説明

容器内の液体を加熱するためのデバイス

本発明は、容器2内の液体、特に哺乳瓶内のミルクを加熱するための加熱デバイス1,40,60を提供し、当該加熱デバイスは、液体に熱を伝達するための熱伝達面5,41を有し、当該加熱デバイスは、使用時に、液体に熱を伝達するために熱伝達面が液体に接触するように、容器との関連をもたらすように構成される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内の液体を加熱するための加熱デバイスに関し、詳細には、排他的ではないが、哺乳瓶内のミルクを加熱するための加熱デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば母乳又は予め調製された調製ミルクのいずれかであり得る赤ちゃん用ミルクは、一般に、冷蔵庫で保存され、赤ちゃんに供給するために、約5℃の比較的冷たい保存温度から体温、およそ37℃に加熱される。赤ちゃん用ミルクを加熱する一の方法は、電子レンジを用いることである。しかしながら、これは、電子レンジの加熱が、ミルク中の重要な栄養素の破壊をもたらすような、ミルクのボリューム内のホットスポットを生じさせ得るので、一般的に望ましくない。これは、母乳の場合に特に当てはまる。
【0003】
米国特許第6,427,863号明細書は、ボトル壁を介してミルクを加熱するために哺乳瓶が断熱カップ内の温水内に配置される哺乳瓶加温器について述べている。この加熱方法は、電子レンジの使用を回避するが、ミルクへの熱の伝達の有効性に関する他の欠点をもつ。ボトル壁は、一般に、約1mmの厚さであり、あまり熱を伝えないポリカーボネートで作られる。更に、水が熱伝達媒体として用いられるときには、水が加熱される必要があり、これは、ミルクを加熱するために必要とされる時間及びエネルギに加えられる。例えば、加熱された水槽を用いたミルクを加熱する方法を用いると、家において9oz(250ml)を5℃から37℃に加熱するために約4分30秒かかる場合がある。旅行に関連した状況において、輸送可能なもののサイズ及び電源へのアクセスが制限される場合には、これは、ミルクのボトルを要求温度に加熱するのに非常に時間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それ故、容器内の液体を加熱するための改良されたデバイス、詳細には、便利で比較的迅速な態様でミルクを加熱するためのより効果的な哺乳瓶加温器が有利であるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、容器内の液体を加熱するための加熱デバイスであって、当該加熱デバイスは、液体に熱を伝達するための熱伝達面を有し、当該加熱デバイスは、使用時に、液体に熱を伝達するために前記熱伝達面が液体に接触するように、前記容器との関連をもたらすように構成される、加熱デバイスが提供される。熱伝達面と加熱されるべき液体との間に直接接触をもたらすことにより、加熱デバイスから液体への熱伝達の効率が向上される。
【0006】
熱伝達面は、容器との関連をもたらすときには、実質的に容器の開口部に渡って延在するように構成され得る。加熱デバイスは、更に、容器の開口部を封止するように構成されてもよい。開口部を封止することにより、加熱の間の液体の漏出が回避され得る。加えて、封止の結果として、開口部が容器の主ボリュームの下にあり、それ故に液体が加熱デバイスの上に直接的に配置されるように、容器を設けることが可能である。これは、加熱プロセスの間における液体内の伝達を向上させ、容器が満杯ではないときであっても液体が加熱デバイスと接触することを保証する。
【0007】
容器は、容器の開口部に渡って乳首と接続するための結合装置をもつ哺乳瓶を有し、加熱デバイスは、熱伝達面を容器と関連させるために、結合装置を用いて容器に結合されるように構成される。従って、ボトル上の単一の結合装置は、乳首及び加熱デバイスの双方を容器に結合するために必要とされる。
【0008】
加熱デバイスは、熱伝達面を容器と関連させるために、加熱デバイスを容器に結合させるための結合装置を更に有してもよい。
【0009】
熱伝達面は、プラスチック、セラミック、ガラス及び実質的に非腐食性の金属から選択された材料により形成され得る。
【0010】
加熱デバイスは、正温度係数をもつ材料を有する加熱要素を更に有し得る。
【0011】
加熱デバイスは、電磁誘導により加熱されるように構成され得る。加熱要素は、液体の温度を検出するための温度センサを更に有し得る。
【0012】
加熱デバイスは、温度センサからの出力に従って液体に伝達される熱を制御するためのコントローラを更に有し得る。従って、温度が予め決められたレベル(例えば37℃)に達したときに加熱デバイスに対する電力を減少させるか又はオフに切り替えることにより、エネルギが節約され得る。また、加熱デバイス及び/又は液体の過熱も回避され得る。
【0013】
加熱デバイスは、加熱デバイスの方向を検出するためのセンサを有し得る。
【0014】
加熱デバイスは、方向センサからの出力に従って液体に転送された熱を制御するためのコントローラを更に有し得る。方向センサは、例えば、液体が熱伝達面と接触するように容器が方向付けられたかどうかを決定し、容器の方向が、液体が加熱伝達面と接触しないようになるときには、加熱デバイスに対する電力を減少させるか又はオフに切り替えるために用いられ得る。
【0015】
本発明によれば、液体と本発明の加熱デバイスとを保持するための空洞を有する、液体を加熱するための容器が提供される。
【0016】
容器は哺乳瓶を有し、容器は前記容器に結合されるように構成された、赤ちゃんにミルクを供給するための乳首を更に有する。乳首は、例えば、液体が加熱されると加熱デバイスの代わりに容器に結合され得る。斯様な構成は、赤ちゃんが乳首からミルクを供給されるときに、加熱デバイスが赤ちゃんと接近するのを阻止する。
【0017】
本発明によれば、容器内の液体を加熱するための加熱システムであって、本発明の加熱デバイスと、加熱デバイスに電力を供給するためのベースユニットとを有する、加熱システムが提供される。
【0018】
ベースユニットは、更に、使用時に加熱デバイスが容器内の液体を下から加熱するように設けられるように、加熱デバイスを支持するように設けられ得る。
【0019】
ベースユニットは、加熱デバイスに電力を供給するために磁界を生成するように構成され得る。
【0020】
ベースユニットは、バッテリ、再充電可能バッテリパック、主電源及びカーバッテリから選択された少なくとも1つの供給源から加熱デバイスに電力を供給するように構成され得る。
【0021】
加熱システムは、タイマを有し得る。
【0022】
ベースユニットは、更に、加熱デバイスの温度センサからの出力に従って加熱デバイスに対する電力を制御するように構成され得る。
【0023】
ベースユニットは、更に、加熱デバイスの方向センサからの出力に従って加熱デバイスに対する電力を制御するように構成され得る。
【0024】
本発明の実施形態は、添付図面を参照して、例示の目的で説明されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態の加熱デバイス、容器及び結合デバイスを示す。
【図2】図1の加熱デバイスを示す。
【図3】本発明の他の実施形態の加熱デバイスを示す。
【図4】図3の加熱デバイスを用いた、本発明の一実施形態の液体を加熱するためのシステムを示す。
【図5】本発明の他の実施形態の加熱デバイスを示す。
【図6】図5の加熱デバイスの電気的構成を概略的に示す。
【図7】本発明の他の実施形態の加熱デバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、液体を保持するのに適した容器2での使用のために設けられた、本発明の一実施形態の加熱デバイス1を示している。本例において、容器2は、加温されるべきミルクを保持するための哺乳瓶であり、後に赤ちゃんにミルクが供給される。しかしながら、容器2は、代わりに、他の目的のため及び/又は他の液体を保持するために設けられてもよい。容器2は、空洞3及び開口部4をもつ。加熱デバイス1は、概ねディスク形状であり、成型プラスチックで形成される。加熱デバイスは、第1の面5及び第2の面6並びに内部加熱要素(図2)をもつ。また、結合デバイス7及び乳首8が図1に示される。
【0027】
使用の間、熱を液体に直接伝達させるよう容器2の空洞3内の液体に接触させるために加熱デバイス1の第1の面5が設けられる。結合デバイス7は、加熱デバイス1の第1の面5が開口部4に渡って延在し、開口部4を実質的に封止するように、容器2の開口部4に向かって加熱デバイス1を付勢するための力を供給するように構成される。
【0028】
容器2は、概して、第1の端部で閉鎖され、口端部とも呼ばれる第2の端部10で口とも呼ばれる開口部4をもつ長尺ポリカーボネート筒として形成される。開口部4は、外側ネジ12をもつ中空シリンダとして形成された容器2の首部11により規定され、首部11は、容器2よりも小さな直径をもち、容器2から同軸上に延在し、円形ネックリム13において終端する。
【0029】
結合デバイス7は、本例においては、プラスチックで形成され、概して、各端部に第1の開口部14及び第2の開口部15と第1の開口部14の円周縁から内側に延在するリップ16とを伴う中空円柱形状をもつ。内側ネジ17は結合デバイス7内に設けられる。
【0030】
結合デバイス7は、加熱デバイス1及び乳首8のそれぞれを個別に容器2に結合するように構成され、加熱デバイス1及び乳首8は、容器2内の液体が加熱デバイス1を用いて加熱されるべきであるか又は乳首8を介して赤ちゃんに供給されるべきかに依存して取り換え可能である。結合デバイス7が加熱デバイス1を容器2に接続するために用いられるときには、結合デバイス7の内側ネジ17は、容器首部11の外側ネジ12にネジ留めされて外側ネジ12と係合し、リップ16は、開口部4に渡って延在するよう開口部4に向かって第1の面5を置くために加熱デバイス1の第2の面6に対して付勢力を付与する。第1の面5は、特に、首部11のリム13と接触し、この態様においては開口部4を封止する。
【0031】
乳首8は、シリコンゴムで作られ、容器2の空洞3に含まれた液体が乳首8を介して赤ちゃんの口を通過可能な1つの穴又は複数の穴を含む。空洞3に含まれた液体は、容器2の首部11を介して自由に流れるよりもむしろ、制限された態様で乳首8を介して流れる。乳首8は、外方に延在する円周リップ18をもつ。結合デバイス7が乳首8を容器2に接続するために用いられるときには、結合デバイス7の内側ネジ17は、容器首部11の外側ネジ12にネジ留めされて外側ネジ12と係合し、乳首8の円周リップ18が首部11のリム13と接触し、乳首8が開口部4に渡って延在する4ように、開口部4に向かって乳首8を置くために乳首8の円周リップ18に対して付勢力を付与する。
【0032】
首部11の外側ネジ12及び乳首リングとも呼ばれる結合デバイス7の内側ネジは、例示の目的のためにここで述べられる。代替の構成、例えば、伸縮材、スナップフィット若しくはクリックオン接続、又は、容器2を加熱デバイス1及び/若しくは乳首8と解放可能に接続するための他の適切なメカニズムが、加熱デバイス1及び/又は乳首8を容器2に結合するために用いられてもよい。
【0033】
図2によれば、本発明の一実施形態の加熱デバイス1は、第1の面5及び第2の面6がそれぞれの第1の側壁20及び第2の側壁21により形成された平坦円形プレートとして形成される。第1の側壁20は、壁20に埋め込まれた少なくとも1つの加熱要素22をもつ。本図においては、1つの加熱要素22が示される。加熱要素22は加熱デバイス1の側壁20内に成形される。
【0034】
加熱要素22は、電気的抵抗材料から作られ、使用中に電源23から電気を受けるように構成される。加熱要素22は、螺旋構造で配置され、本例においては、容器2に取り付けられたときに容器2の開口部4の横断面のかなりの部分に渡って熱を供給するのに十分な直径をもつ。本例において、加熱要素22は、正温度係数をもつ材料で作られる。このタイプの加熱材料は、加熱デバイス1の温度を、予め決められた温度、例えば50〜70℃の範囲内の温度を超えて増大するのを阻止し、加熱デバイス1を本質的に安全なものにし、同様に、ミルクのような加熱されるべき液体内の栄養素の破壊を阻止する。
【0035】
加熱デバイス1は、概して、加熱要素22からの金属粒子を伴うミルクの汚染物質を妨げる、加熱要素22を覆うプラスチックの薄層をもつプラスチックから形成される。例えば約0.5mmの厚さのプラスチックの薄層をもつことは、加熱要素22から液体への熱伝達の低下を最小限にし、クリーニングし易い表面も提供する。
【0036】
代替実施形態において、加熱デバイス1は、他の手法で形成されてもよい。例えば、加熱デバイスは、ラッカー又はエナメル等の非伝導層でカバーされ得るステンレス鋼又は他の金属で形成されてもよく、その上部に加熱要素がプレス、プリント又はスプレーされる。ポリマーベース、セラミック又は他のコーティングが、加熱要素の上部に付与されてもよい。
【0037】
図2に示されるように、加熱デバイス1の第2の側壁21は、少なくとも1つの加熱要素22を加熱すべく加熱要素22を電源23に接続するための第1のコネクタ24及び第2のコネクタ25を含む。
【0038】
図3は、第1の金属コネクタ24が、加熱デバイス1の第2の側壁21に取り付けられ加熱デバイス1の第2の側壁21から離れるように同軸上に延在する中空円柱形状をもち、第2のコネクタ25が、第1の金属コネクタ24の円柱の軸に沿って第2の側壁21から離れるように延在する金属ピンとして形成される形式で、コネクタ24,25が設けられる、加熱デバイス1の一例を示している。
【0039】
図4は、使用時に結合デバイス7により容器2に結合された図3の加熱デバイス1を示している。容器2は、加熱されるべき液体30、本例においては調製乳を保持する。凹部32をもつベースユニット31も示されており、加熱デバイス1及び結合デバイス7は、加熱デバイス1、結合デバイス7及び容器2がベースユニット31により支持されるように、凹部32に受けられ得る。特に、凹部32は、横断面において円形であり、加熱デバイス1を保持する結合デバイス7が凹部32において受けられ得るようなサイズ及び深さをもつ。凹部32の底面33において、円形孔34及び穴35が同軸上に形成される。
【0040】
使用時において、ミルク30が哺乳瓶2に入れられ、加熱デバイス1は、結合デバイス7の内側に配置されてボトル2の首部11に固定される。哺乳瓶2は、どのくらいの量のミルク30が容器2内にあるかに関わらず、加熱要素2をもつ加熱デバイス1の側壁20がミルク30と直接接触するように、口端部10が下を向くように向きが変えられる。そして、結合デバイス7が凹部32に受けられ、加熱デバイス1の第1のコネクタ24が円形孔34に受けられ、及び、加熱デバイス1の第2のコネクタ25が穴35に受けられるように、容器2がベースユニット31に取り付けられる。それぞれの電気接触(図示省略)は、ベースユニット31の円形孔34及び穴35内に配置され、加熱デバイス1の第1のコネクタ24及び第2のコネクタ25を電気的に接触させることにより加熱デバイス1に電力を供給するために用いられる。ベースユニット31は、電力ケーブル37及びプラグを介して主電源等の電源36に接続される。
【0041】
従って、使用時に、ミルク30は、ベースユニット31を介して電力が供給されてミルク30を加熱する加熱要素22をもつ加熱デバイス1の第1の面と直接接触する。これは、加熱要素22からミルク30への直接熱変換をもたらす。また、結合デバイス7の回転対称性及び加熱デバイス1の電気接触24,25により、容器2は、容器2の軸38の周りの任意の回転構造でベースユニット31の凹部32に受けられ、凹部32に配置されると、ベースユニット31との電気接触を失うことなく360度回転可能である。
【0042】
電源36は、メインプラグとして示されているが、代わりに、バッテリパック(例えば再充電可能なバッテリパック)、カーバッテリ又は他の適切な電源であってもよい。実験は、4AAサイズで1.5Vのバッテリが9oz(250ml)のミルクボトルを5℃から37℃に加熱するのに十分な電力を供給可能であることを示した。代替実施形態において、ユーザの環境に応じて種々の電源を受けるために複数のアダプタ/電源を備えたベースユニット31を設けることが可能である。カーバッテリ又はメイン等の電源でバッテリパックを再充電することも可能である。
【0043】
ミルク30を加熱した後、結合デバイス7が容器2から取り外されて、加熱デバイス1が除去される。そして、加温されたミルクを赤ちゃんに供給するために、乳首8が結合デバイス7の内側に配置されて容器2に固定される。容器2をドリンク容器として用いる前の加熱デバイス1の除去は、赤ちゃんがボトル2からミルクを供給されている間、加熱デバイス1によりもたらされるやけどの危険性を回避する。ベースユニット31が電気接触を介して加熱デバイス1に電力を供給するように述べられたが、他の構成が可能である。例えば、加熱デバイス1の加熱要素22は、鉄鋼又は軟鋼のような、誘導加熱に適した鉄鋼材を用いて製造されてもよい。この場合において、ベースユニット31は、容器2内の液体30を加熱すべく誘導加熱要素22内の電磁誘導をもたらすために、変化する磁場を加熱デバイス1に供給するように構成され得る。誘導加熱は、加熱デバイスの熱伝達面に渡って実質的に均一な熱分布をもたらし、プラスチックで形成された加熱デバイスと組み合わせて加熱要素22が用いられたときに生じ得る局所的なホットスポットを回避する。また、誘導加熱は、加熱デバイス及びベースステーション31が共に結合される容易性を向上し、また、電気接触が必要とされないので双方のパーツのクリーニングを促進し、より簡単な接続構成及びクリーニングし易い表面が提供されることを可能にする。
【0044】
本発明の他の実施形態において、熱は、加熱デバイス1自身よりもむしろベースユニット31において生成されてもよい。例えば、加熱要素(図示省略)は、ベースユニット31の凹部32の底面33に配置され、加熱デバイスを介して液体30に熱を伝達するために用いられる。これは、ステンレス鋼、アルミニウム又は銅のような、高い熱伝導性をもつ材料を用いて製造され得る。
【0045】
他の実施形態において、加熱デバイス1は、相変化材料(PCM)を用いて熱を生成するように構成されてもよい。このタイプの加熱デバイス1は、別個の電源を必要としない。しかしながら、一般的に、ミルク等の液体(例えば100gのミルクに対して75gのオーダのPCM)を加熱するためにかなりの量の相変化材料が必要とされ、これは、加熱デバイスのサイズを増大させるだろう。
【0046】
図5は、本発明の他の実施形態の加熱デバイス40を示している。加熱デバイス40は、熱伝達面41を有し、温度センサ42及び方向センサ43が熱伝達面41上に取り付けられる。温度センサ42は、特に、熱伝達面41から数ミリメータだけ離れて隆起部44上に取り付けられる。これは、温度センサ42を熱伝達面41から分離し、使用時に、温度センサ42を加熱されるべき液体のボリューム内に配置する。方向センサ43は、単純な傾き(tilt)、勾配(inclination)、又は、熱伝達面41が実質的に上を向いているか若しくは実質的に下を向いているかを決定し得る他のタイプの方向センサであってもよい。1又はそれ以上の光検出器により位置が検出される、内部に配置された可動ボールをもつ光遮断装置が用いられてもよい。代わりに、磁気センサ又は重力メカニカルセンサの他の形式のようなセンサが用いられてもよい。また、コントローラは、本例において加熱デバイス40の隆起部44内に設けられたマイクロチップとして設けられる。
【0047】
図6は、図5の加熱デバイス40の電気的構成を概略的に示している。温度センサ42及び方向センサ43は、コントローラ50にそれぞれ接続される。コントローラ50は、同様に、加熱デバイス40の加熱要素51に接続される。
【0048】
使用時において、コントローラ50は、温度センサ42及び方向センサ43からの出力に基づいて、加熱要素51に供給される電力を制御するように構成される。特に、温度センサからの出力は、加熱デバイス40により加熱された液体が予め決められた温度(例えば赤ちゃん用ミルクでは37℃)に達するかどうかを決定するために監視され得る。加熱デバイス1に対する電力は、温度が到達したときに、コントローラ50によりオフにされる。本発明の代替例において、電力は、液体が所望の温度に達したことが検出されたときに、低減されるか又はゆっくりと減少する。加熱要素51に対する電力を自動的にオフにするか又は低減することは、バッテリ電力を節約し、過熱に対する追加の保護を提供する。
【0049】
加えて、方向センサ43からの出力は、熱伝達面41が加熱の間において上を向いていることを保証し、熱伝達面41が下を向いており、それ故に液体と接触していないことが決定されたときに、加熱要素51に対する電力をオフにするために、コントローラ50により監視され得る。
【0050】
他の実施形態において、温度センサ43は、熱伝達面41の温度を決定するために用いられ、温度を実質的に一定に維持するために監視されてもよい。温度センサ43は、熱伝達面41上に直接的に取り付けられ、コントローラ50は、加熱デバイス40又はベースステーション31内の他の場所に配置される。この場合において、熱伝達面41の特定の温度を維持するために必要とされる電力は、ミルク又は他の液体の温度が増大するにつれて電力が低減するので、ミルク温度を間接的に決定するために監視され得る。
【0051】
温度センサ42及び方向センサ43の双方をもつ加熱デバイス40が述べられた一方で、他の実施形態は、コントローラ50の機能の適切な適応を伴って、これらのセンサのうち1つだけを含んでもよい。また、コントローラ50は、加熱デバイス40内に配置される必要はないが、代わりに、ベースユニット31内に配置され、加熱デバイス40内に配置された温度及び方向センサ42,43から受信された信号に基づいて、加熱デバイス40に対する電力を制御するために用いられてもよい。
【0052】
他の実施形態において、ユーザにより所望の加熱時間に設定され得るタイマが設けられてもよく、コントローラは、時間に到達したときに加熱デバイスをオフにするために用いられる。
【0053】
磁気撹拌デバイスが容器内の液体に追加されてもよい。磁石が液体内に配置され、ベースユニット31が磁気コイルを備える。磁気コイルは、磁石を回転させる交番磁界を生成するように構成される。この手法において、ミルク及び他の液体は十分に撹拌され得る。磁石は、遊離した部品であってもよく、又は、加熱デバイスに取り付けられてもよい。
【0054】
容器2は、熱的絶縁材料によりカバーされてもよい。熱的な絶縁は、容器内の液体から発せられる熱を低減し、それ故に効率を向上させる。
【0055】
図7によれば、図4を参照して述べられた容器2及びベースユニット31で使用するのに適した、本発明の他の実施形態の加熱デバイス60が述べられている。加熱デバイス60は、結合デバイス62内に配置された熱伝達部61をもつ。結合デバイス62は、プラスチックで形成され、図1を参照して述べられたものと実質的に同じように、概ね中空円柱形状をもつ。内側ネジ63は結合デバイス62の内面に設けられ、外側ネジ64は結合デバイス62の外面に設けられる。熱伝達部61は、実質的にリング形状であり、結合デバイス62の一端に接続され、熱伝達部61内に埋め込まれた加熱要素(図示省略)をもつ。第1及び第2の電気コネクタ65,66は、加熱要素を電源に接続するために熱伝達部61の表面に設けられる。
【0056】
第1の端部68で閉鎖され、第2の端部69で開口し、内側面にネジ70をもつ中空円柱として実質的に形成された容器キャップ67も図7に示されている。第1及び第2の内部キャップ電気コネクタ71,72は、加熱デバイス60の第1及び第2の電気コネクタ65,66に接続するために、容器キャップ67の閉鎖端部68の内側面に設けられる。第1の内部キャップ電気コネクタ71は、中空円柱形状をもつように形成され容器キャップ67の閉鎖端部68から離れるように軸方向に延在する第1の外部キャップ電気コネクタ73に向かって延在してこれと接続する。第2の内部キャップ電気コネクタ72は、第1の外部キャップ電気コネクタ73の円柱軸に沿って容器キャップ67の閉鎖端部68から離れるように延在するメタルピンとして形成された第2の外部キャップ電気コネクタ74に向かって延在してこれと接続する。
【0057】
乳首76及び乳首接続部77をもつ乳首デバイス75も図7に示されている。乳首76は、シリコンゴムで作られ、液体が乳首76を通過して赤ちゃんの口に行くことを可能にする1つの穴又は複数の穴をもつ。乳首接続部77は、両端部で開口する中空円柱としてプラスチックで形成される。乳首76は第1の端部に配置される。ネジ78は乳首接続部77の内側面に設けられる。
【0058】
使用時において、図4に示された哺乳瓶のような容器内の液体を加熱するために、加熱デバイス60は、容器2の首部11でネジ留めされ、結合デバイス62の内側ネジ63が首部11に設けられたネジ12と係合する。そして、キャップ67の内側ネジ70が結合デバイス62の外側ネジ64と係合するように、及び、加熱デバイス60の第1及び第2電気コネクタ65,66と容器キャップ67の第1及び第2の内部キャップ電気コネクタ71,72との間に電気接触が形成されるように、容器キャップ67が加熱デバイス60でネジ留めされる。また、容器キャップ67は、液体が外へ出ないように容器2の開口部を封止する。そして、容器2、加熱デバイス60及びキャップ67は、キャップ67の閉端部68が下を向き、キャップ67が図4に示されたベースユニット31のようなベースユニットに挿入されるように、向きが変えられる。この手法において、容器キャップ67の第1の外部キャップ電気コネクタ73は、ベースユニット31の円形孔34に受けられ、容器キャップ67の第2の外部キャップ電気コネクタ74は、ベースユニット31のホール35に受けられ、電力が加熱デバイス60の加熱要素に供給されるのを可能にする。
【0059】
容器内の液体が加熱デバイス60により加熱されると、容器キャップ2は加熱デバイス60から回して外されて、加熱デバイス60が容器2から外される。そして、乳首デバイス75は、乳首接続部77の内側ネジ78が容器2の首部11上に設けられたネジ12と係合するように、容器2にネジ留めされ得る。
【0060】
代替実施形態において、容器2内の液体が加熱されると、容器2から加熱デバイス60を取り除くことなく、乳首76を介して赤ちゃんに供給され得るように、乳首デバイス75が、容器2にネジ留めされるよりもむしろ、又は、それに加えて、加熱デバイス60にネジ留めされるように構成されてもよい。また、斯様な構成を用いた場合には、ミルクが加熱要素を介して流れるので、供給の間、容器2内のミルク又は他の液体を加熱することが可能である。しかしながら、赤ちゃんにミルクが供給される前に加熱デバイスが哺乳瓶から取り除かれる構成は、やけどの危険性を最小限にするという意味において、より安全である。
【0061】
内蔵式加熱デバイス、例えば哺乳瓶の底部に1又はそれ以上の加熱要素をもつように適合された容器、例えば適合された哺乳瓶が提供されてもよい。
【0062】
実質的に平坦で円形の加熱デバイス1,40,60が述べられたが、他の構成が可能である。例えば、容器2に対する加熱デバイス1,40,60の配置を向上させるために、容器2内の開口部4の封止を向上させるために、又は、熱伝達面のエリアを増大させることにより加熱デバイス1,40,60から液体30への熱伝達を向上させるために、前述された加熱デバイス1,40,60の熱伝達面上に隆起部(ridge)が設けられてもよい。加熱デバイス1,40,60は、手動で洗浄されるか又は食器を洗うための水(dishwater)を用いて洗浄されてもよく、殺菌装置内に置かれてもよい。
【0063】
特許請求の範囲は、この出願において、特に特徴の組み合わせに定式化されたが、本主題の開示の範囲は、いずれかの請求項に記載されたものと同じ発明に関連するか否かに関わらず、及び、本発明と同一の技術的課題のいずれか又は全てを軽減するか否かに関わらず、明確に若しくは黙示的にここに開示された新規な特徴若しくはこれら特徴の任意の新規な組み合わせ又はこれらの任意の一般化を含むことが理解されるべきである。
【0064】
更に、本主題が図面及び前述の説明において詳細に示された一方で、斯様な例示及び説明は、例示又は単なる例であり、限定するものとして考慮されるべきではない。即ち、本主題は、開示された実施形態に限定されるものではない。開示された実施形態に対する他のバリエーションは、図面、開示及び特許請求の範囲の研究から、当業者により理解及び達成され得る。"有する"という用語の使用及びその活用は、請求項又は説明に記載されたもの以外の要素の存在を除外するものではない。要素又はステップの単数表記の使用は、斯様な要素又はステップの複数の存在を除外するものではない。図面及び説明は、単なる例示と見なされるべきであり、本主題を限定するものではない。請求項における如何なる参照符号も、範囲を限定するものとして考慮されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内の液体を加熱するための加熱デバイスであって、
当該加熱デバイスは、液体に熱を伝達するための熱伝達面を有し、
当該加熱デバイスは、使用時に、液体に熱を伝達するために前記熱伝達面が液体に接触するように、前記容器との関連をもたらすように構成される、加熱デバイス。
【請求項2】
前記熱伝達面は、前記容器との関連をもたらすときには、実質的に前記容器の開口部に渡って延在するように構成される、請求項1に記載の加熱デバイス。
【請求項3】
前記加熱デバイスは、前記容器との関連をもたらすときには、前記容器の開口部を封止するように構成される、請求項1又は請求項2に記載の加熱デバイス。
【請求項4】
前記容器は、前記容器の開口部に渡って乳首と接続するための結合装置をもつ哺乳瓶を有し、
当該加熱デバイスは、前記熱伝達面を前記容器と関連させるために、前記結合装置を用いて前記容器に結合されるように構成される、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の加熱デバイス。
【請求項5】
前記熱伝達面を前記容器と関連させるために、当該加熱デバイスを前記容器に結合させるための結合装置を更に有する、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の加熱デバイス。
【請求項6】
前記熱伝達面は、プラスチック、セラミック、ガラス及び実質的に非腐食性の金属から選択された材料により形成される、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の加熱デバイス。
【請求項7】
正温度係数をもつ材料を有する加熱要素を更に有する、請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の加熱デバイス。
【請求項8】
電磁誘導により加熱されるように構成される、請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の加熱デバイス。
【請求項9】
液体の温度を検出するための温度センサを更に有する、請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の加熱デバイス。
【請求項10】
当該加熱デバイスの方向を検出するためのセンサを有する、請求項1〜9のうちいずれか一項に記載の加熱デバイス。
【請求項11】
液体と請求項1〜10のうちいずれか一項に記載の加熱デバイスとを保持するための空洞を有する、液体を加熱するための容器。
【請求項12】
当該容器は哺乳瓶を有し、
当該容器は、当該容器に結合されるように構成された、赤ちゃんにミルクを供給するための乳首を更に有する、請求項11に記載の容器。
【請求項13】
容器内の液体を加熱するための加熱システムであって、
請求項1〜10のうちいずれか一項に記載の加熱デバイスと、
前記加熱デバイスに電力を供給するためのベースユニットとを有する、加熱システム。
【請求項14】
前記ベースユニットは、更に、使用時に前記加熱デバイスが前記容器内の液体を下から加熱するように設けられるように、前記加熱デバイスを支持するように設けられる、請求項13に記載の加熱システム。
【請求項15】
液体を保持するための空洞を有する容器を更に有する、請求項13又は請求項14に記載の加熱システム。
【請求項16】
前記ベースユニットは、前記加熱デバイスに電力を供給するために磁界を生成するように構成される、請求項13〜15のうちいずれか一項に記載の加熱システム。
【請求項17】
前記ベースユニットは、バッテリ、再充電可能バッテリパック、主電源及びカーバッテリから選択された少なくとも1つの供給源から前記加熱デバイスに電力を供給するように構成される、請求項13〜16のうちいずれか一項に記載の加熱システム。
【請求項18】
前記加熱デバイスは、請求項9に記載の加熱デバイスを有し、
前記ベースユニットは、更に、前記温度センサからの出力に応じて前記加熱デバイスに対する電力を制御するように構成される、請求項13〜17のうちいずれか一項に記載の加熱システム。
【請求項19】
前記加熱デバイスは、請求項11に記載の加熱デバイスを有し、
前記ベースユニットは、更に、前記方向センサからの出力に応じて前記加熱デバイスに対する電力を制御するように構成される、請求項13〜18のうちいずれか一項に記載の加熱システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−520497(P2011−520497A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509061(P2011−509061)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【国際出願番号】PCT/IB2009/051901
【国際公開番号】WO2009/138930
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】