説明

基板検査方法

【課題】複数の投影部を通して測定対象物が形成された基板を検査する基板検査方法を提供する。
【解決手段】複数の投影部を通して測定対象物が形成された基板にパターン照明を順に照射して基板に対する投影部別位相データを取得する(S110)。以後、投影部別位相データを用いて基板に対する投影部別高さデータを抽出する(S120)。その後、各投影部別で投影部別高さデータを用いて抽出された高さデータの傾きを補正する(S130)。その後、傾き補正が完了した投影部別高さデータを整列させ(S140)、整列された高さデータを用いて統合高さデータを抽出する(S150)。このように、複数の投影部から抽出された高さデータを整列させる前に各投影部別に測定された高さデータに対する傾きを補正することによって、統合高さデータの信頼性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板検査方法に関し、より詳しくは基板に形成された測定対象物の形成状態を検査する検査工程の信頼性を高めるための基板検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電子部品が実装された基板の信頼性を検証するために電子部品の実装前後に基板の製造が適切に行われたかを検査する必要がある。例えば、電子部品を基板に実装する前に基板のパッド領域にはんだが適切に塗布されたかを検査したり、電子部品を基板に実装した後電子部品が適切に実装されたかを検査したりする必要がある。
【0003】
最近、基板の3次元形状の精密な測定のために、照明源及び格子素子を含んで測定対象物にパターン照明を照射する複数の投影部と、パターン照明の照射を通して測定対象物の画像を撮影するカメラを含む3次元測定検査装置を用いて測定対象物の3次元形状を測定する技術が使われている。
【0004】
測定対象物の3次元形状を測定するためには測定対象物の高さデータを求めるべきであるが、高さデータは測定された位相データにスケールファクターを乗じて求められる。また、複数の投影部を使用する場合、各投影部別で測定した測定データを統合して一つに統合された高さデータを抽出するようになる。
【0005】
しかし、各投影部別で照射されるパターン照明が互いに異なるので、各投影部で測定される位相データが互いに異なることがあり、また、各投影部別でノイズデータを除去した信頼性のある高さを求めるためには複数の投影部に対する信頼性のある底を基準として高さを測定しなければならないが、ノイズデータを除去する方法がなかった。また、測定対象物が所定の高さ有する電子部品の場合、電子部品による影ができ、信頼性のある底領域のデータ量がより不足し、それにより、測定対象物の高さ算出の信頼性をより一層低下させる問題が発生する。さらに、基板の環境によって測定データ上に傾きが発生して複数の投影部から取得される位相データの間に偏差が発生し、これにより統合高さデータの信頼性を低下させる問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明が解決しようとする課題は、複数の投影部から抽出された高さデータを整列させる前に各投影部別に測定データ上の傾きを補正することによって統合高さデータの信頼性を向上させることができる基板検査方法を提供する。
【0007】
また、本発明は統合高さデータを算出するに先立ち各投影部別にノイズ領域を設定し、統合高さデータ算出の際ノイズ領域の高さデータを除外することで、検査の正確性及び信頼性をより一層向上させることができる基板検査方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態による基板検査方法は、複数の投影部を通して測定対象物が形成された基板にパターン照明を順に照射して前記基板に対する投影部別位相データを取得し、前記投影部別位相データを用いて前記基板に対する投影部別高さデータを抽出し、各投影部別に前記投影部別高さデータを用いて前記抽出された高さデータの傾きを補正し、前記傾き補正が完了した投影部別高さデータを整列させ、前記整列された高さデータを用いて統合高さデータを抽出すること、を含む。
【0009】
前記投影部別高さデータを整列させることは、前記複数の投影部のうち、信頼度の最も良い投影部の高さデータを基準として残りの投影部の高さデータを整列させる。前記投影部の信頼度は高さ、信号対雑音比(SNR)、振幅、平均明るさを媒介変数とする関数であるビジビリティ及びグレー情報のうち、少なくとも一つによって評価することができる。
【0010】
前記投影部別高さデータを整列させることにおいては、前記基板の底領域を基準として整列させることができる。前記投影部別高さデータを整列させる段階においては、他の例で、前記測定対象物が形成された基板の全体領域を基準として整列させることができる。
【0011】
前記投影部別高さデータを整列させることは、前記整列が完了した投影部別高さデータから前記底領域での代表底高さを抽出し、前記代表底高さが0になるように前記整列が完了した投影部別高さデータを再整列させること、を含んでいてもよい。
【0012】
前記投影部別高さデータを抽出する前に、前記基板の底領域を設定し、前記投影部各々に対して前記底領域での頻度数が最も高い位相データを代表底地位に設定し、前記投影部各々に対して前記代表底位相が0になるように前記投影部別位相データをシフトさせること、をさらに含んでいてもよい。
【0013】
本発明の他の実施形態による基板検査方法は、複数の投影部を通して前記測定対象物が形成された基板にパターン照明を順に照射し、カメラを通して投影部別反射イメージを撮影し、前記投影部別反射イメージを用いてそれぞれの投影部に対するノイズ領域を設定し、前記投影部別反射イメージを用いて前記基板に対する投影部別位相データを取得し、前記投影部別位相データを用いて前記基板に対する投影部別高さデータを算出し、前記投影部別高さデータを統合して統合データを算出し、前記測定対象物と隣接する底領域の傾きに基づいて前記統合高さデータの傾きを補正し、前記傾き補正が完了した統合高さデータを用いて前記測定対象物の高さを算出すること、を含む。
【0014】
前記ノイズ領域を設定することにおいては、前記投影部別反射イメージに対するグレー(gray)情報及びビジビリティ情報のうち少なくとも一つを用いてノイズ領域を設定することができる。
【0015】
前記統合高さデータを算出することにおいては、前記測定対象物領域に含まれた単位画素に対応して、前記投影部別高さデータから前記ノイズ領域を除いた残り有効画素の高さデータに基づいて前記統合高さデータを算出する。
【0016】
前記統合高さデータを算出することにおいては、前記底領域に含まれた単位画素に対応して、前記投影部別高さデータのうち最小値を前記統合高さデータに算出する。
【0017】
前記統合高さデータを算出することにおいては、前記底領域に含まれた単位画素に対応して、前記投影部別高さデータの差が予め設定された基準値以上であれば前記投影部別高さデータのうち最小値を前記統合高さデータに算出し、前記投影部別高さデータの差が前記基準値未満であれば算出平均によって前記統合高さデータを算出する。
【0018】
本発明のさらに他の実施形態による基板検査方法は、投影部を通して測定対象物が形成された基板にパターン照明を照射して前記基板に対する位相データを取得し、前記位相データを用いて前記基板に対する高さデータを抽出し、前記基板で前記測定対象物が形成された測定対象領域及び前記測定対象領域に対する底領域で分離し、前記底領域に対応する高さデータを用いて前記抽出された高さデータの傾きを補正し、前記傾き補正が完了した高さデータに基づいて前記基板に対する高さを抽出すること、を含む。
【発明の効果】
【0019】
このような基板検査方法によると、複数の投影部から抽出された高さデータを整列させる前に各投影部別に測定データ上の傾きを補正することによって、統合高さデータの信頼性を向上させることができる。
【0020】
また、複数の投影部の高さデータを統合するとき、高さデータを用いて複数の投影部に対する整列を実行することにより、統合高さデータの信頼性を高めることができる。
【0021】
また、複数の投影部を用いて測定対象物が形成された基板の統合高さデータを算出することにおいて、測定対象物領域と底領域とを分離してそれぞれの領域に対する統合高さデータを算出することによって、検査の正確性及び信頼性を向上させることができる。
【0022】
また、統合高さデータを算出する前に、各投影部別にノイズ領域を設定し、統合高さデータ算出の際ノイズ領域の高さデータを除外することによって、検査の正確性及び信頼性をより一層向上させることができる
【0023】
また、投影部を用いて測定対象物が形成された基板の高さデータを算出することにおいて、底位相の誤差を補償することで、検査の正確性及び信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態による基板検査装置を概略的に示す図面である。
【図2】本発明の一実施形態による基板の検査方法を示すフローチャートである。
【図3】測定対象物が形成された基板の断面を示す断面図である。
【図4】測定データの傾きを補正する過程を示す概念図である。
【図5】傾き補正が完了した投影部別高さデータを示す図面である。
【図6】投影部別高さデータを整列させた状態を示す図面である。
【図7】本発明の他の実施形態による基板検査方法を示すフローチャートである。
【図8】底領域でノイズが発生する原理を説明するための基板断面図である。
【図9】図8に示された基板の抽出された高さデータを示すダイヤグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は多様な変更を加えることができ、多様な形態を有することできる。ここでは、特定の実施形態を図面に例示し本文に詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むこととして理解されるべきである。
【0026】
第1、第2などの用語は多用な構成要素を説明するのに使用されることがあるが、前記構成要素は前記用語によって限定解釈されない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみとして使用される。例えば、本発明の権利範囲を外れることなく第1構成要素を第2構成要素ということができ、同様に第2構成要素も第1構成要素ということができる。
【0027】
本出願において使用した用語は単なる特定の実施形態を説明するために使用されたもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に示さない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」または「有する」などの用語は明細書に記載された特徴、数字、ステップ、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを意味し、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないこととして理解されるべきである。
【0028】
特別に定義しない限り、技術的、科学的用語を含んでここで使用される全ての用語は本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同一の意味を有する。
【0029】
一般的に使用される辞書に定義されている用語と同じ用語は関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本出願で明白に定義しない限り、過度に形式的な意味に解釈されない。
【0030】
以下、図面を参照して本発明の好適な一実施形態をより詳細に説明する。
【0031】
図1は本発明の一実施形態による基板検査装置を概略的に示す図面である。
【0032】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による基板検査装置100は測定対象物が形成された基板150を支持及び移送させるためのステージ140、基板150にパターン照明を照射するための複数の投影部110、及び基板150のイメージを撮影するカメラ130を含む。また、基板検査装置100はステージ140に隣接して設置されて投影部110と別に基板150に照明を照射する照明部120をさらに含んでいてもよい。
【0033】
投影部110は基板150に形成された測定対象物の3次元形状を測定するためにパターン照明を基板150に照射する。例えば、投影部110は光を発生させる光源112、光源112からの光をパターン照明に変換させるための格子素子114、格子素子114をピッチ移送させるための格子移送機構116及び格子素子114により変換されたパターン照明を測定対象物に投影するための投影レンズ118を含む。格子素子114はパターン照明の位相遷移のために圧電アクチュエータ(piezo actuator:PZT)等の格子移送機構116によって2π/Nずつ移送できる。ここで、Nは2以上の自然数である。このような構成を有する投影部110は検査精度を高めるためにカメラ130を中心に円周方向に沿って一定の角度で離隔するように設置される。複数の投影部110は基板150に対して一定の角度に傾いて設置され、複数の方向から基板150にパターン照明を照射する。
【0034】
照明部120は円形リング形状で形成されステージ140に隣接して設置される。照明部120は基板150の最初の配列または検査領域設定などのために照明を基板150に照射する。例えば、照明部120は白色光を発生させる蛍光ランプを含むか、または、赤色光、緑色光及び青色光を各々発生させる赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード及び青色発光ダイオードを含んでいてもよい。
【0035】
カメラ130は投影部110のパターン照明の照射を通して基板150のイメージを撮影し、照明部120の照明の照射を通して基板150のイメージを撮影する。例えば、カメラ130は基板150から垂直した上部に設置される。カメラ130はイメージ撮影のためにCCDカメラまたはCMOSカメラを含んでいてもよい。
【0036】
このような構成を有する基板検査装置100は投影部110または照明部120を用いて基板150に光を照射し、カメラ130を通して基板150のイメージを撮影することで、基板150の3次元的イメージ及び2次元的イメージを測定する。
【0037】
一方、複数の投影部110を使用する場合、相対高さ測定方式の特性、投影部110の位置及び特性の偏差に起因して投影部別で測定された位相データ及び高さデータなどの測定データが互いに異なることがあるので、測定対象物が形成された基板150の統合高さデータを求めるためには投影部別測定データを整列させる必要がある。
【0038】
図2は本発明の一実施形態による基板の検査方法を示すフローチャートであり、図3は測定対象物が形成された基板の断面を示す断面図である。
【0039】
図1、図2及び図3を参照すると、測定対象物152が形成された基板150の統合高さデータを抽出するために、まず、複数の投影部110を通して複数の方向で測定対象物152が形成された基板150にパターン照明を順に照射して基板150に対する投影部別位相データを取得する(S110)。
【0040】
具体的に、複数の投影部110が基板150に向かって順にパターン照明を照射すると、カメラ130は順に投影部別イメージを撮影し、これより投影部別位相データを取得する。このとき、基板検査装置100は位相遷移モアレ方式によって投影部別位相データを取得することができる。例えば、それぞれの投影部110を通じて各方向で位相遷移されたパターン照明をN回にかけて基板150に照射し、各照射の際の毎にカメラ130を通して基板150のイメージを撮影した後、撮影された複数のイメージに対してN-バケットアルゴリズム(N-bucket algorithm)を適用して前記投影部別位相データを取得する。
【0041】
以後、前記投影部別位相データを用いて測定対象物152が形成された基板150に対する投影部別高さデータを抽出する(S120)。例えば、前記投影部別高さデータはそれぞれの投影部別位相データに該当投影部110に対応するスケールファクター(scale factor)を乗じて抽出することができる
【0042】
以後、各投影部110別に投影部別高さデータを用いて測定データ上の傾きを補正する(S130)。
【0043】
図4は測定データの傾きを補正する過程を示す概念図である。
【0044】
図3及び図4を参照すると、測定対象物152が存在しない基板150の底領域には配線パターン、シルクパターン及びフォトレジストなどが形成されているので、このようなノイズデータに起因して測定データ自体にある程度の傾きが発生することがある。複数の投影部110は互いに異なる位置でパターン照明を照射するので、各投影部110別に抽出される高さデータには基板150の測定されたデータの傾きに起因して互いに偏差が大きく発生する。このような測定データの傾きを無視した状態で投影部別高さデータを取得する場合、傾いた底領域データに対する代表底位相または代表底高さを基準として傾いた測定対象物の高さデータを取得することで、算出された高さデータに誤差が発生し検査の信頼性が低下してしまう。
【0045】
従って、投影部別高さデータを整列させる前に、それぞれの投影部110別に基板150の測定されたデータの傾きによる高さデータの歪を補正する必要がある。このために、各投影部110別に比較的平らな底領域の傾きを判断した後、座標変換を通して底領域の傾きが0になるように補正する。例えば、底領域の傾きは底領域の最小3地点の高さ値に基づいて求めることができる。一方、測定データ上の傾きを判断することにおいて、底領域だけではなく測定対象物領域を通して傾きを判断することもできる。即ち、測定対象物である電子部品の上面が比較的平らな場合、電子部品の上面領域の傾きを判断することで、測定データ上の傾きを測定することができる。
【0046】
このとき、それぞれの投影部110で測定された位相データでは測定データの傾きを判断することができない。従って、それぞれの投影部110で測定された位相データを高さデータに変換し、変換された高さデータに基づいて測定データの傾きを判断して補償する。
【0047】
一方、複数でない一つの投影部110のみを使用する基板検査装置の場合にも、このような測定データ上の傾き補正過程を実行することで、最終的に求められる高さデータの信頼性を向上させることができる
【0048】
測定データ上の傾きを完了した後、傾き補正が完了した投影部別高さデータを整列させる(S140)。
【0049】
図5は傾き補正が完了した投影部別高さデータを示す図面である
【0050】
図3及び図5を参照すると、傾き補正が完了した投影部別高さデータを見ると、各投影部別でノイズデータに起因して投影部別高さデータに互いに偏差ができることが分かる。図5では説明の便宜のために2個の投影部別高さデータだけを図示したが、投影部110の個数によって投影部別高さデータはもっと増える。
【0051】
従って、複数の投影部110から抽出された投影部別高さデータを用いて一つの統合高さデータを抽出するためには互いに偏差を有する投影部別高さデータを整列させる必要がある。
【0052】
投影部別高さデータを整列させるために、複数の投影部110のうち信頼度の最も良い投影部110の高さデータを基準として残りの投影部110の高さデータを整列させる。投影部110の信頼度評価は高さ、信号対雑音比(SNR)、振幅、平均明るさを媒介変数とする関数のビジビリティ情報及びグレー情報のうち少なくとも一つを用いて行われる。実際にカメラ130を通して撮影された投影部別イメージ上には異物や半透明領域などによる物理的なノイズ領域が発生したり、または、あまり明るいかあまり暗くてインテンシティ(intensity)の正規分布を外れるノイズ領域が存在したりし、このようなノイズ領域はそれぞれの投影部別に異なって示され、測定対象物152の高さ測定にも歪をもたらす。従って、投影部110別に求められた高さ、信号対雑音比(SNR)、振幅、平均明るさを媒介変数とする関数であるビジビリティ情報またはグレー情報を用いてノイズ領域を求めた後、これによって投影部110の信頼度を評価してノイズが最も少ない投影部110を基準投影部に設定する。
【0053】
図6は投影部別高さデータを整列させた状態を示す図面である。
【0054】
図5及び図6を参照すると、投影部110に対する信頼度評価結果第1投影部CH1が基準投影部に設定された場合、第1投影部CH1の高さデータを基準として残り投影部CH2の高さデータを整列させる。例えば、基準投影部CH1の高さデータを基準として残り投影部CH2の高さデータに対する高さ偏差を求めた後、残り投影部CH2の高さデータに対して前記高さ偏差を差し引くことによって、高さデータを整列させることができる。
【0055】
一方、基準投影部CH1の高さデータに対して残り投影部CH2の高さデータを整列させることにおいて、どんな領域を基準として整列させるかを決める必要がある。
【0056】
一実施形態として、投影部別高さデータを基板150の底領域を基準として整列させることができる。例えば、基準投影部CH1の底領域での代表高さ値と残り投影部CH2の底領域での代表高さ値を各々抽出した後、残り投影部CH2の底領域での代表高さ値が基準投影部CH2の底領域での代表高さ値と同じになるように整列させることができる。
【0057】
一方、投影部別高さデータは測定対象物152が形成された基板150の全体領域を基準として整列することができる。即ち、基板150全体領域に亙った高さデータの形態に基づいて投影部別高さデータを整列させることができる。
【0058】
また、投影部別高さデータは基板150の全体領域のうち信頼度の良い領域を判断しこのような選択領域を基準として整列させることができる。即ち、投影部別高さデータに対して全体領域に対する信頼度を判断した後、この中でノイズが少なくて信頼度が良いと判断される領域を選択的に抽出した後、抽出された選択領域を基準として投影部別高さデータを整列させることができる。
【0059】
一方、整列の基準となる基準領域の選択は使用者によって手動で選択できるし、検査装置内で領域別高さの変化を計算して自動で選択されてもよい。即ち、基板150全体領域に対する空間的な高さ変化をリアルタイムで計算し高さ変化が少ない領域を選択して使用するか、または全体領域の高さ変化の少ない場合、全体領域を全部使用することもできる。
【0060】
投影部別高さデータを整列させた後、整列された高さデータを用いて測定対象物152が形成された基板150に対する統合高さデータを抽出する(S150)。前記統合高さデータは整列された高さデータの平均、加重平均、またはロジカルメディアン(logical median)等の方法を適用して求めることができる。
【0061】
このように、投影部別高さデータを整列させた後、整列された高さデータを用いて投影部別高さデータで領域別信頼度の高いデータを選択的に活用することで、統合高さデータの信頼性を向上させることができる。
【0062】
一方、統合高さデータを抽出する前に、測定対象物152の高さ値を抽出するために、整列された投影部別高さデータに対して底領域の高さ値が0になるように再整列させることができる。これのために、整列が完了した投影部別高さデータから底領域での代表底高さを抽出した後、前記代表底高さが0になるように整列が完了した投影部別高さデータを再整列させる。
【0063】
このように、再整列された投影部別高さデータによって統合高さデータを求めることで、測定対象物152に対するより正確な統合高さデータを抽出することができる。
【0064】
一方、前記投影部別高さデータを抽出するに先立ち、各投影部110別に位相データを整列させる過程を経ることができる。このために、まず基板150で測定対象物152が形成されている測定対象物領域と測定対象物が形成されていない基板150の底領域を設定する。例えば、前記測定対象物領域と前記底領域の設定は、基板150に光を照射し、基板150から反射した光を受光して取得されたイメージデータに基づいて設定することもでき、前記基板150の基準データを基礎にして設定することもできる。この時、前記基板150に予め設定された検査対象領域で前記測定対象物領域と前記底領域を区分することができる。
【0065】
前記基準データとしては基板150に対する基本情報を含んでいるCADデータを使用することができる。他にも、前記基準データとしてはPCBの製造のための設計データ或いは製造データや、ガバーデータ、PCBデザインファイル、PCBデザインファイルから抽出された標準及び非標準形式の各種データ(ODB++や各キャドデザインツール別抽出ファイル)が使用され、また作業用ベアー(bare)ボードまたは実装ボードを画像カメラを通して得たイメージファイルから取得された情報などが使用できる。前記基準データには基板150に形成されているパッド、導電パターン、バイアホール、測定対象物などの位置情報が含まれている。従って、前記基準データを用いて基板150の底領域BRを予測し設定することができる。
【0066】
以後、投影部110それぞれに対して前記底領域での頻度数が最も高い位相データを代表底位相に設定する。以後、投影部110それぞれに対して前記投影部別位相データから前記代表底位相分だけを差し引くことで、前記代表底位相が0になるように前記投影部別位相データをシフトさせる。このように、投影部別高さデータを整列させる前に、投影部別位相データそれぞれに対して底領域BRの位相を0に合わせることで、最終的に抽出される統合データの信頼性をより向上させることができる。
【0067】
本実施形態の通り、複数の投影部から抽出された高さデータを整列させる前に各投影部別に測定されたデータに対する傾きを補正することで、統合高さデータの信頼性を向上させることができる。 また、位相データを整列させる代りに、高さデータを用いて複数の投影部に対する整列を実行することによって、統合高さデータの精度を高めることができる。
【0068】
図7は本発明の他の実施形態による基板検査方法を示すフローチャートである。
【0069】
図1、図3、及び図7を参照すると、測定対象物152が形成された基板150を検査するために、前記複数の投影部110を用いて前記基板150にパターン照明を順に照射し、カメラ130を通して投影部別反射イメージを撮影する(S210)。
【0070】
以後、前記投影部別反射イメージを用いてそれぞれの投影部110に対するノイズ領域を設定する(S220)。前記ノイズ領域は前記投影部別反射イメージに対するグレー情報及びビジビリティ情報のうち少なくとも一つを用いて設定することができる。例えば、グレー平均値が10以下、230以上、及びビジビリティ0.3以下である領域をノイズ領域に設定することができる。
【0071】
以後、前記投影部別反射イメージを用いて基板150に対する投影部別位相データを取得する(S230)。この際、基板検査装置100は位相遷移モアレ方式によって前記投影部別位相データを取得することができる。例えば、それぞれの投影部110を通して各方向で位相遷移されたパターン照明をN回にかけて基板150に照射し、各照射の際の毎にカメラ130を通して基板150の反射イメージを取得した後、取得された複数の反射イメージに対してN-バケットアルゴリズムを適用して前記投影部別位相データを取得する。
【0072】
以後、前記投影部別位相データを用いて測定対象物152が形成された基板150に対する投影部別高さデータを抽出する(S240)。例えば、前記投影部別高さデータはそれぞれの投影部別位相データに該当投影部110に対応されるスケールファクター(scale factor)を乗じて抽出することができる。
【0073】
以後、前記投影部別高さデータを統合して統合高さデータを算出する(S260)。
【0074】
前記測定対象物領域での前記統合高さデータは前記測定対象物領域に含まれた単位画素に対応して、前記投影部別高さデータから前記ノイズ領域を除いた有効領域の高さデータに基づいて前記統合高さデータを算出する。例えば、前記投影部110が2個の際、2個の投影部110の高さデータが全部有効な高さデータであれば、2個の投影部110の高さデータに基づいて統合高さデータを算出する。反面、2個の投影部110の高さデータのうちいずれか一つのみが有効な高さデータであれば、ノイズ領域の高さデータは無視して有効領域の高さデータを統合高さデータに算出する。また、2個の投影部110の高さデータが全部ノイズ領域の高さデータであれば、該当領域はノイズ領域に処理する。このように、該当領域がノイズ領域に処理される場合、隣接した領域のうち有効領域の高さデータに基づいて統合高さデータを算出することができる。 この時、前記統合高さデータはノイズ領域を除いた複数の高さデータを算術平均、加重平均及びロジカルメディアンのうち少なくとも一つの方法で算出することができる。
【0075】
一方、測定対象物152に隣接する底領域での前記統合高さデータは、一実施形態で、前記底領域に含まれた単位画素に対応して、前記投影部別高さデータのうち最小値を統合高さデータに算出することができる。
【0076】
図8は底領域でノイズが発生する原理を説明するための基板の断面図であり、図9は図8に示された基板の抽出された高さデータを示すダイヤグラムである
【0077】
図1、図8及び図9を参照すると、基板150の底領域では、測定対象物152の周囲から入射されるパターン照明が反射されて基板150上で乱反射を起こす。例えば、図8に示されたように、測定対象物152を基準として右側に配置された投影部からパターン照明が照射される場合、前記パターン照明は測定対象物152により右側に反射された後、基板150上で乱反射を発生させる。これにより、図9に示されたように、前記底領域での高さデータは前記乱反射が発生する地点で明るく測定されて測定位相の歪みを発生させ、このような高さデータは全てノイズに該当する。
【0078】
反面、測定対象物152を基準として左側に配置された投影部からパターン照明が照射される場合、前記パターン照明は同じ地点で測定対象物152によって、前述したような乱反射をあまり発生させない。
【0079】
従って、前記パターン照明が測定対象物152の右側から左側に照射される場合に取得された測定対象物152の右側に位置した底領域の高さデータは、前記パターン照明が測定対象物152の左側から右側に照射される場合に取得された測定対象物152の右側に位置した底領域の高さデータよりはるかに不正確である。結局、相異なる方向から照射される投影部110それぞれのパターン照明により取得された高さデータでより大きい値を有する高さデータはノイズとしてみなしてもよい。
【0080】
従って、前記のようにノイズを発生させるパターン照明に対応する投影部110の高さデータを排除するために、前記底領域に対する投影部別高さデータのうち最小値に該当する投影部別高さデータを前記底領域に対する統合高さデータに選択することができる。
【0081】
例えば、投影部110が2個で構成される場合、2個の投影部110から取得された高さデータのうち大きい値に該当する高さデータはノイズである可能性が非常に高いので、2個の投影部110から取得された高さデータのうち小さい値に該当する高さデータを前記底領域に対する統合高さデータに選択することができる。
【0082】
他の実施形態として、前記底領域に含まれた単位画素に対応して、前記投影部別高さデータの高さ差が予め設定された基準値以上であれば前記投影部別高さデータのうち最小値を統合高さデータに算出し、前記投影部別高さデータの高さ差が前記基準値未満であれば投影部別高さデータに基づいて統合高さデータを算出することができる。即ち、前記投影部別高さデータの高さ差が前記基準値以上であれば高さ値はノイズとしてみなす。
【0083】
この際、前記統合高さデータはノイズ領域を除いた複数の高さデータを算術平均、加重平均、ロジカルメディアンのうち少なくとも一つの方法で算出することができる。
【0084】
以後、測定対象物152と隣接した前記底領域の傾きに基づいて前記統合高さデータの傾きを補正する(S260)。ここで、前記統合高さデータの傾き補正は図4を参照して説明したのと同一の方法で実行されるので、これに対する重複する説明は省略する。
【0085】
以後、傾き補正が完了した統合高さデータを用いて測定対象物152の高さを算出する(S270)。
【0086】
このように、複数の投影部を用いて測定対象物が形成された基板の統合高さデータを算出することにおいて、測定対象物領域と底領域を分離してそれぞれの領域に対する統合高さデータを算出することによって、検査の正確性及び信頼性を向上させることができる。また、統合高さデータを算出するのに先立ち各投影部別にノイズ領域を設定し、統合高さデータ算出の際ノイズ領域の高さデータを除外させることで、検査の正確性及び信頼性をより一層向上させることができる
【0087】
以上、本発明の実施形態によって詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の思想と精神を離れることなく、本発明を修正または変更できる。
【符号の説明】
【0088】
100 基板検査装置
110 投影部
112 光源
114 格子素子
120 照明部
130 カメラ
140 ステージ
150 基板
152 測定対象物


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の投影部を通して測定対象物が形成された基板にパターン照明を順に照射して前記基板に対する投影部別位相データを取得し、
前記投影部別位相データを用いて前記基板に対する投影部別高さデータを抽出し、
各投影部別に前記投影部別高さデータを用いて前記抽出された高さデータの傾きを補正し、
前記傾き補正が完了した投影部別高さデータを整列させ、
前記整列された高さデータを用いて統合高さデータを抽出すること、
を含むことを特徴とする基板検査方法。
【請求項2】
前記投影部別高さデータを整列させることは、
前記複数の投影部のうち、信頼度の最も良い投影部の高さデータを基準として残りの投影部の高さデータを整列させることを含むことを特徴とする請求項1に記載の基板検査方法。
【請求項3】
前記投影部の信頼度は
高さ、信号対雑音比(SNR)、振幅、平均明るさを媒介変数とする関数であるビジビリティ及びグレー情報のうち、少なくとも一つによって評価することを特徴とする請求項2に記載の基板検査方法。
【請求項4】
前記投影部別高さデータを整列させることにおいては、
前記基板の底領域を基準として整列させることを含むことを特徴とする請求項1に記載の基板検査方法。
【請求項5】
前記投影部別高さデータを整列させることにおいては、
前記測定対象物が形成された基板の全体領域を基準として整列させることを含むことを特徴とする請求項1に記載の基板検査方法。
【請求項6】
前記投影部別高さデータを整列させることにおいては、
前記基板の全体領域のうち信頼度の良い選択領域を基準として整列させることを含むことを特徴とする請求項1に記載の基板検査方法。
【請求項7】
前記投影部別高さデータを整列させることは、
前記整列が完了した投影部別高さデータから前記底領域での代表底高さを抽出し、
前記代表底高さが0になるように前記整列が完了した投影部別高さデータを再整列させること、を含むことを特徴とする請求項1に記載の基板検査方法。
【請求項8】
前記投影部別高さデータを抽出する前に、
前記基板の底領域を設定し、
前記投影部各々に対して前記底領域での頻度数が最も高い位相データを代表底地位に設定し、
前記投影部各々に対して前記代表底位相が0になるように前記投影部別位相データをシフトさせること、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の基板検査方法。
【請求項9】
複数の投影部を通して前記測定対象物が形成された基板にパターン照明を順に照射し、カメラを通して投影部別反射イメージを撮影し、
前記投影部別反射イメージを用いてそれぞれの投影部に対するノイズ領域を設定し、
前記投影部別反射イメージを用いて前記基板に対する投影部別位相データを取得し、
前記投影部別位相データを用いて前記基板に対する投影部別高さデータを算出し、
前記投影部別高さデータを統合して統合データを算出し、
前記測定対象物と隣接する底領域の傾きに基づいて前記統合高さデータの傾きを補正し、
前記傾き補正が完了した統合高さデータを用いて前記測定対象物の高さを算出すること、
を含むことを特徴とする基板検査方法。
【請求項10】
前記ノイズ領域を設定することは、
前記投影部別反射イメージに対するグレー(gray)情報及びビジビリティ情報のうち少なくとも一つを用いてノイズ領域を設定することを特徴とする請求項9に記載の基板検査方法。
【請求項11】
前記統合高さデータを算出することにおいては、
前記測定対象物領域に含まれた単位画素に対応して、前記投影部別高さデータから前記ノイズ領域を除いた残り有効画素の高さデータに基づいて前記統合高さデータを算出することを含むことを特徴とする請求項9に記載の基板検査方法。
【請求項12】
前記統合高さデータを算出することは、
前記底領域に含まれた単位画素に対応して、前記投影部別高さデータのうち最小値を前記統合高さデータに算出することを含むことを特徴とする請求項9に記載の基板検査方法。
【請求項13】
前記統合高さデータを算出することは、
前記底領域に含まれた単位画素に対応して、前記投影部別高さデータの差が予め設定された基準値以上であれば前記投影部別高さデータのうち最小値を前記統合高さデータに算出し、前記投影部別高さデータの差が前記基準値未満であれば算出平均によって前記統合高さデータを算出することを特徴とする請求項9に記載の基板検査方法。
【請求項14】
投影部を通して測定対象物が形成された基板にパターン照明を照射して前記基板に対する位相データを取得し、
前記位相データを用いて前記基板に対する高さデータを抽出し、
前記基板で前記測定対象物が形成された測定対象領域及び前記測定対象領域に対する底領域で分離し、
前記底領域に対応する高さデータを用いて前記抽出された高さデータの傾きを補正し、
前記傾き補正が完了した高さデータに基づいて前記基板に対する高さを抽出すること、
を含むことを特徴とする基板検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−112955(P2012−112955A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254360(P2011−254360)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(506414749)コー・ヤング・テクノロジー・インコーポレーテッド (37)
【出願人】(508151080)慶北大學校 産學協力團 (5)
【Fターム(参考)】