説明

圧電振動片、圧電デバイス、及び圧電デバイスの製造方法

【課題】本発明は、連結部において引出電極の面積が広く形成された圧電振動片、圧電デバイス、及び圧電デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】圧電振動片(130)は、第1方向に伸びる第1辺(138a)を含む矩形形状の励振部(131)と、励振部の第1主面に形成される第1励振電極(134a)及び第2主面に形成される第2励振電極と、リッド板に接合される面である第1接合面及びベース板に接合される面である第2接合面を有し励振部を囲む枠部(132)と、励振部の第1辺と枠部とを連結し、両主面と平行な平面と該平面に交差する側面とを有する一本の連結部(133)と、第1及び第2励振電極から連結部を介して枠部の第2接合面まで引き出される第1引出電極(135a)及び第2引出電極(135b)と、を備え、第1引出電極が連結部の側面の少なくとも一部に形成されて枠部に引き出されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結部において引出電極の面積が広く形成された圧電振動片、圧電デバイス、及び圧電デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の振動数で振動する励振部を有する圧電振動片が知られている。このような圧電振動片は例えばパッケージ内に保持部材等により固着保持されることにより圧電デバイスが形成され、プリント基板などに実装されて用いられる。このような圧電振動片には、パッケージ化の際に生じる歪み等の応力により振動特性が変化する問題があった。
【0003】
このような問題に対し、例えば特許文献1では、主振動を生じる振動部の外周をくり貫いてスリットとなした圧電振動子片を提案している。すなわち特許文献1の圧電振動子片は、振動部と、振動部を囲みパッケージに保持部材等により固着保持される端部と、振動部と端部とをつなぐ1本の連結部位と、により構成されている。特許文献1に開示される圧電振動子片では、保持部材で保持される箇所と振動部とが機械的に分離されているためパッケージ化の際に生じる歪みなどが振動部まで伝わりにくくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−226963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような圧電振動片にはパッケージ化の際に生じる歪みなどの他にプリント基板にかかる曲げ応力などが伝わるため、圧電振動片には圧電デバイスがプリント基板に実装されている際にも常に応力を受ける可能性にさらされている。これらの応力は、連結部を1本にし、連結部の幅を細くすることにより振動部に応力を伝わりにくくすることができる。しかし、連結部位の幅が細くなると、連結部位における引出電極の形成面積が狭くなって引出電極の電気抵抗が上がり、圧電振動片のクリスタルインピーダンス(CI)値が高くなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、連結部において引出電極の面積が広く形成された圧電振動片、圧電デバイス、及び圧電デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1観点の圧電振動片は、リッド板と外部電極を有するベース板とに挟まれて接合され、リッド板側の第1主面及びベース板側の第2主面を有する圧電振動片であって、第1方向に伸びる第1辺及び第1方向に直交する第2方向に伸びる第2辺を含む矩形形状の励振部と、励振部の第1主面に形成される第1励振電極及び第2主面に形成される第2励振電極と、リッド板に接合される面である第1接合面及びベース板に接合される面である第2接合面を有し励振部を囲む枠部と、励振部の第1辺と枠部とを連結し、両主面と平行な平面と該平面に交差する側面とを有する一本の連結部と、第1及び第2励振電極から連結部を介して枠部の第2接合面まで引き出される第1及び第2引出電極と、を備え、第1引出電極が連結部の側面の少なくとも一部に形成されて枠部に引き出されている。
【0008】
第2観点の圧電振動片は、第1観点において、第1引出電極と第2引出電極とが連結部において平面の向かい合う方向及び側面の向かい合う方向に互いに重なり合わない。
【0009】
第3観点の圧電振動片は、第2観点において、第1引出電極が連結部の側面、第1主面、及び第2主面に形成され、第2引出電極が連結部の第2主面のみに形成されている。
【0010】
第4観点の圧電振動片は、第3観点において、連結部の第2主面に形成される第1引出電極の側面の向かい合う方向への幅が、連結部の第2主面に形成される第2引出電極の側面の向かい合う方向への幅よりも狭い。
【0011】
第5観点の圧電振動片は、第1観点から第3観点において、第1引出電極が第1励振電極側の一端から第2接合面に延びる他端まで引き出される長さが第1長さであり、第2引出電極が第2励振電極側の一端から第2接合面に延びる他端まで引き出される長さが第2長さであり、第1長さは第2長さよりも短く、第1励振電極が前記第2励振電極より薄く、第1引出電極の一部が第2引出電極よりも薄い。
【0012】
第6観点の圧電振動片は、第1観点から第5観点において、枠体の第1接合面に第1引出電極が形成され、連結部のリッド板側に形成される第1引出電極及び第2引出電極の合計面積が、連結部のベース板側に形成される第1引出電極及び第2引出電極の合計面積よりも狭い。
【0013】
第7観点の圧電振動片は、第1観点から第6観点において、第1引出電極が励振部の第1辺の側面に形成される。
【0014】
第8観点の圧電振動片は、第7観点において、第1引出電極が、両接合面と交差する枠部の側面に形成される。
【0015】
第9観点の圧電振動片は、第5観点において、第1励振電極と第1引出電極とが接続する箇所の第1引出電極の幅が、第2励振電極と第2引出電極とが接続する箇所の第2引出電極の幅よりも広い。
【0016】
第10観点の圧電振動片は、第1観点から第9観点において、連結部が平面の向かい合う方向への厚さが第1厚さに形成され、励振部が第1辺の少なくとも一部を含んで連結部に平面の向かい合う方向に第1厚さで直接連結される第1領域と、第1及び第2励振電極が形成され第1領域以外の領域である第2領域と、を含み、第2領域の平面の向かい合う方向への厚さが第1領域の平面の向かい合う方向への厚さよりも薄い。
【0017】
第11観点の圧電振動片は、第1観点から第9観点において、連結部が平面の向かい合う方向への厚さが第1厚さに形成され、励振部が、第1辺の少なくとも一部を含んで連結部に平面の向かい合う方向に第1厚さで直接連結される第1領域と、第1及び第2励振電極が形成され平面の向かい合う方向への厚さが第2厚さである第3領域と、第1領域及び第3領域以外の領域であり第1領域と第3領域との間に形成され平面の向かい合う方向への厚さが第3厚さである第4領域と、を含み、第1厚さ及び第2厚さが第3厚さよりも厚く形成される。
【0018】
第12観点の圧電デバイスは、第1観点から第11観点の圧電振動片と、リッド板と、ベース板と、に挟まれている。
【0019】
第13観点の圧電デバイスの製造方法は、第1主面及び第2主面を有し圧電材料により形成される圧電ウエハに、所定の振動数で振動する励振部、励振部を囲む枠部、及び励振部と枠部とを連結する一本の連結部を有する複数の圧電振動片の外形が形成される工程と、励振部の第1主面及び第2主面にそれぞれ形成される第1励振電極及び第2励振電極と、第1励振電極側の一端から連結部を介して枠部の第2接合面の他端まで引き出される長さが第1長さである電極であり、連結部の側面の少なくとも一部に形成される第1引出電極と、第2励振電極側の一端から連結部を介して枠部の前記第2接合面の他端まで引き出される長さが第1長さよりも長い第2長さである第2引出電極と、が形成される電極形成工程と、複数のリッド板が形成されたリッドウエハを用意する工程と、複数のベース板が形成されたベースウエハを用意する工程と、圧電ウエハの第2主面とベースウエハとを封止材を介して接合する工程と、圧電ウエハの第1主面に形成された第1励振電極に逆スパッタを行うことにより励振部の振動数を調整する工程と、圧電ウエハの第1主面とリッドウエハとを封止材を介して接合する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の圧電振動片、圧電デバイス、及び圧電デバイスの製造方法によれば、連結部において引出電極の面積を広く形成することによりCI値の上昇を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】圧電デバイス100の分解斜視図である。
【図2】図1のA−A断面の断面図である。
【図3】(a)は、圧電振動片130の平面図である。 (b)は、図3(a)のB−B断面図である。
【図4】(a)は、電極が形成されていない圧電振動片130の平面図である。 (b)は、図3(a)のC−C断面図である。
【図5】圧電デバイス100の製造方法が示されたフローチャートである。
【図6】(a)は、圧電振動片130の外形が形成された圧電ウエハW130の平面図である。 (b)は、電極が形成された圧電ウエハW130の平面図である。
【図7】(a)は、ベースウエハW120の平面図である。 (b)は、リッドウエハW110の平面図である。
【図8】(a)は、圧電ウエハW130とベースウエハW120との部分断面図である。 (b)は、逆スパッタリングが行われた圧電ウエハW130とベースウエハW120との部分断面図である。 (c)は、圧電ウエハW130、リッドウエハW110、及びベースウエハW120の部分断面図である。
【図9】圧電振動片230の平面図である。
【図10】(a)は、圧電振動片330の平面図である。 (b)は、+Y’軸側の面の電極が示された圧電振動片330の部分平面図である。 (c)は、−Y’軸側の面の電極が示された圧電振動片330の部分平面図である。
【図11】(a)は、圧電振動片430の平面図である。 (b)は、図11(a)のE−E断面図である。
【図12】(a)は、圧電振動片530の平面図である。 (b)は、図12(a)のF−F断面図である。
【図13】(a)は、圧電振動片630の平面図である。 (b)は、図13(a)のG−G断面図である。 (c)は、+Y’軸側の面の電極が示された圧電振動片630の部分平面図である。 (d)は、−Y’軸側の面の電極が示された圧電振動片630の部分平面図である。
【図14】(a)は、圧電振動片730の平面図である。 (b)は、図14(a)のH−H断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の範囲は以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0023】
(第1実施形態)
<圧電デバイス100の構成>
図1は、圧電デバイス100の分解斜視図である。圧電デバイス100は、リッド板110と、ベース板120と、圧電振動片130と、により構成されている。圧電振動片130には例えばATカットの水晶振動片が用いられる。ATカットの水晶振動片は、主面(YZ面)が結晶軸(XYZ)のY軸に対して、X軸を中心としてZ軸からY軸方向に35度15分傾斜されている。以下の説明では、ATカットの水晶振動片の軸方向を基準とし、傾斜された新たな軸をY’軸及びZ’軸として用いる。すなわち、圧電デバイス100においては圧電デバイス100の長辺方向をX軸方向、圧電デバイス100の高さ方向をY’軸方向、X及びY’軸方向に垂直な方向をZ’軸方向として説明する。
【0024】
圧電振動片130は、所定の振動数で振動し矩形形状に形成された励振部131と、励振部131を囲む枠部132と、励振部131と枠部132とを連結する1本の連結部133と、により構成されている。励振部131と枠部132との間の連結部133以外の領域は、圧電振動片130をY’軸方向に貫通する貫通孔136となっている。圧電振動片130は、枠部132の+Y’軸側の面である第1接合面132aにおいてリッド板110に接合され、枠部132の−Y’軸側の面である第2接合面132bにおいてベース板120に接合される。励振部131の+Y’軸側の面には第1励振電極134aが形成され、励振部131の−Y’軸側の面には第2励振電極134bが形成されている。第1励振電極134aからは連結部133の+Z’軸側の側面133aを通り枠部132の第2接合面132bにまで第1引出電極135aが引き出されており、第2励振電極134bからは連結部133の−Y’軸側の面を通り枠部132の第2接合面132bにまで第2引出電極135bが引き出されている。
【0025】
ベース板120は、圧電振動片130の−Y’軸側に配置される。ベース板120はX軸方向に長辺、Z’軸方向に短辺を有する矩形形状に形成されている。ベース板120の−Y’軸側の面には一対の実装端子124が形成されている。この実装端子124がハンダを介してプリント基板等に固定され電気的に接続されることにより、圧電デバイス100がプリント基板等に実装される。また、ベース板120の四隅の側面にはキャスタレーション126が形成されており、キャスタレーション126にはキャスタレーション電極125が形成されている。ベース板120の+Y’軸側の面には凹部121が形成されており、凹部121の周りには接合面122が形成されている。また、接合面122の四隅でありキャスタレーション126の周りには接続電極123が形成されている。この接続電極123は、キャスタレーション126に形成されるキャスタレーション電極125を介して実装端子124に電気的に接続されている。ベース板120は、接合面122において封止材141(図2参照)を介して圧電振動片130の枠部132の第2接合面132bに接合される。また、接続電極123と圧電振動片130の第1引出電極135a及び第2引出電極135bとが電気的に接続される。
【0026】
リッド板110は、圧電振動片130の+Y’軸側に配置される。リッド板110の−Y’軸側の面には凹部111が形成されており、凹部111の周りには接合面112が形成されている。リッド板110は、接合面112において封止材141(図2参照)を介して圧電振動片130の枠部132の第1接合面132aに接合される。
【0027】
図2は、図1のA−A断面の断面図である。圧電デバイス100は、圧電振動片130の枠部132の第1接合面132aにリッド板110の接合面112が封止材141を介して接合され、枠部132の第2接合面132bにベース板120の接合面122が封止材141を介して接合されている。圧電振動片130とベース板120とが接合される際には、枠部132の第2接合面132bに形成されている第1引出電極135a及び第2引出電極135bとベース板120の接合面122に形成されている接続電極123とが電気的に接続される。これにより第1励振電極134a及び第2励振電極134bはそれぞれ、第1引出電極135a及び第2引出電極135b、接続電極123、及びキャスタレーション電極125を介して実装端子124に電気的に接続される。
【0028】
図3(a)は、圧電振動片130の平面図である。圧電振動片130は、矩形形状に形成された励振部131と、励振部131を囲む枠部132と、励振部131と枠部132とを連結する1本の連結部133と、により構成されている。励振部131は、励振部131の短辺であり励振部131の−X軸側の辺である第1辺138aと、励振部131の長辺であり励振部131の+Z’軸側及び−Z’軸側の辺である第2辺138bと、を有している。連結部133は、励振部131の第1辺138aの中央に連結され、そこから−X軸方向に伸びて枠部132に連結されている。また、励振部131と枠部132との間の連結部133以外の領域は、圧電振動片130をY’軸方向に貫通する貫通孔136となっている。励振部131には、連結部133に直接連結される領域である第1領域131aと、第1領域131a以外の領域であり第1励振電極134a及び第2励振電極134bが形成されている第2領域131bと、に分けることができ、圧電振動片130では第1領域131aが第2領域131bよりもY’軸方向に厚く形成されている。励振部131の+Y’軸側の面に形成されている第1励振電極134aからは、第1領域131a、連結部133の+Y’軸側の面、連結部133の+Z’軸側の側面133a、及び連結部133の−Y’軸側の面を介し、枠部132の−Y’軸側の面の−X軸側の+Z’軸側の角部にまで第1引出電極135aが引き出されている。また、励振部131bの−Y’軸側の面に形成されている第2励振電極134b(図2参照)からは、第1領域131a及び連結部133の−Y’軸側の面を介して枠部132に第2引出電極135bが引き出され、第2引出電極135bはさらに枠部132の−Y’軸側の面を−Z’軸方向及び+X軸方向に伸びて枠部132の−Y’軸側の面の+X軸側の−Z’軸側の角部にまで引き出されている。第2引出電極135bは枠部132の+X軸側まで引き出されているため、第2引出電極135bは第1引出電極135aよりも、形成距離が長く形成されている。
【0029】
図3(b)は、図3(a)のB−B断面図である。図3(b)には、枠部132及び連結部133のY’−Z’平面の断面図が示されている。励振部131の+Y’軸側に形成されている第1励振電極134aから伸びる第1引出電極135aは、連結部133の+Y’軸側の面から側面133aを介して連結部133の−Y’軸側の面に引き出されており、第1引出電極135aの連結部133の+Y’軸側の面及び−Y’軸側の面におけるZ’軸方向の幅はそれぞれ幅L1に形成されている。また、励振部131の−Y’軸側の面に形成されている第2励振電極134bから伸びる第2引出電極135bは、連結部133の−Y’軸側の面を介して励振部131から枠部132へ引き出されるが、その連結部133におけるZ’軸方向の幅は幅L1に形成されている。連結部133のZ’軸方向の幅を幅RZ1とすると、幅RZ1は幅L1の2倍の値よりも大きい。第1引出電極135a及び第2引出電極135bは、連結部133において互いにZ’軸方向及びY’軸方向に向かい合わないように形成されている。
【0030】
図4(a)は、電極が形成されていない圧電振動片130の平面図である。また、図4(a)では、参考のために、第1励振電極134aが形成される領域が点線で囲まれて示されている。励振部131の第1辺138aの長さは長さLZ1であり、第2辺138bは長さLX1に形成されている。圧電振動片130では、第1辺138aが励振部131の短辺であり第2辺138bが励振部131の長辺であるため、長さLZ1は長さLX1よりも短い。また、圧電振動片130の枠部132の全体のX軸方向の長さを長さWX1、Z’軸方向の全体の長さを長さWZ1、Z’軸方向に伸びる枠部132のX軸方向の長さを長さWX2、X軸方向に伸びる枠部132のZ’軸方向の長さを長さWZ2とする。圧電振動片130では、例えばこれらの各長さは、長さLZ1が1.0mm、長さLX1が1.4mm、長さWX1が2.0mm、長さWX2が0.2mm、長さWZ1が1.6mm、長さWZ2が0.2mmに形成される。また、圧電振動片130の連結部133のZ’軸方向の長さを長さRZ1とすると、圧電振動片130では、例えば、長さRZ1が0.2mmに形成される。
【0031】
図4(b)は、図3(a)のC−C断面図である。圧電振動片130は、枠部132のY’軸方向への厚さが厚さT1、連結部133及び励振部131の第1領域131aのY’軸方向の厚さが厚さT2、励振部131の第2領域131bのY’軸方向の厚さが厚さT3に形成されている。圧電振動片130では、厚さT1は厚さT3よりも厚く形成されており、厚さT2は厚さT1以下であり厚さT3よりも大きい値となっている。そのため圧電振動片130では、例えば、厚さT1が80μm、厚さT2が70μm、厚さT3が40μmに形成される。
【0032】
圧電振動片130では、図3(b)に示されるように、第1引出電極135aと第2引出電極135bとが連結部133においてY’軸、及びZ’軸方向にそれぞれ向かい合わないように形成されている。そのため、連結部133において静電容量の発生が抑えられ、圧電振動片130のクリスタルインピーダンス(CI)値の上昇が抑えられる。
【0033】
<圧電デバイス100の製造方法>
圧電デバイス100の製造方法について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0034】
図5は、圧電デバイス100の製造方法が示されたフローチャートである。
ステップS101は、圧電ウエハW130に複数の圧電振動片130の外形が形成される。圧電ウエハW130は、圧電材料により形成されている。圧電振動片130の外形は、圧電ウエハW130に金属膜、及びフォトレジストを形成し、フォトレジストの露光、現像及び金属膜の除去を行うことにより圧電ウエハW130の一部を露出させ、圧電ウエハW130の露出した領域をエッチングすることにより形成される。
【0035】
図6(a)は、圧電振動片130の外形が形成された圧電ウエハW130の平面図である。圧電ウエハW130には、複数の圧電振動片130の外形が形成されている。図6(a)に示されている圧電ウエハW130には、後述のステップS108でウエハが切断される箇所を示すスクライブライン142が2点鎖線で示されている。圧電ウエハW130に示されている各圧電振動片130は、このスクライブライン142に囲まれて示されている。図6(a)に示される圧電ウエハW130では、励振部131、連結部133、及び貫通孔136が、圧電ウエハW130がエッチングされることにより形成されている。
【0036】
ステップS102では、圧電ウエハW130に電極が形成される。ステップS102では、圧電ウエハW130に形成されている各圧電振動片130に、第1励振電極134a、第2励振電極、第1引出電極135a、及び第2引出電極135bが形成される。これらの電極は、例えば、圧電ウエハW130にクロム(Cr)層が形成され、クロム層の表面に金(Au)層を蒸着することにより形成される。
【0037】
図6(b)は、電極が形成された圧電ウエハW130の平面図である。図6(b)では、各圧電振動片130に、第1励振電極134a、第1引出電極135a、及び第2引出電極135bが形成されている状態が示されている。これらの電極は、圧電ウエハW130の+Y’軸側及び−Y’軸側の面に、マスク(不図示)を介してクロム(Cr)層及び金(Au)層を蒸着することにより形成される。
【0038】
ステップS103では、ベースウエハW120が用意される。ベースウエハW120には複数のベース板120が形成される。ベースウエハW120には、まず、エッチングにより凹部121及び後にキャスタレーション126となる貫通溝126a(図7(a)参照)が形成され、その後、接続電極123、キャスタレーション電極125、及び実装端子124等の電極が形成される。
【0039】
図7(a)は、ベースウエハW120の平面図である。図7(a)では、2点鎖線でスクライブライン142が示されており、ベースウエハW120に形成される各ベース板120は、スクライブライン142に囲まれて形成されている。また、ベースウエハW120のX軸方向に伸びるスクライブライン142とZ’軸方向に伸びるスクライブライン142との交点には、ベースウエハW120をY’軸方向に貫通し、ウエハが切断された後にキャスタレーション126となる貫通溝126aが形成されている。ベースウエハW120では、まずエッチングにより凹部121及び貫通溝126aが形成される。その後、例えばクロム層及び金層により、実装端子124、貫通溝126aに形成されるキャスタレーション電極125、及び+Y’軸側の面の貫通溝126aの周りに接続電極123が形成される。
【0040】
ステップS104では、リッドウエハW110が用意される。リッドウエハW110には複数のリッド板110が形成される。リッドウエハW110に形成される各リッド板110は、エッチングにより凹部111が形成されることにより形成される。
【0041】
図7(b)は、リッドウエハW110の平面図である。図7(b)では、2点鎖線でスクライブライン142が示されており、リッドウエハW110に形成される各リッド板110は、スクライブライン142に囲まれて形成されている。各リッド板110は、リッドウエハW110の−Y’軸側の面に凹部111をエッチングにより形成することにより形成される。
【0042】
ステップS105では、圧電ウエハW130とベースウエハW120とが接合される。ステップS105では、例えばベースウエハW120の接合面122に封止材141(図8(a)参照)が形成され、圧電ウエハW130の第2接合面132bとベースウエハW120の接合面122とが接合される。また、同時に第1引出電極135a及び第2引出電極135bと接続電極123とが電気的に接続される。
【0043】
図8(a)は、圧電ウエハW130とベースウエハW120との部分断面図である。図8(a)では、図6(b)及び図7(a)のD−D断面の断面図が示されている。ベースウエハW120の接合面122と圧電ウエハW130の第2接合面132bとは、封止材141により互いに接合される。また、圧電ウエハW130の第1引出電極135a及び第2引出電極135bと、ベースウエハW120の接続電極123とが電気的に接続されている。
【0044】
ステップS106では、励振部131の振動数が調整される。励振部131の振動数の調整は、励振部131の+Y’軸側の面に形成される第1励振電極134aの逆スパッタリングをすることにより行われる。
【0045】
図8(b)は、逆スパッタリングが行われた圧電ウエハW130とベースウエハW120との部分断面図である。図8(b)では、図6(b)及び図7(a)のD−D断面の断面図が示されている。励振部131の振動数の調整は、励振部131の+Y’軸側の面に形成されている第1励振電極134aの厚さを逆スパッタリングして薄くすることにより調整される。逆スパッタリングは、第1励振電極134a及びその周辺以外の領域をマスク143で覆い、励振部131に電圧をかけてガスイオンを第1励振電極134aに衝突させることにより第1励振電極134aの厚さを薄くする。図8(b)では、ガスイオンを第1励振電極134aに衝突させる方向が白抜き矢印144により示されている。逆スパッタリング前の第1励振電極134aの厚さを厚さRY1とし(図8(a)参照)、逆スパッタリング後の励振部131の第1励振電極134aの厚さを厚さRY2とすると、厚さRY2は厚さRY1よりも薄くなっている。また、逆スパッタリング前の第1励振電極134aの厚さが第2励振電極134bの厚さと同じ厚さに形成された場合は、逆スパッタリング後の第1励振電極134aの厚さは第2励振電極134bの厚さよりも薄くなる。さらに、マスク143のずれ等により、逆スパッタリング前の第1引出電極135aの厚さが第2引出電極135bの厚さと同じ厚さに形成された場合は、逆スパッタリング後の第1引出電極135aの厚さは第2引出電極135bの厚さよりも薄くなる場合がある。
【0046】
ステップS107では、圧電ウエハW130とリッドウエハW110とが接合される。ステップS107では、例えば圧電ウエハW130の第1接合面132aに封止材141(図8(c)参照)が形成され、圧電ウエハW130の第1接合面132aとリッドウエハW110の接合面112とが接合される。
【0047】
図8(c)は、圧電ウエハW130、リッドウエハW110、及びベースウエハW120の部分断面図である。図8(c)では、図6(b)、図7(a)、及び図7(b)のD−D断面の断面図が示されている。リッドウエハW110の接合面112と圧電ウエハW130の第1接合面132aとは、封止材141により互いに接合されている。これにより、互いに接合された圧電ウエハW130、リッドウエハW110、及びベースウエハW120に複数の圧電デバイス100が形成される。
【0048】
ステップS108では、ウエハが切断される。ステップS108では、スクライブライン142に沿って、互いに接合された圧電ウエハW130、リッドウエハW110、及びベースウエハW120が切断される。これにより、各圧電デバイス100がウエハから切り離される。
【0049】
図5のフローチャートで示された圧電デバイス100の製造方法では、ステップS106において第1励振電極134aの逆スパッタリングが行われる。逆スパッタリングでは、圧電ウエハW130にマスク143がかけられるが、このマスク143は、ずれを考慮して第1励振電極134aの範囲よりも広い範囲に開口が形成されている。そのため、圧電振動片130の+Y’軸側に形成される引出電極も逆スパッタリングにより薄くなる場合がある。圧電振動片130では第1引出電極135aが+Y’軸側に形成されているが、第1引出電極135aは第1励振電極134aから第2接合面132bまで引き出される長さが短く形成されるため全体の電気抵抗が小さく、逆スパッタリングにより薄く形成されることによる第1引出電極135aの電気抵抗の増加の影響が小さい。また第1励振電極135aは、第1引出電極135aが、連結部133の+Y’軸側の面、−Y’軸側の面、及び側面133aに形成されており、逆スパッタリングの影響は連結部133の+Y’軸側の面に形成されている第1引出電極135aが受けるのみであり、連結部133の−Y’軸側の面及び側面133aに形成されている第1引出電極135aは逆スパッタリングの影響を受けない。さらに、第2励振電極134bから第2接合面132bまで引き出される長さが長く形成されるため電気抵抗が第1引出電極135aよりも大きい第2引出電極135bは、圧電振動片130の−Y’軸側の面に形成されているため逆スパッタリングの影響を受けない。これらのことにより、圧電振動片130では、逆スパッタリングによる第1引出電極135a及び第2引出電極135bへの影響が抑えられ、圧電振動片130のクリスタルインピーダンス(CI)値の上昇が抑えられる。
【0050】
(第2実施形態)
圧電振動片は、逆スパッタリングにより第1引出電極の厚さが薄くなり、電気抵抗が上昇してしまう可能性がある。特に、第1励振電極の近くに形成される第1引出電極は、逆スパッタリングにより厚さが薄くなる可能性がある。そのため、第1励振電極の近くに形成される第1引出電極の面積を広く形成しておいてもよい。以下に、第1励振電極の近くの第1引出電極の面積が広く形成された圧電振動片230について説明する、また、以下の説明では、圧電振動片130と同じ部分には圧電振動片130と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0051】
<圧電振動片230の構成>
図9は、圧電振動片230の平面図である。圧電振動片230は、励振部131、枠部132、及び連結部133により形成されている。圧電振動片230では、励振部131の+Y’軸側の面に第1励振電極134a及び第1励振電極134aから引き出されている第1引出電極235aが形成されている。第1引出電極235aは、第1引出電極135a(図3(a)参照)と、電極235とが組み合わせられた引出電極である。電極235は、励振部131の+Y’軸側の面に、第1引出電極135aの+Z’軸側であり第1励振電極134aと第1引出電極135aとに接する領域に形成されている電極である。電極235は第2引出電極135bにY’軸方向に重ならない位置に形成されている。また、第1引出電極235aと第1励振電極134aとが接続される箇所のZ’軸方向の幅HZ1は、第2引出電極135bと第2励振電極134bとが接続される箇所のZ’軸方向の幅HZ2よりも広く形成されている。
【0052】
圧電振動片では、逆スパッタリングにより第1励振電極の近くに形成される第1引出電極の厚さが薄くなり、電気抵抗が高くなる可能性がある。圧電振動片230では、第1引出電極235aが電極235を含んでいることにより、第1励振電極134aの近くの第1引出電極235aの面積が広く形成されていることになる。そのため、逆スパッタリングにより第1励振電極134aの近くの第1引出電極235aの厚さが薄くなったとしても、第1励振電極134aの近くの第1引出電極235aの面積が広く形成されていることにより第1引出電極235aの電気抵抗の上昇を抑えることができる。
【0053】
(第3実施形態)
圧電振動片では、+Y’軸側の面から−Y’軸側の面に第1引出電極が引き出される場合に、圧電振動片の側面を経由する。しかし圧電振動片の側面の電極は厚く形成することができないため、第1引出電極の電気抵抗が上昇してしまう場合がある。そのため、圧電振動片の側面に形成される電極の幅を広く形成してもよい。以下に、圧電振動片の側面に形成される第1引出電極の幅が広く形成された圧電振動片について説明する。
【0054】
<圧電振動片330の構成>
図10(a)は、圧電振動片330の平面図である。圧電振動片330は、励振部131、枠部132、及び連結部133により形成されている。また、励振部131には、励振部131の+Y’軸側及び−Y’軸側の面に第1励振電極134a及び第2励振電極134bが形成され、第1励振電極134a及び第2励振電極134bからはそれぞれ第1引出電極335a及び第2引出電極135bが引き出されている。第1引出電極335aは、連結部133の+Z’軸側の側面133a、側面133aに交差する枠部132の側面、及び側面133aに交差する第1辺138aの側面に形成される電極である側面電極335を含んでいる。側面電極335は、貫通孔136の側面であり、連結部133の+Z’軸側に形成されている。
【0055】
図10(b)は、+Y’軸側の面の電極が示された圧電振動片330の部分平面図である。図10(b)では、圧電振動片330の−X軸側の半分の平面図が示されている。第1引出電極335aは、+Y’軸側の面では、第1励振電極134aから連結部133の側面133a、第1辺138a、及び枠部132の連結部133に連結される側面まで引き出されている。また、第1引出電極135aは、第2引出電極135bにY’軸方向に重ならないように、圧電振動片330の+Z’軸側の半分のみに形成されている。+Y’軸側の面に形成されている第1引出電極335aは、側面電極335に電気的に接続されて+Y’軸側の面から−Y’軸側の面に引き出される。
【0056】
図10(c)は、−Y’軸側の面の電極が示された圧電振動片330の部分平面図である。図10(c)では、圧電振動片330の−X軸側の半分の平面図が示されている。第1引出電極335aは、圧電振動片330の−Y’軸側の面において、側面電極335から、励振部131の第1辺138a、連結部133の側面133aに接する辺、及び枠部132の連結部133に連結される辺を介し、さらにそこから枠部132の+Z’軸側の−X軸側の角部にまで引き出されている。
【0057】
圧電振動片330では、第1引出電極335aが側面電極335を介して+Y’軸側の面から−Y’軸側の面に引き出されている。側面電極335は、連結部133の側面133a、第1辺138aの側面、及び枠部132の側面を含んでおり、X−Z’平面内における側面電極335の長さが長い。すなわち、側面電極335の幅は広く形成されており、側面電極335の厚さが薄く形成されることに起因する第1引出電極335aの電気抵抗の上昇が防がれる。また、図10(b)に示されるように圧電振動片330の+Y’軸側の面に形成される第1引出電極335aは圧電振動片330の+Z’軸側に伸びて形成されている。そのため、+Y’軸側の面に形成される第1引出電極335aが+Z’軸方向又は−Z’軸方向のどちらに伸びているかを確認することにより、圧電振動片330の+Y’軸側の面又は−Y’軸側の面の判別をすることができる。
【0058】
<圧電振動片430の構成>
図11(a)は、圧電振動片430の平面図である。圧電振動片430は、励振部131、枠部132、及び連結部133により形成されている。また、励振部131には、励振部131の+Y’軸側及び−Y’軸側の面に第1励振電極134a及び第2励振電極134bが形成され、第1励振電極134a及び第2励振電極134bからはそれぞれ第1引出電極435a及び第2引出電極435bが引き出されている。第1引出電極435aは、第1励振電極134aから+Y’軸側の面の側面電極335の周りまで引き出され、側面電極335を介して−Y’軸側の面に引き出されている。さらに第1引出電極435aは、枠部132の−Y’軸側の面の−X軸側の+Z’軸側の角部にまで引き出されている。第2引出電極435bは、第2励振電極134aから連結部133を通り、枠部132の−Y’軸側の面の+X軸側の−Z’軸側の角部にまで形成されている。
【0059】
図11(b)は、図11(a)のE−E断面図である。圧電振動片430では、連結部133に形成される第1引出電極435aの+Y’軸側の面のZ’軸方向の幅が幅L2に形成され、−Y’軸側の面のZ’軸方向の幅が幅L2に形成されている。また、連結部133に形成される第2引出電極435bのZ’軸方向の幅は、幅L2よりも大きい幅L3に形成されている。さらに圧電振動片430では、連結部133の+Y’軸側の面に形成されている電極は第1引出電極435aのみであり、−Y’軸側の面に形成されている電極は第1引出電極435a及び第2引出電極435bである。すなわち、連結部133の+Y’軸側の面に形成されている電極の面積は、連結部133の−Y’軸側の面に形成されている電極の面積よりも小さい。
【0060】
圧電振動片の連結部のZ’軸方向の幅が細く形成される場合、連結部に形成される引出電極の面積も小さくなる。またこのとき、圧電振動片に逆スパッタリングを行う場合、連結部の+Y’軸側の面に形成される引出電極の電気抵抗が上昇する。圧電振動片430では連結部133の+Y’軸側の面に形成されている電極の面積が小さく形成されているため、逆スパッタリングによる影響を受けにくい。また、第1引出電極435aは連結部133の側面にも形成されていることにより、連結部133における面積が確保されている。
【0061】
<圧電振動片530の構成>
図12(a)は、圧電振動片530の平面図である。圧電振動片530は、励振部131、枠部132、及び連結部133により形成されている。また、励振部131には、励振部131の+Y’軸側及び−Y’軸側の面に第1励振電極134a及び第2励振電極134bが形成され、第1励振電極134a及び第2励振電極134bからはそれぞれ第1引出電極535a及び第2引出電極535bが引き出されている。第1引出電極535aは、圧電振動片530の+Y’軸側の面では、第1励振電極134aから−X軸方向に伸び、連結部133の+Z’軸側の辺、枠部132の貫通孔136に+X軸方向に面する辺、及び枠部132の貫通孔136に−Z’軸方向に面した辺、に引き出されている。さらに第1引出電極535aは貫通孔136の側面に形成された側面電極539aを介して−Y’軸側の面に引き出されて枠部132の−Y’軸側の面の−X軸側の+Z’軸側の角部にまで伸びている。側面電極539aは、連結部133の+Z’軸側の側面133a、枠部132の貫通孔136に+X軸方向に面した側面の連結部133より+Z’軸側、及び枠部132の貫通孔136に−Z’軸方向に面した側面の−X軸側、に形成されている。また、第2引出電極535bは、第2励振電極134bから−X軸方向に伸び、連結部133を通って枠部132に引き出され、さらに枠部132を−Z’軸方向及び+X軸方向に伸びて、枠部132の−Y’軸側の面の+X軸側の−Z’軸側の角部にまで形成されている。第2引出電極535bは、さらに、側面電極539b及び圧電振動片530の+Y’軸側の面の側面電極539bの周囲にも形成されている。側面電極539bは連結部133の−Z’軸側の側面133b、枠部132の貫通孔136に+X軸方向に面した側面の連結部133より−Z’軸側、及び枠部132の貫通孔136に+Z’軸方向に面した側面の−X軸側、に形成されている。また、圧電振動片530の+Y’軸側の面に形成される第2引出電極539bは、連結部133の−Z’軸側の辺、枠部132の貫通孔136に+X軸方向に面した辺の−Z’軸側、及び枠部132の貫通孔136に+Z’軸方向に面した辺の−X軸側、に沿って形成されている。
【0062】
図12(b)は、図12(a)のF−F断面図である。第1引出電極535a及び第2引出電極535bは、それぞれ連結部133の+Y’軸側及び−Y’軸側の面と、連結部133の側面133a及び側面133bとに形成されている。また、第1引出電極535a及び第2引出電極535bは、それぞれ枠部132の+Y’軸側及び−Y’軸側の面と、枠部132の貫通孔136側の側面と、に形成されている。さらに、第1引出電極535a及び第2引出電極535bは、連結部133においてY’軸方向に互いに重なっていない。
【0063】
圧電振動片530は、第1引出電極535a及び第2引出電極535bが連結部133の+Y’軸側の面、−Y’軸側の面、及び側面、に形成されていることにより、連結部133における第1引出電極535a及び第2引出電極535bの面積が広く形成されている。そのため、連結部133のZ’軸方向の幅が狭く形成された場合でも、引出電極の面積が狭くなることによる電気抵抗の上昇を最小限に抑えることができる。
【0064】
<圧電振動片630の構成>
図13(a)は、圧電振動片630の平面図である。圧電振動片630は、励振部631、枠部132、及び連結部133により形成されている。励振部631は、第1辺138a及び第2辺138bを含む矩形形状に形成されている。また、励振部131には、連結部133に直接連結される領域である第1領域131aと、第1励振電極134a及び第2励振電極134bが形成される領域である第3領域131cと、第1領域131a及び第3領域131c以外の領域であり第1領域131aと第3領域131cとの間に形成される第4領域131dと、に分けることができる。圧電振動片630は第1励振電極134a及び第2励振電極134bが形成されている第3領域131cが、第3領域131cを囲んでいる第4領域131dよりもY’軸方向に厚く形成されているメサ型の圧電振動片である。また、励振部631の第3領域131cに形成される第1励振電極134a及び第2励振電極134bからは、それぞれ第1引出電極635a及び第2引出電極635bが枠部132に引き出されて形成されている。
【0065】
図13(b)は、図13(a)のG−G断面図である。圧電振動片630は、例えば励振部631の第3領域131cのY’軸方向の厚さが厚さT2に形成され、第4領域131dのY’軸方向の厚さが厚さT3に形成される。また、連結部132、枠部132、及び第1領域131aのY’軸方向の厚さは、図4(b)に示された圧電振動片130と同様に、それぞれ厚さT2、厚さT1、及び厚さT2に形成されている。
【0066】
図13(c)は、+Y’軸側の面の電極が示された圧電振動片630の部分平面図である。図13(c)では、圧電振動片630の−X軸側の半分の平面図が示されている。第1引出電極635aは、+Y’軸側の面では、第1励振電極134aから引き出され、連結部133の側面133a、連結部133の+Z’軸側の第1辺138a及び−X軸側の第2辺138b、枠部132の貫通孔136に面した+X軸側の辺の連結部133の+Z’軸側、及び枠部132の貫通孔136に−Z’軸方向に面した辺の−X軸側、に沿って形成されている。また、第2引出電極635bは、連結部133の側面133b、連結部133の−Z’軸側の第1辺138a及び−X軸側の第2辺138b、枠部132の貫通孔136に面した+X軸側の辺の連結部133の−Z’軸側、及び枠部132の貫通孔136に面した+Z’軸側の辺の−X軸側、に沿って形成されており、側面電極639bに接続されている。圧電振動片630の+Y’軸側の面に形成されている第1引出電極635aは、貫通孔136の側面に形成される側面電極639aを介して−Y’軸側の面に引き出されている。側面電極639aは、連結部133の+Z’軸側の側面133a、連結部133の+Z’軸側の第1辺138a及び第2辺138bの−X軸側、枠部132の貫通孔136に+X軸方向に面した側面の連結部133より+Z’軸側、及び枠部132の貫通孔136に−Z’軸方向に面した側面の−X軸側、に形成されている。側面電極639bは、連結部133の−Z’軸側の側面133b、連結部133の−Z’軸側の第1辺138a及び第2辺138bの−X軸側、枠部132の貫通孔136に+X軸方向に面した側面の連結部133より−Z’軸側、及び枠部132の貫通孔136に+Z’軸方向に面した側面の−X軸側、に形成されている。
【0067】
図13(d)は、−Y’軸側の面の電極が示された圧電振動片630の部分平面図である。図13(d)では、圧電振動片630の−X軸側の半分の平面図が示されている。第1引出電極635aは、−Y’軸側の面では、側面電極639aから圧電振動片630の−Y’軸側の面の側面電極639aの周りに引き出され、さらに、枠部132の−X軸側の+Z’軸側の角部にまで引き出されている。また、第2引出電極639bは、第2励振電極134bから−X軸方向に伸びて枠部132に引き出され、−Z’軸方向及び+X軸方向に伸びて、枠部132の+X軸側の−Z’軸側の角部にまで引き出されている。第2引出電極639bはまた、−Y’軸側の面の側面電極639bの周りに引き出され、側面電極639bを介して+Y’軸側に形成されている第2引出電極635bに電気的に接続されている。
【0068】
圧電振動片630は、側面電極の面積が広く形成されていることにより、連結部133のZ’軸方向の幅が狭く形成された場合でも連結部133に形成される引出電極の面積が狭くなることによる電気抵抗の上昇を最小限に抑えることができるとともに、電極の厚さが薄くなり電気抵抗が高くなりがちな側面電極の電気抵抗の上昇を抑えることができる。
【0069】
<圧電振動片730の構成>
図14(a)は、圧電振動片730の平面図である。圧電振動片730は、励振部131、枠部132、及び連結部133により形成されている。また、励振部131には、励振部131の+Y’軸側及び−Y’軸側の面に第1励振電極134a及び第2励振電極134bが形成され、第1励振電極134a及び第2励振電極134bからはそれぞれ第1引出電極735a及び第2引出電極735bが引き出されている。第1引出電極735aは、第1励振電極134aから、枠部132の貫通孔136に面する−X軸側の+Z’軸側の角部にまで引き出され、さらに枠部132の貫通孔136に面する−X軸側の+Z’軸側の角部を含む側面に形成される側面電極739cを介して−Y’軸側の面に引き出され、枠部132の+Z’軸側の−X軸側の角部にまで伸びている。第2引出電極735bは、第2励振電極134bから連結部133を介して枠部132へ伸び、さらに、枠部132の−Y’軸側の面を−Z’軸方向及び+X軸方向に伸びて、枠部132の+X軸側の−Z’軸側の角部にまで形成されている。また、第1引出電極735a及び第2引出電極735bは、それぞれ連結部133の側面133a及び側面133bに形成される側面電極739a及び側面電極739bを含んでいる。
【0070】
図14(b)は、図14(a)のH−H断面図である。第1引出電極735a及び第2引出電極735bは、それぞれ連結部133に、側面電極739a及び側面電極739bを有している。側面電極739aは、連結部133の側面133aの+Y’軸側の半分に形成され、側面電極739bは、連結部133の側面133bの−Y’軸側の半分に形成されている。また、第1引出電極735a及び第2引出電極735bは、連結部133においてY’軸方向及びZ’軸方向に互いに重ならない。
【0071】
圧電振動片730では、連結部133に形成されている第1引出電極735a及び第2引出電極735bは、連結部において互いにY’軸方向、Z’軸方向には重なっていない。そのため、圧電振動片730では、連結部133において第1励振電極735aと第2励振電極735bとにより静電容量が発生しない。また、第1引出電極735a及び第2引出電極735bは連結部133の側面にも電極が形成されることにより、連結部133に形成される面積が広くなっており好ましい。
【0072】
以上、本発明の最適な実施例について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施例に様々な変更・変形を加えて実施することができる。
【0073】
例えば、圧電振動片630のみをメサ型の圧電振動片として説明したが、その他の圧電振動片に関してもメサ型の圧電振動片として形成してもよい。
【0074】
また、上記の実施形態では圧電振動片がATカットの水晶振動片である場合を示したが、同じように厚みすべりモードで振動するBTカットなどであっても同様に適用できる。さらに圧電振動片は水晶材料のみならず、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウムあるいは圧電セラミックを含む圧電材料に基本的に適用できる。
【符号の説明】
【0075】
100 … 圧電デバイス
110 … リッド板
111、121 … 凹部
112、122 … 接合面
120 … ベース板
123 … 接続電極
124 … 実装端子
125 … キャスタレーション電極
126 … キャスタレーション
126a … 貫通溝
130、230、330、430、530、630、730 … 圧電振動片
131、631 … 励振部
131a … 第1領域
131b … 第2領域
131c … 第3領域
131d … 第4領域
132 … 枠部
132a … 第1接合面
132b … 第2接合面
133 … 連結部
133a … 連結部の+Z’軸側の側面
133b … 連結部の−Z’軸側の側面
134a … 第1励振電極
134b … 第2励振電極
135a、235a、335a、435a、535a、635a、735a … 第1引出電極
135b、435b、535b、635b、735b … 第2引出電極
136 … 貫通孔
138a … 第1辺
138b … 第2辺
141 … 封止材
142 … スクライブライン
143 … マスク
335、539a、539b、639a、639b、739a、739b、739c … 側面電極
W110 … リッドウエハ
W120 … ベースウエハ
W130 … 圧電ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リッド板と外部電極を有するベース板とに挟まれて接合され、前記リッド板側の第1主面及び前記ベース板側の第2主面を有する圧電振動片であって、
第1方向に伸びる第1辺及び前記第1方向に直交する第2方向に伸びる第2辺を含む矩形形状の励振部と、
前記励振部の前記第1主面に形成される第1励振電極及び前記第2主面に形成される第2励振電極と、
前記リッド板に接合される面である第1接合面及び前記ベース板に接合される面である第2接合面を有し前記励振部を囲む枠部と、
前記励振部の前記第1辺と前記枠部とを連結し、前記両主面と平行な平面と該平面に交差する側面とを有する一本の連結部と、
前記第1及び第2励振電極から前記連結部を介して前記枠部の前記第2接合面まで引き出される第1及び第2引出電極と、
を備え、
前記第1引出電極は、前記連結部の前記側面の少なくとも一部に形成されて前記枠部に引き出されている圧電振動片。
【請求項2】
前記第1引出電極と前記第2引出電極とは、前記連結部において前記平面の向かい合う方向及び前記側面の向かい合う方向に互いに重なり合わない請求項1に記載の圧電振動片。
【請求項3】
前記第1引出電極は、前記連結部の前記側面、前記第1主面、及び前記第2主面に形成され、
前記第2引出電極は、前記連結部の前記第2主面のみに形成されている請求項2に記載の圧電振動片。
【請求項4】
前記連結部の前記第2主面に形成される前記第1引出電極の前記側面の向かい合う方向への幅は、前記連結部の前記第2主面に形成される前記第2引出電極の前記側面の向かい合う方向への幅よりも狭い請求項3に記載の圧電振動片。
【請求項5】
前記第1引出電極は前記第1励振電極側の一端から前記第2接合面に延びる他端まで引き出される長さが第1長さであり、前記第2引出電極は前記第2励振電極側の一端から前記第2接合面に延びる他端まで引き出される長さが第2長さであり、
前記第1長さは前記第2長さよりも短く、
前記第1励振電極は前記第2励振電極より薄く、前記第1引出電極の一部は前記第2引出電極よりも薄い請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧電振動片。
【請求項6】
前記枠体の前記第1接合面に前記第1引出電極が形成され、前記連結部の前記リッド板側に形成される前記第1引出電極及び前記第2引出電極の合計面積が、前記連結部の前記ベース板側に形成される前記第1引出電極及び前記第2引出電極の合計面積よりも狭い請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の圧電振動片。
【請求項7】
前記第1引出電極は、前記励振部の前記第1辺の側面に形成される請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の圧電振動片。
【請求項8】
前記第1引出電極は、前記両接合面と交差する前記枠部の側面に形成される請求項7に記載の圧電振動片。
【請求項9】
前記第1励振電極と前記第1引出電極とが接続する箇所の前記第1引出電極の幅は、前記第2励振電極と前記第2引出電極とが接続する箇所の前記第2引出電極の幅よりも広い請求項5に記載の圧電振動片。
【請求項10】
前記連結部は前記平面の向かい合う方向への厚さが第1厚さに形成され、
前記励振部は、前記第1辺の少なくとも一部を含んで前記連結部に前記平面の向かい合う方向に前記第1厚さで直接連結される第1領域と、前記第1及び第2励振電極が形成され前記第1領域以外の領域である第2領域と、を含み、
前記第2領域の前記平面の向かい合う方向への厚さは前記第1領域の前記平面の向かい合う方向への厚さよりも薄い請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の圧電振動片。
【請求項11】
前記連結部は前記平面の向かい合う方向への厚さが第1厚さに形成され、
前記励振部は、前記第1辺の少なくとも一部を含んで前記連結部に前記平面の向かい合う方向に前記第1厚さで直接連結される第1領域と、前記第1及び第2励振電極が形成され前記平面の向かい合う方向への厚さが第2厚さである第3領域と、前記第1領域及び前記第3領域以外の領域であり前記第1領域と前記第3領域との間に形成され前記平面の向かい合う方向への厚さが第3厚さである第4領域と、を含み、
前記第1厚さ及び前記第2厚さが前記第3厚さよりも厚く形成された請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の圧電振動片。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の圧電振動片と、
前記リッド板と前記ベース板とに挟まれた圧電デバイス。
【請求項13】
第1主面及び第2主面を有し圧電材料により形成される圧電ウエハに、所定の振動数で振動する励振部、前記励振部を囲む枠部、及び前記励振部と前記枠部とを連結する一本の連結部を有する複数の圧電振動片の外形が形成される工程と、
前記励振部の前記第1主面及び前記第2主面にそれぞれ形成される第1励振電極及び第2励振電極と、前記第1励振電極側の一端から前記連結部を介して前記枠部の前記第2接合面の他端まで引き出される長さが第1長さである電極であり、前記連結部の側面の少なくとも一部に形成される第1引出電極と、前記第2励振電極側の一端から前記連結部を介して前記枠部の前記第2接合面の他端まで引き出される長さが前記第1長さよりも長い第2長さである第2引出電極と、が形成される電極形成工程と、
複数のリッド板が形成されたリッドウエハを用意する工程と、
複数のベース板が形成されたベースウエハを用意する工程と、
前記圧電ウエハの前記第2主面と前記ベースウエハとを封止材を介して接合する工程と、
前記圧電ウエハの前記第1主面に形成された前記第1励振電極に逆スパッタを行うことにより前記励振部の振動数を調整する工程と、
前記圧電ウエハの前記第1主面と前記リッドウエハとを前記封止材を介して接合する工程と、を有する圧電デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−26810(P2013−26810A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159494(P2011−159494)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】