基地局および移動局
【課題】移動局において、基地局との通話可能圏内に存在しない場合の移動局間通信による遭難信号送信方式を提供することで、通信可能圏外からの救助要請を可能とする。
【解決手段】移動局200−Aは、なんらかの理由で基地局100およびその他基地局の通信圏内に移動できなくなった場合、任意に動作によりGPS受信プログラムを実行して位置情報を取得する。移動局200−Aは、他の移動局に向けて位置情報を含む移動局向け遭難信号を送信する。移動局200−Aから移動局向け遭難信号を受信した移動局200−Cは、基地局100に対し、基地局向け遭難信号を送信する。移動局200−Cからの基地局向け遭難信号受信した基地局100は、避難信号を行政機関に通報する。
【解決手段】移動局200−Aは、なんらかの理由で基地局100およびその他基地局の通信圏内に移動できなくなった場合、任意に動作によりGPS受信プログラムを実行して位置情報を取得する。移動局200−Aは、他の移動局に向けて位置情報を含む移動局向け遭難信号を送信する。移動局200−Aから移動局向け遭難信号を受信した移動局200−Cは、基地局100に対し、基地局向け遭難信号を送信する。移動局200−Cからの基地局向け遭難信号受信した基地局100は、避難信号を行政機関に通報する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局および移動局に係り、特に移動局間の通信により、基地局の通信圏外の移動局が発信した遭難信号を基地局に至らせる基地局および移動局に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の無線通信システムにおいて、通信圏外におけるデータの送信および受信は不可能とされてきた。そのため、通信圏外時に災害等にあうと携帯端末からは救助要請を行なうことができないでいるのが現状である。
【0003】
以下の特許文献1では、携帯電話端末に緊急信号発信機能を具備することにより、基地局の通信圏内では、緊急時における早急な救助要請を行なうことができる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−095045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
移動局は、基地局を介して公衆回線網へ接続することのできる無線端末である。そのため、移動局は、基地局との通信圏内に存在しない場合は、公衆回線網へアクセスすることができず、緊急時などでも救助を要請することができない。
【0006】
そこで、本発明では、移動局において、基地局との通話可能圏内に存在しない場合の移動局間通信による遭難信号送信方式を提供することで、通信圏外からの救助要請を可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題は、第1の移動局との通信を行なう通信制御部と、第1の移動局が転送した第2の移動局からの遭難信号を監視する遭難信号監視部と、遭難信号を転送する遭難信号転送部と、から成り、通信圏外に位置する第2の移動局からの遭難信号を検出したとき、登録された行政機関へ遭難信号を転送する基地局により、達成できる。
【0008】
また、基地局および他の移動局と通信を行なう通信制御部と、現在の電波状況を監視する電波状況監視部と、第1の移動局より送信された遭難信号を監視する遭難信号監視部と、GPS情報を取得するGPS制御部と、から成り、第1の移動局からの遭難信号を基地局または第2の移動局に転送する移動局により、達成できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、移動局は、基地局の通信圏外である場合にも、警察や消防署などへ救助要請を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】無線通信システムの構成を説明するブロック図である。
【図2】基地局の機能ブロック図である。
【図3A】基地局に格納されている遭難信号受信テーブルを説明する図である。
【図3B】基地局に格納されている遭難信号保持テーブルを説明する図である。
【図3C】基地局に格納されている遭難信号転送先テーブルを説明する図である。
【図3D】基地局に格納されているプログラムを説明する図である。
【図4】移動局の機能ブロック図である。
【図5A】移動局に格納されている遭難信号受信テーブルを説明するである。
【図5B】移動局に格納されている遭難信号送信テーブルを説明するである。
【図5C】移動局に格納されている遭難信号保持テーブルを説明するである。
【図5D】移動局に格納されているプログラムを説明する図である。
【図6】無線通信システムの動作を説明するシーケンス図である。
【図7】移動局の遭難信号送信プログラムを説明するフローチャートである。
【図8】移動局のGPS受信プログラムを説明するフローチャートである。
【図9】移動局の遭難信号受信プログラムを説明するフローチャートである。
【図10】移動局の遭難信号再送プログラムを説明するフローチャートである。
【図11】基地局のテーブル更新プログラムを説明するフローチャートである。
【図12】基地局の遭難信号転送プログラムを説明するフローチャートである。
【図13】移動局の遭難信号保持テーブル消去プログラムを説明するフローチャートである。
【図14】基地局の遭難信号保持テーブル消去プログラムを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、実施例を用い図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実質同一部位には同じ参照番号を振り、説明は繰り返さない。
【0012】
図1を参照して、無線通信システムの構成を説明する。図1において、無線通信システム300は、基地局100と、移動局200と、IP網1とで構成されている。基地局100は、IP網と有線接続されている。
【0013】
基地局100は、周囲に通信圏2を構成している。通信圏2の内側の移動局200−Cは、基地局100と通信が可能である。しかし、通信圏2の外側の移動局200−A、200−Bは、基地局100と直接の通信ができない。
【0014】
無線通信システム300は、移動局200から基地局100への上り通信と、基地局100から移動局200への下り通信とで、同じ周波数を用いる。この結果、移動局200間での通信も可能である。
【0015】
移動局200は、GPS衛星3からの電波を受信する。移動局200は、4基のGPS衛星3の電波を受信して内部時計260をGPS時刻に校正する。この結果、移動局200は、3基のGPS衛星3の電波を受信して、自身のxyz座標(地球上の位置)を知ることができる。
【0016】
この結果、移動局200−Aと移動局200−Bが通信圏2の外側でも、移動局200−Aが取得したxyz座標を、移動局200−Bと、通信圏2の内側の移動局200−Cとを介して、基地局100に報知可能である。
【0017】
なお、上りと下りで同じ周波数を使用する通信システムとして、TD−LTE(Time Division Duplex Long Term Evolution)がある。しかし、通信システム300は、TD−LTEに限られない。
【0018】
図2を参照して、基地局100の構成を説明する。図2において、基地局100は、CPU110と、RAM120と、フラッシュROM130と、内部時計140と、無線インタフェース(I/F)150と、ネットワークI/F160と、変換部170とから構成されている。CPU110は、通信制御部111と、遭難信号監視部112と、遭難信号転送部113とを構成する。RAM120は、遭難信号受信テーブル(TL)を記憶している。フラッシュROM130は、遭難信号保持テーブル131と、遭難信号転送先テーブル132と、プログラム133とを記憶している。
【0019】
CPU110は、各種演算処理を実行する。RAM120は、CPU110のワークエリアとなる。フラッシュROM130は、各種データやプログラムが格納されている補助記憶装置である。内部時計140は、各種データを消去するために必要な時間を検出する。アンテナ151は、移動局200との間で無線通信する。無線インタフェース150は、アンテナ151が接続されている。ネットワークインタフェース160は、IP網1を介して他の基地局や装置と通信する。変換部170は、無線インタフェース150とネットワークインタフェース160との間の信号変換処理を行なう。
【0020】
通信制御部111は、他の装置との通信制御を行なう。遭難信号監視部112は、移動局200からの遭難信号を検出し、RAM120に遭難信号の情報を格納する。遭難信号転送部113は、あらかじめ登録されている行政機関へ遭難信号を転送する。なお、通信制御部111と、遭難信号監視部112と、遭難信号転送部113とは、いずれも、CPU110がフラッシュROM130に格納されている各種プログラム133を実行することで機能する。
【0021】
図3を参照して、遭難信号受信テーブル121、遭難信号保持テーブル131、遭難信号転送先テーブル132、プログラム133を説明する。
図3Aにおいて、基地局装置100に送信された遭難信号の情報が格納される遭難信号受信テーブル121は、送信元移動局121a、GPS位置情報121b、ショートメッセージ121c、遭難信号発信日121d、遭難信号発信時刻121e、転送元移動局ID121f、有効期限121gから構成されている。
【0022】
送信元移動局ID領域121aは、遭難信号送信元の移動局200の識別子を格納する。GPS位置情報領域121bは、この移動局200のGPS位置情報を格納する。ショートメッセージ領域121cは、この移動局200が遭難信号を送信した際に入力されたショートメッセージを保持する。遭難信号発信日領域121dは、この移動局200が遭難信号を送信した年月日を格納する。遭難信号発信時刻領域121eは、この移動局200が遭難信号を送信した時刻を格納する。転送元移動局ID領域121fは、この移動局200から送信された遭難信号を自装置100へ転送してきた移動局200の識別子を格納する。有効期限領域121gは、本情報の削除可能時期を示す。
【0023】
図3Bにおいて、遭難信号受信テーブル121に格納された遭難信号の情報を保持するための遭難信号保持テーブル131は、送信元移動局131a、GPS位置情報131b、ショートメッセージ131c、遭難信号発信日131d、遭難信号発信時刻131e、転送元移動局ID131f、有効期限131g、転送フラグ131hから構成されている。
【0024】
送信元移動局131a、GPS位置情報131b、ショートメッセージ131c、遭難信号発信日131d、遭難信号発信時刻131e、転送元移動局ID131f、有効期限131gは、送信元移動局121a、GPS位置情報121b、ショートメッセージ121c、遭難信号発信日121d、遭難信号発信時刻121e、転送元移動局ID121f、有効期限121gと同一である。転送フラグ131hは、遭難信号を転送いたことを示すフラグである。
【0025】
図3Cにおいて、遭難信号の転送先の情報が格納されている遭難信号転送先テーブル132は、転送先名称132a、転送先通信アドレス132bから構成される。転送先名称領域132aは、受信した遭難信号の転送先名称を示す。転送先通信アドレス領域132bは、転送先の通信アドレスが格納されている。
【0026】
図3Dにおいて、プログラム133は、遭難信号転送プログラム(P)133a、遭難信号保持テーブル消去プログラム133b、テーブル更新プログラム133cからなっている。
【0027】
図4を参照して、移動局200の構成を説明する。図4において、移動局200は、CPU210と、RAM220と、フラッシュいROM230と、無線I/F240と、GPS受信制御部250と、内部時計260と、外部入力装置270とから構成される。CPU210は、通信制御部211と、電波状況監視部212と、遭難信号監視部213と、GPS制御部214とからなる。RAM220は、電波状況221と、GPS位置情報222と、遭難信号受信テーブル223と、遭難信号送信テーブル224とを記憶する。フラッシュROM230は、プログラム231と、移動局ID232と、消去時刻233と、遭難信号保持テーブル234とを記憶する。
【0028】
CPU210は、各演算処理を実行する。RAM220は、CPU210のワークエリアとなる。フラッシュROM230は、各種データやプログラムが格納されている。アンテナ241は、フェムトセル基地局100および他の移動局200との間で電波を送受信する。無線インタフェース240は、アンテナ241を接続する。アンテナ251は、GPS衛星3からの信号を受信する。GPS通信制御部250は、アンテナ251を接続する。内部時計260は、GPS衛星3による時刻同期を行なえない場合に時刻を利用する。外部入力装置270は、ユーザが移動局に対して情報入力を行なうことを可能とする。
【0029】
通信制御部211は、基地局100および他の移動局との通信制御を行ない遭難信号保持テーブル234の情報を無線インタフェース240および無線通信アンテナ241を通して送信を行なう。電波状況監視部212は、基地局100と通信可能圏内かを監視し、通信可能圏内かをRAM220の電波状況221へ格納する。遭難信号監視部213は、他の移動局200が送信した遭難信号を監視し、送信された信号に有効期限情報として内部時計250に消去時刻233を加えた値を付与して遭難信号受信テーブル223へ格納する。GPS制御部214は、GPS衛星3からの信号をGPS通信制御部250およびGPSアンテナ251を通して受信した信号と内部時計250の情報を解析し、GPS位置情報222へ無線携帯端末の位置情報および時刻を格納する。
【0030】
なお、通信制御部211、電波状況監視部212、遭難信号監視部213、GPS制御部214は、いずれも、CPU210がフラッシュROM230に格納されている各種プログラム231を実行することで機能する。
【0031】
電波状況221は、アンテナ241が受信した電波より電波状況監視部212が行なう通信圏内かの判定結果を格納する。GPS位置情報222は、GPSアンテナ251が受信したGPS衛星3の信号をGPS通信制御部214が解析した結果を格納する。遭難信号受信テーブル223は、アンテナ241が受信した電波より遭難信号監視部213が取得した他の移動局200が送信した遭難信号を格納する。遭難信号送信テーブル224は、移動局200が送信する遭難信号を格納する。
【0032】
プログラム231は、CPU110の通信制御部211、電波状況監視部212、遭難信号監視部213、GPS制御部214を実現するためのプログラムである。移動局ID232は、事前に与えられた自身のIDが設定されている。消去時刻233は、事前に与えられた消去時刻を記憶する。遭難信号保持テーブル234は、RAM230の遭難信号受信テーブル223の情報を保持する。
【0033】
図5を参照して、遭難信号受信テーブル223、遭難信号送信テーブル224、遭難信号保持テーブル234、プログラム231を説明する。
図5Aにおいて、遭難信号受信テーブル223は、遭難信号監視部213が格納する。遭難信号受信テーブル223は、送信元移動局223a、GPS位置情報223b、ショートメッセージ223c、遭難信号発信日223d、遭難信号発信時刻223e、転送元移動局ID223f、有効期限223gから構成される。
【0034】
図5Bにおいて、遭難信号送信テーブル224は、移動局が送信する遭難信号の情報を一時保管する領域である。遭難信号送信テーブル224は、送信元移動局ID224aと、GPS位置情報223bと、ショートメッセージ223cと、遭難信号発信日223dと、遭難信号発信時刻223eと、転送元移動局ID224fとから、構成される。
【0035】
図5Cにおいて、遭難信号保持テーブル234は、送信元移動局ID234a、GPS位置情報234b、ショートメッセージ234c、遭難信号発信日234d、遭難信号発信時刻234e、転送元移動局ID234f、有効期限234g、基地局転送フラグ234hから構成される。
【0036】
図5Dにおいて、フラッシュROM230のプログラム領域231は、遭難信号送信プログラム231a、GPS受信プログラム231b、遭難信号受信プログラム231c、遭難信号再送プログラム231d、遭難信号保持テーブル削除プログラム231eを記憶する。
【0037】
図6を参照して、無線通信システム300の動作について説明する。なお、ここでは、移動局200−A、B,Cおよび基地局100が既に稼動している状態で、移動局200−Aが基地局100およびその他の基地局の通信圏外に存在する場合について説明する。
【0038】
移動局200−Aは、基地局100およびその他基地局の通信圏外に存在する場合、ユーザの操作により、移動局200−AのフラッシュROM230のプログラム231内に格納されている遭難信号送信プログラム231aを実行する(S601)。移動局200−Aの遭難信号送信プログラム231aは、処理実行中にGPS受信プログラム231bを、起動する(S602)。遭難信号送信プログラム231aは、周囲に存在するであろう不特定多数の移動局に対し、通信制御部211より、無線インタフェース240および無線通信アンテナ241を介し移動局向け遭難信号を送信する(S603)。なお、移動局向け遭難信号には、GPS受信プログラムが取得したGPS位置情報を含んでいる。
【0039】
移動局200−Aから移動局向け遭難信号を受信した移動局200−Bは、フラッシュROM230のプログラム231内に格納されている遭難信号受信プログラム231cを実行する(S604)。遭難信号受信プログラム231cは、移動局200−Aに対し移動局向け遭難信号受信通知を送信する(S605)。移動局200−Bは、基地局100およびその他基地局の通信圏内か判定する(S606)。ここでは通信圏外なので、移動局200−Bは、移動局向け遭難信号を周囲に存在するであろう不特定多数の移動局に対し、通信制御部211より、無線インタフェース240および無線通信アンテナ241を介し移動局向け遭難信号を送信する(S607)。
【0040】
移動局200−Bから移動局向け遭難信号を受信した移動局200−Cは、遭難信号受信プログラム231cを実行する(S608)。移動局200−Cは、基地局100の通信圏内か判定する(S609)。ここでは、通信圏内であり、移動局200−Cは、基地局100に対し、通信制御部211より、無線インタフェース240および無線通信アンテナ241を介し基地局向け遭難信号を送信する(S610)。
【0041】
移動局200−Cからの基地局向け遭難信号を基地局100のCPU110内の遭難信号監視部112にて検出した基地局100は、フラッシュROM130内に格納されているプログラム133内のテーブル更新プログラム133cを実行する(S611)。
【0042】
基地局100のテーブル更新プログラム133cは、処理実行中に遭難信号保持テーブル131の更新を行なうと、フラッシュROM130内のプログラム133内の遭難信号転送プログラム133aを実行する(S612)。
【0043】
移動局200−Bは、移動ののち、移動局200−Bは、基地局100の通信圏内か判定する(S613)。ここでは通信圏内であり、移動局200−Bは、フラッシュROM230のプログラム231内に格納されている遭難信号再送プログラム231dを実行する(S614)。移動局200−Bは、基地局向け遭難信号を送信する(S615)。基地局向け遭難信号を受信した基地局100は、テーブル更新プログラム133cを実行する(S616)。テーブル更新プログラム133cは、遭難信号転送プログラム133aを実行する(S617)。
【0044】
移動局200−Bは、遭難信号を移動局200−Cまたは基地局100に転送後、あらかじめ決められた有効期限まで遭難信号の情報を遭難信号保持テーブル234に保持する。移動局200−Bは、有効期限経過後(S618)、フラッシュROM230のプログラム231内に格納されている遭難信号保持テーブル消去プログラム231eを実行する(S619)。
【0045】
移動局200−Cは、遭難信号を基地局100に転送後、あらかじめ決められた有効期限まで遭難信号の情報を遭難信号保持テーブル234に保持する。有効期限経過後(S620)、移動局200−Bは、フラッシュROM230のプログラム231内に格納されている遭難信号保持テーブル消去プログラム231eを実行する(S621)。
【0046】
基地局100は、遭難信号を移動局200−BおよびCから受信後、あらかじめ決められた有効期限まで遭難信号の情報を遭難信号保持テーブル131に保持する。有効期限経過後(S622)、基地局100は、フラッシュROM130のプログラム133内に格納されている遭難信号保持テーブル消去プログラム133bを実行する(S623)。
【0047】
以上の処理を実施することで、基地局100の通信圏外から移動局200の遭難信号を基地局100まで届けることができ、そこから行政機関に転送することができる。
【0048】
図7を参照して、移動局200における通信制御部211の遭難信号送信プログラム231aの処理ついて説明する。図7において、移動局200の通信制御部211は、ユーザによる遭難信号送信処理の開始命令を受けると、遭難信号送信プログラム231aを起動する。遭難信号送信プログラム231aは、起動後、遭難信号監視部212により周期的に更新されているRAM220内部の電波状況221を参照し、自身の移動局200が基地局100との通信可能圏内・通信可能圏外いずれであるかを確認する(S701)。通信可能圏内であれば、遭難信号送信プログラム231aは、遭難信号送信処理を行なわずプログラムを終了する。
【0049】
ステップ701で通信可能圏外であれば、遭難信号送信プログラム231aは、GPS受信プログラム231bを起動し、位置情報の取得を行なう(S702)。遭難信号送信プログラム231aは、GPS受信プログラム231bにより取得した情報に自身の移動局200の移動局ID232を加えた情報を遭難信号送信テーブル224の224aおよび224fへ格納する(S703)。遭難信号送信プログラム231aは、遭難信号送信テーブル224の格納情報を遭難信号として周囲の移動局200に向けて無線インタフェース200より発信し(S704)、処理を終了する。
【0050】
図8を参照して、移動局200におけるGPS制御部214のGPS受信プログラム231bの処理ついて説明する。図8において、移動局200のGPS受信プログラム231bは、図7を参照して説明した遭難信号送信プログラム231aにより呼び出されるプログラムである。GPS受信プログラム231bが起動された場合、GPS制御部214は、GPSアンテナ251、GPS受信制御部250を通してGPS衛星3の捕捉を行なう(S801)。3基以上のGPS衛星3が捕捉できた場合、GPS受信プログラム231bは、GPS衛星3からの信号を解読し、位置情報および時刻情報の計算を行ない、遭難信号送信テーブル224の224b、224d、224eへ格納し(S803)、プログラムを終了する。
【0051】
ステップ802で3基以上のGPS衛星3が補足できなかった場合、GPS受信プログラム231bは、ユーザに外部入力装置270を利用したショートメッセージの入力を要求する(S804)。GPS受信プログラム231bは、ユーザが入力したショートメッセージの内容を遭難信号送信テーブル224の224cへ格納する(S805)。GPS受信プログラム231bは、内部時計の日時を224d、224eへ格納し(S706)、プログラムを終了する。
【0052】
図9を参照して、移動局200における遭難信号監視部213の遭難信号受信プログラム231cの処理ついて説明する。移動局200の遭難信号監視部213は、通信制御部211を介して他の移動局200からの遭難信号を感知することで遭難信号受信プログラム231cを呼び出す。
【0053】
図9において、遭難信号受信プログラム231cは、受信した遭難信号を遭難信号受信テーブル223へ書き込む(S901)。遭難信号受信プログラム231cは、受信した遭難信号受信テーブル223の内容と同じ送信元移動局ID、遭難信号発信日、遭難信号発信時刻の遭難信号がROM230内の遭難信号保持テーブル234に登録されているか比較する(S902)。遭難信号受信プログラム231cは、遭難信号保持テーブル234に登録済みか判定する(S903)。既に登録済みの情報である場合(YES)、遭難信号受信プログラム231cは、遭難信号受信テーブル223の情報を削除して(S904)、処理を終了する。
【0054】
ステップ903登録がない情報である場合(NO)、遭難信号受信プログラム231cは、遭難信号受信テーブル223の情報を遭難信号保持テーブル234に書き込む(S905)。なお、基地局転送フラグ234hは、初期値として「未転送」を格納する。遭難信号受信プログラム231cは、書き込んだ情報の送信元移動局ID234aと転送元移動局ID234fの情報を比較する(S906)。遭難信号受信プログラム231cは、一致しているか判定する(S907)。一致していれば(YES)、遭難信号受信プログラム231cは、通信制御部221より無線インタフェース240および無線通信アンテナ241を通して遭難信号受信した旨の信号を送信元の移動局200へ返信する(S908)。ステップ907で不一致である場合、遭難信号受信プログラム231cは、ステップ908をスキップして次の処理へ進む。
【0055】
遭難信号受信プログラム231cは、電波状況221を参照し、自身の移動局200が基地局100との通信可能圏内かを判定する(S909)。通信可能圏内である場合(YES)、遭難信号受信プログラム231cは、通信制御部221より無線インタフェース240および無線通信アンテナ241を通して基地局100向けに遭難信号受信テーブル223の情報を送信し、遭難信号保持テーブル234に登録した遭難信号保持テーブル234の基地局転送フラグ234hを「転送済み」に変更して(S910)、ステップ904に遷移する。
【0056】
ステップ909通信可能圏外である場合(NO)、遭難信号受信プログラム231cは、遭難信号受信テーブル223の転送元移動局ID223fの内容を自局の移動局ID232で書き換える(S911)。遭難信号受信プログラム231cは、通信制御部221より無線インタフェース240および無線通信アンテナ241を通して基地局100向けに遭難信号受信テーブル223の情報を送信して(S912)、ステップ904に遷移する。
【0057】
図10を参照して、電波状況監視部212による遭難信号再送プログラム231dについて説明する。遭難信号再送プログラム231dは、電波状況監視部212によりRAMの電波状況221が通信可能圏外から通信可能圏外へ書き換わったときに呼び出されるプログラムである。
【0058】
図10において、遭難信号再送プログラム231dは、遭難信号保持テーブル234を呼び出す(S1001)。遭難信号再送プログラム231dは、基地局転送フラグ234hが「未転送」となっている情報があるか判定する(S1002)。「未転送」となっている情報がある場合(YES)、遭難信号再送プログラム231dは、通信制御部221より無線インタフェース240および無線通信アンテナ241を通して基地局100向けに遭難信号保持テーブル234の情報を送信する(S1003)。遭難信号再送プログラム231dは、送信したテーブルの基地局転送フラグ234hを「転送済み」に書き換える(S1004)。遭難信号再送プログラム231dは、全て転送済みか判定する(S1005)。YESのとき、遭難信号再送プログラム231dは、終了する。
【0059】
ステップ1005でNOのとき、遭難信号再送プログラム231dは、ステップ1003に遷移する。ステップ1002でNOのとき、遭難信号再送プログラム231dは、終了する。
【0060】
図11を参照して、テーブル更新プログラム133cによる遭難信号受信テーブル121の更新および、遭難信号保持テーブル131の更新処理について説明する。テーブル更新プログラム133cは、移動局200からの基地局向け遭難信号を検出した遭難信号監視部112より呼び出されるプログラムである。
【0061】
図11において、テーブル更新プログラム133cが遭難信号監視部112より呼び出され実行されると、テーブル更新プログラム133cは、RAM120内に保持されている遭難信号受信テーブル121を呼び出す(S1101)。テーブル更新プログラム133cは、次に遭難信号監視部112が検出した遭難信号の情報と、遭難信号受信テーブルに保持している情報の比較を行なう(S1102)。その際、送信元移動局ID121aと、遭難信号発信日121dおよび遭難信号発信時刻121eの3項目にて比較を行なう。ステップ1102で差異がない場合(YES)、テーブル更新プログラム133cは、遭難信号受信テーブル121の更新は行なわず処理を終了する。
【0062】
ステップ1102で差異がある場合(NO)、テーブル更新プログラム133cは、遭難信号受信テーブル121に検出した遭難信号の情報を追加する(S1103)。テーブル更新プログラム133cは、フラッシュROM130内に保持されている遭難信号保持テーブル131を呼び出す(S1104)。テーブル更新プログラム133cは、遭難信号受信テーブル121と遭難信号保持テーブル131の比較を行なう(S1105)。ここで、比較は、移動局ID121aと、遭難信号発信日121dおよび遭難信号発信時刻121e、移動局ID131a、遭難信号発信日131dおよび遭難信号発信時刻131eで行なう。ステップ1105差異がない場合(YES)、テーブル更新プログラム133cは、遭難信号保持テーブル131の更新は行なわず処理を終了する。
【0063】
ステップ1105差異がある場合(NO)、テーブル更新プログラム133cは、遭難信号保持テーブル131に検出した遭難信号の情報を追加する(S1106)。テーブル更新プログラム133cは、遭難信号添付プログラム133aを呼び出し実行し(S1107)、実行が完了後、処理を終了する。
【0064】
図12を参照して、遭難信号転送プログラム133aによる遭難信号の行政機関への転送処理について説明する。遭難信号転送プログラム133aは、テーブル更新プログラム133cの処理実行中に実行されるプログラムである。
【0065】
図12において、遭難信号転送プログラム133aは、まずフラッシュROM130から遭難信号保持テーブル131を呼び出す(S1201)。遭難信号転送プログラム133aは、呼び出した遭難信号保持テーブル131内の転送フラグ131hを読み取り、転送フラグ131hが「未転送」のレコードがあるか判定する(S1202)。転送フラグ131hが全て「転送済み」となっている場合(NO)、遭難信号転送プログラム133aは、処理を終了する。
【0066】
ステップ1202で遭難信号保持テーブル131内の転送フラグ131hのいずれかが「未転送」となっている場合(YES)、遭難信号転送プログラム133aは、フラッシュROM130内に保持している遭難信号転送先テーブル132を呼び出す(S1203)。遭難信号転送プログラム133aは、遭難信号転送部113から遭難信号保持テーブル131内の転送フラグ131hが「未転送」となっているデータについて、遭難信号転送先テーブル132へ保持されている転送先へデータを転送するよう指示を行なう(S1204)。遭難信号転送プログラム133aは、遭難信号保持テーブル131内の転送したデータに対し転送フラグ131hを「転送済み」に変更し(S1205)、処理を終了する。
【0067】
図13を参照して、移動局200の遭難信号監視部213による遭難信号保持テーブル削除プログラム231eについて説明する。遭難信号保持テーブル削除プログラム231eは、遭難信号監視部213により周期的に呼び出されるプログラムである。
【0068】
遭難信号保持テーブル削除プログラム231eは、遭難信号保持テーブル234を呼び出す(S1301)。遭難信号保持テーブル削除プログラム231eは、有効期限234gが内部時計260以上となっている情報がないか確認する(S1302)。遭難信号保持テーブル削除プログラム231eは、対象となる情報の登録があるか確認する(S1303)。有効期限234gが内部時計260以上となっている情報がある場合(YES)、遭難信号保持テーブル削除プログラム231eは、該当するテーブル情報を全て削除する(S1304)。ステップ1303で有効期限234gが内部時計260以上となっている情報が無い場合(NO)、遭難信号保持テーブル削除プログラム231eは、処理を終了する。
【0069】
図14を参照して100の遭難信号監視部112による遭難信号保持テーブル削除プログラム133bについて説明する。遭難信号保持テーブル削除プログラム133bは、遭難信号監視部112により周期的に呼び出されるプログラムである。
【0070】
遭難信号保持テーブル削除プログラム133bは、遭難信号保持テーブル131を呼び出す(S1401)。遭難信号保持テーブル削除プログラム133bは、有効期限131gが内部時計140以上となっている情報がないか確認する(S1402)。遭難信号保持テーブル削除プログラム133bは、対象となる情報の登録があるか判定する(S1403)。有効期限131gが内部時計140以上となっている情報がある場合(YES)、遭難信号保持テーブル削除プログラム133bは、該当するテーブル情報を全て削除する(S1404)。ステップ1403で有効期限131gが内部時計140以上となっている情報が無い場合(NO)、遭難信号保持テーブル削除プログラム133bは、処理を終了する。
【0071】
本実施例によれば、移動局は基地局と通信圏外である場合、緊急事態により救助を必要とする場合に、他の移動局に遭難信号を中継してもらうことにより、警察や消防署などへ救助要請を行なうことができる。また、移動局が他の移動局から遭難信号を受信した場合、基地局と通信圏内であれば、基地局へ遭難信号を転送するが、通信圏外であった場合、さらに周りの基地局へと遭難信号を転送できる。さらに、受信した遭難信号は移動局内に保持し、移動局が通信可能圏内に移動した場合に改めて遭難信号を転送することで、遭難信号発信者の救助の可能性を高めることができる。
【符号の説明】
【0072】
1…IP網、2…通信圏、3…GPS衛星、100…基地局、110…CPU、111…通信制御部、112…遭難信号監視部、113…遭難信号転送部、120…RAM、121…遭難信号受信テーブル、130…フラッシュROM、131…遭難信号保持テーブル、132…遭難信号転送先テーブル、133…プログラム、140…内部時計、150…無線インタフェース、151…ANTS部、160…ネットワークインタフェース、170…変換部、200…移動局、210…CPU、211…通信制御部、212…電波状態監視部、213…遭難信号監視部、214…GPS制御部、220…RAM、221…電波状況、222…GPS位置情報、223…遭難信号受信テーブル、224…遭難信号送信テーブル、230…フラッシュROM、231…プログラム、232…移動局ID、233…消去時刻、234…遭難信号保持テーブル、240…無線インタフェース、241…アンテナ、250…GPS受信制御部、251…GPSアンテナ、260…内部時計、270…外部入力装置、300…無線通信システム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局および移動局に係り、特に移動局間の通信により、基地局の通信圏外の移動局が発信した遭難信号を基地局に至らせる基地局および移動局に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の無線通信システムにおいて、通信圏外におけるデータの送信および受信は不可能とされてきた。そのため、通信圏外時に災害等にあうと携帯端末からは救助要請を行なうことができないでいるのが現状である。
【0003】
以下の特許文献1では、携帯電話端末に緊急信号発信機能を具備することにより、基地局の通信圏内では、緊急時における早急な救助要請を行なうことができる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−095045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
移動局は、基地局を介して公衆回線網へ接続することのできる無線端末である。そのため、移動局は、基地局との通信圏内に存在しない場合は、公衆回線網へアクセスすることができず、緊急時などでも救助を要請することができない。
【0006】
そこで、本発明では、移動局において、基地局との通話可能圏内に存在しない場合の移動局間通信による遭難信号送信方式を提供することで、通信圏外からの救助要請を可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題は、第1の移動局との通信を行なう通信制御部と、第1の移動局が転送した第2の移動局からの遭難信号を監視する遭難信号監視部と、遭難信号を転送する遭難信号転送部と、から成り、通信圏外に位置する第2の移動局からの遭難信号を検出したとき、登録された行政機関へ遭難信号を転送する基地局により、達成できる。
【0008】
また、基地局および他の移動局と通信を行なう通信制御部と、現在の電波状況を監視する電波状況監視部と、第1の移動局より送信された遭難信号を監視する遭難信号監視部と、GPS情報を取得するGPS制御部と、から成り、第1の移動局からの遭難信号を基地局または第2の移動局に転送する移動局により、達成できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、移動局は、基地局の通信圏外である場合にも、警察や消防署などへ救助要請を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】無線通信システムの構成を説明するブロック図である。
【図2】基地局の機能ブロック図である。
【図3A】基地局に格納されている遭難信号受信テーブルを説明する図である。
【図3B】基地局に格納されている遭難信号保持テーブルを説明する図である。
【図3C】基地局に格納されている遭難信号転送先テーブルを説明する図である。
【図3D】基地局に格納されているプログラムを説明する図である。
【図4】移動局の機能ブロック図である。
【図5A】移動局に格納されている遭難信号受信テーブルを説明するである。
【図5B】移動局に格納されている遭難信号送信テーブルを説明するである。
【図5C】移動局に格納されている遭難信号保持テーブルを説明するである。
【図5D】移動局に格納されているプログラムを説明する図である。
【図6】無線通信システムの動作を説明するシーケンス図である。
【図7】移動局の遭難信号送信プログラムを説明するフローチャートである。
【図8】移動局のGPS受信プログラムを説明するフローチャートである。
【図9】移動局の遭難信号受信プログラムを説明するフローチャートである。
【図10】移動局の遭難信号再送プログラムを説明するフローチャートである。
【図11】基地局のテーブル更新プログラムを説明するフローチャートである。
【図12】基地局の遭難信号転送プログラムを説明するフローチャートである。
【図13】移動局の遭難信号保持テーブル消去プログラムを説明するフローチャートである。
【図14】基地局の遭難信号保持テーブル消去プログラムを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、実施例を用い図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実質同一部位には同じ参照番号を振り、説明は繰り返さない。
【0012】
図1を参照して、無線通信システムの構成を説明する。図1において、無線通信システム300は、基地局100と、移動局200と、IP網1とで構成されている。基地局100は、IP網と有線接続されている。
【0013】
基地局100は、周囲に通信圏2を構成している。通信圏2の内側の移動局200−Cは、基地局100と通信が可能である。しかし、通信圏2の外側の移動局200−A、200−Bは、基地局100と直接の通信ができない。
【0014】
無線通信システム300は、移動局200から基地局100への上り通信と、基地局100から移動局200への下り通信とで、同じ周波数を用いる。この結果、移動局200間での通信も可能である。
【0015】
移動局200は、GPS衛星3からの電波を受信する。移動局200は、4基のGPS衛星3の電波を受信して内部時計260をGPS時刻に校正する。この結果、移動局200は、3基のGPS衛星3の電波を受信して、自身のxyz座標(地球上の位置)を知ることができる。
【0016】
この結果、移動局200−Aと移動局200−Bが通信圏2の外側でも、移動局200−Aが取得したxyz座標を、移動局200−Bと、通信圏2の内側の移動局200−Cとを介して、基地局100に報知可能である。
【0017】
なお、上りと下りで同じ周波数を使用する通信システムとして、TD−LTE(Time Division Duplex Long Term Evolution)がある。しかし、通信システム300は、TD−LTEに限られない。
【0018】
図2を参照して、基地局100の構成を説明する。図2において、基地局100は、CPU110と、RAM120と、フラッシュROM130と、内部時計140と、無線インタフェース(I/F)150と、ネットワークI/F160と、変換部170とから構成されている。CPU110は、通信制御部111と、遭難信号監視部112と、遭難信号転送部113とを構成する。RAM120は、遭難信号受信テーブル(TL)を記憶している。フラッシュROM130は、遭難信号保持テーブル131と、遭難信号転送先テーブル132と、プログラム133とを記憶している。
【0019】
CPU110は、各種演算処理を実行する。RAM120は、CPU110のワークエリアとなる。フラッシュROM130は、各種データやプログラムが格納されている補助記憶装置である。内部時計140は、各種データを消去するために必要な時間を検出する。アンテナ151は、移動局200との間で無線通信する。無線インタフェース150は、アンテナ151が接続されている。ネットワークインタフェース160は、IP網1を介して他の基地局や装置と通信する。変換部170は、無線インタフェース150とネットワークインタフェース160との間の信号変換処理を行なう。
【0020】
通信制御部111は、他の装置との通信制御を行なう。遭難信号監視部112は、移動局200からの遭難信号を検出し、RAM120に遭難信号の情報を格納する。遭難信号転送部113は、あらかじめ登録されている行政機関へ遭難信号を転送する。なお、通信制御部111と、遭難信号監視部112と、遭難信号転送部113とは、いずれも、CPU110がフラッシュROM130に格納されている各種プログラム133を実行することで機能する。
【0021】
図3を参照して、遭難信号受信テーブル121、遭難信号保持テーブル131、遭難信号転送先テーブル132、プログラム133を説明する。
図3Aにおいて、基地局装置100に送信された遭難信号の情報が格納される遭難信号受信テーブル121は、送信元移動局121a、GPS位置情報121b、ショートメッセージ121c、遭難信号発信日121d、遭難信号発信時刻121e、転送元移動局ID121f、有効期限121gから構成されている。
【0022】
送信元移動局ID領域121aは、遭難信号送信元の移動局200の識別子を格納する。GPS位置情報領域121bは、この移動局200のGPS位置情報を格納する。ショートメッセージ領域121cは、この移動局200が遭難信号を送信した際に入力されたショートメッセージを保持する。遭難信号発信日領域121dは、この移動局200が遭難信号を送信した年月日を格納する。遭難信号発信時刻領域121eは、この移動局200が遭難信号を送信した時刻を格納する。転送元移動局ID領域121fは、この移動局200から送信された遭難信号を自装置100へ転送してきた移動局200の識別子を格納する。有効期限領域121gは、本情報の削除可能時期を示す。
【0023】
図3Bにおいて、遭難信号受信テーブル121に格納された遭難信号の情報を保持するための遭難信号保持テーブル131は、送信元移動局131a、GPS位置情報131b、ショートメッセージ131c、遭難信号発信日131d、遭難信号発信時刻131e、転送元移動局ID131f、有効期限131g、転送フラグ131hから構成されている。
【0024】
送信元移動局131a、GPS位置情報131b、ショートメッセージ131c、遭難信号発信日131d、遭難信号発信時刻131e、転送元移動局ID131f、有効期限131gは、送信元移動局121a、GPS位置情報121b、ショートメッセージ121c、遭難信号発信日121d、遭難信号発信時刻121e、転送元移動局ID121f、有効期限121gと同一である。転送フラグ131hは、遭難信号を転送いたことを示すフラグである。
【0025】
図3Cにおいて、遭難信号の転送先の情報が格納されている遭難信号転送先テーブル132は、転送先名称132a、転送先通信アドレス132bから構成される。転送先名称領域132aは、受信した遭難信号の転送先名称を示す。転送先通信アドレス領域132bは、転送先の通信アドレスが格納されている。
【0026】
図3Dにおいて、プログラム133は、遭難信号転送プログラム(P)133a、遭難信号保持テーブル消去プログラム133b、テーブル更新プログラム133cからなっている。
【0027】
図4を参照して、移動局200の構成を説明する。図4において、移動局200は、CPU210と、RAM220と、フラッシュいROM230と、無線I/F240と、GPS受信制御部250と、内部時計260と、外部入力装置270とから構成される。CPU210は、通信制御部211と、電波状況監視部212と、遭難信号監視部213と、GPS制御部214とからなる。RAM220は、電波状況221と、GPS位置情報222と、遭難信号受信テーブル223と、遭難信号送信テーブル224とを記憶する。フラッシュROM230は、プログラム231と、移動局ID232と、消去時刻233と、遭難信号保持テーブル234とを記憶する。
【0028】
CPU210は、各演算処理を実行する。RAM220は、CPU210のワークエリアとなる。フラッシュROM230は、各種データやプログラムが格納されている。アンテナ241は、フェムトセル基地局100および他の移動局200との間で電波を送受信する。無線インタフェース240は、アンテナ241を接続する。アンテナ251は、GPS衛星3からの信号を受信する。GPS通信制御部250は、アンテナ251を接続する。内部時計260は、GPS衛星3による時刻同期を行なえない場合に時刻を利用する。外部入力装置270は、ユーザが移動局に対して情報入力を行なうことを可能とする。
【0029】
通信制御部211は、基地局100および他の移動局との通信制御を行ない遭難信号保持テーブル234の情報を無線インタフェース240および無線通信アンテナ241を通して送信を行なう。電波状況監視部212は、基地局100と通信可能圏内かを監視し、通信可能圏内かをRAM220の電波状況221へ格納する。遭難信号監視部213は、他の移動局200が送信した遭難信号を監視し、送信された信号に有効期限情報として内部時計250に消去時刻233を加えた値を付与して遭難信号受信テーブル223へ格納する。GPS制御部214は、GPS衛星3からの信号をGPS通信制御部250およびGPSアンテナ251を通して受信した信号と内部時計250の情報を解析し、GPS位置情報222へ無線携帯端末の位置情報および時刻を格納する。
【0030】
なお、通信制御部211、電波状況監視部212、遭難信号監視部213、GPS制御部214は、いずれも、CPU210がフラッシュROM230に格納されている各種プログラム231を実行することで機能する。
【0031】
電波状況221は、アンテナ241が受信した電波より電波状況監視部212が行なう通信圏内かの判定結果を格納する。GPS位置情報222は、GPSアンテナ251が受信したGPS衛星3の信号をGPS通信制御部214が解析した結果を格納する。遭難信号受信テーブル223は、アンテナ241が受信した電波より遭難信号監視部213が取得した他の移動局200が送信した遭難信号を格納する。遭難信号送信テーブル224は、移動局200が送信する遭難信号を格納する。
【0032】
プログラム231は、CPU110の通信制御部211、電波状況監視部212、遭難信号監視部213、GPS制御部214を実現するためのプログラムである。移動局ID232は、事前に与えられた自身のIDが設定されている。消去時刻233は、事前に与えられた消去時刻を記憶する。遭難信号保持テーブル234は、RAM230の遭難信号受信テーブル223の情報を保持する。
【0033】
図5を参照して、遭難信号受信テーブル223、遭難信号送信テーブル224、遭難信号保持テーブル234、プログラム231を説明する。
図5Aにおいて、遭難信号受信テーブル223は、遭難信号監視部213が格納する。遭難信号受信テーブル223は、送信元移動局223a、GPS位置情報223b、ショートメッセージ223c、遭難信号発信日223d、遭難信号発信時刻223e、転送元移動局ID223f、有効期限223gから構成される。
【0034】
図5Bにおいて、遭難信号送信テーブル224は、移動局が送信する遭難信号の情報を一時保管する領域である。遭難信号送信テーブル224は、送信元移動局ID224aと、GPS位置情報223bと、ショートメッセージ223cと、遭難信号発信日223dと、遭難信号発信時刻223eと、転送元移動局ID224fとから、構成される。
【0035】
図5Cにおいて、遭難信号保持テーブル234は、送信元移動局ID234a、GPS位置情報234b、ショートメッセージ234c、遭難信号発信日234d、遭難信号発信時刻234e、転送元移動局ID234f、有効期限234g、基地局転送フラグ234hから構成される。
【0036】
図5Dにおいて、フラッシュROM230のプログラム領域231は、遭難信号送信プログラム231a、GPS受信プログラム231b、遭難信号受信プログラム231c、遭難信号再送プログラム231d、遭難信号保持テーブル削除プログラム231eを記憶する。
【0037】
図6を参照して、無線通信システム300の動作について説明する。なお、ここでは、移動局200−A、B,Cおよび基地局100が既に稼動している状態で、移動局200−Aが基地局100およびその他の基地局の通信圏外に存在する場合について説明する。
【0038】
移動局200−Aは、基地局100およびその他基地局の通信圏外に存在する場合、ユーザの操作により、移動局200−AのフラッシュROM230のプログラム231内に格納されている遭難信号送信プログラム231aを実行する(S601)。移動局200−Aの遭難信号送信プログラム231aは、処理実行中にGPS受信プログラム231bを、起動する(S602)。遭難信号送信プログラム231aは、周囲に存在するであろう不特定多数の移動局に対し、通信制御部211より、無線インタフェース240および無線通信アンテナ241を介し移動局向け遭難信号を送信する(S603)。なお、移動局向け遭難信号には、GPS受信プログラムが取得したGPS位置情報を含んでいる。
【0039】
移動局200−Aから移動局向け遭難信号を受信した移動局200−Bは、フラッシュROM230のプログラム231内に格納されている遭難信号受信プログラム231cを実行する(S604)。遭難信号受信プログラム231cは、移動局200−Aに対し移動局向け遭難信号受信通知を送信する(S605)。移動局200−Bは、基地局100およびその他基地局の通信圏内か判定する(S606)。ここでは通信圏外なので、移動局200−Bは、移動局向け遭難信号を周囲に存在するであろう不特定多数の移動局に対し、通信制御部211より、無線インタフェース240および無線通信アンテナ241を介し移動局向け遭難信号を送信する(S607)。
【0040】
移動局200−Bから移動局向け遭難信号を受信した移動局200−Cは、遭難信号受信プログラム231cを実行する(S608)。移動局200−Cは、基地局100の通信圏内か判定する(S609)。ここでは、通信圏内であり、移動局200−Cは、基地局100に対し、通信制御部211より、無線インタフェース240および無線通信アンテナ241を介し基地局向け遭難信号を送信する(S610)。
【0041】
移動局200−Cからの基地局向け遭難信号を基地局100のCPU110内の遭難信号監視部112にて検出した基地局100は、フラッシュROM130内に格納されているプログラム133内のテーブル更新プログラム133cを実行する(S611)。
【0042】
基地局100のテーブル更新プログラム133cは、処理実行中に遭難信号保持テーブル131の更新を行なうと、フラッシュROM130内のプログラム133内の遭難信号転送プログラム133aを実行する(S612)。
【0043】
移動局200−Bは、移動ののち、移動局200−Bは、基地局100の通信圏内か判定する(S613)。ここでは通信圏内であり、移動局200−Bは、フラッシュROM230のプログラム231内に格納されている遭難信号再送プログラム231dを実行する(S614)。移動局200−Bは、基地局向け遭難信号を送信する(S615)。基地局向け遭難信号を受信した基地局100は、テーブル更新プログラム133cを実行する(S616)。テーブル更新プログラム133cは、遭難信号転送プログラム133aを実行する(S617)。
【0044】
移動局200−Bは、遭難信号を移動局200−Cまたは基地局100に転送後、あらかじめ決められた有効期限まで遭難信号の情報を遭難信号保持テーブル234に保持する。移動局200−Bは、有効期限経過後(S618)、フラッシュROM230のプログラム231内に格納されている遭難信号保持テーブル消去プログラム231eを実行する(S619)。
【0045】
移動局200−Cは、遭難信号を基地局100に転送後、あらかじめ決められた有効期限まで遭難信号の情報を遭難信号保持テーブル234に保持する。有効期限経過後(S620)、移動局200−Bは、フラッシュROM230のプログラム231内に格納されている遭難信号保持テーブル消去プログラム231eを実行する(S621)。
【0046】
基地局100は、遭難信号を移動局200−BおよびCから受信後、あらかじめ決められた有効期限まで遭難信号の情報を遭難信号保持テーブル131に保持する。有効期限経過後(S622)、基地局100は、フラッシュROM130のプログラム133内に格納されている遭難信号保持テーブル消去プログラム133bを実行する(S623)。
【0047】
以上の処理を実施することで、基地局100の通信圏外から移動局200の遭難信号を基地局100まで届けることができ、そこから行政機関に転送することができる。
【0048】
図7を参照して、移動局200における通信制御部211の遭難信号送信プログラム231aの処理ついて説明する。図7において、移動局200の通信制御部211は、ユーザによる遭難信号送信処理の開始命令を受けると、遭難信号送信プログラム231aを起動する。遭難信号送信プログラム231aは、起動後、遭難信号監視部212により周期的に更新されているRAM220内部の電波状況221を参照し、自身の移動局200が基地局100との通信可能圏内・通信可能圏外いずれであるかを確認する(S701)。通信可能圏内であれば、遭難信号送信プログラム231aは、遭難信号送信処理を行なわずプログラムを終了する。
【0049】
ステップ701で通信可能圏外であれば、遭難信号送信プログラム231aは、GPS受信プログラム231bを起動し、位置情報の取得を行なう(S702)。遭難信号送信プログラム231aは、GPS受信プログラム231bにより取得した情報に自身の移動局200の移動局ID232を加えた情報を遭難信号送信テーブル224の224aおよび224fへ格納する(S703)。遭難信号送信プログラム231aは、遭難信号送信テーブル224の格納情報を遭難信号として周囲の移動局200に向けて無線インタフェース200より発信し(S704)、処理を終了する。
【0050】
図8を参照して、移動局200におけるGPS制御部214のGPS受信プログラム231bの処理ついて説明する。図8において、移動局200のGPS受信プログラム231bは、図7を参照して説明した遭難信号送信プログラム231aにより呼び出されるプログラムである。GPS受信プログラム231bが起動された場合、GPS制御部214は、GPSアンテナ251、GPS受信制御部250を通してGPS衛星3の捕捉を行なう(S801)。3基以上のGPS衛星3が捕捉できた場合、GPS受信プログラム231bは、GPS衛星3からの信号を解読し、位置情報および時刻情報の計算を行ない、遭難信号送信テーブル224の224b、224d、224eへ格納し(S803)、プログラムを終了する。
【0051】
ステップ802で3基以上のGPS衛星3が補足できなかった場合、GPS受信プログラム231bは、ユーザに外部入力装置270を利用したショートメッセージの入力を要求する(S804)。GPS受信プログラム231bは、ユーザが入力したショートメッセージの内容を遭難信号送信テーブル224の224cへ格納する(S805)。GPS受信プログラム231bは、内部時計の日時を224d、224eへ格納し(S706)、プログラムを終了する。
【0052】
図9を参照して、移動局200における遭難信号監視部213の遭難信号受信プログラム231cの処理ついて説明する。移動局200の遭難信号監視部213は、通信制御部211を介して他の移動局200からの遭難信号を感知することで遭難信号受信プログラム231cを呼び出す。
【0053】
図9において、遭難信号受信プログラム231cは、受信した遭難信号を遭難信号受信テーブル223へ書き込む(S901)。遭難信号受信プログラム231cは、受信した遭難信号受信テーブル223の内容と同じ送信元移動局ID、遭難信号発信日、遭難信号発信時刻の遭難信号がROM230内の遭難信号保持テーブル234に登録されているか比較する(S902)。遭難信号受信プログラム231cは、遭難信号保持テーブル234に登録済みか判定する(S903)。既に登録済みの情報である場合(YES)、遭難信号受信プログラム231cは、遭難信号受信テーブル223の情報を削除して(S904)、処理を終了する。
【0054】
ステップ903登録がない情報である場合(NO)、遭難信号受信プログラム231cは、遭難信号受信テーブル223の情報を遭難信号保持テーブル234に書き込む(S905)。なお、基地局転送フラグ234hは、初期値として「未転送」を格納する。遭難信号受信プログラム231cは、書き込んだ情報の送信元移動局ID234aと転送元移動局ID234fの情報を比較する(S906)。遭難信号受信プログラム231cは、一致しているか判定する(S907)。一致していれば(YES)、遭難信号受信プログラム231cは、通信制御部221より無線インタフェース240および無線通信アンテナ241を通して遭難信号受信した旨の信号を送信元の移動局200へ返信する(S908)。ステップ907で不一致である場合、遭難信号受信プログラム231cは、ステップ908をスキップして次の処理へ進む。
【0055】
遭難信号受信プログラム231cは、電波状況221を参照し、自身の移動局200が基地局100との通信可能圏内かを判定する(S909)。通信可能圏内である場合(YES)、遭難信号受信プログラム231cは、通信制御部221より無線インタフェース240および無線通信アンテナ241を通して基地局100向けに遭難信号受信テーブル223の情報を送信し、遭難信号保持テーブル234に登録した遭難信号保持テーブル234の基地局転送フラグ234hを「転送済み」に変更して(S910)、ステップ904に遷移する。
【0056】
ステップ909通信可能圏外である場合(NO)、遭難信号受信プログラム231cは、遭難信号受信テーブル223の転送元移動局ID223fの内容を自局の移動局ID232で書き換える(S911)。遭難信号受信プログラム231cは、通信制御部221より無線インタフェース240および無線通信アンテナ241を通して基地局100向けに遭難信号受信テーブル223の情報を送信して(S912)、ステップ904に遷移する。
【0057】
図10を参照して、電波状況監視部212による遭難信号再送プログラム231dについて説明する。遭難信号再送プログラム231dは、電波状況監視部212によりRAMの電波状況221が通信可能圏外から通信可能圏外へ書き換わったときに呼び出されるプログラムである。
【0058】
図10において、遭難信号再送プログラム231dは、遭難信号保持テーブル234を呼び出す(S1001)。遭難信号再送プログラム231dは、基地局転送フラグ234hが「未転送」となっている情報があるか判定する(S1002)。「未転送」となっている情報がある場合(YES)、遭難信号再送プログラム231dは、通信制御部221より無線インタフェース240および無線通信アンテナ241を通して基地局100向けに遭難信号保持テーブル234の情報を送信する(S1003)。遭難信号再送プログラム231dは、送信したテーブルの基地局転送フラグ234hを「転送済み」に書き換える(S1004)。遭難信号再送プログラム231dは、全て転送済みか判定する(S1005)。YESのとき、遭難信号再送プログラム231dは、終了する。
【0059】
ステップ1005でNOのとき、遭難信号再送プログラム231dは、ステップ1003に遷移する。ステップ1002でNOのとき、遭難信号再送プログラム231dは、終了する。
【0060】
図11を参照して、テーブル更新プログラム133cによる遭難信号受信テーブル121の更新および、遭難信号保持テーブル131の更新処理について説明する。テーブル更新プログラム133cは、移動局200からの基地局向け遭難信号を検出した遭難信号監視部112より呼び出されるプログラムである。
【0061】
図11において、テーブル更新プログラム133cが遭難信号監視部112より呼び出され実行されると、テーブル更新プログラム133cは、RAM120内に保持されている遭難信号受信テーブル121を呼び出す(S1101)。テーブル更新プログラム133cは、次に遭難信号監視部112が検出した遭難信号の情報と、遭難信号受信テーブルに保持している情報の比較を行なう(S1102)。その際、送信元移動局ID121aと、遭難信号発信日121dおよび遭難信号発信時刻121eの3項目にて比較を行なう。ステップ1102で差異がない場合(YES)、テーブル更新プログラム133cは、遭難信号受信テーブル121の更新は行なわず処理を終了する。
【0062】
ステップ1102で差異がある場合(NO)、テーブル更新プログラム133cは、遭難信号受信テーブル121に検出した遭難信号の情報を追加する(S1103)。テーブル更新プログラム133cは、フラッシュROM130内に保持されている遭難信号保持テーブル131を呼び出す(S1104)。テーブル更新プログラム133cは、遭難信号受信テーブル121と遭難信号保持テーブル131の比較を行なう(S1105)。ここで、比較は、移動局ID121aと、遭難信号発信日121dおよび遭難信号発信時刻121e、移動局ID131a、遭難信号発信日131dおよび遭難信号発信時刻131eで行なう。ステップ1105差異がない場合(YES)、テーブル更新プログラム133cは、遭難信号保持テーブル131の更新は行なわず処理を終了する。
【0063】
ステップ1105差異がある場合(NO)、テーブル更新プログラム133cは、遭難信号保持テーブル131に検出した遭難信号の情報を追加する(S1106)。テーブル更新プログラム133cは、遭難信号添付プログラム133aを呼び出し実行し(S1107)、実行が完了後、処理を終了する。
【0064】
図12を参照して、遭難信号転送プログラム133aによる遭難信号の行政機関への転送処理について説明する。遭難信号転送プログラム133aは、テーブル更新プログラム133cの処理実行中に実行されるプログラムである。
【0065】
図12において、遭難信号転送プログラム133aは、まずフラッシュROM130から遭難信号保持テーブル131を呼び出す(S1201)。遭難信号転送プログラム133aは、呼び出した遭難信号保持テーブル131内の転送フラグ131hを読み取り、転送フラグ131hが「未転送」のレコードがあるか判定する(S1202)。転送フラグ131hが全て「転送済み」となっている場合(NO)、遭難信号転送プログラム133aは、処理を終了する。
【0066】
ステップ1202で遭難信号保持テーブル131内の転送フラグ131hのいずれかが「未転送」となっている場合(YES)、遭難信号転送プログラム133aは、フラッシュROM130内に保持している遭難信号転送先テーブル132を呼び出す(S1203)。遭難信号転送プログラム133aは、遭難信号転送部113から遭難信号保持テーブル131内の転送フラグ131hが「未転送」となっているデータについて、遭難信号転送先テーブル132へ保持されている転送先へデータを転送するよう指示を行なう(S1204)。遭難信号転送プログラム133aは、遭難信号保持テーブル131内の転送したデータに対し転送フラグ131hを「転送済み」に変更し(S1205)、処理を終了する。
【0067】
図13を参照して、移動局200の遭難信号監視部213による遭難信号保持テーブル削除プログラム231eについて説明する。遭難信号保持テーブル削除プログラム231eは、遭難信号監視部213により周期的に呼び出されるプログラムである。
【0068】
遭難信号保持テーブル削除プログラム231eは、遭難信号保持テーブル234を呼び出す(S1301)。遭難信号保持テーブル削除プログラム231eは、有効期限234gが内部時計260以上となっている情報がないか確認する(S1302)。遭難信号保持テーブル削除プログラム231eは、対象となる情報の登録があるか確認する(S1303)。有効期限234gが内部時計260以上となっている情報がある場合(YES)、遭難信号保持テーブル削除プログラム231eは、該当するテーブル情報を全て削除する(S1304)。ステップ1303で有効期限234gが内部時計260以上となっている情報が無い場合(NO)、遭難信号保持テーブル削除プログラム231eは、処理を終了する。
【0069】
図14を参照して100の遭難信号監視部112による遭難信号保持テーブル削除プログラム133bについて説明する。遭難信号保持テーブル削除プログラム133bは、遭難信号監視部112により周期的に呼び出されるプログラムである。
【0070】
遭難信号保持テーブル削除プログラム133bは、遭難信号保持テーブル131を呼び出す(S1401)。遭難信号保持テーブル削除プログラム133bは、有効期限131gが内部時計140以上となっている情報がないか確認する(S1402)。遭難信号保持テーブル削除プログラム133bは、対象となる情報の登録があるか判定する(S1403)。有効期限131gが内部時計140以上となっている情報がある場合(YES)、遭難信号保持テーブル削除プログラム133bは、該当するテーブル情報を全て削除する(S1404)。ステップ1403で有効期限131gが内部時計140以上となっている情報が無い場合(NO)、遭難信号保持テーブル削除プログラム133bは、処理を終了する。
【0071】
本実施例によれば、移動局は基地局と通信圏外である場合、緊急事態により救助を必要とする場合に、他の移動局に遭難信号を中継してもらうことにより、警察や消防署などへ救助要請を行なうことができる。また、移動局が他の移動局から遭難信号を受信した場合、基地局と通信圏内であれば、基地局へ遭難信号を転送するが、通信圏外であった場合、さらに周りの基地局へと遭難信号を転送できる。さらに、受信した遭難信号は移動局内に保持し、移動局が通信可能圏内に移動した場合に改めて遭難信号を転送することで、遭難信号発信者の救助の可能性を高めることができる。
【符号の説明】
【0072】
1…IP網、2…通信圏、3…GPS衛星、100…基地局、110…CPU、111…通信制御部、112…遭難信号監視部、113…遭難信号転送部、120…RAM、121…遭難信号受信テーブル、130…フラッシュROM、131…遭難信号保持テーブル、132…遭難信号転送先テーブル、133…プログラム、140…内部時計、150…無線インタフェース、151…ANTS部、160…ネットワークインタフェース、170…変換部、200…移動局、210…CPU、211…通信制御部、212…電波状態監視部、213…遭難信号監視部、214…GPS制御部、220…RAM、221…電波状況、222…GPS位置情報、223…遭難信号受信テーブル、224…遭難信号送信テーブル、230…フラッシュROM、231…プログラム、232…移動局ID、233…消去時刻、234…遭難信号保持テーブル、240…無線インタフェース、241…アンテナ、250…GPS受信制御部、251…GPSアンテナ、260…内部時計、270…外部入力装置、300…無線通信システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の移動局との通信を行なう通信制御部と、前記第1の移動局が転送した第2の移動局からの遭難信号を監視する遭難信号監視部と、前記遭難信号を転送する遭難信号転送部と、から成り、
通信圏外に位置する前記第2の移動局からの前記遭難信号を検出したとき、登録された行政機関へ前記遭難信号を転送することを特徴とする基地局。
【請求項2】
基地局および他の移動局と通信を行なう通信制御部と、現在の電波状況を監視する電波状況監視部と、第1の移動局より送信された遭難信号を監視する遭難信号監視部と、GPS情報を取得するGPS制御部と、から成り、
第1の移動局からの前記遭難信号を前記基地局または第2の移動局に転送することを特徴とする移動局。
【請求項3】
請求項2に記載の移動局であって、
前記電波状態監視部が通信圏内と判断したとき、前記遭難信号を前記基地局に転送し、
前記電波状態監視部が通信圏外と判断したとき、前記遭難信号を前記第2の移動局に転送することを特徴とする移動局。
【請求項4】
請求項2に記載の移動局であって、
通信圏外において前記第1の移動局から受信した遭難信号を、通信圏内に移動した際に基地局に転送することを特徴とする移動局。
【請求項1】
第1の移動局との通信を行なう通信制御部と、前記第1の移動局が転送した第2の移動局からの遭難信号を監視する遭難信号監視部と、前記遭難信号を転送する遭難信号転送部と、から成り、
通信圏外に位置する前記第2の移動局からの前記遭難信号を検出したとき、登録された行政機関へ前記遭難信号を転送することを特徴とする基地局。
【請求項2】
基地局および他の移動局と通信を行なう通信制御部と、現在の電波状況を監視する電波状況監視部と、第1の移動局より送信された遭難信号を監視する遭難信号監視部と、GPS情報を取得するGPS制御部と、から成り、
第1の移動局からの前記遭難信号を前記基地局または第2の移動局に転送することを特徴とする移動局。
【請求項3】
請求項2に記載の移動局であって、
前記電波状態監視部が通信圏内と判断したとき、前記遭難信号を前記基地局に転送し、
前記電波状態監視部が通信圏外と判断したとき、前記遭難信号を前記第2の移動局に転送することを特徴とする移動局。
【請求項4】
請求項2に記載の移動局であって、
通信圏外において前記第1の移動局から受信した遭難信号を、通信圏内に移動した際に基地局に転送することを特徴とする移動局。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−138653(P2012−138653A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287814(P2010−287814)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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