説明

圧電振動素子

【課題】振動部から漏れる振動を軽減させてCI値を向上させる。
【解決手段】保持部111と振動部112とから構成され、振動部112に電極が形成される圧電振動片110aと、圧電振動片を囲う枠部130と、圧電振動片110aの保持部111と枠部130とに設けられて圧電振動片110aを支持する支持部140とを備え、支持部140が金属膜であり、保持部111と枠部130とを少なくとも3箇所で支持して構成されることを特徴とし、圧電振動片が、屈曲振動モード、厚み滑りモード、輪郭モードのいずれかに対応する振動モードで振動するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に用いられる圧電振動素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータ,携帯電話又は小型情報機器等の電子機器には、電子部品の一つとして圧電振動子又は圧電発振器が搭載されている。この圧電振動子又は圧電発振器は、基準信号源やクロック信号源として用いられる。又、圧電振動子や圧電発振器は、その内部に水晶からなる圧電振動素子が搭載されている。
以下、圧電材料に水晶を用いた圧電振動素子について説明する。
【0003】
図4は、従来の圧電振動素子を用いた圧電振動子の一例を示す分解斜視図である。図4に示すように、従来の圧電振動子は、一例として、圧電振動素子400と凹部を有する蓋部材440と一方の主面に凹部を有しつつ他方の主面に外部端子Gを有する素子搭載部材450とから構成されている。
この従来の圧電振動素子400は、圧電振動片411とこの圧電振動片411を囲む枠部412とから構成されている。なお、圧電振動素子400は、圧電振動片411と枠部412とが一体で構成されている。また、その圧電振動片411の表面に設けられた励振用電極421と、接続用電極422と、導配線パターン423とにより概略構成される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図4に示すように、圧電振動片411は、平面視略四角形の平板でありかつ励振用電極421が設けられた振動部411aと、この振動部411aと枠部412とに繋がる支持部411dとにより構成されている。
【0005】
振動部411aは、平面視略四角形の平板に形成されており、両主面に励振用電極421が形成されている。この励振用電極421は、互いに向かい合うように振動部411aの主面に設けられている。
保持部411bは、枠部412と振動部411aの1辺につながった状態となっている。
この枠部412は、両主面の縁側に金属膜が環状に設けられ、この環状の金属膜の内側であって振動部411aとつながる部分に2つ一対の接続用電極422が設けられている。
それぞれの接続用電極422は、振動部411aの主面に設けられた励振用電極421に導配線パターン423を介して電気的に接続している。
なお、枠部412の両主面に設けられた前記金属膜は、例えば、一方の金属膜が凹部を有する蓋部材440との接合に用いられ、他方の金属膜が外部端子Gを有しつつ凹部を有するベース部450との接続に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−96777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような構造の圧電振動素子は、振動部411aで発生する振動が枠部412まで伝播してしまい、温度特性やCI値を悪化させる恐れがある。
【0008】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、温度特性やCI値を向上させる圧電振動素子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、圧電振動素子であって、保持部と振動部とから構成され、振動部に電極が形成される圧電振動片と、前記圧電振動片を囲う枠部と、前記圧電振動片の前記保持部と枠部とに設けられて前記圧電振動片を支持する支持部とを備え、前記支持部が金属膜であり、前記保持部と前記枠部とを少なくとも3箇所で支持して構成されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記圧電振動片が、音叉型、四角形状平板型、丸形状平板型、のいずれか1つから選択される形状であってもよい。
また、本発明は、前記圧電振動片が、屈曲振動モード、厚み滑りモード、輪郭モードのいずれかに対応する振動モードで振動するように構成されていてもよい。
【0011】
また、本発明は、圧電振動素子であって、保持部と振動部とから構成され、振動部に電極が形成される四角形状の圧電振動片と、前記圧電振動片を囲う枠部と、前記圧電振動片の前記保持部と枠部とに接合されて前記圧電振動片を支持する支持部とを備え、前記支持部が金属膜であり、前記圧電振動片の対角線を結ぶように前記保持部と前記枠部とを少なくとも2箇所で支持して構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
このような圧電振動素子によれば、保持部と振動部とから構成され、振動部に電極が形成される圧電振動片と、前記圧電振動片を囲う枠部と、前記圧電振動片の前記保持部と枠部とに設けられて前記圧電振動片を支持する支持部とを備え、前記支持部が金属膜であり、前記保持部と前記枠部とを少なくとも3箇所で支持して構成されているので、圧電振動片が支持部である金属膜で浮かせた状態となって振動部からの振動が枠部に伝わりにくくなり、振動部の振動を阻害する不要な振動の発生が軽減され、温度特性やCI値を向上させることができる。
【0013】
また、圧電振動片の形状が音叉型、四角形状平板型、丸形状平板型、のいずれか1つから選択される形状であっても、圧電振動片が支持部である金属膜で浮かせた状態となっているため、振動部からの振動が枠部に伝わりにくくなり、振動部の振動を阻害する不要な振動の発生が軽減され、温度特性やCI値を向上させることができる。
【0014】
また、圧電振動片が屈曲振動モード、厚み滑りモード、輪郭モードのいずれかに対応する振動モードで振動するように構成されていても、圧電振動片が支持部である金属膜で浮かせた状態となっているため、振動部からの振動が枠部に伝わりにくくなり、振動部の振動を阻害する不要な振動の発生が軽減され、温度特性やCI値を向上させることができる。
【0015】
また、本発明は、圧電振動素子が、保持部と振動部とから構成され、振動部に電極が形成される四角形状の圧電振動片と、前記圧電振動片を囲う枠部と、前記圧電振動片の前記保持部と枠部とに接合されて前記圧電振動片を支持する支持部とを備え、前記支持部が金属膜であり、前記圧電振動片の対角線を結ぶように前記保持部と前記枠部とを少なくとも2箇所で支持して構成されるので、圧電振動片が支持部である金属膜で浮かせた状態となって振動部からの振動が枠部に伝わりにくくなり、振動部の振動を阻害する不要な振動の発生が軽減され、温度特性やCI値を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は本発明の実施形態に係る圧電振動素子の一例を示す斜視図であり、(b)は本発明の実施形態に係る圧電振動素子を用いた圧電振動子の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の実施形態に係る圧電振動素子の変形例の一例を示す斜視図であって、(a)は圧電振動片の形状が四角形となる圧電振動素子の斜視図であり、(b)は圧電振動片の形状が円形となる圧電振動素子の斜視図であり、(c)は圧電振動片の形状が四角形であって対角線上で支持する圧電振動素子の斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る圧電振動素子のさらなる変形例の一例を示す斜視図であって、(a)は支持部が、枠部及び保持部の両主面に設けられた状態の一例を示す斜視図であり、(b)は他の圧電振動子の一例を示す斜視図である。
【図4】従来の圧電振動素子を用いた圧電振動子の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」という。)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各構成要素について、状態をわかりやすくするために、誇張して図示している。
【0018】
図1(a)に示すように、本発明の第一の実施形態に係る圧電振動素子101は、圧電振動片110aと、その圧電振動片110aに設けられた励振用電極121aと接続用電極122a,122bと、周波数調整用電極123と、導配線パターン124aと、枠部130と、支持部140とから主に構成されている。
【0019】
圧電振動片110aは、音叉形状となっており、基部となる保持部111と保持部111から延出する2本一対の振動部112と、励振用電極121aと接続用電極122aと周波数調整用電極123aと導配線パターン124aとにより概略構成される。この振動部112には、対向する平面同士に同極となる励振用電極121が設けられている。
また、保持部111は、平面視略四角形の平板となっている。振動部112は、第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bとから成る。第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bは、保持部111の一辺から同一方向に延設されており、第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bの長さ方向にはそれぞれ溝部GLが設けられている。溝部GLは、第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bの両主面に、保持部111との境界部分から振動部112の先端に向って、振動部112の長さ方向と平行に所定の長さで2本設けられている。このような圧電振動片110aは、保持部111と振動部112とが一体となって音叉形状を成しており、フォトリソグラフィ技術と化学エッチング技術により製造される。
【0020】
第一の振動腕部112aに設けられる電極は、励振用電極121aと周波数調整用電極123aとから成る。励振用電極121aは、第一の振動腕部112aの溝部GL内表面を含む一方の主面と、第一の振動腕部112aの溝部GL内表面を含む他方の主面に設けられている。また、励振用電極121aは、第二の振動腕部112bに対向する第一の振動腕部112aの内側側面と、この側面に対向する第一の振動腕部112aの外側側面とに異極となるように設けられている。周波数調整用電極123aは、第一の振動腕部112aの先端部の両主面に設けられている。
【0021】
第二の振動腕部112bに設けられる電極は、励振用電極121aと周波数調整用電極123aとから成る。励振用電極121aは、第二の振動腕部112bの溝部GL内表面を含む一方の主面と、第二の振動腕部112bの溝部GL内表面を含む他方の主面に設けられている。また、励振用電極121aは、第一の振動腕部112aに対向する第二の振動腕部112bの内側側面と、この側面に対向する第二の振動腕部112bの外側側面とに異極となるように設けられている。周波数調整用電極123aは、第二の振動腕部112aの先端部の両主面に設けられている。
【0022】
基部となる保持部111は、接続用電極122a及び122bが設けられる。接続用電極122aは、保持部111の振動部112が形成されている辺とは反対側にあたる辺の一方の角端部及び保持部111の一方の主面から他方の主面にわたって設けられている。また、接続用電極122bは、保持部111の振動部112が形成されている辺とは反対側にあたる辺の他方の角端部及び保持部111の一方の主面から他方の主面にわたって設けられている。
また、保持部111及び振動部112には、所定の電極間を電気的に接続させるための導配線パターン124aが設けられている。
【0023】
接続用電極122aは、保持部111の一方の主面に設けられた導配線パターン124aにより、第一の振動腕部112aの一方の主面に設けられた励振用電極121aと電気的に接続し、かつ、第二の振動腕部112bの外側側面に設けられた励振用電極121aと電気的に接続している。また、第二の振動腕部112bの外側側面に設けられた励振用電極121aは、周波数調整用電極123aを介して、第二の振動腕部112bの内側側面に設けられた励振用電極121aと電気的に接続している。更に、第一の振動腕部112aの一方の主面に設けられた励振用電極121aは、第一の振動腕部112aの内側側面に設けられた導配線パターン124aにより、第一の振動腕部112aの他方の主面に設けられた励振用電極121aと電気的に接続されている。
【0024】
接続用電極122bは、保持部111の他方の主面に設けられた導配線パターンにより、第二の振動腕部112bの他方の主面に設けられた励振用電極121aと電気的に接続し、かつ、第一の振動腕部112aの外側側面に設けられた励振用電極121aと電気的に接続している。また、第一の振動腕部112aの外側側面に設けられた励振用電極121aは、周波数調整用電極123aを介して、第一の振動腕部112aの内側側面に設けられた励振用電極121aと電気的に接続している。更に、第二の振動腕部112aの他方の主面に設けられた励振用電極121aは、第二の振動腕部112bの内側側面に設けられた導配線パターン124aにより、第一の振動腕部112aの一方の主面に設けられた励振用電極121aと電気的に接続されている。
【0025】
これら励振用電極121a、接続用電極122a,122b、周波数調整用電極123a及び導配線パターン124aは、フォトリソグラフィ技術により形成され、Cr層の上にAu層が設けられた積層構造となっている。
【0026】
この音叉型の圧電振動片110aを振動させる場合、接続用電極122a及び122bに交番電圧を印加する。印加後のある電気的状態を瞬間的にとらえると、第一の振動腕部112aの両主面に設けられた励振用電極121aはプラス電位となり、両側面に設けられた励振用電極121aはマイナス電位となり、プラスからマイナスに電界が生じる。このときの第二の振動腕部112bの両主面の励振用電極121aはマイナス電位となり、両側面に設けられた励振用電極121aはプラス電位という第一の振動腕部112aの励振用電極121aに生じた極性とは反対の極性となり、プラスからマイナスに電界が生じる。この交番電圧により生じた電界によって、第一の振動腕部112a及び第二の振動腕部112bに伸縮現象が生じ、振動部112に設定した共振周波数の屈曲振動モードとなる。尚、この共振周波数は、音叉型の圧電振動片110aに設けられた周波数調整用電極123aを構成する金属の量を増減させて調整することができる。
【0027】
枠部130は、例えば、四角い環状状態で形成されており、圧電振動片110aを囲うように設けられる。
この枠部130は、例えば、四角形となる環状状態において、四隅のうちの隣り合う2隅に搭載用電極131が設けられている。この搭載用電極131は、異極となる第一搭載用電極131aと第二搭載用電極131bとから構成されており、圧電振動片110aに設けられる接続用電極122a,122bと対向する位置に設けられている。
また、この搭載用電極131は、枠部130の表裏主面に電気的に接続するように設けられている。
【0028】
支持部140は、圧電振動片110aの保持部111と枠部130とに設けられて圧電振動片110aを支持する役割を果たす。この支持部140は、金属膜であり、保持部111と枠部130とを少なくとも3箇所で支持している。
このとき、3つの支持部140のうちの1つの支持部140は、例えば、圧電振動片110aに設けられた接続用電極122aと枠部130に設けられた搭載用電極131aと電気的に接続している。また、残りの2つの支持部140のうち、一つの支持部140は、例えば、圧電振動片110aに設けられた接続用電極122bと枠部130に設けられた搭載用電極131bと電気的に接続している。
なお、この支持部140は、電解めっき又は無電解めっきにて設けられた金属膜であっても良い。例えば、支持部140は、金めっきで構成することができる。
【0029】
ここで、図1(b)に示すように、本発明の実施形態に係る圧電振動素子101は、例えば、凹部を有する素子搭載部材Sに搭載され蓋部材Fで気密封止される圧電振動子に用いることができる。例えば、圧電振動素子101は、枠部130に設けた搭載用電極131a、131bが素子搭載部材Sの凹部内に設けられた搭載パッド(図示せず)に導電性接着剤Dを介して接合されることで、素子搭載部材Sに搭載される。この状態で、蓋部材Fは、凹部を封止するように素子搭載部材Sに接合される。これにより、本発明の実施形態に係る圧電振動素子101は、凹部内に気密封止され、所定の周波数で発振できるように素子搭載部材Sと電気的に接続した状態となる。
【0030】
このような圧電振動素子101は、保持部111と振動部112とから構成され、振動部112に電極が形成される圧電振動片110aと、圧電振動片110aを囲う枠部130と、圧電振動片110aの保持部111と枠部130とに設けられて圧電振動片110aを支持する支持部140とを備え、支持部140が金属膜であり、保持部111と枠部130とを少なくとも3箇所で支持して構成されているので、圧電振動片110aが支持部140である金属膜で浮かせた状態となって振動部112からの振動が枠部130に伝わりにくくなり、振動部112の振動を阻害する不要な振動の発生が軽減され、温度特性やCI値を向上させることができる。
【0031】
(実施形態の変形例)
なお、前記圧電振動子101において、本発明の圧電振動素子に用いられる圧電振動片の形状を変形して用いることができる。例えば、図2(a)に示すように、圧電振動片110bは、外形形状が四角形状平板型に形成されており、両主面に励振用電極121cが形成されている。このような圧電振動片110bは、厚み滑りモードで振動するようになっている。
この場合、圧電振動片110bは、励振用電極121cが設けられる部分が振動部112cとなり、それ以外の部分が保持部111bとなる。この保持部111bには、2つ一対の接続用電極122cが異極となるように設けられている。また、それぞれの接続用電極122cが1つの励振用電極121cと導配線パターン124bを介して電気的に接続している。
【0032】
また、他の例として、図2(b)に示すように、圧電振動片110cは、外形形状が丸形状平板型に形成されており、両主面に励振用電極121dが形成されている。
この場合、圧電振動片110cは、励振用電極121dが設けられる部分が振動部112dとなり、それ以外の部分が保持部111cとなる。この保持部111cには、2つ一対の接続用電極122dが異極となるように設けられている。また、それぞれの接続用電極122dが1つの励振用電極121dと導配線パターン124cを介して電気的に接続している。
【0033】
また、他の例として、図2(c)に示すように、圧電振動片110dは、外形形状が四角形状平板型に形成されており、両主面に励振用電極121eが形成されている。このような圧電振動片110dは、輪郭モードで振動するようになっている。
この場合、圧電振動片110dは、励振用電極121eが設けられる部分が振動部112eとなり、それ以外の部分が保持部111dとなる。この保持部111dには、2つ一対の接続用電極122eが対角線上に位置するように、かつ、異極となるように設けられている。また、それぞれの接続用電極122eが1つの励振用電極121eと導配線パターン124dを介して電気的に接続している。
輪郭モードで構成される圧電振動片110dの場合は、2つの支持部140で対角線上の2つの接続用電極122eと接続するように構成することができる。
【0034】
これらのように圧電振動片110b,110c,110dが構成されても、支持部140である金属膜で浮かせた状態となっているため、振動部112c,112dからの振動が枠部130に伝わりにくくなり、振動部112c,112dの振動を阻害する不要な振動の発生が軽減され、温度特性やCI値を向上させることができる。
【0035】
(実施形態のさらなる変形例)
なお、本発明の圧電振動素子に用いられる圧電振動片の形状をさらに変形して用いることができる。例えば、図3(a)に示すように、本発明の圧電振動素子101bに用いられる圧電振動片110eは、音叉型に形成されており、5つの支持部140で枠部130に支持されている。
この支持部130は、圧電振動片110e及び枠部130の一方の主面に3箇所設けられており、他方の主面に2箇所設けられている。
また、それぞれの支持部140は、対向することがないように位置をずらして設けられている。これは、一方の主面の支持部140と他方の主面の支持部140とが対向して設けられると、エッチング技術で圧電振動片110e及び枠部130の形状を形成する際に、エッチング技術により除去すべき圧電材料が除去できなくなる恐れがある。そのために、一方の主面の支持部140と他方の主面の支持部140とは、向かい合わないように位置をずらして設けられる。
このように圧電振動素子101bを構成しても、支持部140である金属膜で浮かせた状態となっているため、振動部112c,112dからの振動が枠部130に伝わりにくくなり、振動部112c,112dの振動を阻害する不要な振動の発生が軽減され、温度特性やCI値を向上させることができる。
【0036】
また、このような圧電振動素子101bの場合、図3(b)に示すように、素子搭載部材Sと蓋部材Fとで圧電振動素子101bを挟んだ構成の圧電振動子としても良い。
また、この場合、素子搭載部材Sと蓋部材Fとには、圧電振動片の振動部を囲うように凹部がそれぞれ形成されており、枠部に設けられる搭載用電極131が、凹部内に位置して設けられている。
このような圧電振動子であっても、本発明の圧電振動素子101bを用いることができる。
【0037】
なお、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、適宜、変更可能である。
例えば、圧電振動素子には、水晶や圧電セラミックなどの圧電材料を用いることができる。また、周波数調整用電極には、別途、Pt(パラジウム)、Au(金)等の金属材料を用いて、厚みを厚くしても良い。
また、本発明の圧電振動素子は、前記のとおり、凹部を有する所定の素子搭載部材及び蓋部材を用い、凹部内に本発明の圧電振動素子を搭載し、蓋部材で凹部を気密封止して圧電振動子を構成しても良い。
また、本発明の圧電振動素子は、前記圧電振動子に少なくとも発振回路を備えた集積回路素子を接続して圧電発振器としても良い。
【符号の説明】
【0038】
101 圧電振動素子
110a 圧電振動片
111 保持部
112 振動部
121a 励振用電極
112a 第一の振動腕部
112b 第二の振動腕部
122a,122b 接続用電極
123 周波数調整用電極
124a 導配線パターン
130 枠部
131 搭載用電極
140 支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持部と振動部とから構成され、振動部に電極が形成される圧電振動片と、
前記圧電振動片を囲う枠部と、
前記圧電振動片の前記保持部と枠部とに設けられて前記圧電振動片を支持する支持部とを備え、
前記支持部が金属膜であり、前記保持部と前記枠部とを少なくとも3箇所で支持して構成されることを特徴とする圧電振動素子。
【請求項2】
前記圧電振動片が、音叉型、四角形状平板型、丸形状平板型、のいずれか1つから選択される形状からなることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動素子。
【請求項3】
前記圧電振動片が、屈曲振動モード、厚み滑りモード、輪郭モードのいずれかに対応する振動モードで振動するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動素子。
【請求項4】
保持部と振動部とから構成され、振動部に電極が形成される四角形状の圧電振動片と、
前記圧電振動素子を囲う枠部と、
前記圧電振動素子の前記保持部と枠部とに接合されて前記圧電振動素子を支持する支持部とを備え、
前記支持部が金属膜であり、前記圧電振動素子の対角線を結ぶように前記保持部と前記枠部とを少なくとも2箇所で支持して構成されることを特徴とする圧電振動素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−155363(P2011−155363A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14243(P2010−14243)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000104722)京セラキンセキ株式会社 (870)
【Fターム(参考)】