説明

地図表示装置、地図表示プログラム、および地図表示方法

【課題】簡単な操作で地図のデータ量を増大させることなく縮尺変更の際の地図表示をスムーズに変化させる。
【解決手段】地図表示装置10が、表示する地図情報の縮尺を設定する縮尺設定部(縮尺変更処理部13、制御部15)と、設定されている縮尺の地図情報を地図情報記憶部F1から取得する地図情報取得部12と、地図情報取得部12によって取得された地図情報を表示出力する地図情報出力部14と、設定されている縮尺の変更依頼を受け付け、縮尺変更前後の各地図情報の間の縮尺となる中間縮尺の地図情報を1又は2以上生成する縮尺変更処理部13とを含み、地図情報表示出力部(縮尺変更処理部13、地図情報出力部14)が、中間縮尺の地図情報が生成されると、生成された中間縮尺の地図情報を縮尺変更前の縮尺に近い地図情報から順番に順次表示し、縮尺変更後の縮尺の地図情報を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の縮尺で予めそれぞれ作成されている地図情報のうち、設定されている縮尺の地図情報を表示する地図表示装置、地図表示装置のためのコンピュータプログラム、及び地図表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、地図情報出力表示装置として、カーナビゲーション装置(以下、「カーナビ」という。)が知られている。このカーナビにおいて利用される地図情報の多くは、地球上の所定領域を一定の緯度幅と経度幅で区切った矩形状の範囲(以下、「メッシュ」という。)に分割して管理され、道路形状等は緯度・経度の数値で表現される。たとえばJIS(日本工業規格)において、1/20万地勢図の図郭割の範囲に該当する緯度幅1度、経度幅40分のエリア(約80×80Km)は、1次メッシュと規定され、1/2.5万地形図の図郭割の範囲に該当する緯度幅5分、経度幅7分30秒のエリア(約10×10Km)は、2次メッシュと規定されている。
【0003】
カーナビには、一般に、表示画面に表示されている地図の縮尺を変更する縮尺変更機能が備えられている(例えば、特許文献1−2参照)。カーナビでは、この縮尺変更機能によって、例えば、1次メッシュの地図(1/20万の地図)から2次メッシュの地図(1/2.5万の地図)に変更する処理が実行される。また、地図の縮尺変更機能として、予め用意されている縮尺の間の中間縮尺の地図を表示することが可能な「フリーズーム」と呼ばれる機能がある。
【0004】
【特許文献1】特開平11−305654号公報
【特許文献2】特開2006−330112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来のカーナビでは、フリーズーム機能を採用した場合には、任意の縮尺とすることが可能となるが、ユーザが意図しない中途半端な縮尺でも地図表示が固定されてしまい、微調整のための操作を行う必要が生じてしまうため、簡単に希望の縮尺とすることができないという問題があった。
【0006】
一方、中間縮尺での固定表示を行わないようにした場合には、縮尺が突然変更されることになるため、縮尺前後の地図における表示物の表示位置の変化を見極めることが困難となり、ユーザにとって見辛いものとなってしまうという問題があった。中間縮尺の地図を多数あらかじめ用意し、徐々に縮尺を変更していくようにすることが考えられるが、データ量が膨大になってしまうという問題が生じる。
【0007】
本発明は、上述した問題を解消し、地図のデータ量を増大させることなく、簡単な操作で縮尺変更を行うことができ、縮尺変更の際の地図表示をスムーズに変化させることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の地図表示装置は、複数種類の縮尺で予めそれぞれ作成されている地図情報のうち、設定されている縮尺の地図情報を表示する地図表示装置であって、複数種類の縮尺でそれぞれ作成された地図情報であって、各縮尺に応じて緯度幅と経度幅で区切られた矩形状の範囲に分割された地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、表示する地図情報の縮尺を設定する縮尺設定手段と、該縮尺設定手段によって設定されている縮尺の地図情報を前記地図情報記憶手段から取得する地図情報取得手段と、該地図情報取得手段によって取得された地図情報を表示出力する地図情報表示出力手段と、前記縮尺設定手段によって設定されている縮尺の変更依頼を受け付ける縮尺変更依頼受付手段と、該縮尺変更依頼受付手段が縮尺の変更依頼を受け付けたときに、縮尺変更前後の各地図情報の間の縮尺となる中間縮尺の地図情報を1又は2以上生成する中間縮尺地図情報生成手段とを含み、前記地図情報表示出力手段は、前記中間縮尺地図情報生成手段によって中間縮尺の地図情報が生成されると、前記中間縮尺地図情報生成手段によって生成された中間縮尺の地図情報を縮尺変更前の縮尺に近い地図情報から順番に順次表示したあと、縮尺変更後の縮尺の地図情報を表示することを特徴とする。
【0009】
前記地図情報表示出力手段は、前記中間縮尺地図情報生成手段によって中間縮尺の地図情報が複数生成された場合には、生成された中間縮尺の地図情報のうち縮尺変更前の縮尺に近い地図情報から縮尺変更後の縮尺に近い地図情報の順番で中間縮尺の地図情報を順次表示出力する構成とされていてもよい。
【0010】
地図情報には、地図の他、道路名、地域名、建物名を含む各種の地図上表示が含まれ、各地図上表示それぞれをいずれの縮尺の地図情報で使用するかが設定された使用縮尺設定テーブルを含み、前記中間縮尺地図情報生成手段は、前記使用縮尺設定テーブルを参照し、縮尺変更前後の各地図情報で共に使用される地図上表示を使用して中間縮尺の地図情報を生成する構成とされていてもよい。
【0011】
地図情報には、地図の他、道路名、地域名、建物名を含む各種の地図上表示が含まれ、各地図上表示それぞれをいずれの縮尺の地図情報で使用するかが設定された使用縮尺設定テーブルを含み、前記中間縮尺地図情報生成手段は、前記使用縮尺設定テーブルを参照し、縮尺変更後の地図情報で使用される地図上表示を使用して中間縮尺の地図情報を生成する構成とされていてもよい。
【0012】
また、本発明の地図表示プログラムは、複数種類の縮尺で予めそれぞれ作成されている地図情報のうち、設定されている縮尺の地図情報を表示させるための地図表示プログラムであって、コンピュータに、表示する地図情報の縮尺を設定する縮尺設定処理と、複数種類の縮尺でそれぞれ作成された地図情報であって各縮尺に応じて緯度幅と経度幅で区切られた矩形状の範囲に分割された地図情報を記憶する地図情報データベースから前記縮尺設定処理にて設定した縮尺の地図情報を取得する地図情報取得処理と、該地図情報取得処理にて取得した地図情報を表示出力する地図情報表示処理と、前記縮尺設定処理にて設定した縮尺の変更依頼を受け付ける縮尺変更依頼受付処理と、該縮尺変更依頼受付処理にて縮尺の変更依頼を受け付けたときに、縮尺変更前後の各地図情報の間の縮尺となる中間縮尺の地図情報を1又は2以上生成する中間縮尺地図情報生成処理とを実行させ、前記地図情報表示出力処理では、前記中間縮尺地図情報生成処理にて中間縮尺の地図情報が生成されると、前記中間縮尺地図情報生成処理にて生成した中間縮尺の地図情報を縮尺変更前の縮尺に近い地図情報から順番に順次表示したあと、縮尺変更後の縮尺の地図情報を表示する処理を実行させるためのものである。
【0013】
さらに、本発明の地図表示方法は、複数種類の縮尺で予めそれぞれ作成されている地図情報のうち、設定されている縮尺の地図情報を表示する地図表示方法であって、表示する地図情報の縮尺を設定する縮尺設定処理と、複数種類の縮尺でそれぞれ作成された地図情報であって各縮尺に応じて緯度幅と経度幅で区切られた矩形状の範囲に分割された地図情報を記憶する地図情報データベースから前記縮尺設定処理にて設定した縮尺の地図情報を取得する地図情報取得処理と、該地図情報取得処理にて取得した地図情報を表示出力する地図情報表示処理と、前記縮尺設定処理にて設定した縮尺の変更依頼を受け付ける縮尺変更依頼受付処理と、該縮尺変更依頼受付処理にて縮尺の変更依頼を受け付けたときに、縮尺変更前後の各地図情報の間の縮尺となる中間縮尺の地図情報を1又は2以上生成する中間縮尺地図情報生成処理とを含み、前記地図情報表示出力処理では、前記中間縮尺地図情報生成処理にて中間縮尺の地図情報が生成されると、前記中間縮尺地図情報生成処理にて生成した中間縮尺の地図情報を縮尺変更前の縮尺に近い地図情報から順番に順次表示したあと、縮尺変更後の縮尺の地図情報を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、地図のデータ量を増大させることなく、簡単な操作で縮尺変更を行うことができ、縮尺変更の際の地図表示をスムーズに変化させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明における一実施の形態に係る地図表示システムの構成例を示すブロック図である。図2は、地図表示システムを構成する地図表示装置10の構成例を示すブロック図である。地図表示システムは、カーナビなどに適用される。
【0016】
図1に示すように、地図表示システムは、地図表示装置10と、自車位置測位装置20と、表示部20と、入力部30とを含む。地図表示装置10は、地図情報を実際の距離に応じて適切に表示するための制御を行う装置である。
【0017】
自車位置測位装置20は、車両の現在位置を測定する装置であり、GPS(Global Positioning System)衛星から送られてくるGPS信号を受信し、このGPS信号に基づいて位置を計測するGPSセンサや、初期位置からの移動量(距離)を計測する速度センサ、進行(移動)方位を計測するジャイロセンサ等からなる。
【0018】
GPSセンサは、いわゆるGPS受信機と称されるものであり、GPS衛星から放射されるGPS信号を受信してGPS衛星とGPS受信機自身との距離(疑似距離)を測定し、複数の衛星からのGPS信号を同時に受信することによりGPS受信機自身の現在位置(GPS測位解)を算出する。
【0019】
また、自車位置測位装置20は車両に搭載されており、GPS信号を受信するGPS受信機(アンテナ)の他、受信したGPS信号のデコード等の処理を行い、地図表示装置10へ出力する信号処理部を備える。
【0020】
表示部30は、地図表示装置10より出力した地図情報を表示する装置であり、いわゆるディスプレイ装置(又はモニタ)である。表示部30は、例えば、地図表示装置10に対して専用に設けられる。
【0021】
入力部40は、地図表示装置10に対して各種指示を行う入力装置である。本例では、入力部40は、表示部30に表示される地図領域を任意に変更する操作ボタンによって構成されている。
【0022】
図2に示すように、地図表示装置10は、地図情報記憶部F1と、自車位置情報受付部11と、地図情報取得部12と、縮尺変更処理部13と、地図情報出力部14と、制御部15とを含む。なお、地図表示装置10を構成する各部は、制御信号やデータ等を伝送するバス16に接続されている。
【0023】
地図表示装置10は、例えば、モバイルタイプのパーソナルコンピュータ、PND(Portable Navigation Device)や専用デバイス、携帯電話機などの情報処理装置によって構成される。地図表示装置10は、図示しないが、CPU(中央処理装置)、プログラム記憶部、OS(オペレーティング・システム)、等を有する。CPUは、プログラム記憶部に記憶されたコンピュータプログラムに従い、地図表示装置10の各構成要素を統制制御し、プログラム処理を実行する機能を有する。プログラム記憶部は、ROMやRAM等で構成され、地図表示装置10が使用する各種コンピュータプログラムを記憶する記憶媒体である。
【0024】
地図情報記憶部F1は、一定の緯度幅と経度幅で区切られた矩形状の範囲(以下、「メッシュ」という。)に分割して地図情報を記憶する記憶媒体である。この地図情報は、地図情報記憶部F1に記憶される外、例えばSDメモリカードと呼ばれるリムーバブルメディアとしての補助記憶装置や、CD−ROMやDVD−ROM等に保存することができる。また、インターネット等の通信ネットワークを介して地図情報をダウンロードするようにしてもよい。地図情報は、表示可能な各縮尺に応じてそれぞれ生成されているものとする。
【0025】
自車位置情報受付部11は、車両の現在位置情報を受信する処理等を行う。すなわち、自車位置測位装置20によって測定された車両の現在位置情報を取得する。
【0026】
地図情報取得部12は、自車位置情報受付部11で受信した車両の現在位置情報や、制御部15によって設定されている現在の表示縮尺に基づいて、地図情報記憶部F1から地図情報を取得する処理等を行う。
【0027】
縮尺変更処理部13は、入力部40の操作による縮尺変更依頼を受け付け、縮尺変更アニメーション表示を行うための中間縮尺の地図情報を生成、生成した中間縮尺の地図情報を用いたアニメーション表示制御などの各種の処理を行う。
【0028】
地図情報出力部14は、地図情報取得部12で取得した地図情報や、縮尺変更処理部13によって生成された中間縮尺の地図情報を描画する描画信号を表示部30に出力する処理を行う。
【0029】
制御部15は、CPU、ROM、RAM等を具備し、地図表示装置10の各構成要素を統制制御し、その処理を実行する。
【0030】
次に、本例の地図表示システムによって実現される地図情報出力装置1について説明する。図3において、表示部30上には、入力部40が積層されたものとなっている。本実施の形態においては、入力部40は、表示部30に搭載されているタッチパネルや、表示部30における表示画面に設けられているコマンド入力ボタンにより構成されている。コマンド入力ボタンが押下されると、タッチパネルによってボタンの押下が検知され、地図表示装置10の制御部15によって押下されたボタンに対応した指示内容(選択内容)が認識される。
【0031】
本例では、例えば図3に示すように、表示部30に表示されている地図の縮尺を拡大する拡大ボタン41Bと、同地図の縮尺を縮小する縮小ボタン41Sとが設けられている。
【0032】
次に、本発明に係る地図表示システムの動作について説明する。図4は、本例の地図表示装置10が実行する地図表示処理の例を示すフローチャートである。図4では、本発明に係わらない処理を省略している場合があるものとする。ここでは、ユーザYの操作に応じて、地図の縮尺を変更する場合を例に説明する。
【0033】
地図表示処理において、まず、自車位置情報受付部11は、自車位置測定装置20から車両の現在位置情報を受信する(ステップS101)。
【0034】
次いで、縮尺変更処理部13は、ユーザYからの縮尺変更指示を受け付けたか否か確認する(ステップS102)。縮尺変更処理部13は、ユーザYによって拡大ボタン41Bが押下(選択)されていた場合には、地図を拡大するための縮尺変更の指示を受け付けたものと判定し、ユーザYによって縮小ボタン41Sが押下(選択)されていた場合には、地図を縮小するための縮尺変更の指示を受け付けたものと判定する。
【0035】
本例では、固定表示可能な縮尺があらかじめ定められており、例えば1/20万、1/10万、1/5万、1/2.5万、1/1万、1/5千、1/2.5千、1/1千の縮尺で固定表示することが可能であるものとする。そして、本例では、拡大ボタン41Bあるいは縮小ボタン41Sが押下されることによって、縮尺が1段階変更されるものとする。具体的には、1/5千の縮尺の地図が表示されている場合には、拡大ボタン41Bが押下されることによって1/2.5千の縮尺の地図に変更され、縮小ボタン41Sが押下されることによって1/1万の縮尺の地図に変更されることになる。
【0036】
ユーザYからの縮尺変更指示を縮尺変更処理部13が受け付けていた場合には(ステップS102のY)、地図情報取得部12は、自車位置情報受付部11で受信した車両の現在位置情報と、現在設定されている縮尺と縮尺変更指示によって変更される縮尺とに基づいて、地図情報記憶部F1から該当領域における縮尺変更前後の地図情報を取得する(ステップS103)。すなわち、現在の縮尺の地図情報と、縮尺変更後の縮尺の地図情報とを取得する。
【0037】
次いで、縮尺変更処理部13は、地図情報取得部12によって取得された縮尺変更前後の2つの地図情報を用いて、報縮尺変更前後の各地図情報の間の縮尺となる中間縮尺の地図情報を1又は2以上生成する(ステップS104)。この場合、縮尺変更処理部13は、例えば、予め定められた数(例えば30個)の中間縮尺の地図情報、あるいは所定の縮尺間隔(例えば縮尺の分母を1000ずつ加算あるいは減算した間隔)で作成可能な数の中間縮尺の地図情報を生成するようにすればよい。
【0038】
ステップS104では、縮尺変更処理部13は、例えば、地図情報取得部12によって取得された縮尺変更前の地図情報における地図を該当縮尺となるように拡大あるいは縮小して中間縮尺の地図を生成し、その地図上に掲載する地図上表示を重畳して中間縮尺の地図情報を生成する。地図上表示は、例えば、道路名、地域名、建物名などの地図上の該当位置に文字や図形などによって掲載される表示を意味する。
【0039】
本例では、道路名、地域名、建物名などの各種の地図上表示と、固定表示可能な各縮尺について地図情報として使用するか否かを示す表示要否情報とが対応付けされて設定されている図5に示すような使用縮尺設定テーブルが地図情報記憶部F1に記憶されているものとする。なお、図5に示した地図上表示は一例であり、他の地図上表示が含まれていてもよい。
【0040】
本例では、例えば、ステップS104にて、縮尺変更処理部13は、使用縮尺設定テーブルを参照し、縮尺変更前後の2つの地図情報で共に使用される地図上表示を使用して中間縮尺の地図情報を生成する。すなわち、縮尺変更処理部13は、縮尺変更前の縮尺と縮尺変更後の縮尺で共に使用される地図上表示を重畳して中間縮尺の地図情報を生成する。
【0041】
また、本例において、例えば、ステップS104にて、縮尺変更処理部13は、使用縮尺設定テーブルを参照し、縮尺変更後の地図情報で使用される地図上表示を使用して中間縮尺の地図情報を生成するようにしてもよい。すなわち、縮尺変更前の縮尺で使用されるものであるか否かは無関係に、縮尺変更後の縮尺で使用される地図上表示を重畳して中間縮尺の地図情報を生成するようにしてもよい。
【0042】
さらに、本例において、例えば、ステップS104にて、縮尺変更処理部13は、使用縮尺設定テーブルを参照し、縮尺変更前の地図情報で使用される地図上表示を使用して中間縮尺の地図情報を生成するようにしてもよい。すなわち、縮尺変更後の縮尺で使用されるものであるか否かは無関係に、縮尺変更前の縮尺で使用される地図上表示を重畳して中間縮尺の地図情報を生成するようにしてもよい。
【0043】
中間縮尺の地図情報を生成すると、縮尺変更処理部13は、生成した中間縮尺の地図情報を用いて縮尺変更アニメーション表示のために、中間縮尺の地図情報を表示部30に順次表示出力する(ステップS105)。具体的には、縮尺変更処理部13は、生成した中間縮尺の地図情報を縮尺変更前の縮尺に近い地図情報から順番に表示部30に出力する。生成した中間縮尺の地図情報が複数ある場合には、縮尺変更処理部13は、生成した中間縮尺の地図情報のうち縮尺変更前の縮尺に近い地図情報から縮尺変更後の縮尺に近い地図情報の順番で中間縮尺の地図情報を表示部30に順次表示出力する。その後、縮尺変更処理部13は、設定されている縮尺をユーザYからの指示に従って変更する。
【0044】
そして、地図情報出力部14は、地図情報取得部12によって取得された縮尺変更後の縮尺の地図情報を表示部30に出力する(ステップS106)。
【0045】
なお、ユーザYからの縮尺変更指示を縮尺変更処理部13が受け付けていなかった場合には(ステップS102のN)、地図情報取得部12は、自車位置情報受付部11で受信した車両の現在位置情報と、現在設定されている縮尺とに基づいて、地図情報記憶部F1から該当領域における設定されている縮尺の地図情報を取得する(ステップS107)。すなわち、現在の縮尺の地図情報を取得する。そして、地図情報出力部14は、地図情報取得部12によって取得された現在設定されている縮尺の地図情報を表示部30に出力する(ステップS108)。
【0046】
上述したステップS102〜S106の処理によって、縮尺変更指示に応じて中間縮尺の地図情報が生成され、生成された中間縮尺の地図情報を用いた縮尺変更アニメーション表示が実行される。
【0047】
具体的には、例えば図6に示す縮尺(1/2.5万)の地図情報が表示されていたときに、縮尺を拡大する旨の縮尺変更指示を受けた場合には(ステップS102のY)、先ず、縮尺変更前の1/2.5万の縮尺から縮尺変更後の1/1万の縮尺の間の中間縮尺の地図情報が例えば14個(1/2.4万、1/2.3万、1/2.2万、・・・1/1.2万、1/1.1万の各地図情報)生成される(ステップS103,S104)。そして、生成された中間縮尺の地図情報が現在の縮尺に近いもの(1/2.4万の地図情報)から順番に、縮尺変更後の縮尺に近いもの(1/1.1万の地図情報)まで順次表示され(ステップS105)、最後に縮尺変更後の縮尺の地図情報(1/1万の地図情報)が表示される(ステップS106)。すなわち、図6に示す縮尺変更前の表示状態から、縮尺変更中の図7や図8に示す表示状態を経て、図9に示す縮尺変更後の表示状態となる。
【0048】
図6〜図9に示した例では、ステップS104において、縮尺変更前後の2つの地図情報で共に使用される地図上表示を使用して中間縮尺の地図情報が生成されたものとしている。よって、縮尺変更前後の2つの地図情報で共に使用される国道名である「環状◇号線」や駅名である「△△駅」が中間縮尺の地図情報で使用されている。なお、高速道路名は、縮尺変更前後の縮尺における使用対象であるが(図5参照)、縮尺変更後の地図情報では領域外となり使用されないため、中間縮尺の地図情報では使用されていない。上記のようなアニメーション表示を行うことで、アニメーション表示での縮尺変更表示中は図7や図8に示すように縮尺変更前後で継続して表示される地図上表示が表示された状態となり、図9に示すようにアニメーション表示が終了したときに縮尺変更後の地図情報で新たに使用対象となる地図上表示が表示されることになる。
【0049】
以上説明したように、上述した実施の形態では、地図表示装置10が、複数種類の縮尺でそれぞれ作成された地図情報であって、各縮尺に応じて緯度幅と経度幅で区切られた矩形状の範囲に分割された地図情報を記憶する地図情報記憶部F1と、表示する地図情報の縮尺を設定する縮尺設定部(縮尺変更処理部13、制御部15)と、設定されている縮尺の地図情報を地図情報記憶部F1から取得する地図情報取得部12と、地図情報取得部12によって取得された地図情報を表示出力する地図情報出力部14と、設定されている縮尺の変更依頼を受け付け、縮尺変更前後の各地図情報の間の縮尺となる中間縮尺の地図情報を1又は2以上生成する縮尺変更処理部13とを含み、地図情報表示出力部(縮尺変更処理部13、地図情報出力部14)が、中間縮尺の地図情報が生成されると、生成された中間縮尺の地図情報を縮尺変更前の縮尺に近い地図情報から順番に順次表示したあと、縮尺変更後の縮尺の地図情報を表示する構成とされているので、地図のデータ量を増大させることなく、簡単な操作で縮尺変更を行うことができ、縮尺変更の際の地図表示をスムーズに変化させることができるようになる。
【0050】
すなわち、縮尺変更前後の各地図情報の間の縮尺となる中間縮尺の地図情報を1又は2以上生成するようにしているので、予め中間縮尺の地図を用意して保存しておく必要がなく、地図のデータ量が増大してしまうことを防止することができる。また、ユーザにとっては、縮尺変更指示を行う(入力部30として設けられている選択ボタン41B,41Sを押下する)だけの簡単な操作で各段階の縮尺に縮尺変更することが可能となる。さらに、中間縮尺の地図情報を縮尺変更前の縮尺に近い地図情報から順番に順次表示したあと、縮尺変更後の縮尺の地図情報を表示するようにしているので、中間縮尺の地図情報を用いたアニメーション表示により縮尺変更前後の地図間の移行表示を行うことが可能となり、縮尺変更の際の地図表示をスムーズに変化させることができる。
【0051】
また、上述した実施の形態では、地図情報表示出力部(縮尺変更処理部13、地図情報出力部14)が、中間縮尺の地図情報が複数生成された場合に、生成された中間縮尺の地図情報のうち縮尺変更前の縮尺に近い地図情報から縮尺変更後の縮尺に近い地図情報の順番で中間縮尺の地図情報を順次表示出力する構成としたので、中間縮尺の地図情報を用いたアニメーション表示により縮尺変更前後の地図間の移行表示を行うことが可能となり、縮尺変更の際の地図表示をスムーズに変化させることができる。
【0052】
また、上述した実施の形態において、縮尺変更処理部13が、使用縮尺設定テーブルを参照して、縮尺変更前後の各地図情報で共に使用される地図上表示を使用して中間縮尺の地図情報を生成する構成とした場合には、縮尺を縮小する場合と拡大する場合の双方において、中間縮尺の地図情報で使用される地図上表示を最小限に抑えることができ、処理負荷を軽減することが可能となる。
【0053】
また、上述した実施の形態において、縮尺変更処理部13が、使用縮尺設定テーブルを参照して、縮尺変更後の地図情報で使用される地図上表示を使用して中間縮尺の地図情報を生成する構成とした場合には、縮尺を縮小する場合に、中間縮尺の地図情報で使用される地図上表示を最小限に抑えることができ、処理負荷を軽減することが可能となる。なお、縮尺変更後の地図情報で使用される地図上表示は継続的に表示されるため、縮尺変更の際の地図表示をスムーズに変化させることができる。
【0054】
また、上述した地図表示装置10がカーナビに適用される場合には、入力部30として設けられている選択ボタン41B,41Sを押下するだけの簡単な縮尺変更指示操作で各段階の縮尺に縮尺変更することが可能となるため、カーナビユーザにとって使い勝手のよいものとなる。また、地図上表示を含む中間縮尺の地図情報を用いたアニメーション表示により縮尺変更前後の地図間の移行表示を行うので、カーナビユーザにとって縮尺変更前後の地図上表示が見やすいものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、地図情報を表示するようにしたデバイス、GPSを利用した電子地図ソフトウェア、カーナビゲーション装置等に適用するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態に係る地図表示装置を用いた地図表示システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】地図表示装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】地図表示装置を地図情報表示システムに用いることにより実現される地図情報出力装置を示す概略図である。
【図4】地図表示装置が実行する地図表示処理の例を示すフローチャートである。
【図5】使用縮尺設定テーブルにおける格納態様の例を示す説明図である。
【図6】地図情報が表示された表示画面の例を示す説明図である。
【図7】地図情報が表示された表示画面の例を示す説明図である。
【図8】地図情報が表示された表示画面の例を示す説明図である。
【図9】地図情報が表示された表示画面の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0057】
F1 地図情報記憶部、10 地図表示装置、11 自車位置情報受付部、12 地図情報取得部、13 縮尺変更処理部、14 地図情報出力部、15 制御部、20 自車位置測位装置、30 表示部、40 入力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の縮尺で予めそれぞれ作成されている地図情報のうち、設定されている縮尺の地図情報を表示する地図表示装置であって、
複数種類の縮尺でそれぞれ作成された地図情報であって、各縮尺に応じて緯度幅と経度幅で区切られた矩形状の範囲に分割された地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
表示する地図情報の縮尺を設定する縮尺設定手段と、
該縮尺設定手段によって設定されている縮尺の地図情報を前記地図情報記憶手段から取得する地図情報取得手段と、
該地図情報取得手段によって取得された地図情報を表示出力する地図情報表示出力手段と、
前記縮尺設定手段によって設定されている縮尺の変更依頼を受け付ける縮尺変更依頼受付手段と、
該縮尺変更依頼受付手段が縮尺の変更依頼を受け付けたときに、縮尺変更前後の各地図情報の間の縮尺となる中間縮尺の地図情報を1又は2以上生成する中間縮尺地図情報生成手段とを含み、
前記地図情報表示出力手段は、前記中間縮尺地図情報生成手段によって中間縮尺の地図情報が生成されると、前記中間縮尺地図情報生成手段によって生成された中間縮尺の地図情報を縮尺変更前の縮尺に近い地図情報から順番に順次表示したあと、縮尺変更後の縮尺の地図情報を表示する
ことを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記地図情報表示出力手段は、前記中間縮尺地図情報生成手段によって中間縮尺の地図情報が複数生成された場合には、生成された中間縮尺の地図情報のうち縮尺変更前の縮尺に近い地図情報から縮尺変更後の縮尺に近い地図情報の順番で中間縮尺の地図情報を順次表示出力する
請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項3】
地図情報には、地図の他、道路名、地域名、建物名を含む各種の地図上表示が含まれ、
各地図上表示それぞれをいずれの縮尺の地図情報で使用するかが設定された使用縮尺設定テーブルを含み、
前記中間縮尺地図情報生成手段は、前記使用縮尺設定テーブルを参照し、縮尺変更前後の各地図情報で共に使用される地図上表示を使用して中間縮尺の地図情報を生成する
請求項1または請求項2に記載の地図表示装置。
【請求項4】
地図情報には、地図の他、道路名、地域名、建物名を含む各種の地図上表示が含まれ、
各地図上表示それぞれをいずれの縮尺の地図情報で使用するかが設定された使用縮尺設定テーブルを含み、
前記中間縮尺地図情報生成手段は、前記使用縮尺設定テーブルを参照し、縮尺変更後の地図情報で使用される地図上表示を使用して中間縮尺の地図情報を生成する
請求項1または請求項2に記載の地図表示装置。
【請求項5】
複数種類の縮尺で予めそれぞれ作成されている地図情報のうち、設定されている縮尺の地図情報を表示させるための地図表示プログラムであって、
コンピュータに、
表示する地図情報の縮尺を設定する縮尺設定処理と、
複数種類の縮尺でそれぞれ作成された地図情報であって各縮尺に応じて緯度幅と経度幅で区切られた矩形状の範囲に分割された地図情報を記憶する地図情報データベースから前記縮尺設定処理にて設定した縮尺の地図情報を取得する地図情報取得処理と、
該地図情報取得処理にて取得した地図情報を表示出力する地図情報表示処理と、
前記縮尺設定処理にて設定した縮尺の変更依頼を受け付ける縮尺変更依頼受付処理と、
該縮尺変更依頼受付処理にて縮尺の変更依頼を受け付けたときに、縮尺変更前後の各地図情報の間の縮尺となる中間縮尺の地図情報を1又は2以上生成する中間縮尺地図情報生成処理とを実行させ、
前記地図情報表示出力処理では、前記中間縮尺地図情報生成処理にて中間縮尺の地図情報が生成されると、前記中間縮尺地図情報生成処理にて生成した中間縮尺の地図情報を縮尺変更前の縮尺に近い地図情報から順番に順次表示したあと、縮尺変更後の縮尺の地図情報を表示する処理を
実行させるための地図表示プログラム。
【請求項6】
前記地図情報表示出力処理では、前記中間縮尺地図情報生成処理にて中間縮尺の地図情報を複数生成した場合には、生成された中間縮尺の地図情報のうち縮尺変更前の縮尺に近い地図情報から縮尺変更後の縮尺に近い地図情報の順番で中間縮尺の地図情報を順次表示出力する処理を実行させる
請求項5に記載の地図表示プログラム。
【請求項7】
地図情報には、地図の他、道路名、地域名、建物名を含む各種の地図上表示が含まれ、
前記中間縮尺地図情報生成処理では、各地図上表示それぞれをいずれの縮尺の地図情報で使用するかが設定された使用縮尺設定テーブルを参照し、縮尺変更前後の各地図情報で共に使用される地図上表示を使用して中間縮尺の地図情報を生成する処理を実行させる
請求項5または請求項6に記載の地図表示プログラム。
【請求項8】
地図情報には、地図の他、道路名、地域名、建物名を含む各種の地図上表示が含まれ、
前記中間縮尺地図情報生成処理では、各地図上表示それぞれをいずれの縮尺の地図情報で使用するかが設定された使用縮尺設定テーブルを参照し、縮尺変更後の地図情報で使用される地図上表示を使用して中間縮尺の地図情報を生成する処理を実行させる
請求項5または請求項6に記載の地図表示プログラム。
【請求項9】
複数種類の縮尺で予めそれぞれ作成されている地図情報のうち、設定されている縮尺の地図情報を表示する地図表示方法であって、
表示する地図情報の縮尺を設定する縮尺設定処理と、
複数種類の縮尺でそれぞれ作成された地図情報であって各縮尺に応じて緯度幅と経度幅で区切られた矩形状の範囲に分割された地図情報を記憶する地図情報データベースから前記縮尺設定処理にて設定した縮尺の地図情報を取得する地図情報取得処理と、
該地図情報取得処理にて取得した地図情報を表示出力する地図情報表示処理と、
前記縮尺設定処理にて設定した縮尺の変更依頼を受け付ける縮尺変更依頼受付処理と、
該縮尺変更依頼受付処理にて縮尺の変更依頼を受け付けたときに、縮尺変更前後の各地図情報の間の縮尺となる中間縮尺の地図情報を1又は2以上生成する中間縮尺地図情報生成処理とを含み、
前記地図情報表示出力処理では、前記中間縮尺地図情報生成処理にて中間縮尺の地図情報が生成されると、前記中間縮尺地図情報生成処理にて生成した中間縮尺の地図情報を縮尺変更前の縮尺に近い地図情報から順番に順次表示したあと、縮尺変更後の縮尺の地図情報を表示する
ことを特徴とする地図表示方法。
【請求項10】
前記地図情報表示出力処理では、前記中間縮尺地図情報生成処理にて中間縮尺の地図情報を複数生成した場合には、生成された中間縮尺の地図情報のうち縮尺変更前の縮尺に近い地図情報から縮尺変更後の縮尺に近い地図情報の順番で中間縮尺の地図情報を順次表示出力する
請求項9に記載の地図表示方法。
【請求項11】
地図情報には、地図の他、道路名、地域名、建物名を含む各種の地図上表示が含まれ、
前記中間縮尺地図情報生成処理では、各地図上表示それぞれをいずれの縮尺の地図情報で使用するかが設定された使用縮尺設定テーブルを参照し、縮尺変更前後の各地図情報で共に使用される地図上表示を使用して中間縮尺の地図情報を生成する
請求項9または請求項10に記載の地図表示方法。
【請求項12】
地図情報には、地図の他、道路名、地域名、建物名を含む各種の地図上表示が含まれ、
前記中間縮尺地図情報生成処理では、各地図上表示それぞれをいずれの縮尺の地図情報で使用するかが設定された使用縮尺設定テーブルを参照し、縮尺変更後の地図情報で使用される地図上表示を使用して中間縮尺の地図情報を生成する
請求項9または請求項10に記載の地図表示方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−271451(P2009−271451A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124079(P2008−124079)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(507052430)キャンバスマップル株式会社 (77)
【Fターム(参考)】