説明

外観パネル用シール部材

【課題】製作工数及び組立工数の低減を図ることを可能にするとともに、シール部分の外観性の向上を図ることを可能にする。
【解決手段】第1のパネル51と第2のパネル52とをシールする外観パネル用シール部材60において、硬度の異なる複数の弾性体61〜63と芯材64とからなる樹脂材から構成されており、複数の弾性体61〜63と芯材64とは一体で成形されるとともに、複数の弾性体61〜63の一つが外観部品を構成する。詳細には、複数の弾性体61〜63は、第1のパネル51に当接させる第1の弾性体61と、第2のパネル52に当接させる第2の弾性体62と、芯材64及び第2のパネル52の端部53を覆う第3の弾性体63と、から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1のパネルと第2のパネルとをシールする外観パネル用シール部材に関する。
【背景技術】
【0002】
外観パネル用シール部材として、扉パネルの端縁に固着され、扉枠との間隙を密封するものがある。この外観パネル用シール部材は、ゴム等の柔軟性のある材質で形成された部材であり、扉パネルの係合溝に係合する凸条と、扉枠の内側面に当接する内側舌片と、扉枠の外側面に当接する外側舌片と、この外側舌片と一体的に形成され保護部分の内側面に当接する補助舌片とを備えたものである。
【0003】
この外観パネル用シール部材によれば、補助舌片の弾発力で扉パネルの扉枠を強く押圧することができるので、雨水や埃の侵入を防止することが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−107658公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1の外観パネル用シール部材は、扉パネルに、扉パネルと扉枠との隙間を覆う別部材で形成された保護部材が設けられている。すなわち、外観パネル用シール部材は、扉パネルと扉枠との隙間をシールするシール機能が主な機能であり、保護部材が外観を保つために意匠機能を担っている。
このため、シール機能のための部材と意匠機能のための部材が別部品で構成されているので、部品点数の増加を招き、部品管理や組付け作業に手間がかかっていた。
【0006】
また、シール機能のための部材と意匠機能のための部材が別部品で構成されているので、外観パネル用シール部材のコストが高騰していた。
さらに、シール機能のための部材と意匠機能のための部材が別部品で構成されているので、部品同士の組付けのばらつきも発生し、意匠性を損ねる虞れもあった。
【0007】
本発明は、製作工数及び組立工数の低減を図ることができるとともに、シール部分の外観性の向上を図ることができる外観パネル用シール部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、第1のパネルと第2のパネルとをシールする外観パネル用シール部材おいて、硬度の異なる複数の弾性体と芯材とからなる樹脂材から構成されており、複数の弾性体と芯材とは一体で成形されているとともに、複数の弾性体の一つが外観部品を構成することを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、複数の弾性体が、第1のパネルに当接させる第1の弾性体と、第2のパネルに当接させる第2の弾性体と、芯材及び第2のパネルの端部を覆う第3の弾性体と、からなることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、第1の弾性体に、複数の弾性体の内、硬度が最も低い弾性体が用いられるとともに、第1のパネルに当接させる部分が中空状の中空部に構成されたことを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、芯材が、断面視略コ字状に形成される部材であり、芯材の少なくとも対向壁の内側に、第2の弾性体が設けられたことを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、第2の弾性体が、一方側弾性部材と、他方側弾性部材とに分割構成され、一方側及び他方側弾性部材に、それぞれ第2のパネルをシールする一方側突起及び他方側突起を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明は、第2の弾性体が、第1の弾性体よりも硬度の高い弾性体で構成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る発明は、第3の弾性体が、第1のパネル若しくは第2パネルと略同色で、且つ第2の弾性体よりも硬度の高い弾性体が用いられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明では、外観パネル用シール部材が、第1のパネルと第2のパネルとをシールする部材である。
硬度の異なる複数の弾性体と芯材とからなる樹脂材から構成されており、複数の弾性体と芯材とは一体で成形されているので、製作工数及び組立工数の低減を図ることができる。
複数の弾性体の一つが外観部品を構成するので、第1のパネルと第2のパネルとのシール部分を、複数の弾性体の一つで覆うことができる。この結果、第1及び第2のパネルのシール部分の外観性の向上を図ることができる。
【0016】
請求項2に係る発明では、複数の弾性体が、第1のパネルに当接させる第1の弾性体と、第2のパネルに当接させる第2の弾性体と、芯材及び第2のパネルの端部を覆う第3の弾性体と、から構成されるので、第1〜第3の弾性体の目的に合った素材の選択が可能となる。
【0017】
請求項3に係る発明では、第1の弾性体に、複数の弾性体の内、硬度が最も低い弾性体が用いられ、第1のパネルに第1の弾性体を十分に密着することができる。さらに、第1のパネルに当接させる部分が、中空状の中空部に構成されたので、第1の弾性体の中空部を第1のパネルに当接させてから中空部を潰すまでの距離を十分に稼ぐことができる。この結果、シールの信頼性の向上を図ることができる。
【0018】
請求項4に係る発明では、芯材が、断面視略コ字状に形成される部材であり、芯材の少なくとも対向壁の内側に、第2の弾性体が設けられたので、第2のパネルを挟み込むことができる。これにより、第2のパネルを第2の弾性体でシールすることができる。
【0019】
請求項5に係る発明では、第2の弾性体が、一方側弾性部材と、他方側弾性部材とに分割構成され、一方側及び他方側弾性部材に、それぞれ第2のパネルをシールする一方側突起及び他方側突起を備えたので、第2のパネルと第2の弾性体とのさらなるシール性の向上を図ることができる。
【0020】
請求項6に係る発明では、第2の弾性体が、第1の弾性体よりも硬度の高い弾性体で構成されているので、第2のパネルを挟み込むのに、十分な強度を確保することができる。
【0021】
請求項7に係る発明では、第3の弾性体が、第1のパネル若しくは第2のパネルと略同色で、且つ第2の弾性体よりも硬度の高い弾性体が用いられるので、第3のパネルを外観性部品としての機能を満足させることができる。この結果、第1及び第2のパネルのシール部分の外観性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る外観パネル用シール部材が採用されるコージェネレータを示す斜視図である。
【図2】図1に示されたコージェネレータのブロック図である。
【図3】図1の3−3線断面図である。
【図4】本発明に係る外観パネル用シール部材の斜視図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】図4に示された外観パネル用シール部材の組立手順の一例を示す説明図である。
【図7】図4に示された外観パネル用シール部材の比較検討図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0024】
図1、図2に、外観パネル用シール部材が採用されるコージェネレーション装置10が示される。コージェネレーション(コジェネレーション;cogeneration)とは、英語では「combined heat and power」ともいわれ、内燃機関、外燃機関等の排熱を利用して動力・温熱・冷熱を取り出し、総合エネルギー効率を高める、新しいエネルギー供給システムのひとつである。なお、コージェネ、コジェネとも呼ばれることがある。
【0025】
コージェネレーション装置10は、商用電源(商用電力系統)12から電気負荷14に至る交流電力の給電路(電力線)16に接続可能な発電機(スタータ/ジェネレータ)20と、発電機20を駆動する内燃機関(以下、「エンジン」という)22からなる発電ユニット24と、エンジン22の冷却水を排気熱と熱交換させて昇温する排気熱交換器(熱交換器)26と、排気熱交換器26で昇温させられた冷却水が供給されて温水などを生成する排熱利用給湯暖房ユニット(不図示)と、を備える。排熱利用給湯暖房ユニットは熱負荷である。
【0026】
商用電源12は、単相3線からAC100/200Vで50Hz(または60Hz)の交流電力を出力する。発電ユニット24は一体化され、排気熱交換器26と共に発電ユニットケース(筐体)30の内部に収容される。
【0027】
エンジン22は都市ガス(あるいはLPガス。以下、単に「ガス」という)を燃料とする、水冷4サイクルの単気筒OHV型の火花点火式のエンジンであり、例えば163ccの排気量を備える。発電ユニットケース30においてエンジン22のシリンダヘッド(不図示)及びシリンダブロック22aは水平方向(横向き)に配置され、その内部に1個のピストン(不図示)が往復動自在に配置される。ピストンには鉛直方向(縦向き)に配置されるクランクシャフト(不図示)が連結される。
【0028】
発電機20は多極コイルを備え、図示しないクランクシャフトの上端に取り付けられるフライホイールの内側のクランクケース上に固定され、フライホイールとの間で相対回転するとき、交流電力を発電する。発電機20は、商用電源12(あるいは図示しないバッテリ)から通電されるとき、エンジン22をクランキングするスタータモータとしても機能する。
【0029】
エンジン22において空気(吸気)は吸気サイレンサ22b、エアクリーナ22cを通ってミキサ22dに入る。ミキサ22dには燃料供給源(図示せず)からガスがガス管32、ガス比例弁ユニット22eを介して供給され、そこで空気と混合させられる。ミキサ22dとガス比例弁ユニット22eからなるガスボックスにおいて、ミキサ22dは、図示しない電動モータで駆動されるスロットルバルブと可変ジェットを備える。
【0030】
ミキサ22dで生成された混合気は燃焼室(図示せず)に流れる。燃焼室の付近には点火プラグ22fが配置される。点火プラグ22fは、図示しないバッテリの出力がパワートランジスタやイグニッションコイルなどからなる点火装置22gを介して供給されると、燃焼室に臨む電極間に火花放電を生じ、混合気を着火して燃焼させる。よって生じた排気(排ガス)はエンジン22から出力され、エンジン22に接続される排気通路(排気管)22h、排気マフラ22iを通って発電ユニットケース30の外に排出される。
【0031】
エンジン22のシリンダブロック22aの下部(クランクケースの図示省略)にはオイルタンク(オイルパン)22kが形成され、そこにエンジン22の潤滑オイルが貯留される。潤滑オイルはギヤポンプ(図示せず)で掻き上げられてピストンなどの摺動部分を潤滑した後、コンロッド(図示せず)やシリンダ壁面を伝わって落下し、オイルタンク22kに貯留される。
【0032】
発電機20の出力はインバータユニット34に送られる。インバータユニット34はDC−DCコンバータなどを介して発電機20の出力をAC100/200V(単相)に変換する。インバータユニット34は、マイクロコンピュータからなるECU(Electronic Control Unit;電子制御ユニット)36と共にコントロール部を構成し、ECU36の指令を受けて発電機20の機能をスタータとジェネレータの間で切り換える。
【0033】
インバータユニット34の出力は屋内配電盤40に送られる。屋内配電盤40は、過電流の通電などを防止する主幹ブレーカ40aと、インバータユニット34の出力に商用電源12の電力を加えて電気負荷14に供給する分電盤40bと、発電ユニット24の専用ブレーカ40cと、商用電源12から主幹ブレーカ40aに至る給電路16に配置されてそこを流れる交流電力の電流に応じた信号を生じる電流センサ40dなどを備える。即ち、インバータユニット34の出力は、屋内配電盤40で商用電源12の電力と合わせられて(連系されて)電気負荷14に供給される。
【0034】
このように、インバータユニット34の出力は、屋内配電盤40で商用電源12から電気負荷14に至る交流電力の給電路16に接続可能にされる。尚、発電ユニット24の発電出力(定格電力)は、1.OkW程度である。
【0035】
コージェネレーション装置10は、電流センサ40dの他に、多くのセンサを備え、各センサの出力はECU36に入力される。ECU36は入力された出力に基づいてエンジン22の運転などを制御する。
【0036】
符号42は、エンジン22を冷却する冷却水(不凍液)の通路(以下、「冷却水通路」という)を示す。冷却水通路42は、エンジン22のシリンダブロック22aとオイルタンク22kや排気熱交換器26を通り、外部の排熱利用給湯暖房ユニット(以下、単に「暖房ユニット」という)に接続される。
【0037】
冷却水通路42について詳説すると、冷却水通路42は、暖房ユニットとオイルタンク22kを接続して暖房ユニットから出力される低温の冷却水をオイルタンク22kに供給する第1の冷却水通路42aと、オイルタンク22kと排気熱交換器26を接続してオイルタンク22kから出力される冷却水を排気熱交換器26に供給する第2の冷却水通路42bと、排気熱交換器26とエンジン22のシリンダブロック22aを接続して排気熱交換器26から出力される冷却水をシリンダブロック22aに供給する第3の冷却水通路(冷却水通路)42cと、シリンダブロック22aと暖房ユニットを接続してシリンダブロック22aから出力される高温の冷却水を暖房ユニットに供給する(戻す)第4の冷却水通路42dとからなる。
【0038】
従って、暖房ユニットから送られる低温の冷却水は冷却水通路42の入口側42eに導かれ、循環ポンプ44によって第1の冷却水通路42aを介してオイルタンク22kに供給される。オイルタンク22kにおいて冷却水は、オイルタンク22kに形成されるタンク通路を通って潤滑オイルと熱交換して潤滑オイルを冷却した後、第2の冷却水通路42bを通って排気通路22hに配置された排気熱交換器26に供給される。
【0039】
排気熱交換器26において冷却水は、排気(排ガス)と熱交換して昇温させられる。尚、排気熱交換器26は、例えば冷却水通路42を変形させ、排気通路22hを覆うような構造としたものである。排気熱交換器26を通過した冷却水は、第3の冷却水通路42cを介してシリンダブロック22a(およびシリンダヘッド)に形成されるシリンダ通路に供給されてエンジン22と熱交換し、エンジン22を冷却する。排気やエンジン22との熱交換によって昇温させられた高温の冷却水は、第4の冷却水通路42dを通って出口側42fから暖房ユニットに戻される。
【0040】
図1に示されたように、発電ユニットケース(筐体)30は、先に示された発電ユニット24、排気熱交換器26(図2参照)などが収容されるケース本体54と、このケース本体54の上面に被せられる天板55と、ケース本体54の正面に被せられるフロントパネル52と、ケース本体54とフロントパネル52との間に介在させる外観パネル用シール部材60,60と、からなる。
【0041】
図1、図2に示されように、発電ユニットケース30の内部空間に、発電ユニット24、排気熱交換器26などが収容される。具体的には、発電ユニットケース30の重力方向において下方位置には、排気熱交換器26などが配置され、発電ユニットケース30の中央位置にはエンジン22、発電機20などが設置され、発電ユニットケース30の上方位置には、エアクリーナ22cやマフラ22iなどが取付けられる。
【0042】
図1に示されたように、ケース本体54は、背面が構成されるリヤパネル56と、側面が構成される左右のサイドパネル51,51と、底面が構成される底板58と、から構成される。
左右のサイドパネル51,51は、第1のパネルに相当し、フロントパネル52は、第2のパネルに相当する。以下、サイドパネル51を「第1のパネル51」、フロントパネル52を「第2のパネル52」と記載する。
【0043】
図1、図3に示されたように、第1のパネル51は、発電ユニットケース30の前後方向に延ばされる第1パネル本体51aと、この第1パネル本体51aから略水平に且つ内方に曲げられる第1水平部51bと、この第1水平部51bから前方に延ばされる第1垂直部51cと、を備える。
【0044】
第2のパネル52は、発電ユニットケース30の左右方向に延ばされる第2パネル本体52aと、この第2パネル本体52aから後方に延ばされる第2垂直部52cと、この第2垂直部52cから略水平に且つ外方に曲げられる第2水平部52bと、を備える。なお、第2水平部52b及び第2垂直部52cで第2のパネル52の端部53が構成される。
【0045】
図3〜図5に示されたように、外観パネル用シール部材60は、第1のパネル51と第2のパネル52とをシールする部材である。硬度の異なる複数の弾性体61〜63と芯材(ベース材)64とからなる樹脂材から構成されており、複数の弾性体61〜63と芯材64とは一体で(一体的に)成形されている。
【0046】
芯材64は、断面視略コ字状に形成される部材である。詳細には、前側に形成される前壁71と、後側に形成される後壁72と、これらの前壁71及び後壁72を繋ぐ側壁73と、からなる。前壁71及び後壁72は対向壁を構成する。断面視略コ字状の芯材64は、第2の弾性体62を介して第2のパネル52の第2水平部52bに嵌め込まれる。
【0047】
複数の弾性体61〜63は、第1のパネル51に当接させる第1の弾性体61と、第2のパネル52に当接させる第2の弾性体62と、芯材64及び第2のパネル52の端部53を覆う第3の弾性体63と、からなる。
【0048】
第1の弾性体61は、複数の弾性体61〜63の内、硬度が最も低い弾性体が用いられる。さらに、第1の弾性体61は、後述する他方側弾性部材67を介して後壁72の外方に形成されるとともに、第1のパネル51に当接させる部分が中空状に形成される。すなわち、第1の弾性体61は、第1のパネル51に当接させる中空状の中空部65を備え、組立状態では中空部65が潰され、第1のパネル51に密着する。
【0049】
第2の弾性体62は、前壁71の内側及び先端に連続的に形成される一方側弾性部材66と、後壁72の内側、外側及び先端に連続的に形成される他方側弾性部材67と、に分割構成される。
一方側弾性部材66の内側に、第2のパネル52の表面をシールする2つの一方側突起66aが形成される。他方側弾性部材67の内側に、第2のパネル52の裏面をシールする3つの他方側突起67aが形成される。
【0050】
なお、第2の弾性体62は、第1の弾性体61よりも硬度の高い弾性体で構成されている。また、一方側弾性部材66及び他方側弾性部材67は、一方側及び他方側突起66a,67aでラビリンス構造を形成した部材ともいえる。
【0051】
第3の弾性体63は、断面視弓状に形成されるとともに、第1のパネル51若しくは第2パネルと略同色で形成される。また、第3の弾性体63は、第2の弾性体62よりも硬度の高い弾性体が用いられる。さらに、第3の弾性体63は、芯材64及び第2のパネル52の端部53を覆う外観部品を兼ねる。
【0052】
図6にて本発明に係る外観パネル用シール部材60の組立手順の一例を示す。
図6(a)において、第1のパネル51、第2のパネル52及び外観パネル用シール部材60を用意する。
【0053】
図6(b)において、第2のパネル52の第2水平部52bに外観パネル用シール部材60を矢印a1の如く嵌め込む。第2の弾性体62の一方側弾性部材66及び他方側弾性部材67で、第2のパネル52がシールされるとともに、第2のパネル52に外観パネル用シール部材60が支持される。
【0054】
図6(c)において、外観パネル用シール部材60の第1の弾性体61に第1のパネル51を矢印a2の如く押し当てる。第1の弾性体61の中空部65は潰され、第1のパネル51が外観パネル用シール部材60でシールされる。これと同時に、第3の弾性体63で芯材64及び第2のパネル52の端部53を覆うことができる。なお、第3の弾性体63は、弓状を呈するので、第2のパネル52に追従し易い。これにより、第1及び第2のパネル51,52のシール部分の外観性の向上を図ることができる。
【0055】
図7(a)に示されるように、比較例1の外観パネル用シール部材120は、第1のパネル121と第2のパネル122との間に介在される発泡材のパッキンである。すなわち、外観パネル用シール部材120では、矢印b1方向から見たときに、パッキン(外観パネル用シール部材120)が直視され外観上好ましいものとはいえない。
【0056】
図7(b)に示されるように、比較例2の外観パネル用シール部材130は、断面視略コ字状の芯材133に、第1のパネル131をシールする第1の弾性体134が形成され、第2のパネル132をシールする第2の弾性体135が形成される。第2の弾性体135は、一方側弾性部材136と他方側弾性部材137とに分割構成される。外観パネル用シール部材130では、矢印b2方向から見たときに、外観パネル用シール部材130が直視される。
【0057】
図7(c)に示される実施例の外観パネル用シール部材60は、断面視略コ字状の芯材64と、第1のパネル51に当接させる第1の弾性体61と、一方側弾性部材66及び他方側弾性部材67に分割構成され、第2のパネル52に当接させる第2の弾性体62と、芯材64及び第2のパネル52の端部53を覆う第3の弾性体63と、から構成される。
【0058】
図7(a)に示される比較例1の外観パネル用シール部材120のシール部分の可視範囲をD1、図7(b)に示される比較例2の外観パネル用シール部材130のシール部分の可視範囲をD2、図7(c)に示される実施例の外観パネル用シール部材60のシール部分の可視範囲をD3とする。可視範囲D1及び可視範囲D2はほぼ同等の範囲であるのに対し、実施例の外観パネル用シール部材60は第3の弾性体63を備えるので、シール部分の可視範囲D3は、可視範囲D1及び可視範囲D2に比べ範囲が狭い。
【0059】
すなわち、実施例の外観パネル用シール部材60では、比較例1及び比較例2の外観パネル用シール部材120,130に比べて外観性がよいことが理解できる。
【0060】
図3〜図5に示されたように、外観パネル用シール部材60は、第1のパネル51と第2のパネル52とをシールする部材である。
外観パネル用シール部材60では、硬度の異なる複数の弾性体61〜63と芯材64とからなる樹脂材から構成されており、複数の弾性体61〜63と芯材64とは一体で成形されているので、製作工数及び組立工数の低減を図ることができる。
複数の弾性体61〜63の一つが外観部品を構成するので、第1のパネル51と第2のパネル52とのシール部分を、複数の弾性体61〜63の一つで覆うことができる。この結果、第1及び第2のパネル51,52のシール部分の外観性の向上を図ることができる。
【0061】
外観パネル用シール部材60では、複数の弾性体61〜63が、第1のパネル51に当接させる第1の弾性体61と、第2のパネル52に当接させる第2の弾性体62と、芯材64及び第2のパネル52の端部53を覆う第3の弾性体63と、から構成されるので、第1〜第3の弾性体61〜63の目的に合った素材の選択が可能となる。
【0062】
外観パネル用シール部材60では、第1の弾性体61に、複数の弾性体61〜63の内、硬度が最も低い弾性体が用いられ、第1のパネル51に第1の弾性体61を十分に密着することができる。さらに、第1のパネル51に当接させる部分が、中空状の中空部65に構成されたので、第1の弾性体61の中空部65を、第1のパネル51に当接させてから中空部65を潰すまでの距離を十分に稼ぐことができる。この結果、シールの信頼性の向上を図ることができる。
【0063】
外観パネル用シール部材60では、芯材64が、断面視略コ字状に形成される部材であり、芯材64の少なくとも対向壁(前及び後壁)71,72の内側に、第2の弾性体62が設けられたので、第2のパネル52を挟み込むことができる。これにより、第2のパネル52を第2の弾性体62でシールすることができる。
【0064】
外観パネル用シール部材60では、第2の弾性体62が、一方側弾性部材66と、他方側弾性部材67とに分割構成され、一方側及び他方側弾性部材66,67に、それぞれ第2のパネル52をシールする一方側突起66a及び他方側突起67aを備えたので、第2のパネル52と第2の弾性体62とのさらなるシール性の向上を図ることができる。
【0065】
外観パネル用シール部材60では、第2の弾性体62が、第1の弾性体61よりも硬度の高い弾性体で構成されているので、第2のパネル52を挟み込むのに、十分な強度を確保することができる。
【0066】
外観パネル用シール部材60では、第3の弾性体63が、第1のパネル51若しくは第2のパネル52と略同色で、且つ第2の弾性体62よりも硬度の高い弾性体が用いられるので、第3のパネルを外観性部品としての機能を満足させることができる。この結果、第1及び第2のパネル51,52のシール部分の外観性の向上を図ることができる。
【0067】
尚、本発明に係る外観パネル用シール部材60は、図1に示すように、コージェネレーション装置10に用いられたが、これに限るものではなく、芝刈機などの作業機に用いるものであってもよい。
【0068】
本発明に係る外観パネル用シール部材60は、図4に示すように、第3の弾性体63が、断面視弓状に形成されたが、これに限るものではなく、断面視L字状に形成される部材であってもよい。すなわち、外観が構成される形状であればよい。
【0069】
本発明に係る外観パネル用シール部材60は、図4に示すように、一方側弾性部材66の内側に2つの一方側突起66aが形成され、他方側弾性部材67の内側に3つの他方側突起67aが形成されたが、これに限るものではなく、一方側及び他方側突起66a,67aの個数は任意である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明に係る外観パネル用シール部材は、コージェネレーション装置に採用するのに好適である。
【符号の説明】
【0071】
10…コージェネレーション装置、51,52…第1及び第2のパネル、53…端部、60…外観パネル用シール部材、61〜63…複数の弾性体(第1〜第3の弾性体)、64…芯材、65…中空部、66…一方側弾性部材、66a…一方側突起、67…他方側弾性部材、67a…他方側突起、71,72…対向壁(前及び後壁)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のパネルと第2のパネルとをシールする外観パネル用シール部材おいて、
硬度の異なる複数の弾性体と芯材とからなる樹脂材から構成されており、
前記複数の弾性体と前記芯材とは一体で成形されているとともに、前記複数の弾性体の一つが外観部品を構成することを特徴とする外観パネル用シール部材。
【請求項2】
前記複数の弾性体は、前記第1のパネルに当接させる第1の弾性体と、前記第2のパネルに当接させる第2の弾性体と、前記芯材及び第2のパネルの端部を覆う第3の弾性体と、からなることを特徴とする請求項1記載の外観パネル用シール部材。
【請求項3】
前記第1の弾性体は、前記複数の弾性体の内、硬度が最も低い弾性体が用いられ、
第1のパネルに当接させる部分が、中空状の中空部に構成されたことを特徴とする請求項2記載の外観パネル用シール部材。
【請求項4】
前記芯材は、断面視略コ字状に形成される部材であり、該芯材の少なくとも対向壁の内側に、前記第2の弾性体が設けられたことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の外観パネル用シール部材。
【請求項5】
前記第2の弾性体は、一方側弾性部材と、他方側弾性部材とに分割構成され、
前記一方側及び他方側弾性部材に、それぞれ前記第2のパネルをシールする一方側突起及び他方側突起を備えたことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項記載の外観パネル用シール部材。
【請求項6】
前記第2の弾性体は、前記第1の弾性体よりも硬度の高い弾性体で構成されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項記載の外観パネル用シール部材。
【請求項7】
前記第3の弾性体は、前記第1のパネル若しくは前記第2パネルと略同色で、且つ前記第2の弾性体よりも硬度の高い弾性体が用いられることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項記載の外観パネル用シール部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−52645(P2012−52645A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197875(P2010−197875)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】