説明

圧電振動デバイスの製造方法およびその製造方法により得られる圧電振動デバイス

【課題】 真空雰囲気中で2次封止するものにおいて、容器内に封止材の溶融ガスを滞留させず、製品特性にばらつきが生じことがない圧電振動デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】 真空雰囲気中で容器1の開口部周縁部とこの開口部を覆う蓋2とを封止材2bを介して溶接してなり、上記溶接の工程は、上記開口部周縁部の一部に開口残部を残して溶接する1次封止工程と、真空引きすることで排気する工程と、その後溶接されていない上記開口残部と上記蓋とを溶接してなる2次封止工程とを具備してなる圧電振動デバイスを製造する方法であって、上記開口部の平面積をaとし、開口残部の寸法をbとした場合、7.33≦a/b≦10.4にて定義化された封止条件で1次封止を行うことにより、当該圧電素子を封止してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子を真空雰囲気中で気密封止してなる圧電振動デバイスを製造する方法およびその製造方法によって得られる圧電振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、気密封止を必要とする電子部品の例として、水晶振動子、水晶フィルタ、水晶発振器等の圧電振動デバイスがあげられる。これら各製品はいずれも矩形状水晶振動板あるいは音叉型水晶振動片等の圧電素子の表面に金属薄膜電極を形成し、この金属薄膜電極を外気から保護するため、容器の中に圧電素子を収容し、銀ろう等の金属ろう材の溶融によって蓋を接合することにより、前記圧電素子を封止して圧電振動デバイスが製造されている。特許文献1には、金属ろう材を加熱することにより溶融する構成であるが、電子ビーム等を照射することにより熱を発生させ、その照射部分が接合されるビーム溶接を用いた封止方法が開示されている。この金属ろう材などの封止材の溶融時にガスが発生し、そのガスが容器の中に封じ込められることを防止するために、開口部周縁部の一部を除いて溶接(1次封止)が行われた後、容器内の排気が行われるので、溶接によって封止材から発生するガスを容器内に残存させることがなく、未封止部分を溶接(2次封止)することで、気密封止を完了させることが可能になる方法が開示されている。
【特許文献1】特開2000−223604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記の従来技術では、1次封止条件あるいは2次封止条件によっては、1次封止時に発生した封止材の溶融ガスが排除しきれずに容器内部に残存したり、2次封止時に発生する封止材の溶融ガスが容器内部に閉じ込められたりするなどにより、製品特性の良否にばらつきが生じる問題点があった。
【0004】
本発明はこれらの観点を鑑みてなされたものであり、真空雰囲気中で2次封止するものにおいて、容器内に封止材の溶融ガスを滞留させず、製品特性にばらつきが生じことがないより信頼性の高い圧電振動デバイスの製造方法を提供するとともに、その製造方法により得られるより信頼性の高い圧電振動デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の圧電振動デバイスの製造方法は、開口部が形成された容器内に圧電素子を収容し、真空雰囲気中でこの容器の開口部周縁部とこの開口部を覆う蓋とを封止材を介して溶接することにより、当該圧電素子を封止してなり、上記溶接の工程は、上記開口部周縁部の一部に開口残部を残して当該開口部周縁部と上記蓋とを溶接する1次封止工程と、周囲雰囲気を真空引きすることで容器内のガスを排気する工程と、その後溶接されていない上記開口残部と上記蓋とを溶接してなる2次封止工程とを具備してなる圧電振動デバイスを製造する方法であって、上記開口部の平面積をaとし、開口残部の寸法をbとした場合、
7.33≦a/b≦10.4
にて定義化された封止条件で1次封止を行うことにより、当該圧電素子を封止してなることを特徴とする。
【0006】
また、開口部が形成された容器内に圧電素子を収容し、真空雰囲気中でこの容器の開口部周縁部とこの開口部を覆う蓋とを封止材を介して溶接することにより、当該圧電素子を封止してなり、上記溶接の工程は、上記開口部周縁部の一部に開口残部を残して当該開口部周縁部と上記蓋とを溶接する1次封止工程と、周囲雰囲気を真空引きすることで容器内のガスを排気する工程と、その後溶接されていない上記開口残部と上記蓋とを溶接してなる2次封止工程とを具備してなる圧電振動デバイスを製造する方法であって、上記容器の容積をcとし、開口残部の寸法をbとした場合、
3.47≦c/b≦5.21
にて定義化された封止条件で1次封止を行うことにより、当該圧電素子を封止してなることを特徴とする。
【0007】
また、開口部が形成された容器内に圧電素子を収容し、真空雰囲気中でこの容器の開口部周縁部とこの開口部を覆う蓋とを封止材を介して溶接することにより、当該圧電素子を封止してなり、上記溶接の工程は、上記開口部周縁部の一部に開口残部を残して当該開口部周縁部と上記蓋とを溶接する1次封止工程と、周囲雰囲気を真空引きすることで容器内のガスを排気する工程と、その後溶接されていない上記開口残部と上記蓋とを溶接してなる2次封止工程とを具備してなる圧電振動デバイスを製造する方法であって、上記開口部の平面積をaとし、2次封止部の寸法をdとした場合、
4.16≦a/d≦4.88
にて定義化された封止条件で2次封止を行うことにより、当該圧電素子を封止してなることを特徴とする。
【0008】
また、開口部が形成された容器内に圧電素子を収容し、真空雰囲気中でこの容器の開口部周縁部とこの開口部を覆う蓋とを封止材を介して溶接することにより、当該圧電素子を封止してなり、上記溶接の工程は、上記開口部周縁部の一部に開口残部を残して当該開口部周縁部と上記蓋とを溶接する1次封止工程と、周囲雰囲気を真空引きすることで容器内のガスを排気する工程と、その後溶接されていない上記開口残部と上記蓋とを溶接してなる2次封止工程とを具備してなる圧電振動デバイスを製造する方法であって、上記容器の容積をcとし、2次封止部の寸法をdとした場合、
2.21≦c/d≦2.31
にて定義化された封止条件で2次封止を行うことにより、当該圧電素子を封止してなることを特徴とする。
【0009】
また、上記溶接は、レーザビームあるいは電子ビームを照射することにより発生する熱による加熱加工であることを特徴とする。
【0010】
また、上記製造方法により得られることを特徴とする圧電振動デバイス。
【発明の効果】
【0011】
本発明の製造方法により、封止される容器の開口領域の面積、あるいは容器の容積に対する開口残部の寸法、あるいは2次封止部の寸法の最適な封止条件を得ることができ、容器内に封止材の溶融ガスを滞留させず、製品特性にばらつきが生じことがないより信頼性の高い圧電振動デバイスの製造方法が得られる。また製品歩留まりも向上する。
【0012】
本発明の請求項1の製造方法に示すように、開口部の平面積をaとし、開口残部の寸法をbとした場合、7.3≦a/b≦10.4にて定義化された封止条件で1次封止し、圧電素子を封止することで、1次封止工程で溶接が行われた時に発生した封止材の溶融ガスが、その後の真空引きされる排気行程で容器内に残存させることがない。さらに、2次封止工程で溶接が行われた時に発生する封止材の溶融ガスが容器内部に閉じこめられることもなくなる。この結果、振動デバイスが経時的変化を起こすことがなく、特性の劣化を防ぐことができる。従って、得られる圧電振動デバイスの信頼性は飛躍的に向上する。
【0013】
本発明の請求項2の製造方法に示すように、容器の容積をcとし、開口残部の寸法をbとした場合、3.32≦c/b≦5.21にて定義化された封止条件で1次封止し、圧電素子を封止することで、1次封止工程で溶接が行われた時に発生した封止材の溶融ガスが、その後の真空引きされる排気行程で容器内に残存させることがない。さらに、2次封止工程で溶接が行われた時に発生する封止材の溶融ガスが容器内部に閉じこめられることもなくなる。この結果、振動デバイスが経時的変化を起こすことがなく、特性の劣化を防ぐことができる。従って、得られる圧電振動デバイスの信頼性は飛躍的に向上する。
【0014】
本発明の請求項3の製造方法に示すように、開口部の平面積をaとし、2次封止部の寸法をdとした場合、4.16≦a/d≦4.88にて定義化された封止条件で2次封止し、圧電素子を封止することで、1次封止工程で溶接が行われた時に発生した封止材の溶融ガスが、その後の真空引きされる排気行程で容器内に残存させることがない。さらに、2次封止工程で溶接が行われた時に発生する封止材の溶融ガスが容器内部に閉じこめられることもなくなる。この結果、振動デバイスが経時的変化を起こすことがなく、特性の劣化を防ぐことができる。従って、得られる圧電振動デバイスの信頼性は飛躍的に向上する。
【0015】
本発明の請求項4の製造方法に示すように、容器の容積をcとし、2次封止部の寸法をdとした場合、2.21≦c/d≦2.31にて定義化された封止条件で2次封止し、圧電素子を封止することで、1次封止工程で溶接が行われた時に発生した封止材の溶融ガスが、その後の真空引きされる排気行程で容器内に残存させることがない。さらに、2次封止工程で溶接が行われた時に発生する封止材の溶融ガスが容器内部に閉じこめられることもなくなる。この結果、振動デバイスが経時的変化を起こすことがなく、特性の劣化を防ぐことができる。従って、得られる圧電振動デバイスの信頼性は飛躍的に向上する。
【0016】
本発明の請求項5の製造方法に示すように、上記溶接は、レーザビームあるいは電子ビームを照射することにより発生する熱による加熱加工で実施することで、開口残部を1カ所のみに設定して1次封止することができるので、開口残部の寸法管理、あるいは2次封止部の寸法管理が極めて容易であり、特に好ましい。
【0017】
本発明の請求項6により、上記製造方法により得られる圧電振動デバイスであるので、振動デバイスが経時的変化を起こすことがなく、特性の劣化を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に表面実装型水晶振動子を例にとり図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の実施形態を示す表面実装型水晶振動子の封止状態を示した断面図であり、図2は図1の封止状態を経時的に示した模式的な平面図である。表面実装型水晶振動子は、上部が開口した凹部を有する平面矩形状の容器1と、当該容器の中に収納される圧電素子3と、容器の開口部に接合される蓋2とからなる。
【0019】
容器1は、例えばアルミナセラミック材料からなり、矩形平板形状の基体1aと、中央部分が大きく穿設されるとともに外形サイズが上記基体1aとほぼ等しい枠体1b、1c、1dとからなり、さらに上記枠体1dの上面にはタングステンやモリブデンなどからなるメタライズ層11dが形成され、これら各層が積層されて一体的に焼成されている。上記焼成成形後、枠体1dのメタライズの上面には、図示していないが、例えばニッケルメッキを形成し、その上部に金メッキを形成している。つまり、容器1は、断面でみて凹形の電子素子収納部10を有した形態となっており、凹形周囲の堤部11上に周状のメタライズ層11dが形成されている。この容器外周の4角には、図示していないが、上下にキャスタレーションと連結電極が形成されており、当該連結電極は、枠体1bの上面に形成された電極パッド12,13(13については図示せず)、および容器底面に形成された端子電極(図示せず)へとそれぞれ電気的に延出されている。なお、これらの端子電極、連結電極、電極パッドは、上記メタライズ層11dと同様に、ダングステン、モリブデン等のメタライズ層を、容器と一体的に焼成して形成し、当該メタライズ層の上部にニッケルメッキを形成し、その上部に金メッキを形成して構成されている。
【0020】
上記電極パッドの上部には例えば音叉型水晶振動片からなる圧電素子3が搭載されている。圧電素子3の表面には図示しない励振電極と引出電極が形成され、上記容器の電極パッドに、例えばシリコーン系の導電性樹脂接着剤やはんだなどの導電性接合材Dにより導電接合され、片持ち保持されている。
【0021】
容器を気密封止する金属製の蓋2は平板形状であり、コバールからなる金属母材2aに対してより軟質の銀ろうなどのろう材層2b(封止材)を圧延などの手法によりクラッド化しており、かつ上記金属母材2a側からろう材層2b側に向かってプレス打ち抜きすることで形成している。
【0022】
上記容器と蓋は、図示していないが、治具により蓋の位置決めと加重を行いながら、真空雰囲気の加工室で気密封止作業(溶接)が行われる。加工室では、真空雰囲気とされているので、ガスは容器1内から加工室の外部に排出される。このように容器1の内部にガスを残存させず、真空にした状態で、加工室で封止加工を行う。封止加工は、例えば、電子ビームによる溶接が行われるが、まず、図2(a)に示すように、容器1の開口部周縁部に対応する堤部11上部分のうち、一方の短辺部分において、0.4〜1.0mmの寸法の未封止部分(開口残部)4aとして残して、矢符Xの動きに追随するビームBの照射により、1次封止部4bを形成する(1次封止工程)。その後、再び、数秒〜数十秒間真空引き(強制排気)が行われ、1次封止時に発生するろう材からの溶融ガスを容器1内から排出する(容器内のガスを排気する工程)。その後、前記未封止部分(開口残部)4aの両端部が、前記1次封止部4bの一部と重なるように矢符Yの動きに追随するビームBの照射により、2次封止部4cを形成する(2次封止工程)。以上のように、1次封止工程と、容器内のガスを排気する工程と、2次封止工程により、ろう材を溶かし溶着(溶接)させ封止加工が完了する。
【0023】
本実施の形態では、1次封止前、あるいは1次封止後の加工室は、真空引きされて、2×10-4Torr以下の高真空雰囲気としている。なお、加工室の高真空を維持するために、加工室に隣接して搬入予備真空室および搬出予備真空室を設けられた構成としてもよい。この構成により、加工室における表面実装型水晶振動子のユニットを搬入・搬出の際に真空状態に損失を与えることがないため、加工処理を効率的に行うことができる。また、上記容器の開口部周縁部のうち、一方の短辺部分を未封止部分(開口残部)として残しているので、ガスの残存が少なく、2重封止による熱の影響を抑制することができる。
【0024】
次に、上記実施形態に基づく表面実装型水晶振動子において、より最適な封止条件を見いだすための検証を行っており、これらの検証例について説明する。図3は、図4に示す各サイズの異ならせた第1の表面実装型水晶振動子、ならびに第2の表面実装型水晶振動子について、封止条件を変えて製造した各50個のサンプルにおけるインピーダンス(CI値)が50KΩ以下を満足するサンプルの残存数を示した図である。
【0025】
第1の表面実装型水晶振動子は、容器の内部寸法が短辺Wを1.3mm、長辺Lを4.8mm、深さDを0.55mm、保持台の長辺lを0.62mm、保持台の短辺wを0.55mm、保持台の高さdを0.15mmとし、容器開口部の平面積を6.24mm、容器の容積を3.3297mmとしたアルミナセラミック製の容器に周波数32.768KHzの音叉型水晶振動子を収容し、この容器にコバールを母材として銀ロウを封止材として銀クラッド材からなる金属蓋を密着させて、電子ビームにて封止している。第2の表面実装型水晶振動子は、容器の内部寸法が短辺Wを1.1mm、長辺Lを4mm、深さDを0.49mm、保持台の長辺lを0.55mm、保持台の短辺wを0.45mm、保持台の高さdを0.14mmとし、容器開口部の平面積を4.4mm、容器の容積を2.0867mmとしたアルミナセラミック製の容器に周波数32.768KHzの音叉型水晶振動子を収容し、この容器にコバールを母材として銀ロウを封止材として銀クラッド材からなる金属蓋を密着させて、電子ビームにて封止している。
条件1:上記開口残部の寸法を0.2mm、2次封止部の寸法を0.7mm
条件2:上記開口残部の寸法を0.4mm、2次封止部の寸法を0.9mm
条件3:上記開口残部の寸法を0.6mm、2次封止部の寸法を1.1mm
条件4:上記開口残部の寸法を0.8mm、2次封止部の寸法を1.3mm
条件5:上記開口残部の寸法を1.0mm、2次封止部の寸法を1.5mm
条件6:上記開口残部の寸法を1.2mm、2次封止部の寸法を1.7mm
【0026】
これらのデータからわかるように、第1の表面実装型水晶振動子では、条件3、4、5のときが50KΩ以下を満足するサンプルの残存数が50個となり良好な特性を満足することができ、第2の表面実装型水晶振動子では、条件2、3のときが50KΩ以下を満足するサンプルの残存数が50個となり良好な特性を満足することができた。つまり、容器開口部の平面積をaとし、開口残部の寸法をb、容器の容積をc、2次封止部の寸法をdとした場合、第1の表面実装型水晶振動子では、以下の範囲が封止条件として好ましい。なお、これらの数値について小数点第3位以下は切り捨てている。
6.24≦a/b≦10.4
3.32≦c/b≦5.54
4.16≦a/d≦5.67
2.21≦c/d≦3.02
また、第2の表面実装型水晶振動子では、以下の範囲が封止条件として好ましい。なお、これらの数値について小数点第3位以下は切り捨てている。
7.33≦a/b≦11
3.47≦c/b≦5.21
4≦a/d≦4.88
1.89≦c/d≦2.31
これらの結果から、圧電振動デバイスの最適な封止条件として、以下のイからニのように定義づけることができる。
イ−7.33≦a/b≦10.4
ロ−3.47≦c/b≦5.21
ハ−4.16≦a/d≦4.88
ニ−2.21≦c/d≦2.31
【0027】
このように、圧電振動デバイスの封止条件を最適にすることにより、信頼性の高い圧電振動デバイスを得ることができる。特に、容器内部を真空雰囲気にする音叉型振動子では、リフロー後のインピーダンス(CI値)の特性劣化を防ぐことができ、また振動子の経時的変化を抑えることができることから、その効果は顕著である。また、これらの封止条件は、開口残部の寸法を中心として上記イとロを組み合せたり、2次封止部の寸法を中心として上記ハとニを組み合せたり、容器開口部の平面積を中心として上記イとハを組み合せたり、容器の容積を中心として上記ロとニを組み合せたり、イ〜ニの全てを組み合せたりすることで、より一層特性のばらつきが抑制され、さらなる効果が期待できる。
【0028】
なお、上記実施形態では、溶接の手法として、電子ビームを例にしているが、イオンビーム、レーザビームなどの他のビーム溶接でもよく、シームローラを用いたシーム溶接でも実施できる。ただし、シームローラを用いるシーム溶接の場合は、開口残部の箇所が2カ所となるので、開口残部の寸法あるいは2次封止部の寸法を考慮して本発明の最適な封止条件を満たす必要がある。また、ろう材として銀ろうを例にしているが、金スズろう、鉛フリーはんだ等の公知のろう材でもよく、公知のメッキ材の一部を溶融させてろう材としてもよい。また、圧電素子として音叉型水晶振動片を例にしているが、ATカットの水晶振動板、圧電フィルタ素子、SAW(弾性表面波)素子等の圧電素子、もしくは他の電子部品素子であってもよい。さらに、上記実施形態では、表面実装型水晶振動子を例にしているが、水晶フィルタ、水晶発振器、弾性表面波デバイス、もしくは半導体デバイスなど電子機器等に用いられる他の表面実装型電子部品用パッケージにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態を示す表面実装型水晶振動子の封止状態を示した断面図。
【図2】図1の封止状態を経時的に示した模式的な平面図。
【図3】封止条件を変えて製造した各50個のサンプルにおけるインピーダンス(CI値)が50KΩ以下を満足するサンプルの残存数を示した図。
【図4】図3の表面実装型水晶振動子における容器内部のサイズ測定箇所を示した図。
【符号の説明】
【0030】
1 容器
2 蓋
3 圧電素子
4a 未封止部分(開口残部)
4b 1次封止部
4c 2次封止部
B ビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が形成された容器内に圧電素子を収容し、真空雰囲気中でこの容器の開口部周縁部とこの開口部を覆う蓋とを封止材を介して溶接することにより、当該圧電素子を封止してなり、
上記溶接の工程は、上記開口部周縁部の一部に開口残部を残して当該開口部周縁部と上記蓋とを溶接する1次封止工程と、周囲雰囲気を真空引きすることで容器内のガスを排気する工程と、その後溶接されていない上記開口残部と上記蓋とを溶接してなる2次封止工程とを具備してなる圧電振動デバイスを製造する方法であって、
上記開口部の平面積をaとし、開口残部の寸法をbとした場合、
7.33≦a/b≦10.4
にて定義化された封止条件で1次封止を行うことにより、当該圧電素子を封止してなることを特徴とする圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項2】
開口部が形成された容器内に圧電素子を収容し、真空雰囲気中でこの容器の開口部周縁部とこの開口部を覆う蓋とを封止材を介して溶接することにより、当該圧電素子を封止してなり、
上記溶接の工程は、上記開口部周縁部の一部に開口残部を残して当該開口部周縁部と上記蓋とを溶接する1次封止工程と、周囲雰囲気を真空引きすることで容器内のガスを排気する工程と、その後溶接されていない上記開口残部と上記蓋とを溶接してなる2次封止工程とを具備してなる圧電振動デバイスを製造する方法であって、
上記容器の容積をcとし、開口残部の寸法をbとした場合、
3.47≦c/b≦5.21
にて定義化された封止条件で1次封止を行うことにより、当該圧電素子を封止してなることを特徴とする圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項3】
開口部が形成された容器内に圧電素子を収容し、真空雰囲気中でこの容器の開口部周縁部とこの開口部を覆う蓋とを封止材を介して溶接することにより、当該圧電素子を封止してなり、
上記溶接の工程は、上記開口部周縁部の一部に開口残部を残して当該開口部周縁部と上記蓋とを溶接する1次封止工程と、周囲雰囲気を真空引きすることで容器内のガスを排気する工程と、その後溶接されていない上記開口残部と上記蓋とを溶接してなる2次封止工程とを具備してなる圧電振動デバイスを製造する方法であって、
上記開口部の平面積をaとし、2次封止部の寸法をdとした場合、
4.16≦a/d≦4.88
にて定義化された封止条件で2次封止を行うことにより、当該圧電素子を封止してなることを特徴とする圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項4】
開口部が形成された容器内に圧電素子を収容し、真空雰囲気中でこの容器の開口部周縁部とこの開口部を覆う蓋とを封止材を介して溶接することにより、当該圧電素子を封止してなり、
上記溶接の工程は、上記開口部周縁部の一部に開口残部を残して当該開口部周縁部と上記蓋とを溶接する1次封止工程と、周囲雰囲気を真空引きすることで容器内のガスを排気する工程と、その後溶接されていない上記開口残部と上記蓋とを溶接してなる2次封止工程とを具備してなる圧電振動デバイスを製造する方法であって、
上記容器の容積をcとし、2次封止部の寸法をdとした場合、
2.21≦c/d≦2.31
にて定義化された封止条件で2次封止を行うことにより、当該圧電素子を封止してなることを特徴とする圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項5】
上記溶接は、レーザビームあるいは電子ビームを照射することにより発生する熱による加熱加工であることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項6】
上請求項1〜5記載の製造方法により得られることを特徴とする圧電振動デバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−13710(P2006−13710A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185357(P2004−185357)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】