説明

圧縮機の支持部材、及び冷却ユニット、及び自動販売機

【課題】塑性変形させて固定する工程および防錆処理を必要とせず、簡素な構造で低コスト化を図ることができる圧縮機の支持部材を提供することを目的とする。
【解決手段】樹脂成形したピン部76を有する支持部材71はユニットベース70の開口部68に対して、ピン部76を上方に向けてユニットベース70の下方より挿入し、基部79の外周4箇所に上方向に設けたツメ部77を矩形状の第二開口部69に挿入嵌合することで、簡素な構造で工具を必要とせず組立が可能となる。これにより低コスト化で高品質な圧縮機の支持部材を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却ユニットを構成する圧縮機の支持部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の圧縮機等の固定方法の一例としては、基材の貫通孔に皿状部を有する固定ピンを挿入し、固定ピンの軸部の外周面設けた凹部に対してワッシャを厚み方向に塑性変形させて固定し、その固定ピンに圧縮機等の取付部を防振ゴム等の弾性部材を介して挿入し、固定ピン上部に抜け止め部材を取付けるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−192914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の冷却ユニットを構成する圧縮機の支持部材では、基材の貫通孔に固定ピンを挿入し、その後、塑性変形させる工程が必要となり、また、塑性変形させて固定した固定ピンおよび基材は防錆処理する必要も生じ、コスト的に高くなるという課題を有している。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、塑性変形させて固定する工程および防錆処理を必要とせず、簡素な構造で低コスト化を図ることができる圧縮機の支持部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来の課題を解決するために、本発明の圧縮機の支持部材は、少なくとも圧縮機を備えた冷却ユニットをユニットベースに取付けて、前記ユニットベースを本体に固定するもので、前記圧縮機は前記ユニットベースに嵌合したピン部を有する支持部材に支持され、前記支持部材は樹脂成形としたものである。
【0007】
これによって、圧縮機を備えた冷却ユニットをユニットベースに取付けて、ユニットベースを本体に固定する様態のもので、固定ピンを塑性変形させて固定する工程を必要とせず、ユニットベースに嵌合したピン部を有する樹脂成形の支持部材とすることで、簡素な構造で低コスト化を図ることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の圧縮機の支持部材は、固定ピンを塑性変形させて固定する工程および防錆処理を必要とせず、簡素な構造で低コスト化を図った圧縮機の支持部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1における自動販売機の正面図
【図2】本発明の実施の形態1における自動販売機の縦断面図
【図3】本発明の実施の形態1における自動販売機の機械室斜視図
【図4】本発明の実施の形態1における冷却ユニットの要部分解斜視図
【図5】本発明の実施の形態1における圧縮機の支持部材の斜視図
【図6】図4のA部拡大斜視図
【図7】本発明の実施の形態1における冷却ユニットの要部側面図
【図8】本発明の実施の形態1における圧縮機の支持部材の取付状態を示す断面図
【図9】本発明の実施の形態1における圧縮機の支持部材の取付状態を示す断面斜視図
【図10】本発明の実施の形態2における圧縮機の支持部材をユニットベースに挿入した状態を示す斜視図
【図11】本発明の実施の形態2における圧縮機の支持部材をユニットベースに挿入後、回動して固定した状態を示す斜視図
【図12】本発明の実施の形態2におけるユニットベースの要部斜視図
【図13】本発明の実施の形態2におけるユニットベースの開口部の要部拡大図
【図14】本発明の実施の形態2におけるユニットベースの開口部の要部拡大図
【発明を実施するための形態】
【0010】
請求項1に記載の発明は、少なくとも圧縮機を備えた冷却ユニットをユニットベースに取付けて、前記ユニットベースを本体に固定するもので、前記圧縮機は前記ユニットベースに嵌合したピン部を有する支持部材に支持され、前記支持部材は樹脂成形としたものであり、樹脂成形したピン部を有する支持部材をユニットベースに嵌合することで、従来のように固定ピンを塑性変形させる工程および防錆処理が不要となり、簡素な構造で低コスト化を図ることができる圧縮機の支持部材を提供することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記支持部材はユニットベースの開口部の下方より前記ピン部を上方にして前記支持部材の外側に設けたツメ部で前記ユニットベースに取付けたものであり、支持部材のユニットベースへの固定を容易にかつ確実に行うことができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、支持部材の外側に設けたツメ部は前記ピン部の外周に複数形成したものであり、支持部材のユニットベースへの固定をより確実に行うことができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の発明において、ユニットベースの開口部の周縁にフランジを形成したものであり、圧縮機をユニットベースに取付けた状態での支持部材の横方向の荷重は開口部の周縁に形成したフランジにより面で接触することになり、支持部材のピン部の破損等を防止することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記支持部材はユニットベースの下方より前記ピン部を上方にして前記支持部材の外側に設けたツメ部で前記ユニットベースの開口部に回動して固定するものであり、支持部材のユニットベースへの取り付けを確実に行うことができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記支持部材の外側に設けたツメ部はピン部の外周に複数形成し、前記ツメ部が嵌合するユニットベースの開口部は長孔形状としたものであり、支持部材のユニットベースへの取り付けを、より確実に行うことができる。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、長孔形状の開口部は、投影面で前記ツメ部より大きい逃げ部と前記ツメ部より小さい固定部とを備えたものであり、支持部材のユニットベースへの取り付けにおいて、まず逃げ部にツメ部を挿入し、その後、ツメ部を回動して固定部に配置させることで、作業性を向上した上で支持部材のユニットベースへの取り付けを確実に行うことができる。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、長孔形状の開口部における前記固定部に突起部を形成したものであり、ツメ部は固定部の突起部により逆回転が規制され、確実に支持部材の外れを防止することができる。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載の発明において、圧縮機を載置したユニットベースは前記支持部材を介して本体のシェルベースに載置したものであり、樹脂成形の支持部材の底面部でシェルベースと接触するので、摺動性が向上しユニットベースの位置決めを容易にすることができる。また、シェルベースへの傷つきも防止することができる。
【0019】
請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれか一項に記載の発明において、前記ピンに圧縮機の固定部を挿入、載置してから前記ピン部の上部に抜け止め部材を固定するもので、前記抜け止め部材を前記ピンに対して複数箇所で固定可能としたものであり、機種によって高さの異なる圧縮機の防振部材に対応でき、支持部材の兼用化を図ることができる。
【0020】
請求項11に記載の発明は、請求項1から10のいずれか一項に記載の圧縮機の支持部材を備えた冷却ユニットであり、組立性のよい冷却ユニットを構成することができる。
【0021】
請求項12に記載の発明は、請求項1から10のいずれか一項に記載の圧縮機の支持部材を備えた冷却ユニットで庫内を冷却する自動販売機であり、組立性のよい冷却ユニットを備えた自動販売機を提供することができる。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0023】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における自動販売機の正面図、図2は本発明の実施の形態1における自動販売機の縦断面図、図3は本発明の実施の形態1における自動販売機の機械室斜視図である。
【0024】
図1から図3において、自動販売機30は缶飲料商品を冷却あるいは加温販売するものであり、前面に開口した断熱箱体からなる本体31と、この本体31に一側を回動自在に枢支された開閉自在の前面扉32とから構成されている。前面扉32の下部には販売口33が配置されている。
【0025】
この前面扉32の後方には、前面に断熱扉(図示しない)を有する商品収納庫34が本体31内に形成されている。この商品収納庫34内は図1のように、内部に断熱材が充填された区画壁35と36により左右3室に区画されており、区画壁35の左側に冷却庫37が形成され、区画壁35と区画壁36間に位置した中央に冷却と加温のいずれかを選択して切り替え可能な冷却加温庫38が形成され、区画壁36の右側にも冷却と加温のいずれかを選択して切り替え可能な冷却加温庫39が形成されている。
【0026】
またそれぞれ室内には収納棚40が商品収納庫34の上部に吊下げられており、商品41が内部に収納されている。そして収納棚40の下部には選択された商品を搬出する搬出装置42が配置され、1個ずつ商品41を下方に落下させる。搬出装置42の下方には販売口33に向かって傾斜したシュート43が配置されており、各収納棚40から排出された商品41は、このシュート43上に落下し、転動して販売口33に導かれるものである。
【0027】
シュート43の下側には冷却庫37、冷却加温庫38、39にそれぞれ対応して冷却室44、冷却加温室45、46が備えられている。冷却室44内には蒸発器47、冷却加温室45内には蒸発器48、加温時に通電して加温室とする電気ヒータ49を備えている。また冷却加温室46内には室内熱交換器50と、加温時に室内熱交換器50の補助として通電可能な補助電気ヒータ64を備えている。また各室にはそれぞれ庫内ファン(図示しない)があり、強制送風して庫内を強制的に循環させ、各室それぞれに備えた庫内センサー(図示しない)によって庫内を適温に制御する。
【0028】
本体31の下方には、商品収納庫34の下部に備えた区画壁51によって区画された機械室52を形成している。
【0029】
図3は機械室52と室内熱交換器の接続をイメージした斜視図である。機械室52は、室内熱交換器50と環状に接続される第1圧縮機53と第1熱交換器54(庫外熱交換器)と冷媒の流路を切替える流路切替弁55などで構成された冷却加温サイクル、また蒸発器47、48と環状に接続される第2圧縮機56と凝縮器57と蒸発器47、48への冷媒の流路を切替える三方弁(図示せず)などで構成された冷却サイクルとなっている。
【0030】
また流路切替弁55は4つの切替弁で構成されており、冷却加温庫39が冷却される時、冷媒流路として開かれる高圧側冷却用切替弁55aと低圧側冷却用切替弁55bを備え、冷却加温庫39が加温される時、冷媒流路として開かれる高圧側加温用切替弁55cと低圧側加温用切替弁55dを備えている。
【0031】
図3のように第1熱交換器54と凝縮器57はフィンチューブ式の熱交換器で、共通のフィンチューブを貫通させてお互いに前後方向に重ねて形成した一体型の熱交換器いわゆるカスケード式熱交換器58として形成されている。図のように機械室52内の前方、すなわち自動販売機30の前面扉32側で、左右方向でほぼ中央位置にカスケード式熱交換器58が配置し、機械室52内の後方には第1圧縮機53と第2圧縮機56が横並びに配置されている。第2圧縮機56はカスケード式熱交換器58のほぼ真後ろの位置に設置している。第1圧縮機53の前方でカスケード式熱交換器58の横方向にはスペースが形成されていて、この部分に流路切替弁55が集約配置し、第1圧縮機53と第1熱交換器54と室内熱交換器50を環状に接続する配管系や減圧手段などがユニットベース70上に集約されている。
【0032】
また、図4は本発明の実施の形態1における冷却ユニットの要部分解斜視図、図5は本発明の実施の形態1における圧縮機の支持部材の斜視図、図6は図4のA部拡大斜視図(圧縮機の支持部材を嵌合する前のユニットベースを上面から見た斜視図)、図7は本発明の実施の形態1における冷却ユニットの要部側面図、図8は本発明の実施の形態1における圧縮機の支持部材の取付状態を示す断面図、図9は本発明の実施の形態1における圧縮機の支持部材の取付状態を示す断面斜視図である。
【0033】
なお、図4から図9においては、ユニットベース70上に載置する第1圧縮機53を実施例として、第1圧縮機53をユニットベース70に支持する支持部材に関連して説明する。
【0034】
図4から図9において、ユニットベース70には開口部68を有し、第1圧縮機53の下部4箇所に設けた圧縮機固定部73に対応してそれぞれ複数の開口部68を備えている。また、開口部68の中心から等間隔に所定寸法離間して矩形状の第二開口部69を4箇所設けている。
【0035】
支持部材71は円盤状の基部79と中央に円柱状のピン部76とを備え、樹脂で一体成
形されたものである。そして基部79の外周4箇所に上方向にツメ部77を備えている。また、基部79は空間を介して外周壁83および内周壁84を有し、外周壁83および内周壁84はピン部76に対して同心円状に形成している。また、外周壁83および内周壁84は連通壁86で繋がれ、外周壁83、内周壁84および連通壁86の上面は同一高さの土手85を有している。また、内周壁84とピン部76との間には内周溝82を形成している。また、ピン部76の上部には基部79からの高さが異なる複数の溝81a、81bを外周面に有している。
【0036】
ユニットベース70に設けた開口部68は円柱状のピン部76の外径よりやや大きい円形状で、周縁に下方向のフランジ80を形成している。また、開口部68の中心から等間隔に所定寸法離間して形成した矩形状の第二開口部69は、支持部材71のツメ部77が挿入されるもので、ツメ部77の断面最大寸法より大きく、ツメ部77挿入後、傾斜突起78がユニットベース70に係合、係止されるように配置されている。
【0037】
防振部材72は弾性変形するゴム系の部材で、上部に圧縮機固定部73を載置するための受け面を有している。なお、防振部材72は内部に円柱の空洞を有する略円柱形状で、外形は基部79の外周4箇所に上方向に設けたツメ部77の内面対向寸法より若干小さい外形寸法としている。
【0038】
以上の構成において、ユニットベース70上に第1圧縮機53を載置するに際しての動作、作用を以下説明する。
【0039】
まず、ユニットベース70の開口部68に対して、支持部材71のピン部76を上方に向けてユニットベース70の下方より挿入する。そして、支持部材71の基部79の外周4箇所に上方向に設けたツメ部77を開口部68の中心から等間隔に所定寸法離間して形成した矩形状の第二開口部69に挿入し、ツメ部77を挿入完了後、傾斜突起78がユニットベース70に係合、係止される。これによって、ユニットベース70の開口部68を貫通した支持部材71のピン部76がユニットベース70上に一体に配置される。
【0040】
その際、支持部材71の円盤状の基部79は、外周壁83、内周壁84および連通壁86の上面の同一高さの土手85がユニットベース70の下面と接する状態でユニットベース70の下部に配置される。そして、その状態で、ユニットベース70の開口部68周縁に下方向に形成したフランジ80が内周壁84とピン部76との間に形成された内周溝82に入り込んでいる。
【0041】
そして、第1圧縮機53をユニットベース70に支持する際、ユニットベース70上に一体に配置された支持部材71のピン部76に防振部材72を介して圧縮機固定部73を載置し、ピン部76の上部の溝81aまたは溝81bの適した側に抜け止め部材としてのUワッシャ74を挿入し圧縮機固定部73の抜け止めを施す。
【0042】
以上説明したように、第1圧縮機53を含めた冷却ユニットをユニットベース70上に配置したものを、自動販売機30下方の区画壁51によって区画された機械室52の底面を形成するシェルベース75に載置し固定される。その際、ユニットベース70は支持部材71の基部79を介して本体のシェルベース75に載置されることになる。
【0043】
したがって、樹脂成形したピン部76を有する支持部材71をユニットベース70に嵌合することで、従来のように固定ピンを塑性変形させる工程および防錆処理が不要となり、簡素な構造で工具を必要とせず組立が可能となる。これにより低コスト化を図ることができる圧縮機の支持部材を提供することができる。さらに、製品の廃棄時、あるいはサービス対応時にも工具なしで、ユニットベース70から支持部材71を着脱することができ
る。
【0044】
また、支持部材71はユニットベース70の開口部68に対して、ピン部76を上方に向けてユニットベース70の下方より挿入し、基部79の外周4箇所に上方向に設けたツメ部77を開口部68の中心から等間隔に所定寸法離間して形成した矩形状の第二開口部69に挿入し完了後、傾斜突起78がユニットベース70に係合、係止されるので、支持部材71のユニットベース70への固定を容易にかつ確実に行うことができる。
【0045】
また、樹脂成形した支持部材71の基部79が自動販売機30本体のシェルベース75と接触するので、摺動性が向上し組立時のユニットベース70の位置決めを容易にすることができるとともに、シェルベース75への傷つきも防止することができるので、組立性の向上とともに、品質の向上を図ることができる。また、冷却ユニットの中で重量部品である圧縮機を支持部材71の基部79を介してシェルベース75に載置されるので、圧縮機の重量が直接、ユニットベース70に加わらないので、ユニットベース70の板金板厚の薄肉化することができ、さらに低コスト化を図ることができる。
【0046】
さらに、ピン部76に横方向の荷重が掛かった場合でも、ユニットベース70の開口部68周縁に下方向に形成したフランジ80が内周壁84とピン部76との間に形成された内周溝82に入り込んでいるので、内周壁84の内面とフランジ80および、ピン部76の外周面とフランジ80が面で接触することで力が分散され、ピン部76の折れ等の不具合を防止することができる。
【0047】
また、ピン部76の上部には基部79からの高さが異なる複数の溝81a、81bを外周面に有しているので、抜け止め部材としてのUワッシャ74を機種等の違いによる防振部材72の高さに応じて適した溝に取り付けることで、支持部材71の兼用化を図ることができる。
【0048】
また、防振部材72の外形は基部79の外周4箇所に上方向に設けたツメ部77の内面対向寸法より若干小さく設定しているので、第1圧縮機53に振動あるいは外部から横方向の力が加わったとしても、防振部材72の外周面がツメ部77の内面を外側に押すことになり、ツメ部77の傾斜突起78が第二開口部69から外れにくい方向に作用して、支持部材71がユニットベース70から外れることを防止することができる。
【0049】
また、万が一、ピン部76が折れたとしてもフランジ80が内周壁84とピン部76との間に形成された内周溝82に入り込んでいることで支持部材71の基部79が容易に左右にずれることもなく、また、防振部材72の外周面がツメ部77の内面に接することで、支持部材71の基本機能は維持することができる。
【0050】
なお、本実施の形態では第1圧縮機53を4個の支持部材71で支持するもので説明したが、支持部材71を対角状の2箇所とし、支持部材71を用いない残りの2箇所にはユニットベース70に上方への切起こしを設けて防振部材72を支持する構造としてもよい。
【0051】
また、抜け止め部材としてUワッシャ74を用いたもので説明したが、貫通孔と割りピンとの組合せとしてもよい。
【0052】
また、本実施の形態では第1圧縮機53を支持する場合について説明したが、第2圧縮機56についても同様であることは言うまでもなく、少なくとも圧縮機を備えた冷却ユニットをユニットベースに取付けて、ユニットベースを本体に固定するものであればよい。
【0053】
(実施の形態2)
図10は本発明の実施の形態2における圧縮機の支持部材をユニットベースに挿入した状態を示す斜視図、図11は本発明の実施の形態2における圧縮機の支持部材をユニットベースに挿入後、回動して固定した状態を示す斜視図、図12は本発明の実施の形態2におけるユニットベースの要部斜視図、図13、14は本発明の実施の形態2におけるユニットベースの開口部の要部拡大図である。なお、実施の形態1と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0054】
図10から図13において、ユニットベース70には開口部68を有し、第1圧縮機53の下部4箇所に設けた圧縮機固定部73に対応してそれぞれ複数の開口部68を備えている。また、開口部68の中心から等間隔に所定寸法離間して長孔形状の第三開口部90を4箇所設けている。
【0055】
また、長孔形状の第三開口部90には、投影面でツメ部77の傾斜突起78より大きい開口とした逃げ部91とツメ部77の傾斜突起78より小さい開口とした固定部92とを連続して形成している。なお、固定部92の開口幅寸法はツメ部77の傾斜突起78に至るまでの基部の厚み寸法より若干大きい程度としている。
【0056】
また、固定部92の一部に開口側に突出した半円状の突起部93を備え、ツメ部77の基部と係合する構造としている。
【0057】
以上の構成において、ユニットベース70上に第1圧縮機53を載置するための支持部材71の取り付けの動作、作用を説明する。
【0058】
まず、ユニットベース70の開口部68に対して、支持部材71のピン部76を上方に向けてユニットベース70の下方より挿入する。そして、支持部材71の基部79の外周4箇所に上方向に設けたツメ部77を開口部68の中心から等間隔に所定寸法離間して形成した長孔形状の第三開口部90の逃げ部91に挿入する。その際、逃げ部91は投影面でツメ部77の傾斜突起78より大きい開口としているので、容易に挿入でき組立作業性を向上することができる。
【0059】
その後、支持部材71のツメ部77を逃げ部91から連続して形成した固定部92に向かって回動することで、支持部材71のツメ部77がユニットベース70に固定される。その際、ツメ部77の傾斜突起78に至るまでの基部が突起部93を越えて固定部92に配置することで、確実に支持部材71のツメ部77がユニットベース70に固定されることになる。
【0060】
以上説明したように、支持部材71はユニットベース70の下方よりピン部76を上方にして支持部材71の外側に設けたツメ部77を第三開口部90に挿入、回動して固定するものであり、支持部材71のユニットベース70への取り付けを確実に行うことができる。
【0061】
また、支持部材71の外側に設けたツメ部77はピン部76の外周に複数形成し、ツメ部77が嵌合するユニットベース70の開口部90は長孔形状としたものであり、支持部材71のユニットベース70への取り付けを、より確実に行うことができる。
【0062】
また、長孔形状の第三開口部90には、投影面でツメ部77の傾斜突起78より大きい開口とした逃げ部91とツメ部77の傾斜突起78より小さい開口とした固定部92とを連続して形成しているので、支持部材71のユニットベース70への取り付けにおいて、まず逃げ部91にツメ部77を挿入し、その後、ツメ部77を回動して固定部92に配置
させることで、作業性を向上した上で支持部材71のユニットベース70への取り付けを確実に行うことができる。
【0063】
また、固定部92の一部に開口側に突出した突起部93を備え、ツメ部77の基部と係合する構造としているので、ツメ部77は固定部92の突起部93により逆回転が規制され、確実に支持部材71の外れを防止することができる。
【0064】
なお、本実施の形態では、突起部93は半円状のもので説明したが、例えば図14に示すように、傾斜状の突起部94としてもよい。この場合、ツメ部77の回動時に傾斜状の突起部94に徐々に接するために抵抗も少なくスムーズに回動することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように、本発明にかかる圧縮機の支持部材は、簡素な構造で低コスト化を図ることができるので、圧縮機をユニットベースに取付けて支持しユニットベースを本体に固定する構造のあらゆる冷却ユニット、および自動販売機等の冷却機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
30 自動販売機
52 機械室
53 第1圧縮機
68 開口部
69 第二開口部
70 ユニットベース
71 支持部材
72 防振部材
73 圧縮機固定部
74 Uワッシャ
75 シェルベース
76 ピン部
77 ツメ部
78 傾斜突起
79 基部
80 フランジ
81a、81b 溝
82 内周溝
83 外周壁
84 内周壁
85 土手
86 連通壁
90 第三開口部
91 逃げ部
92 固定部
93、94 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも圧縮機を備えた冷却ユニットをユニットベースに取付けて、前記ユニットベースを本体に固定するもので、前記圧縮機は前記ユニットベースに嵌合したピン部を有する支持部材に支持され、前記支持部材は樹脂成形としたことを特徴とする圧縮機の支持部材。
【請求項2】
前記支持部材はユニットベースの開口部の下方より前記ピン部を上方にして前記支持部材の外側に設けたツメ部で前記ユニットベースに取付けたことを特徴とする請求項1に記載の圧縮機の支持部材。
【請求項3】
支持部材の外側に設けたツメ部は前記ピン部の外周に複数形成したことを特徴とする請求項2に記載の圧縮機の支持部材。
【請求項4】
ユニットベースの開口部の周縁にフランジを形成したことを特徴とする請求項2または3に記載の圧縮機の支持部材。
【請求項5】
前記支持部材はユニットベースの下方より前記ピン部を上方にして前記支持部材の外側に設けたツメ部で前記ユニットベースの開口部に回動して固定することを特徴とする請求項1に記載の圧縮機の支持部材。
【請求項6】
前記支持部材の外側に設けたツメ部はピン部の外周に複数形成し、前記ツメ部が嵌合するユニットベースの開口部は長孔形状としたことを特徴とする請求項5に記載の圧縮機の支持部材。
【請求項7】
長孔形状の開口部は、投影面で前記ツメ部より大きい逃げ部と前記ツメ部より小さい固定部とを備えたことを特徴とする請求項6に記載の圧縮機の支持部材。
【請求項8】
長孔形状の開口部における前記固定部に突起部を形成したことを特徴とする請求項7に記載の圧縮機の支持部材。
【請求項9】
圧縮機を載置したユニットベースは前記支持部材を介して本体のシェルベースに載置したことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の圧縮機の支持部材。
【請求項10】
前記ピンに圧縮機の固定部を挿入、載置してから前記ピン部の上部に抜け止め部材を固定するもので、前記抜け止め部材を前記ピンに対して複数箇所で固定可能としたことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の圧縮機の支持部材。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の圧縮機の支持部材を備えた冷却ユニット。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載の圧縮機の支持部材を備えた冷却ユニットで庫内を冷却する自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−145055(P2011−145055A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275333(P2010−275333)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】