説明

多層配線構造

【課題】 上層配線の線幅面積を減少させて、上下配線間の相互干渉による不具合を低減する。
【解決手段】 半導体基板1上に形成された第1の配線7を覆うTEOS膜から成る第1の層間絶縁膜8と、該第1の層間絶縁膜8を隔てて前記第1の配線7にコンタクトする第2の配線9と、該第2の配線9を覆うTEOS膜から成る第2の層間絶縁膜10と、該第2の層間絶縁膜10を隔てて前記第2の配線9にコンタクトする第3の配線11と、該第3の配線11を覆うシリコン窒化膜13とポリイミド系絶縁膜14から成るパッシベーション膜12とを具備し、前記第3の配線11には相互干渉を起こし易い映像信号に用いられているクロマ系信号や同期信号やシリアルコントロール信号等が流れていることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体装置の多層配線構造に関し、さらに詳しく言えば、下層配線と上層配線との間の相互干渉による不具合を低減する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の大規模集積回路の微細化、特に回路を構成する素子の微細化によって、大規模集積回路全体に占める配線の面積は相対的に増大する傾向にあり、多層配線構造が採用されてきている。
【0003】図2は従来の多層配線構造を示す断面図である。21は半導体基板、22は拡散領域であり、23は基板表面を被覆するシリコン酸化膜で、CVD酸化膜、熱酸化膜などから成る。酸化膜23には拡散領域22表面の一部を露出するコンタクトホールが設けられており、酸化膜23上を延在する第1の配線24が前記コンタクトホールを介して拡散領域22表面にオーミックコンタクトする。
【0004】前記第1の配線24の上部は第1の層間絶縁膜25で被覆されている。第1の層間絶縁膜25は膜厚が10000Å程度のCVD酸化膜としてのTEOS(Tetra ethy1 orthosilicate)膜から成り、該第1の層間絶縁膜25には第1の配線24の表面を露出するコンタクトホールが設けられており、第1の層間絶縁膜25上を延在する第2の配線26が前記コンタクトホールを介して第1の配線24とコンタクトしている。
【0005】また、第2の配線26の上部は第2の層間絶縁膜29で被覆されている。第2層間絶縁膜29は、膜厚5000Å程度のシリコン窒化膜27と、膜厚20000Å程度のポリイミド系絶縁膜28から成り、該第2の層間絶縁膜29には第2の配線26の表面を露出するコンタクトホールが設けられており、第2の層間絶縁膜29上を延在する第3の配線30が前記コンタクトホールを介して第2の配線26とコンタクトしている。
【0006】そして、前記第3の配線30の上部を被覆するようにパッシベーション膜31が形成されている。該パッシベーション膜31は膜厚20000Å程度のポリイミド系絶縁膜から成り、パッシベーション膜31にはボンディングパッド部分の開口が設けられ、樹脂モールドされて、半導体装置が形成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ここで、上層配線の下地として用いられたポリイミド系絶縁膜は高絶縁性と低誘電率とを兼ね備えた良質の絶縁体で、しかも材料費が安いという理由から多層配線構造の層間絶縁膜として広く使用されている。しかし、前記上層配線をパターニング形成する際に、下地がドライエッチングに耐えられないポリイミド系絶縁膜であるのでウェット手法によってエッチングしている。そのため、ウェット手法であるから下層配線よりも線幅が必要以上に広くなっていた。そのため、上下配線間の交差面積が広くなっており、上下配線間の相互干渉による結合容量が増大するといった不具合が発生していた。
【0008】従って、本発明は上層配線の線幅面積を減少させて、上下配線間の相互干渉による不具合を低減する多層配線構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の多層配線構造は上記の課題に鑑みてなされたものであり、半導体基板1上に形成された第1の配線7を覆うTEOS膜から成る第1の層間絶縁膜8と、該第1の層間絶縁膜8を隔てて前記第1の配線7にコンタクトする第2の配線9と、該第2の配線9を覆うTEOS膜から成る第2の層間絶縁膜10と、該第2の層間絶縁膜10を隔てて前記第2の配線9にコンタクトする第3の配線11と、該第3の配線11を覆うシリコン窒化膜13とポリイミド系絶縁膜14から成るパッシベーション膜12とを具備し、前記第3の配線11には、相互干渉を起こし易い映像信号に用いられているクロマ系信号や同期信号やシリアルコントロール信号等が流れていることを特徴とするものである。また、下地の層間絶縁膜として軟質なポリイミド系絶縁膜に代えて硬質なCVD酸化膜が用いられたことで、第3の配線11のパターニング時に、従来のウエット手法に代えてドライ手法によるエッチングが可能になり、配線線幅を適正化することができ、上下配線間の交差面積が減少し、結合容量の低減化が図られたことを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の多層配線構造の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】なお、本実施形態の特徴は、配線のパターニング時にドライエッチングに耐えられないポリイミド絶縁膜を含まない層間絶縁膜を用いることで、上層配線の線幅を最適化でき、上下配線間の交差面積を減少させ、上下配線間の相互干渉による不具合を低減するものである。また、このような最適化された上層配線には、映像信号に用いられているクロマ系信号(3.58MHz,4.43MHz)等の比較的高い周波数の信号を流すことで、この高い周波数の漏れによる特性劣化を抑制するものである。
【0012】図1において、1は一導電型、例えばP型の半導体基板、2は半導体基板1の表面に形成したN型の工ピタキシャル層、3はN+埋め込み層、4はP+分離領域、5はP型又はN型の拡散領域である。分離領域4で囲まれたエピタキシャル層2には各々にトランジスタなどの回路素子が形成されている。
【0013】6はエピタキシャル層2表面を被覆するシリコン酸化膜で、CVD酸化膜、熱酸化膜などから成る。酸化膜6には拡散領域5表面の一部を露出するコンタクトホールが設けられており、酸化膜6上を延在する第1の配線7が前記コンタクトホールを介して拡散領域5表面にオーミックコンタクトする。
【0014】前記第1の配線7の上部は第1の層間絶縁膜8で被覆されている。第1の層間絶縁膜8は膜厚が10000Å程度のCVD酸化膜としてのTEOS(Tetra ethy1 orthosilicate)膜から成り、該第1の層間絶縁膜8には第1の配線7の表面を露出するコンタクトホールが設けられており、第1の層間絶縁膜8上を延在する第2の配線9が前記コンタクトホールを介して第1の配線7とコンタクトしている。
【0015】また、第2の配線9の上部は第2の層間絶縁膜10で被覆されている。第2の層間絶縁膜10は、膜厚10000Å程度のTEOS膜から成り、該第2の層間絶縁膜10には第2の配線9の表面を露出するコンタクトホールが設けられており、第2の層間絶縁膜10上を延在する第3の配線11が前記コンタクトホールを介して第2の配線9とコンタクトしている。
【0016】そして、前記第3の配線11の上部を被覆するようにパッシベーション膜12が形成されている。該パッシベーション膜12は膜厚5000Å程度のシリコン窒化膜13と、膜厚20000Å程度のポリイミド系絶縁膜14から成り、パッシベーション膜12にはボンディングパッド部分の開口が設けられ、樹脂モールドされて、半導体装置が完成する。
【0017】ここで、前記第3の配線11の下地膜としての層間絶縁膜10がドライエッチングに耐えられないポリイミド絶縁膜ではなく、硬質のTEOS膜であるため、第3の配線11のパターニングがドライエッチングで耐えられるようになり、従来のポリイミド絶縁膜に対応したウェット手法に比してパターニング後の線幅を適正化し易いため、上下配線間の交差面積を減少させることができ、上下配線間の相互干渉による不具合の低減化を図ることができる。
【0018】また、このような最適化された第3の配線11に対して、映像信号に用いられているクロマ系信号(3.58MHz,4.43MHz)等の比較的高い周波数の信号を流すことで、この高い周波数の漏れによる特性劣化を抑制することができる。
【0019】更に、第3の配線11に対して、映像系の同期信号やシリアルコントロール等の高周波成分を多く含むパルス信号を流すものでも良い。
【0020】
【発明の効果】以上、本発明によれば、下地に軟質なポリイミド絶縁膜を用いないCVD酸化膜から成る層間絶縁膜構造としたことで、上層配線のパターニング形成をウエット手法からドライ手法のエッチングで行えるため、上層配線の線幅を適正化でき、下層配線との交差面積を減少させることができ、相互干渉による不具合の低減化が図れる。そして、このような最適化された上層配線に対して、映像信号に用いられているクロマ系信号や同期信号、更にはシリアルコントロール信号等の比較的高い周波数の信号を流すことで、この高い周波数の漏れによる特性劣化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層配線構造の一実施形態を示す断面図である。
【図2】従来の多層配線構造の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 半導体基板上の下層配線を被覆するCVD酸化膜から成る下層の層間絶縁膜と、前記下層の層間絶縁膜を隔てて前記下層配線にコンタクトする上層配線と、前記上層配線を被覆するシリコン窒化膜とポリイミド系絶縁膜から成るパッシベーション膜とを具備した多層配線構造において、前記上層配線には映像信号に用いられているクロマ系信号等の比較的高い周波数の信号が流れていることを特徴とする多層配線構造。
【請求項2】 半導体基板上の下層配線を被覆するCVD酸化膜から成る下層の層間絶縁膜と、前記下層の層間絶縁膜を隔てて前記下層配線にコンタクトする上層配線と、前記上層配線を被覆するシリコン窒化膜とポリイミド系絶縁膜から成るパッシベーション膜とを具備した多層配線構造において、前記上層配線には、映像系の同期信号やシリアルコントロール信号等の高周波成分を含むパルス系信号が流れていることを特徴とする多層配線構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2000−114371(P2000−114371A)
【公開日】平成12年4月21日(2000.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−285182
【出願日】平成10年10月7日(1998.10.7)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】