説明

多段過給システム制御装置

【課題】 高圧ターボチャージャと低圧ターボチャージャとを直列に配置した多段過給システムにおける、過給モードの切り換えを、より適切に行うことが可能な、多段過給システム制御装置を提供すること。
【解決手段】 シングル過給モードで運転中の過給圧がツイン過給モードにおける低圧コンプレッサの出口での給気の圧力の目標値未満である場合にシングル過給モードからツイン過給モードへの切り換えを禁止する一方、過給圧が同目標値以上である場合にシングル過給モードからツイン過給モードへの切り換えを許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧ターボチャージャと低圧ターボチャージャとを直列に配置した多段過給システムを制御する多段過給システム制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、従来、例えば、特開昭62−113829号公報、特開平4−241730号公報、特開2005−146906号公報、等に開示されたものが知られている。これらの装置は、機関運転状態に応じて、高圧ターボチャージャ及び低圧ターボチャージャへの排気の供給状態を変化させることで、過給モードを切り換えるようになっている。
【0003】
具体的には、例えば、特開2005−146906号公報等に開示された装置においては、高圧ターボチャージャのタービンをバイパスするバイパス通路と、このバイパス通路への排気の流量を調整する排気バイパスバルブと、が設けられている。
【0004】
かかる装置においては、上述の排気バイパスバルブの開度が、機関運転状態に応じて調整される。これにより、過給モードが切り換えられる。すなわち、機関回転数が低い領域においては小流量領域での作動に適した小型の高圧ターボチャージャによって主として過給が行われる(ツイン過給モード)一方、機関回転数が高い領域においては大流量領域での作動に適した大型の低圧ターボチャージャによって過給が行われる(シングル過給モード)。
【発明の概要】
【0005】
容量の大きな低圧ターボチャージャにおいては、タービンのイナーシャが大きいことによる応答遅れが生じやすい。このため、この種の装置において、過給モードの切り換えの際に、トルク段差の発生や、過給圧が目標値よりも低くなることによるスモークの発生、等の不具合が生じるおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、高圧ターボチャージャと低圧ターボチャージャとを直列に配置した多段過給システムにおける、過給モードの切り換えを、より適切に行うことが可能な、多段過給システム制御装置を提供することにある。
【0007】
<構成>
本発明の適用対象である多段過給システムは、内燃機関の吸排気通路に介装された高圧ターボチャージャ及び低圧ターボチャージャを備えている。
【0008】
前記高圧ターボチャージャは、排気によって回転駆動される高圧タービンと、前記高圧タービンの回転によって回転駆動されることで給気を加圧する高圧コンプレッサと、を備えている。前記低圧ターボチャージャは、前記高圧タービンよりも排気通流方向における下流側にて通流する排気によって回転駆動される低圧タービンと、前記低圧タービンの回転に伴って回転駆動されることで前記高圧コンプレッサよりも給気通流方向における上流側にて給気を加圧する低圧コンプレッサと、を備えている。
【0009】
前記吸排気通路は、ツイン過給モードとシングル過給モードとの間で過給モードを切り換え可能に構成されている。
【0010】
ここで、前記ツイン過給モードは、排気が前記高圧タービンを経て前記低圧タービンに供給されることで前記低圧コンプレッサ及び前記高圧コンプレッサにより過給される過給モードである。これに対し、前記シングル過給モードは、排気が前記高圧タービンをバイパスして前記低圧タービンに供給されることで前記低圧コンプレッサにより過給される過給モードである。
【0011】
本発明の多段過給システム制御装置は、かかる構成の多段過給システムを制御するものである。
【0012】
本発明の一側面における特徴は、本多段過給システム制御装置が、低圧側過給圧取得手段と、過給モード切り換え手段と、を備えたことにある。
【0013】
ここで、前記低圧側過給圧取得手段は、前記ツイン過給モードで運転中の前記低圧コンプレッサの出口での給気の圧力に対応する低圧側過給圧取得値を取得するようになっている。また、前記過給モード切り換え手段は、前記低圧側過給圧取得値が前記シングル過給モードにおける目標過給圧未満である場合に前記ツイン過給モードから前記シングル過給モードへの切り換えを禁止する一方、前記低圧側過給圧取得値が前記目標過給圧以上である(あるいは前記目標過給圧を超える)場合に前記ツイン過給モードから前記シングル過給モードへの切り換えを許可するようになっている。
【0014】
前記多段過給システム制御装置は、低圧側過給圧上昇手段をさらに備えていてもよい。この低圧側過給圧上昇手段は、前記低圧側過給圧取得値が前記シングル過給モードにおける前記目標過給圧未満である場合に、前記多段過給システム全体としての過給圧を一定に保持しつつ前記低圧コンプレッサの前記出口での給気の圧力を上昇させるようになっている。
【0015】
前記高圧ターボチャージャは、前記高圧タービンの排気入口に設けられた可変ノズルを備えた可変容量ターボチャージャであってもよい。かかる構成においては、前記低圧側過給圧上昇手段は、前記低圧側過給圧取得値が前記シングル過給モードにおける前記目標過給圧未満である場合に、前記高圧タービンをバイパスする排気の割合を増大させつつ、前記可変ノズルを閉じ側に制御するようになっていてもよい。このとき、前記低圧側過給圧上昇手段は、前記高圧タービンの効率が最高となる状態よりも前記可変ノズルを開き側にて制御するようになっていてもよい。
【0016】
前記多段過給システム制御装置は、シングルモード過給圧取得手段をさらに備えていてもよい。このシングルモード過給圧取得手段は、前記シングル過給モードで運転中の前記多段過給システム全体としての過給圧に対応するシングルモード過給圧取得値を取得するようになっている。
【0017】
かかる構成においては、前記過給モード切り換え手段は、前記シングルモード過給圧取得値が前記ツイン過給モードにおける前記低圧コンプレッサの前記出口での給気の圧力の目標値未満である場合に前記シングル過給モードから前記ツイン過給モードへの切り換えを禁止する一方、前記シングルモード過給圧取得値が同目標値以上である(あるいは同目標値を超える)場合に前記シングル過給モードから前記ツイン過給モードへの切り換えを許可するようになっていてもよい。
【0018】
前記シングルモード過給圧取得手段は、前記低圧コンプレッサの前記出口での給気の圧力に対応する低圧側過給圧取得値を取得するようになっていてもよい。
【0019】
本発明の他の一側面における特徴は、本多段過給システム制御装置が、シングルモード過給圧取得手段と、過給モード切り換え手段と、を備えたことにある。
【0020】
ここで、前記シングルモード過給圧取得手段は、前記シングル過給モードで運転中の前記多段過給システム全体としての過給圧に対応するシングルモード過給圧取得値を取得するようになっている。なお、前記シングルモード過給圧取得手段は、前記低圧コンプレッサの前記出口での給気の圧力に対応する低圧側過給圧取得値を取得するようになっていてもよい。
【0021】
また、前記過給モード切り換え手段は、前記シングルモード過給圧取得値が前記ツイン過給モードにおける前記低圧コンプレッサの前記出口での給気の圧力の目標値未満である場合に前記シングル過給モードから前記ツイン過給モードへの切り換えを禁止する一方、前記シングルモード過給圧取得値が同目標値以上である(あるいは同目標値を超える)場合に前記シングル過給モードから前記ツイン過給モードへの切り換えを許可するようになっている。
【0022】
<作用・効果>
かかる構成を備えた本発明の多段過給システム制御装置においては、過給モードの切り換え要求が発生した際に、現在の過給モードで運転中の前記低圧コンプレッサによる過給圧に対応する値(前記低圧側過給圧取得値あるいは前記シングルモード過給圧取得値)が取得される。
【0023】
そして、この取得値が、切り換え後の過給モードにおける前記低圧コンプレッサの前記出口での給気の圧力の目標値(切り換え後の過給モードがシングル過給モードである場合は、前記目標値と同視し得る、前記多段過給システム全体としての目標過給圧)以上である場合、典型的には同目標値より高い場合に、要求された過給モードへの切り換えが行われる。
【0024】
このため、本発明の多段過給システム制御装置においては、過給モードの切り換え時に、前記低圧コンプレッサの前記出口での給気の圧力が変化しないか、あるいは変化する場合は常に高圧側から低圧側に変化する。よって、過給モードの切り換え時に、イナーシャの大きな前記低圧ターボチャージャ(前記低圧タービン及び前記低圧コンプレッサ)を加速する必要がなくなる。
【0025】
したがって、本発明によれば、前記高圧ターボチャージャと前記低圧ターボチャージャとを直列に配置した前記多段過給システムにおける過給モードの切り換えを、より適切に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態が適用された内燃機関システムの全体構成を示す概略図である。
【図2】図1に示されている内燃機関システムの動作の様子を示すグラフである。
【図3】図1に示されている内燃機関システムの動作の様子を示すグラフである。
【図4】図1に示されている内燃機関システムの動作の様子を示すグラフである。
【図5】図1に示されている本実施形態の制御装置によって実行される、ツイン過給モードからシングル過給モードへの過給モード切り換え処理の一具体例を示すフローチャートである。
【図6】図1に示されている本実施形態の制御装置によって実行される、シングル過給モードからツイン過給モードへの過給モード切り換え処理の一具体例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、後述するように、本発明が、以下に説明する実施形態の具体的構成に何ら限定されるものではないことは、全く当然である。本実施形態に対して施され得る各種の変更(modification)は、当該実施形態の説明中に挿入されると、首尾一貫した実施形態の説明の理解が妨げられるので、末尾にまとめて記載されている。
【0028】
<第1実施形態に係る内燃機関システムの構成>
図1は、本発明の一実施形態が適用された内燃機関システムESの全体構成を示す概略図である。図1を参照すると、この内燃機関システムESは、内燃機関1と、吸気通路2と、排気通路3と、高圧ターボチャージャ4(高圧タービン4a及び高圧コンプレッサ4bを含む)と、低圧ターボチャージャ5(低圧タービン5a及び低圧コンプレッサ5bを含む)と、制御装置6と、を備えている。
【0029】
吸気通路2及び排気通路3は、内燃機関1に接続されている。高圧ターボチャージャ4及び低圧ターボチャージャ5は、吸気通路2及び排気通路3に介装されている。本実施形態においては、高圧ターボチャージャ4及び低圧ターボチャージャ5は、直列に配列されている。すなわち、高圧タービン4aは、低圧タービン5aよりも排気通流方向における上流側に配置されている。また、高圧コンプレッサ4bは、低圧コンプレッサ5bよりも吸気通流方向における下流側に配置されている。制御装置6は、内燃機関1、吸気通路2、排気通路3、高圧ターボチャージャ4、及び低圧ターボチャージャ5の各部の動作を制御するようになっている。
【0030】
以下、本実施形態に係る内燃機関システムESの各部の構成について、より詳細に説明する。なお、インタークーラや触媒等の補機類で、本発明の主要部と関係がないものは、適宜図示が省略されているものとする。
【0031】
本実施形態においては、内燃機関1には、複数(4つ)の気筒11が、直列に配列形成されている。また、この内燃機関1には、各気筒11内に燃料を供給するためのインジェクタ12が、各気筒11に対応してそれぞれ設けられている。
【0032】
吸気通路2及び排気通路3は、ツイン過給モードとシングル過給モードとの間で過給モードを切り換え可能に構成されている。ここで、ツイン過給モードは、排気が高圧タービン4aを経て低圧タービン5aに供給されることで低圧コンプレッサ5b及び高圧コンプレッサ4bにより過給される過給モードである。これに対し、シングル過給モードは、排気が高圧タービン4aをバイパスして低圧タービン5aに供給されることで低圧コンプレッサ5bにより過給される過給モードである。
【0033】
具体的には、本実施形態の吸気通路2は、吸気マニホールド21と、主吸気通路22と、吸気バイパス通路23と、給気切り換え弁24と、を備えている。主吸気通路22は、吸気マニホールド21と、高圧コンプレッサ4bと、低圧コンプレッサ5bと、を直列的に接続するように設けられている。
【0034】
吸気バイパス通路23は、主吸気通路22における高圧コンプレッサ4bと低圧コンプレッサ5bとの間の位置と、高圧コンプレッサ4bよりも下流側の位置と、を接続することで、低圧コンプレッサ5bを経た吸気が高圧コンプレッサ4bをバイパスして吸気マニホールド21に向かうように設けられている。この吸気バイパス通路23には、給気切り換え弁24が介装されている。この給気切り換え弁24は、その開度に応じて、吸気バイパス通路23における流路断面積を調整するようになっている。
【0035】
本実施形態の排気通路3は、排気マニホールド31と、主排気通路32と、高圧側排気バイパス通路33と、低圧側排気バイパス通路34と、排気切り換え弁35と、排気バイパス弁36と、を備えている。主排気通路32は、排気マニホールド31と、高圧タービン4aと、低圧タービン5aと、を直列的に接続するように設けられている。
【0036】
高圧側排気バイパス通路33は、高圧タービン4aをバイパスして排気マニホールド31と低圧タービン5aとを接続するように設けられている。
【0037】
具体的には、高圧側排気バイパス通路33は、主排気通路32における高圧タービン4aと低圧タービン5aとの間の位置と、排気マニホールド31と、を接続するように設けられている。すなわち、高圧側排気バイパス通路33は、高圧ターボチャージャ4を迂回して低圧ターボチャージャ5に排気を供給し得るようになっている。
【0038】
低圧側排気バイパス通路34は、低圧タービン5aをバイパスするように設けられている。具体的には、低圧側排気バイパス通路34は、主排気通路32における、高圧タービン4aと低圧タービン5aとの間の位置と、低圧タービン5aよりも下流側の位置と、を接続するように設けられている。
【0039】
高圧側排気バイパス通路33には、排気切り換え弁35が介装されている。排気切り換え弁35は、その開度に応じて、高圧側排気バイパス通路33における流路断面積を調整するようになっている。
【0040】
すなわち、この排気切り換え弁35は、その開度に応じて高圧ターボチャージャ4及び低圧ターボチャージャ5に対する排気の供給状態を調整することで、過給モードを切り換えるようになっている。
【0041】
低圧側排気バイパス通路34には、排気バイパス弁36が介装されている。この排気バイパス弁36は、その開度に応じて、低圧側排気バイパス通路34における流路断面積を調整するようになっている。すなわち、この排気バイパス弁36は、その開度に応じて、低圧ターボチャージャ5に対する排気の供給状態を調整するようになっている。
【0042】
上述の通り、高圧ターボチャージャ4は、排気によって回転駆動される高圧タービン4aと、この高圧タービン4aの回転によって回転駆動されることで給気を加圧する高圧コンプレッサ4bと、に加えて、高圧側可変ベーンノズル41を備えている。すなわち、本実施形態においては、高圧ターボチャージャ4は、いわゆる可変容量ターボチャージャとして構成されている。高圧側可変ベーンノズル41は、高圧ターボチャージャ4における高圧タービン4aの排気入口に設けられていて、その開度に応じて、高圧タービン4aにおけるA/R比を変更可能に構成されている。
【0043】
同様に、低圧ターボチャージャ5は、高圧タービン4aよりも排気通流方向における下流側にて通流する排気によって回転駆動される低圧タービン5aと、かかる低圧タービン5aの回転によって回転駆動されることで高圧コンプレッサ4bよりも給気通流方向における上流側にて給気を加圧する低圧コンプレッサ5bと、に加えて、低圧側可変ベーンノズル51を備えている。
【0044】
すなわち、本実施形態においては、低圧ターボチャージャ5は、高圧ターボチャージャ4よりも最大容量が大きな可変容量ターボチャージャとして構成されている。低圧側可変ベーンノズル51は、低圧ターボチャージャ5における低圧タービン5aの排気入口にけられていて、その開度に応じて、低圧タービン5aにおけるA/R比を変更可能に構成されている。
【0045】
<<制御装置>>
本発明の多段過給システム制御装置の一実施形態である制御装置6は、本発明の各手段を構成する電子コントロールユニット60(以下、「ECU60」と略称する。)を備えている。
【0046】
ECU60は、CPU60aと、ROM60bと、RAM60cと、バックアップRAM60dと、インターフェース60eと、双方向バス60fと、を備えている。CPU60a、ROM60b、RAM60c、バックアップRAM60d、及びインターフェース60eは、双方向バス60fによって互いに接続されている。
【0047】
CPU60aは、内燃機関システムESにおける各部の動作を制御するためのルーチン(プログラム)を実行するように構成されている。ROM60bには、CPU60aが実行するルーチン、及びこのルーチン実行の際に参照されるマップ等(マップの他、テーブルや関係式等を含む。以下同様。)やパラメータその他のデータが、予め格納されている。
【0048】
RAM60cは、CPU60aがルーチンを実行する際に、必要に応じてデータを一時的に格納し得るように構成されている。バックアップRAM60dは、電源が投入された状態でCPU60aがルーチンを実行する際にデータを適宜格納するとともに、この格納されたデータを電源遮断後も保持するように構成されている。
【0049】
インターフェース60eは、後述の各種センサと電気的に接続されていて、これらのセンサからの検出信号をCPU60aに伝達するように構成されている。また、インターフェース60eは、インジェクタ12、給気切り換え弁24、排気切り換え弁35、排気バイパス弁36、高圧側可変ベーンノズル41、低圧側可変ベーンノズル51、等の動作部と電気的に接続されていて、これらの動作部を動作させるための動作信号をCPU60aからこれらの動作部に伝達し得るように構成されている。すなわち、ECU60は、各種のセンサの出力信号に基づいて内燃機関1の運転状態を取得し、この運転状態に基づいて、インジェクタ12における燃料の噴射量や噴射時期等を含む動作部の制御を行うように構成されている。
【0050】
吸入空気の単位時間あたりの質量流量(吸入空気流量Ga)に対応する出力電圧を発生するエアフローメータ61は、吸気通路2における低圧タービン5aよりも上流側に設けられている。低圧コンプレッサ5bの出口での給気の圧力に対応する出力電圧を発生する低圧側過給圧センサ62は、主吸気通路22における低圧コンプレッサ5bの直後の位置に設けられている。最終的な吸気圧力すなわちシステム全体としての過給圧に対応する出力電圧を発生する高圧側過給圧センサ63は、吸気マニホールド21に装着されている。
【0051】
<動作の概要>
図2ないし図4は、図1に示されている内燃機関システムESの動作の様子を示すグラフである。
【0052】
図2における(i)は、過給モードがツイン過給モードからシングル過給モードに切り換えられる際の過給圧の変化の様子を示す。また、同図における(ii)は、ツイン過給モードにて過給圧を一定に制御する場合の、高圧側可変ベーンノズル41の開度と排気切り換え弁35の開度との関係を示す。さらに、同図における(iii)は、高圧側可変ベーンノズル41の開度と高圧タービン4aの効率との関係を示す。
【0053】
図3における(i)は、ツイン過給モードにて過給圧を一定に制御する場合の高圧側可変ベーンノズル41の開度と排気切り換え弁35の開度との関係を示す(これは図2における(ii)に対応する図である。)。同図における(ii)は、ツイン過給モードにて過給圧を一定に制御する場合の、高圧側可変ベーンノズル41の開度とツイン過給モードにおける高圧ターボチャージャ4による過給割合との関係を示す。同図における(iii)は、高圧側可変ベーンノズル41の開度と高圧タービン4aの効率との関係を示す(これは図2における(iii)に対応する図である。)。同図における(iv)は、ツイン過給モードにて過給圧を一定に制御する場合の、高圧側可変ベーンノズル41の開度と燃料消費率との関係を示す。
【0054】
ここで、図2及び図3において、「VN開度」は、数値が大きいほど(図中右に行くほど)高圧側可変ベーンノズル41が閉じられた状態(すなわちVN開度=100%の場合は高圧側可変ベーンノズル41が全閉)であるものとする。
【0055】
図4は、過給モードがシングル過給モードからツイン過給モードに切り換えられる際の過給圧の変化の様子を示す。
【0056】
以下、図1ないし図4を用いて、本実施形態に係る内燃機関システムESの動作の概要について説明する。
【0057】
<<ツイン過給モードからシングル過給モードへの切り換え>>
図2における(i)を参照すると、ツイン過給モードで運転中の低圧コンプレッサ5bの出口での給気の圧力(epclpout)がシングル過給モードにおける目標過給圧(epimtrg1)よりも低い状態(図中A参照)から、直接的にシングル過給モードに過給モードが切り換えられると、図中一点鎖線で示されているように、大きな過給圧段差が生じる。
【0058】
そこで、本実施形態においては、ツイン過給モードで運転中の低圧コンプレッサ5bの出口での給気の圧力(epclpout)がシングル過給モードにおける目標過給圧(epimtrg1)未満である場合、ツイン過給モードからシングル過給モードへの切り換えが禁止される。一方、ツイン過給モードで運転中の低圧コンプレッサ5bの出口での給気の圧力(epclpout)がシングル過給モードにおける目標過給圧(epimtrg1)以上である場合(典型的には、epclpoutがepimtrg1よりも高い場合)、ツイン過給モードからシングル過給モードへの切り換えが許可される。
【0059】
具体的には、上述の状態Aにて、過給モードをツイン過給モードからシングル過給モードに切り換える要求が発生した場合、過給モード切り換え実行の前に、低圧ターボチャージャ5による過給割合を増やすために、排気切り換え弁35が開方向に駆動される。これにより、高圧タービン4aをバイパスする排気の割合が増大し、低圧ターボチャージャ5に供給される排気エネルギーが増加させられる(その間は過給モード切り換えが待機すなわち一時的に禁止される)。
【0060】
ここで、高圧側可変ベーンノズル41の開度を変化させずに排気切り換え弁35を開方向に動作させると、高圧タービン4aを通過する排気のエネルギーが減少し、これにより、低圧ターボチャージャ5による過給割合の増加分よりも、高圧ターボチャージャ4による過給割合の減少分の方が大きくなる。すると、システム全体としての過給圧が低下してしまう。
【0061】
そこで、低圧ターボチャージャ5による過給割合を増やすための排気切り換え弁35の開動作に伴い、システム全体としての過給圧の低下を抑制するために、高圧側可変ベーンノズル41が閉方向に駆動される。
【0062】
すると、図2における(i)に示されているように、システム全体としての過給圧(epim)が一定に保持されつつ、ツイン過給モードで運転中の低圧コンプレッサ5bの出口での給気の圧力(epclpout)が、シングル過給モードにおける目標過給圧(epimtrg1)と同等かあるいはこれよりも高い状態(図中B参照)となる。かかる状態になった後に、過給モードの切り換えが実行される。
【0063】
このように、本実施形態においては、シングル過給モードへの過給モード切り換え要求の発生時のツイン過給モードにおける運転状態が上述の状態Aの場合、一旦状態Bを経た後に、シングル過給モードへの過給モードの切り換えが行われる。一方、同要求発生時のツイン過給モードにおける運転状態が上述の状態Bの場合には、当該状態Bから過給モードが直接的にシングル過給モードに切り換えられる。
【0064】
これにより、過給モードがツイン過給モードからシングル過給モードに切り換えられる際に、低圧コンプレッサ5bの出口での給気の圧力が変化する場合は、常に高圧側から低圧側に変化する。すなわち、シングル過給モードに移行する際に、過給圧が目標過給圧に対して常に高圧側から低圧側に変化する。
【0065】
よって、切り換え後のシングル過給モードにおける過給圧が目標過給圧よりも低くなることが、イナーシャの大きな低圧ターボチャージャ5(低圧タービン5a及び低圧コンプレッサ5b)を過給モード切り換え時点で加速する必要なく、良好に防止される。すなわち、過給圧が目標値以上に制御されるとともに、上述のような過給圧段差の発生が良好に防止される。
【0066】
したがって、本実施形態によれば、過給モードがツイン過給モードからシングル過給モードに切り換えられる際の、トルク段差、スモーク発生、噴射量制限による性能低下、等の不具合の発生が、良好に防止される。
【0067】
ここで、本実施形態においては、上述の状態Aから状態Bへの移行の際の、高圧側可変ベーンノズル41の閉動作は、高圧タービン4aの効率が最高となる開度(最高効率開度θVNmax:例えば60%)を上限として行われる(その前提として、シングル過給モードへの過給モード切り換え要求が発生する前の、ツイン過給モードでの運転中にて、VN開度が最高効率開度θVNmaxよりも開き側となるように、高圧側可変ベーンノズル41の開度がフィードバック制御されているものとする。)。これは、以下の理由によるものである。
【0068】
図3に示されているように、高圧側可変ベーンノズル41の閉動作を伴う排気切り換え弁35の開動作で低圧ターボチャージャ5による過給割合を増やした場合、最高効率開度θVNmaxを超えるVN開度の領域(図中破線よりも右側の領域)では、燃料消費率が急激に悪化する。これに対し、最高効率開度θVNmax以下のVN開度の領域(図中破線よりも左側の領域)では、高圧タービン4aの効率を向上しつつ、燃料消費率の悪化を可及的に抑制することができる。
【0069】
<<シングル過給モードからツイン過給モードへの切り換え>>
図4を参照すると、シングル過給モードで運転中のシステム全体としての過給圧(epim)が、過給モード切り換え後のツイン過給モードにおける低圧コンプレッサ5bの出口での給気の圧力の目標値(epclpouttrg)よりも低い場合、過給モード切り換えに際して、イナーシャの大きな低圧ターボチャージャ5(低圧タービン5a及び低圧コンプレッサ5b)を加速する必要がある。
【0070】
また、シングル過給モードからツイン過給モードへの切り換えの際には、高圧ターボチャージャ4での過給と低圧ターボチャージャ5での過給の両方を増加させる必要があるので、排気エネルギーが不足する傾向にある。
【0071】
よって、この場合に過給モード切り換えが行われると、図中一点鎖線で示されているように、大きな過給圧段差が生じる。
【0072】
そこで、本実施形態においては、シングル過給モードで運転中のシステム全体としての過給圧(epim:この場合、低圧コンプレッサ5bの出口での給気の圧力(epclpout)と同視し得る。)が、ツイン過給モードにおける低圧コンプレッサ5bの出口での給気の圧力の目標値(epclpouttrg)未満である場合、シングル過給モードからツイン過給モードへの切り換えが禁止される。
【0073】
これに対し、シングル過給モードで運転中のシステム全体としての過給圧(epim)が、ツイン過給モードにおける低圧コンプレッサ5bの出口での給気の圧力の目標値(epclpouttrg)以上である場合(典型的にはepimがepclpouttrgよりも高い場合)、シングル過給モードからツイン過給モードへの切り換えが許可される。
【0074】
これにより、シングル過給モードからツイン過給モードに過給モードが切り換えられる際に、低圧コンプレッサ5bの出口での給気の圧力が変化する場合は常に高圧側から低圧側に変化する。
【0075】
よって、切り換え後のツイン過給モードにおける過給圧が目標過給圧よりも低くなることが、過給モード切り換え時点でイナーシャの大きな低圧ターボチャージャ5(低圧タービン5a及び低圧コンプレッサ5b)を加速する必要なく、良好に防止される。すなわち、過給圧が目標値以上に制御されるとともに、上述のような過給圧段差の発生が良好に防止される。
【0076】
したがって、本実施形態によれば、シングル過給モードからツイン過給モードに過給モードが切り換えられる際の、トルク段差、スモーク発生、噴射量制限による性能低下、等の不具合の発生が、良好に防止される。
【0077】
<動作の具体例>
次に、上述の構成を備えた本実施形態の制御装置6の動作の具体例について説明する。なお、フローチャートを示す図面においては、「ステップ」は“S”と略称されているものとする。
【0078】
<<ツイン過給モードからシングル過給モードへの切り換え>>
図5は、図1に示されている本実施形態の制御装置6(ECU60)によって実行される、ツイン過給モードからシングル過給モードへの過給モード切り換え処理の一具体例を示すフローチャートである。CPU60aは、図5に示されている過給モード切り換えルーチン500を、過給モードをツイン過給モードからシングル過給モードに切り換える要求が発生した場合に実行する。
【0079】
ルーチン500の処理が開始されると、まず、ステップ510にて、シングルモード目標過給圧epimtrg1が取得される。このシングルモード目標過給圧epimtrg1の取得は、各種センサ(アクセル開度センサ等の、図示されていないものも含む。)によって取得された運転状態と、ROM60bに格納されたマップ等と、に基づいて行われる。
【0080】
次に、ステップ520にて低圧コンプレッサ出口圧力epclpoutが取得される。本実施形態においては、この低圧コンプレッサ出口圧力epclpoutの取得は、低圧側過給圧センサ62の出力に基づいて行われる。続いて、処理がステップ530に進行し、低圧コンプレッサ出口圧力epclpoutがシングルモード目標過給圧epimtrg1以上であるか否かが判定される。
【0081】
低圧コンプレッサ出口圧力epclpoutがシングルモード目標過給圧epimtrg1以上である場合(ステップ530=Yes)、処理がステップ540に進行し、過給モードがツイン過給モードからシングル過給モードに切り換えられ、本ルーチンが終了する。
【0082】
一方、低圧コンプレッサ出口圧力epclpoutがシングルモード目標過給圧epimtrg1未満である場合(ステップ530=No)、このタイミングでの過給モードの切り換えが禁止され、処理がステップ550に進行する。
【0083】
ステップ550においては、低圧ターボチャージャ5による過給割合を増やすための排気切り換え弁35の開動作と、システム全体としての過給圧を保持するための高圧側可変ベーンノズル41の閉動作とが行われる。続いて、処理がステップ520に復帰する。その後、低圧コンプレッサ出口圧力epclpoutがシングルモード目標過給圧epimtrg1以上となった時点で(ステップ530=Yes)、処理がステップ540に進行し、過給モードがツイン過給モードからシングル過給モードに切り換えられ、本ルーチンが終了する。
【0084】
<<シングル過給モードからツイン過給モードへの切り換え>>
図6は、図1に示されている本実施形態の制御装置6(ECU60)によって実行される、シングル過給モードからツイン過給モードへの過給モード切り換え処理の一具体例を示すフローチャートである。CPU60aは、図6に示されている過給モード切り換えルーチン600を、過給モードをシングル過給モードからツイン過給モードに切り換える要求が発生した場合に実行する。
【0085】
ルーチン600の処理が開始されると、まず、ステップ610にて、シングル過給モードで運転中のシステム全体としての過給圧(epim)と同視し得る、低圧コンプレッサ出口圧力epclpoutが取得される。
【0086】
次に、ステップ620にて、ツインモード低圧コンプレッサ出口圧力目標値epclpouttrgが取得される。このツインモード低圧コンプレッサ出口圧力目標値epclpouttrgの取得は、各種センサ(アクセル開度センサ等の図示しないものも含む)によって取得された運転状態と、ROM60bに格納されたマップ等と、に基づいて行われる。
【0087】
続いて、処理がステップ630に進行し、低圧コンプレッサ出口圧力epclpoutがツインモード低圧コンプレッサ出口圧力目標値epclpouttrg以上であるか否かが判定される。
【0088】
低圧コンプレッサ出口圧力epclpoutがツインモード低圧コンプレッサ出口圧力目標値epclpouttrg以上である場合(ステップ630=Yes)、処理がステップ640に進行し、過給モードがシングル過給モードからツイン過給モードに切り換えられ、本ルーチンが終了する。
【0089】
これに対し、低圧コンプレッサ出口圧力epclpoutがツインモード低圧コンプレッサ出口圧力目標値epclpouttrg未満である場合(ステップ630=No)、このタイミングでの過給モードの切り換えが禁止され、処理がステップ650に進行する。
【0090】
ステップ650においては低圧側可変ベーンノズル51の閉動作が行われる。続いて、処理がステップ610に復帰する。その後、低圧コンプレッサ出口圧力epclpoutがツインモード低圧コンプレッサ出口圧力目標値epclpouttrg以上となった時点で(ステップ630=Yes)、処理がステップ640に進行し、過給モードがシングル過給モードからツイン過給モードに切り換えられ、本ルーチンが終了する。
【0091】
<変形例の例示列挙>
なお、上述の実施形態は、上述した通り、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の代表的な実施形態を単に例示したものにすぎない。よって、本発明はもとより上述の実施形態に何ら限定されるものではない。したがって、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、上述の実施形態に対して種々の変形が施され得ることは、当然である。
【0092】
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。
【0093】
もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたもの限定されるものではない。また、複数の変形例の全部又は一部が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、互いに複合的に適用され得る。
【0094】
本発明(特に、本発明の課題を解決するための手段を構成する各構成要素における、作用的・機能的に表現されているもの)は、上述の実施形態や、下記変形例の記載に基づいて限定解釈されてはならない。このような限定解釈は、(先願主義の下で出願を急ぐ)出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、許されない。
【0095】
例えば、本発明は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、メタノールエンジン、バイオエタノールエンジン、その他任意のタイプの内燃機関に適用可能である。気筒数や気筒配列方式(直列、V型、水平対向)も、特に限定はない。
【0096】
また、本発明は、上述の実施形態にて開示された具体的な制御態様に限定されるものではない。
【0097】
例えば、図2の(i)に示されている状態Aが、過給圧フィードバック制御の結果ではなく、低圧ターボチャージャ5の応答遅れによって生じている場合があり得る。この場合、図5のフローチャートのステップ550における処理は、排気切り換え弁35の開動作及び高圧側可変ベーンノズル41の閉動作に代えて、一定時間待機する処理に置き換えられ得る。
【0098】
図6のフローチャートにおける低圧コンプレッサ出口圧力epclpoutに代えて、高圧側過給圧センサ63の出力に基づいて取得されるシステム全体の過給圧(システム過給圧epim)が用いられ得る。
【0099】
また、低圧コンプレッサ出口圧力epclpoutやシステム過給圧epimは、低圧側過給圧センサ62や高圧側過給圧センサ63がなくても、エアフローメータ61等の他のセンサの出力に基づいて取得された他の機関運転パラメータに基づいてオンボード推定され得る。
【0100】
さらに、図5のフローチャートにおけるステップ530や、図6のフローチャートのステップ630における不等号は、「イコール」を含まない形に変更され得る(これにあわせて上述のフローチャートの説明もまた変更され得ることはいうまでもない。)。
【0101】
その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の範囲内に含まれることは当然である。また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。
【0102】
さらに、本明細書にて引用した先行出願や公報の開示内容(明細書及び図面を含む)は、本明細書の一部を構成するものとして援用され得る。
【符号の説明】
【0103】
ES…内燃機関システム
1…内燃機関 11…気筒 12…インジェクタ
2…吸気通路 21…吸気マニホールド 2…主吸気通路
23…吸気バイパス通路 24…給気切り換え弁
3…排気通路 31…排気マニホールド 32…主排気通路
33…高圧側排気バイパス通路 34…低圧側排気バイパス通路
35…排気切り換え弁 36…排気バイパス弁
4…高圧ターボチャージャ 4a…高圧タービン 4b…高圧コンプレッサ
41…高圧側可変ベーンノズル 5…低圧ターボチャージャ
5a…低圧タービン 5b…低圧コンプレッサ 51…低圧側可変ベーンノズル
6…制御装置 60…ECU 60a…CPU
60b…ROM 60c…RAM 60d…バックアップRAM
60e…インターフェース 60f…双方向バス 61…エアフローメータ
62…低圧側過給圧センサ 63…高圧側過給圧センサ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0104】
【特許文献1】特開昭62−113829号公報
【特許文献2】特開平4−241730号公報
【特許文献3】特開2005−146906号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気によって回転駆動される高圧タービンと、前記高圧タービンの回転によって回転駆動されることで給気を加圧する高圧コンプレッサと、を備えた、高圧ターボチャージャと、
前記高圧タービンよりも排気通流方向における下流側にて通流する排気によって回転駆動される低圧タービンと、前記低圧タービンの回転に伴って回転駆動されることで前記高圧コンプレッサよりも給気通流方向における上流側にて給気を加圧する低圧コンプレッサと、を備えた、低圧ターボチャージャと、
排気が前記高圧タービンを経て前記低圧タービンに供給されることで前記低圧コンプレッサ及び前記高圧コンプレッサにより過給されるツイン過給モードと、排気が前記高圧タービンをバイパスして前記低圧タービンに供給されることで前記低圧コンプレッサにより過給されるシングル過給モードと、の間で過給モードを切り換え可能に構成された、吸排気通路と、
を備えた多段過給システムを制御する、多段過給システム制御装置であって、
前記シングル過給モードで運転中の前記多段過給システム全体としての過給圧に対応するシングルモード過給圧取得値を取得する、シングルモード過給圧取得手段と、
前記シングルモード過給圧取得値が前記ツイン過給モードにおける前記低圧コンプレッサの出口での給気の圧力の目標値未満である場合に前記シングル過給モードから前記ツイン過給モードへの切り換えを禁止する一方、前記シングルモード過給圧取得値が同目標値以上である場合に前記シングル過給モードから前記ツイン過給モードへの切り換えを許可する、過給モード切り換え手段と、
を備えたことを特徴とする、多段過給システム制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の、多段過給システム制御装置であって、
前記シングルモード過給圧取得手段は、前記低圧コンプレッサの前記出口での給気の圧力に対応する低圧側過給圧取得値を取得することを特徴とする、多段過給システム制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−163113(P2012−163113A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−129603(P2012−129603)
【出願日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【分割の表示】特願2011−502566(P2011−502566)の分割
【原出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】