説明

妊娠女性用のマルチ−ビタミンおよびミネラル補助剤

本発明は、容易に飲み込むことが可能な医薬または食品単位製剤であって、妊娠女性、授乳女性、または妊娠を予定する出産可能な女性によって摂取されることが推奨されるビタミン、ミネラル、および微量元素、DHA、および、医薬または食品として適切な担体から実質的になる上記単位製剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1. 技術分野
本発明は、容易に飲み込むことが可能な医薬または食品単位製剤に関し、ここで該製剤は、妊娠女性、授乳女性、または妊娠を予定する出産可能な女性が摂取することが推奨されるビタミンおよびミネラル、DHA、並びに、医薬的にまたは食品として許容される担体から実質的になる。
【背景技術】
【0002】
2. 背景情報
ビタミンおよびミネラル調製物は、特定の病状の治療のため、または一般的な栄養補助剤として広く服用されている。最近の研究により、ビタミンおよびミネラルの果たす重要な生理学上の役割が明らかになり、そしてヒトにおけるこれらの栄養素の不足または過剰と特定の症状との相関関係が証明された。例えば、Diplock, "Antioxidant Nutrients and Disease Prevention: An Overview," Am. J. Clin. Nutr., 53:189-193 (1991); Documenta Geigy Scientific Tables, 457-497, (Diem and Cemtuer eds., 7th ed., 1975)を参照のこと。
さらには、ヒトの集団の様々なグループが、疾患を予防または軽減するため、さらには全体的な良好な健康を維持するために、異なった量および種類のビタミンおよびミネラルを必要とすることが分かってきた。例えば、妊娠女性は、鉄欠乏性貧血の予防又は治療のために鉄療法を必要とすることがよくあることが知られている。先の様々な特許が、妊娠中に使用する鉄補助剤の効き目を向上させることを対象とする。例えば、米国特許第4,994,283号は、鉄およびカルシウムの化合物を、シトラートまたはタルトラート、アスコルビン酸塩、およびフルクトースと組み合わせて含む栄養ミネラル補助剤を開示する。このような組成物においては、鉄の生物学的利用能を抑制するというカルシウムの傾向が低減され、それによってこれらの2つのミネラルの組み合わされた生物学的利用能が高められると言われている。
【0003】
米国特許第4,431,634号では、補助剤中のカルシウム化合物の量を1製剤あたり300mg以下に、そしてマグネシウム化合物の量を75mg以下に保つことによって、妊婦用鉄補助剤における鉄の生物学的利用能を最大化する。
同じ問題に対する別のアプローチは米国特許第4,752,479号にみられ、ここでは、(a) カルシウムまたはマグネシウムなどの1つ以上の2価の食用ミネラル成分; および (b) 生物学的利用能を有する鉄成分を、制御放出形状に存在し、胃腸管において制御様式で放出されるように調整されて含むマルチ-ビタミンおよびミネラル食品補助剤が提供される。
米国特許第4,710,387号は、10-20重量%のタンパク質、16-28重量%の脂、43-65重量%の炭水化物、および最大で3.5重量%の水分、ミネラル、微量元素、およびビタミンを含む、妊娠女性および授乳女性用の栄養補助剤調製物を開示する。DHAまたは容易に飲み込むことが可能なカプセル剤または錠剤についての示唆はない。
【0004】
国際特許出願WO 99/53777は、水性飲料またはシリアルバーの形体にある妊娠女性および授乳女性用栄養組成物を開示し、ここで該組成物は、非乳タンパク質原料、食物繊維、DHAなどのポリ不飽和脂肪酸原料、ミネラル、およびビタミンを含む。カプセル剤または錠剤、ビーズ、またはロゼンジについての示唆はない。
国際特許出願WO 00/66133は、妊娠前および妊娠中に服用するための栄養組成物を開示し、ここで該組成物は、特定の量のビタミンB6、葉酸、マグネシウムを含み、そして必要によりカルシウムおよびDHAを含んでもよい。さらには、該出願に開示されるすべての組成物はさらに多量のカルシウムを含み、その結果比較的容積の大きな製剤となり、飲み込むことが困難である。
国際特許出願WO 01/87070は、ビタミン、ミネラル、および魚油顆粒を粉末形体で含む栄養補助剤を開示し、ここで該補助剤にはエイコサトリエン酸(EPA)とDHAが含まれる。さらには、該出願に開示されるすべての組成物は多量のカルシウムを含み、その結果約20mgのDHAを含む1000mg以上の比較的容積の大きな製剤となり、これは飲み込むことが困難であり、かつ、DHAを約2重量%しか含まない。
【0005】
米国特許出願US 20020102330 A1は妊娠女性が摂取するためのフードバーを提供し、それは1種以上のビタミンおよび/またはミネラルと、1種以上の抗便秘・通じ薬を含み、それはさらにDHAを含んでもよい。
米国特許出願US 20030050341 A1は、100mgを超えるDHAを含む食品補助用の組成物を提案する。しかしながら、クロム、銅、モリブデン、およびセレンの微量元素についての示唆はない。さらには、ここに開示されるすべての組成物はさらに多量のカルシウムを含み、その結果比較的容積の大きな製剤となり、飲み込むことが困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
妊娠女性用のビタミンおよびミネラルの補助を改善しようとする上述の努力にも関わらず、従来の妊婦用補助剤はいくつかの欠点を示す。認識される1つの問題は、多量のカルシウムおよび比較的多量のビタミンによって、製剤はその容積が非常に大きくなり、特に妊娠女性とって飲み込みにくくなることである。
つわりは一般に食欲不振および吐き気を引き起こし、これは非常に多くの妊娠女性が経験するものである。つわりに直面するため、そして推奨される妊婦用のビタミンとミネラルを多量に含むピルおよび/またはフードバーは通常とても大きいため、多くの妊娠女性は、妊婦用ビタミンおよびミネラルピルまたはフードバーを摂取する気がしばしばおこらない。さらには、彼女らがこれらのピルまたはフードバーを摂取した場合には、これらの妊娠女性はしばしばそれらを飲み込むことおよび保持することに困難を覚える。従って、患者コンプライアンス(ビタミンおよびミネラル補助剤の日々の摂取)、妊娠女性の健康の維持および向上、および、正常な胎児発育に関連するビタミンおよびミネラルの量の吸収、に関する問題が持ち上がる。
さらには、つわりの最中には、妊娠女性はフードバーを食べるよりも、カプセル剤、ピル、または錠剤を飲み込む方を好む。フードバーの摂取は、女性がバーを噛むことを要する; バーを噛むことによって女性は味を感じるが、これはつわりに起因する吐き気に対してよくない影響を与える。
【0007】
一般に、つわりは妊娠期間のはじめの3ヶ月間に最も頻繁におこる。発育中の胎児の神経管の欠損(二分脊椎)もまた、女性が妊娠を認識し得るようになる前の、妊娠のはじめの3ヶ月の期間中に、例えば妊娠1ヶ月目に、起こり得る。これらの欠損は葉酸の摂取不足に関連することが知られる。葉酸が神経管欠損を予防することはよく知られている。従って、出産可能年齢の女性は十分な量の葉酸を摂取すべきである。さらに、葉酸は、心臓に対する有益な作用を有し、かつ、子宮頸部異形成のリスクを低減することが示されている。
さらには、現在までに入手可能な妊娠女性用のビタミンおよびミネラル調製物は、胎児の正常な脳発達および視力を向上させるためのいかなる活性成分をも提供しない。
従って、従来技術の上記の欠点を克服した妊婦用マルチ-ビタミンおよびミネラル補助剤を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の要約
この度、驚いたことに、容易に飲み込むことが可能なカプセル剤または錠剤、ビーズ、またはロゼンジの形体にあり、(a) 1種以上のビタミン、(b) 鉄、亜鉛、およびマグネシウムからなる群より選択される1種以上のミネラル、(c) クロム、銅、ヨウ素、モリブデン、およびセレンからなる群より選択される1種以上の微量元素、(d) DHA、および (e) 医薬または食品として適切な担体、から実質的になる医薬組成物または食品組成物が、上記の既知の妊娠女性用マルチ-ビタミンおよびミネラル補助剤の欠点を克服することが発見された。
【0009】
従って、本発明は、容易に飲み込むことが可能なカプセル剤または錠剤、ビーズ(bead)、またはロゼンジの形体にあり、(a) 1種以上のビタミン、(b) 鉄、亜鉛、およびマグネシウムからなる群より選択される1種以上のミネラル、(c) クロム、銅、ヨウ素、モリブデン、およびセレンからなる群より選択される1種以上の微量元素、(d) DHA、および (e) 医薬または食品として適切な担体、から実質的になる医薬組成物または食品組成物に関する。
【0010】
さらには、本発明は、妊娠女性、授乳女性、または妊娠を予定する出産可能な女性が必要な食品(dietary needs)を補う方法に関し、ここで前記方法は、食品を補うような量(dietary supplementing amount)のそのような医薬組成物または食品組成物を女性に投与することを含む。
【0011】
さらには、本発明は、妊娠女性、授乳女性、または妊娠を予定する出産可能な女性が必要な食品(dietary needs)を補うための医薬組成物または食品組成物を調製するための、そのような医薬組成物または食品組成物の使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
発明の詳細な説明
以下の本発明の好ましい実施態様の詳細な説明、およびそこに含まれる実施例を参照することによって本発明はより容易に理解される。
“医薬組成物” という用語は、処方薬および一般医薬品(OTC medicaments)に適した組成物であって、かつ、医者から、薬局で、またはドラッグストアでのみ入手可能なものを意味する。
“食品組成物” という用語は、生活の質を向上させるために、通常の食物摂取に付加的な栄養素を補足するための組成物であって、かつ、ドラッグストアにおいてだけでなく、食料品店またはスーパーマーケットにおいて処方箋なしに自由に入手可能なものを意味する。
【0013】
医薬組成物または食品組成物は、カプセル剤、錠剤、ビーズ、またはロゼンジの形体に、好ましくは軟シェルカプセル剤または錠剤として形成される。
ビタミン(a)、ミネラル(b)、微量元素(c)、およびDHA(d)を含む、事前に選択した量の本発明の組成物は、好ましくはウシの、ブタの、植物の、およびスクシニル化したゼラチンシェルなどの軟ゼラチンにカプセル充填される。軟ゼラチンシェルは、カプセル剤の美的質を高めるために、場合によっては実質的に透明であってもよい。通常、軟ゼラチンシェルは以下の必須成分、さらには任意成分を含む。
【0014】
ゼラチンは、本発明の軟ゼラチンシェルの必須成分である。軟カプセル剤の製造に使用される出発ゼラチン材料は、動物の皮膚、白膜結合組織(white connective tissues)、または骨などの膠原性材料を部分的に加水分解することによって得られる。ゼラチン材料は、ブタ皮膚を酸処理することにより得られ、pH7とpH9の間の等電点を示すタイプAゼラチンと; 骨および動物(ウシ)の皮膚をアルカリ処理することによって得られ、pH4.7とpH5.2の間の等電点を示すタイプBゼラチンに分類することができる。カプセル製造に必要な粘度およびブルーム強度の特性を有するゼラチンを得るためにタイプAおよびタイプBゼラチンの混合物を使用することができる。カプセル製造に適したゼラチンはSigma Chemical社(ミズーリ州セントルイス)より商業的に入手可能である。ゼラチンおよびゼラチンベースのカプセル剤についての一般的な解説については、Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa. (1980), 1245頁および1576-1582頁; および、1990年1月19日発行のBorkan等への米国特許第4,935,243号を参照のこと; これら2つの文献は参照によりその全体が本明細書に含まれるものとする。
本発明のカプセル剤の軟ゼラチンシェルは、当初調製された通り、約20%から約60%のゼラチン、より好ましくは約25%から約50%のゼラチン、そして最も好ましくは約40%から約50%のゼラチンを含む。このゼラチンはタイプおよびタイプBのもの、またはこれらの混合物であってもよく、そのブルーム数は約60から約300の範囲である。
【0015】
可塑剤は本発明の軟ゼラチンシェルのもう1つの成分である。軟ゼラチンシェルを生産するために1つ以上の可塑剤が混合される。このようにして得られた軟ゼラチンは、カプセル充填用の物質として使用されるために要求される可塑特性を有する。本発明の有用な可塑剤としては、グリセリン、ソルビタン、ソルビトール、または同様の低分子量ポリオール、およびそれらの混合物が挙げられる。
本発明のシェルは、当初調製された通り、通常約10%から約35%の可塑剤、好ましくは約10%から約25%の可塑剤、そして最も好ましくは約10%から約20%の可塑剤を含む。本発明において有用な好ましい可塑剤はグリセリンである。
【0016】
本発明の軟ゼラチンシェルはさらに水を含む。理論に拘束されるものではないが、水は、体内で遭遇する胃腸液と接触した際に軟ゼラチンシェルが速やかに溶解または破裂することを助けると考えられている。
本発明のシェルは、当初調製された通り、通常約15%から約50%の水、より好ましくは約25%から約40%の水、そして最も好ましくは約30%から約40%の水を含む。
軟ゼラチンシェルに含まれてもよい他の任意の成分としては、着色被覆剤などの着色剤、香味剤、防腐剤、酸化防止剤、エッセンス(essences)、および他の美感の良い成分が挙げられる。
【0017】
本発明の組成物は、適当な時間の間、該組成物を実質的に収容することが可能ないかなる従来の軟ゼラチンシェルの中にカプセル充填してもよい。本発明の軟ゼラチンシェルは、適切な量のゼラチン、水、可塑剤、およびいかなる任意の成分を適切な容器の中に組み合わせ、そして約65℃に加熱しながら一様な溶液が得られるまで撹拌および/または激しく混合することによって調製することができる。その後、この軟ゼラチンシェル調製物は、標準的なカプセル充填技術を用いる所望量の充填組成物のカプセル充填に使用して、一体の密閉された軟ゼラチンカプセル剤を製造することができる。ゼラチンカプセル剤は、容易に飲み込めるように所望の形および大きさに形成される。本発明の軟ゼラチンカプセル剤は容易に飲み込むことが可能な適切な大きさのものであり、典型的には約100mgから約2000mgの活性組成物を含む。軟ゼラチンカプセル剤およびカプセル充填技術については、P. K. Wilkinson et at., "Softgels: Manufacturing Considerations", Drugs and the Pharmaceutical Sciences, 41 (Specialized Drug Delivery Systems), P. Tyle, Ed. (Marcel Dekker, Inc., New York, 1990) pp.409-449; F. S. Horn et at., "Capsules, Soft", Encyclopedia of Pharmaceutical Technology, vol. 2, J. Swarbrick and J. C. Boylan, eds. (Marcel Dekker, Inc., New York, 1990) pp. 269-284; M. S. Patel et at., "Advances in Softgel Formulation Technology", Manufacturing Chemist, vol. 60, no. 7, pp. 26-28 (July 1989); M. S. Patel et al., "Softgel Technology", Manufacturing Chemist, vol. 60, no. 8, pp. 47-49 (August 1989); R. F. Jimerson, "Softgel (Soft Gelatin Capsule) Update", Drug Development and Industrial Pharmacy (Interphex '86 Conference), vol. 12, no. 8 & 9, pp. 1133-1144 (1986); および W. R. Ebert, "Soft Elastic Gelatin Capsules: A Unique Dosage Form", Pharmaceutical Technology, vol. 1, no. 5, pp. 44-50 (1977); に記載されており、これらの文献は参照によりその全体が本明細書に含まれるものとする。得られた軟ゼラチンカプセル剤は水および胃腸液に溶解する。カプセル剤を飲み込むとゼラチンシェルは胃腸管内で速やかに溶解または破裂し、それにより医薬品の活性成分が液体部から生理系内へ導入される。
【0018】
好ましくは、カプセル剤は、飲み込み易くするため長円形(oblong shape)である。300から700mgの組み合わせた活性成分を含むカプセル剤の場合には、長円形カプセル剤は、長さが約10-28mm、好ましくは20-26mm、特に約25mmであってもよく、そして直径が約5から11mm、好ましくは6-10mm、特に8-9mmであってもよい。
通常、本発明の錠剤は、固形製剤製造分野において従来から使用される、医薬または食品として許容される担体を少なくとも1つ含む。
含まれてもよい適切な賦形剤としては、それらの形体に適した滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸; 崩壊剤、例えばセルロース誘導体; デンプン; 結合剤、例えば修飾デンプン、ポリビニルピロリドン、およびセルロース誘導体; 滑剤、例えばコロイダルシリカ; 圧縮補助剤(compression aids)、例えばセルロース誘導体; さらには、防腐剤、懸濁剤、湿潤剤、香味剤、充填剤、粘着剤(adhesives)、着色剤、甘味剤が挙げられる。
【0019】
この組成物が錠剤の形体にある場合には、適切には該組成物はさらにフィルムコート、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含む。適切には、フィルムコートは透明フィルムコートであるが、不透明フィルムコート、例えばフィルムコート材料を二酸化チタン、レーキ、または色素などの乳白剤もしくは顔料と組み合わせて使用した場合に得られたもの、を使用してもよい。有利なことに、不透明フィルムコートを含めることによって、錠剤を長期保管した場合に起こり得る錠剤の変色を最小限に抑えることができることが発見された。変色は、錠剤中心(tablet core)に着色剤を含ませることによっても防止することができる。適切には、例えば美的効果のためおよび/または飲み込みを容易にするために所望する場合には、そのような錠剤もまたフィルムコートしてもよい。
【0020】
組み合わせた活性成分は、錠剤中心の賦形剤と混合し、そして適切な打錠機により圧縮される。
適切な崩壊抵抗性(breaking resistance)を有し、従って要求される崩壊時間を有する錠剤を製造するために必要な圧縮力は、使用する打錠用具の形状および大きさに依存する。2-20kNの範囲内の圧縮力が好ましい。より高い圧縮力を使用すると、活性成分(i)から(iv)の放出が遅延する錠剤が製造される可能性がある。より低い圧縮力を使用すると、機械的に不安定な錠剤が製造される可能性がある。錠剤中心は、様々な形状であってもよい; 好ましい形状は、円形の両平面(biplanar)または両凸および楕円形または長円形(oblong)の形状である。
【0021】
コーティング溶液は、水の中でフィルム形成剤を着色料および可塑剤と混合することにより調製される。適切なコーティングパンを使用して、フィルムコーティング溶液が錠剤中心に塗布される。
好ましくは、錠剤は飲み込み易くするために長円形(oblong shape)の形状を有する。300から700mgの組み合わされた活性成分を含むフィルムコート錠の場合、長円形の錠剤は、長さが約10-20mm、そして幅が約5から10mmであり得る。
通常、本発明の錠剤は、DHAの油性の性質に起因して、カプセル剤と比較してより少ない量のDHA(d)を含む。
【0022】
妊娠女性、授乳女性、または妊娠を予定する出産可能な女性によって安全に摂取される広範な種類のビタミン、ミネラル、および微量元素を、様々な異なった量で本発明の製剤に使用し得る。これらのビタミン、ミネラル、および微量元素としては、例えばビタミンAまたはベータ-カロテン、ビタミンB1(チアミンまたは一硝酸チアミンとして)、ビタミンB2(リボフラビンとして)、ビタミンB3(ナイアシンとして)、ビタミンB6(ピリドキシンまたは塩酸ピリドキシンとして)、ビタミンB9(葉酸)、ビタミンB12(シアノコバラミン)、ビタミンH(ビオチン)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD、ビタミンE(dl-アルファ酢酸トコフェロールとして)、ビタミンK、フォラシン、ナイアシンアミド、鉄(フマル酸第一鉄として)、リン、パントテン酸(パントテン酸カルシウムとして)、ヨウ素(ヨウ化カリウムとして)、マグネシウム(酸化マグネシウムとして)、亜鉛(酸化亜鉛として)、セレン(セレン酸ナトリウムとして)、銅(酸化銅として)、マンガン(硫酸マンガンとして)、クロム(塩化クロムとして)、モリブデン(モリブデン酸ナトリウムとして)、コリン、フッ化物、塩化物、カリウム、ナトリウム、およびそれらの混合物が挙げられる。そのようなビタミン、ミネラル、および微量元素は、Hoffmann-LaRoche Inc.(ニュージャージー州Nutley)などの当業者に知られる供給業者から商業的に入手可能である。
【0023】
好ましくは、本発明の組成物は、β-カロテン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD3、ビタミンE、葉酸、ビオチン、およびナイアシンアミドからなる群より選択されるビタミンを少なくとも1つ含み、特に、マルチビタミン混合物が、β-カロテン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD3、ビタミンE、葉酸、ビオチン、およびナイアシンアミドからなるような製剤が好ましい。
【0024】
好ましくは、DHA(d)と、ビタミンD3およびビオチンからなる群より選択される少なくとも1種のビタミン(a)との重量比は500:1から100,000:1、好ましくは3,000:1から30,000:1である。
さらにより好ましいのは、葉酸とビタミンB6との重量比が1:1から1:8、好ましくは1:1.5から1:7.5、特に約1:3である組成物である。
さらにより好ましいのは、鉄とマグネシウムとの重量比が10:1から1:2、特に5:1から1:1、最も好ましくは約2.7:1である組成物である。
【0025】
本発明の組成物は、鉄、亜鉛、およびマグネシウムからなる群より選択されるミネラルを少なくとも2つ、そして、クロム、銅、ヨウ素、モリブデン、およびセレンからなる群より選択される微量元素を少なくとも2つ含み、好ましいのは少なくともモリブデンおよび/またはセレンを含む組成物、特に、ミネラルおよび微量元素の混合物が、鉄、亜鉛、マグネシウム、クロム、銅、ヨウ素、モリブデン、およびセレンからなるような組成物である。
妊娠女性、授乳女性、および妊娠を予定する出産可能な女性用に推奨されるビタミンおよびミネラルを含むプレミックスであって、本発明の単位製剤の生産に使用し得るものは、Watson Foods Co., Inc.より、Watson商品コードWT-6061Aで入手可能である。
【0026】
本発明の製剤は、当業者に知られるいかなる医薬的に許容される形にある上記のビタミンおよび/またはミネラル(それらの塩を含む)を使用して形成してもよい。例えば、有用な医薬的に許容されるマグネシウム化合物としては、ステアリン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、および硫酸マグネシウムが挙げられる。医薬的に許容される鉄化合物は、よく知られる鉄II(第一鉄)または鉄III(第二鉄)補助剤のいかなるものをも包含し、それは例えば、硫酸第一鉄、塩化第二鉄、グルコン酸第一鉄、乳酸第一鉄、酒石酸第一鉄、鉄-糖-カルボン酸塩(Iron-Sugar-Carboxylate)複合体、フマル酸第一鉄、コハク酸第一鉄、グルタミン酸第一鉄、クエン酸第一鉄、ピロリン酸第一鉄、コリンイソクエン酸第一鉄(Ferrous Cholinisocitrate)、炭酸第一鉄等である。
【0027】
本発明の製剤の調製に使用されるビタミンおよび/またはミネラルは、脂、微結晶セルロース、または同様の物質のコーティング内にミクロカプセル充填(microencapsulate)することによって、様々な条件下におけるそれらの劣化を予防してもよい。
本発明の製剤に使用されるビタミンおよび/またはミネラルは、妊娠女性、授乳女性、または妊娠を予定する出産可能な女性による摂取が推奨されるものである。これらのビタミンおよびミネラルは、妊娠女性、授乳女性、または妊娠を予定する出産可能な女性、またはその発育中の胎児または乳児の栄養摂取を向上させるために効果的な量で使用される。この量は、使用のために選択された具体的なビタミンおよび/またはミネラルに依存して変化するが、一般には製剤の総重量の約25から約95重量パーセントの範囲、そして好ましくは約30から約90重量パーセントの範囲にあり、約80重量パーセントが最も好ましい。
【0028】
各製剤は、上記のビタミン、ミネラル、および/または微量元素の1つ以上を、妊娠女性、授乳女性、または妊娠を予定する出産可能な女性によって安全に摂取されるいかなる量(即ち、フードバーを摂取する女性、または彼女の発育中の胎児または授乳する乳児に対して悪影響を与えない量)で含んでもよい。妊娠女性、授乳女性、または妊娠を予定する出産可能な女性に対して、一般に1つの製剤(または、1日に摂取するために、1以上の製剤に分割される)に使用し得る様々なビタミンおよびミネラルの日用量のおおよその好ましい範囲(1つの大体の量から別の大体の量まで)、さらにはより好ましい範囲、および最も好ましい量を以下に示す。
【0029】
最も好ましくは、本発明の製剤は、それぞれ上記のビタミン、ミネラル、および/または微量元素の1つ以上を、妊娠女性について推奨される日用量の約100%に対応する量で含む。
DHA(ドコサヘキサエン酸)は子供における脳および目の発達に必要な長鎖脂肪酸であり、本発明の製剤の成分として約10から約300mgの範囲の量で含まれており、ここで妊娠女性、授乳女性、および妊娠を予定する出産可能な女性については約100から200mgが好ましく、そして約150mgが最も好ましい。
DHA(d)の担体として広範な種類の脂および油を使用し得る。これらの脂または油としては、例えば、当業者に知られる供給業者より商業的に入手可能なオリーブ油、キャノーラ油、ヤシ油、ココナッツ油、ヒマワリ油、ピーナッツ油、植物油、レシチン、魚油、綿実油、大豆油、ラード、モノグリセリド、ジグリセリド、バター、マーガリン、および他の動物、植物、および海産の脂、および乳脂、蜜蝋などの蝋、およびそれらの混合物が挙げられる。植物油が、本発明のフードバーに好ましくし使用される脂である。
【0030】
特に好ましいのは、
(a) β-カロテン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD3、ビタミンE、葉酸、ビオチン、およびナイアシンアミドからなるマルチビタミン混合物;
(b) 鉄、亜鉛、およびマグネシウムからなるミネラル混合物;
(c) クロム、銅、ヨウ素、モリブデン、およびセレンからなる微量元素混合物;
(d) DHA; および
(e) 医薬または食品として適切な担体、
から実質的になる本発明の製剤である。
【0031】
最も好ましいのは、
(a) β-カロテン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD3、ビタミンE、葉酸、ビオチン、およびナイアシンアミドからなる、100から160mgのマルチビタミン混合物;
(b) 鉄、亜鉛、およびマグネシウムからなる、60から120mgのミネラル混合物;
(c) クロム、銅、ヨウ素、モリブデン、およびセレンからなる、100から5000μgの微量元素混合物;
(d) 100から200mgのDHA; および
(e) 医薬または食品として適切な担体、
から実質的になる本発明の製剤である。
【0032】
最も好ましいのは、
(a) 1.5から2.5mgのβ-カロテン、1.0から1.8mgのビタミンB1、1.0から1.8mgのビタミンB2、1.5から2.5mgのビタミンB6、1.0から5.0μgのビタミンB12、60から110mgのビタミンC、2.0から200μg、特に2.5から10μgのビタミンD3、15から30mgのビタミンE、200から1000μgの葉酸、10から100μgのビオチン、および10から40mgのナイアシンアミドからなるマルチビタミン混合物;
(b) 10から50mgの鉄、5から20mgの亜鉛、および1から100mgのマグネシウムからなるミネラル混合物;
(c) 10から50μgのクロム、0.5から1.5mgの銅、50から500μgのヨウ素、10から100μgのモリブデン、および10から100μgのセレンからなる微量元素混合物;
(d) 100から200mg、特に約150mgのDHA; および
(e) 医薬または食品として適切な担体、
から実質的になる本発明の製剤である。
【0033】
最も好ましくは、本発明の組成物の単位製剤の中の活性成分(a)から(d)の重量は、150から700mg、特に200から600mg、最も好ましくは約300から400mgである。
好ましくは、1日あたり1つの本発明の組成物の単位製剤が投与される。
本発明の製剤を調製するための手順の一例を以下により詳しく説明する。以下の実施例は単に詳細に説明するためのものであり、本発明の内容を限定するものではない。
【実施例】
【0034】
実施例 1
軟カプセル剤
以下の活性成分を含むように軟ゼラチンカプセル剤が調製される:


【0035】
これらの成分を混合し、そしてゼラチン、水、および可塑剤の中にカプセル充填して長円形の軟ゼラチンカプセル剤を形成し、それは以下の寸法を有する:
直径: 7から11mm、好ましくは8から9mm;
長さ: 21から26mm、好ましくは約25mm。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容易に飲み込むことが可能なカプセル剤または錠剤、ビーズ、またはロゼンジの形体にある医薬組成物または食品組成物であって、(a) 1種以上のビタミン、(b) 鉄、亜鉛、およびマグネシウムからなる群より選択される1種以上のミネラル、(c) クロム、銅、ヨウ素、モリブデン、およびセレンからなる群より選択される1種以上の微量元素、(d) DHA、および(e) 医薬または食品として適切な担体からなる上記組成物。
【請求項2】
前記ビタミン(a)が、β-カロテン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD3、ビタミンE、葉酸、ビオチン、およびナイアシンアミドからなる群より選択される、請求項1に記載の医薬組成物または食品組成物。
【請求項3】
DHA(d)と、ビタミンD3およびビオチンからなる群より選択される少なくとも1種のビタミン(a)との重量比が500:1から100,000:1である、請求項1または2に記載の医薬組成物または食品組成物。
【請求項4】
葉酸とビタミンB6との重量比が1:1から1:8である、請求項1から3のいずれか1項に記載の医薬組成物または食品組成物。
【請求項5】
鉄とマグネシウムとの重量比が10:1から1:2である、請求項1から4のいずれか1項に記載の医薬組成物または食品組成物。
【請求項6】
DHA(d)と、クロム、モリブデン、セレンからなる群より選択される少なくとも1種の微量元素(c)との重量比が500:1から20,000:1である、請求項1から5のいずれか1項に記載の医薬組成物または食品組成物。
【請求項7】
(a) β-カロテン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD3、ビタミンE、葉酸、ビオチン、およびナイアシンアミドからなるマルチビタミン混合物;
(b) 鉄、亜鉛、およびマグネシウムからなるミネラル混合物;
(c) クロム、銅、ヨウ素、モリブデン、およびセレンからなる微量元素の混合物;
(d) DHA; および
(e) 医薬または食品として適切な担体、
から実質的になる、請求項1から6のいずれか1項に記載の医薬組成物または食品組成物。
【請求項8】
単位製剤に含まれる活性成分(a)から(d)の重量が150から700mgである、請求項1から7のいずれか1項に記載の医薬組成物または食品組成物。
【請求項9】
(a) β-カロテン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD3、ビタミンE、葉酸、ビオチン、およびナイアシンアミドからなる、100から160mgのマルチビタミン混合物;
(b) 鉄、亜鉛、およびマグネシウムからなる、60から120mgのミネラル混合物;
(c) クロム、銅、ヨウ素、セレン、およびモリブデンからなる、100から5000μgの微量元素混合物;
(d) 100から200mgのDHA; および
(e) 医薬または食品として適切な担体、
から実質的になる、請求項1から8のいずれか1項に記載の医薬組成物または食品組成物。
【請求項10】
(a) 1.5から3.5mgのβ-カロテン、1.0から1.8mgのビタミンB1、1.0から1.8mgのビタミンB2、1.5から2.5mgのビタミンB6、1.0から5.0μgのビタミンB12、60から150mgのビタミンC、2.0から200μgのビタミンD3、15から30mgのビタミンE、200から1000μgの葉酸、10から100μgのビオチン、および10から40mgのナイアシンアミドからなるマルチビタミン混合物;
(b) 10から50mgの鉄、5から20mgの亜鉛、および1から100mgのマグネシウムからなるミネラル混合物;
(b) 10から50μgのクロム、0.5から1.5mgの銅、50から500μgのヨウ素、10から100μgのモリブデン、および10から100μgのセレンからなるミネラル混合物;
(d) 100から200mgのDHA; および
(e) 医薬または食品として適切な担体、
から実質的になる、請求項1から9のいずれか1項に記載の医薬組成物または食品組成物。
【請求項11】
直径: 7から11mm; および、長さ: 21から26mmの寸法を有する長円形のゼラチンカプセル剤の形体にある、請求項1から10のいずれか1項に記載の医薬組成物または食品組成物。
【請求項12】
妊娠女性、授乳女性、または妊娠を予定する出産可能な女性が必要な食品を補う方法であって、食品を補うような量の請求項1から11のいずれか1項に記載の医薬組成物または食品組成物を女性に投与することを含む、上記方法。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか1項に記載の医薬組成物または食品組成物の単位製剤が、それが必要な女性に1日に1つ投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
妊娠女性、授乳女性、または妊娠を予定する出産可能な女性が必要な食品を補うための医薬または食品単位製剤を調製するための、請求項1から11のいずれか1項に記載の医薬組成物または食品組成物の使用。
【請求項15】
1日に1回投与することが可能な単一の医薬または食品単位製剤を調製するための、請求項14に記載の使用。

【公表番号】特表2006−523642(P2006−523642A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505117(P2006−505117)
【出願日】平成16年4月14日(2004.4.14)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003913
【国際公開番号】WO2004/091317
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】