圧電振動子の製造方法、並びに圧電振動子、発振器、電子機器および電波時計
【課題】効率良く製造することができる圧電振動子の製造方法および圧電振動子の提供。
【解決手段】間にキャビティを形成するように重ね合わせられたベース基板2およびリッド基板3と、キャビティ内に収容されるとともにベース基板側に接合された圧電振動片4と、リッド基板においてベース基板側を向く面に全面にわたって形成され、ベース基板と接する部分で両基板を接合する接合膜35と、を備え、圧電振動片は、一対の振動腕部10,11と、振動腕部の先端部に形成された重り金属膜21と、を備える圧電振動子1の製造方法であって、接合膜は、レーザ照射により活性化して周囲のガスを吸着しうる材料で形成され、重り金属膜および接合膜を同時にレーザ照射するレーザ照射工程を備えている圧電振動子の製造方法を提供する。
【解決手段】間にキャビティを形成するように重ね合わせられたベース基板2およびリッド基板3と、キャビティ内に収容されるとともにベース基板側に接合された圧電振動片4と、リッド基板においてベース基板側を向く面に全面にわたって形成され、ベース基板と接する部分で両基板を接合する接合膜35と、を備え、圧電振動片は、一対の振動腕部10,11と、振動腕部の先端部に形成された重り金属膜21と、を備える圧電振動子1の製造方法であって、接合膜は、レーザ照射により活性化して周囲のガスを吸着しうる材料で形成され、重り金属膜および接合膜を同時にレーザ照射するレーザ照射工程を備えている圧電振動子の製造方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合された2枚の基板の間に形成されたキャビティ内に圧電振動片が封止された表面実装型(SMD)の圧電振動子、圧電振動子の製造方法、圧電振動子を有する発振器、電子機器および電波時計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や携帯情報端末機器には、時刻源や制御信号のタイミング源、リファレンス信号源等として、水晶等の圧電材料からなる圧電振動片を利用した圧電振動子が用いられている。圧電振動片として、一対の振動腕部を備えた音叉型の圧電振動片が採用されている。
【0003】
この種の圧電振動子として、表面実装型(SMD、Surface Mount Device)の圧電振動子が知られている。
図14および図15に示すように、表面実装型の圧電振動子200として、ベース基板201とリッド基板202とでパッケージ209を形成し、パッケージ209の内部に形成されたキャビティCに圧電振動片203を収納したものが提案されている。ベース基板201とリッド基板202とは、両者間に接合膜207を配置して陽極接合により接合されている。
【0004】
ところで、一般に圧電振動子は、等価抵抗値(実効抵抗値、Re)を低く抑えることが望まれている。等価抵抗値が低い圧電振動子は、低電力で圧電振動片を振動させることが可能であるため、エネルギー効率のよい圧電振動子になる。
等価抵抗値を抑えるための一般的な方法の一つとして、図14および図15に示すように圧電振動片203の封止されているキャビティC内を真空に近づけて、等価抵抗値と比例関係にある直列共振抵抗値(R1)を低下させる方法が知られている。そして、キャビティC内を真空に近づける方法として、キャビティC内にアルミニウム等からなるゲッター材220を封止し、外部よりレーザを照射して該ゲッター材220を活性化させるゲッタリング工程を有する方法が知られている(下記特許文献1参照)。この方法によれば、活性化状態になったゲッター材220によって、陽極接合の際に発生する酸素を吸収することができるので、キャビティC内を真空に近づけることができる。
【0005】
また一般的に、ゲッタリング工程後、振動腕部210の先端部に形成された重り金属膜211にレーザを照射し、重り金属膜211をトリミングして圧電振動片203の周波数の微調整(微調工程)を行う。この微調工程を行うことで、圧電振動片203の周波数を公称周波数の範囲内に収めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−142976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の圧電振動子の製造方法は、ゲッタリング工程後に微調工程を行い、キャビティ内の真空度調整と圧電振動片の周波数調整とを各別に行うことから、時間がかかり効率が悪いものであった。また、ゲッタリングに必要とされるゲッター材を形成するのにも時間がかかり、より効率が悪いものであった。
【0008】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、効率良く製造することができる圧電振動子の製造方法および圧電振動子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る圧電振動子の製造方法は、間にキャビティを形成するように重ね合わせられたベース基板およびリッド基板と、前記キャビティ内に収容されるとともに前記ベース基板側に接合された圧電振動片と、前記リッド基板において前記ベース基板側を向く面に全面にわたって形成され、前記ベース基板と接する部分で両基板を接合する接合膜と、を備え、前記圧電振動片は、一対の振動腕部と、前記振動腕部の先端部に形成された重り金属膜と、を備える圧電振動子の製造方法であって、前記接合膜は、レーザ照射により活性化して周囲のガスを吸着しうる材料で形成され、前記重り金属膜および前記接合膜を同時にレーザ照射するレーザ照射工程を備えていることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、接合膜が、レーザ照射により活性化して周囲のガスを吸着しうる材料で形成されているので、接合膜をレーザ照射することでゲッタリングしてキャビティ内の真空度を向上させることができる。したがって、レーザ照射工程時に、重り金属膜および接合膜を同時にレーザ照射することで、重り金属膜をトリミングして圧電振動片の周波数調整をするのと同時に、接合膜をゲッタリングしてキャビティ内の真空度を向上させることができる。
また、接合膜が、レーザ照射により活性化して周囲のガスを吸着しうる材料で形成されているので、別途、ゲッター材を形成する必要がない。
以上より、圧電振動子を効率良く製造することが可能になり、圧電振動子の低コスト化を図ることができる。
【0011】
また、前記ベース基板の法線方向から見て前記重り金属膜と重ならない位置の前記キャビティ内の前記接合膜をレーザ照射する予備ゲッタリング工程を備えていても良い。
【0012】
この場合、予備ゲッタリング工程を備えているので、レーザ照射工程時に接合膜をゲッタリングすることでキャビティ内の真空度を向上させるのと相俟って、キャビティ内の真空度をさらに向上させることができる。
【0013】
また、前記レーザ照射工程前に前記予備ゲッタリング工程を行っても良い。
【0014】
この場合、レーザ照射工程前に予備ゲッタリング工程を行うので、レーザ照射工程後に予備ゲッタリング工程を行う場合に比べて、圧電振動片の周波数を高精度に調整することができる。
すなわち、予備ゲッタリング工程を行うときには、レーザ照射された接合膜が飛散して振動腕部に付着することで、圧電振動片の周波数が変化する場合がある。そのため、レーザ照射工程後に予備ゲッタリング工程を行う場合には、レーザ照射工程において調整された圧電振動片の周波数が予備ゲッタリング工程を行うことで変化してしまうおそれがある。しかしながら、レーザ照射工程前に予備ゲッタリング工程を行うことで、予備ゲッタリング工程時に圧電振動片の周波数が変化した場合であっても、その後、レーザ照射工程で周波数調整することが可能になり、圧電振動片の周波数を高精度に調整することができる。
【0015】
また、前記レーザ照射工程は、前記ベース基板の法線方向から見て前記振動腕部の先端部に隣接する位置の前記接合膜をレーザ照射する工程を備えていても良い。
【0016】
この場合、レーザ照射工程時に、ベース基板の法線方向から見て振動腕部の先端部に隣接する位置の接合膜をレーザ照射することで、圧電振動片の周波数を減少させる方向に周波数調整することが可能になり、圧電振動子の歩留まりを向上させることができる。
すなわち、重り金属膜をトリミングすることによって周波数調整する際には、振動腕部の先端部上の重り金属膜の質量が減ることで、圧電振動片の周波数を増加させる方向に周波数調整することができる。ここで、接合膜において振動腕部の先端部に隣接する位置をレーザ照射することで、接合膜を飛散させて振動腕部の先端部上に付着させ、圧電振動片の周波数を減少させることができる。したがって、仮に重り金属膜をトリミングすることで圧電振動片の周波数を増加させすぎてしまった場合であっても、接合膜において振動腕部の先端部に隣接する位置をレーザ照射することで、圧電振動片の周波数を減少させる方向に周波数調整することが可能になる。これにより、従来では廃棄せざるを得ない程度、圧電振動片の周波数が増加した圧電振動子であっても廃棄せずに済むので、圧電振動子の歩留まりを向上させることができる。
【0017】
また、本発明に係る圧電振動子は、間にキャビティを形成するように重ね合わせられたベース基板およびリッド基板と、前記キャビティ内に収容されるとともに前記ベース基板側に接合された圧電振動片と、前記リッド基板において前記ベース基板側を向く面に全面にわたって形成され、前記ベース基板と接する部分で両基板を接合する接合膜と、を備え、前記圧電振動片は、一対の振動腕部と、前記振動腕部の先端部に形成された重り金属膜と、を備え、前記接合膜は、レーザ照射により活性化して周囲のガスを吸着しうる材料で形成され、前記重り金属膜および前記接合膜にはそれぞれ、同時にレーザ照射された第1レーザ照射疵が形成されていることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、接合膜が、レーザ照射により活性化して周囲のガスを吸着しうる材料で形成されているので、接合膜をレーザ照射することでゲッタリングしてキャビティ内の真空度を向上させることができる。したがって、当該圧電振動子において、重り金属膜および接合膜を同時にレーザ照射して第1レーザ照射疵を形成することで、重り金属膜をトリミングして圧電振動片の周波数調整をするのと同時に、接合膜をゲッタリングしてキャビティ内の真空度を向上させることができる。
また、接合膜が、レーザ照射により活性化して周囲のガスを吸着しうる材料で形成されているので、別途、ゲッター材を形成する必要がない。
以上より、当該圧電振動子を効率良く製造することが可能になり、低コスト化を図ることができる。
【0019】
また、前記ベース基板の法線方向から見て前記重り金属膜と重ならない位置の前記キャビティ内の前記接合膜には、第2レーザ照射疵が形成されていても良い。
【0020】
この場合、当該圧電振動子において、ベース基板の法線方向から見て重り金属膜と重ならない位置のキャビティ内の接合膜に第2レーザ照射疵を形成することで、第1レーザ照射疵を形成する際に接合膜をゲッタリングすることでキャビティ内の真空度を向上させるのと相俟って、キャビティ内の真空度をさらに向上させることができる。
【0021】
また、前記第2レーザ照射疵は、前記ベース基板の法線方向から見て少なくとも前記振動腕部の先端部に隣接する位置の前記接合膜に形成されていても良い。
【0022】
この場合、当該圧電振動子において、ベース基板の法線方向から見て振動腕部の先端部に隣接する位置の接合膜に第2レーザ照射疵を形成することで、圧電振動片の周波数を減少させる方向に周波数調整させることが可能になり、当該圧電振動子の歩留まりを向上させることができる。
【0023】
また、本発明に係る発振器は、前述した圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする。
また、本発明に係る電子機器は、前述した圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴とする。
また、本発明に係る電波時計は、前述した圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする。
【0024】
これらの発明によれば、低コスト化された圧電振動子を備えているので、発振器、電子機器および電波時計のコストを低減することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る圧電振動子の製造方法によれば、圧電振動子を効率良く製造することができる。
また、本発明に係る圧電振動子によれば、効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態に係る圧電振動子の外観斜視図である。
【図2】図1に示す圧電振動子の内部構成図である。
【図3】図2のA−A線に沿った圧電振動子の断面図である。
【図4】図1に示す圧電振動子の分解斜視図である。
【図5】図1に示す圧電振動子を構成する圧電振動片の平面図である。
【図6】図5に示す圧電振動片の底面図である。
【図7】図5のB−B線における断面図である。
【図8】図1に示す圧電振動子の製造方法のフローチャートである。
【図9】圧電振動片をキャビティ内に収容した状態でベース基板用ウエハとリッド基板用ウエハとが陽極接合されたウエハ体の分解斜視図である。
【図10】第2実施形態に係る圧電振動子の内部構成図である。
【図11】発振器の概略構成図である。
【図12】電子機器のブロック図である。
【図13】電波時計のブロック図である。
【図14】従来の圧電振動子のリッド基板を取り外した状態の平面図である。
【図15】図14のC−C線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1実施形態)
以下、図面を参照し、本発明の第1実施形態に係る圧電振動子を説明する。
図1〜図4に示すように、本実施形態の圧電振動子1は、間にキャビティCを形成するように重ね合わせられたベース基板2およびリッド基板3と、キャビティC内に収容されるとともにベース基板2側に接合された圧電振動片4と、を備えた表面実装型のものである。
なお図3および図4においては、図面を見易くするために、圧電振動片4の励振電極15、引き出し電極19,20、マウント電極16,17及び重り金属膜21の図示を省略している。
【0028】
(圧電振動片)
図5〜図7に示すように、圧電振動片4は、水晶やタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料から形成された音叉型の振動片であり、所定の電圧が印加されたときに振動するものである。この圧電振動片4は、平行に配置された一対の振動腕部10、11と、該一対の振動腕部10、11の基端側を一体的に固定する基部12と、一対の振動腕部10、11の基端部の外表面上に形成されて一対の振動腕部10、11を振動させる第1の励振電極13と第2の励振電極14とからなる励振電極15と、第1の励振電極13及び第2の励振電極14に電気的に接続されたマウント電極16,17とを有している。また圧電振動片4は、一対の振動腕部10、11の両主面上に、該振動腕部10、11の長手方向に沿ってそれぞれ形成された溝部18を備えている。この溝部18は、振動腕部10、11の基端側から略中間付近まで形成されている。
【0029】
第1の励振電極13と第2の励振電極14とからなる励振電極15は、一対の振動腕部10、11を互いに接近又は離間する方向に所定の共振周波数で振動させる電極であり、一対の振動腕部10、11の外表面に、それぞれ電気的に切り離された状態でパターニングされている。具体的には、第1の励振電極13が、一方の振動腕部10の溝部18上と他方の振動腕部11の両側面上とに主に形成され、第2の励振電極14が、一方の振動腕部10の両側面上と他方の振動腕部11の溝部18上とに主に形成されている。
【0030】
また、第1の励振電極13及び第2の励振電極14は、基部12の両主面上において、それぞれ引き出し電極19,20を介してマウント電極16,17に電気的に接続されている。そして圧電振動片4は、このマウント電極16,17を介して電圧が印加されるようになっている。なお、上述した励振電極15、マウント電極16,17及び引き出し電極19,20は、例えば、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)やチタン(Ti)等の導電性膜の被膜により形成されたものである。
【0031】
また、一対の振動腕部10、11の先端部には、自身の振動状態を所定の周波数の範囲内で振動するように質量調整(周波数調整)を行うための重り金属膜21が被膜されている。なお、この重り金属膜21は、周波数を粗く調整する際に使用される粗調膜21aと、微小に調整する際に使用される微調膜21bとに分かれている。これら粗調膜21a及び微調膜21bを利用して周波数調整を行うことで、一対の振動腕部10、11の周波数をデバイスの公称(目標)周波数の範囲内に収めることができる。
【0032】
このように構成された圧電振動片4は、図3、図4に示すように、金等のバンプBを利用して、ベース基板2の上面側にバンプ接合されている。より具体的には、ベース基板2の上面にパターニングされた後述する引き回し電極36,37上に形成された2つのバンプB上に、一対のマウント電極16,17がそれぞれ接触した状態でバンプ接合されている。これにより、圧電振動片4は、ベース基板2の上面から浮いた状態で支持されると共に、マウント電極16,17と引き回し電極36,37とがそれぞれ電気的に接続された状態となっている。
【0033】
(圧電振動子)
図1〜図4に示すように、本実施形態の圧電振動子1は、ベース基板2とリッド基板3とが2層に積層されてなるパッケージ9を備えている。
ベース基板2は、ガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる透明な絶縁基板であり、板状に形成されている。
【0034】
図2および図3に示すように、このベース基板2には、該ベース基板2を貫通する一対のスルーホール(貫通孔)30,31が形成されている。一対のスルーホール30,31は、キャビティCの対角線の両端部に形成されている。そして、これら一対のスルーホール30,31には、該スルーホール30,31を埋めるように形成された一対の貫通電極32,33が形成されている。これら貫通電極32,33は、Agペースト等の導電材料によって構成されている。ベース基板2の下面には、一対の貫通電極32,33に対してそれぞれ電気的に接続される一対の外部電極38,39が形成されている。
【0035】
図2および図4に示すように、ベース基板2の上面側(リッド基板3が接合される接合面側)には、導電性材料(例えば、アルミニウム)により一対の引き回し電極36,37がパターニングされている。一対の引き回し電極36,37は、一対の貫通電極32,33のうち、一方の貫通電極32と圧電振動片4の一方のマウント電極16とを電気的に接続すると共に、他方の貫通電極33と圧電振動片4の他方のマウント電極17とを電気的に接続するようにパターニングされている。
【0036】
図1、図3及び図4に示すように、リッド基板3は、ベース基板2と同様にガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる透明の絶縁基板であり、図1〜図4に示すように、ベース基板2に対して重ね合わせ可能な大きさで板状に形成されている。そして、ベース基板2が接合される接合面側には、圧電振動片4が収まる矩形状の凹部3aが形成されている。この凹部3aは、両基板2、3が重ね合わされたときに、圧電振動片4を収容するキャビティCとなるキャビティ用の凹部である。なお、リッド基板3における凹部3aの底面は非研磨面(擦りガラス状)となっている。
そして、リッド基板3は、この凹部3aをベース基板2側に対向させた状態でベース基板2に対して陽極接合されている。
【0037】
また、図1〜図4に示すように、本実施形態の圧電振動子1は、リッド基板3においてベース基板2側を向く面に全面にわたって形成され、ベース基板2と接する部分で両基板2,3を接合する接合膜35を備えている。図2および図3に示すように、本実施形態の接合膜35は、凹部3aを画成する面と、リッド基板2の接合面において凹部3aの外周縁に全周にわたって連なる周縁部と、の各全域にわたって形成されており、これらのうちの接合面の周縁部に形成された部分がベース基板3に接合されている。
接合膜35は、レーザ照射により活性化して周囲のガスを吸着しうる材料で形成されている。さらに、接合膜35は、両基板2,3を陽極接合可能な材料で形成されている。このような接合膜35の材料としては、例えばアルミニウムなどを採用することができる。
【0038】
このように構成された圧電振動子1を作動させるには、ベース基板2に形成された外部電極38,39に対して、所定の駆動電圧を印加する。これにより、圧電振動片4の第1の励振電極13及び第2の励振電極14からなる励振電極15に電圧を印加することができ、一対の振動腕部10、11を接近・離間させる方向に所定の周波数で振動させることができる。そして、この一対の振動腕部10、11の振動を利用して、時刻源、制御信号のタイミング源やリファレンス信号源等として利用することができる。
【0039】
そして図2に示すように、本実施形態では、重り金属膜21および接合膜35にはそれぞれ、同時にレーザ照射された第1レーザ照射疵70が形成されている。さらに、本実施形態では、ベース基板2の法線方向から見て重り金属膜21と重ならない位置のキャビティC内の接合膜35には、第2レーザ照射疵71が形成されている。なお後述するように、これらのレーザ照射疵70,71が形成されることで、キャビティC内の真空度が、それ以上向上しても直列共振抵抗値に大きな変動がない状態である一定レベル以上となっている。
【0040】
これらのレーザ照射疵70、71は、重り金属膜21(もしくは接合膜35)にレーザを照射して、重り金属膜21(もしくは接合膜35)が蒸発して除去されることで形成される。例えば、重り金属膜21(もしくは接合膜35)の一点にレーザを照射(点照射)すると、レーザ照射疵70、71は椀状に形成される。またレーザを走査しながら点照射を短距離間隔で繰り返すと、レーザ照射疵70、71は溝状に形成される。
【0041】
本実施形態では、第1レーザ照射疵70は、重り金属膜21および接合膜35にそれぞれ、ベース基板2の法線方向で対向する位置に複数形成されている。さらに、第1レーザ照射疵70は、重り金属膜21のうちの微調膜21bに形成されている。また、第1レーザ照射疵70は、ベース基板2の法線方向から見て貫通電極32,33、引き回し電極36,37、および外部電極38,39のそれぞれと重ならない位置に形成されている。
また、第2レーザ照射疵71は、圧電振動片4の基部12に隣接する位置に形成されている。さらに、第2レーザ照射疵71は、ベース基板2の法線方向から見て圧電振動片4、貫通電極32,33、引き回し電極36,37、および外部電極38,39と重ならない位置に形成されている。
【0042】
(圧電振動子の製造方法)
次に、前述した圧電振動子1を製造する方法について、図8および図9を参照して説明する。なお、図9に示す点線Mは、後に行う切断工程で切断する切断線を図示している。本実施形態では、ベース基板用ウエハ(ベース基板)40とリッド基板用ウエハ(リッド基板)50との間に複数の圧電振動片4を配置して、一度に複数の圧電振動子1を製造する。
【0043】
はじめに、圧電振動片作製工程を行って図5〜図7に示す圧電振動片4を作製する(S10)。また圧電振動片4を作製した後、共振周波数の粗調を行っておく。これは、重り金属膜21の粗調膜21aをレーザ照射して一部を蒸発させ、重量を変化させることで行う。なお、共振周波数をより高精度に調整する微調に関しては、マウント後に行う。これについては、後に説明する。
【0044】
次に図9に示すように、後にリッド基板となるリッド基板用ウエハ50を、陽極接合を行う直前の状態まで作製する第1のウエハ作製工程を行う(S20)。
この工程では、まず、ソーダ石灰ガラスを所定の厚さまで研磨加工して洗浄した後に、エッチング等により最表面の加工変質層を除去した円板状のリッド基板用ウエハ50を形成する(S21)。次いで、リッド基板用ウエハ50の接合面に、エッチング等により行列方向にキャビティ用の凹部3aを複数形成する凹部形成工程を行う(S22)。次いで、レーザ照射により活性化して周囲のガスを吸着し、かつ陽極接合可能な材料(例えばアルミニウム)を、リッド基板用ウエハ50の接合面側の全域にわたってパターニングする接合膜形成工程を行う(S23)。この時点で、第1のウエハ作製工程が終了する。
【0045】
次に、上記工程と同時或いは前後のタイミングで、後にベース基板となるベース基板用ウエハ40を、陽極接合を行う直前の状態まで作製する第2のウエハ作製工程を行う(S30)。
この工程では、まず、ソーダ石灰ガラスを所定の厚さまで研磨加工して洗浄した後に、エッチング等により最表面の加工変質層を除去した円板状のベース基板用ウエハ40を形成する(S31)。次いで、ベース基板用ウエハ40に一対の貫通電極32,33を複数形成する貫通電極形成工程を行う(S32)。次いで、ベース基板用ウエハ40の上面に導電性材料をパターニングして、引き回し電極36,37を形成する引き回し電極形成工程(S33)を行う。この時点で、第2のウエハ作製工程が終了する。
【0046】
次に、作製した複数の圧電振動片4を、それぞれ引き回し電極36,37を介してベース基板用ウエハ40の上面に接合するマウント工程を行う(S40)。まず、一対の引き回し電極36,37上にそれぞれ金等のバンプBを形成する。そして、圧電振動片4の基部12をバンプB上に載置した後、バンプBを所定温度に加熱しながら圧電振動片4をバンプBに押し付ける。これにより、圧電振動片4がバンプBに機械的に支持されてベース基板用ウエハ40の上面から浮いた状態となり、またマウント電極16,17と引き回し電極36,37とが電気的に接続された状態となる。
【0047】
圧電振動片4のマウントが終了した後、図9に示すように、ベース基板用ウエハ40に対してリッド基板用ウエハ50を重ね合わせる重ね合わせ工程を行う(S50)。具体的には、図示しない基準マーク等を指標としながら、両ウエハ40、50を正しい位置にアライメントする。これにより、マウントされた圧電振動片4が、両ウエハ40、50の間に形成されるキャビティC内に収容された状態となる。
【0048】
重ね合わせ工程後、重ね合わせた2枚のウエハ40、50を図示しない陽極接合装置に入れ、所定の温度雰囲気で所定の電圧を印加して陽極接合する接合工程を行う(S60)。具体的には、接合膜35とリッド基板用ウエハ50との間に所定の電圧を印加する。すると、接合膜35とリッド基板用ウエハ50との界面に電気化学的な反応が生じ、両者がそれぞれ強固に密着して陽極接合される。これにより、圧電振動片4をキャビティC内に封止することができ、ベース基板用ウエハ40とリッド基板用ウエハ50とが接合したウエハ体60を得ることができる。
【0049】
そして、上述した陽極接合が終了した後、ベース基板用ウエハ40の下面に導電性材料をパターニングして、一対の外部電極38,39を複数形成する外部電極形成工程を行う(S70)。この工程により、複数の圧電振動子1が互いに連結されてなるウエハ体60形成され、外部電極38,39から貫通電極32,33を介してキャビティC内に封止された圧電振動片4を作動させることができるようになる。
【0050】
次に、ベース基板用ウエハ40の法線方向から見て重り金属膜21と重ならない位置のキャビティC内の接合膜35をレーザ照射する予備ゲッタリング工程を行う(S72)。なおレーザとして、次述するレーザ照射工程と同じYAGレーザ等を採用することが可能である。また本実施形態では、リッド基板用ウエハ50における凹部3aの底面は非研磨面(擦りガラス状)となっており、リッド基板用ウエハ50の外側から(圧電振動子1の上面側から)レーザ照射することができないので、ベース基板用ウエハ40の外側から(圧電振動子1の下面側から)レーザ照射を行う。
【0051】
ここで、接合膜35が、レーザ照射により活性化して周囲のガスを吸着しうる材料で形成されているので、レーザ照射により接合膜35(例えばAl)が蒸発すると、キャビティC内の酸素を吸収して金属酸化物(例えばAl2O3)が生成される。したがって、接合膜35をレーザ照射することでキャビティC内の酸素が消費され、キャビティC内の真空度を向上させることができる。
【0052】
そして本実施形態では、キャビティC内の真空度が、次に行うレーザ照射工程を行うことで前述した一定レベルに向上される程度、向上されたと判定されるまで予備ゲッタリング工程を行う。なおこの判定は、例えば、一対の外部電極38,39に電圧を印加して圧電振動片4を振動させることで計測される直列共振抵抗値に基づいて行っても良く、また、接合膜35においてレーザ照射された領域の大きさに基づいて行っても良い。
【0053】
次に、微調膜21b(重り金属膜21)および接合膜35を同時にレーザ照射するレーザ照射工程を行う(S80)。この際、ベース基板用ウエハ40の外側からこのベース基板用ウエハ40の法線方向に沿って、微調膜21bおよび接合膜35をレーザ照射する。
【0054】
ここで本実施形態では、このレーザ照射工程において、キャビティC内に封止された個々の圧電振動片4の周波数が所定の範囲内に収められるように周波数の微調をする。
具体的に説明すると、ベース基板用ウエハ40の下面に形成された一対の外部電極38,39に電圧を印加して圧電振動片4を振動させる。そして、周波数を計測しながらベース基板用ウエハ40の外部からレーザを照射し、重り金属膜21の微調膜21bを蒸発させてトリミングする。微調膜21bをトリミングすると、一対の振動腕部10、11の先端側の重量が減少するため、圧電振動片4の周波数が増加する。これにより、圧電振動片4の周波数が公称周波数の所定範囲内に収まるように微調整することができる。
【0055】
さらにこのレーザ照射工程においては、微調膜21bと同時に接合膜35もレーザ照射しているので、微調膜21bをトリミングして圧電振動片4の周波数調整をするのと同時に、接合膜35をゲッタリングしてキャビティC内の真空度を向上させることができる。
【0056】
レーザ照射工程が終了した後、図9に示すウエハ体60を切断線Mに沿って切断して小片化する切断工程を行う(S90)。その結果、互いに陽極接合されたベース基板2とリッド基板3との間に形成されたキャビティC内に圧電振動片4が封止された、図1に示す2層構造式表面実装型の圧電振動子1を一度に複数製造することができる。
なお、切断工程(S90)を行って個々の圧電振動子1に小片化した後に、予備ゲッタリング工程(S72)およびレーザ照射工程(S80)を行う工程順序でも構わない。但し、上述したように、予備ゲッタリング工程(S72)およびレーザ照射工程(S80)を先に行うことで、ウエハ体60の状態でゲッタリングおよび微調を行うことができるため、複数の圧電振動子1をより効率良く製造することができる。よって、スループットの向上化を図ることができるため好ましい。
【0057】
その後、圧電振動片4の電気特性検査を行う(S100)。即ち、圧電振動片4の共振周波数、共振抵抗値、ドライブレベル特性(共振周波数及び共振抵抗値の励振電力依存性)等を測定してチェックする。また、絶縁抵抗特性等を併せてチェックする。そして、最後に圧電振動子1の外観検査を行って、寸法や品質等を最終的にチェックする。これをもって圧電振動子1の製造が終了する。
【0058】
以上説明したように、本実施形態に係る圧電振動子の製造方法によれば、レーザ照射工程時に、微調膜21bおよび接合膜35を同時にレーザ照射することで、微調膜21bをトリミングして圧電振動片4の周波数調整をするのと同時に、接合膜35をゲッタリングしてキャビティC内の真空度を向上させることができる。
また、接合膜35が、レーザ照射により活性化して周囲のガスを吸着しうる材料で形成されているので、別途、ゲッター材を形成する必要がない。
以上より、圧電振動子1を効率良く製造することが可能になり、圧電振動子1の低コスト化を図ることができる。
【0059】
また、予備ゲッタリング工程を備えているので、レーザ照射工程時に接合膜35をゲッタリングすることでキャビティC内の真空度を向上させるのと相俟って、キャビティC内の真空度をさらに向上させることができる。
【0060】
さらに、レーザ照射工程前に予備ゲッタリング工程を行うので、レーザ照射工程後に予備ゲッタリング工程を行う場合に比べて、圧電振動片4の周波数を高精度に調整することができる。
すなわち、予備ゲッタリング工程を行うときには、レーザ照射された接合膜35が飛散して振動腕部10、11に付着することで、圧電振動片4の周波数が変化する場合がある。そのため、レーザ照射工程後に予備ゲッタリング工程を行う場合には、レーザ照射工程において調整された圧電振動片4の周波数が予備ゲッタリング工程を行うことで変化してしまうおそれがある。しかしながら、レーザ照射工程前に予備ゲッタリング工程を行うことで、予備ゲッタリング工程時に圧電振動片4の周波数が変化した場合であっても、その後、レーザ照射工程で周波数調整することが可能になり、圧電振動片4の周波数を高精度に調整することができる。
【0061】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る圧電振動子を、図10を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態の圧電振動子80では、第2レーザ照射疵81は、ベース基板用ウエハ40の法線方向から見て少なくとも振動腕部10,11の先端部に隣接する位置の接合膜35に形成されている。なお図示の例では、第2レーザ照射疵81は、圧電振動片4の基部12に隣接する位置にも形成されている。
【0062】
次に、前述した圧電振動子80を製造する方法について説明すると、本実施形態では、レーザ照射工程は、ベース基板用ウエハ40の法線方向から見て振動腕部10、11の先端部に隣接する位置の接合膜35をレーザ照射する工程を備えている。これにより、レーザ照射工程において、接合膜35を飛散させて振動腕部10、11の先端部上に付着させ、圧電振動片4の周波数を減少させることができる。
【0063】
以上説明したように、本実施形態に係る圧電振動子の製造方法によれば、レーザ照射工程時に、ベース基板用ウエハ40の法線方向から見て振動腕部10、11の先端部に隣接する位置の接合膜35をレーザ照射することで、圧電振動片4の周波数を減少させる方向に周波数調整することが可能になり、圧電振動子80の歩留まりを向上させることができる。
すなわち、レーザ照射工程において、仮に微調膜21bをトリミングすることで圧電振動片4の周波数を増加させすぎてしまった場合であっても、接合膜35において振動腕部10、11の先端部に隣接する位置をレーザ照射することで、圧電振動片4の周波数を減少させる方向に周波数調整することが可能になる。これにより、従来では廃棄せざるを得ない程度、圧電振動片4の周波数が増加した圧電振動子80であっても廃棄せずに済むので、圧電振動子80の歩留まりを向上させることができる。
【0064】
(発振器)
次に、本発明に係る発振器の一実施形態について、図11を参照しながら説明する。
なお、以下に示す各実施形態では、圧電振動子として第1実施形態に係る圧電振動子1を用いる場合を示しているが、第2実施形態に係る圧電振動子80を用いても同様の作用効果を奏することができる。
【0065】
本実施形態の発振器100は、図11に示すように、圧電振動子1を、集積回路101に電気的に接続された発振子として構成したものである。この発振器100は、コンデンサ等の電子部品102が実装された基板103を備えている。基板103には、発振器用の上記集積回路101が実装されており、この集積回路101の近傍に、圧電振動子1が実装されている。これら電子部品102、集積回路101及び圧電振動子1は、図示しない配線パターンによってそれぞれ電気的に接続されている。なお、各構成部品は、図示しない樹脂によりモールドされている。
【0066】
このように構成された発振器100において、圧電振動子1に電圧を印加すると、該圧電振動子1内の圧電振動片4が振動する。この振動は、圧電振動片4が有する圧電特性により電気信号に変換されて、集積回路101に電気信号として入力される。入力された電気信号は、集積回路101によって各種処理がなされ、周波数信号として出力される。これにより、圧電振動子1が発振子として機能する。
また、集積回路101の構成を、例えば、RTC(リアルタイムクロック)モジュール等を要求に応じて選択的に設定することで、時計用単機能発振器等の他、当該機器や外部機器の動作日や時刻を制御したり、時刻やカレンダー等を提供したりする機能を付加することができる。
【0067】
そして本実施形態では、低コスト化された圧電振動子1を備えているので、発振器100のコストを低減することができる。
【0068】
(電子機器)
次に、本発明に係る電子機器の一実施形態について、図12を参照して説明する。なお電子機器として、上述した圧電振動子1を有する携帯情報機器110を例にして説明する。始めに本実施形態の携帯情報機器110は、例えば、携帯電話に代表されるものであり、従来技術における腕時計を発展、改良したものである。外観は腕時計に類似し、文字盤に相当する部分に液晶ディスプレイを配し、この画面上に現在の時刻等を表示させることができるものである。また、通信機として利用する場合には、手首から外し、バンドの内側部分に内蔵されたスピーカ及びマイクロフォンによって、従来技術の携帯電話と同様の通信を行うことが可能である。しかしながら、従来の携帯電話と比較して、格段に小型化及び軽量化されている。
【0069】
次に、本実施形態の携帯情報機器110の構成について説明する。この携帯情報機器110は、図12に示すように、圧電振動子1と、電力を供給するための電源部111とを備えている。電源部111は、例えば、リチウム二次電池からなっている。この電源部111には、各種制御を行う制御部112と、時刻等のカウントを行う計時部113と、外部との通信を行う通信部114と、各種情報を表示する表示部115と、それぞれの機能部の電圧を検出する電圧検出部116とが並列に接続されている。そして、電源部111によって、各機能部に電力が供給されるようになっている。
【0070】
制御部112は、各機能部を制御して音声データの送信及び受信、現在時刻の計測や表示等、システム全体の動作制御を行う。また、制御部112は、予めプログラムが書き込まれたROMと、該ROMに書き込まれたプログラムを読み出して実行するCPUと、該CPUのワークエリアとして使用されるRAM等とを備えている。
【0071】
計時部113は、発振回路、レジスタ回路、カウンタ回路及びインターフェース回路等を内蔵する集積回路と、圧電振動子1とを備えている。圧電振動子1に電圧を印加すると圧電振動片4が振動し、該振動が水晶の有する圧電特性により電気信号に変換されて、発振回路に電気信号として入力される。発振回路の出力は二値化され、レジスタ回路とカウンタ回路とにより計数される。そして、インターフェース回路を介して、制御部112と信号の送受信が行われ、表示部115に、現在時刻や現在日付或いはカレンダー情報等が表示される。
【0072】
通信部114は、従来の携帯電話と同様の機能を有し、無線部117、音声処理部118、切替部119、増幅部120、音声入出力部121、電話番号入力部122、着信音発生部123及び呼制御メモリ部124を備えている。
無線部117は、音声データ等の各種データを、アンテナ125を介して基地局と送受信のやりとりを行う。音声処理部118は、無線部117又は増幅部120から入力された音声信号を符号化及び複号化する。増幅部120は、音声処理部118又は音声入出力部121から入力された信号を、所定のレベルまで増幅する。音声入出力部121は、スピーカやマイクロフォン等からなり、着信音や受話音声を拡声したり、音声を集音したりする。
【0073】
また、着信音発生部123は、基地局からの呼び出しに応じて着信音を生成する。切替部119は、着信時に限って、音声処理部118に接続されている増幅部120を着信音発生部123に切り替えることによって、着信音発生部123において生成された着信音が増幅部120を介して音声入出力部121に出力される。
なお、呼制御メモリ部124は、通信の発着呼制御に係るプログラムを格納する。また、電話番号入力部122は、例えば、0から9の番号キー及びその他のキーを備えており、これら番号キー等を押下することにより、通話先の電話番号等が入力される。
【0074】
電圧検出部116は、電源部111によって制御部112等の各機能部に対して加えられている電圧が、所定の値を下回った場合に、その電圧降下を検出して制御部112に通知する。このときの所定の電圧値は、通信部114を安定して動作させるために必要な最低限の電圧として予め設定されている値であり、例えば、3V程度となる。電圧検出部116から電圧降下の通知を受けた制御部112は、無線部117、音声処理部118、切替部119及び着信音発生部123の動作を禁止する。特に、消費電力の大きな無線部117の動作停止は、必須となる。更に、表示部115に、通信部114が電池残量の不足により使用不能になった旨が表示される。
【0075】
即ち、電圧検出部116と制御部112とによって、通信部114の動作を禁止し、その旨を表示部115に表示することができる。この表示は、文字メッセージであっても良いが、より直感的な表示として、表示部115の表示面の上部に表示された電話アイコンに、×(バツ)印を付けるようにしても良い。
なお、通信部114の機能に係る部分の電源を、選択的に遮断することができる電源遮断部126を備えることで、通信部114の機能をより確実に停止することができる。
【0076】
そして本実施形態では、低コスト化された圧電振動子1を備えているので、携帯情報機器110のコストを低減することができる。
【0077】
(電波時計)
次に、本発明に係る電波時計の一実施形態について、図13を参照して説明する。
本実施形態の電波時計130は、図13に示すように、フィルタ部131に電気的に接続された圧電振動子1を備えたものであり、時計情報を含む標準の電波を受信して、正確な時刻に自動修正して表示する機能を備えた時計である。
日本国内には、福島県(40kHz)と佐賀県(60kHz)とに、標準の電波を送信する送信所(送信局)があり、それぞれ標準電波を送信している。40kHz若しくは60kHzのような長波は、地表を伝播する性質と、電離層と地表とを反射しながら伝播する性質とを併せもつため、伝播範囲が広く、上述した2つの送信所で日本国内を全て網羅している。
【0078】
以下、電波時計130の機能的構成について詳細に説明する。
アンテナ132は、40kHz若しくは60kHzの長波の標準電波を受信する。長波の標準電波は、タイムコードと呼ばれる時刻情報を、40kHz若しくは60kHzの搬送波にAM変調をかけたものである。受信された長波の標準電波は、アンプ133によって増幅され、複数の圧電振動子1を有するフィルタ部131によって濾波、同調される。本実施形態における圧電振動子1は、上記搬送周波数と同一の40kHz及び60kHzの共振周波数を有する水晶振動子部(圧電振動片)138、139をそれぞれ備えている。
【0079】
更に、濾波された所定周波数の信号は、検波、整流回路134により検波復調される。続いて、波形整形回路135を介してタイムコードが取り出され、CPU136でカウントされる。CPU136では、現在の年、積算日、曜日、時刻等の情報を読み取る。読み取られた情報は、RTC137に反映され、正確な時刻情報が表示される。
搬送波は、40kHz若しくは60kHzであるから、水晶振動子部138、139は、上述した音叉型の構造を持つ振動子が好適である。
【0080】
なお、上述の説明は、日本国内の例で示したが、長波の標準電波の周波数は、海外では異なっている。例えば、ドイツでは77.5KHzの標準電波が用いられている。従って、海外でも対応可能な電波時計130を携帯機器に組み込む場合には、さらに日本の場合とは異なる周波数の圧電振動子1を必要とする。
【0081】
そして本実施形態では、低コスト化された圧電振動子1を備えているので、電波時計130のコストを低減することができる。
【0082】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0083】
例えば、上記実施形態では、圧電振動片4の一例として振動腕部10、11の両面に溝部18が形成された溝付きの圧電振動片4を例に挙げて説明したが、溝部18がないタイプの圧電振動片でも構わない。但し、溝部18を形成することで、一対の励振電極15に所定の電圧を印加させたときに、一対の励振電極15間における電界効率を上げることができるため、振動損失をより抑えて振動特性をさらに向上することができる。つまり、CI値(Crystal Impedance)をさらに低くすることができ、圧電振動片4のさらなる高性能化を図ることができる。この点において、溝部18を形成する方が好ましい。
【0084】
また、上記実施形態では、ベース基板2とリッド基板3とを接合膜35を介して陽極接合したが、陽極接合に限定されるものではない。但し、陽極接合することで、両基板2、3を強固に接合できるため好ましい。
また、上記実施形態では、圧電振動片4をバンプ接合したが、バンプ接合に限定されるものではない。例えば、導電性接着剤により圧電振動片4を接合しても構わない。但し、バンプ接合することで、圧電振動片4をベース基板2の上面から浮かすことができ、振動に必要な最低限の振動ギャップを自然と確保することができる。よって、バンプ接合することが好ましい。
【0085】
また、上記実施形態では、圧電振動子の製造方法において、予備ゲッタリング工程を備えているものとしたが、これに限られるものではなく、予備ゲッタリング工程を行わなくても良く、第2レーザ照射疵71、81が形成されていない圧電振動子1,80であっても良い。さらに、予備ゲッタリング工程を備えている場合であっても、レーザ照射工程前に行わずにレーザ照射工程後に行っても良い。
【0086】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0087】
C…キャビティ
1、80…圧電振動子
2…ベース基板
3…リッド基板
4…圧電振動片
21…重り金属膜
35…接合膜
40…ベース基板用ウエハ(ベース基板)
50…リッド基板用ウエハ(リッド基板)
70…第1レーザ照射疵
71、81…第2レーザ照射疵
100…発振器
101…発振器の集積回路
110…携帯情報機器(電子機器)
113…電子機器の計時部
130…電波時計
131…電波時計のフィルタ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合された2枚の基板の間に形成されたキャビティ内に圧電振動片が封止された表面実装型(SMD)の圧電振動子、圧電振動子の製造方法、圧電振動子を有する発振器、電子機器および電波時計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や携帯情報端末機器には、時刻源や制御信号のタイミング源、リファレンス信号源等として、水晶等の圧電材料からなる圧電振動片を利用した圧電振動子が用いられている。圧電振動片として、一対の振動腕部を備えた音叉型の圧電振動片が採用されている。
【0003】
この種の圧電振動子として、表面実装型(SMD、Surface Mount Device)の圧電振動子が知られている。
図14および図15に示すように、表面実装型の圧電振動子200として、ベース基板201とリッド基板202とでパッケージ209を形成し、パッケージ209の内部に形成されたキャビティCに圧電振動片203を収納したものが提案されている。ベース基板201とリッド基板202とは、両者間に接合膜207を配置して陽極接合により接合されている。
【0004】
ところで、一般に圧電振動子は、等価抵抗値(実効抵抗値、Re)を低く抑えることが望まれている。等価抵抗値が低い圧電振動子は、低電力で圧電振動片を振動させることが可能であるため、エネルギー効率のよい圧電振動子になる。
等価抵抗値を抑えるための一般的な方法の一つとして、図14および図15に示すように圧電振動片203の封止されているキャビティC内を真空に近づけて、等価抵抗値と比例関係にある直列共振抵抗値(R1)を低下させる方法が知られている。そして、キャビティC内を真空に近づける方法として、キャビティC内にアルミニウム等からなるゲッター材220を封止し、外部よりレーザを照射して該ゲッター材220を活性化させるゲッタリング工程を有する方法が知られている(下記特許文献1参照)。この方法によれば、活性化状態になったゲッター材220によって、陽極接合の際に発生する酸素を吸収することができるので、キャビティC内を真空に近づけることができる。
【0005】
また一般的に、ゲッタリング工程後、振動腕部210の先端部に形成された重り金属膜211にレーザを照射し、重り金属膜211をトリミングして圧電振動片203の周波数の微調整(微調工程)を行う。この微調工程を行うことで、圧電振動片203の周波数を公称周波数の範囲内に収めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−142976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の圧電振動子の製造方法は、ゲッタリング工程後に微調工程を行い、キャビティ内の真空度調整と圧電振動片の周波数調整とを各別に行うことから、時間がかかり効率が悪いものであった。また、ゲッタリングに必要とされるゲッター材を形成するのにも時間がかかり、より効率が悪いものであった。
【0008】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、効率良く製造することができる圧電振動子の製造方法および圧電振動子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る圧電振動子の製造方法は、間にキャビティを形成するように重ね合わせられたベース基板およびリッド基板と、前記キャビティ内に収容されるとともに前記ベース基板側に接合された圧電振動片と、前記リッド基板において前記ベース基板側を向く面に全面にわたって形成され、前記ベース基板と接する部分で両基板を接合する接合膜と、を備え、前記圧電振動片は、一対の振動腕部と、前記振動腕部の先端部に形成された重り金属膜と、を備える圧電振動子の製造方法であって、前記接合膜は、レーザ照射により活性化して周囲のガスを吸着しうる材料で形成され、前記重り金属膜および前記接合膜を同時にレーザ照射するレーザ照射工程を備えていることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、接合膜が、レーザ照射により活性化して周囲のガスを吸着しうる材料で形成されているので、接合膜をレーザ照射することでゲッタリングしてキャビティ内の真空度を向上させることができる。したがって、レーザ照射工程時に、重り金属膜および接合膜を同時にレーザ照射することで、重り金属膜をトリミングして圧電振動片の周波数調整をするのと同時に、接合膜をゲッタリングしてキャビティ内の真空度を向上させることができる。
また、接合膜が、レーザ照射により活性化して周囲のガスを吸着しうる材料で形成されているので、別途、ゲッター材を形成する必要がない。
以上より、圧電振動子を効率良く製造することが可能になり、圧電振動子の低コスト化を図ることができる。
【0011】
また、前記ベース基板の法線方向から見て前記重り金属膜と重ならない位置の前記キャビティ内の前記接合膜をレーザ照射する予備ゲッタリング工程を備えていても良い。
【0012】
この場合、予備ゲッタリング工程を備えているので、レーザ照射工程時に接合膜をゲッタリングすることでキャビティ内の真空度を向上させるのと相俟って、キャビティ内の真空度をさらに向上させることができる。
【0013】
また、前記レーザ照射工程前に前記予備ゲッタリング工程を行っても良い。
【0014】
この場合、レーザ照射工程前に予備ゲッタリング工程を行うので、レーザ照射工程後に予備ゲッタリング工程を行う場合に比べて、圧電振動片の周波数を高精度に調整することができる。
すなわち、予備ゲッタリング工程を行うときには、レーザ照射された接合膜が飛散して振動腕部に付着することで、圧電振動片の周波数が変化する場合がある。そのため、レーザ照射工程後に予備ゲッタリング工程を行う場合には、レーザ照射工程において調整された圧電振動片の周波数が予備ゲッタリング工程を行うことで変化してしまうおそれがある。しかしながら、レーザ照射工程前に予備ゲッタリング工程を行うことで、予備ゲッタリング工程時に圧電振動片の周波数が変化した場合であっても、その後、レーザ照射工程で周波数調整することが可能になり、圧電振動片の周波数を高精度に調整することができる。
【0015】
また、前記レーザ照射工程は、前記ベース基板の法線方向から見て前記振動腕部の先端部に隣接する位置の前記接合膜をレーザ照射する工程を備えていても良い。
【0016】
この場合、レーザ照射工程時に、ベース基板の法線方向から見て振動腕部の先端部に隣接する位置の接合膜をレーザ照射することで、圧電振動片の周波数を減少させる方向に周波数調整することが可能になり、圧電振動子の歩留まりを向上させることができる。
すなわち、重り金属膜をトリミングすることによって周波数調整する際には、振動腕部の先端部上の重り金属膜の質量が減ることで、圧電振動片の周波数を増加させる方向に周波数調整することができる。ここで、接合膜において振動腕部の先端部に隣接する位置をレーザ照射することで、接合膜を飛散させて振動腕部の先端部上に付着させ、圧電振動片の周波数を減少させることができる。したがって、仮に重り金属膜をトリミングすることで圧電振動片の周波数を増加させすぎてしまった場合であっても、接合膜において振動腕部の先端部に隣接する位置をレーザ照射することで、圧電振動片の周波数を減少させる方向に周波数調整することが可能になる。これにより、従来では廃棄せざるを得ない程度、圧電振動片の周波数が増加した圧電振動子であっても廃棄せずに済むので、圧電振動子の歩留まりを向上させることができる。
【0017】
また、本発明に係る圧電振動子は、間にキャビティを形成するように重ね合わせられたベース基板およびリッド基板と、前記キャビティ内に収容されるとともに前記ベース基板側に接合された圧電振動片と、前記リッド基板において前記ベース基板側を向く面に全面にわたって形成され、前記ベース基板と接する部分で両基板を接合する接合膜と、を備え、前記圧電振動片は、一対の振動腕部と、前記振動腕部の先端部に形成された重り金属膜と、を備え、前記接合膜は、レーザ照射により活性化して周囲のガスを吸着しうる材料で形成され、前記重り金属膜および前記接合膜にはそれぞれ、同時にレーザ照射された第1レーザ照射疵が形成されていることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、接合膜が、レーザ照射により活性化して周囲のガスを吸着しうる材料で形成されているので、接合膜をレーザ照射することでゲッタリングしてキャビティ内の真空度を向上させることができる。したがって、当該圧電振動子において、重り金属膜および接合膜を同時にレーザ照射して第1レーザ照射疵を形成することで、重り金属膜をトリミングして圧電振動片の周波数調整をするのと同時に、接合膜をゲッタリングしてキャビティ内の真空度を向上させることができる。
また、接合膜が、レーザ照射により活性化して周囲のガスを吸着しうる材料で形成されているので、別途、ゲッター材を形成する必要がない。
以上より、当該圧電振動子を効率良く製造することが可能になり、低コスト化を図ることができる。
【0019】
また、前記ベース基板の法線方向から見て前記重り金属膜と重ならない位置の前記キャビティ内の前記接合膜には、第2レーザ照射疵が形成されていても良い。
【0020】
この場合、当該圧電振動子において、ベース基板の法線方向から見て重り金属膜と重ならない位置のキャビティ内の接合膜に第2レーザ照射疵を形成することで、第1レーザ照射疵を形成する際に接合膜をゲッタリングすることでキャビティ内の真空度を向上させるのと相俟って、キャビティ内の真空度をさらに向上させることができる。
【0021】
また、前記第2レーザ照射疵は、前記ベース基板の法線方向から見て少なくとも前記振動腕部の先端部に隣接する位置の前記接合膜に形成されていても良い。
【0022】
この場合、当該圧電振動子において、ベース基板の法線方向から見て振動腕部の先端部に隣接する位置の接合膜に第2レーザ照射疵を形成することで、圧電振動片の周波数を減少させる方向に周波数調整させることが可能になり、当該圧電振動子の歩留まりを向上させることができる。
【0023】
また、本発明に係る発振器は、前述した圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする。
また、本発明に係る電子機器は、前述した圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴とする。
また、本発明に係る電波時計は、前述した圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする。
【0024】
これらの発明によれば、低コスト化された圧電振動子を備えているので、発振器、電子機器および電波時計のコストを低減することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る圧電振動子の製造方法によれば、圧電振動子を効率良く製造することができる。
また、本発明に係る圧電振動子によれば、効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態に係る圧電振動子の外観斜視図である。
【図2】図1に示す圧電振動子の内部構成図である。
【図3】図2のA−A線に沿った圧電振動子の断面図である。
【図4】図1に示す圧電振動子の分解斜視図である。
【図5】図1に示す圧電振動子を構成する圧電振動片の平面図である。
【図6】図5に示す圧電振動片の底面図である。
【図7】図5のB−B線における断面図である。
【図8】図1に示す圧電振動子の製造方法のフローチャートである。
【図9】圧電振動片をキャビティ内に収容した状態でベース基板用ウエハとリッド基板用ウエハとが陽極接合されたウエハ体の分解斜視図である。
【図10】第2実施形態に係る圧電振動子の内部構成図である。
【図11】発振器の概略構成図である。
【図12】電子機器のブロック図である。
【図13】電波時計のブロック図である。
【図14】従来の圧電振動子のリッド基板を取り外した状態の平面図である。
【図15】図14のC−C線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1実施形態)
以下、図面を参照し、本発明の第1実施形態に係る圧電振動子を説明する。
図1〜図4に示すように、本実施形態の圧電振動子1は、間にキャビティCを形成するように重ね合わせられたベース基板2およびリッド基板3と、キャビティC内に収容されるとともにベース基板2側に接合された圧電振動片4と、を備えた表面実装型のものである。
なお図3および図4においては、図面を見易くするために、圧電振動片4の励振電極15、引き出し電極19,20、マウント電極16,17及び重り金属膜21の図示を省略している。
【0028】
(圧電振動片)
図5〜図7に示すように、圧電振動片4は、水晶やタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料から形成された音叉型の振動片であり、所定の電圧が印加されたときに振動するものである。この圧電振動片4は、平行に配置された一対の振動腕部10、11と、該一対の振動腕部10、11の基端側を一体的に固定する基部12と、一対の振動腕部10、11の基端部の外表面上に形成されて一対の振動腕部10、11を振動させる第1の励振電極13と第2の励振電極14とからなる励振電極15と、第1の励振電極13及び第2の励振電極14に電気的に接続されたマウント電極16,17とを有している。また圧電振動片4は、一対の振動腕部10、11の両主面上に、該振動腕部10、11の長手方向に沿ってそれぞれ形成された溝部18を備えている。この溝部18は、振動腕部10、11の基端側から略中間付近まで形成されている。
【0029】
第1の励振電極13と第2の励振電極14とからなる励振電極15は、一対の振動腕部10、11を互いに接近又は離間する方向に所定の共振周波数で振動させる電極であり、一対の振動腕部10、11の外表面に、それぞれ電気的に切り離された状態でパターニングされている。具体的には、第1の励振電極13が、一方の振動腕部10の溝部18上と他方の振動腕部11の両側面上とに主に形成され、第2の励振電極14が、一方の振動腕部10の両側面上と他方の振動腕部11の溝部18上とに主に形成されている。
【0030】
また、第1の励振電極13及び第2の励振電極14は、基部12の両主面上において、それぞれ引き出し電極19,20を介してマウント電極16,17に電気的に接続されている。そして圧電振動片4は、このマウント電極16,17を介して電圧が印加されるようになっている。なお、上述した励振電極15、マウント電極16,17及び引き出し電極19,20は、例えば、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)やチタン(Ti)等の導電性膜の被膜により形成されたものである。
【0031】
また、一対の振動腕部10、11の先端部には、自身の振動状態を所定の周波数の範囲内で振動するように質量調整(周波数調整)を行うための重り金属膜21が被膜されている。なお、この重り金属膜21は、周波数を粗く調整する際に使用される粗調膜21aと、微小に調整する際に使用される微調膜21bとに分かれている。これら粗調膜21a及び微調膜21bを利用して周波数調整を行うことで、一対の振動腕部10、11の周波数をデバイスの公称(目標)周波数の範囲内に収めることができる。
【0032】
このように構成された圧電振動片4は、図3、図4に示すように、金等のバンプBを利用して、ベース基板2の上面側にバンプ接合されている。より具体的には、ベース基板2の上面にパターニングされた後述する引き回し電極36,37上に形成された2つのバンプB上に、一対のマウント電極16,17がそれぞれ接触した状態でバンプ接合されている。これにより、圧電振動片4は、ベース基板2の上面から浮いた状態で支持されると共に、マウント電極16,17と引き回し電極36,37とがそれぞれ電気的に接続された状態となっている。
【0033】
(圧電振動子)
図1〜図4に示すように、本実施形態の圧電振動子1は、ベース基板2とリッド基板3とが2層に積層されてなるパッケージ9を備えている。
ベース基板2は、ガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる透明な絶縁基板であり、板状に形成されている。
【0034】
図2および図3に示すように、このベース基板2には、該ベース基板2を貫通する一対のスルーホール(貫通孔)30,31が形成されている。一対のスルーホール30,31は、キャビティCの対角線の両端部に形成されている。そして、これら一対のスルーホール30,31には、該スルーホール30,31を埋めるように形成された一対の貫通電極32,33が形成されている。これら貫通電極32,33は、Agペースト等の導電材料によって構成されている。ベース基板2の下面には、一対の貫通電極32,33に対してそれぞれ電気的に接続される一対の外部電極38,39が形成されている。
【0035】
図2および図4に示すように、ベース基板2の上面側(リッド基板3が接合される接合面側)には、導電性材料(例えば、アルミニウム)により一対の引き回し電極36,37がパターニングされている。一対の引き回し電極36,37は、一対の貫通電極32,33のうち、一方の貫通電極32と圧電振動片4の一方のマウント電極16とを電気的に接続すると共に、他方の貫通電極33と圧電振動片4の他方のマウント電極17とを電気的に接続するようにパターニングされている。
【0036】
図1、図3及び図4に示すように、リッド基板3は、ベース基板2と同様にガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる透明の絶縁基板であり、図1〜図4に示すように、ベース基板2に対して重ね合わせ可能な大きさで板状に形成されている。そして、ベース基板2が接合される接合面側には、圧電振動片4が収まる矩形状の凹部3aが形成されている。この凹部3aは、両基板2、3が重ね合わされたときに、圧電振動片4を収容するキャビティCとなるキャビティ用の凹部である。なお、リッド基板3における凹部3aの底面は非研磨面(擦りガラス状)となっている。
そして、リッド基板3は、この凹部3aをベース基板2側に対向させた状態でベース基板2に対して陽極接合されている。
【0037】
また、図1〜図4に示すように、本実施形態の圧電振動子1は、リッド基板3においてベース基板2側を向く面に全面にわたって形成され、ベース基板2と接する部分で両基板2,3を接合する接合膜35を備えている。図2および図3に示すように、本実施形態の接合膜35は、凹部3aを画成する面と、リッド基板2の接合面において凹部3aの外周縁に全周にわたって連なる周縁部と、の各全域にわたって形成されており、これらのうちの接合面の周縁部に形成された部分がベース基板3に接合されている。
接合膜35は、レーザ照射により活性化して周囲のガスを吸着しうる材料で形成されている。さらに、接合膜35は、両基板2,3を陽極接合可能な材料で形成されている。このような接合膜35の材料としては、例えばアルミニウムなどを採用することができる。
【0038】
このように構成された圧電振動子1を作動させるには、ベース基板2に形成された外部電極38,39に対して、所定の駆動電圧を印加する。これにより、圧電振動片4の第1の励振電極13及び第2の励振電極14からなる励振電極15に電圧を印加することができ、一対の振動腕部10、11を接近・離間させる方向に所定の周波数で振動させることができる。そして、この一対の振動腕部10、11の振動を利用して、時刻源、制御信号のタイミング源やリファレンス信号源等として利用することができる。
【0039】
そして図2に示すように、本実施形態では、重り金属膜21および接合膜35にはそれぞれ、同時にレーザ照射された第1レーザ照射疵70が形成されている。さらに、本実施形態では、ベース基板2の法線方向から見て重り金属膜21と重ならない位置のキャビティC内の接合膜35には、第2レーザ照射疵71が形成されている。なお後述するように、これらのレーザ照射疵70,71が形成されることで、キャビティC内の真空度が、それ以上向上しても直列共振抵抗値に大きな変動がない状態である一定レベル以上となっている。
【0040】
これらのレーザ照射疵70、71は、重り金属膜21(もしくは接合膜35)にレーザを照射して、重り金属膜21(もしくは接合膜35)が蒸発して除去されることで形成される。例えば、重り金属膜21(もしくは接合膜35)の一点にレーザを照射(点照射)すると、レーザ照射疵70、71は椀状に形成される。またレーザを走査しながら点照射を短距離間隔で繰り返すと、レーザ照射疵70、71は溝状に形成される。
【0041】
本実施形態では、第1レーザ照射疵70は、重り金属膜21および接合膜35にそれぞれ、ベース基板2の法線方向で対向する位置に複数形成されている。さらに、第1レーザ照射疵70は、重り金属膜21のうちの微調膜21bに形成されている。また、第1レーザ照射疵70は、ベース基板2の法線方向から見て貫通電極32,33、引き回し電極36,37、および外部電極38,39のそれぞれと重ならない位置に形成されている。
また、第2レーザ照射疵71は、圧電振動片4の基部12に隣接する位置に形成されている。さらに、第2レーザ照射疵71は、ベース基板2の法線方向から見て圧電振動片4、貫通電極32,33、引き回し電極36,37、および外部電極38,39と重ならない位置に形成されている。
【0042】
(圧電振動子の製造方法)
次に、前述した圧電振動子1を製造する方法について、図8および図9を参照して説明する。なお、図9に示す点線Mは、後に行う切断工程で切断する切断線を図示している。本実施形態では、ベース基板用ウエハ(ベース基板)40とリッド基板用ウエハ(リッド基板)50との間に複数の圧電振動片4を配置して、一度に複数の圧電振動子1を製造する。
【0043】
はじめに、圧電振動片作製工程を行って図5〜図7に示す圧電振動片4を作製する(S10)。また圧電振動片4を作製した後、共振周波数の粗調を行っておく。これは、重り金属膜21の粗調膜21aをレーザ照射して一部を蒸発させ、重量を変化させることで行う。なお、共振周波数をより高精度に調整する微調に関しては、マウント後に行う。これについては、後に説明する。
【0044】
次に図9に示すように、後にリッド基板となるリッド基板用ウエハ50を、陽極接合を行う直前の状態まで作製する第1のウエハ作製工程を行う(S20)。
この工程では、まず、ソーダ石灰ガラスを所定の厚さまで研磨加工して洗浄した後に、エッチング等により最表面の加工変質層を除去した円板状のリッド基板用ウエハ50を形成する(S21)。次いで、リッド基板用ウエハ50の接合面に、エッチング等により行列方向にキャビティ用の凹部3aを複数形成する凹部形成工程を行う(S22)。次いで、レーザ照射により活性化して周囲のガスを吸着し、かつ陽極接合可能な材料(例えばアルミニウム)を、リッド基板用ウエハ50の接合面側の全域にわたってパターニングする接合膜形成工程を行う(S23)。この時点で、第1のウエハ作製工程が終了する。
【0045】
次に、上記工程と同時或いは前後のタイミングで、後にベース基板となるベース基板用ウエハ40を、陽極接合を行う直前の状態まで作製する第2のウエハ作製工程を行う(S30)。
この工程では、まず、ソーダ石灰ガラスを所定の厚さまで研磨加工して洗浄した後に、エッチング等により最表面の加工変質層を除去した円板状のベース基板用ウエハ40を形成する(S31)。次いで、ベース基板用ウエハ40に一対の貫通電極32,33を複数形成する貫通電極形成工程を行う(S32)。次いで、ベース基板用ウエハ40の上面に導電性材料をパターニングして、引き回し電極36,37を形成する引き回し電極形成工程(S33)を行う。この時点で、第2のウエハ作製工程が終了する。
【0046】
次に、作製した複数の圧電振動片4を、それぞれ引き回し電極36,37を介してベース基板用ウエハ40の上面に接合するマウント工程を行う(S40)。まず、一対の引き回し電極36,37上にそれぞれ金等のバンプBを形成する。そして、圧電振動片4の基部12をバンプB上に載置した後、バンプBを所定温度に加熱しながら圧電振動片4をバンプBに押し付ける。これにより、圧電振動片4がバンプBに機械的に支持されてベース基板用ウエハ40の上面から浮いた状態となり、またマウント電極16,17と引き回し電極36,37とが電気的に接続された状態となる。
【0047】
圧電振動片4のマウントが終了した後、図9に示すように、ベース基板用ウエハ40に対してリッド基板用ウエハ50を重ね合わせる重ね合わせ工程を行う(S50)。具体的には、図示しない基準マーク等を指標としながら、両ウエハ40、50を正しい位置にアライメントする。これにより、マウントされた圧電振動片4が、両ウエハ40、50の間に形成されるキャビティC内に収容された状態となる。
【0048】
重ね合わせ工程後、重ね合わせた2枚のウエハ40、50を図示しない陽極接合装置に入れ、所定の温度雰囲気で所定の電圧を印加して陽極接合する接合工程を行う(S60)。具体的には、接合膜35とリッド基板用ウエハ50との間に所定の電圧を印加する。すると、接合膜35とリッド基板用ウエハ50との界面に電気化学的な反応が生じ、両者がそれぞれ強固に密着して陽極接合される。これにより、圧電振動片4をキャビティC内に封止することができ、ベース基板用ウエハ40とリッド基板用ウエハ50とが接合したウエハ体60を得ることができる。
【0049】
そして、上述した陽極接合が終了した後、ベース基板用ウエハ40の下面に導電性材料をパターニングして、一対の外部電極38,39を複数形成する外部電極形成工程を行う(S70)。この工程により、複数の圧電振動子1が互いに連結されてなるウエハ体60形成され、外部電極38,39から貫通電極32,33を介してキャビティC内に封止された圧電振動片4を作動させることができるようになる。
【0050】
次に、ベース基板用ウエハ40の法線方向から見て重り金属膜21と重ならない位置のキャビティC内の接合膜35をレーザ照射する予備ゲッタリング工程を行う(S72)。なおレーザとして、次述するレーザ照射工程と同じYAGレーザ等を採用することが可能である。また本実施形態では、リッド基板用ウエハ50における凹部3aの底面は非研磨面(擦りガラス状)となっており、リッド基板用ウエハ50の外側から(圧電振動子1の上面側から)レーザ照射することができないので、ベース基板用ウエハ40の外側から(圧電振動子1の下面側から)レーザ照射を行う。
【0051】
ここで、接合膜35が、レーザ照射により活性化して周囲のガスを吸着しうる材料で形成されているので、レーザ照射により接合膜35(例えばAl)が蒸発すると、キャビティC内の酸素を吸収して金属酸化物(例えばAl2O3)が生成される。したがって、接合膜35をレーザ照射することでキャビティC内の酸素が消費され、キャビティC内の真空度を向上させることができる。
【0052】
そして本実施形態では、キャビティC内の真空度が、次に行うレーザ照射工程を行うことで前述した一定レベルに向上される程度、向上されたと判定されるまで予備ゲッタリング工程を行う。なおこの判定は、例えば、一対の外部電極38,39に電圧を印加して圧電振動片4を振動させることで計測される直列共振抵抗値に基づいて行っても良く、また、接合膜35においてレーザ照射された領域の大きさに基づいて行っても良い。
【0053】
次に、微調膜21b(重り金属膜21)および接合膜35を同時にレーザ照射するレーザ照射工程を行う(S80)。この際、ベース基板用ウエハ40の外側からこのベース基板用ウエハ40の法線方向に沿って、微調膜21bおよび接合膜35をレーザ照射する。
【0054】
ここで本実施形態では、このレーザ照射工程において、キャビティC内に封止された個々の圧電振動片4の周波数が所定の範囲内に収められるように周波数の微調をする。
具体的に説明すると、ベース基板用ウエハ40の下面に形成された一対の外部電極38,39に電圧を印加して圧電振動片4を振動させる。そして、周波数を計測しながらベース基板用ウエハ40の外部からレーザを照射し、重り金属膜21の微調膜21bを蒸発させてトリミングする。微調膜21bをトリミングすると、一対の振動腕部10、11の先端側の重量が減少するため、圧電振動片4の周波数が増加する。これにより、圧電振動片4の周波数が公称周波数の所定範囲内に収まるように微調整することができる。
【0055】
さらにこのレーザ照射工程においては、微調膜21bと同時に接合膜35もレーザ照射しているので、微調膜21bをトリミングして圧電振動片4の周波数調整をするのと同時に、接合膜35をゲッタリングしてキャビティC内の真空度を向上させることができる。
【0056】
レーザ照射工程が終了した後、図9に示すウエハ体60を切断線Mに沿って切断して小片化する切断工程を行う(S90)。その結果、互いに陽極接合されたベース基板2とリッド基板3との間に形成されたキャビティC内に圧電振動片4が封止された、図1に示す2層構造式表面実装型の圧電振動子1を一度に複数製造することができる。
なお、切断工程(S90)を行って個々の圧電振動子1に小片化した後に、予備ゲッタリング工程(S72)およびレーザ照射工程(S80)を行う工程順序でも構わない。但し、上述したように、予備ゲッタリング工程(S72)およびレーザ照射工程(S80)を先に行うことで、ウエハ体60の状態でゲッタリングおよび微調を行うことができるため、複数の圧電振動子1をより効率良く製造することができる。よって、スループットの向上化を図ることができるため好ましい。
【0057】
その後、圧電振動片4の電気特性検査を行う(S100)。即ち、圧電振動片4の共振周波数、共振抵抗値、ドライブレベル特性(共振周波数及び共振抵抗値の励振電力依存性)等を測定してチェックする。また、絶縁抵抗特性等を併せてチェックする。そして、最後に圧電振動子1の外観検査を行って、寸法や品質等を最終的にチェックする。これをもって圧電振動子1の製造が終了する。
【0058】
以上説明したように、本実施形態に係る圧電振動子の製造方法によれば、レーザ照射工程時に、微調膜21bおよび接合膜35を同時にレーザ照射することで、微調膜21bをトリミングして圧電振動片4の周波数調整をするのと同時に、接合膜35をゲッタリングしてキャビティC内の真空度を向上させることができる。
また、接合膜35が、レーザ照射により活性化して周囲のガスを吸着しうる材料で形成されているので、別途、ゲッター材を形成する必要がない。
以上より、圧電振動子1を効率良く製造することが可能になり、圧電振動子1の低コスト化を図ることができる。
【0059】
また、予備ゲッタリング工程を備えているので、レーザ照射工程時に接合膜35をゲッタリングすることでキャビティC内の真空度を向上させるのと相俟って、キャビティC内の真空度をさらに向上させることができる。
【0060】
さらに、レーザ照射工程前に予備ゲッタリング工程を行うので、レーザ照射工程後に予備ゲッタリング工程を行う場合に比べて、圧電振動片4の周波数を高精度に調整することができる。
すなわち、予備ゲッタリング工程を行うときには、レーザ照射された接合膜35が飛散して振動腕部10、11に付着することで、圧電振動片4の周波数が変化する場合がある。そのため、レーザ照射工程後に予備ゲッタリング工程を行う場合には、レーザ照射工程において調整された圧電振動片4の周波数が予備ゲッタリング工程を行うことで変化してしまうおそれがある。しかしながら、レーザ照射工程前に予備ゲッタリング工程を行うことで、予備ゲッタリング工程時に圧電振動片4の周波数が変化した場合であっても、その後、レーザ照射工程で周波数調整することが可能になり、圧電振動片4の周波数を高精度に調整することができる。
【0061】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る圧電振動子を、図10を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態の圧電振動子80では、第2レーザ照射疵81は、ベース基板用ウエハ40の法線方向から見て少なくとも振動腕部10,11の先端部に隣接する位置の接合膜35に形成されている。なお図示の例では、第2レーザ照射疵81は、圧電振動片4の基部12に隣接する位置にも形成されている。
【0062】
次に、前述した圧電振動子80を製造する方法について説明すると、本実施形態では、レーザ照射工程は、ベース基板用ウエハ40の法線方向から見て振動腕部10、11の先端部に隣接する位置の接合膜35をレーザ照射する工程を備えている。これにより、レーザ照射工程において、接合膜35を飛散させて振動腕部10、11の先端部上に付着させ、圧電振動片4の周波数を減少させることができる。
【0063】
以上説明したように、本実施形態に係る圧電振動子の製造方法によれば、レーザ照射工程時に、ベース基板用ウエハ40の法線方向から見て振動腕部10、11の先端部に隣接する位置の接合膜35をレーザ照射することで、圧電振動片4の周波数を減少させる方向に周波数調整することが可能になり、圧電振動子80の歩留まりを向上させることができる。
すなわち、レーザ照射工程において、仮に微調膜21bをトリミングすることで圧電振動片4の周波数を増加させすぎてしまった場合であっても、接合膜35において振動腕部10、11の先端部に隣接する位置をレーザ照射することで、圧電振動片4の周波数を減少させる方向に周波数調整することが可能になる。これにより、従来では廃棄せざるを得ない程度、圧電振動片4の周波数が増加した圧電振動子80であっても廃棄せずに済むので、圧電振動子80の歩留まりを向上させることができる。
【0064】
(発振器)
次に、本発明に係る発振器の一実施形態について、図11を参照しながら説明する。
なお、以下に示す各実施形態では、圧電振動子として第1実施形態に係る圧電振動子1を用いる場合を示しているが、第2実施形態に係る圧電振動子80を用いても同様の作用効果を奏することができる。
【0065】
本実施形態の発振器100は、図11に示すように、圧電振動子1を、集積回路101に電気的に接続された発振子として構成したものである。この発振器100は、コンデンサ等の電子部品102が実装された基板103を備えている。基板103には、発振器用の上記集積回路101が実装されており、この集積回路101の近傍に、圧電振動子1が実装されている。これら電子部品102、集積回路101及び圧電振動子1は、図示しない配線パターンによってそれぞれ電気的に接続されている。なお、各構成部品は、図示しない樹脂によりモールドされている。
【0066】
このように構成された発振器100において、圧電振動子1に電圧を印加すると、該圧電振動子1内の圧電振動片4が振動する。この振動は、圧電振動片4が有する圧電特性により電気信号に変換されて、集積回路101に電気信号として入力される。入力された電気信号は、集積回路101によって各種処理がなされ、周波数信号として出力される。これにより、圧電振動子1が発振子として機能する。
また、集積回路101の構成を、例えば、RTC(リアルタイムクロック)モジュール等を要求に応じて選択的に設定することで、時計用単機能発振器等の他、当該機器や外部機器の動作日や時刻を制御したり、時刻やカレンダー等を提供したりする機能を付加することができる。
【0067】
そして本実施形態では、低コスト化された圧電振動子1を備えているので、発振器100のコストを低減することができる。
【0068】
(電子機器)
次に、本発明に係る電子機器の一実施形態について、図12を参照して説明する。なお電子機器として、上述した圧電振動子1を有する携帯情報機器110を例にして説明する。始めに本実施形態の携帯情報機器110は、例えば、携帯電話に代表されるものであり、従来技術における腕時計を発展、改良したものである。外観は腕時計に類似し、文字盤に相当する部分に液晶ディスプレイを配し、この画面上に現在の時刻等を表示させることができるものである。また、通信機として利用する場合には、手首から外し、バンドの内側部分に内蔵されたスピーカ及びマイクロフォンによって、従来技術の携帯電話と同様の通信を行うことが可能である。しかしながら、従来の携帯電話と比較して、格段に小型化及び軽量化されている。
【0069】
次に、本実施形態の携帯情報機器110の構成について説明する。この携帯情報機器110は、図12に示すように、圧電振動子1と、電力を供給するための電源部111とを備えている。電源部111は、例えば、リチウム二次電池からなっている。この電源部111には、各種制御を行う制御部112と、時刻等のカウントを行う計時部113と、外部との通信を行う通信部114と、各種情報を表示する表示部115と、それぞれの機能部の電圧を検出する電圧検出部116とが並列に接続されている。そして、電源部111によって、各機能部に電力が供給されるようになっている。
【0070】
制御部112は、各機能部を制御して音声データの送信及び受信、現在時刻の計測や表示等、システム全体の動作制御を行う。また、制御部112は、予めプログラムが書き込まれたROMと、該ROMに書き込まれたプログラムを読み出して実行するCPUと、該CPUのワークエリアとして使用されるRAM等とを備えている。
【0071】
計時部113は、発振回路、レジスタ回路、カウンタ回路及びインターフェース回路等を内蔵する集積回路と、圧電振動子1とを備えている。圧電振動子1に電圧を印加すると圧電振動片4が振動し、該振動が水晶の有する圧電特性により電気信号に変換されて、発振回路に電気信号として入力される。発振回路の出力は二値化され、レジスタ回路とカウンタ回路とにより計数される。そして、インターフェース回路を介して、制御部112と信号の送受信が行われ、表示部115に、現在時刻や現在日付或いはカレンダー情報等が表示される。
【0072】
通信部114は、従来の携帯電話と同様の機能を有し、無線部117、音声処理部118、切替部119、増幅部120、音声入出力部121、電話番号入力部122、着信音発生部123及び呼制御メモリ部124を備えている。
無線部117は、音声データ等の各種データを、アンテナ125を介して基地局と送受信のやりとりを行う。音声処理部118は、無線部117又は増幅部120から入力された音声信号を符号化及び複号化する。増幅部120は、音声処理部118又は音声入出力部121から入力された信号を、所定のレベルまで増幅する。音声入出力部121は、スピーカやマイクロフォン等からなり、着信音や受話音声を拡声したり、音声を集音したりする。
【0073】
また、着信音発生部123は、基地局からの呼び出しに応じて着信音を生成する。切替部119は、着信時に限って、音声処理部118に接続されている増幅部120を着信音発生部123に切り替えることによって、着信音発生部123において生成された着信音が増幅部120を介して音声入出力部121に出力される。
なお、呼制御メモリ部124は、通信の発着呼制御に係るプログラムを格納する。また、電話番号入力部122は、例えば、0から9の番号キー及びその他のキーを備えており、これら番号キー等を押下することにより、通話先の電話番号等が入力される。
【0074】
電圧検出部116は、電源部111によって制御部112等の各機能部に対して加えられている電圧が、所定の値を下回った場合に、その電圧降下を検出して制御部112に通知する。このときの所定の電圧値は、通信部114を安定して動作させるために必要な最低限の電圧として予め設定されている値であり、例えば、3V程度となる。電圧検出部116から電圧降下の通知を受けた制御部112は、無線部117、音声処理部118、切替部119及び着信音発生部123の動作を禁止する。特に、消費電力の大きな無線部117の動作停止は、必須となる。更に、表示部115に、通信部114が電池残量の不足により使用不能になった旨が表示される。
【0075】
即ち、電圧検出部116と制御部112とによって、通信部114の動作を禁止し、その旨を表示部115に表示することができる。この表示は、文字メッセージであっても良いが、より直感的な表示として、表示部115の表示面の上部に表示された電話アイコンに、×(バツ)印を付けるようにしても良い。
なお、通信部114の機能に係る部分の電源を、選択的に遮断することができる電源遮断部126を備えることで、通信部114の機能をより確実に停止することができる。
【0076】
そして本実施形態では、低コスト化された圧電振動子1を備えているので、携帯情報機器110のコストを低減することができる。
【0077】
(電波時計)
次に、本発明に係る電波時計の一実施形態について、図13を参照して説明する。
本実施形態の電波時計130は、図13に示すように、フィルタ部131に電気的に接続された圧電振動子1を備えたものであり、時計情報を含む標準の電波を受信して、正確な時刻に自動修正して表示する機能を備えた時計である。
日本国内には、福島県(40kHz)と佐賀県(60kHz)とに、標準の電波を送信する送信所(送信局)があり、それぞれ標準電波を送信している。40kHz若しくは60kHzのような長波は、地表を伝播する性質と、電離層と地表とを反射しながら伝播する性質とを併せもつため、伝播範囲が広く、上述した2つの送信所で日本国内を全て網羅している。
【0078】
以下、電波時計130の機能的構成について詳細に説明する。
アンテナ132は、40kHz若しくは60kHzの長波の標準電波を受信する。長波の標準電波は、タイムコードと呼ばれる時刻情報を、40kHz若しくは60kHzの搬送波にAM変調をかけたものである。受信された長波の標準電波は、アンプ133によって増幅され、複数の圧電振動子1を有するフィルタ部131によって濾波、同調される。本実施形態における圧電振動子1は、上記搬送周波数と同一の40kHz及び60kHzの共振周波数を有する水晶振動子部(圧電振動片)138、139をそれぞれ備えている。
【0079】
更に、濾波された所定周波数の信号は、検波、整流回路134により検波復調される。続いて、波形整形回路135を介してタイムコードが取り出され、CPU136でカウントされる。CPU136では、現在の年、積算日、曜日、時刻等の情報を読み取る。読み取られた情報は、RTC137に反映され、正確な時刻情報が表示される。
搬送波は、40kHz若しくは60kHzであるから、水晶振動子部138、139は、上述した音叉型の構造を持つ振動子が好適である。
【0080】
なお、上述の説明は、日本国内の例で示したが、長波の標準電波の周波数は、海外では異なっている。例えば、ドイツでは77.5KHzの標準電波が用いられている。従って、海外でも対応可能な電波時計130を携帯機器に組み込む場合には、さらに日本の場合とは異なる周波数の圧電振動子1を必要とする。
【0081】
そして本実施形態では、低コスト化された圧電振動子1を備えているので、電波時計130のコストを低減することができる。
【0082】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0083】
例えば、上記実施形態では、圧電振動片4の一例として振動腕部10、11の両面に溝部18が形成された溝付きの圧電振動片4を例に挙げて説明したが、溝部18がないタイプの圧電振動片でも構わない。但し、溝部18を形成することで、一対の励振電極15に所定の電圧を印加させたときに、一対の励振電極15間における電界効率を上げることができるため、振動損失をより抑えて振動特性をさらに向上することができる。つまり、CI値(Crystal Impedance)をさらに低くすることができ、圧電振動片4のさらなる高性能化を図ることができる。この点において、溝部18を形成する方が好ましい。
【0084】
また、上記実施形態では、ベース基板2とリッド基板3とを接合膜35を介して陽極接合したが、陽極接合に限定されるものではない。但し、陽極接合することで、両基板2、3を強固に接合できるため好ましい。
また、上記実施形態では、圧電振動片4をバンプ接合したが、バンプ接合に限定されるものではない。例えば、導電性接着剤により圧電振動片4を接合しても構わない。但し、バンプ接合することで、圧電振動片4をベース基板2の上面から浮かすことができ、振動に必要な最低限の振動ギャップを自然と確保することができる。よって、バンプ接合することが好ましい。
【0085】
また、上記実施形態では、圧電振動子の製造方法において、予備ゲッタリング工程を備えているものとしたが、これに限られるものではなく、予備ゲッタリング工程を行わなくても良く、第2レーザ照射疵71、81が形成されていない圧電振動子1,80であっても良い。さらに、予備ゲッタリング工程を備えている場合であっても、レーザ照射工程前に行わずにレーザ照射工程後に行っても良い。
【0086】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0087】
C…キャビティ
1、80…圧電振動子
2…ベース基板
3…リッド基板
4…圧電振動片
21…重り金属膜
35…接合膜
40…ベース基板用ウエハ(ベース基板)
50…リッド基板用ウエハ(リッド基板)
70…第1レーザ照射疵
71、81…第2レーザ照射疵
100…発振器
101…発振器の集積回路
110…携帯情報機器(電子機器)
113…電子機器の計時部
130…電波時計
131…電波時計のフィルタ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間にキャビティを形成するように重ね合わせられたベース基板およびリッド基板と、
前記キャビティ内に収容されるとともに前記ベース基板側に接合された圧電振動片と、
前記リッド基板において前記ベース基板側を向く面に全面にわたって形成され、前記ベース基板と接する部分で両基板を接合する接合膜と、を備え、
前記圧電振動片は、一対の振動腕部と、前記振動腕部の先端部に形成された重り金属膜と、を備える圧電振動子の製造方法であって、
前記接合膜は、レーザ照射により活性化して周囲のガスを吸着しうる材料で形成され、
前記重り金属膜および前記接合膜を同時にレーザ照射するレーザ照射工程を備えていることを特徴とする圧電振動子の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の圧電振動子の製造方法であって、
前記ベース基板の法線方向から見て前記重り金属膜と重ならない位置の前記キャビティ内の前記接合膜をレーザ照射する予備ゲッタリング工程を備えていることを特徴とする圧電振動子の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の圧電振動子の製造方法であって、
前記レーザ照射工程前に前記予備ゲッタリング工程を行うことを特徴とする圧電振動子の製造方法。
【請求項4】
請求項1から3いずれか1項に記載の圧電振動子の製造方法であって、
前記レーザ照射工程は、前記ベース基板の法線方向から見て前記振動腕部の先端部に隣接する位置の前記接合膜をレーザ照射する工程を備えていることを特徴とする圧電振動子の製造方法。
【請求項5】
間にキャビティを形成するように重ね合わせられたベース基板およびリッド基板と、
前記キャビティ内に収容されるとともに前記ベース基板側に接合された圧電振動片と、
前記リッド基板において前記ベース基板側を向く面に全面にわたって形成され、前記ベース基板と接する部分で両基板を接合する接合膜と、を備え、
前記圧電振動片は、一対の振動腕部と、前記振動腕部の先端部に形成された重り金属膜と、を備え、
前記接合膜は、レーザ照射により活性化して周囲のガスを吸着しうる材料で形成され、
前記重り金属膜および前記接合膜にはそれぞれ、同時にレーザ照射された第1レーザ照射疵が形成されていることを特徴とする圧電振動子。
【請求項6】
請求項5記載の圧電振動子であって、
前記ベース基板の法線方向から見て前記重り金属膜と重ならない位置の前記キャビティ内の前記接合膜には、第2レーザ照射疵が形成されていることを特徴とする圧電振動子。
【請求項7】
請求項6記載の圧電振動子であって、
前記第2レーザ照射疵は、前記ベース基板の法線方向から見て少なくとも前記振動腕部の先端部に隣接する位置の前記接合膜に形成されていることを特徴とする圧電振動子。
【請求項8】
請求項5から7いずれか1項に記載の圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする発振器。
【請求項9】
請求項5から7いずれか1項に記載の圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴とする電子機器。
【請求項10】
請求項5から7いずれか1項に記載の圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする電波時計。
【請求項1】
間にキャビティを形成するように重ね合わせられたベース基板およびリッド基板と、
前記キャビティ内に収容されるとともに前記ベース基板側に接合された圧電振動片と、
前記リッド基板において前記ベース基板側を向く面に全面にわたって形成され、前記ベース基板と接する部分で両基板を接合する接合膜と、を備え、
前記圧電振動片は、一対の振動腕部と、前記振動腕部の先端部に形成された重り金属膜と、を備える圧電振動子の製造方法であって、
前記接合膜は、レーザ照射により活性化して周囲のガスを吸着しうる材料で形成され、
前記重り金属膜および前記接合膜を同時にレーザ照射するレーザ照射工程を備えていることを特徴とする圧電振動子の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の圧電振動子の製造方法であって、
前記ベース基板の法線方向から見て前記重り金属膜と重ならない位置の前記キャビティ内の前記接合膜をレーザ照射する予備ゲッタリング工程を備えていることを特徴とする圧電振動子の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の圧電振動子の製造方法であって、
前記レーザ照射工程前に前記予備ゲッタリング工程を行うことを特徴とする圧電振動子の製造方法。
【請求項4】
請求項1から3いずれか1項に記載の圧電振動子の製造方法であって、
前記レーザ照射工程は、前記ベース基板の法線方向から見て前記振動腕部の先端部に隣接する位置の前記接合膜をレーザ照射する工程を備えていることを特徴とする圧電振動子の製造方法。
【請求項5】
間にキャビティを形成するように重ね合わせられたベース基板およびリッド基板と、
前記キャビティ内に収容されるとともに前記ベース基板側に接合された圧電振動片と、
前記リッド基板において前記ベース基板側を向く面に全面にわたって形成され、前記ベース基板と接する部分で両基板を接合する接合膜と、を備え、
前記圧電振動片は、一対の振動腕部と、前記振動腕部の先端部に形成された重り金属膜と、を備え、
前記接合膜は、レーザ照射により活性化して周囲のガスを吸着しうる材料で形成され、
前記重り金属膜および前記接合膜にはそれぞれ、同時にレーザ照射された第1レーザ照射疵が形成されていることを特徴とする圧電振動子。
【請求項6】
請求項5記載の圧電振動子であって、
前記ベース基板の法線方向から見て前記重り金属膜と重ならない位置の前記キャビティ内の前記接合膜には、第2レーザ照射疵が形成されていることを特徴とする圧電振動子。
【請求項7】
請求項6記載の圧電振動子であって、
前記第2レーザ照射疵は、前記ベース基板の法線方向から見て少なくとも前記振動腕部の先端部に隣接する位置の前記接合膜に形成されていることを特徴とする圧電振動子。
【請求項8】
請求項5から7いずれか1項に記載の圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする発振器。
【請求項9】
請求項5から7いずれか1項に記載の圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴とする電子機器。
【請求項10】
請求項5から7いずれか1項に記載の圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする電波時計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−29911(P2011−29911A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173383(P2009−173383)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
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