説明

基板処理装置、基板処理方法及び半導体装置の製造方法

【課題】膜厚の面間均一性を維持しつつ、膜厚の面内分布が中央凹の分布となることを抑止する。
【解決手段】複数枚の基板を処理する反応管と、反応管内を加熱するヒータと、反応管内で複数枚の基板を配列させて保持する保持具と、複数枚の基板が配列される基板配列領域に対応する領域に配置され、該領域の複数箇所から反応管内に水素含有ガスを供給する第1ノズルと、基板配列領域に対応する領域に配置され、該領域の複数箇所から前記反応管内に酸素含有ガスを供給する第2ノズルと、反応管内を排気する排気口と、反応管内の圧力が大気圧よりも低い圧力となるように制御する圧力制御器と、を有し、第1ノズルには複数枚の基板の一枚一枚に対応しないように複数の第1ガス噴出孔が設けられ、第2ノズルには少なくとも複数枚の基板の一枚一枚に対応するように少なくとも複数枚の基板の枚数と同数の第2ガス噴出孔が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する基板処理装置及び該基板処理装置を用いて基板を処理する工程を有する半導体装置の製造方法に関し、特に、基板の表面を酸化処理する酸化装置及び該酸化装置を用いて基板を酸化処理する工程を有するIC等の半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1に従来の基板処理装置としての半導体装置(デバイス)の製造装置(半導体製造装置)の全体図を示す。従来の装置は、ウエハカセットを搭載するカセットストッカ1’と、ボート3’と、カセットストッカ1’に搭載されたウエハカセットとボート3’との間でウエハの移載を行うウエハ移載手段(移載機)2’と、ボート3’を熱処理装炉5’内に挿入及び引き出すボート昇降手段(ボートエレベータ)4’と、加熱手段(ヒータ)を備えた熱処理炉5’と、から構成されている。
【0003】
従来技術を説明するために、図2のような構造を持つ半導体製造装置の熱処理炉5’を例に挙げる。図2に示す装置は、100〜150枚程度の積層されたウエハ6’を支えるボート3’、メインノズル7’、多段に配置されたサブノズル8’、ヒータ9’、反応管10’、及びガス排気口11’からなる。メインノズル7’により構成されるガス供給部は、図3に示すようにシャワー板12’のように構成されていてもよい。この装置では、例えば850〜950℃程度の温度、0.5Torr(67Pa)程度の低圧環境下において、メインノズル7’から数千sccmのOガスとそれより少ない流量、例えば数百sccmのHガスとを供給し、また積層ウエハ全体にわたり均一に成膜する目的で、同時にサブノズル8’から比較的小流量のHガスをアシスト供給することによりシリコンウエハ等のウエハ6’上に酸化膜としてのシリコン酸化膜を形成する。
【0004】
酸化膜の成長にはOを必要とするが、50Pa程度の低圧環境下においてO単体の原料ガスでは酸化膜の成長速度が極端に遅いことが判っており、これにHガスを添加することで酸化膜の成長速度が速くなる(例えば特許文献1参照)。また、H単体では酸化膜は形成されない。即ち、酸化膜成長は総括的に捉えれば、OとHとの両方の濃度(或いは流量、或いは分圧)に依存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO2005/020309パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図4に従来の装置における最も特徴的な膜厚分布を示す。これは先述の圧力・温度帯においてメインノズル7’からのみ原料ガスとして数千sccmのOガスと数百sccmのHガスを供給した場合のウエハに形成される酸化膜の膜厚分布である。図4のグラフによると、上段(Top)から下段(Bottom)にかけてウエハに形成される酸化膜の膜厚が薄くなっている。本出願人が特願2008−133772号にて出願済みの明細書中に記載したように、酸化膜成長には中間生成物である原子状酸素Oが寄与する。メインノズル7’から供給されたOガスとHガスは、上段の領域で一時的に化学平衡に近い状態に達し、それ以降は各中間生成物のモル分率を一定に保ったまま、ウエハ周縁部と反応管内壁の間を流れ落ちる挙動を呈する。この時、原料ガスと中間生成物の混合ガスは流動抵抗を受けるので、上段における混合ガスの密度は高く、下段における混合ガスの密
度は低くなり、それに伴い原子状酸素Oのモル密度が上下段で変化することにより、上下段においてウエハに形成される酸化膜の膜厚に差が生じる。また原子状酸素Oがウエハ上で酸化膜を成長させる際に消費されるため、上段から下段にかけて原子状酸素Oが不足し、図4に示すような膜厚差が発生する。これらの現象をローディング効果と呼んでおり、図3に示すようなシャワー板12’を持つ構造でも同様に発生する。従来の構造では、このローディング効果を打ち消すために、Hガス供給用サブノズル8’を多段に配置し(図2,3の場合では4段)、それぞれのサブノズル8’に対し独立に制御されたマスフローコントローラを介して適量のHガスを供給し、ウエハ面間の膜厚均一性を補正している。
【0007】
ICを製造するためにはウエハ上に集積回路パターンを作り上げるが、その回路パターンにより、ウエハに形成される酸化膜を同じ膜厚に成長させるためのガス流量(原子状酸素Oの量)が異なることが判っている。ベアウエハ上に酸化膜を形成する場合を基準に考えると、特に図5に示すようなSTIなどの彫りの深いパターン付きウエハの場合には、Siの露出する表面積がベアウエハに比べ何十倍もあるため、膜成長により多くの原料ガス(原子状酸素O)を消費する。逆に、図6に示すような、部分的に酸化膜で覆われたウエハの場合には、膜成長に必要なガス流量(原子状酸素Oの量)はベアウエハに比べて少なくなる。このように、ウエハに施された回路パターンに依存して、ウエハに形成される酸化膜を同じ膜厚にするために必要な原料ガス(原子状酸素O)の消費量が異なる。そのため、ウエハ積層方向でウエハに形成される酸化膜の膜厚を均一にするためのサブノズル8’から供給するHガスの流量が変化する(これを「ローディング効果の回路パターン依存性」と云う)。図7の(a)に図6のような原料ガスの消費の少ないウエハを装填した場合のウエハに形成される酸化膜の膜厚分布を、図7(b)にベアウエハを装填した場合のウエハに形成される酸化膜の膜厚分布を、図7(c)に図5のような原料ガスの消費の多いウエハを装填した場合のウエハに形成される酸化膜の膜厚分布を示す。このように、ウエハ表面の回路パターンに応じ、ローディング効果が変化するため、それぞれに対する最適なサブノズル8’から供給するHガスの流量配分は異なる。
【0008】
このローディング効果については、本出願人が特願2008−133772号にて出願済みの明細書中に記載した均一成膜のための原料ガスの最適流量算出ツールを活用し、必要最小限(1〜2回)のテスト成膜にて、最適なサブノズル8’から供給するHガスの流量を算出し、ウエハに形成される酸化膜の膜厚の面間均一性を補正することが可能となっている。
【0009】
従来の構造の場合、ウエハを横切るガス流れは殆ど存在せず、ウエハ周縁部からウエハ中央部に向かう濃度拡散のみで成膜寄与ガス(原子状酸素O)がウエハ間に浸入する構造なので、膜厚の面内均一性に限界がある(殆どの処理ウエハにおいて膜厚がすり鉢傾向の面内分布となる)。図8にベアウエハにて実験したサブノズルの位置と、ウエハに形成された酸化膜の膜厚マップを示す。これによると、ウエハに形成された酸化膜の膜厚は、図中sub−nozzleと記載されているサブノズルの存在する場所以外では一様に中央凹の分布となっており、この領域ではウエハ表面上での原子状酸素O消費とウエハ周縁部から中央部への濃度拡散が支配的なことが原因と考えられる。図8の膜厚マップによると、サブノズルの存在しない場所における膜厚の面内均一性は中央凹の分布となる。サブノズルの存在する場所における膜厚の面内均一性は中央凹分布が若干軽減される。
【0010】
この現象について図9に示す二次元軸対称計算領域を用い、処理温度(処理室内温度)900℃、処理圧力(処理室内圧力)0.5Torr程度、O:H=15:1とした場合の素反応を基にして行ったCFD解析(熱流体解析)について説明する。なお、処理ウエハとしてはベアウエハを想定した。また、CFD解析は、汎用熱流体解析ツールを用いて行った。計算モデルの詳細な説明は、本出願人が特願2008−133772号にて
出願済みの明細書中に記載されている。図10に、図9の計算条件に対する定常計算結果(処理室内における原子状酸素Oのモル密度分布)を示す。図10に示すO濃度分布によると、定常状態においてウエハ半径方向に濃度差が生じ、この状態で定常となることが判る。ウエハに形成される酸化膜の膜厚面内分布はO濃度に直接依存するため、ウエハ半径方向には当然膜厚差が生じ、図10の場合には上段のウエハを除き、他の全てのウエハで、形成される酸化膜の膜厚面内分布が中央凹(すり鉢)分布となることが示されている。
【0011】
図11にサブノズルからHを供給した場合のO濃度分布(処理室内における原子状酸素Oのモル密度分布)を示す。二次元軸対称系であるため、三次元的なノズルの形状を正しく再現していないが、0.5Torr程度の拡散支配の低圧場ゆえの流動は、ある程度無視した定性的な結果となる。これによると、図中Nozzleと記載されているH途中供給ノズル(サブノズル)を追加した場所ではウエハ面内のO濃度分布が中央凸分布となることが、また、サブノズルの存在しない場所ではウエハ面内のO濃度分布が中央凹分布となることが定性的に示されている。これらの計算結果は、実験結果とは完全には一致しないものの定性的な傾向(サブノズルの存在しない場所では中央凹分布、サブノズル近傍では中央凹分布軽減)はよく合致している。計算結果と実験結果が完全に一致しない理由としては、実際には複雑な反応機構となる表面反応を計算では簡易的に仮定していること、計算では三次元的な流動を考慮していない(二次元軸対象系計算)ことなどが考えられる。
【0012】
なお、例えば図5に示すようなSTIなどの彫りの深いパターン付きウエハの場合、前述の通りベアウエハに比べより多くの原料ガス(原子状酸素O)を消費するため、サブノズルの存在しない場所における膜厚面内分布の中央凹分布はより顕著となる。つまり、STIなどの彫りの深いパターン付きウエハ処理時にフラットな膜厚面内均一性を得るには、ベアウエハ処理時に積極的に膜厚面内分布を中央凸分布とできるような構造が望ましい。この現象による膜厚面内均一性の悪化(膜厚面内分布の中央凹分布)を回避する手段としては、ウエハ積層ピッチの拡大や、ウエハ処理時の反応室内の低圧化があるが、ウエハ積層ピッチの拡大はスループットを下げ、反応室内の低圧化は全体の酸化レートを著しく低下させてしまう。
【0013】
本発明の主な目的は、膜厚の面間均一性を維持しつつ、膜厚の面内分布が中央凹の分布となることを抑止し、膜厚の面内均一性を向上させることができる基板処理装置及び該基板処理装置を用いて基板を処理する工程を有する半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様によれば、複数枚の基板を処理する反応管と、前記反応管内を加熱するヒータと、前記反応管内で前記複数枚の基板を配列させて保持する保持具と、前記複数枚の基板が配列される基板配列領域に対応する領域に配置され、該領域の複数箇所から前記反応管内に水素含有ガスを供給する第1ノズルと、前記基板配列領域に対応する領域に配置され、該領域の複数箇所から前記反応管内に酸素含有ガスを供給する第2ノズルと、前記反応管内を排気する排気口と、前記反応管内の圧力が大気圧よりも低い圧力となるように制御する圧力制御器と、を有し、前記第1ノズルには複数の第1ガス噴出孔が設けられ、前記第2ノズルには少なくとも前記複数枚の基板の一枚一枚に対応するように少なくとも前記複数枚の基板の枚数と同数の第2ガス噴出孔が設けられる基板処理装置が提供される。
【0015】
本発明の他の態様によれば、複数枚の基板を反応管内に搬入する工程と、前記反応管内の圧力を大気圧よりも低くした状態で、加熱された状態の前記反応管内に、前記複数枚の基板が配列される基板配列領域に対応する領域に配置された第1ノズルを介して水素含有
ガスを供給し、前記基板配列領域に対応する領域に配置された第2ノズルを介して酸素含有ガスを供給し、前記複数枚の基板を処理する工程と、処理済の前記複数枚の基板を前記反応管内より搬出する工程と、を有し、前記基板を処理する工程では、前記水素含有ガスを前記基板配列領域に対応する領域の複数箇所から、前記第1ノズルに設けられた複数の第1ガス噴出孔を通して前記反応管内に供給すると共に、前記酸素含有ガスを前記基板配列領域に対応する領域の複数箇所から、少なくとも前記複数枚の基板の一枚一枚に対応するように少なくとも前記複数枚の基板の枚数と同数前記第2ノズルに設けられた第2ガス噴出孔を通して前記反応管内に供給する半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、膜厚の面間均一性を維持しつつ、膜厚の面内分布が中央凹の分布となることを抑止し、膜厚の面内均一性を向上させることができる基板処理装置及び該基板処理装置を用いて基板を処理する工程を有する半導体装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】半導体製造装置の全体図を示す斜視透視図である。
【図2】半導体製造装置の熱処理炉の構成を示す断面概略図である。
【図3】半導体製造装置の熱処理炉の他の構成を示す断面概略図である。
【図4】ローディング効果が発生したときの膜厚分布を示すグラフ図である。
【図5】STI等のパターンが形成されたウエハの断面概略図である。
【図6】表面が部分的に酸化膜で覆われたウエハの断面概略図である。
【図7】ローディング効果のパターン依存性を示す膜厚分布図である。
【図8】膜厚マップとサブノズル位置との関係を示す図である。
【図9】CFD解析で考慮した計算領域を示す図である。
【図10】CFD解析結果としての原子状酸素濃度分布(サブノズルからのガス供給無し)を示す図である。
【図11】CFD解析結果としての原子状酸素濃度分布(サブノズルからHガス供給)を示す図である。
【図12】本発明の第1実施形態にかかる熱処理炉の構成を示す断面概略図である。
【図13】CFD解析結果としての原子状酸素濃度分布(サブノズルからHガス、Oガス供給)を示す図である。
【図14】ウエハ面間、面内の原子状酸素O濃度について解析した結果を示すものであり、原子状酸素O濃度の面間均一性、面内均一性(サブノズルからHガス、Oガス供給)を示す図である。
【図15】ウエハ面間、面内の原子状酸素O濃度について解析した結果を示すものであり、原子状酸素O濃度の面間均一性、面内均一性(サブノズルからHガス、Oガス供給+Hガス増加)を示す図である。
【図16】サブノズルのHガス、Oガス供給点近傍の原子状酸素O濃度分布を模式的に表した図である。
【図17】ウエハ表面上の原子状酸素Oモル密度と膜厚断面マップを模式的に表した図である。
【図18】本発明の第2実施形態にかかる熱処理炉の構成を示す断面概略図である。
【図19】Oガス供給点の配列ピッチをウエハ配列ピッチよりも大きくして(Oガス供給点を7箇所として)酸化処理した場合の膜厚面内均一性実験結果を示す図である。
【図20】本発明の第3実施形態にかかる熱処理炉の構成を示す断面概略図である。
【図21】Oガス供給点の配列ピッチをウエハ配列ピッチよりも大きくした場合のサブノズルのOガス供給点近傍の原子状酸素O濃度分布を模式的に表した図である。
【図22】Oガス供給点を複数枚のウエハの1つ1つに対応するようにウエハと同数設けた場合のサブノズルのOガス供給点近傍の原子状酸素O濃度分布を模式的に表した図である。
【図23】Oガス供給点を複数枚のウエハの1つ1つに対応するようにウエハと同数設けた場合の膜厚面内均一性実験結果を示す図である。
【図24】本発明の第4実施形態にかかる熱処理炉の構成を示す断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明者等は、反応管内側面に設けられたサブノズルからHガスだけでなく、Oガスをも供給するようにすれば、すなわち、複数枚のウエハが配列されるウエハ配列領域に対応する領域の複数箇所からHガスだけでなく、Oガスをも供給するようにすれば、ウエハエッジ部で原子状酸素O濃度が高くなることを抑止しつつ、原子状酸素Oをウエハ中央部でより多く発生させるように反応をコントロールし、パターンウエハにおける顕著な膜厚面内分布の中央凹分布(面内均一性の悪化)を防止することができることを見出した。以下、本発明の第1実施形態を、図面を参照して説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図12を参照して、本発明の第1実施形態における基板処理装置としてのバッチ式縦型半導体製造装置(酸化装置)を説明する。図12は、第1実施形態にかかる熱処理炉(酸化炉)の構成を例示する断面概略図である。図12には、ウエハの最大積載数が例えば120枚の場合の基板処理装置の熱処理炉5の装置構成例を示している。
【0020】
図12に示すとおり、本実施形態にかかる基板処理装置の熱処理炉5は加熱源としての抵抗加熱ヒータ9を有している。ヒータ9は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることで垂直に据え付けられている。ヒータ9の内側には、ヒータ9と同心円状に反応管10が配設されている。反応管10内には基板を処理する処理室(反応室)4が形成され、基板保持具としてのボート3が搬入されるように構成されている。ボート3は、複数枚の基板としてのシリコンウエハ等のウエハ6を略水平状態で隙間(基板ピッチ間隔)をもって複数段に保持するように構成されている。以下の説明では、ボート3内の最上段のウエハ支持位置を#120とし、最下段のウエハ支持位置を#1と表す。また、ボート3内の最下段からn段目の支持位置に保持されるウエハ6をウエハ#nと表す。
【0021】
反応管10の下方は、ボート3を挿入するために開放されている。反応管10の開放部分は、シールキャップ13により密閉されるように構成されている。シールキャップ13上には、ボート3を下方から支持する断熱キャップ12が設けられている。断熱キャップ12はシールキャップ13を貫通するように設けられた回転軸(図示せず)を介して回転機構14に取り付けられている。回転機構14は、回転軸を介して、断熱キャップ12、ボート3を回転させることでボート3に支持されたウエハ6を回転させるように構成されている。
【0022】
反応管10の天井壁にはシャワー板12が取り付けられており、反応管10の天井壁とシャワー板12とによりミキシング空間としてのバッファ室12aが形成されている。反応管10の上部には、酸素含有ガスとしての酸素(O)ガスを処理室4内の上方からウエハ6に対して供給する酸素供給ノズル7aと、水素含有ガスとしての水素(H)ガスを処理室4内の上方からウエハ6に対して供給する水素供給ノズル7bとが、バッファ室12a内に連通するように接続されている。酸素供給ノズル7aのガス噴射口は下方を向いており、処理室4内の上方から下方に向けて(ウエハの積載方向に沿って)酸素ガスを噴射するように構成されている。水素供給ノズル7bのガス噴射口は下方を向いており、処理室4内の上方から下方に向けて(ウエハの積載方向に沿って)水素ガスを噴射するように構成されている。酸素供給ノズル7aから供給されたOガスと水素供給ノズル7b
から供給されたHガスは、バッファ室12a内で一旦混合されてから、シャワー板12を介して処理室4内に供給されることとなる。酸素供給ノズル7aと水素供給ノズル7bとによりメインノズル7が構成されている。また、シャワー板12により、複数枚のウエハ6が配列されるウエハ配列領域の一端側から他端側に向けてOガスとHガスとをシャワー状に供給するガス供給口が構成されている。
【0023】
酸素供給ノズル7aには、酸素ガス供給ラインとしての酸素供給管70aが接続されている。酸素供給管70aには、上流側から順に、酸素ガス供給源(図示せず)、開閉バルブ93a、流量制御手段(流量制御器)としてのマスフローコントローラ(MFC)92a、及び開閉バルブ91aが設けられている。また、水素供給ノズル7bには、水素ガス供給ラインとしての水素供給管70bが接続されている。水素供給管70bには、上流側から順に、水素ガス供給源(図示せず)、開閉バルブ93b、流量制御手段(流量制御器)としてのマスフローコントローラ(MFC)92b、及び開閉バルブ91bが設けられている。
【0024】
反応管10の側方下部には、水素含有ガスとしての水素(H)ガスを処理室4内の側方からウエハ6に対して供給する水素供給ノズル8bが、反応管10の側壁を貫通するように接続されている。水素供給ノズル8bはウエハ配列領域に対応する領域、すなわち反応管10内においてウエハ配列領域と対向しウエハ配列領域を取り囲む円筒状の領域に配置されている。水素供給ノズル8bは長さの異なる複数本(本実施形態では4本)のL字型のノズルにより構成されており、それぞれが反応管10内において反応管10の側壁の内壁に沿って立ち上がっている。水素供給ノズル8bを構成する複数本のノズルは、ウエハ配列方向に対して長さがそれぞれ異なっていることで、Hガスは、ウエハ配列領域に対応する領域の複数箇所(本実施形態では7箇所)から反応管10内に供給され、ウエハ配列方向(垂直方向)の反応室4内の水素濃度を調節することが可能となっている。なお、水素供給ノズル8bは、ウエハ6よりも、反応管10の側壁の内壁に近い側に内壁に沿って設けられている。水素供給ノズル8bにより水素用のサブノズルが構成されている。また、水素供給ノズル8bにより第1ノズルが構成される。
【0025】
水素供給ノズル8bを構成する複数本のノズルの先端の上面はそれぞれ閉塞しており、それぞれのノズル先端部側面に少なくとも1つのガス噴出孔が設けられている。図12において、水素供給ノズル8bからウエハ6側に伸びる矢印が各ガス噴出孔からのHガスの噴出方向を示しており、各矢印の根元部分が各ガス噴出孔を示している。すなわち、ガス噴出孔はウエハ側を向いており、処理室4内の側方から水平方向に(ウエハの主面に沿う方向に)ウエハ6に向けてHガスを噴出するように構成されている。なお、本実施形態の場合、一番長いノズルと、二番目に長いノズルと、三番目に長いノズルには、それぞれ2つのガス噴出孔が設けられており、一番短いノズルには、1つのガス噴出孔が設けられている。これら複数(本実施形態では7個)のガス噴出孔はそれぞれ等間隔に設けられている。なお、一番長いノズルの下部ガス噴出孔は、一番長いノズルの上部ガス噴出孔と二番目に長いノズルの上部ガス噴出孔との中間位置に設けられている。また、二番目に長いノズルの下部ガス噴出孔は、二番目に長いノズルの上部ガス噴出孔と三番目に長いノズルの上部ガス噴出孔との中間位置に設けられている。また、三番目に長いノズルの下部ガス噴出孔は、三番目に長いノズルの上部ガス噴出孔と一番短いノズルのガス噴出孔との中間位置に設けられている。ガス噴出孔をこのように設けることで、ウエハ配列方向においてきめ細かく制御されたHガスを供給することが可能となっており、水素濃度をきめ細かく調節することが可能となっている。これらのガス噴出孔により、第1ガス噴出孔が構成されている。
【0026】
水素供給ノズル8bには、水素ガス供給ラインとしての水素供給管80bが接続されている。水素供給管80bは複数本(本実施形態では4本)の配管により構成されており、
水素供給ノズル8bを構成する複数本のノズルのそれぞれに接続されている。水素供給管80bには、上流側から順に、水素ガス供給源(図示せず)、開閉バルブ96b、流量制御手段(流量制御器)としてのマスフローコントローラ(MFC)95b、及び開閉バルブ94bが設けられている。なお、開閉バルブ96b、マスフローコントローラ95b、及び開閉バルブ94bは、水素供給管80bを構成する複数本の配管のそれぞれに設けられており、水素供給ノズル8bを構成する複数本のノズル毎に独立してHガスの流量を制御できるようになっている。
【0027】
反応管10の側方下部には、酸素含有ガスとしての酸素(O)ガスを処理室4内の側方からウエハ6に対して供給する酸素供給ノズル8aが、反応管10の側壁を貫通するように接続されている。酸素供給ノズル8aはウエハ配列領域に対応する領域、すなわち反応管10内においてウエハ配列領域と対向しウエハ配列領域を取り囲む円筒状の領域に配置されている。酸素供給ノズル8aは長さの異なる複数本(本実施形態では4本)のL字型のノズルにより構成されており、それぞれが反応管10内において反応管10の側壁の内壁に沿って立ち上がっている。酸素供給ノズル8aを構成する複数本のノズルは、ウエハ配列方向に対して長さがそれぞれ異なっていることで、Oガスは、ウエハ配列領域に対応する領域の複数箇所(本実施形態では7箇所)から反応管10内に供給され、ウエハ配列方向(垂直方向)の反応室4内の酸素濃度を調節することが可能となっている。なお、酸素供給ノズル8aは、ウエハ6よりも、反応管10の側壁の内壁に近い側に内壁に沿って設けられている。酸素供給ノズル8aにより酸素用のサブノズルが構成されている。また、酸素供給ノズル8aにより第2ノズルが構成される。
【0028】
酸素供給ノズル8aを構成する複数本のノズルの先端の上面はそれぞれ閉塞しており、それぞれのノズル先端部側面に少なくとも1つのガス噴出孔が設けられている。図12において、酸素供給ノズル8aからウエハ6側に伸びる矢印が各ガス噴出孔からのOガスの噴出方向を示しており、各矢印の根元部分が各ガス噴出孔を示している。すなわち、ガス噴出孔はウエハ側を向いており、処理室4内の側方から水平方向に(ウエハの主面に沿う方向に)ウエハ6に向けてOガスを噴出するように構成されている。なお、本実施形態の場合、一番長いノズルと、二番目に長いノズルと、三番目に長いノズルには、それぞれ2つのガス噴出孔が設けられており、一番短いノズルには、1つのガス噴出孔が設けられている。これら複数(本実施形態では7個)のガス噴出孔はそれぞれ等間隔に設けられている。なお、一番長いノズルの下部ガス噴出孔は、一番長いノズルの上部ガス噴出孔と二番目に長いノズルの上部ガス噴出孔との中間位置に設けられている。また、二番目に長いノズルの下部ガス噴出孔は、二番目に長いノズルの上部ガス噴出孔と三番目に長いノズルの上部ガス噴出孔との中間位置に設けられている。また、三番目に長いノズルの下部ガス噴出孔は、三番目に長いノズルの上部ガス噴出孔と一番短いノズルのガス噴出孔との中間位置に設けられている。ガス噴出孔をこのように設けることで、ウエハ配列方向においてきめ細かく制御されたOガスを供給することが可能となっており、酸素濃度をきめ細かく調節することが可能となっている。これらのガス噴出孔により、第2ガス噴出孔が構成されている。
【0029】
酸素供給ノズル8aには、酸素ガス供給ラインとしての酸素供給管80aが接続されている。酸素供給管80aは複数本(本実施形態では4本)の配管により構成されており、酸素供給ノズル8aを構成する複数本のノズルのそれぞれに接続されている。酸素供給管80aには、上流側から順に、酸素ガス供給源(図示せず)、開閉バルブ96a、流量制御手段(流量制御器)としてのマスフローコントローラ(MFC)95a、及び開閉バルブ94aが設けられている。なお、開閉バルブ96a、マスフローコントローラ95a、及び開閉バルブ94aは、酸素供給管80aを構成する複数本の配管のそれぞれに設けられており、酸素供給ノズル8aを構成する複数本のノズル毎に独立してOガスの流量を制御できるようになっている。
【0030】
主に、酸素供給ノズル7a、酸素供給管70a、開閉バルブ91a、マスフローコントローラ92a、開閉バルブ93aによりメイン酸素ガス供給系が構成され、主に酸素供給ノズル8a、酸素供給管80a、開閉バルブ94a、マスフローコントローラ95a、開閉バルブ96aによりサブ酸素ガス供給系が構成され、メイン酸素ガス供給系とサブ酸素ガス供給系とにより酸素ガス供給系が構成される。
【0031】
また、主に、水素供給ノズル7b、水素供給管70b、開閉バルブ91b、マスフローコントローラ92b、開閉バルブ93bによりメイン水素ガス供給系が構成され、主に水素供給ノズル8b、水素供給管80b、開閉バルブ94b、マスフローコントローラ95b、開閉バルブ96bによりサブ水素ガス供給系が構成され、メイン水素ガス供給系とサブ水素ガス供給系とにより水素ガス供給系が構成される。
【0032】
なお、酸素ガス供給系、水素ガス供給系には窒素ガス供給系(図示せず)が接続されており、窒素ガス供給系は、不活性ガスとしての窒素(N)ガスを酸素供給管70a,80a、水素供給管70b,80bを介して処理室1内に供給できるように構成されている。窒素ガス供給系は主に窒素供給管(図示せず)、開閉バルブ(図示せず)、マスフローコントローラ(図示せず)により構成される。
【0033】
反応管10の側方下部には、処理室内を排気するガス排気口11が設けられている。ガス排気口11には、ガス排気ラインとしてのガス排気管50が接続されている。ガス排気管50には、上流側から順に、圧力調整手段(圧力制御器)としてのAPC(Auto Pressure Controller)51と、排気手段(排気装置)としての真空ポンプ52とが設けられている。主に、ガス排気口11、ガス排気管50、APC51、真空ポンプ52により排気系が構成される。
【0034】
抵抗加熱ヒータ9、マスフローコントローラ92a,92b,95a,95b、開閉バルブ91a,91b,93a,93b,94a,94b,96a,96b、APC51、真空ポンプ52、及び回転機構14などの基板処理装置の各部は、制御手段(制御部)としてのコントローラ100に接続されており、コントローラ100は基板処理装置の各部の動作を制御するように構成されている。コントローラ100は、CPU、メモリ、HDD等の記憶装置、FPD等の表示装置、キーボードやマウス等の入力装置を備えたコンピュータとして構成されている。
【0035】
次に、上述の酸化装置の酸化炉を使用して、半導体装置の製造工程の一工程として、基板としてのウエハに酸化処理を施す方法について説明する。尚、以下の説明において、酸化装置を構成する各部の動作はコントローラ100により制御される。
【0036】
基板移載機により1バッチ分(例えば120枚)のウエハ6をボート3に移載(ウエハチャージ)すると、ヒータ9により加熱状態を維持された熱処理炉5の処理室4内に複数枚のウエハ6を装填したボート3を搬入(ボートロード)し、シールキャップ13により反応管10内を密閉する。次に、真空ポンプ52により反応管10内を真空引きし、APC51により反応管10内圧力(炉内圧力)が大気圧よりも低い所定の処理圧力となるよう制御する。回転機構14によりボート3が所定の回転速度で回転するようにする。また、処理室4内温度(炉内温度)を昇温させ、炉内温度が所定の処理温度となるよう制御する。
【0037】
その後、酸素供給ノズル7a、水素供給ノズル7bより処理室4内にOガス、Hガスをそれぞれ供給する。すなわち、開閉バルブ91a,93aを開くことで、マスフローコントローラ92aで流量制御されたOガスを、酸素供給管70aを介して酸素供給ノ
ズル7aより処理室4内に供給する。また、開閉バルブ91b,93bを開くことで、マスフローコントローラ92bで流量制御されたHガスを、水素供給管70bを介して水素供給ノズル7bより処理室4内に供給する。酸素供給ノズル7aから供給されたOガスと水素供給ノズル7bから供給されたHガスは、バッファ室12a内で一旦混合されてから、シャワー板12を介して処理室4内にシャワー状に供給される。
【0038】
このとき、酸素供給ノズル8a、水素供給ノズル8bからも処理室4内にOガス、Hガスをそれぞれ供給する。すなわち、開閉バルブ94a,96aを開くことで、マスフローコントローラ95aで流量制御されたOガスを、酸素供給管80aを介して酸素供給ノズル8aより処理室4内に供給する。また、開閉バルブ94b,96bを開くことで、マスフローコントローラ95bで流量制御されたHガスを、水素供給管80bを介して水素供給ノズル8bより処理室4内に供給する。酸素供給ノズル8aから供給されたOガスと水素供給ノズル8bから供給されたHガスは、ウエハ配列領域に対応する領域の複数箇所から処理室4内に供給される。
【0039】
このように、OガスとHガスは、処理室4内におけるウエハ配列領域の一端側から供給されるとともに、処理室4内におけるウエハ配列領域に対応する領域の複数箇所からも供給される。処理室4内に供給されたOガスとHガスは処理室4内を流下してウエハ配列領域の他端側に設けられたガス排気口11より排気される。
【0040】
このとき、OガスとHガスとがヒータ5により加熱された減圧の処理室4内で反応することによりH,O,OH等の中間生成物が生じる。本出願人が特願2008−133772号にて出願済みの明細書中に記載したように、これら中間生成物のうち、酸化膜形成に直接寄与する代表的な中間生成物は原子状酸素Oであり、H,OH等の中間生成物は酸化膜成長に関する表面反応には直接関与しない。すなわち、OガスとHガスとが反応することにより生じた中間生成物のうち、原子状酸素Oが反応種(酸化種)として作用することでウエハ6に酸化処理が施され、ウエハ6表面に酸化膜としてのシリコン酸化膜(SiO膜)が形成される。
【0041】
このときの処理条件(酸化処理条件)としては、
処理温度(処理室内温度):500〜1000℃、
処理圧力(処理室内圧力):1〜1000Pa、
メインノズルから供給する酸素ガス供給流量:2000〜4000sccm、
メインノズルから供給する水素ガス供給流量:0〜500sccm、
サブノズルから供給する酸素ガス供給流量(合計流量):1000〜3000sccm、
サブノズルから供給する水素ガス供給流量(合計流量):1500〜2000sccm、
が例示され、それぞれの処理条件を、それぞれの範囲内のある値で一定に維持することでウエハ6に酸化処理がなされる。
【0042】
ウエハ6の酸化処理が終了すると、開閉バルブ91a,91b,93a,93b,94a,94b,96a,96bを閉じ、処理室4内へのOガス、Hガスの供給を停止して、反応管10内に対し真空引きや不活性ガスによるパージ等を行うことにより反応管10内の残留ガスを除去する。その後、炉内圧力を大気圧に戻し、炉内温度を所定の温度まで降温した後、処理済ウエハ6を支持したボート3を処理室4内から搬出(ボートアンロード)し、ボート6に支持された全ての処理済ウエハ6が冷えるまで、ボート3を所定位置で待機させる。待機させたボート3に保持された処理済ウエハ6が所定温度まで冷却されると、基板移載機により処理済ウエハ6を回収(ウエハディスチャージ)する。このようにして、ウエハ6に対して酸化処理を施す一連の処理が終了する。
【0043】
以下、図13〜図15を用いて本発明の作用について説明する。ウエハに形成される酸化膜の膜厚の面間均一性を補正するために設けられている水素用のサブノズル(水素供給ノズル8b)のガス噴出孔近傍からある流量(数百sccm程度)のOガスをHガスと一緒に供給する場合について考える。なお、処理条件は、処理温度を850〜950℃、処理圧力を0.5Torr程度、メインノズルから供給するHガスの流量を数百sccm、メインノズルから供給するOガスの流量を数千sccm、サブノズルから供給するHガスの流量を約1500sccmとする。
【0044】
図13は、そのような状況におけるガスおよびウエハ表面での反応挙動を解析した結果(処理室内における原子状酸素Oのモル密度分布)である。この結果によるとHガス、Oガスを供給した付近では局所的に原子状酸素Oの分圧が低下する。しかし、Hガス、Oガスがウエハ中心部に濃度拡散で浸入するにつれて原子状酸素Oを生成する反応が進行し、ウエハ中心部に行くにつれて原子状酸素Oの濃度が増加していく。上述のようにウエハ表面に形成される酸化膜の膜厚は気相中の原子状酸素O濃度に依存するので、Hガス、Oガスを供給した付近のウエハ表面に形成される酸化膜の膜厚面内分布を中央凸分布(ベアウエハ処理時)とすることができる。
【0045】
なお、この効果はHガス、Oガスを供給した近傍に限らず、供給点より上流側、下流側にも発生する。特に下流側には影響範囲が広く、上述の処理条件においては150mm程度下方(下流)にまで効果が及ぶ。つまり、ピッチ150mm程度でHガス、Oガスの任意量供給点(ガス噴出孔)を設ければ全ウエハ配列領域についてウエハ表面に形成される酸化膜の膜厚面内分布を中央凸型分布(ベアウエハ処理時)とすることが可能となる。例えば、100〜150枚のウエハをピッチ10mm程度で積層した縦型炉を想定するとHガス、Oガスの供給点(ガス噴出孔)は6〜10箇所必要となる。すなわち、水素用のサブノズルのガス噴出孔、酸素用のサブノズルのガス噴出孔を、それぞれピッチ150mm程度で6〜10箇所に設ける必要がある。なお、図12の酸化炉では、水素用のサブノズルのガス噴出孔、酸素用のサブノズルのガス噴出孔を、それぞれピッチ150mm程度で7箇所に設けている。
【0046】
図14は、上述の処理条件でウエハ面間、面内の原子状酸素O濃度について解析した結果である。図中菱形の点(◇)はHガスのみ途中供給することでウエハに形成される酸化膜の膜厚の面間均一性の補正を行なった条件である。図中四角の点(□)は、Hガスのみ途中供給することで膜厚面間均一性補正した条件(菱形の点(◇)の条件)に図中破線で示す位置にOガスを更に追加した条件である。上述の通り、Oガスを追加することでウエハに形成される酸化膜の膜厚面内分布の中央凸分布の度合いが増加している(図中A部)。一方、Oガスを追加した付近において膜厚が低下する(図中B部)現象が発生しており、ウエハに形成される酸化膜の膜厚の面間均一性を悪化させている。
【0047】
この問題を回避する手段を、図15を用いて説明する。図中四角の点(□)は、図14の四角の点(□)と同条件(Hガスのみ途中供給することで膜厚面間均一性補正した条件にOガスを更に追加した条件)である。図中三角の点(△)は、四角の点(□)の条件に図中破線で示す位置にHガスを更に追加した(Hガス流量を増加させた)条件である。Oガスを追加した箇所に更にHガスを追加する(Hガス流量を増加させる)ことにより、Oガス追加にて膜厚低下が発生した箇所の膜厚を増加させることができる(図中C部)。また、膜厚面内均一性においても、Hガスを更に追加する(Hガス流量を増加させる)ことで、より膜厚面内分布の中央凸型分布の度合いを増加させることができる。
【0048】
上述のOガス追加による膜厚面内均一性制御効果(膜厚面内分布の中央凸分布度合い
増加効果)、Hガス追加による膜厚増加効果及び膜厚面内均一性制御効果(膜厚面内分布の更なる中央凸分布度合い増加効果)はガスを供給した点を中心に作用する。これらの効果を効率的に組み合わせるには、OガスとHガスとを、ほぼ同様な高さから供給することが良い。すなわち、Hガスの供給点(ガス噴出孔)とOガスの供給点(ガス噴出孔)の高さを合わせるのが好ましい。なお、図12の酸化炉では、水素用のサブノズル(水素供給ノズル8b)に設けられた複数のガス噴出孔と、酸素用のサブノズル(酸素供給ノズル8a)に設けられた複数のガス噴出孔は、それぞれが同じ高さに設けられている。すなわち、水素供給ノズル8bに設けられたガス噴出孔の孔数、配列ピッチは、酸素供給ノズル8aに設けられたガス噴出孔の孔数、配列ピッチと等しく、水素供給ノズル8bに設けられたガス噴出孔のそれぞれは、酸素供給ノズル8aに設けられたガス噴出孔のそれぞれと、それぞれ一対一で対応するように、それぞれ同一高さに設けられている。これにより膜厚面間均一性を維持しつつ、膜厚面内均一性のコントロールが可能となり(積極的に膜厚面内分布を中央凸分布化でき)、STIなどの彫りの深いパターン付きウエハ(原子状酸素O消費の大きいウエハ)を処理する際に発生していた膜厚面内分布の顕著な中央凹分布を防止することができる。
【0049】
以下、図16、図17を用いてOガス追加による膜厚面内均一性制御作用、Hガス追加による膜厚増加作用の詳細について説明する。
【0050】
図16は水素用のサブノズル(水素供給ノズル8b)、酸素用のサブノズル(酸素供給ノズル8a)からHガス、Oガスがそれぞれ供給された際の供給点近傍の原子状酸素O濃度分布を模式的に表したものである。なお、図16、17では水素用のサブノズル(水素供給ノズル8b)と酸素用のサブノズル(酸素供給ノズル8a)は重ねて表示しており、両ノズルを纏めてサブノズル8として表している。処理室圧力は0.5Torr程度で一定なのでHガス、Oガスの供給点近傍では希釈効果により原子状酸素Oの濃度(分圧)が低下する。それにより、従来技術のサブノズルからのガス供給が無い領域の挙動(図10に示す通りウエハエッジ部と反応管内壁間を流れ落ちる主流からの濃度拡散とウエハ表面上での原子状酸素O消費によりウエハ中央部にかけて原子状酸素O濃度が低下する)とは逆に、ウエハエッジ部では原子状酸素O濃度が低くなり、ウエハ中央部にかけて希釈効果の薄れと原子状酸素O生成反応の進行により原子状酸素Oの濃度が高くなる傾向となる。最終的にはこの現象にウエハ表面上での膜成長のための原子状酸素Oの消費が加わった状態でバランスする。
【0051】
図17は、サブノズルからのガス供給が無い場合(ノズル無し)、サブノズルからHガスのみ供給した場合(ノズルからHのみ供給)、サブノズルからHガス、Oガスを供給した場合(ノズルからO、H(対b増量)供給)の(ベアウエハの成膜処理を想定した)ウエハ表面上の原子状酸素Oモル密度、膜厚マップ(断面図)を模式的に表したものである。サブノズルからのガス供給が無い場合、前述の通り、ウエハ外周部からの濃度拡散が支配的、且つウエハ表面での原子状酸素O消費により原子状酸素O濃度はウエハ外周部で高く、ウエハ中心部にかけて低くなる。ウエハ面内の膜厚分布は(a)に示すような中央凹型分布となる。サブノズルよりHガスのみを供給した場合には、供給点近傍ではHガスを追加した分、原子状酸素Oの濃度(分圧)が低下しウエハ外周部で原子状酸素O濃度が高くなることを抑制できる。ウエハ中心部にかけては原子状酸素Oの生成反応が進行し(Hガス追加の効果)原子状酸素O濃度はウエハ中心部に行くにつれて高くなる。ウエハ面内の膜厚分布は(b)に示すような中央凸分布となる。サブノズルよりHガス、Oガスを供給した場合には、供給点近傍ではHガス、Oガスを追加した分、原子状酸素Oの濃度(分圧)が更に低下しウエハ外周部で原子状酸素O濃度が高くなることをより抑制できる。また、ウエハ中心部にかけてはHガスのみの供給時と同様に原子状酸素Oの生成反応が進行し(Hガス追加の効果)原子状酸素O濃度はウエハ中心部に行くにつれて高くなる。更にOガス追加により生じた膜厚低下を補正するためH
ガスを多く供給するので、ウエハ中心部にかけて生成する原子状酸素Oの量はHガスのみの供給時に比べ多くなる。結果としてHガスのみの供給時よりも中央凸分布の度合いを強くすることができる。すなわち、Hガスのみの供給時よりも膜厚分布のコントロール範囲が広いと言える。
【0052】
以上よりHガス、Oガスを途中供給することで積層ウエハに形成される酸化膜の膜厚の面間均一性を維持しつつ、STIなどの彫りの深いパターン付きウエハ(原子状酸素O消費の大きいウエハ)を処理する際に発生していた顕著な中央凹分布を防止し膜厚の面内均一性を改善(コントロール)することが可能となる。
【0053】
なお、上記実施形態では、サブノズルから供給するOガスは、主として供給点近傍の原子状酸素O濃度を希釈する役割を果たしている。そのため、サブノズルからOガスを供給する代わりに、ウエハの処理に影響を及ぼさない不活性ガス(例えばN、He、Ne、Ar、Xe、etc.)を供給するようにしても同様な効果が得られる。すなわち、メインノズルを構成する酸素供給ノズル7a、水素供給ノズル7bからOガス、Hガスをそれぞれ供給し、水素用のサブノズル(水素供給ノズル8b)からHガスを供給し、酸素用のサブノズル(酸素供給ノズル8a)から不活性ガスを供給するようにしてもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、酸素含有ガスとして酸素ガスを用いる場合について、水素含有ガスとして水素ガスを用いる場合について説明したが、酸素含有ガスとしては、酸素(O)ガスおよび亜酸化窒素(NO)ガスよりなる群から選択される少なくとも一つのガスを用いることができ、水素含有ガスとしては、水素(H)ガス、アンモニア(NH)ガスおよびメタン(CH)ガスよりなる群から選択される少なくとも一つのガスを用いることができる。
【0055】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
上述の第1実施形態では、酸素用のサブノズル(酸素供給ノズル8a)を長さの異なる複数本のノズル(マルチノズル)により構成する例について説明したが、酸素供給ノズル8aは複数のガス噴出孔を有する単一のノズル(多孔ノズル)により構成するようにしてもよい。以下、第2実施形態として、酸素用のサブノズルを単一の多孔ノズルにより構成する例について説明する。
【0056】
図18を参照して、本発明の第2実施形態における基板処理装置としてのバッチ式縦型半導体製造装置(酸化装置)を説明する。図18は、第2実施形態にかかる熱処理炉(酸化炉)の構成を例示する断面概略図である。
【0057】
本実施形態における酸化炉(図18)が、第1実施形態における酸化炉(図12)と異なるのは酸素供給ノズル8aを含むサブ酸素ガス供給系の構成だけである。他の構成は第1実施形態と同様である。本実施形態におけるサブ酸素ガス供給系は、主に、複数のガス噴出孔が設けられた一本の酸素供給ノズル8aと、酸素供給ノズル8aに接続され一本の配管により構成される酸素供給管80aと、酸素供給管80aに設けられた開閉バルブ94a、マスフローコントローラ95a、開閉バルブ96aと、により構成される。図18において、酸素供給ノズル8aからウエハ6側に伸びる矢印が各ガス噴出孔からのOガスの噴出方向を示しており、各矢印の根元部分が各ガス噴出孔を示している。なお、本実施形態において、酸素供給ノズル8aに設けられた複数のガス噴出孔と、水素供給ノズル8bに設けられた複数のガス噴出孔と、がそれぞれ同じ高さに設けられている点や、酸素供給ノズル8aに設けられたガス噴出孔の数と、水素供給ノズル8bに設けられたガス噴出孔の数と、が同一(7個)である点等は、第1実施形態と同様である。なお、図18に
おいて、図12で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0058】
本実施形態においては、長さの異なる複数本のノズルにより構成される水素供給ノズル8bにより第1ノズルが構成され、この水素供給ノズル8bに設けられた複数のガス噴出孔により第1ガス噴出孔が構成される。また、一本の多孔ノズルにより構成される酸素供給ノズル8aにより第2ノズルが構成され、この酸素供給ノズル8aに設けられた複数のガス噴出孔により第2ガス噴出孔が構成される。本実施形態においては、ガス噴出孔を直径が等しい複数の孔により構成するようにしてもよいが、各ガス噴出孔から均等な流量のOガス(希釈ガス)が噴出するように、ガス噴出孔を直径の異なる複数の孔により構成するようにしてもよい。
【0059】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様な作用効果が得られる他、更に装置構造の簡素化、コストダウンが可能となる。
【0060】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
上述の第1実施形態および第2実施形態の酸化炉では、酸素用のサブノズル(酸素供給ノズル8a)に設けられたガス噴出孔の配列ピッチを、ウエハ配列ピッチよりも大きくし(例えば、150mmピッチ程度とし)、Oガス噴出孔(供給方向)をウエハに向けるようにしたが、この場合、図19に示すようにOガスの流れ(慣性)の影響によりOガス供給点付近において極端に膜厚面内分布が中央凸化する場合があることを発明者等は見出した。すなわち、Oガス供給点付近とそれ以外の領域で膜厚面内分布改善(中央凸化)効果に差が発生する場合があることを見出した。そして、これに対し、酸素用のサブノズル(酸素供給ノズル8a)に設けられたガス噴出孔を少なくとも複数枚の処理ウエハの一枚一枚に対応するように少なくとも処理ウエハの枚数と同数設けることで、局所的な膜厚面内分布傾向変化(中央凸化)を防止しつつ、原子状酸素Oが処理ウエハ中央部でより多く発生するように反応をコントロールし、膜厚面内均一性を向上させることができることを見出した。なお、本明細書では、処理対象である製品基板としての製品ウエハを便宜上、単にウエハ、または処理ウエハと呼んでいる。本実施形態においても同様であり、ウエハ、または処理ウエハとは、製品ウエハのことを意味している。以下、第3実施形態として、酸素用のサブノズルのガス噴出孔を少なくとも複数枚の処理ウエハ(製品ウエハ)の一枚一枚に対応するように少なくとも処理ウエハ(製品ウエハ)の枚数と同数設けた例について説明する。
【0061】
図20を参照して、本発明の第3実施形態における基板処理装置としてのバッチ式縦型半導体製造装置(酸化装置)を説明する。図20は、第3実施形態にかかる熱処理炉(酸化炉)の構成を例示する断面概略図である。
【0062】
本実施形態における酸化炉(図20)が、第2実施形態における酸化炉(図18)と異なるのは酸素供給ノズル8aの構成だけである。他の構成は第2実施形態と同様である。本実施形態における酸素供給ノズル8aは、複数のガス噴出孔を有する単一のノズル(多孔ノズル)により構成されており、反応管10の側壁の内壁に沿って、最上段の処理ウエハに至るまで立ち上がっている。すなわち、酸素供給ノズル8aはウエハ配列領域全域にわたり立ち上がっている。図20において、酸素供給ノズル8aからウエハ6側に伸びる矢印が各ガス噴出孔からのOガスの噴出方向を示しており、各矢印の根元部分が各ガス噴出孔を示している。すなわち、酸素供給ノズル8aには、全処理ウエハの一枚一枚に対して均等にOガスを供給することができるよう、少なくとも複数枚の処理ウエハの一枚一枚に対応するように少なくとも処理ウエハの枚数と同数のガス噴出孔が設けられている。例えば、処理ウエハの枚数が120枚である場合、ガス噴出孔は少なくともそれぞれの
処理ウエハに対応するように少なくとも120個設けられる。また例えば、処理ウエハの上方及び下方にサイドダミーウエハが配列され、上部ダミーウエハ、処理ウエハ、下部ダミーウエハの枚数がそれぞれ10枚、100枚、10枚である場合、ガス噴出孔は少なくとも100枚の処理ウエハのそれぞれに対応するように少なくとも100個設けられる。なお、ガス噴出孔は、各処理ウエハに対応するように処理ウエハと同数設ける他、さらに処理ウエハに対応しない箇所に、すなわち、ウエハ配列領域以外の領域に対応する領域に設けるようにしてもよい。例えば、上述のサイドダミーウエハが配列されるダミーウエハ配列領域に対応する領域や、それよりも上方または下方の領域に設けるようにしてもよい。なお、ガス噴出孔をダミーウエハ配列領域に対応する領域に設ける場合、少なくとも処理ウエハと隣接する部分におけるダミーウエハの一枚一枚に対応するように、それらのダミーウエハの枚数と同数のガス噴出孔を設けるようにするのが好ましい。このようにすることで、処理ウエハと隣接する部分におけるダミーウエハへのOガスの流れを、処理ウエハへのOガスの流れと同様にすることができ、ダミーウエハ付近の処理ウエハへのガスの流れを乱さないようにすることが出来る。各処理ウエハに対して均等な流量のOガスが噴出するように、ガス噴出孔は比較的小さな孔により構成されている。酸素供給ノズル8aは、例えば、φ10〜20mm程度の管に、φ0.5〜1mm程度の孔を全処理ウエハ枚数と同数設けてなる多孔ノズルにより構成される。なお、酸素供給ノズル8aは全処理ウエハに対して均等にOガスを供給出来れば良く、第1実施形態のように長さの異なる複数本のノズルにより構成してもよい。なお、図20において、図12、図18で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0063】
本実施形態においては、長さの異なる複数本のノズルにより構成される水素供給ノズル8bにより第1ノズルが構成され、この水素供給ノズル8bに設けられた複数のガス噴出孔により第1ガス噴出孔が構成される。また、一本の多孔ノズルにより構成される酸素供給ノズル8aにより第2ノズルが構成され、この酸素供給ノズル8aに少なくとも複数枚の処理ウエハの一枚一枚に対応するように少なくとも処理ウエハの枚数と同数設けられた複数のガス噴出孔により第2ガス噴出孔が構成される。
【0064】
なお、本実施形態では、酸素供給ノズル8aに設けられたガス噴出孔の配列ピッチは、ウエハの配列ピッチと等しくなるように設定されている。また、酸素供給ノズル8aに設けられたそれぞれのガス噴出孔と、それぞれのガス噴出孔に対応するそれぞれのウエハとのウエハ配列方向におけるそれぞれの距離は等しくなるように設定されている。また、水素供給ノズル8bに設けられたガス噴出孔の孔数は、酸素供給ノズル8aに設けられたガス噴出孔の孔数よりも少なくなるように設定されている。
【0065】
本実施形態における酸化炉を用いた場合の処理条件(酸化処理条件)としては、
処理温度(処理室内温度):500〜1000℃、
処理圧力(処理室内圧力):1〜1000Pa、
メインノズルから供給する酸素ガス供給流量:0〜2000sccm、
メインノズルから供給する水素ガス供給流量:0〜500sccm、
サブノズルから供給する酸素ガス供給流量:3000〜5000sccm、
サブノズルから供給する水素ガス供給流量(合計流量):1500〜2000sccm、
が例示され、それぞれの処理条件を、それぞれの範囲内のある値で一定に維持することでウエハ6に酸化処理がなされる。なお、メインノズルから供給する酸素ガス供給流量および水素ガス供給流量の下限値を0sccmとしているが、これはメインノズルを用いることなくサブノズルだけを用いて酸化処理するケースを表している。本実施形態では、このようにサブノズルだけを用いて酸化処理することも可能である。
【0066】
以下、図21〜図23を用いて本実施形態の作用について説明する。
まず、図21、図22を用いてOガス追加による膜厚面内均一性制御作用について説明する。図21、図22は、酸素用のサブノズル(酸素供給ノズル8a)からOガスが供給された際の供給点近傍の原子状酸素O濃度分布を模式的に表したものである。図21,22において、酸素供給ノズル8aからウエハ6側に伸びる白抜きの矢印がガス噴出孔からのOガスの噴出方向を示しており、矢印の根元部分がガス噴出孔を示している。反応室内圧力は0.5Torr程度で一定なのでOガスの供給点近傍では希釈効果により原子状酸素Oの濃度(分圧)が低下する。それにより、従来技術のサブノズルからのガス供給が無い領域の挙動(ウエハエッジ部と反応管内壁間を流れ落ちる主流からの濃度拡散とウエハ表面上での原子状酸素O消費によりウエハ中央部にかけて原子状酸素O濃度が低下する)とは逆に、ウエハエッジ部では原子状酸素O濃度が低くなり、ウエハ中央部にかけて希釈効果の薄れと原子状酸素O生成反応の進行により原子状酸素Oの濃度が高くなる傾向となる。最終的にはこの現象にウエハ表面上での膜成長のための原子状酸素Oの消費が加わった状態でバランスする。
【0067】
第1実施形態および第2実施形態の酸化炉では、Oガス供給点数が少ないため(例えばウエハ15枚に対し1箇所)、Oガス噴出時の流れ(慣性)の影響により供給部近傍において著しく希釈効果が作用しO濃度が低下する場合があった。この場合、図21に示すように各ウエハ6上での原子状酸素Oの面内濃度分布がウエハ毎に異なってしまうこととなる。結果として局所的に膜厚面内分布傾向を変化(中央凸化)させる場合があった。これに対し、本実施形態においては、Oガス供給点を少なくとも複数枚の処理ウエハの1つ1つに対応するように少なくとも処理ウエハと同数設けるようにした。すなわち、本実施形態では、全ての処理ウエハに対してOガス供給点を設け、そこから各処理ウエハに対して等しくOガスを供給するので、図22に示すように各ウエハ6上での原子状酸素Oの面内濃度分布がそれぞれ等しくなり、上述のOガス噴出時の流れ(慣性)の影響による局所的な膜厚面内分布傾向の変化を防止でき、全処理ウエハの膜厚面内分布を均等に改善(膜厚分布がすり鉢分布となるのを緩和)することができる。
【0068】
これに対し、Oガス供給点を処理ウエハ枚数よりも僅かに少なくした場合(例えば、処理ウエハ枚数が120枚の場合に、Oガス供給点を115箇所とした場合)、Oガス供給点は1つ1つの処理ウエハに対応するようには構成されないこととなる。この場合、Oガスが各処理ウエハに対して均等に供給されない部分が生じ、処理ウエハ上での原子状酸素Oの面内濃度分布が処理ウエハ毎に異なってしまう部分が生じる場合もあり、少なからず上述の現象(Oガス噴出時の流れ(慣性)の影響による局所的な膜厚面内分布傾向の変化)が発生し、全体としての処理品質を低下させてしまう場合がある。
【0069】
また、本実施形態では、Oガス供給点と、対応する処理ウエハと、の高さ方向の距離を全体的に等しくしている。すなわち、本実施形態では、Oガス供給孔の高さ方向ピッチと、処理ウエハの積層ピッチと、を同一にしているので、常にOガス供給点と、対応する処理ウエハと、の位置関係が一定となるようにしている。これにより図22に示すO濃度の波紋形状がすべての処理ウエハ上において同様となり、全処理ウエハの面内均一性を均等に改善できる。
【0070】
これに対し、Oガス供給点と、対応する処理ウエハと、の高さ方向の距離が各箇所において等しくない(ばらついている)場合、すなわち、Oガス供給点と、対応する処理ウエハと、の位置関係が一定でない場合、処理ウエハによってO濃度の波紋形状が異なってしまい膜厚面内均一性改善効果にバラツキが発生してしまう。
【0071】
図23に、本実施形態の酸化炉を用い、処理温度を900℃程度、処理圧力を0.5Torr程度、メインノズルから供給するHガスの流量を数百sccm、メインノズルから供給するOガスの流量を数千sccm、サブノズルから供給するHガスの合計流量
を約1500sccmとした処理条件において、サブノズルから流量約5000sccmのOガスを供給した際の膜厚面内分布結果を示す(全ウエハに対しO途中供給)。なお、図23には、比較のため、図19の膜厚面内均一性の実験結果も一緒に示している(O途中供給なし、途中供給あり)。図23より、Oガスを全処理ウエハに対して均等に供給することにより、局所的な膜厚面内分布傾向の変化を防止でき、全処理ウエハの膜厚面内分布を均等に改善できることが分かる。以上よりOガスを全処理ウエハのそれぞれに対して均等に途中供給することで、膜厚の面間均一性を維持しつつ、全処理ウエハの膜厚面内分布のすり鉢化傾向を均等に緩和することが可能となる。
【0072】
なお、本実施形態では、Hガス供給点(噴出孔)については、配列ピッチをウエハ配列ピッチおよびOガス供給点の配列ピッチよりも大きくしており(例えば、150mmピッチ程度)、複数枚の処理ウエハの1つ1つに対応するように処理ウエハと同数設けるようにはしていない。すなわち、本実施形態では、Hガス供給点の数は、処理ウエハ枚数およびOガス供給点の数よりも少なくなるようにしている。例えば、処理ウエハの枚数が120枚である場合、Oガス供給点は少なくともそれぞれの処理ウエハに対応するように少なくとも120個設けられるのに対し、Hガス供給点は、例えば7個(ウエハ15枚に対し1箇所)設けられる。このように、Hガス供給点を処理ウエハと同数設ける必要がないのは次の理由による。すなわち、HガスはOガスに比較し分子径が小さく、0.5Torr程度の環境においては拡散速度が大きいため各処理ウエハに対して供給点を設けなくても十分に拡散する。そのためHガスについては供給点の有無による膜厚面内均一性に及ぼす影響は小さく、現状必要な処理品質を満たすには全処理ウエハ枚数よりも少ない供給点で十分と言える。なお、本実施形態では、水素供給ノズル8bの高さを酸素供給ノズル8aの高さよりも低くしているが、酸素供給ノズル8aと同じ高さとしてもよい。すなわち、水素供給ノズル8bを、酸素供給ノズル8aと同様、最上段のウエハに至る高さまで立ち上げるようにしてもよい。
【0073】
なお、本実施形態の場合、上述のように、メインノズルを用いることなく、サブノズルのみを用いて酸化処理することもできる。すなわち、メインノズル7(酸素供給ノズル7a、水素供給ノズル7b)からOガス、Hガスを供給することなく、サブノズル(酸素供給ノズル8a、水素供給ノズル8b)からのみOガス、Hガスを供給するようにしても酸化処理を行うことができる。この場合、メインノズル7からNガス等の不活性ガスを供給するようにしてもよい。このようにすれば、処理室内上部におけるHガスやOガスや原子状酸素Oの濃度を微調整することができる。また、不活性ガスによるガスカーテンを形成することもでき、処理室内上部へのHガスやOガスや原子状酸素Oの不要な拡散を抑制することも出来る。
【0074】
また、本実施形態の場合、メインノズルからOガス、Hガスのいずれか一方を供給するようにしても酸化処理することができる。すなわち、メインノズルとしての酸素供給ノズル7aからはOガスを供給せず、メインノズルとしての水素供給ノズル7bからHガスを供給し、サブノズル(酸素供給ノズル8a、水素供給ノズル8b)からOガス、Hガスを供給するようにしても酸化処理を行うことができる。この場合、処理室内上部におけるHガス濃度を微調整することができ、ウエハ配列領域上部における処理ウエハに形成される酸化膜の膜厚を微調整することができる。また、メインノズルとしての水素供給ノズル7bからはHガスを供給せず、メインノズルとしての酸素供給ノズル7aからOガスを供給し、サブノズル(酸素供給ノズル8a、水素供給ノズル8b)からOガス、Hガスを供給するようにしても酸化処理を行うことができる。この場合、処理室上部におけるOガス濃度を微調整することができ、ウエハ配列領域上部における処理ウエハに形成される酸化膜の膜厚を微調整することができる。
【0075】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
上述の第3実施形態の酸化炉では、水素用のサブノズル(水素供給ノズル8b)に設けられたガス噴出孔の配列ピッチを、ウエハ配列ピッチおよびOガス噴出孔の配列ピッチよりも大きくした(例えば、150mmピッチ程度とした)例について説明した。すなわち、Hガス噴出孔の数を処理ウエハ枚数およびOガス噴出孔の数よりも少なくした例について説明した。このように、Hガス噴出孔を処理ウエハと同数設けなくとも、現状必要な処理品質を十分に満たすことが出来ることは上述の通りである。ただし、Hガス噴出孔を、Oガス噴出孔と同様、少なくとも複数枚の処理ウエハの一つ一つに対応するように少なくとも処理ウエハと同数設けることで、さらに良好な膜厚面内、面間均一性を実現することができることを見出した。以下、第4実施形態として、水素用のサブノズルのガス噴出孔を、酸素用のサブノズルのガス噴出孔と同様、少なくとも複数枚の処理ウエハの一つ一つに対応するように少なくとも処理ウエハと同数設けた例について説明する。
【0076】
図24を参照して、本発明の第4実施形態における基板処理装置としてのバッチ式縦型半導体製造装置(酸化装置)を説明する。図24は、第4実施形態にかかる熱処理炉(酸化炉)の構成を例示する断面概略図である。
【0077】
本実施形態における酸化炉(図24)が、第3実施形態における酸化炉(図20)と異なるのは水素供給ノズル8bの構成だけである。他の構成は第3実施形態と同様である。本実施形態における水素供給ノズル8bは、長さの異なる複数本(4本)のノズルにより構成されており、一番長いノズルは反応管10の側壁の内壁に沿って、最上段の処理ウエハに至るまで立ち上がっている。すなわち、水素供給ノズル8bはウエハ配列領域全域にわたり立ち上がっている。水素供給ノズル8bには、全処理ウエハの一枚一枚に対して均等にHガスを供給することができるよう、少なくとも複数枚の処理ウエハの一枚一枚に対応するように少なくとも処理ウエハの枚数と同数のガス噴出孔が設けられている。例えば、処理ウエハの枚数が120枚である場合、Hガス噴出孔はそれぞれの処理ウエハに対応するように少なくとも120個設けられる。この場合、水素供給ノズル8bを構成する複数本(4本)のノズルのそれぞれには、Hガス噴出孔が30個設けられることとなる。なお、Hガス噴出孔は、各処理ウエハに対応するように処理ウエハと同数設ける他、さらに処理ウエハに対応しない箇所に、すなわち、ウエハ配列領域以外の領域に対応する領域に設けるようにしてもよい。各処理ウエハに対して均等な流量のHガスが噴出するように、ガス噴出孔は比較的小さな孔により構成されている。水素供給ノズル8bは、例えば、φ10〜20mm程度の複数本(4本)の管に、φ0.5〜1mm程度の孔を全処理ウエハ枚数と同数設けてなる複数本(4本)の多孔ノズルにより構成される。なお、水素供給ノズル8bは全処理ウエハに対して均等にHガスを供給出来れば良く、単一の多孔ノズルにより構成するようにしてもよい。なお、図24において、図12、図18、図20で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0078】
本実施形態においては、長さの異なる複数本のノズルにより構成される水素供給ノズル8bにより第1ノズルが構成され、少なくとも複数枚の処理ウエハの一枚一枚に対応するように少なくとも処理ウエハの枚数と同数水素供給ノズル8bに設けられたガス噴出孔により第1ガス噴出孔が構成される。また、一本の多孔ノズルにより構成される酸素供給ノズル8aにより第2ノズルが構成され、少なくとも複数枚の処理ウエハの一枚一枚に対応するように少なくとも処理ウエハの枚数と同数酸素供給ノズル8aに設けられたガス噴出孔により第2ガス噴出孔が構成される。すなわち、本実施形態では、水素供給ノズル8bのガス噴出孔と酸素供給ノズル8aのガス噴出孔の両方を、少なくとも複数枚の処理ウエハの一枚一枚に対応するように、少なくとも処理ウエハの枚数と同数設けるようにしている。
【0079】
なお、本実施形態では、水素供給ノズル8bに設けられたガス噴出孔の配列ピッチは、ウエハの配列ピッチと等しくなるように、さらには酸素供給ノズル8aに設けられたガス噴出孔の配列ピッチとも等しくなるように設定されている。また、水素供給ノズル8bに設けられたそれぞれのガス噴出孔と、それぞれのガス噴出孔に対応するそれぞれの処理ウエハとのウエハ配列方向におけるそれぞれの距離は等しくなるように設定されている。なお、酸素供給ノズル8aに設けられたそれぞれのガス噴出孔と、それぞれのガス噴出孔に対応するそれぞれの処理ウエハとのウエハ配列方向におけるそれぞれの距離も等しくなるように設定されている。また、水素供給ノズル8bに設けられたガス噴出孔の孔数は、酸素供給ノズル8aに設けられたガス噴出孔の孔数と等しく、水素供給ノズル8bに設けられたガス噴出孔のそれぞれは、酸素供給ノズル8aに設けられたガス噴出孔のそれぞれと、一対一で対応するように設定されている。なお、水素供給ノズル8bに設けられた複数のガス噴出孔と、酸素供給ノズル8aに設けられた複数のガス噴出孔とは、それぞれが同じ高さに設けられている。
【0080】
本実施形態によれば、全処理ウエハに対してHガスとOガスの両方のガスが同様な位置関係にある各供給点より供給されるので、第3実施形態において発生するHガスの供給点有無による濃度差(膜厚面内均一性への影響は小さい)の発生を無くすことが出来、さらに良好な膜厚面内、面間均一性を実現することができる。なお、上述の第3実施形態における酸化炉でも現状必要な処理品質は十分に満たすことが出来るが、本実施形態では、さらに良好な膜厚面内、面間均一性を実現することができる
【0081】
なお、本実施形態の場合、第3実施形態と同様、メインノズルを用いることなく、サブノズルのみを用いて酸化処理することもできる。すなわち、メインノズル7(酸素供給ノズル7a、水素供給ノズル7b)からOガス、Hガスを供給することなく、サブノズル(酸素供給ノズル8a、水素供給ノズル8b)からのみOガス、Hガスを供給するようにしても酸化処理を行うことができる。
【0082】
また、本実施形態の場合、第3実施形態と同様、メインノズルからOガス、Hガスのいずれか一方を供給するようにしても酸化処理することができる。すなわち、メインノズルとしての酸素供給ノズル7aからはOガスを供給せず、メインノズルとしての水素供給ノズル7bからHガスを供給し、サブノズル(酸素供給ノズル8a、水素供給ノズル8b)からOガス、Hガスを供給するようにしても酸化処理を行うことができる。また、メインノズルとしての水素供給ノズル7bからはHガスを供給せず、メインノズルとしての酸素供給ノズル7aからOガスを供給し、サブノズル(酸素供給ノズル8a、水素供給ノズル8b)からOガス、Hガスを供給するようにしても酸化処理を行うことができる。
【0083】
明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約書を含む2008年5月22日提出の日本国特許出願2008−13372号、及び2009年3月26日提出の国際特許出願PCT/JP2009/056107号の開示内容全体は、そのまま引用してここに組み込まれる。
【0084】
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0085】
本発明の一態様によれば、
複数枚の基板を処理する反応管と、
前記反応管内を加熱するヒータと、
前記反応管内で前記複数枚の基板を配列させて保持する保持具と、
前記複数枚の基板が配列される基板配列領域に対応する領域に配置され、該領域の複数
箇所から前記反応管内に水素含有ガスを供給する第1ノズルと、
前記基板配列領域に対応する領域に配置され、該領域の複数箇所から前記反応管内に酸素含有ガスを供給する第2ノズルと、
前記反応管内を排気する排気口と、
前記反応管内の圧力が大気圧よりも低い圧力となるように制御する圧力制御器と、を有し、
前記第1ノズルには複数の第1ガス噴出孔が設けられ、
前記第2ノズルには少なくとも前記複数枚の基板の一枚一枚に対応するように少なくとも前記複数枚の基板の枚数と同数の第2ガス噴出孔が設けられる基板処理装置が提供される。
【0086】
好ましくは、前記第2ガス噴出孔は、前記複数枚の基板の一枚一枚に対して均等な流量の酸素含有ガスを噴出するように構成される。
【0087】
また好ましくは、前記第2ガス噴出孔は、それぞれの前記第2ガス噴出孔と、それぞれの前記第2ガス噴出孔に対応するそれぞれの基板と、の基板配列方向におけるそれぞれの距離が等しくなるように構成される。
【0088】
また好ましくは、前記第2ガス噴出孔は、前記第2ガス噴出孔の配列ピッチが基板の配列ピッチと等しくなるように構成される。
【0089】
また好ましくは、前記第1ガス噴出孔は、前記第1ガス噴出孔の孔数が、前記第2ガス噴出孔の孔数よりも少なくなるように構成される。
【0090】
また好ましくは、前記第1ガス噴出孔は、少なくとも前記複数枚の基板の一枚一枚に対応するように少なくとも前記複数枚の基板の枚数と同数設けられる。
【0091】
また好ましくは、前記第1ガス噴出孔は、前記第1ガス噴出孔の配列ピッチが基板の配列ピッチと等しくなるように構成される。
【0092】
また好ましくは、前記第1ガス噴出孔は、それぞれの前記第1ガス噴出孔と、それぞれの前記第1ガス噴出孔に対応するそれぞれの基板と、の基板配列方向におけるそれぞれの距離が等しくなるように構成される。
【0093】
また好ましくは、前記第1ガス噴出孔は、前記第1ガス噴出孔の孔数が、前記第2ガス噴出孔の孔数と等しくなるように構成される。
【0094】
また好ましくは、前記第1ガス噴出孔と前記第2ガス噴出孔は、前記第1ガス噴出孔のそれぞれが、前記第2ガス噴出孔のそれぞれと、一対一で対応するように構成される。
【0095】
本発明の他の態様によれば、
複数枚の基板を反応管内に搬入する工程と、
前記反応管内の圧力を大気圧よりも低くした状態で、加熱された状態の前記反応管内に、前記複数枚の基板が配列される基板配列領域に対応する領域に配置された第1ノズルを介して水素含有ガスを供給し、前記基板配列領域に対応する領域に配置された第2ノズルを介して酸素含有ガスを供給し、前記複数枚の基板を処理する工程と、
処理済の前記複数枚の基板を前記反応管内より搬出する工程と、を有し、
前記基板を処理する工程では、前記水素含有ガスを前記基板配列領域に対応する領域の複数箇所から、前記第1ノズルに設けられた複数の第1ガス噴出孔を通して前記反応管内に供給すると共に、前記酸素含有ガスを前記基板配列領域に対応する領域の複数箇所から
、少なくとも前記複数枚の基板の一枚一枚に対応するように少なくとも前記複数枚の基板の枚数と同数前記第2ノズルに設けられた第2ガス噴出孔を通して前記反応管内に供給する半導体装置の製造方法が提供される。
【符号の説明】
【0096】
3 ボート
4 処理室(反応室)
5 熱処理炉(酸化炉)
6 ウエハ
8a 酸素供給ノズル
8b 水素供給ノズル
9 抵抗加熱ヒータ
10 反応管
11 排気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の基板を処理する反応管と、
前記反応管内を加熱するヒータと、
前記反応管内で前記複数枚の基板を配列させて保持する保持具と、
前記複数枚の基板が配列される基板配列領域に対応する領域に配置され、該領域の複数箇所から前記反応管内に水素含有ガスを供給する第1ノズルと、
前記基板配列領域に対応する領域に配置され、該領域の複数箇所から前記反応管内に酸素含有ガスを供給する第2ノズルと、
前記反応管内を排気する排気口と、
前記反応管内の圧力が大気圧よりも低い圧力となるように制御する圧力制御器と、を有し、
前記第1ノズルには前記複数枚の基板の一枚一枚に対応しないように複数の第1ガス噴出孔が設けられ、
前記第2ノズルには少なくとも前記複数枚の基板の一枚一枚に対応するように少なくとも前記複数枚の基板の枚数と同数の第2ガス噴出孔が設けられる基板処理装置。
【請求項2】
複数枚の基板を反応管内に搬入する工程と、
前記複数枚の基板を収容した、大気圧よりも低い圧力下にある加熱された前記反応管内に、前記複数枚の基板が配列された基板配列領域に対応する領域に配置され第1ノズルを介して水素含有ガスを供給し、前記基板配列領域に対応する領域に配置された第2ノズルを介して酸素含有ガスを供給し、前記複数枚の基板を処理する工程と、
処理済の前記複数枚の基板を前記反応管内より搬出する工程と、を有し、
前記基板を処理する工程では、前記水素含有ガスを前記基板配列領域に対応する領域の複数箇所から、前記複数枚の基板の一枚一枚に対応しないように前記第1ノズルに複数設けられた第1ガス噴出孔を通して前記反応管内に供給すると共に、前記酸素含有ガスを前記基板配列領域に対応する領域の複数箇所から、少なくとも前記複数枚の基板の一枚一枚に対応するように少なくとも前記複数枚の基板の枚数と同数前記第2ノズルに設けられた第2ガス噴出孔を通して前記反応管内に供給する基板処理方法。
【請求項3】
複数枚の基板を反応管内に搬入する工程と、
前記複数枚の基板を収容した、大気圧よりも低い圧力下にある加熱された前記反応管内に、前記複数枚の基板が配列された基板配列領域に対応する領域に配置され第1ノズルを介して水素含有ガスを供給し、前記基板配列領域に対応する領域に配置された第2ノズルを介して酸素含有ガスを供給し、前記複数枚の基板を処理する工程と、
処理済の前記複数枚の基板を前記反応管内より搬出する工程と、を有し、
前記基板を処理する工程では、前記水素含有ガスを前記基板配列領域に対応する領域の複数箇所から、前記複数枚の基板の一枚一枚に対応しないように前記第1ノズルに複数設けられた第1ガス噴出孔を通して前記反応管内に供給すると共に、前記酸素含有ガスを前記基板配列領域に対応する領域の複数箇所から、少なくとも前記複数枚の基板の一枚一枚に対応するように少なくとも前記複数枚の基板の枚数と同数前記第2ノズルに設けられた第2ガス噴出孔を通して前記反応管内に供給する半導体装置の製造方法。

【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−110432(P2013−110432A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−6196(P2013−6196)
【出願日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【分割の表示】特願2009−138577(P2009−138577)の分割
【原出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】