説明

基板処理装置及び溶剤再生方法

【課題】乾燥溶剤の再生手順を工夫することにより、スループットを向上させることができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】制御部51は、第1の貯留タンク11と第2の貯留タンク13の一方だけから処理槽5に乾燥溶剤を供給して、処理槽5にて基板Wを乾燥処理させる。そして、乾燥溶剤を供給した第1の貯留タンク15の乾燥溶剤が寿命に達した場合には、基板Wの処理が終了した後、第1の貯留タンク15とは異なる第2の貯留タンク13だけから処理槽5に乾燥溶剤を供給して、処理槽5にて次の基板Wを処理させる。これとともに、制御部51は、第1の貯留タンク11から溶剤再生装置3に乾燥溶剤を供給して再生処理を行わせるので、再生処理に伴って基板処理装置の乾燥処理装置1における処理を中断する必要がなく、基板処理装置のスループットを向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハや液晶表示装置用のガラス基板(以下、単に基板と称する)等の基板に対して乾燥処理を行う基板処理装置及びその溶剤再生方法に係り、特に、乾燥のために用いられる液体の乾燥溶剤を再生する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の基板処理装置(第1の装置)として、基板を収容する内槽及び内槽から溢れた溶剤を回収する外槽とを備えた処理槽と、外槽と内槽とを連通接続している循環配管と、循環配管に取り付けられた油水分離フィルタと、循環配管に取り付けられ、循環配管中の乾燥溶剤を循環させる循環ポンプとを備えているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記のような構成の装置においては、純水で基板の洗浄を行った後、例えば、HFE(ハイドロフルオロエーテル)に少量のIPA(イソプロピルアルコール)を混合してなる乾燥溶剤を供給して、処理槽中の純水を乾燥溶剤で置換するとともに、基板に付着している純水を乾燥溶剤で置換する。そして、純水が溶けにくいHFE中の純水を除去するために、乾燥溶剤を循環配管中で循環させつつ油水分離フィルタでHFE中の純水を分離させる。そして、HFE中の純水がほぼ除去できた時点で、基板を乾燥溶剤中から引き上げ、さらに基板に付着している乾燥溶剤を揮発させることで基板に対して乾燥処理を行っている。
【0004】
また、基板を乾燥処理する基板処理装置とは別体の溶剤再生装置(第2の装置)として、例えば、基板処理装置から乾燥溶剤を溶剤再生装置が取り込むための取り込み配管と、再生処理を行う再生処理部と、再生された乾燥溶剤を再生処理部から基板処理装置に送る戻し配管とを備えたものがある。この装置では、純水洗浄を終えた基板が乾燥溶剤を貯留している処理槽に搬入され、乾燥溶剤が循環されることにより基板に付着している純水が乾燥溶剤によって除去される。そして、所定時間だけ乾燥溶剤を循環させた後、基板を搬出し、順次に基板を処理する。この場合、基板とともに純水が処理槽に持ち込まれるので、所定回数(例えば、5回程度)の処理を終えた時点で、乾燥溶剤の再生を行うために、乾燥溶剤を溶剤再生装置に送る。そして、再生を終えた乾燥溶剤が基処理燥装置に戻され、次の基板が処理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−244086号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の第1の装置は、油水分離フィルタで乾燥溶剤中の純水を除去するのに長時間を要するので、次の基板を処理するまでに長時間を要する。したがって、基板処理装置のスループットが低下するという問題がある。
【0007】
また、従来の第2の装置では、乾燥溶剤を再生するために溶剤再生装置への液送時間と、再生処理部での再生時間と、再生した乾燥溶剤を基板処理装置に戻す液送時間とがかかり、やはり次の基板を処理するまでに長時間を要する。さらに、溶剤を再生するために、5回程度という少ない処理回数であるので、これも次の基板を処理するまでに長時間を要する原因となっている。したがって、基板処理装置のスループットが低下するという同様の問題を抱えている。
【0008】
なお、溶剤再生装置内における再生処理部の上流側にバッファファンクを備え、再生する乾燥溶剤を一時的にバッファタンクに溜めておくことが考えられる。しかしながら、基板処理装置からバッファタンクへ乾燥溶剤を送る液送時間の間は基板処理装置で基板を処理することができないので、やはり基板処理装置のスループットが低下することを避けられない。
【0009】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、乾燥溶剤の再生手順を工夫することにより、スループットを向上させることができる基板処理装置及び溶剤再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、基板に対して液体の乾燥溶剤を供給して乾燥処理を行う基板処理装置において、乾燥溶剤を貯留し、基板を収容する処理槽と、乾燥溶剤を貯留する複数個の貯留タンクと、前記全ての貯留タンクと前記処理槽とを連通接続し、前記処理槽に乾燥溶剤を供給する供給配管と、前記処理槽と前記全ての貯留タンクとを連通接続し、前記処理槽から乾燥溶剤を回収する回収配管と、を備えている乾燥処理装置と、乾燥溶剤から純水成分を除去する再生処理部と、前記全ての貯留タンクと前記再生処理部とを連通接続し、前記再生処理部に乾燥溶剤を送る再生送り配管と、前記再生処理部と前記全ての貯留タンクとを連通接続し、前記再生処理部から乾燥溶剤を戻す再生戻り配管と、を備えている溶剤再生装置と、前記複数個の貯留タンクのうちいずれか一つを対象貯留タンクとし、前記対象貯留タンクのみから前記処理槽に乾燥溶剤を供給して、前記処理槽にて基板を乾燥処理させ、前記対象貯留タンクの乾燥溶剤が寿命に達した場合には、前記処理槽における基板の処理が終了した後、前記対象貯留タンクとは異なる一つの貯留タンクを新たな対象貯留タンクとし、前記新たな対象貯留タンクのみから前記処理槽に乾燥溶剤を供給して、前記処理槽にて次の基板を処理させるとともに、前記対象貯留タンクから前記溶剤再生装置に乾燥溶剤を供給して再生処理を行わせる制御部と、を備えていることを特徴とするものである。
【0011】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、制御部は、複数個の貯留タンクのうちいずれか一つを対象貯留タンクとし、この対象貯留タンクだけから処理槽に乾燥溶剤を供給して、処理槽にて基板を乾燥処理させる。そして、この対象貯留タンクの乾燥溶剤が寿命に達した場合には、基板の処理が終了した後、対象貯留タンクとは異なる一つの貯留タンクを新たな対象貯留タンクとし、新たな対象貯留タンクだけから処理槽に乾燥溶剤を供給して、処理槽にて次の基板を処理させる。これとともに、制御部は、対象貯留タンクから溶剤再生装置に乾燥溶剤を供給して再生処理を行わせるので、再生処理に伴って基板処理装置における処理を中断する必要がなく、基板処理装置のスループットを向上させることができる。
【0012】
また、本発明において、前記貯留タンクごとに基板の処理に使用した回数を計数する計数手段をさらに備え、前記制御部は、前記計数手段による計数値に基づき、乾燥溶剤の寿命を判断することが好ましい(請求項2)。基板を処理する際に、基板に付着していた純水が乾燥溶剤に混入するので、ある一定回数の処理を行った時点で再生処理を行うのが好ましい。そこで、計数手段により基板を処理した回数を計数し、この回数に基づき制御部が寿命を判断することで、適切なタイミングで乾燥溶剤の再生処理を行うことができる。
【0013】
また、本発明において、前記複数個の貯留タンクは、乾燥溶剤を貯留する第1の貯留タンクと、乾燥溶剤を貯留する第2の貯留タンクとの二つの貯留タンクであって、前記供給配管は、前記処理槽への連通元を前記第1の貯留タンクまたは前記第2の貯留に切り換える第1の三方弁を備え、前記回収配管は、前記処理槽からの連通先を前記第1の貯留タンクまたは前記第2の貯留タンクに切り換える第2の三方弁を備え、前記再生送り配管は、前記溶剤再生装置への連通元を前記第1の貯留タンクまたは前記第2の貯留タンクに切り換える第3の三方弁を備え、前記再生戻り配管は、前記溶剤再生装置からの連通先を前記第1の貯留タンクまたは前記第2の貯留タンクに切り換える第4の三方弁を備え、前記制御部は、前記第1の三方弁と、前記第2の三方弁と、前記第3の三方弁と、前記第4の三方弁とを操作することが好ましい(請求項3)。第1の三方弁と、第2の三方弁と、第3の三方弁と、第4の三方弁とを制御部が操作することにより、第1の貯留タンクと第2の貯留タンクとを切り換えて処理槽へ乾燥溶剤を供給させるとともに、これに合わせて第1の貯留タンクと第2の貯留タンクから溶剤再生装置へ乾燥溶剤を供給させることができる。したがって、制御を容易に行うことができる。
【0014】
また、本発明において、前記乾燥溶剤は、第1の溶剤と第2の溶剤とを混合してなり、前記溶剤再生装置は、前記再生送り配管が連通接続され、乾燥溶剤から純水成分を除去する水分除去タンクと、前記水分除去タンクに連通接続され、純水成分が除去された乾燥溶剤を貯留する再生タンクと、前記再生タンクに第1の溶剤を供給する第1の溶剤供給手段と、前記再生タンクに第2の溶剤を供給する第2の溶剤供給手段と、前記再生タンク内に貯留している乾燥溶剤における第1の溶剤または第2の溶剤の濃度を検出する濃度検出手段と、を備え、前記制御部は、前記再生タンクにおける濃度を前記濃度検出手段により検出し、その検出値に基づいて前記第1の溶剤供給手段または前記第2の溶剤供給手段を操作して、前記再生タンク内の乾燥溶剤の濃度を調整することが好ましい(請求項4)。処理槽で使用するにしたがって、第1の溶剤と第2の溶剤の比率が変動したり、揮発したり等によって液量が減少する。制御部が濃度検出手段の検出結果に基づいて第1の溶剤と第2の溶剤を再生タンクに供給させることにより、乾燥溶剤の成分濃度及び液量を適切に維持させることができ、乾燥処理を好適に行わせることができる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、基板処理装置で使用した液体の乾燥溶剤を再生する溶剤再生方法において、複数個の貯留タンクのうちいずれか一つの貯留タンクを対象貯留タンクとし、前記対象貯留タンクから乾燥溶剤を処理槽に供給する過程と、前記対象貯留タンクの乾燥溶剤が寿命に達したか否かを判断する過程と、乾燥溶剤が寿命に達した場合には、前記対象貯留タンクとは異なる一つの溶剤タンクを新たな対象貯留タンクとし、前記新たな対象貯留タンクから乾燥溶剤を処理槽に供給するとともに、前記対象貯留タンクから溶剤再生装置に乾燥溶剤を送る過程と、前記溶剤再生装置にて乾燥溶剤を再生する過程と、前記再生した乾燥溶剤を前記対象貯留タンクに戻す過程と、を備えていることを特徴とするものである。
【0016】
[作用・効果]請求項5に記載の発明によれば、複数個の貯留タンクのうちのいずれか一つを対象貯留タンクとし、この対象貯留タンクから乾燥溶剤を処理槽に供給し、乾燥溶剤が寿命に達したと判断した場合には、新たな対象溶剤タンクから処理槽に乾燥溶剤を供給して基板に対する処理を行う。これにより乾燥溶剤が寿命となって再生が必要となっても基板への処理を継続することができる。また、対象溶剤タンクから溶剤再生装置に乾燥溶剤を送り、溶剤再生装置で乾燥溶剤を再生し、再生した乾燥溶剤を対象貯留タンクへ戻すので、寿命となった乾燥溶剤の次の使用に備えることができる。したがって、乾燥溶剤の再生処理に伴って基板処理装置における処理を中断する必要がなく、基板処理装置のスループットを向上させることができる。
【0017】
また、本発明において、前記対象貯留タンクの乾燥溶剤が寿命に達したか否かを判断する過程の前に、前記対象貯留タンクから乾燥溶剤を処理槽に供給する度に使用回数を計数する過程を含むことが好ましい(請求項6)。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る基板処理装置によれば、制御部は、複数個の貯留タンクのうちいずれか一つを対象貯留タンクとし、この対象貯留タンクだけから処理槽に乾燥溶剤を供給して、処理槽にて基板を乾燥処理させる。そして、この対象貯留タンクの乾燥溶剤が寿命に達した場合には、基板の処理が終了した後、対象貯留タンクとは異なる一つの貯留タンクを新たな対象貯留タンクとし、新たな対象貯留タンクだけから処理槽に乾燥溶剤を供給して、処理槽にて次の基板を処理させる。これとともに、制御部は、対象貯留タンクから溶剤再生装置に乾燥溶剤を供給して再生処理を行わせるので、再生処理に伴って基板処理装置における処理を中断する必要がなく、基板処理装置のスループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例に係る基板処理装置を示す概略構成図である。
【図2】三方弁の制御タイミング例を示すタイムチャートである。
【図3】乾燥溶剤の流れを示す模式図であり、(a)は第1の貯留タンクの使用時であり、(b)は第2の貯留タンクの使用時である。
【図4】全体動作を示すフローチャートである。
【図5】再生処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照してこの発明の一実施例について説明する。
図1は、実施例に係る基板処理装置を示す概略構成図である。
【0021】
本実施例に係る基板処理装置は、乾燥処理装置1と溶剤再生装置3とを備えている。乾燥処理装置1は、他の装置で純水等により洗浄された基板Wが搬入され、その基板Wに対して、液体の乾燥溶剤により乾燥処理を行う。溶剤再生装置3は、乾燥処理装置1で使用された乾燥溶剤に含まれる純水成分を除去して、乾燥溶剤の再生処理を行う。
【0022】
乾燥処理装置1は、処理槽5を備えている。この処理槽5は、乾燥溶剤を貯留し、基板Wを収容して基板Wに対して乾燥処理を行う。乾燥溶剤としては、例えば、HFE(ハイドロフルオロエーテル)などが挙げられるが、ここでは、例えば、5%のIPA(イソプロピルアルコール)と95%のHFEとを含む乾燥溶剤であるとして説明する。処理槽5に対しては、図示しないリフタにより、処理槽5の内部にあたる処理位置(図1に示す位置)と、処理槽5の外部にあたる待機位置(不図示)とにわたって移動される。また、処理槽5は、側部に注入口7と底部に排出口9とを備えている。
【0023】
本実施例における乾燥処理装置1は、乾燥溶剤を貯留するタンクとして、二つの貯留タンクを備えている。具体的には、第1の貯留タンク11と第2の貯留タンク13とを備えている。
【0024】
第1の貯留タンク11は、第1の送り口15と、第1の戻り口17と、第2の送り口19と、第2の戻り口21とを備えている。第1の送り口15と注入口7とは、供給配管23によって連通接続されている。第1の戻り口17と排出口9とは、回収配管25によって連通接続されている。供給配管23には、三方弁V1と、ポンプ29と、フィルタ31と、流量計33とが上流側から順に取り付けられている。回収配管25には、三方弁V2が取り付けられている。
【0025】
第2の貯留タンク13は、第1の送り口35と、第1の戻り口37と、第2の送り口39と、第2の戻り口41とを備えている。第1の送り口35と三方弁V1とは、分岐管43により連通接続されている。第1の戻り口37と三方弁V2とは、分岐管45によって連通接続されている。
【0026】
乾燥処理装置1は、第1のカウンタ47と、第2のカウンタ49と、制御部51とを備えている。第1のカウンタ47は、第1の貯留タンク11の乾燥溶剤で基板Wが処理された回数を計数し、第2のカウンタ49は、第2の貯留タンク13の乾燥溶剤で基板Wが処理された回数を計数する。第1のカウンタ47及び第2のカウンタ49の計数値は、制御部51によって適宜参照される。また、制御部51は、第1のカウンタ47及び第2のカウンタ49のリセットやインクリメント等の計数制御、図示しないリフタの昇降制御、上述した三方弁V1,V2及び後述する三方弁(V3,V4)の切換制御、上述したポンプ29及び後述するポンプ(71,87)、後述する流量制御弁(93,99)の動作制御などを統括的に行う。
【0027】
なお、三方弁V1が本発明における「第1の三方弁」に相当し、三方弁V2が「第2の三方弁」に相当し、三方弁V3が「第3の三方弁」に相当し、三方弁V4が「第4の三方弁」に相当する。また、第1のカウンタ47と第2のカウンタ49とが本発明における「計数手段」に相当する。
【0028】
溶剤再生装置3は、水分除去タンク61と再生タンク63とを備えている。水分除去タンク61は、取込口65と取り出し口67とを有する。水分除去タンク61は、取込口65から乾燥溶剤を取り込み、乾燥溶剤に含まれている純水成分を除去して取り出し口67から排出する。取込口65と、第1の貯留タンク11の第2の送り口19とは、再生送り配管69によって連通接続されている。再生送り配管69には、第1の貯留タンク11側から順に、三方弁V3と、ポンプ71とが取り付けられている。三方弁V3は、分岐管73を介して、第2の貯留タンク13の第2の送り口39にも連通接続されている。
【0029】
なお、水分除去タンク61は、例えば、超極細濾過フィルタを備え、純水と乾燥溶剤との比重の違いに基づき、それらを分離する油水分離フィルタや、モレキュラーシーブ、活性炭、アルミナ等で構成され、乾燥溶剤中に含まれている微量の純水をも吸着する吸着フィルタなどを組み合わせて構成されている。
【0030】
再生タンク63は、取込口75と、取り出し口77と、二つの注入口79,81とを備えている。取込口75と、水分除去タンク61の取り出し口67とは、連結管83によって連通接続されている。取り出し口77と、第1の貯留タンク11の第2の戻り口21とは、再生戻り配管85で連通接続されている。この再生戻り配管85には、取り出し口77側から順に、ポンプ87と、三方弁V4とが取り付けられている。三方弁V4は、分岐管87を介して第2の戻り口41に連通接続されている。
【0031】
なお、水分除去タンク61と再生タンク63とが本発明における「再生処理部」に相当する。
【0032】
例えば、IPAを貯留している第1の溶剤供給源89は、流量調整弁93が取り付けられた供給管95を介して注入口79に連通接続されている。また、例えば、HFEを貯留している第2の溶剤供給源97は、流量調整弁99が取り付けられた供給管101を介して注入口81に連通接続されている。各流量調整弁93,99は、制御部51により制御される。また、再生タンク63は、内部に貯留している乾燥溶剤における、IPAまたはHFEの濃度を測定する濃度計103を備えている。
【0033】
なお、第1の溶剤供給源89が本発明における「第1の溶剤供給手段」に相当し、第2の溶剤供給源97が本発明における「第2の溶剤供給手段」に相当する。
【0034】
制御部51は、濃度計103からの検出値に基づき、流量調整弁93,99を操作して、再生タンク63内の乾燥溶剤が所定の濃度となるように調整を行う。
【0035】
次に、図2〜図5を参照して、上述した基板処理装置の動作について説明する。なお、図2は三方弁の制御タイミング例を示すタイムチャートであり、図3は乾燥溶剤の流れを示す模式図であり、(a)は第1の貯留タンクの使用時であり、(b)は第2の貯留タンクの使用時である。また、図4は全体動作を示すフローチャートであり、図5は再生処理を示すフローチャートである。
【0036】
なお、初期状態は次のような状態であるとする。
第1の貯留タンク11と第2の貯留タンク13には、新規の乾燥溶剤が貯留されており、第1の貯留タンク11から乾燥溶剤を供給して乾燥処理を行う。また、その際、第2の貯留タンク13の乾燥溶剤が「再生処理」可能な状態になっているが、その処理は行われない。つまり、三方弁V3,V4は、第2の貯留タンク13側に切り換えられているが、ポンプ71が作動されておらず、乾燥溶剤が溶剤再生装置3には送られていない。
【0037】
ステップS1〜S3
制御部51は、三方弁V1,V2を第1の貯留タンク11側に切り換えるとともに、三方弁V3,V4を第2の貯留タンク13側に切り換える(図2のt0時点)。そして、ポンプ29を作動させて第1の貯留タンク11内の乾燥溶剤を処理槽5に供給して基板Wに乾燥処理を行いつつ、処理槽5から乾燥溶剤を回収する(ステップS1)。なお、この状態を図3(a)に示す。さらに第1のカウンタ47を操作して、計数値をインクリメントする(ステップS2)。そして、第1のカウンタ47が規定値(例えば、5回)に達したか否かによって処理を分岐する(ステップS3)。ここでは、第1のカウンタ47が規定値に達していない(アップしていない)として説明する。
【0038】
なお、この時点における第1の貯留タンク11が本発明における「対象貯留タンク」に相当する。
【0039】
ステップS4
制御部51は、未処理の基板Wがあるか否かにより処理を分岐する。ここでは、未処理の基板Wがあるものとする。
【0040】
ステップS1〜S4
制御部51は、三方弁V1〜V4の状態を維持したまま、第1のカウンタ47がアップするまで順次に基板Wを処理する。
【0041】
次に、ステップS3において第1のカウンタ47がアップしたとする。
【0042】
ステップS5
制御部51は、処理済みの基板Wを搬出し、次なる基板Wを搬入する間に、ポンプ29を停止させるとともに三方弁V1,V2を第2の貯留タンク13側に切り換え、さらに三方弁V3,V4を第1の貯留タンク11側に切り換える(図2のt1時点)。さらに、制御部51は、ポンプ71を作動させて、第1の貯留タンク11内の乾燥溶剤を溶剤再生装置3に送る。溶剤再生装置3における「再生処理」については後述する。
【0043】
ステップS6〜S8
制御部51は、処理槽5に次なる基板Wが搬入されたことを確認した後、ポンプ29を作動させて、第2の貯留タンク13から乾燥溶剤を処理槽5に供給するとともに、処理槽5から乾燥溶剤を回収して、乾燥溶剤を循環させつつ基板Wに乾燥処理を行う(ステップS6)。なお、この状態を図3(b)に示す。さらに、第2のカウンタ49を操作して、計数値をインクリメントする(ステップS7)。そして、第2のカウンタ49が規定値(例えば、5回)に達したか否かによって処理を分岐する(ステップS8)。
【0044】
なお、この時点における第2の貯留タンク13が本発明における「対象貯留タンク」に相当する。
【0045】
ステップS9
制御部51は、未処理の基板Wがあるか否かにより処理を分岐する。ここでは、未処理の基板Wがあるものとする。
【0046】
ステップS6〜S9
制御部51は、三方弁V1〜V4の状態を維持したまま、第2のカウンタ49がアップするまで順次に基板Wを処理してゆく。
【0047】
上記ステップS6〜S9を繰り返し実行するうちに、ステップS8において第2のカウンタ49がアップしたとする。
【0048】
ステップS10
制御部51は、第2のカウンタ49がアップしたことを受けて、処理済みの基板Wを処理槽5から搬出し、次なる基板Wを搬入する間に、ポンプ29を停止させるとともに、三方弁V1,V2を第1の貯留タンク11側に切り換え、さらに三方弁V3,V4を第2の貯留タンク13側に切り換える(図2のt2時点)。さらに、制御部51は、ポンプ71を作動させて、第2の貯留タンク13内の乾燥溶剤を溶剤再生装置3に送る。なお、この状態を図3(a)に示す。
【0049】
図5を参照して、上記ステップS5における「再生処理」について説明する。
【0050】
ステップS51
制御部51は、三方弁V3,V4を第1の貯留タンク11側に切り換える(図2のt1時点)とともに、ポンプ71を作動させて、第1の貯留タンク11の乾燥溶剤を溶剤再生装置3に送る。
【0051】
ステップS52
溶剤再生装置3に送られた乾燥溶剤は、水分除去タンク61にて純水成分が除去され、再生タンク63に送られる。水分除去タンク61は、例えば、図示しない油水分離フィルタに対して乾燥溶剤を繰り返し通して純水成分をおおまかに除去した後、図示しない吸着フィルタで僅かに残った純水成分を除去することが好ましい。純水成分が多いままで吸着フィルタに乾燥溶剤を通過させると、吸着フィルタの寿命が早まるからである。
【0052】
ステップS53
制御部51は、純水成分が除去されて再生タンク63に送られた乾燥溶剤の溶剤濃度を濃度計103により測定する。そして、必要に応じて、第1の溶剤供給源89からIPAを補充し、第2の溶剤供給源97からHFEを補充する。
【0053】
ステップS54
溶剤を補充して成分調整が終わった後、ポンプ87を作動させて再生タンク63内の再生された乾燥溶剤を第1の貯留タンク11に戻す。
【0054】
なお、上記ステップS10における「再生処理」は、三方弁V3,V4を第2の貯留タンク13側に切り換えて、第2の貯留タンク13から乾燥溶剤を回収するとともに、再生済みの乾燥溶剤を第2の貯留タンク13に戻す点が異なるだけである。
【0055】
上述したように、本実施例によると、制御部51は、第1の貯留タンク11と第2の貯留タンク13の一方だけから処理槽5に乾燥溶剤を供給して、処理槽5にて基板Wを乾燥処理させる。そして、乾燥溶剤を供給した第1の貯留タンク15の乾燥溶剤が寿命に達した場合には、基板Wの処理が終了した後、第1の貯留タンク15とは異なる第2の貯留タンク13だけから処理槽5に乾燥溶剤を供給して、処理槽5にて次の基板Wを処理させる。これとともに、制御部51は、第1の貯留タンク11から溶剤再生装置3に乾燥溶剤を供給して再生処理を行わせるので、再生処理に伴って基板処理装置の乾燥処理装置1における処理を中断する必要がなく、基板処理装置のスループットを向上させることができる。
【0056】
また、第1のカウンタ47及び第2のカウンタ49により基板Wを処理した回数を計数し、この回数に基づき制御部51が寿命を判断することで、適切なタイミングで乾燥溶剤の再生処理を行うことができる。
【0057】
さらに、制御部51が三方弁V1〜V4を操作することにより、第1の貯留タンク11と第2の貯留タンク13とを切り換えて処理槽5へ乾燥溶剤を供給させるとともに、これに合わせて第1の貯留タンク11と第2の貯留タンク13から溶剤再生装置3へ乾燥溶剤を供給させることができる。したがって、制御部51が制御を容易に行うことができる。
【0058】
また、制御部51が濃度計103の検出結果に基づいてIPAとHFEを再生タンク63に供給させることにより、乾燥溶剤の成分濃度及び液量を適切に維持させることができ、乾燥処理を好適に行わせることができる。
【0059】
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0060】
(1)上述した実施例では、計数手段により乾燥溶剤の使用回数を監視しているが、例えば、乾燥溶剤が生成されてからの経過時間を監視するようにしてもよい。これにより、使用しなくても揮発等により寿命となる乾燥溶剤について、その再生要否を好適に管理できる。
【0061】
(2)上述した実施例では、第1の溶剤としてIPA、第2の溶剤としてHFEを含む乾燥溶剤を例にとって説明したが、例えば、HFEだけを含む乾燥溶剤であってもよい。また、乾燥溶剤としては、HFEに限定されるものではなく、例えば、フッ素系溶剤であるHFC(ハイドロフルオロカーボン)であってもよい。
【0062】
(3)上述した実施例では、単一の処理槽5を例示したが、内槽と、内槽から溢れた乾燥溶剤を回収する外槽とを備えた処理槽であってもよい。
【0063】
(4)上述した実施例では、二つの貯留タンクを例にとって説明したが、例えば、3個以上の貯留タンクを備えるようにしてもよい。
【0064】
(5)上述した実施例では、三方弁V1〜V4を採用しているが、二つの開閉弁を組み合わせて構成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
W … 基板
1 … 乾燥処理装置
3 … 溶剤再生装置
5 … 処理槽
11 … 第1の貯留タンク
13 … 第2の貯留タンク
23 … 供給配管
25 … 回収配管
V1〜V4 … 三方弁
47 … 第1のカウンタ
49 … 第2のカウンタ
51 … 制御部
61 … 水分除去タンク
63 … 再生タンク
69 … 再生送り配管
71 … 再生戻り配管
89 … 第1の溶剤供給源
97 … 第2の溶剤供給源
103 … 濃度計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して液体の乾燥溶剤を供給して乾燥処理を行う基板処理装置において、
乾燥溶剤を貯留し、基板を収容する処理槽と、
乾燥溶剤を貯留する複数個の貯留タンクと、
前記全ての貯留タンクと前記処理槽とを連通接続し、前記処理槽に乾燥溶剤を供給する供給配管と、
前記処理槽と前記全ての貯留タンクとを連通接続し、前記処理槽から乾燥溶剤を回収する回収配管と、
を備えている乾燥処理装置と、
乾燥溶剤から純水成分を除去する再生処理部と、
前記全ての貯留タンクと前記再生処理部とを連通接続し、前記再生処理部に乾燥溶剤を送る再生送り配管と、
前記再生処理部と前記全ての貯留タンクとを連通接続し、前記再生処理部から乾燥溶剤を戻す再生戻り配管と、
を備えている溶剤再生装置と、
前記複数個の貯留タンクのうちいずれか一つを対象貯留タンクとし、前記対象貯留タンクのみから前記処理槽に乾燥溶剤を供給して、前記処理槽にて基板を乾燥処理させ、前記対象貯留タンクの乾燥溶剤が寿命に達した場合には、前記処理槽における基板の処理が終了した後、前記対象貯留タンクとは異なる一つの貯留タンクを新たな対象貯留タンクとし、前記新たな対象貯留タンクのみから前記処理槽に乾燥溶剤を供給して、前記処理槽にて次の基板を処理させるとともに、前記対象貯留タンクから前記溶剤再生装置に乾燥溶剤を供給して再生処理を行わせる制御部と、
を備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記貯留タンクごとに基板の処理に使用した回数を計数する計数手段をさらに備え、
前記制御部は、前記計数手段による計数値に基づき、乾燥溶剤の寿命を判断することを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置において、
前記複数個の貯留タンクは、乾燥溶剤を貯留する第1の貯留タンクと、乾燥溶剤を貯留する第2の貯留タンクとの二つの貯留タンクであって、
前記供給配管は、前記処理槽への連通元を前記第1の貯留タンクまたは前記第2の貯留に切り換える第1の三方弁を備え、
前記回収配管は、前記処理槽からの連通先を前記第1の貯留タンクまたは前記第2の貯留タンクに切り換える第2の三方弁を備え、
前記再生送り配管は、前記溶剤再生装置への連通元を前記第1の貯留タンクまたは前記第2の貯留タンクに切り換える第3の三方弁を備え、
前記再生戻り配管は、前記溶剤再生装置からの連通先を前記第1の貯留タンクまたは前記第2の貯留タンクに切り換える第4の三方弁を備え、
前記制御部は、前記第1の三方弁と、前記第2の三方弁と、前記第3の三方弁と、前記第4の三方弁とを操作することを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の基板処理装置において、
前記乾燥溶剤は、第1の溶剤と第2の溶剤とを混合してなり、
前記溶剤再生装置は、
前記再生送り配管が連通接続され、乾燥溶剤から純水成分を除去する水分除去タンクと、
前記水分除去タンクに連通接続され、純水成分が除去された乾燥溶剤を貯留する再生タンクと、
前記再生タンクに第1の溶剤を供給する第1の溶剤供給手段と、
前記再生タンクに第2の溶剤を供給する第2の溶剤供給手段と、
前記再生タンク内に貯留している乾燥溶剤における第1の溶剤または第2の溶剤の濃度を検出する濃度検出手段と、
を備え、
前記制御部は、前記再生タンクにおける濃度を前記濃度検出手段により検出し、その検出値に基づいて前記第1の溶剤供給手段または前記第2の溶剤供給手段を操作して、前記再生タンク内の乾燥溶剤の濃度を調整することを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
基板処理装置で使用した液体の乾燥溶剤を再生する溶剤再生方法において、
複数個の貯留タンクのうちいずれか一つの貯留タンクを対象貯留タンクとし、前記対象貯留タンクから乾燥溶剤を処理槽に供給する過程と、
前記対象貯留タンクの乾燥溶剤が寿命に達したか否かを判断する過程と、
乾燥溶剤が寿命に達した場合には、前記対象貯留タンクとは異なる一つの溶剤タンクを新たな対象貯留タンクとし、前記新たな対象貯留タンクから乾燥溶剤を処理槽に供給するとともに、前記対象貯留タンクから溶剤再生装置に乾燥溶剤を送る過程と、
前記溶剤再生装置にて乾燥溶剤を再生する過程と、
前記再生した乾燥溶剤を前記対象貯留タンクに戻す過程と、
を備えていることを特徴とする溶剤再生方法。
【請求項6】
請求項5に記載の溶剤再生方法において、
前記対象貯留タンクの乾燥溶剤が寿命に達したか否かを判断する過程の前に、前記対象貯留タンクから乾燥溶剤を処理槽に供給する度に使用回数を計数する過程を含むことを特徴とする溶剤再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−192566(P2010−192566A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33689(P2009−33689)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】