基板処理装置および基板処理方法
【課題】基板を均一に処理することができる基板処理装置および基板処理方法を提供すること。
【解決手段】基板処理装置は、基板Wを水平に保持するスピンチャックと、スピンチャックに保持された基板Wの上面に処理液を供給する処理液ノズル4と、スピンチャックに保持された基板Wの周囲を間隔をあけて取り囲み、当該基板Wの上面周縁部から外方に排出される処理液に抵抗を与えるリング6とを含む。
【解決手段】基板処理装置は、基板Wを水平に保持するスピンチャックと、スピンチャックに保持された基板Wの上面に処理液を供給する処理液ノズル4と、スピンチャックに保持された基板Wの周囲を間隔をあけて取り囲み、当該基板Wの上面周縁部から外方に排出される処理液に抵抗を与えるリング6とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を処理する基板処理装置および基板処理方法に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置などの製造工程では、半導体ウエハや液晶表示装置用ガラス基板などの基板を処理するための基板処理装置が用いられる。基板を1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置には、基板を水平に保持して回転させるスピンチャックと、スピンチャックに保持された基板の上面に処理液を供給する処理液ノズルとを備えるものがある(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
この基板処理装置による基板の処理では、たとえば、スピンチャックによって基板を回転させつつ、当該基板の上面中央部に向けて処理液ノズルから処理液が連続吐出される。処理液ノズルから吐出された処理液は、基板の上面中央部に着液し、基板の回転による遠心力を受けて、基板の上面周縁部に向かって瞬時に広がっていく。これにより、基板の上面に処理液が供給され、処理液による処理が基板の上面に行われる(連続吐出処理)。
【0004】
また、他の構成の基板処理装置としては、水平に保持された基板の上面に処理液を供給する処理液ノズルと、基板の上方に近接配置され、平面視において基板の上面周縁部を覆う枠とを備えるものがある(たとえば、特許文献2参照)。この基板処理装置による基板の処理では、たとえば、枠の内側に向けて処理液ノズルから処理液が吐出される。処理液ノズルから吐出された処理液は、枠の内側に溜まり、処理液の液膜を形成する。また、枠の内側に供給された処理液の一部は、基板の上面周縁部と枠の下面との間に入り込む。このようにして、基板の上面に処理液が供給され、処理液による処理が基板の上面に行われる。
【特許文献1】特開平10−125648号公報
【特許文献2】特開2003−273054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載の基板処理装置によって連続吐出処理を行う場合、基板の上面を均一に処理できない場合がある。具体的には、たとえば表面が疎水性の大型基板(たとえば、直径が300mmや450mmの円形基板)を処理する場合である。このような基板の連続吐出処理では、処理液の着液点である基板の上面中央部やその近傍には処理液が十分に供給されるものの、着液点から離れた位置(基板の上面周縁部)では、処理液がはじかれて十分に処理液が供給されない場合がある。したがって、基板の上面を均一に処理できない場合がある。
【0006】
一方、特許文献2に記載の基板処理装置であれば、基板上に処理液の液膜を形成することができるので、表面が疎水性の大型基板であっても、その上面全域に処理液を供給して、当該基板の上面を均一に処理できると考えられる。しかしながら、このような基板処理装置による基板の処理では、枠の内側と枠の直下とで基板に対する処理液の供給状態が異なるので、基板の処理が不均一になるおそれがある。また、枠の内側に処理液を溜めて処理液の液膜を形成するので、図15に示すように、液膜上を漂うパーティクルなどの異物が枠の内周面に沿って滞留する場合がある。したがって、この異物が基板に付着して基板が汚染されるおそれがある。
【0007】
この発明は、かかる背景のもとでなされたものであり、基板を均一に処理することができる基板処理装置および基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板(W)を水平に保持する基板保持手段(3)と、前記基板保持手段に保持された基板の上面に処理液を供給する処理液供給手段(4)と、前記基板保持手段に保持された基板の周囲に間隔をあけて取り囲み、当該基板の上面周縁部から外方に排出される処理液に抵抗を与えるリング(6,106,206,306,406)とを含む、基板処理装置(1)である。
【0009】
なお、この項において、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すものとする。
この発明によれば、基板の上面周縁部から外方に排出される処理液に抵抗を与えるためのリングが、基板保持手段に保持された基板の周囲に配置されている。したがって、処理液供給手段から基板保持手段に保持された基板の上面に処理液を供給することにより、供給された処理液にリングからの抵抗を与えて、その一部を基板上に溜めることができる。これにより、基板上に処理液の液膜を形成して、基板の上面全域に確実に処理液を供給することができる。したがって、たとえば表面が疎水性で大型の基板を処理する場合でも、基板の上面を均一に処理することができる。
【0010】
また、リングが基板の周囲に配置されているので、リングが基板上に配置されているときよりも、基板の上面に対する処理液の供給状態を均一にすることができる。さらに、リングと基板との間に間隔が設けられているので、基板上から排出された処理液を、基板とリングとの間に入り込ませて、基板の周端面に処理液を供給することができる。これにより、基板の上面だけでなく、基板の周端面にも処理液による処理を施すことができる。さらに、リングの高さを適切に設定することにより、基板上から排出された処理液をリング上に沿って流すことができる。これにより、パーティクルなどの異物が処理液の液膜上を漂っている場合でも、このような異物をリング上に移動する処理液とともに基板上から排出することができる。したがって、リングの内周面に沿ってパーティクルなどの異物が滞留することを抑制または防止することができる。これにより、異物によって基板が汚染されることを抑制または防止することができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、前記リングは、その全周にわたって上端(6a,206e,306e)の高さが前記基板保持手段に保持された基板よりも高くなるように配置されたものである、請求項1記載の基板処理装置である。
この発明によれば、基板の上面周縁部から外方に排出された処理液をリングに衝突させて、基板の上面周縁部から外方に排出される処理液に抵抗を与えることができる。これにより、リングの内側に処理液を溜めて、基板上に処理液の液膜を形成することができる。また、リングの内側に処理液を溜めて処理液の液膜を形成するので、リングの高さを変えることにより、基板上に形成される処理液の膜厚を変化させることができる。
【0012】
請求項3記載の発明は、前記リングは、処理液に対する撥液性が基板よりも高くされた接液面(6a)を有するものである、請求項1または2記載の基板処理装置である。
この発明によれば、基板から排出される処理液に接液する接液面がリングに設けられており、この接液面の処理液に対する撥液性が基板よりも高くされている。したがって、基板上から接液面に移動する処理液に、接液面の撥液性による抵抗を与えることができる。これにより、基板上に処理液を溜めて、処理液の液膜を形成することができる。また、撥液性による抵抗を基板から排出される処理液に与えることができるので、リングの上端を基板保持手段に保持された基板より高くしなくても基板上に処理液の液膜を形成することができる。
【0013】
請求項4記載の発明は、前記リングを上下方向に昇降させる昇降手段(18)をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この発明によれば、昇降手段によってリングを上下方向に昇降させてリングの高さを変えることができる。これにより、基板の周囲だけでなく、基板の上方や下方にもリングを配置することができる。また、リングの高さを変化させることにより、基板上に形成される処理液の膜厚を複数設定することができる。
【0014】
請求項5記載の発明は、前記基板保持手段に保持された基板を回転させて、当該基板を乾燥させる乾燥手段(9)と、前記昇降手段および乾燥手段を制御して、前記基板保持手段に保持された基板よりも前記リングを下方に位置させた状態で当該基板を乾燥させる乾燥制御手段(10)とをさらに含む、請求項4記載の基板処理装置である。
この発明によれば、乾燥制御手段によって前記昇降手段および乾燥手段を制御することにより、基板保持手段に保持された基板よりもリングを下方に位置させた状態で当該基板を回転させることができる。したがって、基板から排出された処理液がリングに当たって基板側に跳ね返る、リングからの処理液の跳ね返りや、基板からの処理液の排出性の低下を抑制または防止することができる。これにより、基板から処理液を円滑に排出させて当該基板を速やかに乾燥させることができる。
【0015】
請求項6記載の発明は、前記昇降手段を制御して、前記処理液供給手段から基板に供給される処理液に応じて前記リングの高さを調整する高さ制御手段(10)をさらに含む、請求項4または5記載の基板処理装置である。
この発明によれば、高さ制御手段によって前記昇降手段を制御することにより、前記処理液供給手段から基板に供給される処理液に応じてリングの高さを調整することができる。これにより、処理液の種類や処理液の粘性などに応じて、基板上に形成される処理液の膜厚を調整することができる。
【0016】
請求項7記載の発明は、水平に保持された基板の上面に処理液を供給する工程と、水平に保持された基板の周囲をリングによって間隔をあけて取り囲み、当該リングによって当該基板の上面周縁部から外方に排出される処理液に抵抗を与える工程とを含む、基板処理方法である。
この発明によれば、請求項1の発明に関して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置1の概略構成を示す模式的な側面図である。また、図2は、基板処理装置1の概略構成を示す模式的な平面図である。この基板処理装置1は、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板Wは、この実施形態では、半導体ウエハのような円形基板である。
【0018】
基板処理装置1は、隔壁で区画された処理室2内に、基板Wを水平に保持して回転させるスピンチャック3(基板保持手段)と、スピンチャック3に保持された基板Wの上面に処理液を供給する処理液ノズル4(処理液供給手段)とを備えている。スピンチャック3の周囲には、基板Wから排出される処理液を受け止めて捕獲するためのカップ5と、基板Wから排出される処理液に抵抗を与えるためのリング6とが配置されている。
【0019】
スピンチャック3は、鉛直な方向に延びるスピン軸7と、このスピン軸7の上端に取り付けられて、基板Wを水平な姿勢でその下面(裏面)を吸着して保持する吸着ベース8と、スピン軸7と同軸に結合された回転軸を有するスピンモータ9(乾燥手段)とを備えている。吸着ベース8に基板Wを吸着保持させた状態でスピンモータ9を駆動させることにより、基板Wの中心を通る鉛直な軸線まわりに基板Wを回転させることができる。スピンモータ9は、制御部10(乾燥制御手段)によって制御されるようになっている。
【0020】
処理液ノズル4は、その吐出口が下方に向けられた状態で、スピンチャック3よりも上方に配置されている。処理液ノズル4には、薬液バルブ11が介装された薬液供給管12と、リンス液バルブ13が介装されたリンス液供給管14が接続されている。処理液ノズル4には、薬液およびリンス液が選択的に供給される。処理液ノズル4は、薬液およびリンス液をそれぞれスピンチャック3に保持された基板Wの上面中央部に向けて吐出することができる。処理液ノズル4としては、たとえば、基板W上での処理液の着液位置が固定された、いわゆる固定ノズルの形態が採用されている。
【0021】
スピンチャック3によって基板Wを回転させつつ、処理液ノズル4から薬液を吐出させると、吐出された薬液が基板Wの上面中央部に着液し、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの周縁に向かって瞬時に広がっていく。これにより、基板Wの上面に薬液が供給され、基板Wの上面に薬液処理が施される。同様に、スピンチャック3によって基板Wを回転させつつ、処理液ノズル4からリンス液を吐出させると、基板Wの上面にリンス液が供給され、基板Wに付着している処理液やパーティクルなどの異物が洗い流される。これにより、基板Wの上面にリンス処理が施される。
【0022】
カップ5は、上端が開放された有底筒状であり、筒状の外壁15および内壁16と、底部17とを有している。外壁15は、吸着ベース8を取り囲んでおり、基板Wの周囲に排出された処理液は、カップ5によって受け止められる。これにより、スピンチャック3に保持された基板Wから排出される処理液をカップ5によって受け止めて捕獲することができる。
【0023】
リング6は、平面視円環状をなす板状の部材である。リング6は、縦断面(鉛直面に沿う断面)が矩形にされている。リング6は、水平方向に沿う平坦な上面6a(接液面)および下面6bと、鉛直方向に沿う円筒状の内周面6cおよび外周面6dとを有している。リング6の内径は、スピンチャック3に保持される基板Wの外径よりも大きくされている。リング6は、外壁15の内側に配置されており、外壁15の内側に配置されたシリンダ18(昇降手段)によって下方から支持されている。リング6は、スピンチャック3に保持された基板Wと同軸になるように水平姿勢で支持されている。リング6は、撥水性(処理液に対する撥液性)が基板Wと同等以下の材料で形成されていてもよいし、撥水性が基板Wよりも高い材料(たとえば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン))によって形成されていてもよい。撥水性が基板Wよりも高い材料によってリング6が形成されている場合には、リング6の全ての外表面の撥水性が基板Wよりも高くなる。
【0024】
シリンダ18は、本体部18aと、本体部18aに対して進退するロッド18bとを有している。シリンダ18は、ロッド18bが鉛直姿勢となるように保持されている。シリンダ18は、ロッド18bを2つの位置(上死点および下死点)の間で移動させることができる。この実施形態では、前記2つの位置でロッド18bを停止させることができ、中間位置でロッド18bを停止させることができないものがシリンダ18として用いられている。シリンダ18は、たとえば処理液に対する耐性を有する材料(たとえば合成樹脂)によって形成されている。したがって、カップ5内に進入した処理液がシリンダ18に付着しても、シリンダ18が腐食等することが抑制または防止されている。シリンダ18は、制御部10によって制御される。
【0025】
制御部10はシリンダ18を制御して、リング6がスピンチャック3に保持された基板Wの周囲に位置する上位置(図1において二点鎖線で示すリング6の位置)と、スピンチャック3に保持された基板Wよりも下方に位置する下位置(図1において実線で示すリング6の位置)との間で、リング6を鉛直方向に昇降させることができる。撥水性が基板Wと同等以下の材料でリング6が形成されている場合には、上位置は、リング6の上面6aがスピンチャック3に保持された基板Wよりも僅かに高くなる位置(たとえば3mm以下の範囲でリング6の上面6aが基板Wよりも高くなる位置)に設定される。
【0026】
スピンチャック3に基板Wが保持された状態でリング6を上位置に移動させると、当該基板Wの周囲がリング6によって取り囲まれる。また、リング6と基板Wとが同軸になるように配置されているので、図2に示すように、リング6と基板Wとの間には、全周にわたって一定間隔の隙間が形成される。リング6の内径は、リング6と基板Wとの間の隙間の大きさがたとえば0.3mmから2mm程度になるよう設定されている。したがって、スピンチャック3に基板Wが保持された状態でリング6を上位置に移動させると、リング6の内周面6cが基板Wの周端面に近接する。
【0027】
図3および図4は、それぞれ、撥水性が基板Wと同等以下の材料で形成されているリング6を上位置に位置させて回転状態の基板Wに処理液を供給したときの状態図である。
前述のように、スピンチャック3によって基板Wを回転させつつ、処理液ノズル4から処理液を吐出させると、基板Wの上面中央部から上面周縁部に向かって処理液が移動する。そして、基板Wの上面周縁部に達した処理液は基板Wの外方に排出される。このとき、リング6を上位置に位置させていると、リング6の上面6aが基板Wよりも高くなっているので、図3に示すように、基板Wから排出された処理液の一部がリング6の内周面6cに衝突して処理液の進行が妨げられる。したがって、基板Wから排出された処理液は、図4に示すように、2つの流れに分断されて、その一部がリング6の上面6aに沿って外方に流れ、残りがリング6と基板Wとの間に入り込んで流下していく。
【0028】
基板Wに供給された処理液は、処理液とリング6との衝突による抵抗を受けて、その一部がリング6の内側に溜まっていく。これにより、基板Wの上面全域を覆う処理液の液膜が基板W上に形成される。したがって、たとえば処理液の供給当初において基板W上に処理液がはじかれた部分がある場合でも、この部分に処理液を確実に供給することができる。そのため、表面が疎水性で直径の大きな基板Wを処理する場合でも、当該基板Wの上面全域に処理液を確実に供給することができる。これにより、基板Wの上面を均一に処理することができる。また、リング6と基板Wとの間に処理液を入り込ませて、基板Wの周端面に処理液を供給することができるので、基板Wの上面だけでなく、基板Wの周端面にも処理液による処理を施すことができる。
【0029】
さらにまた、この実施形態では、リング6と基板Wとの間の隙間の大きさが全周にわたって均一にされているので、基板Wの上面周縁部における処理液の流れが全周にわたって均一になっている。これにより、基板Wの上面周縁部に対する処理液の供給状態を均一にし、基板Wの上面に対する処理の均一性を向上させることができる。さらに、処理液の液膜は、リング6の内側に処理液が溜められて形成されるので、上位置の高さ設定を変更することにより、処理液の膜厚を変化させることができる。これにより、処理液の膜厚を複数設定することができる。
【0030】
図5〜図7は、それぞれ、撥水性が基板Wよりも高い材料で形成されているリング6を上位置に位置させて回転状態の基板Wに処理液を供給したときの状態図である。
撥水性が基板Wよりも高い材料でリング6が形成されている場合、上位置は、リング6の上面6aがスピンチャック3に保持された基板Wよりも高くなる位置に設定されていなくてもよい。具体的には、たとえば、リング6の上面6aがスピンチャック3に保持された基板Wよりも低くなる位置に上位置が設定されていてもよい。
【0031】
この場合、図5に示すように、基板Wの上面周縁部に達した処理液は、接液面としてリング6の上面6a、およびリング6と基板Wとの間を通って基板Wから排出される。このときリング6上に移動する処理液は、リング6の撥水性によりはじかれて抵抗を受ける。したがって、基板Wに供給された処理液は、リング6の撥水性による抵抗によって、その一部が基板W上に溜まっていく。これにより、基板Wの上面全域を覆う処理液の液膜が基板W上に形成される。
【0032】
このように、撥水性が基板Wよりも高い材料でリング6が形成されていれば、リング6の上面6aがスピンチャック3に保持された基板Wよりも低くなる位置に上位置が設定されている場合であっても、基板W上に処理液の液膜を形成することができる。同様に、図6に示すように、リング6の上面6aとスピンチャック3に保持された基板Wの上面の高さが等しくなる位置に上位置が設定されている場合でも、基板W上に処理液の液膜を形成することができる。
【0033】
また、図7に示すように、リング6の上面6aがスピンチャック3に保持された基板Wよりも高くなる位置に上位置が設定されている場合には、撥水性が基板Wと同等以下の材料でリング6が形成されている場合と同様に、リング6の内側に処理液を溜めて、基板W上に処理液の液膜を形成することができる。さらにこの場合には、リング6上に移動する処理液がリング6の撥水性による抵抗を受けるので、撥水性が基板Wと同等以下の材料でリング6が形成されている場合に比べて、より大きな抵抗を基板W上から排出される処理液に与えることができる。これにより、基板W上に処理液を確実に溜めることができる。
【0034】
図8は、基板処理装置1による基板Wの処理の一例を説明するための工程図である。以下では、図1および図8を参照して、基板Wの処理の一例について説明する。
未処理の基板Wは、図示しない搬送ロボットによって処理室2に搬入され、デバイス形成面である表面を上に向けてスピンチャック3に渡される(ステップS1)。このとき、リング6は下位置に配置されており、搬送ロボットや基板Wがリング6に衝突しないようにされている。
【0035】
次に、薬液によって基板Wを処理する薬液処理が行われる。具体的には、制御部10によりシリンダ18が制御されてリング6が上位置に配置される(ステップS2)。そして、制御部10によりスピンモータ9が制御されて、スピンチャック3に保持された基板Wが所定の回転速度で回転させられる(ステップS3)。その後、制御部10により薬液バルブ11が開かれて、処理液ノズル4から基板Wの上面に向けて薬液が吐出される(ステップS4)。
【0036】
処理液ノズル4から吐出された薬液は、基板Wの上面中央部に着液し、基板Wの回転による遠心力を受けて基板W上を外方に広がっていく。そして、基板Wの上面周縁部に達した薬液は、リング6の上面6a、またはリング6と基板Wとの間を通って排出される(図4参照)。このとき基板Wの上面に供給された薬液の一部は、リング6からの抵抗を受けて基板W上に溜まっていく。これにより、基板Wの上面全域を覆う薬液の液膜が基板W上に形成され、基板Wの上面全域に薬液が供給される。また、リング6と基板Wとの間に入り込んだ薬液が基板Wの周端面に供給される。これにより、基板Wの上面全域および周端面に薬液処理が施される。
【0037】
薬液処理において、基板Wを洗浄するための洗浄液が薬液として用いられている場合には、基板W上に形成される洗浄液の膜厚が薄くなるように、リング6の上位置を低く設定してもよい。このようにリング6の上位置を設定すれば、基板W上に溜まる洗浄液の量が少なくなるので、基板W上の洗浄液を後続の洗浄液によって即座に置換することができる。これにより、基板W上で異物が滞留することを抑制または防止して、当該異物を即座に洗い流すことができる。
【0038】
また、薬液処理において、基板Wをエッチングするためのエッチング液が薬液として用いられている場合には、基板W上に形成されるエッチング液の膜厚が厚くなるように、リング6の上位置を高く設定してもよい。このようにリング6の上位置を設定すれば、基板W上に多くのエッチング液を溜めて、基板Wの上面に対するエッチング処理を確実に進行させることができる。
【0039】
次に、リンス液としての純水(脱イオン水)によって基板Wを洗い流すリンス処理が行われる。具体的には、制御部10により薬液バルブ11が閉じられた後、リンス液バルブ13が開かれて、リング6を上位置に位置させたまま、回転状態の基板Wの上面に向けて処理液ノズル4から純水が吐出される(ステップS5)。
処理液ノズル4から吐出された純水は、前述のように、基板Wの上面全域および周端面に供給され、リング6の上面6a、またはリング6と基板Wとの間を通って基板W上から排出される。これにより、基板W上の薬液や基板Wの周端面に付着している薬液が純水によって洗い流され、基板Wから除去される(基板Wのリンス処理)。また、基板W上に保持された薬液の液膜が純水の液膜に置換される。さらに、基板Wから排出された純水がリング6の上面6aおよび内周面6cに供給されるので、リング6に付着している薬液も純水によって洗い流され、リング6から除去される(リング6のリンス処理)。
【0040】
次に、基板Wを乾燥させる乾燥処理(スピンドライ)が行われる。具体的には、制御部10によりシリンダ18が制御されてリング6が下位置に配置される(ステップS6)。そして、制御部10によりスピンモータ9が制御されて、基板Wが高回転速度(たとえば数千rpm)で回転させられる(ステップS7)。これにより、基板W上の純水や基板Wの周端面に付着している純水に大きな遠心力が作用し、当該純水が基板Wの周囲に振り切られる。このときリング6が基板Wよりも下方に配置されているので、リング6からの純水の跳ね返りや、基板Wからの純水の排出性の低下が抑制または防止されている。これにより、基板Wから純水を円滑に排出させて当該基板Wを速やかに乾燥させることができる。
【0041】
基板Wの高速回転が所定時間にわたって続けられた後は、スピンモータ9の回転が停止され、スピンチャック3による基板Wの回転が停止される(ステップS8)。その後、リング6が基板Wよりも下方に配置された状態で、処理済みの基板Wが搬送ロボットによって処理室2から搬出される(ステップS9)。
以上のように本実施形態では、リング6を基板Wの周囲に配置することにより、基板Wの上面周縁部から外方に排出される処理液に抵抗を与えることができる。これにより、処理液ノズル4から基板Wに供給された処理液の一部を基板W上に溜めて、当該基板Wの上面全域を覆う処理液の液膜を基板W上に形成することができる。したがって、たとえば表面が疎水性で大型の基板Wを処理する場合でも、当該基板Wの上面全域に確実に処理液を供給することができる。これにより、基板Wの上面を均一に処理することができる。また、リング6が基板Wの周囲に配置されているので、リング6が基板W上に配置されているときよりも、基板Wの上面に対する処理液の供給状態を均一にすることができる。さらに、リング6の上位置を適切な位置に設定することにより、基板W上から排出された処理液をリング6の上面6aに沿って流すことができる。したがって、パーティクルなどの異物が処理液の液膜上を漂っている場合でも、このような異物をリング6上に移動する処理液とともに基板W上から排出することができる。これにより、リング6の内周面6cに沿って異物が滞留することを抑制または防止することができる。したがって、異物が基板Wに付着して当該基板Wが汚染されることを抑制または防止することができる。
【0042】
以下では、図9〜図13を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。この図9〜図13において、前述の図1〜図8に示された各部と同等の構成部分については、図1〜図8と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
前述の実施形態では、縦断面が矩形で平面視円環状をなす平板状の部材がリング6として用いられている場合について説明したが、リング6の形状はこれに限らない。具体的には、たとえば、図9〜図13に示すような形状のリング106,206,306,406を用いてもよい。
【0043】
図9に示すリング106は、平面視円環状をなす板状の部材であり、リング106の内周面106cの上端部分が全周にわたって基板Wの周端面に沿う形状にされている。具体的には、図9に示すように、基板Wの周端面の縦断面が、たとえば全周にわたって外方に凸となる湾曲状である場合には、リング106の内周面106cの上端部分の縦断面が全周にわたって外方に凸となる湾曲状にされている。また、リング106は、鉛直方向に昇降されるようになっており、リング106の最内径(図9では、リング106の上端の内径)は、基板Wの最外径よりも大きくされている。したがって、基板Wの上方と下方との間でリング106を昇降させたときにリング106が基板Wに衝突しないようになっている。また、リング106を昇降させることにより、その上面6aの位置を基板Wよりも高くすることができる。
【0044】
この実施形態では、リング106の内周面106cが鉛直方向に対して傾斜する面になっているので、基板Wの周囲においてリング106を昇降させることにより、リング106と基板Wとの間の隙間の大きさを変化させることができる(図9における隙間G1および隙間G2参照)。したがって、基板W上から処理液を排出させるときに、リング106と基板Wとの間の隙間の大きさを変化させれば、リング106上を流れる処理液(図9における矢印A1参照)の流量と、リング106と基板Wとの間を流れる処理液(図9における矢印A2参照)の流量との割合を変化させることができる。これにより、リング106上を流れる処理液の流量と、リング106と基板Wとの間を流れる処理液の流量との割合を調整することができる。したがって、たとえば、基板Wの周端面に供給される処理液の流量を制御することができる。
【0045】
図10に示すリング206は、平面視円環状をなす板状の部材であり、その上面206aが外方に向かって上方に傾斜する傾斜面にされている。リング206は、上面206aと、水平方向に沿う平坦な下面206bと、鉛直方向に沿う円筒状の内周面206cおよび外周面206dとを有している。リング206は、鉛直方向に昇降されるようになっており、これによって、リング206の上端206eの位置(図10では、リング206の上面206aの最外周部)を全周にわたって基板Wよりも高くすることができる。
【0046】
この実施形態では、リング206の上面206aが外方に向かって上方に傾斜する傾斜面にされているので、リング206の上端206eを基板Wよりも上方に位置させた状態で、回転状態の基板Wの上面に処理液を供給したときに、基板W上からリング206の上面206aに移動した処理液に、基板W側に向かう力(重力の分力)を作用させることができる。したがって、基板Wの上面周縁部から外方に排出される処理液に、リング206との衝突による抵抗だけでなく、この基板W側に向かう力による抵抗を与えることができる。これにより、基板W上に処理液を確実に溜めることができる。
【0047】
図11に示すリング306は、平面視円環状をなす板状の部材であり、その縦断面が上方に凸となる三角形にされている。リング306は、水平方向に沿う平坦な底面306bと、鉛直方向に対して傾斜する筒状の内周面306cおよび外周面306dとを有している。リング306は、鉛直方向に昇降されるようになっており、リング306の最内径(図11では、リング306の下端の内径)は、基板Wの最外径よりも大きくされている。したがって、基板Wの上方と下方との間でリング306を昇降させたときにリング306が基板Wに衝突しないようになっている。また、リング306を昇降させることにより、その上端306eの位置を全周にわたって基板Wよりも高くすることができる。
【0048】
この実施形態では、リング306の内周面306cが外方に向かって上方に傾斜する傾斜面にされているので、図10に示すリング206と同様に、基板Wの上面周縁部から外方に排出される処理液に、リング306との衝突による抵抗だけでなく、基板W側に向かう力(重力の分力)による抵抗を与えることができる。さらに、図9に示すリング106と同様に、基板Wの周囲においてリング306を昇降させることにより、リング306と基板Wとの間の隙間の大きさを変化させることができる。これにより、リング306上を流れる処理液の流量と、リング306と基板Wとの間を流れる処理液の流量との割合を調整することができる。
【0049】
図12および図13に示すリング406は、平面視円環状をなす板状の部材である。リング406の縦断面は矩形にされており、その上面6aには溝19が形成されている。溝19は、図13に示すように、たとえば平面視らせん状に形成されている。また、リング406は、鉛直方向に昇降されるようになっている。これにより、リング406の上面6aを基板Wよりも高くすることができる。
【0050】
この実施形態では、リング406の上面6aに形成された溝19によって、基板Wから排出されリング406上を流れる処理液に抵抗を与えることができる。また、溝19の本数や形状等を変化させることにより、処理液に与えられる抵抗の大きさを調整することができる。
この発明の実施の形態の説明は以上であるが、この発明は、前述の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。たとえば、前述の実施形態では、スピンチャック3として基板Wの下面(裏面)を吸着保持する、いわゆるバキュームチャックが用いられている場合について説明したが、スピンチャック3は、バキュームチャックに限らずその他の形式のチャックであってもよい。
【0051】
また、前述の実施形態では、いわゆる固定ノズルが処理液ノズル4として用いられている場合について説明したが、基板W上での処理液の着液位置を基板Wの回転中心と周縁との間で移動させることができる、いわゆるスキャンノズルを処理液ノズル4として用いてもよい。また、前述の実施形態では、処理液ノズル4から薬液およびリンス液が選択的に吐出される場合について説明したが、薬液およびリンス液にそれぞれ対応する2つのノズルを設けてもよい。
【0052】
また、前述の実施形態では、シリンダ18が処理液に対する耐性を有する材料によって形成されている場合について説明したが、シリンダ18は、これ以外の材料(たとえば金属)によって形成されていてもよい。この場合、図14に示すように、シリンダ18の本体部18aをカップ5の外に配置し、ロッド18bをカップ5の内部に配置してもよい。そして、処理液に対する耐性を有する材料(たとえば合成樹脂)によって形成されたベローズ20をロッド18bの周囲に配置して、ロッド18bを処理液から保護してもよい。
【0053】
また、前述の基板Wの処理の一例では、洗浄液による洗浄処理とエッチング液によるエッチング処理とでリング6の上位置の高さ設定を変更する場合について説明したが、リング6の上位置の高さ設定は、処理液の種類だけでなく、処理液の粘性や、基板表面の濡れ性などに応じて変更されてもよい。
すなわち、前述の基板Wの処理の一例のように、基板W上に処理液の液膜を形成して基板Wを処理する場合、粘性の高い処理液を用いれば、リング6の上位置が低く設定されていても比較的厚い処理液の液膜を基板W上に形成することができる。一方、処理液の粘性が低い場合には、リング6の上位置を高く設定しないと厚い処理液の液膜を形成することができない。したがって、所定の膜厚の処理液の液膜を基板W上に形成して当該基板Wを処理するときに、粘性の高い処理液を用いる場合にはリング6の上位置を低く設定し、粘性の低い処理液を用いる場合にはリング6の上位置を高く設定してもよい。
【0054】
同様に、基板表面の濡れ性が高い場合、すなわち、基板表面が疎水性の場合には、リング6の上位置が低く設定されていても比較的厚い処理液の液膜を基板W上に形成することができる。一方、基板表面の濡れ性が低い場合には、リング6の上位置を高く設定しないと厚い処理液の液膜を形成することができない。したがって、所定の膜厚の処理液の液膜を基板W上に形成して当該基板Wを処理するときに、濡れ性の高い基板Wを処理する場合にはリング6の上位置を低く設定し、濡れ性の低い基板Wを処理する場合にはリング6の上位置を高く設定してもよい。
【0055】
また、前述の実施形態では、シリンダ18として、ロッド18bを中間位置で停止させることができないものが用いられている場合について説明したが、シリンダ18として、ロッド18bを中間位置で停止させることができるものを用いてもよい。そして、高さ制御手段としての制御部10によってシリンダ18を制御して、リング6の高さを適宜調整してもよい。たとえば、リング6の上位置の高さを調整することにより、基板W上に形成される処理液の膜厚を調整してもよい。また、処理液の種類、処理液の粘性、基板表面の濡れ性などに応じてリング6の上位置の高さを適宜調整してもよい。さらに、リング6の高さを調整する場合に、リング6の高さを精密に制御したい場合には、シリンダ18に代えて、ボールねじ機構などの他の昇降手段を用いてもよい。
【0056】
また、前述の基板Wの処理の一例では、回転状態の基板Wに処理液を連続供給して基板W上で処理液を流通させながら当該基板Wを処理する場合について説明したが、これに限らない。たとえば、停止状態または低速回転状態(たとえば10〜30rpm程度の回転速度で回転されている状態)の基板W上に処理液の液膜を保持させて、基板W上で殆ど処理液を流通させずに当該基板Wを処理するパドル処理(液盛り処理)を行ってもよい。
【0057】
具体的には、前述の基板Wの処理の一例において、薬液処理とリンス処理との間(ステップS4とステップS5との間)に薬液によるパドル処理を行ってもよいし、リンス処理と乾燥処理との間(ステップS5とステップS6との間)にリンス液によるパドル処理を行ってもよい。また、リンス処理に代えて、リンス液によるパドル処理を行ってもよい。
パドル処理を行うときに、リング6は上位置(基板Wの周囲)に配置されていてもよいし、上位置に配置されていなくてもよい。パドル処理を行うときに、リング6を上位置に配置することにより、基板Wからこぼれ落ちる処理液に抵抗を与えて、こぼれ落ちる処理液の量を低減することができる。
【0058】
また、前述の実施形態では、基板Wが、円形基板である場合について説明したが、基板Wとしては、円形基板に限らず、たとえば長方形基板などの多角形基板であってもよい。またこの場合、リング6は、平面視円形でなく、基板Wの輪郭形状に沿う多角形にされていてもよい。
また、前述の実施形態では、処理対象となる基板Wとして半導体ウエハを取り上げたが、半導体ウエハに限らず、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などの他の種類の基板が処理対象とされてもよい。
【0059】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す模式的な側面図である。
【図2】基板処理装置の概略構成を示す模式的な平面図である。
【図3】撥水性が基板と同等以下の材料で形成されているリングを上位置に位置させて回転状態の基板に処理液を供給したときの状態図である。
【図4】撥水性が基板と同等以下の材料で形成されているリングを上位置に位置させて回転状態の基板に処理液を供給したときの状態図である。
【図5】撥水性が基板よりも高い材料で形成されているリングを上位置に位置させて回転状態の基板に処理液を供給したときの状態図である。
【図6】撥水性が基板よりも高い材料で形成されているリングを上位置に位置させて回転状態の基板に処理液を供給したときの状態図である。
【図7】撥水性が基板よりも高い材料で形成されているリングを上位置に位置させて回転状態の基板に処理液を供給したときの状態図である。
【図8】基板処理装置による基板の処理の一例を説明するための工程図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係るリングの図解的な断面図である。
【図10】本発明のさらに他の実施形態に係るリングの図解的な断面図である。
【図11】本発明のさらに他の実施形態に係るリングの図解的な断面図である。
【図12】本発明のさらに他の実施形態に係るリングの図解的な断面図である。
【図13】本発明のさらに他の実施形態に係るリングの図解的な平面図である。
【図14】本発明のさらに他の実施形態に係るシリンダの図解的な側面図である。
【図15】従来の基板処理装置の一部を示す図解的な側面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 基板処理装置
3 スピンチャック
4 処理液ノズル
6 リング
6a 上面
9 スピンモータ
10 制御部
18 シリンダ
106 リング
206e 上端
306 リング
306e 上端
406 リング
W 基板
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を処理する基板処理装置および基板処理方法に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置などの製造工程では、半導体ウエハや液晶表示装置用ガラス基板などの基板を処理するための基板処理装置が用いられる。基板を1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置には、基板を水平に保持して回転させるスピンチャックと、スピンチャックに保持された基板の上面に処理液を供給する処理液ノズルとを備えるものがある(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
この基板処理装置による基板の処理では、たとえば、スピンチャックによって基板を回転させつつ、当該基板の上面中央部に向けて処理液ノズルから処理液が連続吐出される。処理液ノズルから吐出された処理液は、基板の上面中央部に着液し、基板の回転による遠心力を受けて、基板の上面周縁部に向かって瞬時に広がっていく。これにより、基板の上面に処理液が供給され、処理液による処理が基板の上面に行われる(連続吐出処理)。
【0004】
また、他の構成の基板処理装置としては、水平に保持された基板の上面に処理液を供給する処理液ノズルと、基板の上方に近接配置され、平面視において基板の上面周縁部を覆う枠とを備えるものがある(たとえば、特許文献2参照)。この基板処理装置による基板の処理では、たとえば、枠の内側に向けて処理液ノズルから処理液が吐出される。処理液ノズルから吐出された処理液は、枠の内側に溜まり、処理液の液膜を形成する。また、枠の内側に供給された処理液の一部は、基板の上面周縁部と枠の下面との間に入り込む。このようにして、基板の上面に処理液が供給され、処理液による処理が基板の上面に行われる。
【特許文献1】特開平10−125648号公報
【特許文献2】特開2003−273054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載の基板処理装置によって連続吐出処理を行う場合、基板の上面を均一に処理できない場合がある。具体的には、たとえば表面が疎水性の大型基板(たとえば、直径が300mmや450mmの円形基板)を処理する場合である。このような基板の連続吐出処理では、処理液の着液点である基板の上面中央部やその近傍には処理液が十分に供給されるものの、着液点から離れた位置(基板の上面周縁部)では、処理液がはじかれて十分に処理液が供給されない場合がある。したがって、基板の上面を均一に処理できない場合がある。
【0006】
一方、特許文献2に記載の基板処理装置であれば、基板上に処理液の液膜を形成することができるので、表面が疎水性の大型基板であっても、その上面全域に処理液を供給して、当該基板の上面を均一に処理できると考えられる。しかしながら、このような基板処理装置による基板の処理では、枠の内側と枠の直下とで基板に対する処理液の供給状態が異なるので、基板の処理が不均一になるおそれがある。また、枠の内側に処理液を溜めて処理液の液膜を形成するので、図15に示すように、液膜上を漂うパーティクルなどの異物が枠の内周面に沿って滞留する場合がある。したがって、この異物が基板に付着して基板が汚染されるおそれがある。
【0007】
この発明は、かかる背景のもとでなされたものであり、基板を均一に処理することができる基板処理装置および基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板(W)を水平に保持する基板保持手段(3)と、前記基板保持手段に保持された基板の上面に処理液を供給する処理液供給手段(4)と、前記基板保持手段に保持された基板の周囲に間隔をあけて取り囲み、当該基板の上面周縁部から外方に排出される処理液に抵抗を与えるリング(6,106,206,306,406)とを含む、基板処理装置(1)である。
【0009】
なお、この項において、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すものとする。
この発明によれば、基板の上面周縁部から外方に排出される処理液に抵抗を与えるためのリングが、基板保持手段に保持された基板の周囲に配置されている。したがって、処理液供給手段から基板保持手段に保持された基板の上面に処理液を供給することにより、供給された処理液にリングからの抵抗を与えて、その一部を基板上に溜めることができる。これにより、基板上に処理液の液膜を形成して、基板の上面全域に確実に処理液を供給することができる。したがって、たとえば表面が疎水性で大型の基板を処理する場合でも、基板の上面を均一に処理することができる。
【0010】
また、リングが基板の周囲に配置されているので、リングが基板上に配置されているときよりも、基板の上面に対する処理液の供給状態を均一にすることができる。さらに、リングと基板との間に間隔が設けられているので、基板上から排出された処理液を、基板とリングとの間に入り込ませて、基板の周端面に処理液を供給することができる。これにより、基板の上面だけでなく、基板の周端面にも処理液による処理を施すことができる。さらに、リングの高さを適切に設定することにより、基板上から排出された処理液をリング上に沿って流すことができる。これにより、パーティクルなどの異物が処理液の液膜上を漂っている場合でも、このような異物をリング上に移動する処理液とともに基板上から排出することができる。したがって、リングの内周面に沿ってパーティクルなどの異物が滞留することを抑制または防止することができる。これにより、異物によって基板が汚染されることを抑制または防止することができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、前記リングは、その全周にわたって上端(6a,206e,306e)の高さが前記基板保持手段に保持された基板よりも高くなるように配置されたものである、請求項1記載の基板処理装置である。
この発明によれば、基板の上面周縁部から外方に排出された処理液をリングに衝突させて、基板の上面周縁部から外方に排出される処理液に抵抗を与えることができる。これにより、リングの内側に処理液を溜めて、基板上に処理液の液膜を形成することができる。また、リングの内側に処理液を溜めて処理液の液膜を形成するので、リングの高さを変えることにより、基板上に形成される処理液の膜厚を変化させることができる。
【0012】
請求項3記載の発明は、前記リングは、処理液に対する撥液性が基板よりも高くされた接液面(6a)を有するものである、請求項1または2記載の基板処理装置である。
この発明によれば、基板から排出される処理液に接液する接液面がリングに設けられており、この接液面の処理液に対する撥液性が基板よりも高くされている。したがって、基板上から接液面に移動する処理液に、接液面の撥液性による抵抗を与えることができる。これにより、基板上に処理液を溜めて、処理液の液膜を形成することができる。また、撥液性による抵抗を基板から排出される処理液に与えることができるので、リングの上端を基板保持手段に保持された基板より高くしなくても基板上に処理液の液膜を形成することができる。
【0013】
請求項4記載の発明は、前記リングを上下方向に昇降させる昇降手段(18)をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この発明によれば、昇降手段によってリングを上下方向に昇降させてリングの高さを変えることができる。これにより、基板の周囲だけでなく、基板の上方や下方にもリングを配置することができる。また、リングの高さを変化させることにより、基板上に形成される処理液の膜厚を複数設定することができる。
【0014】
請求項5記載の発明は、前記基板保持手段に保持された基板を回転させて、当該基板を乾燥させる乾燥手段(9)と、前記昇降手段および乾燥手段を制御して、前記基板保持手段に保持された基板よりも前記リングを下方に位置させた状態で当該基板を乾燥させる乾燥制御手段(10)とをさらに含む、請求項4記載の基板処理装置である。
この発明によれば、乾燥制御手段によって前記昇降手段および乾燥手段を制御することにより、基板保持手段に保持された基板よりもリングを下方に位置させた状態で当該基板を回転させることができる。したがって、基板から排出された処理液がリングに当たって基板側に跳ね返る、リングからの処理液の跳ね返りや、基板からの処理液の排出性の低下を抑制または防止することができる。これにより、基板から処理液を円滑に排出させて当該基板を速やかに乾燥させることができる。
【0015】
請求項6記載の発明は、前記昇降手段を制御して、前記処理液供給手段から基板に供給される処理液に応じて前記リングの高さを調整する高さ制御手段(10)をさらに含む、請求項4または5記載の基板処理装置である。
この発明によれば、高さ制御手段によって前記昇降手段を制御することにより、前記処理液供給手段から基板に供給される処理液に応じてリングの高さを調整することができる。これにより、処理液の種類や処理液の粘性などに応じて、基板上に形成される処理液の膜厚を調整することができる。
【0016】
請求項7記載の発明は、水平に保持された基板の上面に処理液を供給する工程と、水平に保持された基板の周囲をリングによって間隔をあけて取り囲み、当該リングによって当該基板の上面周縁部から外方に排出される処理液に抵抗を与える工程とを含む、基板処理方法である。
この発明によれば、請求項1の発明に関して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置1の概略構成を示す模式的な側面図である。また、図2は、基板処理装置1の概略構成を示す模式的な平面図である。この基板処理装置1は、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板Wは、この実施形態では、半導体ウエハのような円形基板である。
【0018】
基板処理装置1は、隔壁で区画された処理室2内に、基板Wを水平に保持して回転させるスピンチャック3(基板保持手段)と、スピンチャック3に保持された基板Wの上面に処理液を供給する処理液ノズル4(処理液供給手段)とを備えている。スピンチャック3の周囲には、基板Wから排出される処理液を受け止めて捕獲するためのカップ5と、基板Wから排出される処理液に抵抗を与えるためのリング6とが配置されている。
【0019】
スピンチャック3は、鉛直な方向に延びるスピン軸7と、このスピン軸7の上端に取り付けられて、基板Wを水平な姿勢でその下面(裏面)を吸着して保持する吸着ベース8と、スピン軸7と同軸に結合された回転軸を有するスピンモータ9(乾燥手段)とを備えている。吸着ベース8に基板Wを吸着保持させた状態でスピンモータ9を駆動させることにより、基板Wの中心を通る鉛直な軸線まわりに基板Wを回転させることができる。スピンモータ9は、制御部10(乾燥制御手段)によって制御されるようになっている。
【0020】
処理液ノズル4は、その吐出口が下方に向けられた状態で、スピンチャック3よりも上方に配置されている。処理液ノズル4には、薬液バルブ11が介装された薬液供給管12と、リンス液バルブ13が介装されたリンス液供給管14が接続されている。処理液ノズル4には、薬液およびリンス液が選択的に供給される。処理液ノズル4は、薬液およびリンス液をそれぞれスピンチャック3に保持された基板Wの上面中央部に向けて吐出することができる。処理液ノズル4としては、たとえば、基板W上での処理液の着液位置が固定された、いわゆる固定ノズルの形態が採用されている。
【0021】
スピンチャック3によって基板Wを回転させつつ、処理液ノズル4から薬液を吐出させると、吐出された薬液が基板Wの上面中央部に着液し、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの周縁に向かって瞬時に広がっていく。これにより、基板Wの上面に薬液が供給され、基板Wの上面に薬液処理が施される。同様に、スピンチャック3によって基板Wを回転させつつ、処理液ノズル4からリンス液を吐出させると、基板Wの上面にリンス液が供給され、基板Wに付着している処理液やパーティクルなどの異物が洗い流される。これにより、基板Wの上面にリンス処理が施される。
【0022】
カップ5は、上端が開放された有底筒状であり、筒状の外壁15および内壁16と、底部17とを有している。外壁15は、吸着ベース8を取り囲んでおり、基板Wの周囲に排出された処理液は、カップ5によって受け止められる。これにより、スピンチャック3に保持された基板Wから排出される処理液をカップ5によって受け止めて捕獲することができる。
【0023】
リング6は、平面視円環状をなす板状の部材である。リング6は、縦断面(鉛直面に沿う断面)が矩形にされている。リング6は、水平方向に沿う平坦な上面6a(接液面)および下面6bと、鉛直方向に沿う円筒状の内周面6cおよび外周面6dとを有している。リング6の内径は、スピンチャック3に保持される基板Wの外径よりも大きくされている。リング6は、外壁15の内側に配置されており、外壁15の内側に配置されたシリンダ18(昇降手段)によって下方から支持されている。リング6は、スピンチャック3に保持された基板Wと同軸になるように水平姿勢で支持されている。リング6は、撥水性(処理液に対する撥液性)が基板Wと同等以下の材料で形成されていてもよいし、撥水性が基板Wよりも高い材料(たとえば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン))によって形成されていてもよい。撥水性が基板Wよりも高い材料によってリング6が形成されている場合には、リング6の全ての外表面の撥水性が基板Wよりも高くなる。
【0024】
シリンダ18は、本体部18aと、本体部18aに対して進退するロッド18bとを有している。シリンダ18は、ロッド18bが鉛直姿勢となるように保持されている。シリンダ18は、ロッド18bを2つの位置(上死点および下死点)の間で移動させることができる。この実施形態では、前記2つの位置でロッド18bを停止させることができ、中間位置でロッド18bを停止させることができないものがシリンダ18として用いられている。シリンダ18は、たとえば処理液に対する耐性を有する材料(たとえば合成樹脂)によって形成されている。したがって、カップ5内に進入した処理液がシリンダ18に付着しても、シリンダ18が腐食等することが抑制または防止されている。シリンダ18は、制御部10によって制御される。
【0025】
制御部10はシリンダ18を制御して、リング6がスピンチャック3に保持された基板Wの周囲に位置する上位置(図1において二点鎖線で示すリング6の位置)と、スピンチャック3に保持された基板Wよりも下方に位置する下位置(図1において実線で示すリング6の位置)との間で、リング6を鉛直方向に昇降させることができる。撥水性が基板Wと同等以下の材料でリング6が形成されている場合には、上位置は、リング6の上面6aがスピンチャック3に保持された基板Wよりも僅かに高くなる位置(たとえば3mm以下の範囲でリング6の上面6aが基板Wよりも高くなる位置)に設定される。
【0026】
スピンチャック3に基板Wが保持された状態でリング6を上位置に移動させると、当該基板Wの周囲がリング6によって取り囲まれる。また、リング6と基板Wとが同軸になるように配置されているので、図2に示すように、リング6と基板Wとの間には、全周にわたって一定間隔の隙間が形成される。リング6の内径は、リング6と基板Wとの間の隙間の大きさがたとえば0.3mmから2mm程度になるよう設定されている。したがって、スピンチャック3に基板Wが保持された状態でリング6を上位置に移動させると、リング6の内周面6cが基板Wの周端面に近接する。
【0027】
図3および図4は、それぞれ、撥水性が基板Wと同等以下の材料で形成されているリング6を上位置に位置させて回転状態の基板Wに処理液を供給したときの状態図である。
前述のように、スピンチャック3によって基板Wを回転させつつ、処理液ノズル4から処理液を吐出させると、基板Wの上面中央部から上面周縁部に向かって処理液が移動する。そして、基板Wの上面周縁部に達した処理液は基板Wの外方に排出される。このとき、リング6を上位置に位置させていると、リング6の上面6aが基板Wよりも高くなっているので、図3に示すように、基板Wから排出された処理液の一部がリング6の内周面6cに衝突して処理液の進行が妨げられる。したがって、基板Wから排出された処理液は、図4に示すように、2つの流れに分断されて、その一部がリング6の上面6aに沿って外方に流れ、残りがリング6と基板Wとの間に入り込んで流下していく。
【0028】
基板Wに供給された処理液は、処理液とリング6との衝突による抵抗を受けて、その一部がリング6の内側に溜まっていく。これにより、基板Wの上面全域を覆う処理液の液膜が基板W上に形成される。したがって、たとえば処理液の供給当初において基板W上に処理液がはじかれた部分がある場合でも、この部分に処理液を確実に供給することができる。そのため、表面が疎水性で直径の大きな基板Wを処理する場合でも、当該基板Wの上面全域に処理液を確実に供給することができる。これにより、基板Wの上面を均一に処理することができる。また、リング6と基板Wとの間に処理液を入り込ませて、基板Wの周端面に処理液を供給することができるので、基板Wの上面だけでなく、基板Wの周端面にも処理液による処理を施すことができる。
【0029】
さらにまた、この実施形態では、リング6と基板Wとの間の隙間の大きさが全周にわたって均一にされているので、基板Wの上面周縁部における処理液の流れが全周にわたって均一になっている。これにより、基板Wの上面周縁部に対する処理液の供給状態を均一にし、基板Wの上面に対する処理の均一性を向上させることができる。さらに、処理液の液膜は、リング6の内側に処理液が溜められて形成されるので、上位置の高さ設定を変更することにより、処理液の膜厚を変化させることができる。これにより、処理液の膜厚を複数設定することができる。
【0030】
図5〜図7は、それぞれ、撥水性が基板Wよりも高い材料で形成されているリング6を上位置に位置させて回転状態の基板Wに処理液を供給したときの状態図である。
撥水性が基板Wよりも高い材料でリング6が形成されている場合、上位置は、リング6の上面6aがスピンチャック3に保持された基板Wよりも高くなる位置に設定されていなくてもよい。具体的には、たとえば、リング6の上面6aがスピンチャック3に保持された基板Wよりも低くなる位置に上位置が設定されていてもよい。
【0031】
この場合、図5に示すように、基板Wの上面周縁部に達した処理液は、接液面としてリング6の上面6a、およびリング6と基板Wとの間を通って基板Wから排出される。このときリング6上に移動する処理液は、リング6の撥水性によりはじかれて抵抗を受ける。したがって、基板Wに供給された処理液は、リング6の撥水性による抵抗によって、その一部が基板W上に溜まっていく。これにより、基板Wの上面全域を覆う処理液の液膜が基板W上に形成される。
【0032】
このように、撥水性が基板Wよりも高い材料でリング6が形成されていれば、リング6の上面6aがスピンチャック3に保持された基板Wよりも低くなる位置に上位置が設定されている場合であっても、基板W上に処理液の液膜を形成することができる。同様に、図6に示すように、リング6の上面6aとスピンチャック3に保持された基板Wの上面の高さが等しくなる位置に上位置が設定されている場合でも、基板W上に処理液の液膜を形成することができる。
【0033】
また、図7に示すように、リング6の上面6aがスピンチャック3に保持された基板Wよりも高くなる位置に上位置が設定されている場合には、撥水性が基板Wと同等以下の材料でリング6が形成されている場合と同様に、リング6の内側に処理液を溜めて、基板W上に処理液の液膜を形成することができる。さらにこの場合には、リング6上に移動する処理液がリング6の撥水性による抵抗を受けるので、撥水性が基板Wと同等以下の材料でリング6が形成されている場合に比べて、より大きな抵抗を基板W上から排出される処理液に与えることができる。これにより、基板W上に処理液を確実に溜めることができる。
【0034】
図8は、基板処理装置1による基板Wの処理の一例を説明するための工程図である。以下では、図1および図8を参照して、基板Wの処理の一例について説明する。
未処理の基板Wは、図示しない搬送ロボットによって処理室2に搬入され、デバイス形成面である表面を上に向けてスピンチャック3に渡される(ステップS1)。このとき、リング6は下位置に配置されており、搬送ロボットや基板Wがリング6に衝突しないようにされている。
【0035】
次に、薬液によって基板Wを処理する薬液処理が行われる。具体的には、制御部10によりシリンダ18が制御されてリング6が上位置に配置される(ステップS2)。そして、制御部10によりスピンモータ9が制御されて、スピンチャック3に保持された基板Wが所定の回転速度で回転させられる(ステップS3)。その後、制御部10により薬液バルブ11が開かれて、処理液ノズル4から基板Wの上面に向けて薬液が吐出される(ステップS4)。
【0036】
処理液ノズル4から吐出された薬液は、基板Wの上面中央部に着液し、基板Wの回転による遠心力を受けて基板W上を外方に広がっていく。そして、基板Wの上面周縁部に達した薬液は、リング6の上面6a、またはリング6と基板Wとの間を通って排出される(図4参照)。このとき基板Wの上面に供給された薬液の一部は、リング6からの抵抗を受けて基板W上に溜まっていく。これにより、基板Wの上面全域を覆う薬液の液膜が基板W上に形成され、基板Wの上面全域に薬液が供給される。また、リング6と基板Wとの間に入り込んだ薬液が基板Wの周端面に供給される。これにより、基板Wの上面全域および周端面に薬液処理が施される。
【0037】
薬液処理において、基板Wを洗浄するための洗浄液が薬液として用いられている場合には、基板W上に形成される洗浄液の膜厚が薄くなるように、リング6の上位置を低く設定してもよい。このようにリング6の上位置を設定すれば、基板W上に溜まる洗浄液の量が少なくなるので、基板W上の洗浄液を後続の洗浄液によって即座に置換することができる。これにより、基板W上で異物が滞留することを抑制または防止して、当該異物を即座に洗い流すことができる。
【0038】
また、薬液処理において、基板Wをエッチングするためのエッチング液が薬液として用いられている場合には、基板W上に形成されるエッチング液の膜厚が厚くなるように、リング6の上位置を高く設定してもよい。このようにリング6の上位置を設定すれば、基板W上に多くのエッチング液を溜めて、基板Wの上面に対するエッチング処理を確実に進行させることができる。
【0039】
次に、リンス液としての純水(脱イオン水)によって基板Wを洗い流すリンス処理が行われる。具体的には、制御部10により薬液バルブ11が閉じられた後、リンス液バルブ13が開かれて、リング6を上位置に位置させたまま、回転状態の基板Wの上面に向けて処理液ノズル4から純水が吐出される(ステップS5)。
処理液ノズル4から吐出された純水は、前述のように、基板Wの上面全域および周端面に供給され、リング6の上面6a、またはリング6と基板Wとの間を通って基板W上から排出される。これにより、基板W上の薬液や基板Wの周端面に付着している薬液が純水によって洗い流され、基板Wから除去される(基板Wのリンス処理)。また、基板W上に保持された薬液の液膜が純水の液膜に置換される。さらに、基板Wから排出された純水がリング6の上面6aおよび内周面6cに供給されるので、リング6に付着している薬液も純水によって洗い流され、リング6から除去される(リング6のリンス処理)。
【0040】
次に、基板Wを乾燥させる乾燥処理(スピンドライ)が行われる。具体的には、制御部10によりシリンダ18が制御されてリング6が下位置に配置される(ステップS6)。そして、制御部10によりスピンモータ9が制御されて、基板Wが高回転速度(たとえば数千rpm)で回転させられる(ステップS7)。これにより、基板W上の純水や基板Wの周端面に付着している純水に大きな遠心力が作用し、当該純水が基板Wの周囲に振り切られる。このときリング6が基板Wよりも下方に配置されているので、リング6からの純水の跳ね返りや、基板Wからの純水の排出性の低下が抑制または防止されている。これにより、基板Wから純水を円滑に排出させて当該基板Wを速やかに乾燥させることができる。
【0041】
基板Wの高速回転が所定時間にわたって続けられた後は、スピンモータ9の回転が停止され、スピンチャック3による基板Wの回転が停止される(ステップS8)。その後、リング6が基板Wよりも下方に配置された状態で、処理済みの基板Wが搬送ロボットによって処理室2から搬出される(ステップS9)。
以上のように本実施形態では、リング6を基板Wの周囲に配置することにより、基板Wの上面周縁部から外方に排出される処理液に抵抗を与えることができる。これにより、処理液ノズル4から基板Wに供給された処理液の一部を基板W上に溜めて、当該基板Wの上面全域を覆う処理液の液膜を基板W上に形成することができる。したがって、たとえば表面が疎水性で大型の基板Wを処理する場合でも、当該基板Wの上面全域に確実に処理液を供給することができる。これにより、基板Wの上面を均一に処理することができる。また、リング6が基板Wの周囲に配置されているので、リング6が基板W上に配置されているときよりも、基板Wの上面に対する処理液の供給状態を均一にすることができる。さらに、リング6の上位置を適切な位置に設定することにより、基板W上から排出された処理液をリング6の上面6aに沿って流すことができる。したがって、パーティクルなどの異物が処理液の液膜上を漂っている場合でも、このような異物をリング6上に移動する処理液とともに基板W上から排出することができる。これにより、リング6の内周面6cに沿って異物が滞留することを抑制または防止することができる。したがって、異物が基板Wに付着して当該基板Wが汚染されることを抑制または防止することができる。
【0042】
以下では、図9〜図13を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。この図9〜図13において、前述の図1〜図8に示された各部と同等の構成部分については、図1〜図8と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
前述の実施形態では、縦断面が矩形で平面視円環状をなす平板状の部材がリング6として用いられている場合について説明したが、リング6の形状はこれに限らない。具体的には、たとえば、図9〜図13に示すような形状のリング106,206,306,406を用いてもよい。
【0043】
図9に示すリング106は、平面視円環状をなす板状の部材であり、リング106の内周面106cの上端部分が全周にわたって基板Wの周端面に沿う形状にされている。具体的には、図9に示すように、基板Wの周端面の縦断面が、たとえば全周にわたって外方に凸となる湾曲状である場合には、リング106の内周面106cの上端部分の縦断面が全周にわたって外方に凸となる湾曲状にされている。また、リング106は、鉛直方向に昇降されるようになっており、リング106の最内径(図9では、リング106の上端の内径)は、基板Wの最外径よりも大きくされている。したがって、基板Wの上方と下方との間でリング106を昇降させたときにリング106が基板Wに衝突しないようになっている。また、リング106を昇降させることにより、その上面6aの位置を基板Wよりも高くすることができる。
【0044】
この実施形態では、リング106の内周面106cが鉛直方向に対して傾斜する面になっているので、基板Wの周囲においてリング106を昇降させることにより、リング106と基板Wとの間の隙間の大きさを変化させることができる(図9における隙間G1および隙間G2参照)。したがって、基板W上から処理液を排出させるときに、リング106と基板Wとの間の隙間の大きさを変化させれば、リング106上を流れる処理液(図9における矢印A1参照)の流量と、リング106と基板Wとの間を流れる処理液(図9における矢印A2参照)の流量との割合を変化させることができる。これにより、リング106上を流れる処理液の流量と、リング106と基板Wとの間を流れる処理液の流量との割合を調整することができる。したがって、たとえば、基板Wの周端面に供給される処理液の流量を制御することができる。
【0045】
図10に示すリング206は、平面視円環状をなす板状の部材であり、その上面206aが外方に向かって上方に傾斜する傾斜面にされている。リング206は、上面206aと、水平方向に沿う平坦な下面206bと、鉛直方向に沿う円筒状の内周面206cおよび外周面206dとを有している。リング206は、鉛直方向に昇降されるようになっており、これによって、リング206の上端206eの位置(図10では、リング206の上面206aの最外周部)を全周にわたって基板Wよりも高くすることができる。
【0046】
この実施形態では、リング206の上面206aが外方に向かって上方に傾斜する傾斜面にされているので、リング206の上端206eを基板Wよりも上方に位置させた状態で、回転状態の基板Wの上面に処理液を供給したときに、基板W上からリング206の上面206aに移動した処理液に、基板W側に向かう力(重力の分力)を作用させることができる。したがって、基板Wの上面周縁部から外方に排出される処理液に、リング206との衝突による抵抗だけでなく、この基板W側に向かう力による抵抗を与えることができる。これにより、基板W上に処理液を確実に溜めることができる。
【0047】
図11に示すリング306は、平面視円環状をなす板状の部材であり、その縦断面が上方に凸となる三角形にされている。リング306は、水平方向に沿う平坦な底面306bと、鉛直方向に対して傾斜する筒状の内周面306cおよび外周面306dとを有している。リング306は、鉛直方向に昇降されるようになっており、リング306の最内径(図11では、リング306の下端の内径)は、基板Wの最外径よりも大きくされている。したがって、基板Wの上方と下方との間でリング306を昇降させたときにリング306が基板Wに衝突しないようになっている。また、リング306を昇降させることにより、その上端306eの位置を全周にわたって基板Wよりも高くすることができる。
【0048】
この実施形態では、リング306の内周面306cが外方に向かって上方に傾斜する傾斜面にされているので、図10に示すリング206と同様に、基板Wの上面周縁部から外方に排出される処理液に、リング306との衝突による抵抗だけでなく、基板W側に向かう力(重力の分力)による抵抗を与えることができる。さらに、図9に示すリング106と同様に、基板Wの周囲においてリング306を昇降させることにより、リング306と基板Wとの間の隙間の大きさを変化させることができる。これにより、リング306上を流れる処理液の流量と、リング306と基板Wとの間を流れる処理液の流量との割合を調整することができる。
【0049】
図12および図13に示すリング406は、平面視円環状をなす板状の部材である。リング406の縦断面は矩形にされており、その上面6aには溝19が形成されている。溝19は、図13に示すように、たとえば平面視らせん状に形成されている。また、リング406は、鉛直方向に昇降されるようになっている。これにより、リング406の上面6aを基板Wよりも高くすることができる。
【0050】
この実施形態では、リング406の上面6aに形成された溝19によって、基板Wから排出されリング406上を流れる処理液に抵抗を与えることができる。また、溝19の本数や形状等を変化させることにより、処理液に与えられる抵抗の大きさを調整することができる。
この発明の実施の形態の説明は以上であるが、この発明は、前述の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。たとえば、前述の実施形態では、スピンチャック3として基板Wの下面(裏面)を吸着保持する、いわゆるバキュームチャックが用いられている場合について説明したが、スピンチャック3は、バキュームチャックに限らずその他の形式のチャックであってもよい。
【0051】
また、前述の実施形態では、いわゆる固定ノズルが処理液ノズル4として用いられている場合について説明したが、基板W上での処理液の着液位置を基板Wの回転中心と周縁との間で移動させることができる、いわゆるスキャンノズルを処理液ノズル4として用いてもよい。また、前述の実施形態では、処理液ノズル4から薬液およびリンス液が選択的に吐出される場合について説明したが、薬液およびリンス液にそれぞれ対応する2つのノズルを設けてもよい。
【0052】
また、前述の実施形態では、シリンダ18が処理液に対する耐性を有する材料によって形成されている場合について説明したが、シリンダ18は、これ以外の材料(たとえば金属)によって形成されていてもよい。この場合、図14に示すように、シリンダ18の本体部18aをカップ5の外に配置し、ロッド18bをカップ5の内部に配置してもよい。そして、処理液に対する耐性を有する材料(たとえば合成樹脂)によって形成されたベローズ20をロッド18bの周囲に配置して、ロッド18bを処理液から保護してもよい。
【0053】
また、前述の基板Wの処理の一例では、洗浄液による洗浄処理とエッチング液によるエッチング処理とでリング6の上位置の高さ設定を変更する場合について説明したが、リング6の上位置の高さ設定は、処理液の種類だけでなく、処理液の粘性や、基板表面の濡れ性などに応じて変更されてもよい。
すなわち、前述の基板Wの処理の一例のように、基板W上に処理液の液膜を形成して基板Wを処理する場合、粘性の高い処理液を用いれば、リング6の上位置が低く設定されていても比較的厚い処理液の液膜を基板W上に形成することができる。一方、処理液の粘性が低い場合には、リング6の上位置を高く設定しないと厚い処理液の液膜を形成することができない。したがって、所定の膜厚の処理液の液膜を基板W上に形成して当該基板Wを処理するときに、粘性の高い処理液を用いる場合にはリング6の上位置を低く設定し、粘性の低い処理液を用いる場合にはリング6の上位置を高く設定してもよい。
【0054】
同様に、基板表面の濡れ性が高い場合、すなわち、基板表面が疎水性の場合には、リング6の上位置が低く設定されていても比較的厚い処理液の液膜を基板W上に形成することができる。一方、基板表面の濡れ性が低い場合には、リング6の上位置を高く設定しないと厚い処理液の液膜を形成することができない。したがって、所定の膜厚の処理液の液膜を基板W上に形成して当該基板Wを処理するときに、濡れ性の高い基板Wを処理する場合にはリング6の上位置を低く設定し、濡れ性の低い基板Wを処理する場合にはリング6の上位置を高く設定してもよい。
【0055】
また、前述の実施形態では、シリンダ18として、ロッド18bを中間位置で停止させることができないものが用いられている場合について説明したが、シリンダ18として、ロッド18bを中間位置で停止させることができるものを用いてもよい。そして、高さ制御手段としての制御部10によってシリンダ18を制御して、リング6の高さを適宜調整してもよい。たとえば、リング6の上位置の高さを調整することにより、基板W上に形成される処理液の膜厚を調整してもよい。また、処理液の種類、処理液の粘性、基板表面の濡れ性などに応じてリング6の上位置の高さを適宜調整してもよい。さらに、リング6の高さを調整する場合に、リング6の高さを精密に制御したい場合には、シリンダ18に代えて、ボールねじ機構などの他の昇降手段を用いてもよい。
【0056】
また、前述の基板Wの処理の一例では、回転状態の基板Wに処理液を連続供給して基板W上で処理液を流通させながら当該基板Wを処理する場合について説明したが、これに限らない。たとえば、停止状態または低速回転状態(たとえば10〜30rpm程度の回転速度で回転されている状態)の基板W上に処理液の液膜を保持させて、基板W上で殆ど処理液を流通させずに当該基板Wを処理するパドル処理(液盛り処理)を行ってもよい。
【0057】
具体的には、前述の基板Wの処理の一例において、薬液処理とリンス処理との間(ステップS4とステップS5との間)に薬液によるパドル処理を行ってもよいし、リンス処理と乾燥処理との間(ステップS5とステップS6との間)にリンス液によるパドル処理を行ってもよい。また、リンス処理に代えて、リンス液によるパドル処理を行ってもよい。
パドル処理を行うときに、リング6は上位置(基板Wの周囲)に配置されていてもよいし、上位置に配置されていなくてもよい。パドル処理を行うときに、リング6を上位置に配置することにより、基板Wからこぼれ落ちる処理液に抵抗を与えて、こぼれ落ちる処理液の量を低減することができる。
【0058】
また、前述の実施形態では、基板Wが、円形基板である場合について説明したが、基板Wとしては、円形基板に限らず、たとえば長方形基板などの多角形基板であってもよい。またこの場合、リング6は、平面視円形でなく、基板Wの輪郭形状に沿う多角形にされていてもよい。
また、前述の実施形態では、処理対象となる基板Wとして半導体ウエハを取り上げたが、半導体ウエハに限らず、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などの他の種類の基板が処理対象とされてもよい。
【0059】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す模式的な側面図である。
【図2】基板処理装置の概略構成を示す模式的な平面図である。
【図3】撥水性が基板と同等以下の材料で形成されているリングを上位置に位置させて回転状態の基板に処理液を供給したときの状態図である。
【図4】撥水性が基板と同等以下の材料で形成されているリングを上位置に位置させて回転状態の基板に処理液を供給したときの状態図である。
【図5】撥水性が基板よりも高い材料で形成されているリングを上位置に位置させて回転状態の基板に処理液を供給したときの状態図である。
【図6】撥水性が基板よりも高い材料で形成されているリングを上位置に位置させて回転状態の基板に処理液を供給したときの状態図である。
【図7】撥水性が基板よりも高い材料で形成されているリングを上位置に位置させて回転状態の基板に処理液を供給したときの状態図である。
【図8】基板処理装置による基板の処理の一例を説明するための工程図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係るリングの図解的な断面図である。
【図10】本発明のさらに他の実施形態に係るリングの図解的な断面図である。
【図11】本発明のさらに他の実施形態に係るリングの図解的な断面図である。
【図12】本発明のさらに他の実施形態に係るリングの図解的な断面図である。
【図13】本発明のさらに他の実施形態に係るリングの図解的な平面図である。
【図14】本発明のさらに他の実施形態に係るシリンダの図解的な側面図である。
【図15】従来の基板処理装置の一部を示す図解的な側面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 基板処理装置
3 スピンチャック
4 処理液ノズル
6 リング
6a 上面
9 スピンモータ
10 制御部
18 シリンダ
106 リング
206e 上端
306 リング
306e 上端
406 リング
W 基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を水平に保持する基板保持手段と、
前記基板保持手段に保持された基板の上面に処理液を供給する処理液供給手段と、
前記基板保持手段に保持された基板の周囲に間隔をあけて取り囲み、当該基板の上面周縁部から外方に排出される処理液に抵抗を与えるリングとを含む、基板処理装置。
【請求項2】
前記リングは、その全周にわたって上端の高さが前記基板保持手段に保持された基板よりも高くなるように配置されたものである、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記リングは、処理液に対する撥液性が基板よりも高くされた接液面を有するものである、請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記リングを上下方向に昇降させる昇降手段をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記基板保持手段に保持された基板を回転させて、当該基板を乾燥させる乾燥手段と、
前記昇降手段および乾燥手段を制御して、前記基板保持手段に保持された基板よりも前記リングを下方に位置させた状態で当該基板を乾燥させる乾燥制御手段とをさらに含む、請求項4記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記昇降手段を制御して、前記処理液供給手段から基板に供給される処理液に応じて前記リングの高さを調整する高さ制御手段をさらに含む、請求項4または5記載の基板処理装置。
【請求項7】
水平に保持された基板の上面に処理液を供給する工程と、
水平に保持された基板の周囲をリングによって間隔をあけて取り囲み、当該リングによって当該基板の上面周縁部から外方に排出される処理液に抵抗を与える工程とを含む、基板処理方法。
【請求項1】
基板を水平に保持する基板保持手段と、
前記基板保持手段に保持された基板の上面に処理液を供給する処理液供給手段と、
前記基板保持手段に保持された基板の周囲に間隔をあけて取り囲み、当該基板の上面周縁部から外方に排出される処理液に抵抗を与えるリングとを含む、基板処理装置。
【請求項2】
前記リングは、その全周にわたって上端の高さが前記基板保持手段に保持された基板よりも高くなるように配置されたものである、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記リングは、処理液に対する撥液性が基板よりも高くされた接液面を有するものである、請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記リングを上下方向に昇降させる昇降手段をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記基板保持手段に保持された基板を回転させて、当該基板を乾燥させる乾燥手段と、
前記昇降手段および乾燥手段を制御して、前記基板保持手段に保持された基板よりも前記リングを下方に位置させた状態で当該基板を乾燥させる乾燥制御手段とをさらに含む、請求項4記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記昇降手段を制御して、前記処理液供給手段から基板に供給される処理液に応じて前記リングの高さを調整する高さ制御手段をさらに含む、請求項4または5記載の基板処理装置。
【請求項7】
水平に保持された基板の上面に処理液を供給する工程と、
水平に保持された基板の周囲をリングによって間隔をあけて取り囲み、当該リングによって当該基板の上面周縁部から外方に排出される処理液に抵抗を与える工程とを含む、基板処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−157531(P2010−157531A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333427(P2008−333427)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
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