説明

塗布装置

【課題】 往復移動するノズルに対して可撓性の塗布液供給管により塗布液貯留部から塗布液を送液した場合においても、塗布液の流量を一定に維持して塗布液を均一に塗布することが可能な塗布装置を提供する。
【解決手段】 ガラス基板に対して塗布液を吐出する複数のノズル23と、このノズル23をガラス基板の表面に対して平行な主走査方向に往復移動させる主走査方向移動機構と、塗布液貯留部24から複数のノズル23に対して塗布液を送液するための可撓性の塗布液供給管64と、各ノズル23と塗布液供給管64との間に配設され、ノズル23と一体となって移動するとともに、そこを通過する塗布液の圧力変動を吸収する圧力変動吸収機構70とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、有機EL表示装置用ガラス基板、液晶表示装置用ガラス基板、PDP用ガラス基板、太陽電池用基板、電子ペーパー用基板あるいは半導体製造装置用マスク基板等の基板に塗布液を塗布する塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、高分子有機EL(Electro Luminescence)材料を用いたアクティブマトリックス駆動方式の有機EL表示装置を製造するときには、ガラス基板に対して、TFT(Thin Film Transistor)回路の形成工程、陽極となるITO(Indium Tin Oxide)電極の形成工程、隔壁の形成工程、正孔輸送材料を含む流動性材料の塗布工程、加熱処理による正孔輸送層の形成工程、有機EL材料を含む流動性材料の塗布工程、加熱処理による有機EL層の形成工程、陰極の形成工程、および、絶縁膜の形成による封止工程が順次実行される。
【0003】
このような有機EL表示装置の製造時に、正孔輸送材料を含む流動性材料や有機EL材料を含む流動性材料等の塗布液を基板に塗布する塗布装置として、塗布液を連続的に吐出する複数のノズルを、基板に対して主走査方向および副走査方向に相対移動させることにより、基板上の塗布領域に塗布液をストライプ状に塗布する装置が知られている。
【0004】
また、特許文献1には、複数のノズルを有する塗布ヘッドを主走査方向に往復移動させるヘッド移動機構として、主走査方向に伸びるガイド部に係合しつつガイド部との間にエアを噴出することにより、非接触状態にてガイド部に支持されるスライダを採用したものが提案されている。この特許文献1に記載された塗布装置においては、スライダにエア供給管を介してエアが供給される。また、このスライダに取り付けられる塗布ヘッドにおける複数のノズルには、塗布液貯留部と接続された可撓性の塗布液供給管を介して塗布液が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−131735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような塗布装置においては、塗布液の膜厚の均一性が要求される。このように塗布液の膜厚を均一にするためには、ノズルから吐出される塗布液の流量を均一にする必要がある。
【0007】
しかしながら、塗布ヘッドにおける複数のノズルと塗布液貯留部とを可撓性の塗布液供給管を介して接続した状態で、高速で往復移動するノズルに塗布液を供給した場合には、ノズルの移動に伴う塗布液供給管の変形や、塗布液供給管内の塗布液に付与される慣性力等の影響により、ノズルから吐出される塗布液の流量を一定に維持することは困難となる。
【0008】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、往復移動するノズルに対して可撓性の塗布液供給管により塗布液貯留部から塗布液を送液した場合においても、塗布液の流量を一定に維持して塗布液を均一に塗布することが可能な塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、基板に塗布液を塗布する塗布装置であって、基板を保持する基板保持部と、前記基板保持部に保持された基板に対して塗布液を吐出するノズルと、前記ノズルを、基板の表面に対して平行な主走査方向に往復移動させる主走査方向移動機構と、前記基板保持部を、前記主走査方向と直交し、かつ、基板の表面に対して平行な副走査方向に、前記ノズルに対して相対的に移動させる副走査方向移動機構と、塗布液貯留部から前記ノズルに対して塗布液を送液するための可撓性の塗布液供給管と、前記ノズルと前記塗布液供給管との間に配設され、前記ノズルと一体となって移動するとともに、そこを通過する塗布液の圧力変動を吸収する圧力変動吸収機構とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記圧力変動吸収機構は、前記ノズルと連通する塗布液の送液路と、当該塗布液の送液路に連通した状態で分岐され、その端部が閉止された管状部材とを備えたT字型管路より構成される。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記圧力変動吸収機構は、開口部を備え前記ノズルと連通するチャンバーと、前記開口部に配設された弾性変形可能な薄膜とを備える。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記圧力変動吸収機構は、前記ノズルと連通するとともに、その内圧により弾性変形する軟質チューブより構成される。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記圧力変動吸収機構は、前記ノズルと連通された微小オリフィスを有する管路より構成される。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記圧力変動吸収機構がラビリンス構造を有する。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の発明において、前記ノズルは、前記副走査方向に関して所定のピッチで複数個配設されており、前記塗布液供給管と前記圧力変動吸収機構は、各ノズルに対応して配設されるとともに、前記複数の塗布液供給管は、各々、前記塗布液貯留部から塗布液を圧送するポンプとマスフローコントローラを介して連結されている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1乃至請求項6に記載の発明によれば、往復移動するノズルに対して可撓性の塗布液供給管により塗布液貯留部から塗布液を送液した場合においても、塗布液の流量を一定に維持して塗布液を均一に塗布することが可能となる。
【0017】
請求項7に記載の発明によれば、複数のノズルに対してポンプの作用で塗布液を圧送した場合においても、各ノズルから吐出される塗布液の流量を一定に維持して塗布液を均一に塗布することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明に係る塗布装置の平面図である。
【図2】この発明に係る塗布装置の正面図である。
【図3】ヘッド移動機構21におけるスライダ31付近の断面図である。
【図4】塗布液貯留部24と複数のノズル23との接続関係を示す模式図である。
【図5】この発明の第1実施形態に係る圧力変動吸収機構70の概要図である。
【図6】この発明の第2実施形態に係る圧力変動吸収機構70の概要図である。
【図7】この発明の第3実施形態に係る圧力変動吸収機構70の概要図である。
【図8】微小オリフィスと圧力変動との関係を示す説明図である。
【図9】この発明の第4実施形態に係る圧力変動吸収機構70の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1はこの発明に係る塗布装置の平面図であり、図2はその正面図である。
【0020】
この塗布装置は、矩形状のガラス基板100に対して塗布液を塗布するためのものである。より詳細には、この塗布装置は、アクティブマトリックス駆動方式の有機EL(Electro Luminescence)表示装置用のガラス基板100に、揮発性の溶媒(本実施の形態では、芳香族の有機溶媒の1つである4−メチルアニソール)、および、発光材料としての有機EL材料を含む塗布液を塗布するためのものである。
【0021】
この塗布装置は、ガラス基板100を移動させるための基板移動機構11を備える。この基板移動機構11は、図2に示すように、ガラス基板100をその裏面から保持する基板保持部10を有する。この基板保持部10は、一対のレール12に沿って移動する基台13と、この基台13上に配設された回転台14とにより支持されている。このため、この基板保持部10は、図1に示すY方向に、ガラス基板100の表面と平行に移動可能となっている。このY方向は、後述する塗布ヘッド20の往復移動方向である主走査方向(図1におけるX方向)と直交する方向である。以下、このY方向を「副走査方向」とも呼称する。また、この基板保持部10は、鉛直方向(図1におけるZ方向)を向く軸を中心に、回転可能となっている。
【0022】
この基板保持部10は、ガラス基板100を下側から加熱するヒータをその内部に備える。このガラス基板100の表面には、それぞれがX方向に伸びる複数の塗布領域が、Y方向に、例えば100〜150μmのピッチにて配列形成されている。この塗布領域は、例えば、X方向に配置された隔壁などによって形成されている。
【0023】
また、この塗布装置は、ガラス基板100上に形成された、図示しないアライメントマークを撮像して検出するとともに、後述する塗布軌跡を撮像するための左右一対の撮像部15を備える。この一対の撮像部15には、各々、CCDカメラが配設されている。また、この塗布装置は、塗布軌跡の試験的な塗布に使用される左右一対の試験塗布ステージ部16を備える。
【0024】
基板保持部10に保持されたガラス基板100の表面に向けて塗布液を吐出する塗布ヘッド20は、ヘッド移動機構21により、一対のガイド部22に沿って、ガラス基板100表面に平行な主走査方向(図1におけるX方向)に往復移動される。この塗布ヘッド20には、同一種類の塗布液を連続的に吐出するための複数のノズル23が副走査方向に関して等間隔に配設されている。図1および図2では図示の都合上、5個のノズル23のみを図示しているが、ノズル23の個数は、さらに多数でもよく、また、1個であってもよい。また、ノズル23の配置は所定のピッチであれば等間隔でなくてもよい。
【0025】
塗布ヘッド20は、後述するエア供給管および後述する複数の塗布液供給管64をひとまとめにした供給管群26を介して、塗布液貯留部24およびエア供給源25と接続されている。塗布ヘッド20の往復移動方向(X方向)に関して基板保持部10の両側には、塗布ヘッド20におけるノズル23からの塗布液を受ける2つの受液部17、18が配設されている。また、塗布ヘッド20の往復移動方向(X方向)に関して一方の受液部18の側方には、上述した複数のノズル23の副走査方向のピッチを調整するためのノズルピッチ調整機構19が配設されている。
【0026】
図3は、ヘッド移動機構21におけるスライダ31付近の断面図である。
【0027】
図1に示すヘッド移動機構21におけるガイド部材22には、スライダ31が摺動可能に配設されている。このスライダ31には、ガイド部材22が貫通する貫通孔32が形成されている。このスライダ31には、図1に示すように、供給管群26に含まれるエア供給管を介して、エア供給源25から一定圧力のエアが供給される。このため、図3に示すように、貫通孔32の内周面とガイド部22の外周面との間にエアが噴出される。図3では、エアの噴出方向を符号A1を付す矢印にて示している。これにより、スライダ31がガイド部22に非接触状態にて係合しつつ、主走査方向に移動可能に支持される。
【0028】
図1を参照して、一対のガイド部22の両端部付近には、Z軸方向を向く軸を中心に回転可能な一対のプーリ33が配設されている。この一対のプーリ33には、無端状の同期ベルト34が巻回されている。スライダ31の一端は、この同期ベルト34に固定されている。一方、スライダ31の他端には、上述した塗布ヘッド20が固定されている。このため、図示しないモータの駆動により同期ベルト34を時計回りあるいは反時計回りに回転させることにより、塗布ヘッド20を(−X)方向または(+X)方向に往復移動させることができる。このとき、上述した気体の作用により、スライダ31をガイド部22に対して非接触状態で支持することができるので、塗布ヘッド20の往復移動を、高速かつ滑らかなものとすることが可能となる。
【0029】
この塗布装置においては、このヘッド移動機構21が、塗布ヘッド20を主走査方向に移動させる主走査方向移動機構となり、基板移動機構11が、基板保持部を副走査方向に移動させる副走査方向移動機構となる。この塗布装置においては、塗布ヘッド20の主走査方向への移動が完了する毎に、ガラス基板100を副走査方向に移動させることにより、ガラス基板100の表面の塗布領域に対して塗布液の塗布を実行する。なお、塗布ヘッド20の主走査時には、受液部17、18の近傍にて加速または減速が完了し、ガラス基板100の上方においては、塗布ヘッド20は、例えば、毎秒3〜5m程度の一定速度で移動する。
【0030】
図4は、図1に示す塗布液貯留部24と複数のノズル23との接続関係を示す模式図である。
【0031】
上述した塗布液貯留部24は、塗布液を圧送するための単一のポンプ61と連結されている。このポンプは、分岐管を介して複数のマスフローコントローラ62と連結されている。塗布ヘッド20において副走査方向に等間隔に配設された複数のノズル23は、各々、この発明の特徴部分である圧力変動吸収機構70と、上述した可撓性の塗布液供給管64と、電磁開閉弁63とを介して、マスフローコントローラ62と接続されている。
【0032】
なお、各ノズル23および圧力変動吸収機構70は、塗布ヘッド20に配設されており、複数のノズル23と圧力変動吸収機構70とは、一体となって主走査方向に往復移動する構成となっている。
【0033】
ポンプ61の作用により塗布液貯留部24に貯留された塗布液は、マスフローコントローラ62に向けて圧送される。そして、この塗布液はマスフローコントローラ62においてその流量を調整された後、電磁開閉弁63および可撓性の塗布液供給管64を介して圧力変動吸収機構70に送られる。このとき、塗布ヘッド20が高速で往復移動することによる塗布液供給管64の変形や、塗布液供給管64内の塗布液に付与される慣性力等の影響により、塗布液供給管64により送液される塗布液の圧力が変動し、その流量を一定に維持することは困難となる。このため、圧力変動吸収機構70において、この塗布液の圧力の変動を吸収し、各ノズル23から吐出される塗布液の流量を一定としている。
【0034】
次に、この圧力変動吸収機構70の構成について説明する。図5は、この発明の第1実施形態に係る圧力変動吸収機構70の概要図である。
【0035】
この第1実施形態に係る圧力変動吸収機構70は、その一端が塗布液供給管64と連通し、その他端がノズル23と連通する塗布液の送液路71と、当該塗布液の送液路71に連通した状態で上方に立設され、その上端が閉止部材73により閉止された管状部材72とを備えたT字型管路より構成される。この圧力変動吸収機構70においては、管状部材72における塗布液の上部に形成された領域74に、気体が封入されている。そしてこの気体の体積変動により、塗布液の圧力変動を吸収することができる。
【0036】
すなわち、ノズル23に供給される塗布液の圧力が上がった場合には、図5(a)に示すように、管状部材72における塗布液の上部に形成された領域74に封入された気体が圧縮されて領域74の体積が小さくなり、ノズル23に供給される塗布液の圧力が下がった場合には、図5(b)に示すように、管状部材72における塗布液の上部に形成された領域74に封入された気体が開放されて領域74の体積が大きくなる。これにより、この圧力変動吸収機構70において塗布液の圧力の変動を吸収して、各ノズル23から吐出される塗布液の流量を一定とすることが可能となる。なお、図5においては、管状部材72は上方に立設されていたが、封入された気体が送液路71に影響をしない場合には、上方に限られず、横方向でもかまわない、また、送液方向に直交していなくてもよい。
【0037】
図6は、この発明の第2実施形態に係る圧力変動吸収機構70の概要図である。
【0038】
この第2実施形態に係る圧力変動吸収機構70は、その一端が塗布液供給管64と連通しその他端がノズル23と連通する塗布液の流路76と、その上部に開口部が形成されるとともに塗布液の貯留部77を備えたチャンバー75と、このチャンバー75における開口部に配設された弾性変形可能な薄膜78とにより構成される。この圧力変動吸収機構70においては、弾性変形可能な薄膜78の作用により、塗布液の圧力変動を吸収することができる。
【0039】
すなわち、ノズル23に供給される塗布液の圧力が上がった場合には、図6(a)に示すように、薄膜78が上方に膨らんで塗布液の貯留部77の体積が大きくなり、ノズル23に供給される塗布液の圧力が下がった場合には、図6(b)に示すように、薄膜78が下方に凹んで塗布液の貯留部77の体積が小さくなる。これにより、この圧力変動吸収機構70において塗布液の圧力の変動を吸収して、各ノズル23から吐出される塗布液の流量を一定とすることが可能となる。
【0040】
なお、図6に示す実施形態のように、チャンバー75における開口部に配設された弾性変形可能な薄膜78の作用により圧力変動を吸収するかわりに、塗布液供給管路64と連通する塗布液の流路自体を弾性変形可能なチューブにより構成し、このチューブ自体の弾性変形により塗布液の圧力変動を吸収するようにしてもよい。
【0041】
図7は、この発明の第3実施形態に係る圧力変動吸収機構70の概要図である。
【0042】
図7(a)に示す圧力変動吸収機構70は、その一端が塗布液供給管64と連通しその他端がノズル23と連通するとともに、その内部に隔壁82による微小オリフィスが形成された管路81より構成されている。また、図7(b)に示す圧力変動吸収機構70は、その一端が塗布液供給管64と連通しその他端がノズル23と連通するとともに、その内部に複数の隔壁84により、ラビリンス構造の微小オリフィスが形成された管路83より構成されている。この圧力変動吸収機構70においては、微小オリフィスの作用により、塗布液の圧力変動を吸収することができる。
【0043】
図8は、微小オリフィスと圧力変動との関係を示す説明図である。なお、図8(a)は管路の内径と流速との関係を示し、図8(b)はそのときの圧力変動を示している。
【0044】
図8(a)に示すように、管路の内径がある値から小さくなった後に、再度、元の内径に戻った場合には、そこを通過する塗布液の平均的な流速は、V1から、一旦、V1より早いV2となり、しかる後、再度V1となる。このときに、塗布液と管路内壁との摩擦による管路を流れる塗布液の圧力損失は、その流速の2乗に比例する。このため、管路内に微小オリフィスを設けることにより、圧力変動を圧力損失により吸収することができる。このため、この圧力変動吸収機構70において塗布液の圧力の変動を吸収して、各ノズル23から吐出される塗布液の流量を一定とすることが可能となる。
【0045】
図9は、この発明の第4実施形態に係る圧力変動吸収機構70の概要図である。
【0046】
この第4実施形態に係る圧力変動吸収機構70は、その一端が塗布液供給管64と連通しその他端がノズル23と連通する多数の軟質チューブ85より構成されている。これらの多数の軟質チューブ85は、同じく軟質の外側チューブ86によりとりまとめられている。この圧力変動吸収機構70においては、上述した第3実施形態と同様、小径の軟質チューブ85が微小オリフィスを構成することになり、この小径の軟質チューブ85による管路抵抗により、塗布液の圧力変動を吸収することが可能となる。
【0047】
以上のような構成を有する塗布装置において、塗布液の塗布を開始する場合においては、最初に、ガラス基板100が基板保持部10に保持される。そして、撮像部15によりガラス基板100に形成されたアライメントマークを検出し、その検出結果に基づいて基板保持部10が移動および回転し、ガラス基板100が図1において実線にて示す塗布開始位置に配置される。この状態において、塗布ヘッド20における複数のノズル23から塗布液の吐出が開始されるとともに、ヘッド移動機構21により塗布ヘッド20が主走査方向に移動される。
【0048】
そして、複数のノズル23のそれぞれからガラス基板100の表面に向けて塗布液が一定の流量にて連続的に吐出されるとともに、塗布ヘッド20が主走査方向に連続的に一定の速度にて移動し、ガラス基板100の塗布領域の複数の線状領域に塗布液がストライプ状に塗布される。このときには、圧力変動吸収機構70において塗布液の圧力の変動が吸収されることから、各ノズル23から吐出される塗布液の流量を一定とすることが可能となる。
【0049】
そして、塗布ヘッド20が図1および図2中に二点鎖線にて示す受液部18と対向する待機位置まで移動することにより、塗布液によるストライプ状のパターンが形成される。塗布ヘッド20が待機位置まで移動すると、基板移動機構11が駆動され、ガラス基板100が基板保持部10と共に副走査方向に移動する。このとき、塗布ヘッド20では、複数のノズル23から受液部18に向けて塗布液が連続的に吐出されている。
【0050】
以上のような動作を必要な塗布動作が完了するまで継続する。そして、ガラス基板100が塗布終了位置まで移動すると、複数のノズル23からの塗布液の吐出が停止され、塗布装置によるガラス基板100に対する塗布液の塗布動作が終了する。塗布が終了したガラス基板100は、他の塗布装置等に搬送され、この塗布装置により塗布された塗布液以外の他の2色の塗布液が塗布される。そして、ガラス基板100に対して所定の塗布工程が行われた後、他の部品と組み合わされて有機EL表示装置が製造される。
【符号の説明】
【0051】
10 基板保持部
11 基板移動機構
12 レール
13 基台
14 回転台
15 撮像部
16 試験塗布ステージ部
17 受液部
18 受液部
19 ノズルピッチ調整機構
20 塗布ヘッド
21 ヘッド移動機構
22 ガイド部
23 ノズル
24 塗布液貯留部
25 エア供給源
31 スライダ
32 貫通孔
33 プーリ
34 同期ベルト
61 ポンプ
62 マスフローコントローラ
63 電磁開閉弁
64 塗布液供給管
70 圧力変動吸収機構
71 送液路
72 管状部材
73 閉止部材
75 チャンバー
76 流路
77 貯留部
78 薄膜
81 管路
82 隔壁
83 管路
84 隔壁
85 軟質チューブ
86 外側チューブ
100 ガラス基板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に塗布液を塗布する塗布装置であって、
基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部に保持された基板に対して塗布液を吐出するノズルと、
前記ノズルを、基板の表面に対して平行な主走査方向に往復移動させる主走査方向移動機構と、
前記基板保持部を、前記主走査方向と直交し、かつ、基板の表面に対して平行な副走査方向に、前記ノズルに対して相対的に移動させる副走査方向移動機構と、
塗布液貯留部から前記ノズルに対して塗布液を送液するための可撓性の塗布液供給管と、
前記ノズルと前記塗布液供給管との間に配設され、前記ノズルと一体となって移動するとともに、そこを通過する塗布液の圧力変動を吸収する圧力変動吸収機構と、
を備えたことを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布装置において、
前記圧力変動吸収機構は、
前記ノズルと連通する塗布液の送液路と、当該塗布液の送液路に連通した状態で分岐され、その端部が閉止された管状部材とを備えたT字型管路より構成される塗布装置。
【請求項3】
請求項1に記載の塗布装置において、
前記圧力変動吸収機構は、
開口部を備え前記ノズルと連通するチャンバーと、
前記開口部に配設された弾性変形可能な薄膜と、
を備える塗布装置。
【請求項4】
請求項1に記載の塗布装置において、
前記圧力変動吸収機構は、
前記ノズルと連通するとともに、その内圧により弾性変形する軟質チューブより構成される塗布装置。
【請求項5】
請求項1に記載の塗布装置において、
前記圧力変動吸収機構は、
前記ノズルと連通された微小オリフィスを有する管路より構成される塗布装置。
【請求項6】
請求項5に記載の塗布装置において、
前記圧力変動吸収機構がラビリンス構造を有する塗布装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の塗布装置において、
前記ノズルは、前記副走査方向に関して所定のピッチで複数個配設されており、前記塗布液供給管と前記圧力変動吸収機構は、各ノズルに対応して配設されるとともに、
前記複数の塗布液供給管は、各々、前記塗布液貯留部から塗布液を圧送するポンプとマスフローコントローラを介して連結されている塗布装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−206715(P2011−206715A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77979(P2010−77979)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】