説明

多層プラスチック燃料タンク及びかかるタンクの製造方法

タンクの壁の開口部を閉鎖するスルホン化部品を有する多層プラスチック燃料タンク。スルホン化部品は、タンクとは独立して製造されたものである。かかるスルホン化部品を有するタンクを製造する方法においては、タンク壁を吹込み成形又は圧縮成形によりタンク壁を成形し、タンク壁は、開口部を有し、開口部を包囲するタンクの壁にスルホン化部品を溶接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層プラスチック燃料タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
産業界で用いられ又は種々の種類の車両に搭載して用いられる液体及びガスタンクは一般に、これらの設計対象である使用形式及びこれらが適合しなければなならない環境上の要件に関し密封及び透過性基準を満たさなければならない。現時点において、欧州を含む全世界において、大気中、そして一般に環境中への汚染物質の排出の制限に関連した要件が相当厳しくなっている。その結果、液体及びガスタンクの設計は、種々の動作条件下において密封及び安全性を一層保証できる技術に急速に向かっている。さらに、製造業者は又、タンクに連結された種々のタイプ及び付属品により生じる損失をできる限り減少させようと努めている。用いられる場合のある一手段は、或る特定の付属品及びパイプをタンクの内部に組み込み、かくしてこれらと外部環境とのインタフェースを無くすことである。
【0003】
さらに、不透過性材料の1以上の層を含む多層構造を利用したタンクが用いられた。かかるタンクへの付属品の組込みは、付属品をこれらタンク内に挿入できるようにする上でタンクに形成された開口部をどのように密封して不透過性にするかについて問題を提起している。さらに、付属品からのエミッションは、多層タンクに関し相対的重要性の非常に高いものであり、多層タンクの本来の透過性は、従来型のタンクの透過性よりも実質的に低い。
【0004】
欧州特許第732,363号明細書は、ポリアルキレンイミンをプラスチックに添加し、SOによりリザーバの内壁をスルホン化処理し、ポリアミン化合物により中和することにより炭化水素及びアルコールに対する透過性の低い燃料タンクの製造方法を教示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この方法は、タンクそれ自体のスルホン化処理に関しており、かかるタンクに取り付けられた付属品の処理について開示がない。さらに、欧州特許第732,363号明細書においては、多層構造を備えたタンクについては言及が無い。
本発明の目的はプラスチック付属品を含むが、それにもかかわらず最新の燃料排出基準に適合した多層プラスチック燃料タンクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のため、本発明は、壁に少なくとも1つの開口部を有すると共に開口部を閉鎖する少なくとも1つのプラスチック部品を備えた多層プラスチック燃料タンクにおいて、プラスチック部品は、タンクの内容積部と接触した少なくとも一部についてスルホン化(sulphonated)されている、タンクに関する。
【0007】
「燃料タンク」という用語は、燃料を収容するよう設計されていて、一般に外部に対して密封された種々の閉鎖容器であって、種々の内部付属品又は容器の壁を貫通した種々の付属品を備えた密閉容器を意味するものと理解されている。燃料タンクは、ガスタンク、液体タンク、又はガスと液体の両方を収容するよう設計されたタンクであるのがよい。好ましくは、燃料タンクは、液体燃料タンク又は場合によっては空気と混合された燃料蒸気から成るガス相が更に入った液体燃料タンクである。
【0008】
「燃料」という用語は、本明細書では、内燃機関や燃料電池で使用できる任意の種類の燃料を指している。特に、燃料は、10未満の炭素原子を含む炭化水素及びアルコール並びにこれらの混合物を意味している。
【0009】
本発明の燃料タンクは、プラスチック燃料タンクである。「プラスチック」という用語は、熱可塑性であれ熱硬化性であれいずれにせよ、周囲条件下において固体状態にある任意の合成ポリマー材料並びにこれら材料のうちの少なくとも2つの配合物を意味するものと理解されている。意図されているポリマーは、ホモポリマーとコポリマーとして(特に二元又は三元コポリマー)の両方を含む。かかるコポリマーの例としては、ランダムコポリマー、線状ブロックコポリマーや他のブロックコポリマー並びにグラフトコポリマーが挙げられるが、これらには限定されない。熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性ポリマーが好ましい。
【0010】
本発明のプラスチック燃料タンクは、多層構造を有するタンクの形態をしている。少なくとも1つの高密度ポリエチレン(HDPE)層を有するタンクが好ましい。特に好ましいタンクは、構造が或る特定の液体及びガスに対して不透過性が非常に高いバリヤ材料、即ち性質上一般に高分子量(ポリマー)である材料で作られた少なくとも1つの内側層を更に含むタンクである。
【0011】
例えば、公知のバリヤ組成物、例えば燃料タンクを不透過性にするために用いられるバリヤ組成物を用いるのがよい。かかるバリヤ組成物の例としては、ポリアミド又はコポリアミドを主成分とする樹脂、ランダムエチレン/ビニルアルコールコポリマー(EVOH)又はサーモトロピック液晶ポリマー(LCP)、例えばp−ヒドロキシ安息香酸及び6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸のコポリマー及びテレフタル酸及び4,4′ビフェニルが添加されたp−ヒドロキシ安息香酸のコポリエステル(例えば、商品名VECTRA(登録商標)及びXYDAR(登録商標)で市販されているコポリマー)が挙げられるが、これらには限定されない。
【0012】
本発明の燃料タンクは、種々の理由でタンクの壁を貫通して設けられた1以上の開口部、即ち、円形又は非円形形状の切れ目を有する。これらの理由のうちの1つの例は、例えば、タンクの製造中タンク内に導入することはできないようになったタンク内へ少なくとも部分的に1以上の付属品を導入することができるようにすることにある。
したがって、液体及びガスの貯蔵及び閉じ込めの燃料タンクの通常の使用を可能にするよう燃料タンクを用いることができる前にクロージャシステムを設計して取り付けることが必要であり、これは、付属品の少なくとも1つの部分を導入した後にタンクをできるだけ気密封止することができる。
【0013】
本発明によれば、少なくとも1つのプラスチック部品がタンクの壁の開口部を閉鎖する。好ましくは、単一の部品が、タンクの各開口部を閉鎖する。
開口部を閉鎖する部品は、スルホン化され、即ち、本発明のタンク内へのその導入に先立って、例えば、その製造中、三酸化硫黄によるスルホン化処理を受ける。
【0014】
本発明によれば、この部品は、タンクの内容積部と接触状態にある少なくとも一部にわたってスルホン化される。大抵の場合、この部品は、タンクの内容積部を占める液体及び(又は)気体燃料と接触状態にあるその部分全体にわたってスルホン化される。この部品は又、その外面全体にわたってスルホン化されると有利である。
【0015】
本発明のタンクの壁の開口部を閉鎖するプラスチック部品をそれ自体周知の成形方法によって製造することができる。
好ましくは、この部品は、射出成形部品、押出し成形部品、吹込み成形部品及び圧縮成形部品から選択される。
【0016】
本発明の有利な実施形態によれば、プラスチック部品は、プラスチック部品のスルホン化部分の材料全体に対し、少なくともそのスルホン化部分に少なくとも0.1重量%のポリアルキレンイミンを含む。数種類の互いに異なるポリアルキレンイミンも又、スルホン化部品中の配合物として使用できる。
【0017】
好ましくは、ポリアルキレン基は、1〜5個の炭素原子を含むアルキレンユニットから成る。アルキレンイミンユニットのホモポリマー又はコポリマーは同じように適している。これらポリマーは、非置換ポリマー、枝分かれポリマー又は線状ポリマーであってよい。これらは又、イミン官能基のうち少なくとも何割かがアルキル又はアクリル基で置換られたものであってよい。これらポリアルキレンイミンの平均分子量は、一般に300〜1,000,000までばらつきがあってよい。好ましくは、この平均分子量は、少なくとも1000である。卓越した結果は、ポリエチレンイミンで得られた。
【0018】
プラスチック部品をその表面領域全体にわたってスルホン化するとき、ポリアルキレンイミンをプラスチック部品部品全体にわたって分散させるのがよい。ポリアルキレンイミンは又、この部品をその表面の一部だけに対応した部分についてのみスルホン化されるとき、スルホン化された部品のその部分にのみ分散させてもよい。
【0019】
本発明のタンクの好ましい実施形態によれば、プラスチック部品は、燃料タンクの付属品である。「付属品」という用語は、一般に、液体又は気体燃料を通過させ又は液体又は気体燃料と接触状態にあり、そしてタンクが一部をなす燃料系に特有の特定の機能を達成する任意の装置を意味するものと理解されており、かかる機能としては、液体及び(又は)ガスを他の2つの装置相互間で運搬する機能が挙げられる。
【0020】
かかる付属品の例としては、クロージャプレート、タンク用ガス抜き及び(又は)遮断弁、ガス及び(又は)液体を流通させる送出し管、少なくとも電気ケーブル及び(又は)少なくとも光ファイバ用のコネクタ、ポンプ計器モジュール用の連結ソケット、給油ネック、安全弁及び補助追加タンクが挙げられるが、これらには限定されない。
【0021】
本発明のタンクは、自動車両への取付けに極めて適している。「自動車両」という用語は、自動車、ローリ及びオートバイを意味するものと理解されている。
【0022】
本発明は又、スルホン化プラスチック部品により閉鎖される少なくとも1つの開口部が壁に設けられた多層プラスチック燃料タンクを製造する方法であって、以下の工程、即ち、
a)吹込み成形及び圧縮成形から選択された少なくとも1つの作業を含む成形法を用いてタンクの壁の少なくとも一部を製造する工程、
b)開口部をスルホン化プラスチック部品で閉鎖する工程、及び
c)開口部を閉鎖したスルホン化プラスチック部品をタンクの壁に結合する工程を上記順序で実施する、方法に関する。
【0023】
この方法では、共通の用語は、タンクの説明において上述した意味と同一の意味を有している。タンクの壁の開口部は、この壁の製造工程中に作られたものであるのがよい。変形例として、これをこの壁が製造された後に次の機械加工工程において作ってもよい。
【0024】
本発明の方法を具体化する好ましい方法においては、部品を溶接によりタンクの壁に結合する。好ましくは、部品をタンクの外壁に溶接する。
【0025】
本発明の方法を具体化する特定の一方法によれば、上記スルホン化部品は、
a)上記部品のスルホン化部分の材料全体に対し、部品の少なくとも一部に少なくとも0.1重量%の少なくともポリアルキレンイミンだけを含むプラスチックを成形する第1工程、
b)気体状又は液体状SOと接触状態にある部品の少なくともその部分をスルホン化する工程、
c)部品の少なくとも接触スルホン化部分をすすぎ洗いし、次にこれをアルカリ性溶液で中和する最終工程から成る3つの工程によってこの順序であらかじめ製造されている。
【0026】
上記部品の成形工程は、それ自体公知のどの技術によって行なってもよい。ポリアルキレンイミンをこの成形工程の際に部品のプラスチックの少なくとも一部中へ分散させる。スルホン化されるようになった部品の少なくともその部分中へポリアルキレンイミンを繋留しながら供給すると共にかかる部分内におけるポリアルキレンイミンの均質性を向上させるのを容易にするためにプラスチック中に高いポリアルキレンイミン濃度を有するマスターバッチを作製するのがよい。次に、適当な量のこのマスターバッチを成形作業中、スルホン化されるようになったその部品のプラスチックと混合するのがよい。
【0027】
本発明の方法を具体化する好ましい方法によれば、部品を成形する作業は、射出成形法、押出し成形法、吹込み成形法及び圧縮成形法から選択される。
【0028】
スルホン化工程は、ガス状又は液体状三酸化硫黄によって行なわれる。三酸化硫黄を作るためには、オレウム中へ窒素を泡立てるのが優位な場合がある。
本発明の方法に用いられるスルホン化部品は、この方法とは独立してこの方法の外部においてスルホン化された部品である。これは、その使用に先立って、例えばその製造中、三酸化硫黄によりスルホン化処理を受ける。
【0029】
すすぎ洗い工程は一般に、水で行われる。脱イオン水が、良好な結果をもたらした。
すすぎ洗い後、スルホン化部品を水性アルカリ性溶液で中和する。水性アルカリ性溶液は、少なくとも1つのアルカリ性反応体を含む。アンモニアをアルカリ性反応体として用いることができる。好ましくは、少なくとも1つのポリアミンが、中和溶液中でアルカリ性反応体として用いられる。
【0030】
「ポリアミン」という用語は、少なくとも2つのアミン官能基を含む化合物を意味するものと理解されている。ポリアルキレンポリアミンが、特に適している。良好な結果は、トリエチレンテトラミンで得られた。
変形例として、アルキレンポリアミン類からのポリアミンも又使用できる。エチレンジアミンは、良好な結果をもたらした。
【0031】
別の好ましいアルカリ性反応体は、ポリアルキレンイミン類に属している。適当なポリアルキレンイミンは、枝分かれ又は線状鎖から成る非置換状態である。これらポリアルキレンイミンは、ホモポリマー又はコポリマーであっても同じように良好である。これらは、イミン官能基がアクリル又はアルキル基で置換されたものであってもよい。これらの平均分子量は、一般に300〜1,000,000までばらつきがあってよい。好ましくは、これらの平均分子量は、少なくとも1000である。ポリエチレンイミンは、アルカリ性中和反応体として卓越した結果をもたらした。
【0032】
変形例として、中和反応体として、上述のアルカリ性反応体のうち1以上の混合物を含む水溶液を用いることも可能である。
【0033】
中和工程中、アルカリ性成分は一般に、水溶液中に溶液1l当たり0.5g未満の量で存在する。好ましくは、この化合物は、溶液1l当たり少なくとも1gの量で存在する。しかしながら、このアルカリ性成分の濃度は一般に、溶液1l当たり200g以下である。好ましくは、この濃度は、溶液1l当たり100g以下である。水の中に溶けた5g/l濃度のポリエチレンイミンが卓越した結果をもたらした。
中和作業を広範な温度、例えば0℃〜100℃で実施するのがよい。良好な結果は、室温で得られた。
【0034】
中和工程の持続時間は、一般に1〜30分であり、これはアルカリ性反応体の濃度及び用いられる温度で決まる。5g/lのポリエチレンイミンを含む溶液に関して室温で15分の時間が卓越した結果をもたらした。中和後、場合によっては部品を水ですすぎ洗いした後に部品を乾燥させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下の実施例は、本発明を説明するために記載されているが、本発明の範囲を限定するものではない。
スルホン化プラークの調製
FINACENE(登録商標)2245という商品名の高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂を用いてLUPASOL(登録商標)WF商品名のポリエチレンイミンの混合物を3.2g/100g含むマスターバッチを調製した。マスターバッチを二軸スクリュー混合ユニットと同時に回転するWERNER&PFLEIDERER(登録商標)ZSK40で調製し、直径が3mmの棒材の形態に押出し成形し、かかる棒材を長さ3mmの顆粒の状態に切断した。
【0036】
次に、7重量%のマスターバッチをMAGUIRE(登録商標)Weight Scale Blenderという商品名の重量ミキサ内で93%のFINACENE(登録商標)2245HDPE樹脂と混合した。
【0037】
その結果得られた化合物を次に、NESTAL(登録商標)60という商品名の射出成形機を用いて550バールの保持圧力において80mm/sの速度で射出成形した。成形機のバレルの状態調節温度は、240℃であった。この射出成形機は、120mmの速度及び3mmの厚さを有する正方形プラークを製造するための金型内へ出力し、化合物は、正方形の4片のうちの1つ上にフィルムの形態で射出された。
【0038】
次に、30プラークのバッチを直径6インチの実験室用管形反応器でスルホン化した。反応器及びプラークを先ず最初に、40℃の乾燥状態の窒素で15分間フラッシングすることにより乾燥させた。次に、フラッシング用窒素の流れをオレオム(HSOに溶かしたSOの63重量%溶液)中に泡立たせ、次に最初に白煙が見られるまで約4分間、約200l/分の速度で、次に20l/分約15分間反応器内に導入した。
【0039】
次に、反応器を乾燥窒素で15分間フラッシングしてSO蒸気を除去し、その後プラークを反応器から取り出し、脱イオン水スプレーによりすすぎ洗いした。次に、プラークを15分間水性5g/lLUPASOL(登録商標)WFポリエチレンイミン溶液中に浸漬させることにより中和した。
次に、プラークを反応器から取り出して開放空気中で乾燥させた。
【0040】
スルホン化プラークの透過性の測定
液体入口ラインを備えていて容積の半分までHALTERMANN(登録商標)RF02−99という商品名の燃料を90重量%及び分析用エタノールを10%含む混合物で満たした平行六面体鋼セルの開放フェース上に各プラークを載せた。フルオロポリマーシールをプラークとセルとの間に介在させ、これらをボルトで互いに結合した。
【0041】
試験において、ガソリン/エタノール燃料混合物で半分まで満たされたセルの入口ラインを閉鎖し、これを逆さまにして液体燃料がプレートと直接接触するようにした。組立体全体を40℃で1週間状態調節した後、プラークの透過性をSAE2000−01−96規格に基づいて測定し、この規格は、安定した減少方式が得られるまで毎週1回その重量減少を測定した。次に、線形回帰により得た重量減少の直線をこの安定期間に対してプロットし、プラークの透過性をm当たりの1日当たりの燃料のmgで表した。
【0042】
かくして、スルホン化プラークの透過性は、40℃において1m当たり且つ1日当たり20〜40mgの燃料であることが判明した。スルホン化処理を施さなかったプラークに対する同一の透過性測定では、40℃において1m当たり且つ1日当たり28,000mgの燃料であった。
【0043】
タンク壁開口部に溶接されるようになったガス抜き弁の上側部分のスルホン化
スルホン化プラークの調製の場合と同様、同一の作動方法に従ってHDPE樹脂中に3g/100gのポリエチレンイミン混合物を含むポリエチレンイミンマスターバッチを調製した。但し、用いたHDPEは、FINACENE(登録商標)2245ポリエチレンの代替物としてのLUPOLEN(登録商標)4261Aポリエチレンであった。
【0044】
7重量%のマスターバッチと93重量%のLUPOLEN(登録商標)4261A樹脂と機械的に混合した後、この材料を標準型弁製造業者のプラントの射出成形機で射出成形した。次に、弁の上側部分を1時間かけて76℃まで予熱し、液化ガス壜からの2つのガスの膨張及び混合によりあらかじめ得られている乾燥窒素中での気体SOの25容量%混合物でフラッシングすることによりバッチ当たり10個の弁上側部品の量で直径が110mmのPVC管形反応器内でスルホン化した。フラッシングを15分間実施し、次に反応器を残留SOの完全な中和が行なわれるまで34.8モル%の水性NH溶液でフラッシングすることにより弁部品を中和した。
【0045】
次に、弁部品を反応器から取り出し、脱イオン水ですすぎ洗いし、開放空気中で乾燥させた。
【0046】
スルホン化弁の上側部品の透過性の測定
弁上側部品(1)を図1に示すようにHDPE/EVOH/HDPE3層タンクの壁開口部(2)に溶接した。高品質の溶接部を得るため、溶接部の縁(3)を機械加工して深さ1mmにわたりスルホン化上面を除去した。
壁開口部(2)に溶接された弁上側部品(1)を90容量%C規格燃料(ASTM D471規格)と10容量%のエタノールの混合物から成るフィリップス・ケミカルズ社により製造されたCE−10−型燃料中に浸漬させることにより40℃で20週間にわたり状態調節した。
【0047】
次に、弁部品の透過性を、番号40CFR86.117−96として(カリフォルニア大気資源委員会(California Air Resource Board)及び環境保護局(Environmental Protection Agency)により規格化されたプロトコルに従って昼夜24時間サイクル及び浸漬状態調節のために用いられたのと同一のC−10型の燃料を用いてSHED(蒸発測定用の密閉ハウジング)型エンクロージャ内で測定した。
測定した透過性は、24時間当たり約15mgの燃料であった。同一の弁上側部品は、スルホン化されていないが、24時間当たり30〜50mgの燃料の透過性結果をもたらした。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】弁上側部品が溶接された状態の本発明の多層プラスチック燃料タンクの部分図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁に設けられた少なくとも1つの開口部と、該開口部を閉鎖する少なくとも1つのプラスチック部品とを備えた多層プラスチック燃料タンクであって、前記プラスチック部品が、前記タンクの内容積部と接触している少なくとも一部についてスルホン化されている、タンク。
【請求項2】
プラスチック部品は、射出成形部品、押出し成形部品、吹込み成形部品及び圧縮成形部品から選択される、請求項1記載のタンク。
【請求項3】
プラスチック部品は、プラスチック部品のスルホン化部分の材料全体に対し、少なくともそのスルホン化部分に少なくとも0.1重量%のポリアルキレンイミンを含む、請求項2記載のタンク。
【請求項4】
プラスチック部品は燃料タンクの付属品である、請求項1〜3のうちいずれか一に記載のタンク。
【請求項5】
付属品は、クロージャプレート、タンク用ガス抜き及び(又は)遮断弁、ガス及び(又は)液体を流通させる送出し管、少なくとも電気ケーブル及び(又は)少なくとも光ファイバ用のコネクタ、ポンプ計器モジュール用の連結ソケット、給油ネック、安全弁及び補助追加タンクから選択される、請求項4記載のタンク。
【請求項6】
自動車両に取り付けられる、請求項1〜5のうちいずれか一に記載のタンク。
【請求項7】
スルホン化プラスチック部品により閉鎖される少なくとも1つの開口部が壁に設けられた多層プラスチック燃料タンクを製造する方法であって、
a)吹込み成形及び圧縮成形から選択された少なくとも1つの作業を含む成形法を用いてタンクの壁の少なくとも一部を製造し、
b)開口部をスルホン化プラスチック部品で閉鎖し、
c)開口部を閉鎖したスルホン化プラスチック部品をタンクの壁に結合することを含み、
前記工程を上記順序で実施する、方法。
【請求項8】
プラスチック部品を溶接により壁に結合する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記スルホン化部品は、
a)前記部品のスルホン化部分の材料全体に対し、前記部品の少なくとも一部に少なくとも0.1重量%の少なくともポリアルキレンイミンだけを含むプラスチックを成形する第1工程、
b)気体状又は液体状SO3と接触状態にある前記部品の少なくともその部分をスルホン化する工程、
c)前記部品の少なくとも接触スルホン化部分をすすぎ洗いし、次にこれをアルカリ性溶液で中和する最終工程から成る3つの工程によってこの順序であらかじめ製造されている、請求項7又は8記載の方法。
【請求項10】
成形作業は、射出成形、押出し成形、吹込み成形及び圧縮成形から選択される、請求項9記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−523783(P2007−523783A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505007(P2006−505007)
【出願日】平成16年3月26日(2004.3.26)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003616
【国際公開番号】WO2004/085189
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(502294138)イネルジー オートモーティヴ システムズ リサーチ (41)
【Fターム(参考)】