説明

多糖誘導体

【課題】水溶性及び活性剤溶液耐性に優れ、乳化粒子径が小さく安定性の良好な乳化物を得ることが出来る新規な多糖誘導体、その製造方法、その多糖誘導体含有水性組成物及びその多糖誘導体含有水中油型乳化物の提供。
【解決手段】重量平均分子量1万未満の多糖類又はその誘導体のヒドロキシ基の水素原子の一部又は全部が、下記一般式(1)で表される基−E1−(OA)n−E2−R1 (1)で置換されている多糖誘導体、及びそれからなる乳化剤、それを含有する水性組成物、水中油型乳化物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な多糖誘導体、詳細には水溶性に優れ、水中にある疎水性物質の高度な安定化作用をもつ新規多糖誘導体、その製造法、多糖誘導体含有水性組成物及びその多糖誘導体含有水中油型乳化物に関する。
【背景技術】
【0002】
油剤等の疎水性化合物を乳化物として安定に配合することは化粧品・香粧品等の製品において重要な技術である。一般的には低分子量の界面活性剤を用いた乳化物は比較的安定であるものの、洗浄料のような大量の界面活性剤が存在する溶液系においてはその安定性が失われ乳化が破壊される。そのため皮膚や毛髪等の洗浄表面に有用な疎水性化合物を乳化物として配合しても、疎水性化合物は洗浄料として使用される界面活性剤に乳化されるために洗浄料の泡立ちを悪化させる。さらにこのような場合、せっかく配合した疎水性化合物も洗浄料に用いられる界面活性剤に乳化されているため、配合したほとんどの疎水性化合物が洗い流されてしまい、使用後、洗浄表面に疎水性化合物を残存させることが非常に困難であるという問題があった。
それを改善すべく、特許文献1では、洗浄料のような大量の界面活性剤が存在する系においても安定であり、すなわち活性剤溶液耐性に優れ、泡立ち等の基本性能を損なわずに洗浄料に配合可能であり、更に肌への塗布感に優れた水中油型乳化物及びその製造法が開示されている。しかしながら、この乳化物は、乳化粒子径が大きいため、低粘度の商品においてクリーミング(分離)するという問題点がある。
【0003】
【特許文献1】特開2003−226612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、水溶性及び活性剤溶液耐性に優れ、乳化粒子径が小さく安定性の良好な乳化物を得ることが出来る新規な多糖誘導体、その製造方法、その多糖誘導体含有水性組成物及びその多糖誘導体含有水中油型乳化物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは側鎖の一部に特定の基を有する分子量1万未満の高分子化合物を用いることで、前記目的を達成し得ることを見出した。
すなわち本発明は、の要旨は下記のとおりである。
1.重量平均分子量1万未満の多糖類又はその誘導体のヒドロキシ基の水素原子の一部又は全部が、下記一般式(1)で表される基(A)〔該置換基(A)のヒドロキシ基の水素原子は更に置換基(A)で置換されていてもよい〕
−E1−(OA)n−E2−R1 (1)
〔式中、E1はヒドロキシ基又はオキソ基が置換していてもよい、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖の2価の飽和炭化水素基を示し、nは8〜300の数を示し、n個のAは同一又は異なって、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖の2価の飽和炭化水素基を示し、E2はエーテル結合又はオキシカルボニル基(−OCO−又は−COO−)を示し、R1はヒドロキシ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はコレステリル基を示す。〕
で置換されている多糖誘導体。
2.重量平均分子量1万未満の多糖類又はその誘導体を、(a)下記一般式(3)で表されるポリオキシアルキレン剤
3−(OA)n−E2−R1 (3)
〔式中、E3は炭素数3〜6のエポキシ化アルキル基、ヒドロキシ基が置換していてもよい、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のハロゲン化アルキル基、又はカルボキシ基若しくは炭素数2〜6のカルボキシアルキル基若しくはそれらの誘導体を示し、nは8〜300の数を示し、n個のAは同一又は異なって、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖の2価の飽和炭化水素基を示し、E2はエーテル結合又はオキシカルボニル基(−OCO−又は−COO−)を示し、R1はヒドロキシ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はコレステリル基を示す。〕
と反応させる多糖誘導体の製造法。
3.重量平均分子量1万未満の多糖類又はその誘導体を、
(a)下記一般式(3)で表されるポリオキシアルキレン化剤
3−(OA)n−E2−R1 (3)
〔式中、E3は炭素数3〜6のエポキシ化アルキル基、ヒドロキシ基が置換していてもよい、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のハロゲン化アルキル基、又はカルボキシ基若しくは炭素数2〜6のカルボキシアルキル基若しくはそれらの誘導体を示し、nは8〜300の数を示し、n個のAは同一又は異なって、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖の2価の飽和炭化水素基を示し、E2はエーテル結合又はオキシカルボニル基(−OCO−又は−COO−)を示し、R1はヒドロキシ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又はコレステリル基を示す。〕
並びに以下に示す(b)、(c)及び(d)から選ばれる1以上の化合物と反応させる多糖誘導体の製造法。
(b):ビニルスルホン酸、ヒドロキシ基が置換していてもよい炭素数1〜5のハロアルカンスルホン酸、炭素数2〜6のエポキシ基を有するスルホン酸及びそれらの塩から選ばれるスルホン化剤
(c):ヒドロキシ基が置換していてもよい炭素数2〜6のハロゲン化カルボン酸及びその塩から選ばれるカルボキシ化剤
(d)下記一般式(4)で表されるカチオン化剤
【化1】

〔式中、D2は炭素数3〜6のエポキシ化アルキル基、又はヒドロキシ基が置換していてもよい、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のハロゲン化アルキル基を示し、R2、R3及びR4は同一又は異なって、ヒドロキシ基が置換していてもよい、炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、X-はヒドロキシイオン、ハロゲンイオン又は有機酸イオンを示す。〕
4.上記1に記載の又は上記2若しくは3に記載の製造法により製造された多糖誘導体からなる乳化剤。
5.上記1に記載の又は上記2若しくは3に記載の製造法により製造された多糖誘導体を含有する水性組成物。
6.上記4に記載の乳化剤を含有し、平均乳化粒子径が0.6〜1.5μmである水中油型乳化物。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、水溶性及び活性剤溶液耐性に優れ、乳化粒子径が小さく安定性の良好な乳化物を得ることが出来る新規な多糖誘導体、その製造方法、その多糖誘導体含有水性組成物及びその多糖誘導体含有水中油型乳化物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の多糖誘導体は、多糖類又はその誘導体としてセルロース類を用いた場合を例に挙げれば、その繰返し単位は次のような一般式(5)で例示される。
【0008】
【化2】

【0009】
〔式中、R5は同一又は異なって、(1):水素原子、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等、(2):ポリオキシアルキレン基を含む置換基(A)、(3):スルホアルキル基(B)、(4):カルボキシアルキル基(C)及び(5):カチオン性置換基(D)から選ばれる基を示し、Qは同一又は異なって、炭素数2〜4のアルキレン基を示し、a、b及びcは、同一又は異なって0〜10の数を示す。QO基、R5基、a、b及びcは、繰り返し単位内で又は繰り返し単位間で同一でも異なってもよく、また上記置換基(A)〜(D)のヒドロキシ基は更に他の置換基(A)〜(D)で置換されていてもよい。ただし、R5として少なくとも置換基(A)を有する。〕
【0010】
ポリオキシアルキレン基を含む置換基(A)の一般式(1)におけるE1としては、炭素数2又は3のものが好ましく、具体的にはエチレン、プロピレン、トリメチレン、2−ヒドロキシトリメチレン、1−ヒドロキシメチルエチレン、1−オキソエチレン、1−オキソトリメチレン、1−メチル−2−オキソエチレン等が好ましい。
一般式(1)におけるAとしては、炭素数2又は3のものが好ましく、具体的にはエチレン、プロピレン及びトリメチレンが好ましい。nで表される(−OA−)の重合度としては、増粘効果及び乳化安定性の点から8〜120、特に10〜60が好ましく、n個のAは同一でも異なってもよい。ここでnは平均付加モル数の意味である。E2はエーテル結合又はオキシカルボニル基であるが、エーテル結合が好ましい。
一般式(1)におけるR1としては、炭素数5〜25、特に6〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましく、また、安定性の点から、アルキル基、特に直鎖アルキル基が好ましい。具体的にはオクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イソステアリル基、オクチルドデシル基、コレステリル基等が好ましい。
本発明の多糖誘導体における置換基(A)による置換度は、構成単糖残基当たり0.0001〜1.0、更に0.0005〜0.5、特に0.001〜0.1の範囲が好ましい。
本発明の多糖誘導体は、上記置換基(A)に加え、更に以下に示す置換基(B)、(C)及び(D)から選ばれる1以上の基で置換されていてもよい。また、置換基(A)〜(D)のヒドロキシ基の水素原子は、更に置換基(A)〜(D)で置換されていてもよい。
【0011】
(B)ヒドロキシ基が置換していてもよい炭素数1〜5のスルホアルキル基又はその塩である置換基(B)としては、2−スルホエチル基、3−スルホプロピル基、3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル基、2−スルホ−1−(ヒドロキシメチル)エチル基等が挙げられ、なかでも安定面や製造面より3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル基が好ましい。これら置換基(B)は、その全部あるいは一部がNa、K、Ca、Mg等の1族又は2族元素、アミン類、アンモニウム等の有機カチオン等との塩となっていてもよい。これら置換基(B)による置換度は、構成単糖残基当たり0〜1.0、更に0〜0.8、特に0〜0.5の範囲が好ましい。
【0012】
(C)ヒドロキシ基が置換していてもよい炭素数2〜6のカルボキシアルキル基又はその塩である置換基(C)としては、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシブチル基、カルボキシペンチル基等が挙げられ、なかでも安定面や製造面より、カルボキシメチル基が好ましい。これら置換基(C)は、その全部あるいは一部がNa、K、Ca、Mg等の1族又は2族元素、アミン、アンモニウム等の有機カチオン等との塩となっていてもよい。これら置換基(C)による置換度は、構成単糖残基当たり0〜1.0、更に0〜0.8、特に0〜0.5の範囲が好ましい。
(D)下記一般式(2)で表される基
【0013】
【化3】

【0014】
〔式中、D1はヒドロキシ基が置換していてもよい、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖の2価の飽和炭化水素基を示し、R2、R3及びR4は同一又は異なって、ヒドロキシ基が置換していてもよい、炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、X-はヒドロキシイオン、ハロゲンイオン又は有機酸イオンを示す。〕であるカチオン性置換基(D)におけるD1としては、炭素数2又は3のものが好ましく、具体的にはエチレン、プロピレン、トリメチレン、2−ヒドロキシトリメチレン、1−ヒドロキシメチルエチレン等が好ましい。
カチオン性置換基(D)におけるR2、R3及びR4としては、メチル基、エチル基、プロピル基、2−ヒドロキシエチル基等が挙げられ、中でもメチル基及びエチル基が好ましい。
カチオン性置換基(D)におけるX-で表されるハロゲンイオンとしては塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等が、有機酸イオンとしては、CH3COO-、CH3CH2COO-、CH3(CH22COO-等が挙げられる。X-としては、ヒドロキシイオン、塩素イオン及び臭素イオンが好ましい。
これらカチオン性置換基(D)による置換度は、構成単糖残基当たり0〜0.5、特に0〜0.3の範囲が好ましい。
【0015】
本発明の多糖誘導体は、例えば多糖類又はその誘導体を、(a)下記一般式(3)で表されるポリオキシアルキレン化剤
3−(OA)n−E2−R1 (3)
〔式中、E3は炭素数3〜6のエポキシ化アルキル基、ヒドロキシ基が置換していてもよい、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のハロゲン化アルキル基、又はカルボキシ基若しくは炭素数2〜6のカルボキシアルキル基若しくはそれらの誘導体を示し、n、A、E2及びR1は前記と同じ意味を示す。〕と反応させることにより、又は更に以下に示す(b)、(c)及び(d)から選ばれる1以上の化合物と反応させることにより、製造することができる。
ここで、(b)、(c)及び(d)は、(b)ビニルスルホン酸、ヒドロキシ基が置換していてもよい炭素数1〜5のハロアルカンスルホン酸、炭素数2〜6のエポキシ基を有するスルホン酸及びそれらの塩から選ばれるスルホン化剤、(c)ヒドロキシ基が置換していてもよい炭素数2〜6のハロゲン化カルボン酸及びその塩から選ばれるカルボキシ化剤及び(d)下記一般式(4)で表されるカチオン化剤である。
【0016】
【化4】

【0017】
〔式中、D2は炭素数3〜6のエポキシ化アルキル基、又はヒドロキシ基が置換していてもよい、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のハロゲン化アルキル基を示し、R2、R3、R4及びX-は前記と同じ意味を示す。〕
すなわち、本発明の多糖誘導体は、多糖類又はその誘導体のヒドロキシ基の水素原子を全てポリオキシアルキレン化〔置換基(A)の導入〕することにより、又は当該水素原子を部分的にポリオキシアルキレン化〔置換基(A)の導入〕し、必要に応じてスルホン化〔スルホアルキル基(B)の導入〕、カルボキシ化〔カルボキシアルキル基(C)の導入〕及び/又はカチオン化〔カチオン性置換基(D)の導入〕することにより得られる。これらポリオキシアルキレン化反応、スルホン化反応、カルボキシ化反応及び/又はカチオン化反応はどの順序で行ってもよく、また2〜4の反応を同時に行うこともできるが、ポリオキシアルキレン化反応、カチオン化反応、カルボキシ化反応、スルホン化反応の順で反応を行うのが好ましい。
【0018】
本発明に用いられる多糖類又はその誘導体としては、セルロース、グアーガム、スターチ、プルラン、デキストラン、フルクタン、マンナン、寒天、カラギーナン、キチン、キトサン、ペクチン、アルギン酸、ヒアルロン酸、イヌリン等の多糖類;これらにメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が置換した誘導体が挙げられる。これらの置換基は、構成単糖残基中に単独で又は複数の組合せで置換することができ、多糖誘導体の例としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシエチルスターチ、メチルセルロース、メチルグアーガム、メチルスターチ、エチルセルロース、エチルグアーガム、エチルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルグアーガム、ヒドロキシエチルメチルスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルグアーガム、ヒドロキシプロピルメチルスターチ等が挙げられる。これら多糖類又はその誘導体のうち、セルロース、スターチ、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが好ましく、特にヒドロキシエチルセルロースが好ましい。
また、上記多糖誘導体の置換基は、ヒドロキシエチル基やヒドロキシプロピル基のヒドロキシ基に更に置換して、例えばポリオキシエチレン鎖等を形成することで、構成単糖残基当たり3.0を超える置換度も可能であり、その構成単糖残基当たりの置換度は0.1〜10.0、特に0.5〜5.0が好ましい。
また、本発明に用いられる置換前の多糖類又はその誘導体の重量平均分子量、あるいは本発明の置換後の多糖誘導体の重量平均分子量は、それぞれ、1000以上かつ1万未満、更に1000〜9000、特に2000〜8500の範囲が好ましい。1000以上であれば、生体安全性の点で好ましく、1万未満であれば乳化能(小粒子径化)の点で好ましい。
【0019】
以下、ポリオキシアルキレン化反応、スルホン化反応、カルボキシ化反応及びカチオン化反応に分けて説明する。
〈ポリオキシアルキレン化反応〉
多糖類又はその誘導体のポリオキシアルキレン化反応は、多糖類又はその誘導体を適当な溶媒に溶解又は分散させて、前記一般式(3)で表されるポリオキシアルキレン化剤(a)と反応させることにより行われる。
一般式(3)におけるE3で示される基のうち、炭素数3〜6のエポキシ化アルキル基としては2,3−エポキシプロピル基、3,4−エポキシブチル基、4,5−エポキシペンチル基、5,6−エポキシヘキシル基等が挙げられる。ヒドロキシ基が置換していてもよい、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のハロゲン化アルキル基としては2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、4−クロロブチル基、6−クロロヘキシル基、2−ブロモエチル基、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル基、1−ヒドロキシメチル−2−クロロエチル基等が挙げられる。また、炭素数2〜6のカルボキシアルキル基としてはカルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシブチル基、カルボキシペンチル基等が挙げられ、これらカルボキシアルキル基又はカルボキシ基の誘導体としては、メチルエステル化物、エチルエステル化物、酸ハロゲン化物、トシル化物、メシル化物、無水物等が挙げられる。E3のうち好ましいものとしては、2,3−エポキシプロピル基;2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル基;カルボキシメチル基、カルボキシエチル基及びそのメチルエステル化物又は酸ハロゲン化物等が挙げられる。
これらポリオキシアルキレン化剤(3)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用でき、その使用量は、多糖類又はその誘導体に対する置換基(A)の所望する導入量によって適宜調整できるが、通常、多糖類又はその誘導体の構成単糖残基当たり、0.0001〜10当量、特に0.00015〜5当量の範囲が好ましい。
【0020】
本反応は、必要に応じてアルカリ存在下又は酸存在下で行うのが好ましく、かかるアルカリとしては1族又は2族元素の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、3級アミン等が挙げられ、なかでも水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、ピリジン等が好ましい。
アルカリの使用量は、用いるポリオキシアルキレン化剤(3)に対して1.0〜10モル倍量、特に1.05〜5.0モル倍量の範囲が良好な結果を与え、好ましい。また酸としては、鉱酸、有機酸等が挙げられ、なかでも硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等が好ましい。酸の使用量は、用いるポリオキシアルキレン化剤に対して0.01〜0.5モル倍量、特に0.1〜0.3モル倍量の範囲が良好な結果を与え、好ましい。
【0021】
溶媒としては、低級アルコール、例えばイソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等が挙げられる。また、多糖類又はその誘導体とポリオキシアルキレン化剤(3)との反応性を高める目的で、低級アルコールに対し、0.1〜100質量%、更に好ましくは1〜50質量%の水を加えた混合溶媒を用いてもよい。
反応温度は0〜150℃、特に30〜100℃の範囲が好ましい。反応終了後は、酸若しくはアルカリを用いて中和することができる。酸としては、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸、酢酸等の有機酸が、アルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム等の1族又は2族元素の水酸化物が挙げられる。また、中和することなく次の反応を行ってもよい。
【0022】
〈スルホン化反応〉
多糖類又はその誘導体のスルホン化反応は、多糖類又はその誘導体を適当な溶媒に溶解又は分散させて、スルホン化剤(b)と反応させることにより行われる。
スルホン化剤(b)のうち、ヒドロキシ基が置換していてもよい炭素数1〜5のハロアルカンスルホン酸における置換ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、またこれらの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の1族又は2族元素の塩、アンモニウム塩等が挙げられる。スルホン化剤としては、ビニルスルホン酸、3−ハロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−ハロプロパンスルホン酸、2,3−エポキシプロパンスルホン酸が好ましく、これらスルホン化剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用でき、その使用量は、多糖類又はその誘導体へのスルホン酸基(B)の所望する導入量によって適宜調整できるが、通常、多糖類又はその誘導体の構成単糖残基当たり、0〜10当量、特に0〜2当量の範囲が好ましい。
スルホン化反応は、必要に応じてアルカリ存在下で行うのが好ましく、かかるアルカリとしては、1族又は2族元素の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等が挙げられ、なかでも水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が好ましい。アルカリの使用量は、用いるスルホン化剤に対して0.1〜3.0モル倍量、特に0.5〜1.5モル倍量が良好な結果を与え、好ましい。
【0023】
溶媒としては、低級アルコール、例えばイソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等が挙げられる。また、多糖類又はその誘導体とスルホン化剤との反応性を高める目的で、低級アルコールに対し、0.1〜100質量%、更に好ましくは1〜50質量%の水を加えた混合溶媒を用いてもよい。
反応温度は0〜150℃、特に30〜100℃範囲が好ましい。反応終了後は、必要に応じて、酸を用いてアルカリを中和することができる。酸としては、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸、酢酸等の有機酸が挙げられる。また中和することなく次の反応を行ってもよい。
【0024】
〈カルボキシ化〉
多糖類又はその誘導体のカルボキシ化反応は、多糖類又はその誘導体を適当な溶媒に溶解又は分散させて、アルカリの存在下、カルボキシ化剤(c)と反応させることにより行われる。
カルボキシ化剤(c)としては、具体的には、モノクロル酢酸、モノクロロ酢酸ナトリウム、モノクロロ酢酸カリウム、モノブロモ酢酸ナトリウム、モノブロモ酢酸カリウム等が例示される。これらカルボキシ化剤(c)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用でき、その使用量は、多糖類又はその誘導体に対するカルボキシアルキル基(C)の所望する導入量によって適宜調整できるが、通常、多糖類又はその誘導体の構成単糖残基当たり、0〜10当量、特に0〜1当量の範囲が好ましい。
【0025】
本反応に用いられるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。アルカリの使用量は用いるカルボキシ化剤(c)に対して1.0〜3.0モル倍量、特に1.05〜2.5モル倍量が好ましい。アルカリ量が少なすぎると反応速度が低下し、多すぎると多糖類又はその誘導体の分解等が生じ易く望ましくない。
溶媒としては、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等が挙げられる。通常は、多糖類又はその誘導体とカルボキシ化剤(c)との反応性を高める目的で、イソプロピルアルコールやtert−ブチルアルコールに1〜50質量%の水を加えた混合溶媒が用いられる。
反応温度は0〜150℃、特に30〜100℃の範囲が好ましい。反応終了後は、必要に応じて、酸を用いてアルカリを中和することができる。酸としては、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸、酢酸等の有機酸が挙げられる。また、中和することなく次の反応を行ってもよい。
【0026】
〈カチオン化反応〉
多糖類又はその誘導体のカチオン化反応は、多糖類又はその誘導体を適当な溶媒に溶解又は分散させて、カチオン化剤(d)と反応させることにより行われる。
一般式(4)におけるD2で示される基のうち、炭素数3〜6のエポキシ化アルキル基としては2,3−エポキシプロピル基、3,4−エポキシブチル基、4,5−エポキシペンチル基、5,6−エポキシヘキシル基等が挙げられ、ヒドロキシ基が置換していてもよい、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のハロゲン化アルキル基としては2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、4−クロロブチル基、6−クロロヘキシル基、2−ブロモエチル基、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル基、1−ヒドロキシメチル−2−クロロエチル基等が挙げられる。D2のうち好ましいものとしては、2,3−エポキシプロピル基、2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル基等が挙げられる。これらカチオン化剤(d)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用でき、その使用量は、多糖類又はその誘導体に対するカチオン性置換基(D)の所望する導入量によって適宜調整できるが、通常、多糖類又はその誘導体の構成単糖残基当たり、0〜10当量、特に0〜5当量の範囲が好ましい。
【0027】
本反応は、必要に応じてアルカリ存在下で行うのが好ましく、かかるアルカリとしては、1族又は2族元素の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等が挙げられ、なかでも水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が好ましい。アルカリの使用量は、用いるカチオン化剤(d)に対して1.0〜3.0モル倍量、特に1.05〜1.5モル倍量の範囲が良好な結果を与え、好ましい。
溶媒としては、低級アルコール、例えばイソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等が挙げられる。また、多糖類又はその誘導体とカチオン化剤(d)との反応性を高める目的で、低級アルコールに対し、0.1〜100質量%、更に好ましくは1〜50質量%の水を加えた混合溶媒を用いてもよい。
反応温度は0〜150℃、特に30〜100℃の範囲が好ましい。反応終了後は、酸を用いてアルカリを中和することができる。酸としては、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸、酢酸等の有機酸が挙げられる。また、中和することなく次の反応を行ってもよい。
以上の各反応で得られた多糖誘導体は、続いて他の反応に用いる場合には、中和せずそのまま用いることができるほか、必要に応じろ過等により分別したり、熱水、含水イソプロピルアルコール、含水アセトン等で洗浄して未反応の化合物(a)、(b)、(c)又は(d)や中和等により副生した塩類を除去して使用することもできる。なお、目的とする置換基の導入が完了した場合には、中和し、ろ過等による分別後、必要に応じて洗浄等を行った後、乾燥して本発明の多糖誘導体を得ることができる。
【0028】
かくして得られる本発明の多糖誘導体は水溶性に優れ、疎水性化合物を水中に極めて安定に存在させる優れた乳化作用をもつ乳化剤として有用である。従って、本発明の多糖誘導体を含有する水性組成物は、疎水性化合物が存在すると、多糖誘導体の乳化、分散、保護コロイド作用により疎水性化合物を極めて安定に存在せしめる。
水性組成物の典型例として水中油型乳化物がある。本発明の多糖誘導体を用いることにより、平均乳化粒子径が0.6〜1.5μmと小さく、かつ極めて安定な水中油型乳化物が得られる。0.6μm以上であれば、高分散の点で好ましく、1.5μm以下であれば、クリーミング防止の点で好ましい。
この疎水性化合物を含有する多糖誘導体水性組成物は経日変化又は、一般的に用いられる界面活性剤の添加等により、粘度変化及び分離等外観上の変化を起こさないばかりでなく、製品を使用する時には疎水性化合物を効率良く放出することから、トイレタリー分野において極めて有用である。
【0029】
疎水性化合物としては、トイレタリー製品の機能や付加価値を高めるために配合される高級アルコール類、ステロール類、シリコーン類、フッ素系油剤、油性成分等が挙げられる。
高級アルコールとしては、例えばベンジルアルコール、イソセチルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、フェニルエチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、2−オクチルドデカノール、バチルアルコール、2−ヘキシルデカノール等が挙げられ、特にセタノール、ステアリルアルコールが好ましい。
また、ステロール類としては、例えばコレステロール、イソステアリン酸コレステリル、プロビタミンD3、カンベステロール、ステグマスタノール、ステグマステロール、5−ジヒドロコレステロール、α−スピナステロール、パリステロール、クリオナステロール、γ−シトステロール、ステグマステノール、サルガステロール、アペナステロール、エルゴスタノール、シトステロール、コルビステロール、コンドリラステロール、ポリフェラステロール、ハリクロナステロール、ネオスボンゴステロール、フコステロール、アプトスタノール、エルゴスタジエノール、エルゴステロール、22−ジヒドロエルゴステロール、ブラシカステロール、24−メチレンコレステロール、5−ジヒドロエルゴステロール、デヒドロエルゴステロール、フンギステロール、コレスタノール、コプロスタノール、ジモステロール、7−ヘトコレステロール、ラトステロール、22−デヒドロコレステロール、β−シトステロール、コレスタトリエン−3β−オール、コプロスタノール、コレスタノール、エルゴステロール、7−デヒドロコレステロール、24−デヒドロコレスタジオン−3β−オール、エキレニン、エキリン、エストロン、17β−エストラジオール、アンドロスト−4−エン−3β,17β−ジオール、デヒドロエビアンドロステロン、アルケニルコハク酸コレステロール(特開平5−294989号公報)等が挙げられる。これらのうち、特にコレステロール、イソステアリン酸コレステリル、アルケニルコハク酸コレステリルが好ましい。
【0030】
シリコーン類としては、通常トイレタリー製品に配合されるもの、例えばオクタメチルポリシロキサン、テトラデカメチルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンのほか、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のメチルポリシクロシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、更には、アルキル変性シリコーン、ポリエーテル・アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキルグリセリルエーテル変性シリコーン、特開平6−72851号公報記載の変性オルガノポリシロキサン等の変性シリコーン等が挙げられる。
【0031】
フッ素系油剤としては、常温で液体のパーフルオロ有機化合物であるパーフルオロポリエーテル、フッ素変性シリコーンが好ましく、例えばパーフルオロデカリン、パーフルオロアダマンタン、パーフルオロブチルテトラハイドロフラン、パーフルオロオクタン、パーフルオロノナン、パーフルオロペンタン、パーフルオロデカン、パーフルオロドデカン、パーフルオロポリエーテル等が挙げられる。
また、油性成分としては、揮発性、不揮発性いずれでもよく、例えば固体状又は液体状パラフィン、ワセリン、クリスタルオイル、セレシン、オゾケライト、モンタンロウ、スクワラン、スクワレン等の炭化水素類;ユーカリ油、ハッカ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、アボガド油、牛脂、豚脂、馬脂、卵黄油、オリーブ油、カルナウバロウ、ラノリン、ホホバ油;グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンジステアリン酸エステル、グリセリンモノオレイン酸エステル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、フタル酸ジエチル、乳酸ミリスチル、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸セチル、乳酸ミリスチル、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸セチル、乳酸セチル、1−イソステアロイル−3−ミリストイルグリセロール、2−エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸−2−オクチルドデシル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、オレイン酸−2−オクチルドデシル、トリイソステアリン酸グリセロール、ジ−パラメトキシケイヒ酸−モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル等のエステル油;ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;及びローズマリー、ルイボス、ローヤルゼリー、ハマメリス等の天然精油、リグナン、ビタミンE、油溶性ビタミンC、ビタミンA誘導体、セラミド類、セラミド類似構造物質、油溶性紫外線吸収剤、香料等の機能性油性物質等が挙げられる。
水性組成物の多糖誘導体含有量は0.01〜5質量%が好ましく、0.05〜2質量%がより好ましい。疎水性化合物を添加する場合には0.0001〜50質量%が好ましく、0.001〜30質量%がより好ましい。
【0032】
本発明の多糖誘導体含有水性組成物にはトイレタリー製品に通常使用される界面活性剤、分散剤、溶剤、香料、染料、無機塩、pH調整剤等を任意に加えることができる。
【実施例】
【0033】
以下の実施例において、多糖誘導体の重量平均分子量は、GPC(ゲル透過クロマトグラフィー)によるポリエチレングリコール換算により求めた。より具体的には、TEKgel(α−M)カラム(東ソー(株)製)を用い測定した。
また、多糖誘導体の置換基(A)の置換度は、Zeisel法〔D.G.Anderson,Anal.Chem.,43,894(1971)〕により、スルホアルキル基(B)、カルボキシアルキル基(C)及びカチオン性置換基(D)の置換度はコロイド滴定法により求めた。なお、以下の実施例において「置換度」とは、構成単糖残基当たりの置換基の平均数を示す。
【0034】
実施例1
重量平均分子量20万のヒドロキシエチルセルロース(以下、HECという)(ハーキュレス社製 Natrozol 250G)100gと90%イソプロピルアルコール(以下、IPAという)水溶液500gを混合し、窒素気流下室温で1時間攪拌した。その後36%塩酸水溶液22.5gを添加し、75℃で9時間反応を行った。反応終了後、反応溶液をアセトン5L中に分散させた。生じた固体を濾過し、得られた固体をさらにアセトンで洗浄した(1L×2)。得られた白色固体を減圧乾燥し、低分子量化したHECを得た(収量77g)。得られた化合物の重量平均分子量は、8000であった。
【0035】
【化5】

【0036】
上記で得られたHEC 60g,IPA 216g,イオン交換水38gを混合し、窒素気流下室温で1時間攪拌した。その後、化合物A 18.8g(0.022mol),48%NaOHaq. 3.67gを添加し、80℃で9時間反応を行った。反応終了後、酢酸2.64gを添加した。得られた反応溶液をアセトン4.5L中に分散させた。生じた固体を濾過し、得られた固体をさらにアセトンで洗浄した(1L×2)。減圧乾燥を行い、淡黄色固体を得た(収量52g)。得られた化合物のポリオキシエチレンアルキルエーテルの置換度をZeisel法により測定を行った結果、0.0222であった。
【0037】
実施例2
実施例1の方法に従って得られたHEC(重量分子量8000)60g,IPA 216g,イオン交換水38gを混合し、窒素気流下室温で1時間攪拌した。その後、化合物A 37.6g,48%NaOHaq.3.67gを添加し、80℃で9時間反応を行った。反応終了後、酢酸2.64gを添加した。得られた反応溶液をアセトン4.5L中に分散させた。生じた固体を濾過し、得られた固体をさらにアセトンで洗浄した(1L×2)。減圧乾燥を行い、淡黄色固体を得た(収量52g)。得られた化合物のポリオキシエチレンアルキルエーテルの置換度をZeisel法により測定を行った結果、0.0449であった。
【0038】
実施例3
重量平均分子量20万のHEC(ハーキュレス社製 Natrozol 250G )200gと70%IPA水溶液1000gを混合し、窒素気流下室温で1時間攪拌した。その後36%塩酸水溶液45.0(0.444moml)を添加し、75℃で9時間反応を行った。反応終了後、反応溶液をアセトン5L中に分散させた。生じた固体を濾過し、得られた固体をさらにアセトンで洗浄した(1L×2)。得られた白色固体を減圧乾燥し、低分子量化したHECを得た(収量160g)。得られた化合物の分子量は、5600であった。
上記HEC(重量平均分子量5600)60g,IPA 216g,イオン交換水38gを混合し、窒素気流下室温で1時間攪拌した。その後、化合物A 18.8g,48%NaOHaq. 3.67gを添加し、80℃で9時間反応を行った。反応終了後、酢酸2.64gを添加した。得られた反応溶液をアセトン4.5L中に分散させた。生じた固体を濾過し、得られた固体をさらにアセトンで洗浄した(1L×2)。減圧乾燥を行い、淡黄色固体を得た(収量52g)。得られた化合物のポリオキシエチレンアルキルエーテル置換度をZeisel法により測定を行った結果、0.0246であった。
【0039】
実施例4
実施例3の方法に従って得られたHEC(重量平均分子量5600)60g,IPA 216g,イオン交換水38gを混合し、窒素気流下室温で1時間攪拌した。その後、化合物A 37.6g,48%NaOHaq.3.67gを添加し、80℃で9時間反応を行った。反応終了後、酢酸2.64gを添加した。得られた反応溶液をアセトン4.5L中に分散させた。生じた固体を濾過し、得られた固体をさらにアセトンで洗浄した(1L×2)。減圧乾燥を行い、淡黄色固体を得た(収量51g)。得られた化合物のポリオキシエチレンアルキルエーテル置換度をZeisel法により測定を行った結果、0.0429であった。
【0040】
実施例5
イヌリン(フジ日本精糖(株)製 重量平均分子量2800)50g,IPA 60g,イオン交換水240gを混合し、窒素気流下室温で1時間攪拌した。その後、化合物A 13.6g,48%NaOHaq. 5.14gを添加し、80℃で9時間反応を行った。反応終了後、酢酸3.53mlを添加した。得られた反応溶液をアセトン5L中に分散させた。生じた固体を濾過し、得られた固体をさらにIPAで洗浄した(500ml×2)。減圧乾燥を行い、淡黄色固体を得た(収量50g)。得られた化合物のポリオキシエチレンアルキルエーテル置換度をZeisel法により測定を行った結果、0.0117であった。
【0041】
実施例6
イヌリン(フジ日本精糖(株)製 重量平均分子量2800)50g,IPA 60g,イオン交換水240gを混合し、窒素気流下室温で1時間攪拌した。その後、化合物A 40.8g,48%NaOHaq. 5.14gを添加し、80℃で9時間反応を行った。反応終了後、酢酸3.53mlを添加した。得られた反応溶液をアセトン5L中に分散させた。生じた固体を濾過し、得られた固体をさらにIPAで洗浄した(500ml×2)。減圧乾燥を行い、淡黄色固体を得た(収量51g)。得られた化合物のポリオキシエチレンアルキルエーテル置換度をZeisel法により測定を行った結果、0.0266であった。
実施例7
【0042】
【化6】

【0043】
実施例3の方法に従って得られたHEC(重量平均分子量5600)50g,IPA 225g,イオン交換水40gを混合し、窒素気流下室温で1時間攪拌した。その後、化合物B 5.59g,48%NaOHaq.3.06gを添加し、80℃で8時間反応を行った。反応終了後、酢酸2.13mlを添加した。得られた反応溶液をアセトン4.5L中に分散させた。生じた固体を濾過し、得られた固体をさらにアセトンで洗浄した(1L×2)。減圧乾燥を行い、淡黄色固体を得た(収量46g)。得られた化合物のポリオキシエチレンアルキルエーテル置換度をZeisel法により測定を行った結果、0.0030であった。
実施例8
【0044】
【化7】

【0045】
実施例3の方法に従って得られたHEC(重量平均分子量5600)50g,IPA 225g,イオン交換水25gを混合し、窒素気流下室温で1時間攪拌した。その後、化合物C 8.08g,48%NaOHaq.3.06gを添加し、80℃で9時間反応を行った。反応終了後、酢酸2.64gを添加した。得られた反応溶液をアセトン4.5L中に分散させた。生じた固体を濾過し、得られた固体をさらにアセトンで洗浄した(1L×2)。減圧乾燥を行い、淡黄色固体を得た(収量47g)。得られた化合物のポリオキシエチレンアルキルエーテル置換度をZeisel法により測定を行った結果、0.0071であった。
実施例9
【0046】
【化8】

【0047】
実施例3の方法に従って得られたHEC(重量平均分子量5600)50g,IPA 225g,イオン交換水25gを混合し、窒素気流下室温で1時間攪拌した。その後、化合物D 13.7g,48%NaOHaq.3.34gを添加し、80℃で9時間反応を行った。反応終了後、酢酸2.88gを添加した。得られた反応溶液をアセトン4.5L中に分散させた。生じた固体を濾過し、得られた固体をさらにアセトンで洗浄した(1L×2)。減圧乾燥を行い、淡黄色固体を得た(収量48g)。得られた化合物のポリオキシエチレンアルキルエーテル置換度をZeisel法により測定を行った結果、0.004であった。
【0048】
実施例10
実施例2の方法で合成したポリオキシエチレンアルキルエーテルを導入したHEC誘導体(置換度0.0449)50g,IPA175g,イオン交換水75gを混合し、窒素気流下1時間攪拌した。その後48%NaOH水溶液10.7g、3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム18.05gを添加し、50℃で3時間攪拌した。室温まで冷却した後、酢酸2.2gを添加し中和した。得られた反応溶液をアセトン4.5L中に分散させた。生じた固体を濾過し、得られた固体をさらにアセトンで洗浄した(1L×2)。減圧乾燥を行い、白色固体を得た(収量51g)。得られた化合物のスルホン化剤導入量をコロイド滴定法により測定した結果、スルホン化置換度は0.18であった。
【0049】
実施例11
実施例2の方法で合成したポリオキシエチレンアルキルエーテルを導入したHEC誘導体(置換度0.0449)50g,IPA175g,イオン交換水75gを混合し、窒素気流下1時間攪拌した。その後48%NaOH水溶液10.7g、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(60%水溶液)28.8gを添加し、50℃で3時間攪拌した。室温まで冷却した後、酢酸2.2gを添加し中和した。得られた反応溶液をアセトン4.5L中に分散させた。生じた固体を濾過し、得られた固体をさらにアセトンで洗浄した(1L×2)。減圧乾燥を行い、白色固体を得た(収量52g)。得られた化合物のカチオン化剤導入量をコロイド滴定法により測定した結果、カチオン化置換度は0.24であった。
【0050】
実施例12
実施例2の方法で合成したポリオキシエチレンアルキルエーテルを導入したHEC誘導体(置換度0.0449)50g,IPA175g,イオン交換水75gを混合し、窒素気流下1時間攪拌した。その後48%NaOH水溶液10.7g、クロロ酢酸ナトリウム10.7gを添加し、50℃で3時間攪拌した。室温まで冷却した後、酢酸2.2gを添加し中和した。得られた反応溶液をアセトン4.5L中に分散させた。生じた固体を濾過し、得られた固体をさらにアセトンで洗浄した(1L×2)。減圧乾燥を行い、白色固体を得た(収量52g)。得られた化合物のカルボキシメチル導入量をコロイド滴定法により測定した結果、カルボキシメチル化置換度は0.26であった。
【0051】
実施例13−21
表1に示す割合で(a)成分及びポリオール水溶液を60℃で混合し、300rpm/minの速度で攪拌し、均一溶解した。30℃まで冷却した後、次に(b)成分を30℃、300rpm/minで攪拌しながら滴下した。滴下終了後さらに30分以上、30℃、300rpm/minで攪拌した。その後イオン交換水を加え、30分以上攪拌し、水中油乳化物を得た。得られた水中油乳化物について下記方法で直後の乳化状態、平均乳化粒子径及び安定性を評価した。結果を表1に示す。
<直後の乳化状態>
得られた乳化物1gにイオン交換水9gを添加し希釈した。プレパラート上に適量のせ、デジタルマイクロスコープ(KEYENCE VH-8500)で組成物の乳化状態を観察した。
<平均乳化粒子径>
乳化物中の乳化粒子の平均粒径は、乳化物0.5gを生理食塩水99.5gで希釈し、室温にて堀場製作所製のレーザー散乱による粒度分布測定装置であるLA-910を用いて測定した。
<安定性>
乳化物を室温及び40℃で1ヶ月保存し、分離(クリーミング)の有無を目視により観察し下記基準で評価した。
○ :分離は観測されていない
× :分離(クリーミング)している。
【0052】
【表1】

【0053】
比較化合物1の合成法
重量平均分子量20万のHEC(ハーキュレス社製 Natrozol 250G)160g、含水80%イソプロピルアルコール1280g、48%NaOH水溶液9.8gを混合し窒素雰囲気下30分攪拌した。この溶液に化合物A 31.8gを加え、80℃で8時間反応させた。反応終了後、酢酸で中和し反応生成物を濾別した。反応生成物をイソプロピルアルコール700gで2回洗浄後、減圧下60℃で一昼夜乾燥し、比較化合物1を得た。得られた化合物のポリオキシエチレンアルキルエーテル置換度をZeisel法により測定を行った結果、0.014であった。
【0054】
実施例22 シャンプー
本発明化合物2(実施例2の化合物)を用い、以下に示す組成のシャンプーを製造した。このシャンプーは、比較例3に比べて起泡性、洗浄性に優れており、すすぎ時、乾燥後の感触も優れていた。
(組成) (質量%)
ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル 15.0
パルミチン酸イソプロピル 5.0
本発明化合物2 0.5
ラウロイルジエタノールアミド 3.0
ラウリルジメチルアミンオキシド 0.5
ヒドロキシエチルセルロース(ダイセン社製) 0.1
安息香酸ナトリウム 0.3
色素 適量香料 適量クエン酸 適量
水 バランス
計 100.0
【0055】
比較例3
実施例22において、本発明化合物2を用いずにシャンプーを製造した。
【0056】
実施例23 ボディシャンプー
本発明化合物4(実施例4の化合物)を用い、以下に示す組成のボディシャンプーを製造した。このボディシャンプーは、比較例4に比べて起泡性、洗浄性に優れており、洗い上がり後の感触もしっとりとして良好であった。
(組成) (質量%)
モノラウリルフォスフェートカリウム塩 15.0
トリイソステアリン酸グリセロール 5.0
本発明化合物4 0.5
ポリオキシエチレン(EO3)ラウリルグルコシド 5.0
ラウリルジメチルアミンオキシド 3.0
グリセリン 4.0
ショ糖脂肪酸エステル 1.0
メチルパラベン 0.3
色素 適量香料 適量クエン酸 適量
水 バランス
計 100.0
【0057】
比較例4
実施例23において、本発明化合物4を用いずにボディシャンプーを製造した。
【0058】
実施例24 乳液
以下の処方で本発明化合物6(実施例6の化合物)を用いて乳液を調製した。この乳液は比較例5に比べて安定性に優れ、使用感もべたつかず良好なものであった。
(組成) (質量%)
スクワラン 5.0
オリーブ油 8.0
ホホバ油 1.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(10EO) 1.0
モノステアリン酸ソルビタン 1.0
本発明化合物7 0.5
ブチルパラベン 0.1
メチルパラベン 0.1
エタノール 5.0
グリセリン 3.0
香料 0.05
水 バランス
計 100.0
【0059】
比較例5
実施例24において、本発明化合物6を用いずに乳液を処方した。
【0060】
実施例25 化粧水
以下の処方で、本発明化合物2を用いて化粧水を調製した。この化粧水は比較例6に比べて安定で、使用感も良好なものであった。
(組成) (質量%)
エタノール 5.0
グリセリン 3.0
ポリエチレングリコール1500 4.0
ポリオキシエチレンオレイルエーテル(20EO) 0.3
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(30EO) 0.2
本発明化合物2の多糖誘導体 0.15
p−フェノールスルホン酸亜鉛 0.2
水 バランス
計 100.0
【0061】
比較例6
実施例25において、本発明化合物2を用いずに化粧水を処方した。
【0062】
実施例26 衣料用柔軟剤
本発明化合物6を用いて、以下の処方で衣料用柔軟剤を調製した。この衣料用柔軟剤は比較例7に比較して、安定性に優れ風合いも優れている。また、乾燥後の衣類から感じられる香料の匂いも強かった。
(組成) (質量%)
ジオレオイルエチルジメチルアンモニウムクロリド 15.0
本発明化合物6 0.5
アミノ変性シリコーン 5.0
ポリオキシエチレンラウリルエーテル(m=21) 2.0
グリセリン 1.0
塩化カルシウム 適量
香料 0.3
水 バランス
計 100.0
【0063】
比較例7
実施例26において、本発明化合物6を用いずに衣料用柔軟剤を処方した。
【0064】
実施例27 衣料用液体洗浄剤
本発明化合物6を用いて以下の処方で衣料用液体洗浄剤を調製した。この洗浄剤は比較例8に比べて洗浄力及び安定性に優れ、乾燥後の衣料の風合いも良好であった。
(組成) (質量%)
非イオン界面活性剤 5.0
(C1014の一級アルコールにEO平均5モル、PO平均2モル、EO平均5モルをブロック付加したもの)
非イオン界面活性剤 30
(C1014の二級アルコールEO平均8モル、PO平均1モルをブロック付加したもの)
LAS−S剤 1.5
1214脂肪酸Na塩 1.0
本発明化合物6 0.5
アミノ変性シリコーン 5.0
ポリエチレングリコールフェニルエーテル 5.0
ジエタノールアミン 8.0
プロピレングリコール 6.0
エタノール 2.0
亜硫酸Na 0.3
香料 適量
NaOH 原液 pHを10.5とする量
水 バランス
計 100.0
【0065】
比較例8
実施例27において、本発明化合物6を用いずに衣料用液体洗浄剤を処方した。
【0066】
実施例28 衣料用液体洗浄剤
本発明化合物6を用いて以下の処方で衣料用液体洗浄剤を調製した。この洗浄剤は比較例9に比べて洗浄力及び安定性に優れ、乾燥後の衣料の風合いも良好であった。
(組成) (重量%)
非イオン界面活性剤 5.0
(C1014の一級アルコールにEO平均5モル、PO平均2モル、EO平均5モルをブロック付加したもの)
非イオン界面活性剤 40
(C1014の二級アルコールEO平均8モル、PO平均1モルをブロック付加したもの)
LAS−S剤 1.5
1214脂肪酸Na塩 1.0
本発明化合物6 0.5
アミノ変性シリコーン 5.0
ポリエチレングリコールフェニルエーテル 5.0
ジエタノールアミン 8.0
プロピレングリコール 6.0
エタノール 2.0
亜硫酸Na 0.3
香料 適量
NaOH 原液 pHを10.5とする量
水 バランス
計 100.0
【0067】
比較例9
実施例28において、本発明化合物6の代わりに比較化合物2を用いて衣料用液体洗浄剤を処方した(配合量0.5%)。
【0068】
比較化合物2の合成法
重量平均分子量20万のHEC(ハーキュレス社製 Natrozol 250G)160g、含水80%イソプロピルアルコール1280g、48%NaOH水溶液9.8gを混合し窒素雰囲気下30分攪拌した。この溶液に化合物A 47.7gを加え、80℃で8時間反応させた。反応終了後、酢酸で中和し反応生成物を濾別した。反応生成物をイソプロピルアルコール700gで2回洗浄後、減圧下60℃で一昼夜乾燥し、比較例2の化合物を得た。得られた化合物のポリオキシエチレンアルキルエーテル置換度をZeisel法により測定を行った結果、0.021であった。
【0069】
実施例29 シャンプー
本発明化合物2を用い、以下に示す組成のシャンプーを製造した。このシャンプーは、比較例10に比べて起泡性、洗浄性に優れており、すすぎ時、乾燥後の感触も優れていた。
(組成) (重量%)
ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル 20.0
パルミチン酸イソプロピル 5.0
本発明化合物2 0.5
ラウロイルジエタノールアミド 3.0
ラウラミドプロピルベタイン 5.0
ヒドロキシエチルセルロース(ダイセン社製) 0.1
安息香酸ナトリウム 0.3
色素 適量香料 適量クエン酸 適量
水 バランス
計 100.0
【0070】
比較例10
実施例29において、本発明化合物2の代わりに比較化合物3を用いてシャンプーを処方した(配合量0.5%)。
【0071】
比較化合物3の合成法
重量平均分子量150万のHEC(ダウ・ケミカル社製 HEC-QP100MH)80g、含水80%イソプロピルアルコール640g、48%NaOH水溶液5.34gを混合し窒素雰囲気下30分攪拌した。この溶液に化合物A 12.78gを加え、80℃で8時間反応させた。反応終了後、酢酸で中和し反応生成物を濾別した。反応生成物をイソプロピルアルコール500gで2回洗浄後、減圧下60℃で一昼夜乾燥し、比較例3の化合物を得た。得られた化合物のポリオキシエチレンアルキルエーテル置換度をZeisel法により測定を行った結果、0.004であった。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の多糖誘導体及びこれを含有する水性組成物は、浴用剤、マッサージ化粧料、シャワー剤、スキンケア剤、毛髪洗浄料、全身洗浄剤、衣料用洗浄剤、衣料用仕上げ剤、硬質表面洗浄剤等、種々のトイレタリー製品に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量平均分子量1万未満の多糖類又はその誘導体のヒドロキシ基の水素原子の一部又は全部が、下記一般式(1)で表される基(A)〔該置換基(A)のヒドロキシ基の水素原子は更に置換基(A)で置換されていてもよい〕
−E1−(OA)n−E2−R1 (1)
〔式中、E1はヒドロキシ基又はオキソ基が置換していてもよい、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖の2価の飽和炭化水素基を示し、nは8〜300の数を示し、n個のAは同一又は異なって、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖の2価の飽和炭化水素基を示し、E2はエーテル結合又はオキシカルボニル基(−OCO−又は−COO−)を示し、R1はヒドロキシ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はコレステリル基を示す。〕
で置換されている多糖誘導体。
【請求項2】
多糖誘導体のヒドロキシ基の水素原子の一部又は全部が、下記の基(B)、(C)及び(D)から選ばれる1以上の基〔これらの基のヒドロキシ基の水素原子は更に基(A)、(B)、(C)又は(D)で置換されていてもよい〕で置換されている請求項1に記載の多糖誘導体。
(B):ヒドロキシ基が置換していてもよい炭素数1〜5のスルホアルキル基又はその塩(C):ヒドロキシ基が置換していてもよい炭素数2〜6のカルボキシアルキル基又はその塩
(D):下記一般式(2)で表される基
【化1】

〔式中、D1はヒドロキシ基が置換していてもよい、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖の2価の飽和炭化水素基を示し、R2、R3及びR4は同一又は異なって、ヒドロキシ基が置換していてもよい、炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、X-はヒドロキシイオン、ハロゲンイオン又は有機酸イオンを示す〕。
【請求項3】
置換された後の多糖類又はその誘導体の重量平均分子量が1万未満である請求項1又は2に記載の多糖誘導体。
【請求項4】
重量平均分子量1万未満の多糖類又はその誘導体を、(a)下記一般式(3)で表されるポリオキシアルキレン剤
3−(OA)n−E2−R1 (3)
〔式中、E3は炭素数3〜6のエポキシ化アルキル基、ヒドロキシ基が置換していてもよい、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のハロゲン化アルキル基、又はカルボキシ基若しくは炭素数2〜6のカルボキシアルキル基若しくはそれらの誘導体を示し、nは8〜300の数を示し、n個のAは同一又は異なって、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖の2価の飽和炭化水素基を示し、E2はエーテル結合又はオキシカルボニル基(−OCO−又は−COO−)を示し、R1はヒドロキシ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はコレステリル基を示す。〕
と反応させる多糖誘導体の製造法。
【請求項5】
重量平均分子量1万未満の多糖類又はその誘導体を、
(a)下記一般式(3)で表されるポリオキシアルキレン化剤
3−(OA)n−E2−R1 (3)
〔式中、E3は炭素数3〜6のエポキシ化アルキル基、ヒドロキシ基が置換していてもよい、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のハロゲン化アルキル基、又はカルボキシ基若しくは炭素数2〜6のカルボキシアルキル基若しくはそれらの誘導体を示し、nは8〜300の数を示し、n個のAは同一又は異なって、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖の2価の飽和炭化水素基を示し、E2はエーテル結合又はオキシカルボニル基(−OCO−又は−COO−)を示し、R1はヒドロキシ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又はコレステリル基を示す。〕
並びに以下に示す(b)、(c)及び(d)から選ばれる1以上の化合物と反応させる多糖誘導体の製造法。
(b):ビニルスルホン酸、ヒドロキシ基が置換していてもよい炭素数1〜5のハロアルカンスルホン酸、炭素数2〜6のエポキシ基を有するスルホン酸及びそれらの塩から選ばれるスルホン化剤
(c):ヒドロキシ基が置換していてもよい炭素数2〜6のハロゲン化カルボン酸及びその塩から選ばれるカルボキシ化剤
(d)下記一般式(4)で表されるカチオン化剤
【化2】

〔式中、D2は炭素数3〜6のエポキシ化アルキル基、又はヒドロキシ基が置換していてもよい、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のハロゲン化アルキル基を示し、R2、R3及びR4は同一又は異なって、ヒドロキシ基が置換していてもよい、炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、X-はヒドロキシイオン、ハロゲンイオン又は有機酸イオンを示す。〕
【請求項6】
請求項1から3のいずれかに記載の多糖誘導体からなる乳化剤。
【請求項7】
請求項1から3のいずれかに記載の多糖誘導体を含有する水性組成物。
【請求項8】
請求項6に記載の乳化剤を含有し、平均乳化粒子径が0.6〜1.5μmである水中油型乳化物。

【公開番号】特開2007−145903(P2007−145903A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−339074(P2005−339074)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】