説明

圧電素子の製造方法

【課題】エピタキシャル成長されたPZT膜を適度なエッチングレートで加工可能な圧電素子の製造方法を提供する。
【解決手段】第1電極膜11上に、PZT膜15をエピタキシャル成長させる成長工程と、成長工程の後に、エッチング液を用いてPZT膜15を所望の形状に加工する加工工程と、を備え、エッチング液は、塩酸及び硝酸のうち少なくとも一方の酸を、エッチング液の重量に対する塩酸及び硝酸のそれぞれの重量濃度をCHCl及びCHNO3とした場合にCHCl+3.3CHNO3が1wt%以上10wt%以下となるように含有すると共に、フッ化アンモニウム及びフッ化水素のうち少なくとも一方のフッ素化合物を、エッチング液の重量に対する、フッ化アンモニウム及びフッ化水素に由来するフッ素の重量濃度が0.1wt%以上1wt%以下となるように含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、エピタキシャル成長されたジルコン酸チタン酸鉛(PZT)膜を一対の金属膜で挟んだ構造を有する圧電素子が知られている。このような圧電素子の製造には、金属膜及びPZT膜を基板に順にエピタキシャル成長して、PZT膜を加工する工程が含まれる。一般的に、PZT膜を加工する方法としてはエッチング液を用いたウェットエッチングによる方法が知られている(例えば、下記の特許文献1〜3)。
【0003】
特許文献1には、フッ化水素(HF)、バッファドフッ酸(BHF)、希釈したフッ酸(DHF)、硫酸(HSO)、塩酸(HCl)又は硝酸(HNO)の何れかを含むエッチング液を用いてPZT膜を加工する方法が開示されている。特許文献2には、12%HCl水溶液をエッチング液として用いてアモルファスPZT層を加工する方法が開示されている。また、特許文献3には、エッチング液の重量に対する重量濃度がそれぞれ0.35wt%以上35wt%以下、0.01wt%以上2.2wt%以下、及び0.02wt%以上9.3wt%以下であるHCl、HF及びフッ化アンモニウム(NHF)を含むエッチング液を用いて、ゾル・ゲル法により形成されたPZT膜を加工する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2004−31521号公報
【特許文献2】特開2001−116943号公報
【特許文献3】米国特許4,759,823号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、エピタキシャル成長されたPZT膜の加工において、このような塩酸等の酸を含むエッチング液を用いる場合には、エッチング液に対するPZT膜のエッチングレートが非常に速くなったり、或いは非常に遅くなったりするため、適切なエッチングレートでPZT膜を加工することが困難であった。エッチングレートが非常に速いとパターン形状のコントロールが困難となり、パターンのエッジ形状が不安定になってしまう。また、エッチングレートが非常に遅いと生産性が低下してしまう。本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、適度なエッチングレートでエピタキシャル成長されたPZT膜が加工可能な圧電素子の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するため、本発明に係る圧電体素子の製造方法は、下部電極膜上に、ジルコン酸チタン酸鉛膜をエピタキシャル成長させる成長工程と、成長工程の後に、エッチング液を用いてジルコン酸チタン酸鉛膜を所望の形状に加工する加工工程と、を備え、エッチング液は、塩酸及び硝酸のうち少なくとも一方の酸を、エッチング液の重量に対する塩酸及び硝酸のそれぞれの重量濃度をCHCl及びCHNO3とした場合にCHCl+3.3CHNO3が1wt%以上10wt%以下となるように含有すると共に、フッ化アンモニウム及びフッ化水素のうち少なくとも一方のフッ素化合物を、エッチング液の重量に対する、フッ化アンモニウム及びフッ化水素に由来するフッ素の重量濃度が0.1wt%以上1wt%以下となるように含有する。
【0006】
本発明に係る圧電素子の製造方法では、加工工程において、フッ素化合物及び塩酸等の酸を含有し、これらの濃度を上記特定範囲としたエッチング液が用いられる。フッ素化合物は、酸化物を分解、すなわちエッチングする働きをする一方、塩酸等の酸はエッチングされた後の金属をイオン化させる働きをする。加工工程において、このように互いに異なる働きをするフッ素化合物及び塩酸等の酸の濃度を上記特定範囲としたエッチング液を用いることにより、エピタキシャル成長された圧電体膜を適度なエッチングレートで加工することができる。
【0007】
また、成長工程後に、ジルコン酸チタン酸鉛膜上に(100)面以外の配向面を有するSrRuO膜(SRO膜)を形成するSRO膜形成工程と、SRO膜形成工程後に、SRO膜上に上部電極膜を形成する上部電極膜形成工程と、上部電極膜上に基板を固定する基板固定工程と、を更に備え、加工工程では、ジルコン酸チタン酸鉛膜において、下部電極膜の側から基板側の方向にエッチングを進めることが好適である。ここで、(100)面以外の配向面を有するSRO膜は、積層体の加工工程において用いられる上記のエッチング液と反応しにくい。従って、加工工程では、ジルコン酸チタン酸鉛膜において、下部電極膜の側から基板側の方向にエッチングが進むので、必要に応じて(100)面以外の配向面を有するSRO膜の下側に位置する第2電極膜が該エッチング液によりエッチングされることを防止することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、エピタキシャル成長されたPZT膜を適度なエッチングレートで加工可能な圧電素子の製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明に係る圧電素子の製造方法の好適な実施形態について詳細に説明する。本実施形態における製造方法により製造される圧電素子は、例えば薄膜圧電アクチュエータである。しかし、薄膜圧電アクチュエータに限定されることなく、コンデンサーやセンサー等であってもよい。なお、図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
まず、図1〜図5を参照して、薄膜圧電アクチュエータ1の製造方法について説明する。図1、図2、図3(a)、図4(a)及び図5(a)は薄膜圧電アクチュエータ1の製造方法の各工程を模式的に示す図である。図3(b)は図3(a)におけるIIIb-IIIb方向の断面構成を示す模式図である。図4(b)は図4(a)におけるIVb-IVbにおける断面構成を示す模式図である。図5(b)は図5(a)におけるVb-Vb方向の断面構成を示す模式図である。
【0011】
(積層体形成工程)
この工程では、図1に示すように、基板S1上に第1電極膜(下部電極膜)11、シード(下地)膜13、ジルコン酸チタン酸鉛からなる膜(PZT膜)15、無機(シード)膜17及び第2電極膜19からなる積層体Lを形成する。まず、基板S1を用意する。基板S1は、その上に積層体Lが形成可能なものであれば特に限定されず、Si、MgO等の基板から選択することができる。第1基板S1の厚みは特に限定されず、例えば、100〜3000μm程度とすることができる。
【0012】
次に、基板S1上にエピタキシャル成長法等を用いて第1電極膜11、シード膜13、PZT膜15、無機膜17及び第2電極膜19を順次に積層させる。具体的には、まず、第1基板S1上に第1電極膜11をエピタキシャル成長させる。次に、第1電極膜11上にPZT膜15の配向性をより向上させるためのシード膜13をエピタキシャル成長させる。シード膜13自体は、その表面が(001)面配向であることが好ましい。引き続き、PZT膜15をエピタキシャル成長させる。次に、PZT膜15上に第2電極膜19の密着性を向上させるための無機膜17と第2電極膜19とを順に成膜する。
【0013】
(001)面配向のシード膜13上に成膜されたPZT膜15の表面は、好適に(001)面に配向している。すなわち、PZT膜15は<001>方向に成長するので、外部から電場を加えていなくても物質が電気双極子を生じる自発分極が発生する強誘電体膜を得ることができる。なお、これらの層11,13及び15の形成のためのエピタキシャル成長法として、スパッタ法、CVD法等の成膜法等を用いることができる。また、条件によっては、シード膜13はなくても実施可能である。
【0014】
第1電極膜11の材料は後述のエッチング液Qと殆ど反応しない金属が好ましく、例えばPt等のPt系金属や、Au等を用いることができる。第1電極膜11の厚みは特に限定されず、例えば、0.1〜1μm程度とすることができる。
【0015】
シード膜13は、特に限定されないが、ペロブスカイト構造を有することが好ましい。シード膜13は、圧電材料として機能するものも機能しないものもいずれも利用可能であり、例えば、ランタンがドープされたチタン酸鉛(PLT)、及びチタン酸鉛(PbTiO)等を用いることができる。シード膜13の厚みは特に限定されず、例えば、5〜100nm程度とすることができる。PZT膜15の厚みは特に限定されず、例えば、0.5〜10μm程度とすることができる。PZT膜15は、(111)面又は(001)面に配向されていることが好ましい。
【0016】
無機膜17は、シード膜13と同じ材料からなることが好ましいが、異なる材料であってもよい。無機膜17の厚さは特に限定されないが、例えば、5〜100nm程度とすることができる。第2電極膜19については、第1電極膜11と同じ材料からなることが好ましいが、異なる材料であってもよい。第2電極膜19の厚みは特に限定されず、例えば、0.1〜1μm程度とすることができる。以上の工程により、基板S1上に、第1電極膜11、シード膜13、PZT膜15、無機膜17及び第2電極膜19を備える積層体Lが完成される。
【0017】
本実施形態においては、積層体Lは基板S1上に第1電極膜11,13及び15を順次にエピタキシャル成長させて形成しているが、その他の膜を更に備えてもよく、その他の方法を用いて形成してもよい。積層体Lは、例えば、以下の方法でも製造することができる。まず、二つの基板S1,S2を用意する。その後、基板S2上に第2電極膜19、無機(シード)膜17、PZT膜15、シード(下地)膜13及び第1電極膜11を順次にエピタキシャル成長等により形成する。次に、第1電極膜11と基板S1とが対向するように第1電極膜11と基板S1とを樹脂膜(接着膜)により重ね合わせ、加圧しながら熱硬化法により接着した後に基板S2を除去する。この方法を用いると、基板S1と第1電極膜11との間に樹脂膜を更に備える積層体Lが得られる。
【0018】
(積層体の加工工程)
次に、図2に示すように、積層体Lを所望の形状に加工(パターニング)する。まず、フォトリソグラフィー技術を用いて積層体Lの第2電極膜19上に、第3領域20cを間に挟んで位置する第1領域20a及び第2領域20bに対応する位置にレジストマスクPM1を形成する。その後、レジストマスクPM1をマスク層として、第2電極膜19、無機膜17をドライエッチング法によりパターニングした後、PZT膜15、シード膜13を第1電極膜11が露出するまでエッチング液Qを用いてエッチングを行う。エッチング液Qの温度は、20℃〜40℃の範囲とすることが好ましい。続いて、レジストマスクPM1を除去する。この積層体の加工工程により、積層体Lを加工して、第3領域20cを間に挟んで位置する第1領域20a及び第2領域20bを形成することができる(図3(a)及び(b)参照)。
【0019】
エッチング液Qは、HCl及びHNOのうち少なくとも一方の酸と、フッ化アンモニウム(NHF)及びフッ化水素(HF)のうち少なくとも一方のフッ素化合物とを含有する。HCl及びHNOのうち少なくとも一方の酸は、エッチング液Qの重量に対するHCl及びHNOのそれぞれの重量濃度をCHCl及びCHNO3とした場合にCHCl+3.3CHNO3(以下、「濃度値A」という)が1wt%以上10wt%以下の要件(以下、「要件A」という)を満たす。また、フッ素化合物は、エッチング液Qの重量に対する、NHF及びHFに由来するフッ素の重量濃度(以下、「濃度値B」という)が0.1wt%以上1wt%以下の要件(以下、「要件B」という)を満たす。
【0020】
(その他の工程)
次に、第1電極膜11、第1領域20a、第2領域20b、及び第3領域20cの表面を覆うように感光性材料からなる樹脂膜25を形成し、フォトマスクを用いてi線を照射することにより、第1領域20a、第2領域20b、及び第3領域20cの表面の樹脂膜25を選択的に硬化させる。この際、コンタクトホール27a〜27cとなる部分は硬化させない。引き続き、コンタクトホール27a〜27cとなる部分を含む硬化されていない樹脂膜25の部分を除去し、残された樹脂膜25の部分をベークすることにより十分な強度に硬化させる(図4(a)及び(b)参照)。
【0021】
次に、コンタクトホール27a〜27cに対応する位置に開口を有するレジスト膜(図示せず)を形成する。そして、このレジスト膜をマスク層として、コンタクトホール27a〜27cが形成されることにより露出した第1の電極膜11及び第2の電極膜19上に、蒸着により、各電極31a〜31cを形成する。その後、第1電極膜11をドライエッチング法により素子形状にパターニングした後、基板S1を除去する(図5(a)及び(b)参照)。第1基板S1の除去には、第1基板S1としてSiの単結晶基板が用いられる本実施形態のような場合には、フッ硝酸によるウェットエッチング、または反応性イオンエッチング法(RIE法)等によるドライエッチングを用いることができる。なお、前段階の粗削りとして砥石研削(バーチカル)やコロイダルシリカ(CMP)によるポリッシングや、軟質金属定盤(ズズ定盤など)を使ったダイヤスラリーによるポリッシングにより基板除去をすることができる。これにより、薄膜圧電アクチュエータ1が完成される。
【0022】
上述のように、本実施形体に係る薄膜圧電アクチュエータ1の製造方法では、PZT膜15を含む積層体Lの加工工程において、HCl及びHNOのうち少なくとも一方の酸と、フッ化アンモニウム及びフッ化水素のうち少なくとも一方のフッ素化合物とを含有するエッチング液Qが用いられる。また、エッチング液Qにおいては、HCl及びHNOのうち少なくとも一方の酸に係る濃度値Aが要件Aを満たし、フッ素化合物に係る濃度値Bが要件Bを満たす。フッ素化合物はエッチングする働きを示す一方、HCl及びHNO等の酸はエッチングされた後の金属をイオン化させる働きをする。このように、フッ素化合物とHCl、HNO等の酸とは互いに異なる働きをするので、PZT膜15を適度なエッチングレートで加工するためには、これらの割合が適切であることが求められる。本実施形態に係る積層体の加工工程においては、エッチング液QがHCl等の酸及びフッ素化合物を濃度値A及び濃度値Bがそれぞれ要件A及び要件Bを満たすように含有するので、エピタキシャル成長されたPZT膜15を5〜50nm/sec(以下、「目標レート」という)で加工することができる。その結果、パターン形状のコントロールが可能となり、パターンのエッジをシャープに再現することができる。また、生産性の低下を抑制することができる。
【0023】
図6は、ドライエッチングを用いて積層体の加工工程を行う場合に対比して本実施形態に係る製造方法の効果を説明するための模式図であり、図3(b)に対応するものである。ドライエッチングを用いて積層体の加工工程を行う場合には、図7に示すように、PZT膜15を通常に階段形状にパターンする。これは、ドライエッチングを用いる場合には、エッチングされたPZT膜15の側面に再付着が起こり、これにより素子の電気特性が低下するので、PZT膜15の側面への再付着を抑制する必要があるためである。しかし、PZT膜15の側面を階段形状にすることより上記の再付着の問題は抑制されるものの、階段形状にすることによりPZT膜15の体積が減少してしまう。一方、本実施形態に係る積層体の加工工程を用いると、PZT膜15の側面への再付着は十分に低いので、側面を階段形状にする必要はない。よって、PZT膜15の体積を十分確保することができると共にプロセスの簡略化も可能になり、素子の高性能化、高信頼性及び低価格化を図ることができる。
【0024】
(第2実施形態)
次に、図7〜図10を用いて第2実施形態に係る薄膜圧電アクチュエータ2の製造方法について説明する。図7、図8、図9(a)及び図10は、第2実施形態に係る薄膜圧電アクチュエータ2の製造方法の各工程を模式的に示す図である。図9(b)は、図9(a)におけるIXb-IXbにおける断面構成を示す模式図である。第2実施形態に係る薄膜圧電アクチュエータ2の製造方法では、図7に示すように、2つの基板S1及びS2を用い、基板S2上に第1実施形態での積層方向とは逆の方向で積層して積層体Lを形成する点、積層体L中に接着膜43を設け、下地膜13に代えて(100)面以外の配向面を有するSRO膜40を用いる点において第1実施形態に係る圧電素子の製造方法と相違する。以下、その相違点を詳細に説明する。
【0025】
(積層体形成工程)
図7に示すように、まず、基板S2上にエピタキシャル成長法を用いて第2電極膜(下部電極膜)19、無機(シード)膜17、PZT膜15を順次に積層させる。基板S2は、その上にこれらの層19,17及び15が形成可能なものであれば特に限定されず、Si、MgO等の基板から選択することができる。基板S2の厚みは特に限定されず、例えば、100〜3000μm程度とすることができる。次に、PZT膜15上に、SRO膜40、第1電極膜(上部電極膜)11を順次に形成する。これらの膜40,11は、例えばスパッタ法などで成膜することにより得ることができる。SRO膜40は、(111)面又は(001)面に配向されていることが好ましい。SRO膜40の厚みは特に限定されず、例えば、5〜50nmが好ましい厚みとすることができる。本実施形態における第1電極膜11は、導電性材料であれば特に限定されず、エッチング液QによりエッチングされないPt等であってもよく、Cu、Ni、Al等のようにエッチング液Qによりエッチングされる材料であってもよい。
【0026】
続いて、基板S1を接着膜43により第1電極膜11に固定する。具体的に説明すると、例えば、スピンコートにより塗布する方法等を用いて第1電極膜11及び基板S1それぞれに接着膜43を形成する。その後、第1電極膜11と基板S1とが対向するようにそれぞれの接着膜43を重ね合わせて、加圧しながら熱硬化法により接着させる。
接着膜43が、例えば紫外線(UV)硬化型のエポキシ樹脂である場合には、紫外線照射により接着する方法が好ましい。また、接着膜43は、第1電極膜11及び基板S1のうちの一方のみを形成して接着をしても実施は可能である。更に、工程において位置合わせが必要な場合は、熱硬化・紫外線硬化併用型接着剤の使用も好ましい。
【0027】
その後、基板S2を除去する。基板S2の除去には、基板S2としてSiの単結晶基板が用いられる本実施形態のような場合には、フッ硝酸によるウェットエッチング、または反応性イオンエッチング法(RIE法)等によるドライエッチングを用いることができる。なお、前段階の粗削りとして砥石研削(バーチカル)やコロイダルシリカ(CMP)によるポリッシングや、軟質金属定盤(ズズ定盤など)を使ったダイヤスラリーによるポリッシングにより基板を除去することができる。
【0028】
なお、接着膜43は、上記の紫外線(UV)硬化型のエポキシ樹脂でなくても第1電極膜11上に基板S1を固定できるものであれば特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリイミドシリコン樹脂、ベンゾシクロブテン(BCB)樹脂等の樹脂接着剤や、Sn/Ag系等のハンダを用いることができる。
【0029】
このような工程を経ることにより、図8に示されるように、基板S1上に接着膜43、第1電極膜11、SRO膜40、PZT膜15、無機膜17及び第2電極膜19からなる積層体Lが形成される。
【0030】
(積層体の加工工程)
この工程においては、ドライエッチング法及びエッチング液Qを用い、レジストマスクPM1をマスク層として積層体Lをエッチングする。その後、レジストマスクPM1を除去する。図9(a)及び(b)は、エッチング液Qを用いて積層体Lを加工した結果を表すための模式図である。SRO膜40は、SiO膜等と異なってエッチング液Qと反応しにくいため、エッチングストップ層として機能する。これにより、第1領域20a及び第2領域20b以外の部分では、SRO膜40が露出されるまでエッチングが進行し、SRO膜40が露出されるとエッチングが実質的に停止される。その結果、この工程を経った後には、第1領域20a及び第2領域20b以外の部分において、SRO膜40が露出される。
【0031】
その後、第1実施形態の製造方法と同様の工程を更に経ることにより、図10に示す薄膜圧電アクチュエータ2が完成される。
【0032】
第2実施形態に係る圧電素子の製造方法では、基板S2上にエピタキシャル成長法を用いて第2電極膜19、無機(シード)膜17、PZT膜15を順次に積層させる。更に、PZT膜15上に、スパッタ法などでSRO膜40、第1電極膜11を順次に形成する。その後、基板S1を接着膜43により第1電極膜11に固定し、基板S2を除去する。そして、加工工程では、PZT膜15において、第2電極膜(下部電極膜)19の側から基板S1側の方向にエッチング液Qによるエッチングが進む。第2実施形態に係る圧電素子の製造方法は、このような工程を備えるため、第1実施形態に係る圧電素子の製造方法により得られる効果に加えて、以下のような効果が更に得られる。
【0033】
すなわち、(100)面以外の配向面を有するSRO膜40は、加工工程においてエッチング液Qと反応しにくい。特に、(111)面又は(001)面に配向されたSRO膜40は、エッチング液Qに対してより反応しにくい。そのため、第1電極膜11の材料がエッチング液QによりエッチングされるCu、Ni、Al等であっても、必要に応じてSRO膜40の下側に位置する第1電極膜11がエッチング液Qによりエッチングされることを防止することができる。また、第1電極膜11の材料として、エッチング液Qによりエッチングされない高価なPt等を用いる必要性がなく、Cu、Ni、Al等の比較的安価な金属が用いられるため、素子の低価格化を図ることができる。
【実施例1】
【0034】
次に、実施例1〜15及び比較例1〜9を挙げて、本発明におけるエッチング液の組成とPZT膜のエッチングレートとの関係を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0035】
(共通条件)
まず、スパッタリング法により、シリコン基板上に2μmの(001)面配向のPZT膜をエピタキシャル成長させた。
【0036】
引き続き、以下の実施例1〜15及び比較例1〜9において互いに異なる組成からなるエッチング液を用いて、上記のシリコン基板上に形成されたPZT膜のウェットエッチングを行った。図11〜図13は、実施例1〜15及び比較例1〜9それぞれにおいて用いられたエッチング液の組成を纏めた図表である。実施例1〜15及び比較例1〜9においては、エッチング液の組成以外の他の条件は同一であった。このとき、エッチング時間tは1〜10分間程度、エッチング温度Tは22℃で同一であった。以下において、エッチング液の重量に対するフッ素の重量濃度をF換算濃度とする。
【0037】
(実施例1)
HClが2wt%、HF及びNHFそれぞれのF換算濃度が0.05wt%及び0.1wt%であるエッチング液でエッチングを行った。すなわち、濃度値Aが2wt%、濃度値Bが0.15wt%であった。
【0038】
(実施例2)
HClが4wt%、NHFのF換算濃度が0.2wt%であるエッチング液でエッチングを行った。すなわち、濃度値Aが4wt%、濃度値Bが0.2wt%であった。
【0039】
(実施例3)
HClが5、HF及びNHFそれぞれのF換算濃度が0.1及び0.5であるエッチング液でエッチングを行った。すなわち、濃度値Aが5、濃度値Bが0.6であった。
【0040】
(実施例4)
HClが8wt%、HF及びNHFそれぞれのF換算濃度が0.1wt%及び0.8wt%であるエッチング液でエッチングを行った。すなわち、濃度値Aが8wt%、濃度値Bが0.9wt%であった。
【0041】
(実施例5)
HCl及びCHNO3がそれぞれ5wt%及び1wt%、HF及びNHFそれぞれのF換算濃度が0.1wt%及び0.8wt%であるエッチング液でエッチングを行った。すなわち、濃度値Aが8.3wt%、濃度値Bが0.9wt%であった。
【0042】
(実施例6)
HCl及びCHNO3がいずれも2wt%、HF及びNHFそれぞれのF換算濃度が0.1wt%及び0.8wt%であるエッチング液でエッチングを行った。すなわち、濃度値Aが8.6wt%、濃度値Bが0.9wt%であった。
【0043】
(実施例7)
HCl及びCHNO3がそれぞれ3wt%及び2wt%、HF及びNHFそれぞれのF換算濃度が0.5wt%及び0.1wt%であるエッチング液でエッチングを行った。すなわち、濃度値Aが9.6wt%、濃度値Bが0.6wt%であった。
【0044】
(実施例8)
HClが2wt%、HF及びNHFそれぞれのF換算濃度が0.1wt%及び0.05wt%であるエッチング液でエッチングを行った。すなわち、濃度値Aが2wt%、濃度値Bが0.15wt%であった。
【0045】
(実施例9)
HClが4wt%、HFのF換算濃度が0.2wt%であるエッチング液でエッチングを行った。すなわち、濃度値Aが4wt%、濃度値Bが0.2wt%であった。
【0046】
(実施例10)
HClが5wt%、HF及びNHFそれぞれのF換算濃度が0.5wt%及び0.1wt%であるエッチング液でエッチングを行った。すなわち、濃度値Aが5wt%、濃度値Bが0.6wt%であった。
【0047】
(実施例11)
HClが8wt%、HF及びNHFそれぞれのF換算濃度が0.8wt%及び0.1wt%であるエッチング液でエッチングを行った。すなわち、濃度値Aが8wt%、濃度値Bが0.9wt%であった。
【0048】
(実施例12)
HCl及びCHNO3がそれぞれ5wt%及び1wt%、HF及びNHFそれぞれのF換算濃度が0.8wt%及び0.1wt%であるエッチング液でエッチングを行った。すなわち、濃度値Aが8.3wt%、濃度値Bが0.9wt%であった。
【0049】
(実施例13)
HCl及びCHNO3がいずれも2、HF及びNHFそれぞれのF換算濃度が0.8及び0.1であるエッチング液でエッチングを行った。すなわち、濃度値Aが8.6、濃度値Bが0.9であった。
【0050】
(実施例14)
HCl及びCHNO3がそれぞれ3wt%及び2wt%、HF及びNHFそれぞれのF換算濃度が0.1wt%及び0.5wt%であるエッチング液でエッチングを行った。すなわち、濃度値Aが9.6wt%、濃度値Bが0.6wt%であった。
【0051】
(実施例15)
HNO3が2wt%、HF及びNHFそれぞれのF換算濃度が0.1wt%及び0.5wt%であるエッチング液でエッチングを行った。すなわち、濃度値Aが6.6wt%、濃度値Bが0.6wt%であった。
【0052】
(比較例1)
HClが0.5wt%、HF及びNHFそれぞれのF換算濃度が0.1wt%及び0.5wt%であるエッチング液でエッチングを行った。すなわち、濃度値Aが0.5wt%、濃度値Bが0.6wt%であった。
【0053】
(比較例2)
HClが12wt%、HF及びNHFそれぞれのF換算濃度が0.1wt%及び0.5wt%であるエッチング液でエッチングを行った。すなわち、濃度値Aが12wt%、濃度値Bが0.6wt%であった。
【0054】
(比較例3)
HClが5wt%、HFのF換算濃度が0.05wt%であるエッチング液でエッチングを行った。すなわち、濃度値Aが5wt%、濃度値Bが0.05wt%であった。
【0055】
(比較例4)
HClが5wt%、NHFのF換算濃度が0.05wt%であるエッチング液でエッチングを行った。すなわち、濃度値Aが5wt%、濃度値Bが0.05wt%であった。
【0056】
(比較例5)
HCl2wt%、HF及びNHFそれぞれのF換算濃度がいずれも1wt%であるエッチング液でエッチングを行った。すなわち、濃度値Aが2wt%、濃度値Bが2wt%であった。
【0057】
(比較例6)
HCl及びCHNO3がいずれも5wt%、HF及びNHFそれぞれのF換算濃度が0.1wt%及び0.8wt%であるエッチング液でエッチングを行った。すなわち、濃度値Aが21.5wt%、濃度値Bが0.9wt%であった。
【0058】
(比較例7)
HCl及びCHNO3がそれぞれ5wt%及び3wt%、HF及びNHFそれぞれのF換算濃度が0.1wt%及び0.8wt%であるエッチング液でエッチングを行った。すなわち、濃度値Aが14.9wt%、濃度値Bが0.9wt%であった。
【0059】
(比較例8)
HCl及びCHNO3がいずれも5wt%、HF及びNHFそれぞれのF換算濃度が0.8wt%及び0.1wt%であるエッチング液でエッチングを行った。すなわち、濃度値Aが21.5wt%、濃度値Bが0.9wt%であった。
【0060】
(比較例9)
HCl及びCHNO3がそれぞれ5wt%及び3wt%、HF及びNHFそれぞれのF換算濃度が0.8wt%及び0.1wt%であるエッチング液でエッチングを行った。すなわち、濃度値Aが14.9wt%、濃度値Bが0.9wt%であった。
【0061】
(結果評価)
図14は、実施例1〜15及び比較例1〜9それぞれにおけるエッチン液に対するPZT膜のエッチングレートを纏めた図表である。図14に示すように、要件A及び要件Bをいずれも満たすエッチング液を用いた実施例1〜15においては、PZT膜のエッチングレートが5〜50nm/sec(目標レート)の範囲内であった。一方、要件A及び要件Bのうち少なくとも一方を満たしていなかった場合には、PZT膜のエッチングレートが目標レートの範囲外であった。
【0062】
[実施例1〜7、実施例8〜14]
実施例8~14それぞれは、実施例1〜7に対応する。具体的は、実施例8〜14における濃度値A及び濃度値Bはそれぞれ、実施例1〜7における濃度値A及び濃度値Bと同一であり、実施例8〜14におけるHF及びNHFのF換算濃度が実施例1〜7におけるHF及びNHFのF換算濃度と逆である。しかし、HF及びNHFそれぞれのF換算濃度が逆であっても、エッチング液の濃度値A及びBが同一であれば、エッチングレートは大きく変化しないことが分かった。
【0063】
[実施例1〜4、実施例5〜7、実施例15]
エッチング液がHCl及びHNOの両方を含まなくても、エッチング液が要件A及び要件Bを満たせば、PZT膜のエッチングレートは目標レートの範囲内に納まることが分かった。
【0064】
[比較例1及び2]
用いたエッチング液がHNOを含んでいなかった場合において、要件Bが満たされても濃度値Aが要件Aを下回ったときはエッチングレートが目標レート以下となり、濃度値Aが要件Aを上回ったときにはエッチングレートが目標レート以上となった。
【0065】
[比較例3〜5]
比較例3及び4の結果から、エッチング液がHNOを含んでいなかった場合において、要件Aが満たされていても濃度値Bが要件Bを下回ったときはエッチングレートが目標レート以下となることが分かった。また、HF及びNHFのうち何れか一方のみを含んでいても濃度値Bが同一であればエッチングレートはほぼ同一となった。比較例5の結果から、エッチング液がHNOを含んでいなかった場合において、要件Aが満たされても濃度値Bが要件Bを上回ったときはエッチングレートが目標レート以上となることが分かった。
【0066】
[比較例6〜9]
用いたエッチング液が、HCl、HNO、HF及びNHFのすべてを含み、要件Bを満たしていた場合において、濃度値Aが要件Aを上回ったときは、エッチングレートが目標レート以上となることが分かった。
【0067】
図15は、実施例1〜15及び比較例1〜9それぞれにおける濃度値Aとエッチングレートとの関係を示すグラフである。図15においては、横軸及び縦軸はそれぞれ、濃度値A(wt%)及びエッチングレート(nm/sec)を示し、◆は実施例1〜15の結果を、▲は比較例1〜9の結果を示す。図15に示すように、実施例1〜15におけるエッチングレートは目標レートの範囲内であり、比較例1〜9におけるエッチングレートは目標レートの範囲外であることが分かる。また、濃度値Aが高いときに、エッチングレートは高くなり、濃度値Aとエッチングレートとは比例関係にあることが確認された。
【0068】
以下、実施例16及び比較例10に基づいて本発明におけるPZT膜のエッチングレートとパターニングされたPZT膜のエッジ形状との関係を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0069】
(共通条件)
まず、スパッタリング法により、シリコン基板上に、100nmのPt膜、40nmの(111)面配向のSRO膜及び2μmの(111)面配向のPZT膜を順にエピタキシャル成長させた。その後、複数の長方形の開口を有するレジスト膜を形成した。
【0070】
引き続き、以下の実施例16及び比較例10において互いに異なる組成からなるエッチング液を用いて、上記のレジスト膜で覆われていないPZT膜の部分に対してSRO膜が露出するまでウェットエッチングを行った。その後、上記のレジスト膜を除去した。なお、実施例16及び比較例10において、エッチング温度Tは22℃で同一であった。
【0071】
(実施例16)
上記の実施例3におけるエッチング液と同一の組成を有するエッチング液を用いてウェットエッチングを行った。
【0072】
(比較例10)
上記の比較例7におけるエッチング液と同一の組成を有するエッチング液を用いてウェットエッチングを行った。
【0073】
(結果評価)
実施例16におけるエッチング液に対するPZT膜のエッチングレートは、実施例3と同様に13nm/secであり、目標レートの範囲内であった。比較例10におけるエッチング液に対するPZT膜のエッチングレートは、比較例7と同様に90nm/secであり、目標レートの範囲外であった。図16(a)及び(b)はそれぞれ、実施例16及び比較例10において複数の長方形の開口を有するレジスト膜によりパターニングされたPZT膜のエッジを表す。エッチングレートが目標レートの範囲内であった実施例16の場合には、図16(a)に示すように、パターニングされたPZT膜のエッジ部分が、直進性の良いシャープなエッジになっていることが確認された。
【0074】
一方、エッチングレートが目標レートの範囲外(目標レートの範囲以上)であった比較例10の場合には、図16(b)に示すように、パターニングされたPZT膜のエッジ部分に黒染みが発生して直進性が悪くなっており、PZT膜のエッジがシャープでないことが確認された。
【0075】
以下、実施例17、実施例18及び比較例11に基づいて本発明におけるSRO膜の配向面とエッチング液Qに対する耐性との関係を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0076】
(実施例17)
まず、スパッタリング法により、シリコン基板上に、100nmのPt膜及び40nmの(111)面配向のSRO膜を順にエピタキシャル成長させた。次に、SRO膜の上に薄膜アクチュエータの断面形状を有するレジストマスクを形成した。引き続き、実施例3におけるエッチング液と同一の組成を有するエッチング液を用いて、上記のレジストマスクをエッチングマスクとしてそのレジストマスクで覆われていないSRO膜の部分に対して20秒間エッチングを行った。その後、レジストマスクを除去した。
【0077】
(実施例18)
まず、スパッタリング法により、シリコン基板上に、100nmのPt膜及び40nmの(001)面配向のSRO膜を順にエピタキシャル成長させた。次に、SRO膜の上に薄膜アクチュエータの断面形状を有するレジストマスクを形成した。引き続き、実施例3におけるエッチング液と同一の組成を有するエッチング液を用いて、上記のレジストマスクをエッチングマスクとしてそのレジストマスクで覆われていないSRO膜の部分に対して20秒間エッチングを行った。その後、レジストマスクを除去した。
【0078】
(比較例11)
まず、スパッタリング法により、シリコン基板上に、100nmのPt膜及び40nmの(100)面配向のSRO膜を順にエピタキシャル成長させた。次に、SRO膜の上に薄膜アクチュエータの断面形状を有するレジストマスクを形成した。引き続き、実施例3におけるエッチング液と同一の組成を有するエッチング液を用いて、上記のレジストマスクをエッチングマスクとしてそのレジストマスクで覆われていないSRO膜の部分に対して20秒間エッチングを行った。その後、レジストマスクを除去した。
【0079】
(評価結果)
図17(a)及び(b)はそれぞれ、実施例17及び比較例11におけるSRO膜のエッチング結果を表す図である。図17(a)及び(b)において、点線で囲まれている領域は、上記の薄膜アクチュエータの断面形状を有するレジストマスクで覆われていた領域を示す。SRO膜が(111)面に配向された実施例17の場合には、図17(a)に示すように、レジストマスクで覆われていなかったSRO膜の部分が殆ど残存しており、その残存量はエッチング前を基準に95%であった。なお、SRO膜が(001)面に配向された実施例18の場合においても、図17(a)と同様にSRO膜の部分が殆ど残存していた。一方、SRO膜が(100)面に配向された比較例10の場合には、図17(b)に示すように、レジストマスクで覆われていなかったSRO膜の部分が全部エッチングされて(その残存量はエッチング前を基準に0%)Pt膜が露出されていた。以上のように、(100)面配向のSRO膜は、(111)面又は(001)面に配向されたSRO膜と比較して上記の実施形態のエッチング液Qと反応しやすいことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1実施形態に係る製造方法の一工程を模式的に示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る製造方法の一工程を模式的に示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る製造方法の一工程を模式的に示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る製造方法の一工程を模式的に示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る製造方法の一工程を模式的に示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る製造方法の効果を説明するための図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る製造方法の一工程を模式的に示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る製造方法の一工程を模式的に示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る製造方法の一工程を模式的に示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る製造方法の一工程を模式的に示す図である。
【図11】本実施形態に係る製造方法の効果を説明するための図である。
【図12】本実施形態に係る製造方法の効果を説明するための図である。
【図13】本実施形態に係る製造方法の効果を説明するための図である。
【図14】本実施形態に係る製造方法の効果を説明するための図である。
【図15】本実施形態に係る製造方法の効果を説明するための図である。
【図16】本実施形態に係る製造方法の効果を説明するための図である。
【図17】本実施形態に係る製造方法の効果を説明するための図である。
【符号の説明】
【0081】
1,2…薄膜圧電アクチュエータ、11…第1電極膜、13…シード(下地)膜、15…
PZT膜、17…無機(シード)膜17、19…第2電極膜、40…SRO膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部電極膜上に、ジルコン酸チタン酸鉛膜をエピタキシャル成長させる成長工程と、
前記成長工程の後に、エッチング液を用いて前記ジルコン酸チタン酸鉛膜を所望の形状に加工する加工工程と、
を備え、
前記エッチング液は、
塩酸及び硝酸のうち少なくとも一方の酸を、前記エッチング液の重量に対する前記塩酸及び前記硝酸のそれぞれの重量濃度をCHCl及びCHNO3とした場合にCHCl+3.3CHNO3が1wt%以上10wt%以下となるように含有すると共に、
フッ化アンモニウム及びフッ化水素のうち少なくとも一方のフッ素化合物を、前記エッチング液の重量に対する、前記フッ化アンモニウム及び前記フッ化水素に由来するフッ素の重量濃度が0.1wt%以上1wt%以下となるように含有する圧電素子の製造方法。
【請求項2】
前記成長工程後に、前記ジルコン酸チタン酸鉛膜上に(100)面以外の配向面を有するSrRuO膜を形成するSrRuO膜形成工程と、
SrRuO膜形成工程後に、前記SrRuO膜上に上部電極膜を形成する上部電極膜形成工程と、
前記上部電極膜上に基板を固定する基板固定工程と、
を更に備え、
前記加工工程では、前記ジルコン酸チタン酸鉛膜において、前記下部電極膜の側から前記基板側の方向にエッチングを進める請求項1に記載の圧電素子の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−147088(P2010−147088A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319906(P2008−319906)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【出願人】(500393893)新科實業有限公司 (361)
【氏名又は名称原語表記】SAE Magnetics(H.K.)Ltd.
【住所又は居所原語表記】SAE Technology Centre, 6 Science Park East Avenue, Hong Kong Science Park, Shatin, N.T., Hong Kong
【Fターム(参考)】