説明

基材

【課題】従来よりも機械的強度が向上した基材を提供すること。
【解決手段】本基材は、アルミニウムの陽極酸化膜からなる板状体と、前記板状体を厚さ方向に貫通する複数の線状導体と、を備えた無機材料部と、平面視において、前記無機材料部の周囲に形成されたアルミニウムと、前記複数の線状導体の一端面が露出する前記無機材料部の一方の面を少なくとも覆うように設けられた第1金属層と、前記複数の線状導体の他端面が露出する前記無機材料部の他方の面を少なくとも覆うように設けられた第2金属層と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板を製造するための基材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配線基板を製造するための基材としては、有機基材やセラミック基材等が用いられていた。又、アルミナ(酸化アルミニウム)等の無機誘電体を含む絶縁性材料に、例えば陽極酸化により厚さ方向に貫通する微小径の貫通孔を高密度に形成し、この微小径の貫通孔に金属を充填した複数の線状導体が高密度に設けられた構造を有する基材が用いられる場合もある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−283056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された基材は、機械的な強度が十分ではないため、取り扱いが困難であり、例えば、基材の輸送中や製造工程での作業中に割れが発生する等の問題があった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、従来よりも機械的強度が向上した基材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本基材の一形態は、アルミニウムの陽極酸化膜からなる板状体と、前記板状体を厚さ方向に貫通する複数の線状導体と、を備えた無機材料部と、平面視において、前記無機材料部の周囲に形成されたアルミニウムと、前記複数の線状導体の一端面が露出する前記無機材料部の一方の面を少なくとも覆うように設けられた第1金属層と、前記複数の線状導体の他端面が露出する前記無機材料部の他方の面を少なくとも覆うように設けられた第2金属層と、を有することを要件とする。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、従来よりも機械的強度が向上した基材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1A】第1の実施の形態に係る基材を例示する平面図である。
【図1B】図1AのA−A線に沿う断面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る基材の製造工程を例示する図(その1)である。
【図3】第1の実施の形態に係る基材の製造工程を例示する図(その2)である。
【図4】第1の実施の形態に係る基材の製造工程を例示する図(その3)である。
【図5】第1の実施の形態に係る基材の製造工程を例示する図(その4)である。
【図6A】第1の実施の形態の変形例1に係る基材を例示する平面図である。
【図6B】図6AのB−B線に沿う断面図である。
【図7A】第1の実施の形態の変形例2に係る基材を例示する平面図である。
【図7B】図7AのC−C線に沿う断面図である。
【図8A】第1の実施の形態の変形例3に係る基材を例示する平面図である。
【図8B】図8AのD−D線に沿う断面図である。
【図9A】第1の実施の形態の変形例4に係る基材を例示する平面図である。
【図9B】図9AのE−E線に沿う断面図である。
【図10】第1の実施の形態に係る基材を用いた配線基板を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る基材の構造]
まず、第1の実施の形態に係る基材の構造について説明する。図1Aは、第1の実施の形態に係る基材を例示する平面図である。図1Bは、図1AのA−A線に沿う断面図である。但し、図1Aにおいて、図1Bに示す金属層15は省略されている。図1A及び図1Bにおいて、X方向は無機材料部13の一方の面13aと平行な方向、Y方向は無機材料部13の一方の面13a内においてX方向に垂直な方向、Z方向はX方向及びY方向に垂直な方向(基材1の厚さ方向)をそれぞれ示している(以降の図においても同様)。
【0011】
図1A及び図1Bを参照するに、第1の実施の形態に係る基材1は、大略すると、無機材料部13と、金属材料部14と、金属層15と、金属層16とを有する。
【0012】
基材1は、配線基板を製造するための平板状の基材である。基材1の平面形状は、例えば、矩形状とすることができる。基材1の幅(X方向)×奥行き(Y方向)は、例えば、160mm×160mm程度とすることができる。基材1の厚さ(Z方向)は、例えば、50〜500μm程度とすることができる。
【0013】
無機材料部13は、無機誘電体を含む絶縁性材料からなる板状体11全体に亘りそのZ方向(厚さ方向)に貫通する多数の貫通孔11xに金属材料を充填して線状導体(ビア)12が形成された部分である。板状体11としては、アルミナ(酸化アルミニウム)を用いることができる。
【0014】
線状導体12は、その一端面が無機材料部13の一方の面13aから露出しており、その他端面が無機材料部13の他方の面13bから露出している。各線状導体12は、互いに略平行に略一定間隔で板状体11の略全面に亘って形成されている。線状導体12は、例えば平面視円形に形成されており、その直径は例えば30nm〜2000nm程度とすることができる。なお、平面視とは、対象物を図1AのZ方向から見た場合を指す。
【0015】
又、線状導体12は、隣接する線状導体12の間隔が線状導体12の直径よりも小さくなる程度に密に形成されていることが好ましい。但し、線状導体12の配置形態については、特に限定されず、例えばヘキサゴナル状に配置されていてもよいし、グリッド状に配置されていてもよい。線状導体(ビア)12を形成する金属材料としては、例えば銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)等を用いることができる。
【0016】
金属材料部14は、平面視において、無機材料部13の周囲に形成された部分である。金属材料部14は、例えば、平面視において、無機材料部13を囲むように額縁状に形成されており、基材1の周縁部に位置している。金属材料部14の幅は、例えば、30mm程度とすることができる。金属材料部14の材料としては、アルミニウム(Al)を用いることができる。金属材料部14の一方の面14aは、無機材料部13の一方の面13aと略面一とすることができる。又、金属材料部14の他方の面14bは、無機材料部13の他方の面13bと略面一とすることができる。
【0017】
金属層15は、無機材料部13の一方の面13aと、金属材料部14の一方の面14aを覆うように形成されている。又、金属層16は、無機材料部13の他方の面13bと、金属材料部14の他方の面14bを覆うように形成されている。金属層15及び16の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。金属層15及び16として、例えば、チタン(Ti)と銅(Cu)とを、この順番で無機材料部13の一方の面13a及び金属材料部14の一方の面14a、並びに無機材料部13の他方の面13b及び金属材料部14の他方の面14bに積層しても構わない。金属層15及び16の厚さは、例えば、それぞれ1〜20μm程度とすることができる。
【0018】
基材1の4隅には、金属材料部14、金属層15、及び金属層16を貫通する貫通孔1xが設けられている。貫通孔1xの平面形状は、例えば円形であり、その直径は、例えば10mm程度とすることができる。貫通孔1xは、例えば、基材1から配線基板を作製する製造工程において、基材1を製造設備に固定する際の位置決めに使用することができる。
【0019】
貫通孔1xとは別に、基材1から配線基板を作製する製造工程において、アライメント等に用いる他の貫通孔を設けても構わない。なお、貫通孔1xや他の貫通孔は必要に応じて設ければよい。又、貫通孔1xや他の貫通孔の平面形状は、例えば楕円や矩形等でも構わない。
【0020】
このように、複数の線状導体12が形成された無機材料部13の周囲に金属材料部14を形成し、更に、無機材料部13及び金属材料部14の表面(一方の面)に金属層15を形成し、無機材料部13及び金属材料部14の裏面(他方の面)に金属層16を形成することにより、基材1の機械的強度を従来(無機材料部13のみの場合)よりも飛躍的に向上できる。その結果、基材1の輸送中や製造工程での作業中における取り扱いが飛躍的に容易になり、基材の輸送中や製造工程での作業中に割れが発生する等の問題を防止できる。
【0021】
又、無機材料部13は、機械的強度が十分ではないため、位置決めやアライメント等に用いる貫通孔を形成することが困難である。基材1では、無機材料部13の周囲に機械的強度が十分な金属材料部14を形成しているため、金属材料部14を含む部分を厚さ方向に貫通する貫通孔を形成できる。その結果、作業性やアライメント性を従来(無機材料部13のみの場合)よりも向上できる。
【0022】
なお、金属層15及び16は、少なくとも機械的強度が十分でない無機材料部13の一方の面13a及び他方の面13bを覆うように形成すればよい。つまり、金属層15及び16は、金属材料部14の一方の面14a及び他方の面14bを覆うように形成する必要はない。但し、金属層15及び16を無機材料部13の一方の面13a及び他方の面13bから、それぞれ金属材料部14の一方の面14a及び他方の面14bに延在するように形成してもよいし、更に、金属材料部14の側面の全部又は一部に延在するように形成してもよい。
【0023】
[第1の実施の形態に係る基材の製造方法]
次に、第1の実施の形態に係る基材の製造方法について説明する。図2〜図5は、第1の実施の形態に係る基材の製造工程を例示する図である。
【0024】
まず、図2に示す工程では、平板11Aを準備し、準備した平板11Aの一方の面に開口部61xを有するマスキング層61を形成する。又、他方の面全面を覆うマスキング層62を形成する。平板11Aとしては、アルミニウム(Al)を用いることができる。平板11Aの幅(X方向)×奥行き(Y方向)は、例えば、200mm×100mm程度とすることができる。平板11Aの厚さ(Z方向)は、例えば、50〜1000μm程度とすることができる。
【0025】
開口部61xを有するマスキング層61を形成するには、例えば、平板11Aの一方の面の全面に樹脂製のレジストフィルムを貼付し、その後レジストフィルムを露光及び現像して開口部61xを形成すればよい。又、開口部61xを予め形成したレジストフィルムを平板11Aの一方の面に貼付して、マスキング層61を形成してもよい。マスキング層62は、例えば、平板11Aの他方の面全面に樹脂製のレジストフィルムを貼付して形成できる。
【0026】
次に、図3に示す工程では、平板11Aの開口部61x内に露出する部分に、板状体11に多数の貫通孔11xが形成された無機材料部13Eを形成する。なお、無機材料部13Eは、後工程で貫通孔11xに金属材料を充填した線状導体12が形成されて無機材料部13となる部分である。貫通孔11xは、例えば平面視円形とすることができ、その場合の直径φは例えば30nm〜2000nm程度とすることができる。又、貫通孔11xは、隣接する貫通孔11xの間隔Pが貫通孔11xの直径φよりも小さくなる程度に密に形成することが好ましい。但し、貫通孔11xの配置形態については、特に限定されず、例えばヘキサゴナル状に配置してもよいし、グリッド状に配置してもよい。
【0027】
無機材料部13Eを形成する方法の一例を以下に示す。無機材料部13Eは、例えば陽極酸化法を用いて形成することができる。具体的には、例えば、アルミニウム(Al)からなる平板11Aの開口部61x内に露出する部分を陽極として電解液(好適には硫酸水溶液)中に浸漬し、これに対向配置される白金(Pt)電極を陰極として通電(パルス電圧を印加)する。これにより、平板11Aの開口部61x内に露出する部分にアルミニウムの陽極酸化膜(微小径の貫通孔11xが規則正しく形成された酸化アルミニウムの膜)である無機材料部13Eを形成できる。貫通孔11xの深さは、陽極酸化を行う時間により制御できる。貫通孔11xは、最終的に作製される基材1の厚さよりも深く形成しておけばよく、必ずしも平板11Aを貫通させなくてもよい。
【0028】
次に、図4に示す工程では、板状体11に形成された貫通孔11xに金属材料を充填して線状導体(ビア)12を形成する。これにより、無機材料部13が形成される。線状導体12は、図3に示すマスキング層61及び62を除去後、例えばスクリーン印刷法やインクジェット法等を用いて、例えば銀(Ag)や銅(Cu)等の導電性ペーストを貫通孔11xに充填して形成できる。
【0029】
或いは、金属材料として銅(Cu)を用いる場合には、板状体11の表面(貫通孔11xの内壁面を含む)に、無電解銅(Cu)めっき法によりシード層を形成し、形成したシード層を給電層として利用した電解銅(Cu)めっき法により、貫通孔11xに銅(Cu)を充填して線状導体12を形成できる。又、無電解銅(Cu)めっき法のみにより、銅(Cu)を貫通孔11xに充填して線状導体12を形成しても構わない。
【0030】
線状導体(ビア)12を形成後、無機材料部13及び図3に示す平板11Aの表面を機械研磨、化学機械研磨(CMP)、エッチング等により平坦化する。又、図3に示す平板11Aの裏面を機械研磨、化学機械研磨(CMP)、エッチング等により除去し、線状導体12の端面を無機材料部13の他方の面13bに露出させる。これにより、線状導体12の両端面を無機材料部13の両面に露出させることができる。なお、図3に示す平板11Aは、裏面が研磨等により除去されて、平面視において、無機材料部13の周囲に形成された金属材料部14となる。金属材料部14の一方の面14aは、無機材料部13の一方の面13aと略面一とすることができる。又、金属材料部14の他方の面14bは、無機材料部13の他方の面13bと略面一とすることができる。
【0031】
次に、図5に示す工程では、無機材料部13の一方の面13aと、金属材料部14の一方の面14aを覆うように金属層15を形成する。又、無機材料部13の他方の面13bと、金属材料部14の他方の面14bを覆うように金属層16を形成する。金属層15及び16の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。金属層15及び16として、例えば、チタン(Ti)と銅(Cu)とを、この順番で無機材料部13の一方の面13a及び金属材料部14の一方の面14a、並びに無機材料部13の他方の面13b及び金属材料部14の他方の面14bに積層しても構わない。金属層15及び16の厚さは、例えば、それぞれ1〜20μm程度とすることができる。
【0032】
金属層15及び16として、例えば、チタン(Ti)と銅(Cu)とを積層する場合には、まず、スパッタ法等により、無機材料部13の一方の面13a及び金属材料部14の一方の面14a、並びに無機材料部13の他方の面13b及び金属材料部14の他方の面14bにチタン(Ti)と銅(Cu)とを積層形成する。そして、積層形成したチタン(Ti)と銅(Cu)とを給電層とする電解めっき法により、更に銅(Cu)層を積層することができる。
【0033】
次に、図5に示す工程の後に、基材1の4隅等に、金属材料部14、金属層15、及び金属層16を貫通する貫通孔1xをドリル加工等により設けることができる。貫通孔1xの平面形状は、例えば円形であり、その直径は、例えば10mm程度とすることができる。貫通孔1xは、例えば、基材1から配線基板を作製する製造工程において、基材1を製造設備に固定する際の位置決めに使用することができる。
【0034】
貫通孔1xとは別に、基材1から配線基板を作製する製造工程において、アライメント等に用いる他の貫通孔を設けても構わない。なお、貫通孔1xや他の貫通孔は必要に応じて設ければよい。又、貫通孔1xや他の貫通孔の平面形状は、例えば楕円や矩形等でも構わない。以上が、第1の実施の形態に係る基材1の製造方法である。
【0035】
このように、第1の実施の形態によれば、複数の線状導体12が形成された無機材料部13の周囲に金属材料部14を形成し、更に、無機材料部13及び金属材料部14の表面(一方の面)に金属層15を形成し、無機材料部13及び金属材料部14の裏面(他方の面)に金属層16を形成することにより、基材1の機械的強度を従来(無機材料部13のみの場合)よりも飛躍的に向上できる。その結果、基材1の輸送中や製造工程での作業中における取り扱いが飛躍的に容易になり、基材の輸送中や製造工程での作業中に割れが発生する等の問題を防止できる。
【0036】
又、無機材料部13は、機械的強度が十分ではないため、位置決めやアライメント等に用いる貫通孔を形成することが困難である。基材1では、無機材料部13の周囲に機械的強度が十分な金属材料部14を形成しているため、金属材料部14を含む部分を厚さ方向に貫通する貫通孔を形成できる。その結果、作業性やアライメント性を従来(無機材料部13のみの場合)よりも向上できる。
【0037】
〈第1の実施の形態の変形例1〉
第1の実施の形態の変形例1では、金属層15及び16を形成しない例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0038】
図6Aは、第1の実施の形態の変形例1に係る基材を例示する平面図である。図6Bは、図6AのB−B線に沿う断面図である。図6A及び図6Bを参照するに、第1の実施の形態の変形例1に係る基材2は、金属層15及び16が形成されていない点が、基材1(図1A及び図1B参照)と相違する。
【0039】
基材の大きさは任意に決定できるため、例えば、基材2が比較的小さければ、複数の線状導体12が形成された無機材料部13の周囲に金属材料部14を形成するだけで、基材2の機械的強度を従来(無機材料部13のみの場合)よりも飛躍的に向上できる。つまり、基材2が比較的小さければ、金属層15及び16を形成しなくてもよい場合がある。基材2の幅(X方向)×奥行き(Y方向)が、例えば、30mm×30mm程度であり、厚さ(Z方向)が、例えば、150μm程度であれば、金属層15及び16を形成しなくてもよい。
【0040】
このように、比較的小さな基材の場合には、金属層15及び16を形成しなくても第1の実施の形態と同様の効果を奏する。但し、比較的小さな基材の場合でも、機械的強度に十分なマージンを持たせるために、金属層15及び16のうちの何れか一方、又は双方を形成しても構わない。
【0041】
〈第1の実施の形態の変形例2〉
第1の実施の形態の変形例2では、線状導体12、並びに、金属層15及び16を形成しない例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例2において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0042】
図7Aは、第1の実施の形態の変形例2に係る基材を例示する平面図である。図7Bは、図7AのC−C線に沿う断面図である。図7A及び図7Bを参照するに、第1の実施の形態の変形例2に係る基材3は、金属層15及び16が形成されていない点が、基材1(図1A及び図1B参照)と相違する。又、無機材料部13が、線状導体12が形成されていない無機材料部13Eに置換された点が基材1(図1A及び図1B参照)と相違する。
【0043】
このように、線状導体12は、配線基板を製造する工程において、貫通孔11xを充填することにより形成可能であるため、基材の段階では必ずしも形成しなくてもよい。
【0044】
但し、線状導体12を形成しないと金属層15及び16が形成できないため、金属層15及び16を形成しなくても第1の実施の形態と同様の効果を奏する比較的小さな基材の場合に、線状導体12を形成しない形態が実現可能となる。又、後述の第1の実施の形態の変形例4において、金属層15を形成しない場合には、比較的大きな基材の場合であっても、線状導体12を形成しない形態が実現可能となる。
【0045】
〈第1の実施の形態の変形例3〉
第1の実施の形態の変形例3では、1つの基材に複数の無機材料部を形成する例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例3において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0046】
図8Aは、第1の実施の形態の変形例3に係る基材を例示する平面図である。図8Bは、図8AのD−D線に沿う断面図である。但し、図8Aにおいて、図8Bに示す金属層15は省略されている。図8A及び図8Bを参照するに、第1の実施の形態の変形例3に係る基材4は、平面視において、複数の無機材料部13の周囲に金属材料部24が形成されている点が、基材1(図1A及び図1B参照)と相違する。
【0047】
本実施の形態では、無機材料部13は4個形成されており、各無機材料部13を囲むように金属材料部24が形成されている。金属材料部24の一方の面24aは、各無機材料部13の一方の面13aと略面一とすることができる。又、金属材料部24の他方の面24bは、各無機材料部13の他方の面13bと略面一とすることができる。金属材料部24の材料等は、金属材料部14と同様とすることができる。
【0048】
金属層15は、各無機材料部13の一方の面13aと、金属材料部24の一方の面24aを覆うように形成されている。又、金属層16は、各無機材料部13の他方の面13bと、金属材料部24の他方の面24bを覆うように形成されている。
【0049】
基材4を製造するには、図2に示す工程で、平板11Aの一方の面に、複数の無機材料部13となる領域を露出する開口部を有するマスキング層を形成すればよい。なお、基材4から1枚の配線基板を製造することもできるし、最終的に個片化して、例えば4枚の配線基板を製造することもできる。
【0050】
このように、複数の無機材料部13を囲むように金属材料部24を形成しても第1の実施の形態と同様の効果を奏する。なお、無機材料部13の個数は4個でなくても構わない。
【0051】
〈第1の実施の形態の変形例4〉
第1の実施の形態の変形例4では、無機材料部の他方の面を金属材料部から露出させない例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例4において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0052】
図9Aは、第1の実施の形態の変形例4に係る基材を例示する平面図である。図9Bは、図9AのE−E線に沿う断面図である。但し、図9Aにおいて、図9Bに示す金属層15は省略されている。図9A及び図9Bを参照するに、第1の実施の形態の変形例4に係る基材5は、無機材料部13の他方の面13bが金属材料部34で覆われている点、及び、金属層16が形成されていない点が、基材1(図1A及び図1B参照)と相違する。
【0053】
本実施の形態では、金属材料部34は、平面視において、無機材料部13の周囲に形成され、更に無機材料部13の他方の面13bに延在し、無機材料部13の他方の面13bを覆っている。換言すれば、基材5では、金属材料部34には凹部が形成され、凹部内に無機材料部13が形成されている。無機材料部13の他方の面13bは、金属材料部34に形成された凹部の底面と接している。無機材料部13の他方の面13bを覆う部分の金属材料部34の厚さは、例えば、0.5mm程度とすることができる。
【0054】
金属材料部34の一方の面34aは、無機材料部13の一方の面13aと略面一とすることができる。金属材料部34の他方の面34bは、基材5の裏面を構成している。金属材料部34の材料等は、金属材料部14と同様とすることができる。金属層15は、無機材料部13の一方の面13aと、金属材料部34の一方の面34aを覆うように形成されている。又、金属層16は形成されていない。
【0055】
基材5を製造するには、図4に示す工程で平板11Aの他方の面側を研磨等せずに、図5の工程で金属層15のみを形成すればよい。
【0056】
このように、無機材料部13の他方の面13bに金属層16を形成する代わりに、無機材料部13の周囲に形成された金属材料部34を延在させて、無機材料部13の他方の面13bを覆うようにしても第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0057】
但し、基材5から配線基板を作製する製造工程において、金属材料部34の他方の面34b側を機械研磨、化学機械研磨(CMP)、エッチング等により除去し、線状導体12の端面を無機材料部13の他方の面13bに露出させる必要がある。
【0058】
なお、無機材料部13の他方の面13bを覆う金属材料部34により十分な機械的強度が得られるので、比較的大きな基材の場合であっても、金属層15を形成しなくてもよい。又、金属層15を形成しない場合には、配線基板を製造する工程において、貫通孔11xを充填することにより線状導体12を形成可能であるため、基材5に線状導体12を形成しなくてもよい。
【0059】
〈配線基板の例〉
第1の実施の形態に係る基材1を配線基板として用いる例を示す。図10は、第1の実施の形態に係る基材を用いた配線基板を例示する断面図である。
【0060】
図10を参照するに、配線基板6は、基材1の一方の側に、絶縁層51、配線層52、ソルダーレジスト層53がこの順番で積層され、基材1の他方の側に、絶縁層54、配線層55、絶縁層56、配線層57、ソルダーレジスト層58がこの順番で積層された構造を有する。絶縁層51、ソルダーレジスト層53、絶縁層54、絶縁層56、及びソルダーレジスト層58は、例えば、それぞれエポキシ系樹脂等を主成分とする絶縁性樹脂からなり、配線層52、配線層55、及び配線層57は、例えば、それぞれ銅(Cu)等を主成分とする導電体からなる。
【0061】
基材1において、金属層15及び16は所定の平面形状にパターンニングされ、線状導体12を介して相互に電気的に接続されている。金属層15は、絶縁層51を貫通するビアホール51xを介して、所定の平面形状にパターンニングされた配線層52と電気的に接続されている。配線層52の一部は、ソルダーレジスト層53に形成された開口部53x内に露出し、例えば半導体素子と電気的に接続されるパッドとして機能する。
【0062】
金属層16は、絶縁層54を貫通するビアホール54xを介して、所定の平面形状にパターンニングされた配線層55と電気的に接続されている。配線層55は、絶縁層56を貫通するビアホール56xを介して、所定の平面形状にパターンニングされた配線層57と電気的に接続されている。配線層57の一部は、ソルダーレジスト層58に形成された開口部58x内に露出し、例えばマザーボード等の実装基板と電気的に接続されるパッドとして機能する。但し、開口部58x内に露出する配線層57を半導体素子と電気的に接続されるパッドとしてもよい。なお、配線基板は、周知の製造工程により製造できる。
【0063】
このように、基材1を入手し、周知の製造工程を経て、配線基板6を製造できる。又、配線基板6に半導体素子を実装することにより、半導体パッケージを製造できる。
【0064】
なお、基材2〜5を用いても、同様に配線基板や半導体パッケージを製造できるが、基材の形態により、配線基板の製造工程において、金属層15や金属層16を形成する工程、貫通孔11xを金属で充填して線状導体12を形成する工程、金属材料部34の他方の面34b側を機械研磨、化学機械研磨(CMP)、エッチング等により除去し、線状導体12の端面を無機材料部13の他方の面13bに露出させる工程等が必要となる。
【0065】
以上、好ましい実施の形態及びその変形例について詳説したが、上述した実施の形態及びその変形例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及びその変形例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0066】
1、2、3、4、5 基材
1x、11x 貫通孔
6 配線基板
11 板状体
11A 平板
12 線状導体
13、13E 無機材料部
13a 無機材料部の一方の面
13b 無機材料部の他方の面
14、24、34 金属材料部
14a、24a、34a 金属材料部の一方の面
14b、24b、34b 金属材料部の他方の面
15、16 金属層
51、54、56 絶縁層
51x、54x、56x ビアホール
52、55、57 配線層
53、58 ソルダーレジスト層
53x、58x、61x 開口部
61、62 マスキング層
P 間隔
φ 直径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウムの陽極酸化膜からなる板状体と、前記板状体を厚さ方向に貫通する複数の線状導体と、を備えた無機材料部と、
平面視において、前記無機材料部の周囲に形成されたアルミニウムと、
前記複数の線状導体の一端面が露出する前記無機材料部の一方の面を少なくとも覆うように設けられた第1金属層と、
前記複数の線状導体の他端面が露出する前記無機材料部の他方の面を少なくとも覆うように設けられた第2金属層と、を有する基材。
【請求項2】
前記アルミニウムの一方の面は、前記無機材料部の一方の面と面一であり、
前記アルミニウムの他方の面は、前記無機材料部の他方の面と面一である請求項1記載の基材。
【請求項3】
アルミニウムの陽極酸化膜からなる板状体と、前記板状体を厚さ方向に貫通する複数の貫通孔と、を備えた無機材料部と、
平面視において、前記無機材料部の周囲に形成されたアルミニウムと、を有する基材。
【請求項4】
前記アルミニウムは、前記複数の貫通孔の一方の端部が露出する前記無機材料部の何れか一の面に延在し、前記何れか一の面を覆っている請求項3記載の基材。
【請求項5】
前記複数の貫通孔には金属材料が充填されている請求項3又は4記載の基材。
【請求項6】
前記無機材料部の前記何れか一の面の反対面を少なくとも覆うように金属層が設けられている請求項5記載の基材。
【請求項7】
前記無機材料部は複数個形成されており、
平面視において、複数の前記無機材料部の周囲に前記アルミニウムが一体的に形成されている請求項1乃至6の何れか一項記載の基材。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−45804(P2013−45804A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180700(P2011−180700)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】