説明

圧電振動子、膜厚センサ、エッチング量センサ及び膜厚検出方法並びにエッチング量検出方法

【課題】輪郭すべり振動に基づく副振動の発生を抑えること。
【解決手段】厚みすべり振動を主振動とする圧電体をなす水晶片30の両面に夫々励振電極31,32が形成された水晶振動子3において、前記水晶片30の輪郭に沿って、水晶よりも音響抵抗が大きい材質例えばガラスにより環状の振動吸収部材4を形成する。この振動吸収部材4により輪郭すべり振動の発生が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動子、膜厚センサ、エッチング量センサ及び膜厚検出方法並びにエッチング量検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真空蒸着装置やスパッタ装置では、その内部に膜厚センサを設けることが知られており、前記膜厚センサとして水晶振動子を利用した構成が用いられることがある。ランジュバン型の水晶振動子の電極の質量を増加させると、質量付加効果により、水晶振動子の発振周波数が低下することを利用するものであり、水晶振動子の表面に被処理物と同じ環境内にて薄膜を成膜し、この薄膜の膜厚と発振周波数との相関関係により、膜厚が測定される。この際、水晶振動子はATカットの基本波振動モードで振動するものを用いることが一般的であり、厚みすべり振動に起因する共振を利用して、既述の膜厚測定が行われている。
【0003】
ここで、水晶振動子を測定機器として用いる場合、不要な副振動の発生が問題となるが、このような副振動の原因の一つに輪郭すべり振動に起因するものがある。図14(a)に、厚みすべり振動に起因する発振周波数fと、輪郭すべり振動に起因する発振周波数f1、f2、f3について示すが、このように副振動に基づく発振周波数f1〜f3は、前記主振動に基づく発振周波数fよりも低周波側及び高周波側に存在する。
【0004】
従って、水晶振動子に成膜される薄膜の膜厚が大きくなり、厚みすべり振動に起因する発振周波数fが低下すると、図14(b)に示すように、輪郭すべり振動に起因する発振周波数f2と重なるが、このように両者の発振周波数が重なると、水晶振動子の発振が停止してしまい、膜厚の測定ができない状態となる。
【0005】
このため、従来の膜厚センサでは、発振周波数fが副振動の発振周波数f2と重ならない範囲で、膜厚の計測レンジを設定せざるを得ず、計測レンジが1MHz程度と狭いという問題がある。例えば高分子膜の膜厚測定を行う際には、高分子膜は分子量が大きく、成膜前後での発振周波数fの変化量が1MHzを越える場合もあるため、膜厚が正確に測定できないおそれがある。また、成膜処理毎に膜厚センサを交換せず、複数回の処理を行うにあたり継続して使用する場合もあり、この場合には、水晶振動子には薄膜が積層され、トータルの膜厚が大きくなるため、計測レンジが狭いと、膜厚センサの使用回数が少なくなってしまう。
【0006】
ここで、一般的に水晶振動子の副振動を抑制するためには、水晶片の外径寸法を適切に選定したり、水晶片の端部を面取りしたり、水晶片を凸状とすること等が行われている。しかしながら、これの方法を用いても、副振動の発生を効果的に抑制することは困難であり、1MHz以上の周波数変化に対応させることは難しいのが現状である。
【0007】
ところで、特許文献1には、圧電振動子において、不要振動が発生する部位にシリコンゴムや樹脂等により構成されたダンピング材を設けることにより、スプリアス振動を低減させる技術が記載されている。しかしながら、この技術によっても、輪郭すべり振動に起因する副振動を抑えることはできず、本発明の課題の解決を図ることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−172336号公報(段落0009、0018)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような事情の下になされたものであり、その目的は、輪郭すべり振動に基づく副振動の発生を抑えた圧電振動子を提供することにある。また他の目的は、輪郭すべり振動に基づく副振動の発生を抑えた圧電振動子を用いて膜厚やエッチング量の検出を行うことにより、計測レンジを大きくすることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のセンサ用の圧電振動子は、厚みすべり振動を主振動とする圧電体の両面に夫々励振電極が形成されると共に、この励振電極に付着する付着物量に応じた周波数変化か、または圧電体の変化量に応じた周波数変化を利用して、前記付着物量または前記変化量を検出するセンサに用いられる圧電振動子であって、
前記圧電体の輪郭に沿って設けられ、輪郭すべり振動の発生を抑制するために、圧電体よりも音響抵抗が大きい材質により構成された振動吸収部材を備えたことを特徴とする。ここで、前記付着物量とは例えば膜厚であり、圧電体の変化量とは例えば圧電体のエッチング量である。
【0011】
また、本発明の膜厚センサは、厚みすべり振動を主振動とする圧電体の両面に夫々励振電極が形成され、一方の励振電極の表面に成膜された膜の膜厚に応じて周波数変化する圧電振動子と、
この圧電振動子を保持すると共に、その周囲を囲むように設けられた収納容器と、
前記圧電体の輪郭すべり振動の発生を抑制するために、圧電体よりも音響抵抗が大きい材質により構成され、圧電体の両面の少なくとも一方と接触するように、圧電体の輪郭に沿って設けられた振動吸収部材と、
前記圧電振動子の一面側の励振電極の少なくとも一部を成膜雰囲気に露出させるために、前記収納容器に設けられた開口部と、
前記圧電振動子の他面側の励振電極の周囲に空間を形成するために、前記収納容器に設けられた凹部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明のエッチング量センサは、厚みすべり振動を主振動とする圧電体の両面に夫々励振電極が形成され、前記圧電体のエッチング量に応じて周波数変化する圧電振動子と、
この圧電振動子を保持すると共に、その周囲を囲むように設けられた収納容器と、
前記圧電体の輪郭すべり振動の発生を抑制するために、圧電体よりも音響抵抗が大きい材質により構成され、圧電体の両面の少なくとも一方と接触するように、圧電体の輪郭に沿って設けられた振動吸収部材と、
前記圧電振動子の一面側の励振電極及び圧電体の一部をエッチング液に接触させるために、前記収納容器に形成された開口部と、
前記圧電振動子の他面側の励振電極の周囲に空間を形成するために、前記収納容器に設けられた凹部と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
さらにまた、本発明の膜厚測定方法は、厚みすべり振動を主振動とする圧電体の両面に励振電極が形成され、一方の励振電極の表面に成膜された膜の膜厚に応じて周波数変化する圧電振動子を用いて前記膜厚を測定する方法において、
前記圧電振動子の一方の励振電極の表面に検出対象となる膜を成膜する工程と、
前記圧電体の輪郭すべり振動の発生を抑えるために、前記圧電体の両面の少なくとも一方に、この圧電体の輪郭に沿って、当該圧電体よりも音響抵抗の大きい材質により構成された振動吸収部材を接触させながら発振周波数を検出する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
さらにまた、本発明のエッチング量測定方法は、厚みすべり振動を主振動とする圧電体の両面に励振電極が形成され、圧電体のエッチング量に応じて周波数変化する圧電振動子を用いて前記エッチング量を測定する方法において、
前記圧電振動子の一方の励振電極及び圧電体の一部をエッチング液に接触させる工程と、
前記圧電体の輪郭すべり振動の発生を抑えるために、前記圧電体の両面の少なくとも一方に、この圧電体の輪郭に沿って、当該圧電体よりも音響抵抗の大きい材質により構成された振動吸収部材を接触させながら発振周波数を検出する工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明においては、圧電体の輪郭に沿って、圧電体よりも音響抵抗が大きい材質よりなる振動吸収部材を設けているので、輪郭すべり振動に基づく副振動の発生を抑えることができる。また、このように輪郭すべり振動に基づく副振動の発生を抑えた圧電振動子を用いて膜厚やエッチング量の検出を行うことにより、厚み滑り振動に基づく発振周波数が膜厚やエッチング量に応じて変化する場合であっても、前記発振周波数と副振動とが重なることによる発振停止が発生せず、計測レンジを大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係る膜厚センサを組み込んだ真空蒸着装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る膜厚センサの一例を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る水晶振動子の平面図及び断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る膜厚センサの検出部を示す構成図である。
【図5】本発明の実施gの形態に係る水晶振動子の他の例を示す平面図及び断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る膜厚センサの他の例を示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るエッチング量センサの一例を示す断面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るエッチング量センサの作用を示す断面図である。
【図9】本発明の他の実施の形態に係るエッチング量センサの一例を示す断面図である。
【図10】本発明の他の水晶振動子の一例を示す断面図である。
【図11】本発明の他の水晶振動子の一例を示す断面図である。
【図12】本発明の膜厚センサにおける発振周波数と計測時間との関係を示す特性図である。
【図13】本発明のエッチング量センサにおける周波数偏差とエッチング時間との関係を示す特性図である。
【図14】厚みすべり振動に起因する発振周波数と、輪郭すべり振動に起因する発振周波数とを示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の第1の実施の形態として、膜厚センサを真空蒸着装置に組み込む場合を例にして説明する。図1は、前記真空蒸着装置1を示す概略構成図である。この真空蒸着装置1は、真空排気手段11により真空雰囲気に維持可能な真空容器10を備え、この真空容器10の内部には、例えば底部側に蒸着原料を収納する原料容器12と、当該原料容器12を加熱する加熱部13と、が設けられている。一方、真空容器10内における原料容器12と対向する領域には、被処理体Wの保持部材14が真空容器10の天井部から吊り下げられるように設けられ、前記被処理体Wは保持部材14の下面に保持されている。
【0018】
また、真空容器10の内部における保持部材14により保持された被処理体Wの近傍には、膜厚センサ2が支持部材15により支持された状態で設けられている。膜厚センサ2については後述する。さらに、真空容器10の内部は、区画壁16により、原料容器12が設けられた領域と、被処理体W及び膜厚センサ2が設けられた領域との間で雰囲気を区画できるように構成されている。この区画壁16には、例えば原料容器12の近傍に開口部16aが形成され、当該開口部16aはシャッタ17により開閉自在に構成されている。図1中18はシャッタ17の駆動機構であり、制御部100からの指令に基づき、シャッタ17を駆動させて、前記開口部16aを開閉するように構成されている。
【0019】
前記膜厚センサ2は、図2に示すように、収納容器21に圧電振動子をなす水晶振動子3を収納して構成されている。先ず、前記水晶振動子3について説明すると、この水晶振動子3は、図2及び図3に示すように、圧電体をなす水晶片30の両面に夫々励振電極31,32を備えて構成されている。前記水晶片30は、ATカットされた平面形状が円形状のプラノコンベックス状に構成され、直径が例えば14φ、中央部の厚さが約0.34mm、周縁部の厚さが約0.1mm程度に夫々設定されている。この水晶片30の両面の中央部には、当該水晶片30を励振させるための励振電極31,32が互いに対向するように形成されている。これら励振電極31,32は例えば円形状に構成され、その直径は5φ程度に設定されている。
【0020】
また、水晶片30の両面の周縁部には、例えばガラスにより構成された振動吸収部材4が設けられている。この振動吸収部材4は、輪郭すべり振動の発生を抑えるために、輪郭すべり振動が発生する領域に設けられている。この例では環状の振動吸収部材4が水晶片30の外縁に沿って設けられており、その幅は1mm程度、厚さは0.5mm程度に設定されている。
【0021】
この振動吸収部材4の形状や接地部位は、例えばシミュレータを用いて、輪郭すべり振動の抑制を確認することにより決定される。例えば膜厚センサ2の場合であって、振動吸収部材4を環状に形成する場合には、水晶片30の励振電極31が設けられた面の面積と振動吸収部材4の幅の比は、250:1程度に設定される。振動吸収部材4としては、既述のガラスの他に、シリコンゴムやポリスチレン、ポリイミド、金属膜など、水晶片30(圧電体)よりも音響抵抗が大きな材質を適宜選択して用いられる。この例のようにガラスを用いる場合には、高温状態でもガスを発生しないので有効である。
【0022】
また、前記一面側の励振電極31の一部には、水晶片30の周縁に向かって引き出されるように引き出し電極33が接続されると共に、他面側の励振電極32の一部には、引き出し電極33と対向する方向の周縁に向かって引き出されるように引き出し電極34が接続されている。これら一面側の励振電極31及び引き出し電極33、他面側の励振電極32及び引き出し電極34は夫々一体的に形成されており、これら電極は例えばクロム(Cr)及び金(Au)の積層膜により形成されている。この例では、各引き出し電極33,34が形成されている領域では、引き出し電極33,34は夫々振動吸収部材4の上に形成されているが、引き出し電極33,34の上に振動吸収部材4を形成するようにしてもよい。
【0023】
このような水晶振動子3は、例えば水晶片30の両面全体に振動吸収部材4の材質であるガラスを、例えばSiClガスを成膜ガスとして用いて、500℃以下の温度でCVD(Chemical Vapor Deposition:化学蒸着)法により成膜した後、例えばフォトリソグラフィにより水晶片30の周縁部に所定形状の振動吸収部材4を形成する。次いで、水晶片30の両面に励振電極31,32及び引き出し電極33,34の材料となる金属膜を成膜した後、例えばフォトリソグラフィにより所定形状の励振電極31,32及び引き出し電極33,34を形成することにより製造される。
また、ガラスを振動吸収部材4の形状に形成した後、水晶片30に接触するように配置し、次いで励振電極31,32や引き出し電極33,34を形成するようにしてもよい。
【0024】
続いて、収納容器21について説明する。この例の収納容器は、ベース体22と蓋体23とにより構成されている。ベース体22のほぼ中央部には凹部24が形成されると共に、その凹部24の周囲には段部25が形成され、この段部25に水晶振動子3の周縁部が載置されるようになっている。この際、水晶振動子3の他面側の励振電極32は凹部24により形成された気密な空間に臨むように配置される。
【0025】
一方、蓋体23は、ベース体22上に載置された水晶振動子2に対して、上方側から覆うように設けられており、水晶振動子2が設けられた領域の外側において、ベース体22と気密に接続されている。また、蓋体23には水晶振動子3の一面側の励振電極31が外部雰囲気である成膜雰囲気に露出するように、開口部26が形成されている。
【0026】
さらに、収納容器21には、前記引き出し電極33,34と夫々接続される配線電極27,28が、例えばベース体22と蓋体23との間に形成され、引き出し電極33と配線電極27、引き出し電極34と配線電極28とが夫々電気的に接続されている。そして、これら配線電極27,28は、図4に示すように信号線29を介して発振回路35に接続されている。例えば発振回路35としては、水晶振動子3から発振周波数を取り出すために、水晶振動子3に接続されたコルピッツ型の発振回路が用いられる。
【0027】
この発振回路35の後段には、周波数測定部36を介して制御部100が接続されている。前記周波数測定部36は例えば入力信号である周波数信号をディジタル処理して水晶振動子3の発振周波数を測定する役割を果たす。さらに制御部100は、CPU(中央演算処理装置)51、プログラム52、メモリ53、入力部54及び既述の周波数測定部36がデータバス50を介して互いに接続された構成となっている。
【0028】
前記メモリ53には、発振周波数の変化分と膜厚とを対応付けたデータが格納されている。前記発振周波数の変化分とは、測定開始時の発振周波数と、測定開始から所定時間経過後の発振周波数との変化分である。また、前記入力部54は例えば表示画面を備え、オペレータがこの表示画面上にて目標膜厚の入力を行うことができるように構成されている。さらに、前記プログラム52は、メモリ53内のデータに基づき、前記目標膜厚に対応する発振周波数の変化分の設定値を求める機能を有している。
【0029】
さらにまた、前記プログラム52は、周波数測定部36から出力される信号に基づいて水晶振動子3の発振周波数に係わるデータを取得し、発振周波数の変化分を求める機能と、前記発振周波数の変化分が前記設定値になったときに、前記駆動機構18に開口部16aを塞ぐためにシャッタ17を駆動する指令を出力する機能と、を備えている。また、前記プログラム52は、例えば測定時に得られる発振周波数の変化分が所定値になったときに、対応する膜厚値を表示画面上に表示する機能を備えるように構成してもよい。
【0030】
この際、メモリ53に格納された発振周波数の変化分と膜厚とを対応付けたデータは、膜厚の実測データを測定して設定するようにしてもよいし、発振周波数の変化分と質量との相関式に基づいて前記変化分に対応する質量を演算し、この質量を膜厚に換算して設定するようにしてもよい。さらに、前記膜厚の実測データと膜厚の演算データとの両者のデータを参照して決定するようにしてもよい。
【0031】
続いて、本発明の膜厚センサ2の作用について説明する。先ず、真空蒸着装置1内に図示しない搬入口から被処理体Wを搬入し、被処理面が下方を向くように保持部材14にて保持させると共に、前記膜厚センサ2を、開口部26が下方を向くように、真空蒸着装置1内の所定位置に支持部材15により支持させて設ける。この所定位置とは、例えば保持部材14に保持された被処理体Wの近傍において、被処理体Wの被処理面とほぼ同じ高さに水晶振動子3の一面側が配置される位置である。また、オペレータが予め目標膜厚を入力部54により設定しておく。
【0032】
そして、真空蒸着装置1では、シャッタ17により開口部16aを開き、真空排気ポンプ11により真空容器10内を所定の真空度に維持すると共に、例えば固体状態の原料が供給された原料容器12を加熱部13により加熱する。これにより、原料である例えばAg(銀)が溶解し、蒸発する。こうして得られた原料の気体分子を、被処理体Wの被処理面に衝突させ、所望の膜を形成する。
【0033】
この際、膜厚センサ2では、水晶振動子3から出力される周波数信号は、周波数測定部36に取り込まれ、A/D変換された後、各ディジタル値が信号処理されて水晶振動子3の周波数信号の周波数を測定し、この周波数の測定値がメモリ53に格納される。そして、発振周波数の変化分が演算され、この変化分が設定値になったときに、前記駆動機構18に指令を出力し、前記開口部16aをシャッタ17により閉じて、蒸着処理を終了する。
【0034】
本発明によれば、水晶片30の周縁領域に振動吸収部材4を設けているので、輪郭すべり振動のエネルギーが当該振動吸収部材4により吸収され、当該輪郭すべり振動に基づく副振動の発生が抑えられる。このため、膜厚センサ2にこの水晶振動子3を用いることにより、膜厚の増加に伴って厚みすべり振動に基づく発振周波数が低下しても、前記副振動と重なることがなく、発振の停止が抑えられる。従って、輪郭すべり振動に基づく副振動によって計測レンジが狭められるおそれがないので、後述する実施例からも明らかなように、2MHz程度の大きな計測レンジを確保できる。
【0035】
このため、発振周波数の変化量が大きい高分子膜の成膜に対しても、膜厚を正確に検出することができる。また、成膜処理毎に膜厚センサを交換せず、複数回の処理を行うにあたり継続して使用する場合であっても、検出可能なトータル膜厚が大きくなるため、膜厚センサ2の使用回数を多くすることができる。
【0036】
また、従来から副発振を抑制するために取られていた水晶片の外形寸法を調整したり、水晶片の外縁を面取りしたり、水晶片を凸状に形成したりといった手法と組み合わせることができ、より確実な副発振の発生を抑制が期待できる。
【0037】
以上において、水晶振動子3の構成は上述の形状に限らず、図5に示すように、水晶振動子3Aの断面形状は、水晶片30A両面が凸状に形成された構成であってもよいし、水晶片の両面が水平面状に形成された構成であってもよい。また、水晶片の平面形状は円形状に限らず、矩形状のものにも適用できる。これらの場合であっても、水晶片の周縁領域に振動吸収部材を設けることにより、輪郭すべり振動の発生を抑えることができる。さらに、振動吸収部材4は必ずしも水晶片30の両面に設ける必要はなく、水晶片30の一面側又は他面側の少なくとも一方に設けるようにしても、輪郭すべり振動の発生を抑制することができる。
【0038】
さらにまた、振動吸収部材4は、水晶片30の周縁領域に接触するように設ける構成であれば、水晶片30に直接設ける必要はなく、図6に示すように、収納容器21A側に設けるようにしてもよい。この例では、振動吸収部材41は、収納容器21Aのベース体22Aに、水晶片30の他面側の周縁領域に接触するように設けられている。
【0039】
続いて、本発明の他の実施の形態として、本発明の水晶振動子を備えたエッチング量センサ6について図7及び図8を用いて説明する。このエッチング量センサ6は、収納容器61に圧電振動子をなす水晶振動子7を収納して構成されている。この水晶振動子7は、水晶片70の両面が水平面状に構成されている以外は、上述の水晶振動子3と同様に構成されており、圧電体をなす水晶片70の両面に夫々励振電極71,72を備えると共に、水晶片70の両面の周縁領域には、例えばガラスにより構成された環状の振動吸収部材8が設けられている。振動吸収部材8の材質は、既述のガラスの他に、シリコンゴムやポリスチレン、ポリイミド、金属膜等、水晶片30よりも音響抵抗が大きな材質であるが用いられる。
【0040】
続いて、収納容器61について説明する。この例の収納容器61も既述の収納容器21と同様にベース体62と蓋体63とにより構成され、ベース体62のほぼ中央部には凹部64が形成されて、水晶振動子7の他面側の励振電極72が凹部64により形成された気密な空間に臨むように、前記水晶振動子7が収納容器61にて保持されるようになっている。
【0041】
一方、蓋体63は、ベース体62上に載置された水晶振動子7に対して、上方側から覆うように設けられており、水晶振動子7が設けられた領域の外側において、ベース体62と気密に接続されている。また、蓋体63には水晶振動子7の一面側の励振電極71及び一面側の水晶片70の一部のみがエッチング液と接触するように、開口部65が形成されている。つまり、開口部65は、励振電極71の周囲にエッチング領域を形成するために、励振電極71よりも0.2mm程度外側の領域を囲むように形成されている。また、蓋体63はエッチング液に接触するため、水晶片70よりもエッチング液に対してエッチング速度が小さい材質により構成される。
【0042】
なお、図7では、引き出し電極や配線電極の図示を省略しているが、他面側の励振電極72は引き出し電極及び配線電極を介して接地し、一面側の励振電極71は引き出し電極及び配線電極を介して信号線73により、発振回路74、周波数測定部75及び制御部76に接続されている。
【0043】
前記制御部76は、予め発振周波数の変化分とエッチング量とを対応付けたデータを取得してメモリに格納され、オペレータが入力したエッチング量の目標値に対応する発振周波数の変化分の設定値Δfcを求める機能と、測定時に水晶振動子7の発振周波数の変化分Δf0を求める機能と、前記発振周波数の変化分Δf0が前記設定値Δfcになったときに、所定の制御信号を出力する機能と、を備えている。前記発振周波数の変化分Δf0が前記設定値Δfcになったときに、所定の制御信号を出力する機能としては、例えばΔf0−Δfc=0となったときに、所定の制御信号を出力する機能とすることができる。また、例えば測定時に得られる発振周波数の変化分が所定値になったときに、対応するエッチング量を表示画面上に表示する機能を備えるように構成してもよい。
【0044】
この例においても、メモリに格納された発振周波数の変化分とエッチング量とを対応付けたデータは、エッチング量の実測データを測定して設定するようにしてもよいし、発振周波数の変化分と質量との相関式に基づいて前記変化分に対応する質量を演算し、この質量をエッチング量に換算して設定するようにしてもよい。さらに、前記エッチング量の実測データと演算データとの両者のデータを参照して決定するようにしてもよい。ここで、エッチング量としては、単位面積当たりのエッチング量であってもよいし、エッチング速度であってもよい。
【0045】
このようなエッチング量センサ6は、収納容器61の一面側のみがエッチング液に接触するように、エッチング容器81に接続され、こうして、水晶振動子7の一面側の励振電極71及び、水晶片70の一面側の一部のみが、エッチング容器81中のエッチング液82に接触することになる。また、エッチング容器81には、エッチング対象となる被処理体83が例えば保持部材84に搭載されて配置されている。この保持部材84は、被処理体83がエッチング液82に接触するように例えばメッシュ体により構成され、被処理体83がエッチング液82に浸漬されるエッチング位置と、被処理体83がエッチング液82の上方側に位置する待機位置との間で昇降機構85により昇降自在に構成されている。なお、図7においては、図示の便宜上、被処理体83をエッチング量センサ6に比較して小さく描いている。
【0046】
続いて、本発明のエッチング量センサ6の作用について説明する。この例では、水晶振動子の外形寸法が励振電極面積に対して小さくなると、発振周波数が高くなるという辺比効果を利用している。ここで、辺比とは、励振電極面積/水晶片の厚さにより求められる値であり、辺比が大きい方が小さい方よりも発振周波数が高くなる。従って、励振電極71,72間の水晶片70の厚さが一定であり、エッチングが進行して水晶片70の外形寸法が小さくなっていくと、発振周波数は、高周波側に移動していく。
【0047】
先ず、エッチング容器81のエッチング位置に被処理体83を保持部材84により搬入すると共に、エッチング容器81にエッチング量センサ6を既述のように取り付け、所定のエッチング液82をエッチング容器81内に供給する。またオペレータがエッチング量の目標値を制御部76の表示画面に入力しておく。こうして、被処理体83をエッチング液82に浸漬させることにより被処理面のエッチングを進行させる。一方、エッチング量センサ6では、水晶振動子7の一面側の励振電極71及び、水晶片70の一面側の一部のみがエッチング液82に接触し、図8に示すように、水晶片70の一面側のエッチング液82と接触する領域76がエッチングされていく。
【0048】
この際、エッチング量センサ6では、水晶振動子7の周波数信号の周波数が測定され、この測定された周波数がメモリに格納される。そして、例えば測定時に得られる発振周波数の変化分が前記設定値になったときに制御信号を出力し、例えば保持部材84により被処理体83をエッチング液内から搬出し、エッチング処理を終了させる。また、エッチング容器81からエッチング液を排出してエッチング処理を終了させるようにしてもよい。
【0049】
この例においても、振動吸収部材8の形状及び接地部位は、例えばシミュレータを用いて輪郭すべり振動を抑制できる領域を確認することにより決定されるが、エッチング量センサ6として用い、振動吸収部材8を環状に構成する場合には、水晶片70の励振電極71が設けられた面の面積と振動吸収部材8の幅の比は、250:1程度に設定することが好ましい。
【0050】
本実施の形態によれば、水晶片70の周縁領域に振動吸収部材8を設けているので、当該輪郭すべり振動に基づく副振動の発生が抑えられる。このため、エッチング量センサ6にこの水晶振動子7を用いることにより、エッチングが進行して、厚みすべり振動に基づく発振周波数が上昇しても、前記副振動と重なることがなく、発振の停止が抑えられる。従って、輪郭すべり振動に基づく副振動の存在により計測レンジが狭められるおそれがないので、大きな計測レンジを確保できる。
【0051】
この例においても水晶振動子7の構成は上述の形状に限らず、水晶片70の少なくとも一方の面が凸状に形成された構成であってもよいし、水晶片70の両面が水平面状に形成された構成であってもよい。また、水晶片70の平面形状は円形状に限らず、矩形状のものにも適用できる。これらの場合であっても、水晶片70の輪郭に沿って振動吸収部材8を設けることにより、輪郭すべり振動の発生を抑えることができる。さらに、振動吸収部材8は必ずしも水晶片70の両面に設ける必要はなく、水晶片70の一面側又は他面側の少なくとも一方に設けるようにしても、輪郭すべり振動の発生を抑制することができる。
【0052】
さらにまた、輪郭すべり振動の発振周波数によっては、図9に示すように、収納容器61Aの蓋体63Aを振動吸収部材と兼用させる構成であってもよい。この場合には、前記蓋体63Aは、励振電極71の周囲に形成されたエッチング領域77のみがエッチング液に接触するように、水晶振動子7の一面側における励振電極71の外方の領域全体を接触して覆うように設けられる。また、この場合蓋体63Aは、エッチング液に対して水晶片70よりエッチング速度が小さい材質により構成される。
【0053】
以上において、膜厚センサ2による膜厚の検出対称となる膜の一例としては、AgやAu(金)等の真空蒸着膜や、Al(アルミニウム)、Ag、Au等のスパッタ膜、ポリスチレンやポリイミド等の高分子膜、タンパク質等が挙げられる。この際、ポリスチレンやポリイミド等の高分子膜の成膜は、スパッタや重合により行われ、膜厚センサ2による検出値が所定の値になったときに、スパッタ処理や重合処理が終了するように制御される。また、エッチング量センサ6の測定対象となるエッチング液としては、フッ酸、酸性フッ化アンモニウム混液等、水晶をエッチングする溶液が挙げられる。
【0054】
さらに、本発明の振動吸収部材は、水晶片(圧電体)の輪郭に沿って設けられるが、この「輪郭に沿って」とは水晶片の外縁に沿って振動吸収部材を設ける場合に限らず、水晶片において輪郭すべり振動を抑制する部位に設けられれば、例えば図10に示すように、水晶片90の外縁によりも内側に、当該水晶片90に接触するように設ける場合も含まれる。また、振動吸収部材は輪郭すべり振動が抑えられる形状であれば必ずしも環状に構成する必要はなく、部分的に欠落する部位があってもよい。さらに、振動吸収部材93は、図11に示すように、図11に示すように水晶片90の外端面に接触するように設けるようにしてもよい。なお、図10、図11中91、92は励振電極である。
【0055】
さらにまた、振動吸収部材の材質は、測定対象や、測定雰囲気、輪郭すべり振動の発振周波数に応じて、圧電体よりも音響抵抗の大きい材質を適宜選択することができるが、例えば高分子膜等、加熱温度によってはガスを発生するおそれがある材質を用いる場合には、ガスを放出する処理を施すようにしてもよい。さらにまた、振動吸収部材として金属を用いる場合には、引き出し電極と振動吸収部材とが接触する部位に、これら同士を互いに絶縁する部材を設けるようにしてもよいし、引き出し電極と振動吸収部材とを接触させないように、振動吸収部材に欠落部分を形成してもよい。
【実施例】
【0056】

(A.実施例1)
図2の構成の膜厚センサ2を、図1の構成の真空蒸着装置に組み込み、被処理体に銀(Ag)を真空蒸着する処理を行って、膜厚センサ2の発振周波数の変化を測定した。ここで振動吸収部材4はシリコン膜により形成し、事前にガスを放出する処理を施した。また、水晶片30はφ14、励振電極31,32はφ5、振動吸収部材4は、外径φ13.5、内径φ11.0、厚さ0.5mmのものを用いた。発振周波数の読み取りは、0.01Hzステップにて行ない、Agの真空蒸着処理時間である2秒間の測定を行った。この結果を図12に示す。図12中横軸は時間、縦軸は発振周波数であり、横軸の1秒のタイミングで蒸着膜の膜厚の検出を開始する設定とした。
【0057】
この結果より、測定開始時の発振周波数が6MHz、測定終了時の発振周波数が4.2MHzであり、この約2MHzの周波数変化においても、水晶振動子の不発振が認められないことから、輪郭すべり振動による副振動の発生が抑えられているものと理解される。また、この結果より、約2MHzの計測レンジを確保することが確認された。
【0058】
ここで、質量と周波数の関係を表す式であるSauerberyの式(1)により、周波数変化より膜厚の質量を換算すると、41.3mgの質量変化があったことが推察される。
【0059】
Δm/(−ΔF)={S×(ρ×μ)1/2}/{2×N×F}・・・(1)
ΔF:反応前後の周波数変化(Hz)
Δm:反応した質量(g)
S:電極面積(cm2)
ρ:水晶の密度(2.65g/cm3)
μ:水晶のせん断応力(2.95×1011g/cm・sec2)
F:公称周波数(Hz)
N:オーバトーン次数
(B.実施例2)
図7の構成のように、エッチング量センサ6をエッチング容器に取り付け、当該エッチング容器にフッ酸よりなるエッチング液を供給し、エッチング量センサ6の発振周波数の変化を測定した。ここで振動吸収部材4はエポキシ樹脂により形成した。この結果を図13に示す。図13中横軸は時間、縦軸は周波数偏差である。
【0060】
図13では、周波数偏差が0ppmの時点は、エッチング開始前であって、水晶振動子7の一面側が大気と接触している状態であり、その後急激に周波数偏差が下降した時点が、エッチング開始直後のタイミングである。この結果、エッチング中は、時間の経過に伴い徐々に周波数偏差が上昇していることが認められ、エッチング量センサ6として機能することが確認された。
【0061】
また、測定開始から70分を経過した時点であっても水晶振動子の不発振が認められないことから、輪郭すべり振動による副振動の発生が抑えられているものと理解される。また、この結果より、エッチング開始直後の周波数偏差が約−200ppm、測定開始から70分経過後の周波数偏差が約−70ppmであり、この間の計測レンジを確保することが確認された。
【符号の説明】
【0062】
2 膜厚センサ
21、61 収納容器
22、62 ベース体
23、63 蓋体
24、64 凹部
26、65 開口部
3、7 水晶振動子
30、70 水晶片
31、32、71、72 励振電極
4、8 振動吸収部材
6 エッチング量センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚みすべり振動を主振動とする圧電体の両面に夫々励振電極が形成されると共に、この励振電極に付着する付着物量に応じた周波数変化か、または圧電体の変化量に応じた周波数変化を利用して、前記付着物量または前記変化量を検出するセンサに用いられる圧電振動子であって、
前記圧電体の輪郭に沿って設けられ、輪郭すべり振動の発生を抑制するために、圧電体よりも音響抵抗が大きい材質により構成された振動吸収部材を備えたことを特徴とするセンサ用の圧電振動子。
【請求項2】
前記振動吸収部材は、環状に構成されていることを特徴とする請求項1記載のセンサ用の圧電振動子。
【請求項3】
前記振動吸収部材は、ガラスよりなることを特徴とする請求項1又は2記載のセンサ用の圧電振動子。
【請求項4】
厚みすべり振動を主振動とする圧電体の両面に夫々励振電極が形成され、一方の励振電極の表面に成膜された膜の膜厚に応じて周波数変化する圧電振動子と、
この圧電振動子を保持すると共に、その周囲を囲むように設けられた収納容器と、
前記圧電体の輪郭すべり振動の発生を抑制するために、圧電体よりも音響抵抗が大きい材質により構成され、圧電体の両面の少なくとも一方と接触するように、圧電体の輪郭に沿って設けられた振動吸収部材と、
前記圧電振動子の一面側の励振電極の少なくとも一部を成膜雰囲気に露出させるために、前記収納容器に設けられた開口部と、
前記圧電振動子の他面側の励振電極の周囲に空間を形成するために、前記収納容器に設けられた凹部と、を備えたことを特徴とする膜厚センサ。
【請求項5】
厚みすべり振動を主振動とする圧電体の両面に夫々励振電極が形成され、前記圧電体のエッチング量に応じて周波数変化する圧電振動子と、
この圧電振動子を保持すると共に、その周囲を囲むように設けられた収納容器と、
前記圧電体の輪郭すべり振動の発生を抑制するために、圧電体よりも音響抵抗が大きい材質により構成され、圧電体の両面の少なくとも一方と接触するように、圧電体の輪郭に沿って設けられた振動吸収部材と、
前記圧電振動子の一面側の励振電極及び圧電体の一部をエッチング液に接触させるために、前記収納容器に形成された開口部と、
前記圧電振動子の他面側の励振電極の周囲に空間を形成するために、前記収納容器に設けられた凹部と、を備えたことを特徴とするエッチング量センサ。
【請求項6】
前記収納容器は、前記圧電振動子の一面側における励振電極の外方の領域に接触するように設けられ、当該収納容器における前記圧電振動子の一面側と接触する領域は、前記振動吸収部材を兼用していることを特徴とする請求項5記載のエッチング量センサ。
【請求項7】
厚みすべり振動を主振動とする圧電体の両面に励振電極が形成され、一方の励振電極の表面に成膜された膜の膜厚に応じて周波数変化する圧電振動子を用いて前記膜厚を測定する方法において、
前記圧電振動子の一方の励振電極の表面に検出対象となる膜を成膜する工程と、
前記圧電体の輪郭すべり振動の発生を抑えるために、前記圧電体の両面の少なくとも一方に、この圧電体の輪郭に沿って、当該圧電体よりも音響抵抗の大きい材質により構成された振動吸収部材を接触させながら発振周波数を検出する工程と、を備えたことを特徴とする膜厚測定方法。
【請求項8】
厚みすべり振動を主振動とする圧電体の両面に励振電極が形成され、圧電体のエッチング量に応じて周波数変化する圧電振動子を用いて前記エッチング量を測定する方法において、
前記圧電振動子の一方の励振電極及び圧電体の一部をエッチング液に接触させる工程と、
前記圧電体の輪郭すべり振動の発生を抑えるために、前記圧電体の両面の少なくとも一方に、この圧電体の輪郭に沿って、当該圧電体よりも音響抵抗の大きい材質により構成された振動吸収部材を接触させながら発振周波数を検出する工程と、を備えたことを特徴とするエッチング量測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−142733(P2012−142733A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293152(P2010−293152)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】