説明

塗装装置の塗料吐出監視方法、及び塗装装置の塗料吐出監視装置

【課題】設備費の抑制を図りつつ、塗装装置の塗料の吐出状態を精度よく監視できるようにする。
【解決手段】塗料供給源24,26と、該塗料供給源24,26から供給された塗料を塗料霧化手段10により霧化しながら吐出する塗装機4とを備えた塗装装置2による塗料の吐出状態を監視する方法において、塗装機4による塗料の吐出量に応じて変化する塗料霧化手段10の状態量(例えば塗料霧化手段10を回転駆動するモータ70の回転数)に基づき、塗料の吐出状態を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装装置による塗料の吐出状態を監視するための方法、及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体等の塗装に用いられる塗装装置として、所定の複数の色の中から1色の塗料が選択的に塗装機から吐出される装置が知られている。この種の塗装装置において、各色の塗料は、色毎に設けられた専用の塗料供給経路を通って塗装機に供給される。
【0003】
この種の塗装装置を用いて車体を塗装する場合、ライン上を搬送される車体に対して自動的に塗装が行われる。そのため、例えば前記塗料供給経路における詰まりや漏れなどにより、塗装装置の塗料の吐出状態に異常が発生したとき、塗装不良の車体が発生し、特に異常の発見が遅れると、塗装不良の車体が連続的に多数発生してしまう。
【0004】
よって、塗料の吐出状態を監視しながら塗装装置を使用し、吐出状態に異常が発生すると直ちに塗装が停止されるようにすることが好ましい。
【0005】
上述した塗装装置の塗料の吐出状態を監視する場合、従来は、塗料供給経路毎に流量センサが設けられ、該流量センサの検知量により、塗料の吐出状態が監視されていた。
【0006】
しかし、かかる方法により吐出状態を監視する場合、高価な流量センサを塗料供給経路毎に設置しなければならないため、設備費が高くなる問題があった。また、流量センサの下流側で異常が発生した場合は、その異常が検知できないことがある。
【0007】
上述のように設備費が高くなる問題に鑑みて、特許文献1には、流量センサを用いることなく、塗料供給ポンプの回転数に基づき、塗料の吐出状態を監視するようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−10742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1の技術でも、流量センサでの監視と同様に、塗料供給ポンプよりも下流側で異常が発生した場合は、その異常を検知できないことがあり、塗料の吐出状態を必ずしも正確に監視することができなかった。
【0010】
そこで、本発明は、設備費の抑制を図りつつ、塗装装置の塗料の吐出状態を精度よく監視できるようにすることを、基本的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明に係る変速機は、次のように構成したことを特徴とする。
【0012】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、
塗料供給源と、該塗料供給源から供給された塗料を塗料霧化手段により霧化しながら吐出する塗装機とを備えた塗装装置による塗料の吐出状態を監視する方法であって、
前記塗装機による塗料の吐出量に応じて変化する前記塗料霧化手段の状態量に基づき、塗料の吐出状態を判定することを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、
前記塗装装置は、第1溶液を供給する第1供給源と、第2溶液を供給する第2供給源と、前記塗装機に第1溶液を供給するために上流側端部において第1供給源に接続された第1溶液供給通路と、前記塗装機に第2溶液を供給するために上流側端部において第2供給源に接続され且つ下流側端部において第1溶液供給通路の下流側端部と合流する第2溶液供給通路と、前記塗料霧化手段に第1溶液と第2溶液との混合液を供給するために上流側端部において第1溶液供給通路と第2溶液供給通路との合流部に接続され且つ下流側端部において前記塗料霧化手段に接続された混合液供給通路と、を備え、
第1溶液供給通路に第1溶液を充填する第1溶液充填ステップと、
該第1溶液充填ステップの後、第1溶液供給通路から前記混合液供給通路への第1溶液の供給を停止した状態で、第2溶液供給通路と前記混合液供給通路とに第2溶液を充填する第2溶液充填ステップと、
該第2溶液充填ステップの後、前記混合液供給通路から前記塗料霧化手段への塗料の供給を停止する吐出停止ステップと、
該吐出停止ステップの後、第1供給源から第1溶液供給通路を経由して前記混合液供給通路へ第1溶液を供給し、第2供給源から第2溶液供給通路を経由して前記混合液供給通路へ第2溶液を供給すると共に、前記混合液供給通路から前記塗料霧化手段へ塗料を供給することで、該塗料を前記塗料霧化手段により霧化しながら吐出する吐出ステップと、
少なくとも該吐出ステップの開始前に、前記塗料霧化手段の作動を開始する塗料霧化手段作動ステップと、
前記吐出ステップにおける前記塗料霧化手段の状態量に基づき、塗料の吐出状態を判定する吐出状態判定ステップと、を有し、
該吐出状態判定ステップでは、前記吐出ステップにおける塗料の吐出開始に伴う前記状態量の変化の量が所定の閾値以上であるとき、塗料の吐出状態が正常であると判定し、前記変化の量が前記所定の閾値未満であり、且つ、前記吐出ステップにおける塗料の吐出開始から該吐出開始に伴う前記状態量の変化が始まるまでの時間が所定時間以上であるとき、第2溶液の吐出状態が異常であると判定し、前記変化の量が前記所定の閾値未満であり、且つ、前記時間が前記所定時間未満であるとき、第1溶液の吐出状態が異常であると判定することを特徴とする。
【0014】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、
前記塗装装置は、主剤を供給する主剤供給源と、硬化剤を供給する硬化剤供給源と、前記塗装機に主剤を供給するために上流側端部において前記主剤供給源に接続された主剤供給通路と、前記塗装機に硬化剤を供給するために上流側端部において硬化剤供給源に接続され且つ下流側端部において前記主剤供給通路の下流側端部と合流する硬化剤供給通路と、前記塗料霧化手段に主剤と硬化剤との混合液を供給するために上流側端部において前記主剤供給通路と前記硬化剤供給通路との合流部に接続され且つ下流側端部において前記塗料霧化手段に接続された混合液供給通路と、を備え、
前記主剤供給通路に主剤を充填する主剤充填ステップと、
該主剤充填ステップの後、前記主剤供給通路から前記混合液供給通路への主剤の供給を停止した状態で、前記硬化剤供給通路と前記混合液供給通路とに硬化剤を充填する硬化剤充填ステップと、
該硬化剤充填ステップの後、前記混合液供給通路から前記塗料霧化手段への塗料の供給を停止する吐出停止ステップと、
該吐出停止ステップの後、前記主剤供給源から前記主剤供給通路を経由して前記混合液供給通路へ主剤を供給し、前記硬化剤供給源から前記硬化剤供給通路を経由して前記混合液供給通路へ、該混合液供給通路において主剤よりも小さな混合比で主剤と混合されるように硬化剤を供給すると共に、前記混合液供給通路から前記塗料霧化手段へ塗料を供給することで、該塗料を前記塗料霧化手段により霧化しながら吐出する吐出ステップと、
少なくとも該吐出ステップの開始前に、前記塗料霧化手段の作動を開始する塗料霧化手段作動ステップと、
前記吐出ステップにおける前記塗料霧化手段の状態量に基づき、塗料の吐出状態を判定する吐出状態判定ステップと、を有し、
該吐出状態判定ステップでは、前記吐出ステップにおける塗料の吐出開始に伴う前記塗料霧化手段の状態量の変化の量が所定の閾値以上であるとき、塗料の吐出状態は正常であると判定し、前記変化の量が、前記所定の閾値未満であり、且つ、前記吐出開始から該吐出開始に伴う前記状態量の変化が始まるまでの時間が所定時間未満であるとき、主剤の吐出状態が異常であると判定し、前記変化の量が前記所定の閾値未満であり、且つ、前記時間が前記所定時間以上であるとき、硬化剤の吐出状態が異常であると判定することを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項1から前記請求項3のいずれか1項に記載の発明において、
前記塗料霧化手段は、モータにより回転駆動されることで作動するものであり、
前記の塗料の吐出状態の判定は、前記モータにより前記塗料霧化手段を回転駆動している状態で塗料の吐出を開始したときの前記モータの回転数の低下量に基づいて行うことを特徴とする。
【0016】
一方、請求項5に記載の発明は、
塗料供給源と、該塗料供給源から供給された塗料を塗料霧化手段により霧化しながら吐出する塗装機とを備えた塗装装置による塗料の吐出状態を監視するための装置であって、
前記塗装機による塗料の吐出量に応じて変化する前記塗料霧化手段の状態量を検出する状態量検出手段と、
該状態量検出手段により検出された状態量に基づき、前記塗装機による塗料の吐出状態を判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
まず、請求項1に記載の発明によれば、塗装機による塗料の吐出量に応じて変化する塗料霧化手段の状態量に基づき、塗料の吐出状態を正確に判定することができる。また、塗料霧化手段の状態量を検出すれば判定を行えるため、塗料を供給する経路が複数ある場合であっても、それらの経路毎に吐出状態監視用のセンサを設ける必要がなく、設備費を抑制することができる。
【0018】
また、請求項2に記載の発明によれば、第1溶液供給通路を通って供給される第1溶液と、第2溶液供給通路を通って供給される第2溶液とを、混合液供給通路において混合させてから吐出する場合において、第1溶液供給通路に第1溶液を充填し、第2溶液供給通路と混合液供給通路とに第2溶液を充填した状態で、塗料の吐出を開始し、該吐出開始に伴って塗料霧化手段の状態量が変化する量とタイミングとに基づき、吐出状態が正確に判定することができる。
【0019】
すなわち、前記状態量の変化量が正常時に比べて第1溶液または第2溶液の吐出異常時の方が小さくなることを利用することで、前記状態量の変化量に基づき、吐出異常の有無を正確に判定することができる。一方、第1溶液の供給異常時は混合液供給通路に第2溶液が充填された状態で吐出が開始されるため該吐出開始直後に塗料霧化手段の状態量が変化し、第2溶液の供給異常時は混合液供給通路に塗料が無い状態で吐出が開始されるため該吐出開始に伴う塗料霧化手段の状態量の変化が遅れることを利用することで、前記状態量が変化するタイミングに基づき、第1溶液または第2溶液のいずれの吐出状態に異常があるかを正確に判定することができる。
【0020】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、主剤供給通路を通って供給される主剤と、硬化剤供給通路を通って供給される硬化剤とを、主剤よりも硬化剤の混合比が小さくなるように混合させてから吐出する場合において、主剤供給通路に主剤を充填し、硬化剤供給通路と混合液供給通路とに硬化剤を充填した状態で、塗料の吐出を開始し、該吐出開始に伴って塗料霧化手段の状態量が変化する量とタイミングとに基づき、吐出状態を正確に判定することができる。
【0021】
すなわち、主剤の供給異常時は、混合液供給通路に硬化剤が充填された状態で吐出が開始されることから前記状態量が変化するタイミングが正常時と同じであるが、硬化剤の混合比が主剤の混合比よりも小さいことから前記状態量の変化量が正常時に比べて著しく小さくなることを利用することで、主剤の吐出異常時に前記状態量の変化量が閾値未満であることを正確に検知できるようにしているため、主剤の吐出状態を精度よく判定できる。
【0022】
一方、硬化剤の供給異常時は、硬化剤の混合比が主剤の混合比よりも小さいことから前記状態量の変化量が正常時に比較的近似した量になるが、混合液供給通路に塗料が無い状態で吐出が開始されることから前記状態量の変化のタイミングが遅れることを利用することで、硬化剤の吐出異常時に前記状態量の変化のタイミングが遅れることを正確に検知できるようにしているため、硬化剤の吐出異常を精度よく判定できる。
【0023】
また、請求項4に記載の発明によれば、塗料霧化手段を回転駆動するモータの回転数が、塗料の吐出量の増加による回転負荷の増大に応じて低下することを利用して、モータにより塗料霧化手段を回転駆動している状態で塗料の吐出を開始したときのモータの回転数の低下量に基づき、吐出状態の判定を簡単かつ正確に行うことができる。しかも、吐出状態の判定のためには、モータの回転数を検知する手段を1つ設けるだけでよいため、設備費を抑制できる。
【0024】
さらに、請求項5に記載の発明によれば、塗装機による塗料の吐出量に応じて変化する塗料霧化手段の状態量に基づき、塗料の吐出状態を正確に判定することができる。また、塗料霧化手段の状態量を検出すれば判定を行えるため、塗料を供給する経路が複数ある場合であっても、それらの経路毎に吐出状態監視用のセンサを設ける必要がなく、設備費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明が適用される塗装装置の一例を示す図である。
【図2】図1に示す塗装装置の塗装機の先端部を示す断面図である。
【図3】図2に示す塗装機のベルを示す斜視図である。
【図4】図3に示すベル先端のベルカップの回転数制御に関するシステム図である。
【図5】塗料の吐出開始前後におけるベルカップ駆動モータの回転数の経時的変化の一例を示すグラフである。
【図6】吐出状態を判定するための各処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】吐出状態判定用の吐出を開始する手順の一例を説明するための模式図である。
【図8】図7に示す手順で吐出状態判定用の吐出を行う場合における正常時と吐出異常時のベルカップ駆動モータの回転数の経時的変化を示すグラフである。
【図9】主剤の混合比よりも硬化剤の混合比の方が大きい場合における吐出状態判定用の吐出を開始する手順の一例を説明するための模式図である。
【図10】主剤と硬化剤の吐出を同時に開始させて吐出状態を判定する場合における正常時と吐出異常時のベルカップ駆動モータの回転数の経時的変化を示すグラフである。
【図11】一液型の塗料の吐出状態を判定する場合における正常時と吐出異常時のベルカップ駆動モータの回転数の経時的変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の塗料監視方法が適用される塗装装置の一例を示している。図1に示す塗装装置2は、主剤と硬化剤とを混合させながら吐出する二液混合型の装置である。
【0028】
塗装装置2は、主剤供給源としての主剤用ポンプ24(24a,24b,24c,24d)と、硬化剤供給源としての硬化剤用ポンプ54(54a,54b,54c)と、これらのポンプ24,54から供給された塗料をベル10(塗料霧化手段)により霧化しながら吐出する塗装機4と、塗装機4に主剤を供給するために上流側端部において主剤用ポンプ24に接続された主剤供給通路12と、塗装機4に硬化剤を供給するために上流側端部において硬化剤用ポンプ54に接続され且つ下流側端部において主剤供給通路12の下流側端部と合流する硬化剤供給通路14と、ベルカップ10に主剤と硬化剤との混合液を供給するために上流側端部において主剤供給通路12と硬化剤供給通路14との合流部に接続され且つ下流側端部においてベルカップ10に接続された混合液供給通路16とを有する。
【0029】
主剤用ポンプ24は複数設けられており、それらの主剤用ポンプ24毎に異なる色の主剤を供給するようになっている。各主剤用ポンプ24は、クラッチ26(26a,26b,26c,26d)とギヤ28を介してモータ30に接続されたギヤポンプであり、モータ30が回転駆動されると、各主剤用ポンプ24は、対応するクラッチ26が接続状態であるときのみ駆動される。
【0030】
また、各主剤用ポンプ24は、循環経路32に接続されている。循環経路32には、各色の塗料を貯蔵するタンク34と、循環経路32内で塗料を循環させる循環ポンプ36とが設けられており、循環経路32において各色の塗料が常時循環されるようになっている。主剤用ポンプ24が駆動されると、循環経路32を循環する主剤が主剤用ポンプ24により主剤供給通路12へ供給される。
【0031】
同様に、硬化剤用ポンプ54も複数設けられており、それらの硬化剤用ポンプ54毎に異なる色の硬化剤を供給するようになっている。各硬化剤用ポンプ54は、クラッチ56(56a,56b,56c)とギヤ58を介してモータ60に接続されたギヤポンプであり、モータ60が回転駆動されると、各硬化剤用ポンプ54は、対応するクラッチ56が接続状態であるときのみ駆動される。
【0032】
また、各硬化剤用ポンプ54も、上記の循環経路32に接続されており、硬化剤用ポンプ54が駆動されると、循環経路32を循環する硬化剤が硬化剤用ポンプ54により硬化剤供給通路14へ供給される。
【0033】
塗装機4は、上記のベルカップ10を有するベル8と、該ベル8への塗料の供給状態を切り換えるための各種バルブを有するバルブユニット6とを備えている。具体的に、バルブユニット6には、主剤供給通路12と硬化剤供給通路14との合流部、すなわち混合液供給通路16の下流側端部に設けられたトリガバルブ66と、混合液供給通路16から主剤供給通路12への塗料の逆流を防止するための第1逆止弁62と、混合液供給通路16から硬化剤供給通路14への塗料の逆流を防止するための第2逆止弁64と、使用する主剤の色を切り換えるための主剤用カラーチェンジバルブ20と、使用する硬化剤の色を切り換えるための硬化剤用カラーチェンジバルブ50とが設けられている。
【0034】
主剤供給通路12は、各色の主剤用ポンプ24から主剤用カラーチェンジバルブ20まで延びる各色専用通路22(22a,22b,22c,22d)と、主剤用カラーチェンジバルブ20から混合液供給通路16の下流側端部まで延びる共通通路18とを有する。この共通通路18には、カラーチェンジバルブ20により選択された色の主剤のみが供給されるようになっている。ただし、カラーチェンジバルブ20には、主剤用ポンプ24の他に、共通通路18及び混合液供給通路16を洗浄するための主剤洗浄剤を供給する洗浄剤供給源40が接続されており、カラーチェンジバルブ20の切換状態によっては、洗浄剤供給源40から共通通路18へ主剤洗浄剤が供給される。
【0035】
同様に、硬化剤供給通路14は、各色の硬化剤用ポンプ54から硬化剤用カラーチェンジバルブ50まで延びる各色専用通路52(52a,52b,52c)と、硬化剤用カラーチェンジバルブ50から混合液供給通路16の下流側端部まで延びる共通通路48とを有する。この共通通路48には、カラーチェンジバルブ50により選択された色の硬化剤のみが供給されるようになっている。ただし、カラーチェンジバルブ50には、硬化剤用ポンプ54の他に、共通通路48及び混合液供給通路16を洗浄するための硬化剤洗浄剤を供給する洗浄剤供給源70が接続されており、カラーチェンジバルブ50の切換状態によっては、洗浄剤供給源70から共通通路48へ硬化剤洗浄剤が供給される。
【0036】
図2は、塗装機4の先端部を示している。図2に示すように、混合液供給通路16にはミキサ部68が設けられており、混合液供給通路16に供給された主剤と硬化剤とがミキサ部68を通過するときに撹拌されながら十分に混合される。混合液供給通路16の下流側端部には、上記のベルカップ10が設けられている。
【0037】
ベルカップ10は、ベルカップ駆動モータ70により回転駆動されることで作動し、混合液供給通路16を通ってベルカップ10に供給された塗料は、ベルカップ10の作動により霧化されながら吐出されるようになっている。ベルカップ駆動モータ70としては、例えばエアモータが用いられるが、電気モータを用いるようにしてもよい。
【0038】
図3に示すように、ベルカップ10は、モータ70に連結される例えば筒状の連結部72と、該連結部72の一端から拡径しながら延びるカップ部74とを有する。カップ部74の中央部には、例えば円盤状のプレート部76が設けられている。これにより、ベルカップ10が回転駆動しているとき、混合液供給通路16からベルカップ10に供給される塗料はプレート部76に堰き止められた後、遠心力により、カップ部74の内側の表面を膜状に伝いながら径方向外側へ流れるようになっている。また、カップ部74の内側の表面の周縁部には、径方向に延びる複数の溝部78が全周に亘って設けられている。これにより、ベルカップ10の作動中において、カップ部74の内側の表面を伝う塗料が周縁部に達したとき、溝部78を通ることで霧化されながら吐出されるようになっている。
【0039】
ベルカップ10の回転数は、フィードバック制御により一定の速度に維持され、これにより、塗料の霧化が安定的に行われる。
【0040】
図4に示すように、本実施形態において、ベルカップ10の回転数、すなわちモータ70の回転数のフィードバック制御には、モータ70の回転数を検知する回転センサ80と、この回転センサ80の検知信号に基づきモータ70の回転駆動を制御するコントローラ82が用いられる。回転センサ80は、例えば、ベルカップ10の端面に設けられた図示しない目印を光学的に読み取ることで、ベルカップ10の回転数、すなわちモータ70の回転数を検知する。コントローラ82は、回転センサ80の検知量に基づき、モータ70の回転数が所定の回転数になるように出力値を設定し、この設定された出力値でモータ70の回転駆動を制御する。コントローラ82で設定される具体的な出力値としては、例えば、モータ70がエアモータである場合、モータ70に送り込むエアの吐出量が挙げられ、モータ70が電気モータである場合、モータ70に与えられる電力量が挙げられる。
【0041】
図5は、フィードバック制御によるモータ70の回転数の経時的変化の一例を示す。この図5は、最初に塗料を吐出させずにベルカップ10を空回転させておき、時間T0のときに塗料の吐出を開始する例である。図5に示すように、モータ70の回転数は、塗料の吐出が開始されるまでは設定回転数N1にほぼ維持されるが、吐出が開始されると、これに伴い、ベルカップ10に塗料の負荷がかかるため、モータ70の回転数が急低下する。このときのモータ70の回転数の低下量は、塗料の種類に関わらず、塗料の吐出量が多いほど大きくなる。その後、モータ70の回転数は、上述のフィードバック制御により設定回転数N1になるまで徐々に上昇した後、該設定回転数N1にほぼ維持される。
【0042】
次に、図6〜図8を参照しながら、上述の塗装装置2による塗料の吐出状態を監視する方法について説明する。
【0043】
本実施形態では、選択された色の塗料を用いた塗装を開始するときに、その色の塗料を正常に吐出できるか否かの判定が予め行われる。この塗料の吐出状態の判定は、上述のコントローラ82により、ベルカップ駆動モータ70の回転数に基づき行われる。
【0044】
図6と図7を参照しながら、塗料の吐出状態を判定するための制御について具体的に説明する。
【0045】
図6及び図7に示す吐出状態判定用の制御が行われているとき、ベルカップ10は常に回転駆動されており、ベルカップ駆動モータ70の回転数は、上述のように回転センサ80とコントローラ82とにより常にフィードバック制御されている。ただし、ベルカップ10は、少なくとも後述のステップS6の開始前からステップS7及びステップS10の判定が終了するまでの時間に回転駆動させるようにすれば、必ずしも常に回転駆動させなくてもよい。
【0046】
先ず、洗浄剤供給源40,70から供給される洗浄剤により、主剤供給通路12及び硬化剤供給通路14の共通通路18,48と、混合液供給通路16とが洗浄される(ステップ1)。洗浄後は、図7(a)に示すように、硬化剤供給通路14の共通通路48の内壁における硬化剤の硬化を防止するために、この共通通路48は洗浄剤で充填された状態にされる。一方、主剤供給通路12の共通通路18と混合液供給通路16とは空の状態にされる。
【0047】
次に、図7(b)に示すように、選択された色の主剤が主剤供給通路12に充填される(ステップS2)。具体的には、選択色に対応する主剤用ポンプ24が、主剤供給通路12に主剤を充填させるのに必要な最低限の時間だけ作動した後、停止する(ステップS3)。
【0048】
続いて、図7(c)に示すように、選択された色の硬化剤が硬化剤供給通路14と混合液供給通路16とに充填される(ステップS4)。このとき、硬化剤供給通路14の共通通路48に予め充填されていた洗浄剤は、新たに供給される硬化剤により押し出されるが、この洗浄剤は塗装機4から完全に排出される必要はなく、混合液供給通路16の下流部に止まっていてもよい。よって、ステップS4において、選択色に対応する硬化剤用ポンプ26は、硬化剤供給通路14と混合液供給通路16とに硬化剤と洗浄剤を充填させるのに必要な最低限の時間だけ作動するようにすればよい。このとき、洗浄剤の一部は混合液供給通路16から排出されてベルカップ10により吐出されるが、その後、硬化剤用ポンプ26が停止することで、塗料の吐出が一旦停止される(ステップS5)。
【0049】
次に、図7(d)に示すように、吐出状態判定用の吐出が開始される(ステップS6)。具体的には、選択色に対応する主剤用ポンプ24と選択色に対応する硬化剤用ポンプ26とを駆動し、トリガバルブ66が開くことで、主剤用ポンプ24から主剤供給経路12を経由して混合液供給通路16へ主剤が供給され、硬化剤用ポンプ26から硬化剤供給通路14を経由して混合液供給通路16へ硬化剤が供給される。このとき、予め主剤供給経路12には主剤が充填され(ステップS2)、硬化剤供給経路14には硬化剤が充填されているため(ステップS4)、混合液供給経路16へのエア溜まりの流入が防止される。また、このとき、本実施形態では、混合液供給通路16への主剤と硬化剤の供給が、硬化剤の混合比が主剤の混合比よりも小さくなるように、具体的には例えば3:1の混合比で主剤と硬化剤とが混合されるように行われる。
【0050】
ステップS6における吐出状態判定用の吐出は、後述のステップS7及びステップS10の判定に必要な所定時間が経過した後に停止される。ステップS7及びステップS10の判定は、次に述べる観点に基づき行われる。
【0051】
主剤と硬化剤の供給状態が正常であれば、ステップS6において混合液供給経路16に主剤と硬化剤が供給されることで、先ず、予め混合液供給経路16に充填されていた洗浄剤と硬化剤の吐出が開始された後、時間差を置いて、主剤と硬化剤の混合液の吐出が開始される。よって、ベルカップ駆動モータ70の回転数は、時間の経過と共に図8に示すように変化する。
【0052】
図8を参照しながら具体的に説明すると、吐出状態が正常である場合、先ず時間T0に吐出状態判定用の吐出が開始されると、先に吐出される洗浄剤または硬化剤の負荷がベルカップ10にかかり始めるため、モータ70の回転数が低下し始める。ただし、硬化剤は主剤よりも小さな混合比となるように供給されるため、吐出開始直後の吐出量は少なく、モータ70の回転数の低下量は比較的小さい。その後、時間T1になり、主剤と硬化剤との混合液が吐出され始めると、塗料の吐出量が大きく増加するため、ベルカップ10にかかる負荷が大きく増大し、モータ70の回転数が更に低下する。その後、モータ70の回転数は、上述のフィードバック制御により徐々に設定回転数N1まで上昇する。
【0053】
一方、何らかの理由により、主剤が吐出されない場合、正常時と同様、時間T0になると直ちにモータ70の回転数が低下するが、時間T1になっても硬化剤のみが吐出されるため、ベルカップ10にかかる負荷が比較的小さい状態が続く。よって、モータ70の回転数は大きく低下しないまま、上述のフィードバック制御により徐々に設定回転数N1まで上昇する。
【0054】
また、何らかの理由により、混合液供給経路16に硬化剤が供給されない場合、混合液供給経路16が空の状態で吐出状態判定用の吐出が開始されることになるため、時間T0になっても、ベルカップ10に負荷がかからず、モータ70の回転数は低下しない。その後、時間T1になると、時間差を置いてベルカップ10に到達した主剤が吐出され始めるため、モータ70の回転数が比較的大きく低下し、その後、上述のフィードバック制御により徐々に設定回転数N1まで上昇する。
【0055】
このような観点から、ステップS7では、ステップS6の吐出開始に伴うモータ70の回転数の低下量が所定の閾値以上であるか否かが判断される。
【0056】
ステップS7において、モータ70の低下量が所定の閾値以上であると判断されると、塗料の吐出状態は正常であると判定され(ステップS8)、選択色の塗装が開始される(ステップS9)。
【0057】
一方、ステップS7において、モータ70の低下量が所定の閾値未満であると判断されると、引き続きステップS10の判定が行われる。
【0058】
ステップS10では、ステップS6の吐出開始から該吐出開始に伴うモータ70の回転数の低下が始まるまでの時間(T1−T0)が所定時間以上であるか否かが判断される。
【0059】
ステップS10において、時間(T1−T0)が所定時間以上であると判断されると、硬化剤の吐出異常であると判定され(ステップS11)、硬化剤の吐出異常が解消されるまで選択色の塗装は開始されない。
【0060】
一方、ステップS10において、時間(T1−T0)が所定時間未満であると判断されると、主剤の吐出異常であると判定され(ステップS12)、主剤の吐出異常が解消されるまで選択色の塗装は開始されない。
【0061】
このように、本実施形態によれば、モータ70の回転数が低下する量とタイミングに基づき、主剤の吐出異常および硬化剤の吐出異常を精度よく判定することができる。また、この吐出状態の判定のためには、モータ70の回転数を検出するだけでよく、複数の供給経路毎に流量センサ等を設ける必要がないため、設備費を抑制することができる。
【0062】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0063】
例えば、上述の実施形態では、主剤の混合比が硬化剤の混合比よりも大きい場合について説明したが、本発明は、主剤の混合比が硬化剤の混合比よりも小さい場合にも適用することができる。この場合は、例えば、図9(a)に示すように予め硬化剤供給経路14に洗浄剤を充填させた状態で、図9(b)に示すように先に主剤を主剤供給経路12と混合液供給経路16とに充填させてから、図9(c)に示すように吐出状態判定用の吐出(図6のステップS6)を開始すればよい。すなわち、混合比が小さい溶液を先に混合液供給経路16に充填することで、吐出状態を精度よく判定することができる。
【0064】
また、上述の実施形態では、モータ70の回転数が低下する量とタイミングとに基づく判定を行う場合について説明したが、本発明では、モータ70の回転数の低下量のみによる判定を行うことも可能である。すなわち、主剤と硬化剤の両方を上述の実施形態と同様の混合比で混合液供給経路16に充填させた状態で、吐出状態判定用の吐出(図6のステップS6)を開始し、吐出状態を判定することも可能である。この場合、図10に示すように、混合比が比較的大きい主剤の吐出状態に異常があると、モータ70の回転数の低下量は比較的小さく、混合比が比較的小さい硬化剤の吐出状態に異常があると、モータ70の回転数の低下量は比較的大きくなる。つまり、正常時と、主剤の吐出異常時と、硬化剤の吐出異常時とによって、モータ70の回転数の低下量が異なるため、モータ70の回転数の低下量について複数の閾値を設定することで、モータ70の回転数の低下量のみに基づき、吐出状態を判定することができる。
【0065】
さらに、上述の実施形態では、ベルカップ駆動モータ70の回転数に基づき、塗装機4による塗料の吐出状態を判定する構成について説明したが、本発明では、塗装機4による塗料の吐出量に応じて変化するベルカップ10(塗料霧化手段)の状態量であれば、モータ70の回転数以外の状態量に基づき、塗料の吐出状態を判定するようにしてもよい。モータ70の回転数以外の状態量としては、例えば、モータ70がエアモータである場合は、エアモータにエアを送り込むエア噴出器に与える電力量が挙げられ、モータ70が電気モータである場合は、該モータ70に与える電力量が挙げられる。
【0066】
また、上述の実施形態では、主剤と硬化剤との混合液を吐出する塗装装置2を用いる場合について説明したが、本発明は、主剤と硬化剤の関係にない2種類の溶液により混合液が構成される場合にも適用できる。
【0067】
さらに、上述の実施形態では、混合液を吐出する塗装装置を用いる場合について説明したが、本発明は、一液型の塗料を吐出する塗装装置を用いる場合にも適用することができる。この場合は、例えば図11に示すように、ベルカップ駆動モータ70を駆動した状態で塗料の吐出を開始して、該塗料の吐出開始に伴ってモータ70の回転数の状態量が所定の閾値以上低下したときに、吐出状態が正常であると判定し、塗料の吐出が開始されてもモータ70の回転数が低下しなかったときに、吐出状態が異常であると判定することで、設備費の抑制を図りつつ、吐出状態を精度よく監視できる。なお、この場合も、モータ70の回転数に代えて、塗装機4による塗料の吐出量に応じて変化するベルカップ10(塗料霧化手段)の種々の状態量に基づき、判定を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上のように、本発明によれば、塗装装置による塗料の吐出状態を監視する方法および装置において、設備費の抑制を図りつつ、塗装装置の塗料の吐出状態を精度よく監視することが可能となるから、この種の監視方法および監視装置に関する分野において好適に利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0069】
2 塗装装置
4 塗装機
10 ベルカップ(塗料霧化手段)
12 主剤供給経路
14 硬化剤供給経路
16 混合液供給経路
70 モータ
80 回転センサ(状態量検出手段)
82 コントローラ(判定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料供給源と、該塗料供給源から供給された塗料を塗料霧化手段により霧化しながら吐出する塗装機とを備えた塗装装置による塗料の吐出状態を監視する方法であって、
前記塗装機による塗料の吐出量に応じて変化する前記塗料霧化手段の状態量に基づき、塗料の吐出状態を判定することを特徴とする塗装装置の塗料吐出監視方法。
【請求項2】
前記塗装装置は、第1溶液を供給する第1供給源と、第2溶液を供給する第2供給源と、前記塗装機に第1溶液を供給するために上流側端部において第1供給源に接続された第1溶液供給通路と、前記塗装機に第2溶液を供給するために上流側端部において第2供給源に接続され且つ下流側端部において第1溶液供給通路の下流側端部と合流する第2溶液供給通路と、前記塗料霧化手段に第1溶液と第2溶液との混合液を供給するために上流側端部において第1溶液供給通路と第2溶液供給通路との合流部に接続され且つ下流側端部において前記塗料霧化手段に接続された混合液供給通路と、を備え、
第1溶液供給通路に第1溶液を充填する第1溶液充填ステップと、
該第1溶液充填ステップの後、第1溶液供給通路から前記混合液供給通路への第1溶液の供給を停止した状態で、第2溶液供給通路と前記混合液供給通路とに第2溶液を充填する第2溶液充填ステップと、
該第2溶液充填ステップの後、前記混合液供給通路から前記塗料霧化手段への塗料の供給を停止する吐出停止ステップと、
該吐出停止ステップの後、第1供給源から第1溶液供給通路を経由して前記混合液供給通路へ第1溶液を供給し、第2供給源から第2溶液供給通路を経由して前記混合液供給通路へ第2溶液を供給すると共に、前記混合液供給通路から前記塗料霧化手段へ塗料を供給することで、該塗料を前記塗料霧化手段により霧化しながら吐出する吐出ステップと、
少なくとも該吐出ステップの開始前に、前記塗料霧化手段の作動を開始する塗料霧化手段作動ステップと、
前記吐出ステップにおける前記塗料霧化手段の状態量に基づき、塗料の吐出状態を判定する吐出状態判定ステップと、を有し、
該吐出状態判定ステップでは、前記吐出ステップにおける塗料の吐出開始に伴う前記状態量の変化の量が所定の閾値以上であるとき、塗料の吐出状態が正常であると判定し、前記変化の量が前記所定の閾値未満であり、且つ、前記吐出ステップにおける塗料の吐出開始から該吐出開始に伴う前記状態量の変化が始まるまでの時間が所定時間以上であるとき、第2溶液の吐出状態が異常であると判定し、前記変化の量が前記所定の閾値未満であり、且つ、前記時間が前記所定時間未満であるとき、第1溶液の吐出状態が異常であると判定することを特徴とする請求項1に記載の塗装装置の塗料吐出監視方法。
【請求項3】
前記塗装装置は、主剤を供給する主剤供給源と、硬化剤を供給する硬化剤供給源と、前記塗装機に主剤を供給するために上流側端部において前記主剤供給源に接続された主剤供給通路と、前記塗装機に硬化剤を供給するために上流側端部において硬化剤供給源に接続され且つ下流側端部において前記主剤供給通路の下流側端部と合流する硬化剤供給通路と、前記塗料霧化手段に主剤と硬化剤との混合液を供給するために上流側端部において前記主剤供給通路と前記硬化剤供給通路との合流部に接続され且つ下流側端部において前記塗料霧化手段に接続された混合液供給通路と、を備え、
前記主剤供給通路に主剤を充填する主剤充填ステップと、
該主剤充填ステップの後、前記主剤供給通路から前記混合液供給通路への主剤の供給を停止した状態で、前記硬化剤供給通路と前記混合液供給通路とに硬化剤を充填する硬化剤充填ステップと、
該硬化剤充填ステップの後、前記混合液供給通路から前記塗料霧化手段への塗料の供給を停止する吐出停止ステップと、
該吐出停止ステップの後、前記主剤供給源から前記主剤供給通路を経由して前記混合液供給通路へ主剤を供給し、前記硬化剤供給源から前記硬化剤供給通路を経由して前記混合液供給通路へ、該混合液供給通路において主剤よりも小さな混合比で主剤と混合されるように硬化剤を供給すると共に、前記混合液供給通路から前記塗料霧化手段へ塗料を供給することで、該塗料を前記塗料霧化手段により霧化しながら吐出する吐出ステップと、
少なくとも該吐出ステップの開始前に、前記塗料霧化手段の作動を開始する塗料霧化手段作動ステップと、
前記吐出ステップにおける前記塗料霧化手段の状態量に基づき、塗料の吐出状態を判定する吐出状態判定ステップと、を有し、
該吐出状態判定ステップでは、前記吐出ステップにおける塗料の吐出開始に伴う前記塗料霧化手段の状態量の変化の量が所定の閾値以上であるとき、塗料の吐出状態は正常であると判定し、前記変化の量が、前記所定の閾値未満であり、且つ、前記吐出開始から該吐出開始に伴う前記状態量の変化が始まるまでの時間が所定時間未満であるとき、主剤の吐出状態が異常であると判定し、前記変化の量が前記所定の閾値未満であり、且つ、前記時間が前記所定時間以上であるとき、硬化剤の吐出状態が異常であると判定することを特徴とする請求項1に記載の塗装装置の塗料吐出監視方法。
【請求項4】
前記塗料霧化手段は、モータにより回転駆動されることで作動するものであり、
前記の塗料の吐出状態の判定は、前記モータにより前記塗料霧化手段を回転駆動している状態で塗料の吐出を開始したときの前記モータの回転数の低下量に基づいて行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の塗装装置の塗料吐出監視方法。
【請求項5】
塗料供給源と、該塗料供給源から供給された塗料を塗料霧化手段により霧化しながら吐出する塗装機とを備えた塗装装置による塗料の吐出状態を監視するための装置であって、
前記塗装機による塗料の吐出量に応じて変化する前記塗料霧化手段の状態量を検出する状態量検出手段と、
該状態量検出手段により検出された状態量に基づき、前記塗装機による塗料の吐出状態を判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする塗装装置の塗料吐出監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−125787(P2011−125787A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286632(P2009−286632)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】