説明

基板処理装置

【課題】処理液の流量変動を抑制することができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置1は、基板Wを保持するスピンチャック2と、基板Wに処理液を供給する処理液供給ノズル3を備えている。処理液は処理液タンク5に貯留され、処理液タンク5と処理液供給ノズル3との間には処理液供給配管4が設けられている。処理液供給配管4の途中部には、ポンプ6、温調用ヒータ7、フィルタ8が設けられている。分岐部J1には処理液帰還配管12が分岐接続され、処理液帰還配管12は処理液タンク5に導かれている。分岐部J1よりも下流側の処理液供給配管4には、供給流量調節バルブ9、流量計10、供給バルブ11が介装されている。供給流量調節バルブ9と流量計10との間の分岐部J2には処理液分岐配管15が分岐接続され、処理液分岐配管15にはオリフィス16が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板に処理液を供給して基板を処理する基板処理装置に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
たとえば、半導体装置の製造工程では、半導体基板(以下、単に「基板」という。)の表面に対して処理液を用いた処理が行われる。たとえば、基板を1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置は、図2に示すような基板処理装置を用いて基板処理が行われる。
【0003】
図2に示す基板処理装置101は、基板Wをほぼ水平に保持して回転させることができるスピンチャック102と、スピンチャック102に保持された基板Wの中央部に処理液を供給する処理液供給ノズル104を備えている。処理液供給ノズル104には処理液供給配管105を通して処理液が供給されるようになっている。処理液は、処理液タンク106に貯留されていて、この処理液タンク106からポンプ107によって汲み出され、処理液供給配管105を介して処理液供給ノズル104に送られる。処理液供給配管105には、ポンプ107の下流側に、温度調節器108、フィルタ109、処理液供給バルブ110、流量計111、および流量調節バルブ(ニードルバルブ)112が介装されている。また、処理液供給配管105には、処理液供給バルブ110とフィルタ109との間において、処理液帰還配管113が分岐接続されている。処理液帰還配管113の先端は、処理液タンク106に接続されており、処理液帰還配管113の途中部には、処理液帰還バルブ114と流量調節バルブ(ニードルバルブ)115が介装されている。
【0004】
基板処理装置101の運転中は、ポンプ107および温度調節器108は常に駆動されており、基板Wの表面に処理液による処理が行われる時(基板Wの表面への処理液の供給が行われる時)には、処理液帰還バルブ114が閉じられるとともに処理液供給バルブ110が開かれて、処理液タンク106から処理液供給配管105を流れる処理液が処理液供給ノズル104へ供給される。一方、基板Wの処理が行われない時(基板Wの表面への処理液の供給が行われない時)には、処理液供給バルブ110が閉じられるとともに処理液帰還バルブ114が開かれて、処理液供給配管105を流れる処理液が処理液帰還配管113を通して処理液タンク106に戻される。これにより、基板Wの処理が行われない時には、処理液タンク106、処理液供給配管105および処理液帰還配管113からなる処理液循環路を処理液が循環することになる。こうして処理液が循環していることによって、処理液供給バルブ110が開かれた後、速やかに基板Wに供給すべき処理液が処理液供給ノズル104に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-206957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
流量調節バルブ112や流量調節バルブ115として用いられているニードルバルブは、ボディで形成された処理液の流路に対してニードルの位置を調節することにより、流路断面積を変化させて処理液の流量を調節している。しかしながら、処理液が高温(約50℃以上)の場合、処理液に接するニードルやボディが熱によって変形するため、ニードルとボディとの間に形成される流路の断面積が変化し、処理液の流量が変化してしまう。従来の構成では、処理液供給配管105に介装されている流量調節バルブ112には、基板Wの処理が行われる時には処理液が流通するが、基板Wの処理が行われない時には流通しない。そのため、高温の処理液を用いて基板Wの処理が行われる場合、処理液供給バルブ110が開かれて、処理液供給ノズル104への処理液の供給が開始された後に、流量調節バルブ112に高温の処理液が流通することで熱変形による流量変化が起こり、基板Wに供給する処理液の流量が変動するおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、処理液の流量変動を抑制することができる基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板を処理するための処理液を貯留する処理液タンク(5)と、処理対象の基板を保持する基板保持部(2)と、前記処理液タンクから前記基板保持部に保持されている基板に向けて処理液を供給する処理液供給路(4)と、前記処理液供給路に介装され、基板への処理液の供給およびその停止を切り換える供給バルブ(11)と、前記供給バルブよりも上流側の前記処理液供給路に介装され、前記処理液供給路を流通する処理液の流量を調節する供給流量調節バルブ(9)と、前記供給流量調節バルブよりも上流側の前記処理液供給路に分岐接続され、前記処理液タンクに処理液を帰還させる処理液帰還路(12)と、前記供給流量調節バルブよりも下流側であって、前記供給バルブよりも上流側の前記処理液供給路に分岐接続され、前記供給バルブが閉じられた状態において前記供給流量調節バルブを流通した後の処理液が流通する処理液分岐路(15)と、を備える基板処理装置である。なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
【0009】
本発明によれば、基板に処理液が供給される時には、供給バルブが開かれることにより処理液タンクに貯留された処理液が処理液供給路を流通して基板に供給される。基板に供給される処理液は、供給流量調節バルブによって流量が調節される。一方、基板に処理液が供給されない時には、供給バルブは閉じられ、処理液タンクから汲み出された処理液が処理液帰還路を流通して処理液タンクに帰還するとともに、供給流量調節バルブを流通した後の処理液が処理液分岐路に導かれる。これにより、基板に処理液が供給される時と基板に処理液が供給されない時のいずれの場合も、処理液は供給流量調節バルブを流通する。したがって、基板処理装置の運転中は常に処理液が供給流量調節バルブを流通するため、供給流量調節バルブを構成する部材は、流通する処理液によって常に一定の温度に保たれる。したがって、供給流量調節バルブの熱変形による流量変動を抑制または防止することができる。
【0010】
前記供給バルブが開かれた際に前記処理液分岐路を流通する処理液の流量は、基板に向けて供給される処理液の流量よりも少なくてもよい。(請求項2)
【0011】
この発明によれば、基板に処理液が供給される時には、処理液供給路を流通して基板に処理液が供給されると同時に、処理液供給路に分岐接続された処理液分岐路にも処理液が導かれる。この時、処理液分岐路には基板に供給される処理液の流量よりも少ない流量の処理液が導かれるため、基板に供給される処理液の流量を十分に確保することができる。
【0012】
前記処理液帰還路に介装され、前記処理液帰還路への処理液の流通およびその停止を切り換える帰還バルブ(13)と、前記処理液帰還路に介装され、前記処理液帰還路を流通する処理液の流量を調節する帰還流量調節バルブ(14)とをさらに備え、前記供給バルブが開かれるとともに前記帰還バルブが閉じられた際に前記処理液供給路から基板に向けて供給される処理液の流量が、前記供給バルブが閉じられるとともに前記帰還バルブが開かれた際に前記処理液帰還路を流通する処理液の流量と前記処理液分岐路を流通する処理液の流量の和にほぼ等しくなるように、前記帰還流量調節バルブは調節されていてもよい。(請求項3)
【0013】
この発明によれば、供給バルブが開かれるとともに帰還バルブが閉じられることにより、処理液が処理液供給路を流通して基板に供給される。また、供給バルブが閉じられるとともに帰還バルブが開かれることにより、処理液が処理液帰還路を流通して処理液タンクに帰還する。このように、供給バルブおよび帰還バルブの開閉が切り換えられることによって、上記いずれかの状態に切り換えられる。ここで、処理液供給路を流通して基板に供給される処理液の流量は、処理液帰還路を流通する処理液の流量と処理液分岐路を流通する処理液の流量の和にほぼ等しいため、供給バルブおよび帰還バルブの開閉切り換えの際に処理液の流量は変動しない。したがって、たとえば処理液供給路が他の基板保持部に保持される基板に向けて処理液を供給する処理液供給路に分岐している場合であっても、供給バルブおよび帰還バルブの開閉切り換え動作が他の基板処理部に保持された基板へ供給される処理液の流量に影響を及ぼさない。したがって、処理液供給路が複数の基板処理部に保持される基板に向けて処理液を供給する処理液供給路に分岐している構成であっても、1つの基板への処理液の供給/停止の切り換え動作によって他の基板に供給される処理液の流量が変動することを防止でき、処理液の供給流量を安定化することができる。
【0014】
前記処理液分岐路は、前記処理液分岐路の流路を絞るオリフィス(16)を含んでいてもよい。(請求項4)
【0015】
この発明によれば、処理液分岐路にオリフィスが含まれているので、処理液分岐路に導入される処理液の流量を十分に小さくすることができる。これにより、処理液供給路を流通して基板に処理液が供給される際に、処理液分岐路に導入される処理液の流量を十分に小さくすることができ、基板に供給される処理液の流量を十分に確保することができる。
【0016】
また、前記供給流量調節バルブは、ニードルバルブであってもよい。(請求項5)
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の図解的な断面図である。
【図2】従来の基板処理装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、この発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置1の図解的な断面図である。この基板処理装置1は、クリーンルーム内に設置され、半導体ウエハなどの基板Wに対して、エッチング液や洗浄液などの処理液を供給して、基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。
【0019】
図1に示す基板処理装置1は、基板Wをほぼ水平に保持して回転させることができるスピンチャック2と、スピンチャック2に保持された基板Wの中央部に処理液を供給する処理液供給ノズル3を備えている。
【0020】
スピンチャック2は、鉛直軸線まわりに回転される円盤状のスピンベースの周縁部の複数箇所にほぼ等間隔で設けられた複数個の挟持部材によって基板Wを挟持した状態で、スピンベースをモータで回転させることにより、その基板Wをほぼ水平な姿勢を保った状態で、スピンベースとともに鉛直軸線まわりに回転させることができる。
【0021】
なお、スピンチャック2としては、このような構成のものに限らず、たとえば、真空吸着式のバキュームチャックが採用されてもよい。このバキュームチャックは、基板Wの下面を真空吸着することにより、基板Wをほぼ水平な姿勢で保持することができる。そして、バキュームチャックは、基板Wを保持した状態で、ほぼ鉛直な軸線まわりに回転することにより、基板Wをほぼ水平な姿勢を保ったまま回転させることができる。
【0022】
処理液供給ノズル3には処理液供給配管4を通して処理液が供給されるようになっている。基板Wが処理される時には、処理対象である基板Wをスピンチャック2によって保持し、スピンチャック2を回転駆動して基板Wを回転させるとともに、この回転状態の基板Wに向けて処理液供給ノズル3から処理液を供給することによって、基板Wの処理を達成する。
【0023】
処理液供給ノズル3から供給される処理液としては、基板Wの表面に対する処理の内容に応じたものが用いられる。たとえば、基板Wの表面から不要なレジスト膜を剥離するレジスト剥離処理であれば、SPM(sulfuric acid/hydrogen peroxide mixture:硫酸過酸化水素水)などのレジスト剥離液が用いられ、基板Wの表面からポリマ(レジスト残渣)を除去するポリマ除去処理であれば、APM(ammonia−hydrogen peroxide mixture:アンモニア過酸化水素水)などのポリマ除去液が用いられ、基板Wの表面から酸化膜や金属薄膜などをエッチング除去するエッチング処理であれば、フッ酸、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸、酢酸、アンモニア、過酸化水素水、クエン酸、蓚酸、TMAH、王水のうちの少なくともいずれか1つを含むエッチング液が用いられる。また、この処理液供給ノズル3とは別に、別の種類の処理液(たとえば純水)を基板Wに向けて供給するためのノズル(図示せず)が設けられている。
【0024】
処理液供給ノズル3に供給される処理液は、処理液タンク5に貯留されている。処理液タンク5と処理液供給ノズル3との間には処理液供給配管4が設けられている。処理液供給配管4の途中部には、処理液を処理液タンク5から汲み出して圧送するためのポンプ6、処理液の温度を一定に保つための温調用ヒータ7、処理液に含まれる異物を除去するためのフィルタ8が設けられている。本実施形態においては、処理液は温調用ヒータ7によって温調されている。(たとえば50℃以上の高温に温調されている。)
【0025】
処理液供給配管4には、分岐部J1において処理液帰還配管12が分岐接続されている。処理液帰還配管12は分岐部J1から処理液タンク5内部へと導かれている。処理液帰還配管12の途中には、処理液の流通とその停止とを切り換えるための帰還バルブ13と、処理液帰還配管12を流通する処理液の流量を調節するための帰還流量調節バルブ14が介装されている。なお、帰還バルブ13が帰還流量調節バルブ14よりも分岐部J1側に配置されているが、帰還流量調節バルブ14が帰還バルブ13よりも分岐部J1側に配置されていてもよい。
【0026】
分岐部J1よりも処理液供給ノズル3側の処理液供給配管4には、処理液の流量を調節するための供給流量調節バルブ9、処理液の流量を監視するための流量計10、および処理液の流通とその停止とを切り換えるための供給バルブ11が介装されている。なお、供給バルブ11は、流量計10よりも処理液供給ノズル3側に配置されているが、流量計10が供給バルブ11よりも処理液供給ノズル3側に配置されていてもよい。
【0027】
このように、本実施形態においては、供給流量調節バルブ9よりも上流側の処理液供給配管4に処理液帰還配管12が分岐接続されている。また、供給流量調節バルブ9は供給バルブ11よりも上流側の処理液供給配管4に介装されている。
【0028】
供給流量調節バルブ9および帰還流量調節バルブ14は、ニードルバルブで構成されている。ニードルバルブは、ボディで形成された処理液の流路に対してニードルの位置を調節することにより、流路断面積を変化させて処理液の流量を調節する。ニードルバルブを構成する部材のうち、少なくとも処理液に接する部材(流路を形成するボディやニードル)は、処理液に耐性を持たせるために、たとえばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素系樹脂によって構成されている。
【0029】
供給流量調節バルブ9と流量計10(または供給バルブ11)との間の分岐部J2においては処理液分岐配管15が分岐接続されている。つまり、処理液分岐配管15は、供給流量調節バルブ9よりも下流側であって、供給バルブ11よりも上流側の処理液供給配管4に分岐接続されている。また、処理液分岐配管15は帰還流量調節バルブ14よりも下流側の処理液帰還配管12に接続されている。
【0030】
処理液分岐配管15には流路断面を絞るオリフィス16が設けられている。オリフィス16の径は、処理液分岐配管15の管内径に比べて小さいため、処理液がオリフィス16を流通する際に抵抗を与えられる。したがって、分岐部J2から分岐して処理液分岐配管15に導かれる処理液の流量を小さくすることができる。また、オリフィス16の圧力損失は供給流量調節バルブ9の圧力損失よりも大きく設定されている。したがって、供給バルブ11が開かれるとともに帰還バルブ13が閉じられた際に処理液分岐配管15を流通する処理液の流量は、分岐部J2よりも処理液供給ノズル3側の処理液供給配管4を流通する処理液の流量よりも小さくなる。具体的には、分岐部J2よりも処理液供給ノズル3側の処理液供給配管4を流通する処理液の流量と処理液分岐配管15を流通する処理液の流量の比が10:1以下となるように、オリフィス16の径が設定されるのが好ましい。
【0031】
なお、本実施形態では、スピンチャック2が基板処理部に相当し、処理液供給配管4が処理液供給路に相当し、処理液帰還配管12が処理液帰還路に相当し、処理液分岐配管15が処理液分岐路に相当する。
【0032】
基板処理装置1の運転中は、ポンプ6および温調用ヒータ7は常に駆動されている。基板Wの処理が行われない時(基板Wの表面への処理液の供給が行われない時)には、供給バルブ11が閉じられるとともに帰還バルブ13が開かれる。これにより、ポンプ6によって処理液タンク5から汲み上げられた処理液は、処理液供給配管4、温調用ヒータ7およびフィルタ8を流通し、分岐部J1から処理液帰還配管12を流通して処理液タンク5に戻される。これにより、基板Wの処理が行われない時には、処理液タンク5、処理液供給配管4および処理液帰還配管12からなる処理液循環路を処理液が循環することになる。このように処理液が循環することによって、処理液は温調用ヒータ7によって所定の温度(たとえば50℃以上)に温調される。
【0033】
また処理液が処理液循環路を循環している時、処理液供給配管4を流通する処理液の一部は、分岐部J1よりも下流側に流通し、供給流量調節バルブ9を流通する。供給流量調節バルブ9を流通した処理液はその後、分岐部J2から処理液分岐配管15を流通して処理液帰還配管12に導かれる。これにより、処理液が処理液循環路を循環している時にも、供給流量調節バルブ9には常に所定の温度に温調された処理液が流通する。
【0034】
基板Wの表面に処理液による処理が行われる時(基板Wの表面への処理液の供給が行われる時)には、帰還バルブ13が閉じられるとともに供給バルブ11が開かれる。これにより、所定の温度に温調された処理液が処理液タンク5から処理液供給配管4を流通して処理液供給ノズル3に供給される。すなわち、処理液は供給流量調節バルブ9を流通し、処理液供給ノズル3に供給される。
【0035】
このように処理液供給ノズル3に処理液が供給される一方、処理液供給配管4を流通する処理液の一部は、分岐部J2において処理液分岐配管15に導かれる。処理液分岐配管15には処理液の流路を絞るオリフィス16が設けられており、処理液分岐配管15の圧力損失は、分岐部J2よりも処理液供給ノズル3側の処理液供給配管4の圧力損失に比べて大きい。したがって、供給流量調節バルブ9を流通した後、分岐部J2から処理液分岐配管15に導かれる処理液の流量は、分岐部J2から処理液供給ノズル3に向けて流通する処理液の流量よりも小さくなる。したがって、基板Wの表面に供給される処理液の流量は十分に確保される。
【0036】
このように、基板Wの処理が行われる時には、帰還バルブ13が閉じられるとともに供給バルブ11が開かれることにより、速やかに所定の温度に温調された処理液が処理液供給ノズル3から基板Wに向けて供給される。
【0037】
また、供給バルブ11が開かれるとともに帰還バルブ13が閉じられた際に処理液供給配管4から基板に向けて供給される処理液の流量が、供給バルブ11が閉じられるとともに帰還バルブ13が開かれた際に処理液帰還配管12を流通する処理液の流量と処理液分岐配管15を流通する処理液の流量の和にほぼ等しくなるように、帰還流量調節バルブ14は調節されている。したがって、供給バルブ11および帰還バルブ13の開閉が切り換えられ、処理液が処理液供給ノズル3から供給される状態と処理液が処理液循環路を循環している状態とが切り換えられた際に、処理液の流量は変動しない。
【0038】
したがって、たとえば処理液供給配管4が他のスピンチャックに保持される基板Wに向けて処理液を供給する処理液供給路に分岐している場合であっても、供給バルブ11および帰還バルブ13の開閉切り換え動作が他のスピンチャックに保持された基板Wへ供給される処理液の流量に影響を及ぼさない。したがって、処理液供給配管4が複数のスピンチャックに保持される基板Wに向けて処理液を供給する処理液供給路に分岐している構成であっても、1つの基板Wへの処理液の供給/停止の切り換え動作によって他の基板Wに供給される処理液の流量が変動することを防止でき、処理液の供給流量を安定化することができる。
【0039】
このように、本実施形態においては、基板Wの処理が行われない時(処理液が処理液循環路を循環している時)にも、供給流量調節バルブ9には所定の温度に温調された処理液が流通する。これにより、基板に処理液が供給される時と基板に処理液が供給されない時のいずれの場合も、処理液は供給流量調節バルブ9を流通する。したがって、基板処理装置1の運転中は常に処理液が供給流量調節バルブ9を流通するため、供給流量調節バルブ9を構成する部材(流路を形成するボディやニードル)は、流通する処理液によって常に一定の温度に保たれる。したがって、供給流量調節バルブ9の熱変形による流量の変動を抑制または防止することができる。
【0040】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、さらに他の形態で実施することもできる。上記の実施形態では、処理液分岐配管15は帰還流量調節バルブ14よりも下流側の処理液帰還配管12に接続されているが、処理液分岐配管15は帰還流量調節バルブ14よりも上流側の処理液帰還配管12に接続されていてもよい。また、上記実施形態では処理液分岐配管15は処理液帰還配管12に接続されているが、処理液分岐配管15は、処理液タンク5内部へと導かれる構成であってもよい。
【0041】
また、上記の実施形態では、処理液分岐配管15はオリフィス16を含む構成であるが、オリフィス16の代わりにニードルバルブを介装することで、処理液分岐配管15の流路が絞られてもよい。また、処理液分岐配管15の配管の内径そのものを小さくすることによって、処理液分岐配管15の流路が絞られてもよい。
【0042】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 基板処理装置
2 スピンチャック
3 処理液供給ノズル
4 処理液供給配管
5 処理液タンク
6 ポンプ
7 温調用ヒータ
8 フィルタ
9 供給流量調節バルブ
10 流量計
11 供給バルブ
12 処理液帰還配管
13 帰還バルブ
14 帰還流量調節バルブ
15 処理液分岐配管
16 オリフィス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理するための処理液を貯留する処理液タンクと、
処理対象の基板を保持する基板保持部と、
前記処理液タンクから前記基板保持部に保持されている基板に向けて処理液を供給する処理液供給路と、
前記処理液供給路に介装され、基板への処理液の供給およびその停止を切り換える供給バルブと、
前記供給バルブよりも上流側の前記処理液供給路に介装され、前記処理液供給路を流通する処理液の流量を調節する供給流量調節バルブと、
前記供給流量調節バルブよりも上流側の前記処理液供給路に分岐接続され、前記処理液タンクに処理液を帰還させる処理液帰還路と、
前記供給流量調節バルブよりも下流側であって、前記供給バルブよりも上流側の前記処理液供給路に分岐接続され、前記供給バルブが閉じられた状態において前記供給流量調節バルブを流通した後の処理液が流通する処理液分岐路と、
を備える基板処理装置。
【請求項2】
前記供給バルブが開かれた際に前記処理液分岐路を流通する処理液の流量は、基板に向けて供給される処理液の流量よりも少ない、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記処理液帰還路に介装され、前記処理液帰還路への処理液の流通およびその停止を切り換える帰還バルブと、
前記処理液帰還路に介装され、前記処理液帰還路を流通する処理液の流量を調節する帰還流量調節バルブとをさらに備え、
前記供給バルブが開かれるとともに前記帰還バルブが閉じられた際に前記処理液供給路から基板に向けて供給される処理液の流量が、前記供給バルブが閉じられるとともに前記帰還バルブが開かれた際に前記処理液帰還路を流通する処理液の流量と前記処理液分岐路を流通する処理液の流量の和にほぼ等しくなるように、前記帰還流量調節バルブは調節されている、請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記処理液分岐路は、前記処理液分岐路の流路を絞るオリフィスを含む、請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記供給流量調節バルブは、ニードルバルブである、請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−178512(P2012−178512A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41570(P2011−41570)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】