説明

基板支持機構、樹脂塗布装置、樹脂硬化装置および基板処理システム

【課題】搬送の際に損傷や実装不良が生じやすい電子部品が実装された基板であっても適切に支持することが可能な構成を備えた基板支持機構を提供すること。
【解決手段】所定方向へ搬送されるとともに電子部品3が実装されたテープ状の基板2を支持する基板支持機構25は、基板2の幅方向の両端を案内する基板案内部41と、基板2の、電子部品3が実装された実装部分2aを避けた位置に当接して基板2を支持する基板当接部42eとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定方向へ搬送されるテープ状の基板を支持する基板支持機構に関する。また、本発明は、この基板支持機構を備える樹脂塗布装置、樹脂硬化装置および基板処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、フレキシブルなテープ状の基板に実装された半導体チップ等を固定するための樹脂を塗布する樹脂塗布装置と、塗布された樹脂を硬化させる樹脂硬化装置と、樹脂塗布装置に対してテープ状の基板を供給する基板供給装置と、樹脂硬化装置から搬出されるテープ状の基板を巻き取る基板巻取装置とを備えた樹脂塗布システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された樹脂塗布システムでは、樹脂硬化装置は、基板の幅方向(基板の搬送方向に直交する方向)の両端を案内する2つの基板案内部と、2つの基板案内部の間に配置され、基板を下方向から支持する支持部材とを備えている。特許文献1では、支持部材は、平板状に形成されるとともに、基板の幅方向において2つの基板案内部の中間位置に配置され、基板の下面の大半部分に当接している。この支持部材によって、基板のたるみが抑制され、基板の幅方向の端部が基板案内部から外れないように構成されている。そのため、特許文献1の樹脂硬化装置では、適切な基板の搬送が可能となる。
【0004】
【特許文献1】特開2004−122753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された樹脂塗布システム等で用いられるテープ状の基板は、近年、薄型化している。この基板の薄型化に伴い、基板の搬送が行われる樹脂塗布システム等の基板処理システムでは、搬送中あるいは搬送待ちの状態の基板が一層たるみやすくなってきている。また、近年、テープ状の基板に実装される電子部品も小型化、薄型化している。この電子部品の小型化、薄型化に伴い、基板に実装される電子部品の損傷や実装不良が従来に比べ、生じやすくなってきている。そのため、電子部品が実装された基板を搬送する際には、基板の慎重な取扱が要求される。
【0006】
かかる状況下で、たるみやすい基板のたるみを抑制して、基板案内部からの基板端部の外れを防止する上で、特許文献1に開示された支持部材のような基板を支持する構成は有効である。しかしながら、特許文献1に開示された支持部材では、さらに小型化、薄型化して、搬送の際に損傷や実装不良が生じやすくなっている電子部品が実装された基板を支持するためには十分とはいえない状況が生じつつある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、搬送の際に損傷や実装不良が生じやすい電子部品が実装された基板であっても適切に支持することが可能な構成を備えた基板支持機構を提供することにある。また、本発明の課題は、搬送の際に損傷や実装不良が生じやすい電子部品が実装された基板であっても適切に支持することが可能な基板支持機構を備える樹脂塗布装置、樹脂硬化装置および基板処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は、所定方向へ搬送されるとともに電子部品が実装されたテープ状の基板を支持する基板支持機構において、基板の搬送方向に直交する基板の幅方向の両端を案内する基板案内部と、基板の、電子部品が実装された実装部分を避けた位置に当接して基板を支持する基板当接部とを備えることを特徴とする。
【0009】
ここで、本発明において、「電子部品が実装された実装部分を避けた位置に当接」するとは、基板の搬送時に基板と基板当接部とが擦れても、この擦れを原因とした電子部品の損傷や実装不良が生じない位置で、基板当接部が基板に当接することをいう。なお、基板当接部は、基板の、電子部品が実装された実装面に当接する場合もあれば、実装面とは反対側の面に当接する場合もある。
【0010】
本発明の基板支持機構では、基板を支持する基板当接部が、基板の、電子部品が実装された実装部分を避けた位置に当接している。そのため、本発明の基板支持機構では、搬送の際に損傷や実装不良が生じやすい電子部品が実装された基板であっても、電子部品の損傷や実装不良の発生を抑制できる。また、基板のたるみを抑制して、基板案内部からの基板端部の外れを防止できる。したがって、本発明の基板支持機構では、搬送の際に損傷や実装不良が生じやすい電子部品が実装された基板であっても適切に支持することが可能となる。
【0011】
本発明において、電子部品は、基板の幅方向の略中央部分に実装され、基板当接部は、基板の幅方向において、実装部分の両側に配置されていることが好ましい。このように構成すると、基板にたるみを生じさせる主原因となる電子部品の、基板の幅方向における両側を基板当接部で支持できるため、基板のたるみを効果的に抑制できる。
【0012】
本発明において、基板当接部は、基板の搬送方向において、離間した状態で複数配置されていることが好ましい。このように構成すると、基板と基板当接部との間の静摩擦力等に起因して、基板と基板当接部との間に生じる摩擦抵抗を軽減できる。すなわち、基板の搬送負荷を低減できるため、基板の搬送方向でのたるみを抑制することができる。また、摩擦抵抗を軽減することで、基板の変形を抑制して、基板案内部からの基板端部の外れを確実に防止できる。その結果、基板の適切な搬送が可能となる。
【0013】
本発明において、基板当接部は、基板案内部に着脱可能に取り付けられていることが好ましい。このように構成すると、搬送される基板の幅や厚さが様々であり、基板のたるみやすさが様々に異なる場合であっても、基板のたるみやすさに合わせた適切な間隔で、基板当接部を配置できる。そのため、基板と基板当接部との間に生じる摩擦抵抗を軽減しつつ、より適切な基板の支持が可能となる。
【0014】
本発明において、基板当接部は、基板の搬送方向で円弧状に変化する曲面状の当接面を備えることが好ましい。このように構成すると、基板と基板当接部との接触面積を減らして搬送負荷の軽減を図ることができる。また、基板当接部との当接に起因する基板の損傷を防止できる。
【0015】
本発明の基板支持機構は、間欠的に搬送される基板上に樹脂を塗布する樹脂塗布機構を備える樹脂塗布装置に用いることができる。この樹脂塗布装置では、基板支持機構によって、搬送の際に損傷や実装不良が生じやすい電子部品が実装された基板であっても適切に支持することが可能となる。
【0016】
本発明の基板支持機構は、間欠的に搬送される基板上に樹脂を塗布する樹脂塗布機構を備え、基板当接部が、基板の搬送方向において、連続して形成されている樹脂塗布装置に用いることができる。この樹脂塗布装置では、基板支持機構によって、搬送の際に損傷や実装不良が生じやすい電子部品が実装された基板であっても適切に支持することが可能となる。また、基板の搬送方向において、基板当接部が連続して形成されているため、基板上に樹脂を塗布する際の基板のたるみをより確実に抑制できる。
【0017】
本発明の基板支持機構は、基板上に塗布された樹脂を加熱して硬化する加熱機構を備える樹脂硬化装置に用いることができる。この樹脂硬化装置では、基板支持機構によって、搬送の際に損傷や実装不良が生じやすい電子部品が実装された基板であっても適切に支持することが可能となる。
【0018】
本発明の基板支持機構は、基板上に塗布された樹脂を加熱して硬化する加熱機構と、基板の搬送方向を反転させる反転機構とを備え、基板の搬送方向における反転機構の前後部分に配置される基板当接部の配置間隔が、前後部分を除いた他の部分に配置される基板当接部の配置間隔よりも狭くなっている樹脂硬化装置に用いることができる。この樹脂硬化装置では、基板支持機構によって、搬送の際に損傷や実装不良が生じやすい電子部品が実装された基板であっても適切に支持することが可能となる。また、基板の搬送方向における反転機構の前後部分に配置される基板当接部の配置間隔が、前後部分を除いた他の部分に配置される基板当接部の配置間隔よりも狭くなっているため、基板案内部から基板端部が外れやすくなる反転機構の前後においても、確実に基板案内部からの基板端部の外れを防止できる。
【0019】
本発明の基板支持機構は、基板を搬送する基板搬送機構を備える基板処理システムに用いることができる。この基板処理システムでは、基板支持機構によって、搬送の際に損傷や実装不良が生じやすい電子部品が実装された基板であっても適切に支持することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明にかかる基板支持機構では、搬送の際に損傷や実装不良が生じやすい電子部品が実装された基板であっても適切に支持することが可能となる。また、本発明の樹脂塗布装置、樹脂硬化装置および基板処理システムでは、基板支持機構によって、搬送の際に損傷や実装不良が生じやすい電子部品が実装された基板であっても適切に支持することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
(基板処理システムの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる基板処理システム1の概略構成を示す図である。図2は、図1のE部を拡大して示す拡大図である。
【0023】
本形態の基板処理システム1は、テープ状の基板2に実装された半導体チップ等の電子部品3を樹脂で封止、固定するためのシステムである。この基板処理システム1は、図1および図2に示すように、テープ状の基板2に実装された電子部品3を確実に固定するための樹脂を塗布する樹脂塗布装置4と、塗布された樹脂を硬化させる樹脂硬化装置5と、樹脂塗布装置4に対して基板2を供給する基板供給装置6と、樹脂硬化装置5から搬出される基板2を巻き取る基板巻取装置7とを備えている。また、基板処理システム1では、基板供給装置6と、樹脂塗布装置4と、樹脂硬化装置5と、基板巻取装置7とがこの順番で、基板2の搬送方向の上流側から下流側に向かって(図1では左側から右側に向かって)配置されている。
【0024】
なお、基板処理システム1では、図1の左側から右側に向かって基板2が搬送されるため、以下では、図1の左右方向を「搬送方向」と表記し、特に、図1の右側を下流側、左側を上流側と表記する。また、図1の紙面垂直方向は、基板2の搬送方向(基板2の長手方向)に直交する基板2の幅方向(基板2の短手方向)となるため、以下では、図1の紙面垂直方向を「基板2の幅方向」と表記する。
【0025】
基板供給装置6は、樹脂塗布装置4に供給されるテープ状の基板2とテープ状のスペーサ9とが重なった状態で巻回された基板供給リール10を備えている。また、基板巻取装置7は、樹脂硬化装置5から搬出されるテープ状の基板2とテープ状のスペーサ9とが重なった状態で巻き取られる基板巻取リール11を備えている。そして、図1に示すように、基板供給リール10に巻回された基板2と基板巻取リール11に巻回される基板2とはつながっている。すなわち、本形態の基板処理システム1は、いわゆるリール・ツウ・リールの基板処理システムとなっている。
【0026】
本形態では、図2に示すように、基板供給装置6から供給される基板2には予め電子部品3が実装されている。すなわち、基板供給装置6から供給される基板2に形成された電極部(図示省略)には、予め、電子部品3の端子部(図示省略)が電気的に接続されている。また、図2に示すように、基板2には、搬送方向に所定の間隔で複数の電子部品3が実装されている。さらに、基板2には、基板2の幅方向の略中央部分に電子部品3が実装されている(図3、図7等参照)。
【0027】
基板2は、フレキシブルな樹脂基板であるCOF(Chip On Film or Chip On Flexible Circuit Board)テープやTAB(Tape Automated Bonding)テープ等のテープ状の基板である。本形態では、基板2としてCOFテープが用いられている。そのため、図2に示すように、電子部品3は、基板2の一方の面(図2では上面)に実装されている。また、電子部品3が実装される基板2の一方の面には、保護膜で覆われた配線が形成されている。この基板2は、たとえば、ポリイミドで形成されている。
【0028】
また、基板処理システム1では、基板2として、厚さがたとえば、20μm、25μm、30μm、50μm、75μmあるいは125μmであり、幅(基板2の短手方向の幅)がたとえば、35mm、48mm、あるいは70mmである種々の基板2が用いられる。本形態で用いられる基板2は、特に薄型でかつ幅の広いものであり、その厚さは50μm以下で、その幅は48mmや70mmとなっている。より具体的には、本形態の基板2は、幅が70mmであれば、厚さが50μm以下であり、幅が48mmであれば、厚さは30μm以下となっている。なお、基板処理システム1で扱う基板2の厚さは50μm以下には限定されず、また、基板2の幅は35mmやその他の値のものであっても良い。
【0029】
本形態のスペーサ9は、基板供給リール10や基板巻取リール11に巻回される基板2を保護するためのものであり、薄い樹脂でテープ状に形成されている。たとえば、スペーサ9は、カーボンが含有されたポリエチレンテレフタレートで形成されている。
【0030】
基板供給装置6は、上述した基板供給リール10の他に、基板2と分離されるスペーサ9が巻き取られるスペーサ巻取リール12と、基板2を案内する2個の基板ガイドローラ13、13およびガイド部材14と、スペーサ9を案内する2個のスペーサガイドローラ15、15とを備えている。基板ガイドローラ13、13およびスペーサガイドローラ15、15は、駆動手段を有しない従動ローラである。
【0031】
基板供給装置6は、図1に示すように、基板供給リール10から供給された基板2が、2個の基板ガイドローラ13、13の間で下側にたるむように構成されている。2個の基板ガイドローラ13、13の間で、一旦たるんだ基板2は、ガイド部材14によって下流側に案内され、樹脂塗布装置4へ供給される。また、基板2と分離されたスペーサ9は、スペーサガイドローラ15、15に案内されてスペーサ巻取リール12に巻き取られる。
【0032】
また、基板供給装置6は、図1に示すように、基板供給リール10とスペーサ巻取リール12との間でスペーサ9が下側にたるむように構成されている。そのため、スペーサ9と重なった状態で基板供給リール10に巻回された基板2へは、スペーサ9の張力に起因した大きな力がかからないようになっている。なお、このスペーサ9のたるみの程度を検出するセンサを設け、このセンサでの検出結果に基づいて、基板供給リール10の回転制御を行うようにしても良い。
【0033】
樹脂塗布装置4は、図1に示すように、基板供給装置6から供給された基板2を矢印X方向(下流側へ向かう方向)へ搬送する2組の搬送ローラ17、18と、基板2に実装された電子部品3に熱硬化性の樹脂を塗布する樹脂塗布機構としての樹脂塗布部19とを備えている。本形態では、搬送ローラ17が上流側に配置され、搬送ローラ18が下流側に配置されている。
【0034】
搬送ローラ17、18は、搬送ローラ17、18間で基板2にたるみが生じないように、同一の周速度で回転する。また、搬送ローラ17、18は、基板2に実装された各電子部品3の実装間隔分だけ回転した後に、一定時間停止するというサイクルを繰り返す。すなわち、搬送ローラ17、18は、基板2を間欠的に搬送するように、回転と停止を繰り返す。そして、基板2が停止した状態で、樹脂塗布部19によって、電子部品3が実装された部分に樹脂が塗布される。このように、樹脂塗布装置4では、基板供給装置6から供給された基板2へ熱硬化性の樹脂が塗布され、その後、基板2が樹脂硬化装置5へ向かって搬出される。
【0035】
ここで、本形態では、搬送ローラ17は、搬送ローラ18の停止後、わずかに逆回転(基板2を上流側に送る方向の回転)して基板2に張力を与えた状態で停止する。すなわち、本形態の搬送ローラ17は、基板2に張力を与えるためのテンションローラとしての機能も果たしている。なお、搬送ローラ17を搬送ローラ18よりも早く停止させることで、基板2に張力を生じさせても良い。
【0036】
また、樹脂塗布装置4は、間欠的に搬送される基板2を搬送方向に案内するとともに、図1における下側から基板2を支持する基板支持機構20を備えている(図1では図示省略、図3参照)。基板支持機構20の詳細な構成については後述する。
【0037】
樹脂硬化装置5は、樹脂塗布装置4から搬出された基板2を加熱することで、基板2に塗布された樹脂を硬化する加熱炉である。この樹脂硬化装置5は、図1に示すように、第1から第3の搬送路L1、L2、L3と、第1から第3の搬送路L1、L2、L3のそれぞれの間を仕切る2つの仕切部材22、22と、基板2の表裏を反転させるとともに基板2の搬送方向を反転させる反転機構としての第1および第2の反転ローラ23、24とを備えている。
【0038】
第1から第3の搬送路L1、L2、L3は、樹脂硬化装置5の内部において、下側からこの順番で配置されている。樹脂硬化装置5では、樹脂塗布装置4から搬出された基板2は、まず、矢印X方向へ第1の搬送路L1を通過して搬送され、その後、第1の反転ローラ23で反転される。反転された基板2は、矢印Y方向(上流側へ向かう方向)へ第2の搬送路L2を通過して搬送され、その後、第2の反転ローラ24で再び反転される。反転された基板2は、矢印X方向へ第3の搬送路L3を通過して搬送され、樹脂硬化装置5から搬出される。
【0039】
第1の反転ローラ23および/または第2の反転ローラ24は、樹脂硬化装置5内部の基板2に張力が付与されるように、図示を省略するバネ等の付勢部材によって、図1の横方向に付勢されている。たとえば、第1の反転ローラ23が固定され、第2の反転ローラ24が上流側に付勢されている。あるいは、第1の反転ローラ23が下流側に付勢されるとともに第2の反転ローラ24が上流側に付勢されている。
【0040】
第1から第3の搬送路L1、L2、L3は、樹脂硬化装置5の内部で搬送される基板2を搬送方向に案内するとともに、図1における下側から基板2を支持する基板支持機構25(図1では図示省略、図7参照)と、基板2上に樹脂塗布装置4で塗布された樹脂を加熱して硬化するための加熱機構26(図1では図示省略、図7参照)とを備えている。この第1から第3の搬送路L1、L2、L3の詳細な構成については後述する。なお、樹脂塗布装置4に設けられた基板支持機構20と、樹脂硬化装置5に設けられた基板支持機構25とを区別するため、以下では、基板支持機構20を「第1基板支持機構20」と表記し、基板支持機構25を「第2基板支持機構25」と表記する。
【0041】
樹脂塗布装置4および樹脂硬化装置5では、樹脂塗布装置4での基板2の搬送と、樹脂硬化装置5での基板2の搬送とが同期するように、基板2が搬送される構成となっている。たとえば、樹脂塗布装置4および樹脂硬化装置5では、基板2は、15〜200mm/secの速度で間欠的に搬送される。
【0042】
基板巻取装置7は、上述した基板巻取リール11の他に、基板2と重なるスペーサ9を供給するスペーサ供給リール27と、樹脂硬化装置5から搬出される基板2が搬入される搬入口28と、基板2を装置内部へ引き込む引込ローラ29と、引込ローラ29によって引き込まれた基板2を下方向へ案内するガイド部材30と、基板2の搬送を案内する基板ガイドローラ31と、スペーサ9の搬送を案内する2個のスペーサガイドローラ32、32とを備えている。引込ローラ29は図示を省略するモータ等の駆動手段によって回転駆動される駆動ローラであり、基板ガイドローラ31、スペーサガイドローラ32、32は駆動手段を有しない従動ローラである。
【0043】
本形態の基板巻取装置7は、図1に示すように、樹脂硬化装置5から搬出された後に引込ローラ29で引き込まれ、かつ、基板巻取リール11に巻き取られる前の基板2がたるむように構成されている。具体的には、ガイド部材30と基板ガイドローラ31との間で基板2が下側にたるむように構成されている。
【0044】
スペーサ9は、スペーサガイドローラ32、32に案内されてスペーサ供給リール27から基板巻取リール11に供給される。また、ガイド部材30と基板ガイドローラ31との間で下側にたるんだ基板2は、スペーサ9とともに基板巻取リール11に巻き取られる。
【0045】
本形態の基板処理システム1では、樹脂塗布装置4に設けられた搬送ローラ17、18と、基板巻取装置7に設けられた引込ローラ29とによって、基板2を搬送する基板搬送機構が構成されている。そして、この基板搬送機構によって、基板供給装置6から樹脂塗布装置4へ間欠的に基板2が供給され、樹脂塗布装置4では、順次、基板2上に樹脂が塗布される。また、樹脂が塗布された後の基板2は、基板搬送機構によって、樹脂硬化装置5内を間欠的に搬送され、樹脂硬化装置5で樹脂が硬化した後の基板2は、基板巻取装置7で、スペーサ9とともに巻き取られる。
【0046】
(第1基板支持機構の構成)
図3は、図1のF部を上流側から見たときの断面を拡大して示す拡大断面図である。なお、図3では、便宜上、断面部分のハッチングの図示を省略している。
【0047】
上述のように、樹脂塗布装置4は、基板2を搬送方向に案内するとともに、図1における下側から基板2を支持する第1基板支持機構20を備えている。この第1基板支持機構20は、図3に示すように、基板2の幅方向の両側に配置され、基板2の幅方向の両端を搬送方向へ案内する2つの第1基板案内部34、34と、2つの第1基板案内部34、34にそれぞれ取り付けられ、図3における下側から基板2を支持する2つの第1基板支持部35、35とを備えている。第1基板案内部34、34および第1基板支持部35、35は、図示を省略する所定の取付部材等を介して、図示を省略する樹脂塗布装置4の本体部分に取り付けられており、樹脂塗布装置4の搬送路を構成している。
【0048】
第1基板案内部34、34は、搬送方向を長手方向とする細長いブロック状の金属部材で形成された下案内部36と、搬送方向を長手方向とする細長い板状の金属部材で形成された上案内部37とを備え、全体として、搬送方向を長手方向とする細長いブロック状に形成されている。具体的には、第1基板案内部34、34は、樹脂塗布装置4において、搬送方向で連続して配置されるように形成されている。たとえば、第1基板案内部34、34は、搬送ローラ17、18間の全域に亘って連続して形成されている。この第1基板案内部34、34の搬送方向の長さは、たとえば、90cmである。
【0049】
下案内部36は、図3に示すように、略溝形状に形成されており、下案内部36の内側に配置され上方向に向かって突出する部分は、下案内部36の外側に配置され上方向に向かって突出する部分に比べ低くなっている。下案内部36では、この低くなった内側の突出部分が、基板2の幅方向の端部を載置する基板載置部36aとなっている。また、基板載置部36aの外側に位置する凹部36bは、基板2の搬送時における下案内部36と基板2との摺動抵抗を軽減するための逃げ部となっている。さらに、下案内部36の外側の突出部分の内側面36cは、基板2の幅方向への逃げを防止する機能を果たしている。
【0050】
上案内部37は、図3に示すように、下案内部36の外側の突出部分に図示を省略するネジによって取り付けられている。この上案内部37は、基板2の上方への逃げを防止するため、その内側部分が、基板載置部36aと上下方向で対向するように、下案内部36に取り付けられている。
【0051】
第1基板支持部35、35も、第1基板案内部34、34と同様に、搬送方向を長手方向とする細長いブロック状の金属部材で形成されている。具体的には、第1基板支持部35、35も、樹脂塗布装置4において、搬送方向で連続して配置されるように形成されており、たとえば、搬送ローラ17、18間の全域に亘って配置されている。この第1基板支持部35、35はそれぞれ、図3に示すように、搬送方向に所定の間隔で配設される複数のネジ38、38によって、下案内部36、36の内側の側面に取り付けられている。
【0052】
第1基板支持部35、35は、図3に示すように、図示上側に突出するようにかつ内側に形成され、基板2の下面(電子部品3が実装されていない面)に当接して基板2を支持する第1基板当接部35a、35aを備えている。この第1基板当接部35a、35aも、樹脂塗布装置4において、搬送方向で連続して配置されるように形成されており、たとえば、搬送ローラ17、18間の全域に亘って配置されている。そして、第1基板当接部35a、35aは、主として基板2の幅方向のたるみを抑制する機能を果たしている。なお、第1基板当接部35aの厚み(図3の横方向の幅)はたとえば、2mmである。
【0053】
第1基板当接部35aは、基板載置部36aの内側に配置されている。また、図3に示すように、第1基板当接部35aは、基板2の、電子部品3が実装された実装部分2aを避けた位置に当接するように配置されている。すなわち、本形態では、基板2の幅方向の略中央部分に電子部品3が実装されており、2つの第1基板当接部35a、35aは、基板2の中央部分を避けた位置に配置されるとともに、基板2の幅方向において、実装部分2aの両側に配置されている。
【0054】
(第1から第3の搬送路の構成)
図4は、図1のG部を拡大して示す拡大図である。図5は、図4に示す矢印H−H方向から取付架台48への第2基板案内部41の取付部分を示す平面図である。図6は、図5のJ−J断面を示す断面図である。図7は、図4のK部を上流側から見たときの断面を拡大して示す拡大断面図である。図8は、図1に示す樹脂硬化装置5における第2基板支持部42の配置関係を示す図である。図9は、図7に示す第2基板支持部42を示す図であり、(A)は正面図、(B)は(A)の左側面図、(C)は(A)の右側面図である。なお、図5および図6では、便宜上、基板2の図示を省略している。また、図7では、便宜上、断面部分のハッチングの図示を省略している。
【0055】
第1の搬送路L1は、上述のように、樹脂硬化装置5の内部で搬送される基板2を搬送方向に案内するとともに、図1における下側から基板2を支持する第2基板支持機構25と、樹脂塗布装置4で、基板2上に塗布された樹脂を加熱して硬化するための加熱機構26とを備えている。
【0056】
加熱機構26は、図4および図7に示すように、基板2の上方に配置され、基板2を加熱する発熱体39と、この発熱体39の下方でかつ基板2の上方に配置され、発熱体39からの熱を拡散する熱拡散板40とから構成されている。発熱体39は、たとえば、セラミックヒータ等の赤外線ヒータである。また、熱拡散板40は、熱伝導性に優れた金属板等で形成されている。図4に示すように、熱拡散板40は、第1の搬送路L1の搬送方向のほぼ全域に亘って連続的に配置され、発熱体39は、搬送方向に所定の間隔を開けて配置されている。なお、熱拡散板40の幅(図7の横方向の幅)はたとえば、145mmである。また、発熱体39の幅(図7の横方向の幅)はたとえば、100mmであり、長さ(図4の横方向の長さ)はたとえば、200mmである。
【0057】
第2基板支持機構25は、図7に示すように、基板2の幅方向の両端を搬送方向へ案内する第2基板案内部41と、第2基板案内部41に取り付けられ、図7における下側から基板2を支持する第2基板支持部42とを備えている。
【0058】
第2基板案内部41は、図4等に示すように、搬送方向を長手方向とする細長いブロック状の金属部材で形成された下案内部43と、搬送方向を長手方向とする細長い板状の金属部材で形成された上案内部44とを備え、全体として、搬送方向を長手方向とする細長いブロック状に形成されている。この第2基板案内部41は、基板2の幅方向では、図7に示すように、基板2の両側に配置されている。また、図4に示すように、搬送方向では、複数の第2基板案内部41が所定の間隔S(たとえば、4mm〜5mmの間隔)を空けて、隣接するように配置されている。隣接する第2基板案内部41には、間隔Sが設けられているため、樹脂硬化装置5内の温度が上昇して、第2基板案内部41が熱膨張しても、隣接する第2基板案内部41同士が接触しないようになっている。なお。第2基板案内部41の搬送方向の長さはたとえば、70cmである。
【0059】
第2基板案内部41は、上述した第1基板案内部34と同様に構成されている。すなわち、下案内部43は、図7に示すように、略溝形状に形成されるとともに、上述した下案内部36の基板載置部36a、凹部36bおよび内側面36cにそれぞれ相当する基板載置部43a、凹部43bおよび内側面43cを備えている。また、上案内部44は、上述の上案内部37と同様に、その内側部分が、基板載置部43aと上下方向で対向するように、下案内部43に取り付けられている。
【0060】
第2基板支持部42は、図9に示すように、板状の金属部材で形成されるとともに、曲げ加工によって略溝形状に形成されている。この第2基板支持部42は、基板2の幅方向では、図7に示すように、基板2の両側に配置されている。また、第2基板支持部42の搬送方向の長さは、図4に示すように、第2基板案内部41の搬送方向の長さに比べて短くなっており、図8に示すように、搬送方向では、複数の第2基板支持部42が一定のピッチPで離間した状態で配置されている。また、1つの第2基板案内部41に対して、1つまたは2つの第2基板支持部42が取り付けられている。
【0061】
図7および図9に示すように、第2基板支持部42には、第2基板案内部41が配置される溝部42aが形成されるとともに、第2基板支持部42は、図9における溝部42aの右側に形成される第1側面部42bと、図9における溝部42aの左側に形成される第2側面部42cと、第1側面部42bの図示上端から右方向に向かって形成された水平面部42dと、水平面部42dの図示右端から上方向に向かって形成された第3側面部42eとを備えている。
【0062】
第2側面部42cには、図9に示すように、ネジ孔42fが形成されている。そして、図7等に示すように、外側からネジ孔42fに螺合されたネジ45によって、溝部42aに配置された第2基板案内部41に第1側面部42bが押し付けられた状態で、第2基板支持部42は、第2基板案内部41に取り付けられている。すなわち、第2基板支持部42は、ネジ45によって、第2基板案内部41に着脱可能に取り付けられている。
【0063】
第3側面部42eは、図7に示すように、基板2の下面(電子部品3が実装されていない面)に当接して基板2を支持している。すなわち、第3側面部42eは、基板2の下面に当接して主として基板2の幅方向のたるみを抑制する第2基板当接部となっている。以下では、第3側面部42eを第2基板当接部42eと表記する。なお、第2基板当接部42eの厚み(図7の横方向の幅)はたとえば、2mmとなっている。
【0064】
第2基板当接部42eの上面は、基板2に当接する当接面42gとなっている。この当接面42gは、図9(C)に示すように、図示左右方向(基板2の搬送方向)で円弧状に変化する曲面状に形成されている。たとえば、この当接面42gの曲率半径Rは、20mmとなっている。
【0065】
第2基板当接部42eは、図7に示すように、基板載置部43aの内側に配置されている。また、第2基板当接部42eは、基板2の、電子部品3が実装された実装部分2aを避けた位置に当接するように配置されている。すなわち、基板2の幅方向で、図7の左右両側に配置される第2基板当接部42eは、基板2の中央部分を避けた位置に配置されるとともに、基板2の幅方向において、実装部分2aの両側に配置されている。
【0066】
また、第2基板案内部41は、図4から図6に示すように、樹脂硬化装置5の床面5aに固定された取付架台48に、スライド部材49、50および取付ブラケット51を介して取り付けられている。
【0067】
取付ブラケット51は、図6等に示すように、L形状に形成された板状の部材である。この取付ブラケット51には、第2基板案内部41が固定されている。具体的には、取付ブラケット51には、基板2の幅方向における第2基板案内部41の外側の面が、ネジ52によって固定されている。
【0068】
スライド部材49、50はともに略直方体のブロック状の部材である。このスライド部材49、50の上面には、図6に示すように、第2基板案内部41が取り付けられた取付ブラケット51がそれぞれ固定されている。具体的には、スライド部材49の上面には、樹脂硬化装置5の前面側(図1では紙面手前側、図5では下側、以下「前面側」と表記する。)に配置される第2基板案内部41が取り付けられた取付ブラケット51が固定され、スライド部材50の上面には、樹脂硬化装置5の後面側(図1では紙面奥側、図5では上側)に配置される第2基板案内部41が取り付けられた取付ブラケット51が固定されている。
【0069】
スライド部材49、50にはそれぞれ、基板2の幅方向でスライド部材49、50の位置決めをするための位置決め孔49a、50aが形成されている。具体的には、位置決め孔49a、50aは、スライド部材49、50の前面側に形成されている。また、スライド部材49、50は、図5等に示すように、取付架台48に形成された後述のスライド溝48aの中に、隣接した状態で配設されている。このスライド部材49、50は、スライド溝48aの中で基板2の幅方向にスライド可能とされている。そして、スライド部材49、50をスライドさせることで、基板2の幅に応じて、基板2の幅方向における第2基板案内部41の配置位置を変更できるようになっている。
【0070】
取付架台48は、図4から図6に示すように、2つのスライド部材49、50を基板2の幅方向へスライドさせるためのスライド溝48aが形成されたスライド支持部48bを備えている。スライド溝48aの底部には、図6等に示すように、スライド部材49の位置決め孔49aとともに、基板2の幅方向におけるスライド部材49の位置決めを行うための3つの位置決め孔48cが形成されている。また、図5に示すように、スライド溝48aの底部には、スライド部材50の位置決め孔50aとともに、基板2の幅方向におけるスライド部材50の位置決めを行うための3つの位置決め孔48dが形成されている(図5では、位置決め孔50aに重なる位置決め孔48dの図示は省略)。すなわち、本形態の樹脂硬化装置5では、幅がそれぞれ異なる3種類の基板2の案内および支持が可能となっている。
【0071】
第2の搬送路L2および第3の搬送路L3も、第1の搬送路L1と同様に、第2基板支持機構25と加熱機構26とを備えている。また、第2の搬送路L2、第3の搬送路L3に設けられた第2基板案内部41も、上述した取付架台48とほぼ同様の取付架台に、スライド部材49、50および取付ブラケット51を介して取り付けられている。そのため、ここでは、第2の搬送路L2および第3の搬送路L3の詳細な説明は省略する。
【0072】
なお、第2の搬送路L2では、第1の反転ローラ23で表裏が反転された基板2が搬送されるため、第2の搬送路L2に設けられた基板当接部42eは、電子部品3が実装された面に当接して、基板2を支持する。また、第3の搬送路L3では、第2の反転ローラ24でさらに表裏が反転された基板2が搬送されるため、第3の搬送路L3に設けられた基板当接部42eは、電子部品3が実装されていない面に当接して、基板2を支持する。
【0073】
また、上述のように、基板2の、電子部品3が実装された面には配線が形成されている。この配線は保護膜に覆われてはいるものの、基板2の、配線が形成された電子部品3の実装面が、基板2の搬送時に、基板当接部42eと擦れるのは好ましくない。そのため、第2の搬送路L2では、第2基板支持機構25の設置が省略される場合がある。なお、第2基板支持機構25が、第1の搬送路L1のみに設けられ、第2および第3の搬送路L2、L3には設けられない場合もある。
【0074】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、基板2を支持する第1基板当接部35aおよび第2基板当接部42eが、基板2の、電子部品3が実装された実装部分2aを避けた位置に当接している。そのため、基板2の搬送時に、第1基板当接部35aおよび第2基板当接部42eと実装部分2aとが擦れることがない。したがって、基板2の搬送の際に損傷や実装不良が生じやすい電子部品3が基板2に実装された場合であっても、電子部品3の損傷や実装不良の発生を抑制できる。また、第1基板当接部35aおよび第2基板当接部42eによって、基板2のたるみを抑制して、第1基板案内部34および第2基板案内部41から基板2の端部が外れるのを防止できる。その結果、本形態では、搬送の際に損傷や実装不良が生じやすい電子部品3が実装された基板2であっても適切に支持することができる。
【0075】
本形態では、電子部品3は、基板2の幅方向の略中央部分に実装され、第1基板当接部35aおよび第2基板当接部42eは、基板2の幅方向において、実装部分2aの両側かつその近傍に配置されている。そのため、基板2にたるみを生じさせる主原因となる電子部品3の、基板2の幅方向における両側かつその近傍を第1基板当接部35aおよび第2基板当接部42eで支持できるため、基板2のたるみを効果的に抑制できる。
【0076】
本形態では、樹脂硬化装置5に設けられた第2基板当接部42eは、基板2の搬送方向において、ピッチPで離間した状態で複数配置されている。そのため、基板2と第2基板当接部42eとの間の静摩擦力や基板2の表面の粘着力等に起因して、基板2と第2基板当接部42eとの間に生じる抵抗を軽減できる。すなわち、樹脂硬化装置5での基板2の搬送負荷を低減できるため、基板2の搬送方向でのたるみを抑制することができる。また、抵抗を軽減することで、基板2の変形を抑制して、第2基板案内部41からの基板2の端部の外れを確実に防止できる。その結果、基板2の適切な搬送が可能となる。
【0077】
一方で、樹脂塗布装置4では、樹脂塗布部19によって、基板2上に樹脂を塗布する際には、基板2上に所定の力がかかる。ここで、本形態では、樹脂塗布装置4に設けられた第1基板当接部35aは、樹脂塗布装置4において、搬送方向で連続して配置されるように形成されている。そのため、本形態では、基板2上に樹脂を塗布する際の基板2のたるみを確実に抑制できる。
【0078】
本形態では、第2基板当接部42eが形成された第2基板支持部42は、第2基板案内部41に着脱可能に取り付けられている。そのため、搬送される基板2の幅や厚さが様々であり、基板2のたるみやすさが様々に異なる場合であっても、樹脂硬化装置5では、基板2のたるみやすさに合わせた適切な間隔で、搬送方向に第2基板当接部42eを配置できる。そのため、基板2と第2基板当接部42eとの間に生じる摩擦抵抗を軽減しつつ、より適切な基板2の支持が可能となる。
【0079】
本形態では、第2基板当接部42eの基板2への当接面42gは、基板2の搬送方向で円弧状に変化する曲面状に形成されている。そのため、基板2と第2基板当接部42eとの接触面積を減らして搬送負荷の軽減を図ることができる。また、搬送時に第2基板当接部42eと基板2とが擦れることに起因する基板2の損傷を防止できる。
【0080】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形可能である。
【0081】
上述した形態では、基板2としてCOFテープが用いられている。この他にもたとえば、上述したように、基板2はTABテープであっても良い。以下、基板2がTABテープである場合の構成を説明する。
【0082】
図10は、図1に示す基板2がTABテープの場合における第1の搬送路L1の一部を上流側から見たときの断面を拡大して示す拡大断面図である。図11は、図10のL−L方向から電子部品3の周辺を示す図である。なお、図10には、樹脂塗布装置4で基板2に樹脂59が塗布された後の状態が図示され、図11には、基板2に樹脂59が塗布される前の状態が図示されている。また、図11のM−M断面が、図10の電子部品3およびその周辺部に対応する。さらに、図10では、便宜上、断面部分のハッチングの図示を省略している。
【0083】
図10および図11に示すように、基板2がTABテープである場合、基板2には、たとえば、IC等の矩形状の電子部品3が実装されている。この電子部品3は、基板2に形成されたデバイスホール2cに端部が延在するインナーリード60の電極60aに接続されて、基板2に実装されている。そして、この状態の基板2が基板供給リール10に巻回されている。また、図10に示すように、電子部品3が下側になった状態で、基板2は、基板供給装置6から樹脂塗布装置4へ供給される。
【0084】
樹脂塗布装置4では、樹脂塗布部19によって基板2の上方からデバイスホール2cへ樹脂59が塗布される。塗布された樹脂59はデバイスホール2cに充満し、さらにインナーリード60を越えて電子部品3の能動面(図10の上面)を覆う。そして、樹脂59によって、電子部品3の能動面が封止(シール)される。
【0085】
また、基板2がTABテープである場合には、上述した形態と同様の第2基板支持機構25を第1の搬送路L1に設けても良いが、図10に示す第2基板支持機構65を第1の搬送路L1に設けても良い。すなわち、第2基板支持機構25に代えて、上述した下案内部43と同様に形成された下案内部73と、板状の金属部材で形成されるとともに、曲げ加工で形成された第2基板支持部72とを備える第2基板支持機構65を第1の搬送路L1に設けても良い。
【0086】
下案内部73は、下案内部43の基板載置部43a、凹部43bおよび内側面43cにそれぞれ相当する基板載置部73a、凹部73bおよび内側面73cを備えている。
【0087】
第2基板支持部72には、図10に示すように、下案内部73が配置される溝部72aが形成されるとともに、第2基板支持部72は、図10における溝部72aの内側に形成される第1側面部72eと、図10における溝部72aの左側に形成される第2側面部72cと、第2側面部72cの図示上端から内側に向かって形成された水平面部72dとを備えている。第1側面部72eは、図10に示すように、下案内部73の内側に配置され、基板2の下面(電子部品3が実装された面)に当接して基板2を支持している。すなわち、第1側面部72eは、基板2の下面に当接して主として基板2の幅方向のたるみを抑制する第2基板当接部となっている。この第2基板当接部となる第1側面部72eは、第2基板当接部42eと同様に、基板2の、電子部品3が実装された実装部分2aを避けた位置に当接している。
【0088】
なお、図10に示す第2基板支持機構65では、水平面部72dは、基板2の上方への逃げを防止するための機能を果たしており、下案内部73と水平面部72dとによって、基板2の幅方向の端部を搬送方向へ案内する基板案内部が構成されている。
【0089】
上述した形態と同様に、基板2の搬送方向では、複数の第2基板支持部72が一定のピッチPで離間した状態で配置されている。また、第2基板支持部72は、第2側面部72cや水平面部72d等を弾性変形させることで、外側から下案内部73に取り付けることができ、また、下案内部73の外側へ取り外すことができる。すなわち、第2基板支持部72は、下案内部73に着脱可能に取り付けられている。
【0090】
同様に、基板2がTABテープである場合には、第2および第3の搬送路L2、L3に、上述した形態と同様の第2基板支持機構25を設けても良いし、図10に示す第2基板支持機構65を設けても良い。なお、第2の搬送路L2では、第2基板当接部42eや第1側面部72eは、少なくとも樹脂59に接触しない位置で基板2に当接している。また、基板2がTABテープである場合には、樹脂塗布装置4に、上述した形態と同様の第1基板支持機構20を設けても良いし、図10に示す第2基板支持機構65において、第2基板支持部72が搬送方向で連続して形成されたものを基板支持機構として設けても良い。
【0091】
また、基板2の幅方向の両端を搬送方向へ案内する基板案内部は、上述した第1基板案内部34や第2基板案内部41には限定されず、図12に示すような基板案内部81であっても良い。すなわち、ブロック状に形成された基部82と、L形の板状に形成され、基板2の上方への逃げを防止する上案内部83と、平板状に形成され、基板2の幅方向の端部を載置する基板載置部84とを備える基板案内部81によって基板2の幅方向の両端を搬送方向へ案内しても良い。この基板案内部81では、図12に示すように、上案内部83と基板載置部84との間にスペーサ85を挟んだ状態で、上案内部83と基板載置部84とがネジ86によって基部82に固定されている。
【0092】
さらに、上述した形態では、第1基板当接部35aは、基板2の幅方向において、実装部分2aの両側に配置され、第2基板当接部42eは、基板2の幅方向において、実装部分2aの両側に配置されている。この他にもたとえば、基板2の幅がそれほど広くない場合や、基板2の厚さがある程度厚い場合には、基板2の幅方向の一方の第1基板支持部35や第2基板支持部42を第1基板案内部34や第2基板案内部41から取り外して、実装部分2aの片側にのみ、第1基板当接部35aや第2基板当接部42eを配置しても良い。
【0093】
さらにまた、上述した樹脂硬化装置5では、第2基板支持部42が一定のピッチPで離間した状態で搬送方向に配置されている。この他にもたとえば、基板2の搬送方向における第1、第2の反転ローラ23、24の前後部分に配置される第2基板支持部42のピッチを、第1、第2の反転ローラ23、24の前後部分を除いた他の部分に配置される第2基板支持部42のピッチよりも狭くしても良い。たとえば、第1、第2の反転ローラ23、24の前後部分を除いた他の部分に配置される第2基板支持部42のピッチが約90cmであれば、第2の反転ローラ23、24の前後部分に配置される第2基板支持部42のピッチを10cm〜50cm(より好ましくは30cm)としても良い。
【0094】
第1、第2の反転ローラ23、24では、基板2の表裏が反転するとともに基板2の搬送方向が反転するため、基板2の搬送方向における第1、第2の反転ローラ23、24の前後では、第2基板案内部41から基板2の端部が外れやすくなる。そのため、基板2の搬送方向における第1、第2の反転ローラ23、24の前後部分に配置される第2基板支持部42のピッチを狭くすることで、第1、第2の反転ローラ23、24の前後においても、第2基板案内部41からの基板2の端部の外れを確実に防止できる。
【0095】
また、上述した形態では、第1基板案内部34と第1基板支持部35とは別体で形成され、第2基板案内部41と第2基板支持部42とは別体で形成されている。この他にもたとえば、第1基板案内部34と第1基板支持部35とが一体で形成されても良いし、第2基板案内部41と第2基板支持部42とが一体で形成されても良い。
【0096】
さらに、上述した形態では、樹脂塗布装置4では第1基板当接部35aが搬送方向で連続して配置され、樹脂硬化装置5では第2基板当接部42eが搬送方向で離間した状態で配置されている。この他にもたとえば、樹脂塗布装置4において、第1基板当接部35aが搬送方向で離間した状態では配置されても良いし、樹脂硬化装置5において、第2基板当接部42eが搬送方向で連続して配置されても良い。
【0097】
さらにまた、上述した実施では、基板処理システム1は、テープ状の基板2に実装された電子部品3を樹脂で封止、固定するためのシステムである。この他にもたとえば、基板処理システム1は、電子部品に超音波振動を与えながら基板に電子部品を圧接して接合する電子部品の超音波接合システムであっても良い。また、基板処理システム1は、基板に転写されたフラックスに半田ボール等の導電性を有するボールを搭載するボール搭載システムであっても良い。さらに、基板処理システム1は、UVインクやレーザで基板上に印字を行う印字システムであっても良い。すなわち、基板の搬送を行う基板搬送機構を備える基板処理システムであれば、本発明の構成を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の実施の形態にかかる基板処理システムの概略構成を示す図である。
【図2】図1のE部を拡大して示す拡大図である。
【図3】図1のF部を上流側から見たときの断面を拡大して示す拡大断面図である。
【図4】図1のG部を拡大して示す拡大図である。
【図5】図4に示す矢印H−H方向から取付架台への第2基板案内部の取付部分を示す平面図である。
【図6】図5のJ−J断面を示す断面図である。
【図7】図4のK部を上流側から見たときの断面を拡大して示す拡大断面図である。
【図8】図1に示す樹脂硬化装置における第2基板支持部の配置関係を示す図である。
【図9】図7に示す第2基板支持部を示す図であり、(A)は正面図、(B)は(A)の左側面図、(C)は(A)の右側面図である。
【図10】図1に示す基板がTABテープの場合における第1の搬送路の一部を上流側から見たときの断面を拡大して示す拡大断面図である。
【図11】図10のL−L方向から電子部品の周辺を示す図である。
【図12】本発明の他の形態にかかる基板案内部の一部を拡大して示す拡大図である。
【符号の説明】
【0099】
1 基板処理システム
2 基板
2a 実装部分
3 電子部品
4 樹脂塗布装置
5 樹脂硬化装置
17、18 搬送ローラ(基板搬送機構の一部)
19 樹脂塗布部(樹脂塗布機構)
20 第1基板支持機構(基板支持機構)
23 第1の反転ローラ(反転機構)
24 第2の反転ローラ(反転機構)
25、65 第2基板支持機構(基板支持機構)
26 加熱機構
29 引込ローラ(基板搬送機構の一部)
34 第1基板案内部(基板案内部)
35 第1基板支持部
35a 第1基板当接部(基板当接部)
41 第2基板案内部(基板案内部)
42、72 第2基板支持部
42e、72e 第2基板当接部(基板当接部)
42g 当接面
81 基板案内部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向へ搬送されるとともに電子部品が実装されたテープ状の基板を支持する基板支持機構において、
上記基板の搬送方向に直交する上記基板の幅方向の両端を案内する基板案内部と、上記基板の、上記電子部品が実装された実装部分を避けた位置に当接して上記基板を支持する基板当接部とを備えることを特徴とする基板支持機構。
【請求項2】
前記電子部品は、前記基板の幅方向の略中央部分に実装され、
前記基板当接部は、前記基板の幅方向において、前記実装部分の両側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の基板支持機構。
【請求項3】
前記基板当接部は、前記基板の搬送方向において、離間した状態で複数配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の基板支持機構。
【請求項4】
前記基板当接部は、前記基板案内部に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項3記載の基板支持機構。
【請求項5】
前記基板当接部は、前記基板の搬送方向で円弧状に変化する曲面状の当接面を備えることを特徴とする請求項3または4記載の基板支持機構。
【請求項6】
請求項1から5いずれかに記載の基板支持機構と、間欠的に搬送される前記基板上に樹脂を塗布する樹脂塗布機構とを備えることを特徴とする樹脂塗布装置。
【請求項7】
請求項1または2記載の基板支持機構と、間欠的に搬送される前記基板上に樹脂を塗布する樹脂塗布機構とを備え、前記基板当接部は、前記基板の搬送方向において、連続して形成されていることを特徴とする樹脂塗布装置。
【請求項8】
請求項1から5いずれかに記載の基板支持機構と、前記基板上に塗布された樹脂を加熱して硬化する加熱機構とを備えることを特徴とする樹脂硬化装置。
【請求項9】
請求項3から5いずれかに記載の基板支持機構と、前記基板上に塗布された樹脂を加熱して硬化する加熱機構と、前記基板の搬送方向を反転させる反転機構とを備え、
前記基板の搬送方向における上記反転機構の前後部分に配置される前記基板当接部の配置間隔は、上記前後部分を除いた他の部分に配置される前記基板当接部の配置間隔よりも狭くなっていることを特徴とする樹脂硬化装置。
【請求項10】
請求項1から5いずれかに記載の基板支持機構と、前記基板を搬送する基板搬送機構とを備えることを特徴する基板処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−173607(P2007−173607A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−370593(P2005−370593)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(592141488)アスリートFA株式会社 (96)
【Fターム(参考)】