説明

導電性部材及びこの導電性部材を用いたプロセスカートリッジ及びこのプロセスカートリッジを用いた画像形成装置

【課題】導電性部材の導電性を損なわずに吸水性を低減し、感光体との間の空隙の環境変動の小さい優れた導電性部材とこの導電性部材を有するプリセスカートリッジとこのプリセスカートリッジを有する画像形成装置とを提供する。
【解決手段】導電性支持体106と、この導電性支持体106上に形成された電気抵抗調整層104と、この電気抵抗調整層104の両端部に形成されるとともにこの電気抵抗調整層104と異なる材質の空隙保持部材103とを備え、この空隙保持部材103によって像担持体61と電気抵抗調整層104との間を一定の空隙Gに保持する導電性部材101であって、電気抵抗調整層104は、少なくともエーテル基を含有する熱可塑性樹脂(A)と、この(A)中で不溶であり且つ分子中に芳香族骨格を有する繊維状ポリマー(B)と、電解質塩(C)とを有する樹脂組成物により構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、導電性部材とこの導電性部材を用いたプロセスカートリッジとこのプロセスカートリッジを用いた画像形成装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式には、像担持体(感光体)に対して帯電処理を行う帯電部材や、感光体上のトナーに対して転写処理を行う転写部材として、導電性部材が用いられている。以下、帯電部材として導電性部材を用いた場合について説明する。
【0003】
図1は電子写真方式の画像形成装置の概略図である。
【0004】
図1について説明すると、11は静電潜像が形成される静電潜像担持体(感光体)、12は接触あるいは近接配置されて帯電処理を行う帯電部材(帯電ローラ:導電性部材)、13はレーザー光あるいは原稿の反射光等の露光光、14は像担持体上の静電潜像にトナー15を付着させるトナー担持体(現像ローラ)、16は感光体上のトナー像を記録媒体17に転写処理する転写部材(転写ローラ)、18は転写処理後の感光体をクリーニングするためのクリーニング部材(ブレード)である。なお、19は感光体上に残留したトナーがクリーニング部材により除去された排トナー、20は現像装置、21はクリーニング装置である。
【0005】
なお、図1では、他の電子写真プロセスにおいて通常必要な機能ユニットは、本件では必要としないので省略してある。
【0006】
画像形成装置は、次のような順序で画像の形成を行う。
【0007】
1.帯電ローラ12が感光体11の表面を所望の電位に帯電する。
【0008】
2.露光装置(図示せず)が感光体11に画像光を投射して、所望の画像に対応する静電潜像を感光体上に形成する。
【0009】
3.現像ローラ14は、その静電潜像をトナー15によって現像し、感光体11上にトナー像(顕像)を形成する。
【0010】
4.転写ローラ16は、感光体11上のトナー像を記録紙17に転写する。
【0011】
5.クリーニング装置21は、転写されず感光体11上に残留したトナーを清掃する。
【0012】
6.転写ローラ16によって、トナー像を転写された記録紙17は、矢印B方向の図示しない定着装置へと搬送される。定着装置は、トナーを加熱及び加圧して記録紙17上に定着する。
【0013】
上記の1から6の手順を繰り返すことによって、記録紙17上に所望の画像が形成されていく。
【0014】
帯電ローラ12を用いた帯電方式として、感光体11に帯電ローラ12を接触させる接触帯電方式がある(特開昭63−149668、特開平1−211779、特開平1−267667等)。しかしながら、接触帯電方式には以下のような問題がある。
【0015】
1.帯電ローラ跡:帯電ローラを構成している物質が帯電ローラから染み出し、感光体の表面に付着移行することにより起きる。
【0016】
2.帯電音:帯電ローラに交流電圧を印加したときに感光体に接触している帯電ローラが振動するために起きる。
【0017】
3.感光体上のトナーが帯電ローラに付着することによる帯電性能の低下:特に上述の染み出しによって、よりトナー付着がおこりやすくなる。
【0018】
4.帯電ローラを構成している物質の感光体への付着
5.感光体を長期停止したときに生ずる、帯電ローラの永久変形
このような問題を解決する方法として、帯電ローラを感光体に近接させる近接帯電方式が考案されている(特許文献1,特許文献2,特許文献3 特開平3−240076、特開平4−358175、特開平5−107871等)。
【0019】
近接帯電方式は、帯電ローラと感光体との最近接距離(空隙)が50〜300μmになるように対向させ、帯電ローラに電圧を印加することにより、感光体の帯電を行うものである。この近接帯電方式では、帯電装置と感光体が接触していないために、接触帯電装置で問題となる「帯電ローラを構成している物質の感光体への付着」「感光体を長期停止したときに生ずる、永久変形」は問題とならない。また、「感光体上のトナー等が帯電ローラに付着することによる帯電性能の低下」に関しても、帯電ローラに付着するトナーが少なくなるため、近接帯電方式が優れている。
【0020】
近接帯電方式に使用される帯電ローラの要求特性は、接触帯電方式に使用される帯電ローラのそれとは異なる。
【0021】
接触帯電方式で一般的に用いられてきた帯電ローラは、芯金の周囲に加硫ゴム等の弾性体が被覆された構成になっている。接触帯電方式では感光体を均一に帯電させるため、感光体に対して帯電ローラが均一に接触することが必要とされるからである。
【0022】
近接帯電方式において、このような弾性体で形成された帯電ローラを使用した場合に、以下の不具合が生じる。
【0023】
1.感光体−帯電ローラ間の空隙を形成させるために帯電ローラ両端の非画像領域にスペーサ等の空隙保持部材を介在し近接させる必要があるが、弾性体で形成された帯電ローラの場合、弾性体の変形により空隙を均一にすることが困難である。その結果、帯電電位変動やそれに起因する画像ムラが発生してしまう。
【0024】
2.弾性体を形成する加硫ゴム材料は、経時でのへたり、変形が生じやすく、そのため経時で空隙が変動する。
【0025】
上記不具合を解消するために、非弾性体である熱可塑性樹脂を用いることが考えられる。これにより、感光体−帯電ローラ間の空隙を均一にすることが可能である。
【0026】
帯電ローラによる感光体ドラム表面への帯電メカニズムは帯電ローラ・感光体ドラム間の微小放電におけるパッシェンの法則に従った放電であることが知られている。感光体ドラムを所定の帯電電位に保持する機能を得るためには、熱可塑性樹脂の抵抗値を半導電性領域(10^6〜10^9Ωcm程度)に制御することが必要となる。
【0027】
抵抗値を制御する方法としては、熱可塑性樹脂中にカーボンブラック等の導電性材料を分散させる方法が一般的である。しかし、導電性顔料を用いて抵抗調整層を半導電性領域に設定しようとすると、抵抗値のバラツキが大きく、部分的帯電不良等の画像欠陥が発生するなどの問題がある。
【0028】
一方、電気抵抗値を制御するための別の手段としてはイオン導電性の材料を使用することが考えられる。イオン導電性材料はマトリックス樹脂中に分子レベルで分散するため、導電性顔料が分散する上記のものに比べて抵抗値のばらつきが小さく、部分的な帯電不良は画像品質的に問題とならない。しかしながら、電解質塩のような低分子量のイオン導電性材料はマトリックス樹脂の表面にブリードアウトしやすい性質があり、帯電ローラ表面へブリードアウトした場合にトナーの固着を発生させてしまい、画像不良の不具合を引き起こす。
【0029】
ブリードアウトを避けるためには、ポリアミド系エラストマーやポリオレフィンブロックポリマーのような固体状の高分子型イオン導電性材料を使用することが考えられる。この場合、イオン導電性材料がマトリックス樹脂中に分散固定化され、表面へのブリードアウトが起こり難い。高分子型のイオン導電性材料のみでは抵抗調整層の抵抗値が高く半導電性領域に制御することができないため、電解質塩を加えることにより導電性を付与する手段が用いられている。このような電解質塩としては、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム等の過塩素酸塩や、有機ホスホニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム等の含フッ素有機アニオン塩が多く用いられている。
【特許文献1】特開昭63−149668号公報
【特許文献2】特開平1−211779号公報
【特許文献3】特開平1−267667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
しかしながら、高分子型イオン導電性材料は、空気中の水分が導電経路に介在するため、一般的に材料自体の吸水性が高く、吸水による体積膨張率(膨潤性)が高い。従って、高分子型イオン導電性材料を近接帯電方式の帯電ローラの抵抗調整層として使用した場合、帯電ローラと感光体間の空隙の環境変動が大きくなり、帯電性能が低下するため、画像不良となる。具体的には、高温高湿環境において、帯電ローラが膨張するため、感光体との空隙が減少して、極端な場合には接触してしまう。この場合には、経時で感光体上の放電生成物等が帯電ローラ側に付着するため、その部分の導電性が低下して、画像不良となる。また、低温低湿環境では空隙が大きくなるため、帯電ローラから感光体への放電が不均一となり、画像不良となる。
【0031】
帯電ローラの膨潤性を低減するためには、抵抗調整層中で絶縁性の熱可塑性樹脂の配合比率を高めるか、高分子イオン導電材料中の吸水性に寄与する官能基の比率を調整することで、材料の低吸水化により膨潤性低減することが可能であるが、その場合は同時に抵抗上昇を招くため、帯電ローラに必要な導電性が得られない。
【0032】
そこで、筆者は鋭意検討の結果、熱可塑性樹脂と同じく絶縁性であるが、高分子型イオン導電材料中で不溶であり、分子中に芳香族骨格を有する繊維状ポリマーを配合した場合に、熱可塑性樹脂の配合比率を高めた場合のような抵抗上昇を発生させずに、吸水性低減できることを見出した。これにより、帯電ローラの導電性を保持したまま、膨潤性を低減可能となり、帯電ローラと感光体の空隙の環境変動による画像不良が発生しないことを見出した。
【0033】
さらに、高分子イオン導電材料と繊維状ポリマーの双方に親和性を有するグラフトコポリマーを配合することにより、繊維状ポリマーの分散状態を緻密化し、吸水性を低減可能であることを見出した。
【0034】
この発明の目的は、導電性部材の導電性を損なわずに吸水性を低減し、感光体との間の空隙の環境変動の小さい優れた導電性部材とこの導電性部材を有するプリセスカートリッジとこのプリセスカートリッジを有する画像形成装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0035】
請求項1の発明は、導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された電気抵抗調整層と、この電気抵抗調整層の両端部に形成されるとともにこの電気抵抗調整層と異なる材質の空隙保持部材とを備え、この空隙保持部材によって像担持体と前記電気抵抗調整層との間を一定の空隙に保持する導電性部材であって、
前記電気抵抗調整層は、少なくともエーテル基を含有する熱可塑性樹脂(A)と、この(A)中で不溶であり且つ分子中に芳香族骨格を有する繊維状ポリマー(B)と、電解質塩(C)とを有する樹脂組成物により構成されていることを特徴とする。
【0036】
請求項2の発明は、前記繊維状ポリマー(B)が、全芳香族ポリアミド系繊維(アラミド繊維)、全芳香族ポリエステル繊維(ポリアリレート繊維)、PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維の中から選ばれた少なくとも1種類以上の繊維状ポリマーであることを特徴とする。
【0037】
請求項3の発明は、前記樹脂組成物に、前記(A)よりも高硬度の熱可塑性樹脂(D)を加えた樹脂組成物により構成されていることを特徴とする。
【0038】
請求項4の発明は、前記樹脂組成物に、(A)(D)双方に親和性を有するグラフトコポリマー(E)を加えた樹脂組成物により構成されていることを特徴とする。
【0039】
請求項5の発明は、前記エーテル基を含有する熱可塑性樹脂(A)が少なくともポリエーテルエステルアミド、ポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマーを含有する化合物であることを特徴とする。
【0040】
請求項6の発明は、前記グラフトコポリマー(E)が、主鎖にポリカーボネート樹脂を有して側鎖にアクリロニトリル-スチレン-グリシジルメタクリレート共重合体を有するグラフトコポリマーであることを特徴とする。
【0041】
請求項7の発明は、前記樹脂組成物を溶融混練して作製することを特徴とする。
【0042】
請求項8の発明は、前記電解質塩(C)が、過塩素酸塩類、含フッ素有機アニオン塩類及び有機ホスホニウム塩類から選ばれた少なくとも1種類以上の電解質塩であることを特徴とする。
【0043】
請求項9の発明は、前記過塩素酸塩類が、過塩素酸リチウム及び過塩素酸ナトリウムから選ばれた塩であることを特徴とする。
【0044】
請求項10の発明は、前記含フッ素有機アニオン塩類が、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ビス(トリフルオロメタン)スルホニルイミド酸リチウム及びトリス(トリフルオロメタン)スルホニルメチド酸リチウムから選ばれた塩であることを特徴とする。
【0045】
請求項11の発明は、前記繊維状ポリマー(B)の配合比率が、樹脂組成物全体に対して0.01〜30重量%であることを特徴とする。
【0046】
請求項12の発明は、請求項1乃至請求項11のいずれか1つに記載の導電性部材は、前記像担持体を帯電させることを特徴とする。
【0047】
請求項13の発明は、請求項12に記載の導電性部材を有するプロセスカートリッジであることを特徴とする。
【0048】
請求項14の発明は、請求項13に記載のプロセスカートリッジを有する画像形成装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0049】
請求項1の発明によれば、導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された電気抵抗調整層と、この電気抵抗調整層の両端部に形成されるとともにこの電気抵抗調整層と異なる材質の空隙保持部材とを備え、この空隙保持部材によって像担持体と前記電気抵抗調整層との間を一定の空隙に保持する導電性部材であって、前記電気抵抗調整層は、少なくともエーテル基を含有する熱可塑性樹脂(A)と、この(A)中で不溶であり且つ分子中に芳香族骨格を有する繊維状ポリマー(B)と、電解質塩(C)とを有する樹脂組成物により構成されていることにより、抵抗調整層の抵抗上昇を発生させずに、吸水性を低減することができる。これにより、導電性部材と像担持体との間の空隙の環境変動を低減することができるので、空隙の環境変動による画像不良の発生を防止することができる。
【0050】
請求項2の発明によれば、繊維状ポリマー(B)として、全芳香族ポリアミド系繊維(アラミド繊維)、全芳香族ポリエステル繊維(ポリアリレート繊維)、PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維の中から選ばれた少なくとも1種類以上の繊維状ポリマーを配合することで、エーテル基含有熱可塑性樹脂(A)中において繊維状ポリマーを極めて安定した状態で分散させることが可能となるので、他の特性を損なう事無く、導電性向上、吸水性低減が可能である。
【0051】
請求項3の発明によれば、電気抵抗調整層が請求項1乃至請求項2に記載の構成に加えて、(A)よりも高硬度の熱可塑性樹脂(D)を配合した構成では、(D)が(A)よりも低吸水であるので、導電性を低下させずに、さらに低吸水な処方とすることができるため、導電性向上と吸水性低減を両立した抵抗調整層とすることができる。
【0052】
請求項4の発明によれば、電気抵抗調整層が請求項1乃至請求項3に記載の構成に加えて、(A)(D)双方に親和性を有するグラフトコポリマー(E)を配合した構成では、(E)が(A)よりも低吸水であるので、導電性を低下させずに、さらに低吸水な処方とすることができるため、導電性向上と吸水性低減を両立した抵抗調整層とすることができる。
【0053】
請求項5の発明によれば、エーテル基を含有する熱可塑性樹脂(A)として、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマーという、繊維状ポリマー(B)が含有する官能基と一致する官能基を有する化合物を用いることで、(A)と(B)との間で高い親和性が得られるので、均一に分散して、より高い特性を得ることが可能である。
【0054】
請求項6の発明によれば、グラフトコポリマー(E)として、主鎖にポリカーボネート樹脂を有して側鎖にアクリロニトリル-スチレン-グリシジルメタクリレート共重合体を有するグラフトコポリマーを配合することで、このグラフトコポリマーを相溶化剤として作用させて、(A)(D)の相溶性悪化に伴う特性低下が発生しない。また、このグラフトコポリマー自体が低吸水性であるため、配合した処方の吸水性低減が可能である。
【0055】
請求項7の発明によれば、樹脂組成物を溶融混練して作製することで、グラフトコポリマーの効果により、溶融混練時の加熱により緻密な分散状態を作り出すことができるので、導電性が向上する。さらに分散状態の緻密化により、樹脂中で外気と接触する(A)の表面積が小さくなるので、吸水性を低減することが可能である。
【0056】
請求項8の発明によれば、電解質塩(C)として、過塩素酸塩類、含フッ素有機アニオン塩類及び有機ホスホニウム塩類から選ばれた少なくとも1種類以上の電解質塩のような、吸水性の低い塩を配合することで、導電性向上、吸水性低減が可能である。
【0057】
請求項9の発明によれば、過塩素酸塩類を、過塩素酸リチウム及び過塩素酸ナトリウムから選ばれた塩のような解離度が高い塩とすることで、導電性に寄与する解離イオンの量が増加して、導電性向上、吸水性低減が可能である。
【0058】
請求項10の発明によれば、含フッ素有機アニオン塩類として、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ビス(トリフルオロメタン)スルホニルイミド酸リチウム及びトリス(トリフルオロメタン)スルホニルメチド酸リチウムから選ばれた塩のような、カチオンのイオン半径の小さいリチウム塩とすることで、イオン移動度が高く、導電性が向上する。
【0059】
請求項11の発明によれば、繊維状ポリマー(B)の配合比率を、樹脂組成物全体に対して0.01〜30重量%とすることで、導電性及び吸水性への効果を発現し、かつ均一な分散性を得ることが可能となる。
【0060】
請求項12の発明によれば、導電性部材を近接帯電方式用の帯電部材として用いることで、いかなる環境においても、優れた画像品質を得ることができる。
【0061】
請求項13の発明によれば、請求項12に記載の帯電部材を用いることで、長期間にわたって、優れた画像品質が得られる近接帯電方式のプロセスカートリッジとすることができる。
【0062】
請求項14の発明によれば、請求項13に記載のプロセスカートリッジを用いることで、長期間にわたって、優れた画像品質が得られる近接帯電方式の画像形成装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
以下、この発明に係る導電性部材とこの導電性部材を有するプリセスカートリッジとこのプリセスカートリッジを有する画像形成装置の実施形態の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0064】
図2は本発明の導電性部材を帯電部材として用いた場合の帯電装置及び、プロセスカートリッジを用いる画像形成装置の構成を示す概略図である。図3は、図2の画像形成装置の画像形成部の構成を示す概略図である。
【0065】
画像形成装置1は、表面に感光層を有するドラム状であってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色に対応する分の個数分の像担持体(感光体)61と、各像担持体61の周面をほぼ一様に帯電する帯電装置100と、帯電された像担持体61にレーザ光で露光して静電潜像を形成する露光装置70と、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の現像剤をそれぞれ収容し、像担持体61上の静電潜像に対応するトナー像を形成する4つの現像装置63と、像担持体61上のトナー像を転写する4つの1次転写装置62と、像担持体61上のトナー像が転写されるベルト状の中間転写体50と、中間転写体50のトナー像を記録媒体(記録紙)上に転写する2次転写装置51と、中間転写体50のトナー像が転写される記録媒体上のトナー像を定着させる定着装置80と、さらに、各像担持体61上に転写後残留するトナーをそれぞれ除去する4つのクリーニング装置64とを備える。
【0066】
記録紙は、記録紙を収納する給紙カセット21…のひとつから、1枚ずつ搬送経路を搬送ローラでレジストローラ23まで搬送され、ここで、像担持体61上のトナー像と同期を計って転写位置に搬送される。
【0067】
画像形成装置1の露光装置70は、帯電装置100により帯電された像担持体61に光を照射して、光導電性を有する像担持体61上に静電潜像を形成する。光Lは、蛍光灯、ハロゲンランプ等のランプ、LED、LD等の半導体素子によるレーザ光線等であっても良い。ここでは、図示しない画像処理部からの信号により像担持体61の回転速度に同期して照射される場合は、LDの素子を用いる。
【0068】
現像装置63は、現像剤担持体を有し、現像装置63内に貯蔵されたトナーを供給ローラで攪拌部に搬送して、キャリアを含む現像剤と混合・攪拌し、像担持体61に対向する現像領域に搬送し、このときに、トナーは正又は負極性に帯電され、このトナーが像担持体61の静電潜像に転移して現像される。現像剤は、磁性又は非磁性の一成分現像剤又はこれらを併せて使用するものであっても良いし、湿式の現像液を用いるものであっても良い。
【0069】
1次転写装置62は、像担持体61上の現像されたトナー像を中間転写体50の裏側からトナーの極性と反対の極性の電場を形成して、中間転写体50に転写する。1次転写装置62は、コロトロン、スコロトロンのコロナ転写器、転写ローラ、転写ブラシのいずれの転写装置であっても良い。
【0070】
その後、給紙装置20から搬送されてくる記録媒体と同期させて、再度2次転写装置51による転写で記録媒体上にトナー像を転写する。ここで、最初の転写が中間転写体50ではなく、記録媒体に直接転写する方式であっても良い。
【0071】
定着装置80は、記録媒体上のトナー像を、加熱及び/又は加圧して記録媒体上にトナー像を固定して定着させる。ここでは、1対の加圧・定着ローラの間を通過させ、このときに熱・圧力をかけて、トナーの結着樹脂を溶融しながら定着させる。定着装置80は、ローラ状ではなく、ベルト状であっても良いし、ハロゲンランプ等で熱照射により定着させるものであっても良い。
【0072】
像担持体61のクリーニング装置64は、転写されずに像担持体61上に残留したトナーをクリーニングして除去し、次の画像形成を可能にする。クリーニング装置64は、ウレタン等のゴムによるブレード、ポリエステル等の繊維によるファーブラシ等のいずれの方式であっても良い。
【0073】
以下、この発明の画像形成装置1の動作について説明する。
【0074】
読み取り部30では、原稿搬送部36の原稿台上に原稿をセットするか、又、原稿搬送部36を開いてコンタクトガラス31上に原稿をセットし、原稿搬送部36を閉じて原稿を押さえる。そして、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿搬送部36に原稿がセットされている場合にはその原稿がコンタクトガラス31上へと搬送した後、コンタクトガラス31上に原稿がセットされた場合には直ちに、第1読み取り走行体及び第2読み取り走行体32、33が走行する。
【0075】
そして、第1読み取り走行体32で光源から光を発光するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2読み取り走行体33に向け、第2読み取り走行体33のミラーで反射して結像レンズ34を通して読取りセンサであるCCD35に受光させて画像情報を読み取る。読み取った画像情報を制御部に送る。制御部は、読み取り部30から受け取った画像情報に基づき、画像形成部60の露光装置70内に配設された図示しないLD又はLED等を制御して像担持体61に向けて、書き込みのレーザ光Lを照射させる。この照射により、像担持体61の表面には静電潜像が形成される。
【0076】
給紙装置20は、多段に備える給紙カセット21から給紙ローラにより記録媒体を繰り出し、繰り出した記録媒体を分離ローラで分離して給紙路に送り出し、画像形成部60の給紙路に記録媒体を搬送ローラで搬送する。この給紙装置20以外に、手差し給紙も可能となっており、手差しのための手差しトレイ、手差しトレイ上の記録媒体を手差し給紙路に向けて一枚ずつ分離する分離ローラも装置側面に備えている。レジストローラ23は、それぞれ給紙カセット21に載置されている記録媒体を1枚だけ排出させ、中間転写体50と2次転写装置51との間に位置する2次転写部に送る。画像形成部60では、読み取り部30から画像情報を受け取ると、上述のようなレーザ書き込みや、現像プロセスを実施させて像担持体61上に潜像を形成させる。
【0077】
現像装置63内の現像剤は、図示しない磁極により汲み上げて保持され、現像剤担持体上に磁気ブラシを形成する。さらに、現像剤担持体に印加する現像バイアス電圧により像担持体61に転移して、その像担持体61上の静電潜像を可視化して、トナー像を形成する。現像バイアス電圧は、交流電圧と直流電圧を重畳させている。次に、トナー像に応じたサイズの記録媒体を給紙させるべく、給紙装置20の給紙ローラのうちの1つを作動させる。また、これに伴なって、駆動モータで支持ローラの1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写体50を回転搬送する。同時に、個々の画像形成ユニットでその像担持体61を回転して像担持体61上にそれぞれ、ブラック・イエロー・マゼンタ・シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写体50の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写体50上に合成トナー像を形成する。
【0078】
一方、給紙装置20の給紙ローラの1つを選択回転し、給紙カセット21の1つから記録媒体を繰り出し、分離ローラで1枚ずつ分離して給紙路に入れ、搬送ローラで画像形成装置1の画像形成部60内の給紙路に導き、この記録媒体をレジストローラ23に突き当てて止める。そして、中間転写体50上の合成トナー像にタイミングを合わせてレジストローラ23を回転し、中間転写体50と2次転写装置51との当接部である2次転写部に記録媒体を送り込み、この2次転写部に形成されている2次転写バイアスや当接圧力などの影響によってトナー像を2次転写して記録媒体上にトナー像を記録する。ここで、2次転写バイアスは、直流であることが好ましい。画像転写後の記録媒体は、2次転写装置51の搬送ベルトで定着装置80へと送り込み、定着装置80で加圧ローラによる加圧力と熱の付与によりトナー像を定着させた後、排出ローラ41で排紙トレイ40上に排出する。
【0079】
ここで、本発明の導電性部材が帯電部材として用いられる場合について、帯電装置100で詳細に説明する。
【0080】
図4は、本発明の帯電装置及び、プロセスカートリッジの構成を示す概略図である。プロセスカートリッジとは、少なくとも、像担持体61と帯電装置100、クリーニング装置64を含むものであり、図4の様に、現像装置63が含まれる場合もある。プロセスカートリッジは、それ自体が一体で画像形成装置に着脱自由なものである。
【0081】
図3に基づいて説明すると、像担持体61の表面は画像形成領域が非接触で配置された帯電部材(導電性部材)101により一様に帯電され、画像(潜像)形成後に現像によって可視化され、トナー像が記録媒体に転写される。記録媒体に転写されずに像担持体61上に残ったトナーは、補助クリーニング部材64d(図4参照)によって回収される。その後、像担持体61の表面へのトナー及び、トナー構成材料の付着を防止するために、固体潤滑剤64aを塗布部材64bで像担持体上に一様に塗布し滑剤層を形成する。その後、クリーニング部材64cで補助クリーニング部材で回収しきれなかったトナーを回収し排トナー回収部へ搬送する。
【0082】
補助クリーニング部材64dは、ローラ形状、ブラシ形状があり、固体潤滑剤としては、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類、ポリテトラフルオロエチレン等、像担持体上の摩擦係数を低減して、非粘着性を付与できるものであれば良い。クリーニング部材はシリコン、ウレタン等のゴムによるブレード、ポリエステル等の繊維によるファーブラシ等が挙げられる。
【0083】
帯電装置100は、帯電部材101の汚染を除去するためのクリーニング部材102を備える。クリーニング部材の形状は、ローラ状、パッド形状でもよいが、本発明ではローラ形状とした。クリーニング部材102は、帯電装置100の図示しないハウジングに設けられる軸受に嵌合され、回転可能に軸支される。このクリーニング部材102は、帯電部材101に当接して、外周面をクリーニングする。帯電部材101の表面にトナー、紙粉、部材の破損物等の異物が付着すると、電界が異物部分に集中するために優先的に放電が生ずる異常放電を起こす。逆に、電気的絶縁性の異物が広い範囲に付着すると、その部分では放電が生じないために、像担持体61に帯電斑が生ずる。このために、帯電装置100には帯電部材101の表面をクリーニングするクリーニング部材102を設けることが好ましい。クリーニング部材としては、ポリエステル等の繊維によるブラシ、メラミン樹脂等の多孔質(スポンジ)のようなものを用いることができる。クリーニング部材は、帯電部材に連れ回り、線速差を持って回転、離間して間欠等の形式で回転させても良い。
【0084】
また、帯電装置100は、帯電部材101に電圧を印加する電源を備える。電圧としては、直流電圧だけでも良いが、直流電圧と交流電圧を重畳した電圧が好ましい。帯電部材101の層構成が不均一な部分がある場合には、直流電圧のみを印加すると像担持体61の表面電位が不均一になることがある。重畳した電圧では、帯電部材101表面が等電位となり、放電が安定して像担持体61を均一に帯電させることができる。重畳する電圧における交流電圧は、ピ−ク間電圧を像担持体61の帯電開始電圧の2倍以上にすることが好ましい。帯電開始電圧とは、帯電部材101に直流のみを印加した場合に像担持体61が帯電され始めるときの電圧の絶対値である。これにより、像担持体61から帯電部材101への逆放電が生じ、そのならし効果で像担持体61をより安定した状態で均一に帯電させることができる。また、交流電圧の周波数は像担持体の周速度(プロセススピード)の7倍以上であることが望ましい。7倍以上の周波数にすることにより、モアレ画像が(目視)認識できなくなる。
【0085】
この発明の実施例では、補助クリーニング部材はブラシローラ、滑剤はステアリン酸亜鉛をブロック状に形成し、塗布部材であるブラシローラに、バネ等の加圧部材で加圧することにより、塗布ローラで固体潤滑剤ブロックから削り取った固体潤滑剤を像担持体へ塗布するような構成である。クリーニング部材はウレタンブレードを用いカウンター方式とした。また、帯電部材のクリーニング部材は、メラミン樹脂のスポンジローラを用いて、帯電部材と連れ回りで回転させる方式とすることにより、帯電部材の表面の汚れを良好にクリーニングできる。
【0086】
図5は、この発明の導電性部材である帯電部材101と、像担持体61の感光層領域及び、画像領域、非画像領域の位置関係を示す概略図である。
【0087】
帯電装置100は、像担持体61に対向して配設される帯電部材101と、帯電部材101を清掃するクリーニング部材102と、帯電部材101に電圧を印加する不図示の電源と、帯電部材101を像担持体に61に加圧して接触させる不図示の加圧スプリングとを少なくとも備える。
【0088】
帯電部材101は、図4及び図5に示すように、像担持体61に微少間隙Gを持たせて対向して配設される。帯電部材101と像担持体61の間隙Gは、空隙保持部材103を帯電部材101の非画像形成領域に当接させて形成する。感光層領域に空隙保持部材を当接させることにより、感光層の塗布厚がばらついても、空隙のばらつきを防止することができる。
【0089】
帯電部材101は、図5に示すように、導電性支持体106と、この導電性支持体106上に形成された電気抵抗調整層104と、この電気抵抗調整層104の両端部に設けた空隙保持部材103とを備えている。そして、電気抵抗調整層104上には、トナー及びトナー添加剤が付着しにくいように、表面層105が形成されている。
【0090】
帯電部材101の形状は、特に限定されず、ベルト状、ブレード(板)状、半円柱状で固定されて配設されていても良い。また、帯電部材101の形状が円柱状で、両端をギア又は軸受で回転可能に支持されていても良い。このように、帯電部材101は、像担持体61への最近接部から、像担持体61移動方向の上下流に漸次離間する曲面で形成されていると、像担持体61をより均一に帯電させることができる。像担持体61に対向する帯電部材101が、先鋭な部分があると、その部分の電位が高くなるために優先的に放電が開始され、像担持体61の均一な帯電が困難になる。従って、円柱状の形状で、曲面を有することで均一な像担持体61の帯電が可能になる。
【0091】
また、帯電部材101の放電している表面は強いストレスを受ける。放電が常に同じ面で発生するので、その劣化が促進され、さらに、削り落ちることがある。そのために、帯電部材101の全面を放電する面として使用できるのであれば、回転させることで、早期の劣化を防止することで、長期にわたって使用することができる。
【0092】
帯電部材101と像担持体61との間隙Gは、空隙保持部材103により100μm以下、特に、5〜70μm程度の範囲にする。これにより、帯電装置100の作動時における異常画像の形成を抑えることができる。間隙Gが、100μm以上では、像担持体61に到達するまでの距離も長くなることで、パッシェンの法則の放電開始電圧が大きくなり、さらに、像担持体61までの放電空間が大きくなることで、像担持体61を所定の帯電をさせるためには放電による放電生成物が多量に必要となり、これが画像形成後も放電空間に多量に残留し、像担持体61に付着して、像担持体61の経時劣化を促進する原因になる。また、この間隙Gが小さいと、像担持体61までの到達距離も短く、放電エネルギーも小さくても像担持体61を帯電させることができる。しかし、帯電部材101と像担持体61により形成される空間が狭くなり、空気の流が悪くなってしまう。そのために、放電空間で形成された放電生成物はこの空間内に滞留するために、間隙Gが大きい場合と同様に、画像形成後も放電空間に多量に残留し、像担持体61に付着して、像担持体61の経時劣化を促進する原因になる。従って、放電エネルギーを小さくして放電生成物の生成を少なくし、かつ、空気が滞留しない程度の空間を形成することが好ましい。そのために、間隙Gは、100μm以下であって、5〜70μmの範囲にすることが好ましい。これにより、ストリーマ放電の発生を防止し、放電生成物の生成を少なくして像担持体61に堆積する量を少なくして、斑点状の画像斑・像流れを防止することができる。
【0093】
ここで、像担持体61上に現像後に残留するトナーは、像担持体61に対向して設けられるクリーニング装置64によりクリーニングされるが、完全に除去するのは困難であり、極わずかのトナーがクリーニング装置を通過し、帯電装置100へと搬送されてくる。このときに、トナーの粒径が間隙Gより大きいと、トナーは回転する像担持体61や帯電部材101により摺擦されて熱を帯び、帯電部材101に融着することがある。このトナーが融着した部分は、像担持体61に近くなるために優先的に放電が生ずる異常放電を起こす。従って、間隙Gは、画像形成装置1に用いられるトナーの最大粒径よりも大きいことが好ましい。
【0094】
また、帯電部材101は、図4、図5に示すように、帯電装置100の図示しないハウジングの側板に設けられる軸受に嵌合され、軸受には従動しない摩擦係数の低い樹脂による軸受107に設ける圧縮バネ108により像担持体61表面方向に押圧されている。これにより、機械的振動、芯金の偏位があっても一定の間隙Gを形成することができる。押圧する荷重は、4〜25Nにする。好ましくは、6〜15Nにする。
【0095】
帯電部材101は、軸受107で固定されていても、回転するときの振動、帯電部材101の偏心、その表面の凹凸により間隙Gの大きさが変動し、間隙Gが適正な範囲からはずれる場合があり、このために、経時的には像担持体61の劣化を促進することになる。ここで、荷重とは、空隙保持部材103を通して像担持体61に加わるすべての荷重を意味する。これは、帯電部材101の両端に設けられる圧縮バネ108の力、帯電部材101とクリーニング部材102の自重等により調整できる。荷重が小さいと、帯電部材101の回転時による変動、駆動するギア等の衝撃力による跳ね上がりを抑えることができない。荷重が大きいと、帯電部材101と嵌合する軸受107との摩擦が大きくなり、経時的な摩耗量を大きくして変動を促進することになる。従って、荷重を4〜25N、好ましくは、6〜15Nの範囲にすることにより、間隙Gを適正な範囲にして、放電生成物の生成を少なくして像担持体61に堆積する量を少なくして像担持体61の寿命を延ばし、かつ、斑点状の異常画像・画像流を防止することができる。
【0096】
空隙保持部材103は、空隙保持部材103の一部が電気抵抗調整層104と高低差を有している。空隙Gを形成する方法としては、電気抵抗調整層104と空隙保持部材103を切削、研削等の除去加工により同時加工することにより形成することができる。空隙保持部材103と抵抗調整層104を同時加工することにより、空隙Gを高精度に形成することが可能となる。
【0097】
空隙保持部材103の電気抵抗調整層104と隣接する部分の高さを、電気抵抗調整層104の高さと同一、もしくは低く形成することで、空隙保持部材103と像担持体61との接触幅が低減され、帯電部材101と像担持体61との空隙Gを高精度にすることができる。このようにすることで、空隙保持部材103の電気抵抗調整層104側の端部の外表面が像担持体61に当接することを防止することができ、この端部を介して隣接する電気抵抗調整層104が像担持体61に接触してリーク電流が発生してしまうことを防止することが可能となる。また、空隙保持部材103の電気抵抗調整層104側の端部を低く加工することによって、この部分を、除去加工を行う際の切削刃等の逃げ代(逃げ加工)とすることができる。なお、逃げ代(逃げ加工)の形状は、空隙保持部材103の端部の外表面が像担持体61に当接しないような形状であるならばどのような形状であっても良い。
【0098】
更に、表面層105をコーティングする際のマスキングを電気抵抗調整層104と空隙保持部材103の境界に施すことは、ばらつきを考慮すると制御が難しく、段差を形成する際に、電気抵抗調整層104と同一もしくは、低く形成された空隙保持部材103の端部まで表面層を形成することで、電気抵抗調整層104上に確実に表面層105を形成することができる。
【0099】
空隙保持部材103の必要な特性としては、感光体との空隙を環境及び、長期(経時)に渡って安定して形成することであり、そのためには、吸湿性、耐摩耗性が小さい材料が望ましい。また、トナー及び、トナー添加剤が付着しにくいことや、感光体と当接し、摺動するために、感光体を摩耗させないということも重要であり、種々の条件に応じて、適宜選択されるものである。
【0100】
具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアセタール(POM)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)およびその共重合体(AS、ABS)等の汎用樹脂、ポリカーボネート(PC)、ウレタン、フッ素(PTFE)等があげられる。特に空隙保持部材を確実に固定するためには、接着剤を塗布して接着することができる。また、空隙保持部材は絶縁性材料が好ましく、体積固有抵抗で10^13Ωcm以上であることが好ましい。絶縁性が必要である理由は、感光体とのリーク電流の発生を無くすためである。空隙保持部材は、成型加工により成形されたものである。
【0101】
電気抵抗調整層はイオン導電による導電機構を得るために、分子中に少なくともエーテル基を含有する熱可塑性樹脂(A)と、(A)中において不溶であり、分子中に芳香族骨格を有する繊維状ポリマー(B)、電解質塩(C)を含有する樹脂材料より構成される。イオン導電性が必要な理由は、一般的にカーボンブラックのような電子導電系の導電剤を用いた場合、電荷がカーボンブラックを通して像担持体へ放電するために、カーボンブラックの分散状態に起因した微小な放電ムラが生じやすく、高画質化の妨げとなる。特に高電圧印加時はこの現象が顕著となるからである。イオン導電材料としては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩のような低分子量の塩があるが、通電のため、分極してブリードアウトしやすい。
【0102】
そこで高分子型イオン導電材料として、エーテル基を含む熱可塑性樹脂が用いられる。分子中にエーテル基を有することにより、エーテル結合に含まれる酸素原子等により塩が安定化され、低い電気抵抗値を得ることが可能となる。この構成ではマトリクスポリマー中に分子レベルで均一に分散、固定化されるので、導電性顔料を分散した組成物に見られるような分散不良に伴う抵抗値のバラツキが生じない。また高分子材料であるため、ブリードアウトが生じ難い。エーテル基を含む熱可塑性樹脂としてはポリエーテルエステルアミド、ポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマーが挙げられる。エーテル基を含む熱可塑性樹脂は、一般にエーテル基の比率で親水性、疎水性グレードに大別され、特性が大きく異なる。そのため、目的の特性を得るために、複数のグレードをブレンドすることも可能である。
【0103】
しかしながら、イオン導電による導電機構においては、雰囲気中の水素イオン、水酸化物イオンの関与する反応が導電経路の一部を担っている。そのため、空気中の水分量が導電性に与える影響が非常に高く、材料自体が吸水することによって、導電性を得ている。従って、一般的に高分子型イオン導電材料は吸水性が高く、吸水による体積変化(膨潤性)が大きい。そのため、近接帯電方式の帯電部材の抵抗調整層の材質として使用した場合に、帯電部材と感光体の空隙の環境変動が大きくなり、帯電性能が低下する。
【0104】
具体的には、高温高湿環境において、抵抗調整層が膨張するため、空隙が減少して、極端な場合には帯電部材が感光体に接触してしまう。この場合には、経時で感光体上の放電生成物や残留トナー等が帯電部材側に付着するため、その部分の導電性が低下して、黒スジ等の画像不良が発生する。また、低温低湿環境では逆に空隙が大きくなるため、帯電部材から感光体への放電が不均一となり、アナログハーフトーン画像を出力した場合に、白ポチとなって現れ、画像不良となる。帯電部材の膨潤性を低減するためには、抵抗調整層の配合処方を変更して、低吸水化することが必要である。具体的には、吸水性に寄与するエーテル基の比率を下げることで、樹脂の低吸水化が可能であるが、その場合は同時に抵抗上昇を招き、帯電部材に必要な導電性が得られなくなってしまう。これまでの検討において、吸水性と導電性がトレードオフの関係にあるため、吸水性低減と導電性向上を両立することが困難であった。
【0105】
そこで、抵抗調整層の処方検討を行なってきた結果、エーテル基含有熱可塑性樹脂(A)に、(A)中において不溶であり、分子中に芳香族骨格を有する繊維状ポリマー(B)を配合した場合に、抵抗上昇を発生させずに吸水性が低減することを見出した。通常、(A)に、絶縁性の熱可塑性樹脂を配合した場合は、吸水性を下げることができるが、同時に抵抗上昇して導電性が低下する。それに対して、同じ絶縁性でも、(A)中において不溶で、分子中に芳香族骨格を有する繊維状ポリマー(B)を配した場合は、抵抗上昇しない。この繊維状ポリマー(B)は、(A)中において不溶で、分子中に安定な芳香族骨格を有することにより、(A)中において極めて安定した状態で網目構造を形成しており、この網目構造に沿って優先的な導電経路が確立したことにより、導電性が低下しない。これにより、吸水性低減と導電性向上を両立することが可能である。(A)中において不溶であり、分子中に芳香族骨格を有する繊維状ポリマー(B)としては、全芳香族ポリアミド系繊維(アラミド繊維)、全芳香族ポリエステル繊維(ポリアリレート繊維)、PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維が挙げられる。アラミド繊維、ポリアリレート繊維、PBO繊維の代表的な構造をそれぞれ図6〜図10に示す。これらの繊維状ポリマーは、スーパー繊維と呼ばれており、高強力、高弾性率、高耐熱性とあらゆる面で優れた特性を示す。そのため、配合した処方では、他の特性を低下させることなく、吸水性低減と導電性向上が可能である。さらに、これらの繊維状ポリマーは、アラミド繊維がアミド基、ポリアリレート繊維がエステル基、PBO繊維がエーテル基を含有しており、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマーが含有する官能基と一致する。従って、(A)との親和性が非常に高いので、均一な分散性を容易に得ることが可能である。アラミド繊維としては、パラ型、メタ型に関わらず、使用することが可能である。(B)の配合比率としては、樹脂組成物全体に対して、0.01〜30重量%の割合で配合されていることが望ましい。配合量が0.01重量%よりも低い場合は、吸水性・導電性への効果が発現せず、30重量%よりも高い場合は、樹脂組成物中に均一に分散させることが困難となる。上記の繊維状ポリマーであれば、複数の繊維状ポリマーを混合して配合することも可能である。
【0106】
ただし、エーテル基を含む熱可塑性樹脂材料と繊維状ポリマーだけでは、帯電部材として使用するための導電性を得ることができないため、電解質塩を併用することにより、導電性向上が達成できる。電解質塩としては、過塩素酸塩類、含フッ素有機アニオン塩類、有機ホスホニウム塩類が挙げられる。これらの電解質塩は、導電性が高く、さらに比較的低吸水性であるので、吸水性低減と導電性向上の両立が可能である。
【0107】
具体的に、過塩素酸塩としては、一般的に用いられているものであれば、使用することは可能であるが、導電性を考慮すると、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩から選ばれた塩であることが望ましい。その中でも、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウムは、塩の解離度が高く、解離イオンの量が多くなって導電性が向上するので、特に好ましい。
【0108】
含フッ素有機アニオン塩類としては、フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩が望ましい。上記陰イオンを備えた塩は、フルオロ基(−F)およびスルホニル基(−SO2−)による強い電子吸引効果によって電荷が非局在化するため、陰イオンが安定なポリマー組成物中で高い解離度を示し、高いイオン導電性を実現できる。中でも、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドのアルカリ金属塩、トリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドのアルカリ金属塩およびフルオロアルキルスルホン酸のアルカリ金属塩等は抵抗値の低下を容易に達成可能であり、望ましい。具体的には、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(Li(CF3SO2)2N)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドカリウム(K(CF3SO2)2N)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウム(Na(CF3SO2)2N)、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドリチウム(Li(CF3SO2)3C)、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドカリウム(K(CF3SO2)3C)、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドナトリウム(Na(CF3SO2)3C)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(Li(CF3SO3))、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム(K(CF3SO3))、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム(Na(CF3SO3))が挙げられる。特に、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム、およびトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドリチウムのリチウム塩は、カチオンであるリチウムイオンのイオン半径が小さいので、イオン移動度が非常に高く、最も導電性が向上するため、特に好ましい。
【0109】
有機ホスホニウム塩類としては、具体的にはエチルトリフェニルホスホニウム・テトラフルオロボレート、テトラフェニルホスホニウム・ブロマイド等の四級ホスホニウム塩が挙げられる。
【0110】
電解質塩は、高分子型イオン導電材料に添加して混練することにより、所定の割合に配合することが可能であり、複数の電解質塩をブレンドして添加することもできる。また、過塩素酸塩を含有する高分子型イオン導電材料としては、例えばチバスペシャルティケミカルズ製の「IRGASTAT P18」として、含フッ素有機アニオン塩を含有する高分子型イオン導電材料として、例えば三光化学工業(株)の「サンコノール」シリーズとして入手することが可能である。塩の配合量としては、高分子型イオン導電材料中に0.01〜20重量%の割合で配合されていることが望ましい。配合量が0.01重量%よりも低い場合は、導電性が不足してしまい、20重量%よりも高い場合は、樹脂組成物中に均一に分散させることが困難となる。抵抗調整層の体積固有抵抗は10^6〜10^9Ωcmであることが望ましい。10^9Ωcmを越えると、帯電能力や転写能力が不足してしまい、10^6Ωcmよりも体積固有抵抗が低いと、感光体全体への電圧集中によるリークが生じてしまう。
【0111】
また、本発明で用いられるような導電性部材101は、部品の高精度化を達成するためは、切削、研削のような、機械加工が必要となる。
【0112】
ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマーは柔らかく、機械加工しにくいという課題がある。そこで、必要に応じて、これらの樹脂より硬度が高い、他の熱可塑性樹脂(D)とブレンドすることが可能である。硬度が高くなることにより、機械加工性が向上する。高硬度の熱可塑性樹脂(D)は特に限定されるものではないが、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)およびその共重合体(AS、ABS)等の汎用樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール等のエンジニアリングプラスチック等であれば、成形加工が容易であり好ましい。配合量については、電気抵抗調整層104の導電性を損なわない範囲であれば、目的の機械加工性に応じて設定することが可能である。繊維状ポリマー(B)と組み合わせた場合は、(A)よりも高硬度の熱可塑性樹脂を配合した処方系においても、導電性向上と吸水性低減が可能である。
【0113】
2種以上の樹脂をブレンドする場合、樹脂同士の相溶性が悪く、高い導電性が得られない場合がある。その場合、相溶化剤を添加することが望ましい。相溶化剤としては、熱可塑性樹脂同士の間に作用して、相溶性を上げるために用いる。このような相溶化剤としては、前述の(A)(D)双方に親和性を有するグラフトコポリマー(E)が挙げられる。
【0114】
グラフトコポリマー(E)としては、主鎖にポリカーボネート樹脂を、側鎖にアクリロニトリル-スチレン-グリシジルメタクリレート共重合体を有するグラフトコポリマーを用いる。主鎖のポリカーボネート樹脂は有極性基、ジオキシ基の鎖をもつ分子構造のため、分子間引力が非常に強い。このため、力学的強度・クリープ特性などに優れ、特に衝撃強度は他プラスチックと比較してずばぬけて優れている。また、側鎖に含まれるアクリロニトリル−スチレン−グリシジルメタクリレート共重合体は、アクリロニトリル成分及びスチレン成分と反応基であるグリシジルメタクリレート成分からなる。反応基のグリシジルメタクリレートは、成分を溶融混練する際の加熱により、エポキシ基が(A)のエステル基やアミド基と反応し、(A)と強固に化学的結合をする。更に、アクリロニトリル成分及びスチレン成分は、(D)との相溶性が良好である。そのため、(E)のグラフトコポリマーは、本来親和性の低い(A)(D)間の相溶化剤として機能し、(A)(D)の分散状態を均一かつ緻密化するので、高い導電性を得ることが可能である。また、このグラフトコポリマー自体が低吸水性であり、吸水に伴う体積変動が少ない。さらに、分散状態の緻密化により、樹脂(A)の表面上で、空気に接触する部分の表面積が減少するので、低吸水化が可能である。その結果、繊維状ポリマー(B)とグラフトコポリマー(E)を配合した処方系では、さらなる導電性向上、吸水性低減が可能である。グラフトコポリマーの量は(A)(D)の合計に対して1〜15重量%に設定することで(A)(D)の相溶性を向上させ、優れた加工安定性を得ることができる。
【0115】
樹脂組成物の製造方法に関しては特に制限はなく、各材料の混合物を二軸混練機、ニーダー等で溶融混練することによって、容易に製造できる。電気抵抗調整層104としての導電性支持体106上への形成は、押出成形や射出成形等の手段で導電性支持体106に上記半導電性樹脂組成物を被覆することによって、容易に行うことができる。
【0116】
導電性支持体106上に電気抵抗調整層104のみを形成して導電性部材101を構成すると、電気抵抗調整層104にトナー及び、トナーの添加剤等が固着して性能低下する場合がある。このような不具合は、電気抵抗調整層104に表面層105を形成することで、防止することができる。
【0117】
表面層105の抵抗値は電気抵抗調整層104のそれよりも大きくなるように形成され、それによって感光体欠陥部への電圧集中、異常放電(リーク)を回避することができる。ただし、表面層105の抵抗値を高くしすぎると帯電能力や転写能力が不足してしまうため、表面層105の体積固有抵抗としては、電気抵抗調整層104の体積固有抵抗の1000倍以下にすることが好ましい。
【0118】
表面層105を形成する材料としては、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等が非粘着性に優れ、トナー固着防止の面で好ましい。また表面層105の電気抵抗調整層104上への形成は、上記表面層構成材料を有機溶媒に溶解して塗料を作製し、スプレー塗装、ディッピング、ロールコート等の種々のコーティング方法で行う。膜厚については、10〜30μm程度が望ましい。
【0119】
表面層104の材料は、1液性、2液性どちらも使用可能であるが、硬化剤を併用する2液性塗料にすることより、耐環境性、非粘着性、離型性を高めることが出来る。2液性塗料の場合、塗膜を加熱することにより、樹脂を架橋・硬化させる方法が一般的である。
【0120】
しかしながら、電気抵抗調整層104は熱可塑性樹脂のため、高い温度で加熱することができない。2液性塗料としては、分子中に水酸基を有する主剤及び、水酸基と架橋反応を起こす、イソシアネート系樹脂を用いることことが有効である。イソシアネート系樹脂を用いることにより、100℃以下の比較的低温で架橋・硬化反応が起こる。トナーの非粘着性から検討を進めた結果、シリコーン系樹脂でトナーの非粘着性が高い樹脂であることを確認し、特に、分子中にアクリル骨格を有するアクリルシリコーン樹脂が良好である。
【0121】
導電性部材101は電気特性(抵抗値)が重要であるため、表面層105を導電性にする必要がある。導電性の形成方法は、樹脂材料中に導電剤を分散することにより可能である。導電性としては、特に制約を受けるものではなく、ケッチェンブラックEC、アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン、酸化処理等を施したカラー用カーボン、熱分解カーボン、インジウムドープ酸化スズ(ITO)、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、銅、銀、ゲルマニウム等の金属及び、金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー等が挙げられる。また、導電性付与材として、イオン導電性物質もあり、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウム等の無機イオン性導電物質、更に、エチルトリフェニルホスホニウム・テトラフルオロボレート、テトラフェニルホスホニウム・ブロマイド等の四級ホスホニウム塩、変性脂肪酸ジメチルアンモニウムエトサルファート、ステアリン酸アンモニウムアセテート、ラウリルアンモニウムアセテート等の有機イオン性導電性物質がある。
〈実施例1〉
ステンレスからなる導電性支持体である芯軸(外径8mm)106に、下記処方1を220℃で溶融混練した樹脂組成物(体積固有抵抗:2×10^8Ωcm)を、射出成形により被覆して電気抵抗調整層104を形成した。配合した繊維状ポリマーの代表的な構造は図6のようになっている。
【0122】
処方1
A:IRGASTAT P18(チバスペシャルティケミカルズ製)55重量部
(ポリエーテルエステルアミド、Aは過塩素酸ナトリウム含有)
B:メタ型アラミド繊維(コーネックス 2.2dtex、1mm長 帝人テクノプロダクツ製)5重量部
(繊維状ポリマー)
D:ABS樹脂(デンカABS GR−3000、電気化学工業製)40重量部
(高硬度の熱可塑性樹脂)
A、B、Dの混合物100重量部に対して、
E:ポリカーボネート−グリシジルメタクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体
(モディパーC L440−G、日本油脂製)4.5重量部
(グラフトコポリマー)
次いでこの両端部に、高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックHD HY540、日本ポリエチレン製)からなるリング状の空隙保持部材103を挿入して芯軸106及び電気抵抗調整層104と接着した。
【0123】
次いで切削加工によって空隙保持部材103の外径(最大径)を12.12mm、電気抵抗調整層104の外径を12.00mmに同時仕上げを行なった。
【0124】
次いで電気抵抗調整層104の表面に、アクリルシリコン樹脂(3000VH-P、川上塗料製)、イソシアネート系硬化剤、及びカーボンブラック(全固形分に対して35重量%)からなる混合物(表面抵抗:2×10^9Ω)により膜厚約10μmの表面層105を形成し、焼成工程を経て、導電性部材101を得た。
【0125】
ただし、dtexは繊維の繊度を表わす単位である。
〈実施例2〉
ステンレスからなる芯軸(外径8mm)106に、下記処方2を220℃で溶融混練した樹脂組成物(体積固有抵抗:2×10^9Ωcm)を、射出成形により被覆して電気抵抗調整層104を形成した。配合した繊維状ポリマーの代表的な構造は図7のようになっている。
【0126】
処方2
A:TPAE−10HP(富士化成工業製)50重量部
(ポリエーテルエステルアミド)
B:パラ型アラミド繊維(テクノーラ 1.7dtex、1mm長 帝人テクノプロダクツ製)10重量部
(繊維状ポリマー)
D:ABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業製)40重量部
(高硬度の熱可塑性樹脂)
A、B、Dの混合物100重量部に対して、
E:ポリカーボネート−グリシジルメタクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体
(モディパーC L440−G、日本油脂製)4.5重量部
(グラフトコポリマー)
C:トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiTFS、森田化学工業製)3重量部
(含フッ素有機アニオン塩類)
以下、実施例1と同様の後工程を経て、導電性部材101を得た。
〈実施例3〉
ステンレスからなる芯軸(外径8mm)106に、下記処方3を230℃で溶融混練した樹脂組成物(体積固有抵抗:3×10^8Ωcm)を、射出成形により被覆して電気抵抗調整層104を形成した。配合した繊維状ポリマーの代表的な構造は図8のようになっている。
【0127】
処方3
A:サンコノール TBX−65(三光化学工業製)60重量部
(ポリエーテルエステルアミド、Aはトリフルオロメタンスルホン酸リチウム含有)
B:パラ型アラミド繊維(トワロン 1.7dtex、0.25mm長 帝人テクノプロダクツ製)10重量部
(繊維状ポリマー)
D:ポリカーボネート樹脂(ユーピロン H−4000、三菱エンジニアリングプラスチックス製)30重量部
(高硬度の熱可塑性樹脂)
A、B、Dの混合物100重量部に対して、
E:ポリカーボネート−グリシジルメタクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体
(モディパーC L440−G、日本油脂製)4.5重量部
(グラフトコポリマー)
C:過塩素酸リチウム(三津和化学薬品製)3重量部
(過塩素酸塩類)
以下、実施例1と同様の後工程を経て、導電性部材101を得た。
【0128】
〈実施例4〉
ステンレスからなる芯軸(外径8mm)106に、下記処方4を220℃で溶融混練した樹脂組成物(体積固有抵抗:4×10^8Ωcm)を、射出成形により被覆して電気抵抗調整層104を形成した。配合した繊維状ポリマーの代表的な構造は図9のようになっている。
【0129】
処方4
A:サンコノール TBX−310(三光化学工業製)45重量部
(ポリオレフィンブロックポリマー、Aはトリフルオロメタンスルホン酸リチウム含有)
B:ポリアリレート繊維(ベクトラン 2.8dtex、1mm長 クラレ製)5重量部
(繊維状ポリマー)
D:ABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業製)50重量部
(高硬度の熱可塑性樹脂)
A、B、Dの混合物100重量部に対して、
E:ポリカーボネート−グリシジルメタクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体
(モディパーC L440−G、日本油脂製)9重量部
(グラフトコポリマー)
C:有機ホスホニウム塩(ヒシコーリン ETPP−FB、日本化学工業製)1重量部
(有機ホスホニウム塩類)
以下、実施例1と同様の後工程を経て、導電性部材を得た。
〈実施例5〉
ステンレスからなる芯軸(外径8mm)106に、下記処方5を220℃で溶融混練した樹脂組成物(体積固有抵抗:3×10^8Ωcm)を、射出成形により被覆して電気抵抗調整層104を形成した。配合した繊維状ポリマーの代表的な構造は図10のようになっている。
【0130】
処方5
A:ペバックスMV1041(アルケマ製)50重量部
(ポリエーテルエステルアミド)
B:PBO繊維(ザイロンAS 1.7dtex、1mm長 東洋紡製)10重量部
(繊維状ポリマー)
D:HI-PS樹脂(H450、東洋スチレン製)40重量部
(高硬度の熱可塑性樹脂)
A、B、Dの混合物100重量部に対して、
E:ポリカーボネート−グリシジルメタクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体
(モディパーC L440−G、日本油脂製)4.5重量部
(グラフトコポリマー)
C:過塩素酸リチウム(三津和化学薬品製)3重量部
(過塩素酸塩類)
ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム(LiBETI、キシダ化学製)1重量部
(含フッ素有機アニオン塩類)
以下、実施例1と同様の後工程を経て、導電性部材を得た。
〈比較例1〉
ステンレスからなる芯軸(外径8mm)に、下記処方6を溶融混練を行わずに、射出成形により被覆して電気抵抗調整層を形成した。配合した繊維状ポリマーの代表的な構造は図11のようになっている。
【0131】
処方6
A:IRGASTAT P18(チバスペシャルティケミカルズ製)60重量部
(ポリエーテルエステルアミド、Aは過塩素酸塩類含有)
B:ポリアミド繊維(東レナイロン6 1.7dtex、1mm長 東レ製)10重量部
(繊維状ポリマー)
D:ABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業製)30重量部
(高硬度の熱可塑性樹脂)
以下、実施例1と同様の後工程を経て、導電性部材を得た。
【0132】
〈比較例2〉
ステンレスからなる芯軸(外径8mm)に、下記処方7を溶融混練を行わずに、押出成形により被覆して電気抵抗調整層を形成した。配合した繊維状ポリマーの代表的な構造は図12のようになっている。
【0133】
処方7
A:ペバックス5533(アルケマ製)40重量部
(ポリエーテルエステルアミド)
B:ポリナイロン繊維(東レナイロン66 1.7dtex、1mm長 東レ製)10重量部
(繊維状ポリマー)
D:ポリカーボネート樹脂(パンライト L−1225L、帝人化成製)50重量部
(高硬度の熱可塑性樹脂)
A、B、Dの混合物100重量部に対して、
C:有機ホスホニウム塩(ヒシコーリン ETPP−I、日本化学工業製)3重量部
(有機ホスホニウム塩類)
以下、実施例1と同様の後工程を経て、導電性部材を得た。
【0134】
〈比較例3〉
ステンレスからなる芯軸(外径8mm)に、下記処方8を溶融混練を行わずに、押出成形により被覆して電気抵抗調整層を形成した。配合した繊維状ポリマーの代表的な構造は図13のようになっている。
【0135】
処方8
A:ポリエーテルエステルアミド(ペレスタット 300、三洋化成製)50重量部
(ポリエーテルエステルアミド)
B:ポリビニルアルコール繊維(ビニロンSMR 1.1dtex、1mm長 ユニチカ製)10重量部
(繊維状ポリマー)
D:ポリプロピレン樹脂(ノバテックPP MA3、日本ポリプロ製)40重量部
(高硬度の熱可塑性樹脂)
A、B、Dの混合物100重量部に対して、
C:過塩素酸リチウム(三津和化学薬品製)2重量部
(過塩素酸塩類)
トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiTFS、森田化学工業製)3重量部
(含フッ素有機アニオン塩類)
以下、実施例1と同様の後工程を経て、導電性部材101を得た。
【0136】
〈比較例4〉
ステンレスからなる芯軸(外径8mm)に、下記処方9を溶融混練を行わずに、射出成形により被覆して電気抵抗調整層を形成した。配合した繊維状ポリマーの代表的な構造は図14のようになっている。
【0137】
処方9
A:ポリエーテルエステルアミド(ペレスタット NC6321、三洋化成製)70重量部
(ポリエーテルエステルアミド)
B:ポリプロピレン繊維(パイレン 1.7dtex、1mm長 三菱レイヨン製)10重量部
(繊維状ポリマー)
D:ポリエチレン樹脂(ノバテックHD HJ360、日本ポリエチレン製)20重量部
(高硬度の熱可塑性樹脂)
A、B、Dの混合物100重量部に対して、
C:トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiTFS、森田化学工業製)3重量部
(含フッ素有機アニオン塩類)
以下、実施例1と同様の後工程を経て、導電性部材を得た。
【0138】
表1に実施例および比較例の構成比較表を示す。
【0139】
【表1】

【0140】
〈試験1〉
実施例及び比較例の電気抵抗調整層104の成形樹脂材料を用いて、Φ43mm、厚さ1mmの円板テストピース(TP)を成形した。このTPを、円板上下方向から挟み込んで測定する抵抗測定治具を用いて、標準環境(23℃50%RH)において印加電圧100Vで体積抵抗の測定を行なった。さらに、このTPを標準環境(23℃50%RH)で1日間調湿後、高温高湿環境(30℃90%RH)に1日間放置前後の重量変化からTPの吸水率を測定した。
【0141】
結果を図15及び表2に示す。実施例の結果は、全て吸水率、体積抵抗値ともに低く、良好な結果が得られたが、比較例では、全てにおいて吸水率と体積抵抗値を共に満足する結果が得られなかった。
【0142】
【表2】

【0143】
〈試験2〉
実施例及び比較例の導電性部材を高温高湿環境(30℃90%RH)に1日間放置後、図2に示した画像形成装置を使用して、高温高湿環境(30℃90%RH)で50,000枚の連続複写を行ない、帯電ローラ表面へのトナーや放電生成物等の付着による画像不良の有無を評価した。この際に、帯電ローラに印加する電圧はDC=−700V、AC Vpp=2.2kV (周波数=2.2kHz)とし、図4中のクリーニング部材64cを取り外した状態で連続複写することにより、加速評価を行なった。
【0144】
試験結果を表3に示す。実施例のローラは、50,000枚の複写で黒スジ等の画像不良が発生せず、良好な画像が得られたが、比較例のローラは50,000枚以下の複写枚数で、黒スジ等の画像不良が発生した。比較例1、比較例2のローラは、非常に高抵抗のため、画像出力が出来なかった。
【0145】
【表3】

【0146】
このように、図15に示す評価結果からも分かるように、実施例の電気抵抗調整層104は、導電性を損なわずに吸水性を低減することができる。すなわち、実施例の導電性部材101は、導電性を損なわずに吸水性を低減することができることになる。
【0147】
これにより、導電性部材101と像担持体61との間の空隙Gの環境変動を低減することができ、空隙Gの環境変動による画像不良の発生を防止することができる。
【0148】
また、繊維状ポリマー(B)として、全芳香族ポリアミド系繊維(アラミド繊維)、全芳香族ポリエステル繊維(ポリアリレート繊維)、PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維の中から選ばれた少なくとも1種類以上の繊維状ポリマーを配合することで、エーテル基含有熱可塑性樹脂(A)中において繊維状ポリマーを極めて安定した状態で分散させることが可能となるので、他の特性を損なう事無く、導電性向上、吸水性低減が可能である。
【0149】
さらに、エーテル基を含有する熱可塑性樹脂(A)よりも高硬度の熱可塑性樹脂(D)を配合した構成では、(D)が(A)よりも低吸水であるので、導電性を低下させずに、さらに低吸水な処方とすることができるため、導電性向上と吸水性低減を両立した抵抗調整層とすることができる。
【0150】
また、上記(A)(D)双方に親和性を有するグラフトコポリマー(E)を配合した構成では、(E)が(A)よりも低吸水であるので、導電性を低下させずに、さらに低吸水な処方とすることができるため、導電性向上と吸水性低減を両立した抵抗調整層とすることができる。
【0151】
さらに、エーテル基を含有する熱可塑性樹脂(A)として、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマーという、繊維状ポリマー(B)が含有する官能基と一致する官能基を有する化合物を用いることで、(A)と(B)との間で高い親和性が得られるので、均一に分散して、より高い特性を得ることが可能である。
【0152】
そして、グラフトコポリマー(E)として、主鎖にポリカーボネート樹脂を有して側鎖にアクリロニトリル-スチレン-グリシジルメタクリレート共重合体を有するグラフトコポリマーを配合することで、このグラフトコポリマーを相溶化剤として作用させて、(A)(D)の相溶性悪化に伴う特性低下が発生しない。また、このグラフトコポリマー自体が低吸水性であるため、配合した処方の吸水性低減が可能である。
【0153】
さらに、樹脂組成物を溶融混練して作製することで、グラフトコポリマーの効果により、溶融混練時の加熱により緻密な分散状態を作り出すことができるので、導電性が向上する。さらに分散状態の緻密化により、樹脂中で外気と接触する(A)の表面積が小さくなるので、吸水性を低減することが可能である。
【0154】
また、電解質塩(C)として、過塩素酸塩類、含フッ素有機アニオン塩類及び有機ホスホニウム塩類から選ばれた少なくとも1種類以上の電解質塩のような、吸水性の低い塩を配合することで、導電性向上、吸水性低減が可能である。
【0155】
さらに、過塩素酸塩類を、過塩素酸リチウム及び過塩素酸ナトリウムから選ばれた塩のような解離度が高い塩とすることで、導電性に寄与する解離イオンの量が増加して、導電性向上、吸水性低減が可能である。
【0156】
また、含フッ素有機アニオン塩類として、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ビス(トリフルオロメタン)スルホニルイミド酸リチウム及びトリス(トリフルオロメタン)スルホニルメチド酸リチウムから選ばれた塩のような、カチオンのイオン半径の小さいリチウム塩とすることで、イオン移動度が高く、導電性が向上する。
【0157】
そして、繊維状ポリマー(B)の配合比率を、樹脂組成物全体に対して0.01〜30重量%とすることで、導電性及び吸水性への効果を発現し、かつ均一な分散性を得ることが可能となる。
【0158】
また、上記のように構成された導電性部材101を用いたプロセスカートリッジでは優れた画像品質が得られることになる。また、このプロセスカートリッジを用いることで、長期間にわたって、優れた画像品質が得られる画像形成装置1とすることができる。
【0159】
この発明は、上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で設計変更できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】画像形成装置の概略図
【図2】本発明の導電性部材を帯電部材として用いた場合の帯電装置、プロセスカートリッジを用いる画像形成装置の構成を示す概略図
【図3】図2に示す画像形成装置の画像形成部を示す概略図
【図4】本発明の帯電装置及び、プロセスカートリッジの構成を示す概略図
【図5】本発明の導電性部材である帯電部材と、像担持体の感光層領域及び、画像領域、非画像領域の位置関係を示す概略図。
【図6】実施例1に配合した繊維状ポリマーの代表的な構造を示す図。
【図7】実施例2に配合した繊維状ポリマーの代表的な構造を示す図。
【図8】実施例3に配合した繊維状ポリマーの代表的な構造を示す図。
【図9】実施例4に配合した繊維状ポリマーの代表的な構造を示す図。
【図10】実施例5に配合した繊維状ポリマーの代表的な構造を示す図。
【図11】比較例1に配合した繊維状ポリマーの代表的な構造を示す図。
【図12】比較例2に配合した繊維状ポリマーの代表的な構造を示す図。
【図13】比較例3に配合した繊維状ポリマーの代表的な構造を示す図。
【図14】比較例4に配合した繊維状ポリマーの代表的な構造を示す図。
【図15】試験1の評価結果を示す図。
【符号の説明】
【0161】
61 像担持体
101 導電性部材
103 空隙保持部材
104 電気抵抗調整層
106 導電性支持体
G 空隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された電気抵抗調整層と、この電気抵抗調整層の両端部に形成されるとともにこの電気抵抗調整層と異なる材質の空隙保持部材とを備え、この空隙保持部材によって像担持体と前記電気抵抗調整層との間を一定の空隙に保持する導電性部材であって、
前記電気抵抗調整層は、少なくともエーテル基を含有する熱可塑性樹脂(A)と、この(A)中で不溶であり且つ分子中に芳香族骨格を有する繊維状ポリマー(B)と、電解質塩(C)とを有する樹脂組成物により構成されていることを特徴とする導電性部材。
【請求項2】
前記繊維状ポリマー(B)が、全芳香族ポリアミド系繊維(アラミド繊維)、全芳香族ポリエステル繊維(ポリアリレート繊維)、PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維の中から選ばれた少なくとも1種類以上の繊維状ポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の導電性部材。
【請求項3】
前記樹脂組成物に、前記(A)よりも高硬度の熱可塑性樹脂(D)を加えた樹脂組成物により構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の導電性部材。
【請求項4】
前記樹脂組成物に、(A)(D)双方に親和性を有するグラフトコポリマー(E)を加えた樹脂組成物により構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の導電性部材。
【請求項5】
前記エーテル基を含有する熱可塑性樹脂(A)が少なくともポリエーテルエステルアミド、ポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマーを含有する化合物であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の導電性部材。
【請求項6】
前記グラフトコポリマー(E)が、主鎖にポリカーボネート樹脂を有して側鎖にアクリロニトリル-スチレン-グリシジルメタクリレート共重合体を有するグラフトコポリマーであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の導電性部材。
【請求項7】
前記樹脂組成物を溶融混練して作製することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載の導電性部材。
【請求項8】
前記電解質塩(C)が、過塩素酸塩類、含フッ素有機アニオン塩類及び有機ホスホニウム塩類から選ばれた少なくとも1種類以上の電解質塩であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載の導電性部材。
【請求項9】
前記過塩素酸塩類が、過塩素酸リチウム及び過塩素酸ナトリウムから選ばれた塩であることを特徴とする請求項1乃至請求項8に記載の導電性部材。
【請求項10】
前記含フッ素有機アニオン塩類が、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ビス(トリフルオロメタン)スルホニルイミド酸リチウム及びトリス(トリフルオロメタン)スルホニルメチド酸リチウムから選ばれた塩であることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1つに記載の導電性部材。
【請求項11】
前記繊維状ポリマー(B)の配合比率が、樹脂組成物全体に対して0.01〜30重量%であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1つに記載の導電性部材。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか1つに記載の導電性部材は、前記像担持体を帯電させることを特徴とする導電性部材。
【請求項13】
請求項12に記載の導電性部材を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項14】
請求項13に記載のプロセスカートリッジを有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2009−134050(P2009−134050A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309813(P2007−309813)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】