基板バックアップ装置
【課題】幅の異なる複数種類の基板を、略隙間無く支持可能な基板バックアップ装置を提供することを課題とする。
【解決手段】基板バックアップ装置2は、複数のバックアップ片20の上面が、バックアップ片20の並置方向に連なることにより、基板Bの下面を支持する基板支持部Fを形成する。複数のバックアップ片20のうち、並置方向に隣り合う、少なくとも一対のバックアップ片20は、調整用バックアップ片200F、200Rである。調整用バックアップ片200F、200Rの上面縁は、並置方向に略直交する水平方向である直交方向両端a、b、c、dが並置方向にずれる当接部200Fa、200Raを有する。一対の当接部200Fa、200Raが当接する当接区間202の長さを変更することにより、基板支持部Fの並置方向幅L1を調整する。
【解決手段】基板バックアップ装置2は、複数のバックアップ片20の上面が、バックアップ片20の並置方向に連なることにより、基板Bの下面を支持する基板支持部Fを形成する。複数のバックアップ片20のうち、並置方向に隣り合う、少なくとも一対のバックアップ片20は、調整用バックアップ片200F、200Rである。調整用バックアップ片200F、200Rの上面縁は、並置方向に略直交する水平方向である直交方向両端a、b、c、dが並置方向にずれる当接部200Fa、200Raを有する。一対の当接部200Fa、200Raが当接する当接区間202の長さを変更することにより、基板支持部Fの並置方向幅L1を調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、スクリーン印刷機や電子部品実装機に用いられる基板バックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板バックアップ装置は、スクリーン印刷機においては、基板にはんだを印刷する際、基板の下面を支持するために用いられる(例えば、特許文献1参照)。図15に、従来のスクリーン印刷機の右側面図を示す。なお、説明の便宜上、マスク109を断面で示す。
【0003】
図15に示すように、スクリーン印刷機100には、基板バックアップ装置101が配置されている。基板バックアップ装置101は、複数のバックアップ片102と、バックアップテーブル104と、を備えている。バックアップ片102は、直方体ブロック状を呈している。バックアップ片102は、バックアップテーブル104の上面に配置されている。複数のバックアップ片102の上面は、基板103の下面を支持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−040016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板103の下面における一対のコンベアベルト105間の部分の前後方向幅L100が、単一のバックアップ片102の前後方向幅L101の整数倍の場合、適当な数のバックアップ片102により、基板103を略隙間無く支持することができる。しかしながら、前後方向幅L100が前後方向幅L101の整数倍ではない場合、バックアップ片102により、基板103を隙間無く支持することが困難になる。
【0006】
図16に、図15の円XVI内の拡大図を示す。前後方向幅L100が前後方向幅L101の整数倍ではない場合、図16に示すように、任意の一対のバックアップ片102間に隙間106が生じることになる。このため、基板103にはんだ107を印刷する際、スキージ108の摺動に伴い、マスク109上面における当該隙間106部分に、はんだ107が入り込んでしまう。この場合、印刷品質が低下するおそれがある。
【0007】
本発明の基板バックアップ装置は、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、幅の異なる複数種類の基板を、略隙間無く支持可能な基板バックアップ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記課題を解決するため、本発明の基板バックアップ装置は、複数のバックアップ片の上面が、該バックアップ片の並置方向に連なることにより、基板の下面を支持する基板支持部を形成する基板バックアップ装置であって、複数の前記バックアップ片のうち、前記並置方向に隣り合う、少なくとも一対の該バックアップ片は、調整用バックアップ片であり、該調整用バックアップ片の上面縁は、該並置方向に略直交する水平方向である直交方向両端が該並置方向にずれる当接部を有し、一対の該当接部が当接する当接区間の長さを変更することにより、前記基板支持部の該並置方向幅を調整することを特徴とする(請求項1に対応)。
【0009】
本発明の基板バックアップ装置によると、当接区間を介して、基板支持部の直交方向幅の伸縮量を、基板支持部の並置方向幅の伸縮量に、変換することができる。このため、並置方向幅の異なる複数種類の基板を、略隙間無く支持することができる。
【0010】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記当接部は、略直線状である構成とする方がよい(請求項2に対応)。本構成によると、基板支持部の直交方向幅の伸縮量と、基板支持部の並置方向幅の伸縮量と、が所定の割合で対応する。このため、基板支持部の並置方向幅の伸縮量つまり調整量を、制御しやすい。
【0011】
(2−1)好ましくは、上記(2)の構成において、前記当接部は、前記直交方向に対して、45°未満の角度で延在している構成とする方がよい。本構成によると、(基板支持部の並置方向幅の伸縮量)/(基板支持部の直交方向幅の伸縮量)<1となる。このため、並置方向幅の調整量を制御しやすい。
【0012】
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、前記基板支持部の前記直交方向中心がずれないように、前記当接区間の長さを変更する構成とする方がよい(請求項3に対応)。
【0013】
本構成によると、基板支持部の並置方向幅を調整する際、基板支持部の直交方向中心がずれない。言い換えると、段取り替えなどにより基板の種類を変更する場合であっても、基板支持部の直交方向中心がずれない。このため、基板支持部の直交方向中心を位置決めの基準として、並置方向幅の異なる複数種類の基板に対して、所定の処理を施すことができる。
【0014】
(4)好ましくは、上記(1)ないし(3)のいずれかの構成において、複数の前記バックアップ片は、さらに、前記並置方向と前記直交方向とに延在する四角形状の上面を有する基準バックアップ片を有し、前記基板支持部の該並置方向幅の調整量のうち、該基準バックアップ片の該並置方向幅の整数倍に対応する部分については、該基準バックアップ片を加除することにより、該並置方向幅を調整し、該調整量のうち、該基準バックアップ片の該並置方向幅の整数倍から余る部分については、前記当接区間の長さを変更することにより、該並置方向幅を調整する構成とする方がよい(請求項4に対応)。
【0015】
本構成によると、基板支持部の並置方向幅の調整量のうち、基準バックアップ片の並置方向幅の整数倍に対応する部分については、基準バックアップ片を加除することにより、並置方向幅を調整する。また、調整量のうち、基準バックアップ片の並置方向幅の整数倍から余る部分については、当接区間の長さを変更することにより、並置方向幅を調整する。
【0016】
例えば、基板支持部の並置方向幅の伸張量が、基準バックアップ片の並置方向幅の2.5倍の場合、基準バックアップ片を二つ追加することにより、伸張量の2倍部分を填補する。並びに、当接区間の長さを変更することにより、伸張量の0.5倍部分を填補する。
【0017】
本構成によると、基準バックアップ片として、既存のバックアップ片を用いることができる。また、調整用バックアップ片の配置数を少なくすることができる。また、基板支持部の並置方向幅の調整量が大きくなる。このため、基板の種類に対する汎用性が高い。
【0018】
(5)好ましくは、上記(1)ないし(4)のいずれかの構成において、前記並置方向は、マスクのパターン孔を介して基板にはんだを印刷するスキージの摺動方向である構成とする方がよい(請求項5に対応)。
【0019】
本構成は、基板バックアップ装置をスクリーン印刷機に用いるものである。本構成によると、基板の種類によらず、マスク上面をスキージが摺動する際、基板の下面が略隙間無く基板支持部により支持されている。このため、マスク上面に、掻き残しのはんだが残留しにくい。したがって、印刷品質が低下しにくい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、並置方向幅の異なる複数種類の基板を、略隙間無く支持可能な基板バックアップ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第一実施形態の基板バックアップ装置を備えるスクリーン印刷機の斜視図である。
【図2】同スクリーン印刷機の上面図である。
【図3】同スクリーン印刷機の右側面図である。
【図4】図2の枠IV内の拡大図である。
【図5】同スクリーン印刷機の印刷時における右側面図である。
【図6】基板の前後方向幅が伸張する場合のバックアップ片の上面図である。
【図7】基板の前後方向幅が収縮する場合のバックアップ片の上面図である。
【図8】第二実施形態の基板バックアップ装置のバックアップ片の上面図である。
【図9】第三実施形態の基板バックアップ装置のバックアップ片の上面図である。
【図10】第四実施形態の基板バックアップ装置のバックアップ片の上面図である。
【図11】第五実施形態の基板バックアップ装置のバックアップ片の上面図である。
【図12】第六実施形態の基板バックアップ装置のバックアップ片の上面図である。
【図13】その他の実施形態のバックアップ装置の基板の前後方向幅が伸張する場合のバックアップ片の上面図である。
【図14】同バックアップ装置の基板の前後方向幅が収縮する場合のバックアップ片の上面図である。
【図15】従来のスクリーン印刷機の右側面図である。
【図16】図15の円XVI内の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の基板バックアップ装置をスクリーン印刷機に用いた実施の形態について説明する。
【0023】
<第一実施形態>
[スクリーン印刷機の構成]
まず、本実施形態の基板バックアップ装置を備えるスクリーン印刷機の構成について説明する。図1に、本実施形態の基板バックアップ装置を備えるスクリーン印刷機の斜視図を示す。図2に、同スクリーン印刷機の上面図を示す。図3に、同スクリーン印刷機の右側面図を示す。なお、説明の便宜上、図1、図2においては、スキージ装置7、マスク装置6を省略して示す。また、図1においては、基板Bを透過して示す。また、図3においては、マスク装置6を断面で示す。
【0024】
図1〜図3に示すように、スクリーン印刷機1は、基板バックアップ装置2と、メインテーブル3と、クランプ装置4と、基板搬送装置5と、マスク装置6と、スキージ装置7と、を備えている。図中、前後方向は、本発明の並置方向に対応する。左右方向は、本発明の直交方向に対応する。
【0025】
メインテーブル3は、長方形板状を呈している。メインテーブル3は、上下方向に移動可能である。メインテーブル3の上面の左右方向両縁には、各々、ガイドリブ30が配置されている。ガイドリブ30は、前後方向に延在している。
【0026】
クランプ装置4は、固定クランプ40と、可動クランプ41と、を備えている。固定クランプ40および可動クランプ41は、各々、下方に開口するC字状を呈している。固定クランプ40は、メインテーブル3の上面の前縁付近に配置されている。固定クランプ40は、左右方向に延在している。固定クランプ40は、後述する基板バックアップ装置2を跨いでいる。可動クランプ41は、固定クランプ40の後方に配置されている。可動クランプ41は、左右方向に延在している。可動クランプ41は、後述する基板バックアップ装置2を跨いでいる。可動クランプ41のC字両端(左右方向両端)には、各々、被ガイド部材410が配置されている。被ガイド部材410は、ガイドリブ30に摺接している。このため、可動クランプ41と固定クランプ40との間の前後方向幅は、変更可能である。
【0027】
基板搬送装置5は、一対のコンベアベルト50、51を備えている。コンベアベルト50は、固定クランプ40の後面の上縁付近に配置されている。コンベアベルト50は、左右方向に延在している。コンベアベルト51は、可動クランプ41の前面の上縁付近に配置されている。コンベアベルト51は、左右方向に延在している。コンベアベルト51は、コンベアベルト50に前後方向に対向している。基板Bは、一対のコンベアベルト50、51間に架設されている。一対のコンベアベルト50、51により、基板Bは、左方(上流側)から右方(下流側)に搬送される。
【0028】
マスク装置6は、フレーム60と、メッシュ61と、マスク62と、を備えている。マスク装置6は、クランプ装置4の上方に配置されている。フレーム60は、長方形枠状を呈している。メッシュ61は、長方形枠状を呈している。メッシュ61は、フレーム60の枠内に配置されている。マスク62は、長方形薄板状を呈している。マスク62は、メッシュ31に張設されている。マスク62には、多数のパターン孔(図略)が形成されている。パターン孔は、基板Bの印刷箇所に応じて、所定のパターンで配置されている。
【0029】
スキージ装置7は、一対のエアシリンダ70、71と、一対のスキージ72、73と、ガイドレール74と、を備えている。スキージ装置7は、マスク装置6の上方に配置されている。ガイドレール74は、前後方向に延在している。一対のエアシリンダ70、71は、ガイドレール74に摺接している。一対のエアシリンダ70、71のうち、前方のエアシリンダ70のピストンには、スキージ72が接続されている。スキージ72は、エアシリンダ70に対して、上下方向に移動可能である。後方のエアシリンダ71のピストンには、スキージ73が接続されている。スキージ73は、エアシリンダ71に対して、上下方向に移動可能である。また、スキージ72、73は、ガイドレール74に沿って、前後方向に移動可能である。前方から後方に向かってはんだを印刷する場合は、前方のスキージ72をマスク62の上面に摺接させる。後方から前方に向かってはんだを印刷する場合は、後方のスキージ73をマスク62の上面に摺接させる。
【0030】
基板バックアップ装置2は、五つのバックアップ片20と、バックアップテーブル21と、を備えている。バックアップテーブル21は、長方形板状を呈している。バックアップテーブル21は、メインテーブル3の上方に配置されている。バックアップテーブル21の下面は、シャフト90により、支持されている。このため、バックアップテーブル21は、メインテーブル3から独立して、上下方向に移動可能である。
【0031】
五つのバックアップ片20は、バックアップテーブル21に載置されている。五つのバックアップ片20は、一対のコンベアベルト50、51間に配置されている。図4に、図2の枠IV内の拡大図を示す。図4に示すように、五つのバックアップ片20は、二つの調整用バックアップ片200F、200Rと、三つの基準バックアップ片201と、からなる。五つのバックアップ片20は、前後方向に並んでいる。
【0032】
基準バックアップ片201は、左右方向に長い直方体ブロック状を呈している。三つの基準バックアップ片201は、前方のコンベアベルト50の後方に、隙間無く連なっている。
【0033】
調整用バックアップ片200F、200Rは、台形ブロック状を呈している。調整用バックアップ片200F、200Rの上底、下底は、左右方向に延在している。二つの調整用バックアップ片200F、200Rは、三つの基準バックアップ片201の後方に、隙間無く連なっている。
【0034】
前方の調整用バックアップ片200Fの後面は、左右方向に対して、所定の角度で傾斜している。前方の調整用バックアップ片200Fの上面の後縁には、当接部200Faが配置されている。当接部200Faは、左前方から右後方に向かって、直線状に延在している。当接部200Faは、左右方向に対して、45°未満の角度で延在している。当接部200Faの左右方向両端a、bは、前後方向にずれている。
【0035】
後方の調整用バックアップ片200Rは、前方の調整用バックアップ片200Fを、ちょうど水平方向に180°回動させたものである。すなわち、調整用バックアップ片200Rの前面は、左右方向に対して、所定の角度で傾斜している。調整用バックアップ片200Rの上面の前縁には、当接部200Raが配置されている。当接部200Raは、左前方から右後方に向かって、直線状に延在している。当接部200Raは、左右方向に対して、45°未満の角度で延在している。当接部200Raの左右方向両端c、dは、前後方向にずれている。当接部200Faと当接部200Raとの間には、当接部200Fa、200Ra同士が互いに当接することにより、当接区間202が区画されている。
【0036】
図4にハッチングで示すように、基板支持部Fは、五つのバックアップ片20が隙間無く連なる部分に配置されている。基板支持部Fの前後方向幅L1は、基準バックアップ片201の前後方向幅L2の4倍である。基板支持部Fの左右方向幅L3は、当接区間202の左右方向幅(具体的には、点b−c間の距離)と一致している。
【0037】
[スクリーン印刷機の動き]
次に、本実施形態の基板バックアップ装置を備えるスクリーン印刷機の、印刷時における動きについて説明する。図5に、本実施形態の基板バックアップ装置を備えるスクリーン印刷機の印刷時における右側面図を示す。図5においては、マスク装置6を断面で示す。
【0038】
まず、基板Bを印刷位置まで移動させる。具体的には、図3に白抜き矢印Y1で示すように、まず、シャフト90により、基板バックアップ装置2を上昇させる。そして、バックアップ片20により、基板Bを、クランプ装置4の高さまで、持ち上げる。この際、基板Bの下面は、図4にハッチングで示す基板支持部Fにより、支持される。図3に戻って、続いて、白抜き矢印Y2で示すように、可動クランプ41を前方に微動させ、固定クランプ40と可動クランプ41とにより、基板Bを前後方向から挟持する。それから、白抜き矢印Y3で示すように、基板バックアップ装置2ごと、メインテーブル3を上昇させる。そして、図5に示すように、基板Bの上面をマスク62の下面に当接させる。このようにして、基板Bを印刷位置まで移動させる。
【0039】
続いて、基板Bにはんだを印刷する。具体的には、図3に白抜き矢印Y4で示すように、スキージ72を下降させる。そして、図5に示すように、スキージ72をマスク62の上面に当接させる。続いて、図5に白抜き矢印Y5で示すように、スキージ72を、前方から後方に向かって、移動させる。すなわち、マスク62に対してスキージ72を摺動する。ここで、マスク62の上面には、はんだが配置されている。はんだは、摺動するスキージ72により、パターン孔に押し込まれる。パターン孔に押し込まれたはんだは、基板Bの所定の位置に転写される。このようにして、基板Bにはんだを印刷する。
【0040】
最後に、基板Bをスクリーン印刷機1の下流側に払い出す。具体的には、まず、マスク62に対して、スキージ72を上昇させる。すなわち、いわゆる版離れを行う。続いて、マスク62に対して、基板Bを下降させる。それから、基板Bを、再び一対のコンベアベルト50、51に載置する。その後、一対のコンベアベルト50、51を駆動し、基板Bを下流側に払い出す。
【0041】
[基板バックアップ装置の動き]
次に、本実施形態の基板バックアップ装置の段取り替え時における動きについて説明する。
【0042】
まず、段取り替えにより基板Bの前後方向幅が伸張する場合について、説明する。図6に、基板の前後方向幅が伸張する場合のバックアップ片の上面図を示す。なお、図6は、図4と対応している。まず、図6に白抜き矢印Y6で示すように、基板Bの前後方向幅の伸張量に応じて、可動クランプ41を後方に移動させる。続いて、白抜き矢印Y7で示すように、調整用バックアップ片200Fを左方に移動させる。並びに、白抜き矢印Y8で示すように、調整用バックアップ片200Rを右方に移動させる。白抜き矢印Y7、Y8で示すように調整用バックアップ片200F、200Rを動かすと、当接区間202が短くなる。このため、基板支持部Fの前後方向幅L1が長くなる。このようにして、基板Bの前後方向幅の伸張量に応じて、基板支持部Fの前後方向幅L1を伸張している。なお、基板支持部Fの左右方向幅L3は収縮する。また、基板支持部Fの前後方向幅L1を伸張しても、基板支持部Fの左右方向中心C1はずれない。
【0043】
次に、段取り替えにより基板Bの前後方向幅が収縮する場合について、説明する。図7に、基板の前後方向幅が収縮する場合のバックアップ片の上面図を示す。なお、図7は、図4と対応している。まず、図7に白抜き矢印Y9で示すように、基板Bの前後方向幅の収縮量に応じて、可動クランプ41を前方に移動させる。続いて、白抜き矢印Y10で示すように、調整用バックアップ片200Fを右方に移動させる。並びに、白抜き矢印Y11で示すように、調整用バックアップ片200Rを左方に移動させる。白抜き矢印Y10、Y11で示すように調整用バックアップ片200F、200Rを動かすと、当接区間202が長くなる。このため、基板支持部Fの前後方向幅L1が短くなる。このようにして、基板Bの前後方向幅の収縮量に応じて、基板支持部Fの前後方向幅L1を収縮している。なお、基板支持部Fの左右方向幅L3は伸張する。また、基板支持部Fの前後方向幅L1を収縮しても、基板支持部Fの左右方向中心C1はずれない。
【0044】
[作用効果]
次に、本実施形態の基板バックアップ装置の作用効果について説明する。本実施形態の基板バックアップ装置2によると、当接区間202を介して、基板支持部Fの左右方向幅L3の伸縮量を、基板支持部Fの前後方向幅L1の伸縮量に、変換することができる。このため、前後方向幅の異なる複数種類の基板Bを、略隙間無く支持することができる。
【0045】
また、当接部200Fa、200Raは、各々、直線状を呈している。このため、基板支持部Fの左右方向幅L3の伸縮量と、基板支持部Fの前後方向幅L1の伸縮量と、が、一定の割合で対応する。したがって、基板支持部Fの前後方向幅L1の伸縮量つまり調整量を、制御しやすい。
【0046】
また、当接部200Fa、200Raは、左右方向に対して、45°未満の角度で延在している。このため、(基板支持部Fの前後方向幅L1の伸縮量)/(基板支持部Fの左右方向幅L3の伸縮量)<1となる。したがって、前後方向幅L1の調整量を制御しやすい。
【0047】
また、本実施形態の基板バックアップ装置2によると、基板支持部Fの前後方向幅L1を調整する際、基板支持部Fの左右方向中心C1がずれない。言い換えると、基板Bの種類を変更する場合であっても、基板支持部Fの左右方向中心C1がずれない。このため、基板Bの種類を変更しても、印刷位置の左右方向中心を一定に保つことができる。
【0048】
また、本実施形態の基板バックアップ装置2によると、基板支持部Fの前後方向幅L1の調整量のうち、基準バックアップ片201の前後方向幅L2の整数倍に対応する部分については、基準バックアップ片201を加除することにより、前後方向幅L1を調整する。また、調整量のうち、基準バックアップ片201の前後方向幅L2の整数倍から余る部分については、当接区間202の長さを変更することにより、前後方向幅L1を調整する。このため、基準バックアップ片201として、既存のバックアップ片を用いることができる。また、調整用バックアップ片200F、200Rの配置数を少なくすることができる。また、基板支持部Fの前後方向幅L1の調整量が大きくなる。このため、基板Bの種類に対する汎用性が高い。
【0049】
また、本実施形態の基板バックアップ装置2によると、基板Bの種類によらず、マスク62上面をスキージ72、73が摺動する際、基板Bの下面が隙間無く基板支持部Fにより支持されている。このため、マスク62上面に、掻き残しのはんだが残留しにくい。
【0050】
<第二実施形態>
本実施形態の基板バックアップ装置と第一実施形態の基板バックアップ装置との相違点は、全てのバックアップ片が調整用バックアップ片である点である。ここでは相違点についてのみ説明する。
【0051】
図8に、本実施形態の基板バックアップ装置のバックアップ片の上面図を示す。なお、図4と対応する部位については、同じ符号で示す。図8に示すように、八つのバックアップ片20は、全て調整用バックアップ片200F、200Rである。前後方向に隣り合う任意の一対の調整用バックアップ片200F、200R間の当接区間202の長さを変更することにより、基板支持部Fの前後方向幅L1を調整することができる。
【0052】
本実施形態の基板バックアップ装置は、構成が共通する部分については、第一実施形態の基板バックアップ装置と同様の作用効果を有している。また、本実施形態の基板バックアップ装置によると、バックアップ片20の加除を伴わずに、前後方向幅L1の調整量を大きくすることができる。
【0053】
<第三実施形態>
本実施形態の基板バックアップ装置と第一実施形態の基板バックアップ装置との相違点は、既存のバックアップ片を調整用バックアップ片として用いている点である。ここでは相違点についてのみ説明する。
【0054】
図9に、本実施形態の基板バックアップ装置のバックアップ片の上面図を示す。なお、図4と対応する部位については、同じ符号で示す。図9に示すように、五つのバックアップ片20のうち、前方二つのバックアップ片20は、調整用バックアップ片203F、203Rである。また、後方二つのバックアップ片20は、調整用バックアップ片204F、204Rである。また、中央のバックアップ片20は、基準バックアップ片201である。
【0055】
調整用バックアップ片203R、204F、基準バックアップ片201は、第一実施形態の基準バックアップ片同様に、直方体ブロック状を呈している。調整用バックアップ片203R、204F、基準バックアップ片201は、左右方向に対して、左前方から右後方に向かって、斜めに配置されている。調整用バックアップ片203Rの上面の前縁には、当接部203Raが配置されている。当接部203Raの左右方向両端g、hは、前後方向にずれている。調整用バックアップ片204Fの上面の後縁には、当接部204Faが配置されている。当接部204Faの左右方向両端k、lは、前後方向にずれている。
【0056】
調整用バックアップ片203F、204Rは、直角三角形ブロック状を呈している。調整用バックアップ片203Fの上面の後縁には、当接部203Faが配置されている。当接部203Faの左右方向両端e、fは、前後方向にずれている。調整用バックアップ片204Rの上面の前縁には、当接部204Raが配置されている。当接部204Raの左右方向両端m、nは、前後方向にずれている。当接部203Faと当接部203Raとの間、および当接部204Faと当接部204Raとの間には、当接区間202が区画されている。二つの当接区間202の長さを変更することにより、基板支持部Fの前後方向幅L1を調整することができる。
【0057】
本実施形態の基板バックアップ装置は、構成が共通する部分については、第一実施形態の基板バックアップ装置と同様の作用効果を有している。また、本実施形態の基板バックアップ装置によると、既存のバックアップ片を調整用バックアップ片203R、204Fとして用いることができる。
【0058】
<第四実施形態>
本実施形態の基板バックアップ装置と第一実施形態の基板バックアップ装置との相違点は、幅の異なる二種類の基準バックアップ片が用いられている点である。ここでは相違点についてのみ説明する。
【0059】
図10に、本実施形態の基板バックアップ装置のバックアップ片の上面図を示す。なお、図4と対応する部位については、同じ符号で示す。図10に示すように、前方二つのバックアップ片20は、基準バックアップ片205、201である。基準バックアップ片205、201は、直方体ブロック状を呈している。基準バックアップ片205の前後方向幅は、基準バックアップ片201の前後方向幅の二倍である。
【0060】
基板支持部Fの前後方向幅L1の調整量のうち、基準バックアップ片201の前後方向幅の二倍に対応する部分については、基準バックアップ片205を加除することにより、対応する。基板支持部Fの前後方向幅L1の調整量のうち、基準バックアップ片201の前後方向幅に対応する部分については、基準バックアップ片201を加除することにより、対応する。基板支持部Fの前後方向幅L1の調整量のうち、基準バックアップ片201の前後方向幅に足りない部分については、当接区間202の長さを変更することにより、対応する。
【0061】
本実施形態の基板バックアップ装置は、構成が共通する部分については、第一実施形態の基板バックアップ装置と同様の作用効果を有している。また、本実施形態の基板バックアップ装置によると、基板支持部Fの前後方向幅L1の調整作業が簡単になる。また、隣り合うバックアップ片20の上面間に形成される隙間(継ぎ目)の数を、少なくすることができる。
【0062】
<第五実施形態>
本実施形態の基板バックアップ装置と第一実施形態の基板バックアップ装置との相違点は、上面の前後両縁に当接部を持つ調整用バックアップ片が用いられている点である。ここでは相違点についてのみ説明する。
【0063】
図11に、本実施形態の基板バックアップ装置のバックアップ片の上面図を示す。なお、図4と対応する部位については、同じ符号で示す。図11に示すように、五つのバックアップ片20は、全て調整用バックアップ片200F、200R、206F、206M、206Rである。真ん中の三つの調整用バックアップ片206F、206M、206Rは、二等辺三角形ブロック状を呈している。調整用バックアップ片206Fの上面の前後両縁には、当接部206Fa、206Fbが配置されている。調整用バックアップ片206Mの上面の前後両縁には、当接部206Ma、206Mbが配置されている。調整用バックアップ片206Rの上面の前後両縁には、当接部206Ra、206Rbが配置されている。当接部200Faと当接部206Faとの間、当接部206Fbと当接部206Maとの間、当接部206Mbと当接部206Raとの間、当接部206Rbと当接部200Raとの間には、各々、当接区間202が区画されている。四つの当接区間202の長さを変更することにより、基板支持部Fの前後方向幅L1を調整することができる。
【0064】
本実施形態の基板バックアップ装置は、構成が共通する部分については、第一実施形態の基板バックアップ装置と同様の作用効果を有している。また、本実施形態の基板バックアップ装置によると、隣り合うバックアップ片20の上面間に形成される隙間(継ぎ目)の数を、少なくすることができる。また、本実施形態の基板バックアップ装置によると、バックアップ片20の加除を伴わずに、前後方向幅L1の調整量を大きくすることができる。
【0065】
<第六実施形態>
本実施形態の基板バックアップ装置と第一実施形態の基板バックアップ装置との相違点は、傾斜の異なる二つの当接区間を有する点である。ここでは相違点についてのみ説明する。
【0066】
図12に、本実施形態の基板バックアップ装置のバックアップ片の上面図を示す。なお、図4と対応する部位については、同じ符号で示す。図12に示すように、五つのバックアップ片20のうち、前端に配置されているバックアップ片20以外の四つのバックアップ片20は、調整用バックアップ片207F、207R、200F、200Rである。
【0067】
調整用バックアップ片207Fの当接部207Faと、調整用バックアップ片207Rの当接部207Raと、の間には当接区間208が区画されている。左右方向に対する当接区間208の傾斜は、左右方向に対する当接区間202の傾斜よりも、大きく設定されている。このため、基板支持部Fの左右方向幅L3の伸縮量が同じ場合、当接区間202による前後方向幅L1の伸縮量よりも、当接区間208による前後方向幅L1の伸縮量の方が、大きくなる。
【0068】
本実施形態の基板バックアップ装置は、構成が共通する部分については、第一実施形態の基板バックアップ装置と同様の作用効果を有している。また、本実施形態の基板バックアップ装置によると、左右方向幅L3の伸縮に対して応答性の低い当接区間202と、左右方向幅L3の伸縮に対して応答性の高い当接区間208と、を組み合わせて用いることができる。このため、前後方向幅L1の調整量を制御しやすい。
【0069】
<その他>
以上、本発明の基板バックアップ装置の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0070】
図13に、その他の実施形態のバックアップ装置の、基板の前後方向幅が伸張する場合のバックアップ片の上面図を示す。図14に、同バックアップ装置の、基板の前後方向幅が収縮する場合のバックアップ片の上面図を示す。なお、図13、図14において、図4と対応する部位については、同じ符号で示す。また、図13、図14は、図4の状態の基板支持部の前後方向幅を、伸張、収縮させたものである。
【0071】
基板Bの前後方向幅が伸張する場合、図13に白抜き矢印Y12で示すように、調整用バックアップ片200Rだけを右方に移動させてもよい。また、基板Bの前後方向幅が収縮する場合、図14に白抜き矢印Y13で示すように、調整用バックアップ片200Rだけを左方に移動させてもよい。なお、基板支持部Fの左右方向中心C1は、図4の左右方向中心C1と比較して、図13の場合は右側に、図14の場合は左側に、それぞれシフトする。
【0072】
また、上記実施形態においては、バックアップ片20の並置方向を前後方向としたが、左右方向としてもよい。こうすると、スキージ72、73の摺動方向が左右方向の場合に便利である。また、スキージ72、73の摺動方向と、バックアップ片20の並置方向と、が一致していなくてもよい。また、本発明の基板バックアップ装置は、電子部品実装機において、電子部品を基板に実装する際、基板の下面を支持するために用いてもよい。
【0073】
また、調整用バックアップ片200F、200R、203F、203R、204F、204R、206F、206M、206R、207F、207Rの当接部200Fa、200Ra、203Fa、203Ra、204Fa、204Ra、206Fa、206Fb、206Ma、206Mb、206Ra、206Rb、207Fa、207Raは、少なくとも上面縁に配置されていればよい。すなわち、隣り合う調整用バックアップ片の当接部より下の部分同士が、互いに非接触でもよい。
【符号の説明】
【0074】
1:スクリーン印刷機、2:基板バックアップ装置、3:メインテーブル、4:クランプ装置、5:基板搬送装置、6:マスク装置、7:スキージ装置。
20:バックアップ片、21:バックアップテーブル、30:ガイドリブ、31:メッシュ、40:固定クランプ、41:可動クランプ、50:コンベアベルト、51:コンベアベルト、60:フレーム、61:メッシュ、62:マスク、70:エアシリンダ、71:エアシリンダ、72:スキージ、73:スキージ、74:ガイドレール、90:シャフト。
200F:調整用バックアップ片、200Fa:当接部、200R:調整用バックアップ片、200Ra:当接部、201:基準バックアップ片、202:当接区間、203F:調整用バックアップ片、203Fa:当接部、203R:調整用バックアップ片、203Ra:当接部、204F:調整用バックアップ片、204Fa:当接部、204R:調整用バックアップ片、204Ra:当接部、205:基準バックアップ片、206F:調整用バックアップ片、206Fa:当接部、206Fb:当接部、206M:調整用バックアップ片、206Ma:当接部、206Mb:当接部、206R:調整用バックアップ片、206Ra:当接部、206Rb:当接部、207F:調整用バックアップ片、207Fa:当接部、207R:調整用バックアップ片、207Ra:当接部、208:当接区間、410:被ガイド部材。
B:基板、C1:左右方向中心、F:基板支持部、L1:前後方向幅、L2:前後方向幅、L3:左右方向幅。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、スクリーン印刷機や電子部品実装機に用いられる基板バックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板バックアップ装置は、スクリーン印刷機においては、基板にはんだを印刷する際、基板の下面を支持するために用いられる(例えば、特許文献1参照)。図15に、従来のスクリーン印刷機の右側面図を示す。なお、説明の便宜上、マスク109を断面で示す。
【0003】
図15に示すように、スクリーン印刷機100には、基板バックアップ装置101が配置されている。基板バックアップ装置101は、複数のバックアップ片102と、バックアップテーブル104と、を備えている。バックアップ片102は、直方体ブロック状を呈している。バックアップ片102は、バックアップテーブル104の上面に配置されている。複数のバックアップ片102の上面は、基板103の下面を支持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−040016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板103の下面における一対のコンベアベルト105間の部分の前後方向幅L100が、単一のバックアップ片102の前後方向幅L101の整数倍の場合、適当な数のバックアップ片102により、基板103を略隙間無く支持することができる。しかしながら、前後方向幅L100が前後方向幅L101の整数倍ではない場合、バックアップ片102により、基板103を隙間無く支持することが困難になる。
【0006】
図16に、図15の円XVI内の拡大図を示す。前後方向幅L100が前後方向幅L101の整数倍ではない場合、図16に示すように、任意の一対のバックアップ片102間に隙間106が生じることになる。このため、基板103にはんだ107を印刷する際、スキージ108の摺動に伴い、マスク109上面における当該隙間106部分に、はんだ107が入り込んでしまう。この場合、印刷品質が低下するおそれがある。
【0007】
本発明の基板バックアップ装置は、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、幅の異なる複数種類の基板を、略隙間無く支持可能な基板バックアップ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記課題を解決するため、本発明の基板バックアップ装置は、複数のバックアップ片の上面が、該バックアップ片の並置方向に連なることにより、基板の下面を支持する基板支持部を形成する基板バックアップ装置であって、複数の前記バックアップ片のうち、前記並置方向に隣り合う、少なくとも一対の該バックアップ片は、調整用バックアップ片であり、該調整用バックアップ片の上面縁は、該並置方向に略直交する水平方向である直交方向両端が該並置方向にずれる当接部を有し、一対の該当接部が当接する当接区間の長さを変更することにより、前記基板支持部の該並置方向幅を調整することを特徴とする(請求項1に対応)。
【0009】
本発明の基板バックアップ装置によると、当接区間を介して、基板支持部の直交方向幅の伸縮量を、基板支持部の並置方向幅の伸縮量に、変換することができる。このため、並置方向幅の異なる複数種類の基板を、略隙間無く支持することができる。
【0010】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記当接部は、略直線状である構成とする方がよい(請求項2に対応)。本構成によると、基板支持部の直交方向幅の伸縮量と、基板支持部の並置方向幅の伸縮量と、が所定の割合で対応する。このため、基板支持部の並置方向幅の伸縮量つまり調整量を、制御しやすい。
【0011】
(2−1)好ましくは、上記(2)の構成において、前記当接部は、前記直交方向に対して、45°未満の角度で延在している構成とする方がよい。本構成によると、(基板支持部の並置方向幅の伸縮量)/(基板支持部の直交方向幅の伸縮量)<1となる。このため、並置方向幅の調整量を制御しやすい。
【0012】
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、前記基板支持部の前記直交方向中心がずれないように、前記当接区間の長さを変更する構成とする方がよい(請求項3に対応)。
【0013】
本構成によると、基板支持部の並置方向幅を調整する際、基板支持部の直交方向中心がずれない。言い換えると、段取り替えなどにより基板の種類を変更する場合であっても、基板支持部の直交方向中心がずれない。このため、基板支持部の直交方向中心を位置決めの基準として、並置方向幅の異なる複数種類の基板に対して、所定の処理を施すことができる。
【0014】
(4)好ましくは、上記(1)ないし(3)のいずれかの構成において、複数の前記バックアップ片は、さらに、前記並置方向と前記直交方向とに延在する四角形状の上面を有する基準バックアップ片を有し、前記基板支持部の該並置方向幅の調整量のうち、該基準バックアップ片の該並置方向幅の整数倍に対応する部分については、該基準バックアップ片を加除することにより、該並置方向幅を調整し、該調整量のうち、該基準バックアップ片の該並置方向幅の整数倍から余る部分については、前記当接区間の長さを変更することにより、該並置方向幅を調整する構成とする方がよい(請求項4に対応)。
【0015】
本構成によると、基板支持部の並置方向幅の調整量のうち、基準バックアップ片の並置方向幅の整数倍に対応する部分については、基準バックアップ片を加除することにより、並置方向幅を調整する。また、調整量のうち、基準バックアップ片の並置方向幅の整数倍から余る部分については、当接区間の長さを変更することにより、並置方向幅を調整する。
【0016】
例えば、基板支持部の並置方向幅の伸張量が、基準バックアップ片の並置方向幅の2.5倍の場合、基準バックアップ片を二つ追加することにより、伸張量の2倍部分を填補する。並びに、当接区間の長さを変更することにより、伸張量の0.5倍部分を填補する。
【0017】
本構成によると、基準バックアップ片として、既存のバックアップ片を用いることができる。また、調整用バックアップ片の配置数を少なくすることができる。また、基板支持部の並置方向幅の調整量が大きくなる。このため、基板の種類に対する汎用性が高い。
【0018】
(5)好ましくは、上記(1)ないし(4)のいずれかの構成において、前記並置方向は、マスクのパターン孔を介して基板にはんだを印刷するスキージの摺動方向である構成とする方がよい(請求項5に対応)。
【0019】
本構成は、基板バックアップ装置をスクリーン印刷機に用いるものである。本構成によると、基板の種類によらず、マスク上面をスキージが摺動する際、基板の下面が略隙間無く基板支持部により支持されている。このため、マスク上面に、掻き残しのはんだが残留しにくい。したがって、印刷品質が低下しにくい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、並置方向幅の異なる複数種類の基板を、略隙間無く支持可能な基板バックアップ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第一実施形態の基板バックアップ装置を備えるスクリーン印刷機の斜視図である。
【図2】同スクリーン印刷機の上面図である。
【図3】同スクリーン印刷機の右側面図である。
【図4】図2の枠IV内の拡大図である。
【図5】同スクリーン印刷機の印刷時における右側面図である。
【図6】基板の前後方向幅が伸張する場合のバックアップ片の上面図である。
【図7】基板の前後方向幅が収縮する場合のバックアップ片の上面図である。
【図8】第二実施形態の基板バックアップ装置のバックアップ片の上面図である。
【図9】第三実施形態の基板バックアップ装置のバックアップ片の上面図である。
【図10】第四実施形態の基板バックアップ装置のバックアップ片の上面図である。
【図11】第五実施形態の基板バックアップ装置のバックアップ片の上面図である。
【図12】第六実施形態の基板バックアップ装置のバックアップ片の上面図である。
【図13】その他の実施形態のバックアップ装置の基板の前後方向幅が伸張する場合のバックアップ片の上面図である。
【図14】同バックアップ装置の基板の前後方向幅が収縮する場合のバックアップ片の上面図である。
【図15】従来のスクリーン印刷機の右側面図である。
【図16】図15の円XVI内の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の基板バックアップ装置をスクリーン印刷機に用いた実施の形態について説明する。
【0023】
<第一実施形態>
[スクリーン印刷機の構成]
まず、本実施形態の基板バックアップ装置を備えるスクリーン印刷機の構成について説明する。図1に、本実施形態の基板バックアップ装置を備えるスクリーン印刷機の斜視図を示す。図2に、同スクリーン印刷機の上面図を示す。図3に、同スクリーン印刷機の右側面図を示す。なお、説明の便宜上、図1、図2においては、スキージ装置7、マスク装置6を省略して示す。また、図1においては、基板Bを透過して示す。また、図3においては、マスク装置6を断面で示す。
【0024】
図1〜図3に示すように、スクリーン印刷機1は、基板バックアップ装置2と、メインテーブル3と、クランプ装置4と、基板搬送装置5と、マスク装置6と、スキージ装置7と、を備えている。図中、前後方向は、本発明の並置方向に対応する。左右方向は、本発明の直交方向に対応する。
【0025】
メインテーブル3は、長方形板状を呈している。メインテーブル3は、上下方向に移動可能である。メインテーブル3の上面の左右方向両縁には、各々、ガイドリブ30が配置されている。ガイドリブ30は、前後方向に延在している。
【0026】
クランプ装置4は、固定クランプ40と、可動クランプ41と、を備えている。固定クランプ40および可動クランプ41は、各々、下方に開口するC字状を呈している。固定クランプ40は、メインテーブル3の上面の前縁付近に配置されている。固定クランプ40は、左右方向に延在している。固定クランプ40は、後述する基板バックアップ装置2を跨いでいる。可動クランプ41は、固定クランプ40の後方に配置されている。可動クランプ41は、左右方向に延在している。可動クランプ41は、後述する基板バックアップ装置2を跨いでいる。可動クランプ41のC字両端(左右方向両端)には、各々、被ガイド部材410が配置されている。被ガイド部材410は、ガイドリブ30に摺接している。このため、可動クランプ41と固定クランプ40との間の前後方向幅は、変更可能である。
【0027】
基板搬送装置5は、一対のコンベアベルト50、51を備えている。コンベアベルト50は、固定クランプ40の後面の上縁付近に配置されている。コンベアベルト50は、左右方向に延在している。コンベアベルト51は、可動クランプ41の前面の上縁付近に配置されている。コンベアベルト51は、左右方向に延在している。コンベアベルト51は、コンベアベルト50に前後方向に対向している。基板Bは、一対のコンベアベルト50、51間に架設されている。一対のコンベアベルト50、51により、基板Bは、左方(上流側)から右方(下流側)に搬送される。
【0028】
マスク装置6は、フレーム60と、メッシュ61と、マスク62と、を備えている。マスク装置6は、クランプ装置4の上方に配置されている。フレーム60は、長方形枠状を呈している。メッシュ61は、長方形枠状を呈している。メッシュ61は、フレーム60の枠内に配置されている。マスク62は、長方形薄板状を呈している。マスク62は、メッシュ31に張設されている。マスク62には、多数のパターン孔(図略)が形成されている。パターン孔は、基板Bの印刷箇所に応じて、所定のパターンで配置されている。
【0029】
スキージ装置7は、一対のエアシリンダ70、71と、一対のスキージ72、73と、ガイドレール74と、を備えている。スキージ装置7は、マスク装置6の上方に配置されている。ガイドレール74は、前後方向に延在している。一対のエアシリンダ70、71は、ガイドレール74に摺接している。一対のエアシリンダ70、71のうち、前方のエアシリンダ70のピストンには、スキージ72が接続されている。スキージ72は、エアシリンダ70に対して、上下方向に移動可能である。後方のエアシリンダ71のピストンには、スキージ73が接続されている。スキージ73は、エアシリンダ71に対して、上下方向に移動可能である。また、スキージ72、73は、ガイドレール74に沿って、前後方向に移動可能である。前方から後方に向かってはんだを印刷する場合は、前方のスキージ72をマスク62の上面に摺接させる。後方から前方に向かってはんだを印刷する場合は、後方のスキージ73をマスク62の上面に摺接させる。
【0030】
基板バックアップ装置2は、五つのバックアップ片20と、バックアップテーブル21と、を備えている。バックアップテーブル21は、長方形板状を呈している。バックアップテーブル21は、メインテーブル3の上方に配置されている。バックアップテーブル21の下面は、シャフト90により、支持されている。このため、バックアップテーブル21は、メインテーブル3から独立して、上下方向に移動可能である。
【0031】
五つのバックアップ片20は、バックアップテーブル21に載置されている。五つのバックアップ片20は、一対のコンベアベルト50、51間に配置されている。図4に、図2の枠IV内の拡大図を示す。図4に示すように、五つのバックアップ片20は、二つの調整用バックアップ片200F、200Rと、三つの基準バックアップ片201と、からなる。五つのバックアップ片20は、前後方向に並んでいる。
【0032】
基準バックアップ片201は、左右方向に長い直方体ブロック状を呈している。三つの基準バックアップ片201は、前方のコンベアベルト50の後方に、隙間無く連なっている。
【0033】
調整用バックアップ片200F、200Rは、台形ブロック状を呈している。調整用バックアップ片200F、200Rの上底、下底は、左右方向に延在している。二つの調整用バックアップ片200F、200Rは、三つの基準バックアップ片201の後方に、隙間無く連なっている。
【0034】
前方の調整用バックアップ片200Fの後面は、左右方向に対して、所定の角度で傾斜している。前方の調整用バックアップ片200Fの上面の後縁には、当接部200Faが配置されている。当接部200Faは、左前方から右後方に向かって、直線状に延在している。当接部200Faは、左右方向に対して、45°未満の角度で延在している。当接部200Faの左右方向両端a、bは、前後方向にずれている。
【0035】
後方の調整用バックアップ片200Rは、前方の調整用バックアップ片200Fを、ちょうど水平方向に180°回動させたものである。すなわち、調整用バックアップ片200Rの前面は、左右方向に対して、所定の角度で傾斜している。調整用バックアップ片200Rの上面の前縁には、当接部200Raが配置されている。当接部200Raは、左前方から右後方に向かって、直線状に延在している。当接部200Raは、左右方向に対して、45°未満の角度で延在している。当接部200Raの左右方向両端c、dは、前後方向にずれている。当接部200Faと当接部200Raとの間には、当接部200Fa、200Ra同士が互いに当接することにより、当接区間202が区画されている。
【0036】
図4にハッチングで示すように、基板支持部Fは、五つのバックアップ片20が隙間無く連なる部分に配置されている。基板支持部Fの前後方向幅L1は、基準バックアップ片201の前後方向幅L2の4倍である。基板支持部Fの左右方向幅L3は、当接区間202の左右方向幅(具体的には、点b−c間の距離)と一致している。
【0037】
[スクリーン印刷機の動き]
次に、本実施形態の基板バックアップ装置を備えるスクリーン印刷機の、印刷時における動きについて説明する。図5に、本実施形態の基板バックアップ装置を備えるスクリーン印刷機の印刷時における右側面図を示す。図5においては、マスク装置6を断面で示す。
【0038】
まず、基板Bを印刷位置まで移動させる。具体的には、図3に白抜き矢印Y1で示すように、まず、シャフト90により、基板バックアップ装置2を上昇させる。そして、バックアップ片20により、基板Bを、クランプ装置4の高さまで、持ち上げる。この際、基板Bの下面は、図4にハッチングで示す基板支持部Fにより、支持される。図3に戻って、続いて、白抜き矢印Y2で示すように、可動クランプ41を前方に微動させ、固定クランプ40と可動クランプ41とにより、基板Bを前後方向から挟持する。それから、白抜き矢印Y3で示すように、基板バックアップ装置2ごと、メインテーブル3を上昇させる。そして、図5に示すように、基板Bの上面をマスク62の下面に当接させる。このようにして、基板Bを印刷位置まで移動させる。
【0039】
続いて、基板Bにはんだを印刷する。具体的には、図3に白抜き矢印Y4で示すように、スキージ72を下降させる。そして、図5に示すように、スキージ72をマスク62の上面に当接させる。続いて、図5に白抜き矢印Y5で示すように、スキージ72を、前方から後方に向かって、移動させる。すなわち、マスク62に対してスキージ72を摺動する。ここで、マスク62の上面には、はんだが配置されている。はんだは、摺動するスキージ72により、パターン孔に押し込まれる。パターン孔に押し込まれたはんだは、基板Bの所定の位置に転写される。このようにして、基板Bにはんだを印刷する。
【0040】
最後に、基板Bをスクリーン印刷機1の下流側に払い出す。具体的には、まず、マスク62に対して、スキージ72を上昇させる。すなわち、いわゆる版離れを行う。続いて、マスク62に対して、基板Bを下降させる。それから、基板Bを、再び一対のコンベアベルト50、51に載置する。その後、一対のコンベアベルト50、51を駆動し、基板Bを下流側に払い出す。
【0041】
[基板バックアップ装置の動き]
次に、本実施形態の基板バックアップ装置の段取り替え時における動きについて説明する。
【0042】
まず、段取り替えにより基板Bの前後方向幅が伸張する場合について、説明する。図6に、基板の前後方向幅が伸張する場合のバックアップ片の上面図を示す。なお、図6は、図4と対応している。まず、図6に白抜き矢印Y6で示すように、基板Bの前後方向幅の伸張量に応じて、可動クランプ41を後方に移動させる。続いて、白抜き矢印Y7で示すように、調整用バックアップ片200Fを左方に移動させる。並びに、白抜き矢印Y8で示すように、調整用バックアップ片200Rを右方に移動させる。白抜き矢印Y7、Y8で示すように調整用バックアップ片200F、200Rを動かすと、当接区間202が短くなる。このため、基板支持部Fの前後方向幅L1が長くなる。このようにして、基板Bの前後方向幅の伸張量に応じて、基板支持部Fの前後方向幅L1を伸張している。なお、基板支持部Fの左右方向幅L3は収縮する。また、基板支持部Fの前後方向幅L1を伸張しても、基板支持部Fの左右方向中心C1はずれない。
【0043】
次に、段取り替えにより基板Bの前後方向幅が収縮する場合について、説明する。図7に、基板の前後方向幅が収縮する場合のバックアップ片の上面図を示す。なお、図7は、図4と対応している。まず、図7に白抜き矢印Y9で示すように、基板Bの前後方向幅の収縮量に応じて、可動クランプ41を前方に移動させる。続いて、白抜き矢印Y10で示すように、調整用バックアップ片200Fを右方に移動させる。並びに、白抜き矢印Y11で示すように、調整用バックアップ片200Rを左方に移動させる。白抜き矢印Y10、Y11で示すように調整用バックアップ片200F、200Rを動かすと、当接区間202が長くなる。このため、基板支持部Fの前後方向幅L1が短くなる。このようにして、基板Bの前後方向幅の収縮量に応じて、基板支持部Fの前後方向幅L1を収縮している。なお、基板支持部Fの左右方向幅L3は伸張する。また、基板支持部Fの前後方向幅L1を収縮しても、基板支持部Fの左右方向中心C1はずれない。
【0044】
[作用効果]
次に、本実施形態の基板バックアップ装置の作用効果について説明する。本実施形態の基板バックアップ装置2によると、当接区間202を介して、基板支持部Fの左右方向幅L3の伸縮量を、基板支持部Fの前後方向幅L1の伸縮量に、変換することができる。このため、前後方向幅の異なる複数種類の基板Bを、略隙間無く支持することができる。
【0045】
また、当接部200Fa、200Raは、各々、直線状を呈している。このため、基板支持部Fの左右方向幅L3の伸縮量と、基板支持部Fの前後方向幅L1の伸縮量と、が、一定の割合で対応する。したがって、基板支持部Fの前後方向幅L1の伸縮量つまり調整量を、制御しやすい。
【0046】
また、当接部200Fa、200Raは、左右方向に対して、45°未満の角度で延在している。このため、(基板支持部Fの前後方向幅L1の伸縮量)/(基板支持部Fの左右方向幅L3の伸縮量)<1となる。したがって、前後方向幅L1の調整量を制御しやすい。
【0047】
また、本実施形態の基板バックアップ装置2によると、基板支持部Fの前後方向幅L1を調整する際、基板支持部Fの左右方向中心C1がずれない。言い換えると、基板Bの種類を変更する場合であっても、基板支持部Fの左右方向中心C1がずれない。このため、基板Bの種類を変更しても、印刷位置の左右方向中心を一定に保つことができる。
【0048】
また、本実施形態の基板バックアップ装置2によると、基板支持部Fの前後方向幅L1の調整量のうち、基準バックアップ片201の前後方向幅L2の整数倍に対応する部分については、基準バックアップ片201を加除することにより、前後方向幅L1を調整する。また、調整量のうち、基準バックアップ片201の前後方向幅L2の整数倍から余る部分については、当接区間202の長さを変更することにより、前後方向幅L1を調整する。このため、基準バックアップ片201として、既存のバックアップ片を用いることができる。また、調整用バックアップ片200F、200Rの配置数を少なくすることができる。また、基板支持部Fの前後方向幅L1の調整量が大きくなる。このため、基板Bの種類に対する汎用性が高い。
【0049】
また、本実施形態の基板バックアップ装置2によると、基板Bの種類によらず、マスク62上面をスキージ72、73が摺動する際、基板Bの下面が隙間無く基板支持部Fにより支持されている。このため、マスク62上面に、掻き残しのはんだが残留しにくい。
【0050】
<第二実施形態>
本実施形態の基板バックアップ装置と第一実施形態の基板バックアップ装置との相違点は、全てのバックアップ片が調整用バックアップ片である点である。ここでは相違点についてのみ説明する。
【0051】
図8に、本実施形態の基板バックアップ装置のバックアップ片の上面図を示す。なお、図4と対応する部位については、同じ符号で示す。図8に示すように、八つのバックアップ片20は、全て調整用バックアップ片200F、200Rである。前後方向に隣り合う任意の一対の調整用バックアップ片200F、200R間の当接区間202の長さを変更することにより、基板支持部Fの前後方向幅L1を調整することができる。
【0052】
本実施形態の基板バックアップ装置は、構成が共通する部分については、第一実施形態の基板バックアップ装置と同様の作用効果を有している。また、本実施形態の基板バックアップ装置によると、バックアップ片20の加除を伴わずに、前後方向幅L1の調整量を大きくすることができる。
【0053】
<第三実施形態>
本実施形態の基板バックアップ装置と第一実施形態の基板バックアップ装置との相違点は、既存のバックアップ片を調整用バックアップ片として用いている点である。ここでは相違点についてのみ説明する。
【0054】
図9に、本実施形態の基板バックアップ装置のバックアップ片の上面図を示す。なお、図4と対応する部位については、同じ符号で示す。図9に示すように、五つのバックアップ片20のうち、前方二つのバックアップ片20は、調整用バックアップ片203F、203Rである。また、後方二つのバックアップ片20は、調整用バックアップ片204F、204Rである。また、中央のバックアップ片20は、基準バックアップ片201である。
【0055】
調整用バックアップ片203R、204F、基準バックアップ片201は、第一実施形態の基準バックアップ片同様に、直方体ブロック状を呈している。調整用バックアップ片203R、204F、基準バックアップ片201は、左右方向に対して、左前方から右後方に向かって、斜めに配置されている。調整用バックアップ片203Rの上面の前縁には、当接部203Raが配置されている。当接部203Raの左右方向両端g、hは、前後方向にずれている。調整用バックアップ片204Fの上面の後縁には、当接部204Faが配置されている。当接部204Faの左右方向両端k、lは、前後方向にずれている。
【0056】
調整用バックアップ片203F、204Rは、直角三角形ブロック状を呈している。調整用バックアップ片203Fの上面の後縁には、当接部203Faが配置されている。当接部203Faの左右方向両端e、fは、前後方向にずれている。調整用バックアップ片204Rの上面の前縁には、当接部204Raが配置されている。当接部204Raの左右方向両端m、nは、前後方向にずれている。当接部203Faと当接部203Raとの間、および当接部204Faと当接部204Raとの間には、当接区間202が区画されている。二つの当接区間202の長さを変更することにより、基板支持部Fの前後方向幅L1を調整することができる。
【0057】
本実施形態の基板バックアップ装置は、構成が共通する部分については、第一実施形態の基板バックアップ装置と同様の作用効果を有している。また、本実施形態の基板バックアップ装置によると、既存のバックアップ片を調整用バックアップ片203R、204Fとして用いることができる。
【0058】
<第四実施形態>
本実施形態の基板バックアップ装置と第一実施形態の基板バックアップ装置との相違点は、幅の異なる二種類の基準バックアップ片が用いられている点である。ここでは相違点についてのみ説明する。
【0059】
図10に、本実施形態の基板バックアップ装置のバックアップ片の上面図を示す。なお、図4と対応する部位については、同じ符号で示す。図10に示すように、前方二つのバックアップ片20は、基準バックアップ片205、201である。基準バックアップ片205、201は、直方体ブロック状を呈している。基準バックアップ片205の前後方向幅は、基準バックアップ片201の前後方向幅の二倍である。
【0060】
基板支持部Fの前後方向幅L1の調整量のうち、基準バックアップ片201の前後方向幅の二倍に対応する部分については、基準バックアップ片205を加除することにより、対応する。基板支持部Fの前後方向幅L1の調整量のうち、基準バックアップ片201の前後方向幅に対応する部分については、基準バックアップ片201を加除することにより、対応する。基板支持部Fの前後方向幅L1の調整量のうち、基準バックアップ片201の前後方向幅に足りない部分については、当接区間202の長さを変更することにより、対応する。
【0061】
本実施形態の基板バックアップ装置は、構成が共通する部分については、第一実施形態の基板バックアップ装置と同様の作用効果を有している。また、本実施形態の基板バックアップ装置によると、基板支持部Fの前後方向幅L1の調整作業が簡単になる。また、隣り合うバックアップ片20の上面間に形成される隙間(継ぎ目)の数を、少なくすることができる。
【0062】
<第五実施形態>
本実施形態の基板バックアップ装置と第一実施形態の基板バックアップ装置との相違点は、上面の前後両縁に当接部を持つ調整用バックアップ片が用いられている点である。ここでは相違点についてのみ説明する。
【0063】
図11に、本実施形態の基板バックアップ装置のバックアップ片の上面図を示す。なお、図4と対応する部位については、同じ符号で示す。図11に示すように、五つのバックアップ片20は、全て調整用バックアップ片200F、200R、206F、206M、206Rである。真ん中の三つの調整用バックアップ片206F、206M、206Rは、二等辺三角形ブロック状を呈している。調整用バックアップ片206Fの上面の前後両縁には、当接部206Fa、206Fbが配置されている。調整用バックアップ片206Mの上面の前後両縁には、当接部206Ma、206Mbが配置されている。調整用バックアップ片206Rの上面の前後両縁には、当接部206Ra、206Rbが配置されている。当接部200Faと当接部206Faとの間、当接部206Fbと当接部206Maとの間、当接部206Mbと当接部206Raとの間、当接部206Rbと当接部200Raとの間には、各々、当接区間202が区画されている。四つの当接区間202の長さを変更することにより、基板支持部Fの前後方向幅L1を調整することができる。
【0064】
本実施形態の基板バックアップ装置は、構成が共通する部分については、第一実施形態の基板バックアップ装置と同様の作用効果を有している。また、本実施形態の基板バックアップ装置によると、隣り合うバックアップ片20の上面間に形成される隙間(継ぎ目)の数を、少なくすることができる。また、本実施形態の基板バックアップ装置によると、バックアップ片20の加除を伴わずに、前後方向幅L1の調整量を大きくすることができる。
【0065】
<第六実施形態>
本実施形態の基板バックアップ装置と第一実施形態の基板バックアップ装置との相違点は、傾斜の異なる二つの当接区間を有する点である。ここでは相違点についてのみ説明する。
【0066】
図12に、本実施形態の基板バックアップ装置のバックアップ片の上面図を示す。なお、図4と対応する部位については、同じ符号で示す。図12に示すように、五つのバックアップ片20のうち、前端に配置されているバックアップ片20以外の四つのバックアップ片20は、調整用バックアップ片207F、207R、200F、200Rである。
【0067】
調整用バックアップ片207Fの当接部207Faと、調整用バックアップ片207Rの当接部207Raと、の間には当接区間208が区画されている。左右方向に対する当接区間208の傾斜は、左右方向に対する当接区間202の傾斜よりも、大きく設定されている。このため、基板支持部Fの左右方向幅L3の伸縮量が同じ場合、当接区間202による前後方向幅L1の伸縮量よりも、当接区間208による前後方向幅L1の伸縮量の方が、大きくなる。
【0068】
本実施形態の基板バックアップ装置は、構成が共通する部分については、第一実施形態の基板バックアップ装置と同様の作用効果を有している。また、本実施形態の基板バックアップ装置によると、左右方向幅L3の伸縮に対して応答性の低い当接区間202と、左右方向幅L3の伸縮に対して応答性の高い当接区間208と、を組み合わせて用いることができる。このため、前後方向幅L1の調整量を制御しやすい。
【0069】
<その他>
以上、本発明の基板バックアップ装置の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0070】
図13に、その他の実施形態のバックアップ装置の、基板の前後方向幅が伸張する場合のバックアップ片の上面図を示す。図14に、同バックアップ装置の、基板の前後方向幅が収縮する場合のバックアップ片の上面図を示す。なお、図13、図14において、図4と対応する部位については、同じ符号で示す。また、図13、図14は、図4の状態の基板支持部の前後方向幅を、伸張、収縮させたものである。
【0071】
基板Bの前後方向幅が伸張する場合、図13に白抜き矢印Y12で示すように、調整用バックアップ片200Rだけを右方に移動させてもよい。また、基板Bの前後方向幅が収縮する場合、図14に白抜き矢印Y13で示すように、調整用バックアップ片200Rだけを左方に移動させてもよい。なお、基板支持部Fの左右方向中心C1は、図4の左右方向中心C1と比較して、図13の場合は右側に、図14の場合は左側に、それぞれシフトする。
【0072】
また、上記実施形態においては、バックアップ片20の並置方向を前後方向としたが、左右方向としてもよい。こうすると、スキージ72、73の摺動方向が左右方向の場合に便利である。また、スキージ72、73の摺動方向と、バックアップ片20の並置方向と、が一致していなくてもよい。また、本発明の基板バックアップ装置は、電子部品実装機において、電子部品を基板に実装する際、基板の下面を支持するために用いてもよい。
【0073】
また、調整用バックアップ片200F、200R、203F、203R、204F、204R、206F、206M、206R、207F、207Rの当接部200Fa、200Ra、203Fa、203Ra、204Fa、204Ra、206Fa、206Fb、206Ma、206Mb、206Ra、206Rb、207Fa、207Raは、少なくとも上面縁に配置されていればよい。すなわち、隣り合う調整用バックアップ片の当接部より下の部分同士が、互いに非接触でもよい。
【符号の説明】
【0074】
1:スクリーン印刷機、2:基板バックアップ装置、3:メインテーブル、4:クランプ装置、5:基板搬送装置、6:マスク装置、7:スキージ装置。
20:バックアップ片、21:バックアップテーブル、30:ガイドリブ、31:メッシュ、40:固定クランプ、41:可動クランプ、50:コンベアベルト、51:コンベアベルト、60:フレーム、61:メッシュ、62:マスク、70:エアシリンダ、71:エアシリンダ、72:スキージ、73:スキージ、74:ガイドレール、90:シャフト。
200F:調整用バックアップ片、200Fa:当接部、200R:調整用バックアップ片、200Ra:当接部、201:基準バックアップ片、202:当接区間、203F:調整用バックアップ片、203Fa:当接部、203R:調整用バックアップ片、203Ra:当接部、204F:調整用バックアップ片、204Fa:当接部、204R:調整用バックアップ片、204Ra:当接部、205:基準バックアップ片、206F:調整用バックアップ片、206Fa:当接部、206Fb:当接部、206M:調整用バックアップ片、206Ma:当接部、206Mb:当接部、206R:調整用バックアップ片、206Ra:当接部、206Rb:当接部、207F:調整用バックアップ片、207Fa:当接部、207R:調整用バックアップ片、207Ra:当接部、208:当接区間、410:被ガイド部材。
B:基板、C1:左右方向中心、F:基板支持部、L1:前後方向幅、L2:前後方向幅、L3:左右方向幅。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバックアップ片の上面が、該バックアップ片の並置方向に連なることにより、基板の下面を支持する基板支持部を形成する基板バックアップ装置であって、
複数の前記バックアップ片のうち、前記並置方向に隣り合う、少なくとも一対の該バックアップ片は、調整用バックアップ片であり、
該調整用バックアップ片の上面縁は、該並置方向に略直交する水平方向である直交方向両端が該並置方向にずれる当接部を有し、
一対の該当接部が当接する当接区間の長さを変更することにより、前記基板支持部の該並置方向幅を調整することを特徴とする基板バックアップ装置。
【請求項2】
前記当接部は、略直線状である請求項1に記載の基板バックアップ装置。
【請求項3】
前記基板支持部の前記直交方向中心がずれないように、前記当接区間の長さを変更する請求項1または請求項2に記載の基板バックアップ装置。
【請求項4】
複数の前記バックアップ片は、さらに、前記並置方向と前記直交方向とに延在する四角形状の上面を有する基準バックアップ片を有し、
前記基板支持部の該並置方向幅の調整量のうち、該基準バックアップ片の該並置方向幅の整数倍に対応する部分については、該基準バックアップ片を加除することにより、該並置方向幅を調整し、
該調整量のうち、該基準バックアップ片の該並置方向幅の整数倍から余る部分については、前記当接区間の長さを変更することにより、該並置方向幅を調整する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の基板バックアップ装置。
【請求項5】
前記並置方向は、マスクのパターン孔を介して基板にはんだを印刷するスキージの摺動方向である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の基板バックアップ装置。
【請求項1】
複数のバックアップ片の上面が、該バックアップ片の並置方向に連なることにより、基板の下面を支持する基板支持部を形成する基板バックアップ装置であって、
複数の前記バックアップ片のうち、前記並置方向に隣り合う、少なくとも一対の該バックアップ片は、調整用バックアップ片であり、
該調整用バックアップ片の上面縁は、該並置方向に略直交する水平方向である直交方向両端が該並置方向にずれる当接部を有し、
一対の該当接部が当接する当接区間の長さを変更することにより、前記基板支持部の該並置方向幅を調整することを特徴とする基板バックアップ装置。
【請求項2】
前記当接部は、略直線状である請求項1に記載の基板バックアップ装置。
【請求項3】
前記基板支持部の前記直交方向中心がずれないように、前記当接区間の長さを変更する請求項1または請求項2に記載の基板バックアップ装置。
【請求項4】
複数の前記バックアップ片は、さらに、前記並置方向と前記直交方向とに延在する四角形状の上面を有する基準バックアップ片を有し、
前記基板支持部の該並置方向幅の調整量のうち、該基準バックアップ片の該並置方向幅の整数倍に対応する部分については、該基準バックアップ片を加除することにより、該並置方向幅を調整し、
該調整量のうち、該基準バックアップ片の該並置方向幅の整数倍から余る部分については、前記当接区間の長さを変更することにより、該並置方向幅を調整する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の基板バックアップ装置。
【請求項5】
前記並置方向は、マスクのパターン孔を介して基板にはんだを印刷するスキージの摺動方向である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の基板バックアップ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−3615(P2011−3615A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143653(P2009−143653)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
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