆向きに回転させ、一対のスクリュー羽根712,712を互いに逆向きに回転させる。スクリュー羽根712の回転速度は、例えば30rpm以上60rpm以下の比較的低速度で回転するのが好ましい。続いて、ケーシング711の投入口711aに、スクリューコンベヤ70により、有機炭化物と、廃プラスチックと、植物由来廃棄物との混合材料が運搬されて投入される。
【0121】
ケーシング711内では、投入された材料を、一対の第1螺旋軸712aで挟み込み、混練し、強力な挟み込み力によって第2螺旋軸712b側に確実に移送する。第2螺旋軸712bは、この第2螺旋軸712bとライニングブロック717との間に形成された処理室内に材料を導いて、材料の混練及び圧縮を行う。上記処理室内に導かれた材料を、上記第2螺旋軸712bの回転動作によって端面板713側に送りながら混練及び圧縮し、材料の逆流を効果的に防止する。続いて、第3螺旋軸712cが、この第3螺旋軸712cとライニングブロック717との間に形成された処理室内に材料を導いて、更なる混練と圧縮を行う。第1、第2及び第3螺旋軸712a,712b,712cは、この順に、軸部の径が大きく形成され、螺旋羽根部のピッチが大きく形成され、かつ、螺旋羽根部の厚みが大きく形成されているので、材料の噛み込みや密度の低下等の不都合なく、材料を効果的に混練及び圧縮することができる。
【0122】
また、第1、第2及び第3螺旋軸712a,712b,712cは、順次大きい圧縮力を材料に与えて混練を行うことにより、材料に圧縮熱と摩擦熱を効果的に生じさせて、主に可燃性材料に含まれる廃プラスチック等の溶融物を効果的に溶融させることができる。このように、材料の圧縮熱や摩擦熱によって十分に溶融物を融解できるので、端面板713のヒータによって補助的に加熱するのみにより、材料中の溶融物を十分に溶解することができる。
【0123】
第3螺旋軸712cに導かれて高圧力で圧縮された材料は、溶融物が溶融した状態で、端面板713の成形ノズル714から棒状に押し出される。押し出された棒状の材料は、切断機によって所定長さに切断され、温度が降下するに伴って溶融物が固化して固形燃料が得られる。
【0124】
図15は、成形装置の他の例としてのリングダイ式成形装置102の主要部を示す図である。このリングダイ式成形装置74は、所謂ペレットミルと呼ばれる成形装置であり、回転駆動される回転筒状体740の内側から、胴部に設けられたダイ孔740aを通して被処理物を押し出すことにより、ペレット状のRPFを製造するものである。
【0125】
このリングダイ式成形装置74は、ダイ孔740aが設けられた回転筒状体740と、この回転筒状体の内側面に外側面が近接して配置された2つの転動筒体741,741とを備える。2つの転動筒体741は、回転筒状体740の直径上の対向位置に配置され、転動筒体741の表面には、被処理物のスリップを低減して取り込みを容易にする多数の軸方向溝が形成されている。回転筒状体740と、転動筒体741,741とを夫々矢印R1,R2で示す方向に回転駆動した状態で、回転筒状体740内に、有機炭化物と、廃プラスチックと、植物由来廃棄物との混合材料を投入する。投入された材料は、回転筒状体740の内側面と転動筒体741の外側面との間に挟み込まれて圧縮され、回転筒状体740の胴部のダイ孔740aから外側に押し出される。押し出された材料は、回転筒状体740の胴部に対向して配置された固定刃742,742によって所定長さに切り取られて、ペレット状のRPFが得られる。リングダイ式成形装置74は、直径が10mm程度までの比較的小径の固形燃料を製造するのに好適であり、また、成形前の被処理物の水分量が少なくて被処理物の加熱が不要である場合に好適である。
【0126】
なお、成形装置としては、上述のようなスクリュー式成形装置71やリングダイ式成形装置74を用いることができるが、例えばフラットダイ式成形装置等、他の形式の成形装置を用いることもできる。ここで、フラットダイ式成形装置としては、複数のダイ孔が環状の領域にわたって形成された平面状のフラットダイと、このフラットダイのダイ孔が形成された環状領域の中心に設けられた公転軸周りに公転駆動され、周面が上記フラットダイの表面に摺動又は転動する状態で、この周面とフラットダイの表面との間に供給された材料をダイ孔に押し込むローラとを備えるものを用いることができる。
【0127】
このようにスクリュー式成形装置71やリングダイ式成形装置74等で製造されたRPFは、冷却機72で冷却されて貯蔵サイロ73に貯蔵される。貯蔵サイロ73に貯蔵されるRPFは、ボイラ用や暖房用等の種々の用途の燃料として販売される。また、貯蔵サイロ73のRPFの一部は、燃料として蒸気ボイラ6に供給される。
【0128】
本実施形態の蒸気ボイラ6は、有機廃棄物処理ライン3の減圧発酵乾燥装置44に加熱媒体としての蒸気を供給する。蒸気ボイラ6は、バーナと蒸気ボイラ本体を有し、バーナの燃料として、固形燃料製造ライン5の貯蔵サイロ73から供給されたRPFと、木質廃棄物処理ライン4の定量供給機51から供給された木質チップと、炭化装置47から供給された可燃性ガスとを用いる。なお、蒸気ボイラ6の燃料は、これらRPF、木質チップ及び可燃性ガスのうちの少なくとも1つでよい。これらの燃料をバーナで燃焼し、この燃焼熱により蒸気ボイラで生成した蒸気を、有機廃棄物処理ライン3の減圧発酵乾燥装置44に供給する。
【0129】
この蒸気ボイラ6は、減圧発酵乾燥装置44の処理室411から、室内の空気が燃焼空気として供給されるように形成されている。処理室411内の空気は、図示しない送風機によって蒸気ボイラ6のバーナへ供給される。なお、減圧発酵乾燥装置44の真空ポンプVPで吸引された凝縮水及び室内空気から、室内空気のみを分離して蒸気ボイラ6のバーナへ供給してもよい。これにより、処理室411内の臭気を有する空気をバーナで燃焼させて、臭気を除去することができる。したがって、周辺環境へ臭気が拡散することなく、減圧発酵乾燥装置44の処理室411の減圧を行うことができる。
【0130】
このように、本実施形態の固形燃料の製造プラント1によれば、有機廃棄物処理ライン3の減圧発酵乾燥装置44により、有機廃棄物に微生物を添加して減圧環境で加熱するので、余剰汚泥等の高水分の有機廃棄物を、微生物で臭気を削減しながら、少ない燃料使用量により、効果的に乾燥させることができる。また、減圧発酵乾燥装置44により、100℃以下の比較的低い温度で有機廃棄物を乾燥できるので、有機廃棄物からの可燃性ガスの生成量を抑えることができる。したがって、炭化装置47により、乾燥有機物から可燃性ガスを多く採取することができて、有機廃棄物処理ライン3における有機廃棄物を由来とする燃料の使用量を増大できる。その結果、有機廃棄物処理ライン3で使用する燃料に対する化石燃料の割合を削減できて、燃料費を効果的に削減でき、また、二酸化炭素排出量を効果的に削減できる。また、有機廃棄物から生成された可燃性ガスを、炭化装置47のオイルバーナ475と蒸気ボイラ6のバーナで燃焼させるので、有機廃棄物から生じる臭気の拡散を効果的に防止することができる。
【0131】
また、減圧発酵乾燥装置44により、有機廃棄物から蒸発した水分を凝縮部415で凝縮し、この凝縮部415で凝縮した凝縮水と、処理室411内の空気とを、微生物が添加されて上記凝縮部415に供給される冷却水に混合するので、有機廃棄物の乾燥工程で生じる臭気の拡散を防止することができる。また、クーリングタワー430に消臭機能を持たせるので、少ない装置構成により、水分量の多い有機廃棄物を効果的に乾燥させることができると共に、有機廃棄物の臭気の拡散を防止することができる。
【0132】
また、減圧発酵乾燥装置44により、減圧環境で加熱して水分を蒸発させると共に、有機廃棄物から蒸発した水分を凝縮部415で凝縮して回収するので、水分量が98wt%を越える余剰汚泥等の有機廃棄物を、脱水機による脱水を行わなくても、比較的少ない燃料消費量により、迅速に乾燥させることができる。したがって、余剰汚泥を脱水機で脱水する工程を削除できるので、固形燃料の製造プラント1の装置構成を簡易にでき、また、固形燃料の製造工程の手間を少なくできる。
【0133】
このように、炭化処理によって臭気が低減された有機炭化物を用いた臭気の少ない固形燃料を、その製造過程においても臭気の拡散を防止しながら製造することができる。
【0134】
また、上記混合廃棄物処理ライン2の洗浄脱水機30は、軽量物に旋回力を作用させて洗浄及び脱水を行うので、従来のように紙類を乾燥させるために生石灰を添加する必要が無い。したがって、本発明の固形燃料の製造プラント1で製造された固形燃料は、燃焼する際に生成される灰を従来よりも少なくできる。
【0135】
また、上記洗浄脱水機30は、被処理物の加熱を行なわないので、加熱により被処理物に含まれる塩化ビニル等の塩素含有樹脂が溶融して他の古紙や廃プラスチック等の軽量物に付着することが無い。したがって、塩素含有樹脂の付着により、他の軽量物が固形燃料の材料に使用できなくなって、廃棄物の固形燃料への再生率が低下する不都合を防止できる。
【0136】
また、この固形燃料の製造プラント1は、混合廃棄物を処理して可燃物と廃プラスチックを抽出する混合廃棄物処理ライン2を備えるので、この製造プラント1に投入される廃棄物は、可燃物と不燃物と廃プラスチックとに分別されていなくてもよい。したがって、廃棄物の排出者及び回収者のいずれにおいても、廃棄物の分別にかかる手間と費用を削減することができる。
【0137】
また、固形燃料製造ライン5で製造されたRPFの一部や、木質廃棄物処理ライン4で生成された木質チップを、有機廃棄物処理ライン3の熱源装置である蒸気ボイラ6の燃料に用いるので、有機廃棄物を乾燥する際に必要な燃料を削減することができる。また、有機廃棄物処理ライン3において、炭化装置47で有機廃棄物から生成された可燃性ガスをオイルバーナ475の燃料に用いると共に、加熱室473から排出された熱媒ガスの余剰の熱を蒸気ボイラ6に再利用するので、オイルバーナ475や蒸気ボイラ6の燃料を削減することができる。このように、固形燃料の製造プラント1に投入された廃棄物から、固形燃料の製造プラント1で消費する燃料を製造し、また、固形燃料の製造プラント1内で余剰の熱を再利用するので、全体として、化石燃料の使用量を削減できて、二酸化炭素排出量の増大を効果的に削減することができる。
【0138】
また、本実施形態の固形燃料の製造プラント1は、家庭や事務所等からの廃棄物を混合廃棄物処理ライン2で処理すると共に、下水処理施設や建築現場や食品工場等で生成された汚泥を有機廃棄物処理ライン3で処理するので、この固形燃料の製造プラント1が設置された地域で排出される廃棄物を、一括して処理することができる。
【0139】
上記実施形態において、減圧発酵乾燥装置44で有機廃棄物を乾燥処理してなる乾燥有機物を、炭化装置47に投入して炭化を行ったが、炭化装置47に投入する乾燥有機物は、粒状に形成するのが好ましい。粒状の乾燥有機物は、図15のリングダイ式成形装置74と同様の造粒機を用いて形成することができる。粒状の乾燥有機物は、2mm以上8mmに形成するのが好ましく、4mm以上6mm以下であるのが更に好ましい。なお、リングダイ式成形装置以外に、例えばフラットダイ式成形装置等、他の形式の造粒機を用いることもできる。造粒機で粒状化された乾燥有機物は、貯蔵サイロと一体に形成された定量供給機に一旦貯蔵し、所定量を炭化装置47に巻き出すように構成する。
【0140】
このように、造粒機で粒状化した乾燥有機物を炭化装置47で炭化することにより、炭化装置47の炭化室474で、固形化されて微粒子の少ない乾燥有機物を加熱する。これにより、排気口479から排出される可燃性ガスに混入する乾燥有機物や炭化物の微粒子を少なくできる。したがって、可燃性ガスを加熱室473や蒸気ボイラ6に供給する可燃性ガス管480、炭化装置配管481及びボイラ配管482内や、加熱室473から蒸気ボイラ6の熱交換器を通って集塵機486に至る燃焼ガスの経路内に蓄積する粉塵を少なくできる。すなわち、炭化装置47で炭化する乾燥有機物を粒状に固形化することにより、炭化装置47で回収する可燃性ガスの粉塵を少なくでき、その結果、可燃性ガスの加熱室473での燃焼や、加熱室473で燃焼した余剰の熱を蒸気ボイラ6で再利用することや、可燃性ガスの蒸気ボイラ6での燃焼といった複数の用途に、上記可燃性ガスを用いることができる。また、炭化装置47で炭化する乾燥有機物を粒状に固形化することにより、乾燥有機物や有機炭化物の粉塵の生成による損失を削減でき、有機炭化物の収率を高めることができる。
【0141】
また、上記実施形態において、一般廃棄物を混合廃棄物処理ライン2に投入して可燃物を抽出してバインダを形成する一方、有機廃棄物を有機廃棄物処理ライン3に投入して有機炭化物を形成したが、混合廃棄物処理ライン2で混合廃棄物から抽出された生ごみ等の有機物を、有機廃棄物処理ライン3の減圧発酵乾燥装置44に投入し、乾燥処理を行った後、炭化装置47で炭化して炭化有機物を形成してもよい。
【0142】
上記実施形態において、有機廃棄物処理ライン3の炭化装置47で生成した可燃性ガスの一部を蒸気ボイラ6の燃料として用いたが、炭化装置47で生成した可燃性ガスを蒸気ボイラ6の燃料に用いなくてもよい。
【0143】
また、上記実施形態において、有機廃棄物として余剰汚泥を用いたが、有機廃棄物として、湖沼や海の底に堆積したヘドロや、農水産業で排出される廃棄物や、食品工場から排出される食品残渣や、一般家庭から排出される生ごみ等、各種産業の生産工程や排水処理に伴って生じる高水分の有機物を用いてもよい。
【0144】
また、本実施形態において、有機炭化物に混合するバインダとして、廃プラスチックと、廃紙や木屑等の植物由来の廃棄物とを用いたが、バインダは少なくとも熱可塑性のプラスチック成分を含んでいればよい。
【0145】
上記実施形態では、有機廃棄物処理ライン3で本発明の有機廃棄物の炭化方法により有機炭化物を形成し、この有機炭化物を用いて固形燃料を製造する場合を例示したが、本発明の有機廃棄物の炭化方法により形成した有機炭化物は、燃料のほか、肥料、凝集剤、吸着剤、ろ過材、土壌改良剤、融雪剤、又は、還元剤に用いてもよい。
【符号の説明】
【0146】
1 固形燃料の製造プラント
2 混合廃棄物処理ライン
3 有機廃棄物処理ライン
4 木質廃棄物処理ライン
5 固形燃料製造ライン
44 減圧発酵乾燥装置
47 炭化装置
71 成形装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機廃棄物を、微生物を添加して減圧環境で加熱して乾燥有機物を形成する減圧乾燥工程と、
上記減圧乾燥工程で有機廃棄物から蒸発した水分を凝縮する凝縮工程と、
上記凝縮工程で水分を冷却すると共に微生物が添加された冷却水に、上記凝縮工程で生じた凝縮水と、上記減圧乾燥工程で生じた臭気を含む気体とを混合し、この冷却水を冷却する混合冷却工程と、
上記乾燥有機物を低酸素環境下で加熱して、有機炭化物を形成すると共に可燃性ガスを生成する炭化工程と、
上記炭化工程で乾燥有機物から生成された可燃性ガスを、上記減圧乾燥工程又は炭化工程における加熱用の燃料として燃焼させる燃焼工程と、
上記有機炭化物を、バインダと混合し、成形する混合成形工程と
を備えることを特徴とする固形燃料の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の固形燃料の製造方法において、
上記炭化工程における加熱の余剰の熱を、上記減圧乾燥工程における加熱に利用することを特徴とする固形燃料の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の固形燃料の製造方法において、
上記減圧乾燥工程で生じた気体を、この減圧乾燥工程における有機廃棄物の加熱用の燃焼空気として供給する燃焼空気供給工程を備えることを特徴とする固形燃料の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の固形燃料の製造方法において、
上記炭化工程の前に、上記減圧乾燥工程で形成された乾燥有機物を粒状化する粒状化工程を備え、
上記炭化工程で、粒状化された上記乾燥有機物を加熱することを特徴とする固形燃料の製造方法。
【請求項5】
微生物が添加された有機廃棄物を、減圧環境で加熱して乾燥有機物を形成する減圧乾燥装置と、
上記乾燥有機物を低酸素環境下で加熱して、有機炭化物を形成すると共に可燃性ガスを生成する炭化装置と、
上記有機炭化物を、バインダと混合して成形し、固形燃料を形成する成形装置とを備え、
上記減圧乾燥装置は、有機廃棄物が投入されて内部を減圧するケーシングと、ケーシング内に回転可能に配置されて有機廃棄物を攪拌する攪拌部と、ケーシングの少なくとも一部に設けられて有機廃棄物を加熱する加熱部と、上記有機廃棄物からの蒸気を凝縮する凝縮部と、この凝縮部に供給されて微生物が添加された冷却水と、上記凝縮部で生じた凝縮水と、上記有機廃棄物の乾燥によって生じた臭気を含む気体とをケーシングから吸引する吸引ポンプと、上記冷却水に上記吸引ポンプで吸引された凝縮水と気体とを混合すると共にこの冷却水を冷却する混合冷却器とを有し、
上記減圧乾燥装置及び炭化装置のうちの少なくとも一方の加熱用に、上記炭化装置で乾燥有機物から生成された可燃性ガスを燃料として用いることを特徴とする固形燃料の製造プラント。
【請求項6】
請求項5に記載の固形燃料の製造プラントにおいて、
上記炭化装置で乾燥有機物を加熱する際の余剰の熱を、上記減圧乾燥装置の加熱部に供給して利用することを特徴とする固形燃料の製造プラント。
【請求項7】
請求項5に記載の固形燃料の製造プラントにおいて、
上記減圧乾燥装置のケーシング内の気体を吸引し、この減圧乾燥装置の加熱用の熱源装置に、上記吸引した気体を燃焼空気として供給する第2の吸引ポンプを備えることを特徴とする固形燃料の製造プラント。
【請求項8】
請求項5に記載の固形燃料の製造プラントにおいて、
上記減圧乾燥装置で形成され、上記炭化装置に投入される前の乾燥有機物を粒状化する粒状化装置を備えることを特徴とする固形燃料の製造プラント。
【請求項9】
請求項5に記載の固形燃料の製造プラントにおいて、
上記バインダは、木質材料、紙材料及びプラスチック材料のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする固形燃料の製造プラント。
【請求項10】
請求項5に記載の固形燃料の製造プラントにおいて、
上記減圧乾燥装置で処理される有機廃棄物に、木質材料の粉末が添加されていることを特徴とする固形燃料の製造プラント。
【請求項1】
有機廃棄物を、微生物を添加して減圧環境で加熱して乾燥有機物を形成する減圧乾燥工程と、
上記減圧乾燥工程で有機廃棄物から蒸発した水分を凝縮する凝縮工程と、
上記凝縮工程で水分を冷却すると共に微生物が添加された冷却水に、上記凝縮工程で生じた凝縮水と、上記減圧乾燥工程で生じた臭気を含む気体とを混合し、この冷却水を冷却する混合冷却工程と、
上記乾燥有機物を低酸素環境下で加熱して、有機炭化物を形成すると共に可燃性ガスを生成する炭化工程と、
上記炭化工程で乾燥有機物から生成された可燃性ガスを、上記減圧乾燥工程又は炭化工程における加熱用の燃料として燃焼させる燃焼工程と、
上記有機炭化物を、バインダと混合し、成形する混合成形工程と
を備えることを特徴とする固形燃料の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の固形燃料の製造方法において、
上記炭化工程における加熱の余剰の熱を、上記減圧乾燥工程における加熱に利用することを特徴とする固形燃料の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の固形燃料の製造方法において、
上記減圧乾燥工程で生じた気体を、この減圧乾燥工程における有機廃棄物の加熱用の燃焼空気として供給する燃焼空気供給工程を備えることを特徴とする固形燃料の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の固形燃料の製造方法において、
上記炭化工程の前に、上記減圧乾燥工程で形成された乾燥有機物を粒状化する粒状化工程を備え、
上記炭化工程で、粒状化された上記乾燥有機物を加熱することを特徴とする固形燃料の製造方法。
【請求項5】
微生物が添加された有機廃棄物を、減圧環境で加熱して乾燥有機物を形成する減圧乾燥装置と、
上記乾燥有機物を低酸素環境下で加熱して、有機炭化物を形成すると共に可燃性ガスを生成する炭化装置と、
上記有機炭化物を、バインダと混合して成形し、固形燃料を形成する成形装置とを備え、
上記減圧乾燥装置は、有機廃棄物が投入されて内部を減圧するケーシングと、ケーシング内に回転可能に配置されて有機廃棄物を攪拌する攪拌部と、ケーシングの少なくとも一部に設けられて有機廃棄物を加熱する加熱部と、上記有機廃棄物からの蒸気を凝縮する凝縮部と、この凝縮部に供給されて微生物が添加された冷却水と、上記凝縮部で生じた凝縮水と、上記有機廃棄物の乾燥によって生じた臭気を含む気体とをケーシングから吸引する吸引ポンプと、上記冷却水に上記吸引ポンプで吸引された凝縮水と気体とを混合すると共にこの冷却水を冷却する混合冷却器とを有し、
上記減圧乾燥装置及び炭化装置のうちの少なくとも一方の加熱用に、上記炭化装置で乾燥有機物から生成された可燃性ガスを燃料として用いることを特徴とする固形燃料の製造プラント。
【請求項6】
請求項5に記載の固形燃料の製造プラントにおいて、
上記炭化装置で乾燥有機物を加熱する際の余剰の熱を、上記減圧乾燥装置の加熱部に供給して利用することを特徴とする固形燃料の製造プラント。
【請求項7】
請求項5に記載の固形燃料の製造プラントにおいて、
上記減圧乾燥装置のケーシング内の気体を吸引し、この減圧乾燥装置の加熱用の熱源装置に、上記吸引した気体を燃焼空気として供給する第2の吸引ポンプを備えることを特徴とする固形燃料の製造プラント。
【請求項8】
請求項5に記載の固形燃料の製造プラントにおいて、
上記減圧乾燥装置で形成され、上記炭化装置に投入される前の乾燥有機物を粒状化する粒状化装置を備えることを特徴とする固形燃料の製造プラント。
【請求項9】
請求項5に記載の固形燃料の製造プラントにおいて、
上記バインダは、木質材料、紙材料及びプラスチック材料のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする固形燃料の製造プラント。
【請求項10】
請求項5に記載の固形燃料の製造プラントにおいて、
上記減圧乾燥装置で処理される有機廃棄物に、木質材料の粉末が添加されていることを特徴とする固形燃料の製造プラント。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−52060(P2012−52060A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197507(P2010−197507)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(591119624)株式会社御池鐵工所 (86)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(591119624)株式会社御池鐵工所 (86)
【Fターム(参考)】
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