説明

多核マイクロカプセル

多相乳液の油/水の界面でアルコキシシランを重合させて、多核マイクロカプセルの懸濁液を形成することにより多核マイクロカプセルを調製する方法を開示する。また、親水性活性物質を場合によって含む、多核マイクロカプセルおよびその使用を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2006年12月28日に出願された米国出願第60/877583号の米国特許法第119条(e)に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は、多核マイクロカプセルと、多相乳液の油/水の界面でアルコキシシランを重合させて多核マイクロカプセルの懸濁液を形成することにより多核マイクロカプセルを調製する方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
化粧品/医薬の活性物質を保護および送達するため、または酵素および細胞等の生物製剤の生物活性を保護するすなわち安定化のための方法として、当技術分野において記載されたカプセル封入技術は僅かしかない。
【0004】
当技術分野において、ある技術は、親水性である化粧品、化学、生物または医薬の活性材料組成物を、リポソームまたは小胞構造の中に捕捉することである。それらの構造一体性は、界面活性剤の存在に敏感であることが知られている。別の捕捉技術は、親水性である化粧品、化学、生物または医薬の活性材料組成物を、水中油中水(W/O/W)型多重乳液中にカプセル封入することである。例えば、EP0120967B1には、食用のW/O/W型油および脂肪の組成物を製造する方法が記載されている。その油相はアルコキシシラン組成物ではない。EP0174377B2には、医療および化粧品の用途のためのW/O/W型複合乳液を製造する方法が記載されている。
【0005】
WO-A-98/31333には、日焼け止めを添加したゾル-ゲル材料と、少なくとも1種の日焼け止め成分の存在下での金属または半金属のアルコキシドまたはエステルの縮合重合を含み、形成されたゾル-ゲルマトリックス内に日焼け止め成分を捕捉させるそれらの調製方法とが記載されている。
【0006】
米国特許第6303149号には、ゾル-ゲル前駆物質および官能性分子を水溶液中で乳化し、その乳液を酸性、中性または塩基性の水溶液と混合してマイクロカプセルの懸濁液を得ることにより、官能性分子を積んだゾル-ゲルマイクロカプセルを調製する方法が記載されている。
【0007】
EP-A-281034には、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)等の金属アルコキシドから調製される有機ポリマーのマトリックス中にカプセル封入および/または包接された香料が記載されている。香料およびTEOSの水性分散液または水溶液を、酸触媒で処理して加水分解を引き起こし、次いで塩基触媒で処理してゲルへの重合を引き起こす。
【0008】
EP-A-934773には、そのカプセル壁が、式中、m=1〜4であり、n=0〜3であり、RはC原子がSi原子に直接結合している有機基を表し、Yはアルコキシ基、Hまたはシロキシ基である、式RnSi(OH)mY(4-m-n)の化合物を縮合させることにより合成される有機ポリシロキサンを含むマイクロカプセルが記載されている。
【0009】
WO-A-01/80823には、コアシェル構造を有する直径0.1〜100μMのマイクロカプセルを含む、治療上または化粧品の組成物が記載されている。コアは、少なくとも1種の活性物質を含む。シェルは、ゾル-ゲル法により得られる無機ポリマーを含み、局所投与後に活性物質を放出する。
【0010】
WO-A-03/066209には、テトラアルコキシシランの乳液重合生成物から得られるシェル内にカプセル封入された、親油性である化粧品、化学または医薬の活性材料組成物を製造する方法が記載されている。これらのマイクロカプセルの製造方法は、分散媒を除去しないワンケトル法である。
【0011】
WO-A-03/066209には、出発のカチオン性乳液中での、テトラアルコキシシランおよび界面活性剤濃縮液からの、ex-situ乳化重合によるカプセル封入法が記載されている。
【0012】
FR2876028A1には、沈殿シリカ中への、植物抽出物のカプセル封入が記載されている。この方法は、親水性である化粧品、化学、生物または医薬の活性材料組成物のカプセル封入には適していない。
【0013】
JP2004331617A2およびJP2003238342A2には、化粧品のための、シリル化ペプチド-シラン化合物共重合体を含有するW/O型乳液組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国出願第60/877583号
【特許文献2】EP0120967B1
【特許文献3】EP0174377B2
【特許文献4】WO-A-98/31333
【特許文献5】米国特許第6303149号
【特許文献6】EP-A-281034
【特許文献7】EP-A-934773
【特許文献8】WO-A-01/80823
【特許文献9】WO-A-03/066209
【特許文献10】FR2876028A1
【特許文献11】JP2004331617A2
【特許文献12】JP2003238342A2
【特許文献13】米国特許第4122029号
【特許文献14】米国特許第4853474号
【特許文献15】米国特許第5811487号
【特許文献16】米国特許第5035832号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
生物製剤の生物活性は、それらが用いられる条件に非常に敏感である。それらの堅牢性を改善する多くの試みがなされてきた。ある試みは、表面への共有結合による、生物製剤の固定化からなる。しかし、固定化は、著しい生物学的損失につながることがあり、生物活性の損失を遅らせるだけである。
【0016】
最近の取組みは、表面上にコーティングされたゾル-ゲルマトリックス中に生物製剤をカプセル封入することからなる。この取組みを用いることのいくつかの欠点は、ゾル-ゲル工程の間のマトリックスの収縮が、酵素の分子構造と、したがってその活性とに影響することがあることである。さらに、コーティングにより、カプセル封入された生物製剤、および反応槽中に存在する基質との間の交換のための表面が制限される。
【0017】
これらの前述の方法の多くは、用いられる条件または技術のために、親水性材料のカプセル封入には適していない。さらに、前述の方法により形成されたカプセルは、長期にわたり疎水性材料を捕捉すること、または生物製剤等の親水性材料の安定性を改善することに適したカプセルを提供しない。したがって、化粧品、化学、生物または医薬の活性材料組成物等の親水性材料をカプセル封入し、カプセル封入された材料により、安定性、または疎水性材料を捕捉する能力が改善されている方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、親水性活性物質の多相乳液の油/水の界面でアルコキシシランを重合させて、改善された安定性を有する組成物をもたらす、化粧品、化学、生物または医薬の活性材料等の親水性材料をカプセル封入するのに有用である多核マイクロカプセルを形成することにより、安定な組成物を生成する改善されたカプセル封入方法を見出した。
【0019】
本発明は、外部カプセルが、外部シェル、および複数の内部カプセルを含み、それぞれの内部カプセルが、内部シェルおよび水相コアを含み、外部シェルおよび内部シェルが、シリカまたは有機官能性シリカをさらに含む外部カプセルを含む多核マイクロカプセルに関する。
【0020】
本発明は、外部カプセルが、外部シェル、および複数の内部カプセルを含み、それぞれの内部カプセルが、内部シェルおよび水相コアを含み、外部シェルおよび内部シェルが、シリカまたは有機官能性シリカをさらに含む外部カプセルを含む多核マイクロカプセルに関し、シリカまたは有機官能性シリカは、多相乳液の油/水の界面での、アルコキシシランまたはアルコキシシラン混合物の重合からの反応生成物を含む。
【0021】
本発明は、外部カプセルが、外部シェル、および複数の内部カプセルを含み、それぞれの内部カプセルが、内部シェルと、親水性活性物質を含む水相コアとを含み、外部シェルおよび内部シェルが、シリカまたは有機官能性シリカをさらに含む外部カプセルを含む多核マイクロカプセルに関する。
【0022】
本発明は、外部カプセルが、外部シェル、および複数の内部カプセルを含み、それぞれの内部カプセルが、内部シェルと、親水性活性物質を含む水相コアとを含み、外部シェルおよび内部シェルが、シリカまたは有機官能性シリカをさらに含む外部カプセルを含む多核マイクロカプセルに関し、シリカまたは有機官能性シリカは、多相乳液の油/水の界面での、アルコキシシランまたはアルコキシシラン混合物の重合からの反応生成物を含む。
【0023】
本発明は、少なくとも1種の薬学的に許容できる担体、アジュバントまたは希釈剤に関連する、本発明の多核マイクロカプセルを含む組成物にも関する。
【0024】
本発明は、親水性活性物質を安定化するための、本発明の多核マイクロカプセルの使用にも関する。
【0025】
本発明は、
I)A)第1の乳化剤、
B)アルコキシシラン、
C)場合によって親水性活性物質
を、十分な水または水溶性溶媒と混合して、分散媒中にアルコキシシランを有する乳液を形成することと、
II)分散媒中にアルコキシシランを有するこの乳液に、
D)第2の乳化剤を混合して、多相乳液を形成することと、
III)この多相乳液の油/水の界面でアルコキシシランを重合して、多核マイクロカプセルの懸濁液を形成することと
を含む多核マイクロカプセルの調製方法にも関する。
【0026】
本発明は、本方法により調製される、マイクロカプセルとマイクロカプセルの懸濁液とにも関する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の代表的な多核マイクロカプセルの図版である。
【図2】本発明の代表的な多核マイクロカプセルを示す顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
アルキルは、直鎖のまたは分岐した炭化水素ラジカルを意味する。炭素原子数は、例えば「C1〜C5」のように表され、アルキルラジカルが、1から5個の炭素原子を有することを示す。
【0029】
アルキレンは、不飽和脂肪炭化水素、例えばエチレンから形成される有機ラジカルを意味する。
【0030】
捕捉されるとは、多核マイクロカプセル中にカプセル封入された親水性活性物質が、多核マイクロカプセルの中または外に自由に拡散できないことを意味する。
【0031】
有機官能性シリカは、1種もしくは複数のテトラアルコキシシランと1種もしくは複数のトリアルコキシシラン、ジアルコキシシランもしくはモノアルコキシシランとの混合物の重合から得られる反応生成物、またはトリアルコキシシラン、ジアルコキシシランもしくはモノアルコキシシランの任意の組合せの混合物の重合から得られる反応生成物である。
【0032】
体積粒径は、所与の粒子と同じ体積を有する球の直径に等しい。
【0033】
「親水性材料」および「親水性活性物質」の用語は、同義的に用いられる。
【0034】
安定化は、生物製剤の失活を防ぐまたは遅らせることを意味する。例えば、カプセル封入されていない場合より長い時間間隔の間、生物製剤の活性が維持されるとき、カプセル封入された生物製剤は安定化されている。
【0035】
略語
TMOS テトラメトキシシラン
TEOS テトラエトキシシラン
ml ミリリットル
μm マイクロメートル
g グラム
mM ミリモル
【0036】
本発明のある実施形態は、多核マイクロカプセルの調製方法である。多核マイクロカプセルを調製するための、本発明の方法の、ステップIは、
A)第1の乳化剤、
B)アルコキシシラン、
C)親水性活性物質
を水と混合して、分散媒中にアルコキシシランを有する乳液を形成することを含む。
【0037】
この方法のステップIIは、分散媒中にアルコキシシランを有するこの乳液に、
D)第2の乳化剤
を混合して、多数の油/水の界面を有する多相乳液を形成することを含む。
【0038】
ステップIIIは、この多相乳液の油/水の界面でアルコキシシランを重合して、多核マイクロカプセルの懸濁液を形成することを含む。
【0039】
A)第1の乳化剤
成分A)は、水性または親水性の相と疎水性の相との間の界面で配向することができる任意の分子または粒子であることができ、生成した乳液は、分散媒としての疎水性の相を有する(例えば、油中水または逆相の乳液)。水性または親水性の相は、親水性である化粧品、化学、生物または医薬の活性材料を含有することもできる。適切な第1の乳化剤を、HLB≦8を有する非イオン性界面活性剤等の、水/油または水/シリコーンの乳化剤であるとみなされる界面活性剤分子から選択することができる。いくつかの代表的な例には、シリコーンポリエーテル、アミノ官能性シリコーン、ソルビタン誘導体、アルコキシル化アルコール、アルコキシル化アミド、trans-エステル、ラノリン誘導体、アミノ酸誘導体、アルコキシル化カルボン酸誘導体、アルコキシル化アミン、高分子エーテル誘導体、グリセリルエステルおよび誘導体、多糖誘導体が挙げられるが、それらに限定されるものではない。このような乳化剤には、ヒュームドシリカもしくはコロイドシリカ、処理済粘土、またはラポナイト等の合成粘土等の処理済シリカに限定されるものではないがそれらを含む、処理済または未処理の粒子が挙げられる。
【0040】
成分A)は、水/油または水/シリコーンの乳化剤として一般に分類される任意の乳化剤から選択され得る。
【0041】
本発明のある実施形態において、少なくとも1種の親水性置換基を有する有機ポリシロキサンは、シリコーンポリエーテルから選択される。シリコーンポリエーテル(SPE)は、多くの異なる構造の形をとり得る、ポリエーテルまたはポリオキシアルキレンの基を含有するシリコーンを一般に指す。一般にこのような形は、Pt触媒の存在下でSiH官能性有機シロキサンをアリロキシ官能性ポリエーテルによりヒドロシリル化することから最も一般的に得られる、レーキ型またはABA型のいずれかのSPEsである。この実施形態において、成分(A)は、
【0042】
【化1】

【0043】
により表される構造を有するシリコーンポリエーテルである。
【0044】
これらの構造において、R1は、(C1〜C6)アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルおよびヘキシルを表し、R2は、-(CH2)aO(C2H4O)b(C3H6O)cR3の基を表し、
xは1〜1000、あるいは1〜500、あるいは100〜500の値を有し、
yは1〜500、あるいは1〜100、あるいは1〜20の値を有し、
zは1〜500、あるいは1〜100の値を有し、
aは3〜6の値を有し、
bは1〜40の値を有し、
cは0〜40の値を有し、
R3は、水素、メチル基、またはアセチル等のアシル基である。
【0045】
米国特許第4122029号に開示されているシリコーンポリエーテルを、成分A)として選択することができ、少なくとも1種のポリジ有機シロキサンのブロックと、少なくとも1種のポリオキシアルキレンのブロックとを含有する、ポリジ有機シロキサンポリオキシアルキレンのブロック共重合体のその教示の故に、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0046】
実例となる、成分A)として有用である非限定的なシリコーンポリエーテルは、式中、Meは、-CH3であり、R'は、3〜40個の炭素原子を含有する-(CH2)3(EO)18(PO)18OHである、
[Me3SiO][Me2SiO]396[MeR'SiO]4[OSiMe3]
である。
【0047】
米国特許第4853474号に開示されているシリコーンポリエーテルを、成分A)として選択することができ、加水分解不可能な結合により結合され、内部に加水分解可能な結合を含まない架橋剤により、有機ポリシロキサン-ポリオキシアルキレンのポリマー分子が意図的に架橋された、非極性液体の乳液中での極性のための有機ポリシロキサン-ポリオキシアルキレン乳化剤のその教示の故に、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0048】
米国特許第5811487号に開示されているもの等のシリコーンポリエーテルエラストマーを、成分A)として選択することができ、成分A)として有用な、エラストマーのシリコーンポリエーテルのその教示の故に、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0049】
別の実施形態において、成分A)は、式中、Meは、-CH3であり、R3は、-(CH2)3NH2、-(CH2)3NH(CH2)2NH2または-CH2CH(CH3)CH2NH(CH2)2NH2等のアミン官能性有機基である、以下の式
[Me3SiO][Me2SiO]1〜1000[MeR3SiO]1〜100[OSiMe3]
により表されるもの等の、アミノ官能性有機ポリシロキサンから選択され得る。
【0050】
第1の乳化剤は、様々な乳化剤、例えば上述のもののいずれかの、組合せまたは混合物でもあり得る。第1の乳化剤には、補助界面活性剤の添加も挙げられ得る。さらに、乳化剤、または乳化剤の混合物をそのまま使用することができる、すなわち、乳化剤を、揮発性シリコーン等の疎水性溶媒に溶解することができる。
【0051】
成分A)として適切な商品には、DC5225C、DC3225C、DC5200、DC9011、DC9040、DC9050、DC8822A(Dow Corning Corp.、Midland、MI 48686)が挙げられるが、それらに限定されるものではない。第1の乳化剤は、ソルビタンイソステアレート、ソルビタンステアレート、ポリグリセリルオレエート、レシチン、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンラウレート、グリセリルモノオレエート、ラノリンおよびラノリンアルコール、PEG-30ジポリヒドロキシステアレート、ステアレス-2、水素化パームグリセリド、ポリグリセリル-3-ジイソステアレート、ポリグリセリル-4-ジイソステアレート、ポリグリセリル-3-ポリリシノレエート、ソルビタンセスキオレエート、PEG-2水素化ヒマシ油、PEG-7水素化ヒマシ油、ポリパーフルオロエトキシメトキシジフルオロメチルジステアルアミド、コレステロール、またはそれらの組合せのような、有機ベースのW/O型乳化剤でもあることができ、このリストに限定されるものではない。
【0052】
B)アルコキシシラン
成分B)は、アルコキシシランである。本明細書において用いられるように、「アルコキシシラン」の用語は、それぞれの化合物が、式中、n=0〜3であり、Rは、有機基を表し、R5は、1個から8個の炭素、または水素を有する炭化水素基である、式RnSi(OR5)(4-n)を有する化合物から独立して選択される、化合物、または化合物の混合物を意味する。アルコキシシランの例には、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシランおよびトリメチルモノメトキシシランが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0053】
C)親水性活性物質
任意選択の成分C)は、親水性活性物質である。
【0054】
親水性活性物質を、水または水溶性溶媒中に溶媒和させることができる。水溶性溶媒には、エタノール等のアルコールが挙げられるが、それに限定されるものではない。
【0055】
親水性活性物質のいくつかの代表例には、薬剤、ビタミン、抗酸化剤、ホルモン、抗生物質等の局所的抗菌剤、抗真菌薬例えば足白癬、たむしまたは白癬および座瘡の治療に用いられるものと、収斂薬と、脱臭剤と、疣除去剤と、鶏眼および胼胝の除去剤と、殺シラミ剤例えば頭、陰部(毛ジラミ)および体のシラミの処理に用いられるものと、フケ、脂漏性皮膚炎または乾癬を抑制するための薬剤と、着色剤例えばFD&C blue No.1、FD&C blue No.2、FD&C green No.3、FD&C red No. 40、FD&C yellow No.5、FD&C yellow No.6と、金属酸化物例えば二酸化チタンまたは酸化鉄と、日焼けの予防薬および治療薬とが挙げられる。
【0056】
本明細書において有用なビタミンには、ビタミンA1、レチノール、レチノールのC2〜C18エステル、ビタミンE、トコフェロール、ビタミンEのエステル、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されるものではない。レチノールには、trans-レチノール、13-cis-レチノール、11-cis-レチノール、9-cis-レチノールおよび3,4-ジデヒドロ-レチノール、ビタミンCおよびその誘導体、ビタミンB1、ビタミンB2、プロビタミンB5、パンテノール、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、葉酸、ビオチンならびにパントテン酸が挙げられる。他の適切なビタミン、および本明細書に含まれるとみなされるビタミンのINCI名は、アスコルビルジパルミテート、アスコルビルメチルシラノールペクチネート、アスコルビルパルミテート、アスコルビルステアレート、アスコルビルグルコシド、リン酸アスコルビルナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、硫酸アスコルビル二ナトリウム、リン酸(アスコルビル/トコフェリル)カリウムである。
【0057】
本明細書における使用に適した市販の製品のいくつかの例は、Fluka Chemie AG、Buchs、SwitzerlandのビタミンAアセテートの製品、COVI-OX T-50、Henkel Corporation、La Grange、IllinoisのビタミンEの製品、COVI-OX T-70、Henkel Corporation、La Grange、Illinoisの別のビタミンEの製品、およびRoche Vitamins & Fine Chemicals、Nutley、New Jerseyの製品、ビタミンEアセテートである。
【0058】
本発明の活性成分C)は、酵素または細胞等の生物製剤であり得る。本発明の多核マイクロカプセル中への、生物製剤、例えば酵素のカプセル封入により、酵素または生物製剤の失活を防ぐまたは遅らせることができ、したがって、カプセル封入されていない場合より長い時間間隔の間、活性が維持される。
【0059】
酵素には、市販の型、改善された型、組換え型、野生の型、天然には見出せない変異体、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されるものではない。例えば、適切な酵素には、ヒドロラーゼ、クチナーゼ、オキシダーゼ、トランスフェラーゼ、レダクターゼ、ヘミセルラーゼ、エステラーゼ、イソメラーゼ、デアミダーゼ、デカルボキシラーゼ、リアーゼ、ペプチダーゼ、ラセマーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、カタラーゼ、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されるものではない。ヒドロラーゼには、プロテアーゼ(細菌、真菌、酸性、中性またはアルカリ性の)、アミラーゼ(アルファまたはベータ)、リパーゼ、マンナナーゼ、セルラーゼ、コラゲナーゼ、リゾチーム、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されるものではない。ペプチダーゼには、サーモリシンおよびtrans-グルタミナーゼが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0060】
プロテアーゼには、トリプシン、キモトリプシン、ペプシン、パンクレアチン、および他の哺乳類酵素と、パパイン、ブロメライン、および他の植物酵素と、サブチリシン、エピデルミン、ナイシン、ナリンギナーゼ(L-ラムノシダーゼ)、ウロキナーゼ、および他の細菌酵素とが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0061】
リパーゼには、トリアシル-グリセロールリパーゼ、モノアシル-グリセロールリパーゼ、リポタンパク質リパーゼ、例えばステアプシン、エレプシン、ペプシン、他の哺乳類、植物、細菌のリパーゼ、および精製されたものが挙げられるが、それらに限定されるものではない。さらに、刺激ホルモン、例えばインスリンは、これらの酵素と一緒に用いられ、それらの有効性を向上させることができる。
【0062】
生物製剤を、様々な天然源から単離することができ、バイオテクノロジーの方法により生成することができる。生物製剤は、糖、タンパク質もしくは核酸、またはそれらの複合的な組合せを含むことができる。生物製剤は、生命体でもあり得る。このような生命体の例には、哺乳類細胞、ならびに真菌、細胞および酵母等の微生物が挙げられるが、それらに限定されるものではない。生物製剤には、哺乳類組織、ならびに細胞核、ミトコンドリアおよびリボソーム等の細胞体も挙げられる。
【0063】
本明細書に記載されている生物製剤には、医療用および非医療用の両方の生物製剤が挙げられる。医療用生物製剤の具体例には、ワクチン、血液および血液成分、アレルゲンならびに治療用生物製剤が挙げられるが、それらに限定されるものではない。治療用生物製剤として有用な生物製剤の具体例には、モノクロナール抗体またはそのフラグメント、組換えタンパク質、RNAi、アプタマーおよびデンドリマー、RNAおよびDNAが挙げられる。
【0064】
非医療用の生物製剤には、工業的な方法または製品において用いられる生物製剤が挙げられる。例えば、洗濯洗剤において使用するための洗剤酵素と、澱粉、織物およびバイオエタノールの工業のための酵素と、酪農、パン焼き、醸造およびワインの工業のための食物酵素と、動物の飼料の工業のための飼料酵素とである。他の非医療用の生物製剤には、クリーニング、汚水処理、水産養殖、および植物の世話において使用するための微生物が挙げられる。生物製剤には、化学反応を触媒するために用いることができるタンパク質も挙げられ、例えば、特別に設計された酵素を、薬剤等の有機分子の合成における等の工業的に関連のある化学反応を触媒するために用いることができる。
【0065】
成分A)、B)およびC)は、水または水溶性溶媒と混合されて、分散媒中にアルコキシシランを有する乳液を形成する。成分A)、B)、C)および水/水溶性溶媒の量は、変化することができるが、一般に、以下のように、それぞれの成分
A)0.1から30、または0.5から20、または1から10、
B)1から99、または10から90、または15から50、
C).01から90、または1から99、または10から90、または50から85、
と、合計が100重量パーセントになるのに十分な水または水溶性溶媒との重量パーセントに基づくような範囲である。
【0066】
本方法におけるステップIIの混合および乳液形成は、当技術分野における任意の既知の技術、特に、油中水、油分散または逆相の乳液の形成に有用なものを用いて起こり得る。一般に、疎水性の相(成分AおよびB)、および親水性の相(成分C、および水または水溶性溶媒)は、単純な攪拌技術を用いて合わせられて、分散媒中に成分B(アルコキシシラン)を有する乳液を形成する。単純な攪拌技術を用いる場合、この段階で、乳液は、「粗い」乳液として一般に分類される粒径を有する。次いで、乳液の粒径は、当技術分野における任意の既知の乳化機を用いてさらに剪断して、「細かい」乳液を生成することにより低減され得る。本発明における有用な乳化機は、静止型ミキサー、ホモジナイザ、ソノレータ、超音波プローブ、ロータ-ステータタービン、コロイドミル、マイクロフルイダイザ、羽根、らせん、およびそれらの組合せであり得るが、乳化機のこのリストに限定されるものではない。このさらなる加工ステップにより、出発の油中水の乳液の粒径は、0.2から500マイクロメートルの範囲の値に低減され、一般的な粒径は0.5マイクロメートルから100マイクロメートルの間の範囲である。
【0067】
親水性の相と、乳液中に分散した疎水性の相との重量比は、一般に40:1から1:50の間である。通常、親水性の相と、疎水性の分散媒との重量比は、4:1から1:4の間である。
【0068】
D)第2の乳化剤
本発明の方法におけるステップIIには、第2の乳化剤を、分散媒中にアルコキシシランを有する乳液に加えて、多相乳液を形成することが含まれる。第2の乳化剤を、当技術分野において既知の任意の乳化剤から選択して、水中油または水分散の乳液を安定化することができる。第2の乳化剤を、単独、または他の乳化剤と組み合わせるかのいずれかで用いることができる。一般に、第2の乳化剤は、カチオン性、非イオン性、アニオン性または両性イオン性の界面活性剤から選択される。一般に、第2の乳化剤の水溶液は、ステップIIにおいて用いられる。
【0069】
本発明における第2の乳化剤として有用なカチオン性界面活性剤は、オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、デシルジメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、ジドデシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、タロートリメチルアンモニウムヒドロキシドおよびココトリメチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウムヒドロキシドの他に、これらの材料の対応する塩例えばセチルトリメチルアンモニウムクロリド、脂肪アミンおよび脂肪酸アミドならびにそれらの誘導体、塩基性ピリジニウム化合物、ベンズイミダゾリンおよびポリプロパノールポリエタノールアミンの第四級アンモニウム塩基であるが、カチオン性界面活性剤のこのリストに限定されるものではない。カチオン性界面活性剤は、Eudragit(登録商標)E100(アクリレート/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体)等のポリマーまたは共重合体でもあり得る。
【0070】
第2の乳化剤を、コカミドプロピルベタイン、ヒドロキシ硫酸コカミドプロピル、ココベタイン、酢酸ココアミドナトリウム、ココジメチルベタイン、N-ココ-3-アミノ酪酸およびイミダゾリニウムカルボキシル化合物等の両性界面活性剤から選択こともできるが、両性界面活性剤のこのリストに限定されるものではない。
【0071】
上記の界面活性剤を、個々にまたは組み合わせて用いることができる。カチオン性または両性の界面活性剤は、水と、ステップIの水中油の乳液の、水性の相、または分散媒の中の成分として用いられる生成した水溶液とに溶解される。
【0072】
適切な非イオン性界面活性剤は、ポリエチレングリコール長鎖(C12〜C14)アルキルエーテルと、ポリオキシアルキレンソルビタンエーテルと、ポリオキシアルキレンアルコキシレートエステルと、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテルと、式(EO)1〜200(PO)1〜200(EO)1〜200のブロック共重合体等のエチレングリコールプロピレングリコール共重合体と、ポリビニルアルコールと、アルキル多糖と等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、例えば、式中、米国特許第5035832号に記載されているように、R1は、直鎖のまたは分岐した(C8〜C50)アルキル基、直鎖のまたは分岐した(C8〜C50)アルケニル基、または(C8〜C50)アルキルフェニル基を表し、R2は、(C8〜C50)アルキレン基を表し、Gは、還元糖を表し、mは0、または正の整数を示し、nは、正の整数を表す、構造R1-O-(R2O)m-(G)nの材料であるが、非イオン性界面活性剤のこのリストに限定されるものではない。他の適切な乳化剤には、ヒュームドシリカもしくはコロイドシリカ、処理済粘土、またはラポナイト等の合成粘土等の処理済シリカに限定されるものではないがそれらを含む、処理済または未処理の粒子が挙げられる。
【0073】
成分Dは、Pemulen(登録商標)TR1、およびPemulen(登録商標)TR2 (アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマー)等の、乳液を安定化させるための、当技術分野において既知のアクリレート共重合体でもあり得る。
【0074】
成分Dは、補助界面活性剤の添加を含む乳化剤の混合物でもあり得る。使用時に、補助界面活性剤は、Laureth-3様のエトキシル化脂肪アルコール等の非イオン性界面活性剤から選択され得る。
【0075】
ステップIからの乳液に加えられる成分Dの量は、変化し得るが、一般に乳液の0.1から20重量%、または乳液の0.25から10重量%、または乳液の0.5から5重量%の範囲である。
【0076】
成分Dは、ステップIからの乳液に加えられ、十分に混合されて、多相乳液を形成する。一般に、ステップIからの乳液は、攪拌しつつ成分Dの水溶液に加えられる。混合技術は重要ではなく、任意の混合法、特に油/水の乳液の形成を果たすための、当技術分野において既知のものであり得る。この混合を果たすのに有用な装置には、静止型ミキサー、ホモジナイザ、ソノレータ、超音波プローブ、ロータ-ステータタービン、コロイドミル、マイクロフルイダイザ、羽根、らせん、およびそれらの組合せが挙げられるが、乳化機のこのリストに限定されるものではない。
【0077】
ステップIIの方法の結果として、多相乳液が形成する。多相乳液は、時として「三相乳液」と呼ばれる。ステップIIにおける多相乳液の形成は、粒子の、既知の顕微鏡観察により確認され得る。
【0078】
本発明の方法におけるステップIIIには、多相乳液の油/水の界面でアルコキシシランを重合させて、多核マイクロカプセルの懸濁液を形成することが含まれる。
【0079】
油/水の界面でのアルコキシシランの重合は、一般に、酸性、中性または塩基性のpHで行われ得る縮合反応である。縮合反応は、一般に、周囲温度および圧力で行われるが、高温、例えば95℃以下で、加圧または減圧、例えば縮合反応の間に生成する揮発性アルコールを取り除くための真空下で行われることがある。縮合反応は、反応混合物の非揮発性含有物により監視され得る。アルコキシシランは、縮合反応の間に揮発性アルコールを生成するであろう。したがって、揮発性含有物は、反応が進行するにつれて化学量論的な相関関係を与えるであろう。非揮発性含有物は、任意の既知の手段、例えば試料が恒量に達するまで反応試料を加熱することにより監視され得る。
【0080】
アルコキシシランの重合を促進するための任意の既知の触媒は、ステップIIIで加えられて、多核マイクロカプセルのシェルを形成し得る。触媒は、好ましくは、油溶性有機金属化合物、例えば有機錫化合物、特にジ有機錫ジエステル、例えばジメチル錫ジ(ネオデカノエート)、ジブチル錫ジラウレートもしくはジブチル錫ジアセテート等の有機錫化合物、あるいはオクタン酸第一錫等のカルボン酸錫、またはテトラブチルチタネート等の有機チタン化合物である。有機錫触媒は、例えば、水反応性ケイ素化合物ベースで0.05から2重量%で用いられ得る。有機錫触媒は、中性のpHで有効な触媒作用を有する利点がある。触媒が、一般に、それが乳化する前に油相成分と混合されるのは、これにより、乳化された油相の液滴の表面で水反応性ケイ素化合物の縮合が促進されるからである。あるいは、触媒は、水反応性ケイ素化合物の添加前、またはテトラアルコキシシランと同時、またはテトラアルコキシシランの添加後に乳液に加えられて、形成したケイ素系ポリマーのシェルを硬化させ、より不透過性にすることができる。しかし、カプセル封入を触媒なしに達成することができる。使用時に、触媒を、不希釈で、または炭化水素、アルコールまたはケトン等の有機溶媒の溶液として、または乳液もしくは懸濁液等の多相系として加えることができる。
【0081】
ステップIIIから形成された多核マイクロカプセルは、一般に、懸濁液中に残存する。水性分散媒は、水混和性有機溶媒を含有することができ、例えば、それは通常、Si-結合アルコキシ基の加水分解により生成されるエタノール等のアルコールを含有する。マイクロカプセルの懸濁液を水系の製剤、例えば懸濁液から多核マイクロカプセルを分離することなく化粧品、化学または医薬の製品の中で用いることに利点があり得る。
【0082】
多くの用途のために、例えば異なる媒体中に続けて分散させるために、多核マイクロカプセルは懸濁液から回収される。多核マイクロカプセル中にカプセル封入された活性物質を、水系の化粧品製剤中に分散させることができる。あるいは、多核マイクロカプセルを、有機溶媒中に、場合によって界面活性剤および/またはポリマー等の添加剤とともに、再分散させることができる。
【0083】
多核マイクロカプセルの回収は、任意の既知の液体除去技術により、例えば噴霧乾燥、スプレーチリング、フィルタリング、オーブン乾燥または凍結乾燥により達せられ得る。
【0084】
したがって、本発明はさらに、上述のような方法により調製されるような、マイクロカプセル懸濁液および単離マイクロカプセルに関する。
【0085】
本発明の多核マイクロカプセルは、例えば、親水性活性物質を捕捉するため、または親水性活性物質のための制御または誘発された送達系のために用いられ得る。本発明の多核マイクロカプセル中への捕捉に適した親水性活性物質には、本発明の方法に関する部分に上述されたものが挙げられる。本発明の実施形態において、多核マイクロカプセルには、ビタミンまたは抗酸化剤が含まれる。別の実施形態において、多核マイクロカプセルには、日焼け止めが含まれる。実施形態において、多核マイクロカプセルは、タンパク質等のより大きい親水性活性物質の捕捉をもたらすが、より小さい分子が多核マイクロカプセルの中および外に自由に拡散することを可能にする。本発明の別の実施形態において、多核マイクロカプセルには生物製剤が含まれる。ある実施形態において、多核マイクロカプセルには治療用生物製剤が含まれる。別の実施形態において、多核マイクロカプセルには細胞が含まれる。別の実施形態において、多核マイクロカプセルには微生物が含まれる。別の実施形態において、マイクロカプセルにはタンパク質が含まれる。例えば、多核マイクロカプセルは、カタラーゼ等の酵素を含み、その基質、H2O2が多核マイクロカプセルの中および外に自由に拡散することを可能にし得る。したがって、別の実施形態において、多核マイクロカプセルには酵素が含まれる。別の実施形態において、多核マイクロカプセルは、親水性活性物質を安定化するために用いられる。別の実施形態において、多核マイクロカプセルは、捕捉されていない分子からの、捕捉された親水性活性物質の分離を促進するために用いられる。別の実施形態において、多核マイクロカプセルは、医薬成分の有効期間を増加させるために用いられる。本発明の別の実施形態において、多核マイクロカプセルは、工業的な方法または製品に用いられる。別の実施形態において、多核マイクロカプセルは、薬剤等の有機分子の合成における等の化学反応を触媒するために用いられる。本発明の別の実施形態において、多核マイクロカプセルは、クリーニング、汚水処理、水産養殖、および植物の世話において用いられる。別の実施形態において、多核マイクロカプセルには、洗剤酵素、食物酵素および飼料酵素が含まれる。
【0086】
本発明の多核マイクロカプセルは、複数の内部カプセルを含む。ある実施形態において、多核マイクロカプセルは、2から10000個の間の内部カプセルを含む。別の実施形態において、多核マイクロカプセルは、2から1000個の間の内部カプセルを含む。別の実施形態において、多核マイクロカプセルは、50から500個の間の内部カプセルを含む。別の実施形態において、多核マイクロカプセルは、100から500個の間の内部カプセルを含む。
【0087】
当業者は、用途次第で、異なる空隙率を有する多核マイクロカプセルを用いることが望ましいことがあるのを認識するであろう。例えば、親水性活性物質のカプセル封入が、例えば、表面、例えば肌または織物と直接接触することを防ぐために望ましい場合、低い空隙率を有するのが望ましいことがある。この場合、より低い水と油との比率を用いて、所望の空隙率を得ることができる。
【0088】
対照的に、親水性活性物質がカプセル封入されているが、用途が、低分子量の分子が多核マイクロカプセルの中および外に拡散できることを必要とする場合、より高い程度の空隙率を有するのが望ましいことがある。この場合、より高い水と油との比率を用いて、所望の空隙率を得ることができる。
【0089】
当業者は、多核マイクロカプセルの空隙率を、テトラアルコキシシランに加えてまたは代わりに、トリアルコキシシラン、ジアルコキシシランおよびモノアルコキシシランを用いることにより制御することもできるのも認識するであろう。
【0090】
空隙率を、単独または組合せの任意の上記の方法により制御することができる。上記の例は、実例となるものであるが、限定することを意図するものではない。
【0091】
本発明の多核マイクロカプセルの平均体積粒径は、0.05μmから1000μmの間、または0.5μmから1000μmの間、または1μmから500μmの間、または5から100μmの間、または10μmから50μmの間、または0.5μmから20μmの間、または0.05μmから20μmの間である。
【0092】
マイクロカプセルの粒径を、マイクロカプセルの懸濁液のレーザー回折により測定する。適切なレーザー回折技術は、当技術分野において周知のものである。粒径は、粒径分布(PSD)から得られる。PSDを、体積、表面、長さのベースで判定することができる。体積粒径は、所与の粒子と同じ体積を有する球の直径に等しい。Dvの用語は、多核マイクロカプセルの平均体積粒径を表す。Dv0.5は、累積粒子群の50%に相当する体積で測定される粒径である。言い換えれば、Dv0.5=10μmの場合、粒子の50%が、10μm未満の平均体積粒径を有し、粒子の50%が、10μmを超える平均体積粒径を有する。別途示されなければ、すべての平均体積粒径は、Dv0.5を用いて算出される。
【0093】
(実施例)
以下の実施例は、当業者に本発明を例示することを意図したものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0094】
本発明の方法を以下の実施例において用いて、本発明の多核マイクロカプセルを調製した。これらの実施例は、親水性活性物質、例えば酵素が捕捉され得ることと、捕捉された親水性活性物質の活性、例えば酵素の活性が、本発明の多核マイクロカプセル中にカプセル封入される場合に安定化されることとを示している。
【0095】
実施例1〜18の実験結果は、様々な条件下で、カプセル封入されたカタラーゼ酵素の活性が、カプセル封入されていない酵素の活性より長い時間間隔の間維持されたことを示している。
【0096】
別途示されなければ、すべての測定および実験を23℃で行った。アルコキシシランの加水分解および縮合はpHに大きく依存していることは、当技術分野において周知であるので、カプセル封入は、例えば酵素の拡散、活性および安定化へのpHの影響を測定するために、3つの異なるpHで行われた。
【0097】
(実施例1)
まず、Dow Corning(登録商標)5225c Formulation aid(Dow Corning Corporation、Midland MI)5gを、テトラエトキシシラン(TEOS)25gと混合した。次いで、pH4.5の水70gを加え混合して、分散媒中にTEOSを有する粗い乳液(すなわち、逆相乳液)を形成した。次いで、粗い逆相乳液を、さらに、ロータ/ステータ型ミキサー(IKA(登録商標)Ultra-Turrax Basic 25)により、9500rpmで1分間剪断して、粒径を減少させ、細かい逆相乳液を形成した。次いで、細かい逆相乳液20gを、1重量%セチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)と1.25重量%のLaureth 3の界面活性剤との水溶液(pH=4.5)20gと、Hauschild型AM 501ミキサーを用いて20秒間混合して、水分散の乳液を形成させた。混合物中のTEOSを、pH4.5にて10時間で完全に加水分解および縮合させて、18.6マイクロメートルの平均体積粒径(Dv0.5)を有する多核マイクロカプセルの懸濁液を形成させた。
【0098】
(実施例2)
まず、Dow Corning(登録商標)5225c Formulation aid(Dow Corning Corporation、Midland MI)5gを、テトラエトキシシラン(TEOS)25gと混合した。次いで、NaCl0.07gを含有するpH4.5の水70gを加え混合して、分散媒中にTEOSを有する粗い乳液、すなわち逆相乳液を形成した。次いで、粗い逆相乳液を、さらに、ロータ/ステータ型ミキサー(IKA(登録商標)Ultra-Turrax Basic 25)により、9500rpmで1分間剪断して、粒径を減少させ、細かい逆相乳液を形成した。次いで、細かい逆相乳液20gを、1重量%セチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)と1.25重量%のLaureth 3との水溶液(pH=4.5)20gと、Hauschild型AM 501ミキサーを用いて20秒間混合して、水分散の乳液を形成させた。生成した乳液中のTEOSを、pH4.5にて10時間で完全に加水分解および縮合させて、11.6マイクロメートルの平均体積粒径(Dv0.5)を有する多核マイクロカプセルの懸濁液を形成させた。
【0099】
(実施例3)
まず、Dow Corning(登録商標)5225c Formulation aid(Dow Corning Corporation、Midland MI)5gを、テトラエトキシシラン(TEOS)25gと混合した。次いで、ビタミンC0.35gを含有するpH4.5の水70gを加え混合して、分散媒中にTEOSを有する粗い乳液(すなわち、逆相乳液)を形成した。次いで、粗い逆相乳液を、さらに、ロータ/ステータ型ミキサー(IKA(登録商標)Ultra-Turrax Basic 25)により、9500rpmで1分間剪断して、粒径を減少させ、細かい逆相乳液を形成した。次いで、細かい逆相乳液20gを、1重量%セチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)と1.25重量%のLaureth 3との水溶液(pH=4.5)20gと、Hauschild型AM 501ミキサーを用いて20秒間混合して、水分散の乳液を形成させた。生成した乳液中のTEOSを、pH4.5にて10時間で完全に加水分解および縮合させて、20.4マイクロメートルの平均体積粒径(Dv0.5)を有する多核マイクロカプセルの懸濁液を形成させた。
【0100】
(実施例4)
まず、Dow Corning(登録商標)5225c Formulation aid(Dow Corning Corporation、Midland MI)5gを、テトラエトキシシラン(TEOS)25gと混合した。次いで、カタラーゼ酵素0.35gを含有するpH4.5の水70gを加え混合して、分散媒中にTEOSを有する粗い乳液(すなわち、逆相乳液)を形成した。次いで、粗い逆相乳液を、さらに、ロータ/ステータ型ミキサー(IKA(登録商標)Ultra-Turrax Basic 25)により、9500rpmで1分間剪断して、粒径を減少させ、細かい逆相乳液を形成した。次いで、細かい逆相乳液20gを、1重量%セチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)と1.25重量%のLaureth 3との水溶液(pH=4.5)20gと、Hauschild型AM 501ミキサーを用いて20秒間混合して、水分散の乳液を形成させた。生成した乳液中のTEOSを、pH4.5にて10時間で完全に加水分解および縮合させて、18マイクロメートルの平均体積粒径(Dv0.5)を有する多核マイクロカプセルの懸濁液を形成させた。
【0101】
(実施例5)
まず、Dow Corning(登録商標)5225c Formulation aid(Dow Corning Corporation、Midland MI)5gを、テトラエトキシシラン(TEOS)25gと混合した。次いで、ウシ血清アルブミン(BSA)タンパク質0.35gを含有するpH4.5の水70gを加え混合して、分散媒中にTEOSを有する粗い乳液、すなわち逆相乳液を形成した。次いで、粗い逆相乳液を、さらに、ロータ/ステータ型ミキサー(IKA(登録商標)Ultra-Turrax Basic 25)により、9500rpmで1分間剪断して、粒径を減少させ、細かい逆相乳液を形成した。次いで、細かい逆相乳液20gを、1重量%セチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)と1.25重量%のLaureth 3との水溶液(pH=4.5)20gと、Hauschild型AM 501ミキサーを用いて20秒間混合して、水分散の乳液を形成させた。生成した乳液中のTEOSを、pH4.5にて10時間で完全に加水分解および縮合させて、27.5マイクロメートルの平均体積粒径(Dv0.5)を有する多核マイクロカプセルの懸濁液を形成させた。
【0102】
(実施例6)
まず、Dow Corning(登録商標)5225c Formulation aid(Dow Corning Corporation、Midland MI)5gを、テトラエトキシシラン(TEOS)25gと混合した。次いで、pH4.5の水70gを加え混合して、分散媒中にTEOSを有する粗い乳液(すなわち、逆相乳液)を形成した。次いで、粗い逆相乳液を、さらに、ロータ/ステータ型ミキサー(IKA(登録商標)Ultra-Turrax Basic 25)により、9500rpmで1分間剪断して、粒径を減少させ、細かい逆相乳液を形成した。重合反応を、TEOSの加水分解および縮合の間に生成するシリカを測定することにより監視した。非揮発性含有物を、任意の既知の手段により監視することができる。これらの実施例において、反応試料を熱オーブン中に置き、恒量に到達させた。TEOSの40%をシリカに加水分解、縮合させた後、乳液20gを、1重量%セチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)と1.25重量%のLaureth 3との水溶液(pH=4.5)20gと、Hauschild型AM 501ミキサーを用いて20秒間混合して、水分散の乳液を形成させた。混合物中の残存TEOSを、pH4.5にて10時間で完全に加水分解および縮合させて、14.2マイクロメートルの平均体積粒径(Dv0.5)を有する多核マイクロカプセルの懸濁液を形成させた。
【0103】
(実施例7)
まず、Dow Corning(登録商標)5225c Formulation aid(Dow Corning Corporation、Midland MI)5gを、テトラエトキシシラン(TEOS)25gと混合した。次いで、pH4.5の水70gを加え混合して、分散媒中にTEOSを有する粗い乳液、すなわち逆相乳液を形成した。次いで、粗い逆相乳液を、さらに、ロータ/ステータ型ミキサー(IKA(登録商標)Ultra-Turrax Basic 25)により、9500rpmで1分間剪断して、粒径を減少させ、細かい逆相乳液を形成した。重合反応を、実施例6におけるように監視した。TEOSの80%をシリカに加水分解、縮合させた後、乳液20gを、1重量%セチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)と1.25重量%のLaureth 3との水溶液(pH=4.5)25gと、Hauschild型AM 501ミキサーを用いて20秒間混合して、水分散の乳液を形成させた。混合物中の残存TEOSを、pH4.5にて5時間で完全に加水分解および縮合させて、33.3マイクロメートルの平均体積粒径(Dv0.5)を有する多核マイクロカプセルの懸濁液を形成させた。
【0104】
(実施例8)
まず、Dow Corning(登録商標)5225c Formulation aid(Dow Corning Corporation、Midland MI)6gを、テトラエトキシシラン(TEOS)20gと混合した。次いで、カタラーゼ酵素0.2gを含有するpH4.5の水50gを加え混合して、分散媒中にTEOSを有する粗い乳液(すなわち、逆相乳液)を形成した。カタラーゼは、Sigma-Aldrich Corp、St. Louis Missouriから、2000〜5000単位/mgを有する凍結乾燥粉末として購入した。1単位は、pH7にて25℃で1分あたりH2O21.0μモルを分解するであろう酵素量であり、H2O2濃度は、A240の減少速度により測定され、10.3から9.2mMに入る。次いで、粗い逆相乳液を、さらに、ロータ/ステータ型ミキサー(IKA(登録商標)Ultra-Turrax Basic 25)により、9500rpmで1分間剪断して、粒径を減少させ、細かい逆相乳液を形成した。次いで、細かい逆相乳液を、PLURONIC(登録商標)F127(BASF Corp、3000 Continental Drive-North、Mount Olive、NJ 07828-1234により販売されている、式(EO)98(PO)67(EO)98を有するエチレングリコールプロピレングリコールブロック共重合体)1.25gの水溶液(pH=7)100gと、Hauschild型AM 501ミキサーを用いて20秒間混合して、水分散の乳液を形成させた。生成した乳液中のTEOSを、pH7にて15時間で完全に加水分解および縮合させて、17.6マイクロメートルの平均体積粒径(Dv0.5)を有する多核マイクロカプセルの懸濁液を形成させた。
【0105】
懸濁液の外部水相中に存在するカタラーゼ酵素を、当技術分野において周知であるビウレットタンパク質検定法により検定した。手短に、未知のカタラーゼ濃度の試料を、分散媒から多核マイクロカプセルを分離した後に得る。標準的な試料は、ウシ血清アルブミン(Merck)を、1リットルあたり0.5、1、2、3、4および5グラム用いて調製される。1mlの試料または標準溶液を、2mlのBioquant(登録商標)試薬、Merck KGaA、Darmstadtに加える。試料を、室温で30分間混合しインキュベートする。試料を1センチメートルのプラスチックのキュベットに入れ、546nmの吸収を、2度蒸留した水のブランクに対して測定する。試料中のカタラーゼ量を、標準溶液の測定からもたらされる標準曲線の比較により判定する。
【0106】
ビウレット検定により判定されるように、カタラーゼは外部水相の中に検出されず、すべてのカタラーゼは多核マイクロカプセルの内部に捕捉されたことが示された。ビウレット検定を用いて、カタラーゼの拡散を長期にわたって監視した。49日間にわたり、拡散は観察されなかった。
【0107】
(実施例9)
まず、Dow Corning(登録商標)5225c Formulation aid(Dow Corning Corporation、Midland MI)6gを、テトラエトキシシラン(TEOS)20gと混合した。次いで、ウシ血清アルブミン(BSA)0.2gを含有するpH4.5の水50gを加え混合して、分散媒中にTEOSを有する粗い乳液、すなわち逆相乳液を形成した。次いで、粗い逆相乳液を、さらに、ロータ/ステータ型ミキサー(IKA(登録商標)Ultra-Turrax Basic 25)により、9500rpmで1分間剪断して、粒径を減少させ、細かい逆相乳液を形成した。次いで、細かい逆相乳液を、PLURONIC(登録商標)F127(BASF Corp、3000 Continental Drive-North、Mount Olive、NJ 07828-1234)1.25gの水溶液(pH=7)100gと、Hauschild型AM 501ミキサーを用いて20秒間混合して、水分散の乳液を形成させた。生成した乳液中のTEOSを、pH7にて15時間で完全に加水分解および縮合させて、22.5マイクロメートルの平均体積粒径(Dv0.5)を有する多核マイクロカプセルの懸濁液を形成させた。
【0108】
実施例8において記載されているように、懸濁液の外部水相の中に存在するウシ血清アルブミン(BSA)を、ビウレット検定により検定した。BSAは外部水相の中に検出されず、すべてのBSAは多核マイクロカプセルの内部に捕捉されたことが示された。ビウレット検定を用いて、BSAの拡散を長期にわたって監視した。49日間にわたり、拡散は観察されなかった。
【0109】
(実施例10)
まず、Dow Corning(登録商標)8822A polymer(Dow Corning Corporation、Midland MI)3gを、テトラエトキシシラン(TEOS)20gと混合した。次いで、カタラーゼ酵素0.2gを含有するpH4の水50gを加え混合して、分散媒中にTEOSを有する粗い乳液、すなわち逆相乳液を形成した。次いで、粗い逆相乳液を、さらに、ロータ/ステータ型ミキサー(IKA(登録商標)Ultra-Turrax Basic 25)により、9500rpmで1分間剪断して、粒径を減少させ、細かい逆相乳液を形成した。次いで、細かい逆相乳液を、PLURONIC(登録商標)F127(CTACではない)1.25gの水溶液(pH=7)100gと、Hauschild型AM 501ミキサーを用いて20秒間混合して、水分散の乳液を形成させた。生成した乳液中のTEOSを、pH7にて15時間で完全に加水分解および縮合させて、28.6マイクロメートルの平均体積粒径(Dv0.5)を有する多核マイクロカプセルの懸濁液を形成させた。
【0110】
実施例8において記載されているように、懸濁液の外部水相の中に存在するカタラーゼ酵素を、ビウレット検定により検定した。カタラーゼは外部水相の中に検出されず、すべてのカタラーゼは多核マイクロカプセルの内部に捕捉されたことが示された。ビウレットタンパク質検定を用いて、カタラーゼの拡散を長期にわたって監視した。49日間にわたり、拡散は観察されなかった。
【0111】
(実施例11)
まず、Dow Corning(登録商標)5225c Formulation aid(5225c)6gを、テトラエトキシシラン(TEOS)20gと混合した。次いで、ポリエチレングリコール(Polyethylene Glycol 400)50gを、5225C/TEOS混合物中に混合して、TEOSの逆相乳液中に粗いポリエチレングリコールを形成した。ロータ/ステータIKA(登録商標)Ultra-Turrax Basic 25型ミキサーにより、9500rpmで60秒間、粗い逆相乳液を剪断することにより、粒径を減少させて、細かい乳液を生成させた。次いで、細かい乳液を、1.25gのPLURONIC(登録商標)F127を含有するpH4の水溶液100gを加えることにより反転させ、Hauschild型AM 501ミキサーにより20秒間混合した。TEOS、シリカ中のPolyethylene Glycol 400を完全に加水分解および縮合させた後に、平均体積粒径(Dv0.5) 28.7マイクロメートルの多核マイクロカプセルが水懸濁液中に生成した。
【0112】
(実施例12)
まず、Dow Corning(登録商標)5225c Formulation aid(5225c)6gを、テトラエトキシシラン(TEOS)20gと混合した。次いで、プロピレングリコール50gを、5225C/TEOS混合物中に混合して、TEOSの逆相乳液中に粗いプロピレングリコールを形成した。ロータ/ステータIKA(登録商標)Ultra-Turrax Basic 25型ミキサーにより、9500rpmで60秒間、粗い逆相乳液を剪断することにより、粒径を減少させ、細かい乳液を生成させた。次いで、細かい乳液を、1.25gのPLURONIC(登録商標)F127を含有するpH4の水溶液100gを加えることにより反転させ、Hauschild型AM 501ミキサーにより20秒間混合した。TEOS、シリカ中のプロピレングリコールを完全に加水分解および縮合させた後に、平均体積粒径(Dv0.5) 28.7マイクロメートルの多核マイクロカプセルが水懸濁液中に生成した。
【0113】
(実施例13)
まず、Dow Corning(登録商標)5225c Formulation aid(Dow Corning Corporation、Midland MI)6gを、テトラエトキシシラン(TEOS)20gと混合した。次いで、青色色素(FD&C Blue n°1)0.0005gを含有するpH4.5の水50gを加え混合して、分散媒中にTEOSを有する粗い乳液(すなわち、逆相乳液)を形成した。次いで、粗い逆相乳液を、さらに、ロータ/ステータ型ミキサー(IKA(登録商標)Ultra-Turrax Basic 25)により、9500rpmで1分間剪断して、粒径を減少させ、細かい逆相乳液を形成した。次いで、細かい逆相乳液を、1.25gのPLURONIC(登録商標)F127含有する水溶液(pH=4)100gと、Hauschild型AM 501ミキサーを用いて30秒間混合して、水分散の乳液を形成させた。混合物中のTEOSを、pH4にて15時間で完全に加水分解および縮合させて、39.4マイクロメートルの平均体積粒径(Dv0.5)を有する多核マイクロカプセルの懸濁液を形成させた。
【0114】
(実施例14)
カタラーゼは、Sigma-Aldrichから、2000〜5000単位/mgを有する凍結乾燥粉末として購入した。1単位は、pH7にて25℃で1分あたりH2O21.0μモルを分解するであろう酵素量であり、H2O2濃度は、A240の減少速度により測定され、10.3から9.2mMに入る。pH4.5の水50グラムを、カタラーゼ酵素0.2グラムと混合することにより、カタラーゼ溶液を調製した。
【0115】
カタラーゼ溶液中のカタラーゼの酵素活性を、保管の1、7、28、35、48および267日後に測定した。カタラーゼは、酸化還元酵素である。それは、過酸化水素の水への分解を触媒する。カタラーゼの活性は、以下の手法を用いて、過酸化水素(H2O2)の分解を測定することにより監視する。
【0116】
溶解酸素濃度が10%未満になるまで、110mMのpI、および7のpHを有する50mMリン酸塩緩衝溶液100mlの中に、穏やかに攪拌しつつ窒素をバブリングする。酸素濃度を、CellOx(登録商標)325溶存酸素センサー(Cellox L.L.C.)を備えたWTW(登録商標)Oxi 340i酸素ポケットメータ(Cole-Parmer Instrument Company)により測定する。センサーは、金の機能陰極、および鉛の対向陽極を含む。
【0117】
窒素のバブリングの間、H2O2を加えて、40mMの濃度とし、次いで3分間酸化させる。酸素濃度を3分間測定して、1分あたりのパーセントでの溶存酸素の増加を判定する。次いで、自由な、またはカプセル封入されたカタラーゼ酵素を加えて、9ppmの濃度とする。酵素添加後の酸素濃度を、溶液の酸素が飽和するまで測定する。1分あたりのパーセントでの溶存酸素の増加が、酸化速度である。酵素活性を、以下の式、(酵素添加後の酸化速度)-(酵素添加前の酸化速度)により算出する。
【0118】
保管後のカタラーゼの活性を以下に示す。
【0119】
【表1】

【0120】
(実施例15)
pH4.5の水50グラムを、カタラーゼ酵素0.2グラムと混合することにより、カタラーゼ溶液を調製した。8%体積/体積の濃度までエタノールを加えた。カタラーゼの酵素活性を、1、7、28、35、48および267日後に測定した。カタラーゼの活性を、実施例14に記載されている手法を用いて監視した。
【0121】
保管後のカタラーゼの活性を以下に示す。
【0122】
【表2】

【0123】
(実施例16)
まず、Dow Corning(登録商標)5225c Formulation aid(Dow Corning Corporation、Midland MI)6gを、テトラエトキシシラン(TEOS)20gと混合した。次いで、カタラーゼ酵素0.2gを含有するpH4.5の水50gを加え混合して、分散媒中にTEOSを有する粗い乳液(すなわち、逆相乳液)を形成した。次いで、粗い逆相乳液を、さらに、ロータ/ステータ型ミキサー(IKA(登録商標)Ultra-Turrax Basic 25)により、9500rpmで1分間剪断して、粒径を減少させ、細かい逆相乳液を形成した。次いで、細かい逆相乳液を、PLURONIC(登録商標)F127(BASF Corp、3000 Continental Drive-North、Mount Olive、NJ 07828-1234により販売されている、式(EO)98(PO)67(EO)98を有するエチレングリコールプロピレングリコールブロック共重合体)1.25gの水溶液(pH=4)100gと、Hauschild型AM 501ミキサーを用いて20秒間混合して、水分散の乳液を形成させた。生成した乳液中のTEOSを、pH7にて15時間で完全に加水分解および縮合させて、17.6マイクロメートルの平均体積粒径(Dv0.5)を有する多核マイクロカプセルの懸濁液を形成させた。
【0124】
カタラーゼの酵素活性を、1、7、28、35、48および267日後に測定した。カタラーゼの活性を、実施例14に記載されている手法を用いて監視した。
【0125】
保管後のカタラーゼの活性を以下に示す。
【0126】
【表3】

【0127】
懸濁液の外部水相の中に存在するカタラーゼ酵素の量を検定した。カタラーゼは外部水相の中に検出されず、すべてのカタラーゼは多核マイクロカプセルの内部に捕捉されたことが示しされた。カタラーゼの拡散を長期にわたって監視した。49日間にわたり、拡散は観察されなかった。
【0128】
(実施例17)
まず、Dow Corning(登録商標)5225c Formulation aid(Dow Corning Corporation、Midland MI)6gを、テトラエトキシシラン(TEOS)20gと混合した。次いで、カタラーゼ酵素0.2gを含有するpH4.5の水50gを加え混合して、分散媒中にTEOSを有する粗い乳液(すなわち、逆相乳液)を形成した。次いで、粗い逆相乳液を、さらに、ロータ/ステータ型ミキサー(IKA(登録商標)Ultra-Turrax Basic 25)により、9500rpmで1分間剪断して、粒径を減少させ、細かい逆相乳液を形成した。次いで、細かい逆相乳液を、PLURONIC(登録商標)F127(BASF Corp、3000 Continental Drive-North、Mount Olive、NJ 07828-1234により販売されている、式(EO)98(PO)67(EO)98を有するエチレングリコールプロピレングリコールブロック共重合体)1.25gの水溶液(pH=7)100gと、Hauschild型AM 501ミキサーを用いて20秒間混合して、水分散の乳液を形成させた。生成した乳液中のTEOSを、pH7にて15時間で完全に加水分解および縮合させて、17.6マイクロメートルの平均体積粒径(Dv0.5)を有する多核マイクロカプセルの懸濁液を形成させた。
【0129】
カタラーゼの酵素活性を、1、7、28、35、48および267日後に測定した。カタラーゼの活性を、実施例14に記載されている手法を用いて監視した。
【0130】
保管後のカタラーゼの活性を以下に示す。
【0131】
【表4】

【0132】
実施例8に記載されているように、懸濁液の外部水相の中に存在するカタラーゼ酵素の量を検定した。カタラーゼは外部水相の中に検出されず、すべてのカタラーゼが多核マイクロカプセルの内部に捕捉されたことが示された。カタラーゼの拡散を長期にわたって監視した。49日間にわたり、拡散は観察されなかった。
【0133】
(実施例18)
まず、Dow Corning(登録商標)5225c Formulation aid(Dow Corning Corporation、Midland MI)6gを、テトラエトキシシラン(TEOS)20gと混合した。次いで、カタラーゼ酵素0.2gを含有するpH4.5の水50gを加え混合して、分散媒中にTEOSを有する粗い乳液(すなわち、逆相乳液)を形成した。次いで、粗い逆相乳液を、さらに、ロータ/ステータ型ミキサー(IKA(登録商標)Ultra-Turrax Basic 25)により、9500rpmで1分間剪断して、粒径を減少させ、細かい逆相乳液を形成した。次いで、細かい逆相乳液を、Pluronic(登録商標)F127(BASF Corp、3000 Continental Drive-North、Mount Olive、NJ 07828-1234により販売されている、式(EO)98(PO)67(EO)98を有するエチレングリコールプロピレングリコールブロック共重合体)1.25gの水溶液(pH=8.6)100gと、Hauschild型AM 501ミキサーを用いて20秒間混合して、水分散の乳液を形成させた。生成した乳液中のTEOSを、pH7にて15時間で完全に加水分解および縮合させて、17.6マイクロメートルの平均体積粒径(Dv0.5)を有する多核マイクロカプセルの懸濁液を形成させた。
【0134】
カタラーゼの酵素活性を、1、7、28、35、48および267日後に測定した。カタラーゼの活性を、実施例14に記載されている手法を用いて監視した。
【0135】
保管後のカタラーゼの活性を以下に示す。
【0136】
【表5】

【0137】
実施例8に記載されているように、懸濁液の外部水相の中に存在するカタラーゼ酵素の量を検定した。カタラーゼは外部水相の中に検出されず、すべてのカタラーゼが多核マイクロカプセルの内部に捕捉されたことが示された。カタラーゼの拡散を長期にわたって監視した。49日間にわたり、拡散は観察されなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部カプセルが、外部シェル、および複数の内部カプセルを含み、
それぞれの前記内部カプセルが、内部シェルおよび水相コアを含み、
前記外部シェルおよび内部シェルが、シリカまたは有機官能性シリカをさらに含む、
前記外部カプセルを含む多核マイクロカプセル。
【請求項2】
前記シリカまたは有機官能性シリカが、多相乳液の油/水の界面での、アルコキシシランまたはアルコキシシラン混合物の重合からの反応生成物を含む、請求項1に記載の多核マイクロカプセル。
【請求項3】
前記水相コアが親水性活性物質を含む、請求項1に記載の多核マイクロカプセル。
【請求項4】
前記水相コアが親水性活性物質を含む、請求項2に記載の多核マイクロカプセル。
【請求項5】
前記アルコキシシランがテトラエトキシシランである、請求項3または4に記載の多核マイクロカプセル。
【請求項6】
前記親水性活性物質の重量パーセントが、0.01パーセントから90パーセントの間である、請求項3または4に記載の多核マイクロカプセル。
【請求項7】
前記親水性活性物質が、薬剤、ビタミン、日焼け止め、着色剤、金属酸化物または生物製剤を含む、請求項6に記載の多核マイクロカプセル。
【請求項8】
前記生物製剤が酵素である、請求項7に記載の多核マイクロカプセル。
【請求項9】
0.5マイクロメートルから1000マイクロメートルの間の平均体積粒径を有する、請求項3、4、7または8のいずれか一項に記載の多核マイクロカプセル。
【請求項10】
平均体積粒径が、0.5マイクロメートルから20マイクロメートルの間である、請求項3、4、7または8のいずれか一項に記載の多核マイクロカプセル。
【請求項11】
平均体積粒径が、10から500マイクロメートルの間である、請求項3、4、7または8のいずれか一項に記載の多核マイクロカプセル。
【請求項12】
生物製剤を捕捉するための、請求項1から11のいずれか一項に記載の多核マイクロカプセルの使用。
【請求項13】
生物製剤を安定化するための、請求項1から11のいずれか一項に記載の多核マイクロカプセルの使用。
【請求項14】
請求項1から11のいずれか一項に記載の多核マイクロカプセルと、少なくとも1種の薬学的に許容できる担体、アジュバントまたは希釈剤とを含む組成物。
【請求項15】
I)A)第1の乳化剤、
B)アルコキシシラン、
C)親水性活性物質
を水と混合して、分散媒および分散相を有する乳液を形成し、前記アルコキシシランが前記分散媒の中にあるステップと、
II)分散媒中にアルコキシシランを有する前記乳液に、
D)第2の乳化剤
を混合して、多数の油/水の界面を有する多相乳液を形成するステップと、
III)前記多相乳液の油/水の界面で前記アルコキシシランを重合して、多核マイクロカプセルの懸濁液を形成するステップと
を含む、請求項1に記載の多核マイクロカプセルの懸濁液を調製する方法。
【請求項16】
前記懸濁液から多核マイクロカプセルを回収するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の乳化剤が、式IまたはIIを有するシリコーンポリエーテルを含む、請求項15または16に記載の方法
【化1】

[式中、R1は、(C1〜C6)アルキル基であり、
xは1〜1000の整数であり、yは1〜500の整数であり、zは1〜500の整数であり、
R2は、-(CH2)aO(C2H4O)b(C3H6O)cR3の基を表し、
aは3〜6の整数であり、bは1〜40の整数であり、cは0〜40の整数であり、
R3は、水素、メチル基、またはアシル基である]。
【請求項18】
前記アルコキシシランがテトラアルコキシシランである、請求項15または16に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の乳化剤が、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、または前記界面活性剤の任意の組合せである、請求項15または16に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の乳化剤が、高分子界面活性剤または粒子である、請求項15または16に記載の方法。
【請求項21】
前記高分子界面活性剤が、エチレングリコールプロピレングリコール共重合体である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記粒子が、ヒュームドシリカ、コロイドシリカまたは合成粘土である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
ステップIにおける成分A、BおよびCの重量パーセントが、
A)0.1から30重量パーセント、
B)1から99重量パーセント、
C)1から99重量パーセント
の範囲である、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
ステップIIの多相乳液中において、成分Dの重量パーセントが、0.1から20重量パーセントの範囲である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
xが396であり、yが4であり、aが3であり、bが18であり、cが18であり、dが18である、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
請求項15、16、20、21、22、23、24または25のいずれか一項に記載の方法を用いて製造される製品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−514560(P2010−514560A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544228(P2009−544228)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/088623
【国際公開番号】WO2008/083092
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】