説明

実装方法及び実装品

【課題】接続端子間の幅が狭くても短絡を抑制できる実装方法及び実装品を提供する。
【解決手段】第1電子部品本体14及び電子部品本体の表面に突出して設けられた複数の第1接続端子12を有する電子部品10に対して、第1電子部品本体14における複数の第1接続端子12間の部分上に導電粒子122を配置することなく、これら複数の第1接続端子12の各先端部12a上に導電粒子122を選択的に配置する工程と、第1電子部品10の複数の第1接続端子12の各先端部12aと、第2電子部品の複数の接続端子とを、複数の第1接続端子12の各先端部12a上に配置された導電粒子122を用いて電気的に接続する工程と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装方法及び実装品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、特許文献1に開示されるように、基板やIC等の電子部品に設けられた複数の接続端子と、他の電子部品の複数の接続端子とを電気的に接続する実装方法として、種々のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−291164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子部品の高密度化に伴い、各電子部品の接続端子間の幅が今後一層狭くなることが予想される。接続端子間の幅が狭くなった場合、従来の方法、例えば、異方性導電シートを用いた方法では、短絡が発生する場合があることが判明した。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、接続端子間の間隔が狭くても短絡を抑制できる実装方法及び実装品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る実装方法は、
第1電子部品本体及び第1電子部品本体の表面に突出して設けられた複数の第1接続端子を有する電子部品に対して、第1電子部品本体における複数の第1接続端子間の部分上に導電粒子を配置することなく、これら複数の第1接続端子の各先端部上に導電粒子を選択的に配置する工程と、
第1電子部品の複数の第1接続端子の各先端部と、第2電子部品の複数の接続端子とを、複数の第1接続端子の各先端部上に配置された導電粒子を用いてそれぞれ電気的に接続する工程と、
を備える。
【0007】
本発明によれば、複数の第1接続端子の各先端部に選択的に導電粒子が配置され、第1電子部品本体における第1接続端子間の部分上に導電粒子が配置されないので、第1接続端子間や第2接続端子間の間隔が狭くなっても第1接続端子と第2接続端子との接続時の導電粒子による短絡が抑制できる。
【0008】
ここで、導電粒子を選択的に配置する工程では、各先端部を、導電粒子含有液を含浸した材料に接触させ、その後離間させることがこのましい。
【0009】
また、導電粒子を選択的に配置する工程では、各先端部を、容器内に形成された導電粒子含有液の液面に接触させ、その後離間させることも好ましい。
【0010】
また、導電粒子を選択的に配置する工程では、各先端部を、支持板及び支持板上に設けられた導電粒子含有粘着層を有するシートの導電粒子含有粘着層に接触させ、その後、前記シートから離間させることも好ましい。
【0011】
これらによれば、先端部上に選択的に導電粒子を配置することが容易である。
【0012】
本発明にかかる実装品は、第1電子部品本体及び第1電子部品本体の表面に突出して設けられた複数の第1接続端子を有する第1電子部品と、複数の第2接続端子を有する第2電子部品と、第1接続端子と第2接続端子との間にそれぞれ配置されて電気的接続を行なう導電粒子と、を備え、第1電子部品本体における複数の第1接続端子間の部分上には導電粒子が配置されていない実装品である。
【0013】
本実装品は、上述の方法により得られるものであり、短絡が少ないものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、接続端子間の間隔が狭くても短絡を抑制できる実装方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、第1実施形態に係る実装方法を示す概略図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係る実装方法を示す図1に続く概略図である。
【図3】図3は、第2実施形態に係る実装方法を示す概略図である。
【図4】図4は、第3実施形態に係る実装方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
図1を参照して、第1実施形態について説明する。
まず、図1(a)に示す第1電子部品10を用意する。第1電子部品10は特に限定されず、接続端子付基板、IC等が挙げられる。第1電子部品10は、第1電子部品本体14及び複数の第1接続端子12を有する。第1電子部品本体14は、例えば、基板であったり、ICチップを封止したものであったりすることができる。第1電子部品本体14の第1接続端子12が設けられる面(図1の上面)は、通常、樹脂や酸化物等の絶縁体により形成されている。
【0017】
第1接続端子12は、第1電子部品本体14から突出して形成されている。突出高さは特に限定されないが、例えば、0.1〜500μmとすることができる。また、第1接続端子12の幅も特に限定されないが、例えば、5〜100μmとすることができる。
【0018】
また、第1接続端子12間の距離は特に限定されないが、例えば、5〜100μmとすることができる。
【0019】
次に、インクパッド100を用意する。インクパッド100は、図1において、Z軸に垂直な断面の表面形状が凸面102aになっている台座102を有しており、その台座102の凸面102a上に、液体を含浸可能な含浸材料層104が設けられている。含浸材料としては、スポンジ、綿、発泡ウレタン等の多孔質材料、繊維状材料等が挙げられる。
【0020】
ここでは、台座102上の含浸材料層104の面積は、全ての接続端子12の先端部を覆うことができるように広くされている。
【0021】
含浸材料層104には、導電粒子122及び溶媒を含有する導電粒子含有液120が含浸されている。導電粒子122の材料は特に限定されず、例えば、Au,Ag,Cu等の半田等の金属や合金から形成された粒子や、無機材料の表面にNiやAu等の導電材料をコーティングした粒子等が挙げられる。導電粒子122の粒径は特に限定されないが、例えば、0.1〜50μmとすることが好ましい。
【0022】
溶媒は特に限定されず、水、トルエン等の有機溶媒等が挙げられる。
【0023】
溶媒には、添加剤として、粒子を安定に分散させるための分散剤(例えば、イオン性、非イオン性の界面活性剤等)、粒子を固定するための接着剤(例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等)等を含んでいてもよい。溶媒中の導電粒子の濃度は、配置したい粒子の量等に応じて適宜選択できる。
【0024】
そして、インクパッド100を、Z軸周りに図示左側(−X方向)に傾けて、含浸材料層104の−X側の端部を、最も−X側にある第1接続端子12の−X方向側の端部と接触させた後、図1の(b)(c)に順に示すように、インクパッド100を、Z軸周りに図示右側(+X方向)に傾斜させることにより、各第1接続端子12の先端部12aに対して、含浸材料層104を接触させ、その後離間させることをそれぞれ行い、図1(c)に示すように、各第1接続端子12の先端部12aに選択的に、導電粒子122を含有する導電粒子含有液120を塗布する。ここで、各先端部12aにおける導電粒子122の数は特に限定されず、1個でもよく、複数個でもよいが、複数個が好ましい。
【0025】
その後、図2(a)に示すように、導電粒子含有液120の溶媒を公知の乾燥法により除去する。なお、溶媒を除去しなくても実施は可能である。
【0026】
次に、接続の相手方となる第2電子部品30を用意する。第2電子部品30も、第1電子部品同様特に限定されず、ICや、接続端子付基板等が挙げられ、第2電子部品本体34、及び、複数の第2接続端子32を有する。複数の第2接続端子32の間隔は、第1電子部品10の第1接続端子12間の間隔と対応している。第2電子部品本体34の第2接続端子32は、図2では第2電子部品本体34から突出して設けられているが必ずしも突出していなくてもよい。このような第2電子部品30は、吸引ノズルSNで吸引して移動させることが好ましい。
【0027】
続いて、この第2電子部品30の複数の第2接続端子32と、第1電子部品10の複数の第1接続端子12とを電気的に接続させる。具体的には、図2(b)に示すように、第2接続端子32の先端部32aと第1接続端子12の先端部12aとを導電粒子122を介して電気的に接触させた後に、第1電子部品10と第2電子部品30との間に、例えば、熱硬化性、光硬化性等の接着性の樹脂70を供給し、硬化させることにより、電子部品10,30を固定すればよい。また、第2電子部品30の第2接続端子32を、第1電子部品10の第1接続端子12上の導電粒子122と接触させ、第2接続端子32、第1接続端子12、及び、導電粒子122を所定の高温雰囲気に晒すことにより、導電粒子122を一部又は全部溶融させて第2接続端子32と第1接続端子12とを電気的に接続させてもよい。
これにより、第1接続端子12と、第2接続端子32とを電気的に接続した実装品50が得られる。
【0028】
なお、本実施形態では、インクパッド100の台座102の表面が凸面102aであるが、平面でも実施可能である。また、上記実施形態では、インクパッド100の含浸材料層104の大きさは、一回の塗布操作で塗布作業を完了すべく、全ての第1接続端子12の先端部12aを覆うことができるように大きくされているが、含浸材料層104の大きさを一部の第1接続端子のみを覆うことができる大きさとし、一部の第1接続端子12に対してインクパッド100の接触及び離間を行なった後、インクパッド100をX方向又はZ方向に平行移動させて、他の第1接続端子12に対してインクパッド100の接触及び離間を繰り返してもよい。
【0029】
本実施形態によれば、第1電子部品10の表面に突出して設けられた複数の第1接続端子12の各先端部12aを、導電粒子含有液を含浸した含浸材料層104に接触させ、その後、この含浸材料層から離間させるので、第1電子部品本体14における第1接続端子12間の部分14a(図1(c)参照)上に導電粒子122を配置することなく、複数の第1接続端子12の各先端部12aに選択的に導電粒子122を配置することができる。これにより、第1接続端子12間や第2接続端子32間の間隔が狭くなっても、実装時にこれらの間が短絡することが抑制できる。
【0030】
なお、本実施形態では、含浸材料層104と接触させる前に予め、第1接続端子12の先端部12aに、導電粒子含有液120との濡れ性を高くするための表面処理を行なうことが好ましい。このような表面処理の手段としては、エキシマレーザや低圧UVランプの照射、エッチング処理等が挙げられる。
【0031】
(第2実施形態)
図3を参照して、第2実施形態について説明する。
【0032】
本実施形態では、第1実施形態との差異についてのみ説明する。本実施形態では、図3(a)に示すように、容器202内に、導電粒子122及び溶媒を含有する導電粒子含有液120を貯留し、導電粒子含有液120の液面120aを形成する。そして、吸引ノズル等の支持手段により支持された第1電子部品10の複数の第1接続端子12の各先端部12aを、図3(b)に示すように、導電粒子含有液120の液面120aと接触させ、その後、第1接続端子12の各先端部12aを液面120aから離間させることにより、第1接続端子12の先端部に選択的に、導電粒子122を含有する導電粒子含有液120を塗布する。この後の工程は、第1実施形態と同様である。
【0033】
本実施形態によれば、第1電子部品10の表面に突出して設けられた複数の第1接続端子12の各先端部を、容器202内に形成された導電粒子含有液120の液面120aに接触させ、その後、この液面120aから離間させるので、第1電子部品本体14における第1接続端子12間の部分14a(図3(c)参照)上に導電粒子122を配置することなく、複数の第1接続端子12の各先端部12a上に選択的に導電粒子122を配置することが容易である。これにより、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0034】
(第3実施形態)
図4を参照して、第3実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態との差異についてのみ説明する。本実施形態では、まず、図4(a)に示すように、インクパッド100に代えて、シート300を用意する。
【0035】
シート300は、支持板301と、支持板301上に設けられた導電粒子含有粘着層303と、を有する。
【0036】
支持板301は、導電粒子含有粘着層303を保持でき、導電粒子含有粘着層303の剥離が可能、すなわち、支持板301と導電粒子含有粘着層303との接着力が、第1電子部品10の第1接続端子12と導電粒子含有粘着層303との接着力よりも弱ければ、材質は特に限定されず、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)等が挙げられる。支持板301の表面に、粘着力を弱めるべく離型剤(例えば、フッ素系やシリコーン系の市販の離型剤)等による表面処理がされていてもよい。
【0037】
導電粒子含有粘着層303は、導電粒子122及び第1電子部品10の第1接続端子12の先端部と粘着可能な粘着剤を有する。導電粒子122は、第2実施形態と同様である。
【0038】
粘着剤としては、ゴム系、アクリル系、シリコーン系等の公知の種々の粘着剤が挙げられる。このような導電粒子含有粘着層303としては、いわゆる、異方性導電シートと呼ばれるものも利用できる。導電粒子含有粘着層303の厚みは特に限定されないが、1〜100μmであることが好ましい。
【0039】
そして、図4(b)に示すように、第1電子部品10の第1接続端子12の先端部12aを、シート300の導電粒子含有粘着層303と接触させて十分に押圧し、その後、図4(c)に示すように、第1接続端子12の先端部12aをシート300から離間させることにより、第1接続端子12の先端部12aに選択的に導電粒子含有粘着層303aを粘着させる。すなわち、導電粒子含有粘着層303の内先端部12aと接触しなかった部分は、支持板301上に残る。この後の工程は、第1実施形態と同様である。
【0040】
本実施形態によれば、第1電子部品10の表面に突出して設けられた複数の第1接続端子12の各先端部を、支持板301上に形成された導電粒子含有粘着層303に接触させ、その後、シート300から離間させるので、第1電子部品本体14における第1接続端子12間の部分14a(図4(c)参照)上に導電粒子122を配置することなく、複数の第1接続端子12の各先端部に選択的に導電粒子含有粘着層303を配置することが容易である。これにより、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0041】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、様々な変形態様が可能である。
例えば、第1接続端子12の各先端部12a上に導電粒子122を選択的に配置する方法は、上記に限定されず、例えば、インクジェット印刷機等によって行っても良い。
【0042】
また、上記実施形態では、第1接続端子12の先端部12aが平面だが、曲面等でも実施は可能である。
【0043】
また、電子部品としては、例えば、基板、IC、センサ等種々のものを含むことができる。
【符号の説明】
【0044】
10…第1電子部品、12…第1接続端子、12a…先端部、14…第1電子部品本体、14a…第1電子部品本体における第1接続端子間の部分、30…第2電子部品、32…第2接続端子、32a…先端部、50…実装品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電子部品本体及び前記第1電子部品本体の表面に突出して設けられた複数の第1接続端子を有する第1電子部品に対して、前記第1電子部品本体における前記複数の第1接続端子間の部分上に導電粒子を配置することなく、前記複数の第1接続端子の各先端部上に導電粒子を選択的に配置する工程と、
前記第1電子部品の複数の第1接続端子の各先端部と、第2電子部品の複数の第2接続端子とを、複数の前記第1接続端子の各先端部上に配置された導電粒子を用いてそれぞれ電気的に接続する工程と、
を備える実装方法。
【請求項2】
前記導電粒子を選択的に配置する工程では、前記各先端部を、導電粒子含有液を含浸した材料に接触させ、その後離間させる、請求項1記載の実装方法。
【請求項3】
前記導電粒子を選択的に配置する工程では、前記各先端部を、容器内に形成された導電粒子含有液の液面に接触させ、その後離間させる、請求項1記載の実装方法。
【請求項4】
前記導電粒子を選択的に配置する工程では、前記各先端部を、支持板及び前記支持板上に設けられた導電粒子含有粘着層を有するシートの前記導電粒子含有粘着層に接触させ、その後、前記シートから離間させる、請求項1記載の実装方法。
【請求項5】
第1電子部品本体及び前記第1電子部品本体の表面に突出して設けられた複数の第1接続端子を有する第1電子部品と、
複数の第2接続端子を有する第2電子部品と、
前記第1接続端子と前記第2接続端子との間にそれぞれ配置されて電気的接続を行なう導電粒子と、を備え、
前記第1電子部品本体における前記複数の第1接続端子間の部分上には導電粒子が配置されていない実装品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−82214(P2011−82214A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230805(P2009−230805)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(000214272)長瀬産業株式会社 (137)
【出願人】(392007566)ナトコ株式会社 (42)
【Fターム(参考)】