説明

地図表示装置、地図表示方法および地図表示プログラム

【課題】地図表示中の誤操作により地図表示の利便性が低下することを防止することが可能な地図表示装置を提供する。
【解決手段】地図表示装置は、地図データを取得する取得手段と、ユーザによる操作入力を受け付ける受付手段と、前記地図データに基づく地図を、複数の表示態様の中から前記受け付けた操作入力に対応する表示態様で表示させる表示制御手段と、前記受け付けた操作入力が誤操作か否かを、当該操作入力の入力時間及び/又は当該操作入力の入力回数と、前記操作入力の受付時から経過した無操作時間と、に基づいて判定する判定手段と、前記受け付けた操作入力が誤操作であると判定された場合に、当該誤操作に基づく表示態様を前記複数の表示態様中の他の表示態様へ復帰させる復帰手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図表示装置、地図表示方法および地図表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地図を表示する地図表示システムの一例としてナビゲーションシステムが知られているところ、近年、このナビゲーションシステムは、カーナビゲーションシステムのような専用端末のみならず、携帯電話、携帯情報端末等のGPS機能を搭載した携帯端末を用いたものが急激に普及している。ナビゲーションシステムでは、端末の画面に地図情報や案内経路を含む画像情報が表示され、ユーザは、地図上の案内経路を確認しながら目的地まで進むことができる。
【0003】
このようなナビゲーションシステムに関する技術の一例として、特許文献1(特開2008−32593号公報)には、車両用ナビゲーション装置が記載されている。この車両用ナビゲーション装置は、ユーザがタッチパネルにスクロール操作を行うと、自車両が走行中か否か及び経路案内が行われているか否かを判定し、判定結果が両方とも是である場合に、誘導経路のサイズに応じたスクロール量だけ地図画像をスクロールさせる。また、ユーザがタッチパネルに縮尺変更の操作を行った場合は、誘導経路のサイズに応じた変化量だけ縮尺を変更させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−32593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のナビゲーション装置では、ナビゲーション中に地図画像のスクロールや縮尺変更の操作を行うことができるところ、ユーザがうっかり誤ってこれらのタッチパネル操作を行ってしまった場合にも、地図画像のスクロールや縮尺変更が行われてしまう。その結果、ナビゲーション中にユーザの意図しない方向へ地図画像がスクロールされたり、ユーザの意図しない大きさに地図画像の縮尺が変更されてしまうため、ナビゲーション中の地図情報及び案内経路の視認性が下がるという問題がある。
【0006】
また、ナビゲーション端末によってはナビゲーション中のユーザの誤操作が原因で、それまで行われていたナビゲーションが中断したり現在位置の更新が停止したりするなど、ナビゲーション装置の動作や表示がユーザの意図しない状態になってしまう場合もある。特に、近年では、感度の高いタッチパネルを用いて地図操作を可能にした携帯端末が提供されているところ、タッチパネルの感度が高いほど誤操作も発生しやすいため、ナビゲーションにおける地図表示の視認性や操作性がかえって低下してしまうという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、地図表示中の誤操作により地図表示の利便性が低下することを防止することが可能な地図表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、地図データを取得する取得手段と、ユーザによる操作入力を受け付ける受付手段と、前記地図データに基づく地図を、複数の表示態様の中から前記受け付けた操作入力に対応する表示態様で表示させる表示制御手段と、前記受け付けた操作入力が誤操作か否かを、当該操作入力の入力時間及び/又は当該操作入力の入力回数と、前記操作入力の受付時から経過した無操作時間と、に基づいて判定する判定手段と、前記受け付けた操作入力が誤操作であると判定された場合に、当該誤操作に基づく表示態様を前記複数の表示態様中の他の表示態様へ復帰させる復帰手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
前記判定手段は、前記操作入力の入力時間が所定入力時間以内である場合、及び/又は、当該操作入力の入力回数が所定入力回数以下である場合において、前記無操作時間が所定経過時間を超えたことを条件に、前記受け付けた操作入力が誤操作と判定することを特徴とする。
【0010】
前記表示制御手段が前記地図をディスプレイの縦方向及び横方向のいずれの方向にも表示可能である場合に、当該地図の表示方向を指定する表示方向指定情報を取得する取得手段をさらに備え、前記復帰手段は、前記受け付けた操作入力が誤操作であると判定された場合に加えて、前記取得された表示方向指定情報が横方向表示を指定していることを条件に、前記誤操作に基づく表示態様を前記他の表示態様に復帰させることを特徴とする請求項1または2に記載の地図表示装置。
【0011】
前記地図表示装置の角度を計測する角度センサをさらに備え、前記復帰手段は、前記受け付けた操作入力が誤操作であると判定された場合に加えて、前記計測された角度が所定角度閾値以下であることを条件に、前記誤操作に基づく表示態様を前記他の表示態様に復帰させることを特徴とする。
【0012】
前記地図表示装置の加速度を検出する加速度センサをさらに備え、前記復帰手段は、前記受け付けた操作入力が誤操作であると判定された場合に加えて、前記検出した加速度が所定加速度閾値以上であることを条件に、前記誤操作に基づく表示態様を前記他の表示態様に復帰させることを特徴とする。
【0013】
前記地図表示装置の位置を測位する測位手段をさらに備え、前記取得手段は、経路案内データを取得し、前記表示制御手段は、前記地図データに基づく地図と前記経路案内データに基づく案内経路と前記測位位置により特定される現在位置とを前記受け付けた操作入力に対応する表示態様で表示させ、前記復帰手段は、前記受け付けた操作入力が誤操作であると判定された場合に加えて、前記案内経路上の基準地点から所定の案内地点までの予想所要時間より当該基準地点からの経路案内実行時間を減算した減算結果が所定時間閾値以内であることを条件に、及び/または、前記測位位置により特定される前記案内経路上の現在位置が当該案内経路上の所定の案内地点より所定距離以内であることを条件に、前記誤操作に基づく表示態様を前記他の表示態様に復帰させることを特徴とする。
【0014】
前記地図表示装置の位置を測位する測位手段を備え、前記復帰手段は、前記受け付けた操作入力が誤操作であると判定された場合に、前記受け付けた操作入力に基づく表示態様を、前記地図の地図基準点が前記測位位置に基づいて定まる表示態様に復帰させることを特徴とする。
【0015】
前記地図表示装置の位置を測位する測位手段をさらに備え、前記取得手段は、経路案内データを取得し、前記表示制御手段は、前記地図データに基づく地図と前記経路案内データに基づく案内経路と前記測位位置により特定される現在位置とを前記受け付けた操作入力に対応する表示態様で表示させ、前記復帰手段は、前記受け付けた操作入力が誤操作であると判定された場合に、前記受け付けた操作入力に基づく表示態様を、前記地図の地図基準点が前記現在位置に基づいて定まる表示態様に復帰させることを特徴とする。
【0016】
前記地図表示装置は、ナビゲーションを提供するナビゲーション装置であり、前記復帰手段は、前記受け付けた操作入力が誤操作であると判定された場合に加えて、当該誤操作に対応する表示態様においてナビゲーションが中止されていることを条件に、当該ナビゲーションを開始する表示態様へ復帰させることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、地図表示装置における地図表示方法であって、地図データを取得する取得ステップと、ユーザによる操作入力を受け付ける受付ステップと、前記地図データに基づく地図を、複数の表示態様の中から前記受け付けた操作入力に対応する表示態様で表示させる表示制御ステップと、前記受け付けた操作入力が誤操作か否かを、当該操作入力の入力時間及び/又は当該操作入力の入力回数と、前記操作入力の受付時から経過した無操作時間と、に基づいて判定する判定ステップと、前記受け付けた操作入力が誤操作であると判定された場合に、当該誤操作に基づく表示態様を前記複数の表示態様中の他の表示態様に復帰させる復帰ステップと、を備えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとしても成立する。このプログラムは、CD−ROM等の光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記録媒体を通じて、又は通信ネットワークなどを介してダウンロードすることにより、コンピュータにインストール又はロードすることができる。
【0019】
また、本明細書等において、手段とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その手段が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの手段が有する機能が2つ以上の物理的手段により実現されても、2つ以上の手段の機能が1つの物理的手段により実現されてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、地図表示中の誤操作により地図表示の利便性が低下することを防止することが可能な地図表示装置を提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1によるナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1による端末装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1によるナビゲーションシステムの動作のフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態1によるナビゲーションシステムの動作のフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態1による誤操作対応処理を説明するための図である。
【図6】本発明の実施の形態2による端末装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、実施形態1では、地図表示装置がナビゲーションシステムに適用される場合について説明するが、本発明に係る地図表示装置は、ナビゲーションシステムに限られず、例えば、GPSによる測位データを利用して地図上にユーザの移動履歴を表示するようなシステムにも適用することが可能である。
【0023】
[実施形態1]
図1は、本発明の実施の形態1によるナビゲーションシステム1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、ナビゲーションシステム(地図表示システム)1は、ナビゲーションサーバ(地図サーバ)10、端末装置(地図表示端末)20を備えており、ナビゲーションサーバ10と端末装置20は、通信ネットワーク50を介して接続されている。
【0024】
ナビゲーションサーバ10は、CPU、ROMやRAM等のメモリ、各種の情報を格納する外部記憶装置、入力インタフェース、出力インタフェース、通信インタフェース及びこれらを結ぶバスを備える専用又は汎用のサーバ・コンピュータを適用することができる。なお、ナビゲーションサーバ10は、単一のコンピュータにより構成されるものであっても、通信ネットワーク50上に分散した複数のコンピュータにより構成されるものであってもよい。
【0025】
ナビゲーションサーバ10は、通信部11、記憶部12、経路探索部13、送信データ編集部14を備えている。通信部11、経路探索部13、および送信データ編集部14は、ナビゲーションサーバ10のCPUがROM等に格納された所定のプログラムを実行することにより実現される機能のモジュールに相当する。記憶部12は、ナビゲーションサーバ10のROMやRAM等のメモリ、外部記憶装置によって実現される。
【0026】
通信部11は、通信ネットワーク50を介して端末装置20と通信することにより、各種情報を送受信するためのインタフェースである。通信部11は、端末装置20から送信される経路探索条件を受け付ける受付手段としても機能する。
【0027】
記憶部12には、ガイダンスデータ、地図データ、道路ネットワークデータ等が記憶されている。ガイダンスデータは、交差点などの分岐ノードにおける右左折等を案内する音声パターンなどのデータを蓄積したデータベースである。
【0028】
地図データは、ベクタ方式やラスタ方式等で構成される地図データである。道路ネットワークデータは、道路の交差点、屈曲点、端点などをノードとし、各ノード間を結ぶ経路をリンクとし、ノードデータ(ノードの緯度及び経度)と、リンクデータ(リンク番号)と、全てのリンクのコスト情報(距離や所要時間)に関するリンクコストデータとを含むデータベースとして構成される。
【0029】
経路探索部13は、端末装置20から送信された経路探索条件に従い、道路ネットワークデータ等の探索用ネットワークデータを参照して、出発地から目的地までの最適経路を探索する機能を備える。このとき、出発地のノードから目的地のノードに至るリンクを順次探索し、リンクのコスト情報が最小となるリンクをたどって案内経路とすることによって、最適経路を探索することができる。このような経路探索の手法としてはラベル確定法やダイクストラ法などの周知の手法を利用することができる。「最適な」経路とは、出発地から目的地までのコスト情報が最小であることをいう。また、距離、料金、所要時間、その他のパラメータ、及び各種パラメータを任意に組み合わせたもの等、目的に応じてリンクのコスト情報を設定可能である。
【0030】
送信データ編集部14は、探索の結果得られた最適経路を、端末装置20に送信するための経路案内データに編集する機能を備える。また、編集した経路案内データを通信部11を介して端末装置20に送信する機能を備える。
【0031】
図2は、端末装置20の構成を示すブロック図である。端末装置20は、携帯電話機、携帯情報端末、携帯型ナビゲーション装置、ノートパソコン、その他の携帯可能な端末装置が該当するが、車に装着型のナビゲーション専用装置などであってもよい。
【0032】
端末装置20は、制御装置21、入力装置22、表示装置23を備える。制御装置21は、CPU、ROMやRAM等のメモリ、各種の情報を格納する外部記憶装置、入力インタフェース、出力インタフェース、通信インタフェース及びこれらを結ぶバスを備えている。制御装置21は、通信部211、GPS処理部212、地図経路データ取得部213、表示制御部214、操作受付部215、誤操作判定部216、復帰処理部217を備える。制御装置21が備える各部は、CPUがROM等に格納された所定のプログラムを実行することにより実現される機能のモジュールに相当する。
【0033】
通信部211は、通信ネットワーク50を介してナビゲーションサーバ10と通信するためのインタフェースである。
【0034】
GPS処理部212は、端末装置の位置を測位する位置測位手段としての機能を備える。GPS処理部212には、GPS受信機によりGPS衛星信号を受信し、端末装置20の位置(緯度及び経度)を測位する周知のGPS機能を適用することができる。
【0035】
地図経路データ取得部213は、入力装置22を介してユーザより入力された経路探索条件を、ナビゲーションサーバ10に送信するデータに編集し、通信部211を介してナビゲーションサーバ10に送信する機能と、ナビゲーションサーバ10から送信される経路案内データを取得する機能を備える。また、地図データの取得要求をナビゲーションサーバ10に送信し、ナビゲーションサーバ10から地図データを取得する機能を備える。
【0036】
表示制御部214は、GPS処理部212が測位した測位位置と、ナビゲーションサーバ10から受信した経路案内データ及び地図データに基づいて、案内経路、現在位置及び地図画像を、複数の表示態様の中から該当する一の表示態様で表示装置23へ表示させる機能を備える。なお、現在位置は、測位位置を案内経路上の所定位置(例えば最も近い位置)にルートマッチングさせた場合の当該所定位置とすることができる。
【0037】
地図画像を表示する際の複数の表示態様は、仕様や設計等に応じて適宜設定することができるが、例えば、地図を検索する地図モード、ナビゲーションを行うナビゲーションモード、ユーザの移動履歴を残す移動履歴モードなどがある。さらに、地図モードには、例えば、通常の地図表示モード、道路を強調して表示する道路モード、路線を強調して表示する鉄道モードなど複数のモードがあり、ナビゲーションモードには、例えば、地図を表示して案内をする地図ナビモード、地図を表示せずに音声のみで案内を行う音声ナビモードなど複数のモードを備えることができる。
【0038】
また、地図画面には、地図を表示する際に基準となる地図基準点(地図中心点)が設定されているところ、ある表示態様では、地図基準点は現在位置に基づいて定まるように設定される。従って、地図基準点が地図画面の略中央に設定されている場合、ユーザの現在位置は地図画面の略中央に常に位置するように地図が表示される。なお、地図基準点は、仕様や設計に応じて設定することができるが、ユーザによる読図性や経路認識性を向上させるように設定されることが望ましく、例えば地図検索の場合は、地図基準点が目的地と一致するようにしてもよい。
【0039】
操作受付部215は、入力装置22を介してユーザより操作入力を受け付けると、受け付けた操作入力に応じた所定の処理を実行する機能を備える。例えば、当該操作入力に応じた表示態様を複数の表示態様の中から決定し、当該決定した表示態様で地図や経路案内がディスプレイへ表示されるように表示制御部214を制御する。操作受付部215が受け付ける操作入力の内容は、ナビゲーションの設計や仕様に応じて適宜設定することができ、特に限定はないが、例えば、地図に対する操作(地図の移動、回転、拡張)、ナビゲーションに関連する操作(リルート、経由地変更、周辺検索、渋滞表示など)、POI情報(Point of Interest:例えば、地点、駅、店舗、施設、エリア、SA/PA)の追加、変更、削除、参照などの操作がある。また、注記情報の表示や案内画像の表示を指示する操作、各種設定(音量、自己アイコン変更、車種変更、速度変更など)の参照や変更の操作、各種表示モード(ナビゲーション、信号案内、ハイウェイ、矢印案内、テキスト案内、駅案内、鳥瞰、3D)の変更操作などがある。
【0040】
誤操作判定部216は、操作受付部215が受け付けた操作入力(対象操作入力)が誤操作か否かを判断する。具体的には、対象操作入力の入力時間及び/又は当該対象操作入力の入力回数と、対象操作入力の受付時から経過した無操作時間と、に基づいて判定することができる。例えば、誤操作判定部216は、対象操作入力の入力時間を計測し、当該計測した入力時間が規定入力時間(例:1秒)以内であるか否かを判定する。また、対象操作入力の入力回数を計測し、当該計測した入力回数が規定入力回数以下であるか否かを判定する。また、操作受付部215が対象操作入力を受け付けた時を起算点とした無操作時間の経過時間を計測し、当該計測した無操作時間が規定経過時間(例:30秒)を超えたか否かを判定する。なお、対象操作入力が複数の操作入力から構成される場合は最後の操作入力の受付時を起算点とする。そして、対象操作入力の入力時間が規定入力時間以内である場合、及び/又は、対象操作入力の入力回数が規定入力回数以下である場合において、無操作時間が規定経過時間を超えたことを条件に、当該対象操作入力は誤操作と判定する。なお、規定入力時間、規定入力回数、規定経過時間は、仕様や設計に応じて適宜設定することができ、予めデフォルトで設定してもよいし、ユーザが自ら設定できるようにしてもよい。
【0041】
復帰処理部217は、誤操作判定部216により対象操作入力が誤操作であると判定された場合に、表示制御部214を制御して、誤操作に対応する表示態様を所定の他の表示態様に復帰させる。所定の他の表示態様は、仕様や設計に応じて適宜設定することができるが、地図やナビゲーションを利用中のユーザの利便性が損なわれない表示態様が設定される。例えば、誤操作により地図基準点が現在位置からずれている場合には、地図基準点を現在位置(またはGPSによる測位点)に移動させるようにしたり、誤操作によりナビゲーションが中止している場合には、ナビゲーションを再開させるようにしたりすることができる。なお、復帰処理部217による復帰処理の詳細については後述する。
【0042】
入力装置22は、ユーザによる操作及び入力のためのものであり、数字キーやアルファベットキー、その他の機能キー、選択キー、スクロールキーを操作して種々の入力操作を行うキーボードやボタン、出力手段である表示装置23に表示されるメニュー画面のメニューや地図画面を操作して入力操作を行うタッチパネルなどとすることができる。なお、キーボードやボタンを物理キーともいう。
【0043】
表示装置23には、メニュー画面や探索された案内経路及び地図などが表示される。ユーザは、ナビゲーションサーバ10に経路探索を依頼する場合、入力装置22を操作し、サービスメニュー画面や所定の入力画面を表示装置23に表示して、出発地や目的地などの経路探索条件を入力する。出発地として現在位置を選択すると、GPS処理部212が測位した測位位置が出発地として使用される。また、ユーザが住所を直接入力したり地図上の所定位置を現在位置として直接指定してもよい。
【0044】
通信ネットワーク50は、ナビゲーションサーバ10と端末装置20との間で情報を送受信するための通信回線である。例えば、インターネット、LAN、専用線、パケット通信網、電話回線、企業内ネットワーク、その他の通信回線、それらの組み合わせ等のいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。
【0045】
次に、ナビゲーションシステム1の動作について説明する。
【0046】
図3は、端末装置20の動作のフローチャートである。なお、後述の各処理ステップは、処理内容に矛盾を生じない範囲で、任意に順番を変更して又は並列に実行することができるとともに、各処理ステップ間に他のステップを追加してもよい。また、便宜上1ステップとして記載されているステップは、複数ステップに分けて実行することができる一方、便宜上複数ステップに分けて記載されているものは、1ステップとして把握することができる。
【0047】
ステップS1では、GPS処理部212は、端末装置20の位置を所定タイミング(例:1秒)にて測位して端末装置20のメモリ等に記憶する。
【0048】
ステップS2では、地図経路データ取得部213は、ユーザにより入力された経路探索条件を、通信部211を介してナビゲーションサーバ10に送信する。ナビゲーションサーバ10に送信される経路探索条件には、出発地と目的地の情報が含まれる。出発地と目的地は、ユーザが入力装置22を介して入力することができる。また、出発地として現在位置が選択された場合には、GPS処理部212が測位した測位位置が出発地とされる。また、ユーザが入力装置22を操作して住所や地図上の所望の地点を入力した場合は、当該入力された地点が出発地として使用される。
【0049】
ナビゲーションサーバ10は、端末装置20から経路探索条件を受信すると、経路探索部13において出発地から目的地までの最適経路を探索する。
【0050】
さらに、送信データ編集部14において、探索の結果得られた最適経路を端末装置20に送信するための経路案内データに編集する。経路案内データには、出発地から目的地までの経路上にある交差点などの分岐等(案内ポイント(案内地点))の属性情報が含まれる。属性情報には、案内ポイントの座標(緯度、経度情報)、次の案内ポイントまで(または前の案内ポイントから)の経路の座標点列、道路種別、案内ポイントの名称、名称のよみがな、案内ポイントにおける進行角度情報、案内ポイントにおける案内用画像、案内用音声データ、案内ポイントの種別(交差点、料金所等)等が含まれる。送信データ編集部14は、編集した経路案内データを、通信部11を介して端末装置20に送信する。
【0051】
ステップS3では、端末装置20の地図経路データ取得部213は、ナビゲーションサーバ10から通信部211を介して経路案内データを受信し、受信した経路案内データを端末装置20のメモリ等に記憶する。
【0052】
ステップS4では、地図経路データ取得部213は、通信部211を介してナビゲーションサーバ10にGPS処理部212が測位した測位位置周辺の地図データ要求を送信する。
【0053】
ナビゲーションサーバ10は、端末装置20から地図データ要求を受信すると、測位位置周辺の地図データを記憶部12から取得し、通信部11を介して端末装置20に地図データを送信する。
【0054】
ステップS5では、端末装置20の地図経路データ取得部213は、ナビゲーションサーバ10から通信部211を介して地図データを受信し、受信した地図データを端末装置20のメモリ等に記憶する。
【0055】
ステップS6では、端末装置20の表示制御部214は、案内経路、現在位置、地図画像を含む経路案内画面(ナビゲーション画面)を所定の表示態様で表示装置23に表示する。なお、ここでは、所定の表示態様は、地図基準点が現在位置と一致する場合のナビゲーションモードであるものとする。
【0056】
ステップS7では、端末装置20の操作受付部215は、入力装置22を介してユーザから何らかの操作入力を受け付けたか否かを判定する。そして、判定結果が是である場合は(YES)、ステップS8に進み、判定結果が否である場合は(NO)、操作受付部215は、ステップS10に進む。
【0057】
ステップS8では、操作受付部215は、当該操作入力に応じた所定の処理を実行する。具体的には、当該操作入力に応じた表示態様を決定し、決定した表示態様で地図や案内経路を表示装置23に表示させる。なお、ここでは、受け付けた操作入力がユーザの誤操作である場合について説明する。図5は、ナビゲーション中に受け付けた誤操作入力によって表示態様が変更され、ナビゲーションが停止した場合の様子を示している。同図に示すように、誤操作前のナビゲーション中の画面G1には、現在位置Pが地図基準点Qと一致する地図Aが表示されているところ、誤操作入力が発生した結果、画面G2には、地図基準点Q上に現在位置Pが表示されていない地図Bが表示され、ナビゲーションも停止していることがわかる。
【0058】
ステップS9では、操作受付部215は、誤操作対応処理を実行する。具体的には、受け付けた操作入力が誤操作であったか否かを後述する誤操作判断基準に従って判断し、誤操作であった場合は、所定の復帰処理を実行する。なお、誤操作対応処理の詳細については、後述する。
【0059】
ステップS10では、端末装置20は、GPS測位位置に基づいて目的地に到着しているか否かを判定し、到着していれば(YES)、処理を終了する。一方、目的地に到着していない場合には、ステップS11に進む。
【0060】
ステップS11では、端末装置20は、経路案内画面に表示する地図データの取得が必要か否か判断する。目的地までの地図データは一括で取得していない場合は、端末装置20は目的地へ到着するまでの間、通信ネットワーク50を介してナビゲーションサーバ10から現在位置付近の地図データを取得する必要がある。端末装置20は、地図データの取得が必要と判断した場合(YES)には、ステップS4に移行する。また、地図データの取得が不要と判断した場合(NO)には、ステップS6へ移行する。
【0061】
次に、図4を用いて端末装置20による誤操作対応処理(図3のステップS9)の流れについて説明する。
【0062】
ステップS91にて、誤操作判定部216は、現在の端末装置20の状態が、地図を表示中の状態であるか否かを判定し、地図を表示中である場合は(YES)、ステップS92へ進み、地図を表示中でない場合は(NO)、誤操作による地図表示の利便性が低下することもないので、誤操作対応処理を終了する。なお、誤操作判定部216は、現在の状態がナビゲーション中や現在地表示中などの状態であるか否かを判定し、これらの判定結果に応じてステップS92へ進むか否かを決定してもよい。
【0063】
ステップS92にて、誤操作判定部216は、図3のステップ7にて受け付けたユーザの操作入力(以下「対象操作」という。)が誤操作か否かを、端末装置20が、現在所定の地図操作状態にあるか否か又は現在所定の地図表示状態にあるか否かに基づいて判定する。所定の地図操作又は所定の地図表示の内容は、ナビゲーションシステム1が提供する地図やナビゲーションの内容に応じて適宜設定することができるが、例えば、地図に対する操作(地図の移動、回転、拡張など)、ナビゲーションに関連する操作(リルート、経由地変更、周辺検索、渋滞表示など)、POI情報(Point of Interest:例えば、地点、駅、店舗、施設、エリア、SA/PA)の追加、変更、削除、参照などの操作が該当する。また、地図上の注記情報の表示や案内画像の表示を指示する操作、各種設定(音量、自己アイコン変更、車種変更、速度変更など)の参照や変更の操作、各種表示モード(ナビゲーション、信号案内、ハイウェイ、矢印案内、テキスト案内、駅案内、鳥瞰、3D)の変更操作なども含まれる。なお、所定の地図操作状態及び地図表示状態は、上記各操作状態又は表示状態のうちの少なくとも1つ又は任意の組み合わせとすることができる。端末装置20が、これらの操作状態又は表示状態にある場合には、対象操作はユーザの意図に沿った操作であると考えられので、誤操作の対象から外すことができる。なお、誤操作判定部216は、例えば、所定の記憶領域に格納された地図操作/表示状態のリストを参照することにより、上記判定を行うことができる。
【0064】
ステップS92にて、誤操作判定部216は、現在所定の地図操作/表示状態にないと判定した場合は(S92のNO)、ステップS93へ進み、現在所定の地図操作/表示状態にあると判定した場合は(S92のYES)、対象操作はユーザの意図した操作である(=誤操作ではない)と判定し、誤操作対応処理を終了する。
【0065】
ステップS93にて、誤操作判定部216は、対象操作が誤操作か否かを所定の無操作条件を満たすか否かによって判定する。そして、無操作条件を満たすと判定した場合は(YES)、対象操作は誤操作であると判定してステップS94へ進み、無操作条件を満たさないと判定した場合は(NO)、対象操作は誤操作ではないと判定して、誤操作対応処理を終了する。
【0066】
なお、無操作条件は、操作受付部215が操作入力を受け付けていない無操作時間に基づいて設定することができ、誤操作判定部216が参照するため所定の記憶領域に記憶される。また、無操作時間は、例えば操作受付部215が対象操作を受け付けた時点から起算することができる。操作受付部215が受け付ける操作には、タッチパネルを介して入力される操作と、物理キーを介して入力される操作がある。
【0067】
誤操作判定部216は、無操作条件の第1の例として、対象操作を受け付けた後の無操作時間が規定時間(例:30秒)を超えた場合、対象操作は無操作条件を満たし(YES)、誤操作であると判定することができる。例えば対象操作が誤操作である場合は、次の操作が入力される可能性は少ないと考えられるからである。
【0068】
また、無操作条件は、対象操作の入力時間、対象操作の入力回数、又は、対象操作の入力時間と入力回数の組み合わせに基づいて設定することもできる。
【0069】
例えば、無操作条件の第2の例として、対象操作が規定時間(例:1秒)以内で行われた後、無操作時間が規定時間(例:30秒)を超えた場合は、対象操作は無操作条件を満たすと判定してもよい。例えばユーザがうっかりタッチパネルに触れてしまったような場合は、対象操作の入力時間は短いと考えられるからである。
【0070】
また、無操作条件の第3の例として、対象操作が規定回数(例:1回)以内かつ規定時間(例:1秒)以内で行われた後、無操作時間が規定時間(例:30秒)を超えた場合は、対象操作は無操作条件を満たすと判定してもよい。例えばユーザがうっかりタッチパネルに触れてしまったような場合は、対象操作の入力回数は少なく、入力時間も短いと考えられるからである。
【0071】
なお、上述した規定時間及び規定回数は、仕様や設計に応じて適宜これを設定することができ、例えば、予め端末装置20において固定設定してもよいし、ユーザが任意に設定できるようにしてもよい。また、操作入力の種類に応じて規定時間や規定回数が異なるように設定してもよい。また、無操作条件は、上記第1の例〜第3の例のうちの少なくとも1つ又は任意の組み合わせとすることができ、他の条件を追加してもよい。
【0072】
他の条件の一例として、端末装置の使用状態に基づいて無操作状態を判定することができる。具体的には、端末装置20が備える加速度センサ(図示せず)が計測した加速度が所定加速度閾値以下であるか否かを判定し、判定結果が是である場合は、無操作時間が規定時間(例:30秒)を超えたことを条件に、対象操作は無操作条件を満たすと判定してもよい。例えば、ユーザが端末装置20を机上に置かれた静止状態のカバンやポケットにしまった状態で、うっかりタッチパネルに触れるなどして誤操作が発生した場合には、端末装置20は静止状態にあると考えられるからである。なお、所定加速度閾値は、設計に応じて適宜設定することができる。
【0073】
ステップS94にて、復帰処理部217は、端末装置20が所定のトリガ条件を満たすか否かを判定し、所定のトリガ条件を満たすと判定した場合は(YES)、誤操作に基づいて処理された地図画面の表示態様を所定の他の表示態様に復帰させるためにステップS95へ進み、一方、トリガ条件を満たさないと判定した場合は(NO)、誤操作対応処理を終了する。
【0074】
なお、トリガ条件は、誤操作に基づく表示態様を他の表示態様に復帰させるのに適したタイミングを設定することができ、復帰処理部217が参照するため所定の記憶領域に記憶される。
【0075】
トリガ条件の第1の例として、復帰処理部217は、ユーザが案内経路上の案内ポイント(音声案内または画像案内が行われる所定の案内地点)に近づいた場合にトリガ条件を満たすとすることができる。具体的には、ユーザが案内ポイントに近づいたか否かを判定する第1の条件として、案内経路上の基準地点から所定の案内地点に到着するまでに要する予想所要時間(例:10分)を算出し、この予想所要時間より当該基準地点からの経路案内実行時間を減算した減算結果が所定時間閾値(例:5分)以内となった場合は、ユーザが案内ポイントに近づいたと判定する方法がある。基準地点は、例えば出発地点が該当し、案内ポイントが複数ある場合は、対象となる案内ポイントの1つ前の案内ポイントとしてもよい。予想所要時間は、基準地点から案内地点までの距離と予測移動速度とに基づいて算出する。予測移動速度は、例えば、経路検索の際にユーザに移動手段(徒歩、車)や速度情報(徒歩=ゆっくり/早く、車=軽自動車/一般自動車(普通車)/大型車)を選択させ、選択された移動手段や移動情報に基づいて決定することができる。また、ユーザが予測速度情報や予想所要時間を直接入力するようにしてもよい。さらにまた、GPS処理部212による測位位置と測位時刻(又は、ルートマッチされた経路上の現在位置と測位時刻)からユーザの予想移動速度を算出するようにしてもよい。なお、経路案内実行時間は、基準時点からの経路案内の実行に伴い経過した時間である。
【0076】
また、第2の条件としては、案内ポイントにユーザが到着する到着予想時刻(例:13時10分)を、基準地点から案内地点までの距離と予測移動速度とに基づいて算出し、現在時刻が到着予想時刻より所定時間(例:5分)以内となった場合は、ユーザが案内ポイントに近づいたと判定する方法がある。案内ポイントが複数ある場合は、案内ポイントごとに到着予想時刻を算出する。なお、ユーザが到着予想時刻を直接入力するようにしてもよい。
【0077】
また、第3の条件としては、現在位置の座標が、案内経路ポイントの座標から所定距離範囲内に含まれるか否かを判定する方法もある。第1、第2及び第3の条件は、いずれか1つを採用してもよいし、2つ以上を任意に組み合わせてもよい。ナビゲーション中の案内は、交差点など経路上特に重要な地点でユーザの注意を惹きつけるために行われるので、ユーザに適切な案内経路画面を確認させることが望ましいところ、当該構成によれば、ユーザが画面を確認するタイミングに合わせて復帰処理を行うことができる。
【0078】
また、トリガ条件の第2の例として、復帰処理部217は、ユーザの動作(モーション)が所定の動作である場合にトリガ条件を満たすと判定することができる。具体的には、端末装置20が備える加速度センサ(図示せず)が計測した加速度が所定加速度閾値以上であるか否かを判定し、判定結果が是である場合に、トリガ条件を満たすと判定する。所定加速度閾値は、設計に応じて適宜設定することができる。当該構成によれば、例えば、ユーザが端末装置20をポケットやカバンから取り出して使用するタイミングなどに合わせて復帰処理を行うことができる。
【0079】
また、トリガ条件の第3の例として、復帰処理部217は、端末装置20の状態が所定の状態に変更したか否かを判定し、判定結果が是である場合に、トリガ条件を満たすとすることができる。所定の状態とは、例えば、端末装置20がサスペンド状態から復帰する状態などが該当する。当該構成によれば、端末装置20が不使用状態から使用状態へ移行するタイミングに合わせて復帰処理を行うことができる。
【0080】
また、トリガ条件の第4の例として、復帰処理部217は、端末装置20の画面表示スタイルが、所定のスタイルに変更した場合に、トリガ条件を満たすとすることができる。所定のスタイルとは、例えば、画面表示スタイルが、所定の情報を縦画面(縦方向)に従って表示する縦画面スタイルと横画面(横方向)に沿って表示する横画面スタイルとを有する場合における横画面スタイルが該当する。例えば、端末装置20が、表示部と操作キーをそれぞれ有する一対の筺体がヒンジ部を介して折り畳み可能、かつ、表示部を有する筺体がヒンジ部を中心に回動可能に構成されている場合において、横画面スタイルは、ユーザが、表示部側筺体を操作キー側筺体に対して所定角度回転させることにより利用可能となる。また、端末装置20が表示部と操作キーがひとかたまりの棒状形態に構成されている場合は、縦画面スタイルの端末装置20を例えば左方向へ略90度回転させることにより横画面スタイルとして利用することができる。例えば、ナビゲーションにおける地図表示は、横画面スタイルのほうが、視認性が高く、操作も容易である場合がある。そこで、復帰処理部217は、端末装置20が備える角度センサ(図示せず)が計測した角度が、所定角度閾値以下であるか否かを判定し、判定結果が是である場合に、画面スタイルが横画面スタイルであると判定する。なお、角度センサを使わない例として、端末装置20が画面スタイルの判定機能を別途備える場合は、当該判定機能を利用することもできる。復帰処理部217は、当該端末装置20より現在の画面スタイル(表示方向)を指定する画面スタイル指定情報(表示方向指定情報)を取得し、この取得した画面スタイル指定情報に基づいて現在の画面スタイルが横画面スタイルであると判定してもよい。当該構成によれば、ナビゲーションにより適した画面スタイルに合わせて復帰処理を行うことができる。
【0081】
また、トリガ条件の第5の例として、誤操作判定部216は、所定の状態復帰指示がユーザより入力されたか否かを判定し、判定結果が是である場合に、トリガ条件を満たすとすることができる。所定の状態復帰指示は、設計に応じて適宜設定することができるが、例えば、所定の音声入力、所定ボタンを所定回数(例:2回)押下、タッチパネルにて地図を所定回数(例:2回)タッチするなど簡易な作業を設定することができる。当該構成によれば、ユーザに操作負担をかけずに当該ユーザの指示に応じて復帰処理を行うことができる。
【0082】
また、トリガ条件の第6の例として、誤操作判定部216は、GPS処理部212による位置の測位が誤操作により中断された場合において、その後再び測位が開始された場合に、トリガ条件を満たすとすることができる。当該構成によれば、ユーザの現在位置を案内経路上で更新できるタイミングに応じて復帰処理を行うことができる。
【0083】
なお、トリガ条件は、上記第1の例〜第6の例のうちの少なくとも1つ又は任意の組み合わせとすることができる。
【0084】
トリガ条件を満たした場合、ステップ95にて、復帰処理部217は、誤操作に基づいて処理された地図画面の表示態様を所定の表示態様に復帰させるための復帰処理を実行する。所定の表示態様は、地図及びナビゲーションへの視認性が下がらないように設定することができる。
【0085】
復帰処理の第1の例として、復帰処理部217は、現在表示中の地図の地図基準点が現在位置(ルートマッチされた案内経路上の位置)と一致するように、さらに、規定のナビゲーション動作状態(ナビ動作状態)となるように、表示態様を変更する。規定のナビ動作状態は、例えば、対象操作前のナビ動作状態が該当し、対象操作前のナビ動作状態がナビゲーション中であり、対象操作によりナビが中止してしまった場合には、対象操作前のナビ動作状態へ復帰すべく、ナビを再開することができる。一方、対象操作前のナビ動作状態がナビ停止中であり、対象操作によりナビが実行されてしまった場合には、対象操作前のナビ動作状態へ復帰すべく、ナビを停止することができる。当該構成によれば、誤操作により現在位置が地図から消えてしまった場合でも、自動的に現在位置を地図基準点とした地図に復帰するので、地図確認が容易になる。さらに、例えば、誤操作によりナビが停止してしまった場合にも、自動的にナビが開始されるので案内経路に沿ったスムーズな移動が可能になる。
【0086】
図5は、地図画面が、ナビゲーション中に受け付けた誤操作入力によって表示態様が変更された後、ナビゲーション前の表示態様に復帰した場合の様子を示している。同図に示すように、誤操作時の画面G2では、現在位置Pを含まない地図Bが表示され、ナビゲーションも停止している。一方、復帰処理実行後の画面G3では、現在位置Pが地図基準点Q上に位置する地図Cが表示され、ナビゲーションも再開していることがわかる。
【0087】
また、復帰処理の第2の例として、復帰処理部217は、現在表示中の地図の地図基準点がGPS測位位置と一致するように、さらに、規定のナビ動作状態となるように、表示態様を変更する。当該構成によれば、誤操作により現在位置が地図から消えてしまった場合でも、自動的にGPS測位位置を基準点とした地図に復帰するので、地図確認が容易になる。さらに、例えば、誤操作によりナビが停止してしまった場合にも、自動的にナビが開始されるので案内経路に沿ったスムーズな移動が可能になる。
【0088】
また、復帰処理の第3の例として、復帰処理部217は、現在の地図画面のナビモードが規定のナビモード(例:デフォルト、誤操作前のナビモード)となるように表示態様へ変更する。ナビモードが複数ある場合(例えば、地図を表示して案内をする地図ナビモードと地図を表示せずに音声のみで案内を行う音声ナビモードなど)に、誤操作によりユーザが意図しないナビモードへ変更した場合でも、デフォルト又は誤操作前のナビモードのナビモードへ自動的に復帰させることができる。
【0089】
また、復帰処理の第4の例として、復帰処理部217は、現在の地図モードが規定の地図モード(例:デフォルト、誤操作前の地図モード)となるように表示態様を変更する。地図モードが複数ある場合(例えば、通常の地図、道路を強調する道路モード、路線を強調する鉄道モードなど)に、誤操作によりユーザが意図しない地図モードへ変更した場合でも、デフォルト又は誤操作前の地図モードへ自動的に復帰させることができる。
【0090】
また、復帰処理の第5の例として、復帰処理部217は、現在の地図の縮尺が規定の縮尺(例:デフォルト、誤操作前の縮尺)となるように表示態様を変更する。ユーザが任意に縮尺を選択可能な構成において、誤操作によりユーザが意図しない縮尺へ変更した場合でも、デフォルト又は誤操作前の縮尺へ自動的に復帰させることができる。
【0091】
また、復帰処理の第6の例として、復帰処理部217は、現在の地図回転モードが規定(例:デフォルト、誤操作前の地図回転モード)の地図回転モードとなるように表示態様を変更する。地図回転モードが複数ある場合(例えば、タッチパネルへのタッチにより回転させるモードや、端末装置20を向けた方向に応じて回転させるモードなど)に、誤操作によりユーザが意図しない地図回転モードへ変更した場合でも、デフォルト又は誤操作前の地図回転モードへ自動的に復帰させることができる。
【0092】
また、復帰処理の第7の例として、復帰処理部217は、現在の基本設定を規定の基本設定(例:デフォルト、誤操作前の基本設定)となるように表示態様を変更する。当該構成によれば、誤操作によりユーザが意図しない基本設定へ変更した場合でも、デフォルト又は誤操作前の基本設定へ自動的に復帰させることができる。
【0093】
なお、復帰処理の対象となる表示態様は、上記第1の例〜第7の例に限られず、仕様や設計等に応じて適宜設定することができる。
【0094】
以上のように、本実施形態によれば、地図表示中にユーザより操作入力を受け付けた場合は、当該操作入力が誤操作であるか否かを判定し、誤操作であると判定した場合は、例えば誤操作入力前の表示態様に地図やナビゲーションを復帰させるので、誤操作により地図表示の利便性が低下することを防止することが可能なる。
【0095】
[実施形態2]
実施形態2では、実施形態1の端末装置20が歩数計機能を備える場合について説明する。図6は、端末装置20の構成を示すブロック図である。実施形態2の端末装置20が、実施形態1の端末装置20(図2)と異なる点は、歩数計処理部218を備える点である。
【0096】
歩数計処理部218は、ユーザの歩行時における体の上下方向の振動を検知することによって利用者の歩数を計測する歩数計測機能を有する。歩数を計測する歩数計測機能には、例えば、端末装置20内部に取り付けられた振り子の動きによって歩数をカウントする振り子式や、一定時間あたりの速度変化を計測する加速度センサを利用して歩数をカウントする加速度センサ式などの周知の歩数計測技術を適用することができる。また、歩数計処理部218は、計測された歩数に基づいて歩行距離を算出する歩行距離算出機能を有する。歩行距離は、例えば、所定の歩幅値に計測された歩行数を乗じることによって算出することができる。
【0097】
実施形態2における端末装置20の動作の流れについて説明する。
【0098】
図3のステップS1〜ステップ6に従い、端末装置20はナビゲーションを提供する。そして、ステップS7にて、操作受付部215は、歩数計使用開始の操作入力を受け付けると(YES)、ステップS8にて、歩数計処理部218にその旨を指示し、歩数及び歩行距離の算出を開始させる。また、ナビゲーションを実行中の場合には、ナビゲーションを中止し、地図の表示態様を非ナビゲーション表示態様へ変更する。
【0099】
ステップ9にて、端末装置20は、実施形態1にて上述したように図4に示す誤操作判定処理を実行し、歩数計使用開始の操作入力が誤操作である場合は、歩数及び歩行距離の算出を中止して、ナビゲーションを再開させる。
【0100】
以上の構成によれば、ナビゲーション中に歩数計使用開始が誤操作によって入力された場合にも、自動的にナビゲーションが再開されるのでユーザの利便性を損なうことを回避できる。
【0101】
[その他の実施形態]
本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。
【0102】
(1)例えば、端末装置20は、ナビゲーションサーバ10の経路探索部13及び送信データ編集部14の機能を備え、記憶部12のガイダンスデータ、地図データ、道路ネットワークデータ等を記憶装置に蓄積することにより、ナビゲーションサーバ10の経路探索機能を備えることができる。これにより、端末装置20は、ナビゲーションサーバ10と通信を行わずに単独で上記ナビゲーションサービスをユーザに提供することができる。
【0103】
(2)また、操作受付部215は、入力装置22を介して受け付けた操作入力が所定の無効化条件を満たす場合は、当該操作入力に応じた処理(例:地図の表示態様の変更)を実行せず、当該操作入力そのものを無効にしてもよい。所定の無効化条件は、設計に応じて設定することができるが、例えば、操作入力が所定時間(例:0.5秒)以内という内容を設定することができる。これによれば、無効化条件に合致する操作入力は無効とされ、該当する地図表示の変更も実行されないので、誤操作による地図表示の利便性が低下することを防止することができる。
【符号の説明】
【0104】
1 ナビゲーションシステム、10 ナビゲーションサーバ、11 通信部、12 記憶部、13 経路探索部、14 送信データ編集部、20 端末装置、21 制御装置、22 入力装置、23 表示装置、211 通信部、212 GPS処理部、213 地図経路データ取得部、214 表示制御部、215 操作受付部、216 誤操作判定部、217 復帰処理部、50 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データを取得する取得手段と、
ユーザによる操作入力を受け付ける受付手段と、
前記地図データに基づく地図を、複数の表示態様の中から前記受け付けた操作入力に対応する表示態様で表示させる表示制御手段と、
前記受け付けた操作入力が誤操作か否かを、当該操作入力の入力時間及び/又は当該操作入力の入力回数と、前記操作入力の受付時から経過した無操作時間と、に基づいて判定する判定手段と、
前記受け付けた操作入力が誤操作であると判定された場合に、当該誤操作に基づく表示態様を前記複数の表示態様中の他の表示態様へ復帰させる復帰手段と、
を備えることを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記判定手段は、
前記操作入力の入力時間が所定入力時間以内である場合、及び/又は、当該操作入力の入力回数が所定入力回数以下である場合において、前記無操作時間が所定経過時間を超えたことを条件に、前記受け付けた操作入力が誤操作と判定することを特徴とする請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記表示制御手段が前記地図をディスプレイの縦方向及び横方向のいずれの方向にも表示可能である場合に、当該地図の表示方向を指定する表示方向指定情報を取得する取得手段をさらに備え、
前記復帰手段は、
前記受け付けた操作入力が誤操作であると判定された場合に加えて、前記取得された表示方向指定情報が横方向表示を指定していることを条件に、前記誤操作に基づく表示態様を前記他の表示態様に復帰させることを特徴とする請求項1または2に記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記地図表示装置の角度を計測する角度センサをさらに備え、
前記復帰手段は、
前記受け付けた操作入力が誤操作であると判定された場合に加えて、前記計測された角度が所定角度閾値以下であることを条件に、前記誤操作に基づく表示態様を前記他の表示態様に復帰させることを特徴とする請求項1または2に記載の地図表示装置。
【請求項5】
前記地図表示装置の加速度を検出する加速度センサをさらに備え、
前記復帰手段は、
前記受け付けた操作入力が誤操作であると判定された場合に加えて、前記検出した加速度が所定加速度閾値以上であることを条件に、前記誤操作に基づく表示態様を前記他の表示態様に復帰させることを特徴とする請求項1または2に記載の地図表示装置。
【請求項6】
前記地図表示装置の位置を測位する測位手段をさらに備え、
前記取得手段は、
経路案内データを取得し、
前記表示制御手段は、
前記地図データに基づく地図と前記経路案内データに基づく案内経路と前記測位位置により特定される現在位置とを前記受け付けた操作入力に対応する表示態様で表示させ、
前記復帰手段は、
前記受け付けた操作入力が誤操作であると判定された場合に加えて、前記案内経路上の基準地点から所定の案内地点までの予想所要時間より当該基準地点からの経路案内実行時間を減算した減算結果が所定時間閾値以内であることを条件に、及び/または、前記案内経路上の現在位置が前記所定の案内地点より所定距離以内であることを条件に、前記誤操作に基づく表示態様を前記他の表示態様に復帰させることを特徴とする請求項1または2に記載の地図表示装置。
【請求項7】
前記地図表示装置の位置を測位する測位手段をさらに備え、
前記復帰手段は、
前記受け付けた操作入力が誤操作であると判定された場合に、前記受け付けた操作入力に基づく表示態様を、前記地図の地図基準点が前記測位位置に基づいて定まる表示態様に復帰させることを特徴とする請求項1または2に記載の地図表示装置。
【請求項8】
前記地図表示装置の位置を測位する測位手段をさらに備え、
前記取得手段は、
経路案内データを取得し、
前記表示制御手段は、
前記地図データに基づく地図と前記経路案内データに基づく案内経路と前記測位位置により特定される現在位置とを前記受け付けた操作入力に対応する表示態様で表示させ、
前記復帰手段は、
前記受け付けた操作入力が誤操作であると判定された場合に、前記受け付けた操作入力に基づく表示態様を、前記地図の地図基準点が前記現在位置に基づいて定まる表示態様に復帰させる特徴とする請求項1または2に記載の地図表示装置。
【請求項9】
前記地図表示装置は、ナビゲーションを提供するナビゲーション装置であり、
前記復帰手段は、
前記受け付けた操作入力が誤操作であると判定された場合に加えて、当該誤操作に対応する表示態様においてナビゲーションが中止されていることを条件に、当該ナビゲーションを開始する表示態様へ復帰させることを特徴とする請求項1または2に記載の地図表示装置。
【請求項10】
地図表示装置における地図表示方法であって、
地図データを取得する取得ステップと、
ユーザによる操作入力を受け付ける受付ステップと、
前記地図データに基づく地図を、複数の表示態様の中から前記受け付けた操作入力に対応する表示態様で表示させる表示制御ステップと、
前記受け付けた操作入力が誤操作か否かを、当該操作入力の入力時間及び/又は当該操作入力の入力回数と、前記操作入力の受付時から経過した無操作時間と、に基づいて判定する判定ステップと、
前記受け付けた操作入力が誤操作であると判定された場合に、当該誤操作に基づく表示態様を前記複数の表示態様中の他の表示態様に復帰させる復帰ステップと、
を備えることを特徴とする地図表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−117831(P2012−117831A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265167(P2010−265167)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(500578216)株式会社ゼンリンデータコム (231)
【Fターム(参考)】