説明

平坦化方法及び平坦化装置

平坦化方法は、配線材料としての金属膜の表面に初期段差が形成されていても、金属膜の表面を全面に亘って、しかも十分な加工速度で平坦に研磨できる。この平坦化方法は、被加工物上に形成した初期段差を有する金属膜表面を加工して平坦化するにあたり、金属膜表面の初期段差を形成する凹部のみを固体またはペースト状の被覆材料で被覆し、研磨剤を用いない電解加工によって金属膜表面を加工する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は平坦化方法及び平坦化装置に係り、特に半導体ウエハ等の基板の表面に設けた微細な配線用凹部の内部に埋込みつつ該表面に成膜した銅膜等の金属膜からなる配線材料(導電膜)の表面を加工して平坦化するのに使用される平坦化方法及び平坦化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体ウエハ等の基板上に回路を形成するための配線材料として、アルミニウムまたはアルミニウム合金に代えて、電気抵抗率が低くエレクトロマイグレーション耐性が高い銅を用いる動きが顕著になっている。銅配線は、基板の表面に設けた微細な配線用凹部の内部に銅を埋め込むことによって一般に形成される。この銅配線を形成する方法としては、化学気相成長法(CVD)、スパッタリング及びめっきといった手法があるが、いずれにしても、基板のほぼ全表面に銅を成膜して、研磨により不要の銅を除去するようにしている。
【0003】
図1A〜1Cは、この種の銅配線基板Wの一製造例を工程順に示す。先ず、図1Aに示すように、半導体素子が形成された半導体基材1上の導電層1aの上にSiOからなる酸化膜やLow−k材膜などの絶縁膜2を堆積し、この絶縁膜2の内部に、リソグラフィ・エッチング技術により配線用凹部としてのコンタクトホール3とトレンチ4を形成する。そして、この上にTaN等からなるバリア膜5、更にバリア膜5の上に電解めっきの給電層としてのシード層7をスパッタリングやCVD等により形成する。
【0004】
そして、基板Wの表面に銅めっきを施すことで、図1Bに示すように、基板Wのコンタクトホール3及びトレンチ4内に銅を充填するとともに、絶縁膜2上に銅膜6を堆積する。その後、化学機械的研磨(CMP)等により基板Wの表面を研磨し、絶縁膜2上の銅膜6、シード層7及びバリア膜5を除去して、コンタクトホール3及びトレンチ4内に充填させた銅膜6の表面と絶縁膜2の表面とをほぼ同一平面にする。これにより、図1Cに示すように、銅膜6からなる配線が絶縁膜2の内部に形成される。
【0005】
最近ではあらゆる機器の構成要素において微細化かつ高精度化が進み、サブミクロン領域での物作りが一般的となるにつれて、加工法自体が材料の特性に与える影響は益々大きくなっている。このような状況下においては、従来の機械加工のように、工具が被加工物を物理的に破壊しながら除去していく加工方法では、加工によって被加工物に多くの欠陥を生み出してしまうため、被加工物の特性が劣化してしまう。したがって、いかに材料の特性を損なうことなく加工を行うことができるかが重要となってくる。
【0006】
この問題を解決する手段として開発された特殊加工法に、化学研磨や電解加工、電解研磨がある。これらの加工方法は、従来の物理的な加工とは対照的に、化学的溶解反応を起こすことによって除去加工等を行う。したがって、これらの加工方法は、塑性変形による加工変質層や転位等の欠陥は発生せず、上述の材料の特性を損なわずに加工を行うといった課題が達成される。
【0007】
例えば、化学機械的研磨(CMP)は、一般にかなり複雑な操作が必要で、制御も複雑となり、加工時間もかなり長い。更に、研磨後の基板の後洗浄を十分に行う必要があるばかりでなく、スラリーや洗浄液の排液処理のための負荷が大きい等の課題がある。このため、CMP自体を省略もしくはこの負荷を軽減することが強く求められている。
【0008】
このような課題を解決する手段として、電極と被加工物の間に加工処理部材としてのイオン交換体を配置し、電解液として純水もしくは超純水のような電気抵抗の大きな液体を用いて加工を行うことで、被加工物に与える機械的ストレスをなくし、後洗浄も簡便な電解加工が提案されている(例えば、特開2003−145354号公報参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
例えば、銅配線を形成するため、表面に配線材料としての銅膜を成膜した基板にあっては、図2Aに示すように、絶縁膜2の内部に所定のピッチで設けた多数のトレンチ4の内部に銅を埋込みつつ絶縁膜2の表面に銅膜(金属膜)6を堆積させたパターン部Pと、このパターン部Pの周囲を囲繞するように絶縁膜2の表面の銅膜6を堆積させたフィールド部Fが一般に存在する。そして、このパターン部Pには、形成すべき配線の密度や配線幅等により、様々な初期段差が形成される。
【0010】
電解加工で銅膜6の表面を加工して平坦化する際、銅膜6の表面の初期段差が原因となって電極と銅膜6との間の電界強度が異なる。特に凸部が集中するパターン部Pではフィールド部Fより電解強度が高くなるため、反応種イオン(研磨する導電膜の溶解を促進するイオン性物質。例えば反応する導電膜が銅の場合、水酸化物イオン)の供給量がフィールド部Fより多くなる。これにより、パターン部Pにおける銅膜6の加工速度がフィールド部Fにおける銅膜6の加工速度よりも大きくなる。しかも、段差を形成する凹部6aと凸部6bにおける銅膜6の加工速度差が得にくく、凹部6aも凸部6bとほぼ同じ速度で加工される。このため、図2B及び2Cに示すように、初期段差が加工によって除去されるに残り、銅膜6の表面を全面に亘って平坦化することが困難となる。しかも、電解加工を更に継続すると、図2Dに示すように、トレンチ4内に埋込んだ銅が加工除去されて配線容量が目減りし、配線抵抗が上昇してしまう。
【0011】
このため、酸化剤や錯化剤などの表面皮膜形成剤を添加した電解液を使用して、銅膜6のような被加工物の電解加工を行うようにしている。これにより、銅膜6の凹部6a内での電解溶出反応を抑制し、凹部6aにおける銅膜6の加工速度を凸部6bよりも遅くして、凸部6bを選択的に加工することで、平坦度を上げることができる。しかし、この場合、加工速度を上げるために印加電圧を高くすると、これらの皮膜による電解反応を抑制する効果が不十分となって、十分な段差解消能力を得ることができない。
【0012】
また、前述のように、パターン部Pにおける銅膜6の研磨速度がフィールド部Fにおける銅膜6の研磨(処理)速度よりも大きくなる結果、図3A〜3Cに示すように、パターン部Pに位置する銅膜6の全体に凹部9が形成される現象が生じることもある。この凹部9の大きさは、パターン部Pの形状等によってはかなり大きくなり、銅膜6の全面に亘る平坦化を困難にしている。
【0013】
このため、図4A及び4Bに示すように、銅膜6のパターン部Pにおける銅膜6の研磨速度と、フィールド部Fにおけるの銅膜6の研磨速度を同等し、これによって、図4Cに示すように、パターン部P及びフィールド部Fの存在に拘わらず、銅膜6の表面を全面に亘って平坦に研磨することが求められる。この要請に応えるため、様々な試みがなされているが、パターン部Pにおける銅膜6の研磨速度をフィールド部Fにおける銅膜6の研磨速度と同等にするのは一般にかなり困難である。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、例えば配線材料としての銅膜等の金属膜(導電膜)の表面に初期段差が形成されていても、金属膜の表面を全面に亘って、しかも十分な加工速度で平坦に研磨できるようにした平坦化方法及び平坦化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の平坦化方法は、被加工物上に形成した初期段差を有する金属膜表面を加工して平坦化するにあたり、前記金属膜表面の前記初期段差を形成する凹部のみを固体またはペースト状の被覆材料で被覆し、研磨剤を用いない電解加工によって前記金属膜表面を加工する。
【0016】
この平坦化方法によれば、金属膜表面の凹部を被覆材料で被覆して該凹部の加工を抑制しつつ、金属膜の凸部を選択的に電解加工で加工することで、金属膜表面を平坦化することができる。しかも、被覆材料として、例えば10V以上の印加電圧による電解加工を行っても金属膜と分離することがない、金属膜との結合力の高い固体またはペースト状材料を使用することで、十分な加工速度を得ることができる。
【0017】
通常の電解液を使用して電解加工を行ってもよいが、超純水、純水、または電気導電率が500μS/cm以下の液体を使用して電解加工を行うことが望ましく、これにより、被加工物表面の汚染を大幅に低減することができ、また加工後の廃液の処理も容易となる。
【0018】
本発明の好ましい一態様において、平坦化方法は、前記金属膜表面に電解加工によって加工されずに残った前記被覆材料を除去し、前記金属膜表面を更に加工する。
【0019】
金属膜表面の凹部を被覆材料で被覆し該凹部における金属膜の加工を抑制しつつ金属膜表面を電解加工で加工すると、例えば絶縁材からなる被覆部材が完全に除去されずに金属膜表面に残ることがある。このような場合に、例えば凸部が解消して被覆材料が露出した段階で被覆材料を除去し、金属膜表面を更に加工することで、被覆材料がない平坦化された金属膜表面を得ることができる。被覆材料を除去した後の金属膜表面の加工は、例えば電解液または超純水を用いた電解加工で行っても、通常のCMP等、任意の方法で行ってもよい。
【0020】
前記被覆材料は、例えば抵抗率が10Ω・cm以上の絶縁性材料、または抵抗率が10Ω・cm以下の導電性材料からなる。
【0021】
被覆材料として、抵抗率が10Ω・cm以上(導電率1μS/cm以下)の絶縁性材料を使用し、被覆材料に電流が殆ど流れないようにすることで、被覆材料で被覆された金属膜凹部で電解反応が進行しないようにすることができる。これによって、金属膜の凸部を優先的に除去することができる。この絶縁性材料としては、例えばフォトレジスト、塗料、油性インクまたは速乾性接着剤等が挙げられる。
【0022】
被覆材料として、抵抗率が10Ω・cm以下(導電率10μS/cm以上)の導電性材料を使用し、被覆材料に電流が流れるようにすることで、導電性材料表面でも電解反応が進行するようにすることができる。これによって、被覆材料内部を通って凹部の金属膜にも電子電流が流れるようにして、金属膜全面における電流密度をより均一にして、被覆部以外の金属膜を均一に加工することができる。この導電性材料としては、例えば導電性塗料、導電性インク、導電性接着剤または導電性ペースト等が挙げられる。これらは、樹脂中に金属微粒子やカーボン等の導電性粒子を配合して導電性を持たせたものであり、導電性粒子の配合量で導電率を制御することができる。
【0023】
絶縁性材料または導電性材料からなる被覆材料は、電解加工によって多少(金属膜よりも遅く)加工されることが好ましい。
【0024】
本発明の好ましい一態様において、前記被覆材料を前記金属膜表面の全面に塗布した後、前記金属膜表面の前記初期段差を形成する凸部に位置する前記被覆材料のみを除去して、前記金属膜表面の前記初期段差を形成する凹部のみを被覆材料で被覆する。
【0025】
例えば、金属膜表面の全面に油性インクや油性塗料を塗布した後、金属膜表面の油性インクをアルコールやシンナで拭き取ったり、金属膜表面の全面にレジストを塗布し露光した後、現像したりすることで、金属膜表面の初期段差を形成する凹部のみを被覆材料で被覆することができる。
【0026】
本発明の好ましい一態様において、前記被覆材料を前記金属膜表面の前記凹部に選択的に塗布して、前記金属膜表面の前記初期段差を形成する凹部のみを被覆材料で被覆する。
例えば、インクジェット法によって、金属膜表面の凹部のみに選択的にインクを塗布することによって、金属膜表面の初期段差を形成する凹部のみを被覆材料で被覆することができる。
【0027】
本発明の好ましい一態様において、被加工物の金属膜に近接させた加工電極と該金属膜に給電する給電電極との間に電圧を印加し、加工処理部材が存在する前記被加工物と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間に液体を供給し、前記被加工物と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方とを相対運動させて前記電解加工による前記金属膜表面の加工を行う。
【0028】
液体として、通常の電解液を使用してもよいが、超純水、純水、または電気導電率が500μS/cm以下の液体を使用することが望ましく、これにより、被加工物表面の汚染を大幅に低減することができ、また加工後の廃液の処理も容易となる。
【0029】
前記加工処理部材は、イオン交換体またはイオン交換体を含む材料からなることが好ましい。
加工処理部材として、イオン交換体またはイオン交換体を含む材料を使用することで、超純水等の液体中の水分子の水酸化物イオンと水素イオンへの解離を促進しながら、金属膜表面を加工し平坦化することができる。加工処理部材として、CMPパッド、固定砥粒パッドまたはPVAスポンジ等を使用してもよい。
【0030】
本発明の好ましい一態様において、被加工物の金属膜に近接させた加工電極と該金属膜に給電する給電電極との間に電圧を印加し、前記被加工物と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間に液体を供給し、前記被加工物と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方とを相対運動させて前記電解加工による前記金属膜表面の加工を行う。
【0031】
本発明の好ましい一態様において、前記加工電極及び/または前記給電電極の側方に配置した接触部材を前記被加工物の前記金属膜表面に接触させて前記電解加工による前記金属膜表面の加工を行う。
【0032】
このように、接触部材を金属膜表面に接触させて電解加工による金属膜表面の加工を行うことで、加工速度を調整しつつ固体またはペースト状の被覆材料を加工(除去)することができる。この接触部材として、例えばCMPパッド、固定砥粒パッドまたはPVAスポンジ等を使用することができ、イオン交換体またはイオン交換体を含む材料を使用してもよい。
【0033】
本発明の平坦化装置は、金属膜表面の初期段差を形成する凹部のみを固体またはペースト状の被覆材料で被覆する被覆材料処理装置と、研磨剤を用いない電解加工によって前記金属膜表面を加工する電解加工装置とを有する。
前記被覆材料処理装置は、例えばレジスト処理装置からなる。
【0034】
本発明の他の平坦化方法は、被加工物上に形成したパターン部とフィールド部を有する金属膜(導電膜)表面を研磨して平坦化するにあたり、前記パターン部における金属膜の研磨速度を前記フィールド部における金属膜の研磨速度よりも高い状態で金属膜表面の第1研磨を行い、前記フィールド部における金属膜の研磨速度を前記パターン部における金属膜の研磨速度よりも高い状態で金属膜表面の第2研磨を行う。
【0035】
この平坦化方法により、第1研磨で主にパターン部内の金属膜(導電膜)表面の初期段差を解消し、第2研磨で主に金属膜表面のパターン部とフィールド部との間の段差を解消して、被加工物全面における金属膜表面を平坦に研磨することができる。第1研磨におけるフィールド部の金属膜の研磨速度、及び第2研磨におけるパターン部の金属膜の研磨速度は、共にゼロであることが最も好ましい。
【0036】
第1研磨は、パターン部内の金属膜表面の初期段差が解消されるまで継続される。第1研磨におけるパターン部内の金属膜の研磨速度が小さいと、第2研磨でパターン部とフィールド部との間における金属膜表面の段差を解消するのに使用できる金属膜の厚さが小さくなる。従って、第1研磨では、パターン部内の金属膜の研磨速度をフィールド部の金属膜の研磨速度よりも少なくとも2倍以上増加させて、第1研磨でパターン部とフィールド部との間に段差が形成される速度を大きくすることが望ましい。
【0037】
前記第1研磨及び前記第2研磨の少なくとも一方を電解加工で行うことが好ましい。
これにより、CMP自体を省略もしくはこの負荷を軽減することができる。
【0038】
本発明の好ましい一態様において、被加工物の金属膜表面に近接させた加工電極と該金属膜に給電する給電電極との間に電圧を印加し、加工処理部材が存在する、前記被加工物と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間に液体を供給し、前記被加工物と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方とを相対運動させて前記第1研磨及び前記第2研磨をそれぞれ行う。
【0039】
このように、電気化学的相互作用により従来のCMPよりも低圧力で金属膜の研磨を行うことで、金属膜の特性が損なわれることを防止することができる。液体として、超純水、純水、または電気導電率が500μS/cm以下の液体または電解液を使用することが好ましく、これにより、被加工物表面の汚染を大幅に低減することができ、また加工後の洗浄及び廃液の処理も容易となる。
【0040】
前記加工処理部材は、イオン交換体またはイオン交換体を含む材料からなることが好ましい。
本発明の好ましい一態様において、前記パターン部と前記加工処理部材とを接触させて前記第1研磨を行い、前記パターン部と前記加工処理部材とを非接触状態にして前記第2研磨を行う。
【0041】
特に、加工処理部材としてイオン交換体等を使用した時、加工処理部材(イオン交換体等)をパターン部に接触させて第1研磨を行い、加工処理部材(イオン交換体等)とパターン部とを非接触状態にすることで、パターン部における金属膜の研磨速度を第1研磨よりも遅くした第2研磨を行うことができる。この第2研磨時に、加工処理部材は、金属膜のフィールド部に接触していても良い。
【0042】
加工処理部材をパターン部に非接触な状態にして研磨を行うためには、加工処理部材の接触圧力による変形を小さくする必要がある。このため、加工処理部材として、剛性が高いもの、例えばヤング率を増加させたり、加工処理部材の厚さを厚くして断面2次モーメントが増加するような形状を有するようにしたものが使用される。加工処理部材とフィールド部の金属膜との接触圧力を低減してもよい。
【0043】
本発明の好ましい一態様において、前記パターン部と前記加工処理部材とを接触させて前記第1研磨を行い、前記第2研磨より前または第2研磨と同時に前記パターン部の抵抗形成処理を行う。
【0044】
パターン部に抵抗を形成する抵抗形成処理を行うことで、パターン部における金属膜の研磨速度を遅らせることができる。この抵抗形成処理としては、以下のような処理が挙げられる。
(1)パターン部を酸化剤(H,O等)または錯化剤に晒し、パターン部における金属膜表面を不働態化または錯体化させて、反応種イオンがパターン部における金属膜表面へ到達するのを抑制する処理。
(2)液体に絶縁性を有する添加剤を導入し、パターン部における金属膜表面を該添加剤(絶縁物)で被覆して、反応種イオンがパターン部における金属膜表面に到達するのを防止する処理。
(3)液体に反応種イオンと金属膜との反応を抑制する添加剤、例えばBTA(ベンゾトリアゾール)のような防食剤を導入して、反応種イオンと金属膜との反応そのものを抑制する処理。
【0045】
抵抗形成処理は、パターン部にのみに行われることが望ましいが、仮にフィールド部に行われても、加工処理部材または接触部材の接触圧力でフィールド部から除去または除外できる程度であれば良い。抵抗形成処理は、第2研磨の前に行っても、第2研磨と同時に行ってもよい。
【0046】
本発明の好ましい一態様において、前記第2研磨は、前記パターン部の抵抗形成処理を行いつつ、前記パターン部と前記加工処理部材とを非接触状態にして行う。
第2研磨の際に、加工処理部材がパターン部に接触しないようにすることで、抵抗形成処理によって、パターン部の金属膜表面に形成された不働態化膜、錯化物または絶縁物等の抵抗が、加工処理部材と接触して除去されてしまうことを防止することができる。
【0047】
前記加工電極及び/または前記給電電極の近傍に配置した接触部材を前記被加工物の前記金属膜表面に接触させて前記第1研磨及び前記第2研磨の少なくとも一方を行うようにしてもよい。
【0048】
本発明の好ましい一態様において、被加工物の金属膜に近接させた加工電極と該金属膜に給電する給電電極との間に電圧を印加し、前記被加工物と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間に液体を供給し、前記被加工物と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方とを相対運動させて前記第1研磨及び前記第2研磨をそれぞれ行う。
【0049】
第2研磨より前または第2研磨と同時に抵抗形成処理を行ってもよい。また、前記パターン部の抵抗形成処理を行いつつ、前記パターン部と前記加工電極とを非接触状態にして前記第2研磨を行ってもよい。
【0050】
前記加工電極及び/または前記給電電極の近傍に配置した接触部材を前記被加工物の導電膜表面に接触させて前記第1研磨及び前記第2研磨の少なくとも一方を行ってもよい。
前記加工電極と前記被加工物の前記金属膜表面との距離を0.05μm以上50μm以下にして前記第1研磨及び前記第2研磨の少なくとも一方を行ってもよい。
【0051】
イオン性反応促進剤を導電率が500μS/cm以下の液体と組合せて使用することによって、加工電極と被加工物の金属膜表面との距離を0.05μm以上50μm以下にした第1研磨を行うことができる。イオン性反応促進剤は、抵抗形成処理に使用される絶縁性の添加剤または防腐剤として作用し電解処理を抑制する物質の吸着を阻止して、電解処理(反応)を維持することができる。イオン性反応促進剤として、ビス(3−スルホポリピル)ジスルフィドに代表されるスルホン基を有する有機硫黄が好ましく使用される。液体の電気導電率が高いと、パターン部及びフィールド部における金属膜の研磨が共に等方的となり、パターン部とフィールド部における金属膜の研磨速度に差が出ないが、液体の電気導電率を小さくすることで、これらの研磨を異方性に近づけて、パターン部とフィールド部における金属膜の研磨速度に差が出るようにすることができる。また、研磨時に、イオン性反応促進剤を電界強度の強い部分、つまりパターン部における金属膜の凸部上端に集中させ、これによって、パターン部における金属膜の研磨速度を上昇させることができる。加工電極と金属膜との距離を変化させて電解研磨を行ったところ、この距離を0.05μmから50μmとすることで、金属膜を好適に研磨できることが実験的に確認されている。
【0052】
時間管理、テーブル電流の検出または画像認識によって、前記第1研磨の終点を検知することができる。
時間管理とは、加工時間管理のことであり、電流条件を下に決定された所定の加工時間が経過した時点で第一研磨を終了する。
【0053】
第1研磨の進行に伴って、パターン部内のパターン形状、つまり金属膜表面の段差が徐々に解消され、この段差がほぼ完全に解消されて平坦化された時点を第1研磨の終点とする。例えば加工処理部材を金属膜に接触させつつ該金属膜表面を研磨する時、研磨の進行に伴って金属膜表面が平坦化されると、金属膜と加工処理部材との間の接触面積が大きくなって、テーブル電流が大きくなり、またパターン画像の変化として捉えた時、パターン形状が徐々に消えてゆく。このため、テーブル電流の検出または画像認識によって第1研磨の終点を検知することができる。
【0054】
本発明の平坦化装置は、被加工物上に形成したパターン部とフィールド部を有する導電膜表面を、前記パターン部における導電膜の研磨速度の方が前記フィールド部における導電膜の研磨速度よりも高い状態で研磨する第1研磨部と、前記フィールド部における導電膜の研磨速度の方が前記パターン部における導電膜の研磨速度よりも高い状態で導電膜表面を研磨する第2研磨部を有する。
前記第1研磨部及び第2研磨部の少なくとも一方は、電解加工で研磨を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、例えば配線材料としての銅膜等の金属膜(導電膜)の表面に初期段差が形成されていても、導電膜の表面を全面に亘って平坦に研磨して、導電膜表面の平坦化をより簡便に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、被加工物として基板を使用し、基板の表面に形成した配線材料としての銅膜6(図1B参照)を加工の対象となる金属膜(導電膜)として、この銅膜(金属膜)6の表面を加工して平坦化するようにした例を示している。本発明を基板以外の被加工物や、銅膜以外の金属膜(導電膜)の平坦化にも適用できることは言うまでもない。
【0057】
図5は、本発明の実施の形態に係る平坦化装置を示す平面図である。図5に示すように、平坦化装置は、例えば、図1Bに示すように、表面に加工の対象となる金属膜(導電膜)としての銅膜6を有する基板Wを収納したカセットを搬出入する搬出入部としての一対のロード・アンロード部30と、基板Wを反転させる反転機32と、基板Wの表面に被覆材料としてのレジストを塗布し露光する、被覆材料処理装置としてのレジスト処理装置34と、研磨材を用いない電解加工を行う電解加工装置36と、電解加工後の基板Wを洗浄・乾燥する洗浄部38を備えている。これらの機器は直列に配置されており、これらの機器の間で基板Wを搬送して授受する搬送装置としての搬送ロボット40がこれらの機器と平行に走行自在に配置されている。また、電解加工装置36による電解加工の際に、後述する加工電極と給電電極との間に印加する電圧、またはこれらの間を流れる電流をモニタするモニタ部42がロード・アンロード部30に隣接して配置されている。
【0058】
図6は、基板処理装置内のレジスト処理装置(被覆材料処理装置)34を示す。図6に示すように、レジスト処理装置34は、レジスト塗布部50と露光部52とから主に構成されている。レジスト塗布部50は、銅膜6(図1B参照)が形成された表面を上向きにして基板Wを着脱自在に保持する回転自在な基板ステージ54と、この基板ステージ54の上方に揺動自在に配置された揺動アーム56と、この揺動アーム56の自由端に取付けられて、基板ステージ54で保持した基板Wのほぼ中央の処理位置と側方の待避位置との間を移動するレジスト滴下ノズル58を備えている。基板ステージ54の直上方に位置して、紫外線ランプ60を内蔵した露光部52が配置されている。更に、図示しないが、レジスト塗布装置34は、基板Wの表面に現像液を供給して露光したレジストを現像する現像部、及び現像後の基板表面を洗浄する洗浄部が備えられている。基板を洗浄した後に、レジストを、例えば100〜150℃でベーク処理するヒータステージをレジスト処理装置34の側方等に設置するようにしてもよい。
【0059】
この例では、抵抗率が10Ω・cm以上(導電率1μS/cm以下)の絶縁性材料からなるポジ型フォトレジストを被覆材料として使用し、このポジ型フォトレジスト62を基板Wの表面に塗布するようにしている。レジストには、感光する光の波長によって、フォトレジストの他に、X線レジスト、電子線レジストなどがあるが、本発明では、いずれのレジストを使用してもよい。また、感光した部分が現像により溶解するか、感光していない部分が溶解するかによって、ポジ型とネガ型に分類でき、この例では、ポジ型を使用しているが、ネガ型を使用するようにしてもよい。レジストの代わりに、塗料、油性インク(油性マーカ)または乾燥性接着剤等を使用してもよい。
【0060】
このレジスト処理装置34の操作を、図7A〜7Cを参照して説明する。先ず、基板ステージ54の上面に表面を上向きにして基板Wを保持する。そして、基板ステージ54の側方の待避位置にあったレジスト滴下ノズル58を基板ステージ54で保持した基板Wのほぼ中央の処理位置に移動させる。この状態で、基板Wのほぼ中央にレジスト滴下ノズル58からポジ型フォトレジスト62を滴下し、基板Wを基板ステージ54と共に回転させてスピンコートする。これにより、図7Aに示すように、絶縁膜2に設けたトレンチ4の内部に埋込み絶縁膜2を覆う銅膜(金属膜)6の凹部6a内に入り込ませながら、ポジ型フォトレジスト62を銅膜6の表面に均一に塗布する。
【0061】
次に、レジスト滴下ノズル58を処理位置から待避位置に移動させ、露光部52の紫外線ランプ60から基板Wの表面に向けて紫外線を照射し、これによって、図7Bに示すように、銅膜6の凹部6aの底部に位置するレジスト62aを残して他のレジスト62bを露光する。そして、この基板Wの表面に現像液を供給し現像して、図7Cに示すように、露光されたレジスト62bを除去する。これによって、銅膜6の凹部6aを絶縁性材料のレジスト(被覆材料)62(62b)からなる被覆層(絶縁層)で被覆する。
【0062】
そして、基板Wの表面を純水等で洗浄(リンス)し、必要に応じて、例えば100〜150℃のベーク処理を行う。このように、レジスト62にベーク処理を行い、レジスト62中の溶媒を蒸発させることによって、下記の電解加工におけるレジスト62の除去速度を変化させることができる。これを利用し、ベーク処理温度とベーク処理時間を調整することよって、銅膜(金属膜)6とレジスト62の電解加工における選択比を制御して、銅膜6を平坦化することが可能となる。一般的には、高い温度で、長時間ベーク処理することによって、レジストの加工速度は遅くなる。
【0063】
図8は、図5に示す電解加工装置36を模式的に示す平面図で、図9は、図8の縦断面図である。図8及び図9に示すように、この電解加工装置36は、上下動可能かつ水平面に沿って往復運動可能なアーム240と、アーム240の自由端に垂設されて基板Wを下向き(フェースダウン)に吸着保持する基板保持部242と、アーム240が取付けられる可動フレーム244とを備えている。
【0064】
可動フレーム244の上部には上下動用モータ250が設置されており、この上下動用モータ250には上下方向に延びるボールねじ252が連結されている。ボールねじ252にはアーム240の基部240aが係合しており、上下動用モータ250の駆動に伴ってアーム240がボールねじ252を介して上下動する。また、可動フレーム244は、水平方向に延びるボールねじ254に取付けられており、往復運動用モータ256の駆動に伴ってアーム240と共に水平面に沿って往復運動する。
【0065】
基板保持部242は、アーム240の自由端に設置された自転用モータ258に接続されており、自転用モータ258の駆動に伴って回転(自転)する。上述したように、アーム240は、上下動及び水平方向に往復運動可能となっており、基板保持部242は、アーム240と一体となって上下動及び水平方向に往復運動可能となっている。
【0066】
基板保持部242の下方には、矩形状の電極部246が配置されている。この電極部246の大きさは、基板保持部242で保持する基板Wの外径よりも一回り大きな大きさに設定されている。
【0067】
電極部246の下方には中空モータ260が設置されており、この中空モータ260の主軸262には、この主軸262の上端面の中心から偏心した位置に駆動端264が設けられている。電極部246は、その中央において、駆動端264に軸受(図示せず)を介して回転自在に連結されている。電極部246と中空モータ260との間には、周方向に3つ以上の自転防止機構(図示せず)が設けられている。これによって、中空モータ260の駆動により電極部246がスクロール運動(並進回転運動)を行う。
【0068】
次に、電極部246について詳細に説明する。図10は、電極部246の縦断面図である。図8及び図10に示すように、電極部246は、X方向(図8参照)に延びる複数の電極部材282を備えており、これらの電極部材282は、平板状の加工テーブル284上に並列に等ピッチで配置されている。
【0069】
図10に示すように、各電極部材282は、電源248(図8参照)に接続される電極286と、電極286の表面を一体的に覆う、加工処理部材としてのイオン交換体290とを備えている。イオン交換体290は、電極286の両側に配置された保持プレート285により電極286に取付けられている。
【0070】
なお、この例では、加工処理部材として、イオン交換体を使用した例を示しているが、イオン交換体を含む材料や、発泡ポリウレタンパッド(例えばIC−1000,ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ社製)等の研磨パッド、固定砥粒パッドまたはPVAスポンジ等で加工処理部材を構成してもよい。
【0071】
イオン交換体290としては通水性に優れたものを使用することがより好ましい。純水や超純水がイオン交換体290を通過するように流すことで、水の解離反応を促進させる官能基(強酸性陽イオン交換材料ではスルホン酸基)に十分な水を供給して水分子の解離量を増加させ、水酸化物イオン(もしくはOHラジカル)との反応により発生した加工生成物(ガスも含む)を水の流れにより除去して、加工効率を高めることができる。このような通水性を有する部材としては、例えば、通液性を有するスポンジ状の部材やナフィオン(デュポン社の商標)のような膜状部材に開孔を設けて通水性をもたせるようにしたものを使用することができる。
【0072】
イオン交換体290は、アニオン交換基またはカチオン交換基を付与した不織布で構成されていてもよい。カチオン交換体は、好ましくは強酸性カチオン交換基(スルホン酸基)を担持したものであるが、弱酸性カチオン交換基(カルボキシル基)を担持したものでもよい。アニオン交換体は、好ましくは強塩基性アニオン交換基(4級アンモニウム基)を担持したものであるが、弱塩基性アニオン交換基(3級以下のアミノ基)を担持したものでもよい。また、イオン交換体290の素材の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系高分子、又はその他有機高分子が挙げられる。素材形態としては、不織布の他に、織布、シート、多孔質材、ネット、または短繊維等が挙げられる。イオン交換体290の内部に強酸性陽イオン交換繊維(不織布イオン交換体)を配置して、イオン交換容量を高めてもよい。
【0073】
例えば強塩基性アニオン交換基を付与した不織布は、繊維径20〜50μmで空隙率が約90%のポリオレフィン製の不織布に、γ線を照射した後グラフト重合を行ういわゆる放射線グラフト重合法により、グラフト鎖を導入し、次に導入したグラフト鎖をアミノ化して第4級アンモニウム基を導入して作製される。導入されるイオン交換基の容量は、導入するグラフト鎖の量により決定される。グラフト重合を行うためには、例えばアクリル酸、スチレン、メタクリル酸グリシジル、クロロメチルスチレン等のモノマーを用い、これらのモノマー濃度、反応温度及び反応時間を制御することで、重合するグラフト量を制御することができる。したがって、グラフト重合前の素材の重量に対し、グラフト重合によって増加した重量の比をグラフト率と呼ぶが、このグラフト率は、最大で500%が可能であり、グラフト重合後に導入されるイオン交換基は、最大で5meq/gが可能である。
【0074】
強酸性カチオン交換基を付与した不織布は、上記強塩基性アニオン交換基を付与する方法と同様に、繊維径20〜50μmで空隙率が約90%のポリオレフィン製の不織布に、γ線を照射した後グラフト重合を行ういわゆる放射線グラフト重合法により、グラフト鎖を導入し、次に導入したグラフト鎖を、例えば加熱した硫酸で処理してスルホン酸基を導入して作製される。また、加熱したリン酸で処理すればリン酸基が導入できる。ここでグラフト率は、最大で500%が可能であり、グラフト重合後に導入されるイオン交換基は、最大で5meq/gが可能である。
【0075】
イオン交換体290の素材の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系高分子、又はその他有機高分子が挙げられる。またイオン交換体290の素材形態としては、不織布の他に、織布、シート、多孔質材、短繊維等が挙げられる。ポリエチレンやポリプロピレンを素材として使用した場合は、放射線(γ線又は電子線)を先に素材に照射する(前照射)ことで、素材にラジカルを発生させ、次にモノマーと反応させてグラフト重合することができる。これにより、均一性が高く、不純物が少ないグラフト重合物ができる。一方、ポリオレフィン以外の有機高分子を素材として使用し場合は、素材にモノマーを含浸させ、そこに放射線(γ線、電子線及び紫外線)を照射(同時照射)することで、ラジカル重合することができる。この場合、グラフと鎖の均一性に欠けるが、ほとんどの素材に適用できる。
【0076】
イオン交換体290をアニオン交換基又はカチオン交換基を付与した不織布で構成することで、純水や超純水等の液体が不織布の内部を自由に移動して、不織布内部の水分解触媒作用を有する活性点に容易に到達することが可能となって、多くの水分子が水素イオンと水酸化物イオンに解離される。更に、解離によって生成した水酸化物イオンが純水や超純水等の液体の移動に伴って効率良く電極286の表面に運ばれるため、低い印加電圧でも高電流が得られる。
【0077】
イオン交換体290をアニオン交換基又はカチオン交換基の一方を付与したもののみで構成すると、電解加工できる被加工材料が制限されるばかりでなく、極性により不純物が生成しやすくなる。そこで、アニオン交換基を有するアニオン交換体とカチオン交換基を有するカチオン交換体とを重ね合わせたり、イオン交換体290自体にアニオン交換基とカチオン交換基の双方の交換基を付与するようにしたりしてもよく、これにより、被加工材料の範囲を拡げるとともに、不純物を生成しにくくすることができる。
【0078】
この例では、隣り合う電極部材282の電極286に、電源248の陰極と陽極とが交互に接続されている。例えば、電極286a(図10参照)を電源248の陰極に接続し、電極286b(図10参照)を陽極に接続する。例えば、銅を加工する場合においては、陰極側に電解加工作用が生じるので、陰極に接続した電極286が加工電極286aとなり、陽極に接続した電極286が給電電極286bとなる。このように、この例では、加工電極286aと給電電極286bとが並列に交互に配置される。
【0079】
加工材料によっては、電源の陰極に接続される電極を給電電極とし、陽極に接続される電極を加工電極としてもよい。すなわち、被加工材料が例えば銅やモリブデン、鉄である場合には、陰極側に電解加工作用が生じるため、電源の陰極に接続した電極286aが加工電極となり、陽極に接続した電極286bが給電電極となる。一方、被加工材料が例えばアルミニウムやシリコンである場合には、陽極側で電解加工作用が生じるため、電源の陽極に接続した電極286bが加工電極となり、陰極に接続した電極286aが給電電極となる。
【0080】
このように、加工電極286aと給電電極286bとを電極部246のY方向(電極部材282の長手方向と垂直な方向)に交互に設けることで、基板Wの銅膜(金属膜)6(図1B参照)に給電を行う給電部を設ける必要がなくなり、基板Wの全面の加工が可能となる。また、電極286間に印加される電圧の正負をパルス状に変化させることで、電解生成物を溶解させ、加工の繰り返しの多重性によって加工面の平坦度を向上させることができる。
【0081】
ここで、電極部材282の電極286は、電解反応により、酸化又は溶出が一般に問題となる。このため、電極の素材として、電極に広く使用されている金属や金属化合物よりも、炭素、比較的不活性な貴金属、導電性酸化物又は導電性セラミックスを使用することが好ましい。この貴金属を素材とした電極としては、例えば、下地の電極素材にチタンを用い、その表面にめっきやコーティングで白金又はイリジウムを付着させ、高温で焼結して安定化と強度を保つ処理を行ったものが挙げられる。セラミックス製品は、一般に無機物質を原料として熱処理によって得られ、各種の非金属・金属の酸化物・炭化物・窒化物などを原料として、様々な特性を持つ製品が作られている。この中に導電性を持つセラミックスもある。電極が酸化すると電極の電気抵抗値が増加し、印加電圧の上昇を招くが、白金などの酸化しにくい材料やイリジウムなどの導電性酸化物で電極表面を保護することで、電極素材の酸化による導電性の低下を防止することができる。
【0082】
図10に示すように、電極部246の加工テーブル284の内部には、被加工面に純水、より好ましくは超純水を供給するための流路292が形成されており、この流路292は純水供給管294を介して純水供給源(図示せず)に接続されている。各電極部材282の両側には、支持体296が立設され、この各支持体296の上面に基板Wの表面(下面)に接触する接触部材298が設置されている。この支持体296及び接触部材298の内部には、流路292に連通する連通孔296aが形成されており、この連通孔296aを介して純水、好ましくは超純水が基板Wと電極部材282のイオン交換体290との間に供給される。
【0083】
この接触部材298として、CMPパッド、固定砥粒パッドまたはPVAスポンジ等を使用することができる。イオン交換体またはイオン交換体を含む材料を使用してもよい。
【0084】
この電解加工装置36にあっては、図11に示すように、基板Wをある程度の力でイオン交換体290に押し付けて基板Wを接触部材298の上面に接触させる。これによって、基板Wの押圧力を接触部材298が受け、基板Wとイオン交換体290との接触面積が変化しないようにして、基板Wが傾くことを防止し、接触面積を均一にして、均一な加工を実現することができる。接触部材298によって、レジスト等の被覆材料の除去加工速度を調整することが可能となる。
【0085】
各電極部材282の電極286の内部には、流路292からイオン交換体290に通じる貫通孔300が形成されている。このような構成により、流路292内の純水または超純水等の流体は、貫通孔300を通ってイオン交換体290に供給される。
【0086】
本発明は、イオン交換体を用いた電解加工に限られない。例えば、加工液として電解液を用いた場合は、電極の表面に取付けられる加工処理部材としては、イオン交換体に限られず、柔らかい研磨パッドや不織布のようなものであってもよい。
【0087】
このような構成の電解加工装置36の操作においては、図11に示すように、基板保持部242で保持した基板Wを、接触部材298の上面に接触させつつ、電極部246のイオン交換体290の表面にも接触させる。この状態で、基板保持部242で保持した基板Wを回転させつつ、中空モータ260を駆動して電極部246をスクロール運動させ、同時に、支持体296の連通孔296aから基板Wと電極部材282との間に純水又は超純水を供給し、各電極部材282の貫通孔300を通じて純水又は超純水をイオン交換体290に含ませる。この例では、イオン交換体290に供給された純水又は超純水は、各電極部材282の長手方向端部から排出される。そして、電源248により加工電極286aと給電電極286bとの間に所定の電圧を印加して、基板Wの表面に堆積させた銅膜(金属膜)6の電解加工を行う。
【0088】
次に、この実施の形態における平坦化装置を用いた電解加工について説明する。まず、例えば、図1Bに示すように、絶縁膜2内に形成したトレンチ4内の埋込みつつ該絶縁膜2の表面に金属膜(被加工部)として銅膜6を形成した基板Wを収納したカセットをロード・アンロード部30にセットし、このカセットから1枚の基板Wを搬送ロボット40で取出す。この銅膜6には、図12Aに示すように、多数の凹部6aと凸部6bを有するパターン部Pと該パターン部Pを包囲するフィールド部Fが形成されている。搬送ロボット40は、取出した基板Wをレジスト処理装置(被覆材料処理装置)34に搬送し、このレジスト処理装置34で、この例では、前述のようにして、銅膜6の凹部6aを絶縁性材料のレジスト(被覆材料)62からなる被覆層(絶縁層)で被覆する。そして、このレジスト62に、所定の温度で所定の時間のベーク処理を行って、電解加工におけるレジスト62の除去速度を調整する。
【0089】
搬送ロボット40は、ベーク処理後の基板Wをレジスト処理装置34から受取り、必要に応じて反転機32に搬送して、基板Wの銅膜6を形成した表面が下を向くように反転させる。
【0090】
搬送ロボット40は反転させた基板Wを受取り、これを電解加工装置36に搬送し、基板保持部242に吸着保持させる。次に、上下動用モータ250を駆動して基板保持部242を下降させ、この基板保持部242で保持した基板Wを電極部246の接触部材298及びイオン交換体290の表面に接触させる。この状態で、自転用モータ258を駆動して基板Wを回転させ、同時に中空モータ260を駆動して電極部246をスクロール運動させる。同時に、基板Wとイオン交換体290との間に純水又は超純水を供給する。
【0091】
そして、電源248により加工電極286aと給電電極286bとの間に所定の電圧を印加し、イオン交換体290により生成された水素イオン又は水酸化物イオンによって、加工電極(陰極)286aにおいて電解加工を行う。この加工において、銅膜6のパターン部P内の凹部6aは、絶縁性材料からなり、従って電解加工による加工が抑制されるレジスト(被覆材料)62で被覆されており、このため、銅膜6のレジスト(被覆材料)62で被覆されていない部分が優先的に加工されて、銅膜6の表面が徐々に平坦化される。
【0092】
つまり、図12Aに示すように、絶縁膜2の内部に形成したトレンチ4内に埋込みつつ成膜した銅膜6のパターン部Pにおける凹部6aの底部を絶縁性材料からなるレジスト(被覆材料)62で被覆した状態で電解加工を開始すると、最初は、主にパターン部Pにおける銅膜6の凸部6bが優先的に加工され、これによって、図12Bに示すように、パターン部P内が徐々に平坦化される。更に加工が進行すると、パターン部P内の銅膜6の加工が抑制されて、フィールド部Fの銅膜6が優先的に加工され、これによって、図12Cに示すように、銅膜6のパターン部Pにおける凹部6a内に絶縁性材料からなるレジスト(被覆材料)62を僅かに残した状態で、パターン部P及びフィールド部Fが平坦化される。そして、更に加工が進行すると、銅膜6のパターン部Pにおける凹部6a内に残ったレジスト62が除去されて、図12Dに示すように、銅膜6の表面が平坦化される。
【0093】
このレジスト62として、加工電極286aと給電電極286bとの間に、例えば10V以上の電圧を印加して電解加工を行っても、銅膜6と分離することがない、銅膜6との結合力の高い被覆層(絶縁層)を形成する材料を使用することで、レジスト62による電解反応を抑制する効果を維持しながら、十分な加工速度を得ることができる。
【0094】
このように、絶縁性材料からなるレジスト62等の被覆材料は、電解加工によって、銅膜6等の金属膜よりも遅い速度で多少加工されることが好ましい。しかも電解加工におけるレジスト62の加工速度と銅膜6の加工速度の選択比を調整することで、銅膜6の表面にレジスト62を残すことなく、銅膜6の表面を平坦化することができる。
【0095】
前述のように、銅膜6の表面に接触部材298を接触させつつ相対的に移動させ、この接触部材298で被覆材料の表面を削り取るようにすることによっても、レジスト(被覆材料)62の加工速度を調整することができる。このことは、以下の例にあっても同様である。
【0096】
この例では、銅膜6及びレジスト62を連続的に加工して、レジスト62を残すことなく銅膜6の表面を平坦化するようにした例を示しているが、例えば、レジスト62の加工速度の関係で、連続的な加工ではレジスト62を残すことなく除去して銅膜6の表面を平坦化することが困難な場合がある。このような場合には、例えば図12Cに示すように、パターン部P及びフィールド部Fにおける銅膜6の表面が平坦化して、銅膜6の表面にレジスト62が露出した段階で、このレジスト62を別工程で除去し、しかる後、銅膜6の表面を更に加工することで、図12Dに示すように、レジスト62を残すことなく銅膜6の表面を平坦化するようにしてもよい。このレジスト62を除去した後の加工は、例えば電解液または超純水を用いた電解加工で行っても、通常のCMP等、任意の方法で行ってもよい。
【0097】
前述のように、銅膜6の表面に接触部材298を接触させつつ両者を相対的に移動させることで、例えば図12Cに示す、銅膜6の表面に露出したレジスト62を接触部材298で除去するようにしてもよい。
【0098】
電解加工終了後、加工電極286a及び給電電極286bの電源248との接続を切り、基板保持部242の回転と電極部246のスクロール運動を停止させる。しかる後、基板保持部242を上昇させ、アーム240を移動させて基板Wを搬送ロボット40に受け渡す。基板Wを受け取った搬送ロボット40は、必要に応じて反転機32に搬送して基板Wを反転させた後、基板Wをロード・アンロード部30のカセットに戻す。
【0099】
ここで、電解加工中に基板Wとイオン交換体290との間に供給する純水は、ここでは電気導電率が10μS/cm以下の水であり、超純水は、例えば電気導電率が0.1μS/cm以下の水である。電解質を含まない純水又は超純水を使用して電解加工を行うことで、基板Wの表面に電解質等の余分な不純物が付着したり、残留したりすることをなくすことができる。更に、電解によって溶解した銅イオン等が、イオン交換体290にイオン交換反応で即座に捕捉されるため、溶解した銅イオン等が基板Wの他の部分に再度析出したり、酸化されて微粒子となり基板Wの表面を汚染したりすることがない。
【0100】
純水又は超純水の代わりに、電気導電率500μS/cm以下の液体、例えば純水又は超純水に電解質を添加した電解液を使用してもよい。電解液を使用することで、電気抵抗を低減して消費電力を削減することができる。この電解液としては、例えば、NaClやNaSO等の中性塩、HClやHSO等の酸、更には、アンモニア等のアルカリなどの溶液を使用することができ、被加工物の特性によって適宜選択して使用することができる。
【0101】
純水又は超純水の代わりに、純水又は超純水に界面活性剤等を添加して、電気導電率が500μS/cm以下、好ましくは、50μS/cm以下、更に好ましくは、0.1μS/cm以下(比抵抗で10MΩ・cm以上)にした液体を使用してもよい。純水又は超純水に界面活性剤を添加することで、基板Wとイオン交換体290の界面にイオンの移動を防ぐ一様な抑制作用を有する層を形成し、これによって、イオン交換(金属の溶解)の集中を緩和して被加工面の平坦性を向上させることができる。ここで、界面活性剤濃度は、100ppm以下が好ましい。なお、電気導電率の値が高すぎると電流効率が下がり、加工速度が遅くなるが、500μS/cm以下、好ましくは、50μS/cm以下、更に好ましくは、0.1μS/cm以下の電気導電率を有する液体を使用することで、所望の加工速度を得ることができる。
【0102】
図13は、被覆材料処理装置としてのレジスト処理装置の他の例を示す。図13に示すように、このレジスト処理装置(被覆材料処理装置)34aは、図6に示すレジスト処理装置34と同じ構成のレジスト塗布部50とレジスト拭き取り部70を有している。このレジスト拭き取り部70は、レジスト塗布部50の基板ステージ54の上方に上下動及び回転自在に配置された回転板72と、この回転板72の下面に下向きで取付けた拭き取りパッド74を有している。
【0103】
このレジスト処理装置34aにあっては、基板ステージ54の上面に表面を上向きにして保持した基板Wほぼ中央にレジスト滴下ノズル58からレジスト62を滴下し、基板Wを基板ステージ54と共に回転させてスピンコートする。これにより、図14Aに示すように、絶縁膜2に設けたトレンチ4の内部に埋込みつつ絶縁膜2を覆う銅膜(金属膜)6の凹部6a内に入り込ませながら、レジスト62を銅膜6の表面に均一に塗布する。次に、回転板72を回転させながら下降させ、拭き取りパッド74の表面(下面)をレジスト62の表面に擦り付ける。これによって、図14Bに示すように、銅膜6の凹部6a内に位置するレジスト62を残しながら、銅膜6の凸部6bの上部に位置するレジスト62を除去して、銅膜6の凹部6aのみをレジスト(被覆材料)62からなる被覆層で被覆する。
【0104】
このように、基板Wの表面にレジスト62を滴下した後、基板Wを回転させてスピンコートすると、銅膜6の凹部6aの方が凸部6bよりも厚くレジスト62が塗布される。例えば配線部が9μm、スペース部が1μmのパターンの場合、配線部とスペース部におけるレジスト62の膜厚差を400nm以上にすることが可能である。このため、拭き取りパッド74の表面(下面)をレジスト62の表面に擦り付けることで、銅膜6の凸部6bの上部に位置するレジスト62のみを選択的に除去することができる。
【0105】
この例にあっては、被覆材料として、ポジ型フォトレジスト以外の任意のレジストを使用することができる。
なお、レジスト処理装置34aの側方等にヒータステージを設置し、レジスト62を、例えば100〜150℃でベーク処理して、レジスト62の電解加工における除去速度を調整するようにしてもよいことは前述と同様である。
【0106】
上記の例では、被覆材料として、抵抗率が10Ω・cm以上(電気導電率1μS/cm以下)の絶縁性材料からなるレジストを使用して絶縁層(被覆層)を形成しているが、抵抗率が10Ω・cm以下(導電率10μS/cm以上)の導電性材料を使用して導電層(被覆層)を形成してもよい。この導電性材料としては、導電性塗料、導電性インク、導電性接着剤または導電性ペースト等が挙げられる。これらの導電性材料は、樹脂中に金属微粒子やカーボン等の導電性粒子を配合して導電性を持たせたものであり、導電性粒子の配合量で導電率を制御することができる。
【0107】
被覆材料64として導電性材料を使用した場合にあっても、先ず、図15Aに示すように、絶縁膜2に設けたトレンチ4の内部に埋込みつつ該絶縁膜2の表面に成膜した銅膜(金属膜)6の凹部6aを被覆材料64で被覆する。この被覆方法としては、例えば銅膜6の全面に油性マーカ等の導電性インクを塗布し、しかる後、銅膜6の表面の導電性インクをアルコールやシンナで拭き取ったり、インクジェット法によって、銅膜6の凹部6aのみに選択的に導電性インクを塗布したりすることが挙げられる。
【0108】
そして、この銅膜6の凹部6aを被覆材料64からなる被覆層(導電層)で被覆した基板Wに電解加工を施して銅膜6の表面を平坦化する。図15Aに示すように、パターン部Pにおける銅膜(金属膜)6の凸部6bが被覆材料64の表面から突出している場合にあっては、この凸部6b及びフィールド部Fの銅膜6が優先的に加工されて、図15Bに示すようにパターン部Pとフィールド部Fが平坦化される。更に加工が進行すると、被覆材料64の表面でも電解反応が進行し、被覆材料64を通って凹部6aの銅膜6にも電子電流が流れるため、被覆材料64を含めた銅膜6の全面における電流密度がより均一となり、これによって、図15Cに示すように、銅膜6の表面が、全面に亘ってより均一に加工される。そして、更に加工が進行すると、銅膜6のパターン部Pにおける凹部6a内に残った被覆材料64が除去されて、銅膜6の表面が平坦化される。
【0109】
この場合においても、導電性材料からなる被覆材料64は、電解加工によって、銅膜6等の金属膜よりも遅い速度で多少加工されることが好ましく、電解加工における被覆材料64の加工速度と銅膜6の加工速度の選択比を調整することで、銅膜6の表面に被覆材料64を残すことなく、銅膜6の表面を平坦化することができる。
【0110】
前述と同様に、銅膜6の表面に被覆材料64が露出した段階で、この被覆材料64を別工程に除去し、しかる後、銅膜6の表面を更に加工したり、銅膜6の表面に接触部材298を接触させつつ相対的に移動させることで、銅膜6の表面に露出した被覆材料64を接触部材298で除去したりしてもよい。
【0111】
図16は、電解加工装置の他の例における電極部の要部を示す。この電解加工装置の電極部246aの前述の電解加工装置における電極部246と異なる点は以下の通りである。
電極部246aは、互いに平行に延びる複数の電極302を備えており、これらの電極302は、イオン交換体等で覆われることなく、外部に露出した状態で、平板状の加工テーブル上に並列に等ピッチで配置されている。隣り合う電極302に電源の陰極と陽極とが交互に接続され、これによって、例えば、銅を加工する場合においては、電源の陰極に接続した電極302が加工電極302aとなり、陽極に接続した電極302が給電電極302bとなる。
【0112】
電極部246aの加工テーブルの内部には、被加工面に純水等の液体(電解液)を供給するための流路が形成されており、この流路は液体供給管を介して液体供給源に接続されている。各電極302の両側には、支持体310が立設され、この各支持体310の上面に基板Wの表面(下面)に接触する接触部材312が設置されている。この支持体310及び接触部材312の内部には、流路に連通する貫通孔314が、電極302の内部には流路に連通する貫通孔316がそれぞれ形成されており、この貫通孔314,316を介して純水等の液体が基板Wと電極302との間に供給される。
【0113】
接触部材312として、CMPパッド、固定砥粒パッドまたはPVAスポンジ等を使用することができる。イオン交換体またはイオン交換体を含む材料を使用してもよい。
【0114】
この電極部246aにあっては、基板保持部242(図8及び図9参照)で保持した基板Wを電極部246aの接触部材312の表面に接触させつつ電解加工を行うのであるが、この電解加工時に、基板Wと電極302とが互いに接触することなく、基板Wと電極302との距離Dが0.05μm以上で50μm以下となるようにする。
電解加工時に、基板Wと電極302との間に、例えば純水、超純水または電気導電率が500μS/cm以下の液体を供給する。
【0115】
本発明によれば、例えば配線材料としての銅膜等の金属膜(導電膜)の表面に初期段差が形成されていても、金属膜の表面を、十分な加工速度で全面に亘って平坦に加工して、金属膜表面の平坦化をより簡便かつ高速で行うことができる。
【0116】
図17は、本発明の他の実施の形態に係る平坦化装置を示す平面図である。図17に示すように、平坦化装置は、一対のロード・アンロード部130と、基板Wを反転させる反転機132と、第1研磨部134と第2研磨部136を有する、研磨装置としての電解加工装置138と、電解加工後の基板Wを洗浄・乾燥する洗浄部140を備えている。これらの機器は直列に配置されており、これらの機器の間で基板Wを搬送して授受する搬送装置としての搬送ロボット142がこれらの機器と平行に走行自在に配置されている。また、平坦化装置には、加工電極と給電電極との間に印加する電圧、またはこれらの間を流れる電流をモニタしたり、テーブル電流を検出したりする制御部144がロード・アンロード部30に隣接して備えられている。
【0117】
図18は、図17に示す電解加工装置(研磨装置)138を模式的に示す平面図である。図18に示すように、この電解加工装置138は、図8及び図9に示す電解加工装置36と同様に、上下動可能かつ水平面に沿って往復運動可能なアーム240と、アーム240の自由端に垂設されて表面を下向き(フェースダウン)にして基板Wを吸着保持する基板保持部242と、アーム240が取付けられる可動フレーム244とを備えている。
【0118】
可動フレーム244の上部には上下動用モータ250が設置され、この上下動用モータ250の駆動に伴ってアーム240が上下動する。また、可動フレーム244自体も、水平方向に延びるボールねじ254に取付けられて、往復運動用モータ256の駆動に伴って可動フレーム244及びアーム240が水平面に沿って往復運動する。基板保持部242は、アーム240の自由端に設置された自転用モータ258に接続されており、この自転用モータ258の駆動に伴って回転(自転)する。
【0119】
この基板保持部242の下方には、基板保持部242と共に第1研磨部134を構成する矩形状の第1電極部246bと、基板保持部242と共に第2研磨部136を構成する矩形状の第2電極部246cが配置されている。基板保持部242は、第1電極部246bの直上方位置と、第2電極部246cの直上方位置との間を移動する。
【0120】
第1電極部246b及び第2電極部246cは、図8及び図9に示す電解加工装置36の電極部246と同様に、中空モータの駆動によりスクロール運動(並進回転運動)を行う。
【0121】
第1電極部246bは、図8及び図9に示す電解加工装置36の電極部246と同様な構成であり、図19に示すように、基板Wをある程度の力で各電極286を覆うイオン交換体290に押し付けて基板Wを接触部材298の上面に接触させる。これによって、基板Wの押圧力を接触部材298が受け、基板Wとイオン交換体290との接触面積が変化しないようにして、基板Wが傾くことを防止し、接触面積を均一にして、均一な加工を実現することができる。
【0122】
第1電極部246bの各イオン交換体(加工処理部材)290は、基板Wをある程度の力でイオン交換体290に押し付けて基板Wを接触部材298の上面に接触させた時、イオン交換体290が、図21Aに示す、パターン部Pにおける銅膜(金属膜)6の凸部6bの表面に接触し、加工中も該凸部6bの表面に接触し続けて、図21Bに示すように、凸部6bを選択的に研磨してパターン部P内における銅膜6の表面を平坦化できる弾性を有している。
【0123】
このような構成の第1研磨部134においては、図19に示すように、基板保持部242で保持した基板Wを、接触部材298の上面に接触させつつ、第1電極部246bのイオン交換体290の表面にも接触させ、これによって、イオン交換体290を、図21Aに示す、パターン部Pにおける銅膜(金属膜)6の凸部6bの表面に接触させる。基板保持部242で保持した基板Wを回転させつつ第1電極部246bをスクロール運動させ、同時に、支持体296の連通孔296aから基板Wと電極部材282との間に純水又は超純水を供給し、また、各電極286の貫通孔300を通じて純水又は超純水をイオン交換体290に含ませる。そして、電源248(図18参照)により加工電極286aと給電電極286bとの間に所定の電圧を印加し、イオン交換体290により生成された水素イオン又は水酸化物イオンによって、加工電極(陰極)286aにおいて基板Wの表面に堆積させた銅膜(導電膜)6の第1研磨(電解加工)を行う。
【0124】
この時、特に凸部が集中するパターン部Pでは電解強度がフィールド部Fより高くなるため、反応種イオンの供給量がフィールド部Fより多くなり、パターン部Pにおける銅膜6の研磨速度がフィールド部Fにおける銅膜6の研磨速度よりも大きくなる。
【0125】
純水や超純水等にイオン性反応促進剤を添加した電解液を使用してもよい。電界強度の強い部分、つまりパターン部Pにおける銅膜6の凸部6bの上端にイオン性反応促進剤を集中させて、パターン部Pにおける銅膜6の凸部6bの研磨速度を更に上昇させる。これによって、パターン部Pとフィールド部Fにおける銅膜6の十分な研磨(加工)速度差を得ることができる。
【0126】
特に、第1研磨部134による第1研磨は、パターン部P内の銅膜6表面の初期段差が解消されるまで継続される。このため、第1研磨における銅膜6の研磨速度が小さいと、下記の第2研磨でパターン部Pとフィールド部Fにおける銅膜6の表面の段差を解消するのに使用できる銅膜6の厚さが小さくなる。従って、第1研磨では、パターン部P内の銅膜6の研磨速度をフィールド部Fの銅膜6の研磨速度よりも少なくとも2倍以上増加させて、第1研磨でパターン部Pとフィールド部Fとの間に段差が形成される速度を大きくすることが望ましい。純水や超純水等の電解液(液体)中にイオン性反応促進剤を添加することで、この要請に応えることができる。
【0127】
図20は、第2研磨部136を構成する第2電極部246cの要部を示す。この第2電極部246cの第1電極部246bと異なる点は、加工処理部材として、剛性が高く弾性変形の少ないイオン交換体290aを使用するとともに、上面に接触部材298を取付けた支持体296の高さをより高くして、基板Wをある程度の力で押し付けて接触部材298の上面に接触させた時、イオン交換体290aが、図21Bに示す、パターン部Pにおける銅膜(金属膜)6の表面に接触しないようにした点である。イオン交換体290aは、フィールド部Fにおける銅膜6の表面に接触するようにしてもよい。
【0128】
この第2研磨部136の操作にあっては、図20に示すように、基板保持部242で保持した基板Wを、第2電極部246cの接触部材298の表面に接触させる。イオン交換体290aは、図21Bに示す、パターン部Pにおける銅膜(金属膜)6の表面に接触しない。なお、イオン交換体290aが、図21Bに示す、フィールド部Fにおける銅膜(金属膜)6の表面に接触していてもよい。
【0129】
前述の第1研磨部134と同様に、基板保持部242で保持した基板Wを回転させつつ、第2電極部246cをスクロール運動させる。同時に、基板Wと電極部材282との間に純水又は超純水を供給し、また、純水又は超純水をイオン交換体290aに含ませ、加工電極286aと給電電極286bとの間に所定の電圧を印加して、加工電極(陰極)286aにおいて基板Wの表面に堆積させた銅膜(導電膜)6の電解加工(研磨)を行う。
【0130】
研磨中、イオン交換体290aは、図21Bに示す、パターン部Pにおける銅膜(金属膜)6の表面に接触しておらず、このため、パターン部Pにおける銅膜6の研磨速度が低下してフィールド部Fよりも遅くなり、主に、フィールド部Fの銅膜6が選択的に研磨される。これによって、図21Cに示すように、銅膜6の表面に残ったパターン部Pとフィールド部Fとの間の段差が解消されて、銅膜6の表面が平坦化される。
【0131】
このように、第1研磨で主にパターン部P内の銅膜6の表面の初期段差を解消し、その後、第2研磨で主に銅膜6の表面のパターン部Pとフィールド部Fとの間の段差を解消することで、基板Wの全面における銅膜6の表面を平坦に研磨することができる。
【0132】
第2研磨に際し、パターン部Pにおける銅膜6の表面に抵抗を形成する抵抗形成処理を行い、パターン部Pにおける銅膜(導電膜)6の研磨速度を遅らせることで、フィールド部Fの研磨速度との間により大きな研磨速度差を持たせることが好ましい。この抵抗形成処理としては、処理液(電解液)として、純水や超純水等に酸化剤(H,O等)または錯化剤を添加したものを使用し、パターン部Pにおける銅膜6の表面を不働態化または錯体化させて、反応種イオンがパターン部Pにおける銅膜6の表面へ到達するのを抑制する処理がある。
【0133】
他の処理として、処理液(電解液)として、純水や超純水等に絶縁性を有する添加剤を導入したものを使用し、図22に示すように、パターン部Pにおける銅膜6の表面を添加剤(絶縁物)10で被覆して、反応種イオンがパターン部Pにおける銅膜6の表面に到達するのを防止する処理がある。
【0134】
更に他の処理として、処理液(電解液)として、純水や超純水等に反応種イオンと銅膜6との反応を抑制する添加剤、例えばBTA(ベンゾトリアゾール)のような防食剤を導入したものを使用し、反応種イオンと銅膜6との反応そのものを抑制する処理がある。
【0135】
これらの処理、特に、銅膜6の表面の不働態化または錯体化、または添加剤(絶縁物)10による被覆は、パターン部Pにおいてのみ行われることが望ましいが、仮にフィールド部Fに行われても、イオン交換体(加工処理部材)290aまたは接触部材298の接触圧力でフィールド部Fから除去または除外できる程度の強度であれば良い。第2研磨に際して、イオン交換体290aがパターン部Pに接触しないようにすることで、パターン部Pにおける銅膜6の表面に形成された不働態化膜、錯化物または絶縁物等の抵抗が、イオン交換体290aと接触して除去されてしまうことはない。一方、第2研磨中、接触部材298をフィールド部Fに接触させることで、フィールド部Fにおける銅膜6の表面に形成された不働態化膜等の抵抗を接触部材298の接触圧力で除去することができる。
【0136】
接触部材298を設けない場合にあっては、第2研磨に際して、イオン交換体290aをフィールド部Fに接触させることで、フィールド部Fにおける銅膜6の表面に形成された不働態化膜等の抵抗をイオン交換体290aの接触圧力で除去することができる。
この例では、パターン部Pの抵抗形成処理を第2研磨と同時に行うようにしているが、第2研磨の前に行うようにしてもよい。
【0137】
この実施の形態における平坦化装置の操作に際して、基板Wを保持した基板保持部242を第1電極部246bの直上方の第1研磨位置まで移動させる。次に、基板保持部242を下降させ、この基板保持部242で保持した基板Wを第1電極部246bの接触部材298及びイオン交換体290の表面に接触させ、これによって、イオン交換体290を、図21Aに示す、パターン部Pにおける銅膜(導電膜)6の凸部6bの表面に接触させる。その後、基板Wを回転させ、同時に第1電極部246bをスクロール運動させながら、基板Wとイオン交換体290との間に、必要に応じてイオン性反応促進剤を添加した純水又は超純水を供給する。
【0138】
電源248により加工電極286aと給電電極286bとの間に所定の電圧を印加し、イオン交換体290により生成された水素イオン又は水酸化物イオンによって、加工電極(陰極)286aにおいて、パターン部Pにおける銅膜6の研磨速度をフィールド部Fにおける銅膜6の研磨速度よりも大きくした第1研磨(電解加工)を行う。そして、図21Bに示すように、パターン部P内の銅膜6の凸部6bが選択的に研磨されて初期段差が解消された時に、第1研磨を終了する。
【0139】
この例にあっては、加工テーブル284をスクロール運転させるのに供給される電流(テーブル電流)を制御部144で検出して第1研磨の終点を検知するようにしている。つまり、第1研磨の進行に伴って、銅膜6の表面の段差が解消されて平坦化されると、銅膜6とイオン交換体(加工処理部材)290との間の接触面積が大きくなって、図23に示すように、テーブル電流が大きくなる。テーブル電流を検知し、これが所定の値より大きくなった時を第1研磨の終点とすることができる。
【0140】
第1研磨の終点を画像認識によって検知してもよい。銅膜6の表面を、パターン画像の変化として捉えると、第1研磨の進行に伴って、図24Aに示すように、パターン形状12が鮮明に捉えられていた状態から、図21Bに示すように、パターン形状12が徐々に消えてゆく状態に推移する。そこで、例えば加工テーブル284(図10参照)上に配置したカメラで加工中の銅膜6の画像認識を行うか、または加工テーブル284の側方に配置したカメラで加工中に加工テーブル284からオーバハングさせた基板Wの銅膜6の画像認識を行って、第1研磨の終点を検知することができる。第1研磨の終点を時間管理で検知しても良い。
【0141】
第1研磨完了後、第1電極部246bの加工電極286a及び給電電極286bの電源248との接続を切り、基板保持部242の回転と第1電極部246bのスクロール運動を停止させる。基板保持部242を上昇させ、第2電極部246cの直上方の第2研磨位置に移動させた後、下降させて基板保持部242で保持した基板Wを第2電極部246cの接触部材298の表面に接触させる。しかし、図20に示すように、イオン交換体290aが、図21Bに示す、パターン部Pにおける銅膜(導電膜)6の表面に接触しない状態にする。この状態で、基板Wとイオン交換体290aとの間に、必要に応じて、酸化剤、錯化剤または絶縁性を有する添加剤を添加した純水又は超純水を供給しつつ、前述と同様にして、銅膜6の表面の第2研磨(電解加工)を行う。なお、第1研磨(電解研磨)と第2研磨(電解研磨)は、同一電極部で行ってもよい。
【0142】
第2研磨中、イオン交換体290aは、図21Bに示す、パターン部Pにおける銅膜(導電膜)6の表面に接触していないため、パターン部Pにおける銅膜6の研磨速度が低下してフィールド部Fよりも遅くなり、更に、必要に応じて、パターン部Pにおける銅膜6の表面に抵抗を形成する抵抗形成処理を行い、パターン部Pにおける銅膜(導電膜)6の研磨速度を更に遅らせることで、主に、フィールド部Fの銅膜6のみが選択的に研磨される。これによって、図21Cに示すように、銅膜6の表面に残ったパターン部Pとフィールド部Fとの間の段差が解消されて、銅膜6の表面が平坦化される。
【0143】
第2研磨にあっては、例えば、凹凸を除去したことにより生じる摩擦力の変化等を検出することで加工量を判断し、加工終点を検出することができる。
【0144】
第2研磨完了後、第2電極部246cの加工電極286a及び給電電極286bの電源248との接続を切り、基板保持部242の回転と第2電極部246cのスクロール運動を停止させる。しかる後、基板保持部242を上昇させ、アーム240を移動させて基板Wを搬送ロボット142に受け渡す。搬送ロボット142は、必要に応じて基板Wを反転機132に搬送して反転させた後、基板Wをロード・アンロード部130のカセットに戻す。
【0145】
なお、上記の例では、共通の基板保持部242を使用し、基板保持部242と第1電極部246bで第1研磨部134を、基板保持部242と第2電極部246cで第2研磨部136を構成するようにした例を示しているが、第1研磨と第2研磨をそれぞれ別の電解加工装置で行うようにしてもよい。
【0146】
更に、加工テーブルをカートリッジ式にして、基板保持部242で基板Wを保持したまま、加工テーブルを研磨中に任意に交換するようにしてもよい。
第1電極部246b及び第2電極部246cとして、図16に示す電極部246aを使用し、互いに接触することなく、距離Dが0.05μm以上50μm以下となるようにした基板Wと電極302との間に異なる液体(電解液)を供給して、第1研磨及び第2研磨を行うようにしてもよい。
【0147】
つまり、第1研磨を行う時には、基板Wと電極302との間に、例えば純水、超純水または電気導電率が500μS/cm以下の液体にイオン性反応促進剤を添加したものを供給する。これにより、図21Aに示す、パターン部Pにおける銅膜(金属膜)6の研磨速度をフィールド部Fにおける銅膜6の研磨速度よりも高めた第1研磨を行うことができる。つまり、液体の電気導電率が高いと、パターン部P及びフィールド部Fにおける銅膜6の研磨が共に等方的となり、パターン部Pとフィールド部Fにおける銅膜6の研磨速度に差が出ないが、液体の電気導電率を小さく、例えば500μS/cm以下にすることで、これらの研磨を異方性に近づけて、パターン部Pとフィールド部Fにおける銅膜6の研磨速度に差が出るようにすることができる。また、イオン性反応促進剤を電界強度の強い部分、つまりパターン部Pにおける銅膜6の凸部6b上端に集中させ、これによって、パターン部Pにおける銅膜6の研磨速度を上昇させることができる。
【0148】
第2研磨を行う時には、基板Wと電極302との間に、例えば純水、超純水または電気導電率が500μS/cm以下の液体に、必要に応じて、酸化剤(H,O等)または錯化剤を添加したもの、絶縁性を有する添加剤を導入したもの、または反応種イオンと銅膜6との反応を抑制する添加剤を導入したものを供給し、これによって、第2研磨と同時にパターン部Pの抵抗形成処理を施す。抵抗形成処理により、図21Bに示す、パターン部Pにおける銅膜(金属膜)6の研磨速度を遅らせて、フィールド部Fの銅膜6の研磨速度との間により大きな研磨速度差を持たせることができる。
【0149】
この時、フィールド部Fの銅膜6の表面にも、不働態化、錯体化、または添加剤(絶縁物)による被覆等の抵抗が形成されていても、この抵抗は、接触部材312の接触圧力でフィールド部Fから除去される。
【0150】
この例にあっても、基板保持部242で保持した基板Wを、電極部246aの接触部材312に接触させた状態で、基板保持部242で保持した基板Wを回転させつつ、電極部246aをスクロール運動させる。同時に、基板Wと電極302との間に、例えばイオン性反応促進剤を添加した電気導電率が500μS/cm以下の液体(電解液)を供給し、加工電極302aと給電電極302bとの間に所定の電圧を印加して、加工電極(陰極)302aにおいて基板Wの表面に堆積させた銅膜(導電膜)6の第1研磨を行う。
【0151】
そして、基板保持部242で保持した基板Wを、電極部246aの接触部材312に接触させた状態で、基板保持部242で保持した基板Wを回転させつつ、電極部246aをスクロール運動させる。同時に、基板Wと電極302との間に、必要に応じて、酸化剤、錯化剤または絶縁性を有する添加剤等を添加した電気導電率が500μS/cm以下の液体(電解液)供給し、加工電極302aと給電電極302bとの間に所定の電圧を印加して、加工電極(陰極)302aにおいて基板Wの表面に堆積させた銅膜(導電膜)6の第2研磨(電解加工)を行う。
【0152】
これまで本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明は、基板の表面に設けた微細な配線用凹部の内部に埋込みつつ該表面に成膜した金属膜の表面を加工して平坦化するのに使用される。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】図1A〜1Cは、銅配線基板の一製造例を工程順に示す図である。
【図2】図2A〜2Dは、従来の電解加工方法で配線材料としての銅膜を加工する状態を模式的に示す図である。
【図3】図3A〜3Cは、従来の電解加工方法で配線材料としての銅膜を研磨する他の状態を模式的に示す図である。
【図4】図4A〜4Cは、電解加工方法で配線材料としての銅膜を研磨する理想的な状態を模式的に示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態における平坦化装置を示す平面図である。
【図6】図6は、図5に示す平坦化装置のレジスト処理装置(被覆材料処理装置)の概要図である。
【図7】図7A〜7Cは、図6に示すレジスト処理装置を使用して銅膜の凹部を被覆材料で被覆する時の状態を示す図である。
【図8】図8は、図5に示す平坦化装置の電解加工装置の平面図である。
【図9】図9は、図8に示す電解加工装置の縦断面図である。
【図10】図10は、図8に示す電解加工装置の電極部の縦断面図である。
【図11】図11は、図8に示す電解加工装置の電極部で加工を行っている時の要部を示す断面図である。
【図12】図12A〜12Dは、本発明の実施の形態の平坦化方法で配線材料としての銅膜の加工する時の状態を模式的に示す図である。
【図13】図13は、レジスト処理装置の他の例を示す概要図である。
【図14】図14A及び14Bは、図13に示すレジスト処理装置を使用して銅膜の凹部を被覆材料で被覆する時の状態を示す図である。
【図15】図15A〜15Dは、本発明の他の実施の形態の平坦化方法で配線材料としての銅膜を加工する時の状態を模式的に示す図である。
【図16】図16は、電解加工装置の他の電極部の要部を示す断面図である。
【図17】図17は、本発明の他の実施の形態における平坦化装置を示す平面図である。
【図18】図18は、図17に示す平坦化装置の電解加工装置の平面図である。
【図19】図19は、図18に示す電解加工装置の第1電極部(第1研磨部)で研磨を行っている時の要部を示す断面図である。
【図20】図20は、図18に示す電解加工装置の第2電極部(第2研磨部)で研磨を行っている時の要部を示す断面図である。
【図21】図21A〜21Cは、本発明の平坦化方法で配線材料としての銅膜を研磨する時の状態を模式的に示す図である。
【図22】図22は、パターン部における銅膜の表面を添加剤(絶縁物)で被覆した状態を模式的に示す図である。
【図23】図23は、本発明の平坦化方法で第1研磨を行った時のテーブル電流と研磨時間の関係を示すグラフである。
【図24】図24A及び24Bは、第1研磨によってパターン形状が変化する状態を示すグラフである。
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図2A】

【図2B】

【図2C】

【図2D】

【図3A】

【図3B】

【図3C】

【図4A】

【図4B】

【図4C】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物上に形成した初期段差を有する金属膜表面を加工して平坦化するにあたり、
前記金属膜表面の前記初期段差を形成する凹部のみを固体またはペースト状の被覆材料で被覆し、
研磨剤を用いない電解加工によって前記金属膜表面を加工することを特徴とする平坦化方法。
【請求項2】
前記金属膜表面に電解加工によって加工されずに残った前記被覆材料を除去し、前記金属膜表面を更に加工することを特徴とする請求項1記載の平坦化方法。
【請求項3】
前記被覆材料は、抵抗率が10Ω・cm以上の絶縁性材料、または抵抗率が10Ω・cm以下の導電性材料からなることを特徴とする請求項1記載の平坦化方法。
【請求項4】
前記被覆材料を前記金属膜表面の全面に塗布した後、前記金属膜表面の前記初期段差を形成する凸部に位置する前記被覆材料のみを除去して、前記金属膜表面の前記初期段差を形成する凹部のみを被覆材料で被覆することを特徴とする請求項1記載の平坦化方法。
【請求項5】
前記被覆材料を前記金属膜表面の前記凹部に選択的に塗布して、前記金属膜表面の前記初期段差を形成する凹部のみを被覆材料で被覆することを特徴とする請求項1記載の平坦化方法。
【請求項6】
被加工物の金属膜に近接させた加工電極と該金属膜に給電する給電電極との間に電圧を印加し、
加工処理部材が存在する前記被加工物と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間に液体を供給し、
前記被加工物と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方とを相対運動させて前記電解加工による前記金属膜表面の加工を行うことを特徴とする請求項1記載の平坦化方法。
【請求項7】
前記加工処理部材は、イオン交換体またはイオン交換体を含む材料からなることを特徴とする請求項6記載の平坦化方法。
【請求項8】
前記加工電極及び/または前記給電電極の側方に配置した接触部材を前記被加工物の前記金属膜表面に接触させて前記電解加工による前記金属膜表面の加工を行うことを特徴とする請求項6記載の平坦化方法。
【請求項9】
被加工物の金属膜に近接させた加工電極と該金属膜に給電する給電電極との間に電圧を印加し、
前記被加工物と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間に液体を供給し、
前記被加工物と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方とを相対運動させて前記電解加工による前記金属膜表面の加工を行うことを特徴とする請求項1記載の平坦化方法。
【請求項10】
前記加工電極及び/または前記給電電極の側方に配置した接触部材を前記被加工物の前記金属膜表面に接触させて前記電解加工による前記金属膜表面の加工を行うことを特徴とする請求項9記載の平坦化方法。
【請求項11】
金属膜表面の初期段差を形成する凹部のみを固体またはペースト状の被覆材料で被覆する被覆材料処理装置と、
研磨剤を用いない電解加工によって前記金属膜表面を加工する電解加工装置とを有することを特徴とする平坦化装置。
【請求項12】
前記被覆材料処理装置は、レジスト処理装置からなることを特徴とする請求項11記載の平坦化装置。
【請求項13】
被加工物上に形成したパターン部とフィールド部を有する金属膜表面を研磨して平坦化するにあたり、
前記パターン部における金属膜の研磨速度を前記フィールド部における金属膜の研磨速度よりも高い状態で金属膜表面の第1研磨を行い、
前記フィールド部における金属膜の研磨速度を前記パターン部における金属膜の研磨速度よりも高い状態で金属膜表面の第2研磨を行うことを特徴とする平坦化方法。
【請求項14】
前記第1研磨及び前記第2研磨の少なくとも一方を電解加工で行うことを特徴とする請求項13記載の平坦化方法。
【請求項15】
被加工物の金属膜表面に近接させた加工電極と該金属膜に給電する給電電極との間に電圧を印加し、
加工処理部材が存在する、前記被加工物と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間に液体を供給し、
前記被加工物と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方とを相対運動させて前記第1研磨及び前記第2研磨をそれぞれ行うことを特徴とする請求項13記載の平坦化方法。
【請求項16】
前記加工処理部材は、イオン交換体またはイオン交換体を含む材料からなることを特徴とする請求項15記載の平坦化方法。
【請求項17】
前記パターン部と前記加工処理部材とを接触させて前記第1研磨を行い、前記パターン部と前記加工処理部材とを非接触状態にして前記第2研磨を行うことを特徴とする請求項15記載の平坦化方法。
【請求項18】
前記パターン部と前記加工処理部材とを接触させて前記第1研磨を行い、前記第2研磨より前または第2研磨と同時に前記パターン部の抵抗形成処理を行うことを特徴とする請求項15記載の平坦化方法。
【請求項19】
前記パターン部の抵抗形成処理を行いつつ、前記パターン部と前記加工処理部材とを非接触状態にして前記第2研磨を行うことを特徴とする請求項15記載の平坦化方法。
【請求項20】
前記加工電極及び/または前記給電電極の近傍に配置した接触部材を前記被加工物の前記金属膜表面に接触させて前記第1研磨及び前記第2研磨の少なくとも一方を行うことを特徴とする請求項15記載の平坦化方法。
【請求項21】
被加工物の金属膜に近接させた加工電極と該導電膜に給電する給電電極との間に電圧を印加し、
前記被加工物と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方との間に液体を供給し、
前記被加工物と前記加工電極または前記給電電極の少なくとも一方とを相対運動させて前記第1研磨及び前記第2研磨をそれぞれ行うことを特徴とする請求項13記載の平坦化方法。
【請求項22】
前記第2研磨より前または第2研磨と同時に前記パターン部の抵抗形成処理を行うことを特徴とする請求項21記載の平坦化方法。
【請求項23】
前記パターン部の抵抗形成処理を行いつつ、前記パターン部と前記加工電極とを非接触状態にして前記第2研磨を行うことを特徴とする請求項21記載の平坦化方法。
【請求項24】
前記加工電極及び/または前記給電電極の近傍に配置した接触部材を前記被加工物の金属膜表面に接触させて前記第1研磨及び前記第2研磨の少なくとも一方を行うことを特徴とする請求項21記載の平坦化方法。
【請求項25】
前記加工電極と前記被加工物の前記金属膜表面との距離を0.05μm以上50μm以下にして前記第1研磨及び前記第2研磨の少なくとも一方を行うことを特徴とする請求項21記載の平坦化方法。
【請求項26】
時間管理、テーブル電流の検出または画像認識によって、前記第1研磨の終点を検知することを特徴とする請求項13記載の平坦化方法。
【請求項27】
被加工物上に形成したパターン部とフィールド部を有する金属膜表面を、前記パターン部における金属膜の研磨速度の方が前記フィールド部における金属膜の研磨速度よりも高い状態で研磨する第1研磨部と、
前記フィールド部における金属膜の研磨速度の方が前記パターン部における金属膜の研磨速度よりも高い状態で金属膜表面を研磨する第2研磨部を有することを特徴とする平坦化装置。
【請求項28】
前記第1研磨部及び第2研磨部の少なくとも一方は、電解加工で研磨を行うことを特徴とする請求項27記載の平坦化装置。

【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図21C】
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【図22】
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【図23】
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【図24A】
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【図24B】
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【公表番号】特表2008−524434(P2008−524434A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530089(P2007−530089)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【国際出願番号】PCT/JP2005/023989
【国際公開番号】WO2006/068283
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】