説明

実装用に半導体発光デバイスを前処理するための方法

【課題】半導体発光デバイスを実装するために前処理する方法を提供する。
【解決手段】発光デバイスは、サブマウントへの実装のための実装面を有する。本方法は、実装面以外の発光デバイスの少なくとも1つの表面を、その少なくとも1つの表面の表面エネルギーを低下させるように処理する段階を含み、これにより、発光デバイスが実装されるときに、実装面とサブマウントとの間に施工されるアンダーフィル材料が、少なくとも1つの表面を汚染しないようにされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に半導体発光デバイスに関し、より詳細には半導体発光デバイスを実装するための処理に関する。
【背景技術】
【0002】
発光デバイス(LED)などの半導体発光デバイスは、効率的な光源を提供し、白熱電球及び蛍光灯よりも堅牢である。LED技術及び加工処理の進歩によって、例えば商業用及び住居用照明用途における従来の光源の代替としてこうしたデバイスの使用が促進されてきた。
【0003】
LEDは、光出力を高め、及び/又はデバイスを保護することができる種々の材料を用いて封止することができる。こうした材料は、コンタクト間の電気絶縁、サブマウントへの熱伝達、機械的実装の信頼性、及び/又はデバイスからの光結合を向上させることができる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発光デバイスを封止するプロセスの改善に関する必要性が依然としてある。
【0005】
本発明の1つの態様によれば、半導体発光デバイスを実装するために前処理する方法が提供される。発光デバイスはサブマウントに実装するための実装面を有する。本方法は、実装面以外の発光デバイスの少なくとも1つの表面を処理して、少なくとも1つの表面の表面エネルギーを低下させるようにする段階を含み、これにより発光デバイスを実装したときに実装面とサブマウントとの間に施工されるアンダーフィル材料が、少なくとも1つの表面を汚染するのが抑制されるようにする。
【0006】
少なくとも1つの表面を処理する段階は、発光デバイスの少なくとも1つの側壁表面を処理する段階を含むことができる。
【0007】
少なくとも1つの表面を処理する段階は、発光デバイスの少なくとも1つの発光表面を処理する段階を含むことができる。
【0008】
発光デバイスは、1次発光表面及び少なくとも1つの2次発光表面を含むことができ、2次発光表面は1次発光表面よりも少ない光を放射するよう動作し、処理段階は2次発光表面を処理する段階を含むことができる。
【0009】
少なくとも1つの表面を処理する段階は、発光デバイスが上に形成される透明基板の側壁を処理する段階を含むことができる。
【0010】
処理段階は、発光デバイスの少なくとも1つの表面に処理材料を施工する段階を含むことができる。
【0011】
処理材料を施工する段階は、有機分子及び蒸発性溶媒を含む処理材料を施工する段階を含むことができる。
【0012】
処理材料を施工する段階は、フッ素系溶媒中にフッ化炭素を含有する処理材料を施工する段階を含むことができる。
【0013】
処理材料を施工する段階は、15重量%未満のフッ化炭素を含有する処理材料を施工する段階を含むことができる。
【0014】
処理材料を施工する段階は、液状処理材料中に少なくとも1つの表面を浸漬する段階と、少なくとも1つの表面上に処理材料をスプレーする段階と、少なくとも1つの表面に近接した液状処理材料のミストを発生させて、そのミストが少なくとも1つの表面を液状処理材料で被覆するように動作する段階とのうちの1つを含むことができる。
【0015】
浸漬段階は、少なくとも1つの表面に選択的に付着する成分を含有する液状処理材料中に少なくとも1つの表面を浸漬する段階を含むことができる。
【0016】
本方法は、サブマウントの少なくとも一部分の表面エネルギーを低下させるようにサブマウントを選択的に処理して、これにより発光デバイスを実装するときにアンダーフィル材料がサブマウントの一部分を汚染するのを阻止するようにする段階を含むことができる。
【0017】
サブマウントを選択的に処理する段階は、セラミック材料とシリコン材料のうちの1つを含むサブマウントを選択的に処理する段階を含むことができる。
【0018】
サブマウントを選択的を処理する段階は、処理材料をサブマウントに施工し、サブマウントの或る領域を電磁放射線に曝露して、領域上の処理材料の特性を変化させ、該変化によってサブマウントの選択的曝露領域とサブマウントの非領域範囲のうちの一方が低下した表面エネルギーを有するようにする段階を含むことができる。
【0019】
実装面は少なくとも1つの電極表面を含むことができ、本方法は、実装面がサブマウントから間隔を置いて配置されるようにその少なくとも1つの電極表面をサブマウント上の対応する導電性表面に接合する段階を含むことができる。
【0020】
本方法は、間隔を置いて配置した実装面とサブマウントとの間の間隙をアンダーフィルする段階を含むことができる。
【0021】
本発明の別の態様によれば、サブマウント上に半導体発光デバイスを実装するための方法が提供される。本方法は、複数の発光デバイスを含むウェーハを媒体上に接着実装する段階を含み、発光デバイスの各々に付随する実装面は当該媒体に接触している。本方法は、ウェーハを個々の発光デバイスにダイシングする段階を更に含み、個々の発光デバイスが媒体に接触したままであり、隣接して離間した露出表面を有する。本方法はまた、個々の発光デバイスの露出表面をその露出表面の表面エネルギーを低下させるように処理し、発光デバイスを媒体から取り除く段階を含む。本方法は更に、発光デバイスの実装面をサブマウントに接合し、実装面とサブマウントとの間の間隙をアンダーフィル材料でアンダーフィルする段階を含み、該アンダーフィル材料は発光表面の処理された露出表面を汚染しないようにされる。
【0022】
本方法は、処理段階の前に媒体を延伸して個々の発光デバイス間の間隔を拡大して処理を容易にする段階を更に含むことができる。
【0023】
ウェーハをダイシングする段階は、ダイシングブレードを使用してウェーハをダイシングする段階を含むことができ、ダイシングブレードは、露出表面の処理を容易にするためにダイシング後の露出表面が十分離間するほどの十分な幅を有する。
【0024】
実装面は、少なくとも1つの電極表面を含むことができ、接合段階は、電極表面とサブマウント上の対応する導電性表面との間に導電性接合材料を導入し、発光デバイスとサブマウントとを加熱して、導電性接合材料が少なくとも1つの電極表面をサブマウント上の対応する導電性表面に接合させるようにする段階を含むことができる。
【0025】
本方法は、アンダーフィル段階後に発光デバイスから処理材料を除去する段階を更に含むことができる。
【0026】
本発明の他の態様及び特徴は、添付図面を参照しながら本発明の特定の実施形態の以下の説明を吟味すれば当業者には明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
各図面は本発明の実施形態を例示している。
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態によるプロセスによって実装するように処理された半導体発光デバイスが全体的に10で示されている。発光デバイス10は、サブマウント12上に実装される。
【0028】
1つの実施形態において、発光デバイス10は基板層30を含み、その上にn型導電性の半導体材料層32がエピタキシャル成長する。発光デバイス10は更に、n型層32上にエピタキシャル成長した活性層34を含み、活性層34の上にエピタキシャル成長したp型導電性半導体材料層36を含む。
【0029】
発光デバイス10は更に、p型層36の外側表面上に形成された反射性p電極層38と、n型層32の上に形成されたn電極層40とを含む。電極38及び40は、反射性金属材料を用いて形成し、発光デバイスに電流を供給するため該発光デバイス10をサブマウント12に接続するのを容易にする。p電極38は実装面50を含み、n電極40は実装面48を含む。実装面38及び40は、デバイスを後で実装するのに役立つ。
【0030】
順方向バイアス電圧が発光デバイスに印加される(すなわちp電極38がn電極40よりも高い正電位にされる)と、順方向バイアス電流が、p型層36、活性層34、及びn型層32を通って流れ、活性層においてフォトンが発生する。活性層34で発生したフォトンは全方向に入射され、反射性p電極38上に入射するフォトンは反射して、p型層36、活性層34、及びn型層32を通って戻り、基板層30を通って1次発光表面42から光として放出される。活性層34からn型層32上に直接入射される他のフォトンは、n型層を通って基板層30を通過し、1次発光表面42から光として放出される。一般に、活性層34で発生する光の大部分は、矢印44で示される方向で1次発光表面42を通って放出されるようになる。しかしながら、光の一部の幾らかは、側壁表面46などの他の表面を通って放出される可能性がある。
【0031】
1つの実施形態において、サブマウント12は、セラミック材料などの電気絶縁材料を含み、更にサブマウントは、第1の電気コンタクト領域14及び第2の電気コンタクト領域16を有し、各々はサブマウントの外側表面上に形成され、絶縁間隙20により離隔されている。第1及び第2の電気コンタクト領域14及び16は、金などの金属材料をサブマウント12上に堆積させることにより形成され、サブマウント12への電気接続を容易にすることができる。
【0032】
発光デバイス10がフリップチップ実装技術を用いて実装されることになる実施形態においては、実装面48及び50はほぼ同一平面にある。フリップチップ実装は、発光デバイス10が基板(基板層30など)上に作製されて、次いでデバイスが反転されて、導電性材料のビーズ52(例えば金などの金属)を用いて実装面48及び50がサブマウント12に接合される実装技法である。接合段階は、デバイスを加熱して導電性材料ビーズ52を軟化させ、これによりビーズが実装面48及び50と電気コンタクト領域14及び16とを接合させる段階を伴う。或る実施形態においては、サーモソニック法が使用され、すなわちデバイスは加熱されながら超音波振動を受け、従って、導電性材料ビーズと、実装面48及び50並びにサブマウント12の電気コンタクト領域14及び16との間の接合が改善されるようになる。この接合プロセスはまた、電気コンタクト領域14及び16とn電極40及びp電極38とのそれぞれの電気的接続を形成する。
【0033】
実装面48及び50とサブマウント12との間の間隙54をアンダーフィル材料56を用いてアンダーフィルすることは、発光デバイス10のような半導体デバイスを実装する際の一般的な手法である。アンダーフィル材料56は、弱い内部接合又は凝集接合を有し、従って、他の表面、特に高い表面エネルギーを有する表面を濡らす傾向が強いエポキシなどの材料とすることができる。発光ダイオードの実装面48及び50並びに側壁表面46は、アンダーフィル材料と比べて一般的に高い表面エネルギーを有し、これによりアンダーフィルは、毛細管引力により助けられて間隙54内にウィッキングを生じる。次いでアンダーフィル材料の硬化が許容され、このようにして、デバイスの機械的及び構造的完全性が強化される。アンダーフィル材料は、発光デバイス10とサブマウント12との間の熱伝導を高め、或いは硬化したアンダーフィルが一定の屈折率を有するようにする添加剤を含むことができる。アンダーフィル材料はまた、アンダーフィル材料56の熱膨張係数と、電気コンタクト領域14及び16並びにn電極40及びp電極38との間のそれぞれの整合性を良好にし、動作中の機械的応力を最小にする添加剤を含むことができる。
【0034】
残念ながら、表面46を濡らすアンダーフィル材料56の傾向はまた、発光デバイス10の側壁表面46のウィッキングをも引き起こし、従ってこれらの表面が汚染される傾向もある。この汚染は、発光デバイス10のパッケージングに関連する別のプロセスに影響を及ぼす可能性がある。例えば、発光ダイオードをパッケージングする段階は、封止材料58内に発光デバイス10を封止する段階を任意選択的に含むことができる。封止材料は、発光デバイスを保護し、屈折率を整合させ、及び/又は半導体材料層内への汚染物の侵入を防止するのに使用される。
【0035】
しかしながら、発光デバイス10の側壁46上のアンダーフィル材料56の存在は、アンダーフィル材料との不相溶性に起因した封止材料58の接着不良を生じる可能性がある。更にまた、アンダーフィル材料56による表面46の汚染はまた、発光デバイス10の側壁に沿った応力集中を生じさせる可能性があり、これにより実装された発光デバイス10の動作中に場合によっては故障が生じる可能性がある。封止材料58は、発光デバイス10によって放出される光による放射下での劣化に対して耐性があるように特別に選択することができる。しかしながら、一般的に使用されるアンダーフィル材料は、光による分解に耐性がない場合があり、劣化してデバイスの早期故障を生じる可能性がある。
【0036】
一般に、本発明の1つの態様によれば、サブマウント12への実装を目的として半導体発光デバイス10を前処理するプロセスは、実装面48又は50以外の発光デバイス10の少なくとも1つの表面を処理して、該少なくとも1つの表面の表面エネルギーを低下させる段階を含む。発光デバイス10を実装する際、その少なくとも1つの表面の表面エネルギーが低下していることによって、実装面48及び50とサブマウント12との間に施工されるアンダーフィル材料56がその少なくとも1つの表面を汚染するのが抑制される。
【0037】
図1に示す実施形態において、実装面48及び50に近接する表面46の少なくとも一部は、これらの表面の表面エネルギーを低下させるように処理される。その表面エネルギーの低下により、アンダーフィル材料56が表面46を濡らすのが抑制され、従って、アンダーフィル材料56は発光デバイス10の側壁をウィッキングせず、表面エネルギーの高いサブマウント表面に沿って従う傾向になる。アンダーフィル材料56が表面42上をウィッキングすることができる可能性は低く、従って、この表面はこうした処理を必要としない可能性があるので、或る実施形態においては、表面46及び表面42の両方を同時に処理する場合に、当該処理プロセスを好都合に実施することができる。
【0038】
プロセス
表面46の表面エネルギーを低下させる処理プロセスを図2及び図3を参照してより詳細に説明する。図3Aを参照すると、全体として、複数の発光デバイス10が半導体ウェーハ100上に同時に作製されている(ウェーハ100は2つの発光デバイス10を示しているが、実際には、ウェーハは一般に複数のデバイス10を含むことになる)。
【0039】
図2及び図3Aを参照すると、半導体ウェーハ100上の複数の半導体デバイス10を処理するためのプロセスが全体的に120で示されている。122で示されるように、本方法は、ウェーハ100を媒体102上に接着剤で実装することから始まる。1つの実施形態において、媒体102はポリ塩化ビニル(PVC)接着テープなどの半導体処理テープである。ウェーハ100は、実装面48及び50が媒体と接触しこれに接着されるように実装される。
【0040】
プロセス120は、124で、図3Bに示される個々の発光デバイス10へのウェーハ100のダイシングに続く。ダイシングの間、個々の発光デバイス10は媒体102に接触したままであり、個々のデバイス10がウェーハをダイシングするのに使用されるダイシングブレード104の切り溝幅wだけ互いから完全に分離されるようにダイシングされる。しかしながら、ダイシング深さは、ブレード104によって媒体102が切り込まれないように慎重に制御される。従って、ダイシング後、複数の個々のデバイス10は、実質的に損傷のないままの媒体102上に残される。この段階では、ダイシングされたウェーハ100は、欠陥を外観検査することができる。このダイシングによって発光デバイス10の側壁表面46が露出される。
【0041】
126で示されるように、プロセス120は、表面46の表面エネルギーを低下させる表面42及び46の処理に続く。この実施形態においては、処理は、フッ素系溶媒などの溶媒中に溶解したフッ化炭素などの有機分子を含有する液状処理材料を用いて、側壁表面46及び1次発光表面42の両方を含む、発光デバイス10の全ての露出表面の非選択的処理を含む。1つの実施形態において、処理材料は、フッ素系溶媒中最大15重量%のフッ化炭素ポリマーを含む。こうした処理材料の1つの実施例は、マサチューセッツ州Fairhaven所在のNye Companyによって供給されるNyeBar(登録商標)である。NyeBar(登録商標)は、フッ素系溶媒中に0.1%から2%濃度のフッ化炭化水素を含む。
【0042】
実装面48及び50は、媒体102によって処理から保護される。1つの実施形態において、発光デバイス10の表面42及び46の処理の前に媒体102を延伸することにより、個々の発光デバイス10間の間隔を拡大して表面46の露出を高め、従ってこの処理が容易になる。媒体の延伸は、2つの直交方向での媒体の延伸の制御された量を提供する冶具を用いて行うことができる。
【0043】
図3Cを参照すると、表面42及び46は、ウェーハ100をNyeBarのような液状処理材料中に浸漬することによって処理され、このようにして表面上に膜が形成される。次いでフッ素系溶媒を蒸発させ、表面42及び46上にフッ化炭素ポリマー処理材料膜106を残す。処理材料膜106は、表面42及び表面46の表面エネルギーを低下させ、従って、後続のアンダーフィルプロセスにおけるこれらの表面の濡れが抑制される。或いは、他の実施形態においては、液体ベースの処理材料を処理されることになる表面上に噴霧又はスプレーしてもよい。
【0044】
本発明の別の実施形態において、処理材料は、特定の表面に選択的に付着し他の表面には付着しない官能基を有する有機分子を含むことができる。例えば、処理材料は、その材料が、通常金属層である電極層38に対して付着性が良好であるが、層30から36に対しては接着性が不十分であるか、或いは顕著に接着性が無いように選択することができる。1つの実施形態において、処理材料は、電極38及び40用の好ましい材料のうちの1つである金に選択的に付着するアルカンチオールである。従って、ウェーハ100をアルカンチオール処理材料中に浸漬することで、電極が金を含む場合に電極38及び40の側壁表面だけが選択的に被覆される。実装面48及び50は、媒体102によって処理材料に対しての露出から保護されているので、これらの表面は処理材料によって影響を受けない。後続のアンダーフィルプロセスにおいて、電極38及び40の側壁の表面エネルギーが低いことにより、アンダーフィル材料56の側壁46のウィッキングに対する障壁が提供される。
【0045】
図2に戻ると、128で示されるように、処理の後、発光デバイス10は媒体から取り外すことができ、或いは該媒体から第2の媒体に移すことができる。図3Dを参照すると、この移動は、発光デバイス10の一次発光表面42上の材料膜106に第2の媒体108を接着実装する段階を含む。図3Eを参照すると、次に、媒体102が実装面48及び50から取り外され、複数の発光デバイス10を第2の媒体108に付着させて残す。第2の媒体108への発光デバイス10の移動は、サブマウント12への発光デバイスの別の接合のための実装面48及び50へのアクセスを可能とする。
【0046】
130に示されるように、プロセス120は、それぞれのサブマウント12への発光デバイス10の接合に続く。この実施形態においては、発光デバイス10は、前述のようなフリップチップ実装用に構成されている。フリップチップ実装プロセスは、図1に示されるように、実装面48及び50とサブマウント12との間に間隙54を通常残す。
【0047】
132に示されるように、次いでプロセス120は、アンダーフィル材料56を用いた間隙54(図1に示される)のアンダーフィルに続く。アンダーフィル材料56は、一般に、有機樹脂ポリマーであり、これは実装面48及び50とサブマウント12との間に分配されて、毛細管引力によって間隙54内にウィッキングされる。図1に示されるように、表面46の処理に起因して、アンダーフィル材料56は発光デバイス10の側部にウィッキングされるのが阻止され、アンダーフィル材料は実装面48及び50とサブマウント12の上面とに主に接着する。
【0048】
134で示されるように、アンダーフィル後、処理材料膜106は、表面42及び46から任意選択的に除去し、実装された発光デバイス10の別の加工を容易にすることができる。処理材料の除去は、発光デバイス10を保護するために屈折率整合又は他の材料を用いて該デバイスを封止することを望む場合には重要となる可能性がある。1つの実施形態において、第2の媒体108は、個々の発光デバイス10が第2の媒体から取り除かれるときに表面42から処理材料の大部分又は全てを除去するように機能する接着剤を含む。他の実施形態においては、除去は、発光デバイス10を溶媒中に浸漬又は洗浄して、表面42及び46から処理材料を溶解し除去するなどの追加の処理段階を伴う。
【0049】
サブマウントを処理するためのプロセス
本発明の1つの実施形態において、図1に示されるサブマウント12は、サブマウントの少なくとも一部の表面エネルギーを低下させるよう選択的に処理することができる。サブマウント12上に発光デバイス10を実装する場合、発光デバイスとサブマウントとの間に施工されるアンダーフィル材料がサブマウントの処理部分を汚染するのを抑制するようにする。
【0050】
サブマウント12を処理するためのプロセスを図4Aから図4Eを参照して説明する。図4Aを参照すると、第1及び第2の電気コンタクト領域14及び16を含むサブマウント12が示されている。図4Bを参照すると、プロセスは、サブマウント12の第1及び第2の電気コンタクト領域14及び16の上に処理材料140を施工することによって始まる。図示の実施形態においては、処理材料140は、サブマウント12を被覆するスプレー144を発生させるスプレーデバイス142を用いて液状で施工される。スプレーデバイス142は、サブマウント12の表面上で並進するよう動作し、これにより処理材料140でサブマウント12を覆う。
【0051】
図4Cを参照すると、処理材料がサブマウント12上の所定位置に乾燥すると、サブマウントの一部分が、放射線源148によって生成された紫外(UV)放射線ビーム146に曝露される。放射線源148は、UVレーザ或いは他のUV線源とすることができる、この実施形態においては放射線源はモジュレータ(図示せず)を含み、該モジュレータは、放射線源が並進する間にUVビーム146を選択的に作動させ、処理材料140の一部分を所望のパターンに従ってサブマウント12の表面から除去し、或いは他の方法で剥離されるようにする。
【0052】
図4Dは、処理材料140の一部分が除去された後のサブマウント12を示す。この場合においては、処理材料部分150及び152は、サブマウント12の外側周辺に残存し、領域154内の処理材料は、アブレーションによって除去されている。
【0053】
図4Eを参照すると、図2及び図3に関連して上述されたプロセスに従って、サブマウント12上に発光デバイス10を実装後、アンダーフィル材料56が発光デバイス10とサブマウント12との間に施工される。処理材料部分150及び152は、処理材料がサブマウント12の縁部を過ぎて流れるのを阻止する。アンダーフィル材料56が施工されると、処理材料部分150及び152は、上述のように施工される溶媒中に溶解することによって除去することができる。
【0054】
サブマウント12は、セラミック基板又はシリコン基板を含むことができ、上述のプロセスに従って処理されるときに、アンダーフィル材料56がサブマウント12の側部を越えて流れ表面を汚染するのを阻止する。
【0055】
他の実施形態において、UV波長以外の波長の放射線に対して感受性のある処理材料を使用することができ、他の放射線源を用いて曝露することができる。他の実施形態は、処理材料を覆うフィルムマスクを適用してサブマウント12にUV又は他の波長のエリア放射を受けさせるようなパターン形成技術を利用することができ、これによってサブマウント12の一部分の処理材料の特性を選択的に変化させることで、サブマウントの一部分の表面エネルギーを低下させるようにする。
【0056】
本発明の特定の実施形態を説明し例示してきたが、このような実施形態は、本発明の例証に過ぎず、添付の請求項に従って解釈される本発明を限定するものと考えるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施形態に従って処理された発光デバイスの概略断面図である。
【図2】図1に示された発光デバイスの加工処理を示すプロセスフローチャートである。
【図3A】図2に示されたプロセスによる発光デバイスの加工処理を示す一連の概略断面図である。
【図3B】図2に示されたプロセスによる発光デバイスの加工処理を示す一連の概略断面図である。
【図3C】図2に示されたプロセスによる発光デバイスの加工処理を示す一連の概略断面図である。
【図3D】図2に示されたプロセスによる発光デバイスの加工処理を示す一連の概略断面図である。
【図3E】図2に示されたプロセスによる発光デバイスの加工処理を示す一連の概略断面図である。
【図4A】本発明の別の実施形態による発光デバイスを実装するための基板の加工処理を示す一連の概略断面図である。
【図4B】本発明の別の実施形態による発光デバイスを実装するための基板の加工処理を示す一連の概略断面図である。
【図4C】本発明の別の実施形態による発光デバイスを実装するための基板の加工処理を示す一連の概略断面図である。
【図4D】本発明の別の実施形態による発光デバイスを実装するための基板の加工処理を示す一連の概略断面図である。
【図4E】本発明の別の実施形態による発光デバイスを実装するための基板の加工処理を示す一連の概略断面図である。
【符号の説明】
【0058】
10 発光デバイス
12 サブマウント
14 第1の電気コンタクト領域
16 第1の電池コンタクト領域
30 基板層
32 n型層
34 活性層
36 p型層
38 p電極
40 n電極
42 1次発光表面
46 側壁表面
52 導電性材料ビーズ
54 間隔
56 アンダーフィル材料
58 封止材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サブマウントに実装する実装面を備えた半導体発光デバイスを実装するために前処理する方法であって、前記方法が、
前記実装面以外の前記発光デバイスの少なくとも1つの表面を処理して、前記少なくとも1つの表面の表面エネルギーを低下させる段階、
を含み、これにより前記発光デバイスを実装したときに、前記実装面と前記サブマウントとの間に施工されるアンダーフィル材料が、前記少なくとも1つの表面を汚染するのが抑制されるようにする方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの表面を処理する段階が、前記発光デバイスの少なくとも1つの側壁表面を処理する段階を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの表面を処理する段階が、前記発光デバイスの少なくとも1つの発光表面を処理する段階を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記発光デバイスが、1次発光表面及び少なくとも1つの2次発光表面を備え、前記2次発光表面が前記1次発光表面よりも少ない光を放出するよう動作し、前記処理段階が、前記少なくとも1つの2次発光表面を処理する段階を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの表面を処理する段階が、前記発光デバイスが上に形成される透明基板の側壁を処理する段階を含む請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記処理段階が、前記発光デバイスの前記少なくとも1つの表面に処理材料を施工する段階を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記処理材料を施工する段階が、有機分子及び蒸発性溶媒を含む処理材料を施工する段階を含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記処理材料を施工する段階が、フッ素系溶媒中にフッ化炭素を含む処理材料を施工する段階を含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記処理材料を施工する段階が、15重量%未満のフッ化炭素を含む処理材料を施工する段階を含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記処理材料を施工する段階が、
前記少なくとも1つの表面を液状処理材料中に浸漬する段階と、
前記少なくとも1つの表面上に前記処理材料をスプレーする段階と、
前記少なくとも1つの表面に近接した液状処理材料のミストを発生させて、該ミストが前記少なくとも1つの表面を前記液状処理材料で被覆するよう動作する段階と、
の1つを含む請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記浸漬段階が、前記少なくとも1つの表面に選択的に付着する成分を含む液状処理材料中に前記少なくとも1つの表面を浸漬する段階を含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記サブマウントの少なくとも一部分の表面エネルギーを低下させるように前記サブマウントを選択的に処理して、これにより前記発光デバイスを実装する際に前記アンダーフィル材料が前記サブマウントの一部分を汚染するのを阻止するようにする段階を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記サブマウントを選択的に処理する段階が、セラミック材料とシリコン材料とのうちの1つを含むサブマウントを選択的に処理する段階を含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記サブマウントを選択的に処理する段階が、
前記サブマウントに処理材料を施工する段階と、
前記サブマウントの領域を電磁放射線に曝露して、前記領域上の前記処理材料の特性を変化させ、該変化によって、前記サブマウントの選択的曝露領域と前記サブマウントの非曝露領域のうちの一方が表面エネルギーが低下するようにする段階と、
を含む請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記実装面が少なくとも1つの電極表面を含み、
前記実装面が前記サブマウントから間隔を置いて配置されるように、前記少なくとも1つの電極表面を前記サブマウント上の対応する導電性表面に接合する段階を更に含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記間隔を置いて配置された実装面と前記サブマウントとの間の間隙をアンダーフィルする段階を更に含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
半導体発光デバイスをサブマウント上に実装する方法であって、
複数の発光デバイスを含むウェーハを媒体上に接着実装し、前記発光デバイスの各々に付随する実装面が前記媒体に接触しているようにする段階と、
前記ウェーハを個々の発光デバイスにダイシングして、該個々の発光デバイスが前記媒体に接触したまま隣接して離間した露出表面を有するようにする段階と、
前記個々の発光デバイスの前記露出表面を該露出表面の表面エネルギーを低下させるように処理する段階と、
前記発光デバイスを前記媒体から取り除く段階と、
前記発光デバイスの実装面を前記サブマウントに接合する段階と、
前記実装面と前記サブマウントとの間の間隙をアンダーフィル材料でアンダーフィルし、該アンダーフィル材料が発光面の前記処理された露出表面を汚染するのが抑制されるようにする段階と、
を含む方法。
【請求項18】
前記処理段階の前に前記媒体を延伸して、前記個々の発光デバイス間の間隔を拡大して前記処理をより容易にする段階を更に含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ウェーハのダイシング段階が、ダイシングブレードを用いてウェーハをダイシングする段階を含み、
前記ダイシングブレードは、前記露出表面の前記処理を容易にするために前記ダイシングの後に前記露出表面が十分離間させるほどの十分な幅を有することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記実装面が少なくとも1つの電極表面を備え、前記接合段階が、前記電極表面と前記サブマウント上の対応する導電性表面との間に導電性接合材料を導入し、前記発光デバイスと前記サブマウントとを加熱して、前記導電性接合材料が前記少なくとも1つの電極表面を前記サブマウント上の前記対応する導電性表面に接合させるようにする段階を含む請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記アンダーフィル段階の後に前記発光デバイスから前記処理材料を除去する段階を更に含む請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【公開番号】特開2008−288539(P2008−288539A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−155746(P2007−155746)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(500507009)フィリップス ルミレッズ ライティング カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー (197)
【Fターム(参考)】