説明

定量供給装置及びそれを備えた溶質溶解装置

【課題】ホッパ内の溶質をホッパの下部開口部に作用する負圧吸引力によって下流側に供給する場合に、より確実に所定量ずつ溶質を連続供給できる定量供給装置を提供する。
【解決手段】吸引溶解ポンプに粉状の溶質Pを定量供給する定量供給装置であって、上部から下部へ向かうに連れて縮径する逆錐体形状に形成され、溶質Pを下部開口部1bから排出させるホッパ1と、ホッパ1内に配設された攪拌部材2Aにより溶質Pを攪拌させる攪拌機構2と、攪拌部材2Aにより攪拌されるホッパ1内の溶質Pに、当該溶質Pの粒子同士の流動化を促進する溶質流動化促進用空気Qを連続的に供給させる空気連続供給機構3と、ホッパ1の上部開口部が大気開放された状態で、下部開口部1bの下流側に接続された吸引溶解ポンプの吸引により下部開口部1bに作用する負圧吸引力によって、溶質Pを吸引溶解ポンプに定量供給させる容積式の定量供給機構とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引溶解ポンプに粉状の溶質を定量供給する定量供給装置及びそれを備えた溶質溶解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる定量供給装置は、例えば、上部から下部へ向かうに連れて縮径する逆錐体形状に形成され、上部開口部から受け入れた粉状の溶質を下部開口部から排出させるホッパと、ホッパ内に配設された攪拌部材により、ホッパ内の溶質を攪拌させる攪拌機構と、ホッパ内の下部開口部から溶質を下流側に所定量ずつ定量供給させる定量供給機構とを備える(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の定量供給装置では、ホッパは、下部が漏斗形状で上部が円筒形状に形成されている。また、ホッパ内には、漏斗形状に形成された下部の内壁面において中心軸周りに回転し、ホッパ内の溶質を攪拌する攪拌機構としての攪拌具と、当該中心軸周りで回転自在に配置される定量供給機構としての螺旋状ブラシとを備えている。
これにより、上部から下部に向かって縮径する漏斗形状の内壁面からホッパ内の溶質が圧縮作用を受けて当該内壁面に押付けられ固着するとともに、当該溶質がホッパ内の下部開口部に固着して当該下部開口部を閉塞することを、内壁面付近の溶質を攪拌具により攪拌し解砕することで防止できるとされる。また、ホッパの中心軸と同軸上で螺旋状ブラシ(搬送体)が回転することにより、ホッパ内の溶質を下部開口部から所定量ずつ下流側に定量供給できるとされる。
【0004】
また、特許文献2及び3に定量供給装置では、ホッパ内の溶質を所定量ずつ定量供給する際に、ホッパの下部開口部やその下流側に定量供給機構としてのバルブやオリフィス等を設けて、溶質を下部開口部から所定量ずつ下流側に供給できるように構成されている。この際には、ホッパの下部開口部の下流側から負圧吸引(例えば、真空吸引)することにより、ホッパ内の溶質を下部開口部の下流側に供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−286884号公報
【特許文献2】特開2007−216172号公報
【特許文献3】特開2009−057146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の定量供給装置では、ホッパ内の内壁面付近の溶質を攪拌具により攪拌し解砕するが、当該溶質を流動性が低く凝集性が高い粉体材料とした場合等には、ホッパ内の溶質が内壁面部分や下部開口部近傍に停滞し固着することがあり、ホッパの下部開口部から溶質を所定量ずつ下流側に連続して定量供給することが困難となる。
【0007】
特に、上記特許文献2及び3に記載の定量供給装置では、ホッパ内の溶質を負圧吸引(例えば、真空吸引)して下部開口部の下流側に供給しているが、ホッパの下部開口部に負圧吸引力を作用させた場合には、ホッパ内の溶質は、ホッパ内を自重で降下する際に内壁面等から受ける圧縮作用に加え、負圧吸引力による脱気作用によりかさ密度が上昇する。従って、ホッパ内の溶質、特に内壁面や下部開口部近傍の溶質同士が密着し強固に固着した状態となり、溶質が内壁面部分や下部開口部近傍に停滞し固着する虞がある。また、下部開口部の上部に存在する溶質には負圧吸引力が働くため、当該溶質及び当該溶質近傍の空気が下部開口部の下流側に供給されて、当該下部開口部の上部に溶質が存在しない通気路(いわゆる、ラットホール)が形成され、当該通気路の周囲には溶質の固着した層が形成される虞がある。
このような状態では、溶質がホッパ内の内壁面や下部開口部近傍で固着した状態となり、ホッパの下部開口部から溶質を所定量ずつ下流側に連続して定量供給することが非常に困難となる。
【0008】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ホッパ内の溶質をホッパの下部開口部に作用する負圧吸引力によって下流側に供給する場合において、より確実に所定量ずつ溶質を連続供給できる定量供給装置及びそれを備えた溶質溶解装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る、吸引溶解ポンプに粉状の溶質を定量供給する定量供給装置の特徴構成は、上部から下部へ向かうに連れて縮径する逆錐体形状に形成され、上部開口部から受け入れた前記溶質を下部開口部から排出させるホッパと、前記ホッパ内に配設された攪拌部材により、前記ホッパ内の前記溶質を攪拌させる攪拌機構と、前記攪拌部材により攪拌される前記ホッパ内の前記溶質に、当該溶質の粒子同士の流動化を促進する溶質流動化促進用空気を連続的に供給させる空気連続供給機構と、前記ホッパの前記上部開口部が大気開放された状態で、前記下部開口部の下流側に接続された前記吸引溶解ポンプの吸引により前記下部開口部に作用する負圧吸引力によって、前記下部開口部から排出された溶質を前記吸引溶解ポンプに定量供給させる容積式の定量供給機構とを備えた点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、ホッパ内の溶質が攪拌機構の攪拌部材により攪拌されると共に、当該攪拌される溶質に対して空気連続供給機構により当該溶質の粒子同士の流動化を促進する溶質流動化促進用空気が連続的に供給されるので、ホッパ内の下部開口部に負圧吸引力が作用する場合であっても、ホッパ内の粉状の溶質粒子間に溶質流動化促進用空気を強制的に含ませながら溶質を攪拌して、溶質の流動化を促進することができ、溶質同士の固着やホッパの内壁面等への溶質の固着を防止できる。
【0011】
説明を加えると、ホッパの上部開口部は大気開放されており、ホッパ内の溶質は自重でホッパの内壁面から圧縮作用を受け、下部開口部に近づくに連れてかさ密度が上昇し、溶質同士が固着し易くなる。また、ホッパの下部開口部に吸引溶解ポンプから負圧吸引力を作用させることにより、溶質が下部開口部から下流側である吸引溶解ポンプに排出されるので、ホッパ内の内壁面や下部開口部近傍の空気は脱気され、よりかさ密度が上昇し溶質同士が固着し易くなるとともに、当該下部開口部の上部に溶質が存在しない通気路(いわゆる、ラットホール)が形成され、当該通気路の周囲(ホッパの内壁面近傍)は溶質が固着した層が形成され易くなる。
このような状態で、ホッパ内の溶質を攪拌部材により攪拌することで、ホッパ内における溶質同士の固着や通気路等が解砕され、解砕された溶質は下部開口部へ流下する。この際、下部開口部に作用する負圧吸引力によりホッパ内の溶質近傍の空気は脱気されるが、攪拌される溶質に対して溶質流動化促進用空気を連続的に供給する。当該溶質流動化促進用空気は、ホッパ内の溶質粒子間に強制的に送り込まれることとなり、攪拌部材による溶質の攪拌作用と相俟って、下部開口部に流下する溶質のかさ密度の上昇を良好に防止することができる。すなわち、溶質流動化促進用空気が送り込まれたホッパ内の溶質のかさ密度は、少なくとも大気圧程度の自然状態のかさ密度に良好に維持される。これにより、ホッパ内の下部開口部に負圧吸引力が作用する場合であっても、ホッパ内の粉状の溶質粒子間に溶質流動化促進用空気を強制的に含ませながら溶質を攪拌して、溶質の流動化を促進することができ、また、溶質の搬送状態も安定し、溶質同士の固着やホッパの内壁面等への溶質の固着を防止できる。
よって、ホッパ内における溶質の固着を確実に防止することができ、ホッパの下部開口部から下流側の吸引溶解ポンプへ確実に且つ連続的に溶質の定量供給を行うことができる。
【0012】
本発明に係る定量供給装置の更なる特徴構成は、前記逆錐体形状のホッパが、上部から下部へ向かうに連れて縮径する逆円錐形状に形成され、前記攪拌機構が、前記ホッパの外壁部に設けられ、前記攪拌部材としての攪拌羽根が、前記ホッパの前記下部開口部を介して、前記ホッパの前記逆円錐形状の内壁面に沿って配設されるとともに、前記攪拌羽根が前記ホッパの中心軸周りで回転可能に配設されている点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、ホッパが上部から下部へ向かうに連れて縮径する逆円錐形状に形成され、攪拌部材としての攪拌羽根が、ホッパの逆円錐形状の内壁面に沿って、ホッパの中心軸周りで回転可能に配設されているので、ホッパの内壁面に沿って周方向に攪拌羽根が回転して、ホッパの内壁面の全周に亘って溶質を攪拌することができる。
また、攪拌機構がホッパの外壁部に設けられ、攪拌羽根が、ホッパの下部開口部を介して当該ホッパの内壁面に沿って配設されるので、ホッパ内における溶質のうち、より固着し易い下部開口部や内壁面近傍の溶質を攪拌羽根により下部開口部側から確実に攪拌することができ、より効率的に且つ確実にホッパ内の溶質の固着を防止することができる。加えて、攪拌機構の主たる部材はホッパの外壁部に設けられているので、攪拌機構のメンテナンスが容易であり、また、攪拌機構に用いられる油等の異物がホッパ内に混入することを防止することができる。
【0014】
本発明に係る定量供給装置の更なる特徴構成は、前記ホッパが、前記逆錐体形状の内壁面のうち下側内壁面を形成する下側ホッパ部材と上側内壁面を形成する上側ホッパ部材とを備えて構成される点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、上側内壁面を形成する上側ホッパ部材と下側内壁面を形成する下側ホッパ部材とが接続されてホッパの逆錐体形状の内壁面が構成されているので、ホッパの内壁面の形状や下部開口部の開口の形状や大きさ等の改変が容易となる。例えば、上側ホッパ部材の構成はそのままで、下側ホッパ部材の内壁面の長さや角度等を変更するだけで、下部開口部の開口径等を必要に応じて簡便かつ容易に変更することができる。
【0016】
本発明に係る定量供給装置の更なる特徴構成は、前記攪拌機構及び前記空気連続供給機構が、前記下側ホッパ部材に設けられている点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、上側ホッパ部材及び下側ホッパ部材のうち、下側ホッパ部材に攪拌機構及び空気連続供給機構が設けられているので、下側ホッパ部材のみを改変することにより簡便に攪拌機構及び空気連続供給機構をホッパに設けることができる。また、下側ホッパ部材には下部開口部が形成されるので、当該下部開口部の近傍に攪拌機構及び空気連続供給機構を設けることができ、溶質が固着し易い箇所である下部開口部近傍での攪拌及び溶質流動化促進用空気の供給をより簡易に行うことができるとともに、これら機構を設けるに当たって装置構成の大型化を防止することができる。
【0018】
本発明に係る定量供給装置の更なる特徴構成は、前記空気連続供給機構により単位時間あたりに連続供給される前記溶質流動化促進用空気の設定量が、大気圧下における前記ホッパの下部開口部から単位時間当たりに前記吸引溶解ポンプに定量供給される前記溶質の容積の10〜20%の容積となるように設定されている点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、空気連続供給機構により単位時間あたりに連続供給される溶質流動化促進用空気の設定量が、下部開口部に作用する負圧吸引力により脱気されるホッパ内の溶質近傍の空気と同程度の量に設定され、当該設定量の溶質流動化促進用空気が攪拌される溶質に対して連続的に供給される。これにより、当該溶質流動化促進用空気はホッパ内の溶質粒子間に強制的に送り込まれ、下部開口部に作用する負圧吸引力による影響を相殺し、下部開口部に流下する溶質のかさ密度の上昇をより確実に防止して、下部開口部から定量供給機構に流入する溶質の量を安定させることができる。
具体的には、当該溶質流動化促進用空気の設定量が、大気圧下におけるホッパの下部開口部から単位時間当たりに吸引溶解ポンプに定量供給される溶質の容積の10〜20%の容積となるように設定されている。当該設定量が10%未満の容積であると、攪拌される溶質粒子間に十分な溶質流動化促進用空気を送り込むことができず溶質を十分に流動させる能力が低下し、一方で、20%を超える容積であると、溶質粒子間に溶質流動化促進用空気が送り込まれ過ぎて溶質の流動が過大に進み、下部開口部から定量供給機構に流入する溶質の量が変動する場合もある。
【0020】
上記目的を達成するための本発明に係る溶質溶解装置の特徴構成は、上記何れかの定量供給装置を備え、前記吸引溶解ポンプの回転翼の回転により生じる負圧吸引力によって、前記溶質を前記容積式の定量供給機構から前記吸引溶解ポンプ内に吸引するとともに、前記吸引溶解ポンプ内に溶媒を吸引し、吸引した前記溶質を前記吸引溶解ポンプ内で前記溶媒と溶解混合する点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、ホッパの下部開口部及び定量供給機構から確実に定量供給される溶質を、吸引溶解ポンプの回転翼の回転により生じる負圧吸引力によって吸引溶解ポンプ内に吸引することができ、同様に吸引された溶媒と溶解混合することができる。これにより、ホッパ内の下部開口部に負圧吸引力が作用する場合であっても、溶質の量を一定に安定させた状態で吸引溶解ポンプ内に当該溶質を吸引することができ、溶媒との溶解混合をムラなく安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】定量供給装置を備えた溶質溶解装置の概略構成図
【図2】ホッパの要部を示す部分拡大断面図
【図3】定量供給機構の要部を示す部分拡大断面図
【図4】吸引溶解ポンプの要部を示す部分拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1〜図4に基づいて、本発明の定量供給装置X及びその定量供給装置Xを備えた溶質溶解装置Yの実施の形態を説明する。
【0024】
図1〜図3に示すように、定量供給装置Xは、後述する吸引溶解ポンプ50に粉状の溶質Pを所定量ずつ定量供給する装置である。
具体的には、定量供給装置Xは、上部から下部へ向かうに連れて縮径する逆錐体形状に形成され、上部開口部1aから受け入れた溶質Pを下部開口部1bから排出させるホッパ1と、ホッパ1内に配設された攪拌部材としての攪拌羽根2Aにより、ホッパ1内の溶質Pを攪拌させる攪拌機構2と、攪拌羽根2Aにより攪拌されるホッパ1内の溶質Pに、溶質Pの粒子同士の流動化を促進する溶質流動化促進用空気Qを連続的に供給させる空気連続供給機構3と、ホッパ1の上部開口部1aが大気開放された状態で、下部開口部1bの下流側に接続された吸引溶解ポンプ50の吸引により下部開口部1bに作用する負圧吸引力によって、下部開口部1bから排出された溶質Pを吸引溶解ポンプ50に定量供給させる容積式の定量供給機構4とを備える。
【0025】
また、上記定量供給装置Xを備えた溶質溶解装置Yは、吸引溶解ポンプ50の回転翼51の回転により生じる負圧吸引力によって、溶質Pを容積式の定量供給機構4から吸引溶解ポンプ50内に吸引するとともに、吸引溶解ポンプ50内に溶媒Rを吸引し、吸引した溶質Pを吸引溶解ポンプ50内で溶媒Rと溶解混合するように構成されている。
具体的には、溶質溶解装置Yは、定量供給装置Xと、溶媒Rを供給する溶媒供給装置70と、定量供給装置Xから供給される溶質Pと溶媒供給装置70から供給される溶媒Rとを吸引して溶解混合する吸引溶解ポンプ50と、吸引溶解ポンプ50から吐出された溶質Pが溶解した溶媒R(溶解液)のうち、完全に溶解していない溶質Pを含む溶媒Rと溶質Pが略完全に溶解した溶媒Rとを分離する分離装置80とを備えて構成されている。
【0026】
以下では、まず、定量供給装置Xについて説明し、次に溶質溶解装置Yについて説明する。なお、粉状の溶質Pとしては、例えば、CMC(カルボキシルメチルセルロース)、アルギン酸ソーダ、ポリアクリルアミド、メチルセルロース等の増粘材、脱脂粉乳、カゼイン、デンプン等の粉体を用いることができ、溶媒Rとしては、例えば、水等の液体を用いることができる。下記では、溶質PをCMC粉体とし、溶媒Rを水とした。
【0027】
〔定量供給装置X〕
ホッパ1は、上部から下部へ向かうに連れて縮径する逆円錐形状(逆錐体形状の一例)に形成され、大気開放された上部開口部1aから受け入れた溶質Pを貯留して、下部開口部1bから排出させることができるように構成されている。上部開口部1a及び下部開口部1bの横断面形状(上面視)は中心軸Zを中心とする円形状とされ、上部開口部1aは下部開口部1bより大径に形成されている。
【0028】
ホッパ1は、上下方向で2分割構造に構成され、逆円錐形状の内壁面10のうち上側内壁面10aを形成する上側ホッパ部材1Aと下側内壁面10bを形成する下側ホッパ部材1Bとを備えて構成される。上側内壁面10aと下側内壁面10bとは同一の傾斜角度に形成され、例えば、その傾斜角度は、水平面に対して60度とされる。上側ホッパ部材1Aと下側ホッパ部材1Bとは、上側ホッパ部材1Aの下端部に形成された連結フランジ部11が下側ホッパ部材1Bの上端部に形成された係合段部12に載置された状態で、当該連結フランジ部11を上方から押圧する押圧部材13を介して締結ボルト14が下側ホッパ部材1Bの螺合孔15に螺合されることで固定連結される。
【0029】
下側ホッパ部材1Bの外壁部16には、上記下側内壁面10bを形成する内側壁16aと内側壁16aよりも径方向外方に位置する外側壁16bとを備えている。内側壁16aと外側壁16bとは上部が接続された概略逆U字状の断面形状に形成され、径方向における内側壁16aと外側壁16bとの間には後述する羽根駆動部Wの回転部20を配設可能な空間Sが形成されている。
下側ホッパ部材1Bの内側壁16aの下端部には、下側ホッパ部材1Bの下部開口部1bが形成され、外側壁16bの下端部には、後述する容積式の定量供給機構4の導入部41の上端部に形成された連結フランジ部42と連結可能な連結フランジ部17が形成されている。従って、下側ホッパ部材1Bの下端部において、径方向における連結フランジ部17と下部開口部1bとの間には、後述する回転部20と攪拌羽根2Aとを連結可能な開口18が形成されている。なお、連結フランジ部17と連結フランジ部42とは、両連結フランジ部17,42をそれぞれ上下方向から挟持するブラケット19により挟持固定されている。
【0030】
また、上側ホッパ部材1Aの連結フランジ部11と導入部41の上端の連結フランジ部42とは同径に形成されており、当該連結フランジ11,42同士を連結することが可能に構成されている。従って、後述する攪拌機構2及び空気連続供給機構3が配設された下側ホッパ部材1Bを必要に応じて脱着可能な構成とすることができる。すなわち、従来、上側ホッパ部材1Aの連結フランジ部11と導入部41の上端の連結フランジ部42とが連結されていた構成において、上側ホッパ部材1Aと導入部41との間に、下側ホッパ部材1Bを単に連結するのみで、攪拌機構2及び空気連続供給機構3を非常に簡単に追加することが可能である。
【0031】
攪拌機構2は、ホッパ1内の溶質Pを攪拌する攪拌羽根2Aと、当該攪拌羽根2Aをホッパ1の中心軸Z周りに回転させる羽根駆動部Wとを備える。
羽根駆動部Wは、主として、内側壁16aと外側壁16bとの間にベアリング21、22を介して中心軸Z周りに回転可能で、かつ内側壁16aと外側壁16bとの間に形成された空間Sに配設される回転部20と、当該回転部20を回転させる羽根駆動モータM1とを備える。羽根駆動部Wの回転部20には、下側ホッパ部材1Bの周方向の全周に亘って設けられ中心軸Z周りで回転可能な大径プーリー23が設けられている。大径プーリー23は、羽根駆動モータM1により回転駆動する小径プーリー24とタイミングベルト25を介して回転可能に連結されており、大径プーリー23を備えた回転部20は、上記空間Sにおいて中心軸Z周りで回転可能に構成されている。
回転部20の下端部は、下側ホッパ部材1Bの下端部における連結フランジ部17と下部開口部1bとの間に形成された開口18から下方に突出するように形成されており、当該突出部分には攪拌羽根2Aの下部を嵌合可能な径方向に開口する嵌合孔20aが形成されている。
【0032】
攪拌羽根2Aは、棒状で、かつ断面形状が三角形に形成されており、長手方向がホッパ1の内壁面10に沿う状態で、かつ三角形の一辺を形成する面がホッパ1の内壁面10と略平行となるように配設されている。攪拌羽根2Aの下端部(垂直形状部分)には、下側ホッパ部材1Bの下部開口部1bを介して径方向外方に突出する嵌合部26が形成され、当該嵌合部26が回転部20の嵌合孔20aに嵌合した状態で、嵌合部26に形成された螺合孔27にボルト28が螺合され、攪拌羽根2Aと回転部20とが連結される。これにより、攪拌羽根2Aは、下側ホッパ部材1Bの外壁部16に設けられた羽根駆動部Wと下部開口部1bを介して連結され、ホッパ1の内壁面10に沿って回転可能に配設されている。
【0033】
なお、攪拌羽根2Aとホッパ1の内壁面10との隙間は、1〜2mm程度に設定され、攪拌羽根2Aの上端は、上側ホッパ部材1Aの連結フランジ部11と下側ホッパ部材1Bの係合段部12との接合面よりも上側へ50〜60mm程度の位置に設定され、攪拌羽根2Aの下端(垂直形状部分の上端)は、下側ホッパ部材1Bの連結フランジ部17と定量供給機構4の導入部41の連結フランジ部42との接合面よりも上側へ20〜30mm程度の位置に設定されている。また、ホッパ1の内壁面10の長さは、300〜600mm程度、ホッパ1の最小直径(下部開口部1bの直径)は、70mm程度、最大直径(上部開口部1aの直径)は、160mm程度、攪拌羽根2Aの長さは、300mm程度に設定される。
【0034】
空気連続供給機構3は、圧縮空気源30からの圧縮空気を、ホッパ1内の溶質Pの粒子同士の流動化を促進する溶質流動化促進用空気Qとして、ホッパ1内に連続的に供給するように構成されている。
具体的には、空気連続供給機構3は、圧縮空気を供給する圧縮空気源30と、圧縮空気源30からの圧縮空気を溶質流動化促進用空気Qとして流量を設定量に調整する流量計及び流量調整バルブ(図示せず)と、設定量に調整された溶質流動化促進用空気Qを下側ホッパ部材1Bの外壁部16を介してホッパ1内に供給可能なノズル部31とを備えて構成されている。
【0035】
圧縮空気源30には、ホッパ1内の圧力(大気圧)よりも高い圧力の空気が貯留されており、流量調整バルブにより調整される溶質流動化促進用空気Qの流量の設定量は、下部開口部1bに作用する負圧吸引力により脱気されるホッパ1内の溶質近傍の空気と同程度或いはそれ以下の量に設定される。これにより、少なくとも吸引溶解ポンプ50に吸引されるホッパ1内の溶質Pのかさ密度が上昇せず、大気圧下での自然状態におけるかさ密度程度に維持することができ、ホッパ1内の溶質Pの流動性を確保することができる。
より具体的には、本実施例では、溶質流動化促進用空気Qの流量の設定量は、下部開口部1bに作用する負圧吸引力により脱気されるホッパ1内の溶質近傍の空気と同程度の量、すなわち、大気圧下におけるホッパ1の下部開口部1bから単位時間当たりに吸引溶解ポンプ50に定量供給される溶質Pの容積の10〜20%の容積となるように設定されている。なお、この範囲は実用的な範囲であり、それ以上あるいはそれ以下となってもある程度の効果を得ることができる。
ノズル部31は、下側ホッパ部材1Bの外壁部16における内側壁16aと外側壁16bとが接続された箇所を径方向内方に貫通する通路として形成されている。当該通路は、ホッパ1の中心軸Zと直交する面と平行な面上で、当該中心軸Zに向かう方向に形成されている。すなわち、ノズル部31から噴射される溶質流動化促進用空気Qは、ホッパ1の内壁面10から中心軸Zに向かう方向に噴射される。ノズル部31は、攪拌羽根2Aの上端よりも、攪拌羽根2Aの長さの3分の1の長さ分下側の箇所に配置され、攪拌羽根2Aで攪拌される溶質Pに溶質流動化促進用空気Qを連続的に供給可能に構成されている。なお、溶質流動化促進用空気Qは、ホッパ1の中心軸Zと直交する面と平行な面上で、中心軸Zに向かう方向に対して適宜角度を付けて噴射することも可能である。また、ノズル部31の配置箇所も攪拌羽根2Aにより攪拌される溶質Pの近傍に噴出されるのであれば、適宜上下方向に移動して配設することが可能である。
【0036】
容積式の定量供給機構4は、ホッパ1の下部開口部1bから供給された溶質Pを下流側の吸引溶解ポンプ50(溶質溶解装置Y)に所定量ずつ定量供給する機構である。
具体的には、ホッパ1の下側ホッパ部材1Bの連結フランジ部17と連結される連結フランジ部42を備えた導入部41と、供給口43a及び排出口43bを備えたケーシング43と、ケーシング43内に回転可能に配設した計量回転体44と、計量回転体44を回転駆動する計量回転体駆動モータM2とを備える。
【0037】
導入部41は、下側ホッパ部材1Bの下部開口部1bとケーシング43の上部に形成された供給口43aとを連通する逆三角錐形状に形成されている。逆三角錐形状の導入部41の最下端には、ケーシング43の供給口43aと同形状のスリット状の開口が形成されている。なお、逆三角錐形状の導入部41は、図3(a)の右側の壁面を底辺45とし、当該底辺45に接続する両辺46,46を備えた概略二等辺三角形状に形成され、上記スリット状の開口は、両辺46,46が交わる頂点から底辺45の中間点に沿う向きに形成されている。また、当該スリット状の開口の形状は、ホッパ1の大きさ、溶質Pの供給量、溶質Pの特性等に応じて適宜設定することができるが、例えば、スリット状の開口の長さ方向の寸法を20〜100mm程度、幅方向の寸法を1〜5mm程度に設定するようにする。
【0038】
ケーシング43は、概略矩形状に形成され、導入部41を介して水平方向に対して45度傾斜した姿勢でホッパ1と接続されている。
ケーシング43の上面には、導入部41のスリット状の開口に対応したスリット状の供給口43aが設けられ、下側ホッパ部材1Bの下部開口部1bからの溶質Pをケーシング43内に供給可能に構成されている。ケーシング43の右側面下部には、計量回転体44にて定量供給された溶質Pを膨張室47を介して下流側の溶質溶解装置Yに排出する排出口43bが設けられている。当該膨張室47は、供給口43aから計量回転体44の溶質収容室44bに供給された溶質Pが定量供給されるケーシング43内の位置に、排出口43bから作用する負圧吸引力によって、供給口43aよりも低圧に維持される(例えば、−0、06MPa程度)。すなわち、排出口43bは、溶質溶解装置Yの吸引溶解ポンプ50の一次側に接続されることによって、負圧吸引力が膨張室47に作用し供給口43bよりも低圧状態に維持されるようにしている。計量回転体44の回転に伴って、各溶質収容室44bの状態が負圧状態(例えば、−0、06MPa程度)と当該負圧状態よりも高圧の状態に変化するように構成されている。
【0039】
計量回転体44は、計量回転体駆動モータM2の駆動軸48に配設した円盤部材49に、この円盤部材49の中心部を除いて放射状に複数(例えば、8枚)の板状隔壁44aを等間隔に取り付けて構成され、周方向で等間隔に溶質収容室44bを複数区画(例えば、8室)形成するように構成されている。溶質収容室44bは、計量回転体44の外周面及び中心部において開口するように構成されている。計量回転体44の中心部には開口閉鎖部材44cが周方向に偏在して配設され、各溶質収容室44bの中心部側の開口をその回転位相に応じて閉塞或いは開放可能に構成されている。なお、溶質Pの供給量は、計量回転体44を回転駆動する計量回転体駆動モータM2による計量回転体44の回転数を変化させることで、調整できる。
【0040】
計量回転体44の回転に伴って、各溶質収容室44bが、膨張室47に開放される膨張室開放状態、膨張室47及び供給口43aと連通しない第1密閉状態、供給口43aに開放される供給口開放状態、供給口43a及び膨張室47と連通しない第2密閉状態の順で、その状態が繰り返して変化するように構成されている。なお、計量回転体44の外周面側の開口が第1密閉状態及び第2密閉状態において閉鎖されるようにケーシング43が形成されるとともに、計量回転体44の中心部側の開口が第1密閉状態、供給口開放状態及び第2密閉状態において閉鎖されるように開口閉鎖部材44cがケーシング43に固定して配設される。
【0041】
次に、定量供給装置Xの動作を、説明する。
定量供給装置Xにおいては、ホッパ1内に溶質Pが貯留された状態で、定量供給機構4により溶質Pが、ホッパ1の下部開口部1b及び排出口43bを介して吸引溶解ポンプ50に定量供給される。
【0042】
具体的に説明すると、定量供給機構4の排出口43bの下流側に接続された吸引溶解ポンプ50からの負圧吸引力により、ケーシング43内における膨張室47の圧力が負圧状態(例えば、−0、06MPa程度)となる。一方で、ホッパ1の上部開口部1aは大気開放されているので、ホッパ1内は大気圧程度の状態となる。この状態では、ホッパ1内の溶質Pは自重でホッパ1の内壁面10から圧縮作用を受け、下部開口部1bに近づくに連れてかさ密度が上昇し、溶質P同士が固着し易くなる。加えて、膨張室47と計量回転体44の隙間を介して連通する導入部41の内部及び下部開口部1bの近傍は、上記負圧状態と大気圧状態との間の圧力状態となり、ホッパ1内の内壁面10や下部開口部1b近傍の空気は脱気され、よりかさ密度が上昇し溶質P同士が固着し易くなるとともに、当該下部開口部1bの上部に溶質が存在しない通気路(いわゆる、ラットホール)が形成され、当該通気路の周囲(ホッパの内壁面近傍)は溶質が固着した層が形成され易くなる。
【0043】
この状態で、ホッパ1の内壁面10及び下部開口部1bの近傍の溶質Pを、攪拌機構2の攪拌羽根2Aにより攪拌することで、攪拌羽根2Aによるせん断作用によりホッパ1内における溶質P同士の固着や通気路等が解砕され、解砕された溶質Pは下部開口部1bへ流下する。この際、下部開口部1bに作用する負圧吸引力によりホッパ1内の溶質P近傍の空気は脱気されるが、攪拌される溶質Pに対して当該脱気された空気と同程度の量に設定された設定量の溶質流動化促進用空気Qを、圧縮空気源30からノズル部31を介して連続的に供給する。当該溶質流動化促進用空気Qは、ホッパ1内の溶質粒子間に強制的に送り込まれることとなり、攪拌羽根2Aによる溶質Pの攪拌作用と相俟って、下部開口部1bに流下する溶質Pのかさ密度の上昇を良好に防止することができる。すなわち、少なくとも吸引溶解ポンプ50に吸引されるホッパ1内の溶質Pのかさ密度が上昇せず、大気圧下での自然状態におけるかさ密度程度に維持することができ、ホッパ1内の溶質Pの流動性を確保することができる。
これにより、ホッパ1内の下部開口部1bに負圧吸引力が作用する場合であっても、ホッパ1内の粉状の溶質粒子間に溶質流動化促進用空気Qを強制的に含ませながら溶質を攪拌して、溶質Pの流動化を促進することができ、また、溶質Pの攪拌状態も安定し、溶質P同士の固着やホッパ1の内壁面10等への溶質Pの固着を防止できる。溶質流動化促進用空気Qの設定量が、大気圧下におけるホッパ1の下部開口部1bから単位時間当たりに吸引溶解ポンプ50に定量供給される溶質Pの容積の10〜20%の容積となるように設定されている。当該設定量が10%未満の容積であると、攪拌される溶質粒子間に十分な溶質流動化促進用空気Qを送り込むことができず溶質Pを十分に流動させる能力が低下し、一方で、20%を超える容積であると、溶質粒子間に溶質流動化促進用空気Qが送り込まれ過ぎて溶質Pの流動が過大に進み、下部開口部1bから定量供給機構4に流入する溶質Pの量が変動する場合もある。
なお、攪拌羽根2Aの回転速度は、ホッパ1の下部開口部1bに過度な圧力が掛からないように適切な回転速度に設定されている。
【0044】
ホッパ1の内壁面10や下部開口部1b近傍で固着することなく下部開口部1bから定量供給される溶質Pは、容積式の定量供給機構4の導入部41を介して供給口43aから計量回転体44の溶質収容室44bに供給される。溶質収容室44bは、計量回転体駆動モータM2により回転させられ、供給口43aから供給された溶質Pを所定量ずつ膨張室47に供給する。
具体的に、特定の溶質収容室44bの動作について説明する。第1密閉状態では、溶質収容室44bは、膨張室47及び供給口43aとの連通が遮断され、膨張室47に開放された状態と同様の負圧状態が維持される。供給口開放状態では、溶質収容室44bより高圧の状態(負圧状態と大気圧状態との間で、絶対値としては負圧の状態)の供給口43aから、負圧状態の溶質収容室44bに、圧力差による吸引力と溶質粒子間に存在する空気の膨張力とによって、溶質Pの自重のみによる場合と比較して、溶質Pが強制的に効率よく安定して確実に供給、充填される。第2密閉状態では、膨張室47及び供給口43aとの連通が遮断され、供給口43aに開放された状態と同様の高圧の状態で、溶質Pが溶質収容室44bに充填された状態が維持される。膨張室開放状態では、溶質収容室44bに充填された溶質Pが、高圧の状態の溶質収容室44bから負圧状態の膨張室47に、圧力差による吸引力と溶質粒子間に存在する空気の膨張力とによって、溶質Pの自重のみによる場合と比較して、強制的に効率よく安定して確実に放出される。そして、膨張室47に供給された溶質Pは、排出口43bを介して吸引溶解ポンプ50に吸引され、溶質Pの流量を安定させて、溶質Pを所定量ずつ連続して定量供給することができる。
【0045】
〔溶質溶解装置Y〕
上述のとおり、溶質溶解装置Yは、定量供給装置Xと、溶媒供給装置70と、吸引溶解ポンプ50と、分離装置80とを備えて構成されている。
【0046】
定量供給装置Xは、上述のとおり、ホッパ1内の溶質Pを下流側に所定量ずつ連続的に定量供給する装置であり、定量供給機構4の排出口43bが吸引溶解ポンプ50の一次側であるミキシングノズル52に接続される。
【0047】
溶媒供給装置70は、溶媒源71からの溶媒Rを、吸引溶解ポンプ50のミキシングノズル52に連続的に供給するように構成されている。
具体的には、溶媒供給装置70は、溶媒Rを供給する溶媒源71と、溶媒源71からの溶媒Rの流量を設定量に調整する流量計及び流量調整バルブ(図示せず)と、設定量に調整された溶媒Rをミキシングノズル52を介して吸引溶解ポンプ50内に供給する管部72とを備えて構成されている。
【0048】
吸引溶解ポンプ50は、円筒部53Aと、円筒部53Aの前側(図4において左側)に配設された前面封止部53Bと、円筒部53Aの後側(図4において右側)に配設された後面封止部53Cとを備えた円筒状の本体ケーシング53を備える。本体ケーシング53の内部において、ポンプ駆動モータM3の駆動軸54に取り付けたロータ55の外周部に複数の回転翼51が突設され、ロータ55とともに回転翼51を回転させる。当該回転翼51の回転により生じる負圧吸引力によって、第1吸入部56から溶質P及び溶媒Rを第1導入室57に吸引して攪拌し、吐出部58から溶解液を吐出させるように構成されている。なお、第1吸入部56は前面封止部53Bに貫通形成され、吐出部58は円筒部53Aに貫通形成される。
【0049】
吸引溶解ポンプ50の第1吸入部56には、定量供給機構4の排出口43bと接続され膨張室47と連通する直管状のミキシングノズル52が設けられ、排出口43bから定量供給される溶質Pを第1吸入部56内に導入可能に構成されている。ミキシングノズル52には、排出口43bと第1吸入部56との間に、吸引溶解ポンプ50の第1吸入部56への溶質Pの供給を停止可能なシャッタバルブ59(閉止手段)が配設されている。また、ミキシングノズル52におけるシャッタバルブ59と第1吸入部56との間には、溶媒供給装置70の管部72が接続されている。これにより、吸引溶解ポンプ50の第1吸入部56からの負圧吸引力により、ミキシングノズル52に溶媒供給装置70の管部72から溶媒Rを旋回させながら供給するとともに、定量供給機構4から溶質Pを定量供給することにより、溶質P及び溶媒Rの初期混合を行った後、吸引溶解ポンプ50の第1吸入部56から吸引して、溶質P及び溶媒Rの吸引溶解ポンプ50内への供給が円滑に行われる。
【0050】
ロータ55には、回転翼51よりも内周側に、濾斗状の仕切板60が複数のボス60aを介して駆動軸54周りで回転可能に配設されている。この仕切板60は、第1吸入部56から、ミキシングノズル52において初期混合を行った溶質P及び溶媒Rが導入される第1導入室57と、吐出部58から吐出された溶解液の一部が、後述する第2吸入部61を介して循環し、導入される第2導入室62とを区画するもので、この仕切板60と前面封止部53Bとの摺動部は、階段状のラビリンス構造となっている。
【0051】
吸引溶解ポンプ50の吐出部58には、比重によって溶解液を循環流路81と排出流路82とに分離して供給する分離手段80における循環流路81の一端が接続される。循環流路81の他端は、前面封止部53Bに貫通形成された第2吸入部61と接続される。なお、当該第2吸入部61には流入する溶解液の流量を制限する絞り部63が設けられている。
【0052】
前面封止部53Bには、回転翼51の内周側で、回転翼51と第1導入室57及び第2導入室62との間に位置するように円筒状の第1ステータ64を配設し、第1ステータ64に形成した透孔64a,64bによって絞り流路Tを構成している。第1導入室57に対応する前面側には円形の透孔64a、第2導入室62に対応する後面側には長孔形の透孔64bをそれぞれ形成されている。なお、絞り流路Tは、透孔のほか、スリットやノズルによって構成することもできる。また、後面封止部53Cには、回転翼51の外周側で、回転翼51と吐出部58との間に位置するように円筒状の第2ステータ65を配設し、第2ステータ65に形成した透孔65a(スリット状の長孔)によって絞り流路Tを構成している。これにより、溶解液に対して、絞り流路Tの透孔64a、64b、65aを通過する際に、回転翼51によるせん断作用により、溶質Pと溶媒Rとの溶解混合を促進させることができる。
【0053】
ここで、回転翼51が回転すると、第1導入室57及び第2導入室62から吐出部58に溶質P及び溶媒Rの溶解液が強制的に通流させられるが、第2吸入部61を介して第2導入室62に通流させられる溶解液は、第2吸入部61に設けられた絞り部63を通過する際に流量が制限される。この状態で、回転翼51の回転が制御されて、第2導入室62から吐出部58に通流させられる溶解液の流量(例えば、30m3/s)に対して、第2吸入部61の絞り部63を通流して第2導入室62に流入する溶解液の流量(例えば、15m3/s)が少なく設定されることにより、第1導入室57及び第2導入室62を負圧状態(−0.06MPa程度)とすることが可能に構成されている。従って、回転翼51が回転することにより、ミキシングノズル51内、定量供給機構4の膨張室47内を負圧状態(−0.06MPa程度)とすることが可能に構成されている。
【0054】
分離装置80は、円筒状容器83内において比重によって溶解液を分離するように構成され、吸引溶解ポンプ50の吐出部58から吐出された溶質Pが溶解した溶媒R(溶解液)のうち、完全に溶解していない溶質Pを含む溶媒Rを循環流路81に、溶質Pが略完全に溶解した溶媒Rを排出流路82にそれぞれ分離するように構成されている。円筒状容器83の下部に接続される循環流路81の一端は、吸引溶解ポンプ50の吐出部58に接続され、他端は第2吸入部61に接続される。円筒状容器83の上部に接続される排出流路82は溶解液(製品)の供給先90に接続される。
なお、分離装置80は、図示しないが、吸引溶解ポンプ50の吐出部58に連なる導入パイプを円筒状容器83の底面から内部に突出して配設し、円筒状容器83の上部に排出流路82と連なる排出部を備えるとともに、下部に循環流路81と連なる循環部を備え、導入パイプの吐出上端に、導入パイプから吐出される溶解液の流れを旋回させる捻り板を配設して構成している。
【0055】
次に、この溶質溶解装置Yの動作について説明する。
まず、定量供給装置Xを停止し、シャッタバルブ59によってミキシングノズル52を介する溶質Pの吸引を閉止した状態で、溶媒供給装置70から溶媒Rのみを供給しながら回転翼51を回転させ、吸引溶解ポンプ50の運転を開始する。そして、定量供給機構Xを停止した状態で、シャッタバルブ59を開放する。これによって、定量供給機構3の膨張室47を負圧状態(−0.06MPa程度)とし、導入部41の内部及びホッパ1の下部開口部1b近傍を当該負圧状態と大気圧状態との間の圧力状態にする。
【0056】
そして、定量供給機構4を作動させ、吸引溶解ポンプ50の負圧吸引力により、ホッパ1の下部開口部1bから定量供給機構4の膨張室47内に溶質Pを所定量ずつ連続的に定量供給させるとともに、当該定量供給させた溶質Pを吸引溶解ポンプ50内へ供給する。同時に、溶媒供給装置70を作動させ、吸引溶解ポンプ50の負圧吸引力により、定量供給させた溶媒Rを吸引溶解ポンプ50内へ供給する。
【0057】
定量供給された溶質P及び溶媒Rは、ミキシングノズル52において、初期混合を行った後、吸引溶解ポンプ50の第1吸入部56から第1導入室57に導入され、回転翼51の内側と外側とに配設された第1ステータ64の透孔64a及び第2ステータ65に形成した透孔65b(絞り流路T)を通過することによって、せん断作用を受けながら攪拌、溶解混合され、吐出部58から吐出される。この際、負圧状態の第1導入室57、第2導入室62において絞り流路Tを通過する溶解液にキャビテーションを起こさせ、溶解液に含まれる気泡の膨張とそれによって生じる衝撃により、溶解を促進することができる。
【0058】
吐出部58から吐出された溶質Pが溶解した溶媒R(溶解液)のうち、完全に溶解していない溶質Pを含む溶媒Rは、循環流路81を介して吸引溶解ポンプ50の第2吸入部61から第2導入室62に導入され、第1ステータ64の透孔64b及び第2ステータ65に形成した透孔65b(絞り流路T)を通過することによって、せん断作用を受けながら攪拌、溶解混合され、吐出部58から吐出される。一方、溶質Pが略完全に溶解した溶媒Rは、排出流路82を介して供給先90に供給される。
【0059】
そして、所定量の溶質Pの供給がなされたとき、シャッタバルブ59によって、溶質P吸引を閉止するとともに、溶媒Rの供給も停止し、溶質Pに溶媒Rが完全に溶解するまで吸引溶解ポンプ50の運転を継続する。
【0060】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、攪拌機構2の攪拌羽根2Aを下側ホッパ部材1Bの外壁部16で、且つ、ホッパ1の下部開口部1bを介してホッパ1内の内壁面10に沿って配設したが、ホッパ1内の内壁面10近傍で、空気連続供給機構3から供給された溶質流動化促進用空気Qを含む溶質Pを良好に攪拌可能な構成であれば、特にこの構成に限定されるものではない。例えば、ホッパ1の上方に攪拌機構2を配設し、攪拌羽根2Aをホッパ1の内壁面10に沿って配設することもできる。
また、攪拌羽根2Aの断面形状としては三角形状のみならず、平板形状等を適宜採用することができる。
【0061】
(2)上記実施形態では、ホッパ1を上側ホッパ部材1Aと下側ホッパ部材1Bとを備えて構成したが、単独のホッパ部材でホッパ1を構成しても良く、3分割以上のホッパ部材で構成してもよい。
また、上記実施形態では、攪拌機構2及び空気連続供給機構3を下側ホッパ部材1Bに設けたが、ホッパ1内の溶質Pの固着を簡便に防止することができる構成であれば、これら機構2,3を上側ホッパ部材1A等他の箇所に設けてもよい。
【0062】
(3)上記実施形態では、容積式の定量供給機構4として計量回転体44を用いた構成を例示したが、特にこの構成に限定されるものではなく、例えば、ギアポンプを用いて、ホッパ1内の溶質Pを、下部開口部1bから下流側に定量供給することができる機構を採用することもできる。
【0063】
(4)上記実施形態では、上側ホッパ部材1Aの上側内壁面10aと下側ホッパ部材1Bの下側内壁面10bとを同一傾斜角度(水平面に対して60度)に設定したが、上側内壁面10aと下側内壁面10bとの角度を、相互に異なる任意の角度とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、ホッパ内の溶質をホッパの下部開口部に作用する負圧吸引力によって下流側に供給する場合において、より確実に所定量ずつ溶質を連続供給できる定量供給装置及びそれを備えた溶質溶解装置として良好に利用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1a 上部開口部
1b 下部開口部
1A 上側ホッパ部材(ホッパ)
1B 下側ホッパ部材(ホッパ)
10a 上側内壁面(内壁面)
10b 下側内壁面(内壁面)
16a 内側壁(外壁部)
16b 外側壁(外壁部)
2 攪拌機構
2A 攪拌羽根
20 回転部
3 空気連続供給機構
31 ノズル部
4 容積式の定量供給機構
50 吸引溶解ポンプ
51 回転翼
X 定量供給装置
Y 溶質溶解装置
P 溶質
R 溶媒
Q 溶質流動化促進用空気
Z 中心軸
W 羽根駆動部(攪拌機構)
M1 羽根駆動モータ(攪拌機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引溶解ポンプに粉状の溶質を定量供給する定量供給装置であって、
上部から下部へ向かうに連れて縮径する逆錐体形状に形成され、上部開口部から受け入れた前記溶質を下部開口部から排出させるホッパと、
前記ホッパ内に配設された攪拌部材により、前記ホッパ内の前記溶質を攪拌させる攪拌機構と、
前記攪拌部材により攪拌される前記ホッパ内の前記溶質に、当該溶質の粒子同士の流動化を促進する溶質流動化促進用空気を連続的に供給させる空気連続供給機構と、
前記ホッパの前記上部開口部が大気開放された状態で、前記下部開口部の下流側に接続された前記吸引溶解ポンプの吸引により前記下部開口部に作用する負圧吸引力によって、前記下部開口部から排出された溶質を前記吸引溶解ポンプに定量供給させる容積式の定量供給機構とを備えた定量供給装置。
【請求項2】
前記逆錐体形状のホッパが、上部から下部へ向かうに連れて縮径する逆円錐形状に形成され、
前記攪拌機構が、前記ホッパの外壁部に設けられ、
前記攪拌部材としての攪拌羽根が、前記ホッパの前記下部開口部を介して、前記ホッパの前記逆円錐形状の内壁面に沿って配設されるとともに、前記攪拌羽根が前記ホッパの中心軸周りで回転可能に配設されている請求項1に記載の定量供給装置。
【請求項3】
前記ホッパが、前記逆錐体形状の内壁面のうち下側内壁面を形成する下側ホッパ部材と上側内壁面を形成する上側ホッパ部材とを備えて構成される請求項1又は2に記載の定量供給装置。
【請求項4】
前記攪拌機構及び前記空気連続供給機構が、前記下側ホッパ部材に設けられている請求項3に記載の定量供給装置。
【請求項5】
前記空気連続供給機構により単位時間あたりに連続供給される前記溶質流動化促進用空気の設定量が、大気圧下における前記ホッパの下部開口部から単位時間当たりに前記吸引溶解ポンプに定量供給される前記溶質の容積の10〜20%の容積となるように設定されている請求項1〜4の何れか一項に記載の定量供給装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の定量供給装置を備え、
前記吸引溶解ポンプの回転翼の回転により生じる負圧吸引力によって、前記溶質を前記容積式の定量供給機構から前記吸引溶解ポンプ内に吸引するとともに、前記吸引溶解ポンプ内に溶媒を吸引し、吸引した前記溶質を前記吸引溶解ポンプ内で前記溶媒と溶解混合する溶質溶解装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−40512(P2012−40512A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184273(P2010−184273)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000127237)株式会社イズミフードマシナリ (53)
【Fターム(参考)】