説明

多結晶シリコンの乾燥方法

【課題】洗浄後の多結晶シリコンの乾燥方法を提供する。
【解決手段】洗浄液で洗浄した塊状の多結晶シリコン(ナゲット12)の乾燥方法であって、前記多結晶シリコンに前記多結晶シリコンまたは前記洗浄液の吸収帯域の波長を有する電磁波を照射して前記多結晶シリコンを昇温し、前記昇温により前記多結晶シリコン表面に付着した洗浄液が気化する間に前記電磁波の照射を停止することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液や純水などの洗浄液で洗浄後の多結晶シリコンの乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CZ引き上げ法による半導体シリコン単結晶の製造や、太陽電池用多結晶シリコンの製造に溶解材料として使用される多結晶シリコンは、一般にシーメンス法により製造される。シーメンス法による多結晶シリコンの製造では、多結晶シリコンからなる芯材が、シーメンス炉と呼ばれる還元反応炉内で通電加熱され、この状態で還元反応炉内にシラン系ガスと水素ガスの混合ガスから原料ガスが導入される。これにより、還元反応炉内の芯材が気相反応により成長し、棒状の多結晶シリコンが製造される。このように製造された棒状の多結晶シリコンは、所定長さのロッドに切断したり、タングステンカーバイドなどの超硬工具でつくられたハンマーで適当な大きさの塊粒状に破砕した後、酸洗浄を伴う洗浄工程と乾燥工程を経て溶解原料として出荷される。洗浄工程においては特許文献1乃至3に係る方法が知られている。
【0003】
一方、乾燥工程において、特許文献1においては、酸洗浄後に純水洗浄した多結晶シリコンを、洗浄カゴから移し変えずにそのまま遠心脱水する構成が開示されている。特許文献2においては、粒状又は塊状のシリコン原料を通液性無端のベルトで運搬し、ベルト上のシリコン原料に洗浄液や超純水を噴射してシリコン原料を洗浄したのち、そのシリコン原料を温風乾燥する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−288331
【特許文献2】特開2001−106595
【特許文献3】特開2006−327838
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、シリコン原料を温風により乾燥する場合、温風が積み重なった多結晶シリコン粒塊の内部にまで侵入し難く、主に表面層からの熱伝達で内部の粒塊を昇温して充分に乾燥するために長時間を有している。そこで多結晶シリコンの粒塊に電磁波を照射し、積層した内部も効果的に加熱することで乾燥時間を短縮する乾燥方式が検討されている。
【0006】
しかし、積層した多結晶シリコン粒塊に電磁波を照射して昇温するとき、昇温電磁波の不均一性や洗浄液の付着割合、及び積層した多結晶シリコンの位置により昇温温度にバラつきが発生することがあることを本願発明者は見出した。さらに、積層した多結晶シリコン粒塊に付着した洗浄液を全ての位置で除去できるまで電磁波を照射すると早期に洗浄液を除去できた部分では温度が300度以上まで上昇することがある。
【0007】
一方、多結晶シリコンの生産工程では金属汚染を防止するため容器や搬送用の機材に金属材料が使用できず、樹脂材が使用されている。樹脂材に電磁波を照射したときの昇温特性は樹脂の種類ごとに固有の誘電損失係数(吸収係数)によって決まる。誘電損失係数の小さい材質は昇温し難く、大きな材質は昇温しやすい。電磁波による乾燥では樹脂が耐熱温度以上に上昇することを防止するために極力誘電損失係数の小さい材料を使用している。誘電損失の小さい材料としてはポリテトラフルオロエタン(PTFE)やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリプロピレン(PP)などが知られている。これらの樹脂のうち最も耐熱温度の高いPTFEでもその温度は250℃程度であり、多結晶シリコンの早期に洗浄液を除去できた部分が樹脂に触れていた場合において、多結晶シリコン全体を電磁波で完全に乾燥すると、樹脂が変形してしまうなどの問題があった。
【0008】
そこで本発明は、上記の問題点に着目し、樹脂等で形成された容器内に多結晶シリコンを積み重ねた状態で、容器の変形等の不具合を生じさせること無く電磁波を多結晶シリコンに照射して良好な乾燥を行える方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る多結晶シリコンの乾燥方法は、第1には、洗浄液で洗浄した塊状の多結晶シリコンの乾燥方法であって、前記多結晶シリコンに前記多結晶シリコンまたは前記洗浄液の吸収帯域の波長を有する電磁波を照射して前記多結晶シリコンを昇温し、前記昇温により前記多結晶シリコン表面に付着した洗浄液が気化する間に前記電磁波の照射を停止することを特徴とする。
【0010】
第2には、前記多結晶シリコンは、空気を通気するメッシュ状の壁面を有し、一面が開口した容器に充填された状態で前記電磁波とともに前記空気が供給され、前記電磁波の照射の停止は、前記メッシュ状の壁面から排出される空気の湿度上昇に基づいて行われることを特徴とする。
【0011】
第3には、前記多結晶シリコンに供給する空気は、室温以上の温度に加熱することを特徴とする。
第4には、前記電磁波の照射の停止後、前記多結晶シリコンに供給する空気の加熱を停止するとともに、前記電磁波を間欠的に前記多結晶シリコンに照射することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る多結晶シリコンの乾燥方法によれば、第1には、電磁波により多結晶シリコンを昇温するので、短時間で乾燥が可能となるとともに、多結晶シリコン表面に付着した洗浄液が気化した時点で電磁波の照射を停止するので、洗浄液が気化している最中はその気化熱により温度上昇が抑制され、多結晶シリコンが容器の耐熱温度まで上昇することはなく、変形等の容器に対する熱的ダメージを回避することができる。第2には、洗浄液の気化により容器から排出される空気の湿度が上昇する。よってこの湿度上昇をもとに電磁波の停止を行うことにより、昇温特性にばらつきのある多結晶シリコンに対応して、確実に多結晶シリコンを乾燥させるとともに、容器に対する熱的ダメージを回避することができる。第3には多結晶シリコンに供給する空気は予め加熱しておくことで、多結晶シリコンの昇温を促進し、より効果的な乾燥を行うことができる。第4には、電磁波の照射の停止後、空気の加熱を停止するとともに、電磁波を間欠的に多結晶シリコンに照射することにより、多結晶シリコンの温度を一定かつ均一に保つことができるので、安定的に多結晶シリコンの乾燥を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る乾燥ユニットの模式図である。
【図2】多結晶シリコンの残留水分量の時間変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0015】
本実施形態に係る多結晶シリコンの乾燥ユニット10を図1に示す。乾燥ユニットは、多結晶シリコンのナゲットを乾燥の対象とし、マイクロ波や空気を導入するチャンバ18、容器14、ベルトコンベア20等を有する。上記乾燥ユニット10を用いた多結晶シリコンの乾燥方法は、洗浄液で洗浄した塊状の多結晶シリコン(ナゲット12)の乾燥方法であって、前記多結晶シリコンに前記多結晶シリコンまたは前記洗浄液の吸収帯域の波長を有する電磁波を照射して前記多結晶シリコンを昇温し、前記昇温により前記多結晶シリコン表面に付着した洗浄液が気化する間に前記電磁波の照射を停止するものである。また、上記方法において、前記多結晶シリコンは、空気を通気するメッシュ状の壁面(底面14a)を有し、一面が開口した容器14に充填された状態で前記電磁波とともに前記空気が供給され、前記電磁波の照射の停止は、前記メッシュ状の壁面(底面14a)から排出される空気の湿度上昇に基づいて行われる。さらに、上記方法において、前記多結晶シリコンに供給する空気は、室温以上の温度に加熱する。
【0016】
多結晶シリコンのナゲット12は、上述のシーメンス法等により製造された多結晶シリコンを10mm〜50mm程度の大きさに破砕したものであり、様々な形状を有している。またナゲット12が充填される容器14は、ナゲット12に対する金属のコンタミネーションを防止するため上述の樹脂等で形成され、上端が開口され、壁面のひとつである底面14aには多数の通気孔16が形成され、底面14a全体がメッシュ状に形成されている。このように底面14aをメッシュ状に形成することにより、容器14はナゲット12を保持するとともに空気が通気可能となる。なおメッシュ状の面は底面14aのほか、容器14の側面に単独で設けてもよく、また底面14a及び側面の両方に設けてもよい。
【0017】
ところで、ナゲット12を乾燥させる前段階であるナゲット12の洗浄段階においても容器を必要とするが、容器14を洗浄段階から用いてもよく、また容器14は乾燥段階で用いるものとし、洗浄段階では別体の容器にナゲット12を充填して洗浄し、洗浄後のナゲット12を容器14に移し変えても良い。
【0018】
チャンバ18は、多結晶シリコンのナゲット12が投入された容器14を格納して洗浄後のナゲット12を乾燥させるものであり、導波管22、給気ダクト28、排気ダクト34等が接続されている。
【0019】
チャンバ18には、一の側面に設けられた第1開口部18aと、前記側面に対向する他の側面に設けられた第2開口部18bを有し、第1開口部18a及び第2開口部18bをベルトコンベア20が連通している。そして第1開口部18aには第1開口部18aを開閉する第1スライドゲート42が設けられ、同様に第2開口部18bには第2開口部18bを開閉する第2スライドゲート44が設けられている。
【0020】
ベルトコンベア20には、ナゲット12の洗浄に伴い洗浄液に浸漬した容器14を第1開口部18a側から第2開口部18b側に運搬するとともに、容器14がチャンバ18内に運ばれたとき、容器14内のナゲット12を乾燥させるため手動もしくは自動で一定時間運搬を停止させることができる。なお各スライドゲートは通常各開口部を閉じているが、容器14が各開口部を通過するのに対応して開閉操作され、各スライドゲートと容器14が互いに干渉しないようになっている。さらにベルトコンベア20は容器14の底面14a同様にメッシュ状に形成され空気の流れを遮断しないようにしている。
【0021】
チャンバ18の上部には導波管22が取り付けられている。導波管22にはマイクロ波発生器24が取り付けられ、マイクロ波発生器24から出力される電磁波であるマイクロ波24aは、導波管22内を伝播してチャンバ18内に導入され、チャンバ18内に収納されたナゲット12に照射される。また導波管22のチャンバ18側には金属ファン26が設けられ、マイクロ波24aをチャンバ18内に拡散させ、ナゲット12に均一にマイクロ波を照射させる。なおナゲット12に照射される電磁波はマイクロ波のみならず多結晶シリコンまたは洗浄液が吸収する周波数帯域を有するものであればよい。
【0022】
またチャンバ18の上部には空気を導入する給気ダクト28が取り付けられている。給気ダクト28には給気ファン30と加熱器32が取り付けられ、外部からの空気28aが給気ファン30により給気ダクト28に導入されるとともに加熱器32において導入された空気28aが所定温度に加熱され、チャンバ18内に加熱された空気28bがナゲット12に供給される空気として導入される。一方、チャンバ18の下部には排気ダクト34が設けられ、排気ダクト34内に設けられた排気ファン36により、チャンバ18内の空気34aを系外に排出する。さらにベルトコンベア20の直下には温度計38及び湿度計40が設けられている。これにより温度計38及び湿度計40は通気孔16に近接して配置されることになるので、通気孔16から排気される空気の温度及び湿度をそれぞれ測定することができる。
【0023】
さらに本実施形態における乾燥ユニット10には、制御部46が設けられている。制御部46は、入力側がベルトコンベア20の直下に取り付けられた温度計38及び湿度計40に接続され、出力側が導波管22に取り付けられたマイクロ波発生器24、及び給気ダクト28に取り付けられた加熱器32に接続されている。
【0024】
制御部46は、キー操作等によりマイクロ波発生器24及び加熱器32にそれぞれ駆動信号を出力してマイクロ波発生器24単独で駆動、またはマイクロ波発生器24及び加熱器32を同時に駆動させることができる。また制御部46は温度計38から温度データ、湿度計40から湿度データが入力され、温度データ及び湿度データがそれぞれの閾値に達したときにマイクロ波発生器24及び加熱器32への駆動信号の出力を停止してマイクロ波発生器24及び加熱器32の駆動を停止させることができる。
【0025】
さらに制御部46は、キー操作等により上述の閾値を入力できるようになっている。また制御部46は各データがそれぞれ閾値に達したときから一定時間後に駆動信号の停止を遅延させるための遅延時間のデータをキー操作等により入力することができる。
【0026】
容器14内に充填した多結晶シリコンのナゲット12にマイクロ波24a(電磁波)を照射すると、ナゲット12、及びナゲット12に付着した洗浄液は昇温し始めるが、付着した洗浄液が連続的に気化し始めると一定の温度を維持し、付着した洗浄液が減少すると急激に温度が上昇する。そこで、温度データ及び湿度データの閾値は、例えば実際にナゲット12表面に付着した洗浄液が気化したときの排気された空気の温度及び湿度を複数回測定し、その平均値を用いることができる。さらに、洗浄液が気化しているときは、ナゲット12の温度は洗浄液の気化熱により一定に保たれるため、ナゲット12の急激な温度上昇は抑制され、これにより容器14への熱的ダメージを抑制することができる。なお、マイクロ波発生器24の駆動停止のタイミングは上述の遅延時間を調整することによりある程度自由度をもたせ、マイクロ波発生器24の停止時のナゲット12の乾燥の程度を調整することができる。
【0027】
本実施形態において、洗浄液として例えば純水を用いた場合、その沸点は大気圧下で100度であるから、加熱による純水の気化は100度近傍で連続的に発生し、このとき通気孔16から排出される空気の湿度は急速に増大することになる。この温度において、従来技術で述べたうちで最も耐熱温度の低いPP(120℃)でも変形等の熱的ダメージを受けることはない。このように容器14内に充填された多結晶シリコンのナゲットの層内全ての位置において、急激な温度上昇が始まる前に電磁波の照射を停止することで部分的な温度上昇を抑制し、樹脂等で形成された容器14の熱変形等の熱的ダメージを防止できる。電磁波の照射後においてナゲットの層内で洗浄液が除去できていない部分があるが、ナゲット12の余熱で気化した蒸気を供給された空気で除去することで層内全ての位置に残留する洗浄液を除去することができる。
【0028】
電磁波停止後の層内に残留する洗浄液量が多く、余熱だけでは気化熱量が不足する場合は、加熱器32の出力を調整して供給される空気の温度を常温と容器14の耐熱温度程度に昇温し、その空気をナゲット12に供給して乾燥するか、ナゲット12の温度が60℃となるように電磁波を所定の時間間隔で間欠照射して乾燥する。間欠照射は、加熱器32の駆動を停止させ(駆動を継続させても良い)、ナゲット12からの洗浄液の連続的な気化により制御部46からのマイクロ波発生器24に出力する駆動信号を一旦停止させたのち、制御部46が前記駆動信号を間欠的に出力するようにすればよい。この間欠照射により容器14に充填されたナゲット12の層内において温度の高い状態を維持することができるので、温風のみの場合より層内の洗浄液の気化を引き続き促進することができる。
【0029】
次に具体的な実施例について述べる。
[実施例]
1個の大きさが10〜50mmの多結晶シリコンのナゲットを一辺200mm、深さ150mmのPP製の洗浄・乾燥用容器内に高さが120mmとなるように充填した。この多結晶シリコンのナゲットを入れた容器を洗浄液(純水)に浸漬して洗浄した後、一定の速度で引き上げた。これを周波数2450MHz、出力600Wのマイクロ波加熱炉に収納し、容器上部における風速が2m/sとなるように80℃に加熱した空気をマイクロ波加熱炉(容器、ナゲット)に供給しながらマイクロ波(電磁波)を6分間照射した。引き続き加熱した空気を供給し、所定時間ごとに容器を取り出して重量を測定し、浸漬前の重量との差を求めた。
【0030】
図2に多結晶シリコンの残留水分量の時間変化を示す。図2に示すようにマイクロ波照射により急速に水分が減少し、マイクロ波を停止したのちも、短時間に水分は蒸発し、12分後には乾燥が完了した。このとき、PP製の容器に損傷を与えることはなかった。
【0031】
比較のため、マイクロ波を乾燥終了まで継続して照射した場合、図2中の破線の曲線が示すように、上記の方法よりも短い時間、およそ9分程度で乾燥させることができたが、容器内面への多結晶シリコン粒の溶着や、容器の変形といった不具合が観察された。
上述の実施例から、樹脂等で形成された容器14に熱変形等の熱的ダメージを与えることなく、後述の実施例で述べるように温風による乾燥方式よりも短時間に多結晶シリコンのナゲット12を乾燥することができることがわかる。
【0032】
以上述べたように、本実施形態に係る多結晶シリコンの乾燥方法によれば、第1には、電磁波により多結晶シリコン(ナゲット12)を昇温するので、短時間で乾燥が可能となるとともに、多結晶シリコン表面に付着した洗浄液が気化した時点で電磁波の照射を停止するので、洗浄液が気化している最中はその気化熱により温度上昇が抑制され、多結晶シリコンが容器14の耐熱温度まで上昇することはなく、変形等の容器14に対する熱的ダメージを回避することができる。第2には、洗浄液の気化により容器14から排出される空気の湿度が上昇する、よってこの湿度上昇をもとに電磁波の停止を行うことにより、昇温特性にばらつきのある多結晶シリコンに対応して、確実に多結晶シリコンを乾燥させるとともに、容器14に対する熱的ダメージを回避することができる。第3には多結晶シリコンに供給する空気は予め加熱器32で加熱しておくことで、多結晶シリコンの昇温を促進し、より効果的な乾燥を行うことができる。第4には、電磁波の照射の停止後、空気の加熱を停止するとともに、電磁波を間欠的に多結晶シリコンに照射することにより、多結晶シリコンの温度を一定かつ均一に保つことができるので、安定的に多結晶シリコンの乾燥を行うことができる。
【0033】
なお本実施形態では、多結晶シリコンのナゲット12を容器14に入れたバッチ式の乾燥方法として述べてきたが、特にバッチ式に限定されることはなく、連続式のコンベア等の搬送機構にナゲットを直接載せてマイクロ波を照射しても良い。その場合はマイクロ波(及び温風)を照射する領域と温風のみを供給する領域に分割し、それぞれの領域における処理時間を搬送する速度で制御することができる。さらに実施例においてナゲットに照射した電磁波の周波数を2450MHzとしたが、本実施形態では多結晶シリコンまたは洗浄液が吸収する周波数帯域の電磁波であればよく、例えば1MHz〜300GHzの範囲の電磁波を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
多結晶シリコンのナゲットが充填された容器への熱的ダメージを抑制しつつ、短時間でナゲットの乾燥を行うことが可能な多結晶シリコンの乾燥方法として利用できる。
【符号の説明】
【0035】
10………乾燥ユニット、12………ナゲット、14………容器、16………通気孔、18………チャンバ、20………ベルトコンベア、22………導波管、24………マイクロ波発生器、26………金属ファン、28………給気ダクト、30………給気ファン、32………加熱器、34………排気ダクト、36………排気ファン、38………温度計、40………湿度計、42………第1スライドゲート、44………第2スライドゲート、46………制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液で洗浄した塊状の多結晶シリコンの乾燥方法であって、
前記多結晶シリコンに前記多結晶シリコンまたは前記洗浄液の吸収帯域の波長を有する電磁波を照射して前記多結晶シリコンを昇温し、前記昇温により前記多結晶シリコン表面に付着した洗浄液が気化する間に前記電磁波の照射を停止することを特徴とする多結晶シリコンの乾燥方法。
【請求項2】
前記多結晶シリコンは、空気を通気するメッシュ状の壁面を有し、一面が開口した容器に充填された状態で前記電磁波とともに前記空気が供給され、
前記電磁波の照射の停止は、前記メッシュ状の壁面から排出される空気の湿度上昇に基づいて行われることを特徴とする請求項1に記載の多結晶シリコンの乾燥方法。
【請求項3】
前記多結晶シリコンに供給する空気は、室温以上の温度に加熱することを特徴とする請求項2に記載の多結晶シリコンの乾燥方法。
【請求項4】
前記電磁波の照射の停止後、前記多結晶シリコンに供給する空気の加熱を停止するとともに、前記電磁波を間欠的に前記多結晶シリコンに照射することを特徴とする請求項3に記載の多結晶シリコンの乾燥方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−71275(P2011−71275A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220444(P2009−220444)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】