説明

基準信号発生装置

【課題】温度に関連する各種の周波数変動要素の影響を抑制して、高精度な基準周波数信号を発生する。
【解決手段】制御部10は、1PPSが入力されている間に同期型制御電圧信号のレベルを経時的に観測し、自走用制御電圧信号を推定して記憶する。制御部10は、温度センサ16からの温度検出信号に基づいて電圧制御発振器14の温度を観測して記憶する。制御部10は、ホールドオーバを検出すると、その時点での温度を検出するとともに(S101)、記憶した過去の温度を含み温度の時間変化率を算出する(S102)。制御部10は、予め設定した制御補正値算出用係数を読み出し(S103)、当該係数により設定される演算式に、検出した温度および算出した温度の時間変化率を代入して、制御補正値を算出する(S104)。制御部10は、この制御補正値に基づいて自走用制御電圧信号を補正し、電圧制御発振器14へ与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、デジタル通信等の無線通信設備に用いる基準信号発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話や地上波デジタル放送等の広範囲なエリアで無線システムを提供する場合には、末端の機器にデータを送信するために複数の基地局が必要となる。これらの基地局では、仕様上、高精度な基準周波数信号が必要となる。このような高精度な基準周波数信号が得られる基準信号発生装置としては、非常に高価なRb発振器を用いたものも利用されているが、一般的には水晶発振器を備え、GPSの1PPS等の高精度な外部リファレンス信号に同期を行いながら基準周波数信号を発生するものが利用されている。
【0003】
ところが、水晶発振器を用いた基準信号発生装置は、水晶振動子の周波数温度特性等により、温度が異なる状況で同じレベルの電圧信号を印加すると、異なる周波数の基準周波数信号が発生してしまう。
【0004】
この問題を解決するため、特許文献1に記載の発明では、予め温度毎に制御電圧信号レベルの補正値を設定しておき、検出した温度に応じて制御電圧信号を補正して水晶発振器へ与えている。
【特許文献1】特許405618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般的には、水晶振動子がヒステリシスを有する周波数温度特性をもっていることが知られている。
【0006】
しかしながら、本願の発明者は、このヒステリシスを有する周波数温度特性に応じて、上述の補正値を設定しても、出力される基準周波数信号の周波数が設定値よりも極僅かズレることを問題視し、水晶振動子には、次に示すような周波数温度特性があることを実験的に突き止めた。
【0007】
図5は、一般的なATカット水晶振動子の周波数温度特性を示すグラフであり、(A)は全体の温度特性を示し、(B)は40℃近傍の温度特性Hyを示す。また、図中のHy(ΔT1U),Hy(ΔT2U),Hy(ΔT3U)は昇温過程における温度の時間変化率毎の温度特性を示し、Hy(ΔT1D),Hy(ΔT2D),Hy(ΔT3D)は降温過程における温度の時間変化率毎の温度特性を示す。ここで、温度の時間変化率はΔT1<ΔT2<ΔT3の順である。
【0008】
図5に示すように、水晶振動子は、昇温過程と降温過程とで、同じ温度で同じ電圧レベルの電圧信号が印加される状況であっても、異なる周波数の基準周波数信号を発生してしまう。さらに、水晶振動子は、温度の時間変化率が異なっても、異なる周波数の基準周波数信号を発生してしまう。
【0009】
すなわち、温度、昇温過程であるか降温過程であるかの温度遷移方向、温度の時間変化率からなる三つの要素を加味しなければ、より高精度な基準周波数信号を発生することができない。
【0010】
したがって、本発明の目的は、温度に関連する各種の周波数変動要素の影響を抑制して、高精度な基準周波数信号を発生することができる基準信号発生装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の基準信号発生装置は、水晶振動子に電圧信号が印加されることで基準周波数信号を発生する水晶発振器と、電圧信号を生成する制御手段と、水晶発振器の温度を検知して前記制御手段へ出力する温度検知手段とを備える。そして、この基準信号発生装置の制御手段は、順次取得して記憶された時系列の温度から、温度の時間変化状態を算出し、該温度の時間変化状態と温度とに基づいて電圧信号の信号レベルを補正して水晶発振器へ与える。
【0012】
この構成では、水晶振動子に与える電圧信号への補正データが、温度と当該温度の時間変化状態、すなわち昇温過程か降温過程かで識別される温度遷移方向および温度の時間変化率に基づいて決定される。これにより、単に温度のみに基づく補正データではなく、さらに詳細な温度の変化を反映する温度遷移方向および温度の時間変化率も含んで補正データが設定される。
【0013】
また、この発明の基準信号発生装置は、水晶発振器が、印加される電圧信号の信号レベルに応じて発生する基準周波数信号の周波数を制御可能な電圧制御発振器である。さらに、基準信号発生装置は、外部からのリファレンス信号と基準周波数信号との位相差を取得し位相差信号を出力する位相比較器と、位相差信号から同期型制御電圧信号を生成するループフィルタと、を備える。そして、この基準信号発生装置の制御手段は、リファレンス信号の入力の有無により水晶発振器へ与える電圧信号を切り替える。具体的に、リファレンス信号の入力を検出している同期期間には、同期型制御電圧信号を電圧信号として水晶発振器へ与える。一方、リファレンス信号の入力断を検出している自走期間には、補正を行った電圧信号を水晶発振器へ与える。
【0014】
この構成では、同期期間内はリファレンス信号に同期することで、温度に関する各種要素に関係なく高精度な基準周波数を発生することができ、自走期間内は上述のような温度に関する各種要素を加味した補正データにより高精度な基準周波数を発生することができる。すなわち、同期型の基準信号発生装置であって、リファレンス信号が入力されないホールドオーバが発生しても、引き続き高精度な基準周波数信号を発生することができる。
【0015】
また、この発明の基準信号発生装置の制御手段は、リファレンス信号が入力されている同期期間に、同期型制御電圧信号を取得し、該取得時点での温度および温度の時間変化状態と同期型制御電圧信号とに基づいて、補正に利用する補正要素を学習して更新記憶する。
【0016】
この構成では、基準信号発生装置の設置状況に応じて同期期間中に上述の補正データが最適化される。これにより、自走期間に、より高精度な基準周波数信号を発生することができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、同期用のリファレンス信号を得られないような状況で、且つ水晶振動子に対する温度環境が変動するような状況下であっても、温度に関連する各種の周波数変動要素の影響を抑制して、高精度な基準周波数信号を出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施形態に係る基準信号発生装置について図を参照して説明する。
【0019】
図1は、本実施形態の基準信号発生装置およびこの装置にリファレンス信号を与える回路を示す概略ブロック図である。なお、以下の説明では、GPSを用いてリファレンス信号を取得する例を示すが、他のGNSSを用いても良く、さらには外部装置から他のリファレンス信号を取得しても良い。
【0020】
本実施形態の基準信号発生装置1は、制御部10、位相比較器11、ループフィルタ12、スイッチ回路13、電圧制御発振器14、分周器15、および温度センサ16を備える。
【0021】
この基準信号発生装置1にはGPS受信機2が接続されており、GPS受信機2にはGPSアンテナ3が接続されている。GPS受信機2は、GPSアンテナ3で受信した測位用信号に基づいて航法メッセージ等の測位関連情報を取得するとともに、リファレンス信号である1PPSを生成し、位相比較器11へ与える。
【0022】
位相比較器11は、1PPSと、電圧制御発振器14から出力される基準周波数信号を分周器15で分周してなる調整用タイミング信号との位相差を検出し、当該位相差に基づく電圧レベルの位相差信号を生成して出力する。ループフィルタ12は、ローパスフィルタ等により構成され、位相差信号の電圧レベルを時間軸上で平均化することで、同期型制御電圧信号を生成して制御部10とスイッチ回路13へ出力する。
【0023】
スイッチ回路13は、電圧制御発振器14の制御信号入力端子に対して、ループフィルタ12または制御部10の何れか一方を接続するように切り替え可能とする回路である。この切り替えは、制御部10からの切替制御信号に応じて行われる。
【0024】
温度センサ16は、例えば、電圧制御発振器14に当接して設置されるか、電圧制御発振器14が実装される基板の当該実装位置近傍に設置されており、電圧制御発振器14の水晶振動子の温度に応じた温度検出信号を生成して制御部10へ出力する。
【0025】
制御部10は、基準信号発生装置1を動作させる各種制御を行う。また、制御部10は、温度センサ16からの温度検出信号を時系列に記憶する。
【0026】
また、制御部10は、ループフィルタ12から出力される同期型制御電圧信号のレベル値(DAC値)を検出して記憶するとともに、当該記憶された時系列のDAC値群に基づいて自走用制御電圧信号の推定を行う。
【0027】
また、制御部10は、GPS受信機2からの1PPSの受信の有無に応じてスイッチ回路13の切替制御を行う。具体的には、制御部10は、GPS受信機2から1PPSを取得できればループフィルタ12と電圧制御発振器14とを接続するように切替制御信号をスイッチ回路13へ与える。これにより、1PPSが取得されている間は、ループフィルタ12からの同期型電圧制御信号が電圧制御発振器14へ与えられる。なお、スイッチの切替制御は、1PPSの有無の判断のみに限らず、1PPSが正常か否かや、GPS受信機2からの指令等によっても実行することができる。
【0028】
一方、制御部10は、GPS受信機2から1PPSを取得できなければ、すなわちホールドオーバを検出すれば、自身(制御部10)と電圧制御発振器14とを接続するように切替制御信号をスイッチ回路13へ与える。そして、制御部10は、ホールドオーバを検出した時点で、推定した自走用制御電圧信号を出力する。これにより、ホールドオーバ状態では、自走用制御電圧信号は、スイッチ回路13を介して電圧制御発振器14へ与えられる。この際、制御部10は、次に示す方法を用いて、自走用制御電圧信号のレベル値の補正を行う。
【0029】
図2は、自走用制御電圧信号のレベル値補正の処理フローを示すフローチャートであり、制御補正値算出用演算を実施する場合を示す。
【0030】
制御部10は、補正値を算出したい時点(例えば、ホールドオーバ発生時)になると、温度Trを検出する(S101)。また、制御部10は、検出した温度Trに対して予め設定した過去の所定区間内の温度Tr’を読み出し、温度の時間変化率すなわち温度勾配ΔTrを算出する(S102)。この際、制御部10は、温度勾配ΔTrに基づいて温度遷移方向を検出する。
【0031】
制御部10は、温度遷移方向に準じて、次式に示す補正周波数算出用演算式を読み出し、当該算出用演算式に、温度Tr、温度勾配ΔTrを代入することで補正周波数fcoを算出する。
【0032】
fco=a・Tr3+b・Tr2+c・Tr+d −(1)
a〜dは、次に示す式(2A)〜(2D)で表される。
【0033】
a=(KA(ΔTr)3+LA(ΔTr)2+MA(ΔTr)+NA) −(2A)
b=(KB(ΔTr)3+LB(ΔTr)2+MB(ΔTr)+NB) −(2B)
c=(KC(ΔTr)3+LC(ΔTr)2+MC(ΔTr)+NC) −(2C)
d=(KD(ΔTr)3+LD(ΔTr)2+MD(ΔTr)+ND) −(2D)
ここで、KA〜KD,LA〜LD,MA〜MD,NA〜NDは、電圧制御発振器14に応じて、実験により予め設定された定数である。
【0034】
このような演算を行うことで、推定算出された自走用制御電圧信号により基準信号発生装置の温度環境応じて実際に出力される周波数と、電圧制御発振器14から出力させるべき周波数との差分である補正周波数fcoを算出することができる。
【0035】
制御部10は、補正周波数fcoをDAC値と同じ単位に変換して、制御補正値を算出する(S104)。なお、この変換は予め電圧制御発振器14および温度Trに応じた変換式が予め制御部10内に記憶されており、当該変換式を用いることで容易に算出される。なお、この変換に際して、温度勾配ΔTrによる影響をも考慮すれば、より高精度な制御補正値を算出することができる。
【0036】
制御部10は、算出した制御補正値で自走用制御電圧信号を補正して出力する。具体的に、制御部10は、補正前のDAC値に対して制御補正値に応じたDAC値を加算してなる補正後DAC値に応じた信号レベルの制御電圧信号を出力する(S105)。
【0037】
電圧制御発振器14は、スイッチ回路13を介して与えられる同期型制御電圧信号か、補正された自走用制御電圧信号に基づいて基準周波数信号を発生する。より具体的には、電圧制御発振器14は、1PPSが入力されて同期されている期間では同期型制御電圧信号に基づいて基準周波数信号を発生し、ホールドオーバ状態では温度および温度勾配により補正された自走用制御電圧信号に基づいて基準周波数信号を発生する。
【0038】
このような構成とすることで、ホールドオーバ状態となり高精度なリファレンス信号を取得することができなくても、温度や温度勾配に影響されることなく高精度な基準周波数信号を発生することができる。
【0039】
また、1PPSのような高精度なリファレンス信号が得られる場合は、これに同期して高精度な基準周波数信号を発生することができるので、温度や温度勾配に影響されることなく定常的に高精度な基準周波数信号を発生することができる。
【0040】
なお、上述の方法では、制御補正値を数式演算のみを用いて行ったが、予め温度補正用テーブルを作成しておき、当該テーブルを用いて制御補正値を算出しても良い。
【0041】
図3は、自走用制御電圧信号のレベル値補正の処理フローを示すフローチャートであり、温度補正用テーブルを利用する場合を示す。
【0042】
制御部10は、上述のように、温度Trを検出するとともに温度の時間変化率(温度勾配)ΔTrを算出する(S201→S202)。
【0043】
制御部10は、基準信号発生装置の動作温度範囲内における複数の温度Tn(nは予め設定した定数)および各温度Tnでの複数の温度勾配ΔTm(mは予め設定した正の整数)をパラメータとして、実験的に得られる制御補正値Xmnをそれぞれ設定した温度補正用テーブルを記憶している。
【0044】
制御部10は、この温度補正用テーブルを読み出し、検出した温度Trおよび温度勾配ΔTrが、テーブルに記憶された温度Tnと温度勾配ΔTmとの組み合わせに一致すれば、これらの組み合わせに対応した制御補正値Xmnを読みだして利用する。また、制御部10は、検出した温度Trおよび温度勾配ΔTrが、テーブルに記憶された温度Tnと温度勾配ΔTmとの組み合わせに一致しなければ、検出した温度Trおよび温度勾配ΔTrに近い、テーブルに記憶された温度Tnと温度勾配ΔTmとの組み合わせを少なくとも二組抽出する。この際、制御部10は、抽出した温度Tnと温度勾配ΔTmとの組み合わせに対応する制御補正値Xmnも読み出す。そして、制御部10は、それぞれの温度勾配ΔTmに基づいて、次式からヒステリシス補正値Hmを算出する。
【0045】
Hm=Am(ΔTm)3+Bm(ΔTm)2+Cm(ΔTm)+Dm −(3)
なお、Am,Bm,Cm,Dmは電圧制御発振器14および温度勾配ΔTmに応じて実験的に得られた定数係数である。
【0046】
そして、制御部10は、温度Tn、温度勾配ΔTmに依存するヒステリシス補正値Hm、制御補正値Xmnを用いて、線形補間を利用した次式から、検出した温度Trおよび温度勾配ΔTrに対する制御補正値Xrを算出する(S204)。なお、次式では、抽出した温度、温度勾配に基づくヒステリシス補正値、および制御補正値は、(Tn,Hm,Xmn)と(Tn’,Hm’,Hmn’)として表す。
【0047】
Xr={Tn’(Xmn+Hm)−Tn(Xmn’+Hm’)}/(Tn’−Tn)
−(4)
制御部10は、算出した制御補正値で自走用制御電圧信号を補正して出力する。具体的に、制御部10は、補正前のDAC値に対して制御補正値に応じたDAC値を加算してなる補正後DAC値に応じた信号レベルの制御電圧信号を出力する(S205)。
【0048】
以上のように、温度補正用テーブルを用いた方法であっても、上述の完全に演算式のみで制御補正値を算出する場合と同様に、高精度な基準周波数信号を発生することができる。
【0049】
また、上述の各方法では、制御補正値が工場出荷時に設定されたままであるが、次に示す方法を用いれば、基準信号発生装置の設置環境に応じて、より最適な制御補正値を得ることができる。
【0050】
図4は、制御補正値を設置環境に応じて最適化する処理をも含む、自走用制御電圧信号のレベル値補正の処理フローを示すフローチャートである。
【0051】
制御部10は、1PPSの入力を検出して、入力があれば(S301:Yes)、ループフィルタ12から出力される制御電圧信号のレベル(DAC値)を継続的に取得する(S302)。この際、制御部10は、各DAC値の取得タイミングでの温度を検出する(S303)。
【0052】
制御部10は、このように継続的に検出した各DAC値と温度との組み合わせから、温度の時間変化率に応じたDAC値の変化量を算出する。ここで、各DAC値は1PPSに同期させて一定周波数からなる基準周波数信号を出力するように、位相比較器11、ループフィルタ12、電圧制御発振器14、分周器15からなるPLL回路を制御した値であるので、充分な通電時間を与えた電圧制御発信器であるならば、エージング特性による変化量はほとんどなくなるため、継続的に検出されるDAC値の差は、すなわち温度および温度の変化量によって決定されるものである。したがって、このようなDAC値の差を算出することで、上述の制御補正値を得ることができる(S304)。
【0053】
制御部10は、1PPSが入力される間、このような制御補正値の算出処理を継続的に行い、記憶する。これにより、設置動作環境に応じた最適な制御補正値を記憶しておくことができる。
【0054】
そして、制御部10は、ホールドオーバを検出すると、この記憶された最適な制御補正値を参照にして、その時々での温度および温度の時間変化率を検出し、これらに応じた制御補正値を決定する。制御部10は、決定した制御補正値を用いて自走用制御電圧信号を補正し、電圧制御発振器14へ与える。
【0055】
このような処理を用いることで、工場出荷時等に設定された制御補正値ではなく、基準信号発生装置の設置環境に応じた最適な制御補正値で補正ができるので、より高精度な基準周波数信号を発生することができる。
【0056】
なお、上述の演算式では3次式を用いているが、他のn次式(例えば6次式)等を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態に係る基準信号発生装置およびこの装置にリファレンス信号を与える回路を示す概略ブロック図である。
【図2】演算式のみを用いた自走用制御電圧信号のレベル値補正の処理フローを示すフローチャートである。
【図3】温度補正用テーブルを用いた自走用制御電圧信号のレベル値補正の処理フローを示すフローチャートである。
【図4】制御補正値を設置環境に応じて最適化する処理をも含む、自走用制御電圧信号のレベル値補正の処理フローを示すフローチャートである。
【図5】一般的なATカット水晶振動子の周波数温度特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0058】
1−基準周波数信号発生装置、10−制御部、11−位相比較器、12−ループフィルタ、13−スイッチ回路、14−電圧制御発振器、15−分周器、16−温度センサ、2−GPS受信機、3−GPSアンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水晶振動子に電圧信号が印加されることで基準周波数信号を発生する水晶発振器と、前記電圧信号を生成する制御手段と、を備えた基準信号発生装置であって、
前記水晶発振器の温度を検知して前記制御手段へ出力する温度検知手段を備え、
前記制御手段は、順次取得して記憶された時系列の前記温度から、温度の時間変化状態を算出し、該温度の時間変化状態と前記温度とに基づいて前記電圧信号の信号レベルを補正して、前記水晶発振器へ与える、基準信号発生装置。
【請求項2】
前記水晶発振器は、印加される電圧信号の信号レベルに応じて発生する基準周波数信号の周波数を制御可能な電圧制御発振器であって、
外部からのリファレンス信号と前記基準周波数信号との位相差を取得し位相差信号を出力する位相比較器と、
前記位相差信号から同期型制御電圧信号を生成するループフィルタと、を備え、
前記制御手段は、
前記リファレンス信号の入力を検出している同期期間には前記同期型制御電圧信号を前記電圧信号として前記水晶発振器へ与え、
前記リファレンス信号の入力断を検出している自走期間には前記補正を行った電圧信号を前記水晶発振器へ与える、請求項1に記載の基準信号発生装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記同期期間に、前記同期型制御電圧信号を取得し、該取得時点での前記温度および前記温度の時間変化状態と前記同期型制御電圧信号とに基づいて、前記補正に利用する補正要素を学習して更新記憶する、請求項2に記載の基準信号発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−68065(P2010−68065A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230432(P2008−230432)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000166247)古野電気株式会社 (441)
【Fターム(参考)】