説明

圧電デバイスの製造方法及び圧電デバイス

【課題】 接合材のはみ出しによる特性の悪影響をなくした圧電デバイスを提供する。
【解決手段】 圧電デバイス(100)は、一対の励振電極を有する圧電片(30)を収納する。その圧電デバイスは、周辺に環状に形成された第1接合面(M1)と第1接合面から凹んで形成されたリッド側凹部とを有するリッド(10)と、第1接合面に対応し環状に形成された第2接合面(M2)と第2接合面から凹んで形成されたベース側凹部とベース側凹部から突き出た形状で且つ圧電片を載置する一対の台座(45)とが形成されたベース(40)と、一対の台座に載置された音叉型水晶振動片(30)と、第1接合面と第2接合面との間に環状に配置され第1接合面と第2接合面とを接合する非導電性の接合材(48)と、を備える。そして第2接合面(M1)と一対の台座(45)とが同一面高さに形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リッドとベースとを低融点ガラス等の接合材により接合する圧電デバイスの製造方法およびその方法によって製造された圧電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
圧電デバイスとして、例えば水晶振動子、水晶フィルタ、水晶発振器あるいはSAWフィルタ等がある。これらはいずれも圧電振動片の表面に金属薄膜電極を形成し、この金属薄膜電極を外気から保護するため気密封止されている。これら圧電デバイスは表面実装タイプが増加している。このような表面実装型の圧電デバイスは、ベースとリッドとの接合は多種多様の接合方法が検討されている。例えば、樹脂接合、低融点ガラス接合が挙げられる。
【0003】
この樹脂接合又は低融点ガラスによる接合は、パッケージの低背化が可能であり、圧電振動片の収容領域が比較的広く確保できる。しかしながら、樹脂又は低融点ガラスの接合材による接合では、接合材の塗布量や接合後の塗布状態の管理が必要となる。接合材の塗布量が過少状態では気密不良や接合強度の低下を招き、接合材の塗布量が過多状態では接合材がはみ出し、はみ出した接合材と圧電振動片とが接触して特性の異常を招くことがあった。特に、パッケージのサイズが小さいと、収容スペース(キャビティ)を広く取るために小さな接合領域しか確保できず、上記接合材のはみ出しを招くことが多かった。
【0004】
従来、これら接合材のはみ出しをなくすために、特許文献1に開示されているように、ベースの接合領域の一部分に、接合材料を塗布しない非塗布部を設けていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−008382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のような手法では、接合材が接合面に全く塗布されない領域が形成されているため、接合材溶融後もこの領域の一部が残存し、接合強度が著しく低下することがあった。
【0007】
そこで、本発明は、圧電デバイス内に接合材のはみ出しによる特性の悪影響をなくした圧電デバイスを提供することを目的とする。また接合強度の低下と気密性の低下を抑制できる信頼性の高い圧電デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1観点の圧電デバイスは、一対の励振電極を有する圧電振動片を収納する。その圧電デバイスは、周辺に環状に形成された第1接合面と第1接合面から凹んで形成されたリッド側凹部とを有するリッドと、第1接合面に対応し環状に形成された第2接合面と第2接合面から凹んで形成されたベース側凹部とベース側凹部から突き出た形状で且つ圧電片を載置する一対の台座とが形成されたベースと、一対の台座に載置された圧電片と、第1接合面と第2接合面との間に環状に配置され第1接合面と第2接合面とを接合する非導電性の接合材と、を備える。そして第2接合面と一対の台座とが同一面高さに形成されている。
第2接合面と一対の台座とが同一面高さであるため、製造コストが少なくて済む。また接合材が多く塗布されても、圧電振動片がベース側凹部から突き出た一対の台座に載置されているため、接合材が圧電振動片に付着するおそれが少ない。
【0009】
また、ベースは第2接合面の反対側の実装面に一対の外部電極を有し、一対の台座から一対の外部電極へそれぞれ接続される一対の接続電極を有していてもよい。
また、一対の接続電極は外部電極からベースを貫通するように形成された一対の貫通電極を含み、一対の貫通電極の一方は一対の台座の一方に貫通し、一対の貫通電極の他方はベース側凹部から突き出た突起部に貫通していてもよい。そして、突起部は、第2接合面と同一面高さである。
【0010】
また、ベースはリッド側から見て矩形形状であり、その矩形形状の外周に窪んで形成された一対のキャスタレーションを有していてもよい。そして、一対の接続電極は一対の外部電極から一対のキャスタレーションをそれぞれ介して一対の台座まで形成されている。
【0011】
圧電デバイスは、外部からの衝撃で圧電片が揺れた場合に圧電振動片が欠けないように、ベース側凹部から突き出た緩衝部を有し、緩衝部は第2接合面と同一面高さに形成されている。
【0012】
第2観点の圧電デバイスの製造方法は、周辺に環状に形成された第1接合面と第1接合面から凹んで形成されたリッド側凹部とを有するリッドを複数含むリッドウエハを用意する工程と、第1接合面に対応し環状に形成された第2接合面と第1接合面から凹んで形成されたベース側凹部とベース側凹部から突き出た形状で且つ圧電振動片を載置する一対の台座とが形成されたベースを複数含むベースウエハを用意する工程と、圧電片を複数のベースにそれぞれ配置する工程と、第1接合面又は第2接合面に所定の幅で環状に接合材を形成する接合材形成工程と、接合材形成工程後に、ベースウエハとリッドウエハとを加熱して接合する接合工程と、を備える。
接合材形成工程において接合材が多く塗布されても、圧電片がベース側凹部から突き出た一対の台座に載置されているため、接合材が圧電振動片に付着するおそれが少ない。
【0013】
ベースウエハを用意する工程は、一対の台座から第2接合面の反対側の実装面に形成された一対の外部電極へそれぞれ接続される一対の接続電極を形成する。
接合材は350℃〜410℃で溶融するガラスの接合材を含む。
圧電デバイスの製造方法は、接合工程後に、圧電デバイスをスクライブラインに沿って個々に切断する切断工程を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明の圧電デバイスは、接合材がはみ出して圧電振動片に付着することがない。また本発明の圧電デバイスの製造方法は、信頼性の高い圧電デバイスの大量生産が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は、音叉型水晶振動片30を装着した第1水晶デバイス100の内面図である。 (b)は、第1水晶デバイス100をA−A’断面で切った断面構成図である。
【図2】(a)は、リッド10の内面図である。 (b)は、音叉型水晶振動片30の平面図である。 (c)は、ベース40の上面図である。
【図3】第1水晶デバイス100の製造方法を示したフローチャートである。
【図4】リッドウエハ10Wの平面図である。
【図5】ベースウエハ40Wの平面図である。
【図6】第2水晶デバイス110の分解斜視図である。
【図7】第2水晶デバイス110のB−B’断面図である。
【図8】ベースウエハ40AWの平面図である。
【図9】第3水晶デバイス120の分解斜視図である。
【図10】ベースウエハ40BWの平面図である。
【図11】第4水晶デバイス130の分解斜視図である。
【図12】第5水晶デバイス140の分解斜視図である。
【図13】第6水晶デバイス150の分解斜視図である。
【図14】第7水晶デバイス160の分解斜視図である。
【図15】(a)第7水晶デバイス160のC−C’断面図である。 (b)第7水晶デバイス160のD−D’断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態;第1水晶デバイス100の構成>
第1水晶デバイス100の構成について図1及び図2を参照しながら説明する。
図1は、音叉型水晶振動片30を備えた表面実装型の第一水晶デバイス100の概略図を示している。
【0017】
図1(a)は、音叉型水晶振動片30を収納した第1水晶デバイス100の内面図であり、第1水晶デバイス100は、リッド10を取り除いた状態で、音叉型水晶振動片30を主体に描かれている。図1(b)は、第1水晶デバイス100をA−A’断面で切った断面構成図である。ただし、リッド10と第1ベース40とが分離された状態が示されている。図2(a)は、リッド10の内面図であり、(b)は、第1音叉型水晶振動片30の平面図であり、(c)は、第1ベース40の平面図である。
【0018】
第1水晶デバイス100は、リッド10および第1ベース40から構成され、パッケージ80(図1(b)を参照)が形成されている。リッド10は、リッド側凹部17を第1ベース40側の片面に有している。第1ベース40はベース側凹部47をリッド10側の片面に有している。リッド側凹部17とベース側凹部47とによりキャビティ―22(図1(b)を参照)が形成される。キャビティ―22に音叉型水晶振動片30が装着されている。リッド10及び第1ベース40は水晶材料からなる。
【0019】
リッド10は、枠部19に第1接合面M1(図2(a)を参照)を備えている。リッド10の第1接合面M1は低融点ガラスからなる非導電性の接合材48(図1(b)を参照)が環状に塗布される。なお、接合材48は後述する第1ベース40の第2接合面M2に環状に塗布されてもよい。
【0020】
音叉型水晶振動片30は、一対の振動腕21と基部23とからなり、基部23に第1引出電極31及び第2引出電極32を備え、導電性接着剤61で第1接続電極43及び第2接続電極44に接続し導通する。第1引出電極31は、第1接続電極43に接続し、第2引出電極32は、第2接続電極44に接続する。一対の振動腕21は、表面、裏面及び側面に第1励振電極33及び第2励振電極34が形成されており、第1励振電極33は第1引出電極31につながっており、第2励振電極34は第2引出電極32につながっている。振動腕21の先端部は金属膜を備えた錘部28を形成している。一対の振動腕21の表裏両面には、溝部24が形成されている。
【0021】
第1引出電極31、第2引出電極32、第1励振電極33、第2励振電極34及び錘部28は、ともに、150Å〜500Å(15nm〜50nm)のクロム(Cr)層の上に400Å〜800Å(40nm〜80nm)の金(Au)層が形成された構成である。クロム(Cr)層の代わりに、ニッケル(Ni)又はチタン(Ti)層を使用してもよく、また金(Au)層の代わりに、銀(Ag)層を使用してもよい。
【0022】
図1(a)、(b)及び図2(c)に示されるように、第1ベース40は、ベース側凹部47をリッド10側の片面に有する。ベース側凹部47が形成されることにより、一対の台座45aと突起部45bと緩衝部46と枠部49とがベース側凹部47の底面から突き出るように形成されている。台座45aには音叉型水晶振動片30が載置されている。第1ベース40は、エッチングによりベース側凹部47を設ける際、同時に一対の台座45aと突起部45bと緩衝部46と枠部49と第1スルーホール41と第2スルーホール42とを形成する。第1スルーホール41は一対の台座45aの一方に形成され、第2スルーホール42は、突起部45bに形成される。台座45aの一方には第1接続電極43が形成され、突起部45bには第2接続電極44が形成され、その第2接続電極44は台座45aの他方にまで伸びるように形成されている。
【0023】
緩衝部46は、外部からの衝撃によって音叉型水晶振動片30の一対の振動腕21が揺れても、一対の振動腕21の先端がベース側凹部47の底面と当接することがないように設けられている。仮に緩衝部46が設けられていないと、外部からの衝撃によって振動腕21の先端がベース側凹部47の底面と当接して、先端が欠けるおそれがある。音叉型水晶振動片30がXY面に水平に載置された場合、音叉型水晶振動片30と緩衝部46との距離は、導電性接着剤61の厚さと第1接続電極43の厚さとを合わせた距離になる。
【0024】
第1ベース40は枠部49に第2接合面M2を有している。第2接合面M2の形状及び面積は、リッド10の枠部19の第1接合面M1の形状及び面積とほぼ同じである。第1ベース40の実装面M3には、第1外部電極51及び第2外部電極52が形成される。
【0025】
第1スルーホール41及び第2スルーホール42には、金属膜15が形成される。第1接続電極43は、第1スルーホール41の金属膜15を通じて第1ベース40の実装面M3に設けた第1外部電極51に接続する。第2接続電極44は、第2スルーホール42の金属膜15を通じて第1ベース40の実装面M3に設けた第2外部電極52に接続する。つまり、第1引出電極31は第1外部電極51と電気的に接続し、第2引出電極32は第2外部電極52と電気的に接続している。第1スルーホール41及び第2スルーホール42は、共晶金属70を用いて封止される。
【0026】
第1ベース40は一枚の水晶板がエッチングされることによってベース側凹部47が形成される。エッチングされなかった一対の台座45a、突起部45b、緩衝部46及び枠部49は実装面M3から同じ高さとなる。すなわち、一対の台座45aの高さh1と突起部45bの高さh1と緩衝部46の高さh2とは、第1ベース40の枠部49の高さh3と同一面高さに形成される。なお、水晶板はエッチング(ウェットエッチング又はドライエッチング)される代わりに、サンドブラストで加工されてもよい。
【0027】
<第1水晶デバイス100の製造方法>
図3は、第1水晶デバイス100の製造を示したフローチャートである。また、図4はリッドウエハ10Wの平面図で、図5はベースウエハ40Wの平面図である。
【0028】
ステップS102において、リッドウエハ10Wが用意される。図4に示されたように、リッドウエハ10Wの周縁部の一部にはオリエンテーションフラットOFが形成され、リッドウエハ10Wの結晶軸が特定されている。そして、エッチングによりリッドウエハ10Wにリッド側凹部17が形成される。
【0029】
ステップS104において、リッドウエハ10Wの枠部19の第1接合面M1(図2(a)を参照)に接合材48が均一に形成される。接合材48は、バナジウムを主原料とする低融点ガラスからなる。低融点ガラスはスクリーン印刷でリッドウエハ10Wの枠部19の第1接合面M1に環状に塗布される。接合不足にならないように、低融点ガラスは多めに塗布される。その後塗布された低融点ガラスは焼成される。
【0030】
ステップS112において、水晶ウエハ30W(不図示)に、エッチングにより複数の音叉型水晶振動片30の外形が形成される。音叉型水晶振動片30の外形が形成された水晶ウエハ30Wの両面全面にスパッタリングまたは真空蒸着によって金属層(クロム層及び金層)が形成される。ここで、下地としてのクロム層の厚さは例えば150Å〜500Åであり、金層の厚さは例えば400Å〜800Åである。
【0031】
ステップS114において、金属層の全面にフォトレジストが均一に塗布される。そして露光装置(不図示)を用いて、フォトマスクに描かれた励振電極33、34及び引出電極31,32のパターンが水晶ウエハ30Wに露光されフォトレジストが現像される。次に、フォトレジストから露出した金属層がエッチングされる。これにより、図1及び図2に示されたように音叉型水晶振動片30の両面に励振電極33、34、及び引出電極31,32が形成される。
【0032】
ステップS116において、水晶ウエハ30Wから音叉型水晶振動片30が切り取られる。音叉型水晶振動片30は、基部23の接続端部231(図2(b)を参照)で水晶ウエハ30Wと接続しているため、接続端部231を折ることで水晶ウエハ30Wから切り離される。
【0033】
ステップS122において、ベースウエハ40Wが用意される。図5に示されたようにベースウエハ40Wの周縁部の一部にはオリエンテーションフラットOFが形成され、ベースウエハ40Wの結晶軸が特定されている。そしてスパッタリングまたは真空蒸着によってベースウエハ40Wの第2接合面M2に金属層(クロム層及び金層)が形成される。金属層の全面にフォトレジストが均一に塗布される。そしてベースウエハ40Wは、露光装置(不図示)を用いて、フォトマスクに描かれた台座45aと突起部45bと緩衝部46とベース側凹部47とスルーホール41,42とのパターンが露光される。次に、フォトレジストから露出した金属層がエッチングされ、露出した水晶材がエッチングされる。これによりベース側凹部47が形成される。エッチングされなかった部分が、台座45a、突起部45b、緩衝部46及び枠部49になる。一度のエッチングにより台座45a、突起部45b、緩衝部46及び枠部49が形成されるため、製造が容易である。さらに、エッチング工程でスルーホール41,42が形成される。
【0034】
ステップS124において、ベースウエハ40Wの金属層にフォトレジストが均一に塗布される。そして露光装置(不図示)を用いて、フォトマスクに描かれた電極のパターンがベースウエハ40Wに露光され現像される。次に、フォトレジストから露出した金属層がエッチングされる。これにより、図1(b)及び図2(c)に示されたように第1ベース40の表面には、第1接続電極43及び第2接続電極44が形成される。第1スルーホール41及び第2スルーホール42には、金属膜15が形成される。第1ベース40の実装面には第1外部電極51及び第2外部電極52が形成される。
【0035】
ステップS132において、第1ベース40の台座45aに導電性接着剤61が塗布される。不図示の水晶振動片装着装置は、音叉型水晶振動片30を真空吸着し、第1ベース40のキャビティ22内に収納する。音叉型水晶振動片30は、第1ベース40の台座45aに載置される。水晶振動片装着装置は、不図示のCCDカメラによる画像処理技術によってキャビティ22と台座45aとの位置を識別することによって音叉型水晶振動片30を台座45aに配置する。次に、導電性接着剤61が仮硬化され、その後導電性接着剤61が本硬化されることで、音叉型水晶振動片30と台座45aの接続電極43,44とがパッケージ外部の外部電極51、52と電気的に接続される。
【0036】
ステップS134において、低融点ガラスが形成されたリッドウエハ10Wの枠部19の第1接合面M1と、ベースウエハ40Wの枠部49の第2接合面M2とが精密に重ね合わられる。そして接合材48が350℃から400℃程度に加熱されリッドウエハ10Wとベースウエハ40Wとが押圧される。この工程により、リッドウエハ10Wとベースウエハ40Wとが接合される。
【0037】
第1接合面M1に形成された接合材48の塗布量が多過ぎた場合には、接合時に接合材48がはみ出し、キャビティ22内へ流れ込む。しかし、枠部49の第2接合面M2と台座45aとの間には、ベース側凹部47の一部である間隙がある。このためはみ出した接合材48がキャビティ22内へ流れ込んでも、接合材48が音叉型水晶振動片30に接するおそれは少ない。同様に、枠部49の第2接合面M2と突起部45bとの間にも間隙がある。
【0038】
ステップS136において、第1スルーホール41及び第2スルーホール42にボール状の共晶金属70を配置し、接合したリッドウエハ10W及びベースウエハ40Wが真空中又は不活性ガス雰囲気中のリフロー炉で一定時間所定の温度で加熱される。そして共晶金属70が溶融し第1スルーホール41及び第2スルーホール42が封止される。例えば、共晶金属70がAu12Ge合金の場合は、Au12Ge合金は400°Cに加熱される。これにより、キャビティ22内が真空又は不活性ガスで満たされた第1水晶デバイス100が製造される。
【0039】
ステップS138において、音叉型水晶振動片30の錘部28にレーザー光が照射され錘部28の金属被膜の一部を蒸散・昇華させて周波数が調整される。接合されたウエハは、ダイシングブレード又はワイヤーソーで切断されて第1水晶デバイス100が製造される。第1水晶デバイス100は駆動特性などの検査を行うことで完成する。
【0040】
<第2実施形態;第2水晶デバイス110の構成>
第2水晶デバイス110の構成について、図6、図7及び図8を参照しながら説明する。
図6は、第2水晶デバイス110のリッド10側から見た斜視図である。リッド10と第2ベース40Aとが分離されて描かれている。図7はリッド10と第2ベース40Aとが接合された後の状態を示した図6のB−B’断面図である。図8は、ベースウエハ40AWの平面図である。
【0041】
第2水晶デバイス110と第1水晶デバイス100との異なる点は、第2ベース40Aの角部に、キャスタレーション122(122a、122b、122c、122d)が形成されている点である。キャスタレーション122には外部電極51,52と導電された側面電極123(123a、123b,123c、123d)がそれぞれ形成されている。一方、第2水晶デバイス110にはスルーホールが形成されていない。また、スルーホールがないため突起部も形成されていない。第1実施形態と同じ構成要件には同じ符号を付し説明を省略し相違点について説明する。
【0042】
図6及び図7で示されたように、第2水晶デバイス110は、音叉型水晶振動片30を装着した第2ベース40Aとリッド10とから構成される。第2ベース40Aとリッド10とは水晶材料からなる。また第2ベース40Aとリッド10とは接合材48で接合される。第2ベース40Aとリッド10とが接合されキャビティ22(図7を参照)が形成され、キャビティ22内は真空状態又は不活性ガスで満たされた状態となる。
【0043】
第2ベース40Aは、リッド10側の片面に、ベース側凹部47と一対の台座45aと緩衝部46と枠部49とを有している。枠部49には、第2接合面M2を有している。実装面M3には一対の外部電極51、52が形成される。第2ベース40Aの角部には二対の側面キャスタレーション122a、122b及び側面キャスタレーション122c,122dが形成されている。側面キャスタレーション122a、122b及び側面キャスタレーション122c,122dは円形貫通孔BH1(図8を参照)がダイシングされた際に形成される。
【0044】
外部電極51は側面電極123a、123bに接続され、外部電極52は側面電極123c、123dに接続されている。また側面電極123a、123bは第1接続電極43に接続されている。側面電極123c、123dは第2接続電極44に接続されている。
【0045】
図7に示されるように、リッド10の第1接合面M1と第2ベース40Aの第2接合面M2との間に塗布された接合材48は、リッド10と第2ベース40Aとを接合する。接合材48は非導電性であるため、第2接合面M2上に形成された第1接続電極43と第2接続電極44とを短絡(ショート)させない。
【0046】
図7に示されるように、第1接合面M1に形成された接合材48の塗布量が多過ぎた場合には、接合時に接合材48がはみ出し、キャビティ22内へ流れ込む。しかし、枠部49の第2接合面M2と台座45aとの間には、ベース側凹部47の一部である間隙がある。このためはみ出した接合材48がキャビティ22内へ流れ込んでも、接合材48が音叉型水晶振動片30に接するおそれは少ない。同様に、枠部49の第2接合面M2からはみ出した接合材48がキャビティ22内へ流れ込んでも接合材48が音叉型水晶振動片30に接するおそれは少ない。
【0047】
(第2水晶デバイス110の製造工程)
図6に示された第2水晶デバイス110の製造方法は第1実施形態で説明された図3のフローチャートと実質的に同じである。第2水晶デバイス110の第2ベース40Aと、第1ベース40との相違点を図3に示したフローチャートを用い追加説明する。
【0048】
ステップS122において、ベースウエハ40AWが用意される。そして、エッチングによりベースウエハ40AWの四隅に対応する箇所にベースウエハ40AWを貫通するように円形貫通孔BH1(図8を参照)が形成される。円形貫通孔BH1が4分割されると1つのキャスタレーション122a、122b、122c、122d(図6を参照)になる。第2ベース40Aは、ベース側凹部47、一対の台座45a、緩衝部46及び第2接合面M2をリッド10側の片面に有している。一度のエッチングにより台座45a、緩衝部46及び枠部49が形成され、さらに円形貫通孔BH1が形成されるため、製造が容易である。
【0049】
ステップS124において、スパッタリングまたは真空蒸着によってベースウエハ40AWの実装面M3及び円形貫通孔BH1に金属層が形成される。
次いで、露光装置(不図示)を用いて、フォトマスクに描かれた外部電極51、52及び側面電極123a,123b,123c,123dのパターンがベースウエハ40AWに露光される。次に、フォトレジストから露出した金属層がエッチングされる。これにより、図6及び図7に示されたようにベースウエハ40AWの実装面M3に外部電極51、52が形成され、円形貫通孔BH1に側面電極123a,123b,123c,123dが形成される。
【0050】
<第3実施形態;第3水晶デバイス120の構成>
第3水晶デバイス120の構成について、図9及び図10を参照しながら説明する。
図9は、第3水晶デバイス120のリッド10側から見た斜視図である。図10は、ベースウエハ40BWの平面図である。第3水晶デバイス120と第2水晶デバイス110とはキャスタレーションの形状及び位置が異なっている。第1実施形態と同じ構成要件には同じ符号を付し説明を省略し相違点について説明する。
【0051】
第3ベース40Bは、実装面M3に一対の外部電極51,52がそれぞれ形成され、第3ベース40BのY軸方向の両辺には一対のキャスタレーション222a、222bが形成されている。また、キャスタレーション222aには外部電極51に接続された側面電極223aが形成され、キャスタレーション222bには外部電極52と接続された側面電極223bが形成されている。第3ベース40Bの第2接合面M2にはベース側凹部47及び一対の台座45a、緩衝部46及び枠部49(図9、図10を参照)が形成されている。キャスタレーション222a、222bはトラック状の貫通孔BH2(図10を参照)をダイシングされた際に形成される。
【0052】
<第3水晶デバイス120の製造方法>
図9に示された第3水晶デバイス120の製造方法は第2実施形態で説明されたフローチャートと実質的に同じである。
【0053】
以下に説明する第4実施形態、第5実施形態、第6実施形態及び第7実施形態では、圧電振動片としてATカットの水晶振動片が使われている。ATカットの水晶振動片は、水晶振動片の主面が人工水晶の結晶軸(XYZ)のY軸に対して、X軸を中心としてZ軸からY軸方向に35度15分傾斜されている。以下の実施形態で示す圧電デバイス140〜160は、その長辺方向をx軸方向、短辺方向をz軸方向、上下方向をy軸方向としている。このため、リッド、ベース及びATカットの水晶振動片についても同様な軸方向とし、長辺方向、短辺方向、上下方向を、それぞれx軸方向、z軸方向、y軸方向として説明する。
【0054】
<第4実施形態;第4水晶デバイス130の構成>
第4水晶デバイス130の構成について、図11を参照しながら説明する。
図11は、第4水晶デバイス130のリッド10側から見た斜視図である.第4水晶デバイス130と第2水晶デバイス110とはベースの台座の形状及び位置が異なっている。また、第2水晶デバイス110の音叉型水晶振動片30に代わり、第1ATカット水晶振動片20を装着している。第2実施形態と同じ構成要件には同じ符号を付し説明を省略し相違点について説明する。
【0055】
第1ATカットの水晶振動片20は、ATカットの水晶片201により構成され、その水晶片201の中央付近の両主面に、一対の励振電極202a,202bが対向して配置されている。また、励振電極202aにはATカットの水晶片201底面の−y側の一隅まで伸びた引出電極203aが接続され、励振電極202bにはATカットの水晶片201底面の+y側の他隅まで伸びた引出電極203bが接続されている。第1ATカットの水晶振動片20は、導電性接着剤により第4ベース40Cの接続電極43及び接続電極44に接着される。
【0056】
第4ベース40Cは、実装面M3に一対の外部電極51,52がそれぞれ形成され、第4ベース40Cの四隅にはキャスタレーション122a、122b、122c、122dが形成されている。また、キャスタレーション122a、122bには外部電極51に接続された側面電極123a、123bが形成され、キャスタレーション122c、122dには外部電極52と接続された側面電極、123c、123dが形成されている。
【0057】
第4ベース40Cは、ベース側凹部47をリッド10側の片面に有する。ベース側凹部47が形成されることにより、一対の台座45cがベース側凹部47の底面から突き出るように形成されている。一方の台座45cは、キャスタレーション122a、122b側に配置され、他方の台座45cは、キャスタレーション122c、122d側に配置され、四辺からなる枠部49のうち対向する二辺につながっている。なお、一方の台座45cに接続電極43が形成され、外部電極51と電気的に接続している。他方の台座45cに接続電極44が形成され、外部電極52と電気的に接続している。
【0058】
<第4水晶デバイス130の製造方法>
図11に示された第4水晶デバイス130の製造方法は第2実施形態で説明されたフローチャートと実質的に同じである。第4水晶デバイス130の第1ATカットの水晶振動片20と音叉型水晶振動片30との相違点を図3に示したフローチャートを用い追加説明する。
【0059】
ステップS112において、ATカットの水晶ウエハ201W(不図示)に、エッチングにより複数の第1ATカットの水晶振動片20の外形が形成される。第1ATカットの水晶振動片20の外形が形成されたATカットの水晶ウエハ201Wの両面全面にスパッタリングまたは真空蒸着によって金属層(クロム層及び金層)が形成される。ここで、下地としてのクロム層の厚さは例えば150Å〜500Åであり、金層の厚さは例えば400Å〜800Åである。
【0060】
ステップS114において、金属層の全面にフォトレジストが均一に塗布される。そして露光装置(不図示)を用いて、フォトマスクに描かれた励振電極202a、202b及び引出電極203a,203bのパターンがATカットの水晶ウエハ201Wに露光されフォトレジストが現像される。次に、フォトレジストから露出した金属層がエッチングされる。これにより、図11に示されたように第1ATカットの水晶振動片20の両面に励振電極202a、202b及び引出電極203a,203bが形成される。
【0061】
ステップS116において、ATカットの水晶ウエハ201Wから第1ATカットの水晶振動片20が切り取られる。なお、上述した工程ではなく、水晶ウエハ201Wから第1ATカットの水晶振動片20が切り取られた後、各水晶振動片20に対してエッチング又はメタルマスクにより電極を形成してもよい。
【0062】
<第5実施形態;第5水晶デバイス140の構成>
第5水晶デバイス140の構成について、図12を参照しながら説明する。
図12は、第5水晶デバイス140のリッド10側から見た斜視図である.第5水晶デバイス140と第4水晶デバイス130とは第5ベース40Dのキャスタレーションの形状及び位置が異なっている。また、台座45dの形状が異なっている。第4実施形態と同じ構成要件には同じ符号を付し説明を省略し相違点について説明する。
【0063】
第5ベース40Dは、実装面M3に一対の外部電極51,52がそれぞれ形成され、第5ベース40Dのx軸方向の両辺には一対のキャスタレーション222a、222bが形成されている。また、キャスタレーション222aには外部電極51に接続された側面電極223aが形成され、キャスタレーション222bには外部電極52と接続された側面電極223bが形成されている。第5ベース40Dの第2接合面M2にはベース側凹部47及び一対の台座45dと枠部49とが形成されている。一対の台座45dは、ベース側凹部47の底面から突き出るように形成されている。一方の台座45dは、キャスタレーション222a側に配置され、他方の台座45dは、キャスタレーション222b側に配置され、四辺からなる枠部49のうち対向する二辺につながっていない。キャスタレーション222a、222bはトラック状の貫通孔をダイシングされた際に形成される。
【0064】
<第5水晶デバイス140の製造方法>
図12に示された第5水晶デバイス140の製造方法は第4実施形態で説明された第4水晶デバイス130の製造方法と実質的に同じである。
【0065】
<第6実施形態;第6水晶デバイス150の構成>
第6水晶デバイス150の構成について、図13を参照しながら説明する。
図13は、第6水晶デバイス150のリッド10側から見た斜視図である。第6水晶デバイス150と第4水晶デバイス130(図11参照)とは第1ATカットの水晶振動片20に代わり、第2ATカットの水晶振動片20Aが片持ち支持するように接合する構造で装着されている。また、第4ベース40C台座45e、45fの形状及び位置が異なっている。第4実施形態と同じ構成要件には同じ符号を付し説明を省略し相違点について説明する。
【0066】
第2ATカットの水晶振動片20Aは、ATカットの水晶片101により構成され、その水晶片101の中央付近の両主面に、一対の励振電極102a,102bが対向して配置されている。また、励振電極102aにはATカットの水晶片101底面の−y側の一端まで伸びた引出電極103aが接続され、励振電極101bにはATカットの水晶片201底面の同一方向の−y側の他隅まで伸びた引出電極103bが接続されている。第2ATカットの水晶振動片20Aは、導電性接着剤により第6ベース40Eの接続電極43及び接続電極44に接着される。
【0067】
第6ベース40Eは、ベース側凹部47をリッド10側の片面に有する。ベース側凹部47が形成されることにより、台座45e,45fがベース側凹部47の底面から突き出るように形成されている。台座45e,45fは、四辺からなる枠部49のうちz軸方向の対向する二辺に沿って平行に形成される。台座45e,45fは、四辺からなる枠部49のうち対向する二辺につながっていない。なお、一方の台座45eに接続電極44が形成され、外部電極52と電気的に接続している。他方の台座45fに接続電極43が形成され、外部電極51と電気的に接続している。
【0068】
<第6水晶デバイス150の製造方法>
図13に示された第6水晶デバイス150の製造方法は第4実施形態で説明された第4水晶デバイス130の製造方法と実質的に同じである。
【0069】
<第7実施形態;第7水晶デバイス160の構成>
第7水晶デバイス160の構成について、図14及び図15を参照しながら説明する。
図14は、第7水晶デバイス150のリッド10側から見た斜視図であり、図15(a)は第7水晶デバイス160のC−C’断面図であり、(b)は第7水晶デバイス160のD−D’断面図である。図15(a)、(b)にはコンベックス形状の水晶振動片20Bが誇張されて描かれている。第7水晶デバイス160と第5水晶デバイス140(図12参照)とは第1ATカットの水晶振動片20に代わり、第3ATカットのコンベックス形状の水晶振動片20Bが装着されている。また、第7ベース40Fの台座45cの形状が異なっており、緩衝部46bが設けられている。第5実施形態と同じ構成要件には同じ符号を付し説明を省略し相違点について説明する。
【0070】
図14に示されるように、第3ATカットの水晶振動片20Bは、コンベックス形状の水晶片205により構成される。例えば、水晶振動片断面は矩形ではなく励振電極を形成する中央部から端部に向けて徐々に厚みを薄くしたコンベックス形状である。その水晶片205の中央付近の両主面に、一対の励振電極202a,202bが対向して配置されている。また、励振電極202aにはコンベックス形状の水晶片205底面の−y側の一隅まで伸びた引出電極203aが接続され、励振電極202bにはコンベックス形状の水晶片205底面の−y側の他隅まで伸びた引出電極203bが接続されている。第3ATカットのコンベックス形状の水晶振動片20Bは、導電性接着剤61(図15参照)により第7ベース40Fの接続電極43及び接続電極44に接着される。
【0071】
第7ベース40Fは、実装面M3に一対の外部電極51,52がそれぞれ形成され、第7ベース40Fのx軸方向の両辺には一対のキャスタレーション222a、222bが形成されている。また、キャスタレーション222aには外部電極51に接続された側面電極223aが形成され、キャスタレーション222bには外部電極52と接続された側面電極223bが形成されている。第7ベース40Fの第2接合面M2にはベース側凹部47及び一対の台座45cと緩衝部46bと枠部49とが形成されている。一対の台座45cは、ベース側凹部47の底面から突き出るように形成されている。一方の台座45cは、キャスタレーション222a側に配置され、他方の台座45cは、キャスタレーション222b側に配置され、四辺からなる枠部49のうち対向する二辺につながっている。
【0072】
図15(a)、(b)に示されるように、第7ベース40Fの緩衝部46bは、第3ATカットのコンベックス形状の水晶振動片20Bの曲面に合わせ、緩衝部46bの端部から中央部に向けて徐々に厚みを薄く形成されている。緩衝部46bは、外部からの衝撃によって第3ATカットのコンベックス形状の水晶振動片20Bが揺れても、引出電極203a、203bと接続電極43、44とが剥離することがないように設けられている。第3ATカットのコンベックス形状の水晶振動片20Bと緩衝部46bとの距離は、導電性接着剤61の厚さと接続電極の厚さとを合わせた距離になる。第7実施形態ではコンベックス形状の水晶振動片20Bを示したが、コンベックス型ではなくメサ型の水晶振動片であれば緩衝部は階段状に凹んだ形状にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上、本発明の最適な実施形態について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施形態に様々な変更・変形を加えて実施することができる。たとえば、リッド及びベースは水晶材であったがガラス板であってもよい。
【0074】
また、実施形態では水晶振動片が使用されたが、水晶以外にタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムなどの圧電材料を利用することができる。また、接合材として低融点ガラスが使用されたが、ポリイミド樹脂などの非導電性の樹脂接合材が使用されてもよい。さらに圧電デバイスとして、発振回路を組み込んだICなどをパッケージ内に配置させた圧電発振器にも本発明は適用できる。
【符号の説明】
【0075】
10 … リッド
15 … スルーホール配線
17 … リッド側凹部
19、49 … 枠部
20,20A … ATカット振動片、 20B … コンベックス形状のAT振動片
21 … 振動腕
22 … キャブティ
23 … 基部
24 … 溝部
26 … 接続部
28 … 錘部
30 … 音叉型水晶振動片
31,32 … 引出電極、
33,34、33a,34a … 励振電極
40(A〜F) … ベース
41、42 … スルーホール
43、44 … 接続電極
45a … 台座,45b … 突起部
46 … 緩衝部
47 … ベース側凹部
48 … 接合材
50 … 切取り部
51、52 … 外部電極
61 … 導電性接着剤
70 … 共晶金属
80 … パッケージ
100、110 … 第1水晶デバイス、第2水晶デバイス
120,130 … 第3水晶デバイス、第4水晶デバイス
140,150,160 … 第5水晶デバイス、第6水晶デバイス、第7水晶デバイス
102a,102b,202a,202b … 励振電極
122(a,b,c,d)、222(a,b) … キャスタレーション
123(a,b,c,d)、223(a,b) … 側面電極
201 … ATカットの水晶片、 205 … コンベックス形状の振動片
203a,203b … 引出電極
BH1,BH2 … 貫通孔
h1 … 台座の高さ、h2 … 緩衝部の高さ、h3 … 枠部の高さ
M1,M2 … 接合面
OF … オリエンテーションフラット
SL … スクライブライン



【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の励振電極を有する圧電片を収納する圧電デバイスであって、
周辺に環状に形成された第1接合面と前記第1接合面から凹んで形成されたリッド側凹部とを有するリッドと、
前記第1接合面に対応し環状に形成された第2接合面と前記第2接合面から凹んで形成されたベース側凹部と前記ベース側凹部から突き出た形状で且つ前記圧電片を載置する一対の台座とが形成されたベース板と、
前記一対の台座に載置された圧電片と、
前記第1接合面と前記第2接合面との間に環状に配置され、前記第1接合面と前記第2接合面とを接合する非導電性の接合材と、を備え、
前記第2接合面と前記一対の台座とが同一面高さに形成されている圧電デバイス。
【請求項2】
前記第1接合面は四辺からなる枠形状であり、前記台座は前記四辺のいずれかに平行に伸びており、且つ前記台座は前記四辺のうち対向する二辺につながっている請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項3】
前記ベース板は前記第2接合面の反対側の実装面に一対の外部電極を有し、前記一対の台座から前記一対の外部電極へそれぞれ接続される一対の接続電極を有している請求項1又は請求項2に記載の圧電デバイス。
【請求項4】
前記一対の接続電極は前記外部電極から前記ベース板を貫通するように形成された一対の貫通電極を含み、
前記一対の貫通電極の一方は前記一対の台座の一方に貫通し、前記一対の貫通電極の他方は前記ベース側凹部から突き出た突起部に貫通し、
前記突起部は、前記第2接合面と同一面高さである請求項3に記載の圧電デバイス。
【請求項5】
前記ベース板は前記リッド側から見て矩形形状であり、その矩形形状の外周に窪んで形成された一対のキャスタレーションを有し、
前記一対の接続電極は前記一対の外部電極から前記一対のキャスタレーションをそれぞれ介して前記一対の台座まで形成されている請求項3に記載の圧電デバイス。
【請求項6】
外部からの衝撃で前記圧電片が揺れた場合に前記圧電片が欠けないように、前記ベース側凹部から突き出た緩衝部を有し、
前記緩衝部は前記第2接合面と同一面高さに形成されている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の圧電デバイス。
【請求項7】
外部からの衝撃で前記圧電片が揺れた場合に前記圧電片が欠けないように、前記ベース側凹部から突き出た緩衝部を有し、
前記緩衝部は前記圧電片の形状に合わせた高さに形成されている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の圧電デバイス。
【請求項8】
一対の励振電極を有する圧電片を収納する圧電デバイスの製造方法であって、
周辺に環状に形成された第1接合面と前記第1接合面から凹んで形成されたリッド側凹部とを有するリッドを複数含むリッドウエハを用意する工程と、
前記第1接合面に対応し環状に形成された第2接合面と前記第1接合面から凹んで形成されたベース側凹部と前記ベース側凹部から突き出た形状で且つ前記圧電片を載置する一対の台座とが形成されたベース板を複数含むベースウエハを用意する工程と、
前記圧電片を前記複数のベース板にそれぞれ配置する工程と、
前記第1接合面又は前記第2接合面に所定の幅で環状に接合材を形成する接合材形成工程と、
前記接合材形成工程後に、前記ベースウエハと前記リッドウエハとを加熱して接合する接合工程と、
を備える圧電デバイスの製造方法。
【請求項9】
前記ベースウエハを用意する工程は、前記一対の台座から前記第2接合面の反対側の実装面に形成された一対の外部電極へそれぞれ接続される一対の接続電極を形成する請求項8に記載の圧電デバイスの製造方法。
【請求項10】
前記接合材は350℃〜410℃で溶融するガラスの接合材を含む請求項8又は請求項9に記載の圧電デバイスの製造方法。
【請求項11】
前記接合工程後に、前記圧電デバイスをスクライブラインに沿って個々に切断する切断工程を備える請求項8から請求項10のいずれか一項に記載の圧電デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−65305(P2012−65305A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125614(P2011−125614)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】