説明

基板載置方法

【課題】基板載置装置を用いて基板を位置決め状態で載置する基板載置方法を提供する。
【解決手段】リフトピン8を上昇させるとともに、基板除給材部20を駆動させて基板17を作業開始位置に向けて搬入開始するステップと、基板17を基板テーブル6の作業開始位置の直上に位置させて基板17の搬入を完了させ、基板保持アーム21を下降させて基板17をリフトピン8上に載置するステップと、基板保持アーム21の後退を開始するとともに第1のカメラ75aにより基板17の位置を検出し第1補正量を計算するステップと、リフトピン8を下降させるとともに、第1補正量に基づき基板17の位置を補正する第1位置補正ステップと、基板テーブル6に基板17を吸着するステップと、第2のカメラ75bにより基板17の位置を検出し第2補正量を計算するステップと、第2補正量に基づき基板17の位置を補正する第2位置補正ステップと、を含む基板載置方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板載置装置を用いて基板を位置決め状態で載置する基板載置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のリフトピンに支持された状態の基板を、リフトピンを下降させることにより基板テーブルに位置決め状態で載置する基板載置装置を用いた基板載置方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の基板載置方法で用いられる基板載置装置は、基板が載置される載置面を有する基板テーブルと、載置面から出没自在に設けられた複数のリフトピンと、を有する基板載置部と、基板を保持する基板保持部を有し、基板の基板載置面への搬入や搬出をおこなう基板除給材部と、基板の位置を検出する基板位置検出部と、を有している。
この基板載置装置を用いた基板載置方法では、リフトピンを上昇させ、基板除給材部を駆動させて基板保持部に保持した基板を作業開始位置に向けて搬入を開始し、基板を作業開始位置の直上に位置させて基板の搬入を完了させてから、基板保持部を下降させて基板をリフトピン上に載置し、基板保持部を後退させ、位置検出手段により基板の位置を検出し、検出した基板の位置と、所望の作業開始位置との差を補正し得る補正量を計算し、その補正量に基づき基板の位置を補正し、リフトピンを下降させて基板を基板テーブルに載置して吸着固定して、基板載置工程を終了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−333109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された基板載置装置を用いた基板載置方法では、基板載置装置の基板除給材部、リフトピン昇降機や基板位置検出部などを含む基板載置部などの各部の複数の動作を含んでいるので、各動作の待ち時間が発生し、タクトタイムが延びてしまうという問題があった。
また、一回の基板位置補正を行なった後に、その基板をリフトピン上に載置し、それからリフトピンを下降させて基板テーブル上に保持する構成となっているので、基板除給材部による作業開始位置への基板の載置作業の機械的な誤差に起因する基板位置ずれ量が大きい場合に位置補正動作エラーが起こり得たり、また、リフトピン下降から基板テーブル保持の間に位置がずれる可能性があったりするなど、位置補正時間が延びたり、基板載置位置の位置精度が劣化する虞があるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例に係る基板載置方法は、基板が載置される載置面を有する基板テーブルと、前記載置面から出没自在に設けられ、前記載置面よりも突出した状態で前記基板を支持し、前記基板テーブル内に退避した状態で前記基板を前記載置面の作業開始位置に載置させる複数のリフトピンと、全ての前記リフトピンを昇降させるリフトピン昇降機と、を有する基板載置部と、前記基板を保持する基板保持部を有し、前記基板の前記載置面への搬入、および、前記載置面からの搬出をおこなう基板除給材部と、前記作業開始位置に載置した前記基板の位置を検出する基板位置検出部と、を有する基板載置装置を用いて、前記基板を前記作業開始位置に位置決め状態で載置する基板載置方法であって、前記リフトピンを上昇させるとともに、前記基板除給材部を駆動させて前記基板保持部に保持した前記基板を作業開始位置に向けて搬入開始するステップと、前記基板保持部に保持した前記基板を前記載置面の前記作業開始位置の直上に位置させて前記基板の搬入を完了させてから、前記基板保持部を下降させて前記基板を前記リフトピン上に載置するステップと、前記基板保持部の後退を開始するとともに、前記基板位置検出部により前記基板の水平方向の位置を検出し、検出された前記基板の位置と、所望の前記作業開始位置との差を補正し得る第1補正量を計算するステップと、前記リフトピンを下降させるとともに、前記第1補正量に基づき前記基板の位置を補正する第1位置補正ステップと、前記基板テーブルに前記基板を吸着するステップと、前記基板位置検出部により前記基板テーブルに吸着された前記基板の水平方向の位置を検出し、検出した前記基板の位置と、所望の前記作業開始位置との差を補正し得る第2補正量を計算するステップと、前記第2補正量に基づき前記基板の位置を補正する第2位置補正ステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
本適用例によれば、基板載置方法の各ステップにおける基板載置装置の各部の動作において、第1位置補正と第2位置補正とによる基板の位置補正に支障が及ばないようにしながら、同時に実行可能な動作を並行して実行する構成としている。即ち、載置面への基板の搬入において、リフトピン上昇と、基板保持部に保持された基板の作業開始位置への搬入とを同時に実行する。また、リフトピン上に基板を載置後の基板保持部の基板待機位置近傍への後退と、基板位置検出部による第1の基板位置情報取得とを同時に実行している。
これにより、基板載置装置を用いた基板載置方法のタクトタイムを短縮することができる。
また、本適用例によれば、リフトピン上に保持された状態の基板位置を検出して第1補正量を計算して第1位置補正を行なった後で、リフトピンを下降させて基板を基板テーブル上に載置した状態で基板位置を検出して第2補正量を計算し、第2位置補正を行なう構成となっている。したがって、第1位置補正により、基板除給材部による作業開始位置への基板の載置作業の機械的な誤差に起因する基板位置ずれを補正してから、載置面に載置された状態の基板の位置を補正する第2位置補正を行なう構成としている。
これにより、一回の基板位置補正を行なった場合に、位置ずれ量が大きいときに起こり得る位置補正動作エラーを回避できるとともに、第2位置補正の時間が短縮するなど、効率的で位置精度の高い基板載置が可能な基板載置方法を提供することができる。
【0009】
[適用例2]上記適用例に係る基板載置方法において、前記基板位置検出部がカメラであって、前記第1補正量を計算するための基板位置の検出には、所定の倍率を有する第1のカメラが用いられ、前記第2補正量を計算するための基板位置の検出には、前記第1のカメラよりも高倍率を有する第2のカメラを用いることを特徴とする。
【0010】
本適用例によれば、第1位置補正により、基板除給材部による作業開始位置への基板の載置作業の機械的な誤差に起因する基板位置ずれを補正してから、高倍率の第2のカメラ用いた第2位置補正を行なう。
これにより、一回の基板位置補正のみの場合に、位置ずれ量が大きいときに起こり得る位置補正動作エラーを回避することができるので、結果としてアライメントの時間が短縮するなど、効率的で位置精度の高い基板載置を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】基板載置装置の概略構成を模式的に示す斜視図。
【図2】基板載置装置の基板載置部の概略構成を示し、(a)は平面図、(b)は側断面図。
【図3】基板吸着機構の詳細図。
【図4】基板載置部の電気的構成を示すブロック図。
【図5】基板載置装置による基板載置方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の各図においては、各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各部材の尺度を実際とは異ならせている。
【0013】
(基板載置装置)
まず、基板載置装置の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る基板載置装置の概略構成を模式的に示す斜視図である。また、図2は、基板載置部の要部の構成を示し、図2(a)は、平面図であり、同図(b)は、側断面図である。なお、図2(b)では、基板載置部の下方部分の図示を省略している。
図1に示すように、基板載置装置1は、基板17を載置する基板テーブル6を備えた基板載置部7と、基板載置部7上に配置され第1のカメラ75aおよび第2のカメラ75bを含む基板位置検出部としてのカメラ部75と、基板保持アーム21を備えた基板除給材部20と、を有している。
【0014】
基板載置部7は、ベース3と、ベース3上に載置されたXYθテーブル150と、を有している。XYθテーブル150は、ベース3と、ベース3上に載置されたY軸テーブル4、X軸テーブル5、および、θテーブルとしての基板テーブル6を有している。
さらに詳述すると、基板載置部7において、ベース3上には、Y軸リニアモーター(例えば可動コイル型リニアモーター)35と、Y軸リニアモーター35の両側に並行させて載置された下側Y軸リニアモーターガイド36,36が配置されている。Y軸リニアモーター35は、Y軸方向に移動自在に走行しY軸リニアモーター35の可動子としてのY軸テーブル4との接続に供する三相コイルとしてのY軸可動子接続部(不図示)を有している。
ベース3上に配置されるY軸テーブル4のベース3と対向する底面側には、ベース3の下側Y軸リニアモーターガイド36,36に対応する上側Y軸リニアモーターガイド44,44が設けられている。本実施形態では、下側Y軸リニアモーターガイド36,36が断面矩形状のレールであるのに対して、上側Y軸リニアモーターガイド44,44は下側Y軸リニアモーターガイド36を嵌め込み可能な凹部を有する断面コの字形状のレールとなっている。
また、Y軸テーブル4の底面側には、ベース3の上記Y軸可動子接続部が連結・固定される取付け部(不図示)が設けられている。この取付け部にY軸可動子接続部が連結・固定され、且つ、下側Y軸リニアモーターガイド36,36に対して上側Y軸リニアモーターガイド44,44がY軸方向に移動自在な状態で嵌め合わせられる。これにより、Y軸リニアモーター35を駆動させることによって、Y軸テーブル4はベース3に対してY軸方向の走査が可能になっている。
【0015】
また、Y軸テーブル4上には、X軸リニアモーター(例えば可動コイル型リニアモーター)45と、X軸リニアモーター45の両側に並行させて載置された下側X軸リニアモーターガイド46,46が配置されている。X軸リニアモーター45は、X軸方向に移動自在に走行しX軸リニアモーター45の可動子としてのX軸テーブル5との接続に供する三相コイルとしてのX軸可動子接続部(不図示)を有している。
Y軸テーブル4上に配置されるX軸テーブル5のY軸テーブル4と対向する底面側には、Y軸テーブル4の断面矩形状の下側X軸リニアモーターガイド46,46に対応する断面コの字状の上側X軸リニアモーターガイド54,54が設けられている。
また、X軸テーブル5の底面側には、Y軸テーブル4の上記Y軸可動子接続部が連結・固定される取付け部(不図示)が設けられ、この取付け部にY軸可動子接続部が連結・固定され、且つ、下側X軸リニアモーターガイド46,46に対して上側X軸リニアモーターガイド54,54がX軸方向に移動自在な状態で嵌め合わせられる。これにより、X軸リニアモーター45を駆動させることによって、X軸テーブル5はベース3に対してX軸方向の走査が可能になっている。
【0016】
また、図2(b)に示すように、X軸テーブル5上の中央にはθ軸15が配置され、そのθ軸15上に基板テーブル(θテーブル)6が設置されている。θ軸15には、図示しないθ軸回転式モーターが接続され、そのθ軸回転式モーターを駆動させることにより基板テーブル6をθ軸15を中心に回転させることができる。
以上、説明した構成のXYθテーブル150により、基板テーブル6に載置された基板17の位置をアライメントカメラ(図示せず)等の情報をもとに補正することができる。
【0017】
ここで、基板載置装置1の要部としての基板載置部7の基板テーブル6の周辺部分の構成について詳細に説明する。
図2において、基板載置部7の基板テーブル6には複数の貫通穴9が形成されている。本実施形態における貫通穴9は、円柱形状の穴を有している。また、各貫通穴9を通じるリフトピン8が配置されている。本実施形態におけるリフトピン8は円柱形状を有している。そして、貫通穴9とリフトピン8の間に間隙40が形成されている。
各リフトピン8は、リフトピン昇降部18に接続されている。リフトピン昇降部18には、図示しない第2モーターが接続されており、当該第2モーターを駆動させることにより、リフトピン昇降部18が昇降移動する。そして、リフトピン昇降部18の昇降移動に伴い、リフトピン8が昇降移動するように構成されている。
【0018】
また、基板載置部7は、基板テーブル6の載置面6aで基板17を吸着させる基板吸着部10を備えている。図3は、基板吸着機構の詳細図である。図3に示すように、基板吸着部10は、基板テーブル6の載置面6aに形成された吸着溝10aと、基板テーブル6を貫通する吸着穴10bと、吸着穴10bに接続された真空発生機器10c等で構成されている。そして、真空発生機器10cを駆動させることにより、吸着溝10aおよび吸着穴10bから空気が吸引され、基板17が基板テーブル6の載置面6aに載置された状態で、基板17を載置面6aに固定することができる。また、図3に示すように、吸着溝10aの溝幅G1、溝深さG2、および、吸着穴10bの穴径H1をバランスよく調整することにより、基板17が薄い場合でも基板17の変形を抑えながら、十分な吸引圧力にて基板17を載置面6a上に載置し、正確な位置に機能駅を塗布させることができる。
【0019】
図1に戻り、基板載置部7上には、第1のカメラ75a、および、第2のカメラ75bを含むカメラ部75が配置されている。カメラ部75は、基板載置部7の基板テーブル6上の基板17の位置を画像として検出するものである。第1のカメラ75aと第2のカメラ75bとは、カメラの解像度と焦点の位置とが異なる。本実施形態では、第1のカメラ75aは、リフトピン8上に載置された基板17の表面(上面)に焦点が合わされており、後述する粗アライメントを行なうステップでの画像取り込みに用いられる。また、第2のカメラ75bは、第1のカメラ75aよりも高倍率のレンズを有し、基板テーブル6上に載置された基板17の表面に焦点が合わされており、後述する精密アライメントを行なうステップでの画像取り込みに用いられる。
【0020】
また、図1において、基板載置装置1の基板除給材部20は、図示を省略したXYZ軸ロボットから水平方向に延びて、XYZ軸方向に制御して移動自在に設置された基板保持部としての基板保持アーム21を備えている。基板保持アーム21には図示しない吸着手段が備えられ、その吸着手段により基板保持アーム21上に基板17を吸着させて水平に保持することができる。基板除給材部20は、図示しない基板待機位置にセットされた基板17を、基板保持アーム21を用いてXYθテーブル150の基板テーブル6上に基板17を移載する給材を行なったり、基板テーブル6上の作業済みの基板17を基板保持アーム21を用いて前記基板待機位置に移動させる除材を行なう。
【0021】
次に、基板載置部7の電気的構成について概略を説明する。図4は、基板載置部7の電気的構成を示すブロック図である。基板載置部7は、制御部50を備えている。制御部50は、リフトピン昇降部18に接続された第2モーター部、XYθテーブル150の駆動系(Y軸リニアモーター35、X軸リニアモーター45、θ軸15)に接続された第1モーター部、および基板吸着部10に接続された真空発生機器(第2ポンプ)10cのそれぞれの駆動を制御する。制御部50は、CPU50aやメモリー50b等を備え、例えば、メモリー50bに格納された動作プログラムに基づいて、CPU50aが各種演算を行い、各部材に駆動信号を送信し、各部材を駆動させる。
【0022】
(基板載置方法)
次に、基板載置装置1を用いた基板載置方法について図面に沿って説明する。図5は、基板載置装置1を用いた基板載置方法を示すフローチャート(一部)である。
【0023】
まず、図5のステップS1に示すように、リフトピン8を上昇させるとともに、基板除給材部20を駆動させて基板保持アーム21に保持させた基板17を、基板載置部7の基板テーブル6に向けて搬入開始する。リフトピン8上昇について詳述すると、リフトピン昇降部18に接続された第2モーター部を駆動させ、リフトピン昇降部18を所定位置まで上昇させる。これにより、リフトピン昇降部18に接続されているリフトピン8が所定の位置まで上昇する。
【0024】
次に、ステップS2に示すように、基板保持アーム21上の基板17が基板テーブル6の作業開始位置の直上の位置まで移動させて基板保持アーム21の搬入を完了させ、その後、基板保持アーム21を下降させて基板17をリフトピン8の頂部に載せる。これにより、リフトピン8上において、基板17は、基板テーブル6の載置面6aの作業開始位置と平面視で重なる位置に保持される。
【0025】
次に、ステップS3に示すように、リフトピン8の先端位置よりも下方に下降させた基板保持アーム21を上記基板待機位置の近傍に後退させるとともに、リフトピン8上に載置された基板17の上面に焦点が合わされたカメラ部75の第1のカメラ75aにより、基板17に設けられたアライメント用の基準マークの位置を画像として取得し(第1の基板位置情報取得)、取得した基板の位置と、基板17の所望の作業開始位置との差を検出して、その差を補正し得る第1補正量の計算を行なう。この第1補正量の計算の結果から、基板17の位置の補正が必要であるか否かについて判定する(ステップS4)。即ち、基板17の位置が所望の作業開始位置に対して許容範囲から外れた場合は第1位置補正が必要であり、許容範囲内であれば第1位置補正はする必要がないと判断できる。
【0026】
ステップS4で第1位置補正が必要であると判断された場合(ステップS4でYES)、次に、ステップS5−1に示すように、リフトピン8を降下させながら、ステップS3で算出した第1補正量に基づいて基板17の位置を所望の作業開始位置に補正する第1位置補正としての粗アライメントを行なう。
具体的には、リフトピン昇降部18に接続された第2モーター部を駆動させ、リフトピン昇降部18を所定位置まで降下させる。これにより、リフトピン昇降部18に接続されているリフトピン8が基板17とともに所定の位置まで降下する。
リフトピン8を降下させながら、上記第1補正量に基づいて第1部を駆動させ、XYθテーブルの駆動系(Y軸リニアモーター35、X軸リニアモーター45、θ軸15)を操作して基板17の位置ずれを補正する粗アライメントを行なう。
また、ステップS4で第1位置補正の必要がないと判断された場合(ステップS4でNO)には、ステップS5−2に示すように、リフトピン8の下降のみを行なう。
【0027】
次に、ステップS6に示すように、基板吸着部10の真空発生機器10cを作動させて基板テーブル6に基板17を吸着させることにより、基板17を基板テーブル6の載置面6a(作業開始位置)に保持する。
【0028】
次に、ステップS7に示すように、基板テーブル6上に真空吸着により保持された基板17の上面に焦点が合わされたカメラ部75の第2のカメラ75bにより、基板17に設けられたアライメント用の基準マークの位置を画像として取得し(第2の基板位置情報取得)、取得した基板の位置と、基板17の所望の作業開始位置との差を検出して、その差を補正し得る第2補正量の計算を行なう。ここで、第2のカメラ75bは、上記第1補正量の算出の際に用いた第1のカメラ75aよりも高い倍率を有したレンズが用いられているので、第1補正量の算出の際よりも精緻な基板位置検出をすることができる。
この第2補正量の計算の結果から、基板17の位置の補正が必要であるか否かについて判定する(ステップS8)。
【0029】
ステップS8で第2位置補正が必要であると判断された場合(ステップS8でYES)、次に、ステップS9に示すように、ステップS7で算出した第2補正量に基づいて基板17の位置を所望の作業開始位置に補正する第2位置補正としての精密アライメントを行なう。具体的には、上記第2補正量に基づいて第1モーター部を駆動させ、XYθテーブル150の駆動系(Y軸リニアモーター35、X軸リニアモーター45、θ軸15)を操作して基板17の位置ずれを補正する精密アライメントを行なう。
なお、ステップS8で第2位置補正の必要がないと判断された場合(ステップS8でNO)には、基板載置装置1による基板載置方法を終了する。
【0030】
以上の工程を経て、基板載置装置1を用いた一連の基板載置方法を終了する。
その後、基板17に対して所定の作業が実施される。
所定の作業が終了後に基板17を除材する場合には、まず、基板吸着部10の真空発生機器10cの作動を停止させ、リフトピン昇降部18に接続された第2モーター部を駆動させ、リフトピン昇降部18を駆動させ、リフトピン昇降部18を所定位置まで上昇させる。これにより、基板17とともにリフトピン8が所定位置まで上昇する。そして、基板除給材部20を駆動させて基板保持アーム21を基板17の下方まで進入させた後に、基板保持アーム21を上昇させて基板17を基板保持アーム21に保持させ、基板17を保持した基板保持アーム21を上記基板待機位置の近傍に後退させ、基板載置部7から基板17を除材させる。
【0031】
上記実施形態の基板載置方法によれば、各ステップにおける基板載置装置1の各部の動作において、第1位置補正としての粗アライメントと第2位置補正としての精密アライメントによる基板17の位置補正に支障が及ばないことを考慮しながら、同時に実行可能な動作を並行して実行する構成としている。即ち、ステップS1では、リフトピン8上昇と、基板保持アーム21に保持された基板17の作業開始位置への搬入とを同時に実行している。また、ステップS3では、リフトピン8上に基板17を載置後の基板保持アーム21の基板待機位置近傍への後退と、第1のカメラ75aによる第1の基板位置情報取得とを同時に実行している。
これにより、基板載置装置1による基板載置方法(基板載置工程)のタクトタイムの短縮を図ることができる。
【0032】
また、上記実施形態では、第1位置補正としての粗アライメントにより、基板除給材部20による作業開始位置への基板17の載置作業の機械的な誤差に起因する基板17位置ずれを補正してから、高倍率の第2のカメラ75bを用いた第2位置補正としての精密アライメントを行なう構成としている。
これにより、粗アライメントをせずに一回の基板位置補正(精密アライメント)を行なう場合に、位置ずれ量が大きいときに起こり得る位置補正動作エラーを回避できるとともに、精密アライメントの時間が短縮するなど、効率的で位置精度の高い基板載置を行なうことができる。
【0033】
以上、発明者によってなされた本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0034】
例えば、上記実施形態の基板載置装置1では、XYθテーブル150を備えた基板載置部7を含む構成とした。
これに限らず、基板載置装置1により所定の位置に載置した基板17に所定の作業を行なう作業部が有する構成によっては、Z軸テーブルを加えた構成の基板載置部が必要になる場合もあり、また、X軸、Y軸、Z軸、およびθ軸の、いずれか一つ、いずれか二つ、あるいはいずれか三つの場合もある。
なお、上記実施形態の基板載置方法において、ステップS5−1の粗アライメント、および、ステップS9の精密アライメントでは、XYθテーブル150を駆動させて基板位置の補正を行なう構成を説明したが、上記したように、基板載置部の種々構成への変更により、アライメントのために駆動させるモーター軸等は変更される。
【0035】
また、基板載置装置1の基板除給材部20の構成についても、上記実施形態に限らず、基板17を基板載置部7の作業開始位置に移載可能な構成であればよい。
また、基板位置検出部としてのカメラ部75の構成、即ち、カメラ仕様、および、その数や配置についても、上記実施形態の構成には限らず、所望の基板位置精度に応じて適宜に変更してもよい。
【符号の説明】
【0036】
1…基板載置装置、3…ベース、4…Y軸テーブル、5…X軸テーブル、6…基板テーブル、6a…載置面、7…基板載置部、8…リフトピン、9…貫通穴、10…基板吸着部、10a…吸着溝、10b…吸着穴、10c…真空発生機器(第2ポンプ)、15…θ軸、17…基板、18…リフトピン昇降部、20…基板除給材部、21…基板保持部としての基板保持アーム、35…Y軸リニアモーター、36…下側Y軸リニアモーターガイド、44…上側Y軸リニアモーターガイド、45…X軸リニアモーター、46…下側X軸リニアモーターガイド、50…制御部、50a…CPU、50b…メモリー、54…上側X軸リニアモーターガイド、75…基板位置検出部としてのカメラ部、75a…第1のカメラ、75b…第2のカメラ、150…XYθテーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が載置される載置面を有する基板テーブルと、
前記載置面から出没自在に設けられ、前記載置面よりも突出した状態で前記基板を支持し、前記基板テーブル内に退避した状態で前記基板を前記載置面の作業開始位置に載置させる複数のリフトピンと、
全ての前記リフトピンを昇降させるリフトピン昇降機と、を有する基板載置部と、
前記基板を保持する基板保持部を有し、前記基板の前記載置面への搬入、および、前記載置面からの搬出をおこなう基板除給材部と、
前記作業開始位置に載置した前記基板の位置を検出する基板位置検出部と、を有する基板載置装置を用いて、前記基板を前記作業開始位置に位置決め状態で載置する基板載置方法であって、
前記リフトピンを上昇させるとともに、前記基板除給材部を駆動させて前記基板保持部に保持した前記基板を作業開始位置に向けて搬入開始するステップと、
前記基板保持部に保持した前記基板を前記載置面の前記作業開始位置の直上に位置させて前記基板の搬入を完了させてから、前記基板保持部を下降させて前記基板を前記リフトピン上に載置するステップと、
前記基板保持部の後退を開始するとともに、前記基板位置検出部により前記基板の水平方向の位置を検出し、検出された前記基板の位置と、所望の前記作業開始位置との差を補正し得る第1補正量を計算するステップと、
前記リフトピンを下降させるとともに、前記第1補正量に基づき前記基板の位置を補正する第1位置補正ステップと、
前記基板テーブルに前記基板を吸着するステップと、
前記基板位置検出部により前記基板テーブルに吸着された前記基板の水平方向の位置を検出し、検出した前記基板の位置と、所望の前記作業開始位置との差を補正し得る第2補正量を計算するステップと、
前記第2補正量に基づき前記基板の位置を補正する第2位置補正ステップと、
を含むことを特徴とする基板載置方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板載置方法において、
前記基板位置検出部がカメラであって、
前記第1補正量を計算するための基板位置の検出には、所定の倍率を有する第1のカメラが用いられ、
前記第2補正量を計算するための基板位置の検出には、前記第1のカメラよりも高倍率を有する第2のカメラを用いることを特徴とする基板載置方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−98368(P2013−98368A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240061(P2011−240061)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】