説明

基板を乾燥させるための方法及び装置

【課題】開口を有する円板形の基板の効率的な乾燥方法及び装置を提供する。
【解決手段】開口を有するワークピースを乾燥するための方法であって、前記ワークピースを液体中に提供する段階と、前記ワークピースと前記液体の液面との間の相対的な動きを引き起こして、前記ワークピースが前記液体と接触しない状態まで取り出す段階と、前記ワークピースを乾燥する段階と、を備え、この乾燥段階の少なくとも一部は、前記相対的な動きを引き起こす動作の間に起こり、前記相対的な動きは、前記開口の上部が前記液面を通過する間第1速度であり、前記相対的な動きは、前記開口の上部が前記液面を通過した後、前記ワークピースの一部が前記液体と接触したままである期間第2速度であり、前記第1速度は前記第2速度より遅い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ディスクや集積回路の製造に用いられる基板などのワークピースを乾燥させるための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの製造工程において、ワークピースを液体で処理して、その後にこのワークピースを乾燥させることが必要となる。例えば、磁気ディスクの製造中には、代表的に以下の製造段階が実行される。
【0003】
1.最初に、アルミニウム基板にニッケルリン層をメッキする。
【0004】
2.ニッケルリン層を磨いて、生地を作る。
【0005】
3.基板を洗浄して、すすいで、乾燥させる。
【0006】
4.例えばスパッタリングによるNiP又はCrの下地層と、磁気コバルト合金の層と、水素化炭素の保護被覆層などの、一連の層を基板上にスパッタする。
【0007】
このような処理の例は、Berteroらの米国特許第6,150,015号に開示されており、ここで参照して引用する。
【0008】
スパッタリングの直前に、基板を洗浄してから乾燥させる。基板が乾燥したときには、基板の表面にはいかなる不純物も存在していないことが極めて重要である。
【0009】
数多くの他の製造工程もワークピースの乾燥を必要とする。例えば、半導体製造処理の様々な段階において、半導体ウエハを液体に浸してから乾燥させる。乾燥の後には、これらのウエハの表面に全く不純物が存在しないことが極めて重要である。
【0010】
半導体ウエハを乾燥させるためのひとつの装置が欧州特許出願0 385 536号に開示されている。’536号の装置では、ウエハを液体に浸した後、乾燥処理を促進するような蒸気の存在中で、ゆっくりとウエハを液体から取出す。この蒸気と液体との協働は、いわゆるマランゴニ効果を引き起こして、ウエハの乾燥を容易にする。’536号の装置では、「ナイフ形の部材」がウエハを液体の外に押出して、ウエハを乾燥する領域に運ぶ。
【0011】
半導体ウエハを乾燥させるための他の装置は、Schildらの米国特許第5,569,330号に開示されている。Schildもまた、ウエハを液体から押出して、ウエハを乾燥する領域に運ぶための構造を教示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来技術のいくつかの乾燥工程においては、乾燥中のウエハを保持構造によって保持している。このために、乾燥するウエハを保持構造で保持している箇所には、いくらかの汚染や乾燥跡を生じる可能性がある。かかる問題点に対処するためのひとつの装置がFishkinらの米国特許第5,884,640号に開示されている。Fishkinの乾燥装置では、流体を収容している液槽からウエハを押出す代わりに、液槽から流体を排出させるようにしている。ウエハに対して液面が下がるときにウエハは異なった箇所にて保持されるため、ウエハの一部分が乾燥する間にかかる部分が保持構造と機械的に接触することはない。
【0013】
Steckの米国特許第4,722,752号は、ウエハを乾燥させるための他の装置を開示している。Steckの装置は、ウエハを持上げて液体との接触から取出すために2つの構造を備えている。第1の構造(Steckの図5におけるバール34)は、Steckのウエハ24の一部分を液体との接触から取出す。この時間期間中には、カセット25は液体に浸されている。Steckの装置は、この後にカセット25を液体から押出す。最終的には、カセット25が乾燥した後に、ウエハ24の乾燥した部分と接触するようになる。Steckの装置では、カセット25が液体との接触から離れる時刻と、カセット25がウエハ24に接触する時刻との間に十分な時間を確保して、カセットが乾燥できるようにする必要がある。このことはSteckの装置のスループットを潜在的に制限している。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によるワークピースを乾燥させる方法は、ワークピースの第1の部分が液体から延出するまで、第1の保持構造を用いてワークピースを液槽の外へ持上げるような段階を備える(工程のかかる時点では、ワークピースの第2の部分は液体中に残っている。)。方法におけるかかる部分では、第1の保持構造は液体中に浸されていて、第1の保持構造とワークピースとが接触しているワークピースの部分は液体中に浸漬している。液体から延出しているワークピースの部分は乾燥する。第2の保持構造は、液体から延出しているワークピースの乾燥した部分を把持した後に、ワークピースを持上げて、第1の保持構造との接触から離脱させ、液体との接触から離脱させる(ワークピースを持上げる第2の保持構造の部分は乾燥していて、代表的には第2の保持構造のかかる部分は決して液体中に浸漬することがない。ひとつの実施形態では、第2の保持構造には液体中に浸される部分が存在しない。)。次に、ワークピースの第2の部分が乾燥する。ひとつの実施形態では、ワークピースの乾燥部分が保持構造に接触することは決してない。従って、ワークピースに乾燥跡や汚染を生じる機会は最小になる。
【0015】
本発明による方法の他の利点は、第2の保持構造が決して液体中に浸漬しないために、第2の保持構造がワークピースを把持する前に乾燥することを待つ必要がないという点にある。従って、本発明による方法は上述のSteckの方法よりも効率的であることが期待される。
【0016】
ひとつの実施形態では、ワークピースは磁気ディスクの製造に用いられる基板である。ワークピースは、ニッケルリンのメッキされたアルミニウム合金や、ガラス、ガラスセラミック、又は他の材料である。乾燥させた後には、ワークピースの上に様々な層、例えば下地層や、磁気層、及び保護層などを(例えばスパッタリングや、CVD、PECVD、又は他の技術によって)堆積させる。しかしながら、ワークピースは半導体ウエハなどの他のタイプの構造物でも良い。
【0017】
ひとつの実施形態では、数枚(又は多数枚)のワークピースを同時に乾燥させる。
【0018】
ひとつの実施形態では、ワークピースの上部が液体の液面を通過する時には、第1の速度でワークピースを上昇させる。ワークピースの上部が液体の液面を通過した後には、ワークピースを第2の速度で上昇させる。第1の速度は第2の速度よりも遅い。また、ひとつの実施形態では、ワークピースの下部が液面を通過する時には、第3の速度でワークピースを上昇させる。第3の速度は第2の速度よりも遅い。この理由は、ワークピースの異なる部分は異なった速度で乾燥するためである。ワークピースを上昇させる速度を調節して、基板の異なる部分の乾燥速度に適応させることで、ワークピースの乾燥の全体としての速度が向上する。
【0019】
ワークピースは、中央に形成された開口を有するような基板でも良い。そのような実施形態では、中央に形成された開口の上部が液面を通過する時と、中央に形成された開口の下部が液面を通過する時には、ワークピースを第4の速度で上昇させる。上述した理由から、第4の速度は代表的に第2の速度よりも遅い。中央に形成された開口の上部が液面を通過してから中央に形成された開口の下部が液面を通過するまでの間には、基板を第5の速度で上昇させる。第5の速度は代表的に第4の速度よりも大きい。任意的には、第5の速度と第2の速度とを等しくしても良い。さらに、第1と第3と第4との速度を等しくしても良い。上述のように、基板の上部及び下部と中央に形成された開口の上部及び下部とが液面を通過する時には、基板の乾燥が遅くなるという事実に対応させて、基板を上昇させる速度を変更する。
【0020】
ひとつの実施形態では、液体の液面の上にガス又は蒸気を提供して乾燥を促進する。ひとつの実施形態では、この蒸気はIPA(イソプロピルアルコール)から構成されるが、例えばアセトンなどの他の材料を用いても良い。従って、本発明の実施形態は上述したマランゴニ効果を使用する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明のひとつの実施形態による方法は、図1に示す基板10などの例えば円板形のワークピースを乾燥するために用いられる。基板10は例えば磁気ディスクを製造するのに使用される基板である。1の実施形態においては、基板10は例えばニッケルリン合金でメッキされているアルミニウム合金である。変形例においては、基板10は例えばガラスやガラスセラミックなどの他の材料から形成される。基板10は代表的に中央に形成された開口12を有する。当業者に知られているように、製造の最後にディスクはスピンドル(図示せず)に取付けられるが、開口12はディスクをかかるスピンドルに取付ける場所である。
【0022】
製造工程中には、基板10を液体に接触させて(例えば基板を洗浄又はすすいで)、その後に基板10を乾燥させることが求められる。従って、基板10は、液体(図示せず)を収容している第1のタンクに浸漬させた後に、乾燥装置13へと搬送され、表面汚染の見込みを最小にするようにして乾燥させる。装置13は、容器14を備えていて、この中には水16(図1参照)などの液体を収容するタンク15が含まれている(水16は例えば脱イオン水であって、室温から約60℃までの間の温度であるが、他の液体や他の温度を使用しても良い。)。上述したように、そのような工程中には、基板10に乾燥跡や他の汚染物が付着することを防止ないし最小にするようなやり方で基板10を乾燥させることが求められる。本発明による方法はこの目的を達成する。
【0023】
図1を参照すると、基板10はシャトル18で支持されていて、基板10はタンク15の上方に位置している。基板10がタンク15の上方に配置されると直ちに、カバー20は矢印Aの方向へ動く。第1のホルダ22は上方(矢印B)へ動いて、ホルダ22は基板10を保持する位置となる(1の実施形態では、ホルダ22は1.0〜20mm/秒の速度で上方へ移動する。)。シャトル18のアーム18a及び18bが外向きに(矢印C、D)動いて、基板10を解放する。工程のこの時点においては、基板10は第1のホルダ22によって保持される(シャトル18が基板10を解放する前に、ホルダ22が所定の位置にあることを確実にするためにロボット操作の処理には適切な遅延時間を挿入すると良い。)。
【0024】
ひとつの実施形態では、第1のホルダ22は5つの接触点22a〜22eにて基板10を保持する。しかしながら他の実施形態では、異なる数の接触点を使用できる。
【0025】
次に、第1のホルダ22は基板10を降ろして(方向E)、タンク15の中へ入れて、基板10を水16中に浸漬させる(図2参照)。この下降動作は比較的高い速度(1.0〜20mm/秒)で良い。基板10は約10〜300秒間、水16の中に浸漬される。任意的には、この部分の工程中に、水16を機械的に撹拌して洗浄処理を促進しても良い。この撹拌は超音波やメガソニックでも良い(メガソニックの撹拌とは極めて高い周波数での撹拌である。)。カバー20を矢印Fの方向へ動かして、タンク15が配置されている区画24を閉鎖する。
【0026】
その後、第1のホルダ22は第1の比較的高い速度で(図3の矢印Gを参照)、基板10を持上げ始める。この第1の速度は約1〜20mm/秒である。基板10の上部表面10tが水16の液面16tを通過する直前に、ホルダ22の速度は遅くなって、例えば0.2〜1.0mm/秒という第2のより遅い速度になる。
基板10の上部10tが水16の液面16tを通過し終えるまで、この状態が継続する。区画24にはIPAを含む蒸気が導入されて基板10が乾燥するのを容易にすると共に上述のマランゴニ効果を促進するが、この蒸気の導入は、基板10を持上げる前に開始して、基板10を持上げる間にわたって継続する。ひとつの実施形態では、IPAを提供するために、窒素をイソプロピルアルコールに通して泡立たせて、IPAの蒸気を形成する。この蒸気は、カバー20の底面20bに配置されてなる「シャワーヘッド型の開口」又は孔(図示せず)を通して導入される。
【0027】
基板10の上部10tが水16の液面16tを通過した後には、ホルダ22が基板10を上昇させる速度が増加して、例えば約1.0〜20mm/秒である比較的高い速度になる。ホルダ22がこの増加した速度で基板10を上昇させ続けるのは、開口12の上部12tが水16の液面16tを通過する直前までである。この時点で、ホルダ22が基板10を上昇させる速度は再び遅くなって、例えば0.2〜1.0mm/秒になる。開口12の上部12tが水16の液面16tを通過した後には、再び、ホルダ22の上昇速度が速くなって、例えば1.0〜20mm/秒の速度になる。このように基板10が上昇する速度を変化させることは以下の利点を有する。基板10(図10参照)のP2とP4とP6の部分の乾燥速度は、基板10のP1とP3の部分(それぞれ基板10の上部10tと開口12の上部12tとに位置している)の乾燥速度に比べてより大きい。基板10を上昇させる速度を変化させて、基板10の異なった部分の乾燥速度の違いに適応することで、乾燥工程の全体の速度が向上する。
【0028】
開口12の下部12bと基板10の下部10bとが乾燥する速度は、P2とP4とP6の部分の乾燥速度に比べて遅い。従って、基板10のP5とP7の部分が水16の液面16tを通過する時には、再び、基板10の上昇速度を遅くする。
【0029】
図4を参照すると、開口12の下部12bが水16の液面16tを通過した後には、第2のホルダのアーム26a及び26bが内側へと動く(矢印H及びI参照)。次に、第2のホルダは上方(図5の矢印J)へ動き始めて、基板10を上昇させてホルダ22との接触から離して、さらに、基板10を液槽の外へ引上げる(図6)。重要なことは、本発明による方法においては、第2のホルダのアーム26a及び26bは決して水16に浸漬しないということである。従って、基板10を保持する前に、第2のホルダが乾燥するのを待つ必要がない。従って、本発明による乾燥方法は迅速で効率的である。
【0030】
ひとつの実施形態では、アーム26a及び26bは、停止ポイントに達するまで、内向きに動かされる。この停止ポイントに達したときには、依然としてアーム26a及び26bは基板10に接触してはいない。アーム26a及び26bは、それらが上方へ動くまでは基板10に接触しない。しかしながら、他の実施形態においては、アーム26a及び26bは内向きに動くと直ちに基板10に接触しても良い。
【0031】
また、ひとつの実施形態においては、ホルダ22の上方向への動きは、基板10がアーム26a及び26b(これらはホルダ22より速い速度で上方向へ動いている。)へ引渡されても、依然として続けられる。この実施形態では、基板22のアーム26への引渡しは、リレー競争のバトンの引渡しに類似している。
【0032】
ひとつの実施形態では、アーム26が基板10を上昇させ続けて水16との接触から離す間、ホルダ22は水16に浸漬したままである。
【0033】
図7を参照すると、基板10が完全に区画24の乾燥した部分に位置したときに、第2のホルダは停止する。この時点で、水16はタンク15から例えば容器14の底部へと排出される(この排出はかなり迅速に例えば2〜5秒間で行なわれる。そして水は容器14の底部の位置14bに排出される。)。次に、区画24へのIPAの蒸気の流入を停止させてから、1又は複数のノズル29を介して区画24へ高温の窒素を導入する。窒素は約150〜300℃(例えば200℃)の温度であって、約5〜120秒間(例えば30秒間)の間、導入される。窒素によって基板10に残留しているすべての水分が確実に取除かれる。水は容器15から排出されているので、この部分の工程では水が飛散する可能性はない。
【0034】
ひとつの実施形態においては、工程の全体にわたって、常温の窒素を区画24に流通させる。言換えれば、この窒素は、乾燥を容易にするためのプロセスガスの一部として、区画24に導入され排出される。この常温の窒素の流れは乾燥工程の全体にわたって行なわれて、それが中断されるのは、a)IPA蒸気を区画24に流入させる時と、b)高温の窒素を区画24に流入させる時とである。
【0035】
上述した高温の窒素の導入が完了した後に、カバー20はK方向へ動いて開く。次に、第2のホルダが基板10を持上げて装置13の外に取出す(図8参照)。次に、第2のシャトル30がL方向に動いて、基板10の下方に位置する(図9)。次に、第2のホルダが降りて(M方向)、基板10をシャトル30に引渡して、このシャトルが基板10をN方向に搬送して、次段のステーション、例えば基板10をカセットに収容するステーションへ搬送する。
【0036】
上述したように、第1のホルダと第2のホルダとは異なった速度で昇降動作することができる。ひとつの実施形態では、第1のホルダ22はモータに結合されて(図11にモータ32として模式的に示している。)、このモータがホルダ22を昇降させる。このモータはDCブラシレスサーボモータか、または、ステップモータである。モータは、例えばControl Technology社が製造しているCTC制御装置などの電子制御装置によって制御される。同様に、第2のホルダの垂直動作を制御するためのモータ(図示せず)も、DCブラシレスサーボモータ又はステップモータであって、CTC制御装置によって制御される。しかしながら、他のメカニズム(他のタイプのモータを含む)を用いて第1及び第2のホルダを昇降させても良い。これらのモータは、「リードネジ」型の連結機構によって第1及び第2のホルダに結合される。言換えれば、第1及び第2のホルダはリードネジ構造に機械的に結合されて、このリードネジが上述のモータによって回転して、第1及び第2のホルダを昇降させる。図11は、ホルダ22を螺旋ネジ駆動体40に結合するやり方を模式的に示している。駆動体40はモータ32によって回転する。モータ32が駆動体40を回転させると、ホルダ22に結合されているキャリッジ44が駆動体40を昇降して、ホルダ20を昇降させる。図11は、ホルダを昇降させるためのやり方を示した単なる例示的な図であることを強調しておきたい。第2のホルダも同様にキャリッジに取付けられて昇降する。
【0037】
ひとつの実施形態では、第2のホルダのアーム26a及び26bは、例えば空気シリンダなどの空気圧装置によって、内向き及び外向きに動かされる。しかしながら、他のメカニズムを用いてアーム26a及び26bを内外に動かしても良い。
【0038】
図10は、基板10の平面図であって、基板10の上部10tの第1の領域P1と、基板10の上部10tと開口12の上部12tとの間の第2の領域P2と、開口12の上部12tの第3の領域P3と、開口12の上部12tと下部12bとの間の第4の領域P4と、開口12の下部12bの第5の領域P5と、開口12の下部12bと基板10の下部10bとの間の第6の領域P6と、基板10の下部10bの第7の領域P7と、を示している。上述のように、領域P1、P3、P5、及びP7が水16の液面16tを通過するときには、基板10は比較的遅い速度で動く。領域P2、P4、及びP6が水16の液面16tを通過するときには、基板10は比較的速い速度で動く領域P1が水16の液面16tに到達する前と、領域P7が水16の液面16tを通過した後とには、基板10を比較的速い速度で動かすと良い。また、基板10を降ろして水16に入れるときには、基板を比較的速い速度で動かすと良い。)。領域P1の区域Dは、基板10の上部10tを中心とした5〜10mmの幅である。同様に、領域P3、P5、及びP7の区域Dは、それぞれ上部12tと下部12bと下部10bとを中心とした、5〜10mmの幅である。基板10は例えば95mmの直径である。しかしながら、これらの寸法は単なる例示にすぎない。
【0039】
いくつかの実施形態においては、領域P1が水16の液面16tを通過するときの速度は一定ではなくて、むしろ変化するものであることに留意されたい。同じく、いくつかの実施形態においては、領域P2ないしP7が水16の液面16tを通過するときの基板10の速度を変化させることもできる。任意的には、領域P1、P3、P5、及びP7が水16の液面16tを通過するときの基板10の上昇速度は同一にしても良い。さらに任意的には、領域P2、P4、及びP6が水16の液面16tを通過するときの基板10の速度も同一にしても良い。しかしながら、他の実施形態においては、それらが異なるようにしても良い。
【0040】
本発明について特定の実施形態に関連して説明したけれども、発明の精神及び範囲から逸脱せずに、これらの形態や詳細を変更できることを当業者は認識するだろう。例えば、本発明によれば、異なったタイプのワークピースをすすいで乾燥させることができる。ワークピースや様々な昇降機構の速度やタイミングについてのパラメータや、本願で説明した温度やガス及び液体の組成などの他のパラメータは、例示的なものであって、他のパラメータを用いることができる。図面には1枚だけの基板10をすすいで乾燥させるように示しているけれども、代表的には数枚ないし多数枚(例えば50枚)の基板を同時にすすいで乾燥させる。
様々なホルダとシャトルとは、アームの組として、図面の平面に対して垂直である軸線に沿った縦方向に延在している。これらのアームは代表的に、多数の基板を保持するための切欠を含む。
【0041】
本発明による装置は、光学的な又は他のタイプのセンサやエンコーダを備えることで、装置の様々な要素の位置を制御装置に伝達することができる。制御装置は、この情報を用いて、本願に説明した様々なシャトルやホルダの動きを制御する。
【0042】
ひとつの実施形態では、タンク15が水16で満たされている時には常時、タンク15には常に余分な量の水が導入されて、タンク15の上部15tからゆっくりと溢れ続ける。水16の中に何らかの汚染物があるとするならば、それは水16の液面16tの近くに存在すると考えられている。従って、タンク15から常に水を溢れ出させることで、あらゆる汚染物を装置13から洗い流すことができると考えられる。
【0043】
上述した実施形態はワークピースを液体の外へ持上げるホルダを備えているけれども、他の実施形態においては、液槽から液体を排出させるようにして、ワークピースは静止状態に維持する。ひとつの実施形態は、異なった速度で液槽から液体を取除くための排水路ないしポンプを備えていて、水16の液面16tは、ワークピースに対して相対的に変化する速度で移動する。従って、水16の液面16tがワークピースの乾きの遅い部分を通過するときには、液面16tがワークピースの乾きの速い部分を通過するときの速度と比較して、液面16tはより遅い速度で移動する。
【0044】
また、ひとつの実施形態では、ワークピースの第1の部分の下へ水16の液面16tが下がるまでの間、第1のホルダ22がワークピースを保持する。ワークピースのかかる第1の部分が乾燥した後における、ワークピースの第2の部分がまだ水16に浸されている間に、ワークピースの乾燥した部分を第2のホルダ26が把持して、第1のホルダ22はワークピースを解放する。水16の液面16tは液槽から排水され続けることで、最後には、ワークピースから水16と接触している部分が無くなる。この実施形態では、第2のホルダ26は水16とは接触しない。
【0045】
さらに他の実施形態では、ホルダ22及び26と水16の液面16tとのいずれもが同時に移動する。
【0046】
本願で説明した発明の異なる観点は、発明の他の観点とは独立して実施できることを理解されたい。従って、そのようなあらゆる変更は本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、本発明による基板を乾燥させる装置を示した図である。
【図2】図2は、本発明による基板を乾燥させる装置を示した図である。
【図3】図3は、本発明による基板を乾燥させる装置を示した図である。
【図4】図4は、本発明による基板を乾燥させる装置を示した図である。
【図5】図5は、本発明による基板を乾燥させる装置を示した図である。
【図6】図6は、本発明による基板を乾燥させる装置を示した図である。
【図7】図7は、本発明による基板を乾燥させる装置を示した図である。
【図8】図8は、本発明による基板を乾燥させる装置を示した図である。
【図9】図9は、本発明による基板を乾燥させる装置を示した図である。
【図10】図10は、基板を示す平面図である。
【図11】図11は、本発明のひとつの実施形態による装置を図1乃至図9とは垂直な平面において示した横断面図である。
【符号の説明】
【0048】
10 基板
13 乾燥装置
15 タンク
18 シャトル
22 ホルダ
26 アーム
32 モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有するワークピースを乾燥するための方法であって、
前記ワークピースを液体中に提供する段階と、
前記ワークピースと前記液体の液面との間の相対的な動きを引き起こして、前記ワークピースを前記液体と接触しない状態まで取り出す段階と、
前記ワークピースを乾燥する段階と、を備え、この乾燥段階の少なくとも一部は、前記相対的な動きを引き起こす動作の間に起こり、
前記相対的な動きは、前記開口の上部が前記液面を通過する間第1速度であり、前記相対的な動きは、前記開口の上部が前記液面を通過した後、前記ワークピースの一部が前記液体と接触したままである期間第2速度であり、前記第1速度は前記第2速度より遅いことを特徴とする方法。
【請求項2】
開口を有するワークピースを乾燥するための方法であって、
前記ワークピースを液体中に提供する段階と、
前記ワークピースと前記液体の液面との間の相対的な動きを引き起こして、前記ワークピースを前記液体と接触しない状態まで取り出す段階と、
前記ワークピースを乾燥する段階と、を備え、この乾燥段階の少なくとも一部は、前記相対的な動きを引き起こす動作の間に起こり、
前記相対的な動きは、前記ワークピースの上部が前記液面を通過した後、前記開口の上部が前記液面を通過する前の期間第1速度であり、前記相対的な動きは、前記開口の上部が前記液面を通過する間第2速度であり、前記第1速度は前記第2速度より速いことを特徴とする方法。
【請求項3】
前記ワークピースは、磁気ディスク基板であり、
前記相対的な動きは、前記開口の上部が前記液面を通過した後、前記開口の下部が前記液面を通過する前の期間第3速度であり、この第3速度は前記第2速度より速い、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記相対的な動きを引き起こす段階は、前記ワークピースを前記液体から引上げる段階を有し、
前記相対的な動きは、前記ワークピースの上部が前記液面を通過する間第4速度であり、前記相対的な動きは、前記開口の下部が前記液面を通過する間第5速度であり、前記相対的な動きは、前記開口の下部が前記液面を通過した後、前記ワークピースの下部が前記液面を通過する前の期間第6速度であり、前記相対的な動きは、前記ワークピースの下部が前記液面を通過する間第7速度であり、前記第6速度は、前記第4速度,第5速度及び第7速度より速い、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ワークピースを乾燥するために、マランゴニ乾燥蒸気を前記液体より上に導入する段階をさらに備え、
前記第2速度,第4速度,第5速度及び第7速度は等しく、前記第1速度,第3速度及び第6速度は等しい、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記相対的な動きの間、前記液面を通過する前記ワークピースの部分は、別の構造物に接触しない、請求項2乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
開口を有するワークピースを乾燥するための装置であって、
液体を含む容器と、前記ワークピースが前記液体内にある間前記ワークピースを保持する第1ホルダと、を有し、前記ワークピースと前記液体の液面との間の相対的な動きが複数の異なる速度で起こり、前記ワークピースと前記液面との間の相対的な動きは、前記開口の上部が前記液面を通過するとき第1速度であり、前記相対的な動きは、前記開口の上部が前記液面を通過した後、前記ワークピースの一部が前記液体と接触したままである期間第2速度であり、前記第2速度は前記第1速度より速いことを特徴とする装置。
【請求項8】
開口を有するワークピースを乾燥するための装置であって、
液体を含む容器と、前記ワークピースが前記液体内にある間前記ワークピースを保持する第1ホルダと、を有し、前記ワークピースと前記液体の液面との間の相対的な動きが複数の異なる速度で起こり、前記ワークピースと前記液面との間の相対的な動きは、前記ワークピースの上部が前記液面を通過した後、前記開口の上部が前記液面を通過する前の期間第1速度であり、前記相対的な動きは、前記開口の上部が前記液面を通過するとき第2速度であり、前記第2速度は前記第1速度より遅いことを特徴とする装置。
【請求項9】
前記ワークピースは、磁気ディスク基板であり、
前記相対的な動きは、前記開口の上部が前記液面を通過した後、前記開口の下部が前記液面を通過する前の期間第3速度であり、この第3速度は前記第2速度より速い、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記相対的な動きは、前記ワークピースを前記液体から引上げる段階を有し、
前記相対的な動きは、前記ワークピースの上部が前記液面を通過する間第4速度であり、前記相対的な動きは、前記開口の下部が前記液面を通過する間第5速度であり、前記相対的な動きは、前記開口の下部が前記液面を通過した後、前記ワークピースの下部が前記液面を通過する前の期間第6速度であり、前記相対的な動きは、前記ワークピースの下部が前記液面を通過する間第7速度であり、前記第6速度は、前記第4速度,第5速度及び第7速度より速い、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記ワークピースを乾燥するために、前記液体より上にマランゴニ乾燥チャンバと、前記マランゴニ乾燥チャンバに蒸気を提供して、前記マランゴニ乾燥チャンバ内でマランゴニ効果を奏する、前記マランゴニ乾燥チャンバに結合された蒸気源と、をさらに有し、
前記第2速度,第4速度,第5速度及び第7速度は等しく、前記第1速度,第3速度及び第6速度は等しい、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記相対的な動きの間、前記液面を通過する前記ワークピースの部分は、別の構造物に接触しない、請求項7乃至11のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2008−118148(P2008−118148A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−299687(P2007−299687)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【分割の表示】特願2002−114906(P2002−114906)の分割
【原出願日】平成14年4月17日(2002.4.17)
【出願人】(591037649)コマッグ・インコーポレイテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】KOMAG,INCORPORATED
【Fターム(参考)】