説明

基板処理装置及び半導体装置の製造方法

【課題】表示部に接続された複数の制御部のうち、表示部に表示される表示対象を制御することができる基板処理装置、及び半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置は、基板処理装置を操作する作業者が操作する操作部342と、操作部342に接続され、前記基板処理装置を制御する少なくとも2つ以上の制御部302,304,312と、制御部302,304,312が出力する信号を表示する少なくとも1つ以上の表示部342と、前記基板処理装置の起動時に、前記少なくとも2つ以上の制御部302,304,312のうち、少なくとも2つ以上の制御部302,304,312の起動時間を異ならせるように制御部302,304,312への電源の投入時機を制御する起動時間制御部344と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、メインコントローラとしての機能を有する統括制御コントローラと、大気ロボットなどを制御する大気ロボットコントローラと、顧客側のホストコンピュータに接続され通信を制御するGEM(Generic Equipment Model)コントローラを含む複数の制御部を有する半導体制御装置について開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−61135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の制御部からの出力を1つの表示部で出力する場合、表示を制御することができず、制御部ごとの起動時間の相違による影響を受けてしまい、所望の制御部の出力を表示部に表示できなかった。
本発明は、表示部に接続された複数の制御部のうち、表示部に表示される表示対象を制御することができる基板処理装置、及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明にかかる基板処理装置は、基板を処理する処理室と、前記基板を搬送する基板搬送部と、前記基板搬送部が設けられ、前記基板の搬送空間となる搬送室と、前記処理室に設けられ、前記基板を加熱する加熱部と、前記処理室を排気する排気部と、前記処理室内にガスを供給するガス供給部と、を有する基板処理装置であって、基板処理装置を操作する作業者が操作する操作部と、前記操作部に接続され、前記基板処理装置を制御する少なくとも2つ以上の制御部と、前記制御部が出力する信号を表示する少なくとも1つ以上の表示部と、前記基板処理装置の起動時に、前記少なくとも2つ以上の制御部のうち、少なくとも2つ以上の制御部の起動時間を異ならせるように前記制御部への電源の投入時機を制御する起動時間制御部と、を有する。
【0006】
好適には、前記制御部は、少なくとも基板処理装置のレシピを制御する第1の制御部と、少なくとも前記基板処理装置の異常を検知する第2の制御部であり、前記起動時間制御部は、前記第2の制御部よりも前記第1の制御部を先に起動させる。
【0007】
また、本発明にかかる半導体装置の製造方法は、基板搬送部が搬送室で基板を搬送するステップと、前記基板搬送部が、処理室に基板を搬入するステップと、排気部が前記処理室内を排気するステップと、ガス供給部が前記処理室内にガスを供給するステップと、加熱部が前記基板を加熱するステップと、を有する本処理工程と、少なくとも2以上の制御部が、少なくとも前記基板搬送部と前記排気部と前記ガス供給部と前記加熱部との動作を制御しつつ動作毎に信号を出力するステップと、少なくとも1つ以上の表示部が、前記信号を受信して表示するステップと、を有する制御工程と、起動時間制御部が、前記少なくとも2つ以上設けられた制御部のうち、少なくとも2つ以上の制御部の起動時間を異ならせるように前記制御部への電源の投入時機を制御するステップと、を有する制御部の起動工程と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、表示部に接続された複数の制御部のうちいずれの制御部の出力を表示するかを制御でき、本構成を有していない場合と比べ、基板処理作業の作業効率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成例を示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成例を示す側面断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る処理室の構成例を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るコントローラの構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る起動時間制御部の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)基板処理装置の構成
本発明の一実施形態に係る基板処理装置の概要構成を、図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成例を示す平面図であり、図2は、側面断面図である。
【0011】
図1および図2において、本発明が適用される基板処理装置においては、基板を搬送するキャリアとしては、FOUP(Front Opening Unified Pod)として構成されたポッド100が使用されている。ポッド100内には、未処理の基板や処理済の基板がそれぞれ水平姿勢で複数格納されるように構成されている。
また、以下の説明において、前後左右は、X1方向が右、X2方向が左、Y1方向が前、Y2方向が後とする。
【0012】
図1および図2に示されているように、基板処理装置は真空搬送室(トランスファモジュール)103を備えている。真空搬送室103は真空状態等の大気圧未満の圧力(負圧)に耐え得る構造に構成されている。また、真空搬送室103はアルミニウムで形成されている。
真空搬送室103には負圧下で基板200を移載する真空搬送ロボット112が設置されている。
【0013】
真空搬送ロボット112はフランジ115によって、真空搬送室103に固定されている。フランジ115は、アルミニウムで形成されている。真空搬送ロボット112はエレベータ116およびフランジ115によって真空搬送室103の機密性を維持しつつ昇降できるように構成されている。
また、真空搬送ロボット112に設けられたアーム112aを未処理基板200のみを搬送する専用アームとし、アーム112bを処理済基板200のみを搬送する専用アームとしても良い。アーム112a,112bをそれぞれ、専用のアームとすることによって、処理済基板200から微粒子が発生したとしても、微粒子が未処理基板200に付着することを防止することができる。また、未処理基板200から微粒子が発生したとしても、微粒子が処理済基板200に付着することを防止することができる。すなわち、処理済基板200から未処理基板200への汚染(コンタミネーション)と未処理基板200から処理済基板200への汚染を抑制することが可能となる。但し、本発明は、上述の形態に限定されず、アーム112a及び112bを未処理基板及び処理済み基板のいずれであっても搬送可能な非専用アームとしてもよい。
【0014】
筐体101の六枚の側壁のうち前側に位置する二枚の側壁には、搬入用の予備室(ロードロックモジュール)122と、搬出用の予備室(ロードロックモジュール)123とがそれぞれゲートバルブ160,165を介して連結されており、それぞれ負圧に耐え得る構造に構成されている。
さらに、予備室122には搬入室用の基板載置台150が設置され、予備室123には搬出室用の基板載置台151が設置されている。
【0015】
予備室122および予備室123の前側には、大気搬送室(フロントエンドモジュール)121がゲートバルブ128,129を介して連結されている。大気搬送室121は略大気圧下で用いられる。
大気搬送室121には基板200を移載する大気搬送ロボット124が設置されている。図2に示されているように、大気搬送ロボット124は大気搬送室121に設置されたエレベータ126によって昇降されるように構成されているとともに、リニアアクチュエータ132によって左右方向に往復移動されるように構成されている。
【0016】
図2に示されているように、大気搬送室121の上部にはクリーンエアを供給するクリーンユニット118が設置されている。
図1に示されているように、大気搬送室121の左側には基板200に形成されているノッチまたはオリエンテーションフラットを合わせる装置(以下、プリアライナという)106が設置されている。
【0017】
図1および図2に示されているように、大気搬送室121の筐体125の前側には、基板200を大気搬送室121に対して搬入搬出するための基板搬入搬出口134と、ポッドオープナ108が設置されている。基板搬入搬出口134を挟んでポッドオープナ108と反対側、すなわち筐体125の外側にはIOステージ(ロードポート)105が設置されている。
ポッドオープナ108はポッド100のキャップ100aを開閉すると共に、基板搬入搬出口134を閉塞可能なクロージャ142とクロージャ142を駆動する駆動機構109とを備えている。ポッドオープナ108はIOステージ105に載置されたポッド100のキャップ100aを開閉することにより、ポッド100に対する基板200の出し入れを可能とする。
ポッド100は図示しない工程内搬送装置(RGV)によって、IOステージ105に対して、供給および排出される。
【0018】
図1に示されているように、筐体101の六枚の側壁のうち後側(背面側)に位置する二枚の側壁には、基板に所望の処理を行う第二処理室(プロセスモジュール)138と第三処理室(プロセスモジュール)139とが、ゲートバルブ162、163を介してそれぞれ隣接して連結されている。第二処理室138および第三処理室139はいずれもコールドウォール式の処理室によって構成されている。
筐体101における六枚の側壁のうちの残りの互いに対向する二枚の側壁には、第一処理室(プロセスモジュール)137と、第四処理室(プロセスモジュール)140とが、ゲートバルブ161,164を介してそれぞれ連結されている。第一処理室137および第四処理室140もいずれもコールドウォール式の処理室によって構成されている。
【0019】
(2)処理室の構成
次に、本発明の一実施形態に係る各処理室137〜140の構成及び動作について図3
を用いて説明する。
【0020】
図3は、各処理室137〜140として用いられるMMT装置の断面構成図である。MMT装置とは、電界と磁界とにより高密度プラズマを発生できる変形マグネトロン型プラズマ源(Modified Magnetron Typed Plasma Source)を用い、例えばシリコン基板等の基板200を処理する装置である。
【0021】
MMT装置は、基板200をプラズマ処理する処理炉202を備えている。そして、処理炉202は、処理室201を構成する処理容器203と、サセプタ217と、ゲートバルブ161と、シャワーヘッド236と、ガス排気口235と、筒状電極215、上部磁石216a、下部電極216bと、を備えている。
【0022】
処理室201を構成する処理容器203は、第一の容器であるドーム型の上側容器210と、第二の容器である碗型の下部容器211と、を備えている。そして、上側容器210が下側容器211の上に被せられることにより処理室201が形成される。上側容器210は例えば酸化アルミニウム(Al2O3)又は石英(SiO2)等の非金属材料で形成されており、下側容器211は例えばアルミニウム(Al)で形成されている。
【0023】
処理容器203の上面には後述する光透過性窓部278が配設され、この光透過性窓部278に対応する反応容器203外側にランプ加熱装置(光源)280が設けられている。ランプ加熱装置280は、基板200を加熱可能なように構成されている。
【0024】
処理室201内の底側中央には、基板200を支持するサセプタ217が配置されている。サセプタ217は、シリコン基板100上に形成された膜の金属汚染を低減することが出来るように、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、セラミックス、石英等の非金属材料で形成されている。
【0025】
サセプタ217内の内部には、加熱機構としてのヒータ217bが一体的に埋め込まれており基板200を加熱できるようになっている。ヒータ217bに電力が供給されると、基板200表面を例えば200℃〜750℃程度にまで加熱できるようになっている。
【0026】
主に、サセプタ217及びヒータ217bにより、本実施形態に係る基板支持部が形成されている。
【0027】
サセプタ217は、下側容器211とは電気的に絶縁されている。サセプタ217の内部には、インピーダンスを変化させる電極としての第二の電極217cが装備されている。この第二の電極217cは、インピーダンス可変機構274を介して設置されている。インピーダンス可変機構274は、コイルや可変コンデンサを備えており、コイルのパターン数や可変コンデンサの容量値を制御することにより、第二の電極217c及びサセプタ217を介して基板200の電位を制御できるようになっている。
【0028】
サセプタ217には、サセプタ217を昇降させるサセプタ昇降機構268が設けられている。サセプタ217には、貫通孔217aが設けられている。上述の下側容器211底面には、基板200を突き上げる基板突き上げピン266が少なくとも3箇所設けられている。そして、貫通孔217a及び基板突き上げピン266はサセプタ昇降機構268によりサセプタ217が下降させられた時に基板突き上げピン266がサセプタ217とは非接触な状態で貫通孔217aを突き抜けるように、互いに配置されている。
【0029】
下側容器211の側壁には、仕切弁としてのゲートバルブ161が設けられている。ゲートバルブ161が開いている時には、搬送ロボット112を用いて処理室201内へ基板200を搬入し、または処理室201外側へと基板200を搬出することができるようになっている。ゲートバルブ161を閉めることにより、処理室201内を気密に閉塞することができるようになっている。
【0030】
処理室201の上部には、処理室201内へガスを供給するシャワーヘッド236が設けられている。シャワーヘッド236は、キャップ上の蓋体233と、ガス導入口234と、バッファ室237と、開口238と、遮蔽プレート240と、ガス吹出口239とを備えている。
【0031】
ガス導入口234には、バッファ室237内へガスを供給するガス供給管232の下流端が、封止部材としてのOリング203bを介して接続されている。バッファ室237は、ガス導入口234より導入されるガスを分散する分散空間として機能する。
【0032】
ガス供給管232の上流側には、窒素原子含有ガスとしてのN2ガスを供給する窒素ガス供給管232aの下流側と、水素原子含有ガスとしてのH2ガスを供給する水素ガス供給管232bの下流端と、希釈ガスとしての例えばヘリウム(He)、アルゴン(Ar)等の希ガスを供給する希ガス供給間232cの下流端と、が合流するように接続されている。
【0033】
窒素ガス供給管232aには、窒素ガスボンベ250a、流量制御装置としてのマスフローコントローラ251a、開閉弁であるバルブ252aが上流から順に接続されている。水素ガス供給管232bには、水素ガスボンベ250b、流量制御装置としてのマスフローコントローラ251b、開閉弁であるバルブ252bが上流から順に接続されている。希ガス供給管232cには、希ガスボンベ250c、流量制御装置としてのマスフローコントローラ251c、開閉弁であるバルブ252cが上流から順に接続されている。
【0034】
主に、ガス供給管234、窒素ガス供給管232a、水素ガス供給管232b、希ガス供給管232c、窒素ガスボンベ250a、水素ガスボンベ250b、希ガスボンベ250c、マスフローコントローラ251a〜252c、及びバルブ252a〜252cにより、本実施形態に係るガス供給部が構成される。ガス供給管232、窒素ガス供給管232a、水素ガス供給管232b、希ガス供給管232cは、例えば石英、酸化アルミニウム等の非金属材料及びSUS等の金属材料等により構成されている。これらのバルブ252a〜252cを開閉させることにより、マスフローコントローラ251a〜252cにより流量制御しながら、バッファ室237を介して処理室201内にN2ガス、H2ガス、希ガスを自在に供給できるように構成されている。
【0035】
なお、ここではN2ガス、H2ガス、希ガス毎にガスボンベを設ける場合について説明したが、本発明は係る形態に限定されるものではなく、窒素ガスボンベ250a、水素ガスボンベ250bに代えて、酸素(O2)ガスボンベを設けてもよい。また、処理室201内に供給する反応ガス中の窒素の割合を多くする場合には、NH3ガスボンベを更に設け、N2ガスにNH3ガスを添加してもよい。
【0036】
下側容器211の側壁下方には、処理室201内から反応ガス等を排気するガス排気口235が設けられている。ガス排気口235には、ガスを排気するガス排気管231の上流端が接続されている。ガス排気管231には、圧力調整器であるAPC242、開閉弁であるバルブ243b、排気装置である真空ポンプ246が、上流から順に設けられている。主に、ガス排気口235、ガス排気管231、APC242、バルブ243b、真空ポンプ246により、本実施形態に係るガス排気部が構成されている。真空ポンプ246を作動させ、バルブ243bを開けることにより、処理室201内を排気することが可能なように構成されている。また、APC242の開度を調整することにより、処理室201内の圧力値を調整できるように構成されている。
【0037】
処理容器203(上側容器210)の外周には、処理室201内のプラズマ生成領域224を囲うように、第1の電極215が設けられている。第一の電極215は、筒状、例えば円筒状に形成されている。第一の電極215は、インピーダンスの整合を行う整合器272を介して、高周波電力を発生する高周波電源273に接続されている。第一の電極215は、処理室201内に供給されるガスを励起させてプラズマを発生させる放電機構として機能する。
【0038】
第一の電極215の外側表面の上下端部には、上部磁石216a及び下部磁石216bがそれぞれ取り付けられている。上部磁石216a及び下部磁石216bは、それぞれ筒状、例えばリング状に形成された永久磁石として構成されている。
【0039】
上部磁石216a及び下部磁石216bは、処理室201の半径方向に沿った両端(すなわち、各磁石の内周端と外周端)にそれぞれ磁極を有している。上部磁石216a及び下部磁石216bの磁極の向きは、互いに逆向きになるよう配置されている。すなわち、上部磁石216a及び下部磁石216bの内周部の磁極同士は異極となっている。これにより、筒状電極215の内側表面に沿って、円筒軸方向の磁力線が形成されている。
【0040】
主に、第一の電極215、整合器272、高周波電源273、上部磁石216a、下部磁石216bにより、本実施形態に係るプラズマ生成部が構成されている。処理室201内にN2ガスとH2ガスとの混合ガスを導入した後、第一の電極215に高周波電力を供給して電界を形成するとともに、上部磁石216a及び下部磁石216bを用いて磁界を形成することにより、処理室201内にマグネトロン放電プラズマが生成される。この際、放出された電子を上述の電磁界が周回運動させることにより、プラズマの電離生成率が高まり、長寿命の高密度プラズマを生成させることができる。
【0041】
なお、第一の電極215、上部磁石216a、及び下部磁石216bの周囲には、これらが形成する電磁界が外部環境や他処理炉等の装置に悪影響を及ぼさないように、電磁界を有効に遮蔽する金属製の遮蔽板223が設けられている。
【0042】
(3)コントローラの構成
次に、本発明の一実施形態に係るコントローラの構成について、説明する。図4は、本発明の一実施形態に係るコントローラの構成を示すブロック図である。
【0043】
図4に示すように、基板処理装置を制御するコントローラとしてのコントローラ300は、OU(Operation Unit)302、GEM(Generic Equipment Model)304、主制御部(CC:Cluster Controller)306、真空搬送ロボットコントローラ308、プロセスモジュールコントローラ(PMC)310、及びEFEM−PC(Equipment Front End Module−PC)312から構成されている。
以下、OU302を第1の制御部302と、GEM304を第2の制御部304と、EFEM−PC312を第3の制御部312という。
【0044】
第1の制御部302は、図1に示すように筐体125内のプリアライナ106の下部に設置されている。第1の制御部302は、基板処理装置におけるプロセスレシピの制御を行うコンピュータであり、例えば、プロセスレシピを管理する作業者により操作される。
【0045】
第1の制御部302は、半導体製造工場内に設けられているホスト(統括制御部)314とLANによる接続がされている。また、第1の制御部302は、下位制御部である、主制御部306、真空搬送ロボットコントローラ308、及びプロセスモジュールコントローラ310とLANによる接続がされており、上位制御部として機能する。なお、ホスト314は、例えば基板処理装置の管理を行ない、複数設けられていてもよい。
【0046】
第2の制御部304は、第1の制御部302と同様、図1に示すように筐体125内のプリアライナ106の下部に設置されている。第2の制御部304は、基板処理装置とホスト314との通信を制御するコンピュータであり、ロット処理の開始タイミング及び終了タイミングなどの通信を制御する。なお、通式方式としては、例えばSEMI規格を用いている。
また、第2の制御部304は、基板処理装置の異常対応用のコンピュータとしても機能し、基板処理装置の異常を検知する機能も有する。なお、第2の制御部304は、基板処理装置の異常対応では、例えば、基板処理装置の操作者又はサポートエンジニアなどにより操作される。
【0047】
第1の制御部302と同様、第2の制御部304は、ホスト314とLANによる接続がされている。また、第2の制御部302は、下位制御部である、主制御部306、真空搬送ロボットコントローラ308、及びプロセスモジュールコントローラ310とLANによる接続がされており、上位制御部として機能する。
【0048】
主制御部306は、図2に示すように真空搬送室103の下部に設置されている。主制御部306は、後述する第3の制御部312、ガス流量コントローラ316、圧力コントローラ318、PLC(Programmable Logic Controller)320、ゲートバルブコントローラ322を制御する。
【0049】
ガス流量コントローラ316は、例えば図2に示す信号線Fを通じてクリーンユニット118を制御する。
【0050】
圧力コントローラ318は、真空搬送室103,予備室122,123に設けられた図示しない排気部を制御する。
【0051】
ゲートバルブコントローラ322は、例えば図1に示す信号線C及び図3に示す信号線Iを通じて、ゲートバルブ128,129,160,161,162,163,164,165を制御する。
【0052】
PLC320は、ガス流量コントローラ316、圧力コントローラ318、ゲートバルブコントローラ322の各コントローラの動作状態を監視し、各コントローラへ命令を送信する。
【0053】
真空搬送ロボットコントローラ308は、主制御部306と同様、図2に示すように真空搬送室103の下部に設置されている。真空搬送ロボットコントローラ308は、例えば図2に示す信号線Aを通じて真空搬送ロボット112を制御する。
【0054】
プロセスモジュールコントローラ310は、プロセスモジュール毎に設けられ、例えば図2に示すように処理室(プロセスモジュール)の下部に設置されている。プロセスモジュールコントローラ310は、サセプタ軸コントローラ324、ガス流量コントローラ326、ヒータ制御コントローラ328、圧力コントローラ330、PLC332、ランプコントローラ334、プラズマ生成コントローラ336を制御する。
【0055】
サセプタ軸コントローラ324は、例えば図3に示す信号線Hを通じてサセプタ217の上下動作を制御する。
【0056】
ガス流量コントローラ326は、例えば図3に示す信号線Kを通じて上述のガス供給部を制御する。
【0057】
ヒータ制御コントローラ328は、例えば図3に示す信号線Hを通じてサセプタ217に設けられた抵抗加熱ヒータ217bを制御する。
【0058】
圧力コントローラ330は、例えば図3に示す信号線Gを通じて上述のガス排気部を制御する。
【0059】
ランプコントローラ334は、例えば図3に示す信号線Lを通じてランプ加熱装置280を制御する。
【0060】
プラズマ生成コントローラ336、例えば図3に示す信号線Jを通じて上述のプラズマ生成部を制御する。
【0061】
PLC332は、サセプタ軸コントローラ324、ガス流量コントローラ326、ヒータ制御コントローラ328、圧力コントローラ330、ランプコントローラ334、プラズマ生成コントローラ336の各コントローラの動作状態を監視し、各コントローラへ命令を送信する。
【0062】
第3の制御部312は、第1の制御部302及び第2の制御部304と同様、図1に示すように筐体125内のプリアライナ106の下部に設置されている。第3の制御部312は、半導体製造工場において、各工程の製造装置間でのポッド100の受け渡しを制御するコンピュータであり、大気搬送ロボット124などの制御を行なう。第3の制御部312は、第1の制御部302とLANによる接続がされており、大気搬送ロボット124、プリアライナ106、ロードポート105、ポッドオープナ108、及び図示しない搬送装置(GV)などを制御する。
【0063】
第1の制御部302、第2の制御部304、及び第3の制御部312は、切替器338を介して、図1に示すように大気搬送室121の筐体125の前側に設置された表示部340及び操作部342と入出力インタフェースにより接続されている。
【0064】
切替器338は、例えば、KVMスイッチ(Keyboard/Video/Mouseスイッチ)であり、第1の制御部302、第2の制御部304、又は第3の制御部312のうち、最初に起動した制御部の出力信号を表示部340に伝達し、操作部342では最初に起動した制御部への操作が可能な構成となっている。また、切替器338に設けられたスイッチを選択することにより、第1の制御部302、第2の制御部304、又は第3の制御部312のいずれかの入出力を選択することが可能に構成されている。なお、切替器338は、例えば表示部340及び操作部342と隣接して設置されている。
【0065】
表示部340は、例えばモニタであり、切替器338により選択された第1の制御部302、第2の制御部304、又は第3の制御部312のいずれかの出力を表示する。例えば、表示部340は、第1の制御部302、第2の制御部304、又は第3の制御部312のいずれかのうちいずれかの制御部が制御する制御対象の動作毎に制御部が出力する信号を表示する。
【0066】
操作部342は、例えばマウス、キーボード、タッチパネル、USBポートなどの記憶媒体読取口等の少なくともいずれかから構成されており、切替器338により選択された第1の制御部302、第2の制御部304、又は第3の制御部312のいずれかへの操作が可能に構成されている。
【0067】
また、第1の制御部302、第2の制御部304、及び第3の制御部312は、それぞれ、図4において点線で示した電力ケーブルにより起動時間制御部344と接続されており、後述の電源からの電気が起動時間制御部344を介して供給されることにより起動する。
【0068】
なお、コントローラ300を構成する各機器、切替器338、表示部340、及び操作部342の設置箇所は上記に限られず、適宜変更しても構わない。
【0069】
(4)起動時間制御部の構成
起動時間制御部344は、操作部342に接続された少なくとも2つ以上の制御部のうち、少なくとも2つ以上の制御部について、起動時間を互いにずらす。
図5は、本実施形態に係る起動時間制御部344の構成を示す回路図である。
起動時間制御部344は、電源350から第1の制御部302、第2の制御部304、又は第3の制御部312への電源の投入時機(通電開始時機)を制御し、第1の制御部302、第2の制御部304、及び第3の制御部312の起動時間を制御する。
【0070】
図5に示すように、起動時間制御部344は、オンディレー回路(遅延回路)346及び348から構成されている。オンディレー回路346は、電源350と第2の制御部304との間に設けられており、電源350からの電気の供給が開始されてから設定された遅延時間の経過後(例えば、5秒後)に、第2の制御部304に対して電気を供給する。第2の制御部304を構成するコンピュータは、電気が供給されると起動する。
【0071】
オンディレー回路348は、電源350と第3の制御部312との間に設けられており、電源350からの電気の供給が開始されてから設定された遅延時間の経過後(例えば、5秒後)に、第3の制御部312に対して電気を供給する。第3の制御部312を構成するコンピュータは、電気が供給されると起動する。
なお、第2の制御部304と第3の制御部312とは、同時に起動してもよいが、上記の設定された時間として異なる時間を設定し、異なる時間に起動してもよい。
【0072】
一方、第1の制御部302と電源350との間には、オンディレー回路は設けられておらず、電源350からの電気の供給が開始されると、オンディレー回路による遅延が発生することなく、第1の制御部302に電気が供給され、第1の制御部302を構成するコンピュータが起動する。
【0073】
なお、遅延時間は、第1の制御部302が、第2の制御部304及び第3の制御部312よりも先に起動する時間として、実験的に決めてもよいし、他の方法により算出してもよい。
【0074】
例えば、第1の制御部302、第2の制御部304、及び第3の制御部312の各制御部の前回の起動に要した時間(電源の投入時機から切替部338が出力信号を受信するまでの時間)を記憶部に記録し、記録した時間から次回の起動に要する時間を予測する演算をし、予測結果をオンディレー回路に設定又は再設定するプログラムを設けてもよい。また、第1の制御部302、第2の制御部304、又は第3の制御部312の各制御部のシャットダウン時間から、起動時間を予測し、オンディレー回路の設定を更新するプログラムを設けてもよい。
【0075】
このようなプログラムを設けることで、例えば、基板処理装置の構成の変更、各制御部の構成の変更、基板処理装置の繰り返しの使用によるコンピュータ動作速度の低下、アプリケーションのインストール等による起動時間の変更、又はエラーによる動作不良などにより、各制御部の起動時間が変更されても、自動的に遅延時間の設定がなさ、起動順番を維持することが可能となる。なお、上述のプログラムは、基板処理装置に設けられた記憶部を有するコンピュータにより実行されてもよい。
【0076】
以上、説明したとおり、電源350からの電気の供給が開始されると、まず第1の制御部302が起動し、その後、設定された時間が経過すると、第2の制御部304及び第3の制御部312が起動する。また、切替部338は、最初に起動した第1の制御部の出力信号を表示部340に出力し、表示部340及び操作部342による第1の制御部への入出力操作が可能となる。なお、第2の制御部304又は第3の制御部312の起動後は、切替器338に設けられたスイッチを選択することにより、第2の制御部304又は第3の制御部312のいずれかへの入出力操作が可能となる。
【0077】
(5)基板処理工程
以下、前記構成をもつ基板処理装置を使用して、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として基板を処理する処理工程について説明する。なお、以下の説明おいて、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ300により制御される。
【0078】
基板処理装置の起動において、電源350からの電気の供給が開始されると、起動時間制御部344は、第2の制御部304及び第3の制御部312への通電開始を遅延させる。起動時間制御部344による制御により、まず第1の制御部302が起動し、第1の制御部の出力信号が表示部340に出力され、表示部340及び操作部342による第1の制御部への入出力操作が可能となる。その後、第2の制御部304及び第3の制御部312が起動する。
【0079】
作業者は、表示部340及び操作部342を用いて、第1の制御部302への操作(例えば、プロセスレシピの調整など)を行い、基板処理を開始する指示を操作部342から第1の制御部302へと行なう。
【0080】
以下、第1の制御部302、第2の制御部304、及び第3の制御部312が起動した状態で行なわれる処理工程の流れを説明する。
【0081】
25枚の未処理基板200がポッド100に収納された状態で、処理工程を実施する基板処理装置へ工程内搬送装置によって搬送されて来る。
図1及び図2に示されているように、搬送されて来たポッド100はIOステージ105の上に工程内搬送装置から受け渡されて載置される。
ポッド100のキャップ100aがポッドオープナ108によって取り外され、ポッド100の基板出し入れ口が開放される。
【0082】
ポッド100がポッドオープナ108により開放されると、大気搬送室121に設置された大気搬送ロボット124はポッド100から基板200をピックアップして予備室122に搬入し、基板200を基板載置台150に移載する。この移載作業中には、予備室122の真空搬送室103側のゲートバルブ160は閉じられており、真空搬送室103内の負圧は維持されている。
ポッド100に収納された所定枚数、例えば25枚の基板200の基板載置台150への移載が完了すると、ゲートバルブ128が閉じられ、予備室122内が排気装置(図示せず)によって負圧に排気される。
【0083】
予備室122内が予め設定された圧力値となると、ゲートバルブ160が開かれ、予備室122と真空搬送室103とが連通される。
続いて、真空搬送ロボット112は基板載置台150から基板200をピックアップして真空搬送室103に搬入する。
ゲートバルブ160が閉じられた後に、ゲートバルブ161が開かれて、真空搬送室103と第一処理室137とが連通される。
続いて、真空搬送ロボット112は、基板200を真空搬送室103から第一処理室137へ搬入して、第一処理室137内の基板支持部217に移載する。
ゲートバルブ161が閉じられた後、第一処理室137で所望の熱処理を伴う基板処理が施される。
【0084】
ここで、基板の処理室への搬入、熱処理を伴う基板処理、基板を処理室から搬出する動作について図3を用いて説明する。
【0085】
最初、サセプタ217は下降しており、基板突上げピン266の先端がサセプタ217の貫通孔217aを通してサセプタ217の表面より所定の高さ分だけ突き出た状態にある。まず、下側容器211に設けられたゲートバルブ161を開く。次に、真空搬送ロボット112によって基板200を基板突上げピン266の先端に載置する。その後、真空搬送ロボット112を処理室201外へ退避させる。次に、ゲートバルブ161を閉め、サセプタ217をサセプタ昇降機構268により上昇させる。その結果、基板200がサセプタ217表面に載置される。サセプタ217上に載置された基板200を処理する位置まで上昇させる。
【0086】
サセプタ217に埋め込まれた抵抗加熱ヒータ217bは予め加熱されている。基板200は、抵抗加熱ヒータ217bによって室温から700℃の範囲内で基板処理温度に加熱される。真空ポンプ246及びAPCバルブ242を用いて処理室201の圧力を0.1〜300Paの範囲内に維持する。
【0087】
基板200を基板処理温度に加熱した後、ガス導入口234からシャワープレート240のガス噴出孔234aを介して、処理ガスを処理室201に配置されている基板200の表面(処理面)に向けてシャワー状に供給する。同時に筒状電極215に高周波電源273から整合器272を介して高周波電力を供給する。供給する電力は、例えば100〜1000Wの範囲内とし、例えば800Wである。なお、インピーダンス可変機構274は予め所望のインピーダンス値に設定されている。
【0088】
筒状磁石216a、216bの磁界によってマグネトロン放電が発生し、基板200の上方空間に電荷がトラップされてプラズマ生成領域224に高密度プラズマが生成される。この高密度プラズマによって、サセプタ217上の基板200の表面に酸化膜や窒化膜を形成したり、薄膜を形成したり、エッチングしたりする等のプラズマ処理が施される。処理が終わった基板200は、搬送手段によって、基板200の搬入と逆の動作で処理室201外へ搬送される。
【0089】
なお、コントローラ300は、高周波電源273の電力ON・OFF、整合器272の調整、バルブ243aの開閉、マスフローコントローラ251a〜251cの流量、APCバルブ242の弁開度、バルブ243bの開閉、真空ポンプ246の起動・停止、サセプタ昇降機構268の昇降動作、ゲートバルブ161の開閉、サセプタに埋め込まれた抵抗加熱ヒータ217bに高周波等の電力を供給する高周波電源のON・OFFを制御している。
【0090】
ところで、上述した構成の処理炉では、サセプタ217に埋めこまれている抵抗加熱ヒータ217bによって基板200を加熱できる温度は、高々700℃程度である。このため、抵抗加熱ヒータ217bだけでは、700℃を超える処理温度を必要とする基板処理は困難である。
【0091】
そこで、700℃を超える処理温度を必要とする基板処理を行うために、基板加熱体として抵抗加熱ヒータ217bの他に、さらに赤外光を発する光源(ランプヒータ)280を補助ヒータとして処理炉に加えるようにしている。
【0092】
第一処理室137での基板200に対する基板処理が完了すると、基板200の冷却が終わらない内に、ゲートバルブ161が開かれて処理済みの基板200は真空搬送ロボット112によって真空搬送室103に搬出される。搬出後、ゲートバルブ161は閉じられる。
【0093】
真空搬送ロボット112は第一処理室137から搬出した処理済の基板200を予備室123へ搬送する。基板載置台151に移載した後に、予備室123はゲートバルブ165によって閉じられる。
【0094】
以上の作動が繰り返されることにより、予備室122内に搬入された所定枚数、例えば25枚の基板200が順次処理されて行く。
【0095】
予備室122内に搬入された全ての基板200に対する基板処理が終了し、全ての処理済み基板200が予備室123に収納され、予備室123がゲートバルブ165によって閉じられると、予備室123内が不活性ガスにより略大気圧に戻される。
予備室123内が略大気圧に戻されると、ゲートバルブ129が開かれ、IOステージ105に載置された空のポッド100のキャップ100aがポッドオープナ108によって開かれる。
続いて、大気搬送室121の大気搬送ロボット124は基板載置台151から基板200をピックアップして大気搬送室121に搬出し、大気搬送室121の基板搬入搬出口134を通して大気搬送室121に搬出し、大気搬送室121の基板搬入搬出口134を通してポッド100に収納して行く。
25枚の処理済み基板200のポッド100への収納が完了すると、ポッド100のキャップ100aがポッドオープナ108によって閉じられる。閉じられたポッド100はIOステージ105の上から次の工程へ工程内搬送装置によって搬送されて行く。
【0096】
以上の動作は第一処理室137が使用される場合を例にして説明したが、第二処理室138、第三処理室139および第四処理室140が使用される場合についても同様の作動が実施される。
また、前述の基板処理装置では、予備室122を搬入用、予備室123を搬出用としたが、予備室123を搬入用、予備室122を搬出用としてもよい。
【0097】
また、第一処理室137、第二処理室138、第三処理室139、第四処理室140では、それぞれ同じ処理を行ってもよいし、別の処理を行ってもよい。第一処理室137、第二処理室138、第三処理室139、第四処理室140で別の処理を行う場合、例えば第一処理室137で基板200にある処理を行った後、続けて第二処理室137で別の処理を行わせてもよい。また、第一処理室137で基板200に処理を行った後に、第二処理室138で別の処理を行い、その後、第三処理室139や第四処理室140で、更に別の処理を行わせるようにしてもよい。
【0098】
上記の基板処理装置では、基板処理作業において作業者が使用するコンピュータである第1の制御部に対しての入出力操作が可能となり、作業者は切替器338で入出力を切り替える必要がなく、作業性が向上する。
【0099】
また、第1の制御部302、第2の制御部304、及び第3の制御部312の起動タイミングをずらすことが可能となり、基板処理装置全体の起動時の消費電力のピークを小さくすることが可能となる。さらに、従来の基板処理装置では、起動時の起動タイミングを制御しておらず、基板処理装置各部の起動が重なり、突入電流の集中によって、電源部や配線などに負荷がかかり、電源部や配線の寿命が短くなることがあったが、上記の基板処理装置では、起動タイミングがずれ、突入電流を減少させることができる。
【0100】
上記の基板処理装置では、第1の制御部302が、第2の制御部304及び第3の制御部312よりも先に起動するため、第2の制御部304及び第3の制御部312においてオンディレー回路を接続する構成を示したが、第2の制御部304又は第3の制御部312が先に起動する構成としてもよい。
【0101】
例えば、第2の制御部304を第1の制御部302及び第3の制御部312よりも先に起動させるためは、第1の制御部302及び第3の制御部312においてオンディレー回路を接続すればよい。このような構成の場合、切替部338における切替操作を行なうことなく、ホスト314との通信、又は異常対応を行うことが可能となる。
【0102】
同様に、第3の制御部312を第1の制御部302及び第2の制御部304よりも先に起動させるためは、第1の制御部302及び第2の制御部304においてオンディレー回路を接続すればよい。このような構成の場合、切替部338における切替操作を行なうことなく、第3の制御部312に接続されたロードポート105などの設定やメンテナンスを行うことが可能となる。
【0103】
また、上記の基板処理装置では、切替器338は、最初に起動した制御部の出力信号を表示部340に伝達し、操作部342では最初に起動した制御部への操作が可能な構成としたが、切替器338は、最後に起動した制御部の出力信号を表示部340に伝達し、操作部342では最後に起動した制御部への操作が可能な構成としてもよい。この場合、切替部338における切替操作を行なうことなく入出力を行いたい制御部に対して、オンディレー回路を接続し、該制御部が最後に起動するように構成すればよい。
【0104】
また、起動時間制御部344に代え、又は起動時間制御部344とともに、シャットダウン時間制御部を設けてもよい。シャットダウン時間制御部は、少なくとも2つ以上設けられた制御部のうち、少なくとも2つ以上の制御部について、シャットダウン時間を互いにずらす。例えば、シャットダウン時間制御部は、電源から入力された電気が断たれてから設定された時間経過後に出力する電気を断つ回路であるオフディレー回路から構成されており、このオフディレー回路に接続された機器のシャットダウン時機、すなわち起動状態からの終了時機を遅らせる。
【0105】
上位制御部と電源との間に、オフディレー回路を設けたシャットダウン時間制御部を構成することにより、下位制御部よりもシャットダウン時機を遅らせることができる。ここで、上位制御部とは、第1の制御部302、第2の制御部304、及び第3の制御部312をいい、下位制御部とは、上位制御部の制御対象をいい、例えば、主制御部306、真空搬送ロボットコントローラ308、プロセスモジュールコントローラ310、大気搬送ロボット124、プリアライナ106、ロードポート105、ポッドオープナ108が下位制御部となる。また、主制御部306の制御対象(例えば、ガス流量コントローラ316など)、プロセスモジュールコントローラ310の制御対象(例えば、サセプタ軸コントローラ324)も、さらに下位の下位制御部として位置づけられる。
【0106】
上位制御部のシャットダウン時機を下位制御部のシャットダウン時機よりも遅くすると、下位制御部の動作履歴(ログ)を最後まで取得することができ、シャットダウン時の異常に対する対応が容易となる。
【0107】
また、上位制御部のうち、第1の制御部302に接続されたオフディレー回路の遅延時間を他のオフディレー回路に設定された遅延時間よりも長く設定することで、第1の制御部302のシャットダウン時機を他の制御部よりも最も遅くすることができる。この場合、第1の制御部302は、下位制御部のみならず、第2の制御部304及び第3の制御部312の動作履歴を最後まで取得することができる。
【0108】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。上記の実施形態では、遅延回路を設けて起動順番を制御し、所望の制御部の入出力を可能にしたが、ソフトウェアによって、いずれの制御部について表示部340及び操作部342での入出力を行なうかを制御してもよい。
【0109】
例えば、表示部340及び操作部342により入出力する制御部を、記憶媒体に記憶された情報に基づいて選択するプログラムを用いてもよい。
【0110】
この場合、例えば作業者を特定する情報及び作業内容の情報を予め記憶させておいたUSBキーなどの記憶媒体を、操作部342に設けられた記憶媒体読取口に差込んだ後に、第1の制御部302、第2の制御部304、及び第3の制御部312を起動させ、上記プログラムの選択により、表示部340及び操作部342の入出力対象を決定する。また、表示部340への表示において、上記プログラムは、記憶媒体に記憶された作業内容の情報に基づいて、作業内容に沿った画面を構成して表示するよう制御してもよい。
【0111】
なお、上記プログラムは、記憶媒体に格納されていてもよく、また、基板処理装置に接続された他の記憶装置に格納されていてもよい。また、上記プログラムは、第1の制御部302、第2の制御部304、及び第3の制御部312のいずれに実行されてもよく、また、基板処理装置を構成する他のコンピュータに実行されてもよい。
【0112】
また、次回の起動時において最初に表示部340及び操作部342により入出力する制御部を、シャットダウン時に選択するプログラムを構成してもよい。
【0113】
この場合、例えば、切替器338として、記憶部を有するKVMスイッチを用い、次のように構成する。第1の制御部302、第2の制御部304、又は第3の制御部312のシャットダウン時に、OS又はアプリケーションによって次回起動時に最初に表示部340及び操作部342により入出力する制御部を選択可能なプログラムを構成し、このプログラムは、いずれの制御部が選択されたかを示すデータをKVMスイッチに出力し、KVMスイッチは、このデータを記憶する。次回起動時、KVMスイッチは、記憶されているデータに基づいて、最初に表示部340及び操作部342により入出力する制御部として、第1の制御部302、第2の制御部304、及び第3の制御部312のいずれかの出力データを表示部340へ出力する。
【0114】
なお、プログラムは、KVMスイッチに格納されていてもよく、また、基板処理装置に接続された他の記憶装置に格納されていてもよい。また、プログラムは、第1の制御部302、第2の制御部304、及び第3の制御部312のいずれに実行されてもよく、また、基板処理装置を構成する他のコンピュータに実行されてもよい。
【0115】
以上、本発明の実施の形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0116】
本発明は、特許請求の範囲に記載した事項を特徴とするが、さらに次に記載した事項も本発明の望ましい態様として付記する。
【0117】
<付記1>
基板を処理する処理室と、
前記基板を搬送する基板搬送部と、
前記基板搬送部が設けられ、前記基板の搬送空間となる搬送室と、
前記処理室に設けられ、前記基板を加熱する加熱部と、
前記処理室を排気する排気部と、
前記処理室内にガスを供給するガス供給部と、
少なくとも前記基板搬送部と前記加熱部と前記排気部と前記ガス供給部とを制御する、少なくとも2つ以上設けられた制御部と、
前記少なくとも2つ以上設けられた制御部が出力する信号を受信して表示する表示部と、
前記表示部に設けられ、作業者が操作する操作部と、
を有する基板処理装置であって、
起動時間制御部が、前記基板処理装置の起動時に、前記少なくとも2つ以上設けられた制御部のうち、少なくとも2つ以上の制御部の起動を異ならせるように当該制御部に電源を投入する工程を有する基板処理装置の起動方法。
【0118】
<付記2>
基板搬送部が搬送室で基板を搬送するステップと、
前記基板搬送部が、処理室に基板を搬入するステップと、
排気部が前記処理室内を排気するステップと、
ガス供給部が前記処理室内にガスを供給するステップと、
加熱部が前記基板を加熱するステップと、
を有する本処理工程と、
少なくとも2以上の制御部が、少なくとも前記基板搬送部と前記排気部と前記ガス供給部と前記加熱部との動作を制御しつつ動作毎に信号を出力するステップと、
少なくとも1つ以上の表示部が、前記信号を受信して表示するステップと、
を有する制御工程と、
起動時間制御部が、前記少なくとも2つ以上設けられた制御部のうち、少なくとも2つ以上の制御部の起動時間を異ならせるように前記制御部への電源の投入時機を制御するステップと、
を有する制御部の起動工程と、
シャットダウン時間制御部が、前記少なくとも2つ以上設けられた制御部のうち、少なくとも2つ以上の制御部のシャットダウン時間を異ならせるように前記制御部への電源の遮断時機を制御するステップと、
を有する制御部のシャットダウン工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【0119】
<付記3>
基板搬送部が搬送室で基板を搬送するステップと、
前記基板搬送部が、処理室に基板を搬入するステップと、
排気部が前記処理室内を排気するステップと、
ガス供給部が前記処理室内にガスを供給するステップと、
加熱部が前記基板を加熱するステップと、
を有する本処理工程と、
少なくとも2以上の制御部が、少なくとも前記基板搬送部と前記排気部と前記ガス供給部と前記加熱部との動作を制御しつつ動作毎に信号を出力するステップと、
少なくとも1つ以上の表示部が、前記信号を受信して表示するステップと、
を有する制御工程と、
起動時間制御部が、前記少なくとも2つ以上設けられた制御部のうち、少なくとも2つ以上の制御部の起動時間を異ならせるように前記制御部への電源の投入時機を制御するステップと、
表示切替部が、前記制御部の内、最初に起動した制御部からの出力の表示を保持するステップと、
記憶部が、前記制御部への電源の投入開始から前記表示切替部が制御部からの出力を受信するまでの時間を記録するステップと、
を有する制御部の起動工程と、
シャットダウン時間制御部が、前記少なくとも2つ以上設けられた制御部のうち、少なくとも2つ以上の制御部のシャットダウン時間を異ならせるように前記制御部への電源の遮断時機を制御するステップと、
を有する制御部のシャットダウン工程と、
演算部が、前記記憶部が記録した時間から前記制御部の起動時間間隔を演算し、前記起動時間制御部の時間間隔に再設定するステップを有する、起動時間間隔再設定工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【0120】
<付記4>
少なくとも基板処理装置のレシピを制御する第1の制御部と、
少なくとも前記基板処理装置の異常を検知する第2の制御部と、
少なくとも前記基板処理装置と他の装置との間で行なわれる基板が格納された容器の受け渡しを制御する第3の制御部と、
前記第1の制御部、前記第2の制御部、又は前記第3の制御部の出力信号を表示する表示部と、
前記第1の制御部、前記第2の制御部、前記第3の制御部、及び前記表示部が接続され、前記第1の制御部、前記第2の制御部、又は前記第3の制御部のうちいずれの出力信号を前記表示部に表示するかを切替える切替部と
を有する基板処理装置。
【0121】
<付記5>
前記第1の制御部、前記第2の制御部、及び前記第3の制御部と電源との間に設けられたディレー回路により、前記第1の制御部、前記第2の制御部、又は前記第3の制御部のうちいずれの出力信号を前記表示部に表示するかを制御する
前記付記4に記載の基板処理装置。
【0122】
<付記6>
前記第2の制御部及び前記第3の制御部と電源との間にディレー回路を設け、前記第1の制御部を前記第2の制御部及び前記第3の制御部よりも先に起動させ、前記表示部に前記第1の制御部の出力信号を表示させる
付記5に記載の基板処理装置。
【0123】
<付記7>
基板処理装置を構成する機器を制御する、少なくとも2つ以上設けられた制御部と、
少なくとも1つ以上設けられ前記制御部の出力を表示する表示部と、
少なくとも2つ以上設けられた前記制御部のうち、少なくとも2つ以上の制御部の起動時間を異ならせる起動時間制御部と
を有する基板処理装置。
【0124】
<付記8>
前記制御部は、基板処理装置を構成する機器を制御する少なくとも1つ以上の下位制御部を制御する上位制御部と、基板処理装置と接続された1つ以上の統括制御部との通信を制御する通信制御部であり、
起動時間制御部は、前記上位制御部が前記通信制御部よりも先に起動するよう起動時間を制御する
付記7記載の基板処理装置。
【符号の説明】
【0125】
302 第1の制御部
304 第2の制御部
306 主制御部
308 真空搬送ロボットコントローラ
310 プロセスモジュールコントローラ
312 第3の制御部
314 ホスト
338 切替器
340 表示部
342 操作部
344 起動時間制御部
350 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理室と、
前記基板を搬送する基板搬送部と、
前記基板搬送部が設けられ、前記基板の搬送空間となる搬送室と、
前記処理室に設けられ、前記基板を加熱する加熱部と、
前記処理室を排気する排気部と、
前記処理室内にガスを供給するガス供給部と、
を有する基板処理装置であって、
基板処理装置を操作する作業者が操作する操作部と、
前記操作部に接続され、前記基板処理装置を制御する少なくとも2つ以上の制御部と、
前記制御部が出力する信号を表示する少なくとも1つ以上の表示部と、
前記基板処理装置の起動時に、前記少なくとも2つ以上の制御部のうち、少なくとも2つ以上の制御部の起動時間を異ならせるように前記制御部への電源の投入時機を制御する起動時間制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、少なくとも基板処理装置のレシピを制御する第1の制御部と、少なくとも前記基板処理装置の異常を検知する第2の制御部であり、
前記起動時間制御部は、前記第2の制御部よりも前記第1の制御部を先に起動させることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
基板搬送部が搬送室で基板を搬送するステップと、
前記基板搬送部が、処理室に基板を搬入するステップと、
排気部が前記処理室内を排気するステップと、
ガス供給部が前記処理室内にガスを供給するステップと、
加熱部が前記基板を加熱するステップと、
を有する本処理工程と、
少なくとも2以上の制御部が、少なくとも前記基板搬送部と前記排気部と前記ガス供給部と前記加熱部との動作を制御しつつ動作毎に信号を出力するステップと、
少なくとも1つ以上の表示部が、前記信号を受信して表示するステップと、
を有する制御工程と、
起動時間制御部が、前記少なくとも2つ以上設けられた制御部のうち、少なくとも2つ以上の制御部の起動時間を異ならせるように前記制御部への電源の投入時機を制御するステップと、
を有する制御部の起動工程と、
を有する半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−42062(P2013−42062A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179425(P2011−179425)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】