説明

基板担体の性能を改善する方法

処理性能を改善するために基板担体を修正する方法は、基板担体によって支持された基板上に材料を蒸着すること、またはデバイスを製造することを含む。その後、基板上に蒸着された層のパラメータが、基板担体上のそれらの対応する位置の関数として測定される。基板上に製造された少なくともいくつかのデバイスの測定されたパラメータまたは蒸着された層の特性が、基板担体上の複数の位置に対応する基板担体の複数の物理的特徴を得るために、基板担体の物理的特徴に関連付けられる。その後、基板担体の物理的特徴が、基板担体上の位置の関数として蒸着された層または製造されたデバイスの所望のパラメータを得るために、基板担体上の複数の対応する位置のうちの1つ以上において修正される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本明細書に使用される見出しは、構成上の目的のためだけであって、本願に説明される主題をいかようにも限定するものと解釈されるべきではない。
【0002】
多くの材料処理システムは、処理の間に、基板を支持し、時には、輸送するための基板担体を含む。基板は、しばしば、一般的にウエハと呼ばれる結晶材料の円盤である。材料処理システムの1つのそのような種類は、気相成長法(VPE)システムである。気相成長法は、反応種を反応させ、基板の表面上に膜を形成するように、化学種を含有する1つ以上のガスを基板の表面上へと向けるステップを伴う、化学気相蒸着(CVD)の一種である。例えば、VPEは、基板上に化合物半導体材料を成長させるために使用可能である。
【0003】
材料は、典型的には、少なくとも1つの前駆体ガス、および多くの処理では、少なくとも第1および第2の前駆体ガスを、結晶基板を含む処理チャンバに注入することによって成長される。III−V半導体等の化合物半導体は、水素化物前駆体ガスおよび有機金属前駆体ガスを使用して、基板上に半導体材料の様々な層を成長させることによって形成され得る。有機金属気相成長法(MOVPE)は、有機金属および必要な化学元素を含有する水素化物の表面反応を使用して、化合物半導体を成長させるために一般的に使用される蒸着法である。例えば、リン化インジウムは、トリメチルインジウムおよびホスフィンを導入することによって、基板上の化学反応炉において成長され得る。
【0004】
本技術において使用されるMOVPEの代替名として、有機金属気相成長法(OMVPE)、有機金属化学蒸着(MOCVD)、および有機金属化学蒸着(OMCVD)が挙げられる。これらの処理では、ガスは、サファイア、Si、GaAs、InP、InAs、またはGaP基板等の基板の成長表面において、相互に反応し、一般式InGaAlAsSb(式中、X+Y+Zは、略1に等しく、A+B+C+Dは、略1に等しく、X、Y、Z、A、B、CおよびDはそれぞれ、0乃至1であることが可能である)のIII−V化合物を形成する。様々な処理では、基板は、金属、半導体、または絶縁基板であることが可能である。いくつかの事例では、ビスマスが、他のIII属金属の一部または全部の代わりに、使用され得る。
【0005】
III−V半導体等の化合物半導体はまた、水素化物またはハロゲン化物前駆体ガス処理を使用して、基板上に半導体材料の様々な層を成長させることによって形成され得る。あるハロゲン系気相成長法(HVPE)処理では、III属窒化物(例えば、GaN、AlN)が、高温ガス状金属塩化物(例えば、GaClまたはAlCl)をアンモニアガス(NH)と反応させることによって形成される。金属塩化物は、高温HClガスを高温III属金属上を通過させることによって発生される。HVPEの特徴の1つは、いくつかの最先端の処理に対して、最大毎時100μmの超高成長率を有することが可能なことである。HVPEの別の特徴は、膜が、無炭素環境内で成長され、高温HClガスが、自己洗浄効果を提供するため、比較的に高品質の膜を蒸着させるために使用可能なことである。
【0006】
これらの処理では、基板は、燃焼室において高温で維持される。前駆体ガスは、典型的には、不活性搬送ガスと混合され、その後、燃焼室に向けられる。典型的には、ガスは、燃焼室に導入される時、比較的低温である。ガスが、高温基板に到達するのに伴って、その温度、ひいては、反応のためのその有効エネルギーが、増加する。エピタキシャル層の形成は、基板表面における構成化学物質の最終熱分解によって生じる。結晶は、物理的蒸着処理ではなく、基板の表面上の化学反応によって形成される。その結果として、VPEは、熱力学的準安定合金に対して望ましい成長技術である。現在は、VPEは、レーザーダイオード、太陽電池、および発光ダイオード(LED)を製造するために一般的に使用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
明細書において、「一実施形態」または「ある実施形態」とは、実施形態と併せて説明される、特定の特徴、構造、または特性が、少なくとも本教示の一実施形態内に含まれることを意味する。明細書中の種々の場所で使用される「一実施形態では」という語句は、必ずしも、すべて同一実施形態を指すわけではない。
【0008】
本教示の方法の個々のステップは、本教示が作用可能のままである限り、任意の順番および/または同時に、行われてもよいことを理解されたい。さらに、本教示の装置および方法は、本教示が作用可能のままである限り、任意の数またはすべての説明される実施形態を含むことが可能であることを理解されたい。
【0009】
次に、付随の図面に示されるその例示的実施形態を参照して、本教示をより詳細に説明する。本教示は、種々の実施形態および実施例と併せて説明されるが、本教示がそのような実施形態に限定されることを意図するものではない。一方、本教示は、当業者によって理解されるように、様々な代替手段、修正、および同等物を包含する。本明細書の教示を利用可能である当業者は、本明細書において記載される本開示の範囲内である、追加の実装、修正、および実施形態、ならびに他の使用の分野を認識するだろう。
【0010】
本教示は、処理性能を改善するために、材料処理システムにおける基板担体を製造するか、または修正する方法に関する。本教示のいくつかの態様は、VPEシステムのための基板担体の性能を改善することに関連して記載されるが、当業者は、本発明の方法は、基板担体を含む処理システムのいかなる種類にも適用され得ることを理解する。また、本発明のいくつかの態様は、LED、レーザー、または他の光学デバイスのために使用される光学層の収率を改善することに関連して記載されるが、当業者は、本発明の方法は、光学、電気、電子、電気光学、または音響デバイスのいかなる種類をも含む、層およびデバイスのいかなる種類にも適用され得ることを理解する。
【0011】
基板の成長表面における温度は、基板担体の温度および基板担体と基板との間の伝熱に依存する。伝熱は、伝導、対流、放射によるか、または伝熱機構の組み合わによって生じ得る。伝熱の伝導モデルは、すべての伝熱が、伝導によって生じ、対流による著しい伝熱はないことを想定する。伝導モデルは、典型的には、約50〜100ミクロンである、基板と基板担体との間の比較的小さい空隙のみが存在する、より小さい基板に対して最も正確である。伝熱の対流モデルは、すべての伝熱が、対流によって生じることを想定する。対流モデルは、多くのVPE処理システムに対して正確ではない。ハイブリッド伝導対流モデルは、伝熱が、伝導および対流の両方によって生じることを想定する。このモデルは、約300〜500ミクロンであることが可能である、基板と基板担体との間のより大きい空隙が存在し得る、より大きい基板に対して最も正確である。例えば、8インチの基板は、伝導および対流の伝熱の両方の著しい量を引き起こす、基板と基板担体との間の比較的大きい空隙を有し得る。伝熱の放射モデルは、伝熱が、放射によって生じることを想定する。このモデルは、シリコン基板等の不透明基板を使用するいくつかの処理に対して正確である。
【0012】
基板の成長表面の温度はまた、材料処理システムにおける多数の他の不均一性によって影響される。例えば、基板の成長表面の温度は、基板にわたる処理ガス流における不均一性、処理チャンバの壁付近での周辺効果、ならびに処理システムにおける多数の他の不具合および非対称性によって影響される。
【0013】
加えて、基板の成長表面の温度は、基板自体の形状によって影響される。特に、基板は、通常、完全に円形ではない。基板は、典型的には、オリエンテーションフラットを含み、それらはまた、処理の間に撓み(bow)、歪む(warp)傾向がある。基板の形状は、処理の間に変化し得る。基板の撓み(bow)は、基板の公称直径未満の特定された量である直径を伴う円形上に等間隔の3つの点によって確立される中位面基準面からの自由な、クランプされていない基板の中位面の中心点の偏差である。撓みの様に、歪み(bow)は、基準面からの自由な、クランプされていない基板の中位面の最大距離と最小距離との間の差異の測定値である。基板の撓みおよび歪みは、基板の内部応力、蒸着温度、基板上に成長されている構造、および処理チャンバにおける温度勾配等の多くの要因の関数である。
【0014】
多くの材料処理は、産業において競合的となるように、非常に高い収率が必要である。例えば、LEDおよび半導体レーザーデバイスが、産業において競合的となるように、これらのデバイスの高い処理収率を到達することは非常に望ましい。特に、現在は、LEDおよび半導体レーザーデバイスを製造するためのVPE処理の収率を改善する必要性が産業において存在する。多くのLEDおよび半導体レーザー用途のために、経時的に安定した数ナノメートル内の正確な放射波長を達成することは重大である。ある狭い所定の範囲外の放射波長内のデバイスは、破棄されるか、または割引値段で販売され、標的の処理収率を低下させる。
【0015】
これらのデバイスの放射波長は、成長温度に、または半導体層のうちの少なくともいくつかの固相組成物に大きく依存する。特に、所望の放射波長および光学特性を伴う多重量子井戸構造を成長させることは、基板の成長表面における温度、層厚さ、および組成物に対する正確な制御を必要とする。したがって、成長温度は、高い処理収率を到達するために、基板の成長表面全体にわたって均一の材料特性を到達するように正確に制御されなければならない。温度が、基板にわたって完全に均一であっても、蒸着チャンバ内の気相枯渇または組成差異のために放射波長における著しい変異がまだ存在し得る。したがって、時には、気相および他の不均一性を補うために温度不均一性を意図的に誘発することが望ましい。多くの場合は、局所気相組成物が、容易に操作できないため、制御変数として温度を使用することが望ましい。
【0016】
したがって、本教示の1つの態様は、基板担体によって支持されている基板にわたる温度均一性を修正するためのVPEシステム等の材料処理システムにおける基板担体を製造するか、または修正する方法である。本教示の様々な実施形態では、温度均一性は、処理性能を改善するために、改善されるか、または意図的に低下され得る。
【0017】
基板撓みおよび歪みは、基板温度の関数である。本教示のいくつかの方法では、基板担体は、基板が、成長表面においてより均一の温度を有するように、基板の表面の湾曲に一致するように製造されるか、または修正される。他の方法では、基板担体は、基板担体によって支持されている基板にわたる所定の温度プロファイルを提供するために製造されるか、または修正される。
【0018】
基板の表面上の不均一性を補い、処理システムにおける他の不均一性を補うために基板担体を製造するか、または修正するために必要な情報を得るために、処理されている基板の温度および/または処理チャンバにおける局所気相組成物を正確に測定し、制御することは、多くの場合、困難である。温度測定は、基板が、光学的に透明である場合、特に困難である。本教示による処理性能を改善するために基板担体を修正する一方法は、基板または基板上に製造されるデバイスの成長後測定または分析を含む。その後、測定および分析から得られる結果データは、基板担体を修正するためか、または処理システムにおける不均一性による、温度および/または気相不均一性等の基板に関連する非均一の処理パラメータを補う仕様を伴う新規基板担体を製造するために使用される。
【0019】
本教示による方法では、その後、基板上に製造されるデバイスの1つ以上のパラメータは、基板担体上のそれらの対応する位置の関数として測定される。パラメータは、限定するものではないが、光学的パラメータ、電気パラメータ、または電気光学的パラメータを含む任意の種類のパラメータであることが可能である。例えば、パラメータは、電気または光学デバイスの性能測定基準であることが可能である。1つの特定の実施形態では、測定されるパラメータは、発光ダイオードまたは半導体レーザー等の光学デバイスによって生成される光学的放射の波長である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本教示は、好ましいかつ例示的実施形態に従って、そのさらなる利点とともに、付随の図面と関連して検討される、以下の発明を実施するための形態においてより具体的に説明される。当業者は、後述の図面が、例証目的のためだけのものであることを理解するであろう。図面は、必ずしも、正確な縮尺で描かれているわけではなく、代わりに、本教示の原理を例証するために、強調されている。図面は、出願人の教示の範囲をいかようにも限定することを意図しない。
【図1A】図1Aは、本教示によって製造または修正される基板担体の側面図を例証する。
【図1B】図1Bは、本教示によって製造または修正される基板担体の上面図を例証する。
【図2】図2は、光学層またはデバイスによって生成された光学的放射の波長を測定するために使用されるフォトルミネセンス機器の概念図である。
【図3】図3は、図1に関連して記載されるフォトルミネセンス機器によって生成された測定の結果を例証する。
【図4A】図4A−4Cは、本教示による、光学層またはデバイスの放射波長の測定値を、対応する基板担体の段差高さに関連付ける方法の実施例を例証する。
【図4B】図4A−4Cは、本教示による、光学層またはデバイスの放射波長の測定値を、対応する基板担体の段差高さに関連付ける方法の実施例を例証する。
【図4C】図4A−4Cは、本教示による、光学層またはデバイスの放射波長の測定値を、対応する基板担体の段差高さに関連付ける方法の実施例を例証する。
【図5】図5は、基板上の層またはデバイス領域のそれぞれの成長表面において所望の温度を達成するための、相対的な基板担体の段差高さで描かれる基板担体のピクセルペッキングマップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1Aは、本教示によって製造されるか、または修正される基板担体100の側面図を例証する。基板担体100は、タブ103で、処理の間に基板102を支持するように設計される。多数の種類のタブが、使用可能である。例えば、タブは、基板の縁に沿ういくつかの場所に位置付けられる三角形タブであることが可能である。基板担体100は、黒鉛、SiC、金属、およびセラミック材料等の多数の種類の材料から形成され得る。本教示のいくつかの実施形態のために、局所においてか、または所定の輪郭において容易に機械加工可能である材料の基板担体100を形成することが望ましい。他の実施形態では、局所において追加の材料を容易に受け入れ可能である材料の基板担体100を形成することが望ましい。さらに他の実施形態では、局所において異なる配向を伴うか、もしくは修正された特性を伴う異なる材料または同じ材料の挿入を受け入れ可能である材料の基板担体100を形成することが望ましい。
【0022】
基板担体100は、処理の間に基板102を支持するための多段差陥凹104を有する。陥凹104は、陥凹104の底部から基板102の底面102’までの段差高さ106を有する。本教示の一態様は、段差高さ106および/または段差下の基板担体100の熱伝導率における小さな変化は、基板102が、より均一の温度プロファイルを有するか、または所定の所望の温度プロファイルを有するように、基板102の成長表面102’’における温度を変化させることが可能である。図1Bは、本教示によって製造されるか、または修正される基板担体100の上面図を例証する。上面図は、基板102全体にわたり延在する、異なるパターンにおける可変の段差高さ106を示す。
【0023】
図2は、基板202上に製造された光学層または光学デバイスによって生成される光学的放射の波長を測定するために使用されるフォトルミネセンス機器200の概念図である。機器200は、狭いビーム幅を伴う光学ビームを生成するレーザー204を含む。レーザー204は、光学ビームが、光学デバイスを探査できるように、光学層の小領域、または単一の光学デバイスに対応する基板202の表面上の小領域に光学ビームを向ける。基板202は、光学ビームが、所望の領域または任意の数もしくはすべての光学デバイスに衝突するように、光学ビーム下で基板202を平行移動させるX−Y 並進台上に据え付けられる。この技術はまた、光学デバイスが、製造される前に、基板上に成長させられる層の放射波長を測定するために使用可能である。この場合、基板の所定の領域における放射波長は、デバイスが、ウエハ上に製造される前に、ウエハが、性能仕様を満たすかどうかを決定するために、ビーム下で基板に段差を付けることによってマッピングされる。
【0024】
光学ビームは、光学層または光学デバイスに、その特徴波長で光学的放射を生成させる。平行レンズ206は、平行ビームを鏡208に指向するように位置付けられ、光学ビームを単色光分光器210に偏向させる。集束レンズ212は、平行ビームを単色光分光器210のスリットに集束するために使用される。単色光分光器210は、選択された波長を出口スリットに通過させる。検出器アレイ214は、出口スリットによって通過させられた光学ビームを検出するように位置付けられる。データ取得装置216は、波長位置データを保存するために使用可能である。X−Y並進台は、基板202を、光学層の異なる領域、または異なる光学デバイスに平行移動させ、その後、測定が繰り返される。例えば、光学デバイスは、2mm間隔であり得、X−Y並進台は、基板202を、2mmのステップで水平および垂直方向に平行移動可能である。
【0025】
図3は、図2に関連して説明されたフォトルミネセンス機器200によって生成された測定値の例的結果を例証する。図3は、本実施例では、光学層の領域または個々の光学デバイスを表すピクセルに分割された半導体ウエハである、基板300を例証する。基板300の部分302の拡大図は、ピクセル304をより明確に例証するために示される。ピクセル304のそれぞれは、機器200におけるレーザービームによって探査される光学デバイスのナノメートルにおける放射波長に関連する。
【0026】
別の特定の実施形態では、測定されるパラメータは、発光ダイオードまたは半導体レーザー等の光学デバイスの一部である光学層によって生成される光学的放射の強度である。この実施形態では、図2に関連して説明されるように、レーザーは、レーザーによって生成される光学ビームが、光学デバイスを探査可能であるように、光学ビームを、単一の光学デバイスに対応し得る基板の表面上の小領域に向ける。光学ビームは、光学デバイスに光学的放射を生成させる。集束レンズは、光学的放射を集束するために使用可能である。検出器または検出器アレイは、光学的放射の強度を検出するために使用される。データ取得装置は、光学強度位置データを保存するために使用可能である。
【0027】
したがって、測定の結果は、基板300上のそれらの対応する位置の関数として表される光学層または光学デバイスのパラメータによる基板300のマップである。図3に示される実施例では、ピクセル304のそれぞれは、ナノメートルにおける放射波長を表す数を含む。その後、基板300上の位置は、基板担体上のそれらの対応する位置の関数として表される、この実施例では、ナノメートルにおける放射波長である、測定された光学層または光学デバイスパラメータのマップを得るために、基板担体上のそれらの対応する位置に関連付けられる。
【0028】
その後、基板上のいくつかの位置における蒸着された層の測定されたパラメータは、基板担体の物理的特徴に関連付けられる。例えば、測定されたパラメータは、光学または電子性能測定基準であり得、基板担体の物理的特徴は、測定されている層またはデバイス下にある基板担体の局所深さであることが可能である。また、測定されたパラメータは、光学または電子性能測定基準であり得、基板担体の物理的特徴は、測定されている層またはデバイス下にある基板担体の局所熱伝導率または放射率であることが可能である。結果は、基板担体上の複数の位置に対応する基板担体の複数の物理的特徴である。
【0029】
いくつかの実施形態では、基板上に成長した層か、または製造されたデバイスの測定されたパラメータを、基板担体の物理的特徴に関連付けることは、関連付けを行うための数学的モデルを使用することを含む。例えば、数学的モデルは、放射波長または放射強度を、層またはデバイス下にあるウエハ担体の局所深さまたは局所熱伝導率に関連付けるために使用可能である。より具体的には、ウエハの表面温度は、測定された放射波長または基板上の半導体層の膜組成物を使用することによって、熱力学的および動的反応方程式から計算可能である。その後、熱輸送方程式が、ウエハ表面温度を、ウエハ担体の深さにか、または局所熱伝導率に関連付けるために使用可能である。
【0030】
また、いくつかの実施形態では、基板上に成長した層か、または製造されたデバイスの測定されたパラメータを、基板担体の物理的特徴に関連付けることは、実験によって得られるデータを関連付けることを含む。本教示の一利点は、簡単な実験が、均一の温度または基板の成長表面における所定の温度プロファイルのいずれかをもたらす基板担体の形状を決定するために使用可能である実験的データを得るために行われ得るということである。例えば、放射波長のフォトルミネセンス測定からの実験的データは、測定されている蒸着された層下のウエハ担体の局所深さまたは局所熱伝導率に関連付けられ得る。
【0031】
図4A−4Cは、本教示による、光学層または光学デバイスの放射波長の測定値を、対応する基板担体の段差高さに関連付ける方法の実施例を例証する。方法は、光学デバイスの位置の関数として光学的放射波長データによって基板をマッピングする第1のステップを含む。光学的放射波長データは、図2に関連して説明されるフォトルミネセンス機器で得ることができる。結果が、測定されている蒸着された層の位置に対応する波長データによる基板のマップ402として図4Aに示される。この特定の実施例では、平均波長である、所望の波長は、461nmと等しい。
【0032】
その後、所望の放射波長からの放射波長偏差が、決定される。結果が、基板の位置の関数として表される放射波長偏差データによる基板のマップ404として図4Bに示される。放射波長偏差データが、所定の値より大きい場合、基板担体の段差高さまたは他の物理的特徴は、放射波長偏差を低下させるように修正される。例えば、いくつかの処理では、2nm以下である放射波長偏差を有することが望ましい。
【0033】
その後、所望の放射波長からの放射波長差異は、基板担体の段差高さの変化に関連付けられる。示される実施例では、単位距離当たりの放射波長差異は、約16mmの厚さである基板担体に対して0.16nm/μmである。つまり、波長における所望の0.16nmの変化ごとに、基板担体の段差高さは、1ミクロン分、変化されなければならない。すなわち、その後、基板担体の段差高さは、放射波長を所望の放射波長に変化させる所望の波長変化の方向によって、ウエハ上の固定された位置に対して、増加されるか、または減少されるかのいずれかである。結果が、単位距離当たり放射波長差異変換から決定される、ミクロンにおける波長偏差から担体の段差高さへの変換を表すマップ406として図4Cに示される。
【0034】
他の実施形態では、放射波長値は、基板上の特定の領域を支持するウエハ担体の部分の絶対厚さ値に直接関連付けられる。これらの実施形態では、基板はまた、光学層または光学デバイスの位置の関数として光学的放射波長データでマッピングされ、結果は、特定の層またはデバイス位置に対応する波長データを伴う基板のマップ402である。その後、放射波長は、基板を支持する基板担体の絶対厚さに直接関連付けられる。その後、基板担体の絶対厚さは、所望の波長変化の方向によって、増加されるか、または減少されるかのいずれかである。
【0035】
その後、基板担体100の物理的特徴は、基板担体100上の位置の関数として所望のパラメータを得るために、基板担体100上の複数の対応する位置のうちの1つ以上において修正される。物理的特徴が、基板担体の段差高さである場合、材料は、基板担体100に追加されるか、または除去されるかのいずれかである。材料は、蒸着、スパッタリング、めっき、またはCVD等の多数の手段によって基板担体に追加され得る。基板担体の部分は、材料が、基板担体のある領域のみにおいて堆積されるように、マスクされ得る。
【0036】
材料は、多数の方法のうちの任意の1つで基板担体100から除去可能である。例えば、基板担体100の陥凹104における局所を機械加工する多数の方法がある。基板担体は、連続する輪郭で機械加工可能であるか、または専門の切削工具でペッキングすることによって局所において機械加工され得る。例えば、小径ダイヤモンド切削工具が、使用可能である。空気タービンスピンドルを使用する切削工具等の高速で作動する切削工具は、小さいピクセルを機械加工するために必要な比較的高い正確性を提供可能である。
【0037】
図5は、基板上の層またはデバイス領域のそれぞれの成長表面における所望の温度を達成するために、相対的な基板担体の段差高さでマッピングされた基板担体のピクセルペッキングマップ500を示す。図5は、ピクセルの上に位置付けられる基板上に製造された特定の層領域またはデバイスに対応する、ピクセルのそれぞれにおいて数字を示すマップ502の1つの領域の拡大図を示す。その後、基板担体の段差高さは、パラメータ変化の方向によって、増加されるか、または低下されるかのいずれかである。例えば、一実施形態では、その後、基板担体の段差高さは、所望の放射波長を達成するために必要な所望の波長変化によって、増加されるか、または減少されるかのいずれかである。この実施例では、基板担体の段差高さのそれぞれは、マイナスであり、材料が、ピクセル領域のそれぞれにおいて除去される必要があることを意味する。様々な実施形態では、基板担体は、材料が、ピクセルのそれぞれの成長表面における所望の温度を達成するために除去される必要のみがあるように、設計可能である。除去されるべき材料の量は、層領域またはデバイスにおける数字に比例する。
【0038】
本教示による様々な方法では、コンピューター制御のペッキングエンドミルが、ピクセルのいくつかか、またはすべてにおける基板担体材料を除去するために使用可能である。図5はまた、特定のピクセルにおける材料を除去するために使用可能であるエンドミル研削パターン504も示す。CNCペッキング工作機械は、深さ変化を必要とするピクセルのそれぞれのために、図5に示される研削パターン504においてエンドミルを移動するために使用可能である。エンドミルが、1つのピクセルにおいて研削パターンを終了すると、エンドミルは、持ち上げられ、その後、別のピクセルに移動させられる。フライス加工は、すべてのピクセルの深さが、基板担体にわたって位置付けられた基板の成長表面において所望の温度をもたらす深さまで変化させられるまで、連続的に行われる。
【0039】
他の方法では、CNCまたは他の種類のコンピューター制御のフライス盤は、基板担体にわたって位置付けられた基板の成長表面において所望の温度を提供する連続する輪郭を形成するために、基板担体の表面を修正するために使用される。多数の他の方法は、基板担体の表面を輪郭付けるために使用可能である。これらの方法のいくつかは、所定のピクセルにおいてレーザー切断、静電放電、またはウォータージェット加工を行うためのコンピューター制御の機械を使用する。
【0040】
他の方法は、化学または乾式エッチング等の非選択的な材料除去手段と、ある所定の領域において除去手段に抵抗力を有する少なくとも1つの材料を蒸着する1つ以上のマスキングステップを組み合わせる。いくつかの方法では、基板担体は、基板の成長表面において所望の温度を提供する所定の形状を有する連続する輪郭を作成するために、基板担体の非均一のエッチングを引き起こす材料でマスクされるか、または部分的にマスクされ得る。他の方法では、除去手段に抵抗力を有する材料をマスクする浸食され得る可変の厚さが、基板担体の少なくとも一部にわたって蒸着される。これらの方法では、比較的薄い浸食され得るマスキング材料を伴う領域は、より厚い浸食され得る材料を伴う領域より多くエッチングされ、したがって、より多くの担体表面材料が、これらの領域から除去される。
【0041】
いくつかの方法では、物理的特徴は、基板担体の熱伝導率であり、熱伝導率は、基板担体の局所領域において変更される。例えば、ある局所領域において、材料は、局所領域に挿入され、それらの領域における基板担体材料のうちの少なくとも一部を置換し得る。いくつかの方法では、基板担体の一部分は、局所領域において除去され、異なる熱伝導率を有する材料で置換される。異なる熱伝導率を有する材料は、異なる材料であることが可能であり、それは、同じ材料であることが可能であるが、異なる熱伝導率を示す異なる配向で位置付けられる。他の方法では、熱伝導率は、局所領域において材料処理を行うことによって局所領域において変化される。例えば、局所領域は、熱伝導率を変化させるイオンビームで照射され得る。
【0042】
(均等物)
本出願人の教示が、種々の実施形態と併せて説明されたが、本出願人の教示が、そのような実施形態に限定されることを意図するものではない。対照的に、本出願人の教示は、当業者によって理解されるように、本教示の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に成され得る、種々の代替、修正、および均等物を包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理性能を改善するために基板担体を修正する方法であって、
a.基板担体によって支持された基板上に少なくとも1つの層を蒸着させることと、
b.前記基板担体上のその対応する位置の関数として前記少なくとも1つの層のパラメータを測定することと、
c.前記基板担体上の複数の位置に対応する前記基板担体の複数の物理的特徴を得るために、前記基板担体上の複数の位置のうちの少なくともいくつかに対応する測定されたパラメータを、前記基板担体の物理的特徴に関連付けることと、
d.前記基板担体上の位置の関数として前記少なくとも1つの蒸着された層の所望のパラメータを得るために、前記基板担体上の複数の対応する位置のうちの1つ以上において、前記基板担体の物理的特徴を修正することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記基板担体は、黒鉛、SiC、金属、およびセラミック材料のうちの少なくとも1つから形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板は、半導体、金属、および絶縁体材料のうちの少なくとも1つから形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記基板上に蒸着される前記少なくとも1つの層の測定されたパラメータを、前記基板担体の物理的特徴に関連付けることは、数学的モデルを使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記基板上に蒸着される前記少なくとも1つの層の測定されたパラメータを、前記基板担体の物理的特徴に関連付けることは、実験によって得られるデータを関連付けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記基板担体の物理的特徴は、前記基板担体の局所深さを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記基板担体の物理的特徴は、前記基板担体の局所熱伝導率を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記基板担体の物理的特徴は、前記基板担体の局所放射率を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記基板担体の物理的特徴は、前記基板担体の局所機械的特性を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記パラメータは、性能測定基準を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記パラメータは、前記基板上に蒸着される前記少なくとも1つの層の光学的パラメータである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記パラメータは、前記基板上に蒸着される前記少なくとも1つの層の電気パラメータである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記パラメータは、前記基板上に蒸着される前記少なくとも1つの層の電気光学的パラメータである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記基板担体上の前記複数の対応する位置のうちの少なくともいくつかに関連する測定されたパラメータを関連付けることは、特定の場所における前記少なくとも1つの層の放射波長を、前記基板担体の対応する局所深さに関連付けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記位置の関数として前記基板担体の物理的特徴を修正することは、前記基板担体上の複数の対応する位置のうちの少なくとも1つにおいて、前記基板担体から材料を取り除くことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記材料は、機械加工、レーザー切断、化学エッチング、および静電放電のうちの少なくとも1つによって、前記基板担体上の対応する位置のうちの少なくとも1つにおいて、前記基板担体から取り除かれる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記基板担体の物理的特徴を修正することは、前記基板担に材料を追加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記基板担体の物理的特徴を修正することは、前記基板担体の局所領域における熱伝導率を変化させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記局所領域の熱伝導率は、材料を前記局所領域に挿入することによって変化させられる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記局所領域の熱伝導率は、前記局所領域において材料処理を行うことによって変化させられる、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記基板担体の物理的特徴を修正することは、前記基板担体の局所領域における放射率を変化させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記基板担体の物理的特徴を修正することは、前記基板担体の局所領域における局所機械的特性を変化させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
基板担体の性能測定基準を改善するための方法であって、
a.材料処理のために基板を支持するための基板担体を製造することであって、前記基板担体は、位置の関数として物理的特徴を有する、ことと、
b.基板担体によって支持される基板上に少なくとも1つの層を蒸着させることと、
c.前記基板担体上のその対応する位置の関数として前記基板上に蒸着される前記少なくとも1つの層の性能測定基準を測定することと、
d.前記基板担体上の複数の位置に対応する前記基板担体の複数の物理的特徴を得るために、前記基板担体上の少なくともいくつかの位置に対応する前記測定された性能測定基準を、前記基板担体の物理的特徴に関連付けることと、
e.前記基板担体上の位置の関数として蒸着された前記少なくとも1つの層の所望の性能測定基準を得るために、前記基板担体上の複数の対応する位置のうちの1つ以上において、前記基板担体の物理的特徴を修正することと
を含む、方法。
【請求項24】
前記製造された基板担体は、所定の深さ輪郭を有する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記製造された基板担体は、所定の熱輪郭を有する、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
処理性能を改善するために基板担体を修正する方法であって、
a.基板担体によって支持された基板上に少なくとも1つの層を蒸着させることと、
b.前記基板担体上のその対応する位置の関数として、前記基板上に蒸着される前記少なくとも1つの層の温度依存性処理パラメータを測定することと、
c.前記基板担体上の複数の位置に対応する前記基板担体の複数の深さを得るために、前記基板担体上に製造された前記少なくとも1つの層の前記測定されたパラメータを、基板担体の深さに関連付けることと、
d.前記基板担体上の対応する位置の関数として、蒸着された前記少なくとも1つの層の所望のパラメータを得るために、前記基板担体上の複数の対応する位置のうちの1つ以上において、前記基板担体の深さを修正することと
を含む、方法。
【請求項27】
前記少なくとも1つの層を蒸着させることは、気相成長法により多重量子井戸構造を製造することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記パラメータは、光学強度を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記パラメータは、光学的放射波長を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記パラメータは、電気パラメータを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記パラメータは、電気光学的パラメータを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記基板上に蒸着された前記少なくとも1つの層の測定されたパラメータを、前記基板担体の深さに関連付けることは、数学的モデルを使用することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記基板上に蒸着された前記少なくとも1つの層の測定されたパラメータを、前記基板担体の深さに関連付けることは、実験データを関連付けることを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記蒸着された少なくとも1つの層の所望のパラメータを得るために、位置の関数として前記基板担体の深さを修正することは、局所において前記基板担体から材料を取り除くことを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項35】
前記材料は、個別の局所において取り除かれる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記材料は、連続する輪郭を形成するために取り除かれる、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記蒸着された少なくとも1つの層の所望のパラメータを得るために、位置の関数として前記基板担体の深さを修正することは、局所において前記基板担体に材料を追加することを含む、請求項26に記載の方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2013−513236(P2013−513236A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542044(P2012−542044)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/056622
【国際公開番号】WO2011/068660
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(509348580)ビーコ インストゥルメンツ インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】