説明

塗膜目付の測定方法

【課題】
高精度に離型紙上塗膜の目付を測定する、目付測定方法を提供すること。
【解決手段】
離型紙面に形成された熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の塗膜の目付を測定する方法であって、前記塗膜に紫外光を含む光を照射し、前記塗膜を透過して前記離型紙面で散乱された光の強度を計測し、その光の強度と検量線データとを比較することにより、塗膜の目付を測定することを特徴とする塗膜目付の測定方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗膜目付の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、炭素繊維などの補強繊維で補強された繊維強化複合材料を製造する方法の一つとして、補強繊維を一方向に配列または織物状としたシートに熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂のマトリックス樹脂を含浸させた、いわゆるプリプレグを作り、これを積層し、必要に応じて加熱加圧して成形する方法が知られている。
【0003】
プリプレグの製造方法としては、マトリックス樹脂を離型紙上に塗布し、離型紙上にマトリックス樹脂の塗膜を形成した樹脂フィルムを製造した上で、2枚の樹脂フィルムの塗膜同士の間、もしくは樹脂フィルムの塗膜と他の離型紙との間に補強繊維のシートを挟み、樹脂を加熱溶融した状態で補強繊維に含浸させる、いわゆるホットメルト法が用いられることが多い。
【0004】
近年、プリプレグの需要増加に伴い、その品質に対する要求も高まっているが、プリプレグのマトリックス樹脂の目付はその品質に大きな影響を与える要素であり、よって樹脂フィルムの塗膜目付を高精度に測定する技術が求められている。
【0005】
従来、塗膜の目付測定方法として、たとえば特開平11−51751号公報に記載されているように、測定対象物からの反射光を分光し、特定波長の反射率を用いて塗膜の目付を測定する方法が知られている。この塗膜の目付測定方法では、測定光として紫外領域を含む任意の波長を選び、紫外光が塗工膜が塗られた基材上で反射する際に、塗工膜での紫外光の吸収により任意波長の反射光強度が減少することを利用し、反射光強度の値とあらかじめ作成しておいた検量線とを比較することにより塗膜の目付を測定するものである。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載される測定方法では、単純に反射光を使用しているため、反射光の受光部に正反射光が入光してしまう。基材および塗膜の種類により、紫外光の反射率が高い場合では、受光部に入光する正反射光の成分が、塗膜による吸収により変化する成分と比較し過大となるため、よって塗膜目付の測定精度が低下する、もしくは測定が不可能となる問題があった。
【特許文献1】特開平11−51751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記した従来の問題点を解決し、高精度な塗膜の目付測定方法を提供すること、ひいては塗膜目付の変動の小さい高品質な樹脂フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、次の構成を採用する。
(1)離型紙面に形成された熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の塗膜の目付を測定する方法であって、前記塗膜に紫外光を含む光を照射し、前記塗膜を透過して前記離型紙面で散乱された光の強度を計測し、その光の強度と検量線データとを比較することにより、塗膜の目付を測定することを特徴とする塗膜目付の測定方法。
(2)照射する前記光が、少なくとも270〜400nmの範囲に強度を持つ、前記(1)に記載の塗膜目付の測定方法。
(3)前記離型紙面は、少なくとも0.5〜10μmの算術平均表面粗さを有する、前記(1)または(2)に記載の塗膜目付の測定方法。
(4)前記検量線データは、塗膜の種類または離型紙の種類に応じて選択される、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の塗膜目付の測定方法。
(5)離型紙を連続的に搬送し、その離型紙面に、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を供給して熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の塗膜を形成して樹脂フィルムを製造するに際して、樹脂フィルムにおける離型紙面に形成された熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の塗膜の目付を、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の測定方法で測定し、その測定値に基づき、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の供給量または離型紙の搬送速度を制御することを特徴とする樹脂フィルムの製造方法。
(6)離型紙面に形成された熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の塗膜に対し、紫外光を含む光を照射する光照射手段と、前記塗膜を透過して前記離型紙面で散乱された光の強度を計測する光強度の計測手段と、光強度の計測手段によって計測された光強度と検量線データとを比較するデータ処理手段とを有することを特徴とする塗膜目付の測定装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、離型紙面に形成された塗膜の目付を高精度に測定できる。また、本発明を用いることにより、離型紙面に形成された塗膜の目付測定、及び目付分布の測定、及び塗膜の目付制御を行うことが可能となり、安定した塗布が行え、樹脂フィルムの生産歩留まりの向上や品質向上が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明において、離型紙とは、紙面に例えばシリコーンなどで表面コーティングを施した紙をいい、離型紙に塗布された熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂は容易に剥離可能となる。
【0011】
以下、本発明を、図面を参照しながら、より詳細に説明する。図1は本発明に係わる塗膜の目付測定装置を模式的に示す構成ブロック図であり、図2はその光学系の拡大側面図である。離型紙2と離型紙上に塗布された塗膜3からなる樹脂フィルム1の塗膜側に、投光器4と受光器7が設けられており、前記受光器7により検出された信号は、データ処理手段10に導かれ、記録媒体12に記録された検量線との比較を行う。
【0012】
本発明において、樹脂フィルム1の塗膜3に投光器4からの測定光を照射し、前記塗膜を透過して前記離型紙面で散乱された光の強度を受光器7により受光することで、塗膜の目付量を測定することができる。ここで塗膜3が光を照射することで蛍光発光する場合には、その強度を受光することで目付量を測定することもできる。
【0013】
本発明において、離型紙2は塗膜3がきれいに剥がれるように例えばシリコーンなどの離型剤で表面をコーティングされたコーティング紙が用いられる。また、離型紙としてはコロナ放電処理によって離型性を付与した合成樹脂フィルムや、離型剤を塗布した合成樹脂フィルムを用いることもできる。合成樹脂フィルムとしては、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等を用いることもできる。また離型紙2は表面が鏡面に近い状態であると、その表面における散乱光強度が減少し、塗膜の目付量の測定が難しくなることがある。また、表面粗さが過大であると、光の散乱の原理から、散乱光は正反射光と同軸方向に強くなり、よって正反射光を受光しない位置に受光器7を配した上での散乱光強度の測定が困難になることがある。従って、前記離型紙2において塗膜3の塗布を行う面側は0.5〜10μmの算術平均表面粗さを有することが望ましい。前記算術平均表面粗さは、JIS規格によりRaの略号で表される値であり、表面粗さの値の平均線から絶対値偏差の平均値を表す。算術平均表面粗さは、例えば触針式や光干渉式、散乱光式などの表面粗さ計により測定することができる。また、塗膜3は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂からなり、特に熱硬化性樹脂の中でもエポキシ樹脂が本発明では好適に用いられる。エポキシ樹脂は、炭素繊維を補強繊維としたコンポジット用プリプレグとした時に可使時間が長く、適度の粘着性を有し、取り扱い上好適であるとともに、硬化温度が低くかつ硬化速度が速く、更にコンポジットとしたときに高い層間剪断強度が得られる。
【0014】
投光器4には、塗膜で吸収される波長範囲の光をもつものが良く、好ましくは200〜400nmの範囲に強度をもつ光が良い。特にエポキシ樹脂の場合は270〜400nmの範囲に主な強度をもつことが好ましく、受光器7の受光面上で少なくとも10-4(lx・s)以上を入射させる必要がある。光源には好ましくはタングステン、ハロゲンランプや、ブラックライト、水銀キセノンランプ、重水素ランプ、水銀ランプなどを用いることがよい。光源からの光は光ファイバを用いて測定部に導いて照射しても良いが、レンズ系を用いて投光しても良い。
【0015】
受光器の位置は、図1、図2のように、投光器の位置と同じく、樹脂フィルムの塗膜側に配する場合には、投光器から照射されて塗膜を透過し、離型紙面で散乱した散乱光を受光可能で、かつ離型紙面および塗膜面からの正反射光を受光しない位置であれば特に限定されないが、好ましくは樹脂フィルム1の面を基準の0°として80〜100°の範囲に設置されており、投光器は10〜80°、100〜170°の角度から塗膜を照射することが好ましい。これは正反射光を受光してしまうと、その成分が樹脂の吸収成分と比較し非常に大きく、また離型紙や塗膜の種類により反射率が異なることの影響を強く受けるため、反射光強度から塗膜による測定光の吸収を測定することが難しくなり、よって塗膜の目付測定が困難となることが多いからである。
【0016】
離型紙2が光を透過しないか、もしくは透過しにくい、または表面粗さが大きくて光が強く散乱する場合には、前記のように投光器4と受光器7を塗膜3が塗布された一面側に設けることが好ましいが、離型紙2が光を透過する場合には、図3に示すように、樹脂フィルム1の塗膜3側に投光器4を配置し、この塗膜側とは反対側の他の一面側に受光器7を配置する構成も可能である。この場合受光器7は投光器4からの照射光の正規の光軸から外れていてかつ離型紙面での散乱光を受光可能な位置であれば、特に設置位置は限定されるものではない。
【0017】
受光器7は干渉フィルタ8と受光素子9とからなるのが一般的で、干渉フィルタ8により樹脂による吸収が生じる波長帯の中から任意の波長を選択的に透過させ、受光素子に導くことができる。干渉フィルタを透過させる波長は、測定波長として少なくとも1つの塗膜の吸収帯に含まれる波長を、基準波長として少なくとも1つの塗膜による吸収が生じ難い波長帯を選択する。
【0018】
また、塗膜3が蛍光発光を有する場合、その波長を選択的に透過させる干渉フィルタなど光学的な狭帯域フィルタを受光器7の前に設けることが好ましい。蛍光発光が広帯域に存在する場合には透過波長範囲の広い広帯域フィルタを用いても良い。これによって離型紙からの散乱光のみを測定することが可能となり、よりS/Nの高い測定が実現できる。干渉フィルタの代わりに、例えば回折格子のような分光器をもちいて、任意の波長に分光してもよい。
【0019】
受光素子9にはフォトダイオードやイメージセンサを用いることが好ましく、より好ましくは光ファイバなどを用いてそれら受光素子に光を導入することが良く、機器の配置の自由度が広がる。また、さらに好ましくは離型紙で散乱し塗膜を透過した散乱光をレンズ系や積分球により集光し、前記受光素子や光ファイバに入射することが好ましく、より高い強度の散乱光を得ることができるため、S/Nの高い測定が可能になる。
【0020】
図4と図5は本発明に係わる塗膜の目付測定方法の別の実施形態を示す模式図である。
図4では、投光器に例えば高周波蛍光灯などのライン光源13を用い、受光器に例えば受光素子が直線状に配置されたラインセンサカメラ14のような幅方向の光強度を得ることができる光検出器を用い、ライン光源13から照射され、塗膜を透過し、離型紙面で散乱した光の強度を測定することにより、塗膜の目付を測定している。この塗膜測定方法では、塗膜の幅方向の目付分布を一度に得ることができる。また、離型紙が光を透過しやすい場合は、図5に示すように、ライン光源13から照射され、塗膜および離型紙を透過した透過光の透過光軸上でなく、かつ離型紙面での散乱光を受光可能な位置にラインセンサカメラ14を配置することにより、塗膜の幅方向の目付分布を一度に得ることができる。ラインセンサカメラ14の代わりに2次元的に配置されたエリアカメラを用いても良く、また検出分解能が必要でなければ例えばフォトダイオードのような光検出器を複数個ライン上、または2次元的に配置したものでも良い。
【0021】
データ処理手段10には、正規化手段11と記録媒体12を備えているのが良く、前記正規化手段11は、光源特有の光量ムラや光源の劣化、または測定サンプル上の光源との位置関係の差により光強度が異なることへの影響を補正するものである。正規化は以下の方法で行う。塗膜による吸収が生じる領域から選択した測定波長における散乱光の強度値をI、測定波長とは別に塗膜による吸収が生じないあるいはほとんどない領域から選択した基準波長の強度値をI0とし、あらかじめ決定した任意の基準値をLとすると、基準波長の強度値と任意の基準値との比Nは、
N = L / I0 ・・・(1)
とあらわすことができる。測定波長の強度値Iに算出されたNの値をかけることにより正規化を行う。
【0022】
記録媒体12には、塗膜の目付量と散乱光強度との関係を示す関係式が検量線データとして記録されており、検量線データと前記正規化により得られた散乱光強度のデータとを比較することにより、塗膜の目付量を得ることができる。散乱光強度と検量線データとの比較は、記録媒体12に記録されている前記関係式に、散乱光強度の値を代入し、演算することにより行う。また検量線データは、事前に、塗膜3の目付量が、例えば他の方法で既知とされている樹脂フィルムの測定を行い、その散乱光強度を該装置にて記録しておく。この作業を少なくとも2種類以上の、塗膜3の目付量が異なる樹脂フィルム1において行うことにより、検量線データを作成することができる。検量線データを得るに際して、塗膜の目付量を既知するための他の測定方法としては、単位面積当たりの塗膜を例えばへら等により離型紙からそぎ落とし、例えば電子天秤等により、そぎ落とした塗膜の重量を測る方法を挙げることができる。また検量線データは測定毎に新たに作成することが好ましいが、離型紙2や塗膜3の種類が変わらなければそのまま使うことができる。
【0023】
本発明の塗膜目付の測定方法を利用することにより、塗膜目付を高精度に制御しつつ樹脂フィルムを製造することができる。すなわち、離型紙を連続的に搬送し、その離型紙面に、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を供給して熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の塗膜を形成して樹脂フィルムを製造する際に、樹脂フィルムにおける離型紙面に形成された塗膜の目付を、前記した塗膜目付の測定方法で測定し、その測定値に基づき、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の供給量または離型紙の搬送速度を制御するのである。図6は本発明に係わる塗膜目付の測定方法を用いた樹脂フィルムの製造装置の一例を示す側面模式図である。図6に示すように、少なくとも離型紙2を連続的に繰り出す離型紙繰り出しロール15と、塗膜3の塗布を行う塗布ロール17aおよび17bと、離型紙に塗膜が塗布された樹脂フィルム1を巻き取る巻取りロール16とからなる塗膜の塗布装置において、塗布ロール17aおよび17bと巻取りロール16との間で離型紙上に塗布された塗膜の目付を測定し、その測定値に基づいて塗布ロール17aおよび17bによる塗膜の供給量を調整したり、繰り出される離型紙の搬送速度を制御することで、離型紙上に塗布される塗膜の目付量を制御することができる。
【実施例】
【0024】
実施例1
図1および図2に示す構成において、坪量が117g/m2で、平均表面粗さ2〜3μmの離型紙と、前記離型紙面上にエポキシ樹脂を塗布することにより作成された目付量12g/m2の塗膜とで構成される樹脂フィルムにおいて、塗膜目付の測定を行った。光源には重水素ランプ(浜松ホトニクス(株)製)を用い、光を光ファイバにより測定面からおよそ30mm離れた位置に設置したコリメートレンズ5に導き、コリメートした上で、樹脂フィルム1の面を基準としておよそ30°の角度で測定部に照射した。コリメートレンズ5には焦点距離10mmの両凸合成石英レンズ(シグマ光機(株)製)を用いた。スポット光が過小であると、塗膜表面の微小な凹凸により散乱光量が測定位置により変化し、結果的に塗膜目付の測定値がばらついてしまう。よって、コリメートレンズと測定面の距離を焦点距離以上に離し、スポット光をおよそ10mmとすることにより、微小な凹凸により散乱光量変化を平均化した。
【0025】
受光器7は光ファイバを用いて、樹脂フィルム1の面を基準としておよそ90°の垂直方向におよそ40mm離れた位置に設置した。また受光ファイバと樹脂フィルム1との間に散乱光を集光するために集光レンズ6を樹脂フィルム1の面から10mm離れた位置に設置した。集光レンズ6にはf20mmの両凸合成石英レンズ(シグマ光機(株)製)用いた。
【0026】
光ファイバへ集光された光は受光器7として用いた分光器(浜松ホトニクス(株)製)に導かれ、200〜400nmの各波長に分光された後、分光器内のイメージセンサにより各波長の光強度を示す電気信号に変換された。電気信号はデータ処理手段10として用いたパソコンに送られ、正規化が行われた。
【0027】
図7に、上記のようにして、塗膜目付の測定を行い、得られた200〜400nmの波長における散乱光のスペクトルデータを示す。図7より、200〜320nmの波長において、塗膜への吸収による散乱強度の低下が確認できる一方で、380nm付近のピークでは散乱光強度の低下がほとんど確認されず、よって塗膜による吸収が生じない波長帯であることがわかる。従って、基準波長を380nm、測定波長を300nm、305nm、310nmの3波長とした。これは、300〜310nmの波長帯における吸収が、過大もしくは過小でなく、最も感度良く目付を測定できたためである。
【0028】
前記樹脂フィルム1を測定した際の基準波長380nmにおける、散乱光強度の指示値I0はおよそ6650であった。ここであらかじめ定める任意の基準値Lを10000とすると、基準波長の強度値と任意の基準値との比Nは、
N = 10000 / 6650 = 1.504 ・・・(2)
と算出することができる。
したがって、測定波長の散乱光強度の指示値I300、I305、I310にそれぞれ1.504をかけることにより正規化を行う。
【0029】
図8に、塗膜の塗布量を10〜40(g/m2)の範囲で変更して作成した9種の樹脂フィルムに対して、上記目付測定方法において測定波長を300nm、305nm、310nmとして測定を行い、得られた検量線データを示す。
【0030】
目付測定の際に、上記の手順で作成した検量線データを記録媒体12としてパソコンなどに記録しておき、測定した散乱光強度と検量線データとを比較することにより、塗膜目付量を算出することができた。
【0031】
実施例2
グリシジルアミン型エポキシ樹脂(エポキシ当量110〜130g/eq)50重量部、ビスフェノールA型エポキシ(エポキシ当量170〜180g/eq)30重量部、m−アミノフェノール型エポキシ(エポキシ当量110〜130g/eq)20重量部、硬化剤としてジアミノジフェニルスルフォン40重量部を混合し、均一な樹脂混合物を調整した。
【0032】
離型紙繰り出しロール15により離型紙2を連続的に繰り出し、塗布ロール17aに供給する。一方、前記樹脂混合物18は、塗布ロール17aと17bの間に供給され、17aと17bの隙間を通り、塗布ロール17aにより離型紙2上に塗布される。
【0033】
塗布ロール17aと巻取りロール16との間において、本発明の塗膜目付方法により、離型紙上に塗布された塗膜3の目付を測定し、その測定値に基づいて塗布ロール17aの17bの間隙を制御し、樹脂混合物の供給量を変化させることにより、離型紙上に塗布される塗膜の目付量を制御することができた。また、前記測定値に基づいて離型紙繰り出しロール15および巻取りロール16の回転速度を制御し、離型紙の供給速度を変化させることにより、前記と同様に離型紙上に塗布される塗膜の目付量を高精度に制御することができた。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、離型紙面に形成された熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の塗膜の目付を高精度で測定することができるので、補強繊維にマトリックス樹脂を含浸してなるプリプレグをホットメルト法で製造するに際して用いられる樹脂フィルムの製造において好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施態様で用いられる塗膜の目付測定装置の構成ブロック図である。
【図2】図1に示す目付測定装置における光学系の拡大側面図である。
【図3】本発明の他の実施形態を説明する模式図である。
【図4】本発明の他の実施形態を説明する模式図である。
【図5】本発明の他の実施形態を説明する模式図である。
【図6】本発明を用いた樹脂フィルムの製造装置の一例を示す側面模式図である。
【図7】実施例で得られた散乱光強度スペクトル分布図である。
【図8】実施例で得られた散乱光強度比と塗膜目付量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0036】
1 樹脂フィルム
2 離型紙
3 塗膜
4 投光器
5 コリメートレンズ
6 集光レンズ
7 受光器
8 干渉フィルタ
9 受光素子
10 データ処理手段
11 正規化手段
12 記録媒体
13 ライン光源
14 ラインセンサカメラ
15 離型紙繰り出しロール
16 巻取りロール
17a,17b 塗布ロール
18 樹脂混合物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
離型紙面に形成された熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の塗膜の目付を測定する方法であって、前記塗膜に紫外光を含む光を照射し、前記塗膜を透過して前記離型紙面で散乱された光の強度を計測し、その光の強度と検量線データとを比較することにより、塗膜の目付を測定することを特徴とする塗膜目付の測定方法。
【請求項2】
照射する前記光が、少なくとも270〜400nmの範囲に強度を持つ、請求項1に記載の塗膜目付の測定方法。
【請求項3】
前記離型紙面は、少なくとも0.5〜10μmの算術平均表面粗さを有する、請求項1または2に記載の塗膜の目付の測定方法。
【請求項4】
前記検量線データは、塗膜の種類または離型紙の種類に応じて選択される、請求項1〜3のいずれかに記載の塗膜目付の測定方法。
【請求項5】
離型紙を連続的に搬送し、その離型紙面に、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を供給して熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の塗膜を形成して樹脂フィルムを製造するに際して、樹脂フィルムにおける離型紙面に形成された熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の塗膜の目付を、請求項1〜4のいずれかに記載の測定方法で測定し、その測定値に基づき、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の供給量または離型紙の搬送速度を制御することを特徴とする樹脂フィルムの製造方法。
【請求項6】
離型紙面に形成された熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の塗膜に対し、紫外光を含む光を照射する光照射手段と、前記塗膜を透過して前記離型紙面で散乱された光の強度の計測手段と、光強度の計測手段によって計測された光強度と検量線データとを比較するデータ処理手段とを有することを特徴とする塗膜目付の測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−58257(P2008−58257A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−238602(P2006−238602)
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】