説明

基板処理装置

【課題】異なる運用方式が指定された場合でもスループットの低下を防止する。
【解決手段】複数のウエハを収納するキャリアと、ウエハに処理を施す複数の処理モジュールと、これら処理モジュールにウエハを搬送する搬送装置が設置された搬送室と、キャリアに収納されたそれぞれのウエハに指定された運用方式に基づき搬送装置および処理モジュール内の処理を実行させるコントローラとを備えており、コントローラはそれぞれのウエハに指定された運用方式のうち所定の運用方式を選択し、選択された運用方式が指定されているウエハから優先して実行させる。一枚のウエハ毎に処理条件を変更せずに済むので、連続処理装置のスループットを向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関し、特に、運用順序の最適化技術に係り、例えば、半導体集積回路装置(以下、ICという。)の製造工場において、半導体素子を含む集積回路が作り込まれる半導体ウエハ(以下、ウエハという。)に金属膜や絶縁膜および半導体膜を形成するのに利用して有効なものに関する。
【背景技術】
【0002】
ICの製造方法において、ウエハに金属膜や絶縁膜および半導体膜を形成する成膜工程には、マルチチャンバ型基板処理装置(以下、基板処理装置という。)が広く使用されている。
従来の基板処理装置として、平面視が六角形で上下両端が閉塞した箱形状のロードロックチャンバ構造に形成されてウエハ移載室を構成する筐体を備えており、ウエハ移載室にはウエハ移載装置が設置されているとともに、筐体の6枚の側壁には複数の予備室および複数の処理モジュールがそれぞれ連結されているものがある。
また、基板処理装置には、ウエハの運用方式を指定してウエハ移載装置や処理モジュールにそれを実行させる制御コントローラが、搭載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述した基板処理装置においては、異なる運用方式が指定されたウエハが複数枚混流している場合には、スループットが低下するという問題点があった。
【0004】
本発明の目的は、異なる運用方式が指定される基板が複数枚混流している場合であってもスループットの低下を防止することができる基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願において開示される発明のうち代表的なものは、次の通りである。
(1)複数の基板を収納するキャリアと、前記基板に処理を施す複数の処理モジュールと、これら処理モジュールに前記基板を搬送する搬送装置が設置された搬送室と、前記キャリアに収納されたそれぞれの基板に指定された運用方式に基づき前記搬送装置および前記処理モジュール内の処理を実行させるコントローラとを備えており、
前記コントローラは、前記それぞれの基板に指定された運用方式のうち所定の運用方式を選択し、選択された運用方式が指定されている基板から優先して実行させる基板処理装置。
【発明の効果】
【0006】
前記手段によれば、異なる運用方式が指定される基板が複数枚混流している場合であってもスループットの低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の一実施の形態を図面に即して説明する。
【0008】
本実施の形態において、本発明に係る基板処理装置は、図1および図2に示されているように、マルチチャンバ型基板処理装置(以下、連続処理装置という。)として構成されている。この連続処理装置はICの製造方法にあってウエハに所望の薄膜を堆積させる成膜工程に使用されるように構成されている。
なお、本実施の形態に係る連続処理装置においてはウエハ搬送用のキャリアとしては、FOUP(front opening unified pod 。以下、ポッドという。)が使用されている。
以下の説明において、前後左右は図1を基準とする。すなわち、第二ウエハ移載室40側が前側、その反対側すなわち第一ウエハ移載室10側が後側、第一予備室20側が左側、第二予備室30側が右側とする。
【0009】
図1および図2に示されているように、連続処理装置は搬送室としての第一ウエハ移載室10を備えており、第一ウエハ移載室10は大気圧未満の圧力(負圧)に耐えるロードロックチャンバ構造に構成されている。第一ウエハ移載室(以下、負圧移載室という。)10の筐体(以下、負圧移載室筐体という。)11は、平面視が六角形で上下両端が閉塞した箱形状に形成されている。
【0010】
負圧移載室10の中央部には、ウエハを保持して搬送する搬送装置としてのウエハ移載装置12が設置されており、ウエハ移載装置12は負圧下においてウエハWを移載するように構成されている。ウエハ移載装置(以下、負圧移載装置という。)12は、スカラ形ロボット(selective compliance assembly robot arm SCARA)によって構成されており、負圧移載室筐体11の底壁に設置されたエレベータ13によって気密シールを維持しつつ昇降するように構成されている。
負圧移載装置12はウエハWを保持する保持部としての一対のアーム14、15を備えている。上側に位置する第一アーム(以下、上側アームという。)14の先端部には、二股のフォーク形状に形成された上側エンドエフェクタ16が取り付けられており、下側に位置する第二アーム(以下、下側アームという。)15の先端部には、下側エンドエフェクタ17が取り付けられている。
【0011】
負圧移載室筐体11の6枚の側壁のうち正面側に位置する2枚の側壁には、負圧移載室10に対してウエハWを搬入搬出する予備室としての第一予備室20と第二予備室30とがそれぞれ隣接して連結されている。
第一予備室20の筐体(以下、第一予備室筐体という。)21および第二予備室30の筐体(以下、第二予備室筐体という。)31はいずれも、平面視が大略四角形で上下両端が閉塞した箱形状に形成されているとともに、負圧に耐え得るロードロックチャンバ構造に構成されている。
【0012】
互いに隣接した第一予備室筐体21の側壁および負圧移載室筐体11の側壁には搬入搬出口22、23がそれぞれ開設されており、負圧移載室10側の搬入搬出口23には搬入搬出口22、23を開閉するゲートバルブ24が設置されている。第一予備室20には第一予備室用仮置き台25が設置されている。
互いに隣接した第二予備室筐体31の側壁および負圧移載室筐体11の側壁には搬入搬出口32、33がそれぞれ開設されており、負圧移載室10側の搬入搬出口33には搬入搬出口32、33を開閉するゲートバルブ34が設置されている。第二予備室30には第二予備室用仮置き台35が設置されている。
【0013】
第一予備室20および第二予備室30の前側には、大気圧以上の圧力(正圧)を維持可能な構造に構成された第二ウエハ移載室(以下、正圧移載室という。)40が隣接して連結されており、正圧移載室40の筐体(以下、正圧移載室筐体という。)41は、平面視が横長の長方形で上下両端が閉塞した箱形状に形成されている。
正圧移載室40には正圧下でウエハWを移載する第二ウエハ移載装置(以下、正圧移載装置という。)42が設置されており、正圧移載装置42はスカラ形ロボットによって2枚のウエハを同時に搬送し得るように構成されている。
正圧移載装置42は正圧移載室40に設置されたエレベータ43によって昇降されるように構成されているとともに、リニアアクチュエータ44によって左右方向に往復移動されるように構成されている。
【0014】
互いに隣接した第一予備室筐体21の側壁および正圧移載室筐体41の側壁には搬入搬出口26、27がそれぞれ開設されており、正圧移載室40側の搬入搬出口27には搬入搬出口26、27を開閉するゲートバルブ28が設置されている。
互いに隣接した第二予備室筐体31の側壁および正圧移載室筐体41の側壁には搬入搬出口36、37がそれぞれ開設されており、正圧移載室40側の搬入搬出口37には搬入搬出口36、37を開閉するゲートバルブ38が設置されている。
図1に示されているように、正圧移載室40の左側にはノッチ合わせ装置45が設置されている。
また、図2に示されているように、正圧移載室40の上部にはクリーンエアを供給するクリーンユニット46が設置されている。
【0015】
図1および図2に示されているように、正圧移載室筐体41の正面壁には三つのウエハ搬入搬出口47、48、49が左右方向に並べられて開設されており、これらのウエハ搬入搬出口47、48、49はウエハWを正圧移載室40に対して搬入搬出し得るように設定されている。これらのウエハ搬入搬出口47、48、49にはポッドオープナ50がそれぞれ設置されている。
【0016】
ポッドオープナ50はポッドPを載置する載置台51と、載置台51に載置されたポッドPのキャップを着脱するキャップ着脱機構52とを備えており、載置台51に載置されたポッドPのキャップをキャップ着脱機構52によって着脱することにより、ポッドPのウエハ出し入れ口を開閉するようになっている。
ポッドオープナ50の載置台51に対してはポッドPが、図示しない構内搬送装置(RGV)によって供給および排出されるようになっている。したがって、載置台51によってキャリアステージとしてのポッドステージが構成されていることになる。
【0017】
図1に示されているように、負圧移載室筐体11の6枚の側壁のうち背面側に位置する2枚の側壁には、第一処理モジュールとしての第一CVDモジュール61と、第二処理モジュールとしての第二CVDモジュール62とがそれぞれ隣接して連結されている。第一CVDモジュール61および第二CVDモジュール62はいずれも、枚葉式CVD装置(枚葉式コールドウオール形CVD装置)によってそれぞれ構成されている。
また、負圧移載室筐体11における6枚の側壁のうちの残りの互いに対向する2枚の側壁には、第三処理モジュールとしての第一クーリングモジュール63と、第四処理モジュールとしての第二クーリングモジュール64とがそれぞれ連結されており、第一クーリングモジュール63および第二クーリングモジュール64はいずれも、処理済みのウエハWを冷却するように構成されている。
なお、図1中、65、66、67、68はウエハ搬入搬出口である。
【0018】
連続処理装置は図3に示された制御システム70を備えている。
図3に示されているように、制御システム70はパーソナルコンピュータ等から構築されたメインコントローラ71を備えている。メインコントローラ71にはLANシステム72を介して、負圧移載装置12を制御するサブコントローラ73、正圧移載装置42を制御するサブコントローラ74、第一CVDモジュール(第一処理モジュール)61を制御するサブコントローラ75、第二CVDモジュール(第二処理モジュール)62を制御するサブコントローラ76、第一クーリングモジュール(第三処理モジュール)63を制御するサブコントローラ77、第二クーリングモジュール(第四処理モジュール)64を制御するサブコントローラ78等が接続されている。
メインコントローラ71には、キーボードやマウス等の入力手段によって構成された入力装置81、テレビモニタ等の表示部(操作画面)によって構成された表示装置82、記憶媒体駆動装置等によって構成された記憶装置83等が接続されている。
また、メインコントローラはホストコンピュータ84に接続することができるようになっている。
【0019】
メインコントローラ71はGUI(グラフィカル・ユーザ・インタフエース)85を備えている。GUI85は表示装置82に表示された操作画面上のアイコン(機能を表す図形記号)をマウスポインタで指示してクリックしたり、カーソルで指示して決定したりして選択することにより、画面を切り替えたり、処理や命令、判断およびデータ(情報)を入力することができるようにするソフトウエア、である。
【0020】
メインコントローラ71には負圧移載装置12、正圧移載装置40、第一CVDモジュール61、第二CVDモジュール62、第一クーリングモジュール63および第二クーリングモジュール64の運用を最適化するプログラム(以下、最適化プログラムという。)86が組み込まれている。
運用最適化プログラム86は、ウエハに対する負圧移載装置12、正圧移載装置40および第一CVDモジュール61〜第二クーリングモジュール64の運用方式(後述する)を指定する運用方式指定部87と、運用方法テーブルを作成する運用方式テーブル作成部88と、テーブルから同一運用方式を選択する同一運用方式選択部89とを備えており、後述するプロセスフローを実行するように構成されている。
【0021】
以下、前記構成に係る連続処理装置の運用方法を説明する。
まず、ICの製造方法における成膜工程(プロセス)を実施する場合に即して、ウエハのフローに伴う連続処理装置の作動を説明する。
これから成膜すべきウエハWは25枚がポッドPに収納された状態で、成膜工程を実施する連続処理装置へ工程内搬送装置によって搬送されて来る。
図1および図2に示されているように、搬送されて来たポッドPは第一予備室20におけるポッドオープナ50の載置台51の上に構内搬送装置から受け渡されて載置される。ポッドPのキャップがキャップ着脱機構52によって取り外され、ポッドPのウエハ出し入れ口が開放される。
【0022】
ポッドPがポッドオープナ50によって開放されると、正圧移載室40に設置された正圧移載装置42はウエハ搬入搬出口47を通してポッドPからウエハWを1枚ずつピックアップし、第一予備室20に搬入搬出口26、27を通して搬入(ウエハローディング)し、ウエハWを第一予備室用仮置き台25に移載して行く。
この移載作業中には、負圧移載室10側の搬入搬出口22、23はゲートバルブ24によって閉じられており、負圧移載室10の負圧は維持されている。
【0023】
ポッドP内のウエハWの第一予備室用仮置き台25への移載が完了すると、正圧移載室40側の搬入搬出口26、27がゲートバルブ28によって閉じられ、第一予備室20が排気装置(図示せず)によって負圧に排気される。
第一予備室20が予め設定された圧力値に減圧されると、負圧移載室10側の搬入搬出口22、23がゲートバルブ24によって開かれる。
【0024】
次に、負圧移載室10の負圧移載装置12は搬入搬出口22、23を通して第一予備室用仮置き台25から処理前のウエハWを1枚ずつピックアップして負圧移載室10に搬入する。
例えば、負圧移載装置12は処理前のウエハWを第一CVDモジュール61のウエハ搬入搬出口65に搬送して、ウエハ搬入搬出口65から第一CVDモジュール61である枚葉式CVD装置の処理室へ搬入(ウエハローディング)する。
【0025】
第一CVDモジュール61において所定の成膜処理が終了すると、成膜処理後(成膜済)のウエハWは第一CVDモジュール61から負圧移載装置12によってピックアップされて、負圧に維持されている負圧移載室10に第一CVDモジュール61のウエハ搬入搬出口65から搬出(ウエハアンローディング)される。
【0026】
成膜処理後のウエハWを第一CVDモジュール61から負圧移載室10に搬出すると、負圧移載装置12は成膜処理後のウエハWを第一クーリングモジュール63の冷却室へウエハ搬入搬出口67およびゲート67Aを通して搬入するとともに、冷却室のウエハ載置台に移載する。
ウエハWは第一クーリングモジュール63において冷却処理される。
【0027】
第一クーリングモジュール63において予め設定された冷却時間が経過すると、冷却処理後のウエハWは負圧移載装置12によって第一クーリングモジュール63からピックアップされて、負圧移載室10の搬入搬出口23へ搬送され、第一予備室20に搬入搬出口23を通して搬出されて第一予備室用仮置き台25に移載される。
【0028】
第一予備室20のロードロックが解除された後に、正圧移載室40の第一予備室20に対応したウエハ搬入搬出口47がポッドオープナ50によって開かれるとともに、載置台51に載置された空のポッドPのキャップがポッドオープナ50によって開かれる。
続いて、正圧移載室40の正圧移載装置42は第一予備室用仮置き台25からウエハWを搬入搬出口27を通してピックアップして正圧移載室40に搬出し、正圧移載室40のウエハ搬入搬出口47を通してポッドPに収納(チャージング)して行く。
【0029】
処理済の25枚のウエハWのポッドPへの収納が完了すると、ポッドPのキャップがポッドオープナ50のキャップ着脱機構52によってウエハ出し入れ口に装着され、ポッドPが閉じられる。
閉じられたポッドPは載置台51の上から次の工程へ構内搬送装置によって搬送されて行く。
以上の作動が繰り返されることにより、ウエハが1枚ずつ順次に処理されて行く。
【0030】
次に、運用最適化プログラム86による最適運用方法を図4および図5について説明する。
ここでは、便宜上、1台のポッドP内の25枚のウエハWに対して、第一CVDモジュール61および/または第二CVDモジュール62がそれぞれ適宜に使用されることにより、25枚のウエハWに対して所望の処理がそれぞれ施される場合について説明する。
【0031】
ここで、第一CVDモジュール61および/または第二CVDモジュール62を使用する連続処理装置の運用方式としては図6〜図10に示された5通りの運用方式がある。
図6に示された運用方式は、第一CVDモジュール61を使用して処理を施す方式(以下、第一運用方式という。)である。
第一運用方式は次のように実行される(図6および図3参照)。
第一運用方式が指定されたウエハWがポッドPから連続して第一予備室20の仮置き台25へ搬送される。
サブコントローラ73が負圧移載装置12を制御することにより、第一運用方式が指定されたウエハWが第一予備室20の仮置き台25からピックアップされ、第一CVDモジュール61に搬入される。
サブコントローラ75の制御により、第一CVDモジュール61がウエハWにレシピに指定された処理を施す。
処理が終了すると、サブコントローラ73が負圧移載装置12を制御することにより、処理済のウエハWがピックアップされ、第二予備室30の仮置き台35の対応する番号のスロットに移載される。
図7に示された運用方式は、第二CVDモジュール62を使用して処理を施す方式(以下、第二運用方式という。)である。
第二運用方式は次のように実行される(図7および図3参照)。
第二運用方式が指定されたウエハWがポッドPから連続して第一予備室20の仮置き台25へ搬送される。
サブコントローラ73が負圧移載装置12を制御することにより、第二運用方式が指定されたウエハWが第一予備室20の仮置き台25からピックアップされ、第二CVDモジュール62に搬入される。
サブコントローラ76の制御により、第二CVDモジュール62がウエハWにレシピに指定された処理を施す。
処理が終了すると、サブコントローラ73が負圧移載装置12を制御することにより、処理済のウエハWがピックアップされ、第二予備室30の仮置き台35の対応する番号のスロットに移載される。
図8に示された運用方式は、第一CVDモジュール61と第二CVDモジュール62のどちらを使用してウエハWに処理を施してもよい方式(以下、第三運用方式という。)であり、使用されていない方のCVDモジュールを使用してウエハWに処理を施すことができる。
第三運用方式は次のように実行される(図8および図3参照)。
第三運用方式が指定されたウエハWがポッドPから連続して第一予備室20の仮置き台25へ搬送される。
サブコントローラ73が負圧移載装置12を制御することにより、第三運用方式が指定されたウエハWが第一予備室20の仮置き台25からピックアップされ、第一CVDモジュール61または第二CVDモジュール62の都合のよい方に搬入される。
サブコントローラ75または76の制御により、第一CVDモジュール61または第二CVDモジュール62がウエハWにレシピに指定された処理を施す。
処理が終了すると、サブコントローラ73が負圧移載装置12を制御することにより、処理済のウエハWがピックアップされ、第二予備室30の仮置き台35の対応する番号のスロットに移載される。
図9に示された運用方式は、第一CVDモジュール61を使用してウエハWに処理を施した後に、同一のウエハWに対して第二CVDモジュール62を使用して処理を施す方式(以下、第四運用方式という。)である。
第四運用方式は次のように実行される(図9および図3参照)。
第四運用方式が指定されたウエハWがポッドPから連続して搬送される。
サブコントローラ73が負圧移載装置12を制御することにより、第四運用方式が指定されたウエハWが第一予備室20の仮置き台25からピックアップされ、まず、第一CVDモジュール61に搬入される。
サブコントローラ75の制御により、第一CVDモジュール61がウエハWにレシピに指定された処理を施す。
処理が終了すると、サブコントローラ73が負圧移載装置12を制御することにより、第一CVDモジュール61での処理済のウエハWがピックアップされ、第二CVDモジュール62に搬入される。
サブコントローラ76の制御により、第二CVDモジュール62がウエハWにレシピに指定された処理を施す。
処理が終了すると、サブコントローラ73が負圧移載装置12を制御することにより、第二CVDモジュール62での処理済のウエハWがピックアップされ、第二予備室30の仮置き台35の対応する番号のスロットに移載される。
図10に示された運用方式は、第二CVDモジュール62を使用してウエハWに処理を施した後に、同一のウエハWに対して第一CVDモジュール61を使用して処理を施す方式(以下、第五運用方式という。)である。
第五運用方式は次のように実行される(図10および図3参照)。
第五運用方式が指定されたウエハWがポッドPから連続して搬送される。
サブコントローラ73が負圧移載装置12を制御することにより、第五運用方式が指定されたウエハWが第一予備室20の仮置き台25からピックアップされ、まず、第二CVDモジュール62に搬入される。
サブコントローラ76の制御により、第二CVDモジュール62がウエハWにレシピに指定された処理を施す。
処理が終了すると、サブコントローラ73が負圧移載装置12を制御することにより、第二CVDモジュール62での処理済のウエハWがピックアップされ、第一CVDモジュール61に搬入される。
サブコントローラ75の制御により、第一CVDモジュール61がウエハWにレシピに指定された処理を施す。
処理が終了すると、サブコントローラ73が負圧移載装置12を制御することにより、第一CVDモジュール61での処理済のウエハWがピックアップされ、第二予備室30の仮置き台35の対応する番号のスロットに移載される。
【0032】
前述した連続処理装置の運用方法において、メインコントローラ71の表示装置82の表示部(操作画面)の運用最適化プログラム開始釦(図示せず)がクリックされると、図4に示されているように、運用最適化プログラム86は運用方式作成要求を受信する(ステップA1)。
運用最適化プログラム86は運用方式を作成する(ステップA2)。
各ウエハをどのようにして処理するかが、前述した5通りの運用方式のうちから適切な運用方式が操作画面上で選択される。
ちなみに、ポッドPの25段のスロット番号と25枚のウエハの識別コードとは、対応されて記憶装置83等に記憶されているので、どのウエハかは特定することができる。
【0033】
25枚のウエハについて運用方式の選択が完了すると、運用最適化プログラム86は運用方式テーブル作成要求を受信する(ステップA3)。
運用最適化プログラム86は、次の表1に示されているような運用方式テーブルを作成する(ステップA4)。
【0034】
【表1】

【0035】
次に、運用最適化プログラム86は図5に示されたプログラムフローを実行する(ステップA6)。
【0036】
図5に示されたプログラムフローにおいては、まず、ウエハの運用方式が調査される(ステップB1)。
運用方式が未実行かが判断される(ステップB2)。
未実行の場合には、先頭かが判断される(ステップB3)。
先頭の場合には、運用方式が退避される(ステップB4)。
次いで、退避した運用方式と同じ運用方式かが判断される(ステップB5)。
同じ場合には、その運用方式にフラグが立てられる(ステップB6)。
違うと判断された場合およびフラグが立てられると、図4に示されたステップA6に進む。
【0037】
ステップA6においては、運用方式の実行がチェックされる。
続いて、チェック良かが判断される(ステップA7)。
不良(NO)の場合には、ステップA6に戻り、再度、チェックされる。
良(YES)の場合には、サブコントローラへチェックされた運用方式の実行が指令される(ステップA8)。
【0038】
サブコントローラは前述した連続処理装置の運用方法を実行する(ステップA9)。
【0039】
運用方式の終了が通知される(ステップA10)と、運用最適化プログラム86は終了かを判断する(ステップA11)。
終了でない場合(NO)には、ステップA5に戻り、図5に示された運用最適化プログラムフローを繰り返す。
【0040】
運用最適化プログラムフローの繰り返しに際しては、前回実行された運用方式が優先的に指令される。
表1のテーブルの例では、1番目に選択された第三運用方式は、1番スロットの他は、6番スロット、11番スロット、16番スロットおよび21番スロットの各ウエハに選択されているので、これらのウエハについて、第三運用方式が連続して実行される。
【0041】
1番スロット、6番スロット、11番スロット、16番スロットおよび21番スロットの各ウエハに対して1番目の運用方式である第三運用方式が全て実行されると、運用最適化プログラムフローにおいては、2番スロットのウエハに選択された第一運用方式の実行が指令されるので、第一運用方式の実行が2番目の運用方式としてチェックされる(ステップA6)。
続いて、チェック良かが判断される(ステップA7)。
不良(NO)の場合には、ステップA6に戻り、再度、チェックされる。
良(YES)の場合には、サブコントローラへチェックされた第一運用方式の実行が指令される(ステップA8)。
【0042】
サブコントローラは前述した連続処理装置の運用方法を実行する(ステップA9)。
【0043】
表1のテーブルの例では、2番目に選択された第一運用方式は、2番スロットの他は、7番スロット、12番スロット、17番スロットおよび22番スロットの各ウエハに選択されているので、これらのウエハについて、第一運用方式が連続して実行される。
【0044】
2番スロット、7番スロット、12番スロット、17番スロットおよび22番スロットの各ウエハに対して2番目の運用方式である第一運用方式が全て実行されると、運用最適化プログラムフローにおいては、3番スロットのウエハに選択された第二運用方式の実行が指令されるので、第二運用方式の実行が3番目の運用方式としてチェックされる(ステップA6)。
続いて、チェック良かが判断される(ステップA7)。
不良(NO)の場合には、ステップA6に戻り、再度、チェックされる。
良(YES)の場合には、サブコントローラへチェックされた第二運用方式の実行が指令される(ステップA8)。
【0045】
サブコントローラは前述した連続処理装置の運用方法を実行する(ステップA9)。
【0046】
表1のテーブルの例では、3番目に選択された第二運用方式は、3番スロットの他は、8番スロット、13番スロット、18番スロットおよび23番スロットの各ウエハに選択されているので、これらのウエハについて、第二運用方式が連続して実行される。
【0047】
3番スロット、8番スロット、13番スロット、18番スロットおよび23番スロットの各ウエハに対して3番目の運用方式である第二運用方式が全て実行されると、運用最適化プログラムフローにおいては、4番スロットのウエハに選択された第四運用方式の実行が指令されるので、第四運用方式の実行が4番目の運用方式としてチェックされる(ステップA6)。
続いて、チェック良かが判断される(ステップA7)。
不良(NO)の場合には、ステップA6に戻り、再度、チェックされる。
良(YES)の場合には、サブコントローラへチェックされた第四運用方式の実行が指令される(ステップA8)。
【0048】
サブコントローラは前述した連続処理装置の運用方法を実行する(ステップA9)。
【0049】
表1のテーブルの例では、4番目に選択された第四運用方式は、4番スロットの他は、9番スロット、14番スロット、19番スロットおよび24番スロットの各ウエハに選択されているので、これらのウエハについて、第四運用方式が連続して実行される。
【0050】
4番スロット、9番スロット、14番スロット、19番スロットおよび24番スロットの各ウエハに対して4番目の運用方式である第四運用方式が全て実行されると、運用最適化プログラムフローにおいては、5番スロットのウエハに選択された第五運用方式の実行が指令されるので、第五運用方式の実行が5番目の運用方式としてチェックされる(ステップA6)。
続いて、チェック良かが判断される(ステップA7)。
不良(NO)の場合には、ステップA6に戻り、再度、チェックされる。
良(YES)の場合には、サブコントローラへチェックされた第五運用方式の実行が指令される(ステップA8)。
【0051】
サブコントローラは前述した連続処理装置の運用方法を実行する(ステップA9)。
【0052】
表1のテーブルの例では、5番目に選択された第五運用方式は、5番スロットの他は、10番スロット、15番スロット、20番スロットおよび25番スロットの各ウエハに選択されているので、これらのウエハについて、第五運用方式が連続して実行される。
【0053】
以上のようにして、5番目の運用方式である第五運用方式が連続して実行され、25番スロットのウエハについての終了が通知される(ステップA10)と、終了の判断ステップA11においては、終了(YES)が判断されるので、図4のプロセスフローは終了する。
【0054】
前記実施の形態によれば、次の効果が得られる。
【0055】
1) 1台のポッドに運用方式がそれぞれ異なる複数枚のウエハが収納されている場合において、同一の運用方式毎に連続して処理を施すことにより、一枚のウエハ毎に処理条件を変更せずに済むために、連続処理装置のスループットを高めることができる。
【0056】
2) 連続処理装置の複数個のモジュールの構造や配置等は変更しなくて済むために、連続処理装置のコストアップを抑制することができる。
【0057】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
【0058】
例えば、実行する運用方式の順序は、ポッドのスロット番号順によって決定するに限らず、連続処理装置の処理モジュールの都合に対応して決定してもよい。
【0059】
運用方式は5通りに限らず、処理モジュールの数等に対応して変更調整することができる。
【0060】
前記実施の形態ではマルチチャンバ型連続処理装置について説明したが、クラスタ型連続処理装置等の基板処理装置全般に適用することができる。
【0061】
また、ウエハを処理する場合について説明したが、液晶パネルや磁気ディスク、光ディスク等の基板全般について適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施の形態であるマルチチャンバ型連続処理装置を示す平面断面図である。
【図2】その側面断面図である。
【図3】その制御システムを示すブロック図である。
【図4】最適運用を示すプロセスフローチャートである。
【図5】最適化プログラムのフローチャートである。
【図6】第一運用方式を示す模式図である。
【図7】第二運用方式を示す模式図である。
【図8】第三運用方式を示す模式図である。
【図9】第四運用方式を示す模式図である。
【図10】第五運用方式を示す模式図である。
【符号の説明】
【0063】
W…ウエハ(基板)、P…ポッド(基板キャリア)、
10…負圧移載室(搬送室)、11…負圧移載室筐体、12…負圧移載装置(搬送装置)、13…エレベータ、14…上側アーム(保持部)、15…下側アーム(保持部)、16、17…エンドエフェクタ、
20…第一予備室、21…第一予備室筐体、22、23…搬入搬出口、24…ゲートバルブ、25…第一予備室用仮置き台、26、27…搬入搬出口、28…ゲートバルブ、
30…第二予備室、31…第二予備室筐体、32、33…搬入搬出口、34…ゲートバルブ、35…第二予備室用仮置き台、36、37…搬入搬出口、38…ゲートバルブ、
40…正圧移載室(ウエハ移載室)、41…正圧移載室筐体、42…正圧移載装置(ウエハ移載装置)、43…エレベータ、44…リニアアクチュエータ、45…ノッチ合わせ装置、46…クリーンユニット、
47、48、49…ウエハ搬入搬出口、50…ポッドオープナ、51…載置台、52…キャップ着脱機構、
61…第一CVDモジュール(第一処理モジュール)、62…第二CVDモジュール(第二処理モジュール)、63…第一クーリングモジュール(第三処理モジュール)、64…第二クーリングモジュール(第四処理モジュール)、65、66、67、68…ウエハ搬入搬出口、
70…制御システム(制御装置)、71…メインコントローラ、72…LANシステム、73〜78…サブコントローラ、81…入力装置、82…表示装置、83…記憶装置、84…ホストコンピュータ、85…GUI、
86…運用最適化プログラム、87…運用方式指定部、88…テーブル作成部、89…同一運用方式選択部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を収納するキャリアと、前記基板に処理を施す複数の処理モジュールと、これら処理モジュールに前記基板を搬送する搬送装置が設置された搬送室と、前記キャリアに収納されたそれぞれの基板に指定された運用方式に基づき前記搬送装置および前記処理モジュール内の処理を実行させるコントローラとを備えており、
前記コントローラは、前記それぞれの基板に指定された運用方式のうち所定の運用方式を選択し、選択された運用方式が指定されている基板から優先して実行させる基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−258505(P2008−258505A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−100950(P2007−100950)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】