説明

干渉計、光スイッチ、及び光集積装置

【課題】 光を容易に制御することができ、応答特性がよく小型化が可能な、干渉計、光スイッチ、及び光集積装置を提供する。
【解決手段】 入力用の第1の光ファイバに対し、一端に傾斜端面を他端に反射面を有する2つの分岐光路用の第2及び第3の光ファイバOf2及びOf3について、その一方を互いの傾斜端面の反射及び互いの側面レンズ作用により光結合するよう配置するとともに、その他方を互いの傾斜端面が所定の間隔で対向するように配置し、第2の光ファイバの傾斜端面が形成されていない方の端の端面に、金属ミラーを、また、第3の光ファイバOf3のうちの傾斜端面が形成されていない方の端の端面に、金属ミラーを端面に形成した温度変化により伸縮する形状記憶合金を設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スティック形状の、形状記憶合金と光導波部材と半導体装置とを用いて構成された、光電子集積装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光コンピュータや光インターコネクションの分野の進歩が目覚ましい。このため、小型で光を制御することができる光電子集積装置が必要となっている。
【0003】
現在使われている光電子集積装置の一つに、光スイッチがある。該光スイッチには、例えば、光を導波する光ファイバの光路を変える場合に、ミラー等を機械的に動かすことで光路を切り替えるものがあり、該可動式のミラー等によって光波を反射させることで、光路の切り替えを制御するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような光スイッチでは、光路を切り替えるためにはミラーを動かさなければならないため、光路切り替えの応答特性が悪いといった問題点があった。また、光スイッチが、上述したような機械的な構造を有する場合、小型化、集積化することが難しかった。
【0005】
また、光電子集積装置を形成する上で、光ファイバと共に様々な回路パターンが形成された半導体装置を用いる必要があるが、円柱状である光ファイバは基板上のブイ溝やピン等で固定できるが、平面形である半導体装置は、ブイ溝やピン等では固定することができないため、光ファイバと半導体とを同一の基板上に固定することは難しかった。
【0006】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、光を容易に制御することができ、応答特性がよく小型化が可能であり、同じ基板上に半導体装置をも含む光電子集積装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る干渉計は、外部から入射される光ビームを分波し、該分波した双方の光ビームを光路長の異なる2つの分岐光路を通過せしめた後合波することにより、該合波する両光ビームの間に干渉を生ぜしめ、該干渉を生ぜしめてなる光ビームを外部に出射するように構成してなる干渉計において、光を透過可能な材料からなり、その横断面が円形でその中心軸方向に延びる形状を有し、該中心軸に沿って光ビームが伝搬可能なように該横断面の半径方向にその屈折率を異ならしめてなり、少なくともその一端に該中心軸に略45度傾斜した傾斜端面を有し、該傾斜端面の中心部にて該傾斜端面の中心軸に対し略45度の角度で入射する光を全反射することが可能な第1、第2、第3の光導波部材と、横断面が円形でその中心軸方向に延びる形状を有し、その一端は該中心軸に対し垂直な端面を有し、該垂直な端面には金属薄膜を形成し、該金属薄膜に入射する光ビームを反射してなる、温度の変化によって中心軸方向に伸縮する形状記憶合金とを有し、前記第1の光導波部材に対し前記第2の光導波部材を、該第1の光導波部材の前記一端と該第2の光導波部材の前記一端とが双方の傾斜端面における反射,及び双方の側面のレンズ作用を利用して光結合するように配置し、前記第1の光導波部材に対し前記第3の光導波部材を、互いの中心軸が一致し、互いの傾斜端面が所定の間隔を有して略平行となるように配置することにより光合分波構造を形成し、前記第2の光導波部材,及び前記第3の光導波部材のうち、一方の光導波部材の中心軸と前記形状記憶合金の中心軸とは一致し、光導波部材の端面と、前記形状記憶合金の前記垂直な端面とが所定の間隔を置いて配置されており、他方の光導波部材の他端に該他方の導波部材の中心軸に沿って伝搬して来る光ビームを反射せしめる反射面を配設するようにしてなる、ことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の請求項2に係る光スイッチは、請求項1の干渉計を用いた光スイッチであって、該干渉計において前記形状記憶合金を伸縮せしめることで光路長を変化せしめ、位相のずれより生じる制御信号を出力する、ことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の請求項3に係る干渉計は、請求項1に記載の干渉計において、温度変化によって伸縮する前記形状記憶合金に電気を流すことで温度変化を起こして伸縮せしめ、または、前記形状記憶合金に温風を吹き付けることで温度変化を起こして伸縮せしめ、または、前記形状記憶合金に光をあてることで温度変化を起こして伸縮せしめる、ことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の請求項4に係る光スイッチは、請求項2に記載の光スイッチにおいて、温度変化によって伸縮する前記形状記憶合金に電気を流すことで温度変化を起こして伸縮せしめ、または、前記形状記憶合金に温風を吹き付けることで温度変化を起こして伸縮せしめ、または、前記形状記憶合金に光をあてることで温度変化を起こして伸縮せしめる、ことを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の請求項5に係る光集積装置は、請求項3に記載の干渉計、及び/または請求項4に記載の光スイッチの構成部材を、ブイ溝またはピンを設けた基板上に固定配置し、請求項3に記載の干渉計、及び/または請求項4に記載の光スイッチを集積化して前記基板上に形成した、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、温度の変化によって伸縮する形状記憶合金と、光を伝搬可能である光導波部材とを組み合わせて、光電子集積装置を形成することとしたので、通電加熱等の電気によって形状記憶合金の伸縮を制御することができ、光波を様々に制御することが容易に行え、簡単に集積化できるという効果を有する。
【0013】
また、本発明によれば、光導波部材に形状記憶合金を接着し、該形状記憶合金を伸縮させることで、前記光導波部材を動かし、前記光導波部材中を伝搬する光波が出射する位置を変更することとしたので、応答特性も良いので、集積化でき、精度が高く、応答特性も良い光スイッチが容易に作成できるという効果を有する。
【0014】
また、本発明によれば、端面を中心軸に対して略45度傾斜させた傾斜端面に金属薄膜によってミラーを形成した複数の形状記憶合金を有し、該形状記憶合金を伸縮させることで、第1の光導波部材から出射された光波を反射する形状記憶合金を選び、選ばれた形状記憶合金の前記傾斜端面にて光波を反射し、複数の内の一つの第2の光導波部材に入射することとしたので、集積化でき、精度が高く、応答特性も良い光スイッチが容易に作成できるという効果を有する。
【0015】
また、本発明によれば、それぞれの端面に中心軸に対して略45度の角度を有し、該中心軸に対して180度対称の位置に2つの傾斜面が形成され、それぞれの傾斜面には金属薄膜によってミラーが形成された二つの第1及び第2の形状記憶合金を有し、第1と第2の光導波部材はそれぞれの光導波部材の中心軸に対して垂直方向に並んでおり、第3と第4の光導波部材のそれぞれの端面は、前記第1と前記第2の光導波部材のそれぞれの端面と、向かい合わせになるように構成され、前記第1の光導波部材の中心軸は前記第3の光導波部材の中心軸と同一で、前記第2の光導波部材の中心軸は前記第4の光導波部材の中心軸と同一であり、前記第1と第2の形状記憶合金の中心軸は同一で、前記光導波部材の中心軸に対して垂直であり、前記第1と第2の形状記憶合金が伸びている状態の時に、前記第1の光導波部材と前記第3の光導波部材からの光ビームを前記第1の形状記憶合金の傾斜面は、反射することが可能で、前記第2と第4の光導波部材からの光ビームを前記第2の形状記憶合金の傾斜面は反射することが可能であるように構成し、該第1及び第2の形状記憶合金を伸縮させることで、光波の進路を切り替え、光導波路同士のつなぎ換えを行うこととしたので、集積化され、精度が高く、応答特性も良い光クロスバーが容易に作成できるという効果を有する。
【0016】
また、本発明によれば、横断面が長方形で、且つそれぞれの端面にその縦断面の中心線に対して略45度の角度を有し、該中心線に対して180度対称の位置に2つの傾斜面が形成され、それぞれの傾斜面には金属薄膜によってミラーが形成された二つの第1及び第2の形状記憶合金を有し、複数の第1の光導波部材及び複数の第2の光導波部材はそれぞれの光導波部材の中心軸に対して垂直方向に並んでおり、複数の第3の光導波部材及び複数の第4の光導波部材のそれぞれの端面は、前記複数の第1及び前記複数の第2の光導波部材のそれぞれの端面と、向かい合わせになるように構成され、前記複数の第1の光導波部材の中心軸は前記複数の第3の光導波部材の中心軸と同一で、前記複数の第2の光導波部材の中心軸は前記複数の第4の光導波部材の中心軸と同一であり、前記第1と第2の形状記憶合金の縦断面の中心線は、前記光導波部材の中心軸に対して垂直であり、前記第1と第2の形状記憶合金が伸びている状態の時に、前記複数の第1の光導波部材と前記複数の第3の光導波部材からの光ビームを前記第1の形状記憶合金の傾斜面は、反射することが可能で、前記複数の第2及び第4の光導波部材からの光ビームを前記第2の形状記憶合金の傾斜面は反射することが可能であるように構成し、該第1及び第2の形状記憶合金を伸縮させることで、光波の進路を切り替え、光導波路同士のつなぎ換えを行うこととしたので、集積化され、精度が高く、応答特性も良い、複数本並列に並べられた光ファイバ内を伝搬される光の導電の切り替えを一度に行えるアドドロップスイッチが容易に作成できるという効果を有する。
【0017】
また、本発明によれば、前記光クロスバーにおいて、前記第1及び第2の形状記憶合金を、直角二等辺三角柱の直角を挟む2つの傾斜面に金属薄膜を形成し、該2つの傾斜面のそれぞれの中心部にて該傾斜面に入射する光ビームを反射してなるミラーと、横断面が円形で、温度の変化によってその中心軸方向に伸縮する形状を有し、その一端を前記ミラーの底面に接着された2本の形状記憶合金と、からなるものとし、前記第1及び第2の形状記憶合金が伸びている状態の時に、前記複数の第1の光導波部材と前記複数の第3の光導波部材からの光ビームを前記第1の形状記憶合金のミラーは、反射することが可能で、前記複数の第2と前記複数の第4の光導波部材からの光ビームを前記第2の形状記憶合金のミラーは反射することが可能であるように構成したので、請求項5の効果に加え、前記形状記憶合金の移動量のばらつきを少なくして、前記ミラーが上下に移動する方向性を制御しやすい、複数本並列に並べられた光ファイバ内を伝搬される光の導電の切り替えを一度に行えるアドドロップスイッチが容易に作成できるという効果を有する。
【0018】
また、本発明によれば、前記光クロスバーにおいて、前記第1の形状記憶合金を前記第2の形状記憶合金の外周に沿うよう配置し、前記第1の形状記憶合金の2本の形状記憶合金が縮み、前記第2の形状記憶合金の2本の形状記憶合金が伸びている状態の時に、前記複数の第1の光導波部材と前記複数の第3の光導波部材からの光ビームを前記第1の形状記憶合金のミラーは、反射することが可能で、前記複数の第2と前記複数の第4の光導波部材からの光ビームを前記第2の形状記憶合金のミラーは反射することが可能であるように構成し、該第1または第2の形状記憶合金のどちらか一方を縮めることで、光波の進路を切り替え、光導波路同士のつなぎ換えを行うこととしたので、集積化され、精度が高く、応答特性も良い、複数本並列に並べられた光ファイバ内を伝搬される光の導電の切り替えを一度に行えるアドドロップスイッチが容易に作成できるという効果を有する。また、第1または第2の形状記憶合金のうちどちらか一方を縮ることで光波の進路を切り替えることができるので、光の進路の切り替え制御をより精度よく行うことができる。
【0019】
また、本発明によれば、端面を中心軸に対して略45度傾斜させた傾斜端面に、お互いに異なった特性を持つ光波長フィルタを形成した二つの形状記憶合金を有し、該形状記憶合金のそれぞれを伸縮させることで、第1の光導波部材から出射された光波を反射する光波長フィルタを選び、所望の波長の光波を第2の光導波部材に入射させることとしたので、集積化され、精度が高く、応答特性も良く元の光波より簡単に2種類の光波を取り出すことができる光フィルタが容易に作成できるという効果を有する。
【0020】
また、複数段に増やしていくことで、より精度の高い光フィルタが得られるという効果を有する。
【0021】
また、本発明によれば、端面を中心軸に対して傾斜させたた傾斜端面に、光波長フィルタを形成された形状記憶合金を有し、該光波長フィルタは光波の反射位置によって異なった反射特性を持つように形成されており、該形状記憶合金を伸縮させることで、第1の光導波部材から出射された光波を反射する光波長フィルタの反射位置を変化させ、所望の波長の光波を第2の光導波部材に入射させることとしたので、集積化され、精度が高く、応答特性も良く元の光波より簡単に複数種類の光波を取り出すことができる光フィルタが容易に作成できるという効果を有する。
【0022】
また、複数段に増やしていくことで、より精度の高い光フィルタが得られるという効果を有する。
【0023】
また、本発明によれば、前記光フィルタにおいて、形状記憶合金の傾斜端面に形成された光波長フィルタは、該傾斜端面に金属薄膜を形成し、さらに前記金属薄膜上に誘電体を形成して作成されるファブリーペロー型波長フィルタであることとしたので、広範囲の波長に対応する光波長フィルタを形成でき、元の光波より確実に所望の光波を取り出すことができるという効果を有する。
【0024】
また、本発明によれば、前記光フィルタにおいて、前記形状記憶合金の前記傾斜端面に形成された前記波長フィルタは、該傾斜端面に溝を設け、その上に前記金属薄膜を形成して作成されるグレーティング型波長フィルタであることとしたので、入射する光波の波長によって反射角を所望の値にすることができ、位置によって異なった反射特性を持つ光波長フィルタを形成でき、元の光波より確実に所望の光波を取り出すことができるという効果を有する。
【0025】
また、本発明によれば、外部から入射される光ビームを分波し、該分波した双方の光ビームを光路長の異なる分岐光路を通過せしめた後合波することにより干渉を生ぜしめる干渉計において、2つの分岐光路のうちの一方の分岐光路を構成する光導波路の終端に反射面を設け、他方の分岐光路の一部を構成する光導波部材の端面と、端面に金属薄膜を形成した形状記憶合金の該金属薄膜とが所定の距離を置くように配置されたので、該他方の分岐光路は光導波部材の端面から前記金属薄膜に出射されて、反射され再度入射する光ビームが通った光路とで構成されることとなり、該他方の分岐光路を通った光ビームは、一方の分岐光路を通った光ビームとは位相が異なるものとなるため、マイケルソン干渉計として用いることができ、集積化が容易にでき、作成することが容易であるという効果を有する。
【0026】
また、本発明によれば、前記光スイッチであって、該干渉計において前記形状記憶合金を伸縮せしめることで光路長を変化せしめ、位相のずれより生じる制御信号を出力することとしたので、容易に光スイッチを作成することができるという効果を有する。
【0027】
また、本発明によれば、前記光スイッチ、前記光クロスバー、前記光フィルタ、前記干渉計において、形状記憶合金に電気を流すことで温度変化を起こして伸縮せしめ、または、前記形状記憶合金に温風を吹き付けることで温度変化を起こして伸縮せしめ、または、前記形状記憶合金に光をあてることで温度変化を起こして伸縮せしめることとしたので、伸縮を制御することが容易に、また、高い精度で行えるという効果を有する。
【0028】
また、本発明によれば、前記光スイッチ、前記光クロスバー、前記光フィルタ、前記干渉計の構成部材を、ブイ溝またはピンを設けた基板上に固定配置し、前記光スイッチ、前記光クロスバー、前記光フィルタ、前記干渉計を集積化して前記基板上に形成したこととしたので、光導波部材及び形状記憶合金を同一の基板上に設置して光電子集積装置を作成することができ、集積化が容易であるという効果を有する。
【0029】
また、本発明によれば、横断面が円形でその中心軸方向に延びる形状を有し、その側面には、所望の集積回路が形成されており、その端面には電極が形成されていることとしたので、ブイ溝やピンを有する基板上に、該ブイ溝やピンを利用して、配置固定することができるという効果を有する。
【0030】
また、伝送線の一部として用いることで、信号の伝送途中において、信号を制御することができるという効果を有する。
【0031】
また、本発明によれば、前記半導体装置において、その端面には、発光部あるいは受光部が形成されていることとしたので、光導波部材と組み合わせることで、光電子集積装置を作成することができるという効果を有する。
【0032】
また、本発明によれば、前記半導体装置において、ブイ溝またはピンを有する基板上に前記半導体装置が積層配置された場合に、それぞれの前記半導体装置同士が接する箇所に電極を形成し、前記半導体装置同士で信号の入出力を行うこととしたので、それぞれの半導体装置を、電線等の伝送線でつなぐ必要がないという効果を有する。
【0033】
また、本発明によれば、前記半導体装置と、横断面が円形でその中心軸方向に延びる形状を有し、温度の変化によって伸縮する、単一または複数の形状記憶合金と、光を透過可能な材料からなり、その横断面が円形でその中心軸方向に延びる形状を有し、該中心軸に沿って光ビームが伝搬可能なように該横断面の半径方向にその屈折率を異ならしめてなる単一または複数の光導波部材とを有し、ブイ溝またはピンを設けた基板上に、前記半導体装置、前記形状記憶合金、前記光導波部材を配置し、集積化した、前記半導体装置と前記形状記憶合金と前記光導波部材との組合せで光ビームを制御することとしたので、スティック状で同一の形状と大きさである、半導体装置と形状記憶合金と光導波部材は同一の基板上に容易に固定配置でき、また、積層配置も可能であり、容易に複雑な制御が可能な光電子集積装置を作成することができるという効果を有する。
【0034】
また、本発明によれば、横断面が円形でその中心軸方向に延びる形状を有し、その側面には、所望のマイクロ波回路が形成されており、その中心軸、または側面の一部の領域には対極が形成されていることとしたので、ブイ溝やピンを有する基板上に、該ブイ溝やピンを利用して、配置固定することができるという効果を有する。
【0035】
また、伝送線の一部として用いることで、信号の伝送途中において、信号を制御することができるという効果を有する。
【0036】
また、本発明によれば、前記マイクロ波装置において、その端面には、発光部あるいは受光部が形成されていることとしたので、光導波部材と組み合わせることで、光電子集積装置を作成することができるという効果を有する。
【0037】
また、本発明によれば、前記マイクロ波装置において、ブイ溝またはピンを有する基板上に当該マイクロ波装置本体が積層配置された場合に、それぞれの前記マイクロ波装置本体同士が接する箇所に電極を形成し、前記マイクロ波装置本体同士で信号の入出力を行うこととしたので、それぞれのマイクロ波装置を、同軸ケーブル等の伝送線でつなぐ必要がないという効果を有する。
【0038】
また、本発明によれば、前記マイクロ波装置と、横断面が円形でその中心軸方向に延びる形状を有し、温度の変化によって伸縮する、単一または複数の形状記憶合金と、光を透過可能な材料からなり、その横断面が円形でその中心軸方向に延びる形状を有し、該中心軸に沿って光ビームが伝搬可能なように該横断面の半径方向にその屈折率を異ならしめてなる単一または複数の光導波部材とを有し、ブイ溝またはピンを設けた基板上に、前記マイクロ波装置、前記形状記憶合金、前記光導波部材を配置し、集積化した、前記マイクロ波装置と前記形状記憶合金と前記光導波部材との組合せで光ビームを制御するようにしたので、スティック状で同一の形状と大きさである、マイクロ波装置と形状記憶合金と光導波部材とを同一の基板上に容易に固定配置でき、また、積層配置も可能であり、容易に複雑な制御が可能な光電子集積装置を作成することができるという効果を有する。
【0039】
また、本発明によれば、前記光電子集積装置において、前記半導体装置をさらに有し、ブイ溝またはピンを設けた基板上に、前記マイクロ波装置、前記形状記憶合金、前記光導波部材、前記半導体装置を配置し、集積化した、前記マイクロ波装置と前記形状記憶合金と前記光導波部材と前記半導体装置との組合せで光ビームを制御するものとしたので、スティック状で同一の形状と大きさである、マイクロ波装置と形状記憶合金と光導波部材と半導体装置とを同一の基板上に容易に固定配置でき、また、積層配置も可能であり、容易により複雑な制御が可能な光電子集積装置を作成することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】光ファイバ間を互いの傾斜端面における反射及び互いの側面のレンズ作用を利用して光結合した光接続構造の構成を示す図であって、斜視図(図1(a))、図1(a)のD矢示図(図1(b))、及び図1(a)のE矢示図(図1(c))である。
【図2】光ビームを合分波することが可能な光接続構造の構成を示す図であって、正面図(図2(a))、及び図2(a) の部分拡大図(図2(b))である。
【図3】光ビームを合分波するとともに光配線でT字状に引き回すことが可能な光接続構造の構成を示す図であって、斜視図(図3(a))、図3(a)のF矢示図(図3(b))、及び図3(a)のG矢示図(図3(c))である。
【図4】本発明の実施の形態1にかかる光スイッチの構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態2にかかる光スイッチの構成を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態3にかかる光クロスバーの構成を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態4にかかる光フィルタをの構成を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態5にかかる光フィルタの構成を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態6にかかるマイケルソン干渉計の構成を示す図であって、斜視図(図9(a))、図9(a)のK矢示図(図9(b))、及び図9(a)のL矢示図(図9(c))である。
【図10】本発明の実施の形態7にかかる半導体装置の構成を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態7にかかる半導体装置を用いて半導体装置同士を接続している状態を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態8にかかる半導体装置と光ファイバとを組み合わせた回路の構成を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態8にかかる半導体装置を基板のブイ溝に積層配置した状態を示した図である。
【図14】本発明の実施の形態3の変形例1にかかるアドドロップスイッチの斜視図である。
【図15】本発明の実施の形態3の変形例1にかかるアドドロップスイッチの構成を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態3の変形例1にかかるアドドロップスイッチの別の構成を示す斜視図である。
【図17】本発明の実施の形態3の変形例2にかかるアドドロップスイッチの構成を示す斜視図である。
【図18】本発明の実施の形態7の変形例にかかるマイクロ波装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
各実施の形態を説明する前に、光ファイバ間の基本的な光接続構造を図1〜図3を用いて説明する。
【0042】
図1は光ファイバ間を互いの傾斜端面における反射及び互いの側面のレンズ作用を利用して光結合した光接続構造の構成を示す図であり、図1(a)は斜視図、図1(b)は図1(a)のD矢示図、図1(c)は図1(a)のE矢示図である。図1における光接続構造は、第1の光ファイバOf1と、第2の光ファイバOf2とで構成され、これら第1,第2の光ファイバOf1,Of2は、共に、横断面が円形で中心軸Ax1,Ax2方向に径が一定な線形状を有し、一端に中心軸Ax1,Ax2に対し、45度傾斜した鏡面からなる傾斜端面F1,F2を有し、中心部に所定の径で中心軸方向に延びるように形成されたコア1と該コア1の外側に形成されたクラッド2とで構成されている。
【0043】
そして、第1の光ファイバOf1に対し、第2の光ファイバOf2は、該第2の光ファイバOf2の傾斜端面F2の中心Cp2が、第1の光ファイバOf1の傾斜端面F1の中心Cp1にて該傾斜端面F1の中心軸Ax4を挟むようにして該第1の光ファイバOf1の中心軸Ax1に直交する両光ファイバ直交軸Ax3上に位置し、第2の光ファイバOf2の中心軸Ax2が、該第2の光ファイバOf2の傾斜端面F2の中心軸Ax5を挟むようにして両光ファイバ直交軸Ax3に直交するとともに該両光ファイバ直交軸Ax3方向から見て第1の光ファイバOf1の中心軸Ax1に対し90度の交差角を有し、第1の光ファイバOf1の傾斜端面F1と第2の光ファイバOf2の傾斜端面F2とが、両光ファイバ直交軸Ax3方向から見て互いに反対の方向を向き、かつ、第2の光ファイバOf2と第1の光ファイバOf1との間隔dが次に述べる特定の値となるように配置されている。
【0044】
すなわち、光ファイバ間隔dは、第1の光ファイバの傾斜端面F1の中心Cp1で反射されて径が拡がった光ビームが第1の光ファイバOf1,及び第2の光ファイバOf2の双方の側面のレンズ作用により収束されて、第2の光ファイバOf2内を伝搬する際のスポットサイズωB と同じ径を有するものとなる位置に、該第2の光ファイバの傾斜端面F2の中心Cp2が位置するような間隔とされる。この間隔dは、入射せしめる光ビームの波長に応じて、第1の光ファイバOf1内のスポットサイズωA ,第2の光ファイバOf2内のスポットサイズωB ,クラッドの半径a,及びクラッドの屈折率nc を適宜選択することにより、所望の値に設定することができる。第1,第2の光ファイバ内のスポットサイズωA ,ωB は、コア1のドーパント等の熱拡散技術等を用いると比較的容易に変化させることができる。
【0045】
第1,第2の光ファイバOf1,Of2は、光を透過可能な材料、すなわち誘電体又は半導体で構成され、例えばSiO2 が用いられる。
【0046】
また、クラッド2の屈折率は、コア1の屈折率より小さくなるようにし、コア1,及びクラッド2の屈折率は、光導波路の周囲の媒質(ここでは空気)の屈折率に対し、第1,第2の光ファイバOf1,Of2の傾斜端面F1,F2における全反射条件を満たすに十分大きな値とされる。
【0047】
また、第1,第2の光ファイバOf1,Of2の傾斜端面F1,F2を得るには、例えば、まず、仕上がり面粗さの粗い研磨面を有する研磨機を用い、光ファイバの端を研磨面に対し45度傾けて研磨し、次いで、仕上がり面粗さの細かい研磨面を有する研磨機を用いて同様に研磨し、最後に、仕上げの研磨をする。これにより、中心軸に対し45度傾斜した鏡面からなる傾斜端面F1,F2を得ることができる。
【0048】
次に、以上のように構成された光接続構造の動作を説明する。
【0049】
なお、この動作は、解析モデルを用いて理論的に説明することができる(1997年電子情報通信学会総合大会講演論文集,エレクトロニクス1,P500〜501,SC-3-6「単一モード光ファイバチップのLカップリングとそのEOチップとEOボード間結合への応用」参照)が、ここではその解析モデルを用いた説明は省略する。
【0050】
図1において、第1の光ファイバOf1の他端に所定の波長λの光ビームを入射せしめると、入射した光ビームは、第1の光ファイバOf1の中心部を中心軸Ax1に沿ってスポットサイズωA で伝搬し、第1の光ファイバOf1の傾斜端面F1の中心点Cp1で該傾斜端面F1の中心軸Ax4に対し45度の角度で反射し、両光ファイバ直交軸Ax3に沿って第1の光ファイバOf1の側面,及び第2の光ファイバOf2の側面を通過し、第2の光ファイバOf2の傾斜端面F2で該傾斜端面F2の中心軸Ax5に対し45度の角度で反射し、第2の光ファバOf2の中心部を中心軸Ax2に沿ってスポットサイズωB で伝搬し、該第2の光ファイバOf2の他端から出射される。
【0051】
この際に、第1の光ファイバの傾斜端面F1の中心Cp1で反射された光ビームは、該第1の光ファイバOf1の半径方向には光の閉じ込め構造が存在しないため径が拡がり、この径の拡がった光ビームは、互いに90度捩じれた位置関係にある第1,第2の光ファイバOf1,Of2の側面のレンズ作用により、該光ビームの横断面方向において均等な収束効果を受ける。ここで、光ファイバ間隔dは、第1の光ファイバの傾斜端面F1の中心Cp1で反射されて径が拡がった光ビームが前記収束効果を受けて、第2の光ファイバOf2内を伝搬する際のスポットサイズωB と同じ径を有するものとなる位置に、該第2の光ファイバの傾斜端面F2の中心Cp2が位置するような間隔であるので、前記収束効果を受けた光ビームは、第2の光ファイバの傾斜端面F2の中心Cp2にて、該第2の光ファイバOf2内のスポットサイズωB と同じ径を有するものとなり、該第2の光ファイバの傾斜端面F2で反射された光ビームの全部が該第2の光ファイバOf2のコア1に入射する。従って、両光ファイバOf1,Of2間の結合効率ηが1となる。
【0052】
また、第2の光ファイバOf2の他端に所定の波長λの光ビームを入射せしめると、入射した光ビームは、上記と全く逆の経路を辿り、上記と同様にして結合効率1でもって第2の光ファイバOf2から第1の光ファイバOf1に伝搬し、該第1の光ファイバOf1の他端から出射される。
【0053】
なお、上記の説明では、第1,第2の光ファイバOf1,Of2と両光ファイバ直交軸Ax3との交差角、第1の光ファイバOf1と第2の光ファイバOf2との交差角、各光ファイバの傾斜端面F1,F2の傾斜角、及び光ファイバ間隔dが理想値であるものとしているが、これら各角度,及び光ファイバ間隔dが理想値から若干ずれたとしても、光ファイバ間の結合効率は急激に低下するものではない。従って、これら各角度,及び光ファイバ間隔dは、理想値に近い範囲内で、必要とされる結合効率に応じた値に設定することができる。
【0054】
また、本光接続構造では、互いに直角にねじれた位置関係にある2つの傾斜端面F1,F2で、光ファイバに入射せしめた光ビームを反射するため、光ビームは、一方の傾斜端面でTMライク入射すると、他方の傾斜端面ではTEライク入射する(あるいは、その逆)。従って、基本的に、第1の光ファイバOf1と第2の光ファイバOf2との接続部では、偏波無依存性を示す。
【0055】
また、光導波部材として、コア1とクラッド2とからなる光ファイバを用いているが、その半径方向に徐々に小さくなるように屈折率を変化せしめてなるロッドレンズを用いてもよい。
【0056】
以上のように、光ファイバ間を互いの傾斜端面における反射及び互いの側面のレンズ作用を利用して光結合すれば、高効率な光接続が可能となり、また、上記説明した基本的な光接続構造では光配線をL字状に引き回すことが可能となる。 以下、図1に示すような光接続構造をL字カップリングという。
【0057】
図2は、光ビームを合分波可能な光接続構造の構成を示す図であり、図2(a)は正面図、図2(b)は図2(a)の部分拡大図である。図において、図1と同一符号は同一又は相当する部分を示し、本光接続構造は、第1の光ファイバOf1に対し、第2の光ファイバOf2を、該第2の光ファイバOf2の中心軸が、第1の光ファイバの中心軸に一致し、かつ第2の光ファイバの傾斜端面F2が、第1の光ファイバの傾斜端面F1に対し平行でかつ所定の間隔Sを有するよう配置してなる点が、図1の光接続構造と異なるものである。また、Ax6は、第1の光ファイバOf1の傾斜端面F1の中心点にて該傾斜端面F1の中心軸Ax4を挟むようにして該第1の光ファイバOf1に直交する第1の光ファイバ直交軸を示している。
【0058】
このように構成された光接続構造では、実線の矢印で示すように、光ビームを第1の光ファイバの端から入射せしめると、入射した光ビームは、傾斜端面F1で、傾斜端面F1及び傾斜端面F2の間隔Sに応じた割合で分波され、一部が傾斜端面F1及び傾斜端面F2を通過して第2の光ファイバOf2に入射してその端から出射され、他は傾斜端面F1で反射して第1の光ファイバ直交軸Ax6に沿って進み、該第1の光ファイバOf1の側面から出射される。その結果、光ビームを分波することができる。
【0059】
一方、破線の矢印で示すように、第2の光ファイバOf2の端から光ビームを入射せしめるとともに、第1の光ファイバOf1の側面から光ビームを入射せしめると、入射した2つの光ビームは、第1の光ファイバの傾斜端面F1で合波されて第1の光ファイバに入射し、その端から出射される。その結果、光ビームを合波することができる。
【0060】
但し、第1の光ファイバOf1の側面から出射される光ビームは、図1で説明したように径が拡がるため、その拡がった光ビームをうまく把捉するようにして利用する必要がある。また、第1の光ファイバOf1の側面から光ビームを普通に入射せしめようとしても光結合効率が悪いので、この第1の光ファイバOf1の側面に光ビームを入出射するには、図1のL字カップリングを用いるのが好ましい。そして、そのように上記L字カップリングを用いることによって、この第1の光ファイバOf1の側面に入出射する光ビームを光配線を用いて引き回すことができる。
【0061】
図3は、L字カップリングを用い、光ビームを合分波するとともに光配線で引き回すことが可能な光接続構造の構成を示す図であり、図3(a)は斜視図、図3(b)は図3(a)のF矢示図、図3(c)は図3(a)のG矢示図である。図3において、図1,図2と同一符号は同一又は相当する部分を示しており、図における光接続構造は、図2の光接続構造に図1のL字カップリングを組み合わせたもので、第1,第2の光ファイバOf1,Of2に加えて、該第1,第2の光ファイバOf1,Of2と同一の構造を有し、かつその一端に中心軸Ax7に対し45度傾斜した傾斜端面F3を有する第3の光ファイバOf3をさらに有し、該第3の光ファイバOf3を、該第3の光ファイバOf3の中心軸Ax7が、第1の光ファイバの中心軸Ax1に一致し、かつ第3の光ファイバの傾斜端面F3が、第1の光ファイバの傾斜端面F1に対し平行でかつ所定の間隔Sを有するよう配置してなる点が、図1の光接続構造と異なるものである。また、P1〜P3は、第1〜第3の光ファイバOf1〜Of3の他端である第1〜第3のポートを示している。
【0062】
このように構成された光接続構造では、光ビームを第1のポートP1から入射せしめると、入射した光ビームは、傾斜端面F1及び傾斜端面F3の間隔Sに応じた割合で、一部が傾斜端面F1及び傾斜端面F3を通過して第3の光ファイバOf3に入射し、第3のポートP3から出射され、他は傾斜端面F1で反射して第2の光ファイバOf2を通り、第2のポートP2から出射される。その結果、光分波器として機能する。
【0063】
一方、第2のポートP2,及び第3のポートP3から光ビームをそれぞれ入射せしめると、入射した2つの光ビームは第1の光ファイバの傾斜端面F1で合波されて第1の光ファイバに入射し、第1のポートP1から出射される。その結果光合波器として機能する。
【0064】
従って、本光接続構造は光合分波器として機能するとともに、光配線をT字状に引き回すことができる。以下、図3に示すような光接続構造をT字カップリングという。
【0065】
次に、実施の形態で使われる形状記憶合金について説明する。
【0066】
低温時にある種の金属に、大きな変形を与えても、高温に加熱することで、変形前の状態を記憶しているかのように元の形状に回復する現象を形状記憶効果という。また、形状記憶効果を示す金属を形状記憶合金と呼んでいる。
【0067】
この形状記憶効果を利用したものにトキコーポレーションが製造しているバイオメタル(Biometal登録商標)がある。バイオメタルはTi−Ni系の形状記憶合金である。これは、通電が容易で、引張り方向の使用に優れた性能を発揮するバイオメタル・ファイバと呼ばれる光ファイバのような細線状の形で供給されている。このバイオメタル・ファイバは、引っ張り方向(長手方向)に特性を向上させた一種の異方性材料であり、一定の長さが記憶されており、引張り変形を加えた状態で加熱すると、筋肉のように収縮し、冷却すると弛緩する。一般の形状記憶合金と比較してバイオメタル・ファイバは、変形に必要な力が非常に小さいため、形状回復力(引張り力)を有効に取り出すことができる。バイオメタル・ファイバは、大きな引張り方向のひずみを繰り返し利用することができるうえ、ニクロム線に近い電気抵抗を持つため、通電加熱駆動のアクチュエータとして使用されており、通電加熱で用いたときも優れた動作特性を示す。また、材料的な特性や機械的性質が安定しており、引っ張りで2〜3%以上の大きな安定した動作歪みが使え、使用条件によっては、4%以上可能であるという特徴を持つ。
【0068】
本実施の形態では形状記憶合金として、このバイオメタル・ファイバを使用している。
(実施の形態1)
本実施の形態1にかかる光スイッチについて図を用いて説明する。図4は、本実施の形態1にかかる光スイッチの構成を示す図である。
【0069】
まず、本実施の形態1にかかる光スイッチの構成を説明する。全図を通して、同一符号は同一又は相当する部分を示している。Mfは、形状記憶合金である。Ax8は、形状記憶合金Mfの中心軸である。形状記憶合金Mfは、横断面が円形でその中心軸方向に延びる形状を有し、温度の変化によって伸縮する特徴を有している。形状記憶合金Mfを加熱した場合には収縮し、冷却すれば、弛緩する。また、Of1及びOf2は第1の光ファイバ及び第2の光ファイバで、端面はそれぞれの中心軸Ax1及びAx2に垂直である。
【0070】
図4に示すように、第1の光ファイバの側面には形状記憶合金Mfの横断面を接着固定し、第1の光ファイバOf1の中心軸Ax1と形状記憶合金Mfの中心軸Ax8が直交するように構成され、複数の第2の光ファイバOf2は、そのそれぞれの中心軸Ax2が前記第1の光ファイバOf1の中心軸Ax1と同一方向となるように配置され、中心軸Ax1の垂直方向に複数並んで構成されている。
【0071】
次に、本実施の形態1にかかる光スイッチの動作について説明する。まず、図4(a)に示す状態では、第1の光ファイバOf1の中心軸Ax1と一番左端の第2の光ファイバOf2の中心軸Ax2が一直線上にある。この状態で、第1の光ファイバOf1を通って光ビームが出射されたとすると、該光ビームは上記第1の光ファイバOf1の中心軸Ax1に沿って出射されるので、そのまま一番左端の第2の光ファイバOf2のコアに入射され、該一番左端の第2の光ファイバOf2中を伝搬していく。
【0072】
形状記憶合金Mfはニクロム線に近い電気抵抗を持つので、例えば、形状記憶合金Mfに電気を流すと、通電加熱が起こり、形状記憶合金Mfは、熱せられる。そのため、形状記憶効果により、形状記憶合金Mfは収縮する。従って、形状記憶合金Mfの一部を固定しておけば、形状記憶合金Mfに接着固定されている光ファイバOf1が、形状記憶合金Mfの中心軸Ax8に沿って右方向に移動する。そして、このときの第1の光ファイバOf1の移動量については、形状記憶合金Mfに流す電気の量とそれによる発熱量及び発熱によって形状記憶合金Mfがどれだけ収縮するかを調べておけば、容易に制御することができる。
【0073】
以上のように形状記憶合金Mfを収縮させることで、図4(a)の状態から、図4(b)に示すように、第1の光ファイバOf1の中心軸Ax1と左から二番目に位置する第2の光ファイバOf2の中心軸Ax2とが同一直線上となる位置に、第1の光ファイバOf1を移動させる。この状態で、第1の光ファイバOf1を通って光ビームが出射されたとすると、該光ビームは第1の光ファイバOf1の中心軸Ax1に沿って出射されるので、そのまま左から二番目に位置する第2の光ファイバOf2に入射され、該第2の光ファイバOf2中を伝搬していく。
【0074】
同様にして、形状記憶合金Mfの移動量を制御することによって、第1の光ファイバOf1から出射される光ビームを、複数並んだ第2の光ファイバOf2の中からいずれかの光ファイバを選択して伝搬させることができる。
【0075】
なお、図4においては、第1の光ファイバOf1と第2の光ファイバOf2との隙間を、見やすくするために広く描いているが、実際の上記第1の光ファイバOf1と第2の光ファイバOf2との隙間は、第1の光ファイバOf1から第2の光ファイバOf2へ光ビームの損失が少なく伝搬するのに必要な隙間であればよい。また、光ファイバ間での光ビームの入出力時に生じる損失が、該光ビームが空気中を伝搬する場合よりも低くなるマッチングオイルを、第1の光ファイバOf1と第2の光ファイバOf2との間に満たすようにすれば、光ファイバ間での光ビームの損失はほぼゼロに等しくできる。
【0076】
また、形状記憶合金Mfを加熱する方法は、例えば、赤外線等による光を当てることによる加熱や、温風を吹き付ける事によって加熱する等の方法によっても構わない。
【0077】
なお、上述した光スイッチの構成を、光ファイバで回路を組む場合に使用するブイ溝やピン等を有する基板上に形成し、それに他の回路を加えることでさらに様々な働きをする光電子集積装置が形成される。そしてその場合、形状記憶合金Mfの形状が光ファイバOf1、Of2と同一の形状であるので、該光スイッチを上述した光ファイバで回路を組む場合に使用するブイ溝やピン等を有する基板上に、ブイ溝やピン等で上記形状記憶合金を固定できるので、容易に回路が組める。
【0078】
このように、本実施の形態1にかかる光スイッチは、第1の光ファイバに接着固定した形状記憶合金に、通電加熱等で温度変化を与えて伸縮させることによって第1の光ファイバを移動させ、複数の第2の光ファイバのうちの一つを選択して、第1の光ファイバより出射される光ビームを、該選択された第2の光ファイバに入射せしめることとしたので、容易に、精度良く光路を変化させることができるという効果を有する。また、形状記憶合金は、光ファイバと同形状であるので、ブイ溝やピン等を有して、それらで光ファイバを固定することができる基板上に設置し、光電子集積装置を作成することができ、それによって複雑な制御ができる光電子集積装置を作成することができるという効果を有する。
【0079】
(実施の形態2)
本実施の形態2にかかる光スイッチについて図を用いて説明する。図5は、本実施の形態2にかかる光スイッチの構成を示す図である。
【0080】
まず、本実施の形態2にかかる光スイッチの構成を説明する。全図を通して、同一符号は同一又は相当する部分を示している。Mfは、形状記憶合金であり、Ax8は、該形状記憶合金Mfの中心軸である。形状記憶合金Mfは、横断面が円形でその中心軸方向に延びる形状を有し、温度の変化によって伸縮する特徴を有している。具体的には、上記形状記憶合金Mfを加熱した場合には収縮し、冷却すれば、弛緩する。また、形状記憶合金Mfの一端には、中心軸Ax8に対して45度の角度を有する傾斜端面mが形成され、傾斜端面mに金属を蒸着することで金属薄膜を形成した金属ミラー3が形成されている。Of1及びOf2は第1の光ファイバ及び第2の光ファイバで、端面はそれぞれの中心軸Ax1及びAx2に垂直な端面である。また、第2の光ファイバOf2及び形状記憶合金Mfはそれぞれ複数あり、その数は等しい。
【0081】
本実施の形態2における光スイッチは、図5に示すように、第1の光ファイバの中心軸Ax1と、複数の形状記憶合金Mfの中心軸Ax8とが直交し、複数の形状記憶合金Mfは中心軸Ax8の垂直方向に複数並んで構成され、複数の第2の光ファイバOf2のそれぞれの中心軸Ax2と形状記憶合金Mfのそれぞれの中心軸Ax8とが同一であるように構成されている。
【0082】
次に、本実施の形態2にかかる光スイッチの動作について説明する。まず、図5(a)に示す状態では、形状記憶合金Mfのうち最上段にあるもの以外に電気を流し、通電加熱を起こした状態である。温度上昇によって最上段以外の形状記憶合金Mfは収縮する。従って、形状記憶合金Mfの一部を固定しておけば、収縮により、傾斜端面mが左に移動したことになる。そして、その移動量は、形状記憶合金Mfに流す電気の量とそれによる発熱量及び発熱によって形状記憶合金Mfがどれだけ収縮するかを調べておけば、容易に制御できる。この際、第1の光ファイバOf1から光ビームが出射されると、収縮していない最上段の形状記憶合金Mfの傾斜端面mに形成されている金属ミラー3の中央部で光ビームは反射し、最上段の第2の光ファイバOf2のコアに入射して、最上段の第2の光ファイバOf2中を伝搬していく。
【0083】
次に、上から二段目の形状記憶合金以外の形状記憶合金Mfに電気を流し、通電加熱を行うと、図5(b)に示すように、上から二段目の形状記憶合金の傾斜端面m以外は、左に移動したことになる。そしてこの際に、第1の光ファイバOf1から光ビームが出射されると、上から二段目の形状記憶合金Mfの傾斜端面mに形成されている金属ミラー3の中央部で光ビームは反射し、上から二段目の第2の光ファイバOf2中を伝搬していく。
【0084】
同様にして、形状記憶合金Mfの移動量を制御することによって、第1の光ファイバOf1から出射される光ビームを、複数並んだ第2の光ファイバOf2の中からいずれかの光ファイバを選択して伝搬させることができる。
【0085】
なお、実施の形態1と同様に光ファイバ間や光ファイバと形状記憶合金間の隙間は、適当な値とし、隙間にマッチングオイルを用いることで光ビームの損失をほぼゼロに等しくすることができる。
【0086】
また、形状記憶合金Mfを加熱する方法は、例えば、赤外線等による光を当てることによる加熱や、温風を吹き付ける事によって加熱する等の方法によっても構わない。
【0087】
なお、上述した光スイッチの構成を、光ファイバで回路を組む場合に使用するブイ溝やピン等を有する基板上に形成し、それに他の回路を加えることで、さらに様々な働きをする光電子集積装置が形成される。そしてその場合、形状記憶合金Mfの形状が光ファイバOf1、Of2と同一の形状であるので、上記光ファイバで回路を組む場合に使用するブイ溝やピン等を有する基板上に、ブイ溝やピン等で上記形状記憶合金を固定できるので、上記基板上に上記光スイッチを含む光電子集積装置の回路が容易に組める。
【0088】
このように本実施の形態2にかかる光スイッチによれば、形状記憶合金と第2の光ファイバとを、その中心軸が同一直線上になるように、該中心軸に垂直方向に複数組配置し、複数の形状記憶合金の中から光を入射したい第2の光ファイバと同一直線上の中心軸を有する形状記憶合金を選択し、該選択された金属ミラーを有する形状記憶合金に通電加熱等で温度変化を与えて伸縮させることにより該形状記憶合金の傾斜端面の位置を移動させることで、第1の光ファイバから出射される光ビームを反射して第2の光ファイバに入射せしめることとしたので、容易に、精度良く光路を変化させることができるという効果を有する。また、形状記憶合金は、光ファイバと同形状であるので、ブイ溝やピン等を有して、それらで光ファイバを固定することができる基板上に設置し、光電子集積装置を作成することができ、それによって複雑な制御ができる光電子集積装置を作成することができるという効果を有する。
【0089】
(実施の形態3)
本実施の形態3にかかる光クロスバーについて図を用いて説明する。図6は、本実施の形態3にかかる光クロスバーの構成を示す図である。
【0090】
まず、本実施の形態3にかかる光クロスバーの構成を説明する。全図を通して、同一符号は同一又は相当する部分を示している。Mf1は、第1の形状記憶合金で、Ax10は、該第1の形状記憶合金Mf1の中心軸であり、Mf2は、第2の形状記憶合金で、Ax11は、該第2の形状記憶合金Mf2の中心軸である。そして、上記第1の形状記憶合金Mf1及び第2の形状記憶合金Mf2は、横断面が円形で、その中心軸Ax10及びAx11方向に延びる形状を有し、温度の変化によって中心軸Ax10及びAx11方向に伸縮する特徴を有している。具体的には、第1の形状記憶合金Mf1及び第2の形状記憶合金Mf2を加熱した場合に収縮し、冷却すれば弛緩する。そして、上記第1の形状記憶合金Mf1の一端には、中心軸Ax10に対して45度の角度を有し、該中心軸Ax10に対して180度対称の位置にそれぞれ第1の傾斜面k1及び第2の傾斜面k2が形成され、該第1の傾斜面k1及び第2の傾斜面k2には金属を蒸着することで金属薄膜を形成した第1の金属ミラー4が形成されている。また同様に、上記第2の形状記憶合金Mf2の一端には、中心軸Ax11に対して45度の角度を有し、該中心軸Ax11に対して180度対称の位置にそれぞれ第3の傾斜面k3及び第4の傾斜面k4が形成され、該第3の傾斜面k3及び第4の傾斜面k4には金属を蒸着することで金属薄膜を形成した第2の金属ミラー5が形成されている。また、Of1及びOf2、Of3、Of4は第1の光ファイバ及び第2の光ファイバ、第3の光ファイバ、第4の光ファイバであり、各光ファイバの端面はそれぞれの中心軸Ax1及びAx2、Ax7、Ax9に垂直な端面である。
【0091】
図6に示すように、第1と第2の光ファイバOf1とOf2はそれぞれの光ファイバの中心軸Ax1とAx2に対して垂直方向に並んでおり、第3と第4の光ファイバOf3とOf4のそれぞれの端面は、第1と第2の光ファイバOf1とOf2のそれぞれの垂直な端面と、向かい合わせになるように構成され、第1の光ファイバOf1の中心軸Ax1は第3の光ファイバOf3の中心軸Ax7と同一直線上に位置するものであり、第2の光ファイバOf2の中心軸Ax2は第4の光ファイバOf4の中心軸Ax9と同一直線上に位置するものである。そして、第1と第2の形状記憶合金Mf1とMf2の中心軸Ax10とAx11とが同一直線上に位置し、上記各光ファイバの中心軸Ax1、Ax2、Ax7、Ax9に対して垂直であるように構成されている。
【0092】
次に、本実施の形態3にかかる光クロスバーの動作について説明する。まず、図6(a)に示す状態では、第1の形状記憶合金Mf1の第1の金属ミラー4は第1の光ファイバOf1と第3の光ファイバOf3との間に位置している。また、第2の形状記憶合金Mf2の第2の金属ミラー5は第2の光ファイバOf2と第4の光ファイバOf4との間に位置している。この状態で、第1の光ファイバOf1の端面から光ビームが出射されると、光ビームは第1の傾斜面k1の中央部辺りで第1の金属ミラー4によって反射し、形状記憶合金の中心軸Ax10、Ax11と同一方向に進み第3の傾斜面k3の中央部辺りで第2の金属ミラー5によって反射し、第2の光ファイバOf2のコアに入射して、第2の光ファイバOf2中を伝搬していく。逆に第2の光ファイバOf2から光ビームが出射された場合は、先程と逆の進路で進んで、第1の光ファイバOf1中を伝搬していく。また、第3の光ファイバOf3の端面から光ビームが出射されると、光ビームは第2の傾斜面k2の中央部辺りで第1の金属ミラー4によって反射し、形状記憶合金の中心軸Ax10、Ax11と同一方向に進み第4の傾斜面k4の中央部辺りで第2の金属ミラー5によって反射し、第4の光ファイバOf4のコアに入射して、第4の光ファイバOf4中を伝搬していく。逆に第4の光ファイバOf4から光ビームが出射された場合は、先程と逆の進路で進んで、第3の光ファイバOf3中を伝搬していく。つまりこの状態では、第1の光ファイバOf1と第2の光ファイバOf2がつながっており、第3の光ファイバOf3は第4の光ファイバOf4とつながっている。
【0093】
しかし、第1の形状記憶合金Mf1と第2の形状記憶合金Mf2に電気を流し、通電加熱を行うと、温度上昇によって第1及び第2の形状記憶合金Mf1及びMf2が収縮する。従って、上記第1及び第2の形状記憶合金Mf1及びMf2の一部をそれぞれ固定しておけば、図6(b)に示すように、第1の金属ミラー4は左方向に移動し、第2の金属ミラー5は右方向に移動する。そして、この移動量は、第1及び第2の形状記憶合金Mf1及びMf2に流す電気の量とそれによる発熱量及び発熱によって第1及び第2の形状記憶合金Mf1及びMf2がどれだけ収縮するかを調べておけば、容易に制御できる。この状態で、第1の光ファイバOf1の端面から光ビームが出射されると、第3の光ファイバOf3のコアに入射して、第3の光ファイバOf3中を伝搬していく。また、第2の光ファイバOf2の端面から光ビームが出射された場合は、第4の光ファイバOf4中を伝搬していく。また、第3の光ファイバOf3の端面から光ビームが出射されると、第1の光ファイバOf1のコアに入射して、第1の光ファイバOf1中を伝搬していく。また、第4の光ファイバOf4の端面から光ビームが出射された場合は、第2の光ファイバOf2中を伝搬していく。つまりこの状態では、第1の光ファイバOf1と第3の光ファイバOf3とがつながっており、第2の光ファイバOf2と第4の光ファイバOf4とがつながっている。このように第1及び第2の形状記憶合金Mf1及びMf2を同時に移動させることで、光ファイバ間の導通を切り替えることができる。
【0094】
なお、実施の形態1と同様にファイバ間やファイバと形状記憶合金との間の隙間は、適当な値とし、さらに該隙間にマッチングオイルを用いることで光ビームの損失をほぼゼロに等しくすることができる。
【0095】
また、第1及び第2の形状記憶合金Mf1及びMf2を加熱する方法は、例えば、赤外線等による光を当てることによる加熱や、温風を吹き付ける事によって加熱する等の方法によっても構わない。
【0096】
さらに、上述した光クロスバーの構成を、光ファイバで回路を組む場合に使用するブイ溝やピン等を有する基板上に形成し、それに他の回路を加えることでさらに様々な働きをする光電子集積装置が形成される。そしてその場合、第1及び第2の形状記憶合金Mf1、Mf2の形状が光ファイバOf1、Of2、Of3、Of4と同一の形状であるので、上記光ファイバで回路を組む場合に使用するブイ溝やピン等を有する基板上に、該ブイ溝やピン等で上記形状記憶合金を固定できるので、上記基板上に上記光クロスバーを含む光電子集積装置の回路が容易に組める。
【0097】
このように本実施の形態3にかかる光クロスバーによれば、第1と第2の光ファイバはそれぞれの光ファイバの中心軸Ax1とAx2に対して垂直方向に並んでおり、第3と第4の光ファイバのそれぞれの端面は、第1と第2の光ファイバのそれぞれの垂直な端面と、向かい合わせになるように構成され、第1の光ファイバの中心軸は第3の光ファイバの中心軸と同一で、第2の光ファイバの中心軸は第4の光ファイバの中心軸と同一であり、第1と第2の形状記憶合金の中心軸は、光ファイバの中心軸対して垂直であるように構成し、形状記憶合金の一端には、その中心軸に対して45度の角度を有し、その中心軸に対して180度対称の位置にそれぞれ二つの傾斜面が形成され、該傾斜面には金属を蒸着することで金属薄膜を形成した金属ミラーが形成されており、形状記憶合金に通電加熱等で温度変化を与えて伸縮させることにより金属ミラーを有する形状記憶合金の傾斜面の位置を移動させることで光ファイバ同士の導通をつなぎ換えることとしたので、容易に、精度良く光ファイバ間のつなぎ換えができるという効果を有する。
【0098】
また、形状記憶合金は、光ファイバと同形状であるので、ブイ溝やピン等を有して、それらで光ファイバを固定することができる基板上に設置し、光電子集積装置を作成することができ、それによって複雑な制御ができる光電子集積装置を作成することができるという効果を有する。
【0099】
上述の説明では、光の導通を切り替えられる光ファイバが2本の場合の光クロスバーについて説明したが、図14に示すように、上記形状記憶合金を、その横断面を円形ではなく長方形にし、且つその一端面に上記実施の形態3と同様にして長方形状の金属ミラーを形成することで、複数本並列に並べられた光ファイバ内を伝搬する光の導通の切り替えを一度に行えるアドドロップスイッチを実現することができる。以下、このようなアドドロップスイッチを実施の形態3の変形例1として説明する。
(実施の形態3の変形例1)
本実施の形態3の変形例1にかかるアドドロップスイッチについて図を用いて説明する。図15は、本実施の形態3の変形例1にかかるアドドロップスイッチの構成を示す図である。
【0100】
まず、実施の形態3の変形例1の構成について説明する。全図を通して、同一符号は同一または相当する部分を示している。Ms1、Ms2は、第1及び第2の形状記憶合金であり、ax1、ax2は、その縦断面の中心線である。また、第1、第2の形状記憶合金Ms1、Ms2は、その横断面が長方形であり、その縦断面の中心線ax1、ax2方向に延びる形状を有し、温度の変化によって該中心線ax1、ax2方向に伸縮する特徴を有している。具体的には、第1及び第2の形状記憶合金Ms1、Ms2を加熱した場合には伸縮し、冷却すれば弛緩する。そして、第1の形状記憶合金Ms1の一端には、中心線ax1に対して45度の角度を有し、中心線ax1に対して180度対称の位置にそれぞれ第1の傾斜面k1と第2の傾斜面k2が形成され、該第1及び第2の傾斜面k1、k2には、上記実施の形態3と同様、金属を蒸着することで金属膜を形成した第1の金属ミラー4が形成されている。また、第2の形状記憶合金Ms2も同様に、その一端に縦断面の中心線ax2に対して45度の角度を有し、180度対称の位置にそれぞれ第3の傾斜面k3及び第4の傾斜面k4が形成され、該第3及び第4の傾斜面には第2の金属ミラー5が形成されている。
【0101】
そして、Of11、Of21、Of31、Of41は、第1の光ファイバ群Of1、及び第2の光ファイバ群Of2、第3の光ファイバ群Of3、第4の光ファイバ群Of4の各一本目にあたり、本実施の形態3の変形例においては、例えば各光ファイバ群にそれぞれ8本の光ファイバが並列に並んでいるとする。また、図15に示すように、第1、第2の光ファイバ群Of1、Of2の各光ファイバの端面は、その中心軸Ax1、Ax2に対して垂直方向に並んでおり、上記第3、第4の光ファイバ分群Of3、Of4の各光ファイバの端面は、上記第1、第2の光ファイバ群Of1、Of2の各光ファイバの端面と、向かい合わせになるように構成され、第1の光ファイバ群Of1の各光ファイバの中心軸Ax1と第3の光ファイバ群Of3の各光ファイバの中心軸Ax7とが同一直線上に位置し、第2の光ファイバ群Of2の各光ファイバの中心軸Ax2と第4の光ファイバ群Of4の各光ファイバの中心軸Ax9とが同一直線上に位置する。つまり、第1の光ファイバ群Of1と第3の光ファイバ群Of3との1本目から8本目までの各中心軸が同一直線上にあり、第1の光ファイバ群と第2の光ファイバ群との1本目から8本目までの各中心軸が平行に並んでいる。そして、第1の形状記憶合金Ms1の縦断面の中心線ax1と、第2の形状記憶合金Ms2の縦断面の中心線ax2とが同一直線上に位置し、すべての光ファイバの中心軸に対して垂直であるように構成されている。
【0102】
次に、本実施の形態3の変形例1にかかるアドドロップスイッチの動作について説明する。まず、図15(a)に示す状態では、第1の形状記憶合金Ms1の第1の金属ミラー4は第1の光ファイバ群Of1と第3の光ファイバ群Of3との間に位置している。また、第2の金属ミラー5は、第2の光ファイバ群Of2と第4の光ファイバ群Of4との間に位置している。この状態で、第1の光ファイバ群Of1の各光ファイバの端面から光ビームが出射されると、光ビームは第1の傾斜面k1の中央部辺りで第1の金属ミラー4によって反射し、形状記憶合金の縦断面の中心線ax1、ax2と同一方向に進み、第3の傾斜面k3の中央部辺りで第2の金属ミラー5によって反射し、第2の光ファイバ群Of2の各光ファイバのコアに入射して、該光ファイバ中を伝搬していく。逆に第2の光ファイバ群Of2の各光ファイバの端面から光ビームが出射された場合は、先程と逆の進路を進んで、第1の光ファイバ群Of1の各光ファイバ中を伝搬していく。また、第3の光ファイバ群Of3の各光ファイバの端面から光ビームが出射されると、光ビームは第2の傾斜面k2の中央部辺りで第1の金属ミラー4によって反射し、形状記憶合金の縦断面の中心線ax1、ax2と同一方向に進み第4の傾斜面k4の中央部辺りで第2の金属ミラー5によって反射し、第4の光ファイバ群Of4の光ファイバのコアに入射して、該光ファイバ中を伝搬していく。逆に第4の光ファイバ群Of4の各光ファイバから光ビームが出射された場合は、先程と逆の進路で進んで、第3の光ファイバ群Of3の各光ファイバ中を伝搬していく。つまりこの状態では、第1の光ファイバ群Of1の各光ファイバと第2の光ファイバ群Of2の光ファイバがつながっており、第3の光ファイバ群Of3の各光ファイバは第4の光ファイバOf4の各光ファイバとつながっている。
【0103】
しかし、第1の形状記憶合金Ms1と第2の形状記憶合金Ms2に電気を流し、通電加熱を行うと、温度上昇によって第1及び第2の形状記憶合金Ms1及びMs2が収縮する。従って、第1及び第2の形状記憶合金Ms1及びMs2の一部をそれぞれ固定しておけば、図15(b)に示すように、第1の金属ミラー4は上方向に、第2の金属ミラー5は下方向に移動する。そして、その移動量は、第1及び第2の形状記憶合金Ms1及びMs2に流す電気量とそれによる発熱量及び発熱によって、第1及び第2の形状記憶合金Ms1及びMs2がどれだけ収縮するかを調べておけば、容易に制御できる。この状態で、第1の光ファイバ群Of1の各光ファイバの端面から光ビームが出射されると、第3の光ファイバ群Of3の各光ファイバのコアに入射して該光ファイバ中を伝搬し、逆に第3の光ファイバ群Of3の各光ファイバの端面から光ビームが出射されると、第1の光ファイバ群Of1の各光ファイバ中を伝搬していく。また、第2の光ファイバ群Of2の各光ファイバの端面から光ビームが出射された場合は、第4の光ファイバ群Of4の各光ファイバ中を伝搬し、逆に第4の光ファイバ群Of4の各光ファイバの端面から光ビームが出射されると、第2の光ファイバ群Of2の各光ファイバ中を伝搬していく。つまりこの状態では、第1の光ファイバ群Of1の各光ファイバと第3の光ファイバ群Of3の各光ファイバとがつながっており、第2の光ファイバ群の各光ファイバOf2と第4の光ファイバ群の各光ファイバOf4とがつながっている。
【0104】
このように、本実施の形態3の変形例1のアドドロップスイッチにおいては、並列に複数本並べられた光ファイバ内を伝搬する光の導通の切り替えを、容易に精度良く、一度に行うことができる。
【0105】
さらに、上述した説明においては、上記形状記憶合金Msとして、その一端に金属を蒸着することで金属ミラーを形成し、該金属ミラーと形状記憶合金が一体化されている場合について説明したが、上記形状記憶合金Msを、図16に示すように、金属ミラーと形状記憶合金とを分離したものとし、2本の横断面が円形状の形状記憶合金の先端に、直角2等辺三角柱のミラーTを取りつけてなるものとしてもよい。この形状記憶合金の先端に取り付けるミラーTは、アルミや、プラスチックに金属を蒸着させたものなどが考えられる。このようにすれば、形状記憶合金の断面が小さくなるので、形状記憶合金に電気を流して通電加熱を行う際に、該形状記憶合金が移動する移動量のばらつきを少なくすることができ、上記形状記憶合金の上下に移動する方向性を制御しやすくなる、という効果がある。
【0106】
なお、本実施の形態3の変形例1においても、上記実施の形態1と同様にファイバ間やファイバと形状記憶合金との間の隙間は、適当な値とし、さらに該隙間にマッチングオイルを用いることで光ビームの損失をほぼゼロに等しくすることができ、また、上記第1及び第2の形状記憶合金Ms1及びMs2を加熱する方法は、例えば、赤外線等による光を当てることによる加熱や、温風を吹き付けることによって加熱する等の方法によっても構わないものとする。
【0107】
また、以上に説明した2本の横断面が円形状の形状記憶合金の先端にミラーTを取りつけてなるアドドロップスイッチは、第1、第2のミラーT1、T2を支える各2本の形状記憶合金Mf1〜Mf4に、同時に電気を流すなどして通電加熱して同時に移動させ、光ファイバ間の導通を切り替えるようにしたが、図17のように、2組の長さの違う形状記憶合金ぞれぞれにミラーTを取りつけることで、2組の形状記憶合金のうち、一組の形状記憶合金を、電気を流すなどして通電加熱して移動させればよいことになる。以下、このようなアドドロップスイッチを実施の形態3の変形例2として説明する。
(実施の形態3の変形例2)
本実施の形態3の変形例2にかかるアドドロップスイッチについて図を用いて説明する。図17は、本実施の形態3の変形例2にかかるアドドロップスイッチの構成を示す図である。
【0108】
まず、実施の形態3の変形例2の構成について説明する。全図を通して、同一符号は同一または相当する部分を示している。Mf1〜Mf4は、第1、第2、第3及び第4の形状記憶合金であり、Ax10〜Ax14は、各形状記憶合金の中心軸である。上記各形状記憶合金Mfは、横断面が円形でその中心軸Ax方向に伸びる形状を有し、温度の変化によって伸縮する特徴を有している。具体的には、上記形状記憶合金Mfを加熱した場合には収縮し、冷却すれば、弛緩する。そして、上記第1及び第2の形状記憶合金Mf1、Mf2には第1のミラーT1が取りつけられ、上記第1及び第2の形状記憶合金Mf1、Mf2より長さが短い上記第3及び第4の形状記憶合金Mf3、Mf4には、第2のミラーT2が取りつけられている。この第1及び第2のミラーT1、T2は、直角2等辺三角柱であり、アルミやプラスチックに金属を蒸着させたものなどが考えられる。そして、上記第1及び第2の形状記憶合金Mf1、Mf2の内側に、第3及び第4の形状記憶合金Mf3、Mf4を配置するように構成する。
【0109】
次に、本実施の形態3の変形例2にかかるアドドロップスイッチの動作について説明する。まず、第1及び第2の形状記憶合金Mf1、Mf2にのみ電気を流し、通電加熱を行うと、温度上昇によって第1及び第2の形状記憶合金Mf1、Mf2が収縮し、第3及び第4の形状記憶合金Mf3、Mf4は伸びている。従って、第1、第2、第3及び第4の形状記憶合金Mf1、Mf2、Mf3、Mf4の一部を同じ基板上に固定しておけば、図17(a)に示すように、該第1及び第2の形状記憶合金Mf1、Mf2に取りつけられた第1のミラーT1は下方向に、また該第3及び第4の形状記憶合金Mf3、Mf4に取りつけられた第2のミラーT2は上方向に移動する。そして、その移動量は、第1及び第2の形状記憶合金Mf1及びMf2に流す電気量とそれによる発熱量及び発熱によって、第1及び第2の形状記憶合金Mf1及びMf2がどれだけ収縮するかを調べておけば、容易に制御できる。このとき、第1のミラーT1は第1の光ファイバ群Of1と第3の光ファイバ群Of3との間に位置し、第2のミラーT2は、第2の光ファイバ群Of2と第4の光ファイバ群Of4との間に位置している。この状態で、第1の光ファイバ群Of1の各光ファイバの端面から光ビームが出射されると、光ビームは第1のミラーT1によって反射し、第1及び第2の形状記憶合金の中心軸Ax10、Ax11と同一方向に進み第2のミラーT2によって反射し、第2の光ファイバ群Of2の各光ファイバのコアに入射して、該光ファイバ中を伝搬していく。逆に第2の光ファイバ群Of2の各光ファイバの端面から光ビームが出射された場合は、先程と逆の進路を進んで、第1の光ファイバ群Of1の各光ファイバ中を伝搬していく。また、第3の光ファイバ群Of3の各光ファイバの端面から光ビームが出射されると、光ビームは第1のミラーT1によって反射し、第3及び第4の形状記憶合金の中心軸Ax12、Ax13と同一方向に進み第2のミラーT2によって反射し、第4の光ファイバ群Of4の光ファイバのコアに入射して、該光ファイバ中を伝搬していく。逆に、第4の光ファイバ群Of4の各光ファイバから光ビームが出射された場合は、先程と逆の進路で進んで、第3の光ファイバ群Of3の各光ファイバ中を伝搬していく。つまりこの状態では、第1の光ファイバ群Of1の各光ファイバと第2の光ファイバ群Of2の光ファイバがつながっており、第3の光ファイバ群Of3の各光ファイバは第4の光ファイバOf4の各光ファイバとつながっている。
【0110】
ここで、第3及び第4の形状記憶合金Mf3、Mf4にのみ電気を流し、通電加熱を行うと、温度上昇によって第3及び第4の形状記憶合金Mf3、Mf4が収縮し、第1及び第2の形状記憶合金Mf1、Mf2は通電加熱がなされていないので伸びる。従って、従って、第1、第2、第3及び第4の形状記憶合金Mf1、Mf2、Mf3、Mf4の一部を同じ基板上に固定しておけば、図17(b)に示すように、該第1及び第2の形状記憶合金Mf1、Mf2に取りつけられた第1のミラーT1は上方向に、また該第3及び第4の形状記憶合金Mf3、Mf4に取りつけられた第2のミラーT2は下方向に移動する。そして、その移動量は、第3及び第4の形状記憶合金Mf3及びMf4に流す電気量とそれによる発熱量及び発熱によって、第3及び第4の形状記憶合金Mf3及びMf4がどれだけ収縮するかを調べておけば、容易に制御できる。この状態で、第1の光ファイバ群Of1の各光ファイバの端面から光ビームが出射されると、第3の光ファイバ群Of3の各光ファイバのコアに入射して該光ファイバ中を伝搬し、逆に第3の光ファイバ群Of3の各光ファイバの端面から光ビームが出射されると、第1の光ファイバ群Of1の各光ファイバ中を伝搬していく。また、第2の光ファイバ群Of2の各光ファイバの端面から光ビームが出射された場合は、第4の光ファイバ群Of4の各光ファイバ中を伝搬し、逆に第4の光ファイバ群Of4の各光ファイバの端面から光ビームが出射されると、第2の光ファイバ群Of2の各光ファイバ中を伝搬していく。つまりこの状態では、第1の光ファイバ群Of1の各光ファイバと第3の光ファイバ群Of3の各光ファイバとがつながっており、第2の光ファイバ群の各光ファイバOf2と第4の光ファイバ群の各光ファイバOf4とがつながっている。
【0111】
このように、本実施の形態3の変形例2のアドドロップスイッチにおいては、第1のミラーT1を取りつける第1及び第2の形状記憶合金Mf1、Mf2の高さを、第2のミラーT2を取りつける第3及び第4の形状記憶合金Mf3、Mf4の高さより高くし、該第1及び第2の形状記憶合金Mf1、Mf2と、該第3及び第4の形状記憶合金Mf3、Mf4とのどちらか一方を、通電加熱等で温度変化を与えて伸縮させて、上記第1及び第2のミラーT1、T2を上下に移動させることで光ファイバ同士の導通をつなぎ換えることとしたので、同時に4本の形状記憶合金に通電する等しなくてもよくなり、容易に、より精度良く、並列に並べられた複数本の光ファイバ間のつなぎ換えを一度に行うことができるという効果を有する。また、上記4本の形状記憶合金を同じ基板上に設けることができることができる、という効果もある。
(実施の形態4)
本実施の形態4にかかる光フィルタについて図を用いて説明する。図7は、本実施の形態4にかかる光フィルタの構成を示す図である。
【0112】
まず、本実施の形態4にかかる光フィルタの構成を説明する。全図を通して、同一符号は同一又は相当する部分を示している。Mf1は、第1の形状記憶合金であり、Ax10は、該第1の形状記憶合金Mf1の中心軸である。また、Mf2は、第2の形状記憶合金であり、Ax11は、該第2の形状記憶合金Mf2の中心軸である。そして、第1の形状記憶合金Mf1及び第2の形状記憶合金Mf2は、横断面が円形でその中心軸Ax10及びAx11方向に延びる形状を有し、温度の変化によって中心軸Ax10及びAx11方向に伸縮する特徴を有している。具体的には、上記第1の形状記憶合金Mf1及び第2の形状記憶合金Mf2を加熱した場合には収縮し、冷却すれば弛緩する。また、第1の形状記憶合金Mf1の一端には、中心軸Ax10に対して45度の角度を有する傾斜端面m1が形成され、該傾斜端面m1に金属を蒸着した後に誘電体を形成して、ファブリーペロー型の光波長フィルタである第1の光波長フィルタ6を形成している。この第1の光波長フィルタ6は、入射する光ビームの波長によって反射特性が異なる特徴がある。また、第2の形状記憶合金Mf2の一端には、中心軸Ax11に対して45度の角度を有する傾斜端面m2が形成され、該傾斜端面m2に金属を蒸着した後にガラス等の誘電体を形成して、ファブリーペロー型の光波長フィルタである第2の光波長フィルタ7を形成している。この第2の光波長フィルタ7は、入射する光ビームの波長によって反射角が異なる特徴がある。また、Of1及びOf2は第1の光ファイバ及び第2の光ファイバで、その端面はそれぞれの中心軸Ax1及びAx2に垂直である。
【0113】
そして、本実施の形態4にかかる光フィルタは、図7に示すように、第1の光ファイバOf1の中心軸Ax1と第1の形状記憶合金Mf1の中心軸Ax10とが直交するように配置し、また第1の光ファイバOf1の中心軸Ax1と第2の形状記憶合金Mf2の中心軸Ax11とが同一であるように配置し、また第1の形状記憶合金Mf1の中心軸Ax10と第2の光ファイバOf2の中心軸Ax2とが同一直線上に位置するように構成されている。
【0114】
次に、本実施の形態4にかかる光フィルタの動作について説明する。まず、図7(a)に示す状態では、第1の形状記憶合金Mf1には電気を流さずに弛緩した状態のままとし、第2の形状記憶合金Mf2には、電気を流して通電加熱を起こし、収縮した状態としてある。第1の光ファイバOf1から出射された光ビームは、第1の光波長フィルタ6の中央部で反射し、第2の光ファイバOf2のコアに入射して、第2の光ファイバOf2中を伝搬していく。
【0115】
次に、第1の形状記憶合金Mf1に電気を流して通電加熱を起こして、第2の形状記憶合金Mf2には電気を流さないようにすると、第1の形状記憶合金Mf1は収縮し、第2の形状記憶合金Mf2は弛緩して、図7(b)に示すような状態になる。この時に第1の光ファイバOf1から光ビームが出射されると、第2の光波長フィルタ7の中央部で反射し、第2の光ファイバOf2のコアに入射して、第2の光ファイバOf2中を伝搬していく。
【0116】
例えば、第1の光波長フィルタ6には入射角45度で入射してくる光ビームの内λ1の波長の光だけを出射角45度で反射するものを用い、また、第2の光波長フィルタ7には入射角45度で入射してくる光ビームの内λ2の波長の光だけを出射角45度で反射するものを用いるとし、第1の光ファイバOf1から出射された光ビームは波長λ1及び波長λ2の成分を含んでいるものとする。このような光ビームが、図7(a)に示す状態の時に第1の光ファイバOf1から出射され、第2の光ファイバOf2に入射された場合、該第2の光ファイバOf2中を伝搬する光は、波長がλ1の光のみである。また、上記光ビームが、図7(b)に示す状態の時に第1の光ファイバOf1から出射され、第2の光ファイバOf2に入射された場合、該第2の光ファイバOf2中を伝搬する光は、波長がλ2の光のみである。つまり、電気を流す形状記憶合金を選択することで、異なる波長成分の光を選択して同じ光ファイバ中に伝搬させることができる。
【0117】
なお、第1の光波長フィルタ6と第2の光波長フィルタ7との入れ替えにおいて、第1の形状記憶合金Of1と第2の形状記憶合金Of2とを制御する必要があるが、それは第1及び第2の形状記憶合金Mf1及びMf2に流す電気の量とそれによる発熱量及び発熱によって第1及び第2の形状記憶合金Mf1及びMf2がどれだけ収縮するかを調べておき、形状記憶合金の一部を固定してあれば、容易に制御できる。
【0118】
なお、実施の形態1と同様にファイバ間やファイバと形状記憶合金間との間の隙間は、適当な値とし、さらに該隙間にマッチングオイルを用いることで光ビームの損失をほぼゼロに等しくすることができる。
【0119】
また、光波長フィルタとして、傾斜端面に適当な溝を設けた後に金属薄膜を形成することで作成されるグレーティング型フィルタや、フィルタ特性を有する材料を用いても良い。
【0120】
また、第1及び第2の形状記憶合金Mf1及びMf2を加熱する方法は、例えば、赤外線等による光を当てることによる加熱や、温風を吹き付ける事によって加熱する等の方法によっても構わない。
【0121】
なお、上述した光フィルタの構成を、光ファイバで回路を組む場合に使用するブイ溝や、ピン等を有する基板上に形成し、それに他の回路を加えることでさらに様々な働きをする光電子集積装置が形成される。そしてその場合、第1及び第2の形状記憶合金Mf1、Mf2の形状が、光ファイバOf1、Of2と同一の形状であるので、上記光ファイバで回路を組む場合に使用するブイ溝やピン等を有する基板上に、該ブイ溝やピン等で形状記憶合金を固定できるので、上記基板上に上記光フィルタを含む光電子集積装置の回路が容易に組める。
【0122】
また、この光フィルタを多段で用いれば、さらに精度の高い光フィルタを作成でき、その場合においても、上述したように容易に集積化ができる。
【0123】
このように、本実施の形態4にかかる光フィルタによれば、第1の光ファイバから出射された光ビームを光波長フィルタで反射し、ある特定の波長だけを第2の光フィルタに入射させ、該光波長フィルタは、第1の形状記憶合金と第2の形状記憶合金とに異なる特性のものを形成し、通電加熱により形状記憶合金が収縮または弛緩することで、前記第1の光ファイバから出射された光ビームが反射する前記光波長フィルタを選択して、第2の光ファイバに伝搬する光の波長を選択することができるようにしたので、容易に精度良く光ビームから所望の波長成分の光を取り出すことができるという効果を有する。
【0124】
また、形状記憶合金は、光ファイバと同形状であるので、ブイ溝やピン等を有して、それらで光ファイバを固定することができる基板上に設置し、光電子集積装置を作成することができ、それによって複雑な制御ができる光電子集積装置を作成することができるという効果を有する。
(実施の形態5)
本実施の形態5にかかる光フィルタについて図を用いて説明する。図8は、本実施の形態5にかかる光フィルタの構成を示す図である。
【0125】
まず、本実施の形態5にかかる光フィルタの構成を説明する。全図を通して、同一符号は同一又は相当する部分を示している。Mfは、形状記憶合金である。Ax8は、形状記憶合金Mfの中心軸である。形状記憶合金Mfは、横断面が円形でその中心軸方向に延びる形状を有し、温度の変化によって伸縮する特徴を有している。具体的には、上記形状記憶合金Mfを加熱した場合には収縮し、冷却すれば、弛緩する。また、形状記憶合金Mfの一端には、中心軸Ax8に対して45度の角度を有する傾斜端面mが形成されており、該傾斜端面mには、光の波長レベルの細かい溝を設けてから金属薄膜を形成して、グレーティング型の光波長フィルタ8を形成している。この光波長フィルタ8は、入射する光ビームの波長によって反射角が異なる特徴がある。また、Of1及びOf2は第1の光ファイバ及び第2の光ファイバで、端面はそれぞれの中心軸Ax1及びAx2に垂直な端面である。また、第2の光ファイバOf2は複数ある。
【0126】
本実施の形態5における光フィルタは、図8に示すように、第1の光ファイバの中心軸Ax1と、形状記憶合金Mfの中心軸Ax8とが直交し、複数の第2の光ファイバOf2それぞれは、その端面を形状記憶合金Mfの光波長フィルタ8に向けている。
【0127】
次に、本実施の形態5にかかる光フィルタの動作について説明する。図8において、第1の光ファイバOf1から出射された光ビームは、形状記憶合金Mfの光波長フィルタ8の中央部で反射し、波長成分の違いによって第2の光ファイバOf2に入射し、第2の光ファイバ中を伝搬していく。ここで、光波長フィルタ8は、入射光の波長成分によって反射角が異なるという性質を持っている。また、入射光が反射する光波長フィルタ8の位置の違いによってもその反射特性が異なる。つまり、第1の光ファイバOf1から出射された光ビームは、第1の光ファイバOf1の中心軸Ax1に沿って進み、光波長フィルタ8の中央部に入射角45度で入射し、例えば第1の光ファイバOf1から出射された光ビームに含まれる波長がλ1の光は、上部の第2の光ファイバOf2の中心軸Ax2に沿って進み、該上部の第2の光ファイバOf2のコアに入射し、該上部の第2の光ファイバOf2中を伝搬していく。また、第1の光ファイバOf1から出射された光ビームに含まれる波長がλ2の光は、下部の第2のファイバOf2の中心軸Ax2に沿って進み、該下部の第2の光ファイバOf2のコアに入射し、該下部の第2の光ファイバOf2中を伝搬していく。つまり、光波長フィルタの性質より、所望の波長の光が反射する方角を知っていれば、その所望の波長の光が反射する位置に第2の光ファイバOf2を設置しておくことで、第1の光ファイバOf1より出射された光ビームに含まれるの所望の波長の光を取り出すことができる。なお、第1の光ファイバOf1の中心軸Ax1と光波長フィルタ8との角度は、45度以外でも構わない。
【0128】
さらに、光波長フィルタ8の位置によっても反射特性が異なるので、形状記憶合金Mfの一部を固定しておき、この状態で電気を流して通電加熱を行えば、形状記憶合金Mfが収縮して、光波長フィルタ8は左に移動し、その結果光波長フィルタ8の先端部に第1の光ファイバOf1からの光ビームが入射する。そして、その時に先端位置から上部の第2の光フィルタOf2あるいは下部の第2の光フィルタOf2には、別の波長成分の光ビームが入射されることになるので、さらに多くの波長成分の違う光を取り出すことができる。
【0129】
なお、光波長フィルタ8の移動量は、形状記憶合金Mfに流す電気の量とそれによる発熱量及び発熱によって形状記憶合金Mfがどれだけ収縮するかを調べておけば、容易に制御できる。
【0130】
また、実施の形態1と同様にファイバ間やファイバと形状記憶合金との間の隙間は、適当な値とし、さらにその隙間にマッチングオイルを用いることで光ビームの損失をほぼゼロに等しくすることができる。
【0131】
また、形状記憶合金Mfを加熱する方法は、例えば、赤外線等による光を当てることによる加熱や、温風を吹き付ける事によって加熱する等の方法によっても構わない。
【0132】
なお、上述した光フィルタの構成を、光ファイバで回路を組む場合に使用するブイ溝や、ピン等を有する基板上に形成し、それに他の回路を加えることでさらに様々な働きをする光電子集積装置が形成される。そしてその場合、形状記憶合金Mfの形状が、光ファイバOf1、Of2と同一の形状であるので、上記光ファイバで回路を組む場合に使用するブイ溝やピン等を有する基板上に形状記憶合金を固定できるので、上記基板上に上記光フィルタを含む光電子集積装置の回路が容易に組める。
【0133】
また、この光フィルタを多段で用いれば、さらに精度の高い光フィルタを作成でき、その場合でも容易に集積化ができる。
【0134】
このように本実施の形態5にかかる光スイッチによれば、形状記憶合金に光波長フィルタを設け第1の光ファイバから出射される光ビームを反射し、第2の光ファイバに所望の波長成分の光を入射し、さらに該光波長フィルタは、反射位置によって反射特性が異なるものとし、通電加熱により形状記憶合金が収縮または弛緩することで、光波長フィルタを移動させて、反射位置を移動させることで、さらに多数の波長を取り出すことができることとしたので、容易に精度良く光ビームから所望の波長成分の光を取り出すことができるという効果を有する。
【0135】
また、形状記憶合金は、光ファイバと同形状であるので、ブイ溝やピン等を有して、それらで光ファイバを固定することができる基板上に設置し、光電子集積装置を作成することができ、それによって複雑な制御ができる光電子集積装置を作成することができるという効果を有する。
(実施の形態6)
本実施の形態6にかかるマイケルソン干渉計について図を用いて説明する。図9は、本実施の形態6にかかるマイケルソン干渉計の構成を示す図であり、図9(a)は斜視図、図9(b)は図9(a)のK矢示図、図9(c)は図9(a)のL矢示図である。
【0136】
図において、図3,図9と同一符号は同一又は相当する部分を示し、本実施の形態6は、図3のT字カップリングを直接応用したものである。すなわち、第1〜第3の光ファイバOf1〜Of3は、同一の構造を有し、従って、コア1,及びクラッド2の径も同じである。
【0137】
Mfは、形状記憶合金であり、Ax8は、該形状記憶合金Mfの中心軸である。上記形状記憶合金Mfは、横断面が円形でその中心軸方向に延びる形状を有し、温度の変化によって伸縮する特徴を有している。具体的には、該形状記憶合金Mfを加熱した場合には収縮し、冷却すれば、弛緩する。また、形状記憶合金Mfの一端は、中心軸Ax8に対して垂直であり、該端面に金属を蒸着することで金属薄膜を形成した金属ミラー3が形成されている。
【0138】
第1の光ファイバOf1,第2の光ファイバOf2,及び第3の光ファイバOf3は、共に、一端に傾斜端面F1〜F3を有しており、上記第1,第2,第3の光ファイバOf1,Of2,Of3は、それぞれ、傾斜端面F1,F2,F3が形成されていない方の端の端面が中心軸に垂直に形成され、また、上記第2の光ファイバOf2の垂直な端面には金属を蒸着することにより金属ミラー9が形成され、上記第3の光ファイバOf3の垂直な端面と形状記憶合金Mfの金属ミラーとは所定の距離を置いて隣接している。また、形状記憶合金Mfの中心軸Ax8と第3の光ファイバOf3の中心軸Ax7とは同一直線上に位置している。また、第2,第3の光ファイバOf2,Of3は、互いに、長さが異なっている。
【0139】
101は、本実施の形態6によるマイケルソン干渉計の出力を利用するための光検知器である。光検知器101は、フォトダイオード等で構成され、第1の光ファイバと第2の光ファイバとの直交軸Ax3上に位置し、かつ第1,第2の光ファイバOf1,Of2に接する,あるいは近接するようにして配置される。具体的には、例えば、その表面直下にフォトダイオードを半導体デバイス製造プロセスにより形成してなる半導体を光学台として用い、該光学台上に第1,第2の光ファイバOf1,Of2を、それらの接続部がフォトダイオード上に位置するようにして配置することにより、本図の配置を実現することができる。
【0140】
次に、以上のように構成されたマイケルソン干渉計の動作を説明する。第1の光ファイバOf1に光ビームを入射せしめると、該入射した光ビームは傾斜端面F1で間隔Sに応じた比率で分波され、該分波された一方の光ビームは、第2の光ファイバOf2の中心軸Ax2に沿って進み、金属ミラー9で反射され、その後、逆の経路を辿って第1の光ファイバOf1の傾斜端面F1に戻り、そこをその一部が通過する。一方、前記分波された他方の光ビームは第3の光ファイバの中心軸Ax7に沿って進み、外部に出射される。この外部に出射された光ビームは、形状記憶合金Mfの金属ミラー3で反射されて、再び第3の光ファイバOf3に入射し、逆の経路を辿って該第3の光ファイバOf3の傾斜端面F3に戻り、そこでその一部が反射され、前記第1の光ファイバOf1の傾斜端面F1を通過してくる光ビームと合波され、該合波された光ビームが光検知器101に入射する。そして、上述したように、上記第2の光ファイバOf2の長さと第3の光ファイバOf3の長さが異なり、その結果形状記憶合金Mfの金属ミラー3で反射された光ビームと第2の光ファイバOf2の金属ミラー9で反射された光ビームとは通った光路長が異なるため、両光ビーム間で干渉を生じ、従って、干渉計として用いることができる。
【0141】
また、形状記憶合金Mfに電気を流し、通電加熱によって収縮させると第3の光ファイバOf3に対し、該形状記憶合金Mfの端面に形成された金属ミラー3を、該第3の光ファイバOf3の中心軸Ax7に平行な方向に相対的に移動させることができるので、該金属ミラー3との距離に応じて、金属ミラー3で反射される光ビームの位相が変化し、これにより、前記合波された光ビームの干渉による光強度が変化するため、光検知器101でこの光強度の変化を検知することにより、本実施の形態6によるマイケルソン干渉計を光スイッチとして用いることができる。
【0142】
なお、光波長フィルタ8の移動量は、形状記憶合金Mfに流す電気の量とそれによる発熱量及び発熱によって形状記憶合金Mfがどれだけ収縮するかを調べておけば、容易に制御できる。
【0143】
また、上記実施の形態1と同様に、ファイバ間やファイバと形状記憶合金との間の隙間は、適当な値とし、さらにその隙間にマッチングオイルを用いることで光ビームの損失をほぼゼロに等しくすることができる。
【0144】
また、形状記憶合金Mfを加熱する方法は、例えば、赤外線等による光を当てることによる加熱や、温風を吹き付ける事によって加熱する等の方法によっても構わない。
【0145】
なお、上述した干渉計の構成を、光ファイバで回路を組む場合に使用するブイ溝や、ピン等を有する基板上に形成し、それに他の回路を加えることでさらに様々な働きをする光電子集積装置が形成される。そしてその場合、形状記憶合金Mfの形状が光ファイバOf1、Of2と同一の形状であるので、上記光ファイバで回路を組む場合に使用するブイ溝やピン等を有する基板上に、該ブイ溝やピン等で形状記憶合金を固定できるので、上記基板上に上記干渉計を含む光電子集積装置の回路が容易に組める。
【0146】
また、上記の説明では、第2の光ファイバOf2の端面に金属膜を形成し、第3の光ファイバOf3の端面に形状記憶合金Mfを設置するようにしたが、第2の光ファイバOf2の端面に形状記憶合金Mfを設置し、第3の光ファイバOf3の端面に金属膜を形成してもよい。
【0147】
また、上記の説明では、第2の光ファイバOf2及び第3の光ファイバOf3について、長さを異ならしめるようにしたが、長さを同じとし、屈折率を異ならしめるようにしてもよい。
【0148】
このように本実施の形態6の干渉計によれば、入力用の第1の光ファイバに対し、一端に傾斜端面を他端に反射面を有する2つの分岐光路用の第2及び第3の光ファイバOf2及びOf3について、その一方を互いの傾斜端面の反射及び互いの側面レンズ作用により光結合するよう配置するとともに、その他方を互いの傾斜端面が所定の間隔で対向するように配置し、第2の光ファイバの傾斜端面が形成されていない方の端の端面に、金属ミラーを、また、第3の光ファイバOf3のうちの傾斜端面が形成されていない方の端の端面に、金属ミラーを端面に形成した温度変化により伸縮する形状記憶合金を設置することで、マイケルソン干渉計として用いることができる。また、本実施の形態6による干渉計を用いて、作成することが容易な光スイッチを得ることができる。さらに、スティック状の複数の光ファイバ及び形状記憶合金を、互いに略90度ねじれた状態で互いの端部を合わせるようにして積層配置することにより干渉計を構成することができるため、該干渉計を光デバイスに用いるのに十分小さなサイズとすることができ、かつ容易に作成することができる。
(実施の形態7)
本実施の形態7にかかる半導体装置について図を用いて説明する。図10は、本実施の形態7にかかる半導体装置の構成を示す図である。また、図11は、本実施の形態7にかかる半導体装置を用いて半導体装置同士を接続している状態を示す図である。
【0149】
まず、本実施の形態7にかかる半導体装置の構成を説明する。Sfは半導体装置であり、スティック状で、横断面が円形であり、その中心軸方向に延びる形状を有している。11は半導体装置Sfの基板であり、基板11上に集積回路12が形成されている。つまり、本実施の形態7における半導体装置Sfには、その側面に集積回路12が形成されている。また、10は集積回路12の電極であり、半導体装置Sfの端面m3に形成されている。
【0150】
上記のように構成された本実施の形態7における半導体装置Sfは、図11に示すように、平面状の半導体装置13同士をつなぐ電線等である伝送線14の途中に設置される。そして、上記伝送線14は、それぞれの半導体装置13の電極15に接続されている。
【0151】
次に、本実施の形態7にかかる半導体装置Sfの動作について説明する。半導体装置SfはSi又はGaAsの単結晶上に、半導体デバイスプロセスにより回路を形成したもので、従来は、平面状であった半導体装置をスティック状にしたものである。この半導体装置Sfは伝送線14と同一の形状、及び大きさであり、従来の平面状の半導体装置13の電極15と伝送線14を介して連結している。この上記伝送線14は電気信号をそのまま伝えるものであるが、本実施の形態7における半導体装置Sfはそれ自体が集積回路12を備え、信号を制御する働きを持っているので、電極15からの信号を変換して伝送することができる。なお、図10に示す半導体装置Sfには、その端面m3に電極10を3個有しているが、この電極の数は何個でも良く、また、図11のように一つの電極同士を接続する場合には、上記半導体装置Sfの一つの端面m3に1個の電極でも構わない。また、上記半導体装置Sfは、図10に示されるように半導体装置13同士の接続に使用するだけでなく、それ以外の電気回路の接続に使用でき、形状が電線等である伝送線14と同一のスティック状であるので伝送線14と同様の使い方ができ、使用しやすい。
【0152】
このように、本実施の形態7における半導体装置によれば、横断面が円形でその中心軸方向に延びる形状である基板の側面に集積回路が形成されているので、電線等である伝送線と接続して使用することができ、また、伝送線とは異なり信号を伝えるだけでなく制御することができるという効果を有する。
【0153】
さらに、本実施の形態7における半導体装置は、伝送線と同形状であるので、伝送線と同様の使い方ができ、且つ容易接続して使用できるという効果も有する。
【0154】
なお、上記実施の形態7においては、基板上のシリコン等に集積回路が形成されているスティック状の半導体集積Sfについて説明したが、基板上の誘電体、例えばセラミック等にマイクロ波集積回路を形成するようにすれば、スティック状のマイクロ波装置として使用できる。以下、実施の形態7の変形例において、このマイクロ波装置について説明する。
(実施の形態7の変形例)
以下、本実施の形態7の変形例にかかる、マイクロ波装置について、図18を用いて説明する。図18は、本実施の形態7の変形例におけるマイクロ波装置の構成を示す図である。図において、Dfはマイクロ波装置であり、スティック状で、横断面が円形であり、その中心軸方向に延びる形状を有している。また、19は、マイクロ波装置Dfの基板であり、基板19上にマイクロ波集積回路20が形成されている。つまり、本実施の形態7の変形例におけるマイクロ波装置Dfには、その側面にマイクロ波集積回路20が形成されている。このマイクロ波集積回路20は、例えばセラミック等に、所望のパターンを写真で焼きつけ、カットあるいは、溶かす等して作成される。
【0155】
また、マイクロ波装置Dfには、対極が必要なので、例えば、図18(a)のように、マイクロ波装置Dfの中心軸上に、同軸ケーブルのように、金属棒を対極21として設けたり、図18(b)のように、マイクロ波集積回路20の側面のある任意の領域に対極21を設ける等して、対極をマイクロ波装置Df上に設ければよい。なお、図18(b)のように側面領域に対極21を設ける場合は、マイクロ波集積回路20をその対極21に使用している領域以外に形成する。
【0156】
そして、上記のように構成されたマイクロ波装置Dfを、図11に示す、半導体装置Sfのかわりに、平面状の半導体装置13同士をつなぐ同軸ケーブルあるいはフィーダ線等の伝送線14の途中に設置する。
【0157】
次に、本実施の形態7の変形例にかかる、マイクロ波装置Dfの動作について説明する。例えば、マイクロ波装置Dfが、図18(a)に示すような分岐回路のマイクロ波集積回路20を有する場合、該マイクロ波装置Dfに入力された光ビームが、出力される際には4つに分岐されて出力される。このように、上記マイクロ波装置Dfはマイクロ波集積回路20を備え、信号を制御する働きを持っているので、同軸ケーブル等の上記伝送線14のように単に信号をそのまま伝えるだけでなく、信号を変換して伝送することができる。なお、図18(a)に示すマイクロ波装置Dfは、その端面に電極を4つ有しているが、この数は何個でもよく、そのマイクロ波集積回路20のパターンによるものである。また、図11のように接続させる場合は1つの電極でよい。また、マイクロ波装置Dfの形状がスティック状であるので、伝送線14と同様の使い方ができ使用しやすい。
【0158】
このように、本実施の形態7の変形例にかかるマイクロ波装置Dfにおいても、上述した半導体装置Sfと同様、入力されてくる電波を、同軸ケーブル等の伝送線のように伝送するだけでなく、制御することができ、さらに、伝送線と同形状であるので、同様の使い方ができ、容易に接続して使用することができる効果を有する。
(実施の形態8)
本実施の形態8にかかる光電子集積装置について図を用いて説明する。図12は、本実施の形態7にかかる半導体装置Sfと光ファイバとを組み合わせた回路の構成を示す図である。図13は、本実施の形態7にかかる半導体装置Sfを基板のブイ溝に積層配置した状態を示した図である。
【0159】
まず、本実施の形態8にかかる光電子集積装置の構成を説明する。本実施の形態8に係る光電子集積装置は、本実施の形態7にかかる半導体装置Sfを用いており、図10に示すように半導体装置Sfは横断面が円形で、その中心軸方向に延びる形状を有し、スティック状である。これは、光ファイバと同一の直径及び形状である。また、上述したように半導体装置Sfの側面には集積回路12が、端面m3には電極10が形成されている。また、Ofは光ファイバである。
【0160】
図12に示すように、この半導体装置Sfの端面m3に面発光型のレーザダイオード16を設置する。電極10により、レーザダイオードには、電気信号が入力されている。さらに端面m3に向かい合うように端面がくるように光ファイバOfを設置する。半導体装置Sfの中心軸と光ファイバOfの中心軸は同一である。
【0161】
次に、本実施の形態8にかかる光電子集積装置の動作について説明する。図12に示す状態で、半導体装置Sfからの電気信号を受け、面発光型のレーザダイオード16が発光するその光ビームは光ファイバOfのコアに入射し、光ファイバOf中を伝搬していく。また、半導体装置Sfの端面m3には、レーザダイオード16のかわりに受光素子を設置してもよく、その場合は、光ファイバOfから出射された光ビームを受光素子が電気信号へと変換し、その信号を集積回路12で制御して、受光素子とは反対の端面に設置された電極(図示せず)に送る。そして、上述したような半導体素子Sfと光ファイバOfとを、ブイ溝やピンを有する基板上に設置固定することで、集積装置を作成することができる。また、それぞれの半導体装置Sfに異なる働き、例えば、一つはメモリとして、一つはLDドライバとして、一つはMPUとしての働きを持つように作成し、それら3本の半導体装置Sfを、図13に示すように、ブイ溝17を有する基板18に積層配置して、各半導体装置Sfの電極10が接してつながるように設置するようにすれば、それぞれの半導体装置Sfを結合させて働かせることができる。また、実施の形態1から6に示した光電子集積装置に半導体装置Sfを追加することで、さらに複雑な制御が容易に実現できる光電子集積装置を作成することができる。
【0162】
また、実施の形態7の変形例において説明したマイクロ波装置Dfを、上述した半導体装置Sfと置き換えても、上記同様の効果を得ることができる。さらに、上記半導体装置Sf、マイクロ波装置Dfを組み合わせて使用すれば、より複雑な制御が容易に実現できる光電子集積装置を作成することができる。
【0163】
このように、本実施の形態8にかかる光電子集積装置によれば、スティック形状の半導体装置、あるいはマイクロ波装置の端面に発光部を設け、該発光部からの光ビームが光ファイバに入射せしめるように設置することとしたので、集積化され、容易に光を制御することができるという効果を有する。
【0164】
また、前記半導体装置、あるいはマイクロ波装置を積層配置する場合に、お互い接する部分に電極を形成したので、電極間を伝送線でつなぐ必要がなく、容易に作成することができるという効果を有する。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明の干渉計、光スイッチ、及び光集積装置は、光を容易に制御することができ、応答特性がよく小型化が可能な干渉計、光スイッチ、及び光集積装置として有用である。
【符号の説明】
【0166】
Ax1 第1の光ファイバの中心軸
Ax2 第2の光ファイバの中心軸
Ax3 両光ファイバ直交軸
Ax4 第1の光ファイバの傾斜端面の中心軸
Ax5 第2の光ファイバの傾斜端面の中心軸
Ax6 第1の光ファイバ直交軸
Ax7 第3の光ファイバの中心軸
Ax8 形状記憶合金の中心軸
Ax9 第4の光ファイバの中心軸
Ax10 第1の形状記憶合金の中心軸
Ax11 第2の形状記憶合金の中心軸
Ax12 第3の形状記憶合金の中心軸
Ax13 第4の形状記憶合金の中心軸
ax1 第1の形状記憶合金の縦断面の中心線
ax2 第2の形状記憶合金の縦断面の中心線
Cp1 第1の光ファイバの傾斜端面の中心点
Cp2 第2の光ファイバの傾斜端面の中心点
d 光ファイバ間隔
F1 第1の光ファイバの傾斜端面
F2 第2の光ファイバの傾斜端面
F3 第3の光ファイバの傾斜端面
Of1 第1の光ファイバ
Of2 第2の光ファイバ
Of3 第3の光ファイバ
Of4 第4の光ファイバ
Of 光ファイバ
Of1 第1の光ファイバ群
Of2 第2の光ファイバ群
Of3 第3の光ファイバ群
Of4 第4の光ファイバ群
S 傾斜端面の間隔
P1〜P3 ポート
Mf 形状記憶合金
Mf1、Ms1 第1の形状記憶合金
Mf2、Ms2 第2の形状記憶合金
Mf3 第3の形状記憶合金
Mf4 第4の形状記憶合金
T1 第1のミラー
T2 第2のミラー
m 形状記憶合金の傾斜端面
m1 傾斜端面
m2 傾斜端面
m3 端面
k1 第1の傾斜面
k2 第2の傾斜面
k3 第3の傾斜面
k4 第4の傾斜面
1 コア
2 クラッド
3、9 金属ミラー
4 第1の金属ミラー
5 第2の金属ミラー
6 第1の光波長フィルタ
7 第2の光波長フィルタ
8 光波長フィルタ
10、15、22 電極
11、19 基板
12 集積回路
13 半導体装置
14 伝送線
16 レーザダイオード
17 ブイ溝
18 基板
20 マイクロ波集積回路
21 対極
101 光検知器
Sf 半導体装置
Df マイクロ波装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入射される光ビームを分波し、該分波した双方の光ビームを光路長の異なる2つの分岐光路を通過せしめた後合波することにより、該合波する両光ビームの間に干渉を生ぜしめ、該干渉を生ぜしめてなる光ビームを外部に出射するように構成してなる干渉計において、
光を透過可能な材料からなり、その横断面が円形でその中心軸方向に延びる形状を有し、該中心軸に沿って光ビームが伝搬可能なように該横断面の半径方向にその屈折率を異ならしめてなり、少なくともその一端に該中心軸に略45度傾斜した傾斜端面を有し、該傾斜端面の中心部にて該傾斜端面の中心軸に対し略45度の角度で入射する光を全反射することが可能な第1、第2、第3の光導波部材と、
横断面が円形でその中心軸方向に延びる形状を有し、その一端は該中心軸に対し垂直な端面を有し、該垂直な端面には金属薄膜を形成し、該金属薄膜に入射する光ビームを反射してなる、温度の変化によって中心軸方向に伸縮する形状記憶合金とを有し、
前記第1の光導波部材に対し前記第2の光導波部材を、該第1の光導波部材の前記一端と該第2の光導波部材の前記一端とが双方の傾斜端面における反射,及び双方の側面のレンズ作用を利用して光結合するように配置し、
前記第1の光導波部材に対し前記第3の光導波部材を、互いの中心軸が一致し、互いの傾斜端面が所定の間隔を有して略平行となるように配置することにより光合分波構造を形成し、
前記第2の光導波部材,及び前記第3の光導波部材のうち、一方の光導波部材の中心軸と前記形状記憶合金の中心軸とは一致し、光導波部材の端面と、前記形状記憶合金の前記垂直な端面とが所定の間隔を置いて配置されており、他方の光導波部材の他端に該他方の導波部材の中心軸に沿って伝搬して来る光ビームを反射せしめる反射面を配設するようにしてなる、
ことを特徴とする干渉計。
【請求項2】
請求項1の干渉計を用いた光スイッチであって、
該干渉計において前記形状記憶合金を伸縮せしめることで光路長を変化せしめ、位相のずれより生じる制御信号を出力する、
ことを特徴とする光スイッチ。
【請求項3】
請求項1に記載の干渉計において、
温度変化によって伸縮する前記形状記憶合金に電気を流すことで温度変化を起こして伸縮せしめ、
または、前記形状記憶合金に温風を吹き付けることで温度変化を起こして伸縮せしめ、
または、前記形状記憶合金に光をあてることで温度変化を起こして伸縮せしめる、
ことを特徴とする干渉計。
【請求項4】
請求項2に記載の光スイッチにおいて、
温度変化によって伸縮する前記形状記憶合金に電気を流すことで温度変化を起こして伸縮せしめ、
または、前記形状記憶合金に温風を吹き付けることで温度変化を起こして伸縮せしめ、
または、前記形状記憶合金に光をあてることで温度変化を起こして伸縮せしめる、
ことを特徴とする光スイッチ。
【請求項5】
請求項3に記載の干渉計、及び/または請求項4に記載の光スイッチの構成部材を、ブイ溝またはピンを設けた基板上に固定配置し、
請求項3に記載の干渉計、及び/または請求項4に記載の光スイッチを集積化して前記基板上に形成した、
ことを特徴とする光集積装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−237702(P2010−237702A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130570(P2010−130570)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【分割の表示】特願2001−267793(P2001−267793)の分割
【原出願日】平成13年9月4日(2001.9.4)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2000年3月28日〜31日 社団法人電子情報通信学会開催の「2000年電子情報通信学会総合大会」において文書をもって発表
【出願人】(597086298)
【Fターム(参考)】