説明

層間絶縁膜用感光性樹脂組成物

【課題】より高い絶縁性を有する層間絶縁膜用感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】アルカリ可溶性樹脂成分(A)及び感光剤(B)を含む層間絶縁膜用感光性樹脂組成物であって、前記アルカリ可溶性樹脂成分(A)が酸性基含有構成単位(a1)、架橋性基含有構成単位(a2)及びアルコキシシリル基含有構成単位(a3)を含む共重合体(A1)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、層間絶縁膜用感光性樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子等の電子部品には、層状に配置された配線の間を絶縁するために設けられる層間絶縁膜等が形成されている。この層間絶縁膜は、感光性樹脂組成物を用いて形成されてきた(例えば、特許文献1、2、3、4参照)。
例えば、TFT(薄膜トランジスタ)型液晶表示素子は、一般的に次のような手順で製造される。ガラス基板上に偏光板を設け、透明導電回路層及びTFTを形成した後、層間絶縁膜で被覆して背面板を製造する。一方で、ガラス基板上に偏光板を設け、ブラックマトリクス及びカラーフィルタのパターンを形成した後、透明導電回路層、層間絶縁膜を順次形成して上面板を製造する。そして、この背面板と上面板とをスペーサを介して対向させて両板間に液晶を封入することによりTFT型液晶表示装置を製造する。上記層間絶縁膜は、一般的に感光性樹脂組成物を塗布、露光・現像してパターンを形成した後、該パターンを熱硬化させることにより形成される。
【0003】
上記層間絶縁膜を形成するための感光性樹脂組成物としては、絶縁性が高いことが要求されている。
【特許文献1】特開平8−262709号公報
【特許文献2】特開2000−162769号公報
【特許文献3】特開2003−330180号公報
【特許文献4】特開2006−259083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1〜4に記載の感光性樹脂組成物では、例えば、積層数の増加に伴い層間絶縁膜の厚みを薄くした場合に十分に高い絶縁性を維持することが困難であり、したがって、より絶縁性の高い層間絶縁膜用感光性樹脂組成物が必要となった。
【0005】
本発明は、上記課題にかんがみてなされたものであり、より高い絶縁性を有する層間絶縁膜用感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、層間絶縁膜用感光性樹脂組成物のアルカリ可溶性樹脂成分に、特定の構成単位を有する共重合体を用いることにより、絶縁性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明は、アルカリ可溶性樹脂成分(A)及び感光剤(B)を含む層間絶縁膜用感光性樹脂組成物であって、前記アルカリ可溶性成分(A)が酸性基含有構成単位(a1)、架橋性基含有構成単位(a2)及びアルコキシシリル基含有構成単位(a3)を含む共重合体(A1)を含む、層間絶縁膜用感光性樹脂組成物を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、より高い絶縁性を有する層間絶縁膜用感光性樹脂組成物を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る層間絶縁膜用感光性樹脂組成物(以下、「感光性樹脂組成物」ともいう。)は、アルカリ可溶性樹脂成分(A)(以下、(A)成分ともいう)及び感光剤(B)(以下、(B)成分ともいう)を含有する。
【0010】
[アルカリ可溶性樹脂成分(A)]
本発明における(A)成分は、酸性基含有構成単位(a1)、架橋性基含有構成単位(a2)及びアルコキシシリル基含有構成単位(a3)を含む共重合体(A1)を含む。なお、以下の記述において、酸性基含有構成単位(a1)、架橋性基含有構成単位(a2)及びアルコキシシリル基含有構成単位(a3)をそれぞれ、構成単位(a1)、構成単位(a2)及び構成単位(a3)という。
【0011】
本発明における構成単位(a1)は、アルカリと反応する基、すなわち酸性基を含む。このような酸性基の例として、フェノール性水酸基及びカルボキシル基(無水物を含む)が挙げられる。このような酸性基含有構成単位を含むことにより優れた現像性を有する。また、(A)成分に含まれる酸性基含有構成単位をフェノール性水酸基含有構成単位にすることにより、すなわち、酸性基含有構成単位としてフェノール性水酸基含有構成単位のみを含むことにより、現像性に加え保存性(特に粘度経時)を向上させることができる。フェノール性水酸基含有構成単位の中でも、下記一般式(a−1)で表されるフェノール性水酸基含有構成単位が好ましい。このようなフェノール性水酸基含有構成単位を含有することにより保存性が向上し、従来の層間絶縁膜用組成物では室温で保存できず冷凍保存しなければならなかったものが室温で保存できるようになる。具体的には23℃で1ヶ月間保存した後の粘度の変化率が±1%以下という、優れた経時保存性を示す。
【化1】

[上記一般式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは単結合又は炭素数1〜5のアルキレン基を表し、Rは炭素数1〜5のアルキル基を表し、aは1〜5の整数を表し、bは0〜4の整数を表し、a+bは5以下である。なお、Rが2以上存在する場合、これらのRは相互に異なっていてもよいし同じでもよい。]
【0012】
上記一般式(a−1)において、Rはメチル基であることが好ましい。Rは単結合又は炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、tert−ブチレン基、ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基等が挙げられる。中でも、単結合、メチレン基、エチレン基であることが好ましい。特に、単結合である場合には、アルカリ可溶性を向上させることができ、さらに層間絶縁膜としたときの耐熱性を向上させることができ好ましい。
【0013】
aは1〜5の整数を表すが、製造が容易であるという点から、aが1であることが好ましい。ベンゼン環における水酸基は、Rと結合している炭素原子を基準(1位)としたとき、4位に結合していることが好ましい。
【0014】
は炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。中でも製造が容易であるという点から、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
【0015】
上記一般式(a−1)で表される構成単位としては、具体的には、下記の構造式(a−1−1)又は(a−1−2)で表されるものが挙げられる。特に、構造式(a−1−1)で表される構成単位が好ましい。
【化2】

【0016】
この一般式(a−1)で表される構成単位は、下記一般式(a−1)´で表される重合性単量体を他の重合性単量体と共重合させることにより、共重合体(A1)に導入することができる。
【化3】

[上記一般式中、R、R、R、a、bは上記と同様である。]
【0017】
本発明における構成単位(a2)は、重合により架橋する基、すなわち架橋性基を含む。このような架橋性基を有することにより、パターン形成後に膜を硬化させ耐熱性及び耐溶剤性を高めることができる。このような架橋性基は熱により架橋するものが好ましく、例えば、エポキシ基を有する有機基、オキセタニル基を有する有機基が挙げられる。中でも、共重合体の製造の容易さからエポキシ基を有する有機基であることが好ましい。このような架橋性基を有する構成単位(a2)においてエポキシ基を有する有機基を有するものとしては、例えばアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸−β−メチルグリシジル、メタクリル酸−β−メチルグリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−3,4−エポキシブチル、アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルメタクリレートなどの重合性単量体を共重合させることにより誘導することができる。これらの構成単位(a2)は、単独であるいは組み合わせてもよい。中でも、アクリル酸グリシジル又はメタクリル酸グリシジルから誘導した構成単位が特に好ましく、このような構成単位は下記一般式(a−2)で表される。
【化4】

[上記一般式中、Rは水素原子又はメチル基を表す]
この一般式(a−2)で表される構成単位は、製造の容易さ、コストの優位性及び得られる層間絶縁膜の耐溶剤性を高める点から好ましく用いられる。
【0018】
本発明における構成単位(a3)は、アルコキシシリル基を含む。アルコキシシリル基を含むことにより、得られる層間絶縁膜の絶縁性を向上させることができる。その中でも下記一般式(a−3)で表される構成単位が好ましい。
【化5】

[上記一般式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1〜5のアルキレン基を表し、R、R及びRは相互に異なっていてもよいし同じでもよく炭素数1〜5のアルコキシ基又はアルキル基を表し、R、R又はRの少なくとも1つはアルコキシ基である。]
【0019】
上記一般式(a−3)において、R、R、R及びRは、直鎖でも分枝鎖でもよい。分枝鎖を有するアルキレン基は、例えばn−、sec−又はtert−ブチルメチレン基、1−メチル,2−エチルエチレン基、1−エチル,2−メチルエチレン基、1−メチル−2,2−ジメチルエチレン基、1,1−ジメチル−2−メチルエチレン基、1,1−ジメチルプロピレン基、1,2−ジメチルプロピレン基、1,3−ジメチルプロピレン基、メチルブチレン基が挙げられる。分枝鎖を有するアルキル基は、例えば1−又は2−メチルエチル基、1−、2−又は3−メチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−、2−、3−又は4−メチルブチル基が挙げられる。分枝鎖を有するアルコキシ基は、例えば1−又は2−メチルエトキシ基、1−、2−又は3−メチルプロポキシ基、1,1−ジメチルプロポキシ基、1,2−ジメチルプロポキシ基、1,3−ジメチルプロポキシ基、1−、2−、3−又は4−メチルブトキシ基が挙げられる。R、R又はRの少なくとも1つはアルコキシ基であることにより、得られる層間絶縁膜の絶縁性を向上させることができるが、これらの基のうち2つをアルコキシ基とすることによりさらに絶縁性が向上するため好ましく、さらに、3つの基全てをアルコキシ基とすることが最も好ましい。
【0020】
また、上記共重合体(A1)は、構成単位(a1)、(a2)及び(a3)以外の構成単位(a4)を含有していてもよい。この構成単位(a4)としては、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、マレイミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、及びスチレン類等から誘導される構成単位が挙げられる。
【0021】
アクリル酸エステル類としては、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−t−オクチル等の直鎖あるいは分岐鎖アルキルアクリレート;シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−メチルシクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタオキシエチルアクリレート、イソボロニルアクリレート、[4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル]メチルアクリレート等の脂環式アルキルアクリレート;、クロルエチルアクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、アリールアクリレート(例えばフェニルアクリレート)等が挙げられる。
【0022】
メタクリル酸エステル類としては、具体的には、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート等の直鎖又は分岐鎖アルキルメタクリレート;シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、2−メチルシクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルメタクリレート、イソボニルメタクリレート、[4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル]メチルメタクリレート等の脂環式アルキルメタクリレート;ベンジルメタクリレート、クロルベンジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、アリールメタクリレート(例えばフェニルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、等)等が挙げられる。
【0023】
アクリルアミド類としては、具体的には、アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド(アルキル基の炭素数は1〜10が好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、ヒドロキシエチル基、ベンジル基等が挙げられる)、N−アリールアクリルアミド(アリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、ニトロフェニル基、ナフチル基、ヒドロキシフェニル基等)、N,N−ジアルキルアクリルアミド(アルキル基の炭素数は1〜10が好ましい)、N,N−アリールアクリルアミド(アリール基としては、例えばフェニル基がある)、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルアクリルアミドが挙げられる。
【0024】
メタクリルアミド類としては、具体的には、メタクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド(アルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基、エチルヘキシル基、ヒドロキシエチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる)、N−アリールメタクリルアミド(アリール基としては、フェニル基等がある。)、N,N−ジアルキルメタクリルアミド(アルキル基としては、エチル基、プロピル基、ブチル基等がある)、N,N−ジアリールメタクリルアミド(アリール基としては、フェニル基等がある)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド、N−メチル−N−フェニルメタクリルアミド、N−エチル−N−フェニルメタクリルアミドが挙げられる。
マレイミド類としては、具体的には、シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
アリル化合物としては、具体的には、アリルエステル類(例えば酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル等)、アリルオキシエタノール等が挙げられる。
【0025】
ビニルエーテル類としては、具体的には、アルキルビニルエーテル(例えばヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等)、ビニルアリールエーテル(例えばビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロルフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロルフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル等)が挙げられる。
ビニルエステル類としては、具体的には、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフエニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロル安息香酸ビニル、テトラクロル安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニルが挙げられる。
【0026】
スチレン類としては、具体的には、スチレン、アルキルスチレン(例えばメチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロルメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン等)、アルコキシスチレン(例えばメトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレン等)、ハロゲンスチレン(例えばクロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、テトラクロルスチレン、ペンタクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2−ブロム−4−トリフルオロメチルスチレン、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルスチレン等)が挙げられる。
【0027】
これらの構成単位(a4)としては、特に脂環式の基を有する単量体(特に脂環式アルキルアクリレート又は脂環式メタクリレート)から誘導されるものが好ましい。このように、脂環式を有する基を共重合体に導入することにより、さらに層間絶縁膜の誘電率を低下させることができる。また、マレイミド類も形状維持性を向上させる上において好ましい。
【0028】
上記共重合体(A1)中における構成単位(a1)は、20モル%〜70モル%であることが好ましく、20モル%〜60モル%であることがより好ましい。構成単位(a1)の比率を、上記の範囲内にすることにより、充分なアルカリ可溶性を感光性樹脂組成物に付与することができる。これによって、形成されたパターンの側壁角を45度以上90度以下とすることができ、従来よりも高いコントラストを有するパターンを形成することが可能となる。
【0029】
上記共重合体(A1)中における構成単位(a2)は、20モル%〜70モル%であることが好ましい。構成単位(a2)の比率を上記の範囲内にすることにより、充分な熱硬化性を感光性樹脂組成物に付与することができ、層間絶縁膜としての耐薬品性を得ることができる。
【0030】
また、上記共重合体(A1)中における構成単位(a3)は、1モル%〜40モル%であることが好ましい。構成単位(a3)の比率を上記の範囲内にすることにより、感光性樹脂組成物の誘電率を下げることができ、層間絶縁膜としての絶縁性を高めることができる。
【0031】
さらに、上記共重合体(A1)中における構成単位(a4)は、0モル%〜40モル%であることが好ましく、0モル%〜30モル%であることがより好ましく、0モル%〜10モル%であることがよりさらに好ましい。
【0032】
上記共重合体(A1)の質量平均分子量(Mw:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)のスチレン換算による測定値)は、2000〜50000であることが好ましく、5000〜30000であることがより好ましい。分子量を2000以上とすることにより、容易に膜状に形成することが可能となる。また、分子量50000以下とすることによって、適度なアルカリ溶解性を得ることが可能となる。
【0033】
上記共重合体(A1)は、公知のラジカル重合により、製造することができる。すなわち、前記構成単位(a1)、(a2)、(a3)及び(a4)を誘導する重合性単量体並びに公知のラジカル重合開始剤を重合溶媒に溶解した後、加熱撹拌することにより製造することができる。
【0034】
さらに、アルカリ可溶性樹脂成分(A)は、上記共重合体(A1)以外に、他の重合体(A2)を含んでいてもよい。この重合体(A2)としては、構成単位(a4)からなる重合体又は共重合体、構成単位(a1)と構成単位(a4)との共重合体、構成単位(a2)と構成単位(a4)との共重合体等が挙げられる。この重合体(A2)は、1種であっても、2種以上組み合わせてもよい。
この重合体(A2)は、上記共重合体(A1)100質量部に対して、0〜50質量部であることが好ましく、0〜30質量部であることがより好ましい。
この重合体(A2)の質量平均分子量(Mw:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)のスチレン換算による測定値)は、2000〜50000であることが好ましく、5000〜30000であることがより好ましい。
【0035】
[感光剤(B)]
感光剤(B)としては、感光成分として使用できる化合物であれば、特に限定されるものではないが、キノンジアジド基含有化合物であることが好ましい。
【0036】
キノンジアジド基含有化合物としては、具体的には、フェノール性水酸基含有化合物と、ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物との完全エステル化物や部分エステル化物が挙げられる。
【0037】
上記フェノール性水酸基含有化合物としては、具体的には、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどのポリヒドロキシベンゾフェノン類;
トリス(4−ヒドロシキフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン等のトリスフェノール型化合物;
【0038】
2,4−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−5−ヒドロキシフェノール、2,6−ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール等のリニア型3核体フェノール化合物;
1,1−ビス〔3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル〕イソプロパン、ビス[2,5−ジメチル−3−(4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン、ビス[2,5−ジメチル−3−(4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−エチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−エチルフェニル]メタン、ビス[2−ヒドロキシ−3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[2−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[2,5−ジメチル−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン等のリニア型4核体フェノール化合物;
2,4−ビス[2−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルベンジル]−6−シクロヘキシルフェノール、2,4−ビス[4−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルベンジル]−6−シクロヘキシルフェノール、2,6−ビス[2,5−ジメチル−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシベンジル]−4−メチルフェノール等のリニア型5核体フェノール化合物等のリニア型ポリフェノール化合物;
【0039】
ビス(2,3,−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、2,3,4−トリヒドロキシフェニル−4’−ヒドロキシフェニルメタン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(2’,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3’−フルオロ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)プロパン等のビスフェノール型化合物;
1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1−[1−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、等の多核枝分かれ型化合物;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等の縮合型フェノール化合物等が挙げられる。
これらは単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0040】
また、上記ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物としては、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン酸又はナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホン酸等を挙げることができる。
【0041】
また、他のキノンジアジド基含有化合物、例えばオルトベンゾキノンジアジド、オルトナフトキノンジアジド、オルトアントラキノンジアジド又はオルトナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類等のこれらの核置換誘導体が挙げられる。
さらには、オルトキノンジアジドスルホニルクロリドと、水酸基又はアミノ基をもつ化合物(例えばフェノール、p−メトキシフェノール、ジメチルフェノール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ナフトール、ピロカテコール、ピロガロール、ピロガロールモノメチルエテール、ピロガロール−1,3−ジメチルエーテル、没食子酸、水酸基を一部残してエステル化又はエ−テル化された没食子酸、アニリン、p−アミノジフェニルアミン等)と、の反応生成物等も用いることができる。これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
これらのキノンジアジド基含有化合物は、例えばトリスフェノール型化合物と、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリド又はナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロリドとをジオキサン等の適当な溶剤中において、トリエタノールアミン、炭酸アルカリ、炭酸水素アルカリ等のアルカリの存在下で縮合させ、完全エステル化又は部分エステル化することにより製造することができる。
キノンジアジド基含有化合物としては、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化物が好ましい。
【0043】
また、上記(B)成分としては、非ベンゾフェノン系のキノンジアジド基含有化合物を用いることが好ましく、多核枝分かれ型化合物を用いることが好ましい。また、上記フェノール性水酸基含有化合物は、350nmの波長におけるグラム吸光係数が1以下であることが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物においてより高い感度が得られ、層間絶縁膜としたときの透過率(透明性)を向上させることができる。
さらに、上記フェノール性水酸基含有化合物は、分解温度が、300℃以上であることがより好ましい。これにより、層間絶縁膜の透明性を確保することができる。
このような(B)成分としては、特に、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンのナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化物を好適に用いることができる。さらに、この感光剤は、異物経時を良好にすることができる。
【0044】
(B)成分の含有量は、全固形成分に対し、10質量%〜40質量%、好ましくは20質量%〜30質量%である。
(B)成分の含有量を10質量%以上とすることによって、解像度を向上させることが可能となる。また、パターンを形成した後の、パターンの膜減り量を低減させることが可能となる。また、(B)成分の含有量を40質量%以下とすることによって、適度な感度や透過率を付与することが可能となる。
【0045】
[有機溶剤(C)]
本発明に係る感光性樹脂組成物は、塗布性を改善したり、粘度を調整したりするために、有機溶剤(C)(以下、(C)成分ともいう)を含有してもよい。
【0046】
(C)成分としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート(MA)、3−メトキシブタノール(BM)、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、炭酸メチル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル又はこれらの混合物等が挙げられる。中でもMAや、MAとBMの混合溶剤を用いることが好ましい。
有機溶剤(C)の使用量は特に限定されないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。具体的には、感光性樹脂組成物の固形分濃度が10質量%〜50質量%、好ましくは15質量%〜35質量%の範囲内となるように用いることが好ましい。
【0047】
[その他(D)]
また、本発明に係る感光性樹脂組成物は、界面活性剤や、増感剤、消泡剤、架橋剤等の各種添加剤を含有していてもよい。
界面活性剤としては、従来公知のものであってよく、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の化合物が挙げられる。具体的には、X−70−090(商品名、信越化学工業社製)等を挙げることができる。界面活性剤を添加することにより、塗布性、平坦性を向上させることができる。
【0048】
増感剤としては、従来公知のポジ型レジストに用いられるものを使用することができる。例えば、分子量1000以下のフェノール性水酸基を有する化合物等が挙げられる。
上記消泡剤としては、従来公知のものであってよく、シリコーン系化合物、フッ素系化合物が挙げられる。
【0049】
また、架橋剤としては、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物が挙げられる。このような化合物としては、中でも、単官能、2官能又は3官能以上の(メタ)アクリレートが、重合性が良好であり、得られるパターン状薄膜の強度が向上する点から好ましく用いられる。
【0050】
上記単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレートなどが挙げられる。その市販品としては、例えばアロニックスM−101、同M−111、同M−114(東亜合成化学工業(株)製)、KAYARAD TC−110S、同TC−120S(日本化薬(株)製)、ビスコート158、同2311(大阪有機化学工業(株)製)が挙げられる。
【0051】
上記2官能(メタ)アクリレートとしては、例えばエチレングリコール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレートなどが挙げられる。その市販品としては、例えばアロニックスM−210、同M−240、同M−6200(東亜合成化学工業(株)製)、KAYARAD HDDA、同HX−220、同R−604(日本化薬(株)製)、ビスコート260、同312、同335HP(大阪有機化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0052】
上記3官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイロキシエチル)フォスフェート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。その市販品としては、例えばアロニックスM−309、同M−400、同M−402、同M−405、同M−450、同M−7100、同M−8030、同M−8060(東亜合成化学工業(株)製)、KAYARAD TMPTA、同DPHA、同DPCA−20、同DPCA−30、同DPCA−60、同DPCA−120(日本化薬(株)製)、ビスコート295、同300、同360、同GPT、同3PA、同400(大阪有機化学工業(株)製)などが挙げられる。これらの架橋剤は、単独であるいは組み合わせて用いられる。
なお、本発明の感光性樹脂組成物においては、上記アルカリ可溶性成分(A)を含有しているため、上記架橋剤を添加しなくても充分な熱硬化性を得ることができ、良好な層間絶縁膜を形成することができる。
【0053】
本発明に係る感光性樹脂組成物は、例えば、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を、ロールミル、ボールミル、サンドミル等の撹拌機で混合(分散及び混練)し、必要に応じて5μmメンブランフィルター等のフィルターで濾過して調製することができる。
【0054】
本発明の感光性樹脂組成物は、液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子等の電子部品における層状に配置される配線の間を絶縁するために設ける層間絶縁膜の形成に好適に用いることができる。
【0055】
[層間絶縁膜の形成方法]
以下、本発明に係る感光性樹脂組成物を用いて層間絶縁膜を形成する方法について説明する。層間絶縁膜を形成する方法は、基板上に感光性樹脂組成物を塗布する塗布工程と、塗布後の前記感光性樹脂組成物を選択的に露光する露光工程と、前記露光の後にアルカリ現像液で現像する現像工程を有する。
以下、各工程について説明する。
【0056】
まず、塗布工程では、基板等の支持体上に本発明に係る感光性樹脂組成物をスピンナー、ロールコータ、スプレーコータ、スリットコータ等を用いて塗布、乾燥させ、感光性樹脂組成物層を形成する。上記基板としては、例えば、透明導電回路等の配線を備え、必要に応じてブラックマトリクス、カラーフィルタ、偏光板等を備えるガラス板、シリコン基板等が挙げられる。
感光性樹脂組成物が塗布された基板の乾燥方法としては、例えば(1)ホットプレートにて80℃〜120℃の温度にて60秒〜120秒間乾燥する方法、(2)室温にて数時間〜数日放置する方法、(3)温風ヒータや赤外線ヒータ中に数十分〜数時間入れて溶剤を除去する方法、のいずれでもよい。また、上記感光性樹脂組成物層の膜厚は、特に限定されるものではないが、1.0μm〜5.0μm程度であることが好ましい。
【0057】
次いで、露光工程では、所定のマスクを介して、露光を行う。この露光は、紫外線、エキシマレーザ光等の活性エネルギー線を照射することにより行う。この活性エネルギー線の光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、エキシマレーザ発生装置等が挙げられる。照射するエネルギー線量は、感光性樹脂組成物の組成によっても異なるが、例えば30mJ/cm〜2000mJ/cm程度であればよい。
【0058】
次いで、現像工程では、露光された感光性樹脂組成物層を、現像液で現像し、パターンを形成する。現像液としては、1質量%〜3質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(以下、TMAHともいう)水溶液を用いる。TMAH水溶液の濃度としては、2質量%〜2.5質量%であることがより好ましく、汎用品の濃度である2.38質量%であることが最も好ましい。現像液の濃度を3質量%以下とすることによって形成されたパターンの膜減り量を減少させることが可能となる。
そして、前記パターンを加熱硬化させる。この加熱硬化温度としては、例えば150℃〜250℃の条件が好ましい。
【実施例】
【0059】
[実施例1]
下記の成分(A)(B)(D)からなる固形分の濃度が25質量%になるように(C)で調整して混合して、感光性樹脂組成物を調製した。
(A)成分:下記式の構成単位(a−1−1):構成単位(a−2−1):構成単位(a−3−1):構成単位(a−4−1)=31:39:20:10(モル比)の樹脂(質量平均分子量11500)・・・80質量部
【化6】

(B)成分:1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル(エステル化率67%)・・・20質量部
(C)成分:3−メトキシブチルアセテート
(D)成分:界面活性剤(商品名:X−70−093)・・・0.1質量部
ここで、上記1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンは、熱分解温度が365℃であり、波長350nmにおけるグラム吸光係数が、0.003であった。
【0060】
[実施例2]
(A)成分を下記に代えた他は実施例1と同様の方法により、感光性樹脂組成物を調製した。
(A)成分:構成単位(a−1−1):構成単位(a−2−1):下記式の構成単位(a−3−2):構成単位(a−4−1)=31:39:20:10(モル比)の樹脂(質量平均分子量13500)・・・80質量部
【化7】

【0061】
[比較例1]
実施例1における(A)成分を下記に代えた他は実施例1と同様の方法により、感光性樹脂組成物を調製した。
(A)成分:構成単位(a−1−1):構成単位(a−2−1)=44:56(モル比)の樹脂(質量平均分子量18000)・・・80質量部
【0062】
[比較例2]
実施例1における(A)成分を下記に代えた他は実施例1と同様の方法により、感光性樹脂組成物を調製した。
(A)成分:構成単位(a−1−1):構成単位(a−2−1):構成単位(a−4−1)=35:45:20(モル比)の樹脂(質量平均分子量11300)・・・80質量部
【0063】
(硬化膜形成方法)
上記により調製した感光性樹脂組成物を、6インチのシリコン基板(信越化学社製:低抵抗品))上に、膜厚1μmとなるようにスピンナーで塗布後、ホットプレート上にて110℃で2分間乾燥させた後、超高圧水銀灯を用いて全面露光し、クリーンオーブン中で230℃、30分間加熱硬化させた。
(パターン形成方法)
上記により調製した感光性樹脂組成物を、ガラス基板(ダウコーニング社製:0.7mm×150mm(厚さ×直径))上に、膜厚3.4μmとなるようにスピンナーで塗布後、ホットプレート上にて110℃で2分間乾燥させて塗布膜を得た。この塗布膜に対して、5μmライン・パターン/5μmスペース・パターンのポジマスクパターンを介してミラープロジェクションアライナー(商品名:MPA−600FA、キヤノン社製)を用いて露光した。
次いで、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38質量%水溶液(現像液)中にて、1分間浸漬させ現像を行い、純水でのリンス洗浄を経て不要部分を除去した後、超高圧水銀灯を用いて全面露光し、クリーンオーブン中で230℃30分間熱硬化させてパターンを得た。
【0064】
[評価]
上記実施例並びに比較例の感光性樹脂組成物について、評価を行った。評価は、硬化膜の誘電率、感度、及び硬化膜の透過率について行った。評価方法は以下のとおりである。
誘電率: 上記により得られた硬化膜について、SSM 495CV SYSTEM(日本SSM社製)を使用して誘電率を測定した。
透過率:上記パターン形成方法にて形成したパターンについて、分光光度計(商品名:UV−2500PC、島津製作所社製)を用いて測定した波長400nm〜800nmにおける最低透過率を透過率とした。
これらの結果を表1に示す。
【0065】
【表1】

【0066】
これより、本発明に係る感光性樹脂組成物が、従来の感光性樹脂組成物と比べ、誘電率が小さく、よって高い絶縁性を有することが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ可溶性樹脂成分(A)及び感光剤(B)を含む層間絶縁膜用感光性樹脂組成物であって、
前記アルカリ可溶性樹脂成分(A)が酸性基含有構成単位(a1)、架橋性基含有構成単位(a2)及びアルコキシシリル基含有構成単位(a3)を含む共重合体(A1)を含む、層間絶縁膜用感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記アルコキシシリル基含有構成単位(a3)は、一般式(a−3)で表される請求項1に記載の層間絶縁膜用感光性樹脂組成物。
【化1】

[上記一般式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1〜5のアルキレン基を表し、R、R及びRは相互に異なっていてもよいし同じでもよく炭素数1〜5のアルコキシ基又はアルキル基を表し、R、R又はRの少なくとも1つはアルコキシ基である。]
【請求項3】
前記アルカリ可溶性樹脂成分(A)は、酸性基含有構成単位として、フェノール性水酸基含有構成単位のみを含む、請求項1又は2に記載の層間絶縁膜用感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記酸性基含有構成単位(a1)は、一般式(a−1)で表される請求項1〜3のいずれかに記載の層間絶縁膜用感光性樹脂組成物。
【化2】

[上記一般式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは単結合又は炭素数1〜5のアルキレン基を表し、Rは炭素数1〜5のアルキル基を表し、Rが2以上存在する場合、これらのRは相互に異なっていてもよいし同じでもよく、aは1〜5の整数を表し、bは0〜4の整数を表し、a+bは5以下である。]
【請求項5】
前記架橋性基含有構成単位(a2)は、一般式(a−2)で表される請求項1〜4のいずれかに記載の層間絶縁膜用感光性樹脂組成物。
【化3】

[上記一般式中、Rは水素原子又はメチル基を表す。]
【請求項6】
前記共重合体(A1)における、前記酸性基含有構成単位(a1)の含有量は、20モル%〜70モル%であり、前記架橋性基含有構成単位(a2)の含有量は、20モル%〜70モル%であり、前記アルコキシシリル基含有構成単位(a3)の含有量は、1モル%〜40モル%である請求項1〜5のいずれかに記載の層間絶縁膜用感光性樹脂組成物。

【公開番号】特開2009−133891(P2009−133891A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−307588(P2007−307588)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】