説明

定量充填装置

【課題】ホッパの軸受部及び関節部の保守点検作業において摩耗粉の被計量物への混入を防止することができ、かつ被計量物の粉塵のホッパの軸受部及び関節部の内部への侵入をより確実に防止することができる、定量充填装置を提供する。
【解決手段】外部筐体1と第1ホッパ10及び第2ホッパ20との間の空間を区画して1以上の防塵空間P,Q、Sを形成する隔壁60,71,80を有し、第1ゲート軸17A,17Bは隔壁60,80に形成された貫通孔61,81を非接触状態で貫通し、第1ゲート軸支持構造体15,13,12,11は防塵空間P,Sに構成され、第2ゲート軸41,42及び腕部材51は隔壁71に形成されたそれぞれの貫通孔を非接触状態で貫通し、第2ゲート軸支持構造体25,23,21Aが腕部材51に支持されて防塵空間Qに配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体あるいは粒体などの流動性を有する被計量物を所定量毎に容器に充填する定量充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体あるいは粒体などの流動性を有する被計量物を所定量毎に容器に充填する定量充填装置は、既に実用化されている。例えば、大和製作所株式会社製FNL-302CC、FNL-306CCがある。
【0003】
図8は、従来の定量充填装置の内部を模式的に示す概略構成図である。図8に示すように、従来の定量充填装置500は、上面に投入口502が構成されている外部筐体501と、投入口502の下方に配設された第1ホッパ510と、第1ホッパ510の下方に配設された第2ホッパ520と、第2ホッパ520を支持し、かつ第2ホッパ520の重量変化を検出する重量検出器530と、を有している。
【0004】
従来の定量充填装置は第1ホッパ510及び第2ホッパ520のゲート部材を支持する軸受部及びゲート部材に駆動力を伝達する関節部がホッパ本体の周辺に構成されている。例えば、図8においては、1対の第1軸受部511、512、2対の第2軸受部521A、522A(図面において奥方に位置する第2軸受部は図示せず)、第1関節部513,一対の第2関節部523,524である。
【0005】
このような従来の構成においては、被計量物の移動に伴い粉塵が舞い上がり、第1軸受部511、512,第2軸受部521A,522A、第1関節部513及び第2関節部523,524が、それらの摩擦面に粉塵を噛み込むことがあった。粉塵の噛み込みによって当該摩擦面の摩耗が促進される。つまり、第1軸受部511、512、第2軸受部521A,522A、第1関節部513及び第2関節部523,524の内部に粉塵が侵入してしまう点において改善の余地があった。また、第1軸受部511、512、第2軸受部521A,522A、第1関節部513及び第2関節部523,524において発生する摩耗粉が被計量物に混入する点においても改善の余地があった。
【0006】
他方で、特許文献1には、ホッパの軸受部及びリンク機構(関節部)をカバーで覆う技術が開示されている。また、特許文献2には、開閉蓋(ゲート部材)の開閉駆動機構(関節部)をカバーで覆う技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−28805号公報
【特許文献2】特開2001−264153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2の技術では、関節部の一部(開閉駆動体113)が外部に露出しているので(同文献段落[0065])、摩擦面の一部は外部に露出している。
【0008】
また、特許文献1及び特許文献2の技術では、ホッパの軸受部及び関節部の少なくともいずれかの摩擦面で発生する摩耗粉がカバー内に堆積する。そして、ホッパの軸受部及び関節部の保守点検作業においてカバーを取り外す際に、カバー内に堆積していた摩耗粉が落下し、被計量物に混入するという問題があった。
【0009】
また、ホッパの軸受部及び関節部はホッパの本体と同一の空間に構成されているので、ホッパ内で発生した粉塵はカバー周辺に容易に到達する。そして、カバーの取り付け具合によっては、カバー内部に粉塵が侵入して、ホッパの軸受部及び関節部の内部に粉塵が侵入してしまうという問題もあった。
【0010】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、ホッパの軸受部及び関節部の保守点検作業において摩耗粉の被計量物への混入を防止することができ、かつ被計量物の粉塵のホッパの軸受部及び関節部の内部への侵入をより確実に防止することができる、定量充填装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、第1の本発明の定量充填装置は、上面に投入口が構成されている外部筐体と、
前記投入口の下方に固定され、かつその底部を開閉する第1ゲート部材を有する第1ホッパと、
前記第1ホッパの下方に配設され、かつその底部を開閉する第2ゲート部材を有する第2ホッパと、
前記第2ホッパを支持し、かつ前記第2ホッパの重量変化を検出する重量検出器と、を有する定量充填装置であって、
前記第1ゲート部材に固定されている第1ゲート軸と、
前記第1ホッパの底部を開閉するように前記第1ゲート軸を駆動かつ支持する第1ゲート軸支持構造体と、
前記第2ゲート部材に固定されている第2ゲート軸と、
前記第2ホッパの底部を開閉するように前記第2ゲート軸を駆動かつ支持する第2ゲート軸支持構造体と、
前記第2ホッパの本体に固定されている腕部材と、
前記外部筐体と前記第1ホッパ及び前記第2ホッパとの間の空間を区画して1以上の防塵空間を形成する隔壁と、をさらに有し、
前記第1ゲート軸は前記隔壁に形成された貫通孔を非接触状態で貫通し、前記第1ゲート軸支持構造体は前記防塵空間に構成され、
前記第2ゲート軸及び前記腕部材は前記隔壁に形成されたそれぞれの貫通孔を非接触状態で貫通し、前記第2ゲート軸支持構造体が前記腕部材に支持されて前記防塵空間に配設されている。
【0012】
この構成によれば、ホッパの軸受部及び関節部は、第1ゲート部材及び第2ゲート部材から隔離された空間に配設される。したがって、ホッパの軸受部及び関節部の保守点検作業において摩耗粉の被計量物への混入を防止することができ、かつ被計量物の粉塵のホッパの軸受部及び関節部の内部への侵入をより確実に防止することができる。
【0013】
第2の本発明の定量充填装置は、前記第1ゲート軸及び前記第2ゲート軸は、それぞれ軸回転によって前記第1ゲート部材及び前記第2ゲート部材を開閉するとよい。
【0014】
この構成によれば、第1ゲート軸及び第2ゲート軸の変位が生じない。したがって、隔壁に形成される貫通孔をより小さくすることができるので、防塵空間の防塵性能をより高めることができる。
【0015】
第3の本発明の定量充填装置は、前記隔壁は、複数の壁部材に分割されていて、前記壁部材の接合隙間によって、前記貫通孔が形成されているとよい。
【0016】
この構成によれば、第1ゲート軸、第2ゲート軸及び腕部材を装着状態のままで、隔壁を脱着することができるので、定量充填装置の保守作業をより容易にすることができる。
【0017】
第4の本発明の定量充填装置は、前記重量検出器が前記防塵空間に配設されているとよい。
【0018】
この構成によれば、重量検出器を配置する空間を防塵空間に統合することができるので、定量充填装置の構造を簡素化することができる。
【0019】
第5の本発明の定量充填装置は、前記外部筐体を構成する壁体のうち、前記防塵空間を構成する側壁の一部が脱着可能に構成されているとよい。
【0020】
この構成によれば、外部筐体の側壁の一部を取り外せば、被計量物の流路に干渉することなく、容易に軸受部及び関節部に接近できる。つまり、定量充填装置を動作させた状態で、軸受部及び関節部に接近できるので、定量充填装置の動作状態を確認できる。したがって、定量充填装置の保守作業をより機動的に行うことができる。
【0021】
第6の本発明の定量充填装置は、前記第2ゲート軸支持構造体及び前記腕部材は、前記重量検出器から見て前記第2ホッパの本体の左右の重量比が均等となるように配設されているとよい。
【0022】
この構成によれば、重量検出器に加わるモーメント力を軽減することができるので、より精度の高い計量値をより迅速に取得することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の定量充填装置は、ホッパの軸受部及び関節部の保守点検作業において摩耗粉の被計量物への混入を防止することができ、かつ被計量物の粉塵のホッパの軸受部及び関節部の内部への侵入をより確実に防止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態を説明する。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の定量充填装置の内部構造を模式的に示す図である。図2は、図1のII−II線断面における定量充填装置下部の上面図である。図3は、図1のIII−III線断面における定量充填装置上部の上面図である。図4は、図2のIV−IV線断面における第2隔壁の設置状態を示す平面図である。図1では、説明の便宜のため、1対の第2隔壁71,72を省略して示す。
【0026】
図1乃至図3に示すように、本実施形態の定量充填装置は、上面に投入口2が構成されている外部筐体1と、投入口2の下方に固定されている第1ホッパ10と、第1ホッパ10の下方に配設されている第2ホッパ20と、第2ホッパ20の重量変化を検出する重量検出器30と、を有している。つまり、本実施形態の定量充填装置は、投入口2から投入された被計量物は第1ホッパ10に貯留され、第1ホッパ10は所定量の被計量物を第2ホッパに供給し、第2ホッパ20は被計量物を下方の容器(図示せず)に充填するように構成されている。
【0027】
ここで、第1ホッパ10は、外部筐体1の上面に構成された投入口2から下方に延びる円筒状の本体19と、本体19の底を開閉する第1ゲート部材16と、第1ゲート部材16に固定されている一対の第1ゲート軸17A、17Bと、第1ゲート軸17Aを軸回転可能に支持する第1軸受部12と、第1ゲート軸17Bを軸回転可能に支持する第1軸受部11と、第1ゲート軸17Aの延伸端に装着された連結部(関節部)13と、連結部13に連結されている第1駆動装置15と,を有している。
【0028】
第1ゲート部材16は、本体19の底部を塞ぐように構成されている。第1ゲート軸17A、17Bは、第1ゲート部材16に固定されていて、第1ゲート部材16の両側から水平方向の同一線上に延びている。つまり、第1ゲート部材16は、第1ゲート軸17A,17Bを回転軸として揺動自在の状態で一対の第1軸受部11,12によって支持されている。そして、第1駆動装置15の回転力が、連結部13及び第1ゲート軸17Aを経由して、第1ゲート部材16を揺動させ、第1ホッパ10の底部を開閉する。
【0029】
一対の第1軸受部11,12はベアリングで構成され、それぞれ支持部材11A,12Aによって外部筐体1に支持されている。
【0030】
連結部13には、公知の軸継ぎ手(coupling)を用いている。
【0031】
第1駆動装置15は、サーボモーターなどの電動機で構成され、支持部材15Aによって外部筐体1に支持されている。
【0032】
第1駆動装置15、連結部13、及び第1軸受部11,12が第1ゲート軸17A,17Bを駆動かつ支持する第1ゲート軸支持構造体を構成している。
【0033】
第2ホッパ20は、第1ホッパ10の本体19の鉛直下方に位置する四角筒状の本体29と、本体29の底を開閉する一対の第2ゲート部材27,28と、第2ゲート部材27,28にそれぞれ固定されている一対の第2ゲート軸41、42と、第2ゲート軸41を軸回転可能に支持する1対の第2軸受部21A,21Bと、第2ゲート軸42を軸回転可能に支持する1対の第2軸受部22A,22Bと、第2ゲート軸41に第2関節部23によって連結されている第2駆動装置25と、第2ゲート軸42に第2関節部24によって連結されている第2駆動装置26と、を有している。
【0034】
第2ゲート部材27,28は、それぞれ矩形の板状の部材で、本体29の底部をV字谷状に構成するように配設されている。
【0035】
また、第2ゲート軸41,42は第2ゲート部材27,28の上辺付近の両側に水平方向に延びるようにしてそれぞれの第2ゲート部材27,28に固定部材41A,41B,42A,42Bによって固定されている。つまり、一対の第2ゲート軸41,42が相互に平行に配設されている。そして、一対の第2ゲート部材27,28はそれぞれ第2ゲート軸41,42を回転軸として揺動自在に支持されている。
【0036】
第2軸受部21A、22Aはベアリングで構成され、腕部材51によって、本体29に支持されている。第2軸受部21B、22Bはベアリングで構成され、腕部材52によって、本体29に支持されている。
【0037】
一対の腕部材51,52は、本体29の両側から延びるようにして固定されている。
【0038】
第2駆動装置25、26は、線形駆動のアクチュエータで構成されている。第2駆動装置25は、係留部材25Bによって腕部材51に支持されている。また、図1及び図3に矢印で示すように、往復動する駆動軸25Aの先端が第2関節部23に連結されている。第2駆動装置26は、係留部材26Bによって腕部材52に支持されていて、往復動する駆動軸26Aの先端が第2関節部24に連結されている。
【0039】
第2関節部23,24は、一端が第2ゲート軸41,42に固着され、他端が駆動軸25A,26Aに連結されている部材から構成されている。このような構成によって、第2関節部23,24は、駆動軸25A,26Aの進退動作を第2ゲート軸41,42の回転動作として伝達するリンク機構を構成することができる。
【0040】
このような構造により、第2駆動装置25、26の駆動軸25A,26Aの進退駆動力が、第2関節部23,24によって第2ゲート軸41,42の軸回転力として伝達される。つまり、図1に矢印で示すように、第2ホッパ20は、第2ゲート部材27,28が揺動して底部が開閉するように構成されている。
【0041】
また、第2ホッパ20の本体29には棒状の4本の腕部材33が水平方向に延びるようにして固定されていて、腕部材33の延伸端は平板状の支持部材32に支持されている。支持部材32は、重量検出器30に支持されている。重量装置30は支持部材31によって外部筐体1に支持されている。
【0042】
重量検出装置30は、歪みゲージを用いたロードセルである。つまり、第2ホッパ20の重量変化は、腕部材33及び支持部材32を経由してロードセルの他端にかかる。この重量変化によってロードセルに歪みが生じ、その歪みのよって重力変化、すなわち第2ホッパ20内の被計量物の重量を検出することができる。
【0043】
また、第2駆動装置25,26、第2関節部23,24、及び第2軸受部21A,21B,22A,22Bが第2ゲート軸41,42を駆動かつ支持する第2ゲート軸支持構造体を構成している。本実施形態では、第2ゲート軸支持構造体及び腕部材51,52が、重量検出器30から見て第2ホッパの本体29の左右の重量比が均等となるように配設されている。このような構成により、重量検出器30に加わるモーメント力を軽減することができるので、より精度の高い計量値をより迅速に取得することができる。
【0044】
ここで、外部筐体1内部に構成される防塵空間を説明する。
【0045】
外部筐体1の内部には複数の隔壁、すなわち第1隔壁60,一対の第2隔壁71,72、第3隔壁80が構成されている。
【0046】
まず、第1隔壁60は、第1軸受部12と第1ゲート部材16との間を仕切るように配設されている。本実施形態では、第1隔壁60は、垂直方向に伸びる平板状である。第1隔壁60の上端は外部筐体1の上面に接触し、その下端は外部筐体1の底面に接触し、その両側端は、外部筐体1の側壁に接触している。このような構成によって、外部筐体1と第1隔壁60とに囲まれて第1防塵空間Pが構成されていて、第1防塵空間Pに第1軸受部12、連結部13及び第1駆動装置15が収容されている。なお、図示しないが、第1隔壁60は、ネジ、止め金具などの公知の器具を用いて外部筐体1に固定されている。
【0047】
また、第1ゲート軸17Aは、第1隔壁60に形成された第1貫通孔61を第1隔壁60に接触せずに貫通している。このような構成によって、第1ホッパ10の第1軸受部12、連結部13及び第1駆動装置15が第1ホッパ10から隔離された第1防塵空間Pに配設される。また、第1隔壁60と第1ゲート軸17Aとの接触がないので摩耗粉の発生を防止することができる。
【0048】
また、本実施形態では、4本の支持部材33が第1隔壁60を貫通して、第1防塵空間Pに重量検出器30が配設されている。これによって、重量検出器30が配設される空間を第1防塵空間Pに統合することができるので、本発明の定量充填装置の構造を簡素化することができる。
【0049】
なお、4本の支持部材33は、第1隔壁60に形成された4つの第4貫通孔62を、それぞれ第1隔壁60に接触せずに貫通している。そして、第4貫通孔62周囲には、支持部材33との空隙を気密的に覆うようにダイヤフラム(diaphragm)状のカバー部材34が構成されている。カバー部材34によって、重量検出器30への被計量物の付着を防止することができる。また、カバー34は、薄いゴム部材で構成されているので、重量検出器30の検出精度に与える影響は極めて小さく、実用上支障を及ぼさない。
【0050】
次に、第2隔壁71,72は、第2軸受部21A,21B,22A,22Bと第2ゲート部材27,28との間を仕切るように配設されている。つまり、第2軸受部21A,22Aと第2ゲート部材27,28との間を仕切る第2隔壁71、及び第2軸受部21B,22Bと第2ゲート部材27,28との間を仕切る第2隔壁72が構成されている。本実施形態では、一対の第2隔壁71,72は、第2ゲート部材27,28を間にして相互に平行していて、それぞれは垂直方向に伸びる平板状である。また、第2隔壁71,72の上端は外部筐体1の上面に接触し、その下端は外部筐体1の底面に接触し、その側端は、一端が外部筐体1の側壁、具体的には、第2蓋部材4に接触し、他端が第1隔壁60に接触している。このような構成によって、外部筐体1と第2隔壁71と第1隔壁60とに囲まれて第2防塵空間Qが構成されていて、第2防塵空間Qに第2軸受部21A、22A、第2関節部23及び第2駆動装置25が収容されている。また、外部筐体1と第2隔壁72と第1隔壁60とに囲まれて第3防塵空間Rが構成されていて、第3防塵空間Rに第2軸受部21B,22B、第2関節部24及び第2駆動装置26が収容されている。なお、図示しないが、第2隔壁71,72は、ネジ、止め金具などの公知の器具を用いて外部筐体1に固定されている。
【0051】
また、第2ゲート軸41は、一端側が第2隔壁71に形成された第2貫通孔73Aを第2隔壁71に接触せずに貫通し(図4参照)、他端側が、第2隔壁72に形成された第2貫通孔73Bを第2隔壁72に接触せずに貫通している。つまり、第2ゲート軸41の端部は、第2防塵空間Q及び第3防塵空間Rのいずれかに位置している。
【0052】
同様にして、第2ゲート軸42は、一端側が第2隔壁71に形成された第2貫通孔74Aを第2隔壁71に接触せずに貫通し(図4参照)、他端側が、第2隔壁72に形成された第2貫通孔74Bを第2隔壁72に接触せずに貫通している。つまり、第2ゲート軸42の端部は、第2防塵空間Q及び第3防塵空間Rのいずれかに位置している。
【0053】
さらに、図4に示すように、腕部材51,52は、第2隔壁71,72に形成された第3貫通孔75,76を第2隔壁71,72に接触せずに貫通している。
【0054】
このような構成によって、第2ホッパ20の第2軸受部21A,21B,22A,22B、第2関節部23、24及び第2駆動装置25,26が第2ホッパ20から隔離された第2防塵空間Q及び第3防塵空間Rに配設される。また、第2隔壁71,72と第2ゲート軸41,42及び腕部材51,52との接触がないので摩耗粉の発生を防止することができる。さらに、第2ゲート軸41,42、及び腕部材51,52、第2軸受部21A,21B,22A,22B、第2関節部23、24及び第2駆動装置35,36は本体27を通じて重量検出器30に支持されるので、第2ホッパ20の重量変化を正確に計測することができる。
【0055】
図4に示すように、第2隔壁71は、上方から順に、上部部材(壁部材)71A、中部部材71B、下部部材71Cに分割して構成されている。第1ホッパ10の保守作業においては上部部材71Aを取り外せばよく、中部部材71B及び下部部材71Cを取り外す必要がない。
【0056】
また、中部部材71Bと下部部材71Cとの接合隙間によって、第2貫通孔73A,74A及び第3貫通孔75が形成されている。具体的には、中部部材71Bと下部部材71Cとの接合隙間が局部的に円形状に形成されて、第2貫通孔73A,74A及び第3貫通孔75が形成されている。図示しないが、他方の第2隔壁72も同様に構成されている。このような構成により、第2ゲート軸41,42及び腕部材51,52を装着状態のままで、第2隔壁71,72を脱着することができるので、定量充填装置の保守作業をより容易にすることができる。
【0057】
また、第2隔壁71には、通気部71Fが構成されている。通気部71Fは中部部材71Bに形成された貫通孔に細かな網目の網が張られている。これにより、第1ホッパ10及び第2ホッパ20の動作に伴う圧力変動を逃すことができる。
【0058】
次に、第3隔壁80は、第1軸受部11と第1ゲート部材16との間を仕切るように配設されている。本実施形態では、第3隔壁80は、第1ゲート部材16を間にして、第1隔壁60に平行して、外部筐体1の上面から垂直下方に延び、途中で外部筐体1の側壁側、具体的には第2蓋部材4側に屈折して、第2蓋部材4に接触するように構成されている。また、第3側壁80の両側端は、第2隔壁71,72に接触している。このような構成によって、外部筐体1と第3隔壁80と一対の第2隔壁71,72に囲まれて第4防塵空間Sが構成されていて、第4防塵空間Sに第1軸受部11が収容されている。なお、図示しないが、第3隔壁80は、ネジ、止め金具などの公知の器具を用いて外部筐体1に固定されている。
【0059】
また、第1ゲート軸17Bは、第3隔壁80に形成された第5貫通孔81を第3隔壁80に接触せずに貫通している。このような構成によって、第1ホッパ10の第1軸受部11が第1ホッパ10から隔離された第4防塵空間Sに配設される。また、第3隔壁80と第1ゲート軸17Bとの接触がないので摩耗粉の発生を防止することができる。
【0060】
ここで、本実施形態では、第1ゲート軸17A,17B及び第2ゲート軸41,42の動作は軸回転のみ可能なように構成されており、第1ゲート軸17A,17B及び第2ゲート軸41,42の変位が生じない。したがって、第1隔壁60に形成される第1貫通孔61,第2隔壁71、72に形成される第2貫通孔73A,73B,74A,74B、及び第3隔壁80に形成される第5貫通孔81をより小さくすることができるので、第1防塵空間P、第2防塵空間Q、第3防塵空間R及び第4防塵空間Sの防塵性能をより高めることができる。
【0061】
外部筐体1を構成する壁体のうち、第1防塵空間P、第2防塵空間Q、第3防塵空間R及び第4防塵空間Sを構成する側壁の一部が脱着可能に構成されている。すなわち、第1防塵空間Pを構成する側壁の一部には第1蓋部材3が脱着可能に構成されている。第2防塵空間Qを構成する側壁の一部には第2蓋部材4が脱着可能に構成されている。第3防塵空間Rを構成する側壁の一部には第3蓋部材5が脱着可能に構成されている。第4防塵空間Sを構成する側壁の一部には第4蓋部材6が脱着可能に構成されている。このような構成により、外部筐体1の壁面の一部を取り外せば、被計量物の流路に干渉することなく、容易に第1軸受部11,12、連結部13、第1駆動装置15、第2軸受部21A,21B,22A,22B、第2関節部23,24及び第2駆動装置25,26に接近できる。つまり、定量充填装置を動作させた状態で、これらに接近できるので、定量充填装置の動作状態を確認することができる。したがって、定量充填装置の保守作業をより機動的に行うことができる。
【0062】
なお、図示しないが、第1蓋部材3、第2蓋部材4、第3蓋部材5及び第4蓋部材6はネジ、止め金具などの公知の器具を用いて脱着可能に外部筐体1に接合されている。
【0063】
また、図示しないが、第2隔壁71、72に対向して位置する第2蓋部材4及び第3蓋部材5には、第2隔壁71、72の通気部71Fと同様の通気部が構成されている。
【0064】
ここで、本実施形態の定量充填装置の動作を説明する。
【0065】
被計量物は投入口2から投入されて、第1ホッパ10の本体19に貯留される。第1駆動装置15によって第1ゲート部材19が揺動されて、ほぼ所定量の被計量物が第2ホッパ20の本体29に供給される。第2ホッパ20内の被計量物の重量は重量検出器30によって検出される。第1ゲート部材19閉止後、第2駆動装置25,26によって第2ゲート部材27,28が揺動されて、被計量物が下方の容器(図示せず)に充填される。
[変形例1]
図5は、図3の隔壁構造の変形例を示す図である。
【0066】
図5に示すように、第1隔壁60の側端は、一端が第2隔壁71、他端が第2隔壁72に接触している。また、第2隔壁71は、第2防塵空間Qと第4防塵空間Sとを区画する部分が切り欠いていて、第2防塵空間Qと第4防塵空間Sとが繋がっている。同様に、第2隔壁72は、第3防塵空間Rと第4防塵空間Sとを区画する部分が切り欠いていて、第3防塵空間Rと第4防塵空間Sとが繋がっている。このような構成によって、第1防塵空間P、第2防塵空間Q、第3防塵区間R及び第4防塵空間Qを1つの防塵空間Tに統合して構成することができる。
【0067】
(第2実施形態)
本実施形態は、第1実施形態において、第1ホッパ10に第2ホッパ20と同様の構造のホッパを用いた実施形態である。
【0068】
図6は、本発明の第2実施形態の定量充填装置の内部構造を模式的に示す図である。図7は、図4と同様にして第2隔壁の設置状態を示す平面図である。図1では、説明の便宜のため、1対の第2隔壁71,72を省略して示す。
【0069】
図6及び図7において、図1及び図4と同一又は相当する部分には同一の符号を付してその説明を省略し、相違点のみを説明する。
【0070】
図6に示すように、本実施形態の第1計量ホッパ110は、第2ホッパ20と同様、本体119の底部に一対の第1ゲート部材127,178が配設されていて、一対の第1ゲート部材127,178はそれぞれ第1ゲート軸141,142の軸回転によって開閉駆動される。そして、第2防塵空間Qには第1ゲート軸141を駆動かつ支持する第1ゲート軸支持構造体が構成されており、第3防塵空間Rには第1ゲート軸142を駆動かつ支持する第1ゲート軸支持構造体が構成されている。したがって、第2防塵空間Q及び第3防塵空間Rの構造は同じであるので、以下、図5に示す第2防塵空間Q側の構造を説明し、第3防塵空間Rの構造の説明を省略する。
【0071】
第1ゲート軸支持構造体は、第1駆動装置125、第2関節部123、及び第1軸受部111A,112Aを有している。第1ゲート軸支持構造体は、腕部材151に装着されている。
【0072】
そして、図7に示すように、第2隔壁171は、上方から順に、上部部材(壁部材)171A、中部部材171B、下部部材171Cに分割して構成されている。中部部材171Bには、第1実施形態の通気部71Fと同様に、通気部171Fが構成されている。
【0073】
ここで、上部部材171Aと中部部材171Bとの接合隙間によって、第1貫通孔161A,162A及び第6貫通孔175が形成されている。そして、第1ゲート軸141,142は、第2隔壁171に形成された第1貫通孔161A、162Aを第2隔壁171に接触せずに貫通している。また、腕部材151は第2隔壁171に形成された第6貫通孔175を貫通している。腕部材151は、第2隔壁171に接合されていても良い。つまり、腕部材151は、第1ホッパ110の本体119に支持されている必要はなく、外部筐体1の上面などの壁体に接合されていても良い。
【0074】
このような構成によって、第1ホッパ110の第1軸受部111A,112A、第1関節部123及び第1駆動装置125が第1ホッパ110から隔離された第2防塵空間Qに配設される。また、第2隔壁171と第1ゲート軸141,142との接触がないので摩耗粉の発生を防止することができる。
【0075】
図示しないが、第3防塵空間R側の第2隔壁も同様に構成されている。
【0076】
以上のような構成により、本実施形態の定量充填装置においては、第1防塵空間Pには、重量検出器30のみが配設されるので、重量検出器30への被計量物の付着をより完全に防止することができる。
【0077】
また、第4防塵空間Sを省略することができるので、外部筐体1内部の隔壁構造を簡素化することができる。さらに、第1ホッパ110と第2ホッパ20との部品を共通化することができる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、第2ホッパ20を第1ホッパ10と同様の構造にして構成することもできる。この場合、第2ゲート軸の延伸方向を第1ゲート軸と同方向とし、第4防塵空間Sを下方まで延伸して構成することによって、第2ゲート軸の第2軸受部及び連結部、ならびに第2駆動装置を第1防塵空間P及び第4防塵空間Sに構成することができる。つまり、第2防塵空間Q及び第3防塵空間Rを省略することができるので、外部筐体1内部の隔壁構造をさらに簡素化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、ホッパの軸受部及び関節部の保守点検作業において摩耗粉の被計量物への混入を防止することができ、かつ被計量物の粉塵のホッパの軸受部及び関節部の内部への侵入をより確実に防止することができる定量充填装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1実施形態の定量充填装置の内部構造を模式的に示す図である。
【図2】図1のII−II線断面における定量充填装置下部の上面図である。
【図3】図1のIII−III線断面における定量充填装置上部の上面図である。
【図4】図2のIV−IV線断面における第2隔壁の設置状態を示す平面図である。
【図5】図3の隔壁構造の変形例を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態の定量充填装置の内部構造を模式的に示す図である。
【図7】図4と同様にして第2隔壁の設置状態を示す平面図である。
【図8】従来の定量充填装置の内部を模式的に示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0081】
1 外部筐体
2 投入口
3 第1蓋部材
4 第2蓋部材
5 第3蓋部材
6 第4蓋部材
10 第1ホッパ
11、12 第1軸受部
11A、12A 支持部材
13 連結部(関節部)
15 第1駆動装置
15A 支持部材
16 第1ゲート部材
17A、17B 第1ゲート軸
19 本体
20 第2ホッパ
21A、21B、22A、22B 第2軸受部
23、24 第2関節部
25、26 第2駆動装置
25A、26A 駆動軸
25B,26B 係留部材
27、28 第2ゲート部材
29 本体
30 重量検出器
31 支持部材
32 支持部材
33 腕部材
34 カバー部材
41、42 第2ゲート軸
41A,41B,42A,42B 固定部材
51、52 腕部材
60 第1隔壁
61 第1貫通孔
62 第4貫通孔
71、72 第2隔壁
71A 上部部材
71B 中部部材
71C 下部部材
71F 通気部
73A,73B、74A、74B 第2貫通孔
75、76 第3貫通孔
80 第3隔壁
81 第5貫通孔
110 第1ホッパ
111A、112A 第1軸受部
119 本体
123,124 第1関節部
125 第1駆動装置
127,128 第1ゲート部材
141,142 第1ゲート軸
151 腕部材
161A、162A 第1貫通孔
171 第2隔壁
171A 上部部材
171B 中部部材
171C 下部部材
171F 通気部
175 第6貫通孔
500 定量充填装置
501 外部筐体
502 投入口
510 第1ホッパ
511、512 第1軸受部
513 第1関節部
515 第1駆動装置
516 第1ゲート部材
520 第2ホッパ
521A、522A 第2軸受部
523,524 第2関節部
525、526 第2駆動装置
527,528 第2ゲート部材
530 重量検出器
P 第1防塵空間
Q 第2防塵空間
R 第3防塵空間
S 第4防塵空間
T 防塵空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に投入口が構成されている外部筐体と、
前記投入口の下方に固定され、かつその底部を開閉する第1ゲート部材を有する第1ホッパと、
前記第1ホッパの下方に配設され、かつその底部を開閉する第2ゲート部材を有する第2ホッパと、
前記第2ホッパを支持し、かつ前記第2ホッパの重量変化を検出する重量検出器と、を有する定量充填装置であって、
前記第1ゲート部材に固定されている第1ゲート軸と、
前記第1ホッパの底部を開閉するように前記第1ゲート軸を駆動かつ支持する第1ゲート軸支持構造体と、
前記第2ゲート部材に固定されている第2ゲート軸と、
前記第2ホッパの底部を開閉するように前記第2ゲート軸を駆動かつ支持する第2ゲート軸支持構造体と、
前記第2ホッパの本体に固定されている腕部材と、
前記外部筐体と前記第1ホッパ及び前記第2ホッパとの間の空間を区画して1以上の防塵空間を形成する隔壁と、をさらに有し、
前記第1ゲート軸は前記隔壁に形成された貫通孔を非接触状態で貫通し、前記第1ゲート軸支持構造体は前記防塵空間に構成され、
前記第2ゲート軸及び前記腕部材は前記隔壁に形成されたそれぞれの貫通孔を非接触状態で貫通し、前記第2ゲート軸支持構造体が前記腕部材に支持されて前記防塵空間に配設されている、定量充填装置。
【請求項2】
前記第1ゲート軸及び前記第2ゲート軸は、それぞれ軸回転によって前記第1ゲート部材及び前記第2ゲート部材を開閉する、請求項1に記載の定量充填装置。
【請求項3】
前記隔壁は、複数の壁部材に分割されていて、前記壁部材の接合隙間によって、前記貫通孔が形成されている、請求項1に記載の定量充填装置。
【請求項4】
前記重量検出器が前記防塵空間に配設されている、請求項1に記載の定量充填装置。
【請求項5】
前記外部筐体を構成する壁体のうち、前記防塵空間を構成する側壁の一部が脱着可能に構成されている、請求項1に記載の定量充填装置。
【請求項6】
前記第2ゲート軸支持構造体及び前記腕部材は、前記重量検出器から見て前記第2ホッパの本体の左右の重量比が均等となるように配設されている、請求項1に記載の定量充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−29497(P2009−29497A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197750(P2007−197750)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】