説明

射出成形装置及び射出成形方法

【課題】成形品の離型を真空雰囲気で行い得る射出成形装置及び射出成形方法を提供する。
【解決手段】固定型4及び可動型5それぞれの型合わせ面25,26が密着したとき形成されるキャビティ13であってそのキャビティ13で成形された成形品24が固定型4のキャビティ13面および可動型5のキャビティ13面のいずれか一方のキャビティ13面に付着して型開きするように構成されたキャビティ13と、キャビティ13に端面が露出する突出ピン11と、両型合わせ面25,26間の間隙Dが所定間隙値以内のとき両型合わせ面25,26間を気密にしキャビティ13を囲繞して設けられるパッキング6と、パッキング6とキャビティ13端部との間の固定型4および可動型5の少なくとも一方の金型の型合わせ面25,26またはパッキングの内側で型合せ面25,26以外にキャビティ13に連通可能に開口する吸引穴12とを有する金型装置3を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型キャビティ内を脱気して射出成形する射出成形装置及び射出成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この技術分野においては、例えば特許文献1が開示されている。特許文献1は、射出成形または射出圧縮成形において、射出装置のノズルを金型に接触させた状態で型締を行い、前記金型のパーティングラインが接触しない状態すなわち完全に閉じない状態においてキャビティー部またはその外周に真空シール部を形成して高能率真空排気装置により排気を開始し、成形機は低速で型締を続行するか一瞬停止をして所定の真空度に到達したら、射出成形では完全に型締を行ってキャビティーを所定寸法通りにし、射出圧縮成形では圧縮しろを残してキャビティーを少し大きめに構成して型締めを行い、しかるのち樹脂を射出し、冷却後製品取り出しのための型開き時には充分なリークを行うか、あるいは強制的に空気を送り、円滑に型開きを行わせるというものである。
【0003】
このように、特許文献1の技術によれば、型開きをして製品を離型させるときには、排気装置は無効となり、製品は大気に曝された状態となる。そのため、製品は静電気に基づく離型不良や樹脂粉等の付着を被ることになる。また、可動型からの製品突き出しの際に、製品の表裏に圧力差が生じることから、製品の離型が困難となったり、製品に歪を生じさせたりする。
【0004】
【特許文献1】特開昭59−222321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した問題を解決すべくなされたものであって、成形品の離型を真空雰囲気で行い得る射出成形装置及び射出成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、固定型及び可動型それぞれの型合わせ面が密着したとき形成されるキャビティであってそのキャビティで成形された成形品が前記固定型のキャビティ面および可動型のキャビティ面のいずれか一方のキャビティ面に付着して型開きするように構成されたキャビティと、前記キャビティに端面が露出する突出ピンと、前記両型合わせ面間の間隙が所定間隙値以内のとき前記両型合わせ面間を気密にし前記キャビティを囲繞して設けられるパッキングと、前記パッキングと前記キャビティ端部との間の前記固定型および可動型の少なくとも一方の金型の型合わせ面または前記パッキングの内側で前記型合せ面以外にキャビティに連通可能に開口する吸引穴とを有する金型装置を備えた射出成形装置をその要旨としている。
【0007】
これによれば、固定型及び可動型からの成形品の離型を真空雰囲気で行うことができるため、金型装置の汚染を軽減し、成形品の表面を清浄化し、成形品の離型を容易化することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の射出成形装置において、前記金型装置は、トグル機構による型締装置に取り付けられることをその要旨としている。
【0009】
これによれば、型合わせ面相互の間隙を良好に保持することができ、拡張キャビティ空間の脱気を効果的に実施することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の射出成形装置において、前記吸引穴は、射出装置の加熱筒内を脱気する真空ポンプに開閉弁を介して接続されることをその要旨としている。
【0011】
これによれば、拡張キャビティ空間の脱気に要する真空ポンプを加熱筒内の脱気用真空ポンプで併用することになり、設備費用を軽減することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の金型装置を用いた射出成形方法であって、前記可動型の型閉じ中、前記固定型の型合わせ面と前記可動型の型合わせ面とが前記所定間隙値以内の状態で拡張キャビティ空間を脱気開始し、真空雰囲気となった前記キャビティを溶融材料で充填し、溶融材料の冷却時間経過後、前記所定間隙値以内に相当する距離型開きして成形品の固定型キャビティ面および可動型キャビティ面のいずれか一方の面からの離型を真空雰囲気で行い、前記突出ピンを突出して前記成形品の前記固定型キャビティ面および可動型キャビティ面のいずれか他方の面からの離型を真空雰囲気で行い、その後前記成形品取り出しのため型開きすることをその要旨としている。
【0013】
これによれば、固定型及び可動型からの成形品の離型を真空雰囲気で行うことができるため、金型装置の汚染を軽減し、成形品の表面を清浄化し、成形品の離型を容易化することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の射出成形方法において、前記突出ピンの突出し距離は、溶融材料の冷却時間経過後に成形品を固定型キャビティ面および可動型キャビティ面のいずれか一方の面からの離型を真空雰囲気で行う際の型開き距離よりも小さいことをその要旨としている。
【0015】
これによれば、成形品を拡張キャビティ空間内で容易に遊挿状態とすることができ、成形品の離型を効果的に実施させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、固定型及び可動型それぞれの型合わせ面が密着したとき形成されるキャビティであってそのキャビティで成形された成形品が前記固定型のキャビティ面および可動型のキャビティ面のいずれか一方のキャビティ面に付着して型開きするように構成されたキャビティと、前記キャビティに端面が露出する突出ピンと、前記両型合わせ面間の間隙が所定間隙値以内のとき前記両型合わせ面間を気密にし前記キャビティを囲繞して設けられるパッキングと、前記パッキングと前記キャビティ端部との間の前記固定型および可動型の少なくとも一方の金型の型合わせ面または前記パッキングの内側で前記型合せ面以外にキャビティに連通可能に開口する吸引穴とを有する金型装置を用いて、前記可動型の型閉じ中、前記固定型の型合わせ面と前記可動型の型合わせ面とが前記所定間隙値以内の状態で拡張キャビティ空間を脱気開始し、真空雰囲気となった前記キャビティを溶融材料で充填し、溶融材料の冷却時間経過後、前記所定間隙値以内に相当する距離型開きして成形品の固定型キャビティ面および可動型キャビティ面のいずれか一方の面からの離型を真空雰囲気で行い、前記突出ピンを突出して前記成形品の前記固定型キャビティ面および可動型キャビティ面のいずれか他方の面からの離型を真空雰囲気で行い、その後前記成形品取り出しのため型開きするようにしたので、成形品の離型が容易に実施できるとともに、成形品や金型装置の汚染を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図面に基づいて、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の射出成形装置の構成を、拡張キャビティ空間を脱気する金型装置の縦断面図とともに示すブロック図である。図2は、射出充填直後の状態を示す金型装置の縦断面図である。図3は、成形品の固定型からの離型状態を示す金型装置の縦断面図である。図4は、成形品の可動型からの離型状態を示す金型装置の縦断面図である。図5は、成形品の取出しのため可動型を固定型から十分離隔させた状態を示す金型装置の縦断面図である。
【0018】
射出成形装置1は、射出装置2と、図示しない型締装置により開閉・圧締される金型装置3と、射出装置2や型締装置等を駆動して一連の成形作動を実施させる図示しない制御装置とからなる。
【0019】
射出装置2は、射出駆動部20の上面に立設した原料供給部21から気密状態を保持して搬送された成形原料を、射出駆動部20の前面に固着した加熱筒19内へ気密状態で投入し、加熱筒19の内孔に回転往復動可能に嵌挿した図示しないスクリュで可塑化・溶融して加熱筒19前方に溶融材料として貯留し、溶融材料をノズル18を介して当接した金型装置3へ射出駆動部20のスクリュ前進駆動力に基づいて射出するものである。このとき、気密となった加熱筒19内のガスや水分は、吸引管22と開閉弁17を介して真空ポンプ15により排気され、溶融材料からガスや水分が除去されるので、成形品24は高品質になるとともに、金型装置3の汚染を回避することができる。なお、このように加熱筒19内を脱気する構成は、本発明の効果をより一層高めることに貢献するが、必ずしも備えねばならないものではない。また、原料供給部21に成形原料の加熱筒19への供給量を制限し制御する手段を設けることは脱気促進に効果的であるが、これも必ずしも備えねばならない手段ではない。
【0020】
金型装置3は、固定型4と可動型5が型合わせされてなるものである。固定型4は、キャビティ13の一方の面を形成する面と、その面に開口するスプル穴27と、型合わせ面25とからなる。可動型5は、固定型4との型合わせ面26とキャビティ13の他方の面を有する可動型板7と、キャビティ13の他方の面に端面を露出する一又は複数の突出ピン11と、突出ピン11を立設し型締装置で突き出し駆動される突出板9と、突出板9の移動距離を確保する複数のスペーサ8と、スペーサ8を介して可動型板7を型締装置に取り付ける可動取付板10と、可動型板7の型合わせ面26に設けられキャビティ13を囲繞して固定型4の型合わせ面25との間を気密にするパッキング6と、可動型板7の型合わせ面26のパッキング6とキャビティ13の端部との間に開口させた一又は複数の吸引穴12とからなる。なお吸引穴12とキャビティ13の端部の間の型合せ面25と型合せ面26の間には、溶融材料が入り込まないが気体は流通可能なベントを意図して設けてもよく、平面同士の型合せ面25と型合せ面26が接触される場合でも、意図せずに僅かに気体が流通される場合も含まれる。また吸引穴は、キャビティ形成後に溶融材料が侵入しないように閉塞されるものであれば、型合せ面26以外にパッキング6の内側でキャビティ13に連通可能にキャビティ13面に対して直接形成されたものでもよい。更にまた真空吸引を行う吸引穴は、固定型4におけるパッキング6が当接される部分とキャビティ13の端部の間の型合せ面25に設けるようにしてもよく、両方の金型に設けてもよい。このようにキャビティ13は、型締装置で金型装置3が型閉じ・圧締されて固定型4の型合わせ面25と可動型5の型合わせ面26とが密着したときに形成され、この空間に溶融材料が射出・充填又は圧縮されて成形品24が成形される。そして、キャビティ13は、可動型5側に開いた箱型形状を有するか又は、可動型5側にボス、リブ、凹凸を有する。そのため、キャビティ13内での溶融材料の固化に伴う収縮により成形品24は可動型5のキャビティ13面により強く付着するので、型開きは、成形品24が固定型4から離型して可動型5に付着した状態で行われるのである。
【0021】
パッキング6は、固定型4の型合わせ面25と可動型5の型合わせ面26とが所定間隙D(0.3〜1mm程度)をもって対向するときに、両者に接触して両者間を気密にし、所定間隙D値以内において気密を維持する。そして所定間隙Dが消滅するときがすなわち型合わせ面25と型合わせ面26が密着するときである。このような機能を有することが求められるため、パッキング6は、比較的大径のOリングが好適に採用される。なおパッキング6は、固定型4に設けるようにしてもよい。
【0022】
次に、図面に基づいて射出成形装置1の作動について説明する。図1に示すように、制御装置は、型締装置を駆動して可動型5を固定型4に接近させ、型合わせ面25と型合わせ面26とが所定間隙Dをもって対向する位置まで型閉じしたとき、開閉弁16を開放してキャビティ13、型合わせ面25,26及びパッキング6で形成される拡張キャビティ空間14の空気を吸引し始める。可動型5は、この位置で型閉じ作動を停止させることが好ましいが、間隙D値が比較的大きいときや真空ポンプ15の排気能力が十分大きいときなどでは、低速で型閉じ作動を継続させてもよい。このとき、パッキング6はその全周にわたって型合わせ面25と型合わせ面26に接触し、型合わせ面25と型合わせ面26間のパッキング6の内側を気密にする。開閉弁16を開放し、拡張キャビティ空間14の空気を吸引穴12、吸引管23及び開閉弁16を介して真空ポンプ15で排気する。このとき、スプル穴27の外部開口部にはノズル18がノズルタッチし、加熱筒19の前部内には溶融材料が充満しているので、拡張キャビティ空間14は気密となる。なお、ホットランナ等の他の金型構造を採用すれば、その部分で気密性が発現し、ノズルタッチが不要な場合もある。また、可動型板7に穿孔された突出ピン11の嵌挿穴から空気が漏洩して気密性が低下することを防止するため、突出ピン11と嵌挿穴とのクリアランスを可及的に小さくするか又は、スペーサ8で画設された突出板9の空間を両側で密閉することが好ましい。
【0023】
このようにして拡張キャビティ空間14が真空吸引されると、固定型4と可動型5には大気圧が作用して、間隙Dを狭める力が発生する。そのため、型締装置はその力に対抗する必要がある。型締装置は、油圧シリンダによる直圧方式とトグル機構によるものとに大別される。直圧方式では、型合わせ面の密着位置近傍での位置決めは、サーボ弁を使用したとしてもかなり困難なものとなる。それに対して、トグル機構によれば、型合わせ面の密着位置近傍での位置決めは、トグルアームが伸びた状態で行われるため、大きな位置決め力を高精度に発生し得るので、極めて効果的である。
【0024】
なお、真空ポンプ15は、拡張キャビティ空間14と比較して容積の大きな加熱筒19内を脱気するために設けられたものであり、拡張キャビティ空間14の脱気に対しては排気能力の余裕を有している。そのため、拡張キャビティ空間14の脱気を効果的にするため、加熱筒19内の脱気も実施する場合には、真空ポンプ15を併用することは、経済上効果的である。
【0025】
拡張キャビティ空間14の真空度が所定値に到達したか又は、開閉弁16を開放してから所定時間が経過後、型締装置を駆動して固定型4と可動型5の型閉じ・圧締を開始する。このとき、開閉弁16を遮断して拡張キャビティ空間14の吸引を停止するが、型合わせ面25,26にスリット等を有し射出中も吸引が期待できる場合は、開閉弁16の解放状態を継続してもよい。そして、図2に示すように、型締装置の圧締後、射出装置2は溶融材料をノズル18とスプル穴27を介してキャビティ13へ所定量射出する。なお、圧縮成形等を行う場合は、射出開始が型締装置の圧締前か途中になることがある。溶融材料はキャビティ13内をその端部まで流動・延展してキャビティ13を充填し冷却されて成形品24となる。
【0026】
所定の冷却時間が経過する前に、再度、開閉弁16を開放しキャビティ13内の真空吸引の準備をする。そして、図3に示すように、冷却時間が経過したとき、型締装置は可動型5を固定型4から僅か離隔・型開きさせ、型合わせ面25と型合わせ面26との間隙が所定間隙D値または所定間隙D値以内であって完全に型合わせ面25と型合わせ面26が密着されない位置で停止させる。このとき、成形品24は可動型5のキャビティ13面に付着しているので、固定型4のキャビティ13面から成形品24の離型が行われる。そして、固定型4のキャビティ13面と成形品24の表面との間には型開閉方向に間隙D相当の空間が形成される。この空間は、吸引穴12に連通するので、離型は真空雰囲気で行われ、固定型4のキャビティ13面と成形品24との間に閉じ込められていたガスが急減圧により放出され除去される。そのため、キャビティ13内やその周辺の汚染が軽減されるとともに、成形品24の表面が清浄化される。
【0027】
続いて、図4に示すように、型締装置に備えた駆動手段により突出板9を固定型4側に押圧して、突出ピン11で成形品24を可動型5のキャビティ13面から離型させる。この突出しストロークは、間隙D値よりも小さく設定される。または溶融材料の冷却時間経過後における成形品24の離型を真空雰囲気下で行う際の型開き距離が所定間隙D値以下の場合は、突出しストロークもその間隙よりも小さく設定される。そのため、成形品24は、拡張キャビティ空間14の中に遊挿された状態となる。このように、可動型5のキャビティ13面と成形品24との間の空間は吸引穴12に連通するので、離型は真空雰囲気で行われ、可動型5のキャビティ13面と成形品24との間に閉じ込められていたガスが急減圧により放出され除去される。そのため、キャビティ13内やその周辺の汚染が軽減されるとともに、成形品24の表面が清浄化される。また、成形品24を可動型5のキャビティ13面から突出ピン11で突出す際に、成形品24の固定型4側は真空雰囲気であるため、成形品24の可動型4側凹部を突出す際に生ずる負圧に基づく離型抵抗や成形品24の歪が軽減されるとともに、大気中で成形品の凹部を突出す場合に必要となる凹部へのエアブローを不要とする。
【0028】
成形品24の離型が終了後、開閉弁16を遮断し、吸引管23に分岐して設けた図示しない排気弁等により拡張キャビティ空間14の真空破壊を行う。その後、図5に示すように、型締装置は可動型5を固定型4から十分離隔すべく型開きを行う。そして、間隙Dよりも小さい距離だけ前進している突出ピン11を必要に応じてさらに前進させ、成形品24を十分突出し、取出し機等で金型装置3の外部へ取り出して搬送する。
【0029】
このように成形品24の離型は、固定型4側及び可動型5側共に真空雰囲気で行われるので、大気中で離型させるときに問題となる静電気の発生が軽減される。この静電気発生軽減のメカニズムは解明できていないが、実成形では、成形品の離型不良、成形品・金型への樹脂粉や埃の付着が軽減している。
【0030】
なお本発明は、成形品24が、前記固定型4のキャビティ13面に付着して型開きするように構成された金型装置3であってもよい。前記金型装置3の場合、突出ピン11も固定型4に設けられる。そして前記金型装置3のキャビティ13内の溶融材料を冷却後、真空雰囲気で前記所定間隙D値以内に相当する距離を型開きして可動型5のキャビティ13面から成形品24の離型を行う。次に真空雰囲気で突出ピン11を突出して前記成形品24を固定型4のキャビティ13面からの離型を行い、その後前記成形品24の取り出しを行う。
【0031】
なお、本発明は、当業者の知識に基づいて様々な変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものを含む。また、前記変更等を加えた実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りいずれも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の射出成形装置の構成を、拡張キャビティ空間を脱気する金型装置の縦断面図とともに示すブロック図である。
【図2】射出充填直後の状態を示す金型装置の縦断面図である。
【図3】成形品の固定型からの離型状態を示す金型装置の縦断面図である。
【図4】成形品の可動型からの離型状態を示す金型装置の縦断面図である。
【図5】成形品の取出しのため可動型を固定型から十分離隔させた状態を示す金型装置の縦断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 射出成形装置
2 射出装置
3 金型装置
4 固定型
5 可動型
6 パッキング
7 可動型板
8 スペーサ
9 突出板
10 可動取付板
11 突出ピン
12 吸引穴
13 キャビティ
14 拡張キャビティ空間
15 真空ポンプ
16,17 開閉弁
18 ノズル
19 加熱筒
20 射出駆動部
21 原料供給部
22,23 吸引管
24 成形品
25,26 型合わせ面
27 スプル穴
D 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定型及び可動型それぞれの型合わせ面が密着したとき形成されるキャビティであってそのキャビティで成形された成形品が前記固定型のキャビティ面および可動型のキャビティ面のいずれか一方のキャビティ面に付着して型開きするように構成されたキャビティと、前記キャビティに端面が露出する突出ピンと、前記両型合わせ面間の間隙が所定間隙値以内のとき前記両型合わせ面間を気密にし前記キャビティを囲繞して設けられるパッキングと、前記パッキングと前記キャビティ端部との間の前記固定型および可動型の少なくとも一方の金型の型合わせ面または前記パッキングの内側で前記型合せ面以外にキャビティに連通可能に開口する吸引穴とを有する金型装置を備えたことを特徴とする射出成形装置。
【請求項2】
前記金型装置は、トグル機構による型締装置に取り付けられる請求項1に記載の射出成形装置。
【請求項3】
前記吸引穴は、射出装置の加熱筒内を脱気する真空ポンプに開閉弁を介して接続される請求項1に記載の射出成形装置。
【請求項4】
請求項1に記載の金型装置を用いた射出成形方法であって、
前記可動型の型閉じ中、前記固定型の型合わせ面と前記可動型の型合わせ面とが前記所定間隙値以内の状態で拡張キャビティ空間を脱気開始し、真空雰囲気となった前記キャビティを溶融材料で充填し、溶融材料の冷却時間経過後、前記所定間隙値以内に相当する距離型開きして成形品の固定型キャビティ面および可動型キャビティ面のいずれか一方の面からの離型を真空雰囲気で行い、前記突出ピンを突出して前記成形品の前記固定型キャビティ面および可動型キャビティ面のいずれか他方の面からの離型を真空雰囲気で行い、その後前記成形品取り出しのため型開きすることを特徴とする射出成形方法。
【請求項5】
前記突出ピンの突出し距離は、溶融材料の冷却時間経過後に成形品を固定型キャビティ面および可動型キャビティ面のいずれか一方の面からの離型を真空雰囲気で行う際の型開き距離よりも小さい請求項4に記載の射出成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−46876(P2010−46876A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−212319(P2008−212319)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(000155159)株式会社名機製作所 (255)
【Fターム(参考)】